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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】給送装置及び記録装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 15/04 20060101AFI20240717BHJP
   B41J 11/68 20060101ALI20240717BHJP
   B65H 20/04 20060101ALI20240717BHJP
   B65H 7/02 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
B41J15/04
B41J11/68
B65H20/04
B65H7/02
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020057754
(22)【出願日】2020-03-27
(65)【公開番号】P2021154622
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】山口 真誠
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-181960(JP,A)
【文献】特開平04-361075(JP,A)
【文献】特開2014-118271(JP,A)
【文献】特開平03-111364(JP,A)
【文献】特開平09-263348(JP,A)
【文献】特開平07-187495(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 15/00-15/24
B41J 11/00-11/70
B65H 20/04
B65H 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続媒体がロール状に巻回されたロール媒体を収容可能なトレイと、
前記トレイが着脱可能な筐体と、
前記トレイに収容された前記ロール媒体の下側部分の外周面と接触して前記ロール媒体を回転可能に支持する複数の支持ローラと、
前記ロール媒体から巻き解かれた連続媒体を前記ロール媒体から離れる搬送方向に搬送する給送ローラを含む、前記ロール媒体から巻き解かれた連続媒体と接触可能な少なくとも一つの搬送ローラと、
前記複数の支持ローラ及び前記少なくとも一つの搬送ローラのうちの少なくとも1つのローラを駆動させる駆動機構と、
前記駆動機構を制御する制御部と、を備えており、
前記制御部は、前記搬送方向に搬送された前記連続媒体を前記トレイに向けて戻すように前記駆動機構を制御する戻し処理を実行可能であり、
前記給送ローラは、前記トレイが前記筐体に対して前記給送ローラの回転軸と直交する水平方向に着脱される際に、前記給送ローラが前記連続媒体を搬送可能な位置よりも上方に移動することを特徴とする給送装置。
【請求項2】
連続媒体がロール状に巻回されたロール媒体を収容可能なトレイと、
前記トレイが着脱可能な筐体と、
前記トレイに収容された前記ロール媒体の下側部分の外周面と接触して前記ロール媒体を回転可能に支持する複数の支持ローラと、
前記ロール媒体から巻き解かれた連続媒体を前記ロール媒体から離れる搬送方向に搬送する給送ローラを含む、前記ロール媒体から巻き解かれた連続媒体と接触可能な少なくとも一つの搬送ローラと、
前記複数の支持ローラ及び前記少なくとも一つの搬送ローラのうちの少なくとも1つのローラを駆動させる駆動機構と、
前記駆動機構を制御する制御部と、を備えており、
前記制御部は、前記搬送方向に搬送された前記連続媒体を前記トレイに向けて戻すように前記駆動機構を制御する戻し処理を実行可能であり、
回動可能に設けられ、先端に前記給送ローラを回転可能に支持するアームと、
前記給送ローラを前記トレイの底面に近づくように前記アームを付勢する付勢状態と前記アームを付勢しない退避状態とを選択的に取り得る付勢機構とをさらに備えており、
前記駆動機構は、前記給送ローラを駆動させ、
前記制御部は、前記戻し処理において、前記退避状態から前記付勢状態となるように前記付勢機構を制御することを特徴とする給送装置。
【請求項3】
前記制御部は、印刷ジョブに基づく前記連続媒体の印刷が終了する度に、前記戻し処理を実行することを特徴とする請求項1又は2に記載の給送装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記戻し処理において、前記連続媒体の先端が、前記トレイを前記筐体に装着するときの前記トレイの先端部の上端よりも下方に配置されるように、前記連続媒体を戻すことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の給送装置。
【請求項5】
前記筐体には、前記給送ローラよりも前記搬送方向下流に配置され、前記連続媒体を挟持しつつ前記搬送方向に搬送する一対の中間ローラを含む搬送機構が設けられており、
前記制御部は、前記戻し処理において前記連続媒体を戻す際に、前記一対の中間ローラを前記搬送方向に前記連続媒体を搬送するときとは逆方向に回転させるように前記搬送機構を制御することを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の給送装置。
【請求項6】
前記筐体には、前記搬送方向において、前記一対の中間ローラと前記給送ローラとの間に配置され、前記連続媒体の有無に関する信号を前記制御部に出力する媒体センサが設けられており、
前記制御部は、前記戻し処理において、前記連続媒体が有る状態から無い状態となる前記媒体センサからの前記信号に基づいて前記連続媒体の戻しを終了することを特徴とする請求項に記載の給送装置。
【請求項7】
前記ロール媒体を前記支持ローラに向けて押圧する押圧部をさらに備えていることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の給送装置。
【請求項8】
前記搬送ローラが、
前記給送ローラと、
前記給送ローラよりも前記搬送方向上流に配置され、前記ロール媒体から巻き解かれた連続媒体を挟持可能な一対の挟持ローラとを含んでおり、
前記駆動機構は、前記一対の挟持ローラの一方を駆動させることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の給送装置。
【請求項9】
連続媒体がロール状に巻回されたロール媒体を収容可能なトレイと、
前記トレイが着脱可能な筐体と、
前記トレイに収容された前記ロール媒体の下側部分の外周面と接触して前記ロール媒体を回転可能に支持する複数の支持ローラと、
前記ロール媒体から巻き解かれた連続媒体を前記ロール媒体から離れる搬送方向に搬送する給送ローラを含む、前記ロール媒体から巻き解かれた連続媒体と接触可能な少なくとも一つの搬送ローラと、
前記複数の支持ローラ及び前記少なくとも一つの搬送ローラのうちの少なくとも1つのローラを駆動させる駆動機構と、
前記給送ローラよりも前記搬送方向下流に配置され、前記連続媒体を挟持しつつ前記搬送方向に搬送する一対の中間ローラを含む搬送機構と、
前記搬送機構によって搬送された連続媒体に対して画像を記録する記録部と、
前記搬送方向において、前記記録部と前記一対の中間ローラとの間に配置され、前記連続媒体を切断する切断機構と、
前記切断機構、前記駆動機構、前記搬送機構、及び、前記記録部を制御する制御部と、
を備えており、
前記制御部は、前記連続媒体が前記切断機構によって切断された後に、前記搬送方向に搬送された前記連続媒体を前記トレイに向けて戻すように前記駆動機構を制御する戻し処理を実行可能であり、
前記給送ローラは、前記トレイが前記筐体に対して前記給送ローラの回転軸と直交する水平方向に着脱される際に、前記給送ローラが前記連続媒体を搬送可能な位置よりも上方に移動することを特徴とする記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール媒体を収容可能なトレイが筐体に着脱可能に設けられた給紙装置及び記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、画像処理装置の装置本体に引出自在に装着され、ロール紙(連続媒体)がロール状に巻かれたロール媒体を収容可能な2つの給紙トレイについて記載されている。これら給紙トレイは、上下二段に配置されており、それぞれに、ロール媒体から巻き解かれたロール紙を搬送する送り出しローラと、送り出しローラにより搬送されるロール紙を案内する給紙通路と、給紙通路を通るロール紙を切断可能なカッタとが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平7-187495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の給紙トレイには、送り出しローラに加えてカッタまで設けられているため、給紙トレイ自体の構成が複雑な構成となる。そこで本発明者は、例えば、給紙トレイ自体の構成を簡略化することを検討したところ、以下の課題を知見した。
【0005】
給紙トレイを装着する筐体側にカッタなどの切断機構を設けた場合、切断機構で切断されたロール紙の先端は給紙トレイよりも上方に飛び出た位置に配置される。この状態で給紙トレイを移動させて一旦、筐体から取り外した後、再度、給紙トレイを筐体に装着した場合、ロール紙の先端が筐体に設けられた構成要素(例えば、給送ローラなど)に接触し、ロール紙が折れ曲がることがある。このように給紙トレイの着脱動作によりロール紙が折れ曲がると、装着後に搬送不良が発生する問題がある。
【0006】
本発明の目的は、筐体に対するトレイの着脱動作により連続媒体の搬送不良が生じるのを抑制することが可能な給送装置及び記録装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の給送装置は、連続媒体がロール状に巻回されたロール媒体を収容可能なトレイと、前記トレイが着脱可能な筐体と、前記トレイに収容された前記ロール媒体の下側部分の外周面と接触して前記ロール媒体を回転可能に支持する複数の支持ローラと、前記ロール媒体から巻き解かれた連続媒体を前記ロール媒体から離れる搬送方向に搬送する給送ローラを含む、前記ロール媒体から巻き解かれた連続媒体と接触可能な少なくとも一つの搬送ローラと、前記複数の支持ローラ及び前記少なくとも一つの搬送ローラのうちの少なくとも1つのローラを駆動させる駆動機構と、前記駆動機構を制御する制御部と、を備えている。そして、前記制御部は、前記搬送方向に搬送された前記連続媒体を前記トレイに向けて戻すように前記駆動機構を制御する戻し処理を実行可能であり、前記給送ローラは、前記トレイが前記筐体に対して前記給送ローラの回転軸と直交する水平方向に着脱される際に、前記給送ローラが前記連続媒体を搬送可能な位置よりも上方に移動する。
また、本発明の給送装置は、別の観点では、連続媒体がロール状に巻回されたロール媒体を収容可能なトレイと、前記トレイが着脱可能な筐体と、前記トレイに収容された前記ロール媒体の下側部分の外周面と接触して前記ロール媒体を回転可能に支持する複数の支持ローラと、前記ロール媒体から巻き解かれた連続媒体を前記ロール媒体から離れる搬送方向に搬送する給送ローラを含む、前記ロール媒体から巻き解かれた連続媒体と接触可能な少なくとも一つの搬送ローラと、前記複数の支持ローラ及び前記少なくとも一つの搬送ローラのうちの少なくとも1つのローラを駆動させる駆動機構と、前記駆動機構を制御する制御部と、を備えており、前記制御部は、前記搬送方向に搬送された前記連続媒体を前記トレイに向けて戻すように前記駆動機構を制御する戻し処理を実行可能であり、回動可能に設けられ、先端に前記給送ローラを回転可能に支持するアームと、前記給送ローラを前記トレイの底面に近づくように前記アームを付勢する付勢状態と前記アームを付勢しない退避状態とを選択的に取り得る付勢機構とをさらに備えており、前記駆動機構は、前記給送ローラを駆動させ、前記制御部は、前記戻し処理において、前記退避状態から前記付勢状態となるように前記付勢機構を制御する。
【0008】
本発明の記録装置は、連続媒体がロール状に巻回されたロール媒体を収容可能なトレイと、前記トレイが着脱可能な筐体と、前記トレイに収容された前記ロール媒体の下側部分の外周面と接触して前記ロール媒体を回転可能に支持する複数の支持ローラと、前記ロール媒体から巻き解かれた連続媒体を前記ロール媒体から離れる搬送方向に搬送する給送ローラを含む、前記ロール媒体から巻き解かれた連続媒体と接触可能な少なくとも一つの搬送ローラと、前記複数の支持ローラ及び前記少なくとも一つの搬送ローラのうちの少なくとも1つのローラを駆動させる駆動機構と、前記給送ローラよりも前記搬送方向下流に配置され、前記連続媒体を挟持しつつ前記搬送方向に搬送する一対の中間ローラを含む搬送機構と、前記搬送機構によって搬送された連続媒体に対して画像を記録する記録部と、前記搬送方向において、前記記録部と前記一対の中間ローラとの間に配置され、前記連続媒体を切断する切断機構と、前記切断機構、前記駆動機構、前記搬送機構、及び、前記記録部を制御する制御部と、を備えている。そして、前記制御部は、前記連続媒体が前記切断機構によって切断された後に、前記搬送方向に搬送された前記連続媒体を前記トレイに向けて戻すように前記駆動機構を制御する戻し処理を実行可能であり、前記給送ローラは、前記トレイが前記筐体に対して前記給送ローラの回転軸と直交する水平方向に着脱される際に、前記給送ローラが前記連続媒体を搬送可能な位置よりも上方に移動する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の給送装置によると、搬送された連続媒体を戻す戻し処理を行うことが可能であるため、連続媒体が巻き取られるようにロール媒体が回転し、切断された連続媒体の先端をトレイ内に戻すことが可能となる。このため、筐体からトレイを取り外す際、及び、トレイを筐体に再度装着するときに、連続媒体の先端が筐体などに接触しにくくなり、折れ曲がりにくくなる。したがって、筐体に対するトレイの着脱動作により連続媒体の搬送不良が生じるのを抑制することが可能となる。
本発明の記録装置によると、連続媒体が切断機構によって切断された後に、搬送された連続媒体を戻す戻し処理を行うことが可能であるため、連続媒体が巻き取られるようにロール媒体が回転し、切断された連続媒体の先端をトレイ内に戻すことが可能となる。このため、筐体からトレイを取り外す際、及び、トレイを筐体に再度装着するときに、連続媒体の先端が筐体などに接触しにくくなり、折れ曲がりにくくなる。したがって、筐体に対するトレイの着脱動作により連続媒体の搬送不良が生じるのを抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係るプリンタの内部構造を示す概略構成図である。
図2】給紙カセットの部分拡大図である。
図3】ロール紙を支持する2つのローラ及び用紙を挟持する一対の挟持ローラに動力を伝達する伝達機構及び駆動機構の概略構成を示しており、(a)は駆動モータが正回転したときの動力伝達状況を示す図であり、(b)は駆動モータが逆回転したときの動力伝達状況を示す図である。
図4】制御部のブロック図である。
図5】(a)はロール紙を給紙カセットに収容するときの状況を示す図であり、(b)は給紙カセットに収容されたロール紙の用紙Pが搬送されるときの状況を示す図である。
図6】(a)は切断部で切断された用紙の先端を戻す戻し処理が実行されたときの状況を示す図であり、(b)は給紙カセットが筐体から取り外されるときの状況を示す図である。
図7図1に示すプリンタの制御部が実行する処理を示すフロー図である。
図8】本発明の変形例に係る給送装置の概略構成を示しており、(a)は切断部で切断された用紙の先端を戻す戻し処理が実行されたときの状況を示す図であり、(b)は給紙カセットが筐体から取り外されるときの状況を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態に係るプリンタ100について、図1図3を参照しつつ以下に説明する。
【0012】
プリンタ(記録装置)100は、図1に示すように、筐体100aと、給紙カセット1と、給紙部2と、搬送部3と、切断部4と、ヘッド5と、排紙トレイ6と、制御部7と、駆動機構8(図3参照)と、センサ9とを含む。なお、プリンタ100の下側半部が給送装置Kを構成し、筐体100aの一部、給紙部2、搬送部3の一部、切断部4、制御部7、駆動機構8、センサ9などを含む。給紙カセット1は、筐体100aの下部に着脱可能である。排紙トレイ6は、筐体100aの上部の一側壁を構成し、筐体100aに対して開閉可能である。
【0013】
給紙カセット1には、本発明の「ロール媒体」に該当するロール紙Rを収容可能である。ロール紙Rは、円筒状の芯部材(紙管)Rcの外周面に、本発明の「連続媒体」に該当する用紙Pがロール状に巻回されたものである。ロール紙Rは、その回転軸Rx(芯部材Rcの中心軸)に沿った軸方向(図1中紙面垂直方向)が鉛直方向と直交するように配置される。回転軸Rxの軸方向は、用紙Pの幅方向にも該当する。また、本実施形態においては、ロール紙Rから用紙Pが巻き解かれて当該ロール紙Rから離れるように搬送される方向Aが、搬送方向である。そして、用紙Pが搬送されるときのロール紙Rの回転方向が、ロール紙Rの巻き解かれる方向Bである。
【0014】
給紙カセット1は、図1に示すように、トレイ11と、ロール紙Rの下側部分の外周面を支持しつつ当該ロール紙Rを回転可能に支持する支持部12と、一対の挟持ローラ31,32と、付勢機構33と、押圧部19と、伝達機構20(図3参照)とを有する。トレイ11は、上方に開口した箱形状を有し、ロール紙Rを収容可能に構成されている。支持部12は、支持台13と、3つのローラ14~16とを有する。
【0015】
支持台13は、図2に示すように、回転軸Rxと直交する水平方向Cに互いに離隔して配置された2つの台部13a,13bを有している。これら2つの台部13a,13bは、トレイ11の底部11aに着脱可能に設けられている。また、各台部13a,13bは、回転軸Rxの軸方向に沿って長尺に延在している。本実施形態における台部13a,13bは、用紙P、すなわちロール紙Rの幅よりも若干長く形成されている。台部13aは、図2中搬送方向Aにおいて、支持部12に支持されたロール紙Rの回転軸Rxよりも上流側(図2中左側)に配置されている。台部13aは、傾斜面13a1を有している。台部13bは、図2中搬送方向Aにおいて、支持部12に支持されたロール紙Rの回転軸Rxよりも下流側(図1中右側)に配置されている。台部13bも傾斜面13b1を有している。これら支持台13の2つの傾斜面13a1,13b1は、水平方向Cにおいて、トレイ11の底面11a1からの高さが回転軸Rxから離れるに連れて高くなるように傾斜している。
【0016】
3つのローラ14~16も、回転軸Rxの軸方向に沿って長尺に延在しており、ロール紙Rの幅より若干長く形成されている。各ローラ14~16は、軸部材14a~16aと、軸部材14a~16aが挿通された円筒部材14b~16bとを有する。なお、各ローラ14~16は、軸部材14a~16aが挿通され、回転軸Rxの軸方向に沿って互いに離隔して配置された複数の円筒部材を有していてもよい。
【0017】
ローラ14は、その軸部材14aが回転軸Rxと平行な回転軸周りに回転可能に台部13aに支持されている。また、ローラ14は、傾斜面13a1の下方側に配置されている。ローラ15は、その軸部材15aが回転軸Rxと平行な回転軸周りに回転可能に台部13bに支持されている。ローラ15は、傾斜面13b1の下方側に配置されている。ローラ16は、その軸部材16aが回転軸Rxと平行な回転軸周りに回転可能に台部13bに支持されている。ローラ16は、傾斜面13b1の上方側に配置されている。本実施形態においては、これら3つのローラ14~16のうち、2つのローラ14,15が、図2に示すように、ロール紙Rの下側部分の外周面であって、ロール紙Rの外周面の下側半円領域Raと接触した状態で当該ロール紙Rを下方から支持する。また、2つのローラ14,15は、水平方向Cにおいて、ロール紙Rの下端を挟む2つの支持位置Ra1,Ra2でロール紙Rの外周面(下側半円領域Ra)と接触した状態で、ロール紙Rを支持可能に構成されている。
【0018】
また、2つのローラ14,15の軸部材14a,15aの一方の端部には、図3に示すように、ギヤ14a1,15a1が固定されている。ギヤ14a1,15a1には、伝達機構20を介して駆動機構8の動力が伝達される。
【0019】
押圧部19は、図1に示すように、略くの字に折り曲げられた板状部材19aを有している。板状部材19aは、回転軸19bを中心に回動可能なように、トレイ11に支持されている。これにより、押圧部19は、板状部材19aが回転軸19bを回転中心として自重で回動することで、ロール紙Rを支持部12に向けて押圧する。このため、ロール紙Rがローラ14,15から浮いて脱落するのを抑制することが可能となる。なお、押圧部19の板状部材19aは、バネなどの付勢部材の付勢力によってロール紙Rを押圧していてもよい。
【0020】
一対の挟持ローラ31,32は、図2に示すように、回転軸Rxの軸方向に沿って長尺に延在しており、ロール紙Rの幅より若干長く形成されている。各挟持ローラ31,32は、軸部材31a,32aと、軸部材31a,32aが挿通された円筒部材31b,32bとを有する。
【0021】
挟持ローラ31は、その軸部材31aが回転軸Rxと平行な回転軸周りに回転可能にトレイ11に支持されている。また、挟持ローラ31は、水平方向Cにおいて、トレイ11が筐体100aに装着された状態における給紙ローラ2aと支持台13との間に配置されている。挟持ローラ32は、挟持ローラ31の上方において挟持ローラ31と対向して配置され、付勢機構33によって支持されている。
【0022】
付勢機構33は、ローラ支持部33aと、弾性部材33bと、スライド部33cと、ケース(不図示)とを有している。ケースは、ローラ支持部33a、弾性部材33b、及び、スライド部33cを鉛直方向にスライド可能に保持した状態でトレイ11に支持されている。ローラ支持部33aは、軸部材32aを介して挟持ローラ32を回転可能に支持している。弾性部材33bは、鉛直方向において、ローラ支持部33aとスライド部33cとの間に互いに接触して配置されている。スライド部33cは、その上面が傾斜した傾斜面33c1を有している。そして、筐体100aには、その下面が傾斜した傾斜面34aを有する当接部34が形成されている。当接部34は、トレイ11が筐体100aに装着されたときに、その傾斜面34aがスライド部33cの傾斜面33c1と係合してスライド部33cを下方に移動させることが可能な位置に配置されている。これにより、トレイ11が筐体100aに装着された状態では、スライド部33cの下方の移動によって弾性部材33bがスライド部33cとローラ支持部33aとの間に圧縮される。この結果、ローラ支持部33aが弾性部材33bの復元力により下方に押圧され、一対の挟持ローラ31,32による用紙Pの挟持力が大きくなる。なお、トレイ11が筐体100aから取り外される際に、スライド部33cが当接部34から離隔すると、スライド部33cが弾性部材33bの復元力によって上方に押し上げられ、一対の挟持ローラ31,32による用紙Pの挟持力が小さくなる。
【0023】
また、挟持ローラ31の軸部材31aの一方の端部には、図3に示すように、ギヤ31a1が固定されている。ギヤ31a1には、伝達機構20を介して駆動機構8の動力が伝達される。
【0024】
伝達機構20は、図3に示すように、7つのギヤ21~27を有しており、駆動機構8からの動力を2つのローラ14,15及び挟持ローラ31に伝達するものである。これら7つのギヤ21~27のうち、6つのギヤ21~26は順に噛み合った状態で配置され、ギヤ27はギヤ21と噛み合った状態で配置され、回転軸Rxと平行な回転軸周りに回転可能にトレイ11に支持されている。また、ギヤ26がギヤ14a1と噛み合い、ギヤ22がギヤ15a1に噛み合い、ギヤ27がギヤ31a1に噛み合っている。
【0025】
駆動機構8は、筐体100aに設けられており、伝達機構20に選択的に動力を伝達して、2つのローラ14,15及び挟持ローラ31を駆動する。駆動機構8は、図3に示すように、3つのギヤ8a~8cと、駆動モータ8M(図4参照)とを有している。これら3つのギヤ8a~8cは、順に噛み合っている。また、ギヤ8aは、駆動モータ8Mが駆動されるとその回転力が伝達されて回転する。2つのギヤ8a,8bは、筐体100aに回転可能に支持されている。2つのギヤ8b,8cは、連結部材8dによって連結されている。連結部材8dは、一端部がギヤ8bの軸部に回転可能に支持され、他端部がギヤ8cの軸部に回転可能に支持されている。これにより、ギヤ8cは、連結部材8dによってギヤ8bの回転軸を中心に揺動可能に支持されている。
【0026】
このような駆動機構8の構成において、駆動モータ8Mが正回転するように駆動されると、図3(a)に示すように、ギヤ8aが図中反時計回りに回転し、ギヤ8bが図中時計回りに回転し、ギヤ8cが図中反時計回りに回転する。このとき、連結部材8dは、ギヤ8bの回転軸を中心に図3(a)中時計回りに揺動し、ギヤ8cが伝達機構20のギヤ21と離隔された状態となる。つまり、駆動機構8は、駆動モータ8Mが正回転するときは、その動力が伝達機構20に伝達されない状態となる。一方、駆動モータ8Mが逆回転するように駆動されると、図3(b)に示すように、ギヤ8aが図中時計回りに回転し、ギヤ8bが図中反時計回りに回転し、ギヤ8cが図中時計回りに回転する。このとき、連結部材8dは、ギヤ8bの回転軸を中心に図3(b)中反時計回りに揺動し、ギヤ8cが伝達機構20のギヤ21と噛み合った状態となる。つまり、駆動機構8は、駆動モータ8Mが逆回転するときは、その動力を伝達機構20に伝達する状態となる。伝達機構20は、駆動機構8から動力が伝達されると、7つのギヤ21~27が図3(b)中矢印方向に回転する。これにより、3つのギヤ14a1,15a1,31a1が回転し、2つのローラ14,15及び挟持ローラ31がともに図3(b)中反時計回りに回転する。これにより、ロール紙Rは用紙Pを巻き取る方向Dに回転し、用紙Pが巻き取られる。なお、本実施形態における駆動機構8と伝達機構20は、本発明の「駆動機構」に該当するが、本発明の「駆動機構」は、駆動機構8が、ローラ14,15及び挟持ローラ31を直接的に駆動する構成であれば、伝達機構20を有していなくてもよい。
【0027】
給紙部2は、図1に示すように、給紙ローラ2aと、アーム2bと、伝達機構(不図示)とを有する。給紙ローラ(給送ローラ)2aは、アーム2bの先端に軸支されている。アーム2bは、支軸2cに回動自在に支持されている。伝達機構は、制御部7の制御により駆動モータ8Mが駆動されたときに、その動力を給紙ローラ2aに伝達する。つまり、駆動モータ8Mが正回転するように駆動されると、用紙Pが搬送方向Aに給紙されるように給紙ローラ2aが回転する。このとき、伝達機構は、給紙ローラ2aがトレイ11の底面11a1に近づく方向(図1中時計回り)にアーム2bが回動するように付勢する。これにより、用紙Pが搬送方向Aに給紙される。また、伝達機構は、駆動モータ8Mが逆回転するように駆動されると、給紙ローラ2aが底面11a1から離隔する方向(図1中反時計回り)にアーム2bが回動するような付勢力が作用する。これにより、給紙ローラ2aが用紙Pから浮き上がり易くなり、給紙ローラ2aの回転力が用紙Pにほとんど作用しない。この結果、給紙ローラ2aによっては用紙Pがロール紙Rに向けて送られない。なお、アーム2bは、トレイ11を着脱する際に上方へ退避可能に構成されている。
【0028】
搬送部(搬送機構)3は、図1に示すように、3組の搬送ローラ対3a~3cと、第1搬送モータ3Ma(図4参照)と、第2搬送モータ3Mb(図4参照)とを有している。搬送ローラ対3a(一対の中間ローラ)は、第1搬送モータ3Maの駆動により回転する駆動ローラと、駆動ローラに連れ回る従動ローラとで構成されている。2組の搬送ローラ対3b,3cは、第2搬送モータ3Mbの駆動により回転する駆動ローラと、駆動ローラに連れ回る従動ローラとで構成されている。制御部7の制御により第1及び第2搬送モータ3Ma,3Mbが駆動され、各搬送ローラ対3a~3cが用紙Pを挟持しつつ回転することで、用紙Pが搬送される。
【0029】
センサ9は、筐体100aに設けられており、用紙Pの搬送方向Aにおいて、搬送ローラ対3aよりも上流で給紙ローラ2aよりも下流に配置されている。また、センサ9は、図1に示すように、筐体100aに装着されたトレイ11の先端部の直ぐ上方に配置されている。センサ9は、用紙Pと対向して用紙Pが有るときにON信号を制御部7に出力し、用紙Pと対向せず用紙Pが無いときにOFF信号を制御部7に出力する。
【0030】
切断部(切断機構)4は、図1に示すように、筐体100aに固定されており、搬送ローラ対3aの上方に配置されている。切断部4は、カッター4aと、カッター4aを駆動させる切断モータ4M(図4参照)とを含む。ロール紙Rから巻き解かれて搬送された用紙Pは、制御部7の制御により切断モータ4Mが駆動されることで、カッター4aにより切断される。これにより、ヘッド5へと搬送された用紙Pに後端が形成される。
【0031】
ヘッド5は、下面に形成された複数のノズル(図示略)と、ドライバIC5a(図4参照)とを含む。制御部7の制御によりドライバIC5aが駆動されると、ノズルからインクが吐出され、搬送部3によって搬送された用紙Pに対して画像が記録される。なお、ヘッド5は、本発明の「記録部」に該当し、位置が固定された状態でノズルからインクを吐出するライン式、及び、回転軸Rxの軸方向に移動しつつノズルからインクを吐出するシリアル式のいずれでもよい。ヘッド5により画像が記録されかつカッター4aにより切断された用紙Pは、筐体100aに対して開いた状態の排紙トレイ6に受容される。
【0032】
制御部7は、図4に示すように、内部バス100bを介して、駆動モータ8M、第1搬送モータ3Ma、第2搬送モータ3Mb、ドライバIC5a、切断モータ4M、及び、センサ9と接続されている。
【0033】
制御部7は、CPU(Central Processing Unit)7a、ROM(Read Only Memory)7b及びRAM(Random Access Memory)7cを有する。ROM7bには、CPU7aが各種制御を行うためのプログラムやデータが格納されている。RAM7cは、CPU7aがプログラムを実行する際に用いるデータを一時的に記憶する。
【0034】
続いて、図5図7を参照し、給紙カセット1にロール紙Rを収容し、当該ロール紙Rの用紙Pへの画像記録後に、給紙カセット1を筐体100aから抜き出す動作までについて説明する。
【0035】
ロール紙Rを給紙カセット1に収容する際は、まずは、筐体100aから給紙カセット2を取り外す。その後、図5(a)に示すように、ロール紙Rを支持部12の2つのローラ14,15上に載置し、押圧部19の板状部材19aでロール紙Rを支持部12に向けて押圧する。
【0036】
次に、ユーザが、図5(a)に示すように、ロール紙Rが巻き解かれる方向Bに回して、用紙Pの先端を一対の挟持ローラ31,32間を通過させてトレイ11の先端部近傍に配置させる。そして、ロール紙Rが収容された給紙カセット1を、筐体100aに装着する。このとき、図5(b)に示すように、当接部34の傾斜面34aとスライド部33cの傾斜面33c1とが係合して、スライド部33cが下方にスライドする。これにより、圧縮された弾性部材33bの復元力によって、ローラ支持部33aとともに挟持ローラ32が挟持ローラ31に押圧される。こうして、一対の挟持ローラ31,32間に用紙Pを挟持する所定の挟持力が生じる。
【0037】
次に、制御部7は、図7に示すように、印刷ジョブを受信したか否かを判定する(S1)。なお、ここでいう印刷ジョブとは、所定長の用紙Pに画像を記録した後、当該用紙Pを排紙トレイ6に排出するまでの動作を行うための指令をいう。印刷ジョブを受信しない場合(S1:NO)、S1を繰り返す。印刷ジョブを受信した場合(S1:YES)、S2へと進み、印刷ジョブに基づく用紙Pへの印刷処理を実行する。つまり、制御部7は、まずは、駆動モータ8Mが正回転するように駆動する。これにより、用紙Pが給紙ローラ2aにより、搬送方向Aに給紙される。このとき、ロール紙Rを支持する2つのローラ14,15は、給紙ローラ2aの用紙Pの給紙に伴うロール紙Rの回転に伴って回転する。また、ローラ16及び一対の挟持ローラ31,32も、給紙ローラ2aの用紙Pの給紙に伴って回転する。そして、制御部7は、センサ9から用紙Pの先端を検出したON信号を受信すると、図5(b)中二点鎖線で示すように、用紙Pが搬送ローラ対3aに挟持可能な位置まで駆動モータ8Mを駆動させてから停止させる。
【0038】
次に、制御部7は、第1及び第2搬送モータ3Ma,3Mbが正回転するように駆動させて3組の搬送ローラ対3a~3cで用紙Pを搬送する。そして、用紙Pがヘッド5と対向する位置を通過する際に、制御部7が、ドライバIC5aを駆動して、ヘッド5のノズルからインクを吐出させる。こうして、用紙Pに所望の画像を記録する。また、このとき、制御部7は、第1及び第2搬送モータ3Ma,3Mbの駆動を停止した後、切断モータ4Mを駆動して、用紙Pをカッター4aにより所望位置で切断する。この後、制御部7は、第2搬送モータ3Mbを駆動して、切断された用紙Pを搬送する。このとき、用紙Pに画像をさらに記録する際は、制御部7が、ドライバIC5aを駆動して、ヘッド5のノズルからインクを吐出させる。そして、画像が記録された用紙Pを排紙トレイ6に排出し、制御部7は、第2搬送モータ3Mbの駆動を停止する。こうして、印刷ジョブに基づく印刷処理が終了する。なお、1つの印刷ジョブにおいて、複数枚の用紙Pに画像を記録する場合は、画像が記録された複数枚の切断された用紙Pが排紙トレイ6に排出されることで、印刷処理が終了する。
【0039】
次に、制御部7は、S3において、切断部4で切断された用紙Pの先端を戻す戻し処理を実行する。制御部7は、この戻し処理を印刷処理が終了する度(用紙Pが切断部4によって切断され、画像が記録された1以上の用紙Pの排出が終了する度)に実行する。制御部7は、戻し処理において、第1搬送モータ3Ma及び駆動モータ8Mが逆回転するように駆動する。これにより、図6(a)に示すように、搬送ローラ対3aが用紙Pを搬送方向Aに搬送するときとは逆方向に回転し、用紙Pがロール紙Rに向けて送られる。このとき、一対の挟持ローラ31,32も用紙Pを搬送方向Aに搬送するときとは逆方向に回転し、用紙Pがロール紙Rに向けて送られる。また、このとき、2つのローラ14,15が反時計回りに回転しロール紙Rが巻き解かれる方向Bとは逆方向(巻き取る方向D)に回転し、巻き解かれた用紙Pがロール紙Rに巻き取られる。そして、制御部7は、センサ9から用紙Pの先端を検出したOFF信号を受信すると、第1搬送モータ3Maの駆動を停止すると共に、図6(a)中二点鎖線で示すように、用紙Pの先端が、給紙ローラ2aよりも搬送方向Aの下流位置であって、給紙カセット1を筐体100aに装着するときの移動方向において、トレイ11の先端部の上端よりも下方の位置に位置するまで、駆動モータ8Mを駆動させてから停止させる。なお、変形例として、センサ9からOFF信号を受信したタイミングで、第1搬送モータ3Ma及び駆動モータ8Mの駆動を停止してもよい。これにおいても、用紙Pの先端がトレイ11の先端部の上端近傍に位置し、後述と同様に、トレイ11の着脱時に、用紙Pの先端が筐体100aなどに接触しにくくなり、折れ曲がりにくくなる。こうして、一連のフローが終了する。
【0040】
この後、ユーザが、図6(b)に示すように、所定のタイミングで給紙カセット1を筐体100aから取り外すときに、アーム2bが上方に退避し、給紙カセット1が筐体100aから取り外される。このとき、図6(b)に示すように、当接部34の傾斜面34aとスライド部33cの傾斜面33c1との係合が解除され、弾性部材33bの復元力によってスライド部33cが上方に移動すると共に、一対の挟持ローラ31,32による用紙Pに対する挟持力が小さくなる。また、このとき、用紙Pの先端がトレイ11の先端部の上端よりも下方に位置するため、用紙Pの先端が給紙ローラ2aや筐体100aなどに接触しにくくなる。さらに、図6(b)に示す位置まで給紙カセット1を筐体100aから取り外し、再度、装着するときでも、用紙Pの先端が給紙ローラ2aや筐体100aなどに接触しにくくなるため、用紙Pの先端が折れ曲がりにくくなる。したがって、筐体100aに対する給紙カセット1の着脱動作によりロール紙Rの搬送不良が生じるのを抑制することが可能となる。
【0041】
なお、本実施形態におけるプリンタ100が本発明の「記録装置」に該当する。本実施形態におけるプリンタ100の下側半部の給送装置K(プリンタ100の給紙カセット1の周辺部)が本発明の「給送装置」に該当する。本実施形態における2つのローラ14,15が本発明の「支持ローラ」に該当する。本実施形態における給紙ローラ2a及び一対の挟持ローラ31,32が本発明の「搬送ローラ」に該当する。本実施形態における制御部7が本発明の「制御部」に該当する。本実施形態における搬送ローラ対3aが本発明の「一対の中間ローラ」に該当する。本実施形態における搬送部3が本発明の「搬送機構」に該当する。本実施形態のセンサ9が本発明の「媒体センサ」に該当する。本実施形態の押圧部19が本発明の「押圧部」に該当する。本実施形態の切断部4が本発明の「切断機構」に該当する。
【0042】
以上に述べたように、本実施形態のプリンタ100(給送装置Kを含む)によると、用紙Pが切断部4によって切断された後に用紙Pを戻す戻し処理を行うことが可能であるため、用紙Pが巻き取られるようにロール紙Rが回転し、切断された用紙Pの先端をトレイ11内に戻すことが可能となる。このため、筐体100aからトレイ11を取り外す際、及び、トレイ11を筐体100aに再度装着するときに、用紙Pの先端が筐体100aなどに接触しにくくなり、折れ曲がりにくくなる。したがって、筐体100aに対するトレイ11の着脱動作により用紙Pの搬送不良が生じるのを抑制することが可能となる。
【0043】
制御部7は、印刷ジョブに基づく印刷処理が終了する度に、戻し処理を実行する。これにより、例えば、今回の印刷が終了し次回の印刷が開始されるまでに、ユーザのタイミングで筐体100aからトレイ11が取り外されても、用紙Pの先端が筐体100aなどに接触しにくくなる。
【0044】
制御部7は、S3の戻し処理において、用紙Pの先端がトレイ11の先端部の上端よりも下方に配置されるように、用紙Pを戻す制御を行う。これにより、筐体100aからトレイ11を取り外す際、及び、トレイ11を筐体100aに再度装着するときに、用紙Pの先端が筐体100aなどにより一層接触しにくくなる。
【0045】
また、制御部7は、S3の戻し処理において、用紙Pを搬送するときとは逆方向に搬送ローラ対3aを回転させるように第1搬送モータ3Maを制御する。これにより、搬送ローラ対3aを有していても、戻し処理で用紙Pをスムーズに戻すことが可能となる。
【0046】
また、制御部7は、S3の戻し処理において、センサ9からの信号に基づいて用紙Pの戻しを終了する。これにより、戻し処理において、用紙Pの先端が給紙ローラ2aよりも搬送方向A上流側まで戻されるのを抑制することが可能となる。このため、給紙ローラ2aで用紙Pを搬送可能な状態が保たれる。
【0047】
また、ロール紙Rを支持部12に向けて押圧する押圧部19が設けられていることで、ロール紙Rがローラ14,15から浮いて脱落するのを抑制することが可能となる。
【0048】
また、駆動機構8が、一対の挟持ローラ31,32のうちの挟持ローラ31を駆動させることが可能に構成されている。これにより、給紙ローラ2aよりも搬送方向A上流に配置された挟持ローラ31を用いて戻し処理を行うことができるので、より確実に用紙Pが巻き取られるようにロール紙Rを回転させることができる。
【0049】
上述の実施形態においては、S3の戻し処理において、2つのローラ14,15及び一対の挟持ローラ31,32を回転させて用紙Pの先端を戻していたが、給紙ローラ2aの回転力を用紙Pに作用させて用紙Pの先端を戻してもよい。このような変形例においては、図8に示すように、プリンタ100の筐体100aに、付勢機構202を設ける。付勢機構202は、アーム2bの上方に設けられ、アーム2bの回動を規制する規制アーム202aと、伝達機構(不図示)とを有する。規制アーム202aは、支軸202cに回動自在に支持されている。また、支軸202aには、規制アーム202aがアーム2bを付勢しない退避状態(図8(b)に示す状態)を取るように付勢するコイルバネ(不図示)が設けられている。伝達機構は、制御部7の制御により駆動モータ8Mが逆回転されたときにだけ、規制アーム202aがアーム2bを付勢する付勢状態(図8(a)に示す状態)を取るように、コイルバネの付勢力よりも大きい付勢力を規制アーム202aに伝達し回動させる。このように付勢機構202は、アーム2bを付勢しない退避状態と、給紙ローラ2aが底面11a1に近づくようにアーム2bを付勢する付勢状態を選択的にとることが可能に構成されている。
【0050】
このような構成において、制御部7が、S3の戻し処理を実行すると、駆動モータ8Mが逆回転するように駆動される。このため、図8(a)に示すように、付勢機構202の規制アーム202aが退避状態からアーム2bを付勢する付勢状態となり、駆動モータ8Mが逆回転する際にも給紙ローラ2aが用紙Pと接触した状態となる。この結果、給紙ローラ2aが用紙Pに対してスリップしにくくなって、用紙Pが給紙ローラ2aによってもロール紙Rへと戻すことが可能となる。
【0051】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、上述の実施形態においては、戻し処理において、2つのローラ14,15及び一対の挟持ローラ31,32を駆動させて用紙Pをロール紙Rに巻き取らせて、用紙Pの先端をトレイ11内に戻していたが、2つのローラ14,15及び一対の挟持ローラ31,32のいずれか一方のみを駆動機構8が駆動させてもよい。また、上述の変形例においても、戻し処理において、給紙ローラ2aの回転だけで、用紙Pをロール紙Rに送り戻してもよい。この場合、伝達機構20が設けられていなくてもよい。
【0052】
また、上述の実施形態及び変形例においては、戻し処理において、挟持ローラ31を駆動させているが、挟持ローラ31に代えて挟持ローラ32を駆動させてもよい。この場合、給紙ローラ2aとアーム2bの構成のように、挟持ローラ32をアームにより回動可能な構成として筐体100a側に設け、トレイ11が筐体100aに装着されると一対の挟持ローラ31,32間で用紙Pを挟持可能な構成とすればよい。また、挟持ローラ32の挟持ローラ31への付勢機構はどのような構成であってもよし、挟持ローラ32の自重で一対の挟持ローラ31,32間の用紙Pに対する挟持力を生じさせてもよい。
【0053】
また、一対の挟持ローラ31,32に代えて、ローラ16の上方にローラ16とで用紙Pを挟持する挟持ローラを設けてもよい。この場合においても、ローラ16及び挟持ローラのいずれか一方を戻し処理時に駆動させて、挟持する用紙Pをロール紙Rへと送り戻してもよい。
【0054】
また、制御部7は、戻し処理において、用紙Pの先端が、トレイ11を筐体100aに装着するときのトレイ11の先端部の上端よりも若干上方に配置されていてもよい。これにおいても、トレイ11を筐体110aに再度装着するときに、ロール紙Rの用紙Pの先端が筐体110aなどに接触しにくくなり、折れ曲がりにくくなる。また、制御部7は、印刷ジョブに基づく印刷処理が終了する度に、戻し処理を実行しなくてもよい。例えば、ユーザからの戻し指令に基づいて戻し処理を実行してもよいし、印刷処理後、所定時間経過したら戻し処理を実行してもよい。要するに、戻し処理が実行可能なことで、上述した効果を得ることができる。
【0055】
上述のプリンタ100の下側半部にある給送装置Kは、筐体100aの下端に着脱可能な増設用ユニットとして構成されていてもよい。このような給送装置においても、上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0056】
また、ロール紙Rは、芯部材Rcを有さない芯なしのものであってもよい。本発明は、ロール紙Rを収容可能な給送装置全般及びこの給送装置を含む記録装置全般に適用され得る。
【符号の説明】
【0057】
2a 給紙ローラ(給送ローラ:搬送ローラ)
3 搬送部(搬送機構)
3a 搬送ローラ対(一対の中間ローラ)
4 切断部(切断機構)
5 ヘッド(記録部)
7 制御部
8 駆動機構
9 センサ(媒体センサ)
11 トレイ
11a1 底面
12 支持部
14,15 ローラ(支持ローラ)
19 押圧部
31,32 挟持ローラ(搬送ローラ)
100 プリンタ(記録装置)
K 給送装置
P 用紙(連続媒体)
R ロール紙(ロール媒体)
Rx 回転軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8