(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】仕切体
(51)【国際特許分類】
B65D 25/04 20060101AFI20240717BHJP
【FI】
B65D25/04 Z
(21)【出願番号】P 2020068132
(22)【出願日】2020-04-06
【審査請求日】2022-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003649
【氏名又は名称】弁理士法人真田特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100092978
【氏名又は名称】真田 有
(72)【発明者】
【氏名】塩貝 竜平
【審査官】二ッ谷 裕子
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-118969(JP,A)
【文献】米国特許第3554429(US,A)
【文献】特開平09-309525(JP,A)
【文献】特開2005-35612(JP,A)
【文献】特開平09-206538(JP,A)
【文献】特開2009-280272(JP,A)
【文献】登録実用新案第3021218(JP,U)
【文献】実開昭57-110069(JP,U)
【文献】実開昭62-31090(JP,U)
【文献】米国特許第4577773(US,A)
【文献】特開2002-19847(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 25/04
B65D 5/00 - 5/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り畳みコンテナに入れて使用される仕切体であって、
一側の端縁で折り返された二つの側板部が互いに重ねられると共に前記二つの側板部の各々を貫通する複数の側スリットが前記一側の端縁から切り込まれ、互いに対面する一対の側壁部と、前記側壁部の前記一側と反対側である他側の端縁どうしの間に延在し、各々の前記側壁部が前記一側へ折り立てられた底壁部と、を有する壁部材と、
一対の前記側壁部どうしの間で前記側壁部及び前記底壁部の双方と交差する方向に立設された面状の仕切部と、前記仕切部の両側に突設され、一対の前記側壁部の前記側スリットにそれぞれ嵌合する一対の側嵌合部と、を有する区画部材と、を備え、
前記二つの側板部のうち内側に配置された一方は、前記側スリットから前記他側へ向けて内スリットが切り込まれ、
前記二つの側板部のうち外側に配置された他方は、前記内スリットを外側から覆い、
前記区画部材は、前記仕切部の両側に突設されて前記内スリットに嵌合する内嵌合部を有し、
前記二つの側板部の間には、前記二つの側板部の
うち内側に配置された一方に連設され
、前記二つの側板部の一方から外側へ折り返されたスペーサ片が折り込まれることで隙間が設けられ、
前記壁部材は、厚み寸法が一様なシート材であってプラスチック段ボール製であり、
前記二つの側板部の各々の前記一側の端縁は互いに接続されるとともに前記一側の端縁で前記二つの側板部が折り返され、前記二つの側板部の間であって前記スペーサ片よりも前記一側に設けられた隙間の寸法は、前記一側へ向けて次第に縮小されている
ことを特徴とする仕切体。
【請求項2】
前記二つの側板部の一方は、前記他側の端縁に前記スペーサ片が連設され、
前記二つの側板部の他方は、前記他側の端縁に前記底壁部が連設された
ことを特徴とする、請求項1に記載の仕切体。
【請求項3】
前記二つの側板部の一方は、前記他側の端縁に差込片が突設され、
前記二つの側板部の他方は、前記他側の端縁に前記底壁部が連設され、
前記底壁部には、前記差込片の差し込まれる差込孔が形成された
ことを特徴とする、請求項1または2のいずれか一項に記載の仕切体。
【請求項4】
前記差込片は、前記二つの側板部のうち内側に配置された一方の前記他側の端縁に突設され、
前記底壁部は、前記二つの側板部のうち外側に配置された他方の前記他側の端縁に連設された
ことを特徴とする、請求項3に記載の仕切体。
【請求項5】
前記底壁部において前記側スリットに対応する各位置には、一対の前記側壁部が対面する方向に延びる底スリットが切り込まれ、
前記区画部材は、前記仕切部から突設されて前記底スリットに嵌合する底嵌合部を有する
ことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の仕切体。
【請求項6】
前記壁部材は、折り曲げ箇所にハーフカットが施された
ことを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の仕切体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、物品が収容される空間を区分けする仕切体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、箱体の内部空間を複数の空間に分割する仕切体が知られている。例えば、平板状の縦仕切板と横仕切板とを井桁状に組み合わせて構成された折り畳み可能な仕切体が提案されている(特許文献1参照)。このような井桁状の仕切体では、各仕切板(縦仕切板と横仕切板との各々)にスリットが切り込まれ、一重の仕切板どうしが、相互のスリットに差し込まれ合うことで組み合わせられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような井桁状の仕切体では、一重の仕切板どうしが組み合わせられているため、剛性が確保されない虞がある。仕切板の剛性が低いと、仕切板どうしが適切に固定されず、例えば、仕切体で分割された空間に収容された物品を支える際に撓みが生じうる。また、上記のような井桁状の仕切体は、多数の仕切板を組み合わせて構成されることから、部品点数が嵩みやすく、保管性に改善の余地がある。
【0005】
本件は、上述のような課題に鑑みて創案されたものであり、仕切体の撓みを抑制すると共に保管性を高めることを目的の一つとする。なお、この目的に限らず、後述する「発明を実施するための形態」に示す各構成から導き出される作用及び効果であって、従来の技術では得られない作用及び効果を奏することも、本件の他の目的として位置付けることができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここで開示する仕切体は、一側の端縁で折り返された二つの側板部が互いに重ねられると共に前記二つの側板部の各々を貫通する複数の側スリットが前記一側の端縁から切り込まれ、互いに対面する一対の側壁部と、前記側壁部の前記一側と反対側である他側の端縁どうしの間に延在し、各々の前記側壁部が前記一側へ折り立てられた底壁部と、を有する壁部材と、一対の前記側壁部どうしの間で前記側壁部及び前記底壁部の双方と交差する方向に立設された面状の仕切部と、前記仕切部の両側に突設され、一対の前記側壁部の前記側スリットにそれぞれ嵌合する一対の側嵌合部と、を有する区画部材と、を備えている。
【発明の効果】
【0007】
本件の仕切体によれば、撓みを抑制できると共に保管性を高められる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】仕切体の壁部材と区画部材とを分解して示す斜視図である。
【
図2】壁部材の側スリットと内スリットと底スリットとを示す断面図である。
【
図3】箱体とこの内部に配置される仕切体とを分解して示す斜視図である。
【
図4】壁部材に組み立てられる壁シートの平面図(壁部材の展開図)である。
【
図5】
図4の壁シートの組立手順を説明する図であり、(a)は組立途中の状態を示し、(b)は組立完了の状態(壁部材)を示している。
【
図6】変形例に係る壁シートの組立手順を説明する図であり、(a)は組立途中の状態を示し、(b)は組立完了の状態(変形例に係る壁部材)を示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、実施形態としての仕切体について説明する。この実施形態はあくまでも例示に過ぎず、下記の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。また、必要に応じて取捨選択でき、あるいは適宜組み合わせることができる。
【0010】
[1.構成]
[1-1.仕切体]
図1に示すように、本実施形態に係る仕切体1は、物品が収容される収容空間10の外壁をなすチャンネル形状の壁部材2と、収容空間10を複数の小空間11(
図3参照)に区分けする平板状(面状)の区画部材3とを備えている。収容空間10に配置される物品としては、例えば、配送先ごとに仕分けされる荷物が挙げられる。
【0011】
壁部材2は、面状(シート状)の壁シート4(
図4参照)から組み立てられている。言い換えると、壁部材2は、面状に展開可能である。
本実施形態の壁部材2及び区画部材3はいずれも、プラスチック段ボール製である。プラスチック段ボールは、一般の紙製の段ボールを模した構造であって、二枚のプラスチック製シート間に、リブを有する構造を一体成形することで形成され、リブに沿って貫通する空洞部により中空構造をなす。本実施形態の壁部材2及び区画部材3に適用されるプラスチック段ボールは、厚み寸法Toが一様なシート材である。
【0012】
壁部材2を構成するプラスチック段ボールは、折り曲げ箇所(例えば、
図2に黒丸で示す箇所)にハーフカットが施されている。ハーフカットは、折り曲げ箇所において、内側に配置される基材のみを残し、芯材と外側に配置される基材とを切断する加工法である。本実施形態の壁部材2及び壁シート4は、このハーフカットにより、折り曲げ箇所にヒンジ部(いわゆる「リビングヒンジ」)が形成されている。なお、
図2では、プラスチック段ボールの断面をハッチングで簡易的に示している。
【0013】
図1に示すように、壁部材2は、互いに対面する一対の側壁部21と、側壁部21どうしの間に延在し、仕切体1において底となる底壁部23とを有する。
以下、底壁部23が水平面に沿って配置されているものとして説明する。また、上下方向(水平方向に直交する方向)を高さ方向HDとし、一対の側壁部21が対面する方向を幅方向WDとし、高さ方向HDと幅方向WDとのいずれにも直交する方向を長さ方向LDとする。さらに、収容空間10に向かう側を内側とし、この反対側(収容空間10から離間する側)を外側とする。
なお、壁部材2を構成するプラスチック段ボールのリブの目方向(中空構造の空洞部に沿う方向)は、側壁部21では高さ方向HDと一致し、底壁部23では幅方向WDと一致する。
【0014】
一対の側壁部21は、互いに対称に構成される。各々の側壁部21は、底壁部23から上側(一側)へ折り立てられており、高さ方向HDかつ長さ方向LDに延在する。本実施形態の側壁部21は、幅方向WDから視た場合に矩形状である。
各々の側壁部21は、その上縁21a(一側の端縁)で折り返された二つの側板部24,25が互いに重ねられて構成され、二重構造をなす。二つの側板部24,25は、互いに等しい大きさの平板状である。以下、二つの側板部24,25のうち、内側に配置された一方を「内板部24」ともいい、外側に配置された他方を「外板部25」ともいう。内板部24の上縁24a(一側の端縁)と外板部25の上縁25a(一側の端縁)とは、上記のヒンジ部で互いに接続されており、側壁部21の上縁21aをなす。
【0015】
各々の側壁部21には、壁部材2に区画部材3を組み合わせるための構成として、内板部24及び外板部25の各々を貫通する複数の側スリット8が上縁21aから切り込まれている。ここでは、側壁部21の上縁21aから下側(底壁部23側)へまっすぐに延びる側スリット8を例示する。側スリット8の開口幅は、区画部材3の厚み寸法と同等、又は、区画部材3の厚み寸法よりもやや大きく設定される。
【0016】
本実施形態の側スリット8は、各々の側壁部21において長さ方向LDに等間隔で配置されている。一方の側壁部21に形成された側スリット8と、他方の側壁部21に形成された側スリット8とは、壁部材2を幅方向WDに視た場合に互いに重なる。なお、各々の側壁部21に設けられる側スリット8の個数は、想定される収容空間10の分割数に応じて適宜設定される。
本実施形態の側壁部21の上縁21aには、側スリット8の上端部の開口幅を上側へ向けて拡大する切り欠き8aが設けられている。切り欠き8aは、区画部材3が壁部材2に対して上側から組み合わせられるときに、後述する区画部材3の側嵌合部32及び内嵌合部33を側スリット8に案内する機能をもつ。ここでは、幅方向WDから視た場合にV字状をなす切り欠き8aを例示する。
【0017】
図1及び
図2に示すように、本実施形態の内板部24には、各々の側スリット8から下側へ向けて内スリット5が切り込まれている。内スリット5は、内板部24において側スリット8を下側へ延長したものであり、側スリット8と一連に設けられている。内板部24及び外板部25の各々を貫通する側スリット8に対し、内スリット5は内板部24のみを貫通している。したがって、内スリット5の外側は外板部25で覆われている。言い換えると、外板部25は内スリット5を外側から覆う。
このように、本実施形態の内板部24には、外板部25に形成されたスリット(側スリット8に対応)よりも長いスリット(側スリット8及び内スリット5に対応)が形成されている。なお、内スリット5の下端は、内板部24の下縁24b(他側の端縁)よりも上側に配置される。
【0018】
本実施形態の内板部24の下縁24bには、内板部24及び外板部25の間に隙間Sを形成するためのスペーサ片26が連設されていると共に、内板部24を底壁部23に固定するための差込片27が突設されている。
スペーサ片26は、内板部24と外板部25との間に折り込まれている。詳細にいえば、スペーサ片26は、内板部24の下縁24bから外側(外板部25側)へ折り返されたうえで、内板部24と外板部25との間に配置されている。ここでは、側壁部21の長さ方向LDの全域にわたって延在する細長な矩形状のスペーサ片26を例示する。
【0019】
本実施形態のスペーサ片26は、内スリット5の下端よりも下側に配置されており、内板部24及び外板部25の下端部にのみ重なる。これにより、スペーサ片26と内スリット5に嵌合する後述の区画部材3の内嵌合部33との干渉が回避されつつ、内板部24及び外板部25の間であってスペーサ片26よりも上側に隙間Sが設けられている。なお、内板部24及び外板部25の各々の上縁24a,25aは互いに接続されていることから、側壁部21の厚み方向(幅方向WD)における隙間Sの寸法Ts(以下、「厚み寸法Ts」ともいう)は、上側へ向けて次第に縮小されている。
【0020】
側壁部21は、隙間Sが設けられることで、厚み方向の寸法が確保されている。具体的に言えば、側壁部21の厚み方向の寸法は、隙間Sが設けられない場合には内板部24と外板部25との各厚み寸法Toを足した大きさ(2×To)となるのに対し、隙間Sが設けられた場合には内板部24と外板部25との各厚み寸法Toに隙間Sの厚み寸法Tsを足した大きさ(2×To+Ts)となる。このように、本実施形態では、隙間Sが設けられることで側壁部21の厚み寸法が拡大されていることに伴い、側スリット8の貫通方向(幅方向WD)の寸法も隙間Sの厚み寸法Tsだけ拡大されている。
【0021】
差込片27は、内板部24の下縁24bに突設され、その先端を下側へ向けた姿勢で配置されている。スペーサ片26は内板部24の下縁24bから折り返されているのに対し、本実施形態の差込片27は、内板部24の下縁24bから折り返されずにまっすぐに延出している。差込片27は、後述する底壁部23の差込孔7に差し込まれることで、底壁部23に係止されている。
図1に示すように、ここでは各々の内板部24から二つの差込片27が長さ方向LDに互いに離間して突設された例を示す。ただし、差込片27の個数はこれに限定されない。
【0022】
底壁部23は、平板状であって、側壁部21の下縁21b(他側の端縁)どうしの間に延在する。本実施形態の底壁部23は、外板部25の下縁25b(他側の端縁)に連設されている。底壁部23は、高さ方向HDから視た場合に矩形状である。
本実施形態の底壁部23には、幅方向WDに延びる複数の底スリット6が切り込まれていると共に、差込片27の差し込まれる差込孔7が形成されている。
【0023】
底スリット6は、底壁部23において、側スリット8に対応する位置に配置されている。具体的に言えば、底スリット6と側スリット8とは、長さ方向LDにおける位置が互いに揃えられている。したがって、底スリット6は、側スリット8と同様に長さ方向LDに等間隔で配置されている。ここでは、幅方向WDに沿ってまっすぐに延在する線状の底スリット6を例示する。
【0024】
各々の底スリット6の延在方向(幅方向WD)における中央部には、底スリット6の開口幅よりも大きな直径をもつ貫通孔6aが形成されている。貫通孔6aは、底スリット6の打ち抜き性を高めるための構成であって、底スリット6と重複して設けられる。
差込孔7は、底壁部23において側壁部21の近傍に設けられ、差込片27に対応した形状をなす。ここでは、底壁部23の幅方向WDの端縁を一辺とする矩形状の差込孔7を例示する。差込孔7は、差込片27と同じ数だけ設けられ、長さ方向LDにおける位置が差込片27と一致するように配置される。
【0025】
区画部材3は、壁部材2に組み合わせられて小空間11の隔壁となる。ここでは二枚の区画部材3が設けられた仕切体1を例示する。ただし、仕切体1に設けられる区画部材3の枚数は、収容空間10を分割する数に応じて適宜変更できる。なお、区画部材3を構成するプラスチック段ボールのリブの目方向は、幅方向WDと一致する。
【0026】
区画部材3は、収容空間10に配置される仕切部31と、一対の側壁部21の側スリット8にそれぞれ嵌合する一対の側嵌合部32とを有する。また、本実施形態の区画部材3は、一対の側壁部21の内スリット5にそれぞれ嵌合する一対の内嵌合部33と、底壁部23の底スリット6に嵌合する底嵌合部34と、仕切部31から上側に突設されたインデックス部35(タブ部)とを更に有する。
【0027】
仕切部31は、平板状(面状)であり、側壁部21どうしの間で側壁部21及び底壁部23の双方と交差する方向に立設される。本実施形態の仕切部31は、高さ方向HDかつ幅方向WDに延在する。すなわち、本実施形態の仕切部31は、側壁部21及び底壁部23の双方に対して略直角に配置される。
本実施形態の仕切部31は、その上縁31aから半円形状に切り欠かれた凹部36を有する。凹部36は、小空間11への物品の挿入性と小空間11からの物品の取り出し性とを高める機能をもつ。
【0028】
側嵌合部32,内嵌合部33及び底嵌合部34はいずれも、仕切部31から突設されている。
側嵌合部32は、仕切部31の幅方向WDの両側に突設されている。本実施形態の側嵌合部32は、仕切部31からの幅方向WDの突出量が、側スリット8の貫通方向の寸法(側壁部21の厚み寸法)と同等、又はこれよりもやや大きく設定されている。これにより、側嵌合部32は、側スリット8の幅方向WDの全域に嵌合する。なお、側嵌合部32の高さ方向HDの寸法は、側スリット8の長さ寸法(高さ方向HDの寸法)と同等、又はこれよりもやや小さく設定される。
【0029】
内嵌合部33は、側嵌合部32よりも下側において仕切部31の幅方向WDの両側に突設されている。本実施形態の内嵌合部33は、仕切部31からの幅方向WDの突出量が、内スリット5の貫通方向の寸法(内板部24の厚み寸法To)と同等、又はこれよりもやや大きく(ただし、内スリット5の貫通方向の寸法に隙間Sの厚み寸法Tsを足した大きさよりは小さく)設定されている。これにより、内嵌合部33は、内スリット5の幅方向WDの全域に嵌合する。なお、内嵌合部33の高さ方向HDの寸法は、内スリット5の長さ寸法(高さ方向HDの寸法)と同等、又はこれよりもやや小さく設定される。
このように、本実施形態の区画部材3は、側嵌合部32及び内嵌合部33により、幅方向WDの両側が二段の階段状をなす。
【0030】
底嵌合部34は、仕切部31の下縁31bから下側(高さ方向HDの外側)に突設されている。底嵌合部34は、仕切部31からの高さ方向HDの突出量が、底壁部23の厚み寸法Toと同等に設定されていると共に、幅方向WDの寸法が、底スリット6の長さ寸法(幅方向WDの寸法)と同等、又はこれよりもやや小さく設定されている。
インデックス部35は、区画部材3において幅方向WDの片側に設けられ、収容空間10よりも上側に突出して配置される。ここでは、凹部36よりも幅方向WDの外側に配置された矩形状のインデックス部35を例示する。インデックス部35は、例えば、収容される物品の種類や配送先の記されたラベルが貼られることで、小空間11(又は小空間11に収容される物品)の見出しとなる。
【0031】
区画部材3は、壁部材2に対し、仕切部31が収容空間10に配置されるように上側から組み合わせられる。そして、区画部材3は、
図2に二点鎖線で示すように、側嵌合部32,内嵌合部33及び底嵌合部34が側スリット8,内スリット5及び底スリット6にそれぞれ嵌合するように配置される。
このように壁部材2に組み合わせられた区画部材3では、仕切部31の下縁31bが壁部材2の底壁部23に当接する。なお、本実施形態の区画部材3は、下側の角部(壁部材2の側壁部21及び底壁部23の角部の内側に配置される部分)が、壁部材2との干渉防止のために斜めに切り欠かれている。
【0032】
図3に示すように、仕切体1は、例えば、対応した形状の折り畳みコンテナ9に入れて使用される。折り畳みコンテナ9は、平板状に折り畳み可能な箱体であって、「オリコン」とも呼ばれる。このように折り畳みコンテナ9に入れて使用される仕切体1は、折り畳みコンテナ9の規格に基づいて、形状やサイズが設定されてもよい。
【0033】
[1-2.壁シート]
図4は、壁部材2に組立可能な壁シート4の平面図である。ここでは、壁シート4の延在面に沿う方向として縦方向D1及び横方向D2を定める。縦方向D1及び横方向D2は、互いに直交する。
本実施形態の壁シート4は、上記のとおりプラスチック段ボールで形成されている。壁シート4において、プラスチック段ボールのリブの目方向は、横方向D2と一致する。壁シート4のうち、壁部材2への組立時に折り曲げられる箇所(折り曲げ箇所)には、ハーフカットが施されている。
図4では、折り曲げ箇所(ヒンジ部)を細線で示す。なお、壁シート4の厚み寸法Toは一様である。
【0034】
本実施形態の壁シート4は、横方向D2に長い矩形状であって、底壁部23に対応する底パネル43を中心にして横方向D2に対称に形成されている。底パネル43の横方向D2の両側には、側壁部21に対応する側パネル41が連設されている。
側パネル41には、外板部25に対応する外パネル45と、内板部24に対応する内パネル44とが含まれる。外パネル45は、底パネル43の横方向D2の両側に連設されている。内パネル44は、外パネル45の横方向D2の外側に連設されている。
【0035】
側スリット8は、互いに連設された外パネル45と内パネル44とにわたって横方向D2に延在する。壁シート4において、側スリット8は、縦方向D1に等間隔で配置されている。
内スリット5は、内パネル44において横方向D2に延在する。内スリット5は、側スリット8を横方向D2の外側に延長したものである。
切り欠き8aは、外パネル45と内パネル44との境界線及びその周辺であって側スリット8と重複する位置に設けられている。壁シート4における切り欠き8aは、ひし形形状である。
【0036】
内パネル44の横方向D2の外側には、スペーサ片26及び差込片27の双方に対応する帯片46が連設されている。帯片46は、縦方向D1に延在する細長な矩形状をなす。帯片46には、内パネル44に向けて開放されたコ字形の切れ込み47が形成されている。切れ込み47の先端は、内パネル44と帯片46との境界線上に配置される。切れ込み47は、帯片46においてスペーサ片26と差込片27との境界をなし、帯片46をスペーサ片26及び差込片27に分割する。帯片46は、切れ込み47で囲まれる部位が差込片27となり、それ以外の部位がスペーサ片26となる。
【0037】
底スリット6は、底パネル43において縦方向D1に等間隔で配置されている。貫通孔6aは、底スリット6の横方向D2の中央部に配置されている。壁シート4において、側スリット8と内スリット5と底スリット6とは、縦方向D1の位置が揃えられている。
差込孔7は、底パネル43における横方向D2の外側の端部に形成されている。壁シート4において、切れ込み47と差込孔7とは、縦方向D1の位置が揃えられている。
【0038】
以下、
図5(a),(b)を参照して、壁シート4の組立手順を説明する。ここでは、底パネル43が水平面に沿って配置されているものとする。
図5(a)に示すように、まず、底パネル43に対して外パネル45を上側へ折り立てると共に、外パネル45に対して内パネル44を内側へ折り返す。また、帯片46のうち、切れ込み47で囲まれる部位以外を内パネル44から外側(外パネル45側)へ折り返すことで、帯片46をスペーサ片26と差込片27とに分割する。
【0039】
そして、
図5(b)に示すように、内パネル44と外パネル45との間にスペーサ片26を折り込みつつ、内パネル44を外パネル45の内側に重ねる。また、差込片27を差込孔7に上側から差し込み、内パネル44を底パネル43に係止する。これらの作業を各々の側パネル41に対して行えば、壁部材2の組立が完了する。
【0040】
[2.作用及び効果]
(1)仕切体1によれば、二つの側板部24,25が重ねられて二重構造をなす側壁部21の側スリット8に区画部材3の側嵌合部32が嵌合するため、一重構造の側壁部を採用する場合と比べて、側壁部21の剛性を高められると共に、側嵌合部32の嵌り量(咥え込み量)を確保できる。
【0041】
側嵌合部32の嵌り量は、具体的に言えば、側スリット8の貫通方向の寸法に対応する。すなわち、側嵌合部32の嵌り量は、一重構造の側壁部では、一重の側壁部の厚み寸法しか確保されないのに対し、二重構造の側壁部21では、二つの側板部24,25の厚み寸法を足した寸法が少なくとも確保される。したがって、二重構造をなす側壁部21によれば、壁部材2に区画部材3をより安定して固定できる。よって、区画部材3で物品を支える際にも、仕切体1の撓みを抑制できる。
【0042】
また、仕切体1によれば、二重構造をなす側壁部21と、側壁部21が折り立てられた底壁部23とが一つの壁部材2で構成されることから、井桁状の仕切体と比べて、部品点数を削減できる。よって、仕切体1の保管性を高められる。さらに、壁部材2が展開可能な構造であると共に、区画部材3が面状の仕切部31を有するシンプルな構造であるため、仕切体1の非使用時(保管時や廃棄時など)には、例えば壁部材2を展開したり折り畳んだりしたうえで区画部材3と重ねておくことで、嵩張りを抑制できる。
【0043】
(2)二つの側板部24,25の間には、二つの側板部24,25の一方(本実施形態では内板部24)に連設されたスペーサ片26が折り込まれることで隙間Sが設けられるため、隙間Sが設けられない場合と比べて、側スリット8の貫通方向の寸法を大きくできる。これにより、側嵌合部32の嵌り量が更に大きく確保されるため、壁部材2に区画部材3を更に安定して固定できる。よって、仕切体1の撓みを更に抑制できる。
【0044】
(3)二つの側板部24,25の一方(本実施形態では内板部24)の下縁にスペーサ片26が連設され、他方(本実施形態では外板部25)の下縁に底壁部23が連設されることで、壁部材2の展開状態における形状(壁シート4の形状)を簡素化できる。本実施形態では
図4に示すように、壁シート4の形状を矩形状に簡素化できる。よって、壁部材2の展開状態における収納性(保管性)を高められる。
【0045】
(4)内板部24には側スリット8から下側へ向けて内スリット5が切り込まれ、区画部材3には内スリット5に嵌合する内嵌合部33が設けられるため、区画部材3を側嵌合部32と内嵌合部33とにより二段階で側壁部21に固定できる。これにより、壁部材2に区画部材3をより一層安定して固定できる。よって、仕切体1の撓みを更に抑制できる。
【0046】
また、内スリット5は内板部24にのみ形成される(外板部25には形成されない)ため、二つの側板部24,25の両方に、側スリット8及び内スリット5に相当する長いスリットを形成する場合と比べて、内スリット5を外側から覆う外板部25により側壁部21の剛性低下を抑えられる。さらに、内嵌合部33は外板部25には嵌合しないため、壁部材2に対して区画部材3を取り付ける作業時や取り外す作業時に、内嵌合部33が側壁部21に摺接しうる面積を抑えられる。よって、区画部材3の着脱作業性を高められる。
【0047】
(5)二つの側板部24,25の一方(本実施形態では内板部24)の下縁に連設された差込片27が、他方(本実施形態では外板部25)の下縁に連設された底壁部23の差込孔7に差し込まれるため、底壁部23に対する側壁部21の姿勢が維持されやすくなる。これにより、壁部材2の形状維持性能が向上するため、仕切体1の組立容易性を高められる。
【0048】
(6)差込片27が内板部24の下縁24bに突設され、底壁部23が外板部25の下縁25bに連設されるため、差込片27を差込孔7に対して上側から差し込める。これにより、差込孔7に対する差込片27の差込容易性を高められる。よって、壁部材2の組立容易性を高められる。
【0049】
(7)底壁部23において側スリット8に対応する各位置には、幅方向WDに延びる底スリット6が切り込まれ、区画部材3には底スリット6に嵌合する底嵌合部34が設けられるため、区画部材3を側壁部21だけでなく底壁部23にも固定できる。これにより、区画部材3が壁部材2に一層安定して固定されるため、仕切体1の撓みを更に抑制できる。また、仕切部31から突設された底嵌合部34が仕切部31と底壁部23との隙間を埋めることで、仕切体1に収容された物品が区画部材3の下側を意図せず通過する(小空間11どうしを往来する)ことを抑制できる。
【0050】
(8)壁部材2が折り曲げ箇所にハーフカットの施されたプラスチック段ボール製であるため、壁部材2の剛性及び強度を確保しつつも、折り曲げ箇所ではハーフカットによりヒンジ部が形成されることで折り曲げ性を確保できる。したがって、組立と展開とが繰り返されたとしても壁部材2の破損を抑制できると共に、壁部材2の組立容易性を高められる。
【0051】
[3.変形例]
側壁部21では、外板部25の下縁25bに代えて、内板部24の下縁24bに底壁部23が連設されてもよい。具体的には
図6(a),(b)に示すように、壁部材2′に組立可能な壁シート4′において、底パネル43の横方向D2の両側に内パネル44を連設し、内パネル44の横方向D2の外側に外パネル45を連設すればよい。また、この場合は、帯片46が外パネル45の横方向D2の外側に連設されてもよい。なお、
図6(a),(b)では、上記の実施形態で説明した要素と同一又は対応する要素に同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0052】
図6(a)に示すように、本変形例に係る壁シート4′を壁部材2′に組み立てるには、まず、底パネル43に対して内パネル44を上側へ折り立てると共に、内パネル44に対して外パネル45を外側へ折り返す。また、帯片46を外パネル45から内側へ折り返し、切れ込み47でスペーサ片26と差込片27とに互いに分離させる。
そして、
図6(b)に示すように、内パネル44と外パネル45との間にスペーサ片26を折り込みつつ、外パネル45を内パネル44の外側に重ねる。また、本変形例では差込片27を外パネル45から内側へ折り返して差込孔7に外側から差し込み、外パネル45を底パネル43に係止する。
【0053】
このように、本変形例に係る壁部材2′では、スペーサ片26が外板部25の下縁25bに突設されることで、上記の実施形態と同様に壁部材2′の展開状態における形状を簡素化できる。また、壁部材2′では、差込片27が外板部25の下縁25bに突設されることで、上記の実施形態と同様に壁部材2′の形状維持性能を高められる。
【0054】
スペーサ片26は、二つの側板部24,25の一方に連設されればよく、例えば
図4に二点鎖線で示すように、内パネル44の縦方向D1の端縁(内板部24の長さ方向LDの端縁)に連設されてもよい。この場合であっても、二つの側板部24,25の間にスペーサ片26が折り込まれることで隙間Sが形成されれば、上記の実施形態と同様に側嵌合部32の嵌り量が大きく確保されるため、壁部材2′に区画部材3を安定して固定できる。
【0055】
仕切体1に設けられる区画部材3の枚数は、各々の側壁部21に形成された側スリット8の個数以下であればよく、収容する物品の大きさや種類などに応じて適宜設定できる。
側スリット8の形状は、区画部材3の側嵌合部32が嵌合する形状であれば特に限定されず、例えば側壁部21の上縁21aから斜め下方へ延びた形状であってもよい。
【0056】
内スリット5及び内嵌合部33は共に省略されてもよく、底スリット6及び底嵌合部34も共に省略されてもよい。また、側スリット8の切り欠き8aや底スリット6の貫通孔6aも省略可能である。これらの構成を省略すれば、壁部材2及び区画部材3の形状をより簡素化できる。
壁部材2及び区画部材3に適用される素材は、上記のようなプラスチック段ボールに限定されず、プラスチック製シート間にハニカム状または円柱状の中空構造を有するプラスチックボードや、内部に独立気泡構造を持たせたプラスチック製発泡シートや、紙製の段ボール、厚紙といった紙材をはじめとした様々な素材を適用できる。壁部材2及び区画部材3には、互いに異なる素材が適用されてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 仕切体
2,2′ 壁部材
3 区画部材
4,4′ 壁シート
5 内スリット
6 底スリット
6a 貫通孔
7 差込孔
8 側スリット
8a 切り欠き
9 折り畳みコンテナ
10 収容空間
11 小空間
21 側壁部
21a 上縁(一側の端縁)
21b 下縁(他側の端縁)
23 底壁部
24 内板部(側板部)
24a 上縁(一側の端縁)
24b 下縁(他側の端縁)
25 外板部(側板部)
25a 上縁(一側の端縁)
25b 下縁(他側の端縁)
26 スペーサ片
27 差込片
31 仕切部
31a 上縁
31b 下縁
32 側嵌合部
33 内嵌合部
34 底嵌合部
35 インデックス部
36 凹部
41 側パネル
43 底パネル
44 内パネル
45 外パネル
46 帯片
47 切れ込み
D1 縦方向
D2 横方向
HD 高さ方向
LD 長さ方向
S 隙間
To プラスチック段ボールの厚み寸法
Ts 隙間Sの厚み寸法
WD 幅方向