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特許7521252作業車の制御装置、制御方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】作業車の制御装置、制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04Q 9/00 20060101AFI20240717BHJP
   B66C 13/40 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
H04Q9/00 301B
B66C13/40 D
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020078891
(22)【出願日】2020-04-28
(65)【公開番号】P2021175123
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-01-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000148759
【氏名又は名称】株式会社タダノ
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100131152
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100145229
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 雅則
(74)【代理人】
【識別番号】100201352
【弁理士】
【氏名又は名称】豊田 朝子
(72)【発明者】
【氏名】河合 清孝
(72)【発明者】
【氏名】三木 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】白川 友理
【審査官】前田 健人
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-163115(JP,A)
【文献】特開2009-260934(JP,A)
【文献】特開2020-053833(JP,A)
【文献】特表2015-512690(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04Q 9/00
B66C 13/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末と無線で通信する無線通信部と、
前記無線通信部で無線通信する前記携帯端末に排他的に操作権を付与する操作権管理部と、
前記操作権が付与された前記携帯端末から送信される、作業車を操作する指令を受け付け、受け付けた指令に基づいて、前記作業車の制御を行う制御部と、
を備え、
前記操作権管理部は、
前記携帯端末から該携帯端末を識別するIDを含む操作開始要求が送信された場合に、前記作業車の表示装置または前記操作開始要求を送信した携帯端末の表示装置に、特定の操作を促す指示情報を表示し、
前記作業車の表示装置に前記指示情報を表示した場合は、前記携帯端末から前記特定の操作が送信されたときから該携帯端末に操作権を付与し、あるいは、前記携帯端末の表示装置に前記指示情報を表示した場合は、前記作業車の操作部に前記特定の操作が入力されたときから該携帯端末に操作権を付与し、
1台の携帯端末に操作権を付与している間は、他の携帯端末に操作権を付与せず、
第1の携帯端末に操作権を付与している状態で、
前記操作権管理部は、
第2の携帯端末から該第2の携帯端末を識別するIDを含む操作開始要求を受信した場合に、前記作業車の表示装置または前記操作開始要求を送信した第2の携帯端末の表示装置に、特定の操作を促す指示情報を表示し、
前記作業車の表示装置に前記指示情報を表示した場合は、前記第2の携帯端末から前記特定の操作が送信されたときから該第2の携帯端末に準操作権を付与し、あるいは、前記第2の携帯端末の表示装置に前記指示情報を表示した場合は、前記作業車の操作部に前記特定の操作が入力されたときから該第2の携帯端末に準操作権を付与し、
前記制御部は、前記準操作権が付与された前記第2の携帯端末から所定の指令が送信された場合に、該指令に基づいて前記作業車の制御を行い、前記第2の携帯端末から前記所定の指令以外の指令が送信された場合は、前記送信された指令に基づく前記作業車の制御を行わない
作業車の制御装置。
【請求項2】
前記操作権管理部は、
前記準操作権を付与した前記第2の携帯端末の、所定の条件に基づく順位を記憶し、
前記操作権が付与された前記第1の携帯端末から前記操作権が移譲された場合に、前記所定の条件に基づく順位の最も高い前記第2の携帯端末に前記操作権を付与する、
請求項に記載の作業車の制御装置。
【請求項3】
前記所定の条件は、前記準操作権を付与した時刻の早い順である、請求項に記載の作業車の制御装置。
【請求項4】
前記所定の条件は、前記作業車からの距離が近い順である、請求項に記載の作業車の制御装置。
【請求項5】
作業車の制御装置が行う制御方法であって、
携帯端末と無線で通信する無線通信ステップと、
前記無線通信ステップで無線通信する前記携帯端末に排他的に操作権を付与する操作権管理ステップと、
前記操作権が付与された前記携帯端末から送信される、作業車を操作する指令を受け付け、受け付けた指令に基づいて、前記作業車の制御を行う制御ステップと、
を備え、
前記操作権管理ステップでは、
前記携帯端末から該携帯端末を識別するIDを含む操作開始要求が送信された場合に、前記作業車の表示装置または前記操作開始要求を送信した携帯端末の表示装置に、特定の操作を促す指示情報を表示し、
前記作業車の表示装置に前記指示情報を表示した場合は、前記携帯端末から前記特定の操作が送信されたときから該携帯端末に操作権を付与し、あるいは、前記携帯端末の表示装置に前記指示情報を表示した場合は、前記作業車の操作部に前記特定の操作が入力されたときから該携帯端末に操作権を付与し、
1台の携帯端末に操作権を付与している間は、他の携帯端末に操作権を付与せず、
第1の携帯端末に操作権を付与している状態で、
前記操作権管理ステップでは、
第2の携帯端末から該第2の携帯端末を識別するIDを含む操作開始要求を受信した場合に、前記作業車の表示装置または前記操作開始要求を送信した第2の携帯端末の表示装置に、特定の操作を促す指示情報を表示し、
前記作業車の表示装置に前記指示情報を表示した場合は、前記第2の携帯端末から前記特定の操作が送信されたときから該第2の携帯端末に準操作権を付与し、あるいは、前記第2の携帯端末の表示装置に前記指示情報を表示した場合は、前記作業車の操作部に前記特定の操作が入力されたときから該第2の携帯端末に準操作権を付与し、
前記制御ステップでは、前記準操作権が付与された前記第2の携帯端末から所定の指令が送信された場合に、該指令に基づいて前記作業車の制御を行い、前記第2の携帯端末から前記所定の指令以外の指令が送信された場合は、前記送信された指令に基づく前記作業車の制御を行わない
作業車の制御方法。
【請求項6】
携帯端末から無線通信で送信される、作業車を操作する指令に基づいて、前記作業車を制御するコンピュータを
前記携帯端末に排他的に操作権を付与する操作権管理部、および
前記操作権が付与された前記携帯端末から送信される、作業車を操作する指令を受け付け、受け付けた指令に基づいて、前記作業車を制御する制御部、
として機能させ、
前記操作権管理部は、
前記携帯端末から該携帯端末を識別するIDを含む操作開始要求が送信された場合に、前記作業車の表示装置または前記操作開始要求を送信した携帯端末の表示装置に、特定の操作を促す指示情報を表示し、
前記作業車の表示装置に前記指示情報を表示した場合は、前記携帯端末から前記特定の操作が送信されたときから該携帯端末に操作権を付与し、あるいは、前記携帯端末の表示装置に前記指示情報を表示した場合は、前記作業車の操作部に前記特定の操作が入力されたときから該携帯端末に操作権を付与し、
1台の携帯端末に操作権を付与している間は、他の携帯端末に操作権を付与せず、
第1の携帯端末に操作権を付与している状態で、
前記操作権管理部は、
第2の携帯端末から該第2の携帯端末を識別するIDを含む操作開始要求を受信した場合に、前記作業車の表示装置または前記操作開始要求を送信した第2の携帯端末の表示装置に、特定の操作を促す指示情報を表示し、
前記作業車の表示装置に前記指示情報を表示した場合は、前記第2の携帯端末から前記特定の操作が送信されたときから該第2の携帯端末に準操作権を付与し、あるいは、前記第2の携帯端末の表示装置に前記指示情報を表示した場合は、前記作業車の操作部に前記特定の操作が入力されたときから該第2の携帯端末に準操作権を付与し、
前記制御部は、前記準操作権が付与された前記第2の携帯端末から所定の指令が送信された場合に、該指令に基づいて前記作業車の制御を行い、前記第2の携帯端末から前記所定の指令以外の指令が送信された場合は、前記送信された指令に基づく前記作業車の制御を行わない
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末からの作業車の操作を可能にする制御装置、制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
作業者が携帯する携帯端末から機器を操作する指令を入力して、機器を遠隔で操作することが行われている。例えば、特許文献1には、複数のリモコンによって操作可能な多リモコン式のウインチ装置が記載されている。特許文献1のウインチ装置は、複数のリモコンの各々から送信されてくる無線信号に含まれるリモコン固有の識別番号を認識し、事前に登録された識別番号を含む無線信号のみを受け付けるとともに、複数のリモコンから送信されてくる無線信号のうち、所定条件を満たした無線信号を送信したリモコンを優先リモコンとして認識し、他のリモコンを非優先リモコンとして認識することで、当該優先リモコンから送信されてくる無線信号のみを受け付けるように構成されている。
【0003】
特許文献2には、別個の位置の複数の作業者からの指令ワードで制御されるボイスコントロールクレーンが記載されている。特許文献2のボイスコントロールクレーンは、別個の送信チャンネルで指令ワードを送信する複数の携帯無線局と、これに対応してクレーン側に設けられた複数の固定無線局と、前記移動無線局からの指令ワードで特定の固定無線局からの指令ワードで特定の固定無線局からの信号を択一的に切替入力する切替器を有する制御装置を備え、選択した1個の移動無線局からの指令ワードにより走行式クレーンのボイスコントロールを行う。
【0004】
また、特許文献3には、プラント監視システムにおいてアクセスポイントから携帯端末までの距離を計測し、所定の距離の範囲で操作を可能とし、所定の距離の範囲でなければ操作できないようにすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-235996号公報
【文献】特開昭62-291297号公報
【文献】特開2016-42247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献の遠隔操作システムでは、操作できる携帯端末は事前に識別番号が操作する対象の機器に登録されている。複数の操作対象と複数の携帯端末がある場合、複数の携帯端末のうち、どれが目的の操作対象に登録されているかを判断するのが煩雑である。また、1つの現場で複数の作業車が稼働する場合、目的とは異なる作業車に登録されている携帯端末を使用して、誤って操作する可能性がある。さらに、1台の作業車に複数の携帯端末が登録されている場合、操作の競合が発生する可能性がある。
【0007】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたもので、作業車に予め登録された端末に限らず、汎用の携帯端末からの作業車の操作を可能にし、かつ、作業車の操作の競合を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の観点に係る作業車の制御装置は、
携帯端末と無線で通信する無線通信部と、
前記無線通信部で無線通信する前記携帯端末に排他的に操作権を付与する操作権管理部と、
前記操作権が付与された前記携帯端末から送信される、作業車を操作する指令を受け付け、受け付けた指令に基づいて、前記作業車の制御を行う制御部と、
を備え、
前記操作権管理部は、
前記携帯端末から該携帯端末を識別するIDを含む操作開始要求が送信された場合に、前記作業車の表示装置または前記操作開始要求を送信した携帯端末の表示装置に、特定の操作を促す指示情報を表示し、
前記作業車の表示装置に前記指示情報を表示した場合は、前記携帯端末から前記特定の操作が送信されたときから該携帯端末に操作権を付与し、あるいは、前記携帯端末の表示装置に前記指示情報を表示した場合は、前記作業車の操作部に前記特定の操作が入力されたときから該携帯端末に操作権を付与し、
1台の携帯端末に操作権を付与している間は、他の携帯端末に操作権を付与せず、
第1の携帯端末に操作権を付与している状態で、
前記操作権管理部は、
第2の携帯端末から該第2の携帯端末を識別するIDを含む操作開始要求を受信した場合に、前記作業車の表示装置または前記操作開始要求を送信した第2の携帯端末の表示装置に、特定の操作を促す指示情報を表示し、
前記作業車の表示装置に前記指示情報を表示した場合は、前記第2の携帯端末から前記特定の操作が送信されたときから該第2の携帯端末に準操作権を付与し、あるいは、前記第2の携帯端末の表示装置に前記指示情報を表示した場合は、前記作業車の操作部に前記特定の操作が入力されたときから該第2の携帯端末に準操作権を付与し、
前記制御部は、前記準操作権が付与された前記第2の携帯端末から所定の指令が送信された場合に、該指令に基づいて前記作業車の制御を行い、前記第2の携帯端末から前記所定の指令以外の指令が送信された場合は、前記送信された指令に基づく前記作業車の制御を行わない
【0010】
好ましくは、
前記操作権管理部は、
前記準操作権を付与した前記第2の携帯端末の、所定の条件に基づく順位を記憶し、
前記操作権が付与された前記第1の携帯端末から前記操作権が移譲された場合に、前記所定の条件に基づく順位の最も高い前記第2の携帯端末に前記操作権を付与する。
【0011】
好ましくは、前記所定の条件は、前記準操作権を付与した時刻の早い順である。
【0012】
あるいは、前記所定の条件は、前記作業車からの距離が近い順でもよい。
【0013】
本発明の第2の観点に係る作業車の制御方法は、
作業車の制御装置が行う制御方法であって、
携帯端末と無線で通信する無線通信ステップと、
前記無線通信ステップで無線通信する前記携帯端末に排他的に操作権を付与する操作権管理ステップと、
前記操作権が付与された前記携帯端末から送信される、作業車を操作する指令を受け付け、受け付けた指令に基づいて、前記作業車の制御を行う制御ステップと、
を備え、
前記操作権管理ステップでは、
前記携帯端末から該携帯端末を識別するIDを含む操作開始要求が送信された場合に、前記作業車の表示装置または前記操作開始要求を送信した携帯端末の表示装置に、特定の操作を促す指示情報を表示し、
前記作業車の表示装置に前記指示情報を表示した場合は、前記携帯端末から前記特定の操作が送信されたときから該携帯端末に操作権を付与し、あるいは、前記携帯端末の表示装置に前記指示情報を表示した場合は、前記作業車の操作部に前記特定の操作が入力されたときから該携帯端末に操作権を付与し、
1台の携帯端末に操作権を付与している間は、他の携帯端末に操作権を付与せず、
第1の携帯端末に操作権を付与している状態で、
前記操作権管理ステップでは、
第2の携帯端末から該第2の携帯端末を識別するIDを含む操作開始要求を受信した場合に、前記作業車の表示装置または前記操作開始要求を送信した第2の携帯端末の表示装置に、特定の操作を促す指示情報を表示し、
前記作業車の表示装置に前記指示情報を表示した場合は、前記第2の携帯端末から前記特定の操作が送信されたときから該第2の携帯端末に準操作権を付与し、あるいは、前記第2の携帯端末の表示装置に前記指示情報を表示した場合は、前記作業車の操作部に前記特定の操作が入力されたときから該第2の携帯端末に準操作権を付与し、
前記制御ステップでは、前記準操作権が付与された前記第2の携帯端末から所定の指令が送信された場合に、該指令に基づいて前記作業車の制御を行い、前記第2の携帯端末から前記所定の指令以外の指令が送信された場合は、前記送信された指令に基づく前記作業車の制御を行わない
【0014】
本発明の第3の観点に係るプログラムは、
携帯端末から無線通信で送信される、作業車を操作する指令に基づいて、前記作業車を
制御するコンピュータを
前記携帯端末に排他的に操作権を付与する操作権管理部、および
前記操作権が付与された前記携帯端末から送信される、作業車を操作する指令を受け付
け、受け付けた指令に基づいて、前記作業車を制御する制御部、
として機能させ、
前記操作権管理部は、
前記携帯端末から該携帯端末を識別するIDを含む操作開始要求が送信された場合に、
前記作業車の表示装置または前記操作開始要求を送信した携帯端末の表示装置に、特定の
操作を促す指示情報を表示し、
前記作業車の表示装置に前記指示情報を表示した場合は、前記携帯端末から前記特定の
操作が送信されたときから該携帯端末に操作権を付与し、あるいは、前記携帯端末の表示
装置に前記指示情報を表示した場合は、前記作業車の操作部に前記特定の操作が入力され
たときから該携帯端末に操作権を付与し、
1台の携帯端末に操作権を付与している間は、他の携帯端末に操作権を付与せず、
第1の携帯端末に操作権を付与している状態で、
前記操作権管理部は、
第2の携帯端末から該第2の携帯端末を識別するIDを含む操作開始要求を受信した場合に、前記作業車の表示装置または前記操作開始要求を送信した第2の携帯端末の表示装置に、特定の操作を促す指示情報を表示し、
前記作業車の表示装置に前記指示情報を表示した場合は、前記第2の携帯端末から前記特定の操作が送信されたときから該第2の携帯端末に準操作権を付与し、あるいは、前記第2の携帯端末の表示装置に前記指示情報を表示した場合は、前記作業車の操作部に前記特定の操作が入力されたときから該第2の携帯端末に準操作権を付与し、
前記制御部は、前記準操作権が付与された前記第2の携帯端末から所定の指令が送信された場合に、該指令に基づいて前記作業車の制御を行い、前記第2の携帯端末から前記所定の指令以外の指令が送信された場合は、前記送信された指令に基づく前記作業車の制御を行わない
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、携帯端末からの操作開始要求に対して、作業車と携帯端末の一方に特定の操作を促す指示情報を表示し、他方から特定の操作を入力させて操作権を付与し、1台の携帯端末に操作権を付与している間は他の携帯端末に操作権を付与しないので、作業車に予め登録された端末に限らず、汎用の携帯端末からの作業車の操作を可能にし、かつ、作業車の操作の競合を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施の形態に係る制御装置の構成を示すブロック図
図2】実施の形態に係る作業車と携帯端末の例を示す概念図
図3】実施の形態1に係る操作権付与の動作の例を示すフローチャート
図4】実施の形態1に係る制御の動作の例を示すフローチャート
図5】実施の形態1の操作権確認の動作の例を示すフローチャート
図6】本発明の実施の形態2に係る操作権付与の動作の例を示すフローチャート
図7】実施の形態2に係る制御部の動作の例を示すフローチャート
図8】実施の形態2に係る操作権確認の動作の例を示すフローチャート
図9】実施の形態に係る制御装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお図中、同一または同等の部分には同一の符号を付す。
【0018】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態に係る制御装置の構成を示すブロック図である。制御装置1は作業車に備えられ、携帯端末2と無線通信する。制御装置1は、無線通信部11、操作権管理部12および制御部13を備え、作業車の操作部14および表示装置15と接続されている。制御装置1は作業車の駆動装置につながっており、携帯端末2から無線通信で送信される、作業車を操作する指令に基づいて作業車の制御を行う。
【0019】
図2は、実施の形態に係る作業車と携帯端末の例を示す概念図である。作業車3は、例えば、ラフテレーンクレーンである。作業車3としては、その他、積載型トラッククレーン、レッカー型クレーン、オールテレーンクレーンなどの移動式クレーン、高所作業車、はしご車、または、ポンプ車など、携帯端末2で遠隔操作可能な作業用の車両である。
【0020】
携帯端末2は、表示装置を備え、タッチパネルまたは押しボタンスイッチで操作または指令を入力できる。あるいは携帯端末2は、作業者の発話を音声認識する機能を備え、音声で操作または指令を入力することができる。携帯端末2は入力された操作または指令を、無線通信で作業車3の制御装置1に送信できる。携帯端末2として、例えば、作業車を制御するアプリケーションがインストールされた汎用のスマートフォンを用いることができる。
【0021】
制御装置1は、作業車3に備えられ、操作権が付与された携帯端末2から無線通信で送信される指令に基づいて、作業車3の制御を行う。作業車3の制御は、例えば、アウトリガーの張り出し、フロートの接地、ブームの起伏、伸縮および旋回、ならびに、フックの巻上げおよび巻下げなどの操作の制御である。作業車3を遠隔操作しうる携帯端末2は1台に限らず、複数の携帯端末2で作業車3を操作しうる。また、携帯端末2は作業車3ごとの専用ではなく、1台の携帯端末2で異なる作業車3を遠隔操作することができる。
【0022】
図1に示すように、制御装置1の無線通信部11は、無線通信、例えば無線LANで携帯端末2と相互に通信する。携帯端末2との無線通信には、無線LANに限らず、例えば、Bluetooth(登録商標)またはZigBee(登録商標)などを用いることができる。
【0023】
操作権管理部12は、無線通信部11で無線通信する携帯端末2に排他的に操作権を付与する。操作権を付与される携帯端末2は同時には1台である。操作権管理部12は、1台の携帯端末2に操作権を付与している間は、他の携帯端末2に操作権を付与しない。制御部13は、操作権が付与された携帯端末2から送信される、作業車3を操作する指令を受け付け、受け付けた指令に基づいて、作業車3の制御を行う。操作権管理部12は、携帯端末2への操作権の付与を以下のように行う。
【0024】
作業者は、携帯端末2から制御する目的の作業車3を識別する符号を指定して、携帯端末2を識別するIDを含む操作開始要求を作業車3の制御装置1に送信する。作業車3を識別する符号は、例えば、作業車3に一意に割り当てられている番号もしくは記号である。作業車3を識別する符号は、バーコードもしくはマトリクス型二次元コードで作業車3に表示され、携帯端末2のカメラでバーコードもしくはマトリクス型二次元コードを読み取る方法で指定することもできる。無線通信部11は、携帯端末2から送信された操作開始要求を操作権管理部12に送る。
【0025】
操作権管理部12は、携帯端末2を識別するIDを含む操作開始要求が携帯端末2から送信された場合に、作業車3の表示装置15または操作開始要求を送信した携帯端末2の表示装置に、特定の操作を促す指示情報を表示する。特定の操作は、例えば、ワンタイムのパスワード、または、作業車3の1以上の操作の組み合わせもしくは順列である。指示情報は、作業車3の表示装置15に表示される場合は、特定の操作を携帯端末2から入力することを示し、携帯端末2の表示装置に表示される場合は、特定の操作を作業車3の操作部14から入力することを示す。
【0026】
作業車3の1以上の操作の組み合わせまたは順列は、作業車3がクレーンの場合、例えば、ブーム上げ、ブーム右旋回、ブーム伸ばし、ブーム下げなどの指令を同時に入力すること、または、指示情報に示される操作の指令を表示された順序で入力することである。指示情報の特定の操作が作業車3の操作の組み合わせまたは順列であっても、入力された指令は実際には実行されない。制御装置1は、入力された操作の指令が、指示情報と一致するか否かを判別する。
【0027】
指示情報の表示は、視覚表示に限らない。例えば、視覚表示に代えて、または視覚表示に加えて、音声で指示情報を表示してもよい。音声で指示情報を表示する場合、表示装置はスピーカを含む。指示情報を携帯端末2に表示する場合は、視覚表示または音声表示に加えて、携帯端末2を振動させて注意を促してもよい。また、指示情報を作業車3の表示装置15に表示する場合に、視覚表示または音声表示に加えて、ランプを点滅させたり、ブザーを鳴動させたりしてもよい。
【0028】
制御装置1は、指示情報を作業車3の表示装置15に表示した場合に、表示装置15に表示された指示情報に示される特定の操作を携帯端末2から入力すべきことを、携帯端末2に表示してもよい。例えば、携帯端末2に特定の操作を入力する画面を表示させることができる。制御装置1は、入力する画面の表示に代えて、または、入力する画面の表示に加えて、特定の操作を携帯端末2から入力すべきことを携帯端末2から音声で出力してもよい。
【0029】
制御装置1はまた、指示情報を携帯端末2の表示装置に表示した場合に、携帯端末2に表示された指示情報に示される特定の操作を、作業車3の操作部14から入力すべきことを、作業車3の表示装置15に表示してもよい。例えば、表示装置15に特定の操作を入力する画面を表示させることができる。制御装置1は、入力する画面の表示に代えて、または、入力する画面の表示に加えて、特定の操作を操作部14から入力すべきことを表示装置15から音声で出力してもよい。
【0030】
作業車3の表示装置15に指示情報が表示された場合、作業者は、携帯端末2から特定の操作を入力し、携帯端末2は入力された操作の情報を制御装置1に送信する。操作権管理部12は、携帯端末2から特定の操作が送信されたときから、操作開始要求を送信し、かつ、特定の操作を送信した携帯端末2に操作権を付与する。
【0031】
携帯端末2の表示装置に指示情報が表示された場合、作業者は、作業車3の操作部14に特定の操作を入力する。操作権管理部12は、操作部14に特定の操作が入力されたときから、操作権管理部12が指示情報を送信した携帯端末2に操作権を付与する。
【0032】
図3は、実施の形態1に係る操作権付与の動作の例を示すフローチャートである。操作権管理部12は、制御装置1が起動したときから、操作権付与の処理を開始する。操作権管理部12は、携帯端末2から操作開始要求が送信されるのを待機する(ステップS10、ステップS11;N)。携帯端末2から操作開始要求が送信されると(ステップS11;Y)、すでに操作権を付与した端末があるか否かを判別する(ステップS12)。
【0033】
操作権を付与した端末がなければ(ステップS12;N)、特定の操作を促す指示情報を作業車3の表示装置15に表示するか、または操作開始要求を送信した携帯端末2に送信して、携帯端末2の表示装置に表示させる(ステップS13)。そして、作業車3の表示装置15に指示情報を表示した場合は、操作開始要求を送信した携帯端末2からの受信を待機し、携帯端末2の表示装置に表示した場合は、操作部14からの入力を待機する(ステップS14)。
【0034】
携帯端末2からの受信、または、操作部14からの入力が特定の操作でなければ(ステップS15;N)、改めて指示情報を表示または送信する(ステップS13)。携帯端末2からの受信、または、操作部14からの入力が特定の操作であれば(ステップS15;Y)、操作開始要求を送信した携帯端末2に操作権を付与し、操作権を付与した携帯端末2のIDを、操作権付与IDとして記憶する(ステップS16)。制御装置1は同時に、操作権を付与した携帯端末2に、操作権付与を通知し(ステップS16)、ステップS10に戻る。
【0035】
一方、すでに操作権を付与した端末があれば(ステップS12;Y)、すなわち、操作権付与IDを記憶している場合は、すでに操作権を付与した端末があることを、操作開始要求を送信した携帯端末2に送信し(ステップS17)、ステップS10に戻る。
【0036】
以上のようにして、作業車3に予め携帯端末2を登録しておかなくても、操作権管理部12は携帯端末2に排他的に操作権を付与することができる。また、特定の操作を促す指示情報が作業車3と携帯端末2の一方に表示され、他方から特定の操作が入力されたときに操作権が付与されるので、作業者は作業車3と携帯端末2との対応を誤って認識するおそれがない。
【0037】
図4は、実施の形態1に係る制御の動作の例を示すフローチャートである。制御装置1は、起動されたときに作業車3の制御を開始する。制御装置1は、携帯端末2から操作指令が送信されるのを待機する(ステップS20、ステップS21;N)。制御装置1は、操作指令を受信すると(ステップS21;Y)、操作指令を送信した携帯端末2に操作権があるか否かを判別する(ステップS22)。操作権があれば、すなわち、操作指令を送信した携帯端末2のIDが、記憶されている操作権付与IDに一致すれば(ステップS22;Y)、制御部13は指令された操作を実行する(ステップS23)。
【0038】
操作権がなければ(ステップS22;N)、制御部13は指令された操作を実行せず、制御装置1は操作指令を送信した携帯端末2に操作不可を送信する(ステップS24)。操作権がないと判定するのは、操作指令を送信した携帯端末2のIDが、記憶されている操作権付与IDに一致しないか、操作権付与IDが記憶されていない場合である。操作権がある場合および操作権がない場合のいずれもステップS20に戻って、次の操作指令の受信を待機する。
【0039】
以上のように、操作権は1台の携帯端末2にしか付与されず、操作権のない携帯端末2から送信された操作指令は実行されないので、作業車3の操作の競合を防止することができる。
【0040】
操作権が付与されている携帯端末2から、ログアウトすなわち操作終了が送信されたときに、制御装置1は操作権付与IDを記憶から消去して、新たな操作権付与に備える。操作終了が送信される以外にも、携帯端末2とは無線で通信するので、携帯端末2が通信圏外に移動したり、携帯端末2の電源が途絶えたり、または、故障する可能がある。そのような場合に備えて、制御装置1は、操作権を付与している携帯端末2との通信を定期的に確認する。
【0041】
図5は、実施の形態1の操作権確認の動作の例を示すフローチャートである。制御装置1は、携帯端末2に操作権を付与したときに、操作権確認の処理を起動する。制御装置1は、操作権を付与している携帯端末2に、定期的に確認要求を送信する(ステップS30)。携帯端末2は、確認要求を受信すると、自動的に応答を返す。制御装置1が確認要求を送信してから一定時間内に、携帯端末2から応答があれば(ステップS31;Y)、無応答回数を0にリセットして(ステップS32)、ステップS30に戻る。携帯端末2が制御装置1からの通信圏内にあって、無線通信ができる状態にあれば、無応答回数は0にリセットされる。
【0042】
確認要求を送信してから一定時間以内に応答を受信しなければ(ステップS31;N)、無応答回数をインクリメントする(ステップS33)。そして、無応答回数が規定数を超えているか否か判別する(ステップS34)。規定数は0以上の整数であって、作業車3と作業の種類に応じて定める。無応答回数が規定数を超えていなければ(ステップS34;N)、ステップS30に戻る。無応答回数が規定数を超えている場合は(ステップS34;Y)、制御装置1は操作権付与IDをリセット、すなわち、操作権付与IDを記憶から消去して(ステップS35)、操作権確認処理を終了する。無応答回数が規定数を超えているのは、携帯端末2の連続する無応答時間が規定の時間を超えていることでもある。
【0043】
操作権をリセットするのは、操作権が付与されている携帯端末2から操作終了が送信された場合と、無応答回数が規定数を超えた場合には限らない。例えば、操作権が付与されている携帯端末2から最後に操作指令を受信したのち規定の時間以上、操作指令を受信しなかった場合に、制御装置1は操作権付与IDを記憶から消去して、新たな操作権付与に備えてもよい。このようにすれば、操作権が付与されている携帯端末2で、ログアウトし忘れる場合に対処できる。
【0044】
実施の形態2.
図6は、本発明の実施の形態2に係る操作権付与の動作の例を示すフローチャートである。実施の形態2では、操作権を付与している携帯端末2以外の携帯端末2からの作業車3の所定の操作、例えば緊急停止の操作を可能にする。
【0045】
操作権管理部12は、制御装置1が起動したときから、操作権付与の処理を開始する。操作権管理部12は、携帯端末2から操作開始要求が送信されるのを待機する(ステップS40、ステップS41;N)。携帯端末2から操作開始要求が送信されると(ステップS41;Y)、特定の操作を促す指示情報を作業車3の表示装置15に表示するか、または操作開始要求を送信した携帯端末2に送信して、携帯端末2の表示装置に表示させる(ステップS42)。そして、作業車3の表示装置15に指示情報を表示した場合は、携帯端末2からの受信を待機し、携帯端末2の表示装置に表示した場合は、操作部14からの入力を待機する(ステップS43)。
【0046】
携帯端末2からの受信、または、操作部14からの入力が特定の操作でなければ(ステップS44;N)、改めて指示情報を表示または送信する(ステップS42)。携帯端末2からの受信、または、操作部14からの入力が特定の操作であれば(ステップS44;Y)、すでに操作権を付与した端末があるか否かを判別する(ステップS45)。操作権を付与した端末がなければ(ステップS45;N)、操作開始要求を送信した携帯端末2に操作権を付与し、操作権を付与した携帯端末2のIDを、操作権付与IDとして記憶する(ステップS46)。制御装置1は同時に、操作権を付与した携帯端末2に、操作権付与を通知し(ステップS46)、ステップS40に戻る。
【0047】
一方、すでに操作権を付与した端末があれば(ステップS45;Y)、すなわち、操作権付与IDを記憶している場合は、操作開始要求を送信した携帯端末2に準操作権を付与し、その携帯端末2のIDを準操作権付与IDとしてリストに追加する(ステップS47)。そして、操作開始要求を送信した携帯端末2に準操作権を付与したことを通知して(ステップS47)、ステップS40に戻る。
【0048】
準操作権を付与する携帯端末2は、1台に限らず、2台以上の携帯端末2に準操作権を付与することができる。準操作権付与IDのリストには、準操作権を付与した時刻の順に準操作権付与IDが並んで記憶されている。
【0049】
図7は、実施の形態2に係る制御部の動作の例を示すフローチャートである。制御装置1は、起動されたときに作業車3の制御を開始する。制御装置1は、携帯端末2から操作指令が送信されるのを待機する(ステップS50、ステップS51;N)。制御装置1は、操作指令を受信すると(ステップS51;Y)、操作指令を送信した携帯端末2に操作権があるか否かを判別する(ステップS52)。操作権があれば、すなわち、操作指令を送信した携帯端末2のIDが、記憶されている操作権付与IDに一致すれば(ステップS52;Y)、指令が操作権の移譲か否かを判別する(ステップS54)。
【0050】
操作指令が操作権の移譲である場合(ステップS54;Y)、操作権管理部12は操作権付与IDをリセットして、準操作権付与IDリストの順位1位の準操作権付与IDの携帯端末2に操作権を付与する。そして、操作権を付与した携帯端末2のIDを操作権付与IDとしてとして記憶する(ステップS54)。このとき、操作権を移譲した携帯端末2に準操作権を付与してもよい。その場合、操作権を移譲した携帯端末2のIDを準操作権付与IDリストの順位1位にしてもよい。あるいは、準操作権付与IDリストの順位2位以下を繰り上げて、操作権を移譲した携帯端末2のIDを準操作権付与IDリストの最後に追加してもよい。制御装置1は、操作権を付与した携帯端末2に操作権を付与したことを通知し(ステップS54)、ステップS50に戻って次の操作指令を待機する。
【0051】
ステップS53で、操作指令が操作権移譲でなく作業車3の操作の指令である場合(ステップS53;N)、制御部13は指令された操作を実行し(ステップS55)、ステップS50に戻って次の操作指令を待機する。
【0052】
ステップS52で、操作指令を送信した携帯端末2に操作権がない場合は(ステップS52;N)、その携帯端末2に準操作権があるか否かを判別する(ステップS56)。すなわち、操作指令を送信した携帯端末2のIDが準操作権付与IDのリストに記憶されているか否かを判別する。携帯端末2に準操作権があれば(ステップS56;Y)、送信された操作指令が許可された操作であるか否かを判別する(ステップS57)。許可された操作とは、例えば、作業車3の動作の緊急停止である。許可された操作は、予め制御装置1に記憶されている。
【0053】
送信された操作指令が許可された操作である場合(ステップS57;Y)、制御部13は指令された操作を実行し(ステップS55)、ステップS50に戻って次の操作指令を待機する。
【0054】
指令された操作が許可されていない場合(ステップS57;N)、または、操作指令を送信した携帯端末2に操作権も準操作権もなければ(ステップS56;N)、制御部13は指令された操作を実行せず、制御装置1は操作指令を送信した携帯端末2に操作不可を送信する(ステップS58)。準操作権がないと判定するのは、操作指令を送信した携帯端末2のIDが、記憶されている準操作権付与IDのいずれにも一致しないか、準操作権付与IDが記憶されていない場合である。制御装置1は操作不可を通知したのち、ステップS50に戻って次の操作指令を待機する。
【0055】
準操作権が付与されている携帯端末2から、ログアウトすなわち操作終了が送信されたときに、制御装置1はログアウトした携帯端末2の準操作権付与IDをリストから消去する。準操作権が付与されている携帯端末2が通信圏外に移動するなどの場合に備えて、制御装置1は、準操作権を付与している携帯端末2ごとに、携帯端末2との通信を定期的に確認する。制御装置1は、準操作権を付与した携帯端末2に、図5に示す操作権確認と同様の確認処理を行う。その場合、図5のステップS35に相当する処理では、無応答回数が規定数を超えた携帯端末2のIDを、準操作権付与IDのリストから消去し、それ以下の準操作権付与IDを繰り上げる。
【0056】
制御装置1は、確認要求への応答の受信電界強度から携帯端末2までの距離を推定し、準操作権付与IDを、作業車3からの距離が近い順に並べかえてもよい。図7に示す操作権の移譲の処理のステップS54で、操作権を移譲する順位1位を、作業車3からの距離が最も近い準操作権が付与されている携帯端末2としてもよい。携帯端末2がGNSS(Global Navigation Satellite System)からの信号で携帯端末2の位置を計測する機能を有する場合、確認要求への応答に携帯端末2の位置を含めて、携帯端末2の位置によって作業車3からの距離を算出し、準操作権付与IDを、作業車3からの距離が近い順に並べかえてもよい。
【0057】
図8は、実施の形態2に係る操作権確認の動作の例を示すフローチャートである。実施の形態2では、操作権を付与している携帯端末2の操作権確認の処理に、操作権の移譲を含める。すなわち、実施の形態2では、操作権を付与している携帯端末2からの確認要求への無応答回数が規定数を超えること、あるいは、連続する無応答時間が規定時間を超えること、を操作権の移譲に含める。さらに、操作権が付与されている携帯端末2から最後に操作指令を受信したのち規定の時間以上、操作指令を受信しなかった場合を、操作権の移譲に含めてもよい。
【0058】
図8のステップS30~ステップS34は、図5のステップS30~ステップS34と同じである。実施の形態2では、操作権を付与している携帯端末2への確認要求に対する無応答回数が規定数を超えた場合(ステップS34;Y)、制御装置1は操作権付与IDをリセットして、準操作権付与IDリストの順位1位の準操作権付与IDの携帯端末2に操作権を付与する。そして、操作権を付与した携帯端末2のIDを操作権付与IDとしてとして記憶し(ステップS65)、準操作権付与IDリストの順位2位以下の準操作権付与IDを繰り上げる。制御装置1は、操作権を付与した携帯端末2に操作権を付与したことを通知して(ステップS65)、操作権確認処理を終了する。
【0059】
実施の形態2の制御装置1によれば、操作権を付与している携帯端末2以外に、操作開始要求を送信し、かつ、特定の操作が入力された場合に、準操作権を付与する。そして、準操作権を付与している携帯端末2からの作業車3の所定の操作、例えば緊急停止の操作を可能にする。その結果、作業車3の操作の安全性を向上できる。また、操作権を付与している携帯端末2が通信圏外に移動したり故障したりした場合に、準操作権を付与している携帯端末2に操作権を移譲するので、作業車3の操作を速やかに継続することができる。
【0060】
図9は、実施の形態に係る制御装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。制御装置1は、図9に示すように、制御部41、主記憶部42、外部記憶部43、操作部44、表示部45、入出力部46および送受信部47を備える。主記憶部42、外部記憶部43、操作部44、表示部45、入出力部46および送受信部47はいずれも内部バス40を介して制御部41に接続されている。
【0061】
制御部41はCPU(Central Processing Unit)等から構成され、外部記憶部43に記憶されている制御プログラム50に従って、制御装置1の無線通信部11、操作権管理部12、および制御部13の各処理を実行する。
【0062】
主記憶部42はRAM(Random-Access Memory)等から構成され、外部記憶部43に記憶されている制御プログラム50をロードし、制御部41の作業領域として用いられる。
【0063】
外部記憶部43は、フラッシュメモリ、ハードディスク、DVD-RAM(Digital Versatile Disc Random-Access Memory)、DVD-RW(Digital Versatile Disc ReWritable)等の不揮発性メモリから構成され、制御装置1の処理を制御部41に行わせるためのプログラムならびに準操作権を有する携帯端末2に許可する所定の操作などの各データを記憶し、また、制御部41の指示に従って、このプログラムが記憶するデータを制御部41に供給し、制御部41から供給された操作権付与IDおよび準操作権付与IDなどのデータを記憶する。
【0064】
操作部44はキーボードおよびマウスなどのポインティングデバイス等と、キーボードおよびポインティングデバイス等を内部バス40に接続するインタフェース装置から構成されている。操作部44を介して、特定の操作、準操作権を有する携帯端末2に許可する作業車3の操作、および無応答回数を判定する規定数などが入力され、制御部41に供給される。
【0065】
表示部45は、LCD(Liquid Crystal Display)または有機ELディスプレイなどから構成され、指示情報、操作権付与IDおよび準操作権付与IDを表示する。
【0066】
入出力部46は、シリアルインタフェースまたはパラレルインタフェースから構成されている。入出力部46に作業車3の駆動装置4が接続され、制御部41は入出力部46を介して作業車3の制御を行う。
【0067】
送受信部47は、無線通信装置、およびシリアルインタフェースまたはLAN(Local Area Network)インタフェースから構成されている。送受信部47は、無線通信を介して、携帯端末2との通信を行う。また、各種データの更新、または、制御プログラムのダウンロードを行う。
【0068】
図1に示す制御装置1の無線通信部11、操作権管理部12および制御部13の処理は、制御プログラム50が、制御部41、主記憶部42、外部記憶部43、操作部44、表示部45、入出力部46および送受信部47などを資源として用いて処理することによって実行する。
【0069】
なお、各実施の形態で説明した制御装置1の構成は一例であり、任意に変更および修正が可能である。制御装置1の構成は、実施の形態で示したものがすべてではなく、これらに限定されるものではない。例えば、タブレット端末を制御装置1として用いてもよい。また、ネットワーク上に制御装置1を設置して、ネットワークを介して制御装置1の機能を提供してもよい。
【0070】
その他、前記のハードウェア構成やフローチャートは一例であり、任意に変更および修正が可能である。
【0071】
無線通信部11、操作権管理部12、および、制御部13等から構成される制御装置1の操作権付与、作業車3の制御および操作権確認の処理を行う中心となる部分は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。たとえば、前記の動作を実行するためのコンピュータプログラムを、コンピュータが読みとり可能な記録媒体(USBメモリ、CD-ROM、DVD-ROM等)に格納して配布し、当該コンピュータプログラムをコンピュータにインストールすることにより、前記の処理を実行する設定変更装置1を構成してもよい。また、インターネット等の通信ネットワーク上のサーバ装置が有する記憶装置に当該コンピュータプログラムを格納しておき、通常のコンピュータシステムがダウンロード等することで制御装置1を構成してもよい。
【0072】
また、制御装置1を、OS(オペレーティングシステム)とアプリケーションプログラムの分担、またはOSとアプリケーションプログラムとの協働により実現する場合等には、アプリケーションプログラム部分のみを記録媒体や記憶装置に格納してもよい。
【0073】
また、搬送波にコンピュータプログラムを重畳し、通信ネットワークを介して配信することも可能である。たとえば、通信ネットワーク上の掲示板(BBS, Bulletin Board System)に前記コンピュータプログラムを掲示し、ネットワークを介して前記コンピュータプログラムを配信してもよい。そして、このコンピュータプログラムを起動し、OSの制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、前記の処理を実行できるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0074】
1 制御装置
2 携帯端末
3 作業車
4 駆動装置
11 無線通信部
12 操作権管理部
13 制御部
14 操作部
15 表示装置
41 制御部
42 主記憶部
43 外部記憶部
44 操作部
45 表示部
46 入出力部
47 送受信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9