(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】路面異常登録装置及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20240717BHJP
E01C 23/06 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
G08G1/00 J
E01C23/06
(21)【出願番号】P 2020090689
(22)【出願日】2020-05-25
【審査請求日】2023-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】竹内 優太
(72)【発明者】
【氏名】三岡 慈生
(72)【発明者】
【氏名】中野 弘晃
(72)【発明者】
【氏名】梅村 俊郎
(72)【発明者】
【氏名】山本 修司
(72)【発明者】
【氏名】呉晨偉
【審査官】武内 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-076085(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00
E01C 23/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
新規に路面異常を検出した地点を路面異常地点として登録する登録手段と、
前記路面異常地点で前記路面異常が発生している確率を示す値を設定する値設定手段と、
道路を走行する車両が前記路面異常地点を走行した際に、前記車両が備えるセンサによって前記路面異常を検出する検出値に基づいて、前記値設定手段により設定した前記確率を示す値を更新する更新手段と、
前記確率を示す値が所定値以下となった前記路面異常地点について、路面異常地点の登録を解除する解除手段と、
を備え
、
前記値設定手段は、
新規に路面異常を検出した前記路面異常地点について、前記路面異常が発生している確率を示す値として、初期値を設定し、
前記更新手段は、
前記検出値に基づいて前記路面異常が検出された場合、前記確率を示す値に、所定の変化量を加算して増加させ、前記検出値に基づいて前記路面異常が検出されなかった場合、前記確率を示す値から、所定の変化量を減算して減少させる、路面異常登録装置。
【請求項2】
新規に路面異常を検出した地点を路面異常地点として登録する登録手段と、
前記路面異常地点で前記路面異常が発生している確率を示す値を設定する値設定手段と、
道路を走行する車両が前記路面異常地点を走行した際に、前記車両が備えるセンサによって前記路面異常を検出する検出値に基づいて、前記値設定手段により設定した前記確率を示す値を更新する更新手段と、
前記確率を示す値が所定値以下となった前記路面異常地点について、路面異常地点の登録を解除する解除手段と、
を備え、
前記更新手段は、
同一の前記車両が同一の前記路面異常地点を走行した走行回数に応じて、前記確率を示す値の変更量を決定する、路面異常登録装置。
【請求項3】
新規に路面異常を検出した地点を路面異常地点として登録する登録手段と、
前記路面異常地点で前記路面異常が発生している確率を示す値を設定する値設定手段と、
道路を走行する車両が前記路面異常地点を走行した際に、前記車両が備えるセンサによって前記路面異常を検出する検出値に基づいて、前記値設定手段により設定した前記確率を示す値を更新する更新手段と、
前記確率を示す値が所定値以下となった前記路面異常地点について、路面異常地点の登録を解除する解除手段と、
を備え、
前記更新手段は、
前記検出値に基づいて前記路面異常が検出されなかった場合、前記確率を示す値を減少させ、同一の前記車両が同一の前記路面異常地点を走行する走行回数が2回目以降の走行において前記路面異常が検出されなかった場合の前記確率を示す値を減少させる変化量を、初回の走行において前記路面異常が検出されなかった場合の前記確率を示す値を減少させる変化量に比べて減少させる、路面異常登録装置。
【請求項4】
前記更新手段は、
前記走行回数が増加するに従って、前記確率を示す値を減少させる変化量をより減少させる、請求項3に記載の路面異常登録装置。
【請求項5】
路面異常地点を登録するコンピュータプログラムであって、
コンピュータを、
新規に路面異常を検出した地点を前記路面異常地点として登録する登録手段と、
前記路面異常地点で前記路面異常が発生している確率を示す値を設定する値設定手段と、
道路を走行する車両が前記路面異常地点を走行した際に、前記車両が備えるセンサによって前記路面異常を検出する検出値に基づいて、前記値設定手段により設定した前記確率を示す値を更新する更新手段と、
前記確率を示す値が所定値以下となった前記路面異常地点について、路面異常地点の登録を解除する解除手段と、
して機能させ、
前記値設定手段は、
新規に路面異常を検出した前記路面異常地点について、前記路面異常が発生している確率を示す値として、初期値を設定し、
前記更新手段は、
前記検出値に基づいて前記路面異常が検出された場合、前記確率を示す値に、所定の変化量を加算して増加させ、前記検出値に基づいて前記路面異常が検出されなかった場合、前記確率を示す値から、所定の変化量を減算して減少させる、コンピュータプログラム。
【請求項6】
路面異常地点を登録するコンピュータプログラムであって、
コンピュータを、
新規に路面異常を検出した地点を前記路面異常地点として登録する登録手段と、
前記路面異常地点で前記路面異常が発生している確率を示す値を設定する値設定手段と、
道路を走行する車両が前記路面異常地点を走行した際に、前記車両が備えるセンサによって前記路面異常を検出する検出値に基づいて、前記値設定手段により設定した前記確率を示す値を更新する更新手段と、
前記確率を示す値が所定値以下となった前記路面異常地点について、路面異常地点の登録を解除する解除手段と、
して機能させ、
前記更新手段は、
同一の前記車両が同一の前記路面異常地点を走行した走行回数に応じて、前記確率を示す値の変更量を決定する、コンピュータプログラム。
【請求項7】
路面異常地点を登録するコンピュータプログラムであって、
コンピュータを、
新規に路面異常を検出した地点を前記路面異常地点として登録する登録手段と、
前記路面異常地点で前記路面異常が発生している確率を示す値を設定する値設定手段と、
道路を走行する車両が前記路面異常地点を走行した際に、前記車両が備えるセンサによって前記路面異常を検出する検出値に基づいて、前記値設定手段により設定した前記確率を示す値を更新する更新手段と、
前記確率を示す値が所定値以下となった前記路面異常地点について、路面異常地点の登録を解除する解除手段と、
して機能させ、
前記更新手段は、
前記検出値に基づいて前記路面異常が検出されなかった場合、前記確率を示す値を減少させ、同一の前記車両が同一の前記路面異常地点を走行する走行回数が2回目以降の走行において前記路面異常が検出されなかった場合の前記確率を示す値を減少させる変化量を、初回の走行において前記路面異常が検出されなかった場合の前記確率を示す値を減少させる変化量に比べて減少させる、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路面異常を登録する路面異常登録装置及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、道路の路面異常に係わる情報を収集することが行われている。例えば、特開2015-229433号公報に開示される路面状態検出装置は、道路を走行する車両から路面異常の情報を収集している。道路を走行する各車両は、車両に取り付けられた加速度センサの検出値の変化量から路面状態を推定する。各車両は、検出値に基づいて、路面に亀裂や凹凸が存在していると推定した場合、亀裂等に関するデータを路面状態推定情報としてクラウドサーバへ送信する(段落0027、0033)。クラウドサーバは、複数の車両から同一位置で路面の亀裂や凹凸が検出された場合に、その地点に亀裂や凹凸が存在していると判断する(段落0036)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した特許文献1に開示された技術では、道路の落下物などを考慮して、一定の検知数を満たさないと、路面の亀裂などの路面異常が発生したと判断しない。そのため、例えば、通過する車両が少ない道路や地域では、検知数が増加せず、路面異常が発生したと判断されるまでに時間が掛かる。その結果、路面異常の登録の確定や路面異常の通知が遅れ、リアルタイム性に欠ける虞がある。
【0005】
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、路面異常の情報をスピーディーに提供できる路面異常登録装置及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため本発明に係る第1の側面の路面異常登録装置は、新規に路面異常を検出した地点を路面異常地点として登録する登録手段と、前記路面異常地点で前記路面異常が発生している確率を示す値を設定する値設定手段と、道路を走行する車両が前記路面異常地点を走行した際に、前記車両が備えるセンサによって前記路面異常を検出する検出値に基づいて、前記値設定手段により設定した前記確率を示す値を更新する更新手段と、前記確率を示す値が所定値以下となった前記路面異常地点について、路面異常地点の登録を解除する解除手段と、を備え、前記値設定手段は、新規に路面異常を検出した前記路面異常地点について、前記路面異常が発生している確率を示す値として、初期値を設定し、前記更新手段は、前記検出値に基づいて前記路面異常が検出された場合、前記確率を示す値に、所定の変化量を加算して増加させ、前記検出値に基づいて前記路面異常が検出されなかった場合、前記確率を示す値から、所定の変化量を減算して減少させる。
また、第2の側面の路面異常登録装置は、新規に路面異常を検出した地点を路面異常地点として登録する登録手段と、前記路面異常地点で前記路面異常が発生している確率を示す値を設定する値設定手段と、道路を走行する車両が前記路面異常地点を走行した際に、前記車両が備えるセンサによって前記路面異常を検出する検出値に基づいて、前記値設定手段により設定した前記確率を示す値を更新する更新手段と、前記確率を示す値が所定値以下となった前記路面異常地点について、路面異常地点の登録を解除する解除手段と、を備え、前記更新手段は、同一の前記車両が同一の前記路面異常地点を走行した走行回数に応じて、前記確率を示す値の変更量を決定する。
また、第3の側面の路面異常登録装置は、新規に路面異常を検出した地点を路面異常地点として登録する登録手段と、前記路面異常地点で前記路面異常が発生している確率を示す値を設定する値設定手段と、道路を走行する車両が前記路面異常地点を走行した際に、前記車両が備えるセンサによって前記路面異常を検出する検出値に基づいて、前記値設定手段により設定した前記確率を示す値を更新する更新手段と、前記確率を示す値が所定値以下となった前記路面異常地点について、路面異常地点の登録を解除する解除手段と、を備え、前記更新手段は、前記検出値に基づいて前記路面異常が検出されなかった場合、前記確率を示す値を減少させ、同一の前記車両が同一の前記路面異常地点を走行する走行回数が2回目以降の走行において前記路面異常が検出されなかった場合の前記確率を示す値を減少させる変化量を、初回の走行において前記路面異常が検出されなかった場合の前記確率を示す値を減少させる変化量に比べて減少させる。
【0007】
また、本発明に係る第1の側面のコンピュータプログラムは、路面異常地点を登録するコンピュータプログラムであって、コンピュータを、新規に路面異常を検出した地点を前記路面異常地点として登録する登録手段と、前記路面異常地点で前記路面異常が発生している確率を示す値を設定する値設定手段と、道路を走行する車両が前記路面異常地点を走行した際に、前記車両が備えるセンサによって前記路面異常を検出する検出値に基づいて、前記値設定手段により設定した前記確率を示す値を更新する更新手段と、前記確率を示す値が所定値以下となった前記路面異常地点について、路面異常地点の登録を解除する解除手段と、して機能させ、前記値設定手段は、新規に路面異常を検出した前記路面異常地点について、前記路面異常が発生している確率を示す値として、初期値を設定し、前記更新手段は、前記検出値に基づいて前記路面異常が検出された場合、前記確率を示す値に、所定の変化量を加算して増加させ、前記検出値に基づいて前記路面異常が検出されなかった場合、前記確率を示す値から、所定の変化量を減算して減少させる。
また、第2の側面のコンピュータプログラムは、路面異常地点を登録するコンピュータプログラムであって、コンピュータを、新規に路面異常を検出した地点を前記路面異常地点として登録する登録手段と、前記路面異常地点で前記路面異常が発生している確率を示す値を設定する値設定手段と、道路を走行する車両が前記路面異常地点を走行した際に、前記車両が備えるセンサによって前記路面異常を検出する検出値に基づいて、前記値設定手段により設定した前記確率を示す値を更新する更新手段と、前記確率を示す値が所定値以下となった前記路面異常地点について、路面異常地点の登録を解除する解除手段と、して機能させ、前記更新手段は、同一の前記車両が同一の前記路面異常地点を走行した走行回数に応じて、前記確率を示す値の変更量を決定する。
また、第3の側面のコンピュータプログラムは、路面異常地点を登録するコンピュータプログラムであって、コンピュータを、新規に路面異常を検出した地点を前記路面異常地点として登録する登録手段と、前記路面異常地点で前記路面異常が発生している確率を示す値を設定する値設定手段と、道路を走行する車両が前記路面異常地点を走行した際に、前記車両が備えるセンサによって前記路面異常を検出する検出値に基づいて、前記値設定手段により設定した前記確率を示す値を更新する更新手段と、前記確率を示す値が所定値以下となった前記路面異常地点について、路面異常地点の登録を解除する解除手段と、して機能させ、前記更新手段は、前記検出値に基づいて前記路面異常が検出されなかった場合、前記確率を示す値を減少させ、同一の前記車両が同一の前記路面異常地点を走行する走行回数が2回目以降の走行において前記路面異常が検出されなかった場合の前記確率を示す値を減少させる変化量を、初回の走行において前記路面異常が検出されなかった場合の前記確率を示す値を減少させる変化量に比べて減少させる。
【発明の効果】
【0008】
前記構成を有する本発明に係る路面異常登録装置及びコンピュータプログラムによれば、新規の路面異常を検出した路面異常地点を登録し、その路面異常地点で路面異常が発生している確率を示す値の初期値を設定する。そして、路面異常登録装置は、道路を走行する車両のセンサの検出値に基づいて、確率を示す値を更新する。これにより、路面異常地点を登録して確率を示す値が新規に検出したタイミングという早期に設定されることで、路面異常の情報をスピーディーに提供できる。また、小石、ゴミ、街路樹の果実などが路面に落下していた場合、路面異常が誤検出される虞がある。そこで、確率を示す値が所定値以下となった路面異常地点について、路面異常地点の登録を解除する。従って、センサの検出値に基づいて、誤検出による路面異常地点の登録を排除しながら確率を示す値の更新を行なうことで、確率を示す値の精度を高めながら路面異常の情報を提供できる。
また、第1の側面によれば、新規に路面異常を検出した路面異常地点について、路面異常が発生している確率を示す初期値を設定する。道路を走行する車両のセンサで路面異常を再度検出した場合、路面異常が発生している可能性が高いため、確率を示す値に所定の変化量だけ加算して増大させる。また、道路を走行する車両のセンサで路面異常を検出できなかった場合、誤検出である可能性があるため、確率を示す値から所定の変化量だけ減算して減少させる。従って、道路を走行する車両をセンサとして利用し、確率を示す値の精度を高めることができる。
また、第2の側面によれば、同一の車両が同一の路面異常地点を走行する場合、運転者が、前回走行した時に、路面の割れや凹凸などの路面異常が発生していたことを覚えている可能性がある。このため、運転者は、走行を重ねる毎に、路面異常を回避等する可能性が高くなる。そこで、走行回数に応じて確率を示す値の変化量を変更することで、確率を示す値の精度をより高めることができる。
また、第3の側面によれば、運転者は、初回の走行時に、道路の割れや凹凸などの路面異常に遭遇した場合、路面異常が発生した異常箇所を回避できずに走行してしまう可能性がある。換言すれば、初回走行時に路面異常が検出されなかった場合、その道路には、路面異常が発生していない可能性が高い。
一方、2回目以降の走行時では、運転者は、過去の走行時の記憶があるため、路面異常を避けて走行する可能性がある。換言すれば、2回目以降の走行時に路面異常が非検出であっても、運転者が異常箇所を回避したために非検出となった可能性がある。そこで、2回目以降の走行時の確率を示す値を減少させる変化量を、初回走行時の確率を示す値を減少させる変化量に比べて減少させる。これにより、運転者が異常箇所を避けたことによる非検知によって、確率を示す値の精度が低下することを抑制できる。その結果、確率を示す値の精度を高めることができる。
【0009】
尚、「路面異常地点で路面異常が発生している確率を示す値」とは、例えば、路面異常地点で路面異常が発生している確率そのものを示す値、確率に応じて変動する値、路面異常地点で路面異常が発生していることを示す情報を提供した場合のその提供した情報に対する信頼度を示す値である。「路面異常」とは、ポットホールや路面のひび割れなどの路面そのものの異常だけでなく、路面の凍結など、路面と他の物体とで生じる異常も含む概念である。従って、路面異常とは、車両の走行に影響を与える様々な路面の異常を含む。また、「検出値」とは、センサによって検出されたセンサ信号の値そのものに限らず、センサ信号の値から算出、推定等される値を含んでいる。また、「路面異常地点の登録を解除する」とは、路面異常地点を登録するデータベースから情報を削除することに限らない。例えば、路面異常地点の情報としてデータベースには登録されているものの、データベースにアクセスされた場合、有効な情報として応答しないように取り扱う処理を、登録を解除する処理として実行しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る路面異常登録システムを示した概略構成図である。
【
図2】実施形態に係る路面異常登録システムの構成を示したブロック図である。
【
図3】実施形態に係るナビゲーション装置の制御系を模式的に示すブロック図である。
【
図4】プローブ情報DBに記憶された管理DBの内容を示す図である。
【
図5】路面異常地点処理プログラムのフローチャートである。
【
図6】路面異常地点処理プログラムのフローチャートである。
【
図7】路面異常地点を表示した画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る路面異常登録システムについて具体化した一実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、本実施形態に係る路面異常登録システム1の概略構成について
図1及び
図2を用いて説明する。
図1は本実施形態に係る路面異常登録システム1を示した概略構成図である。
図2は本実施形態に係る路面異常登録システム1の構成を示したブロック図である。
【0012】
図1に示すように、本実施形態に係る路面異常登録システム1は、プローブセンタ2が備えるサーバ装置(路面異常登録装置の一例)3と、ユーザにより操作されるパーソナルコンピュータ(以下PCという)4と、複数の車両5の各々に搭載された通信(案内)端末であるナビゲーション装置6と、車両5に搭載された車載センサ7(センサの一例)と、を基本的に有する。また、サーバ装置3、PC4、及びナビゲーション装置6は通信ネットワーク網8を介して互いに電子データを送受信可能に構成されている。尚、ナビゲーション装置6の代わりに、例えば携帯電話機、スマートフォン、タブレット型端末、パーソナルコンピュータを用いても良い。
【0013】
ここで、本実施形態に係る路面異常登録システム1は、所謂プローブカーシステムを構成する。プローブカーシステムとは、車両5をセンサとして情報を収集するシステムである。具体的には、例えば、車両5の車載センサ7で検出した検出値の情報をはじめ、速度データ、ステアリング操作やシフト位置等の各システムの作動状況をGPSの位置情報とともに予め車両5に搭載された通信装置を介してプローブセンタ2に送信し、センタ側でその収集データを様々な情報として再利用するシステムをいう。
【0014】
そして、プローブセンタ2が備えるサーバ装置3は、全国を走行する車両5から路面異常の情報等を含むプローブ情報(材料情報)を適宜収集して蓄積するとともに、蓄積されたプローブ情報から道路に関する各種支援情報を登録する情報管理サーバである。特に、本実施形態では、サーバ装置3は、例えば、道路を走行する車両5の車載センサ7から収集した検出値に基づいて、道路の路面異常が発生した路面異常地点の信頼度(本願の確率を示す値の一例)を更新する。路面異常地点の情報や信頼度の情報に対して外部端末からアクセスされた場合、対応する情報を応答する。ここでいう外部端末とは、例えば、道路の補修を管理する道路管理者が操作するPC4である。また、PC4を操作するユーザは、道路の補修を管理する道路管理者の他に、例えば、国土交通省、地方整備局、NEXCO(登録商標)などの一般道や高速道路を管理する省庁、団体、民間企業等でも良い。例えば、道路管理者は、PC4を操作してサーバ装置3の路面異常の情報にアクセスし、信頼度の情報に基づいて補修業者を路面異常地点へ派遣する。また、サーバ装置3の情報へアクセスする外部端末は、PC4に限らず、スマートフォン、タブレット型端末、ナビゲーション装置6等でも良い。例えば、道路の補修業者は、スマートフォンやタブレット型端末を使用してサーバ装置3の情報にアクセスし、路面異常地点や信頼度の情報に基づいて、道路の補修を行なう地点を決定しても良い。
【0015】
尚、「路面異常地点の信頼度」とは、例えば、路面異常地点で路面異常が発生している確率を示す値であり、確率に応じて変動する値である。また、信頼度を更新する装置は、サーバ装置3以外の装置、例えば、車両5のナビゲーション装置6でも良い。ナビゲーション装置6で信頼度を更新する場合、例えば、ナビゲーション装置6が、サーバ装置3から路面異常地点の信頼度の情報を取得して、更新した信頼度の情報をサーバ装置3のデータベースに登録しても良い。
【0016】
また、PC4は、CPU、ROM、RAM等を中心に構成された制御部、キーボードやポインティングデバイスなどで構成される入力部、ディスプレイやスピーカなどの出力部、ハードディスクなどの不揮発性記憶手段からなる補助記憶部等を備えている。また、PC4にはOS(Operating System)としてWindows(登録商標)、Linux(登録商標)、MacOS(登録商標)などが搭載される。キーボード入力や画面出力といった入出力機能、主記憶部であるメモリや補助記憶部であるハードディスクに対するアクセス機能など、アプリケーションから共通して利用される基本機能は、OSによって提供される。尚、これら各OSによって提供される各種機能そのものは公知なので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0017】
更に、PC4は、モデム等の通信機器9(
図2参照)を介して通信ネットワーク網8に接続され、サーバ装置3と双方向通信可能に構成されている。そして、PC4は、サーバ装置3から取得したデータに基づいて、各種情報をディスプレイに表示等する。特に本実施形態に係るPC4は、路面異常地点の情報や信頼度の情報をサーバ装置3から取得し、ディスプレイに表示する(
図7参照)。
【0018】
一方、ナビゲーション装置6は、車両5に搭載され、格納する地図データに基づいて自車位置周辺の地図を表示したり、地図画像上において車両5の現在位置を表示したり、設定された案内経路に沿った移動案内を行う車載機である。また、ナビゲーション装置6は、車両5に搭載された車載センサ7で検出した検出値の情報を、サーバ装置3へ送信することも行う。尚、車載センサ7の種類は、特に限定されず、車両5に搭載可能な各種のセンサを採用できる。具体的には、車載センサ7としては、車速センサ、ステアリングセンサ、上下加速度センサ、赤外線センサ、車載カメラなどを採用できる。また、車両5が備える車載センサ7の数は、1つでも良く、複数個でも良い。
【0019】
また、通信ネットワーク網8は全国各地に配置された多数の基地局と、各基地局を管理及び制御する通信会社とを含み、基地局及び通信会社を有線(光ファイバー、ISDN等)又は無線で互いに接続することにより構成されている。ここで、基地局はナビゲーション装置6との通信をするトランシーバー(送受信機)とアンテナを有する。そして、基地局は通信会社の間で無線通信を行う一方、通信ネットワーク網8の末端となり、基地局の電波が届く範囲(セル)にあるナビゲーション装置6の通信をサーバ装置3との間で中継する役割を持つ。また、通信ネットワーク網8は、例えば、インターネットなどの広域通信網やLAN(ローカルエリアネットワーク)を有し、PC4の通信をサーバ装置3との間で中継する役割を持つ。
【0020】
続いて、路面異常登録システム1を構成するサーバ装置3の構成について
図2を用いてより詳細に説明する。サーバ装置3は、
図2に示すようにサーバ制御部11と、サーバ制御部11に接続されたプローブ情報DB(データベース)12と、サーバ側地図情報DB13、センタ通信装置15とから基本的に構成されている。
【0021】
サーバ制御部11は、サーバ装置3の全体の制御を行う電子制御ユニットであり、演算装置及び制御装置としてのCPU21、並びにCPU21が各種の演算処理を行うにあたってワーキングメモリとして使用されるRAM22、制御用のプログラムの他、後述の各種プログラム(
図5及び
図6参照)等が記録されたROM23、ROM23から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ24等の内部記憶装置を備えている。
【0022】
尚、サーバ制御部11は、処理アルゴリズムとしての各種手段を構成する。例えば、登録手段は、新規に路面異常を検出した地点を路面異常地点として登録する。値設定手段は、路面異常地点で路面異常が発生している確率を示す値を設定する。更新手段は、道路を走行する車両5が路面異常地点を走行した際に、車両5が備える車載センサ7によって検出された検出値に基づいて、値設定手段により設定した確率を示す値を更新する。解除手段は、確率を示す値が所定値以下となった路面異常地点について、路面異常地点の登録を解除する。
【0023】
また、プローブ情報DB12は、全国を走行する車両5から収集したプローブ情報を累積的に記憶する記憶手段である。本実施形態のプローブ情報DB12は、路面異常を検出した路面異常地点に係わる情報を記憶する管理DB14が記憶されている。例えば、管理DB14には、
図4に示すように、例えば、(a)路面異常を検出した路面異常地点のNO、(b)検出日時、(c)路面異常地点の経度、(d)路面異常地点の緯度、(e)車載センサの検出値、(f)車両5を識別する車両ID、(g)信頼度、(h)走行回数が記憶されている。管理DB14の詳細については、後述する。
【0024】
また、サーバ側地図情報DB13は、例えば、外部からの入力データやサーバ装置3の入力操作に基づいて登録された地図情報である。サーバ側地図情報DB13は、道路(リンク)に関するリンクデータ、ノード点に関するノードデータ、施設に関する施設データ、経路の探索に係る処理に用いられる探索データ、地図を表示するための地図表示データ、各交差点に関する交差点データ、地点を検索するための検索データ等が記憶された記憶手段である。
【0025】
また、センタ通信装置15は、車両5やVICS(登録商標:Vehicle Information and Communication System)センタ等の外部の交通情報センタと通信ネットワーク網8を介して通信を行う為の通信装置である。本実施形態では、センタ通信装置15を介してプローブ情報、路面異常地点の情報等を車両5や管理DB14との間で送受信する。
【0026】
次に、車両5に搭載されたナビゲーション装置6の概略構成について
図3を用いて説明する。
図3は本実施形態に係るナビゲーション装置6を示したブロック図である。
図3に示すように本実施形態に係るナビゲーション装置6は、ナビゲーション装置6が搭載された車両5の現在位置を検出する現在位置検出部31と、各種のデータが記録されたデータ記録部32と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーションECU33と、ユーザからの操作を受け付ける操作部34と、ユーザに対して車両周辺の地図や路面状態の情報等を表示する液晶ディスプレイ35と、経路案内に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ36と、記憶媒体であるDVDを読み取るDVDドライブ37と、プローブセンタ2やVICSセンタ等の情報センタとの間で通信を行う通信モジュール38と、から基本的に構成されている。また、ナビゲーション装置6はCAN等の車載ネットワークを介して、車両5に取り付けられた車載センサ7が接続されている。
【0027】
以下に、ナビゲーション装置6を構成する各構成要素について順に説明する。
現在位置検出部31は、GPS41等を備え、現在の車両5の位置、方位等を検出することが可能となっている。尚、現在位置検出部31は、GPS41以外のセンサ、例えば、車速センサやステアリングセンサ等を備えても良く、車載センサ7の検出信号を取得して利用しても良い。現在位置検出部31は、複数のセンサを用いて現在の車両5の位置等を検出する精度を高めても良い。
【0028】
また、データ記録部32は、外部記憶装置及び記録媒体としてのハードディスク(図示せず)と、ハードディスクに記録された地図情報DB45、走行履歴DB46、配信情報DB47、所定のプログラム等を読み出すとともにハードディスクに所定のデータを書き込む為のドライバである記録ヘッド(図示せず)とを備えている。尚、データ記録部32をハードディスクの代わりにフラッシュメモリやメモリーカードやCDやDVD等の光ディスクにより構成しても良い。また、地図情報DB45、走行履歴DB46、配信情報DB47を外部のサーバに格納させ、ナビゲーション装置6が通信により外部のサーバから必要な情報を取得する構成としても良い。
【0029】
ここで、地図情報DB45は、地図情報が、エリア毎(例えば20km四方のメッシュ毎)に区分されて記憶される記憶手段である。また、地図情報DB45は、道路網を始めとして経路探索、経路案内及び地図表示に必要な各種情報から構成されている。例えば、各地点の座標位置の位置データ、道路(リンク)に関するリンクデータ、リンクの両端のノード点に関するノードデータ、各交差点に関する交差点データ、施設等の地点に関する地点データ等を含む。
【0030】
また、走行履歴DB46は、車両5の走行情報や車載センサ7で検出した検出値の情報等を累積して記憶する記憶手段である。尚、走行履歴DB46に記憶された走行情報や車載センサ7の検出値の情報等は、プローブ情報としてサーバ装置3へ適宜送信される。また、配信情報DB47は、サーバ装置3から配信されるプローブ情報(他の車両で検出した路面異常地点の情報など)が記憶される記憶手段である。
【0031】
一方、ナビゲーションECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)33は、ナビゲーション装置6の全体の制御を行う電子制御ユニットであり、演算装置及び制御装置としてのCPU51、並びにCPU51が各種の演算処理を行うにあたってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データ等が記憶されるRAM52、制御用のプログラム等が記録されたROM53、ROM53から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ54等の内部記憶装置を備えている。
【0032】
操作部34は、走行開始地点としての出発地及び走行終了地点としての目的地を入力する際等に操作され、各種のキー、ボタン等の複数の操作スイッチ(図示せず)から構成される。そして、ナビゲーションECU33は、各スイッチの押下等により出力されるスイッチ信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。尚、操作部34は液晶ディスプレイ35の前面に設けたタッチパネルによって構成することもできる。また、マイクと音声認識装置によって構成することもできる。
【0033】
また、液晶ディスプレイ35には、道路を含む地図画像、交通情報、操作案内、操作メニュー、キーの案内、案内経路(走行予定経路)に沿った案内情報、ニュース、天気予報、時刻、メール、テレビ番組等が表示される。尚、液晶ディスプレイ35の代わりに、HUDやHMDを用いても良い。また、スピーカ36は、ナビゲーションECU33からの指示に基づいて案内経路(走行予定経路)に沿った走行を案内する音声ガイダンスや、交通情報の案内を出力する。
【0034】
また、DVDドライブ37は、DVDやCD等の記録媒体に記録されたデータを読み取り可能なドライブである。そして、読み取ったデータに基づいて音楽や映像の再生、地図情報DB45の更新等が行われる。尚、DVDドライブ37に替えてメモリーカードを読み書きする為のカードスロットを設けても良い。
【0035】
また、通信モジュール38は、交通情報センタ、例えば、VICSセンタやその他の外部センタ等から送信された交通情報、天候情報等を受信する為の通信装置であり、例えば携帯電話機やDCMが該当する。また、車車間で通信を行う車車間通信装置や路側機との間で通信を行う路車間通信装置も含む。また、プローブ情報や配信情報をサーバ装置3との間で送受信するのにも用いられる。
【0036】
続いて、前記構成を有する路面異常登録システム1に含まれるサーバ装置3において実行する路面異常地点処理プログラムについて
図5及び
図6に基づき説明する。
図5及び
図6は本実施形態に係る路面異常地点処理プログラムのフローチャートである。ここで、路面異常地点処理プログラムは、例えば、サーバ装置3の電源が投入されると実行される。路面異常地点処理プログラムは、車両5のナビゲーション装置6から取得した情報に基づいて、路面異常の有無の判断、路面異常地点の登録、信頼度の付与、信頼度の更新、路面異常地点の登録の解除を実行するプログラムである。尚、以下の
図5及び
図6にフローチャートで示すプログラムは、例えば、サーバ装置3が備えているROM23に記憶されており、サーバ制御部11のCPU21により実行される。
【0037】
先ず、ステップ(以下、Sと略記する)1において、サーバ装置3のサーバ制御部11は、車両5のナビゲーション装置6から取得した情報に基づいて、走行した道路の任意地点で路面異常の発生を検出したか否かを判断する。
【0038】
ここで、上記したように、本実施形態のサーバ装置3は、車載センサ7の検出値に基づいて、路面異常を検出する。車載センサ7の検出値に基づいて検出する路面異常の種類は、特に限定されないが、例えば、ポットホールを採用することができる。ポットホールとは、例えば、道路の路面に形成された凹凸、道路の穴、アスファルトの剥がれなどである。ポットホールを検出する車載センサ7としては、例えば、車速センサを採用することができる。
図3に示すように、車両5のナビゲーション装置6は、車載センサ7と接続され、車載センサ7から検出信号を入力する。車速センサ(車載センサ7)は、例えば、車両の駆動輪の回転に応じてパルスを発生させ、パルス信号をナビゲーションECU33に出力する。
【0039】
ナビゲーションECU33は、例えば、車両5が道路を走行中において検出した車速センサのパルス信号の値を、サーバ装置3へ適宜送信する。サーバ装置3のサーバ制御部11は、例えば、1台の車両5から1日の間に取得した車速センサのパルス信号の値、即ち、1日分の走行データを対象に、
図5及び
図6に示す路面異常地点処理を実行する。サーバ制御部11は、1日分の走行データの中から任意地点ごとに、S1以降の処理を実行する。また、サーバ制御部11は、各車両5から取得した1日分の走行データについて、同様に任意地点ごとにS1以降の処理を実行する。
【0040】
サーバ制御部11は、例えば、車両5から受信した車速センサのパルス信号のパルスを計数することにより駆動輪の車輪速度(回転速度)や移動距離を算出する。サーバ制御部11は、例えば、車輪速度の変動等に基づいて、ポットホールの発生、即ち、路面異常の発生を検出する。例えば、サーバ制御部11は、車速センサの出力から特定周波数の大きさを振動度合として計算し、計算結果のパラメータに基づいてファジー推論により路面の凹凸の高さを推定し、推定した凹凸の高さと閾値とを比較することでポットホールの発生を判断する。サーバ制御部11は、例えば、推定した路面の凹凸の高さが閾値以上である場合、ポットホール(路面異常)の発生を検出する。
【0041】
そして、サーバ制御部11は、S1において、任意地点ごとに車速センサの検出値からポットホール(路面異常)の発生を検出したか判断する。この任意地点は、例えば、車両5が走行した道路に沿って、所定の距離(数m、数十m、数百mなど)ごとに設定した地点である。例えば、車両5のナビゲーション装置6は、走行中の数mごとの車速センサの検出値をサーバ装置3へ送信する。尚、ナビゲーション装置6は、走行中の車速センサの検出値を全てサーバ装置3へ送信しても良い。この場合、サーバ装置3のサーバ制御部11は、受信した検出値から数mごとの検出値を抽出し、抽出した検出値から路面異常の発生を検出しても良い。
【0042】
尚、S1の任意地点は、上記した所定の距離ごとの地点に限らない。例えば、任意地点は、幹線道路や国道など、特定の道路上の地点でも良い。サーバ制御部11は、例えば、特定の道路を走行する車両5から車載センサ7の検出値を取得し、路面異常の発生を判断しても良い。例えば、サーバ制御部11は、ユーザによって設定された補修が特に必要な道路を対象に路面異常の発生を判断し、後述する信頼度の更新等を実行しても良い。
【0043】
あるいは、サーバ制御部11は、車載センサ7の検出値を取得する車両5を切り替えて、
図5及び
図6に示す路面異常地点処理を実行しても良い。例えば、サーバ制御部11は、曜日や時間で検出値を取得する車両5を切り替えて、取得した検出値に基づいて、路面異常の発生の判断や後述する信頼度の更新等を実行しても良い。
【0044】
また、路面異常の発生を判断する装置は、サーバ装置3に限らない。例えば、車両5のナビゲーション装置6が、任意地点の路面異常の発生を判断しても良い。そして、ナビゲーション装置6は、任意地点における路面異常の発生の有無を示す情報、路面異常を検出した際の車載センサ7の検出値の情報、路面異常地点の情報(位置座標や時間)などをサーバ装置3へ送信しても良い。
【0045】
また、ナビゲーション装置6からサーバ装置3へ送信する検出値は、車速センサのパルス信号の値に限らない。送信する検出値は、例えば、車速センサのパルス信号から算出した車輪速度等の値、振動度合から推定した路面の凹凸の高さの値などでも良い。従って、本願における検出値とは、車載センサ7によって検出された検出値そのものに限らず、検出値から算出、推定等される値でも良い。また、ポットホールを検出する車載センサ7は、車速センサに限らない。例えば、車載センサ7として、車両5の車輪に作用する上下方向への加速度を検出する上下加速度センサを採用しても良い。そして、サーバ制御部11は、例えば、上下加速度センサで検出した上下加速度の変動に基づいて、路面の凹凸の高さやポットホールの深さ、即ち、路面異常の発生を判断しても良い。また、例えば、車輪のサスペンション装置の伸縮量(サスペンションアームの変位量)を検出するサスペンションセンサと、車高の変位量を検出する車高センサとを車載センサ7として用いて、サーバ制御部11が、サスペンションアームの変位量と車高の変位量の差分から、路面の凹凸の高さを推定し、ポットホールの発生を判断しても良い。
【0046】
また、路面異常の種類は、ポットホールに限らない。例えば、道路のひび割れ、道路の隆起、路面の凍結などでも良い。例えば、サーバ制御部11は、車載カメラ(車載センサ7)で撮像した画像データを解析して道路のひび割れ(路面異常の発生)を判断しても良い。
【0047】
サーバ制御部11は、S1において、任意地点について路面異常の発生の検出を判断すると、S2を実行する。S2において、サーバ制御部11は、S1で設定した今回の処理対象の任意地点(以下、処理対象の任意地点という場合がある)で路面異常の発生を検出したか否かを判断する。サーバ制御部11は、路面異常の発生を検出した場合(S2:YES)、S3を実行し、路面異常の発生を検出しなかった場合(S2:NO)、
図6のS11を実行する。
【0048】
S3において、サーバ制御部11は、処理対象の任意地点で初めて路面異常を検出したか否かを判断する。上記したように、サーバ制御部11は、車両5が走行した道路において、所定の距離ごとに任意地点を設定する。このため、設定した複数の任意地点には、ポットホールが発生している地点と発生していない地点が含まれることとなる。また、後述するように、サーバ制御部11は、S3で肯定判断した場合(S3:YES)、S4及びS5を実行することで、処理対処の任意地点を路面異常地点として管理DB14に新規の登録を行なう。そこで、S3において、サーバ制御部11は、管理DB14を参照し、処理対象の任意地点、即ち、S2で路面異常を検出した任意地点が、管理DB14に既に登録されているか否かを判断する。
【0049】
図4に示すように、管理DB14には、各路面異常地点について、経度や緯度の情報が登録されている。サーバ制御部11は、例えば、処理対象の任意地点と同一の経度及び同一の緯度の路面異常地点が管理DB14に登録されていなかった場合、S3で肯定判断し(S3:YES)、S4を実行する。また、サーバ制御部11は、処理対象の任意地点と同一の経度及び同一の緯度の路面異常地点が管理DB14に登録されていた場合、S3で否定判断し(S3:NO)、S6を実行する。尚、サーバ制御部11は、S3において、同一の経度及び同一の緯度の場合に限らず、処理対象の任意地点から一定距離の範囲内の路面異常地点が管理DB14に登録されていた場合、S3で否定判断しても良い。この一定距離は、任意地点と路面異常地点とを同一地点として判断しても良い、位置の検出精度の誤差の範囲である。これにより、検出誤差の範囲に含まれる複数の地点を、一つの任意地点(路面異常地点)として処理できる。
【0050】
S4において、サーバ制御部11は、処理対象の任意地点の信頼度として、初期値を設定する。この初期値は、例えば、100の値である。信頼度は、この100の値からより大きな値、又は小さい値に更新される。従って、信頼度は、路面異常が発生している確率そのものを示す値ではなく、確率に応じて変動する値である。サーバ制御部11は、S4を実行すると、S5を実行する。S5において、サーバ制御部11は、処理対象の任意地点について、
図4に示す情報を管理DB14に登録する。即ち、処理対処の任意地点を管理DB14に新規登録する。サーバ制御部11は、S5を実行すると、
図5及び
図6に示す路面異常地点処理を終了する。サーバ制御部11は、次の処理対処の任意地点について、S1以降の処理を実行する。サーバ制御部11は、各車両5から取得した1日分の走行データの全てについて任意地点の処理を終了するまで、
図5及び
図6に示す処理を実行する。
【0051】
図4に示すように、プローブ情報DB12の管理DB14には、上記(a)~(h)に関する情報等が含まれる。例えば、
図4に示す管理DB14の1行目のデータ(レコード)には、NOが“NO.0001”、検出日時が“2020/02/19 XX:XX”、経度が“x2”、緯度が“y30”の路面異常地点のデータが記憶されている。
【0052】
(a)路面異常地点のNOは、例えば、管理DB14の各路面異常地点の情報(レコード)を識別するために、サーバ制御部11によって付与した識別番号である。(b)検出日時は、例えば、車両5の車載センサ7で検出値を検出した日時である。尚、検出日は、車載センサ7で検出値を検出した日時に限らず、例えば、ナビゲーション装置6からサーバ装置3へ検出値の情報を送信した日時でも良い。
【0053】
(c)路面異常地点の経度、(d)路面異常地点の緯度は、例えば、車両5のナビゲーション装置6からサーバ装置3へ送信された現在位置検出部31(
図3参照)に基づく車両5の位置情報である。即ち、路面異常地点(登録される任意地点)の経度、緯度は、路面異常を検出した際に、車両5が走行していた地点の位置座標である。尚、路面異常地点の経度、緯度の情報は、現在位置検出部31の情報に限らない。例えば、サーバ制御部11が、車両5の位置を検出し、検出した情報を路面異常地点の経度、緯度の情報として管理DB14に登録しても良い。
【0054】
(e)車載センサの検出値は、路面異常の検出時に、車両5の車載センサ7によって検出された検出値である。より具体的には、例えば、検出値は、車両5に取り付けられた車速センサや上下加速度センサの出力信号の値、出力信号をサンプリングした値、最大値、最小値等である。また、画像処理によって路面のひび割れを検出した場合は、検出値は、例えば、車載カメラの画像データ、画像処理で検出したひび割れの長さ、単位面積当たりのひび割れの発生箇所の割合などでも良い。
【0055】
(f)車両IDは、処理対処の任意地点(路面異常地点)を走行した車両5を識別可能な情報である。車両IDとしては、例えば、ナビゲーション装置6のシリアル番号、ナビゲーション装置6に設定された識別情報(車体番号など)を採用できる。あるいは、車両IDは、サーバ制御部11が各車両5に対して設定した値でも良い。サーバ制御部11は、車両毎にユニークな記号や番号を車両IDとして設定し、各車両5のナビゲーション装置6へ通知しても良い。そして、ナビゲーション装置6は、車載センサ7の検出値とともに、ナビゲーション装置6から受信した車両IDを送信しても良い。
【0056】
尚、サーバ制御部11は、後述するように、複数の車両5の検出値に基づいて
図5及び
図6の処理を繰り返し実行し、路面異常地点の信頼度を更新する。このため、サーバ制御部11は、信頼度を更新する際に、同一の路面異常地点について、例えば、上記した(b)検出日時、(e)検出値、(f)車両ID等の情報を、追記や上書きし、管理DB14のレコードの情報を更新しても良い。
【0057】
(g)信頼度は、路面異常地点で路面異常が発生している確率を示す値であり、例えば、確率に応じて変動する値である。上記したように、サーバ制御部11は、新規の路面異常地点の信頼度として100(初期値)を設定する。そして、サーバ制御部11は、登録した路面異常地点の信頼度を更新する。より具体的には、サーバ制御部11は、登録後に車載センサ7の検出値に基づいて判断した路面異常の検出の有無等に基づいて信頼度を更新する。これにより、信頼度の精度を高めることができる。このため、(g)信頼度は、路面異常地点で路面異常が発生している確率の大きさや、道路管理者等に路面異常地点の情報を提供した場合の情報に対する信頼度を示している。
【0058】
(h)の走行回数は、その路面異常地点を、同一の車両5が何回走行したか示す情報である。サーバ制御部11は、新規の路面異常地点を登録する際、走行回数を「1」に設定する。そして、詳細については後述するが、サーバ制御部11は、S7やS13を実行するごとに(同一の車両5が同一の路面異常地点を走行するごとに)、走行回数を+1だけ加算する。サーバ制御部11は、例えば、1つの路面異常地点について、車両5(車両ID)ごとに走行回数を個別に計測する。サーバ制御部11は、この車両5ごとの走行回数に応じて、信頼度を加算又は減算する変化量を変更する。
【0059】
サーバ制御部11は、
図5のS5において、処理対象の任意地点について、
図4に示す(a)~(h)の情報を管理DB14に登録すると、
図4及び
図5に示す処理を終了する。これにより、車両5の車載センサ7によって新たに検出された路面異常地点が、管理DB14に登録され、信頼度として初期値(例えば、100)が設定される。尚、新規の路面異常地点を登録する方法は、上記した車載センサ7を用いる方法に限らない。例えば、道路を点検する点検業者が、経過観察を行ないたい小さなポットホールを発見した場合に、その地点を路面異常地点として管理DB14に登録しても良い。即ち、直ぐに補修の必要はないが、ポットホールの拡大によって補修が必要となる地点を路面異常地点として人が手動で管理DB14に新規登録しても良い。これにより、登録された路面異常地点は、サーバ制御部11の処理によって信頼度が更新される。そして、後述するように、信頼度がより高い路面異常地点を優先に点検や補修等を行なうことで、道路補修を効率的に行なうことができる。
【0060】
また、例えば、定期的に点検が必要な地点を、即ち、路面異常の検出が予想される地点を、新規の路面異常地点として管理DB14に登録しても良い。例えば、道路管理者は、PC4を操作して、点検が必要な時期に併せて、路面異常地点を管理DB14に登録する。この場合にも、登録された路面異常地点は、サーバ制御部11の処理によって信頼度が更新され、信頼度に応じて道路補修が行なわれる。従って、本願の「新規に路面異常を検出した地点」とは、車載センサ7によって路面異常が検出された地点に限らず、人が検出を判断した地点や、過去の実績等から路面異常の検出が予想されると判断された地点でも良い。
【0061】
図5に戻り、サーバ制御部11は、S3において、処理対象の任意地点が管理DB14に登録されていた場合、即ち、過去に路面異常が検出された地点である場合(S3:NO)、S6を実行する。ここで、S2の路面異常の発生の判断処理において誤検出が発生する可能性がある。例えば、小石、ゴミ、街路樹の果実などが路面に落下していた場合、車速センサの検出値が変動し、サーバ制御部11が、S2でポットホールが発生していると判断する可能性がある。そこで、本実施形態のサーバ制御部11は、上記したS4で信頼度の初期値を設定した後、その信頼度を更新する処理を実行する。S6以降が実行される場合、同一の路面異常地点について、複数回に亘って路面異常が検出されたこととなる。即ち、路面異常地点で路面異常が発生している可能性が高くなる。そこで、サーバ制御部11は、S6以降の処理を実行し、信頼度を高くする。
【0062】
S6において、サーバ制御部11は、走行車両が処理対処の任意地点を過去に走行済みであるか否かを判断する。サーバ制御部11は、処理対処の任意地点を走行した車両5の車両IDと、S3で登録済みと判断した路面異常地点の車両IDとが一致するか否かを判断する。即ち、今回の処理で路面異常を検出した処理対処の任意地点を走行した車両5が、同一の路面異常地点で過去に路面異常を検出した車両5であるか否かを判断する。サーバ制御部11は、例えば、後述するS8を実行してS5を実行した場合(異なる車両5である場合)、管理DB14の車両IDの欄に、今回の処理対処の任意地点を走行した車両5の車両IDを追記する。そして、サーバ制御部11は、例えば、次回以降のS6の判断処理において、処理対処の任意地点を走行した車両5の車両IDが、S3で登録済みと判断した路面異常地点の車両IDの項目に記憶された複数の車両IDの中に存在した場合、車両IDが一致すると判断する(S6:YES)。
【0063】
サーバ制御部11は、S6において、処理対処の任意地点を走行した車両5の車両IDと、S3で登録済みと判断した路面異常地点の車両IDとが一致した場合、肯定判断し(S6:YES)、S7を実行する。S7において、サーバ制御部11は、路面異常地点の信頼度を高くする変化量として+20を設定する。
【0064】
サーバ制御部11は、S7を実行した後、S5を実行する。サーバ制御部11は、処理対象の任意地点の新規登録は実行せず、処理対処の任意地点と同一地点の路面異常地点の信頼度を+20だけ加算する(S5)。これにより、同一の路面異常地点について同一の車両5で路面異常が検出されることに基づいて、信頼度を高くすることができる。また、サーバ制御部11は、S7を実行した後にS5を実行した場合、その車両5に対応する路面異常地点の走行回数を+1だけ加算する。即ち、車両5ごとに、走行回数を加算する処理を行なう。
【0065】
一方、サーバ制御部11は、S6において、処理対処の任意地点を走行した車両5の車両IDと、S3で登録済みと判断した路面異常地点の車両IDとが一致しない場合、否定判断し(S6:NO)、S8を実行する。S8において、サーバ制御部11は、路面異常地点の信頼度を高くする変化量として+10を設定する。サーバ制御部11は、S8を実行した後にS5を実行し、処理対処の任意地点と同一地点の路面異常地点の信頼度を+10だけ加算する。これにより、同一の路面異常地点について異なる車両5で路面異常が検出されることに基づいて信頼度を高くすることができる。また、サーバ制御部11は、例えば、S8を実行してS5を実行した場合、即ち、過去の登録にない車両5で路面異常を検出した場合、その車両5の車両IDを管理DB14に追記する。
【0066】
ここで、例えば、車両5の運転者は、初めて路面異常地点を走行する際、走行先に突然ポットホールが出現すると回避できずに通過してしまう可能性が高い。一方、2回目以降の走行時では、運転者は、過去の走行時の記憶があるため、ポットホールを避けて走行する可能性がある。換言すれば、2回目以降においても路面異常が検出された場合、回避できない位置や大きさのポットホールが発生しているなど、ポットホールが発生している可能性が高い。そこで、本実施形態のサーバ制御部11では、S7の2回目以降の走行時において路面異常を検出した場合に信頼度を高くする変化量(+20)を、S8の初回の走行時において路面異常を検出した場合に信頼度を高くする変化量(+10)に比べて増大させる(大きくする)。これにより、上記した運転の実情に合わせて信頼度を変更し、信頼度の精度を高めることができる。
【0067】
また、上記したように、2回目以降において、何度も同一の車両5で路面異常が検出された場合、ポットホールが発生している可能性がより高くなる。そこで、本実施形態のサーバ制御部11は、S7において、同一の車両5が同一の路面異常地点を走行した走行回数に応じて、信頼度を高くする変化量を変更する。例えば、サーバ制御部11は、管理DB14の走行回数に基づいて、処理対処の任意地点の走行回数を判断する。上記したように、サーバ制御部11は、例えば、1つの路面異常地点について、車両5(車両ID)ごとに走行回数を計測する。サーバ制御部11は、同一の車両5が同一の路面異常地点を走行した走行回数が2回、3回、4回・・・と増加するごとに、信頼度を高くする変化量を+20、+30、+40・・・と増大させる(大きくする)。これにより、上記した運転の実情に合わせて信頼度を変更し、信頼度の精度を高めることができる。
【0068】
尚、サーバ制御部11は、走行回数が増加するごとに、信頼度を高くする変化量を+20、+15、+10と減少させて(小さくさせて)も良い。例えば、何度も特定の車両5のみで路面異常が検出された場合、その車両5(車載センサ7)の特有の誤検知である可能性がある。このような設計思想で信頼度を更新する場合、走行回数の増加に応じて信頼度を高くする変化量を徐々に減少させて(小さくして)も良い。また、サーバ制御部11は、S7において、走行回数が増加しても信頼度を高くする変化量を変更しなくとも良い。この場合、走行回数は不要であるため、サーバ制御部11は、管理DB14に走行回数を登録しなくとも良い。また、サーバ制御部11は、S8の実行回数に応じて、S8の信頼度を高くする変化量を変更しても良い。例えば、同一の路面異常地点について、車載センサ7の種類やタイヤの大きさが異なる車両5で路面異常が何回も検出される場合、その路面異常地点で実際にポットホールが発生している可能性が高くなる。そこで、サーバ制御部11は、例えば、S8を実行する回数が増加するごとに、即ち、同一の路面異常地点について異なる車両5で路面異常を検出した回数が増加するごとに、信頼度を高くする変化量を+10、+20、+30・・・とより増大させて(大きくして)も良い。
【0069】
また、サーバ制御部11は、走行回数や車両5の同一の有無に係わらず、信頼度を高くする変化量として固定値を用いても良い。例えば、サーバ制御部11は、S6の車両5の同一性の判断を実行しなくとも良い。サーバ制御部11は、例えば、S3で否定判断した場合、S8を実行しS5を実行しても良い。この場合、同一の車両5であるか否かに係わらず、同一の路面異常地点で路面異常が検出されるごとに、同じ変化量(+10)で信頼度が更新される。
【0070】
また、サーバ制御部11は、S2において、処理対象の任意地点において路面異常の発生を検出しなかった場合(S2:NO)、
図6のS11を実行する。S11において、サーバ制御部11は、処理対象の任意地点が管理DB14に登録されているか否かを判断する。サーバ制御部11は、S11において、
図5のS3と同様に、処理対象の任意地点と同一の経度及び同一の緯度の路面異常地点が管理DB14に登録されていた場合、S11で肯定判断し(S11:YES)、S12を実行する。また、サーバ制御部11は、処理対象の任意地点と同一の経度及び同一の緯度の路面異常地点が管理DB14に登録されていなかった場合、S11で否定判断する(S11:NO)。今回の走行で路面異常が検出されず、且つ、過去にも路面異常が検出されていない場合、処理対象の任意地点で路面異常が発生している可能性は低い。このため、サーバ制御部11は、S11で否定判断した場合(S11:NO)、処理対象の任意地点について管理DB14への登録は行わず、
図5及び
図6に示す処理を終了する。尚、サーバ制御部11は、S11の処理において、同一の経度及び同一の緯度に限らず、処理対象の任意地点から一定距離の範囲内の路面異常地点が管理DB14に登録されていた場合、S11で肯定判断しても良い。
【0071】
S12が実行される場合、一度登録された路面異常地点について、後から車両5が通過して路面異常が検出されなかった状態となる。この場合、登録済みの路面異常地点でポットホールが発生していない可能性が高くなる、即ち、路面異常を誤検出した可能性が高くなる。そこで、サーバ制御部11は、S12以降の処理を実行することで、上記した路面異常を検出した場合とは逆に、信頼度を低くする処理を実行する。
【0072】
S12において、S6と同様に、サーバ制御部11は、走行車両が処理対処の任意地点を過去に走行済みであるか否かを判断する。サーバ制御部11は、処理対処の任意地点を走行した車両5の車両IDと、S11で登録済みと判断した路面異常地点の車両ID(複数登録されている場合は複数の車両ID)が一致するか否かを判断する。即ち、今回、路面異常を検出しなかった処理対処の任意地点を走行した車両5が、同一の路面異常地点で過去に路面異常を検出したか否かを判断する。
【0073】
サーバ制御部11は、S12において、処理対処の任意地点を走行した車両5の車両IDと、S12で登録済みと判断した路面異常地点の車両IDとが一致した場合、肯定判断し(S12:YES)、S13を実行する。S13において、サーバ制御部11は、路面異常地点の信頼度を低くする変化量として-3を設定する。
【0074】
サーバ制御部11は、S13を実行した後、S14を実行する。S14において、サーバ制御部11は、S12で登録済みと判断した路面異常地点について、S13で設定した変化量だけ信頼度を下げた場合に、信頼度が所定値以下となるか否かを判断する。S14で用いる所定値は、例えば、0(ゼロ)の値である。信頼度が下がれば下がる程、その路面異常地点では路面異常が発生していない、即ち、誤検出である可能性が高くなる。
【0075】
そこで、サーバ制御部11は、S14において、S13で設定した変化量だけ信頼度を下げた場合に、信頼度が所定値以下になると判断すると(S14:YES)、S12で登録済みと判断した路面異常地点の登録を解除する(S15)。サーバ制御部11は、例えば、S12で登録済みと判断した路面異常地点のデータ(レコード)を管理DB14から削除する(S15)。これにより、信頼度が所定値(例えば、ゼロ)以下となり、誤検出の可能性が高い路面異常地点を管理DB14から削除することができる。また、本実施形態のサーバ制御部11では、後述する路面異常地点をPC4の画面に表示する処理において、S15で登録を解除した路面異常地点を表示しない処理を行う。サーバ制御部11は、S15を実行すると、
図5及び
図6に示す処理を終了する。
【0076】
尚、S15で登録を解除する方法は、上記した管理DB14からデータを削除する方法に限らない。例えば、サーバ制御部11は、管理DB14からデータを削除せずに、登録を解除した旨のステータス情報を、登録を解除する路面異常地点のデータに関連付けて登録しても良い。これにより、過去に登録を解除した(誤検出と判断した)路面異常地点の情報を管理DB14に蓄積することができる。
【0077】
また、サーバ制御部11は、S14において、信頼度がゼロよりも大きい場合(S14:NO)、
図5のS5を実行する。サーバ制御部11は、処理対象の任意地点の新規登録は実行せず、処理対処の任意地点と同一地点の路面異常地点の信頼度を-3だけ減算する(S5)。これにより、同一の路面異常地点について同一の車両5で過去に路面異常が検出され、且つその後路面異常が検出されなかった場合、信頼度を低くする。また、サーバ制御部11は、S13を実行した後にS5を実行した場合、路面異常地点の走行回数を+1だけ加算する。
【0078】
一方、サーバ制御部11は、S12において、処理対処の任意地点を走行した車両5の車両IDと、S11で登録済みと判断した路面異常地点の車両IDとが一致しない場合(S12:NO)、S16を実行する。S16において、サーバ制御部11は、路面異常地点の信頼度を低くする変化量として-5を設定する。サーバ制御部11は、S13の場合と同様に、S14を実行し、変更後の信頼度が所定値以下でない場合(S14:NO)、S5をする。サーバ制御部11は、処理対処の任意地点と同一地点の路面異常地点の信頼度を-5だけ減算する。これにより、過去に路面異常が検出された路面異常地点について、その後、異なる車両5で路面異常が検出されなかった場合、信頼度を低くできる。
【0079】
ここで、例えば、車両5の運転者は、初めて路面異常地点を走行する際、走行先に突然ポットホールが現れると回避できずに通過してしまう可能性が高い。一方、2回目以降の走行時では、運転者は、過去の走行時の記憶があるため、路面異常を避けて走行する可能性がある。換言すれば、2回目以降の走行時に路面異常が非検出であっても、運転者が異常箇所を回避したために非検出となった可能性がある。即ち、初回走行時の非検出は、路面異常が発生していない可能性が高いが、2回目以降の走行時の非検出は、ポットホールが発生しているものの運転者が避けた可能性がある。そこで、2回目以降の走行時の信頼度を下げる変化量(-3)を、初回走行時の信頼度を下げる変化量(-5)に比べて減少させる(小さくする)。これにより、運転者がポットホールを避けたことによる非検知によって、信頼度が過剰に低くなることを抑制できる。
【0080】
また、運転者は、例えば、同じ路面異常地点を走行する回数が増えれば増えるほど、ポットホールが発生している位置等をより正確に把握するため、路面異常地点を避ける可能性が高くなる。そこで、本実施形態のサーバ制御部11は、S13において、同一の車両5が同一の路面異常地点を走行した走行回数に応じて、信頼度を低くする変化量を変更する。例えば、サーバ制御部11は、同一の車両5が同一の路面異常地点を走行した走行回数が2回、3回、4回・・・と増加するごとに、信頼度を低くする変化量を-3、-2、-1・・・とより減少させる(小さくする)。これにより、上記した運転の実情に合わせて信頼度を変更し、信頼度の精度を高めることができる。このように、本実施形態のサーバ制御部11は、路面異常の検出の有無、車両5の同一性、走行回数に応じて信頼度を変更し、信頼度の精度を高めることができる。
【0081】
尚、サーバ制御部11は、信頼度を低くする変化量を減少させる場合、-3、-2、-1、-1、-1、-1・・・と所定の値まで到達すると、変化量を固定しても良い。また、サーバ制御部11は、走行回数に応じて信頼度を低くする変化量(S13の変化量)を変更しなくとも良い。また、サーバ制御部11は、走行回数が増加するごとに、信頼度を低くする変化量を-3、-4、-5と増大させて(大きくして)も良い。例えば、何度も同一の車両5で路面異常が検出されない場合、初回の走行時に検出した路面異常が誤検知である可能性がある。このような設計思想で信頼度を更新する場合、走行回数の増加に応じて信頼度を低くする変化量を増大させて(大きくして)も良い。また、サーバ制御部11は、S16の実行回数に応じて、信頼度を低くする変化量を変更しても良い。例えば、同一の路面異常地点について、車載センサ7の種類やタイヤの大きさが異なる車両5で何回も路面異常が検出されない場合、その路面異常地点でポットホールが発生していない可能性が高くなる。そこで、サーバ制御部11は、例えば、S16を実行する回数が増加するごとに、即ち、同一の路面異常地点について異なる車両5で路面異常が非検出となる回数が増加するごとに、信頼度を低くする変化量を-5、-6、-7・・・と徐々に増大させても良い。
【0082】
また、サーバ制御部11は、S12の車両5の同一性の判断を実行しなくとも良い。サーバ制御部11は、例えば、S11で肯定判断した場合、例えば、S16を実行しS14を実行しても良い。この場合、同一の車両5であるか否かに係わらず、同一の路面異常地点で路面異常が非検出となるごとに、同じ変化量(-5)で信頼度が更新される。
【0083】
また、サーバ制御部11は、路面異常を検出した場合(S7、S5)と、非検出の場合(S13、S5)の場合の両方において、1つの車両5に対応する走行回数を+1だけ加算した。即ち、検出時の走行回数も、非検出時の走行回数も同じものとして処理した。しかしながら、サーバ制御部11は、検出時の走行回数と、非検出時の走行回数を別の走行回数として処理しても良い。例えば、サーバ制御部11は、S7、S5を実行した場合は、検出時用の走行回数を+1だけ加算しても良い。そして、サーバ制御部11は、S7の処理において、検出時用の走行回数に基づいて、信頼度を高くする変化量を変更しても良い。また、例えば、サーバ制御部11は、S13、S5を実行した場合は、非検出時用の走行回数を+1だけ加算しても良い。そして、サーバ制御部11は、S13の処理において、非検出時用の走行回数に基づいて、信頼度を低くする変化量を変更しても良い。
【0084】
次に、サーバ装置3のサーバ制御部11による管理DB14に登録された路面異常地点の表示処理について説明する。例えば、道路管理者は、PC4を操作してサーバ装置3へアクセスする。道路管理者は、表示させたい路面異常地点の情報、例えば、経度及び緯度の情報、地名、道路名、交差点名、路面異常地点のNO等をPC4で入力する。PC4は、入力情報をサーバ装置3へ送信する。サーバ装置3のサーバ制御部11は、受信した路面異常地点の情報に基づいて、地図情報をサーバ側地図情報DB13から取得する。サーバ制御部11は、取得した地図情報の地図上に存在する路面異常地点を管理DB14から取得し、地図上に表示させる。
【0085】
図7は、PC4のディスプレイ61に表示された表示画面の一例を示している。
図7に示すように、サーバ制御部11は、地図情報63の地図上に路面異常地点65を、所定のマーク(図示例ではマルのマーク)として表示させる。サーバ装置3は、例えば、PC4に対する操作入力を受信し、地図の位置、表示倍率、表示させる路面異常地点65を更新する。これにより、PC4を操作する道路管理者は、見たい地域の路面異常地点65を確認することができる。
【0086】
サーバ制御部11は、管理DB14に基づいて、例えば、路面異常地点65の近くに、その路面異常地点65の信頼度を示す信頼度情報67を表示させる。これにより、道路管理者は、地図上に表示されている各路面異常地点65の信頼度を容易に把握することができる。また、サーバ制御部11は、例えば、PC4の操作入力によりマウスのカーソル69が任意の路面異常地点65に合せられると、信頼度情報67を消して、その路面異常地点65の詳細情報を、吹き出し71として表示する。
【0087】
サーバ制御部11は、吹き出し71の中に、例えば、管理DB14に登録された情報(路面異常地点NO、検出日時、信頼度等)を表示する。これにより、道路管理者は、吹き出し71の内容を確認することで、その路面異常地点65の詳細な情報を確認できる。
【0088】
尚、サーバ制御部11は、
図4に示す管理DB14の情報以外の情報を、吹き出し71に表示しても良い。例えば、サーバ制御部11は、車両5の車載カメラによって撮像された路面異常地点65の写真を、吹き出し71に表示しても良い。これにより、道路管理者は、信頼度、検出値等と併せて写真を確認することで、路面異常地点65に対する点検や補修の優先度を適切に決定することができる。また、サーバ制御部11は、
図4に示す管理DB14の情報以外の情報を、地図情報63に重ねて表示しても良い。例えば、サーバ制御部11は、補修車両や点検車両の位置情報73を、地図上に表示しても良い。これにより、道路管理者は、路面異常地点65の位置・信頼度、補修車両等の位置情報73に基づいて、優先度の高い路面異常地点65へ補修車両等を適切に派遣することができる。
【0089】
また、サーバ制御部11は、
図6のS15において、登録を解除した路面異常地点65については、地図上に表示しない処理を実行する。これにより、信頼度が所定値以下となり、誤検出の可能性が高い路面異常地点65を非表示にできる。道路管理者に対して誤検出の可能性が高い路面異常地点65の情報を提供しないため、路面異常が発生していない路面異常地点65へ補修車両を派遣してしまうなどの誤った判断を道路管理者がすることを抑制できる。
【0090】
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係る路面異常登録システム1では、サーバ装置3のサーバ制御部11は、新規に路面異常を検出した地点を路面異常地点65として登録する(S4、S5)。サーバ制御部11は、路面異常地点65で路面異常が発生していることに対する信頼度を設定する(S4)。サーバ制御部11は、道路を走行する車両5が路面異常地点65を走行した際に、車両5が備える車載センサ7によって検出された検出値に基づいて、信頼度を更新する(S7、S8、S13、S16)。サーバ制御部11は、信頼度が所定値以下となった路面異常地点65について、路面異常地点の登録を解除する(S15)。
【0091】
これによれば、新規の路面異常を検出した路面異常地点65を登録し、その路面異常地点65で路面異常が発生している確率を示す信頼度の初期値を設定する。サーバ制御部11は、道路を走行する車両5の車載センサ7の検出値に基づいて、信頼度を更新する。これにより、路面異常地点65を登録してその信頼度が新規に検出したタイミングという早期に設定されることで、路面異常の情報を、道路管理者等にスピーディーに提供できる。また、小石、ゴミ、街路樹の果実などが路面に落下していた場合、路面異常が誤検出される虞がある。そこで、信頼度の値が所定値以下となった路面異常地点65について、路面異常地点65の登録を解除する。車載センサ7の検出値に基づいて、誤検出による路面異常地点65の登録を排除しながら信頼度の更新を行なうことで、信頼度の精度を高めながら路面異常地点65の情報を提供できる。
【0092】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば、上記実施形態におけるサーバ装置3の処理を他の装置が実行しても良い。例えば、車載センサ7の検出値に基づいて路面異常が発生しているか否かの判断をナビゲーション装置6が実行しても良い。
また、サーバ制御部11は、車載センサ7の検出値に基づいて路面異常が検出された場合(S2:YES)、信頼度を上げ(S7、S8)、路面異常が検出されなかった場合(S2:NO)、信頼度を下げる(S13、S16)処理を実行した。しかしながら、サーバ制御部11は、信頼度を上げる処理(S7、S8)又は下げる処理(S13、S16)のどちらか一方のみを実行しても良い。
また、サーバ制御部11は、信頼度が所定値以下となったことに基づいて、路面異常地点65の登録を解除する処理(S14、S15)を実行しなくとも良い。この場合、誤検知の可能性が高い路面異常地点65の信頼度は制限なく、より減少していく(小さくなってく)。道路管理者は、必要に応じて、信頼度の低い路面異常地点65の登録を解除しても良い。また、例えば、サーバ制御部11は、信頼度が所定値以下となった路面異常地点65について、登録を解除するか否かを道路管理者等に問い合わせても良い。
また、上記実施形態では、本願の路面異常が発生している確率を示す値として、単位のない数字である信頼度を用いたが、これに限定されない。例えば、確率を示す値は、80%のようなパーセント表記の確率の値そのものでも良く、5/4などの分数表記でも良い。あるいは、確率を示す値は、発生確率が極めて高い、やや高い、高い、普通、低い・・などの文字で表されたものでも良い。例えば、サーバ制御部11は、信頼度が101~110までの範囲の路面異常地点65の確率を示す値を、「高い」と表示しても良い。
【0093】
また、本発明に係る路面異常登録装置を具体化した実施例について上記に説明したが、路面異常登録装置は以下の構成を有することも可能であり、その場合には以下の効果を奏する。
【0094】
例えば、第1の構成は以下のとおりである。
新規に路面異常を検出した地点を路面異常地点(65)として登録する登録手段(11)と、前記路面異常地点で前記路面異常が発生している確率を示す値(実施形態では信頼度)を設定する値設定手段(11)と、道路を走行する車両(5)が前記路面異常地点を走行した際に、前記車両が備えるセンサ(7)によって前記路面異常を検出する検出値に基づいて、前記値設定手段により設定した前記確率を示す値を更新する更新手段(11)と、前記確率を示す値が所定値以下となった前記路面異常地点について、路面異常地点の登録を解除する解除手段(11)と、を備える路面異常登録装置(3)。
【0095】
上記構成を有する路面異常登録装置によれば、新規の路面異常を検出した路面異常地点を登録し、その路面異常地点で路面異常が発生している確率を示す値の初期値を設定する。そして、路面異常登録装置は、道路を走行する車両のセンサの検出値に基づいて、確率を示す値を更新する。これにより、路面異常地点を登録して確率を示す値が新規に検出したタイミングという早期に設定されることで、路面異常の情報をスピーディーに提供できる。また、小石、ゴミ、街路樹の果実などが路面に落下していた場合、路面異常が誤検出される虞がある。そこで、確率を示す値が所定値以下となった路面異常地点について、路面異常地点の登録を解除する。センサの検出値に基づいて、誤検出による路面異常地点の登録を排除しながら確率を示す値の更新を行なうことで、確率を示す値の精度を高めながら路面異常の情報を提供できる。
【0096】
また、第2の構成は以下のとおりである。
前記更新手段(11)は、前記検出値に基づいて前記路面異常が検出された場合(S2:YES)、前記確率を示す値を増加し(S7、S8)、前記検出値に基づいて前記路面異常が検出されなかった場合(S2:NO)、前記確率を示す値を減少する(S13、S16)、路面異常登録装置(3)。
【0097】
上記構成を有する路面異常登録装置によれば、道路を走行する車両のセンサで路面異常を再度検出した場合、路面異常が発生している可能性が高いため、確率を示す値を増大させる。また、道路を走行する車両のセンサで路面異常を検出できなかった場合、誤検出である可能性があるため、確率を示す値を減少させる。従って、道路を走行する車両をセンサとして利用し、確率を示す値の精度を高めることができる。
【0098】
また、第3の構成は以下のとおりである。
前記更新手段(11)は、同一の前記車両(5)が同一の前記路面異常地点(65)を走行した走行回数に応じて、前記確率を示す値の変更量を決定する(S6、S12)、路面異常登録装置(3)。
【0099】
同一の車両が同一の路面異常地点を走行する場合、運転者が、前回走行した時に、路面の割れや凹凸などの路面異常が発生していたことを覚えている可能性がある。このため、運転者は、走行を重ねる毎に、路面異常を回避等する可能性が高くなる。そこで、走行回数に応じて確率を示す値の変化量を変更することで、確率を示す値の精度をより高めることができる。
【0100】
また、第4の構成は以下のとおりである。
前記更新手段(11)は、前記検出値に基づいて前記路面異常が検出されなかった場合(S2:NO)、前記確率を示す値を減少させ(S13、S16)、同一の前記車両(5)が同一の前記路面異常地点(65)を走行する走行回数が2回目以降の走行において前記路面異常が検出されなかった場合の前記確率を示す値を減少させる変化量(S13)を、初回の走行において前記路面異常が検出されなかった場合の前記確率を示す値を減少させる変化量(S16)に比べて減少させる、路面異常登録装置(3)。
【0101】
運転者は、初回の走行時に、道路の割れや凹凸などの路面異常に遭遇した場合、路面異常が発生した異常箇所を回避できずに走行してしまう可能性がある。換言すれば、初回走行時に路面異常が検出されなかった場合、その道路には、路面異常が発生していない可能性が高い。
【0102】
一方、2回目以降の走行時では、運転者は、過去の走行時の記憶があるため、路面異常を避けて走行する可能性がある。換言すれば、2回目以降の走行時に路面異常が非検出であっても、運転者が異常箇所を回避したために非検出となった可能性がある。そこで、2回目以降の走行時の確率を示す値を減少させる変化量を、初回走行時の確率を示す値を減少させる変化量に比べて減少させる。これにより、運転者が異常箇所を避けたことによる非検知によって、確率を示す値の精度が低下することを抑制できる。その結果、確率を示す値の精度を高めることができる。
【0103】
また、第5の構成は以下のとおりである。
前記更新手段(11)は、前記走行回数が増加するに従って、前記確率を示す値を減少させる変化量をより減少させる(S13)、路面異常登録装置(3)。
【0104】
運転者は、例えば、走行を重ねる程、路面異常が発生した異常箇所を回避する可能性がより高くなる。この場合、走行回数がより増加した場合、路面異常が非検知となる結果の信憑性は、より低くなる。そこで、走行回数の増加に合せて確率を示す値を減少させる変化量をより減少させることで、確率を示す値の精度を高めることができる。
【符号の説明】
【0105】
1 路面異常登録システム
3 サーバ装置(路面異常登録装置)
5 車両
7 車載センサ(センサ)
11 サーバ制御部(登録手段、値設定手段、更新手段、解除手段)
65 路面異常地点