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特許7521258基板ユニット、基板ユニットの製造方法及び半導体装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】基板ユニット、基板ユニットの製造方法及び半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/32 20060101AFI20240717BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20240717BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20240717BHJP
   H01L 21/56 20060101ALI20240717BHJP
   H05K 3/46 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
H01L23/32 D
H01L23/12 N
H01L21/60 311S
H01L21/56 R
H05K3/46 B
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020091584
(22)【出願日】2020-05-26
(65)【公開番号】P2021190473
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-04-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】弁理士法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 茜
(72)【発明者】
【氏名】木津 貴志
(72)【発明者】
【氏名】澤田石 将士
【審査官】河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-140150(JP,A)
【文献】特開2020-077696(JP,A)
【文献】特開2016-042543(JP,A)
【文献】特開2002-170883(JP,A)
【文献】特開2014-022665(JP,A)
【文献】特開2017-034225(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/32
H01L 23/12
H01L 21/60
H01L 21/56
H05K 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と
前記支持体の上方に剥離層を介して複数の第1配線基板が載置された基板ユニットであって、
前記第1配線基板の第1の表面には、少なくとも一つの半導体素子を接合するための電極が設けられており、
前記第1配線基板の第2の表面には、第2配線基板と接合するための電極が設けられており、
前記支持体の周辺部における前記剥離層の上面および側面には樹脂層が形成されており、
前記樹脂層は絶縁樹脂層であって、前記第1配線基板の絶縁樹脂層として用いることを特徴とする基板ユニット。
【請求項2】
前記支持体の周辺部において、前記剥離層が形成されず、前記支持体と前記樹脂層が接している領域を有することを特徴とする請求項1に記載の基板ユニット。
【請求項3】
前記支持体の側面の一部に樹脂層が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の基板ユニット。
【請求項4】
前記支持体の周辺部において、前記支持体と前記樹脂層が接している領域の中心方向の長さは2mm以上であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の基板ユニット。
【請求項5】
前記絶縁樹脂層の内部に、導体層が形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の基板ユニット。
【請求項6】
前記導体層の厚さは5μm以上であることを特徴とする請求項に記載の基板ユニット。
【請求項7】
前記絶縁樹脂層は感光性樹脂からなることを特徴とする請求項からのいずれか一項に記載の基板ユニット。
【請求項8】
前記絶縁樹脂層の厚さは20μm以上であることを特徴とする請求項からのいずれか一項に記載の基板ユニット。
【請求項9】
前記剥離層は、平面形状における角部に面取りした領域を有することを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の基板ユニット。
【請求項10】
支持体の上方に複数の第1配線基板が載置された基板ユニットの製造方法において、
支持体の上面に剥離層を形成する工程と、
前記支持体の周辺部における前記剥離層の上面および側面に樹脂層を形成する工程と、
前記樹脂層および前記剥離層の上方にシード層を形成する工程と、
前記シード層の上方に電解めっき層を形成する工程と、
前記電解めっき層と前記シード層を、前記樹脂層が露出するまで研磨し、第2配線基板と接合するための電極を形成する工程と、
露出した前記樹脂層及び電極の上面に、樹脂層と導体層の形成を繰り返して多層配線を得る工程と、
前記多層配線の最表面に半導体素子を接合するための電極を形成する工程と、
を含み、各工程をこの順番で実行することを特徴とする基板ユニットの製造方法。
【請求項11】
前記剥離層は、前記支持体の周辺部において形成されない領域を有する
ことを特徴とする請求項10に記載の基板ユニットの製造方法。
【請求項12】
前記支持体の周辺部において前記剥離層を除去する工程を含む
ことを特徴とする請求項11に記載の基板ユニットの製造方法。
【請求項13】
前記支持体の上面に前記剥離層を形成する工程の前に、前記支持体の上面に保護膜を形成する工程と、
剥離層を形成する工程の後に、前記保護膜を除去し、前記保護膜上の剥離層を除去する工程を有する
ことを特徴とする請求項12に記載の基板ユニットの製造方法。
【請求項14】
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の基板ユニットを用いた半導体装置の製造方法において、
前記第1配線基板に前記半導体素子を接合する工程と、
前記第1配線基板と前記半導体素子の間隙を第1封止樹脂で封止する工程と、
前記第1配線基板と前記半導体素子の側面を第2封止樹脂で封止する工程と、
前記支持体から前記第1配線基板を剥離する工程と、
前記第1配線基板に前記半導体素子が接合された集合体を得る工程と、
前記集合体を第1配線基板単位で個片化する工程と
前記第1配線基板を前記第2配線基板に接合する工程と、
前記第1配線基板と前記第2配線基板の間隙を第3封止樹脂で封止する工程と、
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板ユニット、基板ユニットの製造方法及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年半導体装置の高速、高集積化が進む中で、FC-BGA(Flip Chip-Ball Grid Array)基板に対しても、半導体素子との接合端子の狭ピッチ化、基板内の配線の微細化が求められている。一方、FC-BGA基板とマザーボードとの接合は、従来とほぼ変わらないピッチの接合端子での接合が要求されている。
このような半導体素子との接合端子の狭ピッチ化、FC-BGA基板内の配線の微細化に対応するため、いくつかの対応策が検討されている。
その一つは、シリコン基板上に微細な配線を形成した半導体素子接合用の基板(シリコンインターポーザ)を作成し、これをFC-BGA基板に接合する方式である。
また、シリコンインターポーザを用いずに、FC-BGA基板の表面をCMP(Chemical Mechanical Polishing、化学機械研磨)等で平坦化し、FC-BGA基板上に微細配線を形成する方式が特許文献1に開示されている。
さらに、支持体の上に微細な配線層を形成し、これをFC-BGA基板に搭載した後、支持基板を剥離することで狭ピッチな配線基板を形成する方式が特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-225671号公報
【文献】国際公開第2018/047861号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シリコンインターポーザは、シリコンウェハを利用して、半導体製造における前工程用の設備を用いて製作されている。シリコンウェハは形状、サイズに制限があり、1枚のウェハから製作できるインターポーザの数が少なく、製造設備も高価であるため、インターポーザも高価となる。また、シリコンウェハが半導体であることから、伝送特性も劣化するという問題がある。
【0005】
また、FC-BGA基板の表面の平坦化を行い、その上に微細配線層を形成する方式においては、シリコンインターポーザに見られる伝送特性劣化は小さいが、FC-BGA基板自体の製造歩留まりや、FC-BGA基板上に形成する微細配線の形成の難易度が高いため、微細配線形成の製造歩留まりが課題となっている。さらにFC-BGA基板の反り、歪みに起因した半導体素子の実装における課題も存在する。
【0006】
一方、支持体の上に微細な配線層を形成し、これをFC-BGA基板に搭載する方式の場合には、次のような問題があった。すなわち、支持基板上に形成した微細配線層をFC-BGA基板に搭載し、その後に支持基板を剥離する際に、微細配線層をFC-BGA基板に搭載時に用いた封止樹脂材が支持基板まで濡れ上がって支持基板の剥離を妨げる問題と、支持基板の剥離時に生じる力や内部に貯蔵されている応力で微細配線層全体が反るため、半導体素子を実装する際に不具合を生じる問題である。
【0007】
さらに、別の手法として、支持基板の上に微細な配線層を形成し、この微細配線層の上に半導体素子を実装、封止を行った後に、支持基板から微細配線層を剥離し、剥離した半導体素子付きの微細配線層をFC-BGA基板へ搭載する方法がある。
この方式によれば、支持基板に保持された微細配線層に半導体素子を搭載するため、反り等の変形が少ない状態で半導体素子を実装することが可能である。
しかしながら、支持基板と微細配線層の間には剥離層が形成されており、支持体及び剥離層には上方の配線層を形成する際の熱履歴や、蓄積される応力に対する耐性が必要となる。このため、支持体には剛直性が求められるが、その結果、支持体と剥離層の界面において応力が集中しやすく、支持体と剥離層の界面において剥がれが生じやすいという問題があった。特に、剥離層上に微細配線層を形成する工程において、剥離層上に導体層を形成したときの応力に起因して剥離層への薬液の侵入が発生し、剥離工程前の段階で剥離層に剥がれが発生するという問題があった。
【0008】
そこで本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、剥離工程前の段階で剥離層に剥がれが発生せず、安定的な製造が可能な基板ユニット、基板ユニットの製造方法及び半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の発明の実施形態において説明される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明の代表的な基板ユニットの一つは
支持体と前記支持体の上方に剥離層を介して複数の第1配線基板が載置された基板ユニットであって、
前記第1配線基板の第1の表面には、少なくとも一つの半導体素子を接合するための電極が設けられており、
前記第1配線基板の第2の表面には、第2配線基板と接合するための電極が設けられており、
前記基板ユニットの周辺部における前記剥離層の上面または側面には樹脂層が形成されている。
【0010】
また、本発明の本発明の代表的な基板ユニットの製造方法の一つは、
支持体の上面に剥離層を形成する工程と、
前記支持体の周辺部の前記剥離層上面または側面に樹脂層を形成する工程と、
前記樹脂層および前記剥離層の上方にシード層を形成する工程と、
前記シード層の上方に電解めっき層を形成する工程と、
前記電解めっき層と前記シード層を、前記樹脂層が露出するまで研磨し、第2配線基板と接合するための電極を形成する工程と、
露出した樹脂層及び電極の上面に、樹脂層と導体層の形成を繰り返して多層配線を得る工程と、
前記多層配線の最表面に半導体素子を接合するための電極を形成する工程と、
を含む。
【0011】
さらに、本発明の代表的な半導体装置の製造方法の一つは、
前記第1配線基板に半導体素子を接合するする工程と、
前記第1配線基板と前記半導体素子の間隙を第1封止樹脂で封止する工程と、
前記第1配線基板と前記半導体素子の側面を第2封止樹脂で封止する工程と、
前記支持体から前記第1配線基板を剥離する工程と、
前記第1配線基板に前記半導体素子が接合された集合体を得る工程と、
前記集合体を第1配線基板単位で個片化する工程と
前記第1配線基板を前記第2配線基板に接合する工程と、
前記第1配線基板と前記第2配線基板の間隙を第3封止樹脂で封止する工程と、
を含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、剥離工程の前の段階で、剥離層に剥がれが発生することを防止することが可能となる。
上記した以外の課題及び効果は以下の実施形態において説明される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】支持体の上方に剥離層を形成した状態を示す図である。
図2】複数の第1配線基板を支持体の上方に載置した状態を示す平面図である。
図3】支持体の周辺部に樹脂層を形成した状態を示す断面図である。
図4】絶縁樹脂層及び導体層を形成する工程を示す断面図である。
図5A】ビア部の絶縁樹脂層を形成してから導体層を形成する工程を示す断面図である。
図5B】レジストパターンを除去し不要なシード層をエッチング除去する工程を示す断面図である。
図6】多層配線を形成した状態を示す断面図である。
図7】半導体素子との接合用電極を形成した状態を示す断面図である。
図8】表面処理層を形成し、支持体上の第1配線基板が完成した状態を示す断面図である。
図9】第1配線基板を複数載置した支持体を示す断面図である。
図10】第1配線基板への半導体素子を搭載した工程を示す断面図である。
図11】剥離層を除去する工程を示す断面図である。
図12】第1配線基板へのはんだ接合部形成を示す工程図である。
図13】半導体素子を搭載した第1配線基板をFC-BGA基板に搭載する状態を示す断面図である。
図14】本発明の半導体装置の一例を示す断面図である。
図15】比較例の工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0015】
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0016】
<本発明の実施形態>
以下、図面を用いて、本発明の一実施形態に係る支持体を用いた配線基板の製造工程の一例を説明する。
なお、本開示において「支持体」とは、面を有する物体を意味し、「支持体の周辺部」とは、支持体の面における周辺部を意味する。
また、「上面」とは面や層の法線方向の表面を意味し、「側面」とは、上面ではない領域、つまり面や層の厚みの部分を意味する。さらに、上面の一部及び側面を合わせて「端部」ということがある。
また、「上方」とは、面又は層を水平に載置した場合の垂直上方の方向を意味する。
また、「平面形状」とは、上方から面又は層を視認した場合の形状を意味する。
さらに、「中心部」とは、面又は層の周辺部ではない中心部を意味する。そして、「中心方向」とは、面又は層の周辺部から面又は層の平面形状における中心に向かう方向を意味する。
【0017】
まず、図1に示すように、矩形の板状部材である支持体1を用いた場合を例として説明する。支持体1の第1の面に、後の工程で支持体1を剥離するために必要な剥離層2が形成される。
図1(a)は、支持体1の上面に剥離層2が形成された状態を示す断面図であり、図1(b)は支持体1の上方から支持体1及び剥離層2を見た平面図である。
剥離層2は、支持体1の平面形状と同一の形状に形成されてもよいが、図1(b)に示すように、支持体1の端部には剥離層2を形成しなくともよい。
なお、図1に示すような、支持体1の周辺部において剥離層2が形成されない領域を作成するためには、支持体1の上面全体に剥離層2を形成した後に、支持体1の周辺部の剥離層を除去する工程によって得ることとしてもよい。
剥離層を除去する工程としては、支持体1の上面に剥離層2を形成する前に、支持体1の周辺部に保護膜を形成しておき、支持体1及び保護膜の上面に剥離層2を形成した後、保護膜を除去することによって、保護膜の上面に形成された剥離層を除去することによって、支持体1の周辺部の剥離層を除去することとしてもよい。
【0018】
さらに、支持体1の平面形状が矩形の場合、剥離層2の平面形状も、支持体1の形状と同様に矩形に形成される。しかし、剥離層2が剥離工程前に剥離されることがないよう、剥離層2の平面形状は、図1(c)に示すように、平面形状における角部に面取りした領域を有することとしてもよい。面取りの形状としては、様々な形状が採用可能であるが、円弧形状が好ましい。このような角部の面取りを行った形状により、角部における応力の集中を緩和し、結果的に角部における薬液の浸透を防止し、剥離層の剥離を防止することができる。
また、本実施形態では、図2に示すように、支持体1の上方には、複数の第1配線基板11が載置され、基板ユニットが形成されることとなる。
支持体1は、本実施形態では矩形の板状部材であるパネルを用いて説明するが、支持体1は、例えば、円形のウェハであってもよい。
【0019】
剥離層2は、例えば、UV光などの光を吸収して発熱、もしくは、変質によって剥離可能となる樹脂でもよく、熱によって発泡により剥離可能となる樹脂でもよい。
具体的には、剥離層2は、例えばエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、ポリエステル樹脂、オキセタン樹脂、マレイミド樹脂、及び、アクリル樹脂などの有機樹脂や、アモルファスシリコン、ガリウムナイトライド、金属酸化物層などの無機層から選ぶことが出来る。さらに剥離層2は光分解促進剤や光吸収剤、増感剤、フィラー等の添加剤を含有してもよい。
【0020】
さらに剥離層2は複数層で構成されていてもよく、例えば、後の工程で支持体1上に形成される多層配線層の保護を目的として、剥離層2上にさらに保護層を設けることや、支持体1との密着性を向上させる層を剥離層2の下層に設けてもよい。さらに剥離層2と多層配線層との間にレーザー光反射層や金属層を設けてもよく、その構成は本実施形態により限定されない。
なお、剥離層2としてUV光などの光、例えばレーザー光によって剥離可能となる樹脂を用いる場合、支持体1が透光性であれば、剥離層2に光を照射する方向は、剥離層2を設けた側とは反対側の面から支持体1に光を照射してもよい。
また、支持体1に剥離層2形成する場合、支持体の端部に剥離層2が形成されず、支持体1が露出した領域を設けてもよい。
【0021】
支持体1は、支持体1を通じて剥離層2に光を照射させる場合もあるため、透光性を有するのが有利であり、例えば矩形のガラス板を用いることができる。矩形のガラスは大型化に適しているとともに、ガラスは平坦性に優れており、また、剛性が高いため、支持体上に微細なパターンを形成するのに適している。
また、ガラスはCTE(coefficient of thermal expansion、熱膨張率)が小さく歪みにくいことから、パターン配置精度及び平坦性の確保に優れている。支持体1としてガラスを用いる場合、ガラスの厚さは、製造プロセスにおける反りの発生を抑制する観点から厚い方が望ましく、例えば0.7mm以上、好ましくは1.1mm以上の厚みである。
【0022】
さらに、ガラスのCTEは3ppm以上15ppm以下が好ましく、FC-BGA基板(第2配線基板)12、半導体素子10のCTEとの整合性の観点から9ppm程度がより好ましい。
ガラスの種類としては、例えば石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラス、ソーダガラス、又は、サファイヤガラス等が用いることができる。
一方、剥離層2に熱によって発泡する樹脂を用いる等、支持体1を剥離する際に支持体1に光の透過性が必要でない場合は、支持体1には、歪みの少ない例えばメタルやセラミックスなどを用いることができる。
以下、本発明の一実施形態では、剥離層2としてUV光を吸収して剥離可能となる樹脂を用い、支持体1にはガラスを用いる例で説明する。
【0023】
次に、図3(a)に示すように樹脂層3を形成する。支持体1および剥離層2の端部に樹脂層3を形成することで、後の工程において、薬液の浸透などに起因する剥離層2の端部の剥離を抑制することが可能となる。特に、支持体1の周辺部の上面に剥離層2を形成せずに支持体1が露出した領域を設けることによって、剥離層2の端部を樹脂層3で強固に覆うことが可能となり、剥離層2の剥離を効果的に抑制できる。
さらに、図3(b)に示すように、支持体1の側面の一部にも樹脂層3が形成されると剥離層2の剥離防止効果はさらに高まる。
なお、支持体1と樹脂層3が接している領域の中心方向の距離は2mm以上であることが望ましく、2mm以上の領域があれば、剥離層の剥離を効果的に防止することができる。
【0024】
なお、図3(c)に示すように、樹脂層3は支持体1および剥離層2の端部だけでなく、剥離層の周辺部以外の内部にも形成してもよい。樹脂層3を絶縁樹脂で形成することにより、剥離層2の上方に形成される多層配線基板の絶縁樹脂層として用いることができる。本実施形態では、絶縁樹脂層として例えば、感光性のエポキシ系樹脂をスピンコート法により形成する。感光性のエポキシ樹脂は比較的低温で硬化することができ、形成後の硬化による収縮が少なく、その後の微細パターン形成に優れている。
【0025】
感光性樹脂の形成方法としては、液状の感光性樹脂を用いる場合は、スリットコート、カーテンコート、ダイコート、スプレーコート、静電塗布法、インクジェットコート、グラビアコート、スクリーン印刷、グラビアオフセット印刷、スピンコート、ドクターコートより選定できる。フィルム状の感光性樹脂を用いる場合は、ラミネート、真空ラミネート、真空プレスなどが適用できる。絶縁樹脂層は、例えば感光性ポリイミド樹脂、感光性ベンゾシクロブテン樹脂、感光性エポキシ樹脂およびその変性物を絶縁樹脂として用いることも可能である。
【0026】
次いで、フォトリソグラフィーにより、絶縁樹脂層に開口部を設ける。開口部に対しては、現像時の残渣除去を目的として、プラズマ処理を行ってもよい。絶縁樹脂層3の厚みは、開口部に形成する導体層の厚みに応じて設定され、本発明の一実施形態では例えば7μmとしている。また平面視の開口部形状は、FC-BGA基板の接合用電極のピッチ、形状に応じて設定され、本発明の一実施形態では例えばφ80μmの開口形状とし、ピッチは150μmとしている。
【0027】
次に、図4図9において、支持体1の面の上方に第1配線基板11を製造するための工程を説明する。なお、図4図9においては、支持体1の中心部の領域の一部を拡大した図を用いて、本発明の第1配線基板の多層配線の形成工程、接合用電極の形成工程の一例を説明する。
図4(a)は、図3(b)で説明したとおり、支持体1の面の上方に剥離層2および絶縁樹脂層3が形成されている。
【0028】
次に、図4(b)に示すように、真空中で、剥離層2上にシード層4を形成する。シード層4は配線形成において、電解めっきの給電層として作用する。シード層4については、例えば、スパッタ法、またはCVD法などにより形成され、例えば、Cu、Ni、Al、Ti、Cr、Mo、W、Ta、Au、Ir、Ru、Pd、Pt、AlSi、AlSiCu、AlCu、NiFe、ITO、IZO、AZO、ZnO、PZT、TiN、Cu、これらの単独もしくは複数組み合わせたものを適用することができる。
【0029】
本実施形態では、電気特性、製造の容易性の観点およびコスト面を考慮して、チタン層、続いて銅層を順次スパッタリング法で形成する。チタンと銅層の合計の膜厚は、電解めっきの給電層として1μm以下とするのが好ましい。本発明の一実施形態ではTi:50nm、Cu:300nmを採用している。
【0030】
次に図4(c)に示すように、シード層4の上方に電解めっきにより導体層5を形成する。この導体層5は、後に、FC-BGA基板12と接合用電極となる。電解めっきの種類としては、電解ニッケルめっき、電解銅めっき、電解クロムめっき、電解Pdめっき、電解金めっき、電解ロジウムめっき、電解イリジウムめっき等が挙げられるが、電解銅めっきであることが簡便で安価で、電気伝導性が良好であることから望ましい。
電解銅めっきの厚みは、導体層5がFC-BGA基板12と接合用電極となり、はんだ接合されることを踏まえ、1μm以上、且つ、生産性の観点から30μm以下であることが望ましい。本発明の一実施形態では絶縁樹脂層3の開口部にはCu:9μmの厚みで電解銅めっきを施し、絶縁樹脂層3の上部にはCu:2μmの厚みで電解銅めっきを施している。
導体層の厚みが増すと、導体層の応力によって剥離層2が剥離しやすくなるが、本実施例では、支持体の周辺部に樹脂層を設けることにより、導体層5の厚さを5μm以上としても、剥離層の剥離を防止することができる。
【0031】
次に図4(d)に示すように、CMP(化学機械研磨)加工等によって銅層を研磨し、導体層5、及び、シード層4を除去する。本発明の一実施形態では、絶縁樹脂層3の上部の導体層5のCu:2μm、及び、シード層4を研磨により除去する。そして、研磨を行った後に残った導体層5が、FC-BGA基板12との接合用電極となる。つまり、本実施形態では、ダマシン法によりFC-BGA基板12との接合用電極を形成する。
【0032】
次いで、配線層を形成する。本発明の一例では、配線層はセミアディティブ法(SAP)にて形成する。まず、図5Aに示すように、図4(a)で説明したものと同様に、図4(d)で形成した平面の上面に絶縁樹脂層3を形成する。絶縁樹脂層3の厚みは、開口部に形成する導体層の厚みに応じて設定され、本発明の一実施形態では例えば2μmとしている。
また絶縁樹脂層3における開口部は、導体層5との接合がとなるように形成され、本発明の一実施形態では例えばφ10μmの開口として形成する。この開口部は多層配線の上下層をつなぐビア部の形状となる。
【0033】
次いで、図5A(b)に示すように、図4(b)で説明したものと同様に真空中で、シード層4を形成する。
次いで、図5A(c)に示すように、シード層4の上面にレジストパターン6を形成する。その後、図5A(d)のように電解めっきにより導体層5を形成する。導体層5はビア部、及び、配線部となる。
電解めっきの種類としては、電解ニッケルめっき、電解銅めっき、電解クロムめっき、電解Pdめっき、電解金めっき、電解ロジウムめっき、電解イリジウムめっき等が挙げられるが、電解銅めっきであることが簡便で安価で、電気伝導性が良好であることから望ましい。
【0034】
電解銅めっきの厚みは、配線部の電気抵抗の観点から0.5μm以上、生産性の観点から30μm以下であることが望ましい。本発明の一実施形態では絶縁樹脂層3の開口部にはCu:4μmを形成し、絶縁樹脂層3の上部にはCu:2μmを形成している。
【0035】
その後、図5B(e)に示すようにレジストパターン6を除去する。その後、図5B(f)に示すように不要なシード層4をエッチング除去する。
そして、図5A及び図5Bの工程を繰り返すと、剥離層2の上方に多層構造の配線を形成することができる。図6の例では、配線層を2層形成したものを例として示している。
【0036】
次いで、図7に示すように、半導体素子10との接合用電極とするための導体層5を形成して基板ユニットとすることができる。接合用電極の形成方法は、上述した配線層の形成方法と同様であるが、接合用電極と配線層とでは、電解銅めっきの厚みが異なる。接合用電極の電解銅めっきの厚みは、はんだ接合の観点から1μm以上、且つ、生産性の観点から30μm以下であることが望ましい。本発明の一実施形態では絶縁樹脂層3の開口部にはCu:9μmを形成し、絶縁樹脂層3の上部にはCu:7μmを形成する。
【0037】
次に、図8に示すように導体層5の表面の酸化防止とはんだバンプの濡れ性をよくするため、基板ユニットには、表面処理層7を設けることとしてもよい。本発明の実施形態では、表面処理層7として、電解Ni/SnAgめっきを成膜する。なお、表面処理層7には、OSP(Organic Soiderability Preservative 水溶性プレフラックスによる表面処理)膜を形成してもよい。また、電解めっきとして、Sn、SnAg、Ni/Sn、Ni/SnAg、Ni/Cu/Sn、Ni/Cu/SnAg、Ni/Au、Ni/Pd/Au、無電解めっきとして、Ni/Au、Ni/Pd/Au、Snなどの表面処理から適宜用途に応じて選択しても良い。
【0038】
これにより、図9に示すように、支持体上に第1配線基板11が完成し、支持体上に第1配線基板11が複数面付された基板ユニット11Aを得ることができる。
この基板ユニットにおいて、剥離層2の上面部またはおよび側面に形成されている樹脂層の厚さは、20μm以上であることが好ましく、これによって、支持体の周辺部における剥離層2の剥離をより強固に防止することができる。
【0039】
配線層の形成については、図5図8に記載したSAP(Semi Additive Process)工法の他、ダマシン(Damascene)法によって実現することも可能である。ダマシン法の場合は、絶縁樹脂層を積層後にフォトリソグラフィーよりパターン形成を行い、シード層を形成した後に電解銅めっき処理を行う。電解銅めっき処理後は、CMP:Chemical Mechanical Polishingによって平坦化処理をおこなえばよい。配線層の層数は少なくとも1層以上であり、第1配線基板の線幅に応じて、適宜設定して構わない。
【0040】
次に、図10図14を用いて、本発明の一実施形態に係る半導体素子の実装工程、支持体並びに剥離層の除去工程、FC-BGA基板への実装工程からなる半導体装置の製造方法の一例を説明する。図10図14は、支持体1の上方に載置された複数の第一配線基板の細部を説明するため、個片化後の第1配線基板11の領域に限定した断面図で説明する。
【0041】
まず、図10(a)に示す半導体素子10の搭載工程を説明する。図10(a)において、8は半導体素子搭載用電極、9はFC-BGA基板との接合用電極、11は第1配線基板、13は半導体素子と第1配線基板とのはんだ接合部である。
第1配線基板11への半導体素子10の搭載は、マウント&リフロー、TCB(Thermal Compression Bonding)などを使用して搭載する。TCBについては、はんだ接合後に第1封止樹脂15を毛細管現象で注入するTC-CUF(Thermal Compression Capillary Underfill)方式、フィルム状接合材料(NCF)や、接合前に液状の樹脂を予め配置し接合時に空間を充填する非導電ペースト(NCP)などを用いてもよい。
【0042】
本発明では、図10(b)に示すはんだ接合後の第1封止樹脂15による封止に当たっては、毛細管現象で注入するTC-CUFを使用している。半導体素子10の搭載方法については、半導体素子10のサイズ、搭載に使用する設備の観点から、適宜変更しても良い。ただし、第1配線基板11と、半導体素子10の接合ピッチが微細である場合には、TCBのいずれかの方式を選択することが好ましい。
【0043】
次に、図10(c)に示すように、半導体素子10の側面を保護するために第2封止樹脂16で封止を行う。第2封止樹脂16で使用される材料は、顆粒、液状、タブレット形状であり、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、オキセタン樹脂の1種又はこれらの樹脂の2種類以上が混合された樹脂に、フィラーとしてのシリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、又は酸化亜鉛等が加えられた材料が使用されおり、コンプレッションモールド、もしくはトランスファーモールドによって形成される。樹脂の形状、組成、形成方法については、支持体1への第1配線基板11の載置の態様に応じて、適宜設定して構わない。本発明では、液状のエポキシ樹脂を使用し、コンプレッションモールドで成形している。
【0044】
次に、図10(d)に示すように第2封止樹脂16で封止した第1配線基板11に対し、半導体素子10の上面の第2封止樹脂16を除去する。半導体素子10上に第2封止樹脂16が残存すると、第2封止樹脂16のCTEの影響により反りが発生するおそれがあり、場合によっては、第1配線基板11と第2封止樹脂16の界面で剥離が発生する可能性がある。半導体素子10上の第2封止樹脂16の除去はCMP、グラインド加工等が採用できる。本発明ではグラインド加工によって半導体素子10上の第2封止樹脂16の除去を行っている。
【0045】
次に、図11に示すように、支持体1から第1配線基板及び半導体素子を分離する工程について説明する。
なお、図11では、図10に示した個片化後の半導体素子が接合された支持体1と第1配線基板11について天地を逆にした様式で表記している。
剥離層2がレーザー光18を照射して剥離可能な場合、支持体1が透光性であるので、その背面、すなわち、支持体1の第1配線基板とは逆側の側からレーザー光18を剥離層2に照射することにより、図11(b)に示すように、支持体1を取り外すことが可能となる。
【0046】
次に、図11(c)に示すように、剥離層2をドライエッチング、溶剤洗浄、超音波洗浄等によって確実に除去し、FC-BGA基板12との接合用電極9を露出させる。ドライエッチングを使用する場合、使用するガスはO、Ar、CF等のガス種を少なくとも一つ以上含むガスを使用しエッチングを行う。溶剤洗浄の場合は、アセトン、トルエン、MEK、メタノール等の溶剤を使用する。超音波洗浄の場合は、発振周波数28kHz~1MHzの範囲で除去を行う。剥離層2の除去については、これらの除去方法をいずれか一つ以上を組み合わせて除去を行ってもよい。
【0047】
次に図12に示す第1配線基板11のFC-BGA基板12との接合用電極9へのはんだ形成を行う。はんだ形成については、FC-BGA基板12との接合用電極9にOSP(Organic Solderability Preservative 水溶性プレフラックスによる表面処理)膜、または無電解めっき処理にてNi/Au、Ni/Pd/Au、Snを形成した後にフラックス印刷をし、はんだボールを搭載しリフロー、もしくは電解めっき処理でSn、SnAg、Ni/Sn、Ni/SnAg、Ni/Cu/Sn、Ni/Cu/SnAg、Snを形成した後にフラックスを印刷した後にはんだボールを搭載する方法、もしくは、電解めっき処理にてSn、SnAg、Ni/Sn、Ni/SnAg、Ni/Cu/Sn、Ni/Cu/SnAgを形成してリフロー、または、直接印刷ではんだペーストを印刷しリフローを行う方法がある。本発明の実施形態では、無電解めっき処理にてNi/Pd/Auを形成した後にフラックス印刷をし、はんだボールを搭載しリフローを行っている。これによって第1配線基板とFC-BGA基板とのはんだ接合部14を形成され、半導体素子10が第1の封止樹脂及び第2の封止樹脂で固定された第1配線基板11の集合体が完成する。
【0048】
次に、ボール搭載後の集合体としての第1配線基板11は、支持体又はウェハの形状に応じて、ピースサイズに個片化を行う。個片化方式についてはブレードダイシング、レーザダイシング、プラズマダイシング等の方式が挙げられるが、方式については適宜設定して良い。本発明では、ブレードダイシングを使用しピースサイズに個片化を行っている。
【0049】
次に図13に示すように、FC-BGA基板12に、個片化された半導体素子10を搭載した第1配線基板11が搭載される。半導体素子10を搭載した第1配線基板11の搭載はマウント&リフロー、TCBなどを使用してFC-BGA基板12に搭載される。
本実施形態では、FC-BGA基板12に半導体素子10を搭載した第1配線基板11を搭載しマウント&リフロー方式でFC-BGA基板12と半導体素子10を搭載した第1配線基板11とのはんだ接合を行い、第3封止樹脂17を毛細管現象でFC-BGA基板12と第1配線基板11の隙間に注入する。この結果、図14に示すように、本発明の半導体装置19を得ることができる。
【0050】
以上、本発明の一実施形態を例示したが、本発明は上記実施形態に限定されたものではなく、本発明の実施形態の技術的思想が逸脱しない限り、配線基板としての用途を考慮し、要求される他の物性である剛性、強度、耐衝撃性などを向上する目的で、他の層や構造を任意に形成できることはいうまでもない。
【0051】
<作用効果>
次に、上述したような基板ユニットの構成とその製造方法を用いた場合の作用効果について説明する。
【0052】
本発明の一態様によれば、支持体の上に剥離層および微細な配線層を形成し、半導体素子を実装、封止を行った後に支持基板の剥離、FC-BGA基板へ搭載する方法おいて、剥離層上に微細な配線層を形成する工程における、剥離層の剥離を防止し、安定的に製造することが可能となる。
しかも、絶縁樹脂層3の内部に膜厚の大きな導体層5を形成した場合であっても、絶縁樹脂層によって導体層による応力を緩和することが可能なことから、剥離層の剥離を抑制することが可能となる。
【0053】
<比較例>
剥離層上に絶縁樹脂層を形成せずに導体層を形成した構成とその製造方法について、比較例として図15を参照して説明する。図15の(a)は剥離層上にシード層を形成した状態を示す断面図、(b)はレジストパターンを形成した状態を示す断面図、(c)は導体層を形成した状態を示す断面図、(d)はレジストパターンを除去した状態を示す断面図、(e)は不要なシード層をエッチング除去した状態を示す断面図である。
【0054】
比較例では、支持体上の第1配線基板11のFC-BGA基板12との接合用電極の導体層5の形成方法として、公知技術であるセミアディティブ法(SAP)を用いる。図15に示すように、支持体1上に剥離層2並びにシード層4を形成しているが、支持体の周辺部における、剥離層の上面および側面には樹脂層が形成されていない。
【0055】
図15(a)に示すように、比較例では、シード層を形成した後、(b)に示すようにレジストパターン形成する。次に(c)に示すように電解めっきで導体層5を形成する。その後、(d)に示すようにレジストパターンを剥離し、さらに、(e)に示すように、シード層4をエッチングすることによって、導体層5のパターンを形成し、FC-BGA基板12との接合用電極9を得る。
【0056】
このとき、剥離層2は、レジストパターン剥離液およびシード層エッチング液に触れることによって、一部が剥離するおそれがある。さらに、剥離層2の剥離によって、導体層5も剥離する。
また、剥離層2上に絶縁樹脂層がなく導体層5が形成されると、絶縁樹脂層の応力緩和効果が得られないため、導体層5の応力によっての剥離層2および導体層5の一部が剥離するおそれがある。さらに、配線層の形状によっては端部に導体層5が形成されることがあり、端部にCu等の金属のような弾性率の高い材料が配置されると、端部に強い応力がかかり剥離層2の剥がれが一層発生しやすくなる。
【0057】
<作用効果の確認>
本実施形態の効果の確認として、実施例の第1配線基板11の作製と比較例での第1配線基板の作製を実施した。比較例で作製した第1配線基板では、支持体1と剥離層2が意に反して剥離することがあり、剥離層2自体が破損することが観察された。また、導体層5も剥離することがあった。
一方、本発明の実施形態で作製した第1配線基板11では剥離は観察されず、第1配線基板は支持体1及び剥離層2に密着していた。
【0058】
上述の実施形態は一例であって、その他、具体的な細部構造などについては適宜に変更可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0059】
1 支持体
2 剥離層
3 樹脂層(絶縁樹脂層)
4 シード層
5 導体層
6 レジストパターン
7 表面処理層
8 半導体素子搭載用電極
9 FC-BGA基板との接合用電極
10 半導体素子
11 第1配線基板
11A 基板ユニット
12 FC-BGA基板(第2配線基板)
13 半導体素子と第1配線基板とのはんだ接合部
14 第1配線基板とFC-BGA基板とのはんだ接合部
15 第1封止樹脂
16 第2封止樹脂
17 第3封止樹脂
18 レーザー光
19 半導体装置
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15