(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】圧力センサー及び大型圧力センサー
(51)【国際特許分類】
G01L 1/16 20060101AFI20240717BHJP
G01L 5/00 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
G01L1/16 B
G01L5/00 101Z
(21)【出願番号】P 2020095534
(22)【出願日】2020-06-01
【審査請求日】2023-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001276
【氏名又は名称】弁理士法人小笠原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 幸一
(72)【発明者】
【氏名】石▲崎▼ 守
【審査官】公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-090686(JP,A)
【文献】特開2012-225727(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0188849(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 1/16
G01L 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の信号配線と、前記信号配線と交差する複数の走査配線とを含むマトリクス配線と、該マトリクス配線の信号配線と走査配線との交点に対応する画素部の圧力を検出する圧力センサーであって
絶縁基板上に、前記信号配線と前記走査配線とに接続された薄膜トランジスタと、前記薄膜トランジスタに接続された感圧媒体と、を有する中央の感圧領域と、
前記絶縁基板上に、前記信号配線と前記走査配線とを有し、感圧媒体を有しない縁部の接続領域とを含み、
前記接続領域のうち、圧力センサーの平面視において上縁部の接続領域と下縁部の接続領域とには信号配線の両端が露出し、左縁部の接続領域と右縁部の接続領域とには走査配線の両端が露出し、
前記感圧領域から前記上縁部へと向かう方向に沿った前記上縁部の幅と
前記感圧領域から前記下縁部へと向かう方向に沿った前記下縁部の幅とは略同等であり、
前記感圧領域から前記左縁部へと向かう方向に沿った前記左縁部の幅と
前記感圧領域から前記右縁部へと向かう方向に沿った前記右縁部の幅とは略同等であり、前記複数の信号配線と前記複数の走査配線との配置が、圧力センサーの平面視において上下対称であるか、あるいは左右対称である、圧力センサー。
【請求項2】
さらに複数の電源配線を有し、前記上縁部の接続領域と前記下縁部の接続領域とには前記電源配線の両端が露出するか、あるいは、前記左縁部の接続領域と前記右縁部の接続領域とには前記電源配線の両端が露出し、
前記複数の信号配線と前記複数の走査配線と前記複数の電源配線との配置が、圧力センサーの平面視において上下対称であるか、あるいは左右対称である、請求項1に記載の圧力センサー。
【請求項3】
前記接続領域の厚さが、前記感圧領域の厚さの半分未満である、請求項1または2に記載の圧力センサー。
【請求項4】
前記上縁部および前記下縁部の
、前記感圧領域から自身へと向かう方向に沿った前記接続領域の幅が、前記感圧領域の行方向(上下方向)の画素ピッチより小さく、前記左縁部および前記右縁部の、前記感圧領域から自身へと向かう方向に沿った前記接続領域の幅が、前記感圧領域の列方向(左右方向)の画素ピッチより小さい、請求項1~3のいずれか1項に記載の圧力センサー。
【請求項5】
前記感圧領域が略長方形であり、前記接続領域の外周が、前記感圧領域の上下辺と平行かつ上下辺の長さ以下の2辺と、前記感圧領域の左右辺と平行かつ左右辺の長さ以下の2辺と、を含む多角形である、請求項1~4のいずれか1項に記載の圧力センサー。
【請求項6】
前記感圧媒体は有機圧電体である、請求項1~5のいずれか1項に記載の圧力センサー。
【請求項7】
前記絶縁基板は有機物が主成分である、請求項6に記載の圧力センサー。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の圧力センサーを複数接続した大型圧力センサーであって
前記感圧媒体を表側に向けた圧力センサーの縁部の信号配線には、前記感圧媒体を裏側に向けた圧力センサーの縁部の信号配線を接続し、前記感圧媒体を表側に向けた圧力センサーの縁部の走査配線には、前記感圧媒体を裏側に向けた圧力センサーの縁部の走査配線を接続し、前記感圧媒体を表側に向けた圧力センサーの縁部の電源配線には、前記感圧媒体を裏側に向けた圧力センサーの縁部の電源配線を接続した、大型圧力センサー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大型化に好適な圧力センサーに関する。
【背景技術】
【0002】
近時の技術発展に伴い、圧力センサー装置が実用化されている。従来の圧力センサーとしては、例えば、特許文献1に記載のものが知られている。
図1は、特許文献1に記載の圧力感知素子の構造を示す断面図である。
図1に示すように、この従来の圧力センサーは、対向する一対のダイヤフラム52、52’の周辺部の間にスペーサ50を配置し、ダイヤフラム52、52’が適長間隔をおいて対向するように形成されている。ダイヤフラム52、52’はガラス、セラミック又は金属等からなる。この従来の圧力センサーにおいては、ダイヤフラム52、52’に外部から圧力が加わると、ダイヤフラム52、52’が撓み、ダイヤフラム52、52’間の容量が次第に増加する。この容量を計測することで、印加された圧力を測定することができる。なお、特許文献1では、線温度係数ができるだけ小さい材料からなるスペーサ50を用いることで容量自体の温度変化を抑制し、更に、ダイヤフラムとして適切な材料を選択することで撓み量の温度変化も抑制し、これにより、温度変化の影響の少ない圧力センサーが得られるとしている。
【0003】
また、特許文献2(
図2)、特許文献3(
図3)、特許文献4(
図4)には、圧電フィルムや圧電振動子を用いて圧力分布を検出するセンサーが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開昭58-55732号公報
【文献】特開昭62-2132号公報
【文献】特開昭63-208734号公報
【文献】特開平3-287034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これらのセンサーは、構造が複雑で、全体の大きさが基板の大きさ以内に限定され、大面積化が困難であった。
【0006】
本発明は、大型化に適した圧力センサーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明に掛かる圧力センサーは、基板の、感圧媒体のない部分の、左右線対称または上下線対称に走査配線、電源配線と信号配線を有し、圧力センサーを表裏互い違いに重ねて、走査配線どうし、電源配線どうし、信号配線どうしを接続してタイリング構造を有することを特徴とする。
【0008】
本発明の一局面は、複数の信号配線と、信号配線と交差する複数の走査配線とを含むマトリクス配線と、該マトリクス配線の信号配線と走査配線の交点とに対応する画素部の圧力を検出する圧力センサーであって、絶縁基板上に、信号配線と走査配線とに接続された薄膜トランジスタと、薄膜トランジスタに接続された感圧媒体と、を有する中央の感圧領域と、絶縁基板上に、信号配線と走査配線を有し、感圧媒体を有しない縁部の接続領域とを含み、接続領域のうち、圧力センサーの平面視において上縁部の接続領域と下縁部の接続領域とには信号配線の両端が露出し、左縁部の接続領域と右縁部の接続領域とには走査
配線の両端が露出し、感圧領域から上縁部へと向かう方向に沿った上縁部の幅と感圧領域から下縁部へと向かう方向に沿った下縁部の幅とは略同等であり、感圧領域から左縁部へと向かう方向に沿った左縁部の幅と感圧領域から右縁部へと向かう方向に沿った右縁部の幅とは略同等であり、複数の信号配線と複数の走査配線の配置が、圧力センサーの平面視において上下対称であるか、あるいは左右対称である、圧力センサーである。
【0009】
圧力センサーは、さらに複数の電源配線を有し、上縁部の接続領域と下縁部の接続領域とには電源配線の両端が露出するか、あるいは、左縁部の接続領域と右縁部の接続領域とには電源配線の両端が露出し、複数の信号配線と複数の走査配線と複数の電源配線との配置が、圧力センサーの平面視において上下対称であるか、あるいは左右対称であってもよい。
【0010】
圧力センサーは、は、接続領域の厚さが、感圧領域の厚さの半分未満であってもよい。
【0011】
圧力センサーは、上縁部および下縁部の、感圧領域から自身へと向かう方向に沿った接続領域の幅が、感圧領域の行方向(上下方向)の画素ピッチより小さく、左縁部および右縁部の、感圧領域から自身へと向かう方向に沿った接続領域の幅が、感圧領域の列方向(左右方向)の画素ピッチより小さくてもよい。
【0012】
圧力センサーは、感圧領域が略長方形であり、接続領域の外周が、感圧領域の上下辺と平行かつ上下辺の長さ以下の2辺と、感圧領域の左右辺と平行かつ左右辺の長さ以下の2辺と、を含む多角形であってもよい。
【0013】
圧力センサーの感圧媒体は、有機圧電体であってもよい。
【0014】
圧力センサーの絶縁基板は、有機物が主成分であってもよい。
【0015】
本発明の他の局面は、上述の圧力センサーを複数接続した大型圧力センサーであって、感圧媒体を表側に向けた圧力センサーの縁部の信号配線には、感圧媒体を裏側に向けた圧力センサーの縁部の信号配線を接続し、感圧媒体を表側に向けた圧力センサーの縁部の走査配線には、感圧媒体を裏側に向けた圧力センサーの縁部の走査配線を接続し、感圧媒体を表側に向けた圧力センサーの縁部の電源配線には、感圧媒体を裏側に向けた圧力センサーの縁部の電源配線を接続した大型圧力センサーである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、構造が簡単で、大面積の圧力センサーを構成することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図4】従来の圧電圧力分布センサーの構造を示す断面図
【
図5】本発明の実施形態、実施例1に係る圧力センサーの平面図
【
図6】本発明の実施形態、実施例1に係る圧力センサーの
図5のA-A’線に沿った断面図
【
図7】本発明の実施形態、実施例2に係る大型圧力センサーの
図8のB-B’線に沿った断面図
【
図8】本発明の実施形態、実施例2に係る大型圧力センサーの構造を示す平面図
【
図9】本発明の実施例3に係る圧力センサーの平面図
【
図10】本発明の実施例3に係る圧力センサーの回路図
【
図11】本発明の実施例4に係る圧力センサーの平面図
【
図12】本発明の実施例4に係る圧力センサーの回路図
【
図13】本発明の実施形態に係る圧力センサーの共通電極接続の一例を示す説明図
【
図14】本発明の実施形態に係る圧力センサーの共通電極接続の一例を示す説明図
【
図15】本発明の実施形態に係る圧力センサーの外形の説明図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について添付の図面を参照にして具体的に説明する。
図5は、本実施形態に係る圧力センサー1の一例を示す平面図である。
図6は、圧力センサー1の断面である。
図7は、
図5の圧力センサー1をタイリングした大型圧力センサー11の構造を示す断面図である。
図8は、大型圧力センサー11の構造を示す平面図である。ただし、
図5には対向電極19を記載しているが、
図6~
図8では記載を省略した。
【0019】
図5、6に示すように圧力センサー1は、薄膜トランジスタが形成された絶縁基板2上の中央に感圧媒体3を有する。
図5に示すように感圧媒体のない部分7、8には上下線対称に電源配線4と信号配線5とが交互に配置され、感圧媒体のない部分9、10に走査配線6を有している。走査配線6も上下線対称である。
【0020】
走査配線6に薄膜トランジスタがオンになる電圧を印加したとき、その薄膜トランジスタが対応する感圧部の圧力に関する情報が、対応する信号配線6から得られる。圧力センサー1は、走査配線6が横方向に延伸し、信号配線5が縦方向に延伸するように見たとき、感圧媒体のない部分、即ち上縁部7、下縁部8、左縁部9、右縁部10は接続領域であり、上縁部7および下縁部8の信号配線5は少なくとも一部が露出しており、左縁部9と右縁部10の走査配線6は少なくとも一部が露出している。また、上縁部7の幅と下縁部8の幅とはほぼ同等であり、左縁部9の幅と右縁部10の幅とはほぼ同等である。
【0021】
配線群が上下対称の場合、圧力センサー1を、左右方向を軸にして裏返しても、面内の配線の位置が同じである。配線群が左右対称の場合、圧力センサー1を、上下方向を軸にして裏返しても、面内の配線の位置が同じである。これにより、表向きの圧力センサー1の信号配線5と、別の裏向きの圧力センサー1の信号配線5とを、接続領域どうしを重ねて接続することができる。また、表向きの圧力センサー1の走査配線6と、さらに別の裏向きの圧力センサーの走査配線6とを、接続領域を重ねて接続することができる。接続には、異方性導電膜12を用いることができる。基板2がフレキシブルなので、表から押しても裏から押しても圧力を検知できる。
【0022】
また、本発明の圧力センサー1の、縁部の接続領域の厚さSは、感圧部の厚さTの半分未満である。縁部の接続領域の厚さSは、基板と配線との厚さの和であり、感圧部の厚さTは、基板と薄膜トランジスタ(画素電極を含む)と感圧媒体3とのそれぞれの厚さの和である。配線の厚さと薄膜トランジスタの厚さを無視すれば、基板の厚さが感圧媒体の厚さより薄ければよい。
【0023】
異方性導電膜12の厚さは10μm以下と非常に薄いので、表向きの圧力センサー1と裏向きの圧力センサー1とを接続した場合に、接続部の厚さが感圧部の厚さより薄くなり、感圧部が確実に荷重を受けることができる。
【0024】
圧力センサー1は、走査配線6が横方向に延伸し、信号配線5が縦方向に延伸するように見たとき、上縁部7の幅と下縁部8の幅とが中央の感圧領域の上下方向の画素ピッチより小さく、左縁部9の幅と右縁部10の幅とが中央の感圧領域の左右方向の画素ピッチより小さい。例えば
図13のように、画素ピッチがP、外縁部の幅がAの時、A<Pである。これにより、タイリングした場合に、接続領域だけ画素間隔が不自然に大きくなることを防止できる。ここで、画素ピッチPは画素電極18の周期であり、さらに最外端の画素電極18中央から最寄りの感圧媒体3の縁までの距離がBのとき、A+2×B≒Pであるとなおよい。ここで画素電極18は薄膜トランジスタに接続されるとともに感圧媒体3と接触していて、圧力の検出点である。
【0025】
本発明の圧力センサー1は、
図5あるいは
図15(A)のように中央の感圧領域が略長方形であり、縁部の接続領域の外周が、中央の感圧領域の上下辺と平行かつ上下辺の長さ以下の2辺と、中央の感圧領域の左右辺と平行かつ左右辺の長さ以下の2辺と、を含む八角形である。これにより、表向きと裏向きの圧力センサー1を重ね合わせて大型圧力センサー11を構成する際に、3枚以上の基板が重なることなく、2次元に接続することができる(
図8)。なお、ここでいう長方形は、正方形も含む。
【0026】
あるいは、
図9や
図11、
図15(B)のように、外縁部のうち、上縁部、下縁部、左縁部、右縁部以外の四隅を切り欠いた十二角形にしてもよい。
【0027】
あるいは、
図5のような八角形と、
図9や
図11のような十二角形との、中間的な形状でもよい(
図15(C))。
【0028】
圧力センサー1は、走査配線6および信号配線5以外に、
図13等に示すように共通電極配線13を有してもよい。あるいは、
図5等に示すように電源配線4を有してもよい。共通電極配線13や電源配線4を有する場合、走査配線6と信号配線5とそれらを含めて、全体で上下対称であるか、左右対称である。
【0029】
共通電極配線13は、圧力センサー1内で、感圧媒体3の表側(基板とは逆側)に形成された共通電極14に接続される。接続の一例としては、
図13に記載した圧力センサー1は、具体的には
図14のように長方形の感圧媒体3の1つの角を斜めかつ断面の上側が丸みを帯びるように加工して、共通電極14を上面から側面にかけて形成したものを用い、薄膜トランジスタ付き基板に接合した後、銀ペースト17で共通電極配線13のパッド13Pと接続することができる。銀ペースト17を、感圧媒体3の高さよりも低く形成すれば、感圧媒体3にかかる圧力を邪魔することがない。ただし、共通電極14への通電方法はこれに限定されず、他の方法でもよい。
【0030】
薄膜トランジスタが形成された絶縁基板2は、ガラスでもよいが、有機物(例えばPET、PEN、PES、PI、PC等)が好適である。感圧媒体3は、有機圧電体(ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン・3フッ化エチレン共重合体、ポリ乳酸、多孔性エレクトレット型等)が好適である。電源配線4は、金属(例えばAl、Ti、Mo、Ta等またはこれらを主成分とする合金)が好適である。信号配線5は金属(例えばAl、Ti、Mo、Ta等またはこれらを主成分とする合金)が好適である。走査配線6は、金属(例えばAl、Ti、Mo、Ta等またはこれらを主成分とする合金)が好適である。
【0031】
ただし、圧力センサー1はフレキシブル性が望まれる場合が多く、薄膜トランジスタが形成された絶縁基板2は有機物が主成分であることが特に望ましい。
【0032】
本発明の圧力センサー1は、複数の信号配線5と、信号配線5と交差する複数の走査配線6からなるマトリクス配線と、該マトリクス配線の信号配線5と走査配線6の交点に対応する薄膜トランジスタの画素部の圧力を検出する圧力センサー1であって、薄膜トランジスタが形成された絶縁基板2上に、信号配線5と走査配線6に接続された薄膜トランジスタと、薄膜トランジスタに接続された感圧媒体3と、を有する中央の感圧領域と、薄膜トランジスタが形成された絶縁基板2上に、信号配線5と走査配線6とを有し、感圧媒体を有しない縁部の接続領域7、8、9、10からなり、上縁部の接続領域7と下縁部の接続領域8には信号配線5の両端が露出し、左縁部の接続領域9と右縁部の接続領域10は走査配線6の両端が露出し、上縁部7の幅と下縁部8の幅とは略同等であり、左縁部9の幅と右縁部10の幅とは略同等であり、信号配線5と走査配線6の配置が、圧力センサー1全体として上下対称であるか(
図5、
図11)、あるいは左右対称である(
図9)。
【0033】
さらに本発明の圧力センサー1は、電源配線4を有し、上縁部の接続領域7と下縁部の接続領域8に電源配線4の両端が露出し、信号配線5と走査配線6と電源配線4との配置が、圧力センサー全体として上下対称であるか、あるいは左右対称である。
【0034】
感圧媒体のない上縁部7および感圧媒体のない下縁部8の接続領域の幅が、中央の感圧媒体3の行方向(上下方向)の画素ピッチより小さく、感圧媒体のない左縁部9および感圧媒体のない右縁部10の接続領域の幅が、中央の感圧媒体3の列方向(左右方向)の画素ピッチより小さい。縁部7、8、9、10の接続領域の厚さが、中央の感圧媒体3の厚さの半分未満である。
【0035】
図7及び
図8の大型圧力センサー11は、
図5の圧力センサー1どうしを接続した大型圧力センサー11であって、感圧媒体3を表側に向けた圧力センサー1の縁部の信号配線5には、感圧媒体3を裏側に向けた圧力センサー1の縁部の信号配線5が接続され、感圧媒体3を表側に向けた圧力センサー1の縁部の走査配線6には、感圧媒体3を裏側に向けた圧力センサー1の縁部の走査配線6が接続され、感圧媒体3を表側に向けた圧力センサー1の縁部の電源配線4には、感圧媒体3を裏側に向けた圧力センサー1の縁部の電源配線4が接続される。
【0036】
以上のように、本発明によれば、薄膜トランジスタ上に感圧媒体を設けることで、圧力センサーを比較的簡単な構造で構成し、さらに、このような圧力センサーを複数接続することで、比較的簡単に大型圧力センサーを構成することができる。
【実施例1】
【0037】
図5の圧力センサー1を作製した。絶縁基板2としてガラス基板上のポリイミド膜を用い、Moを成膜・レジスト成膜・パターン露光・現像・エッチング・レジスト除去して、走査配線6およびそれに接続されたゲート電極を形成した。
【0038】
ゲート絶縁膜として有機絶縁膜を形成した。ただし、走査配線6のうち縁部の接続領域部分の上には、ゲート絶縁膜を形成しなかった。さらに、ゲート電極と重なる部分に、半導体パターンとして酸化物半導体を形成した。
【0039】
次に、Moを成膜・レジスト成膜・パターン露光・現像・エッチング・レジスト除去して、信号配線5およびそれに接続されたソース電極、電源配線4、ドレイン電極を形成した。
図5の圧力センサー1の配線群は全体として上下対称である。
【0040】
さらに、層間絶縁膜として有機絶縁膜を形成した。ただし、走査配線6のうち縁部の接続領域部分の上と、信号配線5のうち縁部の接続領域部分の上と、電源配線4のうち縁部の接続領域部分の上とには、層間絶縁膜を形成しなかった。また、ドレイン電極の上の層間絶縁膜と、電源電極4上の層間絶縁膜とに、ビア接続用の開口を設けた。
【0041】
さらに、画素電極をドレイン電極上と電源配線上に1個ずつ形成した。一方はドレイン電極に、他方は電源配線に、それぞれビア接続した。
【0042】
さらに、片側の画素別にMoが付いた感圧媒体(導電粒子を分散したゴム)を、感圧媒体側が画素電極に接触するように設置して、感圧媒体3および対向電極19とした。ただし、対向電極19は、ドレイン電極上の画素電極と、電源電極上の画素電極との、両方を含む領域に配置する。このとき、縁部の接続領域の厚さSが20μm、中央の感圧領域の厚さTが70μmであった。
【0043】
作製した圧力センサー1に駆動検出回路を接続し、圧力検出部分に加圧試験を行った結果、圧力分布に対応した電気信号を良好に検出することが出来た。即ち、ゲート電圧をオンにした行の圧力情報が、電源配線4上の画素電極・対向電極間の抵抗と、対向電極・ドレイン電極上の画素電極間の抵抗の、直列抵抗の変化として、信号配線を介して検出された。
【実施例2】
【0044】
図7及び
図8の大型圧力センサー11を作製した。
図5の圧力センサー1は上下対称なので、左右軸を回転軸として裏返しても電極の位置関係が同等である。感圧媒体3を表側に向けた圧力センサー1の感圧媒体のない上縁部7の信号配線5には、感圧媒体3を裏側に向けた圧力センサー1の感圧媒体のない下縁部8の信号配線5を接続した。感圧媒体3を表側に向けた圧力センサー1の感圧媒体のない左縁部9の走査配線6には、感圧媒体3を裏側に向けた圧力センサー1の感圧媒体のない右縁部10の走査配線6を接続した。感圧媒体3を表側に向けた圧力センサー1の感圧媒体のない上縁部7の電源配線4には、感圧媒体3を裏側に向けた圧力センサー1の感圧媒体のない下縁部8の電源配線4を接続した。
【0045】
作製した大型圧力センサー11に駆動検出回路を接続し、圧力検出部分に加圧試験を行った結果、圧力分布に対応した電気信号を良好に検出することが出来た。
【実施例3】
【0046】
図10の回路構成で
図9の圧力センサー15を作製した。絶縁基板2としてガラス基板上のポリイミド膜を用い、Moを成膜・レジスト成膜・パターン露光・現像・エッチング・レジスト除去して、走査配線6およびそれに接続されたゲート電極と、共通電極配線13およびそれに接続された共通電極配線パッド13Pを形成した。
【0047】
ゲート絶縁膜として有機絶縁膜を形成した。ただし、走査配線6のうち縁部の接続領域部分の上には、ゲート絶縁膜を形成しなかった。また、共通電極配線13のうち縁部の接続領域部分の上と、共通電極配線パッド13Pの上とにはゲート絶縁膜を形成しなかった。さらに、ゲート電極と重なる部分に、半導体パターンとして酸化物半導体を形成した。
【0048】
次に、Moを成膜・レジスト成膜・パターン露光・現像・エッチング・レジスト除去して、信号配線5およびそれに接続されたソース電極と、ドレイン電極を形成した。
図9の圧力センサーの配線群は左右対称である。
【0049】
さらに、層間絶縁膜として有機絶縁膜を形成した。ただし、走査配線6のうち縁部の接続領域部分の上と、信号配線5のうち縁部の接続領域部分の上と、共通電極配線13のうち縁部の接続領域部分の上と共通電極配線パッド13Pの上には、層間絶縁膜を形成しなかった。また、ドレイン電極の上の層間絶縁膜とには、ビア接続用の開口を設けた。
【0050】
さらに、画素電極を半導体パターンと重なる位置に形成した。画素電極は、ドレイン電極上の開口を介してドレイン電極と接続した。
【0051】
さらに、片側全面に共通電極14のMoが付いた感圧媒体(導電粒子を分散したゴム)を、感圧媒体側は薄膜トランジスタが形成された絶縁基板2に接触するように設置して、感圧媒体3とした。このとき、縁部の接続領域の厚さSが20μm、中央の感圧領域の厚さTが70μmであった。共通電極14と共通電極配線パッド13Pとは、Agペースト17で接続した。
【0052】
図9の圧力センサー15は左右対称なので、上下軸を回転軸として裏返しても電極の位置関係が同等である。
図9の圧力センサー15は、実施例2のように大型圧力センサーにすることも可能である。作製した大型圧力センサーに駆動検出回路を接続し、圧力検出部分に加圧試験を行った結果、圧力分布に対応した電気信号を良好に検出することが出来た。即ち、ゲート電圧をオンにした行の圧力情報が、共通電極・ドレイン電極上の画素電極間の抵抗の変化として、信号配線を介して検出された。
【実施例4】
【0053】
図12の回路構成で
図11の圧力センサー16を作製した。絶縁基板2としてガラス基板上のポリイミド膜を用い、Moを成膜・レジスト成膜・パターン露光・現像・エッチング・レジスト除去して、走査配線6およびそれに接続されたゲート電極を形成した。
【0054】
ゲート絶縁膜として有機絶縁膜を形成した。ただし、走査配線6のうち縁部の接続領域部分の上には、ゲート絶縁膜を形成しなかった。さらに、ゲート電極と重なる部分に、半導体パターンとして酸化物半導体を形成した。
【0055】
次に、Moを成膜・レジスト成膜・パターン露光・現像・エッチング・レジスト除去して、信号配線5およびそれに接続されたソース電極、電源配線4およびそれに接続されたドレイン電極と、共通電極配線13およびそれに接続された共通電極配線パッド13Pを形成した。
図11の圧力センサー16の配線群は上下対称である。
【0056】
さらに、層間絶縁膜として有機絶縁膜を形成した。ただし、走査配線6のうち縁部の接続領域部分の上と、信号配線5のうち縁部の接続領域部分の上と、共通電極配線13のうち縁部の接続領域部分の上と共通電極配線パッド13Pの上とには、層間絶縁膜を形成しなかった。
【0057】
さらに、画素電極を半導体パターンと重なる位置に形成した。画素電極は、TFTのバックゲートとなった。
【0058】
さらに、片側全面に共通電極14のMoが付いた感圧媒体(ポリフッ化ビニリデン3フッ化エチレン共重合体、分極処理済)を、感圧媒体側は薄膜トランジスタが形成された絶縁基板2に接触するように設置して、感圧媒体3とした。このとき、縁部の接続領域の厚さSが20μm、中央の感圧領域の厚さTが55μmであった。共通電極14と共通電極配線パッド13Pは、Agペースト17で接続される。
【0059】
また
図11の圧力センサー16は
図13の位置関係であり、P=10mm、A=5mm、B=2.5mmとした。
【0060】
図11の圧力センサー16は上下対称なので、左右軸を回転軸として裏返しても電極の位置関係が同等である。
図11の圧力センサー16は、実施例2のように大型圧力センサーにすることも可能である。作製した大型圧力センサーに駆動検出回路を接続し、圧力検出部分に加圧試験を行った結果、圧力分布に対応した電気信号を良好に検出することが出来た。即ち、ゲート電圧をオンにした行の圧力情報が、感圧媒体の電位差となり、TFTのバックゲート電圧を変化させる。TFTのゲートがオンの時に、バックゲート電圧に依存する電流が信号配線を流れ、外部の検出回路で検出された。また大型圧力センサーは、圧力センサー16内だけでなく圧力センサー16間においても、感圧点のピッチは10mmである。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、圧力センサーおよびこれを組み合わせた大型圧力センサーに有用である。
【符号の説明】
【0062】
1 圧力センサー
2 薄膜トランジスタが形成された絶縁基板
3 感圧媒体
4 電源配線
5 信号配線
6 走査配線
7 感圧媒体のない上縁部
8 感圧媒体のない下縁部
9 感圧媒体のない左縁部
10 感圧媒体のない右縁部
11 大型圧力センサー
12 異方性導電膜
13 共通電極配線
13P 共通電極配線パッド
14 共通電極
15 圧力センサー
16 圧力センサー
17 銀ペースト
18 画素電極
19 対向電極
A 縁部の接続領域の幅
B 画素電極中心から感圧媒体縁までの長さ
P 画素ピッチ
S 縁部の接続領域の厚さ
T 感圧領域の厚さ