(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】ばね供給装置
(51)【国際特許分類】
B65G 47/14 20060101AFI20240717BHJP
F16F 1/06 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
B65G47/14 U
F16F1/06 J
B65G47/14 101Z
(21)【出願番号】P 2020097807
(22)【出願日】2020-06-04
【審査請求日】2023-05-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】深沢 仁
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-054767(JP,A)
【文献】実開昭59-052426(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/14
F16F 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向長さが直径よりも長い
圧縮コイルばねを複数収容し、底が網状とされ、該網目の一辺の長さが該直径
の5倍よりも長く且つ該軸方向長さよりも短
く、該網目の対角線の長さが該軸方向長さの半分の長さよりも長く且つ該軸方向長さよりも短く、該網状を成す線材の太さが該圧縮コイルばねの自由状態における素線間の隙間よりも大きい容器と、
該容器を上下方向に振動させる振動部と、
該容器の下方に設けられ、該上下方向とは交差する方向に滑らせて開閉する底板を有する他の容器と、
該他の容器中の該圧縮コイルばねの量を検出する検出部と、
該検出部が予め定められた量の該圧縮コイルばねを検出するまでは該底板を閉じ、該検出部が予め定められた量の該圧縮コイルばねを検出すると、該振動部の振動を停止させると共に、該底板を開く制御を行う制御部と、
を備えるばね供給装置。
【請求項2】
該線材の太さが、該
圧縮コイルばねのピッチよりも大きい
請求項
1に記載のばね供給装置。
【請求項3】
該他の容器には、上下方向とは交差する側壁に、大きさが
該圧縮コイルばねの直径よりも小さい穴が開いており、
該検出部は、該他の容器の外側から、該穴を用いて該他の容器中の該
圧縮コイルばねの量を検出する
請求項
1又は
2に記載のばね供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ばね供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、容器の底に配置された回転盤を回転させて、容器に収容されたコイルばねを側壁に衝突させることで、絡み合ったコイルばねを分離し、該コイルばねを単一の放出口から放出させる分離装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コイルばねを側壁に衝突させることで、絡み合ったコイルばねを分離し、該コイルばねを単一の放出口から放出させる分離装置では、コイルばねを分離できない場合がある。
【0005】
本発明は、互いが絡まったコイルばねを分離して供給できるばね供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様は、軸方向長さが直径よりも長いコイルばねを複数収容し、底が網状とされ、該網目の一辺の長さが該直径よりも長く且つ該軸方向長さよりも短い容器と、該容器を上下方向に振動させる振動部と、を備える。
【0007】
第2態様では、該コイルばねは、圧縮コイルばねであり、該網状を成す線材の太さが、該コイルばねの自由状態における素線間の隙間よりも大きい。
【0008】
第3態様では、該線材の太さが、該コイルばねのピッチよりも大きい。
【0009】
第4態様では、該網目の対角線の長さが、該軸方向長さよりも短い。
【0010】
第5態様では、該網目の対角線の長さが、該軸方向長さの半分の長さよりも長い。
【0011】
第6態様では、該網目の一辺の長さが該コイルばねの直径の5倍よりも長い。
【0012】
第7態様は、該容器の下方に設けられた他の容器と、該他の容器中の該コイルばねの量を検出する検出部と、該検出部が予め定められた量の該コイルばねを検出した場合に、該振動部の振動を停止させる制御を行う制御部と、を備える。
【0013】
第8態様では、前記他の容器は、開閉する底板を有し、該制御部は、該検出部が予め定められた量の該コイルばねを検出するまでは該底板を閉じ、該検出部が予め定められた量の該コイルばねを検出すると該底板を開く制御をさらに行う。
【0014】
第9態様は、該他の容器には、上下方向とは交差する側壁に、大きさがばねの直径よりも小さい穴が開いており、該検出部は、該他の容器の外側から、該穴を用いて該他の容器中の該ばねの量を検出する。
【発明の効果】
【0015】
第1態様の構成によれば、互いが絡まったコイルばねを分離して供給できる。
【0016】
第2態様の構成によれば、線材の太さが、コイルばねの自由状態における素線間の隙間以下である構成に比べ、線材がコイルばねの素線間に入り込むことを抑制できる。
【0017】
第3態様の構成によれば、線材の太さが、コイルばねのピッチ以下である構成に比べ、線材がコイルばねの素線間に入り込むことを抑制できる。
【0018】
第4態様の構成によれば、網目の対角線の長さが、コイルばねの軸方向長さよりも長い構成に比べ、コイルばねが網目から落下する落下量が不安定となることを抑制できる。
【0019】
第5態様の構成によれば、網目の対角線の長さが、コイルばねの軸方向長さの半分の長さよりも短い構成に比べ、コイルばねが網目から落下する落下量が不安定となることを抑制できる。
【0020】
第6態様の構成によれば、網目の一辺の長さが該コイルばねの直径の5倍以下の構成に比べ、コイルばねが網目から落下する落下量が不安定となることを抑制できる。
【0021】
第7態様の構成によれば、他の容器中のコイルばねの量に関わらず振動部の振動動作を行う構成に比べ、容器から他の容器へ供給されるコイルばねの供給量が不安定となることを抑制できる。
【0022】
第8態様の構成によれば、他の容器中の該コイルばねの量に関わらず底板を開閉する構成に比べ、他の容器から供給されるコイルばねの供給量が不安定となることを抑制できる。
【0023】
第9態様の構成によれば、穴の大きさがばねの直径よりも大きい構成に比べ、検出部が誤検出するのを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本実施形態に係るばね供給装置の構成を示す斜視図である。
【
図2】本実施形態に係るばね供給装置の構成の一部を示す断面図である。
【
図3】本実施形態に係るばね供給装置の供給物である圧縮ばねの構成を示す斜視図である。
【
図5】
図3に示す圧縮ばねが絡まった状態を示す図である。
【
図6】本実施形態に係るばね供給装置に備えられた網体の構成を示す平面図である。
【
図8】本実施形態に係るばね供給装置に備えられた検出機構の構成を示す断面図である。
【
図9】本実施形態に係るばね供給装置において、シャッタが閉鎖された状態を示す図である。
【
図10】本実施形態に係るばね供給装置において、シャッタが開放された状態を示す図である。
【
図11】供給物である圧縮ばねの変形例としての引張ばねの構成を示す斜視図である。
【
図13】
図11に示す引張ばねが絡まった状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
(ばね供給装置10)
まず、本実施形態に係るばね供給装置10の構成を説明する。
図1は、本実施形態に係るばね供給装置10の構成を示す斜視図である。
図2は、本実施形態に係るばね供給装置10の構成の一部を示す断面図である。
【0026】
なお、下記の説明で用いる+X方向、-X方向、+Y方向、-Y方向、+Z方向(上方)及び-Z方向(下方)は、図中に示す矢印方向である。また、下記の説明では、+-を付さない「X方向」を、「+X方向及び-X方向の両方向」という意味で用いる場合がある。+-を付さない「Y方向」を、「+Y方向及び-Y方向の両方向」という意味で用いる場合がある。+-を付さない「Z方向」を、「+Z方向及び-Z方向の両方向」という意味で用いる場合がある。さらに、X方向、Y方向、Z方向は、互いに交差する方向(具体的には、直交する方向)である。
【0027】
また、図中の「○」の中に「×」が記載された記号は、紙面の手前から奥へ向かう矢印を意味する。また、図中の「○」の中に「・」が記載された記号は、紙面の奥から手前へ向かう矢印を意味する。また、各図に示す各部分同士のX方向、Y方向、Z方向の寸法比は、実際の寸法比と異なる場合がある。
【0028】
図1及び
図2に示されるばね供給装置10は、圧縮コイルばね90(以下「圧縮ばね90」という)を供給する装置である。具体的には、ばね供給装置10は、
図2に示されるように、複数の圧縮ばね90を分離して、圧縮ばね90を1つずつ供給する装置である。なお、圧縮ばね90は、「コイルばね」の一例である。
【0029】
さらに具体的には、ばね供給装置10は、
図1に示されるように、支持体80と、第一容器11と、制限部47と、振動機構40と、第二容器12と、検出機構60(
図8及び
図9参照)と、移動機構70と、分離装置71と、検知機構55(
図9参照)と、制御装置50(
図2参照)と、を備えている。
【0030】
以下、ばね供給装置10の供給物である圧縮ばね90と、ばね供給装置10の各部(支持体80、第一容器11、制限部47、振動機構40、第二容器12、検出機構60、移動機構70、分離装置71、検知機構55及び制御装置50)と、について説明する。
【0031】
(圧縮ばね90)
ばね供給装置10の供給物である圧縮ばね90は、
図3に示されるように、素線92が螺旋状に巻かれたコイルばねである。また、圧縮ばね90は、
図4に示されるように、軸方向長さ90Lが直径90Rよりも長い。本実施形態では、圧縮ばね90は、直径90Rが軸方向に一定とされている。なお、圧縮ばね90としては、直径が軸方向において異なる構成でもよく、この場合では、直径90Rとは最大径を指す。
【0032】
さらに、圧縮ばね90は、
図3及び
図4に示されるように、自由状態(すなわち、荷重が付与されていない無負荷状態)において、素線92が軸方向に離れた状態となる。すなわち、圧縮ばね90は、自由状態において、素線92同士の間に隙間94を有している。
【0033】
このように、圧縮ばね90は、隙間94を有しているため、
図5に示されるように、複数の圧縮ばね90が接すると、圧縮ばね90の隙間94に他の圧縮ばね90の素線92が入り込んで、圧縮ばね90同士が絡まる場合がある。
【0034】
なお、圧縮ばね90の軸方向長さ90Lは、自由状態において、一例として、50mm以上、55mm以下とされている。また、圧縮ばね90の直径90Rは、一例として、3mm以上、5mm以下とされている。また、
図2、
図9及び
図10では、圧縮ばね90を簡略化して示している。
【0035】
(支持体80)
図1に示される支持体80は、ばね供給装置10の各部を支持する機能を有している。支持体80は、具体的には、
図1に示されるように、枠体82と、4本の支柱84と、支持板86と、を有している。なお、
図1では、4本の支柱84のうち、3本の支柱84を図示している。
【0036】
枠体82は、平面視にて、枠状に形成されている。具体的には、枠体82は、X方向に間隔をあけてY方向に沿って配置された一対の棒材82Xと、Y方向に間隔をあけてX方向に沿って配置された一対の棒材82Yと、を有している。
【0037】
一対の棒材82Xのうち、-X方向側の棒材82Xの+Y方向端部及び-Y方向端部の各々は、一対の棒材82Yの-X方向端部の各々に連結されている。+X方向側の棒材82Xの+Y方向端部及び-Y方向端部の各々は、一対の棒材82Yの+X方向端部の各々に連結されている。
【0038】
4本の支柱84の各々は、ばね供給装置10の設置場所(例えば、床)に対して下端が接地される。4本の支柱84の各々の上端は、一対の棒材82Xの各々と一対の棒材82Yの各々との連結部分に連結されている。
【0039】
支持板86は、分離装置71を支持する機能を有している。この支持板86は、Z方向(上下方向)を厚み方向とする板状であって、平面視にて四角形状(具体的には正方形状)に形成されている。さらに、支持板86は、4本の支柱84におけるZ方向の中間部(具体的には-Z方向寄りの位置)において、四隅の部分が、4本の支柱84の各々に連結されている。
【0040】
(第一容器11)
図1及び
図2に示される第一容器11は、「容器」の一例である。第一容器11は、
図2に示されるように、圧縮ばね90を複数収容する容器である。具体的には、第一容器11は、
図1及び
図2に示されるように、容器本体13と、網体30と、を有している。
【0041】
容器本体13は、-Z方向(下方)に向かって湾曲する略半球状に形成されている。また、容器本体13は、+Z方向(上方)及び-Z方向(下方)に開口している。この容器本体13は、第一容器11の周壁部分(すなわち、側壁部分)を構成している。第一容器11では、容器本体13の上部開口を通じて、複数の圧縮ばね90が収容される。
【0042】
網体30は、
図1及び
図2に示されるように、上下方向を厚み方向とする板状(扁平状)に形成されている。網体30は、容器本体13の底部(下端部)に配置されており、第一容器11の底部分を構成している。すなわち、第一容器11は、底が網状とされた容器とされている。
【0043】
網体30は、具体的には、
図6に示されるように、枠体32と、複数の線材34と、を有している。枠体32は、平面視にて、枠状に形成されている。枠体32は、網体30の外枠を構成している。複数の線材34は、枠体32の内側で、X方向に間隔をあけてY方向に沿って配置され、且つ、Y方向に間隔をあけてX方向に沿って配置されている。すなわち、複数の線材34は、格子状に配置されている。このように線材34が配置されることにより、網体30は、網状を成している。
【0044】
本実施形態では、複数の線材34は、X方向の間隔とY方向の間隔とが等しくされている。これにより、網体30には、正方形の網目36が形成されている。網目36は、複数の線材34に囲まれた隙間(すなわち空間)である。この網目36は、圧縮ばね90が通過する出口としての機能を有している。したがって、網体30は、圧縮ばね90が通過可能な開口を複数有する構造体(部材)ともいえる。
【0045】
網目36の一辺の長さ30Lは、圧縮ばね90の直径90R(
図4参照)よりも長く、圧縮ばね90の軸方向長さ90L(
図4参照)よりも短い。具体的には、網目36の一辺の長さ30Lは、一例として、圧縮ばね90の直径90Rの2倍よりも長い。望ましくは、網目36の一辺の長さ30Lは、一例として、圧縮ばね90の直径90Rの5倍よりも長い。さらに望ましくは、網目36の一辺の長さ30Lは、一例として、圧縮ばね90の直径90Rの7倍よりも長い。また、網目36の一辺の長さ30Lは、圧縮ばね90の軸方向長さ90Lの半分の長さよりも長い。なお、網目36の一辺の長さ30Lは、一例として、30mm以上45mm以下とされている。
【0046】
また、網目36の対角線の長さ30Eは、圧縮ばね90の軸方向長さ90Lよりも短い。さらに、網目36の対角線の長さ30Eは、圧縮ばね90の軸方向長さ90Lの半分の長さよりも長い。
【0047】
線材34の太さ30Tは、圧縮ばね90の自由状態における素線92間の隙間94(
図7参照)よりも大きい。さらに、線材34の太さ30Tは、圧縮ばね90のピッチ90P(
図7参照)よりも大きい。ピッチ90P(
図7参照)は、圧縮ばね90の軸方向に沿った(軸方向で互いに隣り合う)素線92の中心間の距離である。
【0048】
なお、本実施形態では、網目36が正方形に形成されていたが、これに限られない、網目36は、例えば、長方形、その他の多角形であってもよい。この場合、短辺の長さが、圧縮ばね90の直径90Rよりも長く、圧縮ばね90の軸方向長さ90Lよりも短くなっていればよい。
【0049】
(制限部47)
図1に示される制限部47は、網体30のX方向及びY方向への移動を制限する機能を有している。この制限部47は、
図1に示されるように、一対の棒材82Xの各々に一対ずつ設けられている。すなわち、4つの制限部47が、支持体80に設けられている。
【0050】
なお、
図1では、+X方向側の棒材82Xに設けられた一対の制限部47は、図示を省略しているが、-X方向側の棒材82Xに設けられた一対の制限部47をX方向に反転した状態で棒材82Xに配置されている。
【0051】
一対の制限部47は、具体的には、棒材82Xから+Z方向(上方)へ突出するように、Y方向に間隔をあけて棒材82Xの外側面に固定されている。
【0052】
4つの制限部47の各々は、X方向の厚みが網目36のX方向長さ(すなわち、一辺の長さ30L)よりも薄くされている。また、4つの制限部47の各々は、Y方向幅が、網目36のY方向長さ(すなわち、一辺の長さ30L)と同等か若干狭くされている。
【0053】
そして、4つの制限部47の各々が網目36に差し込まれ、-Y方向側及び+Y方向側において、網体30の線材34に当たることで、網体30のY方向の移動を制限する。
【0054】
また、-X方向側の棒材82Xに設けられた一対の制限部47と、+X方向側の棒材82Xに設けられた一対の制限部47との各々が、網体30の枠体32の内側に当たることで、網体30のX方向への移動を制限する。なお、網体30の+Z方向(上方)への移動は許容されている。
【0055】
(振動機構40)
図1及び
図2に示される振動機構40は、「振動部」の一例である。振動機構40は、第一容器11(具体的には網体30)を振動させる機能を有している。具体的には、振動機構40は、
図2に示されるように、一対の駆動部としての一対のシリンダー42を有している。一対のシリンダー42は、
図1に示されるように、一対の棒材82Yの各々に設けられている。
【0056】
なお、
図1では、-Y方向側の棒材82Yに設けられたシリンダー42は、図示を省略しているが、+Y方向側の棒材82Yに設けられたシリンダー42をY方向に反転した状態で棒材82Yに配置されている。
【0057】
シリンダー42は、具体的には、
図1に示されるように、本体42Aが固定部83を介して棒材82Yに固定され、ロッド42Bが取付部85を介して網体30に固定されている。振動機構40では、一対のシリンダー42において、ロッド42Bを伸長及び短縮させることで、網体30を含む第一容器11をZ方向(上下方向)に振動させる。第一容器11を振動させることで、第一容器11に収容された圧縮ばね90が網体30に対して、接触及び離間を繰り返す。
【0058】
本実施形態では、一対のシリンダー42の一方及び他方において、共にロッド42Bを伸長及び短縮させる。また、本実施形態では、一対のシリンダー42は、連続駆動ではなく、間欠駆動される。
【0059】
なお、一対のシリンダー42の一方において、ロッド42Bを伸長させ、他方においてロッド42Bを短縮させるように、互い違いに一対のシリンダー42を駆動してもよい。
【0060】
(第二容器12)
図1及び
図2に示される第二容器12は、「他の容器」の一例である。第二容器12は、第一容器11の下方に設けられている。第二容器12は、
図2に示されるように、第一容器11から落下した圧縮ばね90を収容する容器である。具体的には、第二容器12は、
図1及び
図2に示されるように、容器本体14と、シャッタ16と、レール部材18と、を有している。
【0061】
容器本体14は、筒状(具体的には円筒状)に形成されている。具体的には、容器本体14は、-Z方向(下方)に向かって徐々に縮径されたテーパ形状に形成されている。したがって、容器本体14は、
図2に示されるように、Z方向(上下方向)に対して傾斜している。換言すれば、容器本体14は、Z方向(上下方向)と交差している。
【0062】
さらに、容器本体14は、+Z方向(上方)及び-Z方向(下方)に開口している。この容器本体14は、第二容器12の周壁部分(すなわち、側壁部分)を構成している。
【0063】
さらに、容器本体14には、
図8に示されるように、検出機構60による検出に用いられる穴66、68が開いている。この穴66、68は、具体的には、検出機構60の後述の発光部62からの光を通過させるための穴とされている。穴66、68は、互いに対向する位置に配置されている。穴66、68の大きさ66L、68Lは、圧縮ばね90の直径90R(
図4参照)よりも小さい。なお、穴66、68の大きさ66L、68Lは、穴66、68の最大長であり、穴66、68が円孔である場合には、穴径(内径)に相当する。なお、
図9及び
図10では、穴66、68の図示を省略している。
【0064】
シャッタ16は、「底板」の一例である。このシャッタ16は、
図1及び
図2に示されるように、上下方向を厚み方向とする板状に形成されている。シャッタ16は、容器本体14の底部(下端部)に配置されており、第二容器12の底部分を構成している。
【0065】
レール部材18は、
図1及び
図2に示されるように、シャッタ16に対する+Y方向側及び-Y方向側の各々に配置されている。レール部材18は、シャッタ16を
図9に示される閉鎖位置と、
図10に示される開放位置と、に移動可能に支持している。
【0066】
シャッタ16は、
図9に示されるように、閉鎖位置において、容器本体14の下部開口を閉鎖する。これにより、第二容器12への圧縮ばね90の収容が可能となる。
【0067】
一方、シャッタ16は、
図10に示されるように、開放位置において、容器本体14の下部開口を開放する。これにより、第二容器12に収容されていた圧縮ばね90が下方へ落下する。
【0068】
(検出機構60)
図8及び
図9に示される検出機構60は、「検出部」の一例である。この検出機構60は、第二容器12中の圧縮ばね90の量を検出する機能を有している。具体的には、検出機構60は、透過型の検出センサで構成されており、
図8に示されるように、発光部62と受光部64とを有している。
【0069】
受光部64は、穴68に対向するように、容器本体14の外側に配置されている。この受光部64は、容器本体14、又は、容器本体14に設けられた取付部(図示省略)に取り付けられている。
【0070】
発光部62は、穴66に対向するように、容器本体14の外側に配置されている。この発光部62は、容器本体14、又は、容器本体14に設けられた取付部(図示省略)に取り付けられている。
【0071】
検出機構60では、発光部62から照射された光が、穴66、68を通過し、受光部64へ入射する。そして、検出機構60では、第二容器12に予め定められた高さまで圧縮ばね90が収容されると、発光部62から受光部64への光が継続して遮られる。これにより、検出機構60では、第二容器12に予め定められた量の圧縮ばね90が収容されたことを検出する。このように、検出機構60では、第二容器12の外側から、穴66、68を用いて第二容器12中の圧縮ばね90の量を検出する。
【0072】
なお、本実施形態では、検出機構60が透過型の検出センサで構成されていたが、これに限られない。検出機構60としては、例えば、反射型の検出センサであってもよく、他の検出手段により、第二容器12中の圧縮ばね90の量を検出する構成であってもよい。
【0073】
(移動機構70)
図1、
図9及び
図10に示される移動機構70は、シャッタ16を
図9に示される閉鎖位置と、
図10に示される開放位置と、に移動させる機構である。具体的には、移動機構70は、
図1、
図9及び
図10に示されるように、シリンダー72を有している。シリンダー72は、
図1に示されるように、-X方向側に配置された2つの支柱84に跨って設けられた取付部87に取り付けられている。
【0074】
具体的には、シリンダー72は、
図1に示されるように、本体72Aが取付部87に固定され、
図9に示されるように、ロッド72Bが固定部89を介してシャッタ16に固定されている。移動機構70では、シリンダー72のロッド72Bを伸長及び短縮させることで、シャッタ16を
図9に示される閉鎖位置と、
図10に示される開放位置と、に移動させる。
【0075】
(分離装置71)
図1及び
図2に示される分離装置71は、複数の圧縮ばね90を分離する装置である。すなわち、第一容器11において1つずつに分離しきれなかった複数の圧縮ばね90を1つずつに分離する機能を有している。この分離装置71は、
図1に示されるように、支持板86に載せられた台79上に設けられている。具体的には、分離装置71は、
図1及び
図2に示されるように、導入口73と、装置本体75と、排出口77と、を有している。
【0076】
分離装置71では、導入口73が+Z方向(上方)に開口しており、第二容器12から落下した複数の圧縮ばね90が導入口73を通じて装置本体75の内部へ導入される。
【0077】
また、分離装置71では、Z方向を軸方向として回転する回転板(図示省略)が装置本体75の内部に配置されており、当該回転板の回転による遠心力によって、装置本体75の内部へ導入された複数の圧縮ばね90が1つずつに分離される。さらに、分離装置71では、1つずつに分離された圧縮ばね90が、当該回転板の回転による遠心力によって、排出口77を通じて排出される。
【0078】
(検知機構55)
図9に示される検知機構55は、分離装置71から排出される圧縮ばね90を検知する機能を有している。具体的には、検知機構55は、透過型の検知センサで構成されており、発光部57と受光部59とを有している。発光部57と受光部59は、分離装置71における排出口77付近の外壁又は、当該外壁に設けられた取付部(図示省略)に取り付けられている。さらに、排出口77には、検出機構55による検出に用いられる一対の穴(図示省略)が開いている。一対の穴は、具体的には、検出機構55の発光部57からの光を通過させるための穴とされている。一対の穴は、互いに対向する位置に配置されている。一対の穴のそれぞれの大きさは、圧縮ばね90の直径90R(
図4参照)よりも小さい。なお、一対の穴のそれぞれの大きさは、穴の最大長であり、穴が円孔である場合には、穴径(内径)に相当する。
【0079】
検知機構55では、分離装置71の装置本体75から排出口77へ向かう圧縮ばね90によって、発光部62から受光部64への光が遮られる。これにより、検知機構55では、分離装置71から排出される圧縮ばね90を検知する。
【0080】
なお、本実施形態では、検知機構55が透過型の検知センサで構成されていたが、これに限られない。検知機構55としては、例えば、反射型の検知センサであってもよく、他の検知手段により、分離装置71から排出される圧縮ばね90を検知する構成であってもよい。
【0081】
(制御装置50)
制御装置50は、「制御部」の一例である。制御装置50は、ばね供給装置10の各部の動作を制御する装置である。具体的には、ばね供給装置10は、少なくとも、振動機構40の駆動と、シャッタ16の開閉と、を制御する機能を有している。さらに具体的には、制御装置50は、プロブラムが記録されたROM(ロム)やストレージ等で構成された記録部と、プログラムに従って動作するプロセッサと、を有している。
【0082】
制御装置50では、記録部に記録されたプログラムを読み出し、実行することにより、以下の制御を行う。制御装置50は、検出機構60が予め定められた量の該コイルばねを検出した場合に、振動機構40の振動を停止させる制御を行う。具体的には、制御装置50では、第二容器12に予め定められた量の圧縮ばね90が収容されたことを検出した検出結果を検出機構60から取得すると、振動機構40の一対のシリンダー42の駆動を停止させる制御を行う。
【0083】
また、制御装置50は、検出機構60が予め定められた量の該コイルばねを検出した後、検知機構55が、予め定められた時間、圧縮ばね90を検知しなかった場合に、シャッタ16を
図10に示される開放位置へ移動させる制御を行う。
【0084】
すなわち、制御装置50は、検出機構60が予め定められた量の該コイルばねを検出した後、分離装置71から圧縮ばね90が排出(供給)されている間は、シャッタ16を閉じた状態を維持し、分離装置71から圧縮ばね90が排出(供給)されてなくなると、シャッタ16を開く。
【0085】
(本実施形態に係る作用)
次に、本実施形態に係る作用を説明する。
【0086】
本実施形態に係るばね供給装置10によれば、互いが絡まった複数の圧縮ばね90が、容器本体13の上部開口を通じて第一容器11の内部へ収容される。制御装置50による駆動制御によって、振動機構40の一対のシリンダー42が駆動されると、網体30が振動する。
【0087】
これにより、互いが絡まった複数の圧縮ばね90が網体30に対して接触及び離間することで分離される。ここで、網体30の網目36の一辺の長さ30Lは、圧縮ばね90の直径90R(
図4参照)よりも長く、圧縮ばね90の軸方向長さ90L(
図4参照)よりも短い。このため、分離された圧縮ばね90が網目36を通じて落下し、第二容器12の内部に収容される。
【0088】
検出機構60が、第二容器12に予め定められた量の圧縮ばね90が収容されたことを検出すると、制御装置50による駆動制御によって、振動機構40の振動が停止する。検出機構60が予め定められた量の該コイルばねを検出した後、検知機構55が、予め定められた時間、圧縮ばね90を検知しなかった場合に、制御装置50による駆動制御によって、シャッタ16が
図10に示される開放位置へ移動する。これにより、第二容器12に収容された圧縮ばね90が落下し、分離装置71の導入口73を通じて装置本体75の内部へ導入される。
【0089】
装置本体75の内部へ導入された複数の圧縮ばね90は、装置本体75の内部に配置された回転板(図示省略)の回転による遠心力によって、1つずつに分離され、排出口77を通じて排出される。
【0090】
以上のように、ばね供給装置10によれば、互いが絡まった圧縮ばね90を1つずつに分離して供給可能となる。
【0091】
また、本実施形態では、網体30の線材34の太さ30T(
図6参照)は、圧縮ばね90の自由状態における素線92間の隙間94(
図7参照)よりも大きい。このため、線材34の太さ30Tが、圧縮ばね90の自由状態における素線92間の隙間94以下である構成に比べ、線材34が圧縮ばね90の素線92間に入り込むことが抑制される。これにより、網体30に圧縮ばね90が引っ掛かることが抑制される。
【0092】
また、本実施形態では、網体30の線材34の太さ30Tは、圧縮ばね90のピッチ90P(
図7参照)よりも大きい。このため、線材34の太さ30Tが、圧縮ばね90のピッチ90P以下である構成に比べ、線材34が圧縮ばね90の素線92間に入り込むことが抑制される。これにより、網体30に圧縮ばね90が引っ掛かることが抑制される。
【0093】
また、本実施形態では、網目36の対角線の長さ30E(
図6参照)は、圧縮ばね90の軸方向長さ90L(
図4参照)よりも短い。このため、網目36の対角線の長さ30Eが、圧縮ばね90の軸方向長さ90Lよりも長い構成に比べ、圧縮ばね90が網目36から落下する落下量が不安定となることが抑制される。すなわち、網目36の対角線の長さ30Eが、圧縮ばね90の軸方向長さ90Lよりも長い構成に比べ、単位時間当たり(単位振動回数当り)の圧縮ばね90の網目36からの落下量のばらつきが小さい。
【0094】
また、本実施形態では、網目36の対角線の長さ30Eは、圧縮ばね90の軸方向長さ90Lの半分の長さよりも長い。このため、網目36の対角線の長さ30Eが、圧縮ばね90の軸方向長さ90Lの半分の長さよりも短い構成に比べ、圧縮ばね90の網目36からの落下量が不安定となることが抑制される。すなわち、網目36の対角線の長さ30Eが、圧縮ばね90の軸方向長さ90Lの半分の長さよりも短い構成に比べ、単位時間当たり(単位振動回数当り)の圧縮ばね90の網目36からの落下量のばらつきが小さい。
【0095】
また、本実施形態では、網目36の一辺の長さ30Lは、圧縮ばね90の直径90Rの5倍よりも長い。このため、網目36の一辺の長さ30Lが、圧縮ばね90の直径90Rの5倍以下の構成に比べ、圧縮ばね90の網目36からの落下量が不安定となることが抑制される。すなわち、網目36の一辺の長さ30Lが、圧縮ばね90の直径90Rの5倍以下の構成に比べ、単位時間当たり(単位振動回数当り)の圧縮ばね90の網目36からの落下量のばらつきが小さい。
【0096】
また、本実施形態では、検出機構60が予め定められた量の該コイルばねを検出した場合に、振動機構40の振動が停止する。このため、第二容器12中の圧縮ばね90の量に関わらず振動機構40の振動動作を行う構成に比べ、第一容器11から第二容器12へ供給される圧縮ばね90の供給量が不安定となることが抑制される。第二容器12中の圧縮ばね90の量に関わらず振動機構40の振動動作を行う構成に比べ、第一容器11から第二容器12への圧縮ばね90の供給量のばらつきが小さい。
【0097】
また、本実施形態では、検出機構60が予め定められた量の該コイルばねを検出した後、分離装置71から圧縮ばね90が排出されてなくなると、シャッタ16を開く。このため、第二容器12中の圧縮ばね90の量に関わらずシャッタ16を開閉する構成に比べ、第二容器12から供給される圧縮ばね90の供給量が不安定となることが抑制される。第二容器12中の圧縮ばね90の量に関わらずシャッタ16を開閉する構成に比べ、シャッタ16の一回の開閉動作あたりに、第二容器12から供給される圧縮ばね90の供給量のばらつきが小さい。
【0098】
また、本実施形態では、穴66、68の大きさ66L、68Lは、圧縮ばね90の直径90Rよりも小さい。
【0099】
ここで、穴66、68の大きさ66L、68Lが圧縮ばね90の直径90Rよりも大きい構成(以下、第1構成という)では、圧縮ばね90の落下により発生する埃が、穴66、68に堆積したり、圧縮ばね90自体が穴66、68に引っ掛かったりしやすい。これにより、発光部62から受光部64への光が遮られ、検出機構60が誤検知する場合がある。
【0100】
これに対して、本実施形態では、穴66、68の大きさ66L、68Lは、圧縮ばね90の直径90Rよりも小さいので、第1構成に比べ、検出機構60が誤検出することが抑制される。
【0101】
(圧縮ばね90の変形例)
本実施形態では、コイルばねの一例として、圧縮ばね90を用いたが、これに限られない。例えば、
図11に示されるように、コイルばねの一例としては、引張コイルばね190(以下、「引張ばね190」という)であってもよい。
【0102】
引張ばね190は、
図11に示されるように、素線192が螺旋状に巻かれたコイルばねであり、軸方向両端にフック部195を有している。また、引張ばね190は、
図12に示されるように、軸方向長さ190Lが直径190Rよりも長くなっている。本実施形態では、引張ばね190は、直径90Rが軸方向に一定とされている。なお、引張ばね190としては、直径が軸方向において異なる構成でもよく、この場合では、直径90Rとは最大径を指す。なお、引張ばね190における軸方向長さ190Lは、
図12に示されるように、フック部195を含む長さである。
【0103】
さらに、引張ばね190は、圧縮ばね90とは異なり、自由状態(すなわち、荷重が付与されていない無負荷状態)において、素線92が軸方向に接触した状態となるが、
図13に示されるように、フック部195同士が引っ掛かることで、引張ばね190同士が絡まる場合がある。
【0104】
(他の変形例)
本実施形態では、制御装置50は、検出機構60が予め定められた量の該コイルばねを検出した後、検知機構55が、予め定められた時間、圧縮ばね90を検知しなかった場合に、シャッタ16を
図10に示される開放位置へ移動させる制御を行っていたが、これに限られない。
【0105】
制御装置50は、検出機構60が予め定められた量の該コイルばねを検出した場合に、検知機構55の検知に関わらず(分離装置71から圧縮ばね90が供給されているか否かに関わらず)、シャッタ16を
図10に示される開放位置へ移動させる制御を行う構成であってもよい。すなわち、制御装置50は、検出機構60が予め定められた量の圧縮ばね90を検出するまではシャッタ16を閉じ、検出機構60が予め定められた量の圧縮ばね90を検出するとシャッタ16を開く制御を行ってもよい。
【0106】
この構成によれば、第二容器12中の圧縮ばね90の量に関わらずシャッタ16を開閉する構成に比べ、第二容器12から供給される圧縮ばね90の供給量が不安定となることが抑制される。
【0107】
本実施形態では、ばね供給装置10は分離装置71を備えていたが、これに限られない。ばね供給装置10としては、分離装置71を有さない構成であってもよい。この構成では、さらに、第二容器12、検出機構60、移動機構70、及び検知機構55を備えていなくてもよい。すなわち、第二容器12及び分離装置71を経ずに、第一容器11から直接圧縮ばね90が供給される構成であってもよい。
【0108】
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、その主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形、変更、改良が可能である。例えば、上記に示した変形例は、適宜、複数を組み合わせて構成してもよい。
【符号の説明】
【0109】
10 ばね供給装置
11 第一容器(容器の一例)
12 第二容器(他の容器の一例)
13 容器本体
14 容器本体(側壁の一例)
16 シャッタ(底板の一例)
30 網体
30E 対角線の長さ
30L 一辺の長さ
30T 太さ
34 線材
36 網目
40 振動機構(振動部の一例)
50 制御装置(制御部の一例)
60 検出機構(検出部の一例)
66 穴
68 穴
90 圧縮コイルばね(コイルばねの一例)
90L 軸方向長さ
90P ピッチ
90R 直径
92 素線
94 隙間
190 引張コイルばね(コイルばねの一例)
190L 軸方向長さ
190R 直径