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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】電気光学装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1368 20060101AFI20240717BHJP
【FI】
G02F1/1368
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020118307
(22)【出願日】2020-07-09
(65)【公開番号】P2022015457
(43)【公開日】2022-01-21
【審査請求日】2023-05-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 智
【審査官】植田 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-034822(JP,A)
【文献】登録実用新案第3197989(JP,U)
【文献】特開2018-146870(JP,A)
【文献】特開2005-148387(JP,A)
【文献】国際公開第2018/074060(WO,A1)
【文献】特開2005-062761(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/136-1/1368
G02F 1/1333
G09F 9/30
H01L 27/12,29/786
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ線と、
画素電極と、
前記データ線に電気的に接続されたソース領域と、前記画素電極に電気的に接続された
ドレイン領域と、前記ソース領域と前記ドレイン領域との間に配置されたチャネル領域と
、前記ソース領域と前記チャネル領域との間に配置された第1LDD領域と、前記ドレイ
ン領域と前記チャネル領域との間に配置された第2LDD領域と、を有し、第1方向に沿
って配置された半導体層を含むトランジスターと、
走査信号が供給され、断面視で前記半導体層を挟んで配置され、平面視で前記半導体層
と重畳する遮光層及びゲート配線と、
前記遮光層と前記ゲート配線とを電気的に接続し、平面視で前記チャネル領域の一部及
び前記第2LDD領域に沿って配置された中継電極と、
前記中継電極の側面に沿って配置され、前記遮光層及び前記ゲート配線と接する反射防
止膜と、を備え、
前記中継電極は、平面視において、前記チャネル領域と重なるように前記第1方向と交
差する第2方向に沿って延在する第1部分と、前記第1部分の端部から前記第2LDD領
域に沿うように前記第1方向に沿って延在する第2部分と、前記第1部分の端部から前記
チャネル領域に沿うように前記第1方向とは反対方向の第3方向に沿って突出する第3部
分と、を有し、
前記第3部分は、平面視において、前記チャネル領域の前記第1LDD領域側の端部に
沿う領域には配置されていないことを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電気光学装置であって、
前記遮光層は、前記半導体層の下側に配置され、前記ゲート配線は、前記半導体層の上
側に配置され、当該ゲート配線は、前記トランジスターのゲート電極と電気的に接続され
ていることを特徴とする電気光学装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の電気光学装置であって、
前記中継電極は、プラグを含むことを特徴とする電気光学装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載の電気光学装置であって、
前記中継電極は、H字形状であることを特徴とする電気光学装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載の電気光学装置であって、
前記反射防止膜は、絶縁性材料であることを特徴とする電気光学装置。
【請求項6】
データ線と、
画素電極と、
前記データ線に電気的に接続されたソース領域と、前記画素電極に電気的に接続された
ドレイン領域と、前記ソース領域と前記ドレイン領域との間に配置されたチャネル領域と
、前記ソース領域と前記チャネル領域との間に配置された第1LDD領域と、前記ドレイ
ン領域と前記チャネル領域との間に配置された第2LDD領域と、を有する半導体層を含
むトランジスターと、
走査信号が供給され、断面視で前記半導体層を挟んで配置され、平面視で前記半導体層
と重畳する遮光層及びゲート配線と、
前記遮光層と前記ゲート配線とを電気的に接続し、平面視で前記チャネル領域の一部及
び前記第2LDD領域に沿って配置された中継電極と、
前記中継電極の側面に沿って配置され、前記遮光層及び前記ゲート配線と接する反射防
止膜と、を備え
前記中継電極は、プラグと、前記プラグと前記反射防止膜との間に、導電性のバリア層
と、を含むことを特徴とする電気光学装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載の電気光学装置を備えることを特徴とする
電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電気光学装置として、画素にスイッチング素子を備えたアクティブ駆動型の液晶装置が知られている。このような液晶装置は、例えば、電子機器としてのプロジェクターのライトバルブとして用いられる。
【0003】
液晶装置は、例えば、基板の上に、走査線と、半導体層と、ゲート電極とが、順に配置されている。走査線と、ゲート電極とは、コンタクトホールを介して電気的に接続されている。液晶装置は、プロジェクターのレーザー光源などからの強い光が、トランジスターの半導体層に入射するとTFT特性が変化するという問題がある。
【0004】
例えば、特許文献1には、ゲート電極と、半導体層の下に配置された下側遮光膜との間に、半導体層のLDD領域を囲むように逆U字形状に溝を形成し、溝の中に導電性遮光膜を埋めることにより、LDD領域の遮光性を向上させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-186108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の技術によれば、導電性遮光膜などの電極によって反射した迷光がLDD領域に入射し、TFT特性が変化するという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
電気光学装置は、データ線と、画素電極と、前記データ線に電気的に接続されたソース
領域と、前記画素電極に電気的に接続されたドレイン領域と、前記ソース領域と前記ドレ
イン領域との間に配置されたチャネル領域と、前記ソース領域と前記チャネル領域との間
に配置された第1LDD領域と、前記ドレイン領域と前記チャネル領域との間に配置され
た第2LDD領域と、を有し、第1方向に沿って配置された半導体層を含むトランジスタ
ーと、走査信号が供給され、断面視で前記半導体層を挟んで配置され、平面視で前記半導
体層と重畳する遮光層及びゲート配線と、前記遮光層と前記ゲート配線とを電気的に接続
し、平面視で前記チャネル領域の一部及び前記第2LDD領域に沿って配置された中継電
極と前記中継電極の側面に沿って配置され、前記遮光層及び前記ゲート配線と接する反射
防止膜と、を備え、前記中継電極は、平面視において、前記チャネル領域と重なるように
前記第1方向と交差する第2方向に沿って延在する第1部分と、前記第1部分の端部から
前記第2LDD領域に沿うように前記第1方向に沿って延在する第2部分と、前記第1部
分の端部から前記チャネル領域に沿うように前記第1方向とは反対方向の第3方向に沿っ
て突出する第3部分と、を有し、前記第3部分は、平面視において、前記チャネル領域の
前記第1LDD領域側の端部に沿う領域には配置されていない。
前記遮光層は、前記半導体層の下側に配置され、前記ゲート配線は、前記半導体層の上
側に配置され、当該ゲート配線は、前記トランジスターのゲート電極と電気的に接続され
ている。
【0008】
電子機器は、上記に記載の電気光学装置を備える。
【0009】
電気光学装置の製造方法は、基板の上に遮光層を形成する工程と、前記基板及び前記遮光層の上に、半導体層と、絶縁層と、を順に形成する工程と、前記遮光層に到達すると共に、前記半導体層のLDD領域を囲むように、前記絶縁層に凹部を形成する工程と、前記凹部の側壁に反射防止膜を形成する工程と、前記反射防止膜を含む前記凹部の中にプラグを埋め込んで中継電極を形成する工程と、前記半導体層の上に、前記中継電極と電気的に接続されるゲート電極を形成する工程と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態の液晶装置の構成を示す平面図。
図2図1に示す液晶装置のH-H’線に沿う断面図。
図3】液晶装置の電気的な構成を示す等価回路図。
図4】画素の構成を示す平面図。
図5】液晶装置の構成を示す断面図。
図6図4に示す画素のA部を拡大して示す平面図。
図7図6に示すトランジスターのB-B’線に沿う断面図。
図8】中継電極の製造方法を示すフローチャート。
図9】中継電極の製造方法を示す断面図。
図10】中継電極の製造方法を示す断面図。
図11】中継電極の製造方法を示す断面図。
図12】中継電極の製造方法を示す断面図。
図13】中継電極の製造方法を示す断面図。
図14】電子機器としてのプロジェクターの構成を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1及び図2に示すように、本実施形態の電気光学装置としての液晶装置100は、対向配置された素子基板10及び対向基板20と、これら一対の基板によって挟持された液晶層15とを有する。素子基板10を構成する基板としての第1基材10a、及び対向基板20を構成する第2基材20aは、例えば、ガラス又は石英などである。
【0012】
素子基板10は対向基板20よりも大きく、両基板は、対向基板20の外周に沿って配置されたシール材14を介して接合されている。その隙間に、正または負の誘電異方性を有する液晶が封入されて液晶層15を構成している。
【0013】
シール材14は、例えば、熱硬化性又は紫外線硬化性のエポキシ樹脂などの接着剤が採用されている。シール材14には、例えば、一対の基板の間隔を一定に保持するためのスペーサーが混入されている。
【0014】
シール材14の内側には、表示に寄与する複数の画素Pを配列した表示領域Eが設けられている。表示領域Eの周囲には、表示に寄与しない周辺回路などが設けられた周辺領域E1が配置されている。
【0015】
素子基板10の1辺部に沿ったシール材14と1辺部との間には、データ線駆動回路22が設けられている。また、1辺部に対向する他の1辺部に沿ったシール材14と表示領域Eとの間には、検査回路25が設けられている。さらに、1辺部と直交し互いに対向する他の2辺部に沿ったシール材14と表示領域Eとの間には、走査線駆動回路24が設けられている。1辺部と対向する他の1辺部に沿ったシール材14と検査回路25との間には、2つの走査線駆動回路24を繋ぐ複数の配線29が設けられている。
【0016】
対向基板20側における額縁状に配置されたシール材14の内側には、同じく額縁状に遮光膜18が設けられている。遮光膜18は、例えば、光反射性を有する金属あるいは金属酸化物などからなり、遮光膜18の内側が複数の画素Pを有する表示領域Eとなっている。遮光膜18としては、例えば、タングステンシリサイド(WSi)を用いることができる。
【0017】
これらデータ線駆動回路22、走査線駆動回路24に繋がる配線は、1辺部に沿って配列した複数の外部接続用端子70に接続されている。以降、1辺部に沿った方向をX方向とし、1辺部と直交し互いに対向する他の2辺部に沿った方向をY方向として説明する。また、Z方向から見ることを平面視といい、図2、6等の断面図に示したようにZ方向に沿う断面で見ることを断面視という。
【0018】
図2に示すように、第1基材10aの液晶層15側の表面には、画素Pごとに設けられた光透過性を有する画素電極27と、スイッチング素子である薄膜トランジスター(以降、「トランジスター30」と呼称する)と、データ線(図示せず)と、これらを覆う第1配向膜28とが形成されている。
【0019】
画素電極27は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)などの透明導電膜で形成されている。本発明における素子基板10は、少なくとも画素電極27、トランジスター30、第1配向膜28を含むものである。
【0020】
対向基板20の液晶層15側の表面には、遮光膜18と、これを覆うように成膜された絶縁層33と、絶縁層33を覆うように設けられた対向電極31と、対向電極31を覆う第2配向膜32とが設けられている。本発明における対向基板20は、少なくとも遮光膜18、対向電極31、第2配向膜32を含むものである。
【0021】
遮光膜18は、図1に示すように表示領域Eを取り囲むと共に、平面的に走査線駆動回路24、検査回路25と重なる位置に設けられている。これにより対向基板20側からこれらの駆動回路を含む周辺回路に入射する光を遮光して、周辺回路が光によって誤動作することを防止する役目を果たしている。また、不必要な迷光が表示領域Eに入射しないように遮光して、表示領域Eの表示における高いコントラストを確保している。
【0022】
絶縁層33は、例えば、酸化シリコンなどの無機材料からなり、光透過性を有して遮光膜18を覆うように設けられている。このような絶縁層33の形成方法としては、例えばプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法などを用いて成膜する方法が挙げられる。
【0023】
対向電極31は、例えば、ITOなどの透明導電膜からなり、絶縁層33を覆うと共に、図1に示すように対向基板20の四隅に設けられた上下導通部26により素子基板10側の配線に電気的に接続されている。
【0024】
画素電極27を覆う第1配向膜28および対向電極31を覆う第2配向膜32は、液晶装置100の光学設計に基づいて選定される。第1配向膜28及び第2配向膜32としては、気相成長法を用いてSiOx(酸化シリコン)などの無機材料を成膜して、負の誘電異方性を有する液晶分子に対して略垂直配向させた無機配向膜が挙げられる。
【0025】
このような液晶装置100は、例えば、透過型であって、電圧が印加されない時の画素Pの透過率が電圧印加時の透過率よりも大きいノーマリーホワイトや、電圧が印加されない時の画素Pの透過率が電圧印加時の透過率よりも小さいノーマリーブラックモードの光学設計が採用される。光の入射側と射出側とにそれぞれ偏光素子が光学設計に応じて配置されて用いられる。なお、反射型の液晶装置に適用するようにしてもよい。
【0026】
図3に示すように、液晶装置100は、少なくとも表示領域Eにおいて互いに絶縁されて直交する複数の走査線3a(2つの電極のうち一方の電極、遮光層)および複数のデータ線6aと、容量線3bとを有する。例えば、走査線3aが延在する方向がX方向であり、データ線6aが延在する方向がY方向である。
【0027】
走査線3aとデータ線6aならびに容量線3bと、これらの信号線類により区分された領域に、画素電極27と、トランジスター30と、容量素子16とが設けられ、これらが画素Pの画素回路を構成している。
【0028】
走査線3aはトランジスター30のゲートに電気的に接続され、データ線6aはトランジスター30のソース領域に電気的に接続されている。画素電極27は、トランジスター30のドレイン領域に電気的に接続されている。
【0029】
データ線6aは、データ線駆動回路22(図1参照)に接続されており、データ線駆動回路22から供給される画像信号D1,D2,…,Dnを画素Pに供給する。走査線3aは、走査線駆動回路24(図1参照)に接続されており、走査線駆動回路24から供給される走査信号SC1,SC2,…,SCmを各画素Pに供給する。
【0030】
データ線駆動回路22からデータ線6aに供給される画像信号D1~Dnは、この順に線順次で供給してもよく、互いに隣り合う複数のデータ線6a同士に対してグループごとに供給してもよい。走査線駆動回路24は、走査線3aに対して、走査信号SC1~SCmを所定のタイミングでパルス的に線順次で供給する。
【0031】
液晶装置100は、スイッチング素子であるトランジスター30が走査信号SC1~SCmの入力により一定期間だけオン状態とされることで、データ線6aから供給される画像信号D1~Dnが所定のタイミングで画素電極27に書き込まれる構成となっている。そして、画素電極27を介して液晶層15に書き込まれた所定レベルの画像信号D1~Dnは、画素電極27と液晶層15を介して対向配置された対向電極31との間で一定期間保持される。
【0032】
保持された画像信号D1~Dnがリークするのを防止するため、画素電極27と対向電極31との間に形成される液晶容量と並列に容量素子16が接続されている。容量素子16は、2つの容量配線の間に容量膜としての誘電体層を有するものである。
【0033】
図4に示すように、画素Pは、隣り合う画素電極27と画素電極27との間に、データ線6aや走査線3aが配置されている。また、データ線6aと走査線3aとが交差する部分にトランジスター30が配置されている。
【0034】
図5に示すように、液晶装置100は、素子基板10と、これに対向配置される対向基板20と、を備えている。素子基板10を構成する第1基材10aは、例えば、石英である。素子基板10は、第1基材10aの上に、走査線3aと、トランジスター30と、データ線6aと、容量素子16と、画素電極27と、第1配向膜28と、を備えている。
【0035】
具体的には、第1基材10aの上に、酸化シリコンなどからなる絶縁層11aが配置されている。絶縁層11aの上には、タングステンシリサイド(WSi)などからなる遮光層としても機能する走査線3aが配置されている。走査線3aは、半導体層30aと重畳する2つの電極のうちの一方の一態様である。
【0036】
走査線3a及び絶縁層11aの上には、酸化シリコンなどからなる絶縁層11bが配置されている。絶縁層11bの上には、トランジスター30が配置されている。
【0037】
トランジスター30は、例えば、LDD(Lightly Doped Drain)構造を有しており、ポリシリコン(高純度の多結晶シリコン)等からなる半導体層30aと、半導体層30a上に形成されたゲート絶縁層11gと、ゲート絶縁層11g上に形成されたアルミニウム等からなるゲート電極30g(2つの電極のうちの他方)と、を有する。
【0038】
半導体層30aは、例えば、リン(P)イオン等のN型の不純物イオンが注入されることにより、N型のトランジスター30として形成されている。具体的には、半導体層30aは、チャネル領域30cと、第1LDD領域30s1と、ソース領域30sと、LDD領域としての第2LDD領域30d1と、ドレイン領域30dとを備えている。
【0039】
チャネル領域30cには、ボロン(B)イオン等のP型の不純物イオンがドープされている。その他の領域(30s1,30s,30d1,30d)には、リン(P)イオン等のN型の不純物イオンがドープされている。
【0040】
ゲート電極30g及びゲート絶縁層11gの上には、酸化シリコン等からなる絶縁層11cが配置されている。絶縁層11cの上には、中継電極60を介してゲート電極30gと電気的に接続されたアルミニウムなどからなるゲート配線30g1(2つの電極のうちの他方)が配置されている。なお、ゲート配線30g1は、中継電極60を介して走査線3aとも電気的に接続されている。ゲート配線30g1は、半導体層30aと重畳する2つの電極のうちの他方の一態様である。
【0041】
ゲート配線30g1及び絶縁層11cの上には、酸化シリコン等からなる絶縁層11dが配置されている。絶縁層11dの上には、コンタクトホールCNT1aを介してドレイン領域30dと電気的に接続されたアルミニウムなどからなる中継配線51が配置されている。中継配線51及び絶縁層11dの上には、酸化シリコン等からなる絶縁層11eが配置されている。
【0042】
絶縁層11eの上には、コンタクトホールCNT2を介してソース領域30sと電気的に接続されたデータ線6aが配置されている。データ線6a及び絶縁層11eの上には、酸化シリコン等からなる絶縁層11fが配置されている。絶縁層11fの上には、共通電位が印加される共通配線52が配置されている。共通配線52の上には、酸化シリコン等からなる層間絶縁層としての絶縁層11hが配置されている。
【0043】
絶縁層11hの上には、容量素子16が配置されている。具体的には、容量素子16は、例えば、固定電位側の容量配線である第1容量配線16aと、トランジスター30のドレイン領域30dと電気的に接続された第2容量配線16bと、第1容量配線16aと第2容量配線16bとの間に配置された誘電体層16cと、を備えている。第1容量配線16aは、コンタクトホールCNT5を介して共通配線52と電気的に接続されている。
【0044】
容量素子16の上には、酸化シリコン等からなる絶縁層11iが配置されている。絶縁層11iの上には、コンタクトホールCNT1を介して第2容量配線16bと電気的に接続された画素電極27が形成されている。画素電極27は、例えば、ITO等の透明導電膜である。
【0045】
画素電極27の上には、酸化シリコンなどの無機材料を斜方蒸着した第1配向膜28が配置されている。第1配向膜28の上には、シール材14により囲まれた空間に液晶等が封入された液晶層15が配置されている。
【0046】
一方、対向基板20は、第2基材20aの上(液晶層15側)に、絶縁層33と、対向電極31と、第2配向膜32と、を備えている。第2基材20aは、例えば、石英である。絶縁層33は、例えば、酸化シリコンで構成されている。対向電極31は、例えば、ITO等の透明導電膜である。第2配向膜32は、酸化シリコンなどの無機材料が斜方蒸着されて形成されている。
【0047】
液晶層15は、画素電極27と対向電極31との間で電界が生じていない状態で配向膜28,32によって所定の配向状態をとる。次に、図6及び図7を参照しながら、画素Pの一部の構成について説明する。
【0048】
図6は、画素Pのうちトランジスター30の構造を簡略化して示す平面図である。図7は、第1基材10aからゲート配線30g1までのトランジスター30の構造を示す断面図である。
【0049】
図6及び図7に示すように、トランジスター30は、平面視でデータ線6aと走査線3aとが交差する部分に重なって配置されている。図7に示すように、絶縁層11aの上には、走査線3aが配置されている。走査線3aの上には、絶縁層11b、半導体層30a、ゲート絶縁層11g、ゲート電極30g(図5参照)、及び絶縁層11cが配置されている。絶縁層11cの上には、ゲート配線30g1が配置されている。
【0050】
ゲート配線30g1と走査線3aとの間には、絶縁層11b,11g,11cを貫く凹部60aに中継電極60が配置されている。中継電極60は、平面視で、半導体層30aの第2LDD領域30d1およびチャネル領域30cの延在する方向に沿って配置されている。中継電極60の各上下端部は、それぞれゲート配線30g1と走査線3aとにそれぞれ電気的に接続されている。中継電極60は、導電性のプラグ62で構成され、プラグ62の外側面62a、内側面62b、および反射防止膜61で覆われている。内側面62bはプラグ62の半導体層30aが配置された側の面を示し、外側面62aは内側面62bに対向する面を示している。
【0051】
このようにゲート配線30g1と走査線3aとが、反射防止膜61で外側面を覆われたプラグ62を介して接続されることによって、Z方向に交差する方向(XY方向ないし斜め方向)に進む光が半導体層30aのチャネル領域30cおよび第2LDD領域30d1への入射することを効率よく抑制することができる。プラグ62は、例えば、タングステン(W)やアルミニウム(Al)などで構成されている。
【0052】
反射防止膜61は、その周辺の絶縁層の材料、例えば、酸化シリコン(SiO2)より高い屈折率を有する絶縁性材料であることが好ましく、例えば、窒化シリコン(SiN)で構成されている。反射防止膜61は、屈折率が酸化シリコンより高ければ高いほど高い反射防止効果を得ることができる。具体的には、中継電極60の側面に垂直に入る光を吸光することができる。なお、反射防止膜61の材料は、窒化シリコンであることに限定されず、例えば、酸窒化シリコン(SiON)やアルミニウム(Al23)などでもよい。反射防止膜61は、図6に示すように、平面視でH字形状の中継電極60の外周に連続して配置されている。
【0053】
また、プラグ62と反射防止膜61との間に、導電性材料からなるバリア層を備えることが好ましい。即ち、中継電極60とその周辺を断面視したときの構成は、タングステンであるプラグ62、バリア層であるバリアメタル、反射防止膜61である窒化シリコン、絶縁層である酸化シリコンの順になる。バリア層としては、反射率の低い導電性材料であり、例えば、窒化チタン(TiN)などが挙げられる。
【0054】
この構成によれば、バリア層は、タングステンよりも反射率が低いため、反射防止効果を得ることができる。なお、バリア層が導電性のある膜であることから、遮光膜として半導体層30aに近づけると、寄生容量などが生じ、トランジスター30が誤動作する恐れがある。よって、中継電極60の半導体層30a側には、絶縁性材料の反射防止膜61のみを配置することが好ましい。なお、図示しないが、ゲート電極30gとゲート配線30g1とを電気的に接続する部分の中継電極60も、同様の構成になっている。
【0055】
このような中継電極60の構成によれば、中継電極60の外側面に反射防止膜61が配置されているので、中継電極60に入射する光を吸収することが可能となり、光が中継電極60で反射する場合と比較して、第2LDD領域30d1に向かう迷光を少なくすることができる。これにより、TFT特性が変化することを抑えることができる。
【0056】
ゲート配線30g1は、中継電極60を介して走査線3aと電気的に接続されている。ゲート配線30g1は、例えば、窒化チタン(TiN)、アルミニウム(Al)、窒化チタン(TiN)の積層膜である。
【0057】
次に、トランジスター30、主に中継電極60の製造方法を、図8図13を参照しながら説明する。まず、図8に示すように、ステップS11では、半導体(トランジスター30)を形成する。具体的には、図9に示すように、第1基材10aの上に、絶縁層11a、走査線3a、絶縁層11b、半導体層30a、ゲート絶縁層11g、ゲート電極30g(図5参照)、絶縁層11cを順に形成する。
【0058】
ステップS12では、凹部60aを形成する。具体的には、図10に示すように、絶縁層11c、ゲート絶縁層11g、絶縁層11bにおける、走査線3aと重なる位置に、エッチング処理を施すことによって凹部60aを形成する。
【0059】
ステップS13では、図11に示すように、凹部60aの側壁に反射防止膜61を形成する。具体的には、凹部60aの中及び絶縁層11cの上に、反射防止膜61を成膜する。その後、反射防止膜61に異方性エッチング処理を施す。これにより、絶縁層11cの上の反射防止膜61と、凹部60aの底の反射防止膜61とが除去され、凹部60aの側壁のみに反射防止膜61が形成される。
【0060】
ステップS14では、凹部60aの中にプラグ62を形成する。具体的には、図12に示すように、凹部60aの中に、プラグ62の材料であるタングステンを埋め込む。なお、上記したように、反射防止膜61とプラグ62との間に、バリア層を形成するようにしてもよい。以上により、中継電極60が完成する。
【0061】
ステップS15では、ゲート配線30g1を形成する。具体的には、図13に示すように、絶縁層11cの上に、ゲート配線30g1を形成する。ゲート配線30g1は、上記したように、積層膜である。ゲート配線30g1は、中継電極60を介して、走査線3aと電気的に接続される。
【0062】
図14に示すように、本実施形態の電子機器としてのプロジェクター1000は、システム光軸Lに沿って配置された偏光照明装置1100と、光分離素子としての2つのダイクロイックミラー1104,1105と、3つの反射ミラー1106,1107,1108と、5つのリレーレンズ1201,1202,1203,1204,1205と、3つの光変調手段としての透過型の液晶ライトバルブ1210,1220,1230と、光合成素子としてのクロスダイクロイックプリズム1206と、投写レンズ1207とを備えている。
【0063】
偏光照明装置1100は、超高圧水銀灯やハロゲンランプなどの白色光源からなる光源としてのランプユニット1101と、インテグレーターレンズ1102と、偏光変換素子1103とから概略構成されている。
【0064】
ダイクロイックミラー1104は、偏光照明装置1100から射出された偏光光束のうち、赤色光(R)を反射させ、緑色光(G)と青色光(B)とを透過させる。もう1つのダイクロイックミラー1105は、ダイクロイックミラー1104を透過した緑色光(G)を反射させ、青色光(B)を透過させる。
【0065】
ダイクロイックミラー1104で反射した赤色光(R)は、反射ミラー1106で反射した後にリレーレンズ1205を経由して液晶ライトバルブ1210に入射する。ダイクロイックミラー1105で反射した緑色光(G)は、リレーレンズ1204を経由して液晶ライトバルブ1220に入射する。ダイクロイックミラー1105を透過した青色光(B)は、3つのリレーレンズ1201,1202,1203と2つの反射ミラー1107,1108とからなる導光系を経由して液晶ライトバルブ1230に入射する。
【0066】
液晶ライトバルブ1210,1220,1230は、クロスダイクロイックプリズム1206の色光ごとの入射面に対してそれぞれ対向配置されている。液晶ライトバルブ1210,1220,1230に入射した色光は、映像情報(映像信号)に基づいて変調されクロスダイクロイックプリズム1206に向けて射出される。
【0067】
このプリズムは、4つの直角プリズムが貼り合わされ、その内面に赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが十字状に形成されている。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成されて、カラー画像を表す光が合成される。合成された光は、投写光学系である投写レンズ1207によってスクリーン1300上に投写され、画像が拡大されて表示される。
【0068】
液晶ライトバルブ1210は、上述した液晶装置100が適用されたものである。液晶装置100は、色光の入射側と射出側とにおいてクロスニコルに配置された一対の偏光素子の間に隙間を置いて配置されている。他の液晶ライトバルブ1220,1230も同様である。
【0069】
なお、液晶装置100が搭載される電子機器としては、プロジェクター1000の他、ヘッドアップディスプレイ(HUD)、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)、スマートフォン、EVF(Electrical View Finder)、モバイルミニプロジェクター、電子ブック、携帯電話、モバイルコンピューター、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、ディスプレイ、車載機器、オーディオ機器、露光装置や照明機器など各種電子機器に用いることができる。
【0070】
以上述べたように、本実施形態の液晶装置100は、画素Pと、画素Pをスイッチングするトランジスター30と、を備え、走査信号が供給され、断面視でトランジスター30の半導体層30aを挟んで配置されたゲート電極30g、言い換えれば、ゲート配線30g1と走査線3aと、ゲート配線30g1と走査線3aとの間に配置され、平面視で半導体層30aの第2LDD領域30d1の側方を遮光する中継電極60と、を備え、中継電極60の外側面には、反射防止膜61が配置されている。
【0071】
この構成によれば、中継電極60の外側面に反射防止膜61が配置されているので、中継電極60に入射する光を吸収、言い換えれば、吸光することが可能となり、光が中継電極60で反射する場合と比較して、第2LDD領域30d1に向かう迷光を少なくすることができる。これにより、TFT特性が変化することを抑えることができる。
【0072】
また、2つの電極は、半導体層30aの下側に配置された走査線3aと、半導体層30aの上側に配置されたゲート電極30g、言い換えれば、ゲート配線30g1と、であることが好ましい。
【0073】
この構成によれば、中継電極60を利用することにより、第2LDD領域30d1の側方の遮光性を向上させることができる。
【0074】
また、中継電極60は、プラグ62を含むことが好ましい。
【0075】
この構成によれば、中継電極60がプラグ62で構成されているので、例えば、タングステンプラグとして形成することにより、遮光性を向上させることができる。
【0076】
また、中継電極60は、H字形状であることが好ましい。
【0077】
この構成によれば、中継電極60はH字形状なので、例えば、半導体層30aの第2LDD領域30d1の側方を囲むように中継電極60を配置することが可能となり、第2LDD領域30d1の遮光性を向上させることができる。
【0078】
また、反射防止膜61は、絶縁性材料であることが好ましい。
【0079】
この構成によれば、反射防止膜61に絶縁性材料を用いるので、例えば、第2LDD領域30d1の近くにゲート電位である中継電極60が配置されている場合でも、TFT特性に影響を及ぼすことを抑えることができる。
【0080】
また、中継電極60は、プラグ62と反射防止膜61との間に、導電性のバリア層を備えることが好ましい。
【0081】
この構成によれば、導電性のバリア層を備えることにより、例えば、ゲート電極30gと走査線3aとを電気的に接続することが可能になると共に、タングステンなどと比較して反射率を低下させることができる。
【0082】
また、上記に記載の液晶装置100を備えるので、表示品質を向上させることが可能なプロジェクター1000を提供することができる。
【0083】
また、液晶装置100の製造方法は、第1基材10aの上に走査線3aを形成する工程と、第1基材10a及び走査線3aの上に、絶縁層11bと、半導体層30aと、ゲート絶縁層11gと、絶縁層11cと、を順に形成する工程と、走査線3aに到達すると共に、半導体層30aの第2LDD領域30d1を囲むように、絶縁層11cと、ゲート絶縁層11gと、絶縁層11bと、に凹部60aを形成する工程と、凹部60aの側壁に反射防止膜61を形成する工程と、反射防止膜61を含む凹部60aの中にプラグ62を埋め込んで中継電極60を形成する工程と、半導体層30aの上に、中継電極60と電気的に接続されるゲート電極30gを形成する工程と、を有する。
【0084】
この方法によれば、中継電極60の側壁に反射防止膜61を形成するので、中継電極60に入射する光を吸収することが可能となり、光が中継電極60で反射する場合と比較して、第2LDD領域30d1に向かう迷光を少なくすることができる。これにより、TFT特性が変化することを抑えることができる。
【0085】
なお、上記した実施形態では、中継電極60の反射防止膜61とプラグ62との間にバリア層を設けたが、この構成に限定されず、例えば、中継電極60と走査線3aとが電気的に接続される凹部60aの底にバリア層を配置するようにしてもよい。この構成によれば、中継電極60の底の反射防止性を向上させることができる。
【0086】
また、絶縁層11aの上に遮光性の走査線3aを配置したが、この構成に限定されず、例えば、第1基材10aの中にタングステンの遮光膜を埋め込む構成にしてもよい。
【0087】
また、中継電極60に反射防止膜61を配置したが、この構成に限定されず、例えば、コンタクトホールの外側面に反射防止膜61を配置するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0088】
3a…2つの電極のうちの一方である走査線、3b…容量線、6a…データ線、10…素子基板、10a…第1基材、11a,11b,11c,11d,11e,11f…絶縁層、11g…ゲート絶縁層、11h,11i…絶縁層、14…シール材、15…液晶層、16…容量素子、16a…第1容量配線、16b…第2容量配線、16c…誘電体層、18…遮光膜、20…対向基板、20a…第2基材、22…データ線駆動回路、24…走査線駆動回路、25…検査回路、26…上下導通部、27…画素電極、28…第1配向膜、29…配線、30…トランジスター、30a…半導体層、30c…チャネル領域、30d…ドレイン領域、30d1…LDD領域としての第2LDD領域、30g1…2つの電極のうちの他方であるゲート配線、30g…2つの電極のうちの他方であるゲート電極、30s…ソース領域、30s1…第1LDD領域、31…対向電極、32…第2配向膜、33…絶縁層、51…中継配線、52…共通配線、60…中継電極、60a…凹部、61…反射防止膜、62…プラグ、70…外部接続用端子、100…電気光学装置としての液晶装置、1000…電子機器としてのプロジェクター、1100…偏光照明装置、1101…ランプユニット、1102…インテグレーターレンズ、1103…偏光変換素子、1104,1105…ダイクロイックミラー、1106,1107,1108…反射ミラー、1201,1202,1203,1204,1205…リレーレンズ、1206…クロスダイクロイックプリズム、1207…投写レンズ、1210,1220,1230…液晶ライトバルブ、1300…スクリーン。
図1
図2
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図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14