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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】画像形成装置および制御方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/47 20060101AFI20240717BHJP
   G03G 15/043 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
B41J2/47 101M
G03G15/043
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020127156
(22)【出願日】2020-07-28
(65)【公開番号】P2022024514
(43)【公開日】2022-02-09
【審査請求日】2023-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江口 達也
(72)【発明者】
【氏名】江口 博
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 隆史
(72)【発明者】
【氏名】石田 岳士
【審査官】大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-297762(JP,A)
【文献】特開平09-069662(JP,A)
【文献】米国特許第05832012(US,A)
【文献】特開平09-323446(JP,A)
【文献】特開平08-084231(JP,A)
【文献】特開2019-155807(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0049093(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/47
G03G 15/043
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を形成する感光体と、
前記感光体を露光する発光素子と、
前記発光素子の発光制御を実行する少なくとも1つの発光制御部と、
前記発光制御部に対して前記発光素子を制御するための制御パラメーターを含む信号をシリアル通信を介して送信する制御部とを備え、
前記発光制御部は、前記発光素子の発光により前記感光体の表面に静電潜像を形成させるための画像信号に基づく発光制御がされない期間において、前記制御部から前記制御パラメーターを含む信号を受信する通信に応じて、前記発光素子に対する発光制御を停止する、画像形成装置。
【請求項2】
前記発光制御部は、露光タイミング用の水平同期信号を得るための前記発光素子の発光制御および光量のサンプリングのための前記発光素子の発光制御を実行する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御パラメーターは、露光タイミング用の水平同期信号を得るための前記発光素子の発光タイミング、前記発光素子の光量、前記発光素子の発光の開始タイミングおよび終了タイミング、前記発光制御部のエラーに関する送信要求を含む、請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記発光制御部は、前記制御部から前記制御パラメーターを含む信号を受信したときに、前記発光素子に対する発光制御を停止する、請求項1~3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記制御パラメーターを含む信号を前記発光制御部に送信する前に、前記発光素子の発光を停止させる信号を送信する、請求項1~3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記制御パラメーターを含む信号の送信が終了する時点で、前記制御パラメーターを含む信号の送信が終了したことを示す送信終了信号を前記発光制御部に送信し、
前記発光制御部は、前記送信終了信号を受信したことに応じて、前記発光素子に対する発光制御を開始する、請求項1~5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記発光制御部は、前記感光体にトナー像を形成する処理中に露光タイミング用の水平同期信号を得るための前記発光素子の発光制御および光量のサンプリングのための前記発光素子の発光制御を実行する、請求項1~6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記発光素子は、それぞれ発光態様が異なる複数の発光モードが設定され、
前記制御部は、前記発光制御部に対して前記発光素子の発光モードを切り替えるための前記制御パラメーターを含む信号を送信する、請求項1~7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記発光モードは、前記トナー像の状態を調整するための発光をするモードを含む、請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
複数の前記発光制御部を備え、
前記制御部は、前記制御パラメーターを含む信号を複数の前記発光制御部のうちのいずれか1つの前記発光制御部に送信する前に、複数の前記発光制御部に対して、前記発光素子の発光を停止させる信号を送信する、請求項5~9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
トナー像を形成する感光体と、前記感光体を露光する発光素子と、前記発光素子の発光制御を実行する少なくとも1つの発光制御部と、制御部と、を備える画像形成装置の制御方法であって、
前記制御部が、前記発光制御部に対して前記発光素子を制御するための制御パラメーターを含む信号をシリアル通信を介して送信するステップと、
前記発光制御部が、前記制御パラメーターを含む信号をシリアル通信を介して受信するステップと、
前記発光制御部が、前記発光素子の発光により前記感光体の表面に静電潜像を形成させるための画像信号に基づく発光制御がされない期間において、前記制御部から前記制御パラメーターを含む信号を受信する通信に応じて、前記発光素子に対する発光制御を停止するステップとを含む、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像形成装置および制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、トナーを用いる電子写真方式の画像形成装置が広く普及している。これらの画像形成装置は、感光体にトナー像を形成し、当該トナー像をシート上に転写する。画像形成装置は、感光体の表面にトナー像を形成するため、感光体の表面に電荷を形成する帯電プロセス、感光体の表面に光を照射して静電潜像を形成する露光プロセス、および感光体の表面にトナーを付着させる現像プロセスを実行する。
【0003】
上記の露光プロセスは、発光制御部が発光素子を発光させるための制御である発光制御によって実行される。画像形成装置全体を総括して制御する制御部は、発光制御部にシリアル通信で発光制御に関するパラメーター等を送信することで、発光制御をする。
【0004】
発光制御を安定させるための技術に関し、たとえば、特開2019-155807号公報(特許文献1)は、「制御部は、画像が形成される第1のシートSと、第1のシートSから連続して画像が形成される第2のシートSに画像を形成する際に、第1のシートSと第2のシートSとの間で目標光量レジスタDACに記憶された目標光量を変更する場合であり、且つ、ポリゴンミラーが第1のシートSに画像を形成するために感光体ドラムを複数回走査する期間に亘ってシリアル通信が行われる場合、BD信号が出力されたタイミングをシリアル通信の開始の起点とし、APC制御を行うタイミングと、目標光量が目標光量レジスタDACに書き換えられるタイミングが重ならないように、シリアル通信の設定を行う」画像形成装置を開示している([要約]参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-155807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、制御部と発光制御部とがシリアル通信をするとき、発光制御部に内蔵されるシリアル通信用のレジスタメモリーが一斉に書き換えられ、大量のフリップフロップ回路が動作することがある。その結果、発光制御部は、一時的に大量の電力を消費する。
【0007】
発光制御部が大量の電力を消費したとき、発光制御部は誤動作をする場合があり、発光素子の発光のタイミングがずれてしまうことがあった。そのため、発光制御をより安定させるための技術が必要とされている。
【0008】
本開示は係る実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、発光制御部がシリアル通信による信号を受信する場合であっても、発光素子の発光のタイミングがずれることを防止する、画像形成装置およびその制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示のある局面に従う画像形成装置は、トナー像を形成する感光体と、感光体を露光する発光素子と、発光素子の発光制御を実行する少なくとも1つの発光制御部と、発光制御部に対して発光素子を制御するための制御パラメーターを含む信号を送信する制御部とを備える。発光制御部は、制御部から制御パラメーターを含む信号を受信する通信に応じて、発光素子に対する発光制御を停止する。
【0010】
好ましくは、発光制御部は、露光タイミング用の水平同期信号を得るための発光素子の発光制御および光量のサンプリングのための発光素子の発光制御を実行する。
【0011】
好ましくは、制御パラメーターは、露光タイミング用の水平同期信号を得るための発光素子の発光タイミング、発光素子の光量、発光素子の発光の開始タイミングおよび終了タイミング、発光制御部のエラーに関する送信要求を含む。
【0012】
好ましくは、発光制御部は、制御部から制御パラメーターを含む信号を受信したときに、発光素子に対する発光制御を停止する。
【0013】
好ましくは、制御部は、制御パラメーターを含む信号を発光制御部に送信する前に、発光素子の発光を停止させる信号を送信する。
【0014】
好ましくは、制御部は、制御パラメーターを含む信号の送信が終了する時点で、制御パラメーターを含む信号の送信が終了したことを示す送信終了信号を発光制御部に送信し、発光制御部は、送信終了信号を受信したことに応じて、発光素子に対する発光制御を開始する。
【0015】
好ましくは、発光制御部は、感光体にトナー像を形成する処理中に露光タイミング用の水平同期信号を得るための発光素子の発光制御および光量のサンプリングのための発光素子の発光制御を実行する。
【0016】
好ましくは、発光素子は、それぞれ発光態様が異なる複数の発光モードが設定され、制御部は、発光制御部に対して発光素子の発光モードを切り替えるための制御パラメーターを含む信号を送信する。
【0017】
好ましくは、発光モードは、トナー像の状態を調整するための発光をするモードを含む。
【0018】
好ましくは、画像形成装置は複数の発光制御部を備え、制御部は、制御パラメーターを含む信号を複数の発光制御部のうちのいずれか1つの発光制御部に送信する前に、複数の発光制御部に対して、発光素子の発光を停止させる信号を送信する。
【0019】
本開示のある局面に従う画像形成装置の制御方法は、トナー像を形成する感光体と、感光体を露光する発光素子と、発光素子の発光制御を実行する少なくとも1つの発光制御部と、制御部と、を備える画像形成装置の制御方法である。
【0020】
当該制御方法は、制御部が、発光制御部に対して発光素子を制御するための制御パラメーターを含む信号を送信するステップと、発光制御部が、制御パラメーターを含む信号を受信するステップと、発光制御部が、制御部から制御パラメーターを含む信号を受信する通信に応じて、発光素子に対する発光制御を停止するステップとを含む。
【発明の効果】
【0021】
本開示によれば、発光制御部がシリアル通信による信号を受信する場合であっても、発光制御部が制御パラメーターを含む信号を受信したとき、発光素子の発光が停止し、制御パラメーターを読み込んだ後に発光制御部が発光素子の発光を開始させることで、発光素子の発光のタイミングがずれることを防止する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本実施の形態に従う画像形成装置の一例を示す図である。
図2】画像形成装置の発光制御に関する制御系の一部の例を示す模式図である。
図3】発光制御部におけるレーザーダイオードを制御するための構成の一例を示す模式図である。
図4】プリントヘッド部の構成の一例を示す側面図である。
図5】プリントヘッド部の構成の一例を示す上面図である。
図6】レーザーダイオードの調整発光の開始のタイミングとシリアル通信とが同時に発生した場合の各発光及び信号の様子の一例を示す図である。
図7図5の構成において制御部のシリアル通信のディセイブル機能を使用した場合の各発光及び信号の様子の一例を示す図である。
図8】1枚のシートに対する各種発光のタイミングを示す図である。
図9】SOS発光が周期的に発光していることを示す図である。
図10】ジョブ間においてシリアル通信をする場合の例である。
図11図10に対する比較例である。
図12】複数の発光制御部を備えるプリントヘッド部の一例を示す第1の模式図である。
図13図12の構成において、制御部のシリアル通信のディセイブル機能を使用した場合の各発光および信号の様子の一例を示す図である。
図14】複数の発光制御部を備えるプリントヘッド部の一例を示す第2の模式図である。
図15図14の構成において、制御部のシリアル通信のディセイブル機能を使用した場合の各発光及び信号の様子の一例を示す図である。
図16】画像形成装置におけるプリント処理の一例を示すフローチャートである。
図17】画像形成装置における画像安定化処理の一例を示すフローチャートである。
図18】安定化処理の種類の一覧を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しつつ、本開示に係る技術思想の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称及び機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0024】
<A.画像形成装置の概要>
図1は、本実施の形態に従う画像形成装置1の一例を示す図である。本実施の形態に従えば、制御パラメーターを含む信号を発光制御部が受信したとき、発光素子に対する発光制御を抑制する画像形成装置1が提供される。制御パラメーターについては、後述で説明する。
【0025】
図1を参照して、画像形成装置1のハードウェア構成の概要について説明する。画像形成装置1は、プリントエンジン100と、読取部200と、操作パネル300とを備える。
【0026】
プリントエンジン100は、イメージングユニット110と、中間転写ベルト120と、定着部130と、給紙部140と、送出ローラー150と、搬送ローラー160と、レジストローラー170と、制御部180と、電源部190とを備える。
【0027】
プリントエンジン100は、給紙部140内のシートに対して印刷処理を行う。送出ローラー150は、給紙部140からシートを搬送する。さらに、搬送ローラー160は、中間転写ベルト120の方向に向けてシートを搬送する。
【0028】
イメージングユニット110は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、キー・プレート(K)のそれぞれのトナー像を形成するイメージングユニット10C,10M,10Y,10Kを含む。イメージングユニット10C,10M,10Y,10Kは、帯電部(図示せず)と、現像部(図示せず)と、クリーニング部(図示せず)と、中間転写体接触ローラー(図示せず)とを含む。
【0029】
また、イメージングユニット10Cは、感光体11Cを含む。イメージングユニット10Mは、感光体11Mを含む。イメージングユニット10Yは、感光体11Yを含む。イメージングユニット10Kは、感光体11Kを含む。以下では、感光体11C、感光体11M、感光体11Y、および感光体11Kを総称して、単に、感光体と称する場合がある。
【0030】
露光部112は、イメージングユニット10C,10M,10Y,10Kに対して共通である。ある局面において、イメージングユニット10C,10M,10Y,10Kの各々が、個別の露光部112を含んでいてもよい。これ以降の説明では、露光部112は、イメージングユニット10C,10M,10Y,10Kの各々に対して共通であるとする。
【0031】
イメージングユニット110および中間転写ベルト120は、シートに転写されるトナー像を形成する。帯電部は、感光体の表面を一様に帯電する。露光部112は、レーザー書き込み等により、指定された画像パターンに従って感光体の表面を露光することで、その表面上に静電潜像を形成する。現像部は、感光体上に形成された静電潜像をトナー像として現像する。
【0032】
レジストローラー170は、中間転写ベルト120の手前で、シートの搬送タイミングを調節する。中間転写ベルト120は、シートにトナー像を転写する。定着部130は、シートに定着処理をする。最後に、シートは、排出トレイに排出される。
【0033】
感光体の表面に形成されたトナー像は、中間転写体接触ローラーにより、中間転写ベルト120に転写される。中間転写ベルト120上には、それぞれの感光体からトナー像が順次転写されて、4色のトナー像が重ね合わされることになる。重ね合わされたトナー像は、中間転写ベルト120からシートに転写される。
【0034】
読取部200は、シートを読み取って、その読み取り結果を入力画像としてプリントエンジン100に対して出力する。イメージスキャナー210は、プラテンガラス上に配置されたシートをスキャンし、生成した画像データを制御部180に送信する。自動原稿送り装置220は、給紙台230に配置されたシートを連続してスキャンする。
【0035】
給紙台230上に配置されたシートは、送出ローラー(図示しない)により1枚ずつ送られ、イメージスキャナー210または自動原稿送り装置220内に配置されたイメージセンサーによって順次スキャンされる。スキャン後のシートは、排紙台240へ排出される。
【0036】
制御部180は、画像形成装置1全体を制御する。電源部190は、交流電力源に接続され、画像形成装置1に電力を供給する。電源部190は、その内部に整流回路を含み、交流電力源から供給される交流を直流に変換し、画像形成装置1内の一部または全ての各回路に直流電流を供給し得る。
【0037】
操作パネル300は、表示部(図示せず)と、操作部(図示せず)とを含む。表示部は液晶モニター、有機EL(Electro Luminescence)モニター等を含む。液晶モニター、有機ELモニター等は、タッチセンサーを含み、操作メニューを表示すると共に、ユーザーからのタッチによる入力を受付けることができる。操作部は、複数のボタンを含み、タッチパネルと同様に、ユーザーからの入力を受付けることができる。操作パネル300は、受け付けた入力を制御部180に送信する。
【0038】
図2は、画像形成装置1の発光制御に関する制御系の一部の例を示す模式図である。図2に示す各構成は、電気回路および電気回路と組み合わせて使用されるハードウェアによって実現され得る。
【0039】
制御部180は、画像処理部181と、発光モード制御部182とを含む。また、制御部180は、プリントヘッド部113と、イメージスキャナー210と、操作パネル300と、湿度センサー119に接続される。
【0040】
プリントヘッド部113は、発光制御部114と、ポリゴンモーター115と、レーザーダイオード116と、光センサー117と、粉塵センサー118とを含む。
【0041】
制御部180は、CPU(Central Processing Unit)(図示せず)と、RAM(Random Access Memory)(図示せず)と、ROM(Read Only Memory)(図示せず)とを含む。CPUは、RAMに読み込まれた各種プログラムおよびデータを実行または参照する。
【0042】
ある局面において、CPUは、組み込みCPUであってもよいし、FPGA(Field-Programmable Gate Array)であってもよいし、またはこれらの組み合わせ等によって構成される。CPUは、画像形成装置1の各種機能を実現するためのプログラムを実行し得る。
【0043】
RAMは、CPUによって実行されるプログラムと、CPUによって参照されるデータとを格納する。ある局面において、RAMは、DRAM(Dynamic Random Access Memory)またはSRAM(Static Random Access Memory)によって実現されてもよい。
【0044】
ROMは、不揮発性メモリーであり、CPUによって実行されるプログラムを格納してもよい。その場合、CPUは、ROMからRAMに読み出されたプログラムを実行する。ある局面において、ROMは、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)またはフラッシュメモリーによって実現されてもよい。
【0045】
画像処理部181は、発光制御部114に対して、画像信号を送信する。当該画像信号は、イメージスキャナー210によって読み込まれた画像データ、または画像形成装置1が備える通信部(図示せず)を介して外部装置から取得した画像データに基づいて生成され得る。発光制御部114は、画像信号に基づいて、レーザーダイオード116に感光体の表面に静電潜像を形成させる。
【0046】
発光モード制御部182は、発光素子であるレーザーダイオード116の露光タイミング用の水平同期信号であるSOS(Start of Scan)信号を得るための同期発光に関する情報と、レーザーダイオード116の光量を調整するためのSH(Sample Hold)発光に関する情報とを発光制御部114に送信する。これらの情報は、各信号の発生タイミングおよび終了タイミングなどを定義するためのカウンター値を含む。
【0047】
SOS信号は、発光の開始タイミングを決定するために使用され得る。SOS信号は、光センサー117がSOS信号を得るための同期発光(以下、「SOS発光」と呼ぶ)を検出したことにより発生する。
【0048】
SH発光は、感光体に照射する光量を調整するための発光である。光センサー117は、SH発光を検出し、検出値に基づく信号を発光制御部114または制御部180に送信する。発光制御部114または制御部180は、SH発光の検出値に基づいて、レーザーダイオード116の光量を補正し得る。
【0049】
ある局面において、画像形成装置1は、光センサー117とは別個に設けられたレーザーダイオード116のバックライトを検出する光センサー(図示せず)を備えてもよい。
【0050】
本実施の形態において、発光制御部114は、レーザーダイオード116に対してSOS発光およびSH発光の発光制御を実行する。ある局面においては、レーザーダイオード116の発光制御を調整するための調整発光は、SOS発光およびSH発光以外の発光を含んでいてもよい。発光制御の実行とは、発光制御部114がレーザーダイオード116を発光させることを意味する。
【0051】
ある局面において、画像処理部181および発光モード制御部182は、制御部180が備える個別のハードウェアとして実現されてもよい。他の局面において、画像処理部181および発光モード制御部182は、制御部180のCPUによって実行されるプログラムとして実現されてもよい。
【0052】
発光制御部114は、プリントヘッド部113のポリゴンモーター115およびレーザーダイオード116等の各ハードウェアを制御する。ポリゴンモーター115は、レーザーダイオード116が照射したレーザーを反射するためのポリゴンミラーを駆動するためのモーターである。
【0053】
レーザーダイオード116は、感光体にレーザーを照射し、その表面に静電潜像を形成する。発光制御部114は、ポリゴンモーター115およびレーザーダイオード116を制御することで、各色の感光体の表面の任意の場所にレーザーを照射し得る。
【0054】
光センサー117は、レーザーダイオード116が照射するレーザー光を検出する。光センサー117は、検出した光量を示す信号を発光制御部114に送信する。ある局面において、光センサー117は、ポリゴンミラーに反射したレーザー光を検出してもよい。
【0055】
粉塵センサー118は、プリントヘッド部113周辺の粉塵を検出する。粉塵センサー118は、検出した粉塵の量を示す信号を発光制御部114に送信する。ある局面において、発光制御部114は、粉塵の量が一定以上の場合、制御部180にエラーを出力し得る。
【0056】
湿度センサー119は、画像形成装置1の筐体の内部または外部に設置され得る。湿度センサー119は、湿度センサー119の周辺の湿度を検出する。湿度センサー119は、検出した湿度に関する信号を制御部180に送信する。制御部180は、湿度に応じて、感光体の帯電プロセス、露光プロセスおよび現像プロセス等の各種パラメーターを調整し得る。各種パラメーターは、帯電電圧、光量、トナー量等を含む。
【0057】
<B.発光制御および発光制御のための通信>
図3は、発光制御部114におけるレーザーダイオード116を制御するための構成の一例を示す模式図である。図3を参照して、発光制御部114の内部構成と、発光制御部114による発光制御と、制御部180および発光制御部114の間の通信とについて説明する。
【0058】
(B-1.発光制御部114の構成)
発光制御部114は、OR回路401と、レーザーダイオード駆動部402と、レーザーダイオード116と、タイミング信号発生部403と、光量補正部406と、基準クロック発生部409と、エラー検出部410とを含む。
【0059】
タイミング信号発生部403は、カウンター値メモリー404と、カウンター405とを含む。光量補正部406は、補正値メモリー407を含む。制御部180と、発光制御部114とは、画像信号線302、シリアル信号線303およびSOS信号線304を介して接続されている。
【0060】
OR回路401は、2つの入力信号を受け付け、1つの出力信号を出力する。1つ目の入力信号は、画像信号線302を介して画像処理部181から出力される画像信号である。2つ目の入力信号は、タイミング信号発生部403から出力されるタイミング信号である。
【0061】
OR回路401は、画像信号の入力を受け付けると、画像信号と同じ信号をレーザーダイオード駆動部402に出力する。また、OR回路401は、タイミング信号の入力を受け付けると、タイミング信号と同じ信号をレーザーダイオード駆動部402に出力する。
【0062】
レーザーダイオード駆動部402は、OR回路401から出力される信号に基づいて、レーザーダイオード116を駆動する。たとえば、レーザーダイオード駆動部402は、画像信号を受信すると、レーザーダイオード116を制御して、当該画像信号に基づく静電潜像を感光体の表面に形成する。
【0063】
また、レーザーダイオード駆動部402は、タイミング信号を受信すると、レーザーダイオード116を制御して、SOS発光またはSH発光を実行する。レーザーダイオード116から出力されるレーザー光は、ポリゴンミラー321によって進路の調整がされる。
【0064】
タイミング信号発生部403は、SOS発光またはSH発光の実行タイミングを計測し、SOS発光またはSH発光の実行タイミングに合わせて、タイミング信号をOR回路401に向けて出力する。カウンター値メモリー404は、各信号のカウンター値を保持する。
【0065】
たとえば、カウンター値メモリー404は、タイマーにおける各信号のマッチング設定、タイマーのリセットタイミング等を保持する。カウンター405は、タイマー用のカウンターである。タイミング信号発生部403は、カウンター405のカウント値をカウントアップまたはカウントダウンする。
【0066】
タイミング信号発生部403は、カウンター405のカウント値と、カウンター値メモリー404の各信号のマッチング設定のカウント値とを比較して、これらが一致していた場合にタイミング信号を生成する。
【0067】
発光モード制御部182は、シリアル信号線303を介して、SOS発光またはSH発光に関するカウンター値を発光制御部114に送信する。ある局面において、これらのカウンター値は、SOS発光のマッチング設定と、SH発光のマッチング設定と、タイマーのリセットタイミングとを含み得る。発光制御部114は、受信したこれらのカウンター値をカウンター値メモリー404に保存する。制御部180は、シリアル通信機能をディセイブルにする期間を検出するために、これらのカウンター値を使用する。
【0068】
シリアル信号線303は、シリアルクロック信号線、データインプット信号線、データアウトプット信号線の3つの信号線を含み得る。シリアルクロック信号線は、シリアル通信におけるクロックを伝送する。シリアル通信のデータは、当該クロックのタイミングで送受信される。ある局面において、制御部180は、シリアルクロック信号線に送信するクロックを生成する。
【0069】
データアウトプット信号線は、マスターである制御部180からスレイブである発光制御部114に向けてデータを伝送する。発光モード制御部182は、データアウトプット信号線を介して、発光制御部114にデータを送信する。
【0070】
たとえば、発光モード制御部182は、データアウトプット信号線を介して、発光制御部114にSOS発光およびSH発光に関するカウンター値を送信する。
【0071】
データインプット信号線は、スレイブである発光制御部114からマスターである制御部180に向けてデータを伝送する。発光モード制御部182は、データインプット信号線を介して、発光制御部114からのデータを受信する。
【0072】
たとえば、発光制御部114は、データアウトプット信号線を介して、制御部180にSOS発光およびSH発光を受信したことを意味するACK信号などを送信する。
【0073】
光量補正部406は、レーザーダイオード駆動部402に光量補正信号を送信する。光量補正部406は、補正値メモリー407に基づいて、光量補正信号を生成する。光量補正部406は、発光モード制御部182およびタイミング信号発生部403からの信号に基づいて、補正値メモリー407に補正値を格納し得る。
【0074】
発光制御部114は、シリアル信号線303を介して制御部180から取得した光量の補正値の信号に基づいて、補正値メモリー407を書き換えてもよい。
【0075】
基準クロック発生部409は、タイミング信号発生部403によって使用されるタイマーの基準クロックを生成する。基準クロック発生部409は、光センサー117がSOS発光の検出時に出力するSOS信号に基づいて、基準クロックの開始位置または終了位置を調整し得る。SOS信号は、SOS信号線304を介して、基準クロック発生部409と、制御部180に送信される。
【0076】
エラー検出部410は、プリントヘッド部113で発生した各種エラーを検出する。各種エラーは、一例として、レーザーダイオード116への過電流、発光制御部114の電圧低下、カウンター405の誤作動等を含む。
【0077】
エラー検出部410は、これらのエラーを検出すると、内蔵するレジスタの対応するビットが0から1になる。制御部180は、シリアル信号線303を介して、エラー検出部410が記憶するエラー情報を読み出す。より具体的には、制御部180は、シリアル信号線303を介して、発光制御部114にエラー読み出し要求を送信し、発光制御部114からエラー情報を受信する。
【0078】
(B-2.各発光の発生タイミング)
次に、レーザーダイオード116の発光が発生するタイミングについて説明する。上記のように、露光プロセスにおいて、プリントヘッド部113は、SOS発光とSH発光とを含む調整発光および静電潜像の形成のための発光を実行する。
【0079】
プリントヘッド部113は、感光体の表面に1つの画像を形成するために、SOS発光とSH発光とを含む調整発光および静電潜像を形成する発光の各々を複数回繰り返す。プリントヘッド部113は、感光体の表面にライン単位で静電潜像の一部を形成する。
【0080】
プリントヘッド部113は、感光体の表面にライン単位での静電潜像の一部の形成を繰り返すことで、最終的に感光体の表面に1つの画像の静電潜像を形成する。SOS発光とSH発光とを含む調整発光および静電潜像を形成する発光は、このライン単位で発生する。すなわち、発光制御部114は、感光体にトナー像を形成する処理中にSOS発光およびSH発光の発光制御を実行する。
【0081】
たとえば、プリントヘッド部113が感光体の表面にライン単位で静電潜像の一部を1000回形成する場合、SOS発光とSH発光とを含む調整発光、および静電潜像を形成する発光も1000回発生する。プリントヘッド部113は、静電潜像を形成する発光、SOS発光、SH発光の順番に各発光を繰り返し実行する。
【0082】
レーザーダイオード116は、ジョブ内での後処理である感光体の電位を均一とするエンドシーケンス処理のうちのイレース発光中においてもSOS発光とSH発光とを含む調整発光をする。
【0083】
(B-3.制御部180および発光制御部114の間で発生する通信)
上述の制御部180と、発光制御部114との間で発生する発光制御に関連する通信は、少なくとも以下の第1の通信~第4の通信を含む。
【0084】
第1の通信では、発光制御部114がレーザーダイオード116を制御するための制御パラメーターを含む信号に関する通信をする。制御パラメーターは、SOS発光およびSH発光に関するカウンター値の通信を含む。当該カウンター値は、発光制御部114が、レーザーダイオード116のSOS発光およびSH発光の発光タイミングを得るためのカウンター値である。
【0085】
第1の通信は、シリアル信号線303を介して実行される。発光制御部114は、第1の通信に基づいて、タイミング信号発生部403のカウンター値メモリー404を書き換えて、SOS発光とSH発光とを含む調整発光のタイミングをカウントし得る。プリントヘッド部113は、感光体の表面に静電潜像を形成する発光の前後に、SOS発光とSH発光とを含む調整発光を実行する。
【0086】
また、制御パラメーターは、レーザーダイオード116の光量、レーザーダイオード116の発光の開始タイミングおよび終了タイミングを含む。レーザーダイオード116の光量とは、SH発光のフィードバックに基づいて定めた光量である。レーザーダイオード116は、制御パラメーターが含む光量に基づいて、発光する。
【0087】
レーザーダイオード116の発光の開始タイミングおよび終了タイミングとは、ジョブ全体において、レーザーダイオード116が最初に発光するタイミングと、ジョブ全体において最後に発光するタイミングを示す。
【0088】
第2の通信は、画像信号の通信である。制御部180は、画像データおよび印刷指令を取得したことに基づいて、画像信号を発光制御部114に送信する。画像信号は、プリントヘッド部113に感光体の表面に静電潜像を形成させるための信号である。発光制御部114は、第2の通信に基づいて、感光体の表面に静電潜像を形成する発光を実行する。
【0089】
第3の通信は、光センサー117の検出値の通信である。光センサー117は、レーザーダイオード116のレーザー光を検出する。光センサー117は、レーザー光を検出した後、SOS信号線304を介して、基準クロック発生部409と、制御部180とに検出信号を送信する。
【0090】
光センサー117から送信される検出信号は、少なくとも、SOS信号を含み得る。基準クロック発生部409は、SOS発光を検出したときのSOS信号に基づいて、基準クロックを調整し得る。
【0091】
第4の通信は、発光制御部114のエラーに関する送信要求のための通信である。第4の通信は、エラー情報の読み出しのために発生する。制御部180は、エラー検出部410のエラー情報を読み出すために、シリアル信号線303を介して、発光制御部114と通信する。当該第4の通信は、第1の通信の直後に行なわれ得る。
【0092】
上記の4つの通信の中で、第1の通信および第4の通信(シリアル通信)が発生した場合、発光制御部114は、内蔵するシリアル通信用のレジスタメモリーを一斉に書き換えるため、大量のフリップフロップ回路を動作させる。結果として、発光制御部114は、一時的に大量の電力を消費する。
【0093】
シリアル通信が発光制御と同時に発生した場合、発光制御部114の電圧低下を引き起こし、カウンター405の誤動作等を引き起こすことがある。カウンター405の誤動作が発生すると、感光体の表面に静電潜像の形成が正常に行なわれずに、プリントされた画像の品質が劣化し得る。
【0094】
(B-4.発光制御とシリアル通信とが同時に発生するタイミング)
次に、発光制御と、シリアル通信とが同時に発生し得るタイミングの一例について説明する。第1の通信は、制御部180がジョブを受け付けたことに応じて発生する。プリントヘッド部113は、第1の通信によりジョブ等の設定に関するデータを受信する。
【0095】
第1の通信は、たとえば、トナー像の状態を調整するためのモードである安定化モードに切り替える前に発生する。
【0096】
また、第1の通信は、感光体の状態を調整するための処理である紙間パッチ処理をする前に発生する。紙間パッチ処理とは、ジョブ間で感光体に対して、テストのパッチ処理を行い、感光体全体の摩耗具合を一定に調整する処理である。画像形成装置1は、紙間パッチ処理により、感光体の状態を調整する。
【0097】
第1の通信は、モノクロでの印刷処理からカラーでの印刷処理に切り替える前にも、発生する。また、第1の通信は、カラーでの印刷処理からモノクロでの印刷処理に切り替える前にも、発生する。
【0098】
たとえば、制御部180は、キープレートのトナー像を形成するためのイメージングユニット10Kのみを動作させている状態から、全てのイメージングユニット10C,10M,10Y,10Kを動作させるために、第1の通信を発生させる。
【0099】
フルカラー印刷の機能を備える画像形成装置1において、プリントヘッド部113は、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),およびキープレート(ブラック)(K)の色ごとに発光素子(レーザーダイオード116)を備える。画像形成装置1は、モノクロでの印刷処理からカラーでの印刷処理に切り替えるとき、色ごとの発光素子(レーザーダイオード116)を切り替える。
【0100】
たとえば、画像形成装置1は、モノクロでの印刷処理からカラーでの印刷処理に切り替えるとき、キープレート(ブラック)(K)に対応する発光素子のみを発光させるモノクロでの印刷処理から、全ての発光素子を発光させるカラーでの印刷処理に切り替える。カラーでの印刷処理からモノクロでの印刷処理に切り替える場合、画像形成装置1は、全ての発光素子を発光させる処理からキープレート(ブラック)(K)に対応する発光素子のみを発光させるに切り替える。
【0101】
画像形成装置1は、発光制御をする発光素子を切り替える前に第1の通信を発生させる。画像形成装置1は、モノクロおよびカラーの切り替えのみならず、たとえば複数の発光素子のうちの1つに対するエラーを検知したとき、発光制御をする発光素子の切り替えをするとしてもよい。
【0102】
第1の通信は、上述の感光体の電位を均一にするエンドシーケンス処理を実行する前に、発生し得る。
【0103】
画像形成装置1では、紙間パッチ処理、エンドシーケンス処理、安定化モードに切り替える処理、モノクロでの印刷処理とカラーでの印刷処理との間を切り替える処理が実行される。
【0104】
レーザーダイオード116は、紙間パッチ処理をする間、通常の印刷処理時の発光態様とは異なる発光態様で発光する。以下では、紙間パッチ処理中のレーザーダイオード116の発光態様を、紙間パッチモードで発光すると称する場合がある。
【0105】
レーザーダイオード116は、エンドシーケンス処理においても、通常の印刷処理時の発光態様および紙間パッチモードの発光態様とは異なるエンドシーケンスモードで発光する。レーザーダイオード116は、安定化モード、モノクロでの印刷処理モード、カラーでの印刷処理モード中において、それぞれ異なる固有の発光態様で発光する。以下では、これらの固有の発光態様を、レーザーダイオード116の発光モードと称する。
【0106】
このように、レーザーダイオード116は、発光制御部114が制御部180から制御パラメーターを含む信号を受信することで、それぞれ発光態様が異なる複数の発光モードが設定される。
【0107】
第1の通信の終了後、プリントヘッド部113は、静電潜像の形成のための発光を実行する。また、第1の通信の直後に、第4の通信が発生し得る。
【0108】
そこで、本実施の形態に従う画像形成装置1は、上記のように、発光制御と同時に発生する可能性のあるシリアル通信を発生させないように、発光制御部114が発光制御を実行中の場合、制御部180のシリアル通信の機能をディセイブルにする。
【0109】
制御部180は、発光制御部114が発光制御を実行中でない場合にのみ、シリアル通信を実行する。たとえば、制御部180は、発行制御の完了後等の発光制御部114が発光制御を実行中でない場合にのみ、エラー検出部410のエラー情報を読み出すための第4の通信を実行する。
【0110】
より具体的には、発光モード制御部182は、SOS発光およびSH発光に関するカウンター値を生成して、発光制御部114にこれらのカウンター値を送信する。これにより、発光モード制御部182は、SOS発光およびSH発光に関するカウンター値に基づいて、発光制御部114が発光制御を完了する(発光素子の発光が完了する)タイミングを検出することができる。
【0111】
制御部180は、発光制御部114の発光制御の開始タイミングから完了タイミングまで(発光素子の発光の開始から完了まで)、発光制御部114に対するシリアル通信の発生を禁止し、上記の電圧低下の発生を防止し得る。
【0112】
他の局面において、制御部180は、シリアルクロックのポート、データインプットのポート、およびデータアウトプットのポートの機能をディセイブルにすることでシリアル通信を発光素子の発光の開始から完了まで禁止してもよい。
【0113】
本実施の形態に従う画像形成装置1は、発光制御部114に設定される各種カウンター値に基づいて、発光制御中の制御部180のシリアル通信の機能をディセイブルにする。
【0114】
当該機能により、画像形成装置1は、シリアル通信と発光制御との同時発生を防止する。その結果、発光制御部114において、電圧低下は発生せず、電圧低下に起因するカウンター405の誤動作も発生しなくなり、プリントされる画像の品質も向上する。
【0115】
<C.プリントヘッド部のハードウェア構成>
次に、図4および図5を参照して、プリントヘッド部113におけるレーザー光の反射の様子について説明する。図4は、プリントヘッド部113の構成の一例を示す側面図である。図4に示す例では、ポリゴンミラー321によって反射されたレーザー光は、fθレンズ322を介して、各色の感光体にレーザー光を反射するための反射ミラーに入光する。
【0116】
反射ミラー323Y,324Yは、イエローの感光体にレーザー光を反射する。反射ミラー323M,324Mは、マゼンタの感光体にレーザー光を反射する。反射ミラー323C,324Cは、シアンの感光体にレーザー光を反射する。反射ミラー323Kは、キープレート(ブラック)の感光体にレーザー光を反射する。
【0117】
図5は、プリントヘッド部113の構成の一例を示す上面図である。フルカラー印刷の機能を備える画像形成装置1において、プリントヘッド部113は、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),およびキープレート(ブラック)(K)の色ごとに発光素子(レーザーダイオード116)を備える。
【0118】
各発光素から照射されたレーザー光の各々は、コリメータレンズ502Y,502M,502C,502Kの各々によって集光される。集光された各レーザー光は、段差を設けて設置された反射ミラー503Y,503M,503C,503Kの各々によって、反射ミラー504に集められる。反射ミラー504は、各レーザー光をポリゴンミラー321に導く。ポリゴンミラー321から反射されたレーザー光の一部は、反射ミラー511を介して、光センサー117に入光する。光センサー117にレーザー光が入光することにより、制御部180は、ポリゴンミラー321から反射されたレーザー光のSOS信号を含む同期信号を検出する。
【0119】
また、本実施の形態の画像形成装置1は、さらに、反射ミラー512と光センサー513とを備える。光センサー513にレーザー光が入光することにより、制御部180は、ポリゴンミラー321から反射されたレーザー光の終了信号を検出する。
【0120】
<D.発光および信号のタイミング>
次に、図6および図7を参照して、レーザーダイオード116の発光およびシリアル通信の信号の発生タイミングについて説明する。図6は、レーザーダイオード116の調整発光の開始のタイミングとシリアル通信とが同時に発生した場合の各発光及び信号の様子の一例を示す図である。
【0121】
通信(SK、DI,DO)は、シリアルクロック信号、データインプット信号、データアウトプット信号を意味する。
【0122】
発光制御部114は、一定の周期で3回の調整発光601,602,603の発光制御を実行する。本実施の形態においては、調整発光は、SOS発光およびSH発光とで構成される。ある局面において、調整発光は、他の発光を含んでもよい。
【0123】
発光制御部114は、周期的に連続して発生する調整発光601,602,603の発光制御の間に、感光体の表面に静電潜像を形成するための発光制御を実行する。たとえば、発光制御部114は、調整発光601と調整発光602との間である期間604において、感光体の表面に1ライン分の静電潜像を形成するための発光制御を実行し得る。
【0124】
同様に、発光制御部114は、調整発光602と調整発光603との間である期間605において、感光体の表面に1ライン分の静電潜像を形成するための発光制御を実行し得る。すなわち、期間604および期間605では、第2の通信が発生する。
【0125】
図6に示す例では、3回目の調整発光603であるSOS発光の開始タイミングでシリアル通信が発生している。その結果、発光制御部114内部の通信用レジスタの書き換え処理と、レーザーダイオード116の発光とが同時に発生し、発光制御部114の電圧低下が発生する。
【0126】
その際、カウンター405が誤動作を起こし、発光制御部114は、本来実行するはずであったSOS発光の処理を実行しなくなり、その後の感光体の表面への静電潜像の形成もスキップされる。その結果、印刷画像の品質が劣化する。また、カウンター405が誤動作を起こすことで、レーザーダイオード116の発光のタイミングがずれてしまうことがある。
【0127】
図7は、図5の構成において制御部180のシリアル通信のディセイブル機能を使用した場合の各発光及び信号の様子の一例を示す図である。期間703は、発光制御部114が発光制御を実行中の期間である。言い換えれば、この期間は、発光制御部114により画像形成処理が実行されている期間である。
【0128】
制御部180は、当該期間703の間、制御部180のシリアル通信の機能をディセイブルにする。そのため、制御部180および発光制御部114の間のシリアル通信701およびシリアル通信702とは、期間703の前後でしか発生しない。その結果、発光制御部114の電圧低下は発生せず、印刷画像の品質劣化は発生しない。
【0129】
<E.ジョブ間での発光タイミング>
図8は、1枚のシートに対する各種発光のタイミングを示す図である。領域R1は、たとえば、A4サイズなどの1枚のシートを示す領域である。幅L7は、シートの縦幅の長さを示し、幅L6は、シートの横幅の長さを示す。
【0130】
領域R2は、領域R1が示すシート内において、画像形成処理がされる領域である。すなわち、幅L1、幅L2、幅L3、および幅L4は、画像形成処理がされない余白領域を示す。これにより、画像形成装置1は、シートの端にトナーを定着させることを防止し、その結果、シートの裏面にまでトナーが付着することを防ぐ。
【0131】
HSYNCは、水平同期信号を意味する。期間t1は、水平同期信号を得るための発光であるSOS発光をしている期間を示す。TODは、垂直同期信号を意味する。期間t7は、垂直同期信号を得るための発光をする期間を示す。
【0132】
VIDEO1(Y_M_C_K)は、第2の通信である画像信号の通信を意味する。すなわち、VIDEO1(Y_M_C_K)は、感光体に静電潜像を形成するための露光を意味する。
【0133】
期間t3は、水平方向においてのレーザーダイオード116が画像信号に基づいて発光する期間を示す。期間t2は、SOS発光の開始後から画像信号に基づく発光が開始されるまでの期間を示す。期間t6は、SOS発光がされてから、画像信号に基づく発光がシートの中央に到達するまでの期間を示す。
【0134】
期間t9は、1枚のシートにおける垂直方向でのレーザーダイオード116が画像信号に基づいて発光する期間を示す。期間t8は、垂直同期信号を得るための発光がされてから、領域R1で示すシートに対して画像信号に基づく発光が最初に開始されるまでの期間を示す。
【0135】
図9は、SOS発光が周期的に発光していることを示す図である。発光制御部114は、期間t1および期間t1’においてSOS発光の発光制御を実行する。先ず、発光制御部114は、期間t1においてSOS発光の発光制御を実行する。その後、発光制御部114は、画像信号に基づいて感光体を露光させるため、期間t3において画像信号に基づいて感光体を露光させるために発光する。
【0136】
発光制御部114は、画像信号に基づいて感光体を露光させるための発光を終えた後に、再度、期間t1’においてSOS発光の発光制御を実行する。すなわち、発光制御部114は、期間t10の周期で、レーザーダイオード116に対してSOS発光の発光制御を実行する。期間t11は、画像信号において1ドット分の発光を示す期間である。
【0137】
図10は、ジョブ間においてシリアル通信をする場合の例である。図10では、シートCS1の印刷処理がされた後に、シートMS1の印刷処理がされる例が示されている。シートCS1は、カラーでの印刷処理がされるシートを示す。シートMS1は、モノクロでの印刷処理がされるシートを示す。
【0138】
期間IT1は、シートCS1の印刷処理がされる前のSOS発光の状態を示す期間である。期間IT2は、シートCS1の印刷処理が終わった後であって、シートMS1との印刷処理が開始される前のSOS発光の状態を示す期間である。期間IT3は、シートMS1の印刷処理がされた後のSOS発光の状態を示す期間である。すなわち、図10では、画像形成装置1の処理が図の下方向から上方向に向かって進む。
【0139】
期間IT1において、レーザーダイオード116は、SOS発光をする。レーザーダイオード116は、シートCS1の印刷処理がされている間も周期的にSOS発光する。
【0140】
紙間パッチ処理、エンドシーケンス処理、安定化モードに切り替える処理、モノクロでの印刷処理とカラーでの印刷処理との間を切り替える処理等をする際に、制御部180は、発光制御部114にシリアル通信をする。すなわち、第1の通信が発生する。
【0141】
図10の例では、シートCS1とシートMS1との印刷処理の間で、カラーでの印刷処理からモノクロでの印刷処理に切り替える処理がされる。そのため、第1の通信は、シートCS1とシートMS1との印刷処理の間で発生する。
【0142】
言い換えれば、期間IT2において、制御部180は、カラーでの印刷処理からモノクロでの印刷処理に切り替えるために、制御パラメーターを含む信号を、シリアル通信を介して発光制御部114に送信する。
【0143】
発光制御部114は、制御部180から当該制御パラメーターを含む信号を受信する通信に応じて、期間ST1においてレーザーダイオード116の発光を停止させる。すなわち、発光制御部114は、レーザーダイオード116に対する発光制御を停止する。
【0144】
すなわち、図10では、発光制御部114は、制御部180から制御パラメーターを含む信号を受信したときに、レーザーダイオード116に対して、調整発光の発光制御を停止する。期間ST1が示すように、制御パラメーターを含む信号を受信したことを契機として、レーザーダイオード116のSOS発光は、発光制御部114によって停止される。これにより、制御部180は、制御パラメーターを含む信号を送信するのみで、発光制御部114によって、SOS発光を停止することができる。
【0145】
レーザーダイオード116は、期間IT2が開始した直後にSOS発光をした後、期間ST1において、SOS発光を停止する。制御部180は、期間ST1にて制御パラメーターを含む当該信号を送信することができる。
【0146】
これにより、期間IT2において、制御パラメーターを含む信号とSOS発光が同時に発生することがなくなり、その結果、発光制御部114が誤動作することを防止し、レーザーダイオード116の発光のタイミングがずれることを防止する。
【0147】
一方で、制御部180は、カラーでの印刷処理からモノクロでの印刷処理に切り替えるための制御パラメーターを含む信号を送信する前に、レーザーダイオード116の発光を停止させる信号を発光制御部114に対して送信してもよい。
【0148】
これによれば、事前に、制御部180が発光制御部114に対して、発光を停止させる信号を送信することで、第1の通信が発生する前に、制御パラメーターを含む信号とSOS発光が同時に発生することをより確実に防止することができる。その結果、発光制御部114が誤動作することを防止し、レーザーダイオード116の発光のタイミングがずれることを防止する。
【0149】
制御部180は、制御パラメーターを含む信号の送信が終了する時点で、制御パラメーターを含む信号の送信が終了したことを示す送信終了信号を発光制御部114に送信する。発光制御部114は、送信終了信号を受信したことに応じて、レーザーダイオード116に対する発光制御を開始する。
【0150】
これにより、発光制御部114は、制御パラメーターを読み込み、送信終了信号を受信した後に、レーザーダイオード116の発光を開始することができる。すなわち、発光制御部114は、制御部180から受信した制御パラメーターを読み込み終えたことを契機にして、レーザーダイオード116の発光を開始させる。
【0151】
ある局面においては、制御部180は送信終了信号を送信せずに、発光制御部114が制御パラメーターを含む信号を受信したときから所定時間が経過したことを契機として、レーザーダイオード116の発光を開始させてもよい。
【0152】
図10の例では、モードの切り替え処理が終了した後、すなわち、期間ST1が終了した後に、期間IT2にてSOS発光が開始されている。これにより、画像形成装置1は、効率的に、モノクロでの印刷処理を開始することができ、生産性が向上する。
【0153】
図10の例では、制御部180が制御パラメーターを含む信号を送信するタイミングが、画像信号に基づく発光がされない期間である例を示した。すなわち、制御部180は、シートCS1の印刷処理とシートMS1の印刷処理との間に、制御パラメーターを含む信号を送信していた。
【0154】
これは、図7で示したように、本実施の形態における画像形成装置1は、シートの印刷処理がされている期間703では、制御パラメーターを含む信号を送信することを禁止しているためである。
【0155】
ある局面においては、シートの印刷処理がされている期間703であっても、発光制御部114が制御パラメーターを含む信号の送信を許容してもよい。この場合、発光制御部114は、制御パラメーターを含む信号を受信したことに応じて、画像信号に基づく発光をも停止し印刷処理自体を中断することで、制御パラメーターを読み込む。
【0156】
図11は、図10に対する比較例である。図11図10とが共通する点の説明は、繰り返さない。図11では、制御部180が、制御パラメーターを含む信号を発光制御部114に送信しても、発光制御部114は、期間ST1’においてSOS発光を継続している。
【0157】
そのため、期間IT2において、制御パラメーターを含む信号とSOS発光が同時に発生する場合があり、その結果、発光制御部114が誤動作することを防止し、レーザーダイオード116の発光のタイミングがずれることを防止する。
【0158】
<F.他の装置構成への応用>
上記の開示内容は、複数の発光制御部114に対しても適用可能である。図12を参照して、複数の発光制御部114の発光制御中における制御部180のシリアル通信の制御方法について説明する。
【0159】
図12は、複数の発光制御部114を備えるプリントヘッド部113の一例を示す第1の模式図である。図12に示す例は、複数の発光制御部114A,114Bが発光制御を実行する点で、図3に示す例と異なる。
【0160】
たとえば、発光制御部114Aは、イエロー(Y)、シアン(C)の静電潜像の形成を実行し、発光制御部114Bはマゼンタ(M)、キープレート(ブラック)(K)の静電潜像の形成を実行し得る。このように、プリントヘッド部113は、複数の発光制御部114A,114Bを備えることで、感光体の表面に高速に静電潜像を形成し得る。
【0161】
図12の例では、制御部180は、シリアル通信の通信先を指定するためのセレクトポート(図示せず)を少なくとも2つ備える。第1のセレクトポートは、信号線801Aを介して、発光制御部114Aに接続される。第2のセレクトポートは、信号線801Bを介して、発光制御部114Bに接続される。
【0162】
制御部180は、第1のセレクトポートまたは第2のセレクトポートの片方の出力(セレクト信号)をHIGHにすることで、通信先を決定する。たとえば、制御部180が第1のセレクトポートの出力をHIGHにした場合、発光制御部114Aは、自装置が通信先として選択されたと判定し、制御部180から送信されてくる信号を取り込む。
【0163】
逆に、第2のセレクトポートの出力はLOWのままであり、発光制御部114Bは、自装置が通信先として選択されていないと判定し、制御部180から送信されてくる信号を取り込まない。
【0164】
制御部180は、各発光制御部114A,114Bの各々に送信したSOS発光およびSH発光のカウンター値に基づいて、発光制御中の発光制御部114のセレクトポートをHIGHにしないことで、各発光制御部114A,114Bで発光処理およびシリアル通信を同時に発生させないようにできる。
【0165】
ある局面において、制御部180は、ソフトウェアによる条件分岐等により上記の機能を実現してもよい。他の局面において、制御部180は、各セレクトポートのレジスタを書き換えることで、各セレクトポートの出力をHIGHにできないようにしてもよい。
【0166】
図13は、図12の構成において、制御部180のシリアル通信のディセイブル機能を使用した場合の各発光および信号の様子の一例を示す図である。SK信号、DI信号,DO信号、CS信号(SC1,SC2信号)は、それぞれ、シリアルクロック信号、データインプット信号、データアウトプット信号、セレクト信号である。
【0167】
期間903は、発光制御部114A,114Bが発光制御を実行中の期間である。言い換えれば、この期間は、印刷ジョブの画像形成処理が実行されている期間である。制御部180は、当該期間903の間、制御部180のシリアル通信の機能をディセイブルにする。
【0168】
もしくは、制御部180は、発光制御を実行している発光制御部114を選択するためのセレクトポートの出力をLOWにする。
【0169】
そのため、制御部180および発光制御部114A,114Bの間のシリアル通信901,シリアル通信902は、期間903の前後でしか発生しない。その結果、発光制御部114A,114Bのいずれにおいても電圧低下は発生せず、印刷画像の品質劣化も発生しない。
【0170】
図14は、複数の発光制御部114を備えるプリントヘッド部113の一例を示す第2の模式図である。図14に示す例は、複数の発光制御部114A,114Bが発光制御を実行し、かつ、制御部180は、制御部180のシリアル通信機能をハードウェアによりディセイブルにする点で、上述の構成とは異なる。
【0171】
たとえば、発光制御部114Aは、イエロー(Y)、シアン(C)の静電潜像の形成を実行し、発光制御部114Bはマゼンタ(M)、キープレート(ブラック)(K)の静電潜像の形成を実行し得る。
【0172】
図14の例では、信号線1001は、シリアル通信におけるデータインプット信号線と、データアウトプット信号線を含む。信号線1002は、シリアルクロック通信線である。信号線1003Aは、発光制御部114Aを選択するための第1のセレクトポートに接続される信号線である。信号線1003Bは、発光制御部114Bを選択するための第2のセレクトポートに接続される信号線である。
【0173】
信号線1002および信号線1003Aの各々は、AND回路1004Aの入力ポートに接続される。信号線1002および信号線1003Bの各々は、AND回路1004Bの入力ポートに接続される。
【0174】
AND回路1004Aの出力側の信号線が、発光制御部114Aのシリアルクロック信号の入力ポートに接続される。AND回路1004Bの出力側の信号線が、発光制御部114Bのシリアルクロック信号の入力ポートに接続される。
【0175】
上記の構成により、各発光制御部114A,114Bを選択するためのセレクトポートの信号は、クロック信号のイネイブルおよびディセイブルを制御するための信号になり得る。より具体的には、制御部180が第1のセレクトポートの出力をHIGHにし、第2のセレクトポートの出力をLOWにした場合において、制御部180がシリアルクロックを発生させたとき、AND回路1004Aはシリアルクロックを出力するが、AND回路1004Bはシリアルクロックを出力しない。このように、図14の例では、制御部180によって選択されていない発光制御部114へのシリアルクロックをハードウェア構成により遮断することにより、より確実に、発光制御中の発光制御部114に対するシリアル通信を防止し得る。
【0176】
図15は、図14の構成において、制御部180のシリアル通信のディセイブル機能を使用した場合の各発光及び信号の様子の一例を示す図である。SK1信号は、AND回路1004Aから発光制御部114Aに出力されるシリアルクロック信号である。SK2信号は、AND回路1004Bから発光制御部114Bに出力されるシリアルクロック信号である。
【0177】
期間1103は、発光制御部114A,114Bが発光制御を実行中の期間である。言い換えれば、この期間は、印刷ジョブの画像形成処理が実行されている期間である。制御部180は、当該期間1103の間、制御部180のシリアル通信の機能をディセイブルにする。もしくは、制御部180は、発光制御を実行している発光制御部114を選択するためのセレクトポートをディセイブルにし、選択されていない発光制御部114に対するシリアルクロック信号を強制的に遮断する。
【0178】
そのため、制御部180および発光制御部114A,114Bの間のシリアル通信1101,1102は、期間1103の前後でしか発生しない。その結果、発光制御部114A,114Bのいずれにおいても電圧低下は発生せず、印刷画像の品質劣化も発生しない。
【0179】
図12または図14で示す構成において、画像形成装置1は、複数の発光制御部114を備える。画像形成装置1が、複数の発光制御部114を備える場合、制御部180は、図10で示したレーザーダイオード116Aおよび116Bの発光を停止させる信号を送信するとき、発光制御部114Aおよび発光制御部114Bの両方に送信する。
【0180】
すなわち、制御部180は、レーザーダイオード116の発光態様を切り替えるために発光制御部114Aまたは発光制御部114Bのうちのいずれか1つに制御パラメーターを含む信号を送信する前に、調整発光を停止させる信号を、発光制御部114Aと発光制御部114Bとに送信する。
【0181】
すなわち、図10で示すように、制御部180は、シートへの印刷処理が終わった後である期間903の後にて、レーザーダイオード116のモードを切り替えるための制御パラメーターを含む信号を送信する。図10では、制御部180が制御パラメーターを含む当該信号を送信する前に、レーザーダイオード116の発光を停止させる信号を発光制御部114に送信する例を示した。
【0182】
図12では、制御部180は、発光制御部114Aと発光制御部114Bの両方に対して、レーザーダイオード116の発光を停止させる信号を送信する。これにより、画像形成装置1は、より確実に制御パラメーターを含む信号とSOS発光が同時に発生することを発光制御部114Aおよび発光制御部114Bの両方に対し防ぐことで、発光制御部114が誤動作することを防止し、レーザーダイオード116の発光のタイミングがずれることを防止する。
【0183】
<G.内部処理>
次に、図16図18を参照して、画像形成装置1の発光制御に関する内部処理について説明する。ある局面において、制御部180のCPUは、図16および図17の処理を行うためのプログラムを制御部180のROMまたは他の記憶媒体から制御部180のRAMに読み込んで、当該プログラムを実行してもよい。
【0184】
他の局面において、図16および図17の処理の一部または全部は、当該処理を実行するように構成された回路素子の組み合わせとしても実現され得る。
【0185】
図16は、画像形成装置1におけるプリント処理の一例を示すフローチャートである。ステップS1210において、制御部180は、発光制御部114に、SOS発光スタートカウンター値と、SOS発光エンドカウンター値と、SH発光スタートカウンター値と、SH発光エンドカウンター値とを送信する。発光制御部114は、これらのカウンター値の各々をカウンター値メモリー404に格納する。
【0186】
ステップS1220において、制御部180は、発光制御部114に、発光制御開始命令を送信する。ステップS1230において、制御部180は、発光制御部114へのシリアル通信のクロックを停止する。
【0187】
より具体的には、制御部180は、シリアルクロックを出力するポートの機能をディセイブルにする。ある局面において、制御部180は、シリアル通信のデータインプットのポートの機能およびデータアウトプットのポートの機能もディセイブルにしてもよい。
【0188】
ステップS1240において、制御部180は、プリント処理を開始する。制御部180は、搬送ローラー160、イメージングユニット110、および定着部130等のアクチュエーターを駆動させる。ステップS1250において、発光制御部114は、発光制御を実行する。当該発光制御は、感光体の表面への静電潜像の形成、SOS発光、SH発光等を含む。
【0189】
ステップS1260において、制御部180は、プリント処理が終了したか否かを判定する。制御部180は、プリント処理が終了したと判定した場合(ステップS1260にてYES)、制御をステップS1270に移す。そうでない場合(ステップS1260にてNO)、制御部180は、制御をステップS1250に移す。
【0190】
ステップS1270において、制御部180は、エンドシーケンス処理が終了したか否かを判定する。制御部180は、エンドシーケンス処理が終了したと判定した場合(ステップS1270にてYES)、制御をステップS1280に移す。そうでない場合(ステップS1270にてNO)、制御部180は、ステップS1270の処理を繰り返す。
【0191】
ステップS1280において、制御部180は、発光制御部114への通信クロックを開始する。より具体的には、制御部180は、シリアルクロックを出力するポートの機能をイネイブルにする。ある局面において、制御部180は、シリアル通信のデータインプットのポートの機能およびデータアウトプットのポートの機能もイネイブルにしてもよい。ステップS1290において、制御部180は、発光制御部114に、発光制御停止命令を送信する。ある局面において、ステップS1280およびステップS1290の実行順序は、入れ替わってもよい。
【0192】
図17は、画像形成装置1における画像安定化処理の一例を示すフローチャートである。画像形成装置1は、プリント処理が実行されていない期間に画像安定化処理を実行し、レーザーダイオード116の発光量の調整等を行なう。
【0193】
ステップS1310~S1330,S1370,S1380の各々の処理は、ステップS1210~S1230,S1270,S1280の各々の処理と同じであるため、これらのステップの説明は繰り返さない。
【0194】
ステップS1340において、制御部180は、画像安定化処理を開始する。画像安定化処理は、たとえば、感光体にテスト用のトナーパッチを形成して、感光体の露光量、トナー供給量を調整する等の処理を含む。ステップS1350において、IDC(Image Density Control)センサー校正制御を行なう。ステップS1360において、制御部180は、付着量制御、レーザーダイオード光量制御、レジスト制御、およびγ補正制御を実行する。付着量制御は、感光体へのトナーの付着量を調整する制御である。
【0195】
レーザーダイオード光量制御は、レーザーダイオード116の光量(出力)を調整する制御である。レジスト制御は、シートの位置を調整する制御である。γ補正制御は、画像の階調を補正する制御である。
【0196】
図18は、安定化処理の種類の一覧を示す図である。各安定化処理の各々は、異なるシーケンスを含む。そこで、ある局面において、制御部180は、各安定化処理の最初のシーケンスの開始前にシリアルクロックを出力するポートの機能をディセイブルにし、各安定化処理の最後のシーケンスの完了後にシリアルクロックを出力するポートの機能をイネイブルにしてもよい。
【0197】
以上説明したように、本実施の形態に従う画像形成装置1は、発光制御部114に設定される各種カウンター値に基づいて、発光制御中の制御部180のシリアル通信の機能をディセイブルにする。当該機能により、画像形成装置1は、シリアル通信と発光制御との同時発生を防止する。その結果、発光制御部114において、電圧低下は発生せず、電圧低下に起因するカウンター405の誤動作も発生しなくなり、プリントされる画像の品質も向上する。
【0198】
本開示の副次的な効果として、多層基板のように高価な構成をとる事なく、電圧変動の影響が出やすい両面基板以下での構成を可能とし、基板のコスト低減の一つであるコンデンサの最適化も行うことが可能になる。
【0199】
たとえば、電圧変動等のノイズの発生を防ぐコンデンサを基板上に配置する必要がなくなるため、基板自体を低コストで生産することができる。
【0200】
<H.小括>
本実施の形態における画像形成装置1は、トナー像を形成する感光体と、感光体を露光するレーザーダイオード116と、レーザーダイオード116の発光制御を実行する少なくとも1つの発光制御部114と、発光制御部114に対してレーザーダイオード116を制御するための制御パラメーターを含む信号を送信する制御部180とを備える。発光制御部114は、制御部180から制御パラメーターを含む信号を受信する通信に応じて、レーザーダイオード116に対する発光制御を停止する。
【0201】
これによれば、発光制御部114が発光制御をしている間に、発光制御部114がシリアル通信による信号を受信する場合であっても、発光制御部114が制御パラメーターを含む信号を受信したとき、レーザーダイオード116の発光が停止し、制御パラメーターを読み込んだ後に発光制御部114がレーザーダイオード116の発光を開始させることで、レーザーダイオード116の発光のタイミングがずれることを防止する。
【0202】
また、発光制御部114は、露光タイミング用の水平同期信号を得るためのレーザーダイオード116の発光制御および光量のサンプリングのためのレーザーダイオード116の発光制御を実行する。
【0203】
これによれば、発光制御部114は、レーザーダイオード116に対して、調整発光の発光制御を実行することができる。
【0204】
さらに、制御パラメーターは、露光タイミング用の水平同期信号を得るためのレーザーダイオード116の発光タイミング、レーザーダイオード116の光量、レーザーダイオード116の発光の開始タイミングおよび終了タイミング、発光制御部114のエラーに関する送信要求を含む。
【0205】
これによれば、調整発光のタイミング、レーザーダイオード116の光量、当該制御パラメーターを含む信号を受信したことによるレーザーダイオード116の発光の開始と終了のタイミング、エラーに関する要求を含む信号を発光制御部114が受信したときに、レーザーダイオード116は、発光を停止することができる。
【0206】
また、発光制御部114は、制御部180から制御パラメーターを含む信号を受信したときに、レーザーダイオード116に対する発光制御を停止する。
【0207】
これによれば、発光制御部114がレーザーダイオード116を停止させることで、制御部180は、制御パラメーターを含む信号を送信するのみでレーザーダイオード116の発光を停止させることができる。
【0208】
さらに、制御部180は、制御パラメーターを含む信号を発光制御部114に送信する前に、レーザーダイオード116の発光を停止させる信号を送信する。
【0209】
これによれば、制御部180からレーザーダイオード116の発光を停止させる信号を送信することで、より確実にレーザーダイオード116の発光を停止することができる。
【0210】
また、制御部180は、制御パラメーターを含む信号の送信が終了する時点で、制御パラメーターを含む信号の送信が終了したことを示す送信終了信号を発光制御部114に送信し、発光制御部114は、送信終了信号を受信したことに応じて、発光素子に対する発光制御を開始する。
【0211】
これによれば、発光制御部114は、制御パラメーターを含む信号の送信が終了した時点において、発光素子の発光を開始することができる。
【0212】
また、発光制御部114は、感光体にトナー像を形成する処理中に露光タイミング用の水平同期信号を得るためのレーザーダイオード116の発光制御および光量のサンプリングのためのレーザーダイオード116の発光制御を実行する。
【0213】
これによれば、感光体にトナー像を形成する処理中に調整発光の発光制御をすることができる。
【0214】
さらに、レーザーダイオード116は、それぞれ発光態様が異なる複数の発光モードが設定され、制御部180は、発光制御部114に対してレーザーダイオード116の発光モードを切り替えるための制御パラメーターを含む信号を送信する。
【0215】
これによれば、レーザーダイオード116は、安定化モード、紙間パッチモード、エンドシーケンスモード、カラーモード、モノクロモードなどの発光モードを切り替える信号を発光制御部114が受信したときに、発光を停止することができる。
【0216】
また、発光モードは、トナー像の状態を調整するための発光をするモードを含む。レーザーダイオード116は、トナー像の状態を調整するための安定化モードにて発光をすることができる。
【0217】
さらに、複数の発光制御部114を備え、制御部180は、制御パラメーターを含む信号を複数の発光制御部114のうちのいずれか1つの発光制御部114に送信する前に、複数の発光制御部114に対して、レーザーダイオード116の発光を停止させる信号を送信する。発光制御部114は、発光を停止させる信号を受信し、レーザーダイオード116に対する発光制御を停止する。
【0218】
これによれば、複数の発光制御部114の全てのレーザーダイオード116の発光を停止することができ、より確実に、発光のタイミングがずれることを防ぐ。
【0219】
また、トナー像を形成する感光体と、感光体を露光するレーザーダイオード116と、レーザーダイオード116の発光制御を実行する少なくとも1つの発光制御部114と、制御部180と、を備える画像形成装置の制御方法である。制御部180が、発光制御部114に対してレーザーダイオード116を制御するための制御パラメーターを含む信号を送信するステップと、発光制御部114が、制御部180から制御パラメーターを含む信号を受信する通信に応じて、レーザーダイオード116に対する発光制御を停止するステップとを含む。
【0220】
これによれば、発光制御部114が発光制御をしている間に、発光制御部114がシリアル通信による信号を受信する場合であっても、発光制御部114が制御パラメーターを含む信号を受信したとき、レーザーダイオード116の発光が停止し、制御パラメーターを読み込んだ後に発光制御部114がレーザーダイオード116の発光を開始させることで、レーザーダイオード116の発光のタイミングがずれることを防止する。
【0221】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0222】
110 イメージングユニット、11C,11K,11M,11Y 感光体、100 プリントエンジン、112 露光部、113 プリントヘッド部、114 発光制御部、115 ポリゴンモーター、116 レーザーダイオード、117 光センサー、118 粉塵センサー、119 湿度センサー、120 中間転写ベルト、130 定着部、140 給紙部、150 送出ローラー、160 搬送ローラー、170 レジストローラー、180 制御部、181 画像処理部、182 発光モード制御部、190 電源部、200 読取部、210 イメージスキャナー、220 自動原稿送り装置、230 給紙台、240 排紙台、300 操作パネル、302 画像信号線、303 シリアル信号線、321 ポリゴンミラー、402 レーザーダイオード駆動部、403 タイミング信号発生部、404 カウンター値メモリー、405 カウンター、406 光量補正部、407 補正値メモリー、409 基準クロック発生部、410 エラー検出部、CS1,MS1 シート。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18