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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】ステープル取り外し装置
(51)【国際特許分類】
   B25C 11/00 20060101AFI20240717BHJP
【FI】
B25C11/00 A
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020131157
(22)【出願日】2020-07-31
(65)【公開番号】P2022027263
(43)【公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-06-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000006301
【氏名又は名称】マックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110001209
【氏名又は名称】特許業務法人山口国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】千明 義雄
(72)【発明者】
【氏名】高橋 利行
(72)【発明者】
【氏名】八木 信昭
(72)【発明者】
【氏名】井形 和也
(72)【発明者】
【氏名】箱崎 克也
【審査官】小川 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-078844(JP,A)
【文献】特開2007-210754(JP,A)
【文献】特開2019-006578(JP,A)
【文献】特開2006-272593(JP,A)
【文献】特開2017-114678(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25C 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、
前記装置本体内に設けられ、用紙束からステープルを除去するステープル除去動作を実行する除去部と、
前記装置本体に着脱可能に設けられ、前記除去部により除去された前記ステープルを収容する収容部と、
前記ステープル除去動作の動作回数をカウントするカウント部と、
前記装置本体に対する前記収容部の着脱を検知する検知部と、
前記検知部により前記収容部の前記装置本体からの取り外しが検知されてからの経過時間を計測する計測部と、
前記経過時間が所定時間以上になったとき、前記動作回数をリセットする動作回数リセット部と
を備えるステープル取り外し装置。
【請求項2】
前記動作回数リセット部は、前記動作回数が所定回数に達した後、前記経過時間が所定時間以上になったとき、前記動作回数をリセットする
請求項1に記載のステープル取り外し装置。
【請求項3】
前記除去部を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記動作回数リセット部を含む
請求項2に記載のステープル取り外し装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記カウント部と前記計測部を含む
請求項3に記載のステープル取り外し装置。
【請求項5】
操作者により操作可能な起動部を備え、
前記制御部は、前記起動部が操作されたとき、前記ステープル除去動作を開始する一方、前記検知部により前記収容部の前記装置本体からの取り外しが検知された後、前記収容部の前記装置本体への取り付けが検知されるまでの間、前記起動部が操作されても前記ステープル除去動作を開始しないように前記除去部を制御する
請求項3又は4に記載のステープル取り外し装置。
【請求項6】
操作者により操作可能な起動部を備え、
前記制御部は、前記起動部が操作されたとき、前記ステープル除去動作を開始する一方、前記動作回数が前記所定回数に達した後、前記動作回数がリセットされるまでの間、前記起動部が操作されても前記ステープル除去動作を開始しないように前記除去部を制御する
請求項3又は4に記載のステープル取り外し装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記動作回数が前記所定回数に達した後、前記動作回数がリセットされるまでの間、前記起動部が操作されても前記ステープル除去動作を開始しないように前記除去部を制御する
請求項5に記載のステープル取り外し装置。
【請求項8】
報知部を備え、
前記制御部は、前記収容部の前記装置本体からの取り外しが検知されたとき、報知を実行するように前記報知部を制御する
請求項3から7のいずれか一項に記載のステープル取り外し装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記収容部の前記装置本体からの取り外しが検知された後、前記収容部の前記装置本体への取り付けが検知されるまでの間、報知を実行するように前記報知部を制御する
請求項8に記載のステープル取り外し装置。
【請求項10】
報知部を備え、
前記制御部は、前記動作回数が前記所定回数に達したとき、報知を実行するように前記報知部を制御する
請求項3から7の何れか一項に記載のステープル取り外し装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記動作回数が前記所定回数に達した後、前記動作回数がリセットされるまでの間、報知を実行するように前記報知部を制御するように前記除去部を制御する
請求項10に記載のステープル取り外し装置。
【請求項12】
前記所定時間は2秒以上である
請求項1から11のいずれか一項に記載のステープル取り外し装置。
【請求項13】
前記所定回数は、前記収容部に収容可能なステープルの最大収容数の半数以上、前記最大収容数以下である
請求項2から11のいずれか一項に記載のステープル取り外し装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ステープル取り外し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、用紙束からステープルを取り外すステープル取り外し装置が知られている。これらステープル取り外し装置には、用紙束から取り外したステープル(以下「ステープル屑」という場合がある)を収容するための収容部が設けられる。
【0003】
ところで、収容部内のステープル屑が満載又は満載に近い状態になった場合、これを放置してステープル除去動作を継続すると、ステープル屑が詰まったり、ステープル屑が収容部から溢れて装置本体内に飛散してしまうことがある。このため、収容部内のステープル屑が満載又は満載に近い状態になった場合にはステープル除去動作を禁止してこれ以上ステープル除去動作を行えないようにすることがある。そしてその後、収容部からステープル屑を取り除き、収容部が空になった場合、禁止を解除して再びステープル除去動作を行えるようにしている。
【0004】
収容部内のステープル屑の量に応じてステープル除去動作を禁止し、又は禁止を解除するには収容部内のステープル屑の量を把握する必要がある。ここで、収容部内のステープル屑の量を把握する方法として、収容部が空の状態(収容部内にステープル屑がない状態)でステープル除去動作の動作回数を一旦リセットし、その後、ステープル除去動作の動作回数をカウントすることで収容部内のステープル屑の量(数)を把握する方法が考えらえる。しかしこの方法では、収容部内が空の状態からステープル屑の増加分は把握できるものの、収容部内のステープル屑が減少したこと、例えば空になったことまでは把握することができない。
【0005】
一方、ステープル取り外し装置ではないが、用紙束をステープルで綴じるステープラでは、収容部に収容された屑針(綴じ処理の際にステープルを適切な長さにカットしたときに生じる屑針)の量を光学式のセンサで検知する技術が提案されている(特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-114678号公報
【文献】特開2007-186299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献に開示された技術のように、収容部内のステープル屑の量をセンサで検知することで、動作回数のみでは判定することができなかった収容部内のステープル屑の減少(例えば空になったか否か)も把握することが可能となる。しかし、センサを用いることでコストアップを招き、さらに装置本体内にセンサを配置するためのスペースを確保しなければならない関係上装置本体の大型化を招くという問題があった。
【0008】
そこで、本開示は、センサを用いることなく収容部内のステープル屑が空になったか否かを判定でき、空になったと判定したときステープル除去動作の禁止を解除(ステープル除去動作の動作回数をリセット)するステープル取り外し装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示によれば、装置本体と、前記装置本体内に設けられ、用紙束からステープルを除去するステープル除去動作を実行する除去部と、前記装置本体に着脱可能に設けられ、前記除去部により除去された前記ステープルを収容する収容部と、前記ステープル除去動作の動作回数をカウントするカウント部と、前記装置本体に対する前記収容部の着脱を検知する検知部と、前記検知部により前記収容部の前記装置本体からの取り外しが検知されてからの経過時間を計測する計測部と、前記経過時間が所定時間以上になったとき、前記動作回数をリセットする動作回数リセット部とを備えるステープル取り外し装置が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、収容部が装置本体から所定時間取り外されることで、収容部内のステープル屑が捨てられて空になったと判定し、動作回数をリセットする。このように、センサを用いることなく収容部内のステープル屑が空になったと判定して動作回数をリセットするので、センサを搭載することによるコストアップ、装置の大型化を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A】本実施の形態に係るステープル取り外し装置の斜視図である。
図1B図1Aに対して収容部が装置本体から一部引き出され、かつカバー部が上方に持ち上げられている状態を示したステープル取り外し装置の斜視図である。
図2A】本実施の形態に係るステープル取り外し装置の内部構成を示す斜視図である。
図2B図2Aに対して収容部が装置本体から一部引き出され、かつカバー部が上方に持ち上げられている状態を示したステープル取り外し装置の内部構成を示す斜視図である。
図3】本実施の形態に係るステープル取り外し装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図4】本実施の形態に係るステープル取り外し装置のステープル除去動作を示すフローチャートである。
図5】第1変形例に係るステープル取り外し装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図6】第2変形例に係るステープル取り外し装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0013】
[ステープル取り外し装置10Aの構成例]
図1Aは、本実施の形態に係るステープル取り外し装置10Aの斜視図であり、図1Bは、図1Aに対して収容部30が装置本体12から一部引き出され、かつカバー部16が上方に持ち上げられている(開いている)状態を示したステープル取り外し装置10Aの斜視図である。また、図2Aは、ステープル取り外し装置10Aの内部構成を示す斜視図であり、図2Bは、図2Aに対して収容部30が装置本体12から一部引き出され、かつカバー部16が上方に持ち上げられている状態を示したステープル取り外し装置10Aの内部構成を示す斜視図である。なお、本実施の形態では、装置本体12の長手方向において、収容部30が設けられる側をステープル取り外し装置10Aの後側とし、その反対側をステープル取り外し装置10Aの前側とする。また、装置本体12の短手方向(紙面下側から上側又は上側から下側に向かう方向(縦方向))において、カバー部16が設けられる側をステープル取り外し装置10Aの上側とし、その反対側をステープル取り外し装置10Aの下側とする。
【0014】
ステープル取り外し装置10Aは、ステープルにより綴られた用紙束からステープルを自動で除去する(引き抜く)ための装置である。図1A図2Bに示すように、ステープル取り外し装置10Aは、略直方体状の筐体で構成される装置本体12と、装置本体12内に設けられ、用紙束からステープルを除去するステープル除去動作を実行する除去部26と、装置本体12に着脱可能に設けられ、除去部26により除去されたステープルを収容する収容部30とを備える。また、ステープル取り外し装置10Aは、カバー部16の装置本体12に対する開閉を検知する第2検知部18と、装置本体12に対する収容部30の着脱を検知する第1検知部(検知部)32とを備える。
【0015】
図1A及び図1Bに示すように、装置本体12の上面には、クラウン部と脚部とからなるステープルにより綴じられた用紙束が載置可能な載置面14が設けられる。用紙束は、クラウン部が下側(載置面14側)になるように載置面14上に載置される。載置面14の上方には、載置面14の一部を覆うカバー部16が設けられ、載置面14の、カバー部16の下方に位置する部分には、除去部26の一部が突出可能な開口部14aが形成される。
【0016】
カバー部16の内部には、載置面14に載置された用紙束を押さえる押さえ板24が設けられる。また、装置本体12の上部であって押さえ板24の後側には、押さえ板24を駆動するための押さえ機構25が設けられる。押さえ板24は、押さえ機構25により載置面14に近づく方向及び載置面14から離れる方向に移動し、載置面14に近づく方向に移動することで、載置面14上の用紙束を押えることができるようになっている。
【0017】
カバー部16と載置面14との間には、所定の隙間からなる用紙束挿抜口15が形成される。用紙束挿抜口15には用紙束が挿入(セット)される。カバー部16の上面には、操作者により操作可能であり、ステープル除去動作を開始させるための起動部22が設けられる。起動部22は、例えば操作者の押圧操作によりオン/オフが可能な押しボタンスイッチにより構成される。なお、起動部22は押しボタンスイッチに限定されることはなく、ロータリースイッチ、ロッカスイッチ、トグルスイッチ等でも良い。
【0018】
カバー部16は、その後端部16aが押さえ機構25に設けられた図示しない軸部によって支持され、後端部16aを支点として先端部が載置面14に近づく方向及び載置面14から離れる方向に移動可能となっている。換言すると、カバー部16は、開口部14a及び押さえ板24を覆う閉位置と、開口部14a及び押さえ板24を露出させる開位置との間を移動可能に構成される。
【0019】
カバー部16の後端部16aよりも下方には、図2A等に示すように、カバー部16の開閉動作に応じて第2検知部18をオン/オフ操作するための第2操作部17が設けられる。なお、第2操作部17は、第2検知部18をオン/オフできるのであれば図2Aに示す形状や配置に限定されることはない。
【0020】
第2検知部18は、インターロックスイッチであり、カバー部16が閉位置にあるときに第2操作部17に押されてオンし、カバー部16が開位置にあるときに第2操作部17が離れてオフする。本実施の形態では、第2検知部18がオン、すなわちカバー部16が閉位置にないと、ステープル除去動作を開始させることができないようになっている。
【0021】
除去部26は、載置面14の下方に配置され、用紙束からステープルを除去するための楔状の板部材を含む。除去部26は、載置面14に沿って移動可能に構成され、所定距離移動すると載置面14の開口部14aから一部が突出し、突出状態を維持しつつさらに移動(前進)する。用紙束のステープル部分は開口部14aの上方に位置するように(開口部14aに対向するように)載置面14にセットされるため、除去部26が開口部14aから突出しつつ前進することで、除去部26は用紙束とステープルのクラウン部との間に挿入され、用紙束からステープルを引き抜くことができる。
【0022】
収容部30は、装置本体12内の後側であって、開口部14aの下方、すなわち用紙束のステープル部の下方に位置する。このため、除去部26によって用紙束から引き抜かれたステープルはそのまま収容部30に落下するようになっている。収容部30は、装置本体12に対して着脱可能に取り付けられ、装置本体12の後端面に形成された開口12aを介して出し入れされる。
【0023】
収容部30の後側左側部には、収容部30の装置本体12への着脱動作に応じて第1検知部32をオン/オフ操作するための第1操作部33が設けられる。なお、第1操作部33は、第1検知部32をオン/オフできるのであれば図2Aに示す形状や配置に限定されることはない。
【0024】
第1検知部32は、インターロックスイッチであり、収容部30が装置本体12に装着されるときに第1操作部33に押されてオンし、収容部30が装置本体12から取り外されるときに第1操作部33が離れてオフする。本実施の形態では、第1検知部32がオン、すなわち収容部30が装置本体12に装着されていなければステープル除去動作を開始させることができないようになっている。
【0025】
装置本体12内の左側部には、後述するレギュレータ42、制御部50及び駆動回路60等が実装される基板70が配置される。なお、基板70は装置本体12内の左側部以外に配置しても良い。
【0026】
[ステープル取り外し装置10Aのハードウェア構成例]
図3は、本実施の形態に係るステープル取り外し装置10Aのハードウェア構成を示すブロック図である。
【0027】
ステープル取り外し装置10Aは、図3に示すように、電源供給部40と、第1検知部32と、第2検知部18と、レギュレータ42と、制御部50と、駆動回路60と、第1モータ62と、第2モータ64とを備える。また、ステープル取り外し装置10Aは、起動部22と報知部66を備える。
【0028】
電源供給部40は、例えばACアダプタ及び電源コードを含み、分岐点P1を介して第1検知部32の一方の接点に接続されるとともにレギュレータ42に接続される。電源供給部40は、例えばコンセントから供給される交流電源を直流電源に変換する。本実施の形態では、交流電圧の100Vを直流電圧の24Vに変換する。
【0029】
レギュレータ42は、電源供給部40で変換された直流電圧(例えば24V)を制御部50を動作させるための駆動電圧V1(例えば5V)に変換する。レギュレータ42で変換された駆動電圧V1は、制御部50に供給される。
【0030】
第1検知部32は、分岐点P2を介して制御部50に接続されるとともに第2検知部18の一方の接点に接続される。第1検知部32は、収容部30が装置本体12に取り付けられるとオン状態となる。第1検知部32がオン状態になると、電源供給部40及び制御部50間が導通し、電源供給部40からの直流電圧V2が制御部50に供給される。また、第1検知部32は、収容部30が装置本体12から取り外されるとオフ状態となり、電源供給部40及び制御部50間が非導通となって直流電圧V2は制御部50に供給されない。
【0031】
第2検知部18は、他方の接点が分岐点P3を介して制御部50及び駆動回路60に接続される。第2検知部18は、カバー部16が閉位置にあるとオン状態となり、電源供給部40及び制御部50間が導通して電源供給部40からの直流電圧V3が制御部50に供給される。また、第2検知部18は、カバー部16が開位置にあるとオフ状態となり、電源供給部40及び制御部50間が非導通となって直流電圧V3は制御部50に供給されない。
【0032】
制御部50は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random access memory)等を含み、レギュレータ42から供給された駆動電圧V1に基づいて駆動し、ROM等のメモリに格納されたプログラムを実行して各部を制御する。
【0033】
制御部50は、ステープル除去動作の動作回数をカウントするカウント部52と、第1検知部32がオフになってから、すなわち収容部30が装置本体12から取り外されてからの経過時間を計測する計測部54と、経過時間が所定時間(以下「基準経過時間β」と呼ぶ場合がある)になったとき、動作回数をリセットする動作回数リセット部56とを有する。カウント部52、計測部54及び動作回数リセット部56の各機能は上述した制御部50によって実現される。なお、動作回数は不揮発性メモリに保持される。
【0034】
制御部50は、第1検知部32を介して直流電圧V2が供給され、かつ第2検知部18を介して直流電圧V3が供給されるとともに、起動部22が操作されたとき、ステープル除去動作を開始(実行)させる制御を行う。
【0035】
駆動回路60は、第1検知部32及び第2検知部18がオンの場合であって起動部22がオンされたとき、制御部50からの指令により第1モータ62又は第2モータ64を駆動する。なお、駆動回路60は複数のスイッチング素子を有するインバータ回路で構成することができる。
【0036】
第1モータ62は、除去部26を駆動するためのモータであり、装置本体12内に配置される。第1モータ62は、駆動回路60から供給される交流電力に基づいて駆動することで除去部26を載置面14に沿って前後方向に移動させる。第1モータ62には、例えばDCブラシモータを用いることができる。
【0037】
第2モータ64は、押さえ機構25を駆動するためのモータであり、装置本体12内に配置される。第2モータ64は、駆動回路60から供給される交流電力に基づいて駆動することで押さえ板24を載置面14に近づく方向又は離れる方向に移動させる。第2モータ64には、例えばDCブラシモータを用いることができる。
【0038】
報知部66は、LED(Light Emitting Diode)等の発光部、ブザー音や音声を出力する出力部又は文字等を表示する表示部等により構成され、制御部50によって制御される。報知部66は、例えば、収容部30が装置本体12から取り外されたとき、報知を実行する。また、この場合以外にも、例えば、収容部30が装置本体12から取り外された後、再び装置本体12へ取り付けられるまでの間、報知するようにしても良いし、ステープル除去動作の動作回数が所定回数に達したとき、又は、ステープル除去動作の動作回数が所定回数に達した後、動作回数がリセットされるまでの間、報知するようにしても良い。なお、報知部66をLED等で構成する場合、収容部30の装置本体12に対する着脱状態に応じて、点滅、点灯又は消灯等の点灯パターンで点灯制御するようにしても良い。
【0039】
[ステープル取り外し装置10Aの動作例]
図4は、本実施の形態に係るステープル取り外し装置10Aのステープル除去動作を示すフローチャートである。
【0040】
ステープル取り外し装置10Aの電源がオンされると、ステップS100において、収容部30が装置本体12から取り外されてからの経過時間をリセット(0に)する。なおこのとき(電源オン時)、ステープル除去動作の動作回数は、前回の状態(前回、電源がオフされたときの動作回数)を維持している。
【0041】
ステップS110において、ステープル除去動作の動作回数が、予め設定された基準動作回数(所定回数)α以上か否かを判定する。動作回数のカウントは、起動部22がオンされた回数に関連付けられる(起動部22が1回押されるごとに動作回数のカウント値が1つ加算(インクリメント)される)が、これに限定されない。
【0042】
ステップS110にて、ステープル除去動作の動作回数が基準動作回数α以上になったと判定した場合、ステップS120に進み、収容部30が装置本体12から取り外されているか否か判定する。収容部30が装置本体12から取り外されているか否かは第1検知部32がオフか否かで判断する。なお、制御部50は、動作回数が基準動作回数αに達した後、後述するステップS150において動作回数がリセットされるまでの間、起動部22が操作されてもステープル除去動作を開始しないように除去部26を制御するようにしても良い。また、ステープル除去動作の動作回数が基準動作回数αに達した場合、それを操作者に知らせるため、報知部66による報知を実行するようにしても良い。例えば、報知部66がLEDで構成される場合、LEDを点灯又は点滅させるようにしても良い。
【0043】
ステップS120において収容部30が装置本体12からの取り外されていると判定した場合、すなわち第1検知部32がオフの場合、ステップS130に進み、計測部54による時間の計測を開始する。また、制御部50は、収容部30が装置本体12から取り外されていると判定した後、収容部30が装置本体12へ再度取り付けられるまでの間、起動部22が操作されてもステープル除去動作を開始しないように除去部26を制御するようにしても良い。一方、収容部30が装置本体12から取り外されていないと判定した場合、すなわち収容部30が装置本体12に取り付けられており、第1検知部32がオンの場合、ステップS100に戻る。
【0044】
ステップS140において、計測部54により計測された経過時間が予め設定された基準経過時間(所定時間)β以上であるか否かを判定し、経過時間が基準経過時間β以上と判定した場合、ステップS150に進み、収容部30内のステープル屑が空になったと判断して動作回数をリセット(0に)する。一方、基準経過時間がβ未満の場合はステップS120に戻る。なお、動作回数をリセットしたら、ステップS100に戻り、上述した処理を繰り返し実行する。
【0045】
一方、上述したステップS110において、ステープル除去動作の動作回数が基準動作回数α未満であると判定した場合、ステップS160に進み、収容部30が装置本体12から取り外されているか否か、すなわち第1検知部32がオフか否かを判定する。
【0046】
ステップS160において、収容部30が装置本体12から取り外されている場合、すなわち第1検知部32がオフの場合、ステップS100に戻る一方、収容部30が装置本体12に取り付けられている場合、ステップS170に進む。なお、収容部30が装置本体12から取り外されている場合、それを操作者に知らせるため、報知部66による報知を実行するようにしても良い。
【0047】
ステップS170において、操作者により起動部22がオンされたか否かを判定し、起動部22がオンされた場合、ステップS180に進んでステープル除去動作を開始する。具体的には、第1モータ62及び第2モータ64を駆動することでステープル除去動作を開始する。これにより、ステープル除去動作が1回実行され、載置面14に載置された用紙束からステープルが引き抜かれ、引き抜かれたステープルが収容部30内に収容される。一方、ステップS170において起動部22がオンされていない場合にはステップS100に戻る。
【0048】
ステップS190において、カウント部52は、ステープル除去動作が1回実行されると、ステープル除去動作の動作回数のカウント値を1つ加算(インクリメント)する。動作回数のカウント値の加算が終了したら、ステップS100に戻る。
【0049】
ここで、基準動作回数αは、収容部30に収容可能なステープル屑の最大量(最大収容数)の半数以上最大収容数以下の範囲で設定される。例えば、収容部30に収容可能なステープル屑の数が1000本(ステープル屑が1000本で収容部30が満載状態となる)と仮定した場合、基準動作回数αは、最大収容数1000本に相当する1000回の半数である500回(500本に相当)以上1000回以下の範囲で設定される。基準動作回数αを最大収容数の半数以上としたのは、安全幅(余裕度)を比較的大きく取った結果であり、例えば余裕度をもう少し少なくして、最大収容数の6割(上の例でいえば600回)としたり、最大収容数の7割(上の例でいえば700回)としても構わない。一方、基準動作回数αを少なく設定(例えば上の例でいえば300回)してしまうと、収容部30からステープル屑を取り除く(収容部30を空にしなければならない)頻度が多くなり、それが操作者(作業者)の手間となってしまう。なお、基準動作回数αを、図示しない入力部等によって操作者が任意に選択、設定できるようにしても良い。
【0050】
また、基準経過時間βは、操作者が収容部30を装置本体12から取り出した後、収容部30からステープル屑を取り除いた(捨てた)であろうと考えられる時間を意味するが、発明者らは基準経過時間βについて鋭意検討、検証、実験、調査等を重ねた結果、収容部30を装置本体12から取り外してからステープル屑を取り除く(捨てる)までの時間(基準経過時間β)は概ね2秒(2000ms)以上(好ましくは3秒以上、より好ましくは4秒以上)であることが判明した。換言すれば、収容部30を装置本体12から取り外し、収容部30を空にするまでの一連の動作を2秒未満で行うのは非常に困難であるということである。なお、所定時間を図示しない入力部等によって操作者が任意に選択、設定できるようにしても良い。
【0051】
以上説明したように、本実施の形態によれば、ステープル除去動作の動作回数が基準動作回数α(以上)になり、かつ収容部30を装置本体12から取り外してからの経過時間が基準経過時間β(以上)になったとき、収容部30内のステープル屑が空になったと判断し、動作回数をリセットする。すなわち、動作回数が基準動作回数αになったことで収容部30にはステープル屑が所定量(α個)溜まり、ステープル屑を捨てる段階(捨て頃)になったと判断する。そしてその後、収容部30が装置本体12から所定時間(基準経過時間β)以上取り外された場合、収容部30からステープル屑が捨てられて収容部30が空になったと判断するようにしている。このように、ステープル除去動作の動作回数を監視することで、収容部30内のステープル屑の量が分かるため、ステープル屑の捨て頃を判断でき、しかもその状態(捨て頃)で所定時間収容部30が装置本体12から取り外されたならばステープル屑が収容部30から捨てられたと判断することができる。なお、さらにステープル屑が捨て頃になったことを報知部66によって報知して操作者にステープル屑の廃棄を促すようにすれば、報知しない場合に比べて収容部30からステープル屑が捨てられた可能性がより高まることになる。ただし、ステープル屑の廃棄を促すための報知は必ずしも本発明に必須の要件ではない。
【0052】
本実施の形態では、動作回数が基準動作回数αに達し、かつ経過時間が基準経過時間βになったとき、収容部30が空になったと判断したが、動作回数の判定を行わずに、収容部30が取り外されている間の経過時間のみで収容部30が空になったと判断するようにしても良い。通常、収容部30が所定時間以上取り外されている場合、収容部30内のステープル屑が捨てられる可能性が高いからである。
【0053】
[第1変形例]
図5は、第1変形例に係るステープル取り外し装置10Bのハードウェア構成を示すブロック図である。なお、上述した実施の形態のステープル取り外し装置10Aと実質的に同一の構成要素については同一の符号を付して説明を省略する。また、ステープル除去動作についても、図4に示したステープル取り外し装置10Aのステープル除去動作と共通するため、詳細な説明を省略する。
【0054】
上述した本実施の形態に係るステープル取り外し装置10Aでは、ステープル除去動作の動作回数のカウント及び収容部30の取り外し時間の計測を制御部50内でプログラムがソフト的に行ったが、第1変形例に係るステープル取り外し装置10Bでは、動作回数をカウントするためのカウント部(カウンタ)152や経過時間の計測を行う計測部(タイマ)154を制御部50とは別に設けている。したがって、制御部50は、カウント部152からのカウント値(動作回数)や計測部154からの計測値(経過時間)を取り込んで、取り込んだ値に基づき、図4に示した制御を行う。
【0055】
[第2変形例]
図6は、第2変形例に係るステープル取り外し装置10Cのハードウェア構成を示すブロック図である。なお、上述した実施の形態のステープル取り外し装置10Aと実質的に同一の機能構成を有する構成要素については同一の符号を付して説明を省略する。
【0056】
上述した実施の形態では、インターロック機構を第1検知部32及び第2検知部18の2つのスイッチで構成した例について説明したが、第2変形例では、インターロック機構を第1検知部32の一つスイッチで構成している。
【0057】
第2変形例によれば、インターロック機構を第1検知部32のみで構成するので、複数、例えば二つのスイッチで構成する場合と比べて低コスト化を図ることができると共に、省スペース化を図ることができる。また、インターロック機構を第1検知部32のみで構成するので、回路構成の簡略化を図ることができる。
【0058】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施の形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されることはない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得る技術的思想は本開示の技術的範囲に属するものとする。
【符号の説明】
【0059】
10A,10B,10C ステープル取り外し装置
12 装置本体
22 起動部
26 除去部
30 収容部
32 第1検知部(着脱検知部)
50 制御部
52,152 カウント部
54,154 計測部
56 動作回数リセット部
66 報知部
α 基準動作回数(所定回数)
β 基準経過時間(所定時間)
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6