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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】車両用部品、車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/29 20180101AFI20240717BHJP
   F21S 43/27 20180101ALI20240717BHJP
   F21W 102/13 20180101ALN20240717BHJP
   F21W 103/10 20180101ALN20240717BHJP
   F21W 103/20 20180101ALN20240717BHJP
   F21W 103/55 20180101ALN20240717BHJP
   F21W 105/00 20180101ALN20240717BHJP
【FI】
F21S41/29
F21S43/27
F21W102:13
F21W103:10
F21W103:20
F21W103:55
F21W105:00
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020141498
(22)【出願日】2020-08-25
(65)【公開番号】P2022037388
(43)【公開日】2022-03-09
【審査請求日】2023-08-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】IAT弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】山本 靖夫
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-257213(JP,A)
【文献】特開平07-192511(JP,A)
【文献】米国特許第05142454(US,A)
【文献】実開昭61-179047(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/00
F21S 43/00
F21W 102/13
F21W 103/10
F21W 103/20
F21W 103/55
F21W 105/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面には意匠面が設けられている第1車両用部品と、
前記第1車両用部品の他面側に配置されている第2車両用部品と、
前記第1車両用部品の一端部分と前記第2車両用部品の一端部分とにそれぞれ設けられていて、前記第1車両用部品の前記一端部分と前記第2車両用部品の前記一端部分とを相互に固定する固定構造と、
を備え、
前記固定構造は、
前記第1車両用部品の前記他面に、前記意匠面に対して垂直方向に、突設されている凸部と、
前記第2車両用部品に前記意匠面と平行に設けられていて、前記第1車両用部品の前記他面側に前記第2車両用部品を、前記意匠面に対して傾斜する方向であって加圧方向に加圧した時に、前記凸部に係合する係合部と、
を有する、
ことを特徴とする車両用部品。
【請求項2】
前記凸部は、
前記凸部のうち、前記加圧方向側の部分に設けられている第1部分と、
前記凸部のうち、前記加圧方向に対して反対側の部分に設けられている第2部分と、
を有し、
前記係合部は、
前記凸部の前記第1部分に係合する第1係合部と、
前記凸部の前記第2部分に係合する第2係合部と、
を有し、
前記凸部と前記係合部とは、前記第1係合部が前記第1部分に係合し、かつ、前記第2係合部が前記第2部分に係合することにより、相互に、前記加圧方向および前記加圧方向の反対方向に動くのを規制する、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用部品。
【請求項3】
前記固定構造は、前記凸部と前記係合部とにそれぞれ設けられていて、前記凸部と前記係合部とが相互に前記意匠面に対して垂直方向に動くのを規制する垂直方向規制部を、有する、
ことを特徴とする請求項2に記載の車両用部品。
【請求項4】
前記垂直方向規制部は、
前記凸部に設けられている段部と、前記係合部に設けられている載置部と、前記第1部分と、前記第1係合部と、から構成されていて、
前記載置部が前記段部に載置し、かつ、前記第1係合部が前記第1部分に係合することにより、
前記凸部と前記係合部とが相互に前記意匠面に対して垂直方向に動くのを規制する、
ことを特徴とする請求項3に記載の車両用部品。
【請求項5】
前記固定構造は、前記凸部と前記係合部とにそれぞれ設けられていて、前記凸部と前記係合部とが相互に前記意匠面に平行な方向に動くのを規制する平行方向規制部を、有する、
ことを特徴とする請求項から4のいずれか1項に記載の車両用部品。
【請求項6】
前記平行方向規制部は、
前記第2部分に設けられている小凸部と、前記係合部に設けられている窪み部の前記意匠面に平行な方向の動きに対して交差する両縁部と、から構成されていて、
前記窪み部が前記小凸部に嵌合して、前記窪み部の前記両縁部が前記小凸部の両側にそれぞれ当たることにより、
前記凸部と前記係合部とが相互に前記意匠面に平行な方向に動くのを規制する、
ことを特徴とする請求項5に記載の車両用部品。
【請求項7】
前記固定構造は、前記凸部と前記係合部とにそれぞれ設けられていて、前記係合部が前記凸部に正規の係合状態以外の係合状態で係合するのを防ぐ誤係合防止部を、有する、
ことを特徴とする請求項から6のいずれか1項に記載の車両用部品。
【請求項8】
前記誤係合防止部は、
前記第1部分に設けられている小凸部と、前記係合部に設けられている切欠の縁部と、から構成されていて、
前記係合部が前記凸部に正規の係合状態以外の係合状態で係合しようとすると、前記縁部が前記小凸部の上に乗り上がり、
前記係合部が前記凸部に正規の係合状態で係合しようとすると、前記切欠が前記小凸部に嵌合することにより、
前記係合部が前記凸部に正規の係合状態以外の係合状態で係合するのを防ぐ、
ことを特徴とする請求項7に記載の車両用部品。
【請求項9】
前記固定構造は、前記凸部と前記係合部との少なくともいずれか一方に前記加圧方向に対して傾斜して設けられていて、前記係合部が前記凸部に係合する時にスライドしながらガイドされるスライドガイド部を、有する、
ことを特徴とする請求項から8のいずれか1項に記載の車両用部品。
【請求項10】
前記スライドガイド部は、
前記凸部に設けられているスライドガイド面と、前記第1係合部に設けられているスライドガイド面と、から構成されていて、
前記係合部の前記スライドガイド面が前記凸部の前記スライドガイド面に沿って、スライドしながらガイドされる、
ことを特徴とする請求項9に記載の車両用部品。
【請求項11】
灯室を形成するランプハウジングおよびランプレンズと、
前記灯室内に配置されているランプユニット、および、前記請求項1から10のいずれか1項に記載の車両用部品と、
を備える、
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項12】
前記車両用部品の前記第1車両用部品の他端部分と前記第2車両用部品の他端部分とは、それぞれ、前記ランプハウジングまたは前記ランプレンズの少なくともいずれか一方に固定されていて、
前記第1車両用部品の前記意匠面は、前記ランプレンズに向き合っている、
ことを特徴とする請求項11に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、第1車両用部品と第2車両用部品とが固定構造により相互に固定されている車両用部品に関するものである。また、この発明は、第1車両用部品と第2車両用部品とが固定構造により相互に固定されている車両用部品を、備える車両用灯具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
第1車両用部品と第2車両用部品とが固定構造により相互に固定されている車両用部品、および、この車両用部品を備える車両用灯具としては、たとえば、特許文献1に示すものがある。
【0003】
特許文献1の車両用部品の取付構造は、第1車両用部品としてのインナーパネルと、第2車両用部品としてのランプハウジングと、インナーパネルとランプハウジングとを取り付ける取付構造と、を備える。
【0004】
取付構造は、インナーパネルに突設されている篏合凸部材と、ランプハウジングに設けられている弾性部材と、を有する。嵌合凸部材は、インナーパネルから圧入方向(インナーパネルに対して傾斜する方向)に突設されている脚部と、脚部の先端部に設けられている半円凸部と、を有する。弾性部材は、凹部を有する。
【0005】
篏合凸部材の半円凸部が弾性部材の凹部に弾性嵌合することにより、取付構造の篏合凸部材と弾性部材とを介して、インナーパネルとランプハウジングとが相互に取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2003-257213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の車両用部品の取付構造は、嵌合凸部材の脚部がインナーパネルから圧入方向(インナーパネルに対して傾斜する方向)に突設されている。この結果、特許文献1の車両用部品の取付構造は、インナーパネルから嵌合凸部材の半円凸部(脚部の先端部)までの寸法、すなわち、圧入方向の寸法およびインナーパネルに対して垂直方向の寸法が大きい。これにより、特許文献1の車両用部品の取付構造は、大きいスペースを必要とする。
【0008】
この発明が解決しようとする課題は、省スペースの固定構造が得られる車両用部品、車両用灯具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の車両用部品は、一面には意匠面が設けられている第1車両用部品と、第1車両用部品の他面側に配置されている第2車両用部品と、第1車両用部品の一端部分と第2車両用部品の一端部分とにそれぞれ設けられていて、第1車両用部品の一端部分と第2車両用部品の一端部分とを相互に固定する固定構造と、を備え、固定構造が、第1車両用部品の他面に、意匠面に対して垂直方向に、突設されている凸部と、第2車両用部品に意匠面と平行に設けられていて、第1車両用部品の他面側に第2車両用部品を、意匠面に対して傾斜する方向であって加圧方向に加圧した時に、凸部に係合する係合部と、を有する、ことを特徴とする。
【0010】
この発明の車両用部品において、凸部が、加圧方向側の部分に設けられている第1部分と、加圧方向に対して反対側の部分に設けられている第2部分と、を有し、係合部が、凸部の第1部分に係合する第1係合部と、凸部の第2部分に係合する第2係合部と、を有し、凸部と係合部とが、第1係合部が第1部分に係合し、かつ、第2係合部が第2部分に係合することにより、相互に、加圧方向および加圧方向の反対方向に動くのを規制する、ことが好ましい。
【0011】
この発明の車両用部品において、固定構造が、凸部と係合部とにそれぞれ設けられていて、凸部と係合部とが相互に意匠面に対して垂直方向に動くのを規制する垂直方向規制部を、有する、ことが好ましい。
【0012】
この発明の車両用部品において、垂直方向規制部が、凸部に設けられている段部と、係合部に設けられている載置部と、第1部分と、第1係合部と、から構成されていて、載置部が段部に載置し、かつ、第1係合部が第1部分に係合することにより、凸部と係合部とが相互に意匠面に対して垂直方向に動くのを規制する、ことが好ましい。
【0013】
この発明の車両用部品において、固定構造が、凸部と係合部とにそれぞれ設けられていて、凸部と係合部とが相互に意匠面に平行な方向に動くのを規制する平行方向規制部を、有する、ことが好ましい。
【0014】
この発明の車両用部品において、平行方向規制部が、第2部分に設けられている小凸部と、係合部に設けられている窪み部の両縁部と、から構成されていて、窪み部が小凸部に嵌合して、窪み部の両縁部が小凸部の両側にそれぞれ当たることにより、凸部と係合部とが相互に意匠面に平行な方向に動くのを規制する、ことが好ましい。
【0015】
この発明の車両用部品において、固定構造が、凸部と係合部とにそれぞれ設けられていて、係合部が凸部に正規の係合状態以外の係合状態で係合するのを防ぐ誤係合防止部を、有する、ことが好ましい。
【0016】
この発明の車両用部品において、誤係合防止部が、第1部分に設けられている小凸部と、係合部に設けられている切欠の縁部と、から構成されていて、係合部が凸部に正規の係合状態以外の係合状態で係合しようとすると、縁部が小凸部の上に乗り上がり、係合部が凸部に正規の係合状態で係合しようとすると、切欠が小凸部に嵌合することにより、係合部が凸部に正規の係合状態以外の係合状態で係合するのを防ぐ、ことが好ましい。
【0017】
この発明の車両用部品において、固定構造が、凸部と係合部との少なくともいずれか一方に加圧方向に対して傾斜して設けられていて、係合部が凸部に係合する時にスライドしながらガイドされるスライドガイド部を、有する、ことが好ましい。
【0018】
この発明の車両用部品において、スライドガイド部が、凸部に設けられているスライドガイド面と、第1係合部に設けられているスライドガイド面と、から構成されていて、係合部のスライドガイド面が凸部のスライドガイド面に沿って、スライドしながらガイドされる、ことが好ましい。
【0019】
この発明の車両用灯具は、灯室を形成するランプハウジングおよびランプレンズと、灯室内に配置されているランプユニット、および、この発明の車両用部品と、を備える、ことを特徴とする。
【0020】
この発明の車両用灯具において、車両用部品の第1車両用部品の他端部分と第2車両用部品の他端部分とが、それぞれ、ランプハウジングまたはランプレンズの少なくともいずれか一方に固定されていて、第1車両用部品の意匠面が、ランプレンズに向き合っている、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
この発明の車両用部品、車両用灯具は、省スペースの固定構造が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、この発明にかかる車両用部品、車両用灯具の実施形態1を示す車両用灯具の正面図である。
図2図2は、車両用灯具を示す平面図(図1におけるII矢視図)である。
図3図3は、固定構造の要部を示す一部横断面図(図1におけるIII-III線断面図)である。
図4図4は、固定構造の固定状態を示す一部拡大横断面図(図3に対応する拡大横断面図)である。
図5図5は、固定構造の要部の寸法を示す一部拡大横断面図(図4に対応する拡大横断面図)である。
図6図6は、固定構造の固定前の状態を示す一部拡大横断面図(図4および図5に対応する拡大横断面図)である。
図7図7は、固定構造の固定する過程の状態を示す一部拡大横断面図(図4図5および図6に対応する拡大横断面図)である。
図8図8は、固定構造の固定状態を示す一部拡大側面図(図4におけるVIII矢視図)である。
図9図9は、固定構造の固定前の状態を示す一部拡大側面図(図6におけるIX矢視図)である。
図10図10は、この発明にかかる車両用部品、車両用灯具の実施形態2を示す固定構造の一部拡大横断面図(図4に対応する拡大横断面図)である。
図11図11は、この発明にかかる車両用部品、車両用灯具の実施形態3を示す固定構造の一部拡大横断面図(図4に対応する拡大横断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、この発明にかかる車両用部品、車両用灯具の実施形態(実施例)の3例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、図面においては、概略図であるため、主要部品を図示し、主要部品以外の部品の図示を省略する。さらに、図面においては、ハッチングを省略する。
【0024】
また、この明細書において、前、後、上、下、左、右は、この発明にかかる車両用部品、車両用灯具を車両(図示せず)に装備した際の前、後、上、下、左、右である。図1から図3において、符号「F」は「前」、「B」は「後」、「U」は上、「D」は「下」、「L」は「左」、「R」は「右」である。
【0025】
(実施形態1の構成の説明)
図1から図9は、この発明にかかる車両用部品、車両用灯具の実施形態1を示す。以下、この実施形態1にかかる車両用部品、車両用灯具の構成について説明する。
【0026】
(車両用灯具1の説明)
この実施形態1にかかる車両用灯具1は、この例では、フロントコンビネーションランプである。車両用灯具1は、車両(図示せず)の前部の左右両側にそれぞれ装備される。
【0027】
以下、車両の右側に装備される車両用灯具1について説明する。ここで、車両の右側に装備される車両用灯具1において、右側は、車両の外側となり、一方、左側は、車両の内側となる。なお、車両の左側に装備される車両用灯具は、車両の右側に装備される車両用灯具1の構成とほぼ左右対称である。このために、車両の左側に装備される車両用灯具の説明を省略する。
【0028】
車両用灯具1は、図1図2および図3に示すように、ランプハウジング10と、ランプレンズ11と、ランプユニット(図示せず)と、第1車両用部品としての第1インナーパネル2と、第2車両用部品としての第2インナーパネル3と、固定構造4、5、6、7、8(以下、「4~8」と表示する)と、を備える。なお、図3において、ランプハウジング10の図示は、省略されている。
【0029】
ランプハウジング10は、たとえば、光不透過性の部材(樹脂部材など)から構成されている。ランプハウジング10は、車両の前側から外側にかけての部分が開口していて、後側の部分が閉塞した中空形状をなす。
【0030】
ランプレンズ11は、たとえば、素通しのアウターカバー、アウターレンズなどであって、光透過性の部材(樹脂部材など)から構成されている。なお、以下、ランプレンズ11は、アウターレンズ11と称する。アウターレンズ11は、車両の後側から外側にかけての部分が開口していて、前側が閉塞した形状をなす。
【0031】
アウターレンズ11の外面は、図2および図3に示すように、平面視(車両の上側から下側を見た状態)車両の前部から外側にかけて、車両の外面の意匠面に沿って、湾曲している(回り込んでいる)。
【0032】
ランプハウジング10およびアウターレンズ11は、灯室12を形成する。すなわち、ランプハウジング10の開口部の全周縁とアウターレンズ11の開口部の全周縁とは、接着剤などにより接着固定されている。これにより、灯室12が形成される。
【0033】
灯室12内には、ランプユニット、第1インナーパネル2、第2インナーパネル3および固定構造4~8が、それぞれ、配置されている。灯室12内のランプユニットは、主に、ハイビームヘッドランプユニット、ロービームヘッドランプユニット、クリアランスランプユニット、ターンシグナルランプユニット、デイタイムランニングランプユニットなどである。また、灯室12内には、前記以外の構造物、ユニットや部品などが配置される場合がある。
【0034】
(車両用部品2~8の説明)
この実施形態1にかかる車両用部品2~8は、図3から図9に示すように、第1インナーパネル2と、第2インナーパネル3と、固定構造4~8と、を備える。
【0035】
(第1インナーパネル2および第2インナーパネル3の説明)
第1インナーパネル2の車両の外側部分の一端部分と第2インナーパネル3の車両の外側部分の一端部分とは、それぞれ、板形状をなしている。
【0036】
第1インナーパネル2の一端部分と第2インナーパネル3の一端部分とは、第1インナーパネル2に第2インナーパネル3を、図4図6および図9中の実線矢印Aの方向(加圧方向、組み付け方向、圧着方向など。以下、「加圧方向A」と称する)に加圧した時に、固定構造4~8により、図3から図5および図8に示すように、相互に固定されている。
【0037】
第1インナーパネル2の一端部分および第2インナーパネル3の一端部分は、アウターレンズ11に沿って湾曲している(回り込んでいる)。この結果、第1インナーパネル2の一端部分および第2インナーパネル3の一端部分は、平面視において、車両の前後方向(図3中の矢印F-B方向)に対して傾斜している。
【0038】
第1インナーパネル2の車両の内側部分の他端部分および第2インナーパネル3の車両の内側部分の他端部分は、スクリューなどの締結部材、係合手段や篏合手段など(図示せず)により、共締めされた状態で、ランプハウジング10またはアウターレンズ11の少なくともいずれか一方に、直接もしくはブラケットなど(図示せず)を介して固定されている。なお、第1インナーパネル2の他端部分および第2インナーパネル3の他端部分とランプハウジング10またはアウターレンズ11の少なくともいずれか一方との固定は、スクリューなどの締結部材を使用せずに、係合手段や篏合手段などにより、固定しても良い。
【0039】
第1インナーパネル2は、この例では、化粧部材としてのインナーパネルである。第1インナーパネル2は、アウターレンズ11に向かって配置されている。第1インナーパネル2のうち、少なくとも、一面20すなわち正面(アウターレンズ11に向き合う面)には、化粧、たとえば、アルミ蒸着やアルミ塗装などの意匠面が施されて設けられている。なお、以下、一面20は、意匠面20と称する。
【0040】
第2インナーパネル3は、この例では、保持部材としてのベースである。第2インナーパネル3は、第1インナーパネル2の他面21(アウターレンズ11に向き合う意匠面20に対して反対側の面)側に配置されている。
【0041】
第1インナーパネル2および第2インナーパネル3は、それぞれ、この例では、合成樹脂から構成されている。すなわち、第1インナーパネル2および第2インナーパネル3は、それぞれ、金型(図示せず)により成形されている。
【0042】
ここで、図6において、符号「C1」は、第1インナーパネル2の意匠面20側の金型の抜き方向を示す。また、符号「C2」は、第1インナーパネル2の他面21側の金型の抜き方向を示す。なお、第2インナーパネル3の金型の抜き方向は、図示されていないが、第1インナーパネル2の金型の抜き方向C1、C2と、ほぼ同方向である。
【0043】
(固定構造4~8の説明)
固定構造4~8は、図3から図9に示すように、凸部4と、係合部5と、垂直方向規制部6と、平行方向規制部7と、誤係合防止部8と、を有する。
【0044】
(凸部4の説明)
凸部4は、第1インナーパネル2の他面21に、意匠面20に対して垂直方向に、一体に突設されている。凸部4の突設方向は、第1インナーパネル2の他面21側の金型の抜き方向C2に、ほぼ一致する。凸部4の頂面40は、加圧方向Aとほぼ平行である。
【0045】
凸部4は、第1部分41と、第2部分42と、を有する。第1部分41は、凸部4のうち、加圧方向A側(下側)の部分に設けられている。第2部分42は、凸部4のうち、加圧方向Aに対して反対側(上側)の部分に設けられている。頂面40は、第1部分41と第2部分42との間に位置する。
【0046】
(係合部5の説明)
係合部5は、第2インナーパネル3に意匠面20と平行に設けられている。係合部5は、第1インナーパネル2の他面21側に第2インナーパネル3を加圧方向Aに加圧した時に、凸部4に係合する。
【0047】
係合部5は、凸部4の加圧方向A側の第1部分41に係合する第1係合部51と、凸部4の加圧方向Aに対して反対側の第2部分42に係合する第2係合部52と、を有する。
【0048】
すなわち、係合部5は、第2インナーパネル3に設けられている切欠50を有する。切欠50は、図9に示すように、上下逆の凹形状をなしている。係合部5は、切欠50に囲まれた爪部53を有する。爪部53の先端部が第1係合部51を構成する。
【0049】
また、係合部5は、切欠50の水平部分の中央に上方向(加圧方向Aの反対方向)に設けた窪み部54を有する。窪み部54の横縁部が第2係合部52を構成する。
【0050】
さらに、係合部5において、爪部53は、切欠50に囲まれている。この結果、爪部53の先端部の第1係合部51は、爪部53の基端部分(爪部53と第2インナーパネル3との連結部分)に対して、第2インナーパネル3の板圧方向に弾性を有する。
【0051】
さらにまた、係合部5において、爪部53の先端部の第1係合部51は、切り起こされている。切り起こされた第1係合部51は、凸部4の頂面40および加圧方向Aとほぼ平行である。
【0052】
(凸部4と係合部5との係合状態の説明)
第1インナーパネル2の他面21側に第2インナーパネル3を実線矢印Aの方向に加圧した時に、図3図5および図8に示すように、係合部5の第1係合部51が凸部4の第1部分41に係合し、かつ、係合部5の第2係合部52が凸部4の第2部分42に係合する。この時、係合部5の切欠50の水平部分および窪み部54は、凸部4に嵌合している。
【0053】
係合部5の第1係合部51が凸部4の第1部分41に係合する(引っ掛かる)ことにより、係合部5の第1係合部51が加圧方向Aの反対方向(図4中の実線矢印E1を参照)に動くのを、規制することができる。すなわち、係合部5の加圧方向Aの反対方向の動きE1が、規制される。
【0054】
また、係合部5の第2係合部52が凸部4の第2部分42に係合する(当たる)ことにより、係合部5の第2係合部52が加圧方向A(図4中の実線矢印E2方向)に動くのを、規制することができる。すなわち、係合部5の加圧方向Aの動きE2が、規制される。
【0055】
この結果、固定構造の凸部4と係合部5とは、相互に、加圧方向Aおよび加圧方向Aの反対方向に動くのを規制し合っている。
【0056】
(垂直方向規制部6の説明)
垂直方向規制部6は、凸部4と係合部5とにそれぞれ設けられていて、凸部4と係合部5とが相互に意匠面20に対して垂直方向(図4中の実線矢印E3およびE4方向)に動くのを規制する。
【0057】
すなわち、垂直方向規制部6は、凸部4と係合部5とが相互に意匠面20に対して垂直方向のオーバーストローク方向E3に動くのを規制し、かつ、凸部4と係合部5とが相互に意匠面20に対して垂直方向のオーバーストローク方向E3の反対方向E4に動くのを規制する。
【0058】
垂直方向規制部6は、凸部4の根元部に設けられている段部60と、係合部5の窪み部54側に設けられている載置部61と、凸部4の第1部分41と、係合部5の第1係合部51と、から構成されている。
【0059】
第1インナーパネル2の他面21側に第2インナーパネル3を実線矢印Aの方向に加圧した時に、係合部5の載置部61が凸部4の段部60に載置し、係合部5の第1係合部51が凸部4の第1部分41に係合する。
【0060】
係合部5の載置部61が凸部4の段部60に載置することにより、係合部5の載置部61がオーバーストローク方向E3に動くのを、規制することができる。すなわち、係合部5のオーバーストローク方向E3の動きが、規制される。
【0061】
また、係合部5の第1係合部51が凸部4の第1部分41に係合する(引っ掛かる)ことにより、係合部5の第1係合部51がオーバーストローク方向E3の反対方向E4に動くのを、規制することができる。すなわち、係合部5のオーバーストローク方向E3の反対方向E4の動きが、規制される。
【0062】
この結果、固定構造の垂直方向規制部6は、凸部4と係合部5とが相互にオーバーストローク方向E3およびオーバーストローク方向の反対方向E4に動くのを規制している。
【0063】
(平行方向規制部7の説明)
平行方向規制部7は、凸部4と係合部5とにそれぞれ設けられていて、凸部4と係合部5とが相互に意匠面20に平行な方向(図8中の実線矢印E5方向であって、加圧方向Aに対して交差する方向。以下、「加圧方向Aの交差方向E5」)に動くのを規制する。
【0064】
平行方向規制部7は、凸部4の第2部分42側に設けられている小凸部としての縦凸部70と、係合部5の窪み部54の2本の縦縁部71と、から構成されている。この2本の縦縁部71は、意匠面20に平行な方向の動きに対して交差(直交)するように、設けられている。
【0065】
第1インナーパネル2の他面21側に第2インナーパネル3を実線矢印Aの方向に加圧した時に、係合部5の窪み部54が凸部4の縦凸部70に嵌合して、係合部5の窪み部54の2本の縦縁部71が凸部4の縦凸部70の左右両側面にそれぞれ当たる。
【0066】
これにより、係合部5が加圧方向Aの交差方向E5に動くのを、規制することができる。すなわち、係合部5の加圧方向Aの交差方向E5の動きが、規制される。
【0067】
この結果、固定構造の平行方向規制部7は、凸部4と係合部5とが相互に加圧方向Aの交差方向E5に動くのを規制している。
【0068】
(誤係合防止部8の説明)
誤係合防止部8は、凸部4と係合部5とにそれぞれ設けられていて、係合部5が凸部4に正規の係合状態(図8中の凸部4が実線で示されている状態)以外の係合状態(図8中の凸部4が破線で示されている状態)で係合するのを防ぐ。
【0069】
誤係合防止部8は、凸部4の第1部分41側に設けられている小凸部としての横凸部80と、係合部5の切欠50の2本の垂直部分の縁部81と、から構成されている。
【0070】
第1インナーパネル2の他面21側に第2インナーパネル3を実線矢印Aの方向に加圧した時に、係合部5が凸部4に正規の係合状態以外の係合状態で係合しようとすると、係合部5の縁部81が凸部4の横凸部80の上に乗り上がる。この結果、係合部5が凸部4に係合しない。
【0071】
一方、係合部5が凸部4に正規の係合状態で係合しようとすると、係合部5の切欠50の水平部分が凸部4の横凸部80に嵌合する。この結果、係合部5が凸部4に正規の係合状態で係合する。すなわち、係合部5の第1係合部51が凸部4の第1部分41に係合し、かつ、係合部5の第2係合部52が凸部4の第2部分42に係合する。
【0072】
この結果、固定構造の誤係合防止部8は、係合部5が凸部4に正規の係合状態以外の係合状態で係合するのを防ぐ。
【0073】
(固定構造の要部の寸法T1、T2、T3、T4の説明)
固定構造の要部の寸法T1、T2、T3、T4は、以下の通りである。すなわち、寸法T1は、第1インナーパネル2の他面21から第2インナーパネル3の一面までの隙間の寸法である。この寸法T1は、少なくとも約1mmである。
【0074】
寸法T2は、第2インナーパネル3の板厚の寸法である。この寸法T2は、約2mmである。
【0075】
寸法T3は、係合部5の第1係合部51が凸部4の第1部分41から外れるのを防止するための寸法である。この寸法T3は、約1mmである。
【0076】
寸法T4は、第1インナーパネル2の他面21から凸部4の頂点までの寸法である。この寸法T4は、寸法T1と寸法T2と寸法T3との和と、ほぼ同等である。この寸法T4は、少なくとも約4mmである。
【0077】
なお、固定構造の要部の寸法T1、T2、T3、T4は、前記の数値に限定されない。
【0078】
(組み付け手順の説明)
以下、第1インナーパネル2と第2インナーパネル3との組み付け手順について、図3から図9を参照して、説明する。
【0079】
組み付け手順は、まず、図6および図9に示すように、第1インナーパネル2の他面21側に第2インナーパネル3を実線矢印Aの方向に加圧する。
【0080】
すると、係合部5の第1係合部51が凸部4の頂面40に沿って、図7中の実線矢印G1方向にスライドする。この時、係合部5の爪部53は、第2インナーパネル3の板圧方向に弾性を有する。
【0081】
この結果、係合部5の第1係合部51が凸部4の頂面40に沿って、スライドする時に、係合部5の爪部53が第2インナーパネル3に対して図7中の実線矢印G2方向に弾性変形する。
【0082】
係合部5の第1係合部51が凸部4の頂面40を越した時に、弾性変形していた係合部5の爪部53が弾性復帰して元の状態に戻る。この結果、図3図4図5および図8に示すように、係合部5の第1係合部51が凸部4の第1部分41に係合し、かつ、係合部5の第2係合部52が凸部4の第2部分42に係合する。この時、係合部5の切欠50の水平部分および窪み部54は、凸部4に嵌合している。
【0083】
なお、係合部5が凸部4に正規の係合状態以外の係合状態で係合しようとすると、係合部5の縁部81が凸部4の横凸部80の上に乗り上がるので、係合部5が凸部4に係合しない。
【0084】
係合部5が凸部4に正規の係合状態で係合した時には、係合部5の載置部61が凸部4の段部60に載置する。また、係合部5の窪み部54が凸部4の縦凸部70に嵌合して、係合部5の窪み部54の2本の縦縁部71が凸部4の縦凸部70の左右両側面にそれぞれ当たる。さらに、係合部5の切欠50の水平部分が凸部4の横凸部80に嵌合する。
【0085】
このようにして、第1インナーパネル2の一端部分と第2インナーパネル3の一端部分とは、固定構造4~8により、固定される。そして、第1インナーパネル2の他端部分と第2インナーパネル3の他端部分とは、スクリューなどにより、共締めされた状態で、ランプハウジング10またはアウターレンズ11の少なくともいずれか一方に固定される。
【0086】
なお、第1インナーパネル2の他端部分と第2インナーパネル3の他端部分とが、ランプハウジング10またはアウターレンズ11の少なくともいずれか一方に固定されることにより、係合部5のオーバーストローク方向E3の反対方向E4の動きが、確実に規制される。
【0087】
(実施形態1の効果の説明)
この実施形態1にかかる車両用部品2~8、車両用灯具1は、以上のごとき構成からなり、以下、その効果について説明する。
【0088】
この実施形態1にかかる車両用部品2~8、車両用灯具1は、第1インナーパネル2の他面21に凸部4を、第1インナーパネル2の意匠面20に対して垂直方向に、突設し、一方、第2インナーパネル3に係合部5を、第1インナーパネル2の意匠面20と平行に設けたものである。この結果、この実施形態1にかかる車両用部品2~8、車両用灯具1は、第1インナーパネル2の他面21から凸部4の頂点までの寸法T4を小さくすることができるので、省スペースの固定構造4~8が得られる。
【0089】
この実施形態1にかかる車両用部品2~8、車両用灯具1は、第1インナーパネル2の他面21に凸部4を、第1インナーパネル2の意匠面20に対して垂直方向に、突設したものであるから、第1インナーパネル2の他面21側の金型の抜き方向C2を、凸部4の突設方向であって、第1インナーパネル2の意匠面20に対して垂直方向に、一致させることができる。この結果、この実施形態1にかかる車両用部品2~8、車両用灯具1は、第1インナーパネル2がアウターレンズ11に沿って湾曲していて(回り込んでいて)、車両の前後方向(図3中の矢印F-B方向)に対して傾斜している場合であっても、凸部4を第1インナーパネル2に設定することができる。
【0090】
この実施形態1にかかる車両用部品2~8、車両用灯具1は、係合部5が、凸部4の加圧方向A側の第1部分41に係合する第1係合部51と、凸部4の加圧方向Aに対して反対側の第2部分42に係合する第2係合部52と、を有するものである。この結果、この実施形態1にかかる車両用部品2~8、車両用灯具1は、第1インナーパネル2の他面21側に第2インナーパネル3を実線矢印Aの方向に加圧した時に、係合部5の第1係合部51が凸部4の第1部分41に係合し、かつ、係合部5の第2係合部52が凸部4の第2部分42に係合する。これにより、この実施形態1にかかる車両用部品2~8、車両用灯具1は、第1インナーパネル2の一端部分と第2インナーパネル3の一端部分とが、固定構造の凸部4と係合部5とにより、相互に、加圧方向Aおよび加圧方向Aの反対方向に動くのを規制された状態で固定されている。
【0091】
この実施形態1にかかる車両用部品2~8、車両用灯具1は、固定構造が、凸部4と係合部5とにそれぞれ設けられていて、凸部4と係合部5とが相互に意匠面20に対して垂直方向に動くのを規制する垂直方向規制部6を、有するものである。この結果、この実施形態1にかかる車両用部品2~8、車両用灯具1は、第1インナーパネル2の一端部分と第2インナーパネル3の一端部分とが、垂直方向規制部6により、相互に、意匠面20に対して垂直方向に動くのを規制された状態で固定されている。
【0092】
この実施形態1にかかる車両用部品2~8、車両用灯具1は、垂直方向規制部6が、凸部4の段部60と、係合部5の載置部61と、凸部4の第1部分41と、係合部5の第1係合部51と、から構成されている。この結果、この実施形態1にかかる車両用部品2~8、車両用灯具1は、第1インナーパネル2の他面21側に第2インナーパネル3を実線矢印Aの方向に加圧した時に、係合部5の載置部61が凸部4の段部60に載置して、係合部5のオーバーストローク方向E3の動きが規制され、かつ、係合部5の第1係合部51が凸部4の第1部分41に係合して(引っ掛かって)、係合部5のオーバーストローク方向E3の反対方向E4の動きが、規制される。これにより、この実施形態1にかかる車両用部品2~8、車両用灯具1は、第1インナーパネル2の一端部分と第2インナーパネル3の一端部分とが、垂直方向規制部6により、相互に、意匠面20に対して垂直方向に動くのを規制された状態で固定されている。
【0093】
この実施形態1にかかる車両用部品2~8、車両用灯具1は、固定構造が、凸部4と係合部5とにそれぞれ設けられていて、凸部4と係合部5とが相互に意匠面20に平行な方向に動くのを規制する平行方向規制部7を、有するものである。この結果、この実施形態1にかかる車両用部品2~8、車両用灯具1は、第1インナーパネル2の一端部分と第2インナーパネル3の一端部分とが、平行方向規制部7により、相互に、意匠面20に平行な方向に動くのを規制された状態で固定されている。
【0094】
この実施形態1にかかる車両用部品2~8、車両用灯具1は、平行方向規制部7が、凸部4の縦凸部70と、係合部5の2本の縦縁部71と、から構成されている。この結果、この実施形態1にかかる車両用部品2~8、車両用灯具1は、第1インナーパネル2の他面21側に第2インナーパネル3を実線矢印Aの方向に加圧した時に、係合部5の2本の縦縁部71が凸部4の縦凸部70の左右両側面にそれぞれ当たって、係合部5の加圧方向Aの交差方向E5の動きが、規制される。これにより、この実施形態1にかかる車両用部品2~8、車両用灯具1は、第1インナーパネル2の一端部分と第2インナーパネル3の一端部分とが、平行方向規制部7により、相互に、意匠面20に平行な方向に動くのを規制された状態で固定されている。
【0095】
この実施形態1にかかる車両用部品2~8、車両用灯具1は、固定構造が、凸部4と係合部5とにそれぞれ設けられていて、係合部5が凸部4に正規の係合状態以外の係合状態で係合するのを防ぐ誤係合防止部8を、有するものである。この結果、この実施形態1にかかる車両用部品2~8、車両用灯具1は、固定構造の誤係合防止部8により、係合部5が凸部4に正規の係合状態以外の係合状態で係合するのを防ぐことができる。
【0096】
この実施形態1にかかる車両用部品2~8、車両用灯具1は、誤係合防止部8が、凸部4の横凸部80と、係合部5の縁部81と、から構成されている。この結果、この実施形態1にかかる車両用部品2~8、車両用灯具1は、第1インナーパネル2の他面21側に第2インナーパネル3を実線矢印Aの方向に加圧した時に、係合部5が凸部4に正規の係合状態以外の係合状態で係合しようとすると、係合部5の縁部81が凸部4の横凸部80の上に乗り上がって、係合部5が凸部4に係合せず、一方、係合部5が凸部4に正規の係合状態で係合しようとすると、係合部5の切欠50の水平部分が凸部4の横凸部80に嵌合する。これにより、この実施形態1にかかる車両用部品2~8、車両用灯具1は、固定構造の誤係合防止部8により、係合部5が凸部4に正規の係合状態以外の係合状態で係合するのを防ぐことができる。
【0097】
(実施形態2の構成、効果の説明)
図10は、この発明にかかる車両用部品、車両用灯具の実施形態2を示す。以下、この実施形態2にかかる車両用部品、車両用灯具の構成、効果について説明する。図中、図1図9と同符号は、同一物を示す。
【0098】
この実施形態2にかかる車両用部品、車両用灯具は、前記の実施形態1にかかる車両用部品2~8、車両用灯具1に対して、スライドガイド部9を有する。
【0099】
スライドガイド部9は、凸部4と係合部5との双方に加圧方向Aに対して傾斜して設けられていて、係合部5が凸部4に係合する時に、係合部5が凸部4に対してスライドしながらガイドされるものである。
【0100】
スライドガイド部9は、凸部4の頂面400の上部に設けられているスライドガイド面90と、係合部5の爪部53の先端部であって、切り起こされた第1係合部51の一面に設けられているスライドガイド面91と、から構成されている。なお、図10中の破線にて示す頂面は、前記の実施形態1にかかる車両用部品2~8、車両用灯具1の凸部4の頂面40である。
【0101】
第1インナーパネル2の他面21側に第2インナーパネル3を実線矢印Aの方向に加圧した時に、係合部5のスライドガイド面91が凸部4のスライドガイド面90に沿って、スライドしながらガイドされる。
【0102】
この実施形態2にかかる車両用部品、車両用灯具は、以上の構成からなるものであるから、前記の実施形態1にかかる車両用部品2~8、車両用灯具1と、同様の効果を達成することができる。
【0103】
特に、この実施形態2にかかる車両用部品、車両用灯具は、固定構造のスライドガイド部9により、係合部5を凸部4に係合させる時に、係合部5のスライドガイド面91が凸部4のスライドガイド面90に沿って、スライドしながらガイドされるので、係合部5を凸部4に円滑に係合させることができる。
【0104】
(実施形態3の構成、効果の説明)
図11は、この発明にかかる車両用部品、車両用灯具の実施形態3を示す。以下、この実施形態3にかかる車両用部品、車両用灯具の構成、効果について説明する。図中、図1図10と同符号は、同一物を示す。
【0105】
前記の実施形態1、2にかかる車両用部品2~8、車両用灯具1は、固定構造が、凸部4の段部60と、係合部5の載置部61と、凸部4の第1部分41と、係合部5の第1係合部51と、から構成されている垂直方向規制部6を、有するものである。
【0106】
これに対して、この実施形態3にかかる車両用部品、車両用灯具は、前記の実施形態1、2の固定構造の段部60(図11中の二点鎖線を参照)を設けていないものである。すなわち、この実施形態3にかかる車両用部品、車両用灯具は、第1インナーパネル2の他面21が前記の実施形態1、2の固定構造の段部60を構成するものである。
【0107】
この実施形態3にかかる車両用部品、車両用灯具は、以上の構成からなるものであるから、前記の実施形態1、2にかかる車両用部品2~8、車両用灯具1と、同様の効果を達成することができる。
【0108】
特に、この実施形態3にかかる車両用部品、車両用灯具は、第1インナーパネル2の他面21を、前記の実施形態1、2の固定構造の段部60の代替えとするものであるから、第1インナーパネル2の他面21から凸部4の頂点までの寸法T5を、段部60を省略した分、小さくすることができ、さらに省スペースの固定構造4~8が得られる。
【0109】
(実施形態1、2、3以外の例の説明)
なお、前記の実施形態1、2、3においては、車両用灯具1として、フロントコンビネーションランプについて説明するものである。しかしながら、この発明においては、車両用灯具として、フロントコンビネーションランプ以外の車両用灯具にも適用することができる。
【0110】
また、前記の実施形態1、2、3においては、第1車両用部品および第2車両用部品として、フロントコンビネーションランプの第1インナーパネル2および第2インナーパネル3について説明するものである。しかしながら、この発明においては、第1車両用部品および第2車両用部品として、フロントコンビネーションランプの第1インナーパネル2および第2インナーパネル3以外の車両用部品にも適用することができる。
【0111】
さらに、前記の実施形態1、2、3においては、垂直方向規制部6が、凸部4の段部60と、係合部5の載置部61と、から構成されているものである。しかしながら、この発明においては、垂直方向規制部6の段部60および載置部61の代替えとして、図10中の一点鎖線および二点鎖線にて示すように、凸部4に傾斜面62を設け、係合部5に傾斜面62に嵌合する嵌合孔63を設けたものであっても良い。すなわち、凸部4の傾斜面62と係合部5の嵌合孔63との嵌合により、係合部5が凸部4に対してオーバーストローク方向E3に動くのを、規制できれば良い。
【0112】
さらにまた、前記の実施形態2においては、図10中の実線にて示すように、スライドガイド部9が、凸部4のスライドガイド面90と、係合部5のスライドガイド面91と、から構成されているものである。しかしながら、この発明においては、スライドガイド部9を、凸部4と係合部5との少なくともいずれか一方に設けたものであっても良い。
【0113】
なお、この発明は、前記の実施形態1、2、3により限定されるものではない。特に、前記の実施形態1、2、3の第1インナーパネル2および第2インナーパネル3の形状などは、限定されない。
【符号の説明】
【0114】
1 車両用灯具
10 ランプハウジング
11 アウターレンズ(ランプレンズ)
12 灯室
2 第1インナーパネル(第1車両用部品、車両用部品)
20 意匠面(一面)
21 他面
3 第2インナーパネル(第2車両用部品、車両用部品)
4 凸部(固定構造、車両用部品)
40、400 頂面
41 第1部分(垂直方向規制部6)
42 第2部分
5 係合部(固定構造、車両用部品)
50 切欠
51 第1係合部(垂直方向規制部6)
52 第2係合部
53 爪部
54 窪み部
6 垂直方向規制部(固定構造、車両用部品)
60 段部
61 載置部
62 傾斜面
63 嵌合孔
7 平行方向規制部(固定構造、車両用部品)
70 縦凸部(小凸部)
71 縦縁部
8 誤係合防止部(固定構造、車両用部品)
80 横凸部(小凸部)
81 縁部
9 スライドガイド部(固定構造、車両用部品)
90 凸部4のスライドガイド面
91 係合部5のスライドガイド面
A 加圧方向
B 後
C1 第1インナーパネル2の意匠面20側の金型の抜き方向
C2 第1インナーパネル2の他面21側の金型の抜き方向
D 下
E1 係合部5の加圧方向Aの反対方向の動き
E2 係合部5の加圧方向Aの動き
E3 オーバーストローク方向
E4 オーバーストローク方向E3の反対方向
E5 加圧方向Aの交差方向
F 前
G1 スライドガイド方向
G2 弾性変形方向
L 左
R 右
U 上
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11