(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】駆動装置および負荷駆動システム
(51)【国際特許分類】
G06F 11/07 20060101AFI20240717BHJP
G06F 11/22 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
G06F11/07 163
G06F11/07 140R
G06F11/22 673F
(21)【出願番号】P 2020147785
(22)【出願日】2020-09-02
【審査請求日】2023-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】高橋 佑輔
(72)【発明者】
【氏名】伊東 陽人
(72)【発明者】
【氏名】田中 耕太郎
(72)【発明者】
【氏名】渥美 敬介
【審査官】山本 俊介
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-129267(JP,A)
【文献】特開2009-151420(JP,A)
【文献】特開2008-140010(JP,A)
【文献】特開2013-026634(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0065299(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 11/00-11/36
G05B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の負荷のそれぞれに対応する複数の半導体スイッチを制御することで、複数の前記負荷を通電駆動する駆動装置であって、
前記駆動装置の外部に設けられたマイコンを備えた電子制御装置から受信した負荷制御信号が変換されたものであり各負荷への通電状態を指示する信号を含む制御パターンが記憶された制御用記憶部(11)と、
前記制御パターンに応じて複数の前記半導体スイッチを制御する駆動部(20)と、
各負荷への通電状態を示す通電パターンであり、前記制御パターンの異常を判定するための判定用パターンが記憶された判定用記憶部(50)と、
前記判定用パターンと比較パターンとしての前記制御パターンとを比較して、前記判定用パターンと前記制御パターンとが所定の対応関係を満たした場合に、前記制御パターンが異常と判定する比較部(40)と、を備えている駆動装置。
【請求項2】
複数の負荷のそれぞれに対応する複数の半導体スイッチを制御することで、複数の前記負荷を通電駆動する駆動装置であって、
前記駆動装置の外部に設けられたマイコンを備えた電子制御装置から受信した負荷制御信号が変換されたものであり各負荷への通電状態を指示する信号を含む制御パターンに応じて複数の前記半導体スイッチを制御する駆動部(20)と、
各負荷への通電状態をモニタした結果であるモニタパターンが記憶されたモニタ用記憶部(84)と、
各負荷への通電状態を示す通電パターンであり、前記モニタパターンの異常を判定するための判定用パターンが記憶された判定用記憶部(50)と、
前記判定用パターンと比較パターンとしての前記モニタパターンとを比較して、前記判定用パターンと前記モニタパターンとが所定の対応関係を満たした場合に、前記モニタパターンが異常と判定する比較部(40)と、を備えている駆動装置。
【請求項3】
複数の負荷のそれぞれに対応する複数の半導体スイッチを制御することで、複数の前記負荷を通電駆動する駆動装置であって、
前記駆動装置の外部に設けられたマイコンを備えた電子制御装置から受信した負荷制御信号が変換されたものであり各負荷への通電状態を指示する信号を含む制御パターンが記憶された制御用記憶部(11)と、
前記制御パターンに応じて複数の前記半導体スイッチを制御する駆動部(20)と、
各負荷への通電状態をモニタした結果であるモニタパターンが記憶されたモニタ用記憶部(84)と、
各負荷への通電状態を示す通電パターンであり、前記制御パターンおよび前記モニタパターンの異常を判定するための判定用パターンが記憶された判定用記憶部(50)と、
前記判定用パターンと、比較パターンとしての前記制御パターンおよび前記モニタパターンとを比較して、前記判定用パターンと前記制御パターンとが所定の対応関係を満たした場合に、前記制御パターンが異常と判定し、前記判定用パターンと前記モニタパターンとが所定の対応関係を満たした場合に、前記モニタパターンが異常と判定する比較部(40)と、を備えている駆動装置。
【請求項4】
前記判定用記憶部は、前記判定用パターンとして、各負荷への通電状態として禁止されている禁止パターンが記憶されており、
前記比較部は、前記禁止パターンと前記比較パターンとが一致の場合に、所定の対応関係を満たしており異常と判定する請求項1~3のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記判定用記憶部は、前記判定用パターンとして、各負荷への通電状態として許可されている許可パターンが記憶されており、
前記比較部は、前記許可パターンと前記比較パターンとが不一致の場合に、所定の対応関係を満たしており異常と判定する請求項1~3のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項6】
複数の負荷のそれぞれに対応する複数の半導体スイッチを制御することで、複数の前記負荷を通電駆動する駆動装置
と、前記駆動装置の外部に設けられマイコンを備えた電子制御装置と、を備えた負荷駆動システムであって、
前記電子制御装置は、前記駆動装置に対して負荷制御信号を送信し、
前記駆動装置は、
前記負荷制御信号が変換されたものであり各負荷への通電状態を指示する信号を含む制御パターンが記憶された制御用記憶部(11)と、
前記制御パターンに応じて複数の前記半導体スイッチを制御する駆動部(20)と、
各負荷への通電状態を示す通電パターンであり、前記制御パターンの異常を判定するための判定用パターンが記憶された判定用記憶部(50)と、
前記判定用パターンと比較パターンとしての前記制御パターンとを比較して、前記判定用パターンと前記制御パターンとが所定の対応関係を満たした場合に、前記制御パターンが異常と判定する比較部(40)と、を備えている負荷駆動システム。
【請求項7】
複数の負荷のそれぞれに対応する複数の半導体スイッチを制御することで、複数の前記負荷を通電駆動する駆動装置
と、前記駆動装置の外部に設けられマイコンを備えた電子制御装置と、を備えた負荷駆動システムであって、
前記電子制御装置は、前記駆動装置に対して負荷制御信号を送信し、
前記駆動装置は、
前記負荷制御信号が変換されたものであり各負荷への通電状態を指示する信号を含む制御パターンに応じて複数の前記半導体スイッチを制御する駆動部(20)と、
各負荷への通電状態をモニタした結果であるモニタパターンが記憶されたモニタ用記憶部(84)と、
各負荷への通電状態を示す通電パターンであり、前記モニタパターンの異常を判定するための判定用パターンが記憶された判定用記憶部(50)と、
前記判定用パターンと比較パターンとしての前記モニタパターンとを比較して、前記判定用パターンと前記モニタパターンとが所定の対応関係を満たした場合に、前記モニタパターンが異常と判定する比較部(40)と、を備えている負荷駆動システム。
【請求項8】
複数の負荷のそれぞれに対応する複数の半導体スイッチを制御することで、複数の前記負荷を通電駆動する駆動装置
と、前記駆動装置の外部に設けられマイコンを備えた電子制御装置と、を備えた負荷駆動システムであって、
前記電子制御装置は、前記駆動装置に対して負荷制御信号を送信し、
前記駆動装置は、
前記負荷制御信号が変換されたものであり各負荷への通電状態を指示する信号を含む制御パターンが記憶された制御用記憶部(11)と、
前記制御パターンに応じて複数の前記半導体スイッチを制御する駆動部(20)と、
各負荷への通電状態をモニタした結果であるモニタパターンが記憶されたモニタ用記憶部(84)と、
各負荷への通電状態を示す通電パターンであり、前記制御パターンおよび前記モニタパターンの異常を判定するための判定用パターンが記憶された判定用記憶部(50)と、
前記判定用パターンと、比較パターンとしての前記制御パターンおよび前記モニタパターンとを比較して、前記判定用パターンと前記制御パターンとが所定の対応関係を満たした場合に、前記制御パターンが異常と判定し、前記判定用パターンと前記モニタパターンとが所定の対応関係を満たした場合に、前記モニタパターンが異常と判定する比較部(40)と、を備えている負荷駆動システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、駆動装置および負荷駆動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
駆動装置の一例として、特許文献1に開示されたドライバ回路がある。
【0003】
ドライバ回路は、マイコンとともにECUに搭載されている。ドライバ回路は、ドライバ、マイコン監視回路などを備えている。マイコン監視回路は、マイコンの動作が正常である場合、駆動許可指令をドライバへ入力し、マイコンの動作が異常である場合、駆動禁止指令をドライバへ入力する。ドライバは、駆動許可指令が入力される期間に負荷制御信号に応じて負荷を駆動し、駆動禁止指令が入力される期間に負荷の駆動を停止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来技術ではないが、駆動装置は、負荷の通電状態をモニタするモニタ回路を備えたものが考えられる。また、駆動装置は、負荷制御信号やモニタ回路によるモニタ結果を一時的に記憶しておくことが考えられる。このような駆動装置は、負荷制御信号やモニタ結果などの記憶情報に異状が生じることもありうる。しかしながら、特許文献1のドライバ回路では、記憶情報の異常を判定できない。
【0006】
開示される一つの目的は、記憶している情報の異常を判定できる駆動装置および負荷駆動システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ここに開示された駆動装置は、
複数の負荷のそれぞれに対応する複数の半導体スイッチを制御することで、複数の負荷を通電駆動する駆動装置であって、
駆動装置の外部に設けられたマイコンを備えた電子制御装置から受信した負荷制御信号が変換されたものであり各負荷への通電状態を指示する信号を含む制御パターンが記憶された制御用記憶部(11)と、
制御パターンに応じて複数の半導体スイッチを制御する駆動部(20)と、
各負荷への通電状態を示す通電パターンであり、制御パターンの異常を判定するための判定用パターンが記憶された判定用記憶部(50)と、
判定用パターンと比較パターンとしての制御パターンとを比較して、判定用パターンと制御パターンとが所定の対応関係を満たした場合に、制御パターンが異常と判定する比較部(40)と、を備えている。
【0008】
このように、駆動装置は、制御パターンと判定用パターンとを記憶している。そして、駆動装置は、判定用パターンと制御パターンとを比較することで、制御パターンの異常を判定できる。
【0009】
また、ここに開示された駆動装置は、
複数の負荷のそれぞれに対応する複数の半導体スイッチを制御することで、複数の負荷を通電駆動する駆動装置であって、
駆動装置の外部に設けられたマイコンを備えた電子制御装置から受信した負荷制御信号が変換されたものであり各負荷への通電状態を指示する信号を含む制御パターンに応じて複数の半導体スイッチを制御する駆動部(20)と、
各負荷への通電状態をモニタした結果であるモニタパターンが記憶されたモニタ用記憶部(84)と、
各負荷への通電状態を示す通電パターンであり、モニタパターンの異常を判定するための判定用パターンが記憶された判定用記憶部(50)と、
判定用パターンと比較パターンとしてのモニタパターンとを比較して、判定用パターンとモニタパターンとが所定の対応関係を満たした場合に、モニタパターンが異常と判定する比較部(40)と、を備えている。
【0010】
このように、駆動装置は、モニタパターンと判定用パターンとを記憶している。そして、駆動装置は、判定用パターンとモニタパターンとを比較することで、モニタパターンの異常を判定できる。
【0011】
さらに、ここに開示された駆動装置は、
複数の負荷のそれぞれに対応する複数の半導体スイッチを制御することで、複数の負荷を通電駆動する駆動装置であって、
駆動装置の外部に設けられたマイコンを備えた電子制御装置から受信した負荷制御信号が変換されたものであり各負荷への通電状態を指示する信号を含む制御パターンが記憶された制御用記憶部(11)と、
制御パターンに応じて複数の半導体スイッチを制御する駆動部(20)と、
各負荷への通電状態をモニタした結果であるモニタパターンが記憶されたモニタ用記憶部(84)と、
各負荷への通電状態を示す通電パターンであり、制御パターンおよびモニタパターンの異常を判定するための判定用パターンが記憶された判定用記憶部(50)と、
判定用パターンと、比較パターンとしての制御パターンおよびモニタパターンとを比較して、判定用パターンと制御パターンとが所定の対応関係を満たした場合に、制御パターンが異常と判定し、判定用パターンとモニタパターンとが所定の対応関係を満たした場合に、モニタパターンが異常と判定する比較部(40)と、を備えている。
【0012】
このように、駆動装置は、制御パターンとモニタパターンと判定用パターンとを記憶している。そして、駆動装置は、判定用パターンと制御パターンとを比較することで、制御パターンの異常を判定できる。また、駆動装置は、判定用パターンとモニタパターンとを比較することで、モニタパターンの異常を判定できる。また、ここに開示された負荷駆動システムは、
複数の負荷のそれぞれに対応する複数の半導体スイッチを制御することで、複数の負荷を通電駆動する駆動装置と、駆動装置の外部に設けられマイコンを備えた電子制御装置と、を備えた負荷駆動システムであって、
電子制御装置は、駆動装置に対して負荷制御信号を送信し、
駆動装置は、
負荷制御信号が変換されたものであり各負荷への通電状態を指示する信号を含む制御パターンが記憶された制御用記憶部(11)と、
制御パターンに応じて複数の半導体スイッチを制御する駆動部(20)と、
各負荷への通電状態を示す通電パターンであり、制御パターンの異常を判定するための判定用パターンが記憶された判定用記憶部(50)と、
判定用パターンと比較パターンとしての制御パターンとを比較して、判定用パターンと制御パターンとが所定の対応関係を満たした場合に、制御パターンが異常と判定する比較部(40)と、を備えている。
さらに、ここに開示された負荷駆動システムは、
複数の負荷のそれぞれに対応する複数の半導体スイッチを制御することで、複数の負荷を通電駆動する駆動装置と、駆動装置の外部に設けられマイコンを備えた電子制御装置と、を備えた負荷駆動システムであって、
電子制御装置は、駆動装置に対して負荷制御信号を送信し、
駆動装置は、
負荷制御信号が変換されたものであり各負荷への通電状態を指示する信号を含む制御パターンに応じて複数の半導体スイッチを制御する駆動部(20)と、
各負荷への通電状態をモニタした結果であるモニタパターンが記憶されたモニタ用記憶部(84)と、
各負荷への通電状態を示す通電パターンであり、モニタパターンの異常を判定するための判定用パターンが記憶された判定用記憶部(50)と、
判定用パターンと比較パターンとしてのモニタパターンとを比較して、判定用パターンとモニタパターンとが所定の対応関係を満たした場合に、モニタパターンが異常と判定する比較部(40)と、を備えている。
さらに、ここに開示された負荷駆動システムは、
複数の負荷のそれぞれに対応する複数の半導体スイッチを制御することで、複数の負荷を通電駆動する駆動装置と、駆動装置の外部に設けられマイコンを備えた電子制御装置と、を備えた負荷駆動システムであって、
電子制御装置は、駆動装置に対して負荷制御信号を送信し、
駆動装置は、
負荷制御信号が変換されたものであり各負荷への通電状態を指示する信号を含む制御パターンが記憶された制御用記憶部(11)と、
制御パターンに応じて複数の半導体スイッチを制御する駆動部(20)と、
各負荷への通電状態をモニタした結果であるモニタパターンが記憶されたモニタ用記憶部(84)と、
各負荷への通電状態を示す通電パターンであり、制御パターンおよびモニタパターンの異常を判定するための判定用パターンが記憶された判定用記憶部(50)と、
判定用パターンと、比較パターンとしての制御パターンおよびモニタパターンとを比較して、判定用パターンと制御パターンとが所定の対応関係を満たした場合に、制御パターンが異常と判定し、判定用パターンとモニタパターンとが所定の対応関係を満たした場合に、モニタパターンが異常と判定する比較部(40)と、を備えている。
【0013】
この明細書において開示された複数の態様は、それぞれの目的を達成するために、互いに異なる技術的手段を採用する。請求の範囲およびこの項に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態の部分との対応関係を例示的に示すものであって、技術的範囲を限定することを意図するものではない。この明細書に開示される目的、特徴、および効果は、後続の詳細な説明、および添付の図面を参照することによってより明確になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1実施形態における駆動装置の概略構成を示す回路図である。
【
図2】第1実施形態における駆動IC部分の概略構成を示す回路部である。
【
図3】第1実施形態における禁止パターンの概略構成を示すイメージ図である。
【
図4】第1実施形態における制御レジスタの概略構成を示すイメージ図である。
【
図5】第1実施形態における駆動装置の動作を示すフローチャートである。
【
図6】第1実施形態におけるシーケンス回路の動作を示すブロックである。
【
図7】第1実施形態における禁止パターンのセット動作を示すイメージ図である。
【
図8】第1実施形態における制御パターンのセット動作を示すイメージ図である。
【
図9】第2実施形態における駆動装置の概略構成を示す回路図である。
【
図10】第2実施形態における許可パターンの概略構成を示すイメージ図である。
【
図11】第2実施形態における駆動装置の動作を示すフローチャートである。
【
図12】第3実施形態における駆動装置の概略構成を示す回路図である。
【
図13】第3実施形態における駆動装置の動作を示すフローチャートである。
【
図14】第4実施形態における駆動装置の概略構成を示す回路図である。
【
図15】第4実施形態における駆動装置の動作を示すフローチャートである。
【
図16】第5実施形態における駆動装置の概略構成を示す回路図である。
【
図17】第6実施形態における駆動装置の概略構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下において、図面を参照しながら、本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において、先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において、構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を参照し適用することができる。
【0016】
(第1実施形態)
図1~
図8を用いて、本実施形態の駆動装置101に関して説明する。駆動装置101は、たとえば車両に搭載された負荷を駆動する回路に適用可能である。以下では、車両の自動変速機に適用される例について説明する。
【0017】
<自動変速機>
自動変速機の概略構成について説明する。自動変速機は、例えば、バルブボディ、変速機構、オイルポンプ、パーキングロック機構などを備えている。変速機構は、たとえばクラッチやブレーキ等からなる複数の摩擦要素を有している。変速機構は、各摩擦要素を選択的に係合することで、変速比を段階的に変更可能である。
【0018】
バルブボディ内には、変速機構に供給される作動油の圧力を調節する油圧回路が形成されている。バルブボディは、オイルポンプから圧送された作動油を調圧して摩擦要素に供給する複数のソレノイドバルブを有している。ソレノイドバルブは、ソレノイドを有している。ソレノイドは、コイルと称されることがある。ソレノイドへの通電を制御することで、作動油が調節される。
【0019】
ソレノイドバルブは、負荷に相当する。また、本実施形態では、後ほど説明するアクチュエータ401~40nとしてソレノイドバルブを採用している。よって、負荷への通電状態は、ソレノイドバルブ(ソレノイド)への通電状態と同意である。なお、ソレノイドバルブは、リニアソレノイドバルブを採用できる。
【0020】
パーキングロック機構は、パーキングレンジが選択されると、自動変速機の出力軸(車軸)の回転をロックするパーキングロックを行う。パーキングロックの状態からパーキングレンジ以外のシフトレンジが選択されると、パーキングロック機構は、パーキングロックを解除する。これにより、出力軸がアンロックされる。しかしながら、自動変速機は、上記構成に限定されない。
【0021】
<負荷駆動システム>
次に、
図1を用いて、負荷駆動システムの概略構成について説明する。
図1は、負荷駆動システムを示す図である。なお、
図1では、アクチュエータ401~40nの通電経路を簡素化している。
【0022】
負荷駆動システムは、少なくとも駆動装置101とECU200とを備えている。負荷駆動システムは、アクチュエータ401~40nの通電駆動を制御する。また、負荷駆動システムは、アクチュエータ401~40nを通電駆動することで、バルブボディを含む自動変速機を制御するともいえる。
【0023】
なお、nは、2以上の自然数である。本実施形態では、一例として、n=5を採用している。よって、本実施形態では、第1アクチュエータ401~第5アクチュエータ405を通電駆動する例を採用している。また、本実施形態では、第1アクチュエータ401~第5アクチュエータ405の駆動を制御することで、自動変速機を1速~5速の間で切り替える例を採用している。なお、アクチュエータ401~405は、それぞれを特に区別する必要がない場合、アクチュエータ40nとも称する。
【0024】
しかしながら、本開示は、これらに限定されない。本開示は、複数のアクチュエータ40nの駆動を制御することで、自動変速機の変速を1速~8速の間で切り替えるものであっても採用できる。また、本開示は、例えば、複数のアクチュエータ40nの駆動を制御することで、自動変速機をPレンジ、Rレンジ、Nレンジ、Dレンジの間で切り替えるものであっても採用できる。さらに、アクチュエータ40nとしては、オンオフソレノイドバルブであっても採用できる。
【0025】
ECU200は、少なくとも一つのCPU、少なくとも一つの記憶装置などを有したマイコンを備えている。また、ECU200は、各種センサや他のECUなどが接続されている。記憶装置には、プログラムやデータなどが記憶されている。データは、予め記憶されたものや、センサから出力されたセンサ信号などである。なお、ECUは、Electronic Control Unitの略称である。
【0026】
ECU200は、CPUがプログラムを実行する。CPUは、プログラムを実行することで、データを用いつつ各種演算処理を行う。ECU200は、演算処理の結果として負荷制御信号などを出力する。
【0027】
負荷駆動システムのうち、駆動装置101は、バルブボディ上に配置されている。つまり、駆動装置101は、自動変速機と機電一体構造をなしている。ECU200は、自動変速機とは機械的に分離されている。
【0028】
ECU200と駆動装置101は、銅線などで接続されている。本実施形態において、ECU200と駆動装置101は、SPI通信によって、データの送受信を行う。ECU200は、駆動装置101に対し負荷制御信号などを送信する。駆動装置101は、負荷制御信号を受信すると、負荷制御信号に応じて動作する。なお、駆動装置101の構成や動作に関しては、後ほど詳しく説明する。
【0029】
図1、
図2に示すように、負荷駆動システムは、複数の駆動スイッチ301~30nを備えている。各駆動スイッチ301~30nは、各アクチュエータ40nの通電経路に個別に設けられている。よって、本実施形態では、一例として、第1駆動スイッチ301~第5駆動スイッチ305が設けられている例を採用する。駆動スイッチ301~305は、それぞれを特に区別する必要がない場合、駆動スイッチ30nとも称する。駆動スイッチ30nは、駆動装置101に設けられている。
【0030】
駆動スイッチ30nのオンにより、対応するアクチュエータ40nに対して電流の供給がされる。駆動スイッチ30nのオフにより、対応するアクチュエータ40nに対する電流の供給が遮断される。言い換えると、各アクチュエータ40nは、対応する駆動スイッチ30nがオンすることで通電される。また、各アクチュエータ40nは、対応する駆動スイッチ30nがオフすることで非通電とされる。
【0031】
図1、
図2に示すように、負荷駆動システムは、給電スイッチ500を備えている。また、負荷駆動システムは、各種センサを備えている。しかしながら、負荷駆動システムは、給電スイッチ500およびセンサを備えず、給電スイッチ500およびセンサが負荷駆動システムの外に配置された構成としてもよい。
【0032】
給電スイッチ500は、アクチュエータ40nの通電経路に設けられている。給電スイッチ500は、例えばMOSFETなどの半導体スイッチを採用できる。複数のアクチュエータ401~405に対して、単一(共通)の給電スイッチ500が設けられている。給電スイッチ500のオンにより、各アクチュエータ40nに対して電流の供給が可能となる。給電スイッチ500のオフにより、各アクチュエータ40nに対する電流の供給が遮断される。給電スイッチ500は、アクチュエータ40nに対して、ハイサイド側、すなわち電源側に配置されてもよいし、ローサイド側、すなわちグランド(GND)側に配置されてもよい。本実施形態の給電スイッチ500は、ハイサイド側に配置されている。給電スイッチ500は、駆動装置101に設けられている。
【0033】
センサは、負荷の状態を検出する。センサは、バルブボディを含む自動変速機の状態を検出する。センサとしては、油圧センサ、回転センサ、油温センサ、パーキングロックセンサなどをあげることができる。油圧センサは、油圧回路における作動油の圧力を検出する。回転センサは、自動変速機の回転数を検出する。回転センサは、たとえば自動変速機の入力側の回転数を検出するセンサと、出力側の回転数を検出するセンサを含む。油温センサは、油圧回路における作動油の温度を検出する。パーキングロックセンサは、パーキングロック機構の状態を検出する。
【0034】
<駆動装置構成>
図1、
図2~
図4、
図6を用いて、駆動装置101に関して説明する。
図2では、便宜上、一つのアクチュエータ401に対応する箇所のみを図示している。
【0035】
駆動装置101は、複数のアクチュエータ401~405を通電駆動する回路である。また、駆動装置101は、複数の駆動スイッチ301~305を制御することで、複数のアクチュエータ401~405を通電駆動する。駆動装置101は、ECU200と異なり、マイコンを備えていない。つまり、駆動装置101は、ハードウェアロジックによって、複数のアクチュエータ401~405を通電駆動する。第1駆動スイッチ301~第5駆動スイッチ305のそれぞれは、半導体スイッチに相当する。
【0036】
駆動装置101は、主に、制御レジスタ11を含むSPI回路10と、駆動IC20と、第1比較器40と、ROM50とを備えている。また、駆動装置101は、シーケンス回路30、レジスタ部60、給電回路70、電流検出抵抗81、増幅器82、第2比較器83、モニタレジスタ84などを備えている。さらに、駆動装置101は、駆動スイッチ30nおよび給電スイッチ500を備えている。
【0037】
SPI回路10(SPIC)は、ECU200と接続されており、ECU200とシリアル通信を行う回路である。また、SPI回路10は、駆動IC20、シーケンス回路30などと接続されている。SPI回路10は、受信したシリアルデータをパラレルデータに変換する変換回路を有している。さらに。SPI回路10は、制御レジスタ11(CREG)を有している。なお、制御レジスタ11は、制御用記憶部に相当する。SPIは、Serial Peripheral Interfaceの略称である。
【0038】
ECU200から送信されるシリアルデータとしては、アクチュエータ401~405を通電駆動するための負荷制御信号などをあげることができる。負荷制御信号は、各アクチュエータ401~405への通電状態を指示する信号(値)を含んでいる。つまり、負荷制御信号は、各アクチュエータ401~405に個別に対応した通電状態を指示する信号を含んでいるともいえる。
【0039】
負荷制御信号は、例えば、通電を指示する信号として1、非通電を指示する信号として0を含んでいる。よって、負荷制御信号は、0と1によって表すことができる。本実施形態では、一例として、5ビットの負荷制御信号を採用する。しかしながら、本開示は、これに限定されず、複数ビットの負荷制御信号であれば採用できる。
【0040】
図4に示すように、負荷制御信号は、パラレルデータに変換されて制御レジスタ11に格納される。パラレルデータに変換された負荷制御信号は、制御パターンとみなすことができる。よって、負荷制御信号は、制御パターンに相当する。制御レジスタ11は、各アクチュエータ401~405に対応したアドレスのビット111~115を有している。制御レジスタ11は、負荷制御信号における各アクチュエータ401~405への通電状態を指示する信号が、各アドレスのビットに書き込まれる。
【0041】
第1ビット111は、第1アクチュエータ401に対応している。第2ビット112は、第2アクチュエータ402に対応している。第3ビット113は、第3アクチュエータ403に対応している。第4ビット114は、第4アクチュエータ404に対応している。第5ビット115は、第5アクチュエータ405に対応している。
【0042】
なお、
図4では、一例として、制御パターンとして11101が書き込まれた状態の制御レジスタ11を採用している。また、この制御パターンは、第5ビット115がビット化けした状態を示している。つまり、本来であれば、制御レジスタ11には、制御パターンとして11100が書き込まれるはずである。しかしながら、制御レジスタ11は、駆動装置101の内部異常によって、制御パターンとして11101が書き込まれている。
【0043】
また、制御パターンは、判定用パターンと比較される。よって、制御パターンは、比較パターンともいえる。制御レジスタ11に格納されている制御パターンは、今回の負荷制御信号に相当する。このため、制御パターンは、今回値ともいえる。
【0044】
本実施形態では、一例として、SPI回路10で負荷制御信号を取得する例を採用している。しかしながら、本開示は、これに限定されず、CANプロトコルに準拠した通信回路で負荷制御信号を取得してもよい。この場合、駆動装置101は、通信バスでECU200と接続される。駆動装置101は、CAN通信で受信したメッセージに含まれている負荷制御信号を取得する。制御レジスタ11には、負荷制御信号における通電状態を指示する信号が書き込まれる。なお、CANは、Controller Area Networkの略称である。CANは、登録商標である。
【0045】
さらに、本開示は、複数の端子のレベルによって負荷制御信号を取得してもよい。この場合、駆動装置101は、複数の銅線でECU200と接続される。駆動装置101は、負荷制御信号における通電状態を指示する信号の数よりも多くの銅線を介してECU200と接続されている。駆動装置101は、複数の銅線が個別に接続された端子を備えている。そして、駆動装置101は、各端子のレベル(Hi、Low)を負荷制御信号として取得する。制御レジスタ11には、各端子のレベルに応じた信号が書き込まれる。
【0046】
図1、
図2に示すように、駆動IC20(DIC)は、複数の駆動スイッチ301~305と接続されている。駆動IC20は、制御パターンに応じて複数の駆動スイッチ301~305を制御する。つまり、駆動IC20は、制御レジスタ11に格納されている制御パターンに応じて、駆動スイッチ301~305をオンオフさせる駆動信号を出力する。また、駆動IC20は、制御レジスタ11に格納されている制御パターンに応じて、複数の駆動スイッチ301~305を選択的にオンオフする。駆動IC20は、駆動部に相当する。
【0047】
駆動信号としては、PWM信号を採用できる。この場合、駆動IC20は、PWM信号のデューティ比を変えることにより、アクチュエータ40nに流す電流(すなわち、通電電流)を変えることができる。PWMは、Pulse Width Modulationの略である。
【0048】
例えば制御パターンが11100の場合、駆動IC20は、第1駆動スイッチ301~第3駆動スイッチ303をオンする。これによって、駆動IC20は、第1アクチュエータ401~第3アクチュエータ403に通電する。また、このとき、駆動IC20は、第4駆動スイッチ304、第5駆動スイッチ305をオフする。これによって、駆動IC20は、第4アクチュエータ404、第5アクチュエータ405を非通電とする。
【0049】
図6に示すように、シーケンス回路30(SQC)は、第1データローダ31と第2データローダ32などを備えている。また、シーケンス回路30は、複数のスイッチング素子などを備えている。シーケンス回路30は、クロックに同期して動作する。
【0050】
第1データローダ31は、制御レジスタ11の記憶されている制御パターンを第1データレジスタ61に書き込む。つまり、第1データローダ31は、制御レジスタ11における各ビットの信号をロードして第1データレジスタ61の各ビットに書き込む。
【0051】
一方、第2データローダ32は、ROM50の記憶されている禁止パターン51を第2データレジスタ62に書き込む。つまり、第2データローダ32は、禁止パターン51における各ビットの信号をロードして第2データレジスタ62の各ビットに書き込む。
【0052】
第1比較器40(1CMP)は、コンパレータなどによって構成されている。第1比較器40は、後ほど説明する判定用パターンと、制御パターンとを比較する。第1比較器40は、判定用パターンの各信号と制御パターンの各信号を順番に比較する。第1比較器40は、判定用パターンと制御パターンとを比較して、判定用パターンと制御パターンとが所定の対応関係を満たしているか否かを判定する。第1比較器40は、比較部に相当する。
【0053】
本実施形態では、判定用パターンとして、禁止パターン51を採用している。よって、本実施形態における所定の対応関係とは、禁止パターン51と制御パターンとが一致していることを示す。つまり、第1比較器40は、禁止パターン51と制御パターンとが一致する場合に、所定の対応関係を満たしていると判定する。一方、第1比較器40は、禁止パターン51と制御パターンとが不一致の場合に、所定の対応関係を満たしていないと判定する。
【0054】
禁止パターン51と一致した制御パターンは、禁止されている通電パターンとなる。このため、この制御パターンは、ビット化けなどが発生した異常な通電パターンである。一方、禁止パターン51と一致していない制御パターンは、禁止されている通電パターンではない。このため、この制御パターンは、ビット化けなどが発生していない正常な通電パターンである。
【0055】
よって、第1比較器40は、禁止パターン51と制御パターンとが一致した場合、制御パターンが異常と判定するといえる。第1比較器40は、禁止パターン51と制御パターンとが一致しなかった場合、制御パターンが正常と判定するといえる。
【0056】
また、第1比較器40は、一致した場合と不一致の場合とで出力信号が異なる。第1比較器40は、一致した場合、制御パターンが異常であることを示す異常信号を出力する。第1比較器40は、一致しなかった場合、制御パターンが正常であることを示す正常信号を出力する。異常信号は、給電回路70とECU200の少なくとも一方に出力される。
【0057】
第1比較器40は、異常信号を給電回路70に出力することで、アクチュエータ40nに対する電源のカットを指示するといえる。一方、第1比較器40は、異常信号をECU200に出力することで、ECU200に異常を通知するといえる。
【0058】
ROM50は、禁止パターン51(PHP)が記憶されている。禁止パターン51は、各アクチュエータ40nへの通電状態を示す通電パターンである。また、禁止パターン51は、制御パターンの異常を判定するための判定用パターンの一つである。つまり、ROM50には、判定用パターンとして、禁止パターン51が記憶されている。ROM50は、判定用記憶部に相当する。
【0059】
禁止パターン51は、各アクチュエータ40nへの通電状態として禁止されている通電パターンである。禁止パターン51は、自動変速機として好ましくない動作となる通電パターンである。このため、禁止パターン51は、制御パターンなどとは異なり、予めROM50に記憶されている。
【0060】
図3は、禁止パターン51の一例である。ここでは、五つの禁止パターン51を採用している。
図3では、第1アクチュエータ401を1ACT、第2アクチュエータ402を2ACT、第3アクチュエータ403を3ACT、第4アクチュエータ404を4ACT、第5アクチュエータ405を5ACTと示している。
【0061】
ROM50は、各アクチュエータ401~405に対応したアドレスのビットを有している。ROM50は、禁止パターン51における各アクチュエータ401~405への通電状態を示す信号(値)が、各アドレスのビットに書き込まれている。本実施形態では、一例として、5ビットの制御パターンを採用している。よって、各禁止パターン51は、制御パターンと同じ5ビットとなる。各禁止パターン51は、通電を示す信号として1、非通電を示す信号として0を含んでいる。よって、各禁止パターン51は、0と1によって表すことができる。
【0062】
第1禁止パターン51(1NG)は、11101である。第2禁止パターン51(2NG)は、01111である。第3禁止パターン51(3NG)は、11110である。第4禁止パターン51(4NG)は、01100である。第5禁止パターン51(5NG)は、11011である。なお、ROM50は、少なくとも一つの禁止パターン51が記憶されていればよい。
【0063】
レジスタ部60(REG)は、第1レジスタ61(1REG)、第2レジスタ62(2REG)を備えている。第1レジスタ61と第2レジスタ62は、シーケンス回路30によって、第1比較器40で比較される通電パターンがセットされる。第1レジスタ61には、制御パターンがセットされる。第2レジスタ62には、判定用パターン(禁止パターン)がセットされる。
【0064】
図1、
図2に示すように、給電回路70(PSC)は、給電スイッチ500のオンオフを切り替える回路である。給電回路70は、例えば、第1比較器40から異常信号が入力されると、給電スイッチ500のオフを示す信号を出力する。つまり、給電回路70は、制御パターンに異常がある場合、給電スイッチ500をオフして、各アクチュエータ40nに対する電流の供給を遮断する。また、給電回路70は、異常な制御パターンによって各アクチュエータ40nが駆動されることを防止するために、給電スイッチ500をオフするともいえる。なお、異常信号は、給電スイッチ500のオフを指示する信号ともいえる。
【0065】
電流検出抵抗81は、増幅器82とともに電流検出部を構成している。電流検出部は、各アクチュエータ40nに個別に設けられている。よって、本実施形態では、五つの電流検出部が駆動装置101に設けられている。
図1では、代表例として、第1アクチュエータ401に対応する電流検出部のみを図示している。
【0066】
各電流検出部は、対応するアクチュエータ40n(ソレノイド)に実際に流れる電流を検出する。言い換えると、各電流検出部は、対応するアクチュエータ40nの通電状態を検出する。また、各電流検出部は、各アクチュエータ40nへの通電状態をモニタするともいえる。
【0067】
なお、電流検出部は、電流検出抵抗81と増幅器82に加えて、増幅器82で増幅された電圧のノイズを除去するフィルタを備えていてもよい。フィルタは、例えば抵抗とコンデンサで構成することができる。
【0068】
電流検出抵抗81は、アクチュエータ401に直列に接続されている。電流検出抵抗81は、第1アクチュエータ401に対してグランド側(下流側)に設けられている。増幅器82は、電流検出抵抗81の両端に生じ、電流に比例する電圧を増幅する。よって、増幅器82は、第1アクチュエータ401に流れる電流に比例した電圧信号を出力する。このため、各電流検出部は、対応する各アクチュエータ40nに流れる電流に比例した電圧信号を出力する。
【0069】
第2比較器83(2CMP)は、コンパレータなどによって構成されている。第2比較器83は、各アクチュエータ40nに個別に設けられている。また、第2比較器83は、電流検出抵抗81および増幅器81とセットで設けられている。本実施形態では、五つの第2比較器83が駆動装置101に設けられている。
図1では、代表例として、第1アクチュエータ401に対応する第2比較器83のみを図示している。
【0070】
第2比較器83は、増幅器82が出力する電圧信号と基準値とを比較する。第2比較器82は、電圧信号が基準値よりも高ければ正の値を出力し、電圧信号が基準値よりも低ければ負の値を出力する。基準値としては、例えば、クラッチが係合する電流値を想定した電圧値等を用いることができる。
【0071】
つまり、第2比較器83は、各電流検出部がモニタした各アクチュエータ40nへの通電状態を示すモニタ結果を出力するともいえる。第2比較器83は、例えば、第1アクチュエータ401が通電されている場合は正の値を出力する。また、第2比較器83は、例えば、第1アクチュエータ401が通電されていない場合は負の値を出力する。
【0072】
モニタレジスタ84(MREG)は、各第2比較器83の出力が書き込まれる。つまり、モニタレジスタ84には、各アクチュエータ40nへの通電状態をモニタした結果であるモニタパターンが記憶されるといえる。モニタレジスタ84は、モニタ用記憶部に相当する。
【0073】
モニタレジスタ84は、各アクチュエータ401~405に対応したアドレスのビットを有している。モニタレジスタ84は、各アクチュエータ401~405への通電状態を示す信号(値)が、各アドレスのビットに書き込まれる。各アクチュエータ401~405への通電状態を示す信号は、各第2比較器83の出力である。
【0074】
モニタレジスタ84には、例えば、通電を示す信号として1、非通電を示す信号として0が書き込まれる。よって、モニタパターンは、0と1によって表すことができる。本実施形態では、一例として、5ビットの制御パターンを採用している。よって、モニタパターンは、制御パターンと同じ5ビットとなる。
【0075】
なお、モニタレジスタ84の第1ビットは、第1アクチュエータ401に対応している。第2ビットは、第2アクチュエータ402に対応している。第3ビットは、第3アクチュエータに対応している。第4ビットは、第4アクチュエータ404に対応している。第5ビットは、第5アクチュエータ405に対応している。
【0076】
モニタパターンは、各アクチュエータ40nへの通電状態をモニタした結果である。このため、モニタパターンと制御パターンは、ともに異常がない場合、同じパターンとなる。例えば、制御パターンが11100の場合、モニタパターンは、11100となる。しかしながら、モニタパターンと制御パターンの少なくとも一方が異常の場合、モニタパターンと制御パターンは、異なるパターンとなる。
【0077】
ここでの異常は、上記ビット化けや、電流検出抵抗81と各アクチュエータ40nとの電流経路における地絡などである。これらは、駆動装置101の内部異常とみなすことができる。なお、駆動装置101は、電流検出部と第2比較器83とモニタレジスタ84を備えていなくてもよい。なお、例えば、制御パターンが11100であり、電流検出抵抗81と第1アクチュエータ401との電流経路で地絡が生じた場合、モニタパターンは、01100となる。
【0078】
<駆動装置動作>
図5~
図8を用いて、駆動装置101の動作に関して説明する。駆動装置101は、負荷駆動信号を受信すると、
図5のフローチャートに示す動作を開始する。なお、このとき、給電回路70は、給電スイッチ500のオンを示す信号を出力しているものとする。つまり、各アクチュエータ40nは、電流の供給が可能となっている。
【0079】
ステップS10aでは、禁止パターンをセットする。
図6、
図7に示すように、シーケンス回路30は、ROM50に記憶されている禁止パターン51を第2データレジスタ62にセットする。詳述すると、第2データローダ32は、ROM50から禁止パターン51をロードする。そして、第2データローダ32は、ロードした禁止パターン51を第2データレジスタ62にセットする。禁止パターン51は、第2データレジスタ62にセットされると、第1比較器40に出力される。
【0080】
なお、ROM50に複数の禁止パターン51が記憶されている場合、第2データローダ32は、ROM50の記憶されている禁止パターン51を順番に第2データレジスタ62に書き込む。また、第2データローダ32は、第2データレジスタ62に書き込んだ禁止パターン51が第1比較器40に出力されると、次の禁止パターン51を第2データレジスタ62に書き込む。
【0081】
ステップS11では、制御パターンをセットする。
図6、
図8に示すように、第1データローダ31は、制御レジスタ11から制御パターンをロードする。そして、第1データローダ31は、ロードした制御パターンを第1データレジスタ61にセットする。制御パターンは、第1データレジスタ61にセットされると、第1比較器40に出力される。
【0082】
ステップS12aでは、制御パターンと禁止パターンを比較する。第1比較器40は、第1データレジスタ61にセットされた制御パターンと、第2データレジスタ62にセットされた禁止パターン51とを比較する。ROM50に複数の禁止パターン51が記憶されている場合、第1比較器40は、制御パターンと各禁止パターン51とを順番に比較する。これによって、第1比較器40は、制御パターンと全禁止パターン51とを比較する。
【0083】
第1比較器40は、制御パターンと全禁止パターン51とが不一致の場合、ステップS13へ進む。この場合、制御パターンは、正常であるとみなせる。
【0084】
一方、第1比較器40は、制御パターンと禁止パターン51とが一致した場合、ステップS14へ進む。つまり、第1比較器40は、禁止パターン51の一つでも制御パターンと一致した場合、ステップS14へ進む。この場合、制御パターンは、異常であるとみなせる。本実施形態では、制御パターンが11101である例を採用している。この制御パターンは、一つ目の禁止パターン51と一致する。このため、第1比較器40は、制御パターンと禁止パターン51とが一致と判定することになる。
【0085】
ステップS13では、制御パターン通りに通電する。第1比較器40は、制御パターンが正常であることを示す正常信号を出力する。駆動IC20は、正常信号が入力されると、制御パターン通りにアクチュエータ40nに通電する。つまり、駆動IC20は、制御レジスタ11に格納された制御パターンに従って、駆動スイッチ301~305を選択的にオンオフさせる。これによって、駆動IC20は、アクチュエータ40nを選択的に通電する。
【0086】
ステップS14では、異常を通知する。第1比較器40は、制御パターンが異常であることを示す異常信号をECU200に出力する。これによって、第1比較器40は、ECU200に異常を通知する。
【0087】
ステップS15では、電源をカットする。第1比較器40は、制御パターンが異常であることを示す異常信号を給電回路70に出力する。第1比較器40は、異常信号を給電回路70に出力することで、アクチュエータ40nに対する電源のカットを指示する。給電回路70は、異常信号が入力されると給電スイッチ500をオフして、各アクチュエータ40nに対する電流の供給を遮断する。これによって、駆動装置101は、異常である制御パターンでアクチュエータ40nを駆動することを防止できる。
【0088】
なお、本開示は、ステップS14とステップS15の少なくとも一方を行うものであればよい。
【0089】
<効果>
このように、駆動装置101は、制御パターンと禁止パターン51とを記憶している。そして、駆動装置101は、禁止パターン51と制御パターンとを比較することで、制御パターンの異常を判定できる。また、駆動装置101は、マイコンを介することなく、禁止パターン51と制御パターンとの比較のみで制御パターンの異常を判定できる。よって、駆動装置101は、簡易な構成で制御パターンの異常を判定できる。
【0090】
制御パターンの異常を判定するための判定用パターンとしては、各アクチュエータ40nへの通電状態として許可されている通電パターン(許可パターン)を採用することもできる。しかしながら、駆動装置101は、判定用パターンとして、禁止パターン51をROM50に記憶している。禁止パターン51は、許可パターンよりもパターン数が少ない。よって、駆動装置101は、ROM50における判定用パターンが占める容量を少なくすることができる。
【0091】
駆動装置101は、ECU200と異なりマイコンを備えていない。このため、駆動装置101は、マイコンを備えた構成よりも体格を小型化できる。また、駆動装置101は、マイコンを備えた構成よりも消費電力および発熱を低減できる。これによって、駆動装置101は、マイコンを備えた構成よりも、体格および発熱に伴う搭載性における制約を少なくできる。つまり、駆動装置101は、マイコンを備えた構成よりも、搭載自由度を向上できる。さらに、駆動装置101は、マイコンを備えた構成よりも、機能安全およびセキュリティの対応を低減することができる。なお、駆動装置101は、アクチュエータ40nの直近に配置することができ、ワイヤーハーネスの削減及び搭載性の向上ができる。
【0092】
以上、本開示の好ましい実施形態について説明した。しかしながら、本開示は、上記実施形態に何ら制限されることはなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変形が可能である。以下に、本開示のその他の形態として、第2~第6実施形態に関して説明する。上記実施形態および第2~第6実施形態は、それぞれ単独で実施することも可能であるが、適宜組み合わせて実施することも可能である。本開示は、実施形態において示された組み合わせに限定されることなく、種々の組み合わせによって実施可能である。
【0093】
(第2実施形態)
図9、
図10、
図11を用いて、第2実施形態の駆動装置102に関して説明する。駆動装置102は、判定用パターンが駆動装置101と異なる。駆動装置102は、駆動装置101と同様の構成に同じ符号を付与している。また、
図11のフローチャートは、
図5のフローチャートと同様の処理に同じステップ番号を付与している。
【0094】
図9に示すように、駆動装置102は、ROM50に許可パターン52(PMP)が記憶されている。許可パターン52は、各アクチュエータ40nへの通電状態を示す通電パターンである。また、許可パターン52は、制御パターンの異常を判定するための判定用パターンの一つである。つまり、ROM50には、判定用パターンとして、許可パターン52が記憶されている。ROM50は、判定用記憶部に相当する。
【0095】
許可パターン52は、各アクチュエータ40nへの通電状態として許可されている通電パターンである。詳述すると、許可パターン52は、自動変速機として許可された動作となる通電パターンである。このため、許可パターン52は、制御パターンなどとは異なり、予めROM50に記憶されている。
【0096】
図10、許可パターン52の一例である。ここでは、五つの許可パターン52を採用している。ROM50は、各アクチュエータ401~405に対応したアドレスのビットを有している。ROM50は、許可パターン52における各アクチュエータ401~405への通電状態を示す信号(値)が、各アドレスのビットに書き込まれている。本実施形態では、一例として、5ビットの制御パターンを採用している。よって、各許可パターン52は、制御パターンと同じ5ビットとなる。各許可パターン52は、通電を示す信号として1、非通電を示す信号として0を含んでいる。よって、各許可パターン52は、0と1によって表すことができる。
【0097】
第1許可パターン52(1速)は、11100である。第2許可パターン52(2速)は、11001である。第3許可パターン52(3速)は、10101である。第4許可パターン52(4速)は、011110である。第5許可パターン52(5速)は、01011である。
【0098】
第1比較器40は、許可パターン52の各信号と制御パターンの各信号を順番に比較する。第1比較器40は、許可パターン52と制御パターンとを比較して、許可パターン52と制御パターンとが所定の対応関係を満たしているか否かを判定する。第1比較器40は、比較部に相当する。
【0099】
本実施形態では、判定用パターンとして、許可パターン52を採用している。よって、本実施形態における所定の対応関係とは、許可パターン52と制御パターンとが不一致であることを示す。つまり、第1比較器40は、許可パターン52と制御パターンとが不一致の場合に、所定の対応関係を満たしていると判定する。一方、第1比較器40は、許可パターン52と制御パターンとが一致する場合に、所定の対応関係を満たしていないと判定する。
【0100】
許可パターン52と不一致の制御パターンは、許可されていない通電パターンとなる。このため、この制御パターンは、ビット化けなどが発生した異常な通電パターンである。一方、許可パターン52と一致する制御パターンは、許可されている通電パターンである。このため、この制御パターンは、ビット化けなどが発生していない正常な通電パターンである。
【0101】
よって、第1比較器40は、許可パターン52と制御パターンとが不一致の場合、制御パターンが異常と判定するといえる。第1比較器40は、許可パターン52と制御パターンとが一致した場合、制御パターンが正常と判定するといえる。
【0102】
ここで、
図11を用いて、駆動装置102の動作に関して説明する。駆動装置102は、負荷駆動信号を受信すると、
図11のフローチャートに示す動作を開始する。なお、このとき、給電回路70は、給電スイッチ500のオンを示す信号を出力しているものとする。つまり、各アクチュエータ40nは、電流の供給が可能となっている。
【0103】
ステップS10bでは、許可パターンをセットする。シーケンス回路30は、ROM50に記憶されている許可パターン52を第2データレジスタ62にセットする。詳述すると、第2データローダ32は、ROM50から許可パターン52をロードする。そして、第2データローダ32は、ロードした許可パターン52を第2データレジスタ62にセットする。許可パターン52は、第2データレジスタ62にセットされると、第1比較器40に出力される。
【0104】
なお、ROM50に複数の許可パターン52が記憶されている場合、第2データローダ32は、ROM50の記憶されている許可パターン52を順番に第2データレジスタ62に書き込む。また、第2データローダ32は、第2データレジスタ62に書き込んだ許可パターン52が第1比較器40に出力されると、次の許可パターン52を第2データレジスタ62に書き込む。
【0105】
ステップS12aでは、制御パターンと許可パターンを比較する。第1比較器40は、第1データレジスタ61にセットされた制御パターンと、第2データレジスタ62にセットされた許可パターン52とを比較する。ROM50に複数の許可パターン52が記憶されている場合、第1比較器40は、制御パターンと各許可パターン52とを順番に比較する。これによって、第1比較器40は、制御パターンと全許可パターン52とを比較する。
【0106】
第1比較器40は、制御パターンと許可パターン52とが一致した場合、ステップS13へ進む。つまり、第1比較器40は、許可パターン52の一つでも制御パターンと一致した場合、ステップS14へ進む。この場合、制御パターンは、正常であるとみなせる。一方、第1比較器40は、制御パターンと全許可パターン52が不一致の場合、ステップS14へ進む。この場合、制御パターンは、異常であるとみなせる。
【0107】
駆動装置102は、駆動装置101と同様、簡易な構成で制御パターンの異常を判定できる。また、駆動装置102は、駆動装置101と同様、搭載自由度を向上できる。さらに、駆動装置102は、駆動装置101と同様、機能安全およびセキュリティの対応を低減することができる。
【0108】
(第3実施形態)
図12、
図13を用いて、第3実施形態の駆動装置103に関して説明する。駆動装置103は、比較パターンが駆動装置101と異なる。駆動装置103は、駆動装置101と同様の構成に同じ符号を付与している。また、
図13のフローチャートは、
図5のフローチャートと同様の処理に同じステップ番号を付与している。
【0109】
駆動装置103は、モニタパターンと判定用パターンとを比較する。よって、モニタパターンは、比較パターンともいえる。モニタパターンは、駆動装置101と同様、モニタレジスタ84に格納されている。
【0110】
図12に示すように、レジスタ部60は、モニタパターンがセットされる第3データレジスタ63を有している。そして、シーケンス回路30は、モニタレジスタ84に格納されているモニタパターンを第3データレジスタ63にセットする。
【0111】
ここで、
図13を用いて、駆動装置103の動作に関して説明する。駆動装置103は、負荷駆動信号を受信すると、
図13のフローチャートに示す動作を開始する。なお、このとき、給電回路70は、給電スイッチ500のオンを示す信号を出力しているものとする。つまり、各アクチュエータ40nは、電流の供給が可能となっている。
【0112】
ステップS12cでは、制御を開始する。駆動IC20は、制御レジスタ11に格納されている制御パターンに従って、駆動スイッチ301~305を選択的にオンオフさせる。これによって、駆動IC20は、アクチュエータ40nを選択的に通電する。
【0113】
ステップS12dでは、制御結果をモニタする。各電流検出部は、各アクチュエータ40nへの通電状態をモニタする。第2比較器83は、各電流検出部がモニタした各アクチュエータ40nへの通電状態を示すモニタ結果を出力する。そして、モニタレジスタ84は、モニタ結果であるモニタパターンが記憶される。さらに、シーケンス回路30は、データローダがモニタレジスタ84からモニタパターンをロードする。そして、このデータローダは、ロードしたモニタパターンを第3データレジスタ63にセットする。モニタパターンは、第3データレジスタ63にセットされると、第1比較器40に出力される。
【0114】
ステップS12eでは、モニタパターンと禁止パターンを比較する。第1比較器40は、第3データレジスタ63にセットされたモニタパターンと、第2データレジスタ62にセットされた禁止パターン51とを比較する。第1比較器40は、モニタパターンと全禁止パターン51とが不一致の場合、ステップS13へ進む。一方、第1比較器40は、モニタパターンと禁止パターン51とが一致した場合、ステップS14へ進む。例えば、上記のように、制御パターンが11100であり、地絡が生じてモニタパターンが、01100となった場合、モニタパターンは、第4禁止パターン51と一致する。
【0115】
駆動装置103は、駆動装置101と同様の効果を奏することができる。また、駆動装置103は、モニタレジスタ84に格納されているモニタパターンのビット化けによるモニタパターンの異常を判定できる。また、駆動装置103は、電流検出抵抗81と各アクチュエータ40nとの電流経路における地絡によるモニタパターンの異常を判定できる。
【0116】
(第4実施形態)
図14、
図15を用いて、第4実施形態の駆動装置104に関して説明する。駆動装置104は、比較パターンが駆動装置102と異なる。駆動装置104は、駆動装置102と同様の構成に同じ符号を付与している。また、
図15のフローチャートは、
図11のフローチャートと同様の処理に同じステップ番号を付与している。
【0117】
駆動装置104は、モニタパターンと判定用パターンとを比較する。よって、モニタパターンは、比較パターンともいえる。モニタパターンは、駆動装置101と同様、モニタレジスタ84に格納されている。
【0118】
図14に示すように、レジスタ部60は、モニタパターンがセットされる第3データレジスタ63を有している。そして、シーケンス回路30は、モニタレジスタ84に格納されているモニタパターンを第3データレジスタ63にセットする。
【0119】
ここで、
図15を用いて、駆動装置104の動作に関して説明する。駆動装置104は、負荷駆動信号を受信すると、
図15のフローチャートに示す動作を開始する。なお、このとき、給電回路70は、給電スイッチ500のオンを示す信号を出力しているものとする。つまり、各アクチュエータ40nは、電流の供給が可能となっている。なお、ステップS12f、12gは、ステップS12c、S12dと同様である。
【0120】
ステップS12hでは、モニタパターンと許可パターンを比較する。第1比較器40は、第3データレジスタ63にセットされたモニタパターンと、第2データレジスタ62にセットされた許可パターン52とを比較する。第1比較器40は、モニタパターンと許可パターン52の一つが一致した場合、ステップS13へ進む。一方、第1比較器40は、モニタパターンと全許可パターン52とが不一致の場合、ステップS14へ進む。
【0121】
駆動装置104は、駆動装置102と同様の効果を奏することができる。また、駆動装置104は、駆動装置103と同様、モニタパターンの異常を判定できる。
【0122】
(第5実施形態)
図16を用いて、第5実施形態の駆動装置105に関して説明する。駆動装置105は、比較パターンが駆動装置101および駆動装置103と異なる。駆動装置105は、駆動装置101および駆動装置103と同様の構成に同じ符号を付与している。
【0123】
駆動装置105は、制御パターンと判定用パターンとを比較するとともに、モニタパターンと判定用パターンとを比較する。よって、制御パターンとモニタパターンは、比較パターンともいえる。また、駆動装置105は、判定用パターンとして禁止パターン51を採用する。
【0124】
レジスタ部60は、第1データレジスタ61と第2データレジスタ62と第3データレジスタ63を有している。そして、シーケンス回路30は、制御レジスタ11に格納されている制御パターンを第1データレジスタ61にセットする。シーケンス回路30は、ROM50に格納されている禁止パターン51を第2データレジスタ62にセットする。シーケンス回路30は、モニタレジスタ84に格納されているモニタパターンを第3データレジスタ63にセットする。
【0125】
第1比較器40は、第1実施形態と同様に、制御パターンと禁止パターンを比較する(S12a)。第1比較器40は、制御パターンと全禁止パターン51とが不一致の場合、ステップS13へ進む。一方、第1比較器40は、制御パターンと禁止パターン51の一つが一致した場合、ステップS14へ進む。
【0126】
さらに、第1比較器40は、第3実施形態と同様に、モニタパターンと禁止パターンを比較する(S12e)。第1比較器40は、モニタパターンと全禁止パターン51とが不一致の場合、ステップS13へ進む。一方、第1比較器40は、モニタパターンと禁止パターン51の一つが一致した場合、ステップS14へ進む。
【0127】
駆動装置105は、駆動装置101、103と同様の効果を奏することができる。
【0128】
(第6実施形態)
図17を用いて、第6実施形態の駆動装置106に関して説明する。駆動装置106は、比較パターンが駆動装置102および駆動装置104と異なる。駆動装置106は、駆動装置102および駆動装置104と同様の構成に同じ符号を付与している。
【0129】
駆動装置106は、制御パターンと判定用パターンとを比較するとともに、モニタパターンと判定用パターンとを比較する。よって、制御パターンとモニタパターンは、比較パターンともいえる。また、駆動装置105は、判定用パターンとして許可パターン52を採用する。なお、シーケンス回路30とレジスタ部60は、駆動装置105によるものと同様である。
【0130】
第1比較器40は、第2実施形態と同様に、制御パターンと許可パターンを比較する(S12b)。第1比較器40は、制御パターンと許可パターン52の一つが一致した場合、ステップS13へ進む。一方、第1比較器40は、制御パターンと全許可パターン52とが不一致の場合、ステップS14へ進む。
【0131】
さらに、第1比較器40は、第4実施形態と同様に、モニタパターンと許可パターンを比較する(S12h)。第1比較器40は、モニタパターンと許可パターン52の一つが一致した場合、ステップS13へ進む。一方、第1比較器40は、モニタパターンと全許可パターン52とが不一致の場合、ステップS14へ進む。
【0132】
駆動装置106は、駆動装置102、104と同様の効果を奏することができる。
【0133】
本開示は、実施形態に準拠して記述されたが、本開示は当該実施形態や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態が本開示に示されているが、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範畴や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0134】
10…SPI回路、11…制御レジスタ、20…駆動IC、30…シーケンス回路、40…第1比較器、50…ROM、51…禁止パターン、52…許可パターン、60…レジスタ部、61…第1レジスタ、62…第1レジスタ、70…給電回路、81…電流検出抵抗、82…増幅器、83…第2比較器、84…モニタレジスタ、101~106…駆動装置、200…ECU、301~30n…第1~第n駆動スイッチ、401~40n…第1~第nアクチュエータ、500…給電スイッチ