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特許7521342情報処理装置、情報処理システム及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0481 20220101AFI20240717BHJP
   G06F 3/04812 20220101ALI20240717BHJP
   G09G 5/22 20060101ALI20240717BHJP
   G09G 5/24 20060101ALI20240717BHJP
   G09G 5/08 20060101ALI20240717BHJP
   G09G 5/32 20060101ALI20240717BHJP
   G09G 5/02 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
G06F3/0481
G06F3/04812
G09G5/22 630D
G09G5/24 680Z
G09G5/08 M
G09G5/32 640Z
G09G5/02 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020150641
(22)【出願日】2020-09-08
(65)【公開番号】P2022045129
(43)【公開日】2022-03-18
【審査請求日】2023-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岸本 康成
【審査官】▲高▼瀬 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-125334(JP,A)
【文献】特開2003-085167(JP,A)
【文献】特開2008-123394(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/0481
G06F 3/04812
G09G 5/22
G09G 5/24
G09G 5/377
G09G 5/08
G09G 5/32
G09G 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを有し、
前記プロセッサは、
ディスプレイに表示された入力欄内に入力された文字を不可視化し、
前記入力欄内に入力された前記文字を基に外部装置が有する外部フォントによって描画された文字画像を表示する出力欄を前記入力欄の表示位置に重ねて配置することで、前記文字画像を、前記入力欄内に入力された前記文字に重ねて前記ディスプレイに表示させる、
情報処理装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記外部フォントによって描画された前記文字画像を表示しつつ、自装置が有するフォントによって描画された文字画像を前記入力欄にて不可視化する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
不可視化は、自装置が有するフォントによって描画された文字画像を透明にすること、当該文字を極小化して表示すること、又は当該文字の色を背景色に合わせて表示すること、である、
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、更に、
前記外部フォントによって描画された前記文字画像の前記入力欄内での表示位置に基づいて、前記入力欄にて次に文字が入力される位置を指し示すカーソルを前記入力欄内に表示する、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
情報処理装置と外部装置とを有し、
前記情報処理装置は第1プロセッサを有し、
前記外部装置は第2プロセッサを有し、
前記第1プロセッサは、
ディスプレイに表示された入力欄内に入力された文字を不可視化し、
前記入力欄内に入力された前記文字の情報を前記外部装置に送信し、
前記第2プロセッサは、
前記文字の情報に基づいて、前記外部装置が有する外部フォントによって前記文字を描画することで文字画像を生成し、
前記文字画像を前記情報処理装置に送信し、
前記第1プロセッサは、更に、
前記文字画像を表示する出力欄を前記入力欄の表示位置に重ねて配置することで、前記文字画像を前記入力欄内に入力された前記文字に重ねて前記ディスプレイに表示させる、
情報処理システム。
【請求項6】
前記第2プロセッサは、更に、
前記文字画像の大きさに基づいて、前記入力欄に次に文字が入力される位置を指し示すカーソルの前記入力欄内での表示位置を算出し、
前記算出された表示位置の情報を前記情報処理装置に送信し、
前記第1プロセッサは、更に、
前記算出された表示位置に基づいて、前記カーソルを前記入力欄内に表示する、
ことを特徴とする請求項5に記載の情報処理システム。
【請求項7】
コンピュータが、
ディスプレイに表示された入力欄内に入力された文字を不可視化し、
前記入力欄内に入力された前記文字を基に外部装置が有する外部フォントによって描画された文字画像を表示する出力欄を前記入力欄の表示位置に重ねて配置することで、前記文字画像を、前記入力欄内に入力された前記文字に重ねて前記ディスプレイに表示させる、
ように動作させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータ等の端末装置に入力された文字を、端末装置以外の外部装置(例えばサーバ等)が有する外部フォントによって描画し、描画された文字画像を端末装置にて表示する技術が知られている。
【0003】
特許文献1には、置き換え前のフォントの文字列の幅と置き換え後のフォントの文字列の幅とを計算し、文字幅から置き換え後のフォントの各文字の移動量を計算し、医療量に合わせて置き換え後のフォントの各文字を移動させる印刷装置が記載されている。
【0004】
特許文献2には、PCでドキュメントを作成する際に使用した文字のフォント情報が添付されたドキュメントをPCが入手し、フォント情報に基づき、そのドキュメントに対して文字の追加編集を行い、ネットワークプリンタで印刷出力させる印刷システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平8-118731号公報
【文献】特開2002-183120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、端末装置のディスプレイに入力欄と出力欄とを別々に表示し、入力欄内に入力された文字を端末装置が有するフォントによって入力欄内に表示し、外部フォントによって描画された文字画像を出力欄内に表示することが考えられる。この場合、文字を入力するユーザは、入力された文字と描画された文字画像とを比較するために、入力欄と出力欄の両方を見る必要がある。また、限られた領域を有するディスプレイ上に入力欄と出力欄の両方を同時に表示すると、入力欄と出力欄のそれぞれの大きさを小さくする必要がある。これに対処するために、入力欄と出力欄を切り替えて表示することが考えられるが、この場合、その切り替えの操作を行う必要があり、また、入力欄と出力欄を同時に見比べることができないという事態が生じる。
【0007】
本発明の目的は、入力された文字を基に外部装置が有する外部フォントによって描画された文字画像を表示する場合において、ユーザによるその入力と描画された文字画像の視認とを支援することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、プロセッサを有し、前記プロセッサは、ディスプレイに表示された入力欄内に入力された文字を不可視化し、前記入力欄内に入力された前記文字を基に外部装置が有する外部フォントによって描画された文字画像を表示する出力欄を前記入力欄の表示位置に重ねて配置することで、前記文字画像を、前記入力欄内に入力された前記文字に重ねて前記ディスプレイに表示させる、情報処理装置である。
【0009】
請求項2に係る発明は、前記プロセッサは、前記外部フォントによって描画された前記文字画像を表示しつつ、自装置が有するフォントによって描画された文字画像を前記入力欄にて不可視化する、ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置である。
【0010】
請求項3に係る発明は、不可視化は、自装置が有するフォントによって描画された文字画像を透明にすること、当該文字を極小化して表示すること、又は当該文字の色を背景色に合わせて表示すること、であることを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置である。
【0011】
請求項4に係る発明は、前記プロセッサは、更に、前記外部フォントによって描画された前記文字画像の前記入力欄内での表示位置に基づいて、前記入力欄にて次に文字が入力される位置を指し示すカーソルを前記入力欄内に表示する、ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の画像処理装置である。
【0012】
請求項5に係る発明は、情報処理装置と外部装置とを有し、前記情報処理装置は第1プロセッサを有し、前記外部装置は第2プロセッサを有し、前記第1プロセッサは、ディスプレイに表示された入力欄内に入力された文字を不可視化し、前記入力欄内に入力された前記文字の情報を前記外部装置に送信し、前記第2プロセッサは、前記文字の情報に基づいて、前記外部装置が有する外部フォントによって前記文字を描画することで文字画像を生成し、前記文字画像を前記情報処理装置に送信し、前記第1プロセッサは、更に、前記文字画像を表示する出力欄を前記入力欄の表示位置に重ねて配置することで、前記文字画像を前記入力欄内に入力された前記文字に重ねて前記ディスプレイに表示させる、情報処理システムである。
【0013】
請求項6に係る発明は、前記第2プロセッサは、更に、前記文字画像の大きさに基づいて、前記入力欄に次に文字が入力される位置を指し示すカーソルの前記入力欄内での表示位置を算出し、前記算出された表示位置の情報を前記情報処理装置に送信し、前記第1プロセッサは、更に、前記算出された表示位置に基づいて、前記カーソルを前記入力欄内に表示する、ことを特徴とする請求項5に記載の情報処理システムである。
【0014】
請求項7に係る発明は、コンピュータが、ディスプレイに表示された入力欄内に入力された文字を不可視化し、前記入力欄内に入力された前記文字を基に外部装置が有する外部フォントによって描画された文字画像を表示する出力欄を前記入力欄の表示位置に重ねて配置することで、前記文字画像を、前記入力欄内に入力された前記文字に重ねて前記ディスプレイに表示させる、ように動作させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1,5,7に係る発明によれば、入力された文字を基に外部装置が有する外部フォントによって描画された文字画像を表示する場合において、ユーザによるその入力と描画された文字画像の視認とを支援することができる。
【0016】
請求項2,3に係る発明によれば、に係る発明によれば、自装置が有するフォントによって描画された文字画像をユーザに視認させずに、外部フォントによって描画された文字画像の視認を支援することができる。
【0017】
請求項4,6に係る発明によれば、入力欄内に入力された文字が不可視化された場合であっても、次に文字が入力される位置の視認を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施形態に係る情報処理システムの構成を示すブロック図である。
図2】端末装置の構成を示すブロック図である。
図3】サーバの構成を示すブロック図である。
図4】本実施形態に係る画面を示す図である。
図5】レイヤーに形成されている入力欄を示す図である。
図6】レイヤーの重ね合わせを示す図である。
図7】本実施形態に係る画面を示す図である。
図8】比較例に係る画面を示す図である。
図9】レイヤーに形成されている入力欄を示す図である。
図10】本実施形態に係る画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1を参照して、本実施形態に係る情報処理システムについて説明する。図1には、本実施形態に係る情報処理システムの構成の一例が示されている。本実施形態に係る情報処理システムは、例えば、端末装置10とサーバ12とを含む。端末装置10とサーバ12は、通信経路Nを介して他の装置と通信することができる。通信経路Nは、例えば、インターネットやLAN(Local Area Network)やその他のネットワークである。なお、複数の端末装置10や複数のサーバ12が、情報処理システムに含まれてもよい。
【0020】
端末装置10は、情報処理装置の一例であり、例えば、パーソナルコンピュータ(以下、「PC」と称する)、タブレットPC、スマートフォン又は携帯電話等の装置である。端末装置10にはフォントのデータが記憶されており、そのフォントを用いて文字が端末装置10に表示される。以下では、端末装置10が有するフォントを「端末フォント」と称することとする。
【0021】
サーバ12は、外部装置の一例である。サーバ12にはフォントのデータが記憶されている。以下では、サーバ12が有するフォントを「サーバフォント」と称することとする。サーバフォントは、外部フォントの一例である。サーバ12は、描画対象の文字をサーバフォントによって描画する。つまり、サーバ12は、文字のベクター化(つまりレンダリング)(なお、アニメーション表現でもよい)や画像化を行うことで、サーバフォントによって表現された文字を表す文字画像(例えば画像データ又はベクターデータ)を生成する。
【0022】
本実施形態に係る情報処理システムにおいては、描画対象の文字に関する情報が、端末装置10からサーバ12に送信される。サーバ12では、描画対象の文字がサーバフォントによって描画され、これにより、描画対象の文字を表す文字画像が生成される。文字画像のデータは、サーバ12から端末装置10に送信され、端末装置10のディスプレイには文字画像が表示される。
【0023】
例えば、サーバフォントは、端末装置10に搭載されない高品位のフォント(例えば、装飾が施されたフォントや、一般的なPC等には搭載されていないフォント等)や、端末装置10に搭載するライセンスが与えられないフォントや、経済的な観点から端末装置10に搭載することが現実的ではないフォント(例えば高額なフォント)等である。そのようなサーバフォントを用いることで、端末装置10に搭載されているフォントでは表現することができない表示形態で文字を端末装置10にて表示することができる。
【0024】
例えば、端末装置10にて、パンフレット、チラシ又はポスター等の制作物を作成することが考えられる。このような場合にサーバフォントを用いることで、端末装置10に搭載されているフォントでは表現することができない高品位の制作物を作成することができる。
【0025】
以下、図2を参照して、端末装置10の構成について説明する。図2には、端末装置10の構成の一例が示されている。
【0026】
端末装置10は、例えば、通信装置14と、UI16と、メモリ18と、プロセッサ20とを含む。
【0027】
通信装置14は、通信チップや通信回路等を有する通信インターフェースであり、他の装置に情報を送信する機能、及び、他の装置から送信されてきた情報を受信する機能を有する。通信装置14による通信は、有線通信であってもよいし、無線通信であってもよい。
【0028】
UI16はユーザインターフェースであり、ディスプレイと操作装置とを含む。ディスプレイは、液晶ディスプレイやELディスプレイ等である。操作装置は、キーボードや入力キーやマウスや操作パネル等である。UI16は、ディスプレイと操作装置とを兼ね備えたタッチパネル等のUIであってもよい。
【0029】
メモリ18は、各種の情報を記憶する1又は複数の記憶領域を構成する装置である。メモリ18は、例えば、ハードディスクドライブ、各種のメモリ(例えばRAMやDRAMやROM等)、その他の記憶装置(例えば光ディスク等)、又は、それらの組み合わせである。1又は複数のメモリ18が、端末装置10に含まれている。メモリ18には、端末フォントのデータが記憶されている。
【0030】
プロセッサ20は、端末装置10の各部の動作を制御するように構成されている。プロセッサ20は、メモリを有してもよい。プロセッサ20は、第1プロセッサの一例である。
【0031】
例えば、プロセッサ20は、文字が入力される入力欄を端末装置10のディスプレイに表示させる。プロセッサ20は、当該入力欄内に入力された文字を不可視化し、当該入力欄内に入力された当該文字を基にサーバフォントによって描画された文字画像を、当該入力欄内に入力された当該文字に重ねて当該ディスプレイに表示させる。当該文字の入力に用いられるフォントは端末フォントである。つまり、プロセッサ20は、サーバフォントによって描画された文字画像を入力欄内に表示しつつ、端末フォントによって描画された文字画像を入力欄内にて不可視化する。
【0032】
更に詳しく説明すると、プロセッサ20は、上記の入力欄内に入力された文字に関する情報をサーバ12に送信する。その文字はサーバ12による描画の対象となる文字である。描画対象の文字に関する情報には、例えば、当該文字を識別するための文字識別情報(例えば文字コード)、描画に用いられるフォントを識別するためのフォント識別情報(例えばフォント名)、及び、文字の大きさを示す大きさ情報が含まれる。文字の色を示す情報が、描画対象の文字に関する情報に含まれてもよい。描画に用いられるフォントは、サーバフォントである。このフォントは、例えばユーザによって指定されてもよいし、予め定められてもよい。後述するように、サーバ12は、描画対象の文字に関する情報に基づいて、当該文字をサーバフォントによって描画することで文字画像を生成する。その文字画像のデータは、サーバ12から端末装置10に送信される。プロセッサ20は、サーバ12から送信されてきた文字画像のデータを受信し、その文字画像を上記の入力欄内に表示する。
【0033】
文字を不可視化することは、文字を透明にすること、文字を極小化して表示すること、文字の色を背景色に合わせて表示すること、又は、入力された文字のデータを削除することである。つまり、文字を不可視化することは、ディスプレイに表示された文字をユーザが視認することができない状態にすること、又は、その文字をユーザが視認することは困難な状態にすることである。
【0034】
サーバフォントによって描画された文字画像が表す文字の形状と、端末フォントによって描画された文字画像が表す文字の形状は、異なるため、サーバフォントによって描画された文字画像が表す文字と、端末フォントによって描画された文字画像が表す文字は、部分的に重なることがある。このような状態も、文字を重ねて表示するという概念の範疇に含まれる。
【0035】
例えば、プロセッサ20は、画像のレイヤーを用いることで、文字の重ね合わせを行う。具体的には、プロセッサ20は、入力用レイヤーと表示用レイヤーとを設定する。入力用レイヤーと表示用レイヤーには、同じ大きさの入力欄が形成されている。プロセッサ20は、互いの入力欄の位置が一致するように入力用レイヤーと表示用レイヤーとを重ねる。プロセッサ20は、入力用レイヤーに対する文字の入力を受け付け、その文字を不可視化し、その文字を基にサーバフォントによって描画された文字画像を表示用レイヤーの入力欄内に表示する。
【0036】
プロセッサ20は、制作物を作成するときに上記の処理を実行してもよい。例えば、プロセッサ20は、制作物のテンプレートを端末装置10のディスプレイに表示させる。そのテンプレートは、例えば、1又は複数の画像や、文字が入力される1又は複数の入力欄等を含む。ユーザによって各入力欄に文字が入力されることで、制作物が作成される。入力欄には、サーバフォントによって描画された文字画像が表示される。例えば、制作物の編集時やプレビュー時に、サーバフォントによって描画された文字画像が入力欄に表示される。そのような文字画像を有する制作物が印刷されてもよい。
【0037】
以下、図3を参照して、サーバ12の構成について説明する。図3には、サーバ12の構成の一例が示されている。
【0038】
サーバ12は、例えば、通信装置22と、UI24と、メモリ26と、プロセッサ28とを含む。
【0039】
通信装置22は、通信チップや通信回路等を有する通信インターフェースであり、他の装置に情報を送信する機能、及び、他の装置から送信されてきた情報を受信する機能を有する。通信装置22による通信は、有線通信であってもよいし、無線通信であってもよい。
【0040】
UI24はユーザインターフェースであり、ディスプレイと操作装置とを含む。ディスプレイは、液晶ディスプレイやELディスプレイ等である。操作装置は、キーボードや入力キーやマウスや操作パネル等である。UI24は、ディスプレイと操作装置とを兼ね備えたタッチパネル等のUIであってもよい。
【0041】
メモリ26は、各種の情報を記憶する1又は複数の記憶領域を構成する装置である。メモリ26は、例えば、ハードディスクドライブ、各種のメモリ(例えばRAMやDRAMやROM等)、その他の記憶装置(例えば光ディスク等)、又は、それらの組み合わせである。1又は複数のメモリ26が、サーバ12に含まれている。メモリ26には、サーバフォントのデータが記憶されている。
【0042】
プロセッサ28は、サーバ12の各部の動作を制御するように構成されている。プロセッサ28は、メモリを有してもよい。プロセッサ28は、第2プロセッサの一例である。
【0043】
プロセッサ28は、描画対象の文字をサーバフォントによって描画することで文字画像を生成する。
【0044】
以下、プロセッサ28の処理について詳しく説明する。描画対象の文字に関する情報(つまり、端末装置10にて入力欄内に入力された文字に関する情報)が、端末装置10からサーバ12に送信されると、プロセッサ28は、その描画対象の文字に関する情報を受信する。描画対象の文字に関する情報には、上述したように、当該文字を識別するための文字識別情報(例えば文字コード)、描画に用いられるフォントを識別するためのフォント識別情報、及び、文字の大きさを示す大きさ情報が含まれる。プロセッサ28は、例えば、文字に関する情報に含まれる文字コードに基づいて、描画対象の文字を識別し、文字に関する情報に含まれるフォント識別情報が示すフォント(つまりサーバフォント)によって、その識別した文字を描画することで、サーバフォントによって表現された文字を表す文字画像を生成する。このとき、プロセッサ28は、大きさ情報が示す大きさを有する文字を表す文字画像を生成する。プロセッサ28は、その生成した文字画像のデータを端末装置10に送信する。端末装置10においては、その文字画像が入力欄内に表示される。文字に関する情報に、文字の色を示す情報が含まれている場合、プロセッサ28は、その色を有する文字を表す文字画像を生成してもよい。
【0045】
以下、具体例を挙げて本実施形態に係る情報処理システムについて詳しく説明する。
【0046】
図4には、画面の一例が示されている。画面30は、端末装置10のディスプレイに表示される。画面30には、文字が入力される入力欄32が表示されている。例えば、パンフレット等の制作物を作成するときに、ユーザが端末装置10を操作して制作物のテンプレートの表示の指示を与えると、端末装置10のプロセッサ20は、そのテンプレートを画面30に表示する。そのテンプレートには入力欄32が形成されており、その入力欄32が画面30に表示される。制作物を作成する例、及び、テンプレートを用いる例は、一例に過ぎず、別の用途のときに入力欄32が表示されてもよい。
【0047】
ユーザが端末装置10を用いて、入力欄32に文字を入力する操作を行うと、入力欄32に文字が入力される。ここでは一例として、文字「あ」が入力されるものとする。
【0048】
例えば、ユーザは、端末装置10を用いて、サーバフォントと文字の大きさを指定し、文字を入力欄32に入力する。例えば、端末装置10のプロセッサ20は、サーバ12が有する複数のサーバフォントのそれぞれを識別するためのフォント識別情報をサーバ12から取得し、当該複数のサーバフォントの一覧を端末装置10のディスプレイに表示させる。ユーザは、その一覧の中から目的のサーバフォントを指定する。用いられるサーバフォントが予め定められてもよい。ここでは一例として、サーバフォント「α」がユーザによって指定されたものとする。
【0049】
ユーザが入力欄32に文字「あ」を入力すると、端末装置10のプロセッサ20は、入力された文字「あ」に関する情報をサーバ12に送信する。文字「あ」は、サーバ12による描画の対象となる文字である。文字「あ」に関する情報には、文字「あ」を識別するための文字コード、描画に用いられるサーバフォント「α」を識別するためのフォント識別情報(例えばフォント名「α」)、及び、文字「あ」の大きさを示す大きさ情報が含まれる。なお、文字「あ」の色を示す情報が、文字「あ」に関する情報に含まれてもよい。
【0050】
サーバ12のプロセッサ28は、描画対象の文字「あ」に関する情報を端末装置10から受信する。プロセッサ28は、文字「あ」に関する情報に含まれる文字コードに基づいて、描画対象の文字「あ」を識別し、フォント識別情報に基づいて、描画に用いられるサーバフォント「α」を識別し、大きさ情報に基づいて、文字「あ」の大きさを識別する。
【0051】
次に、プロセッサ28は、サーバフォント「α」によって文字「あ」を描画することで、サーバフォント「α」によって表現された文字「あ」を表す文字画像を生成する。このとき、プロセッサ28は、大きさ情報が示す大きさを有する文字「あ」を表す文字画像を生成する。
【0052】
次に、プロセッサ28は、サーバフォント「α」によって表現された文字「あ」を表す文字画像のデータを端末装置10に送信する。
【0053】
端末装置10のプロセッサ20は、サーバフォント「α」によって表現された文字「あ」を表す文字画像のデータをサーバ12から受信し、その文字画像を入力欄32内に表示する。このとき、プロセッサ20は、端末装置10が有するフォント(例えばフォント「β」)によって描画された、文字「あ」を表す文字画像を、入力欄32にて不可視化する。例えば、プロセッサ20は、フォント「β」によって表現された文字「あ」を透明にする。
【0054】
例えば、プロセッサ20は、画像のレイヤーを用いることで、文字の重ね合わせを行う。以下、図5及び図6を参照して、レイヤーを用いた処理について説明する。図5及び図6には、レイヤーに形成されている入力欄が示されている。入力欄34は、入力用レイヤーに形成されている入力欄である。入力欄36は、表示用レイヤーに形成されている入力欄である。入力欄34,36は、画面30に表示される入力欄32と同じ形状及び大きさを有し、各レイヤーにおいて画面30上の入力欄32の位置と同じ位置に形成されている。表示用レイヤーに形成されている入力欄36が、画面30に表示される入力欄32であってもよい。入力用レイヤーに形成されている入力欄34は、画面30に表示されない。また、入力欄34に入力される文字は不可視化される。
【0055】
プロセッサ20は、入力用レイヤーと表示用レイヤーとを互いに重ねる。入力用レイヤーと表示用レイヤーとを互いに重ねた状態では、入力用レイヤーに形成されている入力欄34と、表示用レイヤーに形成されている入力欄36は、同じ位置に配置される。
【0056】
ユーザが端末装置10を操作して、文字「あ」を入力欄に入力すると、プロセッサ20は、入力用レイヤーの入力欄34への入力として、文字「あ」の入力を受け付ける。プロセッサ20は、端末装置10が有する端末フォント「β」によって文字「あ」を描画することで、端末フォント「β」によって表現された文字「あ」を表す文字画像を生成した場合であっても、その文字画像を不可視化する。プロセッサ20は、入力用レイヤーに入力された文字のデータをメモリ18に記憶させてもよいし、その文字のデータを入力後に削除してもよい。
【0057】
入力用レイヤーの入力欄34に文字「あ」が入力されると、プロセッサ20は、上述したように、描画対象の文字「あ」に関する情報をサーバ12に送信する。サーバ12のプロセッサ28は、サーバフォント「α」によって文字「あ」を描画することで、サーバフォント「α」によって表現された文字「あ」を表す文字画像を生成する。その文字画像のデータは、サーバ12から端末装置10に送信される。
【0058】
端末装置10のプロセッサ20は、サーバフォント「α」によって表現された文字「あ」を表す文字画像のデータをサーバ12から受信すると、その文字画像を表示用レイヤーの入力欄36に表示する。
【0059】
図5に示されている文字画像34aは、端末フォントによって表現された文字「あ」を表す文字画像である。文字画像34aは、入力用レイヤーの入力欄34内に配置される。
【0060】
図5に示されている文字画像36aは、サーバフォントによって表現された文字「あ」を表す文字画像である。文字画像36aは、表示用レイヤーの入力欄36内に配置される。
【0061】
プロセッサ20は、図6に示すように、入力用レイヤーと表示用レイヤーとを互いに重ねる。この重ね合わせによって、入力用レイヤーの入力欄34と表示用レイヤーの入力欄36は、同じ位置に配置される。図6に示す例では説明の便宜上、入力欄34,36は、ずれた位置に示されているが、実際は、入力欄34,36は同じ位置に重ねて配置される。
【0062】
プロセッサ20は、文字画像34aを不可視化し、文字画像36aを不可視化しない。こうすることで、図7に示すように、画面30上では、文字画像36aが入力欄32に表示され、文字画像34aは不可視化される。例えば、文字画像34aは透明な文字として配置される。
【0063】
なお、端末装置10のプロセッサ20は、入力欄32に1文字が入力される度に、1文字ずつ文字に関する情報をサーバ12に送信してもよいし、複数の文字(例えば予め定められた数の文字)が入力欄32に入力される度に、当該複数の文字に関する情報をサーバ12に送信してもよい。サーバ12のプロセッサ28は、1文字ずつ文字に関する情報が端末装置10から送信されてきた場合、1文字ずつ描画することで、1文字ずつ文字画像を生成する。プロセッサ28は、複数の文字に関する情報が端末装置10から送信されてきた場合、当該複数の文字に含まれる各文字を1文字ずつ描画することで、1文字ずつ文字画像を生成してもよいし、当該複数の文字を描画することで、当該複数の文字を表す文字画像を生成してもよい。
【0064】
以下、図8を参照して、比較例について説明する。図8には、比較例に係る画面が示されている。
【0065】
比較例に係る画面38には、入力欄40と表示欄42とが形成されている。入力欄40は、ユーザが文字を入力する欄である、表示欄42は、入力欄40に入力された文字をサーバフォントによって描画することで生成された文字画像が表示される欄である。表示欄42は、例えば、制作物に形成される欄である。
【0066】
入力欄40には、ユーザによって入力された文字を表す文字画像34aが表示される。比較例においては、ユーザが文字の入力に用いる端末装置が有する端末フォントによって、ユーザによって入力された文字(例えば文字「あ」)が描画されることで文字画像34aが生成され、その文字画像34aが入力欄40に表示される。比較例においては、文字画像34aは不可視化されず、ユーザによって視認される態様で入力欄40に表示される。例えば、文字が黒色で表示される。
【0067】
表示欄42には、文字画像36aが表示される。入力欄40に入力された文字(例えば文字「あ」)がサーバフォントによって描画されることで文字画像36aが生成され、その文字画像36aが表示欄42に表示される。
【0068】
比較例においては、端末フォントによって表現される文字画像34aとサーバフォントによって表現される文字画像36aの両方が、画面38上において別々の場所に表示される。このような表示形態では、ユーザは、入力欄40と表示欄42とを見比べる必要がある。これに対して本実施形態では、そのような見比べを行う必要がない。また、比較例では、入力欄40と表示欄42の両方を表示するための領域を画面38に確保する必要がある。これに対して本実施形態では、そのような領域を確保する必要がない。
【0069】
以下、本実施形態に係る入力欄32に表示されるカーソルについて説明する。カーソルは、入力欄32に次に文字が入力される位置を指し示す画像である。
【0070】
本実施形態においては、端末フォントとサーバフォントは異なるフォントであるため、端末フォントによって表現される文字画像34aに表される文字「あ」の形状と、サーバフォントによって表現される文字画像36aに表される文字「あ」の形状は、異なる形状である。したがって、入力用レイヤーと表示用レイヤーとが互いに重ねられても、文字画像34aに表される文字「あ」と、文字画像36aに表される文字「あ」とが、完全に重なり合うことはない。例えば図5に示すように、文字画像34a,36aとの間にて、横幅に差異Wが生じる。つまり、入力用レイヤーに入力された文字の位置と、表示用レイヤーに表示された文字の位置との間に、差異が生じる。端末フォントとサーバフォントとで同じ文字の大きさが設定された場合であっても、両者ではフォントの種類が異なり、表現される文字の形状が異なるため、端末フォントによって表現される文字の大きさと、サーバフォントによって表現される文字の大きさとの間に、差異が生じる。したがって、上記のような差異Wが生じる。
【0071】
上記のように差異が生じるため、図9に示すように、文字画像34aの表示位置を基準にしてカーソル44を表示すると、差異Wの分、そのカーソルの表示位置がずれることになる。この場合、文字画像36aに重ねてカーソル44が表示され、又は、文字画像36aの位置から離れた位置にカーソル44が表示され、次に文字が入力される位置を正確に指し示すことができない。
【0072】
本実施形態では、カーソルの位置をより正確な位置に表示するために、端末装置10のプロセッサ20は、入力欄32内での文字画像36aの表示位置に基づいて、入力欄32にて次に文字が入力される位置を指し示すカーソル44を入力欄32内に表示する。このような表示を行うために、サーバ12のプロセッサ28は、文字画像36aの大きさに基づいて、カーソル44の入力欄34での表示位置を算出する。詳しく説明すると、プロセッサ28は、文字画像36aの大きさ、位置、文字間距離、及び、入力される文字が配列される方向(以下、「入力方向」と称する)に基づいて、カーソル44の表示位置を算出する。入力方向は、例えば、縦書きや横書きの方向である。例えば、プロセッサ28は、入力方向の位置であって文字画像36aに隣接する位置を、カーソル44の表示位置として決定する。プロセッサ28は、その算出された表示位置の情報を端末装置10に送信する。端末装置10のプロセッサ20は、その算出された表示位置に基づいて、カーソル44を入力欄32内に表示する。
【0073】
図10には、上記のようにして算出された表示位置に表示されたカーソル44が示されている。図10に示す例では、入力方向は横書きの方向であり、カーソル44は、入力欄32内において、入力方向の位置であって文字画像36aに隣接する位置に表示される。このように文字画像36aを基準にしてカーソル44の表示位置を算出して、その表示位置にカーソル44を表示することで、次に文字が入力される位置をより正確に指し示すことができる。
【0074】
文字画像36aの次に文字が入力されると、当該次の文字がサーバフォントによって描画されることで、当該次の文字を表す文字画像が生成され、当該次の文字を表す文字画像が、文字画像36aの隣の位置に表示される。そして、カーソル44の表示位置がサーバ12によって算出され、カーソル44は、当該次の文字を表す文字画像の隣に表示される。
【0075】
文字が削除された場合や改行した場合も同様に、サーバ12のプロセッサ28は、文字の削除や改行に応じて、カーソル44の表示位置を算出し、端末装置10のプロセッサ20は、その算出された表示位置にカーソル44を表示する。また、禁則ルールが適用される場合、サーバ12のプロセッサ28は、その禁則ルールに従ってカーソル44の表示位置を算出する。例えば、句読点や疑問符が文の先頭に配置されないという禁則ルールが定められている場合、サーバ12のプロセッサ28は、その禁則ルールに従って、句読点や疑問符やカーソル44の表示位置を算出する。また、表示されている複数の文字がユーザによって選択された場合、サーバ12のプロセッサ28は、その選択された範囲を算出し、端末装置10のプロセッサ20は、その算出された範囲をグレー等の特定の色で表示してもよい。
【0076】
なお、プロセッサ20は、入力用レイヤーにおいて、文字画像34aとカーソル44の表示位置との間にダミー文字やダミー記号(例えば□等の記号)を表示し、そのダミー記号の隣にカーソル44を表示してもよい。
【0077】
上記各実施形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU: Central Processing Unit、等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU: Graphics Processing Unit、ASIC: Application Specific Integrated Circuit、FPGA: Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。また上記各実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0078】
10 端末装置、12 サーバ、20,28 プロセッサ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10