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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】情報処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20240717BHJP
   G06Q 50/08 20120101ALI20240717BHJP
【FI】
G06F3/12 375
G06F3/12 303
G06F3/12 359
G06F3/12 362
G06Q50/08
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020192208
(22)【出願日】2020-11-19
(65)【公開番号】P2022080971
(43)【公開日】2022-05-31
【審査請求日】2023-10-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松井 孝夫
【審査官】木村 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-015720(JP,A)
【文献】特開2012-003410(JP,A)
【文献】特開2019-215619(JP,A)
【文献】特開2019-211809(JP,A)
【文献】特開2012-238048(JP,A)
【文献】特開2006-302038(JP,A)
【文献】特開2020-042590(JP,A)
【文献】特開2020-042435(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/12
G06Q 50/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
ワークフロー内の工程ごとにその工程で処理される処理単位を構成する1以上の部品を示す情報、を取得し、
前記情報に基づき特定される、前記ワークフロー内の第1の工程で処理される処理単位を構成する1以上の部品、の少なくとも1つが前記第1の工程にある場合に、前記ワークフローの進捗を示す画面内の前記第1の工程に対応する表示領域に、前記処理単位を示す処理単位画像を表示する第1の表示制御を実行する、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、更に、
前記第1の工程で処理される前記処理単位を構成する1以上の部品のうち前記第1の工程より前の工程にあって前記第1の工程に到達していない部品である未到達部品について、当該未到達部品が現在ある工程である第2の工程を示す情報を表示する第2の表示制御を実行する、ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第2の表示制御では、前記第2の工程における前記未到達部品を含む前記処理単位を示す情報を表示する、ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第2の表示制御では、前記第1の工程と前記第2の工程との間の1以上の工程のそれぞれにおける前記未到達部品を含む前記処理単位を示す情報を更に表示する、ことを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第2の表示制御では、前記第2の工程に対応する前記表示領域内の前記未到達部品を含む前記処理単位を示す前記処理単位画像を、前記第1の工程に対応する前記表示領域における前記未到達部品を示す画像と対応付けて表示する、
ことを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第2の表示制御では、前記第1の工程と前記第2の工程との間の1以上の工程のそれぞれに対応する前記表示領域に、当該1以上の工程のそれぞれにおける前記未到達部品を含む前記処理単位を示す前記処理単位画像と、当該工程の次の工程に対応する前記表示領域における前記未到達部品を示す画像と対応付けて表示する、ことを特徴とする請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記第1の表示制御では、前記第1の工程で処理される処理単位のうち、当該処理単位を構成する1以上の部品の全てが前記第1の工程にある第1種の処理単位と、当該処理単位を構成する1以上の部品の中に前記第1の工程よりも前の工程にある部品がある第2種の処理単位とが、異なる表示態様で表示される、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、更に、
前記表示領域内の前記処理単位画像に対応付けて、当該処理単位画像に対応する前記処理単位を構成する1以上の部品を示す部品画像を表示する第3の表示制御を実行する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記第3の表示制御では、前記処理単位を構成する1以上の部品を示す部品画像を、前記第1の工程の直前の工程において当該部品が構成していた処理単位を示す情報と対応付けて表示する、ことを特徴とする請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記第1の表示制御では、前記ワークフロー内の前記第1の工程の直前の工程での前記処理単位の処理の完了を示す入力を受けた場合に、当該処理単位を構成する1以上の部品をそれぞれ含む前記第1の工程での前記処理単位のうち、対応する前記処理単位画像が前記当該第1の工程に対応する前記表示領域にそれまで未表示であったものを、当該表示領域に新たに表示する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記第1の表示制御では、
前記第1の工程で処理される処理単位のうち当該処理単位を構成する1以上の部品の中に前記第1の工程よりも前の工程にある部品があるものについては、前記処理単位画像を第1の表示態様で表示し、
前記直前の工程での前記処理単位の処理の完了を示す入力を受けた場合に、前記第1の工程での前記処理単位の中に当該処理単位を構成する部品の全てがその完了により前記第1の工程内に初めて揃った処理単位については、前記処理単位画像の表示態様を前記第1の表示態様から第2の表示態様に変更する、
ことを特徴とする請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
コンピュータに、
ワークフロー内の工程ごとにその工程で処理される処理単位を構成する1以上の部品を示す情報、を取得し、
前記情報に基づき特定される、前記ワークフロー内の第1の工程で処理される処理単位を構成する1以上の部品、の少なくとも1つが前記第1の工程にある場合に、前記ワークフローの進捗を示す画面内の前記第1の工程に対応する表示領域に、前記処理単位を示す処理単位画像を表示する第1の表示制御を実行する、
処理を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、異なる複数の印刷ジョブをまとめたグループジョブの進捗状況を注文単位/グループ単位/部品単位のような複数の観点で把握できるようにする印刷工程管理システムが開示されている。印刷工程管理システムの取得手段は、複数の印刷部品から構成される印刷製品の印刷情報を取得し、印刷製品毎に製品識別子を付与し、分割手段は、印刷情報を印刷部品毎の部品印刷情報に分割し、分割した部品印刷情報毎に部品識別子を付与し、生成手段は、部品印刷情報に含まれる部品印刷属性に応じて複数の部品印刷情報を一つにまとめるグループ印刷情報を生成し、生成したグループ印刷情報毎にグループ識別子を付与し、識別子管理手段は、一の印刷製品に係る製品識別子と、当該印刷製品を構成する印刷部品に係る部品識別子とを対応付け、さらに当該印刷部品の部品印刷情報を含むグループ印刷情報に係るグループ識別子を対応付けて管理する。
【0003】
また、ワークフローの進捗に応じてカードを移動させることにより、ワークフローの進捗状況を可視化する仕組みがある。ワークフローの各工程の領域を工程順に並べた進捗表示ボードを用意し、一つの工程が終わるごとに、カードを次の工程の領域に移動させる。カードがある工程の担当者は、そのカードが示す処理単位に対して当該工程の作業を実行する。このような進捗表示方式をソフトウエア化したシステムもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-211999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ワークフローの各工程で処理される処理単位を構成する部品の組合せが工程ごとに異なる場合がある。
【0006】
例えば、表紙、本身、応募はがきという3種の部品から構成されたカタログを複数種類、同時並行的に製作するワークフローを考える。デザイン工程では個々のカタログを構成する表紙、本身等の個々の部品がそれぞれ処理単位となり、個々の処理単位すなわち部品がデザイン担当者に割り振られて処理される。一方、印刷工程では、作業効率の向上等の観点から、同一用紙を用いる表紙を複数種類のカタログにわたってまとめて一つの処理単位とする。本身、応募はがきについても同様に複数種類のカタログにわたってまとめて一つの処理単位とし、それぞれの処理単位を、当該処理単位に対応する用紙を用いる印刷装置の運転担当者に割り振る。また、製本等の加工を行う工程では、個々の種類のカタログがそれぞれ一つの処理単位となる。
【0007】
これに対してワークフローの進捗に合わせてカードを移動させていく方式は、カードが示す同じ処理対象が順に各工程を経ていくことを前提としている。したがって、この方式は、各工程の処理単位が異なることがあるシステムには、そのまま適用することはできない。
【0008】
本発明は、ワークフロー内の工程ごとに処理単位が異なることがある場合でも、個々の工程において処理すべき処理単位を表示することが可能な装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、プロセッサを備え、前記プロセッサは、ワークフロー内の工程ごとにその工程で処理される処理単位を構成する1以上の部品を示す情報、を取得し、前記情報に基づき特定される、前記ワークフロー内の第1の工程で処理される処理単位を構成する1以上の部品、の少なくとも1つが前記第1の工程にある場合に、前記ワークフローの進捗を示す画面内の前記第1の工程に対応する表示領域に、前記処理単位を示す処理単位画像を表示する第1の表示制御を実行する、ことを特徴とする情報処理装置である。
【0010】
請求項2に係る発明は、前記プロセッサは、更に、前記第1の工程で処理される前記処理単位を構成する1以上の部品のうち前記第1の工程より前の工程にあって前記第1の工程に到達していない部品である未到達部品について、当該未到達部品が現在ある工程である第2の工程を示す情報を表示する第2の表示制御を実行する、ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置である。
【0011】
請求項3に係る発明は、前記第2の表示制御では、前記第2の工程における前記未到達部品を含む前記処理単位を示す情報を表示する、ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置である。
【0012】
請求項4に係る発明は、前記第2の表示制御では、前記第1の工程と前記第2の工程との間の1以上の工程のそれぞれにおける前記未到達部品を含む前記処理単位を示す情報を更に表示する、ことを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置である。
【0013】
請求項5に係る発明は、前記第2の表示制御では、前記第2の工程に対応する前記表示領域内の前記未到達部品を含む前記処理単位を示す前記処理単位画像を、前記第1の工程に対応する前記表示領域における前記未到達部品を示す画像と対応付けて表示する、ことを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置である。
【0014】
請求項6に係る発明は、前記第2の表示制御では、前記第1の工程と前記第2の工程との間の1以上の工程のそれぞれに対応する前記表示領域に、当該1以上の工程のそれぞれにおける前記未到達部品を含む前記処理単位を示す前記処理単位画像と、当該工程の次の工程に対応する前記表示領域における前記未到達部品を示す画像と対応付けて表示する、ことを特徴とする請求項5に記載の情報処理装置である。
【0015】
請求項7に係る発明は、前記第1の表示制御では、前記第1の工程で処理される処理単位のうち、当該処理単位を構成する1以上の部品の全てが前記第1の工程にある第1種の処理単位と、当該処理単位を構成する1以上の部品の中に前記第1の工程よりも前の工程にある部品がある第2種の処理単位とが、異なる表示態様で表示される、ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置である。
【0016】
請求項8に係る発明は、前記プロセッサは、更に、前記表示領域内の前記処理単位画像に対応付けて、当該処理単位画像に対応する前記処理単位を構成する1以上の部品を示す部品画像を表示する第3の表示制御を実行する、ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置である。
【0017】
請求項9に係る発明は、前記第3の表示制御では、前記処理単位を構成する1以上の部品を示す部品画像を、前記第1の工程の直前の工程において当該部品が構成していた処理単位を示す情報と対応付けて表示する、ことを特徴とする請求項8に記載の情報処理装置である。
【0018】
請求項10に係る発明は、前記第1の表示制御では、前記ワークフロー内の前記第1の工程の直前の工程での前記処理単位の処理の完了を示す入力を受けた場合に、当該処理単位を構成する1以上の部品をそれぞれ含む前記第1の工程での前記処理単位のうち、対応する前記処理単位画像が前記当該第1の工程に対応する前記表示領域にそれまで未表示であったものを、当該表示領域に新たに表示する、請求項1に記載の情報処理装置である。
【0019】
請求項11に係る発明は、前記第1の表示制御では、前記第1の工程で処理される処理単位のうち当該処理単位を構成する1以上の部品の中に前記第1の工程よりも前の工程にある部品があるものについては、前記処理単位画像を第1の表示態様で表示し、前記直前の工程での前記処理単位の処理の完了を示す入力を受けた場合に、前記第1の工程での前記処理単位の中に当該処理単位を構成する部品の全てがその完了により前記第1の工程内に初めて揃った処理単位については、前記処理単位画像の表示態様を前記第1の表示態様から第2の表示態様に変更する、ことを特徴とする請求項10に記載の情報処理装置である。
【0020】
請求項12に係る発明は、コンピュータに、ワークフロー内の工程ごとにその工程で処理される処理単位を構成する1以上の部品を示す情報、を取得し、前記情報に基づき特定される、前記ワークフロー内の第1の工程で処理される処理単位を構成する1以上の部品、の少なくとも1つが前記第1の工程にある場合に、前記ワークフローの進捗を示す画面内の前記第1の工程に対応する表示領域に、前記処理単位を示す処理単位画像を表示する第1の表示制御を実行する、処理を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0021】
請求項1又は12に係る発明によれば、ワークフロー内の工程ごとに処理単位が異なることがある場合でも、個々の工程において処理すべき処理単位を表示することができる。
【0022】
請求項2に係る発明によれば、第1の工程に未到達の部品がどの工程にあるかを示す情報をユーザに提供できる。
【0023】
請求項3に係る発明によれば、第1の工程に未到達の部品が、その部品が現在ある第2の工程でどの処理単位に含まれているかをユーザに知らせることができる。
【0024】
請求項4に係る発明によれば、第1の工程に未到達の部品が、その部品が現在ある第2の工程だけでなく、それら両工程の間の工程においてどの処理単位に含まれているかをユーザに知らせることができる。
【0025】
請求項5に係る発明によれば、進捗画面上の第1の工程と第2の工程のそれぞれ表示領域に表示される画像同士を対応付けて表示することにより、未到達部品が現在ある工程における処理単位をユーザに知らせることができる。
【0026】
請求項6に係る発明によれば、第1の工程に未到達の部品が、その部品が現在ある第2の工程だけでなく、それら両工程の間の工程においてどの処理単位に含まれているかをユーザに知らせることができる。
【0027】
請求項7に係る発明によれば、工程に対応する表示領域に表示される処理単位画像の表示態様により、処理単位を構成する部品が全てその工程にあるか否かをユーザに知らせることができる。
【0028】
請求項8に係る発明によれば、表示領域に表示される処理単位画像が示す処理単位を構成する部品をユーザに知らせることができる。
【0029】
請求項9に係る発明によれば、処理単位画像が示す処理単位を構成する部品と、直前の工程の処理単位との関係をユーザに知らせることができる。
【0030】
請求項10に係る発明によれば、ある工程での処理単位の処理の完了に応じて、当該処理単位を構成する部品を含んだその次の工程の処理単位の処理単位画像を表示することができる。
【0031】
請求項11に係る発明によれば、工程に対応する表示領域に表示される処理単位画像の表示態様により、処理単位を構成する部品が全てその工程にあるか否かをユーザに知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】情報処理装置が提供する、ワークフローの進捗状況を示す進捗画面の例を示す図である。
図2】別の進捗状況を示す進捗画面の例を示す図である。
図3】更に別の進捗状況を示す進捗画面の例を示す図である。
図4】更に別の進捗状況を示す進捗画面の例を示す図である。
図5】更に別の進捗状況を示す進捗画面の例を示す図である。
図6】更に別の進捗状況を示す進捗画面の例を示す図である。
図7】更に別の進捗状況を示す進捗画面の例を示す図である。
図8】更に別の進捗状況を示す進捗画面の例を示す図である。
図9】更に別の進捗状況を示す進捗画面の例を示す図である。
図10】注文管理情報の内容を例示する図である。
図11】製品管理情報の内容を例示する図である。
図12】部品管理情報の内容を例示する図である。
図13】配送管理情報の内容を例示する図である。
図14】ある時点の進捗管理情報の内容を例示する図である。
図15】別の時点の進捗管理情報の内容を例示する図である。
図16】ある工程においてあるカードについての処理が完了したときの進捗画面の更新の手順を例示する図である。
図17】カードに対するツールチップ表示の処理手順を例示する図である。
図18】カードに対するツールチップ表示の処理手順を例示する図である。
図19】情報処理装置のベースとなるコンピュータのハードウエア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照して、本発明に係る情報処理装置の実施形態を説明する。本実施形態の情報処理装置は、ワークフローの進捗状況を示す進捗画面1000を生成する。
【0034】
図1に、進捗画面1000の一例を示す。進捗画面1000には、ワークフローの工程ごとに、当該工程用の表示領域1100、1200、1300、1400、・・・(以下、「表示領域1100等」と総称)が設けられている。
【0035】
図1等に示す進捗画面1000の例は、商業印刷のワークフロー管理に向けたものである。商業印刷のワークフローには、例えば注文、制作、プリプレス、印刷、検品、配送等の工程を含む。工程には、ワークフロー内での順序が規定されており、図示例では進捗画面1000の左側から右側へと、注文、制作、プリプレス、印刷、加工(例えば製本)、検品、配送の順に工程が進む。また、図示例では、印刷の工程については、個々の印刷機の使用状況も把握できるよう、使用する印刷機ごとに表示領域1400が設けられている。
【0036】
進捗画面1000は各工程で行うべき処理をカード形式で表示するタイプのユーザインタフェースである。各工程の表示領域1100等の中には、処理単位を表すカード1110が表される。処理単位は、その工程で行われる処理の対象であり、1以上の部品から構成される。部品は、処理単位を構成する最小単位の構成要素である。また、表示領域1100内に表示されるカード1110等のカードは、処理単位を示す処理単位画像の一例である。
【0037】
カード1110には、そのカード1110を特定するための情報が表示される。図1の例では、カード1110内には、カード1110を特定する特定情報として「注文ID:1000001」という文字列が表示されている。この文字列のうち「注文ID」は、当該カード1110が、注文工程の処理単位を示すものであること、及びその後のデリミタ「:」の後に続く値「1000001」が注文工程の処理単位のIDすなわち識別情報であることを示す。なお、カード1110上に示される特定情報は、処理単位を特定可能なものであればよく、図に例示したものに限られない。
【0038】
以下では、説明の煩雑さを低減するため、混乱を招かない限りにおいて、処理単位もその処理単位を表すカードも共に「カード」と呼ぶこととする。例えば、表示領域1100内のあるカード1110が表す処理単位に含まれる部品のことを「カード1110に含まれる部品」と呼ぶ等である。
【0039】
注文工程の表示領域1100には、表題欄1102が含まれる。表題欄1102には、当該工程の名称「注文」と、当該工程内に現在あるカードの枚数(すなわち処理単位の数)とが示される。図1の例では、注文工程にはカード1110が1枚あるのみなので、表題欄1102に示される枚数は1である。一方、図1の例では、他の工程にはカードは1枚もないので、表題欄の枚数の値は0である。
【0040】
同様に、他の各工程の表示領域1200、1300、・・・にも、各工程の名称とカード枚数を示す表題欄が設けられている。
【0041】
また、進捗画面1000には、カード枚数欄1002が設けられている。カード枚数欄1002には、進捗画面1000内の各工程の表示領域1100、1200、1300、・・・にあるカードの枚数の合計が表示される。
【0042】
注文工程の表示領域1100は、待ち領域1104と実行中領域1106とに分かれている。待ち領域1104には、注文工程の処理を待っているカード1110が表示される。実行中領域1106には、注文工程の処理を実行中であるカード1110が表示される。
【0043】
カード1110は、注文工程の表示領域1100内の待ち領域1104にまず表示される(図1参照)。その後そのカード1110の部品が全て注文工程に達し、そのカード1110に対して注文工程の処理が開始されると、カード1110は実行中領域1106に表示される(図2参照)。図2に示す例では、別の新たな注文「注文ID:1000002」が到来し、これを示すカード1112が待ち領域1104に表示されている。
【0044】
同様に、他の各工程の表示領域1200、1300、・・・も、待ち領域と実行中領域とに分かれている。ある工程の待ち領域にあるカードは、そのカード(すなわち処理単位)を構成する全ての部品が当該工程に到達するまでは、実行中領域に移動することはできない。ここでは、部品がある工程(これをここでは第1の工程と呼ぶ)にあるか、又はワークフローにおいて第1の工程より後の工程にある場合、その部品は第1の工程に到達済みである、という。また、「部品が第1の工程にある」とは、第1の工程の処理単位であってその部品を含む処理単位が、第1の工程の直前の工程の処理を終えた後第1の工程の処理を待っているか、又は第1の工程の処理を受けている最中であることを示す。また、部品が第1の工程より前の工程にある場合、その部品は第1の工程に未到達である、という。
【0045】
待ち領域にあるカードを構成する全ての部品が当該工程にある状態となると、そのカードは実行中領域に移動可能になる。一つの例では、その工程の処理を担当するある担当者がそのカードを実行中領域に移動させた上で、その処理の実行を開始する。或いは、当該工程に全ての部品が揃ったカードに対して担当者が決まり、その担当者がそのカードの処理を開始すると、情報処理装置がその事実を検知してそのカードを待ち領域から実施中領域に移動する。
【0046】
また情報処理装置は、カード1110に対するユーザからの特定の操作に応じて、カード1110が示す処理単位の部品構成を表示する機能を有する。そのような特定の操作の例としては、例えば、マウスのポインタをカード1110上に位置させる、いわゆるホバー操作や、カード1110をクリックする操作等がある。また進捗画面1000がタッチパネル上に表示される場合、進捗画面1000上のカード1110に対して予め定められたタッチジェスチャ(例えばシングルタップなど)を行うことを、上記特定の操作として用いてもよい。
【0047】
図3に、カード1110の部品構成の表示例を示す。この例では、カード1110に対するホバー操作に応じて表示するツールチップ1120内に、そのカード1110の部品構成を表示する。この例では、ツールチップ1120内には、製品IDがそれぞれ「2000001」及び「2000002」である2つの製品を示すアイコン1130及び1140が表示されている。また、製品のアイコン1130の下方には、部品IDがそれぞれ「3000001」、「3000002」及び「3000003」である3つの部品を示すアイコン1132が、アイコン1130よりも一段階右にずれた位置に配置されている。このような配置関係により、アイコン1130が示す処理単位が、3つのアイコン1132が示す部品から構成されていることを表現している。同様に、製品のアイコン1140の下には、部品IDがそれぞれ「3000004」、「3000005」及び「3000006」である3つの部品を示すアイコン1142が配置されている。この例では、アイコン1130及び1140が示す製品はそれぞれ異なるカタログである。部品「3000001」及び「3000004」はそれらカタログの表紙、部品「3000002」及び「3000005」はそれらカタログの本身、部品「3000003」及び「3000006」はそれらカタログに綴じ込まれる応募はがき(以下単にはがきという)である。このように、この例では、それぞれ表紙、本身、はがきという3種類の部品から構成される2種類のカタログの制作・印刷を1つの注文として受け付けている。
【0048】
このように、図3の例では、処理単位である注文「1000001」は、6つの部品「3000001」、「3000002」、・・・、「3000006」から構成されている。そして、注文という処理単位と、個々の部品との間に、複数の部品から構成される製品という中間レベルの構造が存在している。
【0049】
ツールチップ1120内では、製品のアイコン1130、1140と部品のアイコン1132、1142との位置関係により、製品と部品の対応関係を表した。しかし、これはツールチップ1120内での製品と部品の対応関係の表し方の一例に過ぎず、別の表し方を用いてもよい。
【0050】
部品を示すアイコン1132、1142と、それら部品を含む中間レベルの構造である製品を示すアイコン1130、1140とは、例えば表示色や表示濃度等の表示形態で区別してもよい。
【0051】
処理単位を構成する部品の組合せは工程ごとに個別に定められている。例えば、注文工程の処理単位は、図3に例示したそれぞれ3つの部品からなる2つの製品から構成される注文である。注文工程では、注文ごとにその注文に関するデータの登録その他の処理を行うので、注文を処理単位としている。
【0052】
これに対して、注文工程の次の工程である制作工程では、処理単位は個々の部品である。制作工程では、表紙、本身、はがきといった部品ごとにそのデザインを行うので、部品を処理単位としている。
【0053】
情報処理装置は、各工程の表示領域1100等には、当該工程での処理単位を示すカードを表示する。したがって、例えば図1に例示したある注文のカード1110に対して注文工程の処理が終わり、その注文が次の制作工程に移動した場合、制作工程の表示領域1200には、注文を示すカード1110ではなく、図4に示すように、個々の部品を示すカード1212、1214、1216、1218、1220、1222が表示される。カード1110には6つの部品が含まれていたので、表示領域1200には6つのカードが表示されることとなる。
【0054】
図4に示した状態の進捗画面1000を見たデザイナーは、6つの部品が待ち領域1202にあることを認識し、その中から1つの部品例えばカード1212を選んで自分がそれの制作を担当する旨を情報処理装置(或いはワークフロー管理システム)に入力する。この入力に応じて、情報処理装置は、そのカード1212を実行中領域1204に移動する。あるいは、情報処理装置にログインしたデザイナーが、待ち領域1202にあるカード1212をドラッグ・アンド・ドロップ操作等の操作により実行中領域1214に移動させることで、自分がそのカード1212の部品の制作を担当する旨を情報処理装置に知らせてもよい。
【0055】
このように情報処理装置は、進捗画面1000内でのカードの移動を、マウス操作等による明示的なカードの移動操作に応じて行ってもよいし、そのような移動操作以外でカード移動のトリガとなるイベントを検知して行ってもよい。このようなイベントの例としては、上述したデザイナーがカード1212の処理を担当する旨を情報処理装置に入力したことや、工程における処理(例えば印刷機による印刷処理)が完了したことをセンサ等により検知したこと、等がある。ここでは待ち領域から実行中領域へのカードの移動を説明したが、工程間のカードの移動についても、同様にユーザの明示的なカード移動操作、又は他のトリガイベント、に応じて情報処理装置がその移動を行う。
【0056】
プリプレス及び印刷の工程の処理単位は、部品種類ごとのグループである。すなわち、この例では、プリプレス及び印刷の工程では、注文に含まれる各製品の同じ種類の部品を1つのグループにまとめ、そのグループを処理単位として処理を行う。具体例として挙げてきた2つのカタログを制作・印刷する注文の例では、それら2つのカタログの表紙からなるグループ、本身からなるグループ、はがきからなるグループが、プリプレス及び印刷の各工程での処理単位となる。部品の種類ごとのグループを処理単位とするのは、印刷に適した用紙や印刷機等のリソースが部品の種類ごとに異なるためである。プリプレスは印刷の準備のための工程であり、印刷と同じ処理単位で処理を行う。複数の製品の同じ種類の部品を1つにグループ化して処理することにより、個々の製品の個々の部品ごとに個別に処理する場合よりも処理効率が上がる。
【0057】
図4に示した制作工程の6つの部品のうちカード1216が示す1つを除いた残りの5つの制作処理が完了し、それら5つの部品が次のプリプレス工程に移動したときの進捗画面1000を図5に例示する。図5の進捗画面1000では、プリプレス工程の表示領域1300内にグループIDがそれぞれ1、2、3である3つのグループを示すカード1312、1314、1316が表示されている。カード1312は、部品種類が表紙である部品からなるグループであり、カード1314は、部品種類が本身である部品からなるグループである。またカード1316は、部品種類がはがきである部品からなるグループである。
【0058】
カード1312及び1314の右側には、当該カードを構成する全ての部品がプリプレス工程内に揃っていることを示す準備完了マーク1320が表示されている。例えば、カード1312が示すグループID「1」のグループは、表紙である部品ID「3000001」及び「3000004」から構成されている。以下、煩雑さを避けるため、グループIDが「k」(kは整数)であるグループのことを、グループ「k」と呼ぶ。これら2つの部品はともに直前の制作工程を終えて現在プリプレス工程にあるので、そのカード1312には準備完了マーク1320が表示されている。図5の例では、このカード1312に対してマウスホバー操作が成されたことにより、グループ「1」を構成する部品ID「3000001」及び「3000004」を表示したツールチップ1330が表示されている。それら2つの部品の情報(図示例では部品IDの値)は通常通りに表示(例えば濃色で表示)されており、これはそれら3つの部品がともに当該プリプレス工程内にあることを示している。
【0059】
一方、カード1316には、当該カードを構成する部品の中にまだプリプレス工程に到達していないものがあることを示す待ちマーク1322が表示されている。カード1312が示すグループ「3」は、はがきである部品ID「3000003」及び「3000006」から構成されている。現在、これら2つの部品のうち部品「3000006」はプリプレス工程にあるが、部品「3000003」は直前の制作工程にあり、プリプレス工程にそれら2つの部品が揃っていない。このためカード1316には待ちマーク1322が表示されている。
【0060】
準備完了マーク1320及び待ちマーク1322は、表示領域1300中の待ち領域にあるカード1312、1314、1316に対して表示される。あるカード、例えばカード1312が待ち領域から実行中領域に移動するには、そのカード1312を構成する部品は全てプリプレス工程内に揃っている必要があるので、実行中領域にあるカード1312には、待ちマークや準備完了マークを表示する必要はない。
【0061】
このカード1316に対してマウスホバー操作を行うと、図6に示すツールチップ1340が表示される。ツールチップ1340内には、グループ「3」を構成する部品「3000003」及び「3000006」のアイコン1342及び1344が表示される。このうち、対応する部品「3000006」がプリプレス工程にあるアイコン1344及びその内部の部品ID等の情報は通常の表示(例えば白地の矩形内に濃色の文字列)がなされている。これに対してアイコン1342は、通常とは異なる表示態様となっており、対応する部品「3000003」がプリプレス工程に到達していないことを示している。アイコン1342の表示態様は、あくまで一例であるが、グレーアウト等、通常表示よりも目立ちにくい表示としてもよい。なお、以下では、注目している工程にまだ到達していない、すなわちその工程よりも前の工程にある部品のことを、その工程に対する未到達部品と呼ぶ。
【0062】
また図6の例では、ツールチップ1340内の、プリプレス工程に到達していない未到達部品「3000003」のアイコン1342と、その部品が現在ある制作工程内のその部品を含むカード1216と、を対応付けるリンク線1350が表示されている。図示例では、リンク線1350は、アイコン1342とカード1216を結ぶ曲線である。このような対応付けの表示により、プリプレス工程内のグループ「3」の未到達部品「3000003」は、現在制作工程にあることが示される。これにより、例えばプリプレス工程の担当者は、グループ「3」を実行するために必要な部品「3000003」が現在制作工程にあることを知り、例えば制作工程の担当者にその部品の現在の状況や制作が終わる予定日時を聞くなどの対処を行う。また、その対応付けの表示により、未到達部品「3000003」はその部品は制作工程内で、カード1216が示す処理単位として処理されている(又はその処理の実行を待っている)ことが示される。これにより、例えばプリプレス工程の担当者は、未到達部品「3000003」を含む制作工程での処理単位を特定でき、その処理単位に関して状況の問合せ等を行ってもよい。例えば、リンク線1350の接続先であるカード1216が現在制作工程の処理を実行中である場合、そのカード1216の近傍に、そのカード1216の処理の担当者の情報(例えば名前やID番号等)を表示してもよい。
【0063】
図7には、進捗画面1000の印刷、加工、検品等の各工程の表示領域1400、1500、1600が示されている。図7に例示した進捗画面1000内の加工工程の表示領域1500には、2つのカード1512及び1514が表示される。加工工程の処理単位は製品であり、カード1512は製品「2000001」を、カード1514は製品「2000002」を示す。カード1512及び1514には共に待ちマーク1522が表示されている。カード1512へのマウスホバー操作に応じてカード1512についてのツールチップ1530が表示されている。ツールチップ1530内には、製品「2000001」を構成する部品「3000001」、「3000002」及び「3000003」を示すアイコン1542、1552、1562が表示されている。またツールチップ1530内には、それらアイコン1542、1552、1562が示す部品を含んでいた直前の工程(すなわち印刷工程)の処理単位を示すアイコン1540、1550、1560が、互いの対応関係を表す態様で表示されている。図示例では、処理単位のアイコン1540、1550、1560の下に、直前の工程でそれぞれ当該処理単位に含まれていた部品のアイコン1542、1552、1562を、処理単位のアイコン1560等よりも一段階右にずらして配置することで、処理単位と部品の対応関係を表している。しかし、これは一例に過ぎず、別の表し方を用いてもよい。また、部品を示すアイコン1542等と、その部品を含む直前工程の処理単位を示すアイコン1130、1140とは、例えば表示色や表示濃度等の表示形態で区別してもよい。
【0064】
アイコン1542、1552が示す部品は既に加工工程に到達しているので、それらアイコンと、それらアイコンに対応する前工程の処理単位のアイコン1540及び1550は、通常の表示態様で表示される。これに対して、アイコン1562が示す部品は現在印刷工程にあり、加工工程には未到達なので、このアイコンと、これに対応する印刷工程の処理単位のアイコン1560は、当該部品が加工工程に未到達であることを示す、通常とは異なる表示態様で表示されている。
【0065】
また、進捗画面1000には、アイコン1560とカード1412とを結ぶリンク線1570が表示されている。前述の通り、アイコン1560は、加工工程の表示領域1500内の未到達の部品を示すアイコン1562を含む前工程すなわち印刷工程の処理単位すなわちグループを示す。またカード1412は、印刷工程内で現在処理待ちまたは処理中の、その部品を含む処理単位を示している。したがって、加工工程内の未到達部品からリンク線1570をたどることにより、その未到達部品を含んでいる、現在印刷工程にあるカードが特定される。
【0066】
図6及び図7は、ある工程のカード内の未到達部品が、その工程の直前の工程にある場合についての例であった。これに対して、図8には、ある工程のカード内の未到達部品が、その工程の直前の工程よりも前の工程にある場合についての例を示す。
【0067】
図8に例示した進捗画面1000には、配送工程の表示領域1700内に、待ちマーク1722が表示された2つのカード1712、1714が表示されている。カード1712及び1714は、配送の処理単位を示している。例えばカード1712は、配送IDが「4000001」である配送の処理単位を示している。図示例では、このカード1712を構成する部品の情報がツールチップ1730内に表示されている。ツールチップ1730内には、製品「2000001」及び「2000002」を示すアイコン1740及び1750が表示される。また、ツールチップ1730内には、それら製品をそれぞれ構成する部品「3000001」~「3000003」及び部品「3000004」~「3000006」のアイコン1742~1746及びアイコン1752~1756が表示される。このように、配送ID「4000001」により示される配送は、2つの製品を指定された納品先に配送する処理である。
【0068】
ツールチップ1730内では、製品のアイコン1740とこれに対応する部品のアイコン1742~1746は通常の表示態様で表示されている。これは、製品「2000001」は、印刷工程及び検品工程を既に済ませ、配送工程に到達していることを示す。これに対して、製品のアイコン1750とこれに対応する部品のアイコン1752~1756は、未到達の部品があることを示す、通常とは異なる表示態様で表示されている。この例では、製品「2000002」は、印刷工程の処理を受けている最中であり、まだ配送工程に到達していない。
【0069】
また、進捗画面1000には、未到達の製品のアイコン1750と、印刷工程の表示領域1500の実行中領域にある当該製品のカード1514とを結ぶリンク線1760が表示されている。アイコン1750からこのリンク線1760をたどることで、現在のその製品の状態を表している印刷工程内のカード1514が特定される。
【0070】
このようにリンク線1760は、隣り合っていない工程間のアイコンとカードの対応付けを示す場合もある。
【0071】
図9には、注目する工程の未到達部品からその部品が現在ある工程の処理単位まで連鎖的に遡る例が示される。図8の例では、配送ID「4000001」の配送対象である製品「2000002」は、加工工程での処理を実施中であった。これに対して、図9の例では、その製品「2000002」は、加工工程での処理を待っている状態であり、その製品を構成する部品「3000003」が更に一つ前の印刷工程の処理を受けている最中である。また、図1図8に示した例では、部品「3000003」及び「3000006」は同じグループ「3」に属していたが、図9の例では、部品「3000003」はグループ「3」に属するが、部品「3000006」は別のグループ「4」に属するものとする。
【0072】
進捗画面1000には、配送工程のカード1712に対応するツールチップ1730内の製品「2000002」のアイコン1750と、2つ前の加工工程の待ち領域にある製品「2000002」のカード1514とを結ぶリンク線1760が表示されている。また、加工工程のカード1514に対応するツールチップ1530が表示され、そのツールチップ1530内のグループ「3」のアイコン1560と、1つ前の印刷工程でのそのグループ「3」のカード1412とを結ぶリンク線1570が表示される。
【0073】
アイコン1750からリンク線1760をたどることで、そのアイコンが示す製品のカード1514が加工工程の待ち領域にある特定される。更に、そのカード1514のツールチップ1530の表示により、そのカード1514が示す製品のうち部品「3000003」が加工工程に未到達であることが示される。そして、その部品を含むグループを示すアイコン1560からリンク線1570を遡ることにより、印刷工程の実行中領域にそのグループのカード1414があることが特定される。例えば配送ID「4000001」の配送の担当者は、この表示を見ることにより、未到達の製品が加工工程で止まっており、更にその製品を構成する部品が印刷工程で処理されていることを知る。
【0074】
図6図9の例では、ツールチップ内の未到達の部品に対応するアイコンと、その部品が現在ある工程内でその部品を含む処理単位を示すカードとの対応付けを、リンク線1350、1570、1760により行った。しかし、このような対応付けの表示はあくまで一例に過ぎない。この他にも、例えばそれらアイコンとカードとを同じ表示態様(ただし他のアイコンやカードとは区別可能なもの)で表示することで、それら両者が互いに対応するものであることを示してもよい。この場合の同じ表示態様には、同じ表示色、同じ表示の点滅パターン等、様々なものが考えられる。
【0075】
以上に説明した進捗画面1000を提供するために、情報処理装置は、図10図14に例示する管理情報を記憶し、管理している。図10図14に示す管理情報は、例えばリレーショナルデータベースとして情報処理装置に実装される。
【0076】
図10には、注文管理情報が例示される。図示の通り、注文管理情報には、注文IDに関連付けて、注文名、受注時刻、顧客名、顧客ID等の情報項目が含まれる。注文IDは、顧客からの注文に対して付与した識別情報である。注文名は、注文に付された名前である。受注時刻は、その注文を受注した日時を示す。顧客名は、注文主である顧客の名前(例えば企業名、個人名)である。顧客IDは、その顧客に付与した識別情報である。
【0077】
図11には、製品管理情報が例示される。製品管理情報には、製品IDに関連付けて、注文ID、製品名、部数等の情報項目が含まれる。製品IDは、注文に応じて製造する製品に付与した識別情報である。あくまで一例であるが、この例では、製品として印刷及び製本等の加工により製造される印刷物(例えばカタログ)を想定している。注文IDは、その製品を対象として含む注文の注文IDである。製品名は、その製品の名称である。部数は、その製品すなわち印刷物の部数である。図11の例では、注文ID「1000001」で特定される注文は、製品ID「200001」及び「2000002」で特定される2つの製品をそれぞれ100部ずつ製造することを要求している。
【0078】
図12には、部品管理情報が例示される。部品管理情報には、部品IDに関連付けて、製品ID、グループID、部品名、用紙ID等の情報項目が含まれる。部品IDは、部品に付与した識別情報である。
【0079】
製品IDは、その部品を構成要素として含む製品の製品IDである。図示例では、部品ID「3000001」、「3000002」、「3000003」の3つの部品が製品ID「2000001」の製品を構成しており、これは上述の図1図8に示した具体例に対応している。
【0080】
グループIDは、その部品が属するグループの識別情報である。上述の図1図8に示した具体例では、部品の種類として表紙、本身、はがきの3つがあり、部品の種類ごとにグループを構成している。そのように構成したグループごとにグループIDが付与される。グループID「1」、「2」、「3」がそれぞれ表紙、本身、応募はがきのグループである。
【0081】
部品名は、その部品の名称である。部品名は部品の種類を示すものであってもよいし、部品の種類とは独立したものであってもよい。
【0082】
用紙IDは、その部品の印刷に用いられる用紙の識別情報であり、用紙の種類を示す。図示例では、グループIDごとに用紙IDが指定されている。
【0083】
図13には、配送管理情報が例示される。配送管理情報には、配送IDに関連付けて、注文ID、製品ID、納期、部数、配送先等の情報項目が含まれる。配送IDは、配送処理に対して付与した識別情報である。注文IDは、その配送処理に対応する注文の注文IDである。製品IDは、その配送処理で配送される製品の製品IDである。納期は、その配送処理で配送先に配送を行う期限である。部数は、その配送処理において製品IDが示す製品の部数である。配送先は、その配送処理における配送の宛先である。図示例では、例えば配送ID「4000001」の配送処理では、製品「2000001」及び「200002」をそれぞれ50部ずつ同じ東京の配送先に配送する。
【0084】
図10図13に示す各管理情報の各情報項目の値は、受け取った注文のデータに基づいて、注文(すなわち受注)工程においてデータベースに入力される。
【0085】
図14には、進捗管理情報が例示される。例示した進捗管理情報は、部品ごとにその部品がワークフローの進捗状況を示すものである。この進捗管理情報は、部品IDに関連付けて、製品ID、グループID、配送ID、受注、制作、プリプレス、印刷、加工、検品、配送の各項目を含む。
【0086】
部品IDは部品の識別情報であり、製品ID、グループID、及び配送IDは、その部品が属する製品、グループ、配送処理の識別情報である。各部品がどの製品、グループ、配送処理に属するかは部品管理情報等の他の管理情報から求めることが可能なので、進捗管理情報には、製品ID、グループID、配送IDの項目はなくてもよいが、ここでは読者の理解を助けるために含めている。
【0087】
受注から配送までの各項目は、ワークフローの各工程についての部品の状態を示す。これら各項目は、ワークフローにおける工程の順序通りに左から順に配列されている。各工程についての部品の状態には、「完了」、「実行中」、「待ち」、空欄の4段階がある。
【0088】
状態「完了」は、当該工程の処理が完了している状態である。状態「実行中」は、当該工程の処理を実行中の状態である。ある工程において状態「実行中」である部品を含む処理単位を示すカードは、進捗画面1000において、その工程の表示領域内の実行中領域に表示される。状態「待ち」は、当該部品を含む処理単位が当該工程の処理を待っている状態である。ある工程において状態が「待ち」となっている部品は、その工程に到達している(すなわちその工程内にある)が、処理単位内の他の部品がまだその工程に到達していない等の理由により、その工程の処理を待っている。状態が空欄である工程には、まだ当該部品は到達していない。
【0089】
顧客から注文を受け取った段階では、各部品の各工程についての状態の欄は全て空欄である。そして最初の受注工程から順に、工程ごとに、待ち、実行中、完了の順に状態が進捗する。部品についてある工程の処理が完了すると、その部品のその工程についての状態は「実行中」から「完了」へと変化し、次の工程についての状態が空欄から「待ち」へと変化する。ある工程の状態が「待ち」である部品を含む処理単位についてその工程の処理が開始されると、その部品の状態は「実行中」へと変化する。
【0090】
図14に例示した進捗状況は、図5及び図6に示した進捗画面1000に対応するものである。この例では、部品「3000001」~「3000006」のうち、部品「3000003」のみが制作工程にあり、残りの5つがプリプレス工程で「待ち」状態である。
【0091】
図15に、進捗管理情報の別の例を示す。この例は、図9に示した進捗画面1000に対応するものである。
【0092】
図15及び図9に示される例は、部品「3000006」がグループ「3」ではなくグループ「4」に属する点を除く他の部分は、図10図13に示す例と同じであるとする。
【0093】
図9に示した進捗画面1000が表示される時点では、グループ「1」、「2」、「3」に対する印刷工程の処理は完了しているが、グループ「4」は印刷工程を「実行中」である。このため、図15に示した進捗管理情報では、グループ「1」~「3」に属する部品「3000001」~「3000005」の、印刷工程についての状態は「完了」であり、グループ「4」に属する部品「3000006」の印刷工程についての状態は「実行中」となっている。
【0094】
また図9に示した進捗画面1000が表示される時点では、印刷済みの部品「3000001」、「3000002」及び「3000003」から構成される製品「2000001」についての加工工程及び検品工程も完了している。したがって、図15の進捗管理情報では、部品「3000001」、「3000002」及び「3000003」の加工工程及び検品工程についての状態は「完了」となっている。
【0095】
一方、製品「2000002」を構成する部品「3000004」、「3000005」及び「3000006」のうち前二者は印刷工程を終えて加工工程に到達しているが、最後の部品「3000006」はまだ印刷工程にある。このため、製品「2000002」は加工工程で待ち状態となっている(図9のカード1514参照)。進捗管理情報においては、部品「3000004」、「3000005」は、加工工程についての状態が「待ち」となっており、部品「3000006」はまだ印刷工程にあるので、加工工程についての状態の欄は空欄である。
【0096】
製品「2000001」は配送ID「4000001」と「4000002」に対応する2つの配送処理の対象となっている。それら2つの配送処理は、共に製品「2000001」と「2000002」を配送対象としている。そのうち製品「2000001」は既に検品も終え、配送工程に到達しているが、製品「2000002」はまだ加工工程で待ち状態なので、配送工程には未到達である。したがって、進捗画面1000における配送工程の表示領域1700内の待ち領域内に、配送ID「4000001」と「4000002」に対応する2つのカード1712及び1714が表示される。これら2つのカード1712及び1714には、不足部品があることを示す待ちマークが表示されている。進捗情報では、部品「3000001」~「3000006」のすべてについて、配送工程の状態が「待ち」となっている。
【0097】
次に、上述した進捗画面1000を表示するために情報処理装置が実行する処理手順の例を、図16図18を参照して説明する。
【0098】
図16に、工程間のカードの移動の基本的な処理手順を例示する。この手順では、まず情報処理装置は、ワークフロー内のいずれかの工程の表示領域1100~1700内のカード1112等が示す処理単位について、当該工程の処理が完了したかどうかを判定する(S12)。この判定は、ユーザの操作に基づいて行ってもよいし、工程の処理を実行する装置がその処理の完了をセンサ等で検知することに応じて行ってもよい。ユーザの操作に基づく判定では、例えば、工程の処理を実行する装置に対して、ユーザが当該工程の処理が完了した旨を示す入力を行った場合に、その処理が完了したと判定する。また別の例では、ユーザが進捗画面1000上である工程(以下、現工程と呼ぶ)のカードを次の工程(以下、次工程と呼ぶ)へドラッグ・アンド・ドロップ操作等により移動させた場合に、情報処理装置は、現工程の処理が完了したと判定する。判定結果がYesとなるまで、例えば定期的に、S12の判定が繰り返される。なお、ユーザがカードをドラッグ・アンド・ドロップでカードを第1の工程から第2の工程に移動させた場合、情報処理装置は、その第2の工程が第1の工程の次の工程であるかをチェックする。第2の工程が第1の工程の次の工程でない場合、情報処理装置は、そのカードの移動を不許可とし、例えばカードを元の第1の工程に戻してもよい。
【0099】
S12で現工程の処理が完了したと判定されたカードのことを、以下では「現カード」と呼ぶこととする。
【0100】
S12の判定結果がYesとなった場合、情報処理装置は、S12で処理が完了した現カードの情報を、当該情報処理装置が備えるワークフローのデータベースから取得する(S14)。このとき取得する情報には、現カードを構成する部品の情報(例えば、ツールチップ1120、1330、1530に示される部品構成の情報)がある。これにより、そのカードを構成する部品が特定される。個々で特定された個々の部品のことを注目部品と呼ぶこととする。次に情報処理装置は、現カードを現工程の表示領域から削除する(S16)。
【0101】
また情報処理装置は、次工程のカードすなわち処理単位の部品構成の情報を取得する(S18)。例えば次工程がプリプレス工程である場合、処理単位は図5に例示したように部品種別ごとの「グループ」である。この場合、情報処理装置は、プリプレス工程の処理単位の部品構成の情報として、同じ種別の部品群を特定する。より具体的には、情報処理装置は、図12に例示した部品管理情報を参照することにより、グループIDが「1」であるグループは、部品「3000001」と「3000004」とからなり、グループIDが「2」であるグループは、部品「3000002」と「3000005」とからなる、等のように、各グループの部品構成を特定する。
【0102】
以上に説明したS14~S18の実行順序はどのような順序であってもよい。
【0103】
次に情報処理装置は、現カードを構成する部品、すなわち注目部品、を含んだ、次工程のカードを生成する(S20)。この生成は、S14及びS18で取得した情報に基づき行われる。すなわち、S20では、注目部品ごとに、その注目部品を構成要素として含む次工程のカードを特定し、このカードを生成する。したがって、S20では、次工程のカードが複数生成される場合がある。
【0104】
なお、注目部品を含む次工程のカードが既に次工程の表示領域に表示されている場合には、S20で同じカードが生成されることはない。その代わりに、その注目部品は、S20にて、その既に表示されている次工程のカードの構成要素となる。
【0105】
以下では、S20で生成された次工程のカード、及びS20にて注目部品が構成要素となった既存の次工程のカードのことを、「次カード」と呼ぶこととする。
【0106】
次に情報処理装置は、次カードごとにS22~S28の処理を実行する。すなわち、情報処理装置は、ある次カードについて、そのカードを構成する部品がすべて次工程に揃っているか、すなわちそれら部品の全てが次工程にあるか、を判定する(S22)。S22の判定結果がYes、すなわち次カードを構成する部品がすべて次工程内に揃っていると判定した場合、情報処理装置は、準備完了マーク(例えば図5の準備完了マーク1320)を含む次カードの画像を生成する(S24)。S22の判定結果がNoの場合、情報処理装置は、待ちマーク(例えば図5の待ちマーク1322)を含む次カードの画像を生成する(S26)。そして情報処理装置は、S24又はS26で生成した次カードの画像を、次工程の待ち領域に表示する(S28)。なお、S20の時点で既に次カードが次工程の表示領域内に表示されている場合、情報処理装置は、表示されているその次カードについてS22の判定を行う。そして、その判定の結果に従って、その次カードに表示されている準備完了マークを待ちマークに変更する必要が出てくれば、その変更を行う。
【0107】
図16の処理の具体例を示す。図1図9に示した例において、例えば印刷工程のグループID「1」のカードの処理が完了すると、S14では、そのカードを構成する部品「3000001」及び「3000004」(図12参照)が特定される。この時点では、グループID「2」及び「3」のカードについての印刷工程の処理は完了していないものとする。S18では、次の加工工程の対象となるカードすなわち処理単位が「製品」であり、製品のうち部品「3000001」を含むのは製品「2000001」、部品「3000004」を含むのは製品「2000002」であることがS18で分かる。したがって、S20では、製品「2000001」と「2000002」の2つのカードが加工工程内に生成される。この時点では、加工工程内の例えば製品「2000001」のカードには、構成する部品のうち部品「3000001」が含まれるが、残りの2つの部品「3000002」及び「3000003」はまだ含まれない。したがって、S22の判定結果はNoとなり、加工工程内の製品「2000001」のカードには、S26で待ちマークが付される。そして、この待ちマークが付されたカードが、S28で加工工程の表示領域1500内の待ち領域に表示される。
【0108】
また、例えば、グループID「1」のカードについて印刷工程での処理が完了した時点で、既に加工工程内に製品「2000001」のカードが存在している場合もあり得る。この場合、S20では、製品「2000001」のカードが再度生成されることはなく、その代わりにグループID「1」のカードの部品「3000001」が製品「2000001」のカードの部品となる。そして、S22で製品「2000001」のカードの部品がすべて加工工程内に揃っているかが判定される。その判定の結果がYesとなった場合には、S24でそのカードに付されているマークを待ちマークから準備完了マークに変更し、その変更がS28でそのカードの表示に反映される。
【0109】
次に、図17を参照して、表示領域1100~1700に表示されたカード1110等に対するツールチップ表示の処理手順の例を説明する。
【0110】
この手順では、情報処理装置は、表示領域1100~1700上のカードに対してマウスホバー操作が行われたかどうかを監視している(S32)。カードに対するマウスホバーが検知されると(S32がYes)、情報処理装置は、そのカードを構成する部品の情報をデータベースの部品管理情報(図12参照)から取得する(S34)。なお、以下では、マウスホバー操作の対象となったカードのことを対象カードと呼び、そのカードがある工程のことを対象工程と呼ぶこととする。
【0111】
次に情報処理装置は、対象カード内の部品を示すアイコンを表示したツールチップ1120を進捗画面1000内に表示する(S36)。このとき情報処理装置は、対象カードを構成する部品のそれぞれが、その対象工程に到達しているかを、進捗管理情報(図14参照)に基づき判定する。そして、対象工程に到達済みの部品を示すアイコンと、対象工程に未到達の部品を示すアイコンとを、到達済み及び未到達にそれぞれ対応する表示態様で、ツールチップ内に配列して表示する(例えば図6のツールチップ1340参照)。またこのとき情報処理装置は、その対象工程の直前の工程でそれら各部品を含んでいた処理単位を示すアイコンを、部品のアイコンと対応付けて、ツールチップ内に表示してもよい(例えば図7のツールチップ1530参照)。
【0112】
次に情報処理装置は、対象カードを構成する部品の中に、対象工程に未到達の部品があるかどうかを判定する(S38)。この判定の結果がYes、すなわち未到達の部品がある場合、情報処理装置は、進捗管理情報を参照して、その未到達の部品が現在ある工程と、その工程においてその部品を含んでいるカードとを特定する(S40)。このステップS40では、例えば、未到達の部品の部品IDをキーとして進捗管理情報を検索することにより、その部品が現在「待ち」又は「実行中」の状態で存在する工程を特定する。また、このステップでは、特定した工程のカードすなわち処理単位の種類を特定し、その種類に該当するカードの中から、その部品を含むカードを特定する。
【0113】
そして、情報処理装置は、ツールチップ内のその未到達の部品を示すアイコンと、S40で特定したその部品が現在ある工程におけるその部品を含むカードと、の対応を表すリンクを表示する(S42)。
【0114】
なお、S38の判定結果がNo、すなわち、対象カード内の部品が、すべて対象工程に到達している場合、情報処理装置は、S40及びS42の処理をスキップする。
【0115】
図6に例示した進捗画面1000を例にとって図17の手順を説明すると以下の通りとなる。この例では、プリプレス工程の表示領域1300内のカード1316に対してマウスホバー操作が行われたことを検知する(S32がYes)。すると情報処理装置は、そのカード1316が示すグループ「3」に部品「3000003」と「3000006」が含まれることを部品管理情報から求める(S34)。また情報処理装置は、進捗管理情報(図14参照)から、部品「3000006」はプリプレス工程にあるが、部品「3000003」はプリプレス工程に未到達であり、一つ前の制作工程にあることを知る。そこで、情報処理装置は、カード1316に対応するツールチップ1340内に、部品「3000003」を示す未到達状態の表示態様のアイコン1342と、部品「3000006」を示す到達状態の表示態様のアイコン1344とを表示する(S36)。この例では、未到達の部品「3000003」があるのでS38の判定結果はYesとなる。情報処理装置は、図14の進捗管理情報を調べることにより、未到達の部品「3000003」が現在制作工程にあることを認識する(S40)。また、ステップS40では、情報処理装置は、制作工程の処理単位は部品なので、制作工程の表示領域1200内の部品「3000003」を含む処理単位、すなわち当該部品「3000003」自体を示すカード1216を特定する。そして情報処理装置は、ツールチップ1340内の未到達の部品を示すアイコン1342と、制作工程内のカード1216との対応を示すリンク線1350を表示する(S42)。
【0116】
また、図7に例示するように、対象工程のツールチップ1530内に、部品のアイコン1542、1552、1562と対応付けて、その前の工程で当該部品が含まれていた処理単位のアイコン1540、1550、1560を表示することがある。このような例では、S42では、未到達の部品のアイコン1562の代わりにこれを含む前の工程の処理単位を示すアイコン1560と、前の工程の表示領域1400内のその部品を含むカード1412とを結ぶリンク線1570を表示してもよい。
【0117】
次に、図9に例示した連鎖的なリンクの表示のための処理手順を、図18に例示する。図18に示した手順は、図17の手順のうちのS40及びS42に置き換わるものである。図17の手順のS38の判定結果がYesの場合、情報処理装置は、図18に示すように、対象工程の一つ前の工程を注目工程とする(S52)。情報処理装置は、対象カード1712内の、対象工程に未到達の部品を含む、注目工程内のカード1514を特定する(S54)。次に情報処理装置は、S36で対象カード1712に対応づけて表示したツールチップ1730内の、対象工程に未到達の部品に対応するアイコンと、S54で特定したカードと、の対応を示すリンク線1760を表示する(S56)。ここで、ツールチップ内の、対象工程に未到達の部品に対応するアイコンとは、一つの例ではその部品そのものを示すアイコン(図6参照)であり、別の例ではその部品を含む対象工程の処理単位を示すアイコン(図7参照)である。対象工程に未到達の部品に対応するアイコンは、対象工程に対応する表示領域内の未到達の部品を示す画像、の例である。
【0118】
次に情報処理装置は、S54で特定したカード1514を構成する部品の情報を部品管理情報から取得する(S58)。更に情報処理装置は、進捗管理情報(図15参照)を参照して、そのカード1514を構成する部品がそれぞれ注目工程に到達済みか未到達であるかを判定し、そのカードを構成する部品が全て注目工程に到達済みであるか否かを判定する(S60)。なお、ここでの「部品が注目工程に到達済み」という事態には、その部品が既に注目工程の処理を終えてその次の対象工程にある場合も含まれる。S60でそれら部品が全て注目工程に到達済みと判定した場合、情報処理装置は、図18の処理を終了する。図15の例では、カード1514内の部品「3000006」が加工工程に未到達であることが図15の進捗管理情報から分かるので、S60の判定結果はNoとなる。
【0119】
S60で注目工程に未到達の部品があると判定した場合、情報処理装置は、S54で特定したカード1514に対応するツールチップ1530を表示する(S62)。このツールチップ内には、そのカード1514を構成する各部品を示すアイコン1562等に対応付けて、注目工程の直前の工程においてその部品を含む処理単位を示すアイコン1560等が表示される。ここでは、注目工程に到達済みの部品を示すアイコンと、注目工程に未到達の部品を示すアイコン1562等とが、到達済み及び未到達にそれぞれ対応する表示態様で、そのツールチップ内に配列して表示される(例えば図9のツールチップ1530参照)。
【0120】
そして、情報処理装置は、S54で特定したカード1514を新たな対象カードとすると共に、現在の注目工程を新たに対象工程とし(S64)、S52に戻る。以降、新たな対象カード及び対象工程について、図18の手順が実行される。これにより、S54にて、ツールチップ1530内の未到達の部品「3000006」を含むグループ「4」のアイコン1560と、注目工程である印刷工程内のグループ「4」を示すカード1414とを結ぶリンク線1570が表示される。図9の例では、グループ「4」に対する印刷工程の処理は実行中なので、そのグループ「4」を構成するする部品は全て印刷工程内にある。したがって、S60の判定結果がYesとなり、これ以上前の工程に遡るリンク線の連鎖は生じない。
【0121】
ところで、図9に例示した進捗画面1000では、配送工程の直前の検品工程とその前の加工工程とは、共に処理単位が製品である。この例では、配送工程に未到達の部品が加工工程より前の工程に現在ある場合、配送工程のツールチップ内に表示された未到達の部品に対応するアイコンは、図18の手順では、直前の検品工程内のある製品のカードとリンク線で結ばれる。その製品のカード内のその部品は検品工程に未到達なので、検品工程その製品のカードのツールチップ内で同じ部品のアイコンは、一つ前の加工工程内の同じ製品を示すカードとリンク線で結ばれる。また、加工工程内のその製品のカード内のその部品は加工工程に未到達なので、加工工程のその製品のカードのツールチップ内で同じ部品のアイコンは、更に前の工程内のその部品を含むカードとリンク線で結ばれる。このように、検品工程と加工工程との処理単位の種類が同じであるため、配送工程・検品工程間と、検品工程・加工工程間とで、同じ部品のアイコンから同じ処理単位のカードへとリンク線が結ばれることとなる。しかし、このような同じ構造の繰り返しは見た目が煩雑になる。そこで、このような見た目の煩雑さを避けるために、図18のS52~S64のループの繰り返しにおいて、複数の工程間の同じ部品のアイコンから同じカードへのリンク線の繰り返しを省略する。そして、その代わりに、その繰り返しの最初の部品のアイコン1750から最後のカード1514を直接結ぶリンク線1760を進捗画面1000に表示する。
【0122】
以上に説明した情報処理装置は、例えば、汎用のコンピュータを用いて構成される。図19に例示するように、情報処理装置のベースとなるコンピュータは、プロセッサ102、ランダムアクセスメモリ(RAM)等のメモリ(主記憶装置)104、フラッシュメモリやSSD(ソリッドステートドライブ)、HDD(ハードディスクドライブ)等の不揮発性記憶装置である補助記憶装置106を制御するコントローラ、各種の入出力装置108とのインタフェース、ローカルエリアネットワークなどのネットワークとの接続のための制御を行うネットワークインタフェース110等が、例えばバス112等のデータ伝送路を介して接続された回路構成を有する。上記実施形態の処理の内容が記述されたプログラムが、ネットワーク等を経由してそのコンピュータにインストールされ、補助記憶装置106に記憶される。補助記憶装置106に記憶されたプログラムが、プロセッサ102によりメモリ104を用いて実行されることにより、上記実施形態の情報処理装置が構成される。図10図15に例示した各種管理情報を保持するデータベースは、例えば補助記憶装置106内に構築される。また別の例では、そのデータベースは情報処理装置の外部のネットワーク上に設けられており、情報処理装置は、ネットワークインタフェース110を介して、ネットワーク経由で、そのデータベースに対して読み書きを行ってもよい。
【0123】
上記各実施形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit、等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。
【0124】
また上記各実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施形態において説明した順序のみに限定されるものではなく、適宜に変更してもよい。
【符号の説明】
【0125】
1000 進捗画面、1100,1200,1300,1400,1500,1600,1700 表示領域、1110,1112,1212~1222,1312~1316,1412,1512,1514,1712,1714 カード、1120,1330,1530,1730 ツールチップ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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