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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】電力増幅器
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/331 20060101AFI20240717BHJP
   H01L 29/737 20060101ALI20240717BHJP
   H01L 27/12 20060101ALI20240717BHJP
   H01L 23/52 20060101ALI20240717BHJP
   H01L 21/02 20060101ALI20240717BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20240717BHJP
   H01L 27/088 20060101ALI20240717BHJP
   H01L 21/8238 20060101ALI20240717BHJP
   H01L 27/092 20060101ALI20240717BHJP
   H01L 21/8249 20060101ALI20240717BHJP
   H01L 27/06 20060101ALI20240717BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20240717BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20240717BHJP
   H01L 21/8222 20060101ALI20240717BHJP
   H01L 21/8248 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
H01L29/72 H
H01L27/12 G
H01L27/12 C
H01L27/12 L
H01L27/12 B
H01L27/088 E
H01L27/092 G
H01L27/06 321B
H01L27/088 331E
H01L27/04 A
H01L27/06 102A
H01L27/06 101D
H01L27/06 101U
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020207804
(22)【出願日】2020-12-15
(65)【公開番号】P2022094742
(43)【公開日】2022-06-27
【審査請求日】2023-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】馬 少駿
(72)【発明者】
【氏名】小屋 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】青池 将之
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 新之助
(72)【発明者】
【氏名】梅本 康成
(72)【発明者】
【氏名】長谷 昌俊
【審査官】石塚 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0328293(US,A1)
【文献】特開2006-186235(JP,A)
【文献】特開2019-220669(JP,A)
【文献】特開平9-186240(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0233604(US,A1)
【文献】特開2004-327604(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/73
H01L 21/331
H01L 27/12
H01L 23/52
H01L 21/02
H01L 21/8234
H01L 21/8238
H01L 21/8249
H01L 27/088
H01L 21/822
H01L 21/8222
H01L 21/8248
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板の主面に、この順で積層されたエミッタ層、ベース層及びコレクタ層を有する電力増幅器であって、
前記エミッタ層と隣接して設けられる絶縁物と、
前記エミッタ層及び前記絶縁物と、前記基板との間に設けられたエミッタ電極と、
前記ベース層に電気的に接続されるベース電極と、
前記コレクタ層に電気的に接続されるコレクタ電極と、を有し、
前記基板の主面に垂直な方向で、前記基板と前記ベース電極との間に、前記エミッタ電極、前記絶縁物及び前記ベース層が設けられ
さらに、前記基板の前記主面に形成された少なくとも1つの基板側トランジスタを有する
電力増幅器。
【請求項2】
請求項1に記載の電力増幅器であって、
前記基板の前記主面と前記エミッタ電極との間に設けられた基板側絶縁層を有する
電力増幅器。
【請求項3】
基板と、前記基板の主面に、この順で積層されたエミッタ層、ベース層及びコレクタ層を有する電力増幅器であって、
前記エミッタ層と隣接して設けられる絶縁物と、
前記基板の前記エミッタ層と重畳する領域に設けられた貫通孔と、
前記貫通孔に設けられ前記エミッタ層と電気的に接続されるエミッタ電極と、
前記ベース層に電気的に接続されるベース電極と、
前記コレクタ層に電気的に接続されるコレクタ電極と、を有し、
前記基板の主面に垂直な方向で、前記基板と前記ベース電極との間に、前記絶縁物及び前記ベース層が設けられる
電力増幅器。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電力増幅器であって、
前記コレクタ電極は、前記ベース層の前記ベース電極が設けられた面と同じ面側に設けられ、平面視で前記ベース電極と隣り合って配置される
電力増幅器。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電力増幅器であって、
前記絶縁物の誘電率は、前記エミッタ層の誘電率よりも低い
電力増幅器。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の電力増幅器であって、
前記基板の熱伝導率は、前記エミッタ層、前記ベース層及び前記コレクタ層のいずれの熱伝導率よりも高い
電力増幅器。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の電力増幅器であって、
前記基板の主面に垂直な方向で、前記ベース層と前記コレクタ層との間にエッチング停止層が設けられている
電力増幅器。
【請求項8】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の電力増幅器であって、
前記ベース層と前記コレクタ層とは、異なる材料で形成され、
前記基板の主面に垂直な方向で、前記ベース層と前記コレクタ層とは直接接して積層される
電力増幅器。
【請求項9】
請求項に記載の電力増幅器と、
さらに、前記基板の前記主面に形成された少なくとも1つの基板側トランジスタを有する
電力増幅器。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の電力増幅器と、
前記コレクタ電極に接続されたコレクタ配線と、
前記エミッタ電極に接続されたエミッタ配線と、
前記コレクタ配線及び前記エミッタ配線の少なくとも一方に設けられた導体突起と、を有する
電力増幅器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力増幅器に関する。
【背景技術】
【0002】
高周波信号の増幅回路にヘテロ接合型バイポーラトランジスタ(HBT)が用いられる。下記特許文献1には、CMOSデバイスが形成された基板にHBTが設けられた構成が開示されている。特許文献1に記載されているHBTは、基板の上にエミッタ層、ベース層、コレクタ層の順に積層されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第10158030号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のHBTは、エミッタ層に接続されたエミッタ電極及びエミッタ配線と、ベース層に接続されたベース電極及びベース配線が同じ側から引き出される。エミッタ配線とベース配線が近接する。このため、エミッタとベースとの間に形成される寄生容量が増大する可能性がある。
【0005】
本発明は、エミッタとベースとの間に形成される寄生容量を抑制することができる電力増幅器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面の電力増幅器は、基板と、前記基板の主面に、この順で積層されたエミッタ層、ベース層及びコレクタ層を有する電力増幅器であって、前記エミッタ層と隣接して設けられる絶縁物と、前記エミッタ層及び前記絶縁物と、前記基板との間に設けられたエミッタ電極と、前記ベース層に電気的に接続されるベース電極と、前記コレクタ層に電気的に接続されるコレクタ電極と、を有し、前記基板の主面に垂直な方向で、前記基板と前記ベース電極との間に、前記エミッタ電極、前記絶縁物及び前記ベース層が設けられる。
【0007】
本発明の一側面の電力増幅器は、基板と、前記基板の主面に、この順で積層されたエミッタ層、ベース層及びコレクタ層を有する電力増幅器であって、前記エミッタ層と隣接して設けられる絶縁物と、前記基板の前記エミッタ層と重畳する領域に設けられた貫通孔と、前記貫通孔に設けられ前記エミッタ層と電気的に接続されるエミッタ電極と、前記ベース層に電気的に接続されるベース電極と、前記コレクタ層に電気的に接続されるコレクタ電極と、を有し、前記基板の主面に垂直な方向で、前記基板と前記ベース電極との間に、前記絶縁物及び前記ベース層が設けられる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の電力増幅器によれば、エミッタとベースとの間に形成される寄生容量を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1実施形態に係る電力増幅器を模式的に示す平面図である。
図2図2は、図1のII-II’断面図である。
図3図3は、電力増幅器の製造方法を説明するための説明図である。
図4図4は、第1実施形態の変形例に係る電力増幅器を模式的に示す断面図である。
図5図5は、第2実施形態に係る電力増幅器を模式的に示す断面図である。
図6図6は、第3実施形態に係る電力増幅器を模式的に示す平面図である。
図7図7は、図6の1つのトランジスタ、このトランジスタに接続される1つの容量素子及び一つの抵抗素子を拡大して示す平面図である。
図8図8は、図7のA-A’断面及びB-B’断面を示す断面図である。
図9図9は、第3実施形態の変形例に係る1つのトランジスタ、このトランジスタに接続される1つの容量素子及び一つの抵抗素子を拡大して示す平面図である。
図10図10は、第4実施形態に係る電力増幅器を模式的に示す断面図である。
図11図11は、第4実施形態に係る電力増幅器を模式的に示す平面図である。
図12図12は、図11のXII-XII’断面図である。
図13図13は、第5実施形態に係る電力増幅器を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。各実施の形態は例示であり、異なる実施の形態で示した構成の部分的な置換又は組み合わせが可能であることは言うまでもない。第2実施形態以降では第1実施形態と共通の事柄についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については実施形態毎には逐次言及しない。
【0011】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る電力増幅器を模式的に示す平面図である。なお、図1は、各電極の配置関係を分かりやすくするために、コレクタ配線40、エミッタ配線42等の各種配線を省略して示している。また、図1において、ベース電極41及びコレクタ電極39にハッチングを付している。
【0012】
以下の説明では、基板20の主面に平行な方向を第1方向Dx及び第2方向Dyとする。第1方向Dxは、第2方向Dyと直交する方向である。第1方向Dx及び第2方向Dyと直交する方向を第3方向Dzとする。第3方向Dzは、基板20の主面に垂直な方向である。また、平面視とは、第3方向Dzから見た場合の配置関係をいう。
【0013】
図1に示すように、電力増幅器10は、基板20と、複数のトランジスタ30とを有する。複数のトランジスタ30は、基板20の主面に設けられ、第2方向Dyに配列される。複数のトランジスタ30は、それぞれ、エミッタ電極31、ベース電極41及びコレクタ電極39を有する。
【0014】
平面視で、エミッタ電極31は、ベース電極41及びコレクタ電極39よりも大きい面積を有する。ベース電極41及びコレクタ電極39は、エミッタ電極31の上に重なって設けられる。コレクタ電極39は、平面視で第1方向Dxに長い長方形である。
【0015】
ベース電極41は、平面視で、コレクタ電極39と隣り合って配置される略U字状である。具体的には、ベース電極41は2つの主部41a、41bと、主部41a、41bを接続する接続部41cと、を有する。2つの主部41a、41bは、それぞれ、第1方向Dxに延在する。コレクタ電極39は、第2方向Dyで隣り合う主部41aと、主部41bとの間に設けられる。接続部41cは、コレクタ電極39の短辺と第1方向Dxに隣り合って設けられ、主部41a、41bの同じ側の端部を接続する。
【0016】
なお、エミッタ電極31、ベース電極41及びコレクタ電極39の構成は、あくまで一例であり適宜変更することができる。例えば、ベース電極41は、接続部41cがなくてもよい。また、エミッタ電極31は、複数のトランジスタ30ごとに分離して設けられているが、これに限定されず、複数のトランジスタ30に1つのエミッタ電極31が共用されてもよい。
【0017】
図2は、図1のII-II’断面図である。図2では、1つのトランジスタ30を示しているが、図2のトランジスタ30についての説明は、他の複数のトランジスタ30にも適用できる。また、以下の説明では、基板20の主面に垂直な方向において、基板20からコレクタ配線40に向かう方向を「上側」又は単に「上」とする。また、コレクタ配線40から基板20に向かう方向を「下側」又は単に「下」とする。
【0018】
図2に示すように、トランジスタ30は、基板20の主面の上に設けられる。基板20は、半導体からなる表層部を含む。半導体は、単体半導体系、例えば、シリコン系の半導体素子やゲルマニウム系の半導体素子であってもよい。基板20として、例えばシリコン(Si)基板、シリコンオンインシュレータ(SOI)基板、ガリウムヒ素(GaAs)基板等を用いることができる。
【0019】
基板20の主面の上に基板側絶縁層21が設けられる。基板側絶縁層21の材料は、例えば、SIO、SiN、ポリイミド等が用いられる。
【0020】
トランジスタ30は、例えばヘテロ接合型バイポーラトランジスタ(HBT:Heterojunction Bipolar Transistor)である。トランジスタ30は、基板側絶縁層21の上に設けられる。トランジスタ30は、基板20の主面側から、この順で積層されたエミッタ層34、ベース層35及びコレクタ層37を有する。
【0021】
エミッタ層34はn型InGaPで形成される。ベース層35はp型GaAsで形成される。コレクタ層37はn型GaAsで形成される。なお、これらの半導体層を、他の化合物半導体、例えばInP、GaN、SiGe、SiC等で形成してもよい。
【0022】
より具体的には、トランジスタ30は、基板20の主面の上に、エミッタ電極31、コンタクト層32、キャップ層33、エミッタ層34、ベース層35、エッチング停止層36、コレクタ層37、サブコレクタ層38、コレクタ電極39、コレクタ配線40の順に積層される。さらにトランジスタ30は、絶縁物45と、ベース層35に電気的に接続されるベース電極41と、エミッタ電極31に電気的に接続されるエミッタ配線42と、を有する。
【0023】
エミッタ電極31は、基板側絶縁層21の上に設けられた第1部分31aと、第1部分31aの上に設けられた第2部分31bとを有する。第2部分31bの第2方向Dyでの幅は、第1部分31aの第2方向Dyでの幅よりも小さい。また、第2部分31bの第2方向Dyでの幅は、エミッタ電極31の上に積層されたコンタクト層32、キャップ層33及びエミッタ層34の第2方向Dyでの幅と等しい。エミッタ電極31は、基板20に形成された第1部分31aと、母基板100(図3参照)に形成された第2部分31bとが接合されて、一体に形成される。
【0024】
エミッタ電極31の第2部分31bの上に、コンタクト層32、キャップ層33、エミッタ層34の順に積層される。また、絶縁物45は、エミッタ電極31の第1部分31aの上に設けられ、第2部分31b、コンタクト層32、キャップ層33及びエミッタ層34と、第2方向Dyで隣接して設けられる。より具体的には、第2方向Dyで第2部分31b、コンタクト層32、キャップ層33及びエミッタ層34は、2つの絶縁物45の間に挟まれて配置される。絶縁物45の高さは、第2部分31b、コンタクト層32、キャップ層33及びエミッタ層34の合計の高さと等しい。ベース・エミッタ間の寄生容量を減らすために絶縁物45は誘電率が低い材料が好ましい。例えば、SIO、ポリイミド等が用いられる。絶縁物45の誘電率は、エミッタ層34の誘電率よりも低い。絶縁物45の比誘電率は、例えば7以下程度であり、エミッタ層34の誘電率は、例えば12.9程度である。
【0025】
ベース層35は、絶縁物45及びエミッタ層34の上に設けられる。すなわち、ベース層35の第2方向Dyでの幅は、エミッタ層34の第2方向Dyでの幅よりも大きい。第3方向Dzで、絶縁物45は、基板20とベース層35との間に設けられる。また、エミッタ電極31は、絶縁物45及びエミッタ層34と、基板20との間に設けられる。
【0026】
エッチング停止層36は、ベース層35の上に設けられる。エッチング停止層36は、ベース層35の上面全体を覆って設けられる。エッチング停止層36は、ベース層35と異なる材料で形成され、例えば、InGaP、AlAs等で形成される。なお、本明細書において、「上面」とは上側、すなわち基板20の主面に垂直な方向において、基板20からコレクタ配線40に向かう方向に向けられた面であり、「下面」とは下側、すなわちコレクタ配線40から基板20に向かう方向に向けられた面である。
【0027】
エッチング停止層36の上にコレクタ層37、サブコレクタ層38、コレクタ電極39の順に積層される。コレクタ層37、サブコレクタ層38及びコレクタ電極39の第2方向Dyでの幅は、ベース層35の第2方向Dyでの幅よりも小さい。言い換えると、ベース層35は、コレクタ層37、サブコレクタ層38及びコレクタ電極39が設けられた重畳領域と、コレクタ層37、サブコレクタ層38及びコレクタ電極39が設けられない非重畳領域とを有する。
【0028】
また、コレクタ層37、サブコレクタ層38及びコレクタ電極39は、エミッタ層34と重畳する領域に設けられる。コレクタ層37、サブコレクタ層38及びコレクタ電極39の第2方向Dyでの幅は、エミッタ層34の第2方向Dyでの幅と等しいまたはより広い。
【0029】
ベース電極41は、ベース層35の上面の非重畳領域に設けられる。ベース電極41は、ベース層35のコレクタ層37が設けられた面と同じ側の面に設けられる。また、第3方向Dzで、エミッタ電極31とベース電極41との間に、絶縁物45及びベース層35が設けられる。
【0030】
コレクタ配線40は、コレクタ電極39の上に設けられ、コレクタ電極39と電気的に接続される。エミッタ配線42は、エミッタ電極31の第1部分31aの上に設けられ、エミッタ電極31と電気的に接続される。エミッタ配線42は、絶縁物45及びベース層35と第2方向Dyに隣り合って配置される。
【0031】
図3は、電力増幅器の製造方法を説明するための説明図である。図3に示すように、電力増幅器の製造方法では、まず、製造装置は、母基板100の上に剥離層101をエピタキシャル成長させ、剥離層101の上に素子形成層102を形成する(ステップST1)。母基板100は、GaAs等の化合物半導体の単結晶基板が用いられる。素子形成層102には、図2に示したサブコレクタ層38、コレクタ層37、エッチング停止層36、ベース層35、エミッタ層34、キャップ層33及びコンタクト層32が、この順で剥離層101の上に積層される。つまり、素子形成層102は、図2に示したトランジスタ30の一部を、上下反転させた積層構造で形成される。これらの素子構造は、一般的な半導体プロセスにより形成される。図3では、素子形成層102に形成されている素子構造については記載を省略している。この段階では、素子形成層102に複数のトランジスタ30に相当する素子構造が形成されており、個々のトランジスタ30に分離されていない。
【0032】
次に、レジストパターン(図示せず)をエッチングマスクとして、素子形成層102及び剥離層101をパターニングする(ステップST2)。この段階で、素子形成層102はトランジスタ30ごとに分離される。また、ステップST2では、エミッタ層34、キャップ層33及びコンタクト層32及びエミッタ電極31の第2部分31bが、パターニングされ、絶縁物45がベース層35上に形成される。
【0033】
次に、エミッタ電極31の第1部分31aが設けられた基板20を用意し、基板20に素子形成層102を貼り付ける(ステップST3)。この工程では、母基板100の素子形成層102が形成された面が、基板20の第1部分31aが設けられた主面と対向して配置される。基板20に設けられた第1部分31aと、素子形成層102に設けられた第2部分31bとが接合される。また、素子形成層102に設けられた絶縁物45は、基板20に設けられた第1部分31aと接する。
【0034】
次に、母基板100及び素子形成層102に対して剥離層101を選択的にエッチングする。これにより、素子形成層102及び基板20が母基板100から剥離される(ステップST4)。剥離層101を選択的にエッチングするために、剥離層101として、母基板100及び素子形成層102のいずれともエッチング耐性の異なる化合物半導体が用いられる。
【0035】
次に、素子形成層102の上面側にコレクタ電極39を形成し、コレクタ層37、サブコレクタ層38をパターニングする(ステップST5)。この際、エッチング停止層36により、非重畳領域のベース層35のエッチングの進行が抑制される。これにより、コレクタ層37、サブコレクタ層38及びコレクタ電極39の第2方向Dyの幅が、ベース層35の第2方向Dyの幅よりも小さく形成される。
【0036】
次に、製造装置は、素子形成層102のベース層35の上にベース電極41を形成する(ステップST6)。さらに、必要に応じて、素子絶縁膜や、コレクタ配線40、エミッタ配線42及びベース配線43(図6参照)や、導体突起51(図6参照)等が形成される。以上のような工程で複数のトランジスタ30を有する電力増幅器10を製造できる。
【0037】
なお、上述した電力増幅器10の構成及び製造方法はあくまで一例であり、適宜変更することができる。例えば、第1実施形態では、電力増幅器10は複数のトランジスタ30有しているが、1つのトランジスタ30を有していてもよい。また、エミッタ電極31は、第1部分31aと第2部分31bとが積層されているが、これに限定されず、いずれか1層のみで形成されていてもよい。
【0038】
以上説明したように、第1実施形態の電力増幅器10は、基板20と、基板20の主面に、この順で積層されたエミッタ層34、ベース層35及びコレクタ層37を有する電力増幅器10であって、エミッタ層34と隣接して設けられる絶縁物45と、エミッタ層34及び絶縁物45と、基板20との間に設けられたエミッタ電極31と、ベース層35に電気的に接続されるベース電極41と、コレクタ層37に電気的に接続されるコレクタ電極39と、を有する。基板20の主面に垂直な方向で、エミッタ電極31とベース電極41との間に、絶縁物45及びベース層35が設けられる。
【0039】
これによれば、ベース電極41は、ベース層35の、コレクタ層37と同じ側の面に設けられる。このため、ベース電極41がベース層35のエミッタ電極31と同じ側の面に形成される構成に比べて、ベース配線は形成しやすく、エミッタ配線42との距離が大きくなり、エミッタとベースとの間に形成される寄生容量を抑制することができる。この結果、電力増幅器10は、高周波特性の低下を抑制することができる。
【0040】
また、ベース電極41はベース層35のコレクタ層37と同じ側の面に設けられ、ベース電極41の形状等の自由度を高めることができる。その結果、配線等の断線も防ぐことが可能となる。すなわち、ベース抵抗の低減を図るために、ベース電極41を厚く形成した場合であっても、ベース電極41から接続するベース引き出し配線の断線などを防ぐための十分な厚さを確保することが可能となる。
【0041】
また、ベース層35のエミッタ層34と非重畳領域に絶縁物45が設けられているので、非重畳領域でのベース層35とエミッタ電極31との間の高抵抗化を図ることができる。すなわち、絶縁物45の存在により、ベース-エミッタ接合面積は、ベース-コレクタ接合面積と同程度またはより小さく形成される。この結果、電力増幅器10は増幅率の向上を図ることができる。
【0042】
また、電力増幅器10は、基板20の主面とエミッタ電極31との間に設けられた基板側絶縁層21を有する。これによれば、電力増幅器10は、基板20と、トランジスタ30のエミッタ電極31との間のリーク電流及び基板20の寄生容量を抑制することができる。
【0043】
また、電力増幅器10において、コレクタ電極39は、ベース層35のベース電極41が設けられた面と同じ面側に設けられ、平面視でベース電極41と隣り合って配置される。これによれば、電力増幅器10は、コレクタ層37及びコレクタ電極39を基板20側に設けた構成に比べて、コレクタ容量の増大を抑制することができる。
【0044】
また、電力増幅器10において、絶縁物45の誘電率は、エミッタ層34の誘電率よりも低い。これによれば、ベース電極41とエミッタ電極31との間に、低誘電率材料である絶縁物45が設けられるので、エミッタとベースとの間に形成される寄生容量を抑制することができる。
【0045】
また、電力増幅器10において、基板20の熱伝導率は、エミッタ層34、ベース層35及びコレクタ層37のいずれの熱伝導率よりも高くすることができる。これによれば、トランジスタ30のエミッタ電極31から基板20に伝導された熱を、基板20内に十分拡散させて効率的に放熱させることができる。
【0046】
また、電力増幅器10において、基板20の主面に垂直な方向で、ベース層35とコレクタ層37との間にエッチング停止層36が設けられている。これによれば、エッチング停止層36は、ベース層35のエッチングの進行を抑制することができる。したがって、ベース層35及びエッチング停止層36の上に形成されたコレクタ層37及びサブコレクタ層38を、エッチングにより良好にパターニングすることができる。エッチング停止層36の膜厚は3~5nmで、コレクタ層37に流れる電子に対してトンネル効果が生じ、電力増幅器10の特性低下を抑制することができる。
【0047】
(第1実施形態の変形例)
図4は、第1実施形態の変形例に係る電力増幅器を模式的に示す断面図である。なお、以下の説明では、上述した実施形態と同じ構成要素には、同じ参照符号を付して、説明を省略する。図4に示すように、第1実施形態の変形例の電力増幅器10Aは、上述した第1実施形態に比べて、基板側絶縁層21及びエッチング停止層36が設けられていない構成が異なる。
【0048】
すなわち、エミッタ電極31(第1部分31a)は、基板20の主面に直接設けられている。第1実施形態の変形例では、エミッタ電極31と基板20との間に基板側絶縁層21が設けられていないため、トランジスタ30Aで発生した熱がエミッタ電極31から基板20に良好に伝導される。この結果、電力増幅器10Aは、放熱特性を向上させることができる。
【0049】
また、コレクタ層37は、第3方向Dzで、ベース層35の上に直接接して設けられている。第1実施形態の変形例では、電力増幅器10Aはダブルヘテロ接合型バイポーラトランジスタ(DHBT)が用いられる。ベース層35は、コレクタ層37と異なる材料で形成されている。ベース層35の材料として、例えばInPが用いられ、コレクタ層37の材料として、例えばInGaAsが用いられる。これにより、コレクタ層37及びサブコレクタ層38を、エッチングによりパターニングしつつ、ベース層35の非重畳領域の部分のエッチングの進行を抑制することができる。
【0050】
なお、第1実施形態の変形例では、基板側絶縁層21及びエッチング停止層36の両方がない構成を説明したが、これに限定されない。例えば、基板側絶縁層21が設けられ、エッチング停止層36がない構成であってもよいし、基板側絶縁層21がなく、エッチング停止層36が設けられた構成であってもよい。
【0051】
(第2実施形態)
図5は、第2実施形態に係る電力増幅器を模式的に示す断面図である。第2実施形態では、上述した第1実施形態及び第1実施形態の変形例とは異なり、電力増幅器10Bが、基板20の主面に形成された少なくとも1つの基板側トランジスタ27を有する構成について説明する。
【0052】
基板側トランジスタ27は、例えばシリコン系のMOSトランジスタまたはシリコン系のバイポーラトランジスタである。また、基板側トランジスタ27は、CMOS構造であってもよい。
【0053】
基板20の主面には、基板側トランジスタ27を覆って多層配線構造21Aが設けられている。多層配線構造21Aは、複数の配線25及び複数のビア26を含む。基板側トランジスタ27は、多層配線構造21Aの少なくとも1つの配線25及びビア26に電気的に接続されている。
【0054】
第2実施形態では、基板20の主面に設けられた基板側トランジスタ27で構成される電子回路と、多層配線構造21Aの上に設けられたトランジスタ30等の半導体素子で構成される電子回路とが、多層配線構造21Aを介して電気的に接続される。このため、化合物半導体系の半導体素子と、単体半導体系(シリコン系)の半導体素子とを、モジュール基板等を介すことなく、電力増幅器10Bで接続することができる。これにより、電力増幅器10Bは小型化を図ることができる。なお、モジュール基板には化合物半導体系の半導体素子と、単体半導体系(シリコン系)の半導体素子とを含む電力増幅器、その他の受動部品、その他の能動部品が配置される。このモジュール基板が、高周波モジュールを構成しマザーボードに実装される。
【0055】
なお、基板側トランジスタ27及び多層配線構造21Aの上に形成されるトランジスタ30の構成は、異なっていてもよい。例えば、第2実施形態は、上述した第1実施形態の変形例のトランジスタ30Aと組み合わせることができる。
【0056】
(第3実施形態)
図6は、第3実施形態に係る電力増幅器を模式的に示す平面図である。第3実施形態では、上述した第1実施形態、第2実施形態及び第1実施形態の変形例とは異なり、電力増幅器10Cが、容量素子57及び抵抗素子58を有する構成について説明する。
【0057】
図6に示すように、容量素子57及び抵抗素子58は、複数のトランジスタ30のそれぞれに接続される。電力増幅器10Cは、さらに、RF入力配線55及びバイアス入力配線59を有する。RF入力配線55及びバイアス入力配線59は、それぞれ第2方向Dyに延在し、第1方向Dxに隣り合って配列される。RF入力配線55は、トランジスタ30のベースに高周波入力信号を供給する配線である。バイアス入力配線59は、トランジスタ30のベースにベースバイアス信号(直流電圧信号)を供給する配線である。
【0058】
複数の抵抗素子58は、バイアス入力配線59に並列に接続される。抵抗素子58の一端側は、バイアス入力配線59に接続され、抵抗素子58の他端側は、対向電極56に接続される。対向電極56は、RF入力配線55と対向して配置される。容量素子57は、対向して配置されるRF入力配線55の一部と、対向電極56とで形成される。複数のトランジスタ30に共通のRF入力配線55が設けられ、複数のトランジスタ30ごとに複数の対向電極56が設けられる。対向電極56は、ベース配線43及びコンタクトホールH6(図7参照)を介してトランジスタのベース電極41に電気的に接続される。
【0059】
電力増幅器10Cは、さらに、コレクタ引出配線50、エミッタ引出配線52及び導体突起51、53を有する。コレクタ引出配線50は、複数のトランジスタ30を覆って第2方向Dyに延在する。コレクタ引出配線50は、複数のトランジスタ30のコレクタ配線40に接続される。導体突起51は、コレクタ引出配線50に重畳し、コンタクトホールH1を介してコレクタ引出配線50と接続される。
【0060】
エミッタ引出配線52は、複数のトランジスタ30と第1方向Dxに隣り合って配置され、第2方向Dyに延在する。エミッタ引出配線52は、複数のトランジスタ30のエミッタ配線42に接続される。導体突起53は、エミッタ引出配線52に重畳し、コンタクトホールH2を介してエミッタ引出配線52と接続される。導体突起51、53をCuで形成し、その上にハンダを載せた構造は、「Cuピラーバンプ」といわれる。なお、導体突起51、53として、Auバンプのように上面にハンダを載せない構造のものを用いてもよい。このような構造の突起は、「ピラー」ともいわれる。また、導体突起51、53として、パッド上に導体柱を立てた構造のものを採用してもよい。このような構造の導体突起は、「ポスト」ともいわれる。また、導体突起51、53としてハンダをリフローさせてボール状にしたボールバンプを用いてもよい。導体突起51、53として、これらの種々の構造のものの他にも、基板から突出した導体を含む種々の構造のものを用いることができる。
【0061】
図7は、図6の1つのトランジスタ、このトランジスタに接続される1つの容量素子及び一つの抵抗素子を拡大して示す平面図である。図8は、図7のA-A’断面及びB-B’断面を示す断面図である。図7に示すように、ベース配線43は第1方向Dxに延在する。ベース配線43の一端側は対向電極56に接続され、ベース配線43の他端側は、トランジスタ30を覆う絶縁層(図示しない)に設けられたコンタクトホールH6を介して、ベース電極41の接続部41cに接続される。
【0062】
コレクタ配線40は、コレクタ電極39に重畳して設けられ、第1方向Dxに延在する。コレクタ配線40は、トランジスタ30を覆う絶縁層(図示しない)に設けられたコンタクトホールH5を介してコレクタ電極39に接続される。
【0063】
エミッタ配線42は、エミッタ電極31の、ベース層35が設けられていない領域に重畳して設けられ、第1方向Dxに延在する。エミッタ配線42は、トランジスタ30を覆う絶縁層(図示しない)に設けられたコンタクトホールH4を介してエミッタ電極31に接続される。本実施形態では、平面視で、2つのエミッタ配線42は、第2方向Dyに隣り合って設けられる。2つのエミッタ配線42の間にコレクタ配線40が配置される。
【0064】
図8に示すように、容量素子57は、基板20の上に形成される。つまり、容量素子57及びトランジスタ30は、同じ基板20の上に形成される。基板側絶縁層21の上に、対向電極56、絶縁層61、62、RF入力配線55の順に積層される。絶縁層62には、コンタクトホールH7が設けられており、RF入力配線55はコンタクトホールH7の内部にも設けられる。RF入力配線55は、コンタクトホールH7の底部で、絶縁層61を介して対向電極56と対向する。このような構成で、容量素子57が形成される。
【0065】
また、図8では図示を省略しているが、抵抗素子58及びバイアス入力配線59(図6、7参照)も基板20上に形成される。抵抗素子58及びバイアス入力配線59は、対向電極56と同層に設けられていてもよいし、RF入力配線55と同層に設けられてもよい。あるいは、抵抗素子58及びバイアス入力配線59は、容量素子57と別の層を利用してもよい。
【0066】
第3実施形態では、複数のトランジスタ30、容量素子57、抵抗素子58及び各種配線が同一の基板20の主面に設けられる。すなわち、電力増幅器10Cは、複数のトランジスタ30を含む複数の回路素子が、同一の基板20に集積されて、増幅回路として形成される。したがって、電力増幅器10Cは、各素子を別の基板に形成した構成に比べて小型化を図ることができる。
【0067】
(第3実施形態の変形例)
図9は、第3実施形態の変形例に係る1つのトランジスタ、このトランジスタに接続される1つの容量素子及び一つの抵抗素子を拡大して示す平面図である。第3実施形態の変形例では、上述した各実施形態及び第1実施形態の変形例と異なり、トランジスタ30に1つのエミッタ配線42が接続される構成について説明する。
【0068】
図9に示すように、エミッタ電極31の第1方向Dxでの幅は、ベース層35の第1方向Dxでの幅よりも大きく形成される。エミッタ配線42は、平面視で、ベース層35、ベース電極41及びコレクタ配線40と、第1方向Dxに隣り合って設けられる。エミッタ配線42の一端側は、トランジスタ30を覆う絶縁層(図示しない)に設けられたコンタクトホールH8を介してエミッタ電極31に接続される。
【0069】
本変形例では、ベース配線43、コレクタ配線40及びエミッタ配線42は、それぞれ第1方向Dxに延在し、一直線上に配置される。これにより、第2方向Dyでのトランジスタ30Bの小型化を図ることができる。また、複数のトランジスタ30Bを第2方向Dyに配列したマルチセル構造の電力増幅器10Dでは、複数のトランジスタ30Bの配置ピッチを小さくすることができ、第2方向Dyでの小型化を図ることができる。
【0070】
(第4実施形態)
図10は、第4実施形態に係る電力増幅器を模式的に示す断面図である。第4実施形態の電力増幅器10Eでは、上述した各実施形態及び各変形例とは異なり、エミッタ電極31Aが基板20の主面に設けられない構成について説明する。
【0071】
具体的には、トランジスタ30Cは、基板20の主面に直接設けられる。第4実施形態では、基板20の主面に基板側絶縁層21及び第1部分31a(図2参照)は設けられていない。基板20の、コンタクト層32、キャップ層33及びエミッタ層34と重畳する領域には、貫通孔H9が設けられる。言い換えると、貫通孔H9の主面側の開口を覆ってコンタクト層32が設けられる。エミッタ電極31Aは、貫通孔H9の内壁に設けられるとともに、コンタクト層32の下面と接する。これにより、エミッタ電極31Aは、貫通孔H9、コンタクト層32及びキャップ層33を介してエミッタ層34と電気的に接続される。
【0072】
トランジスタ30Cの絶縁物45は、貫通孔H9と重畳しない領域で、基板20の主面に直接接して設けられる。また、絶縁物45は、第3方向Dzで、基板20の主面とベース層35との間に設けられる。絶縁物45は、コンタクト層32、キャップ層33及びエミッタ層34と隣接して設けられる。絶縁物45は、エミッタ電極31Aの一部(第2部分31b(図2参照))とは隣接していない。
【0073】
エミッタ電極31Aは、母基板100(図3参照)に形成されたトランジスタ30Cを基板20に貼り付けた後、基板20の裏面側から蒸着などの薄膜法により形成することができる。なお、エミッタ電極31Aの形成方法は、蒸着に限定されず、印刷法など他の方法であってもよい。
【0074】
本実施形態では、エミッタ電極31Aは、エミッタ層34と重畳する領域に設けられる。すなわち、ベース層35の非重畳領域と対向する第1部分31a(図2参照)が設けられない。このため、第4実施形態の電力増幅器10Eが有するトランジスタ30Cでは、上述した各実施形態に比べて、ベース-エミッタ間の寄生容量を低減することができる。
【0075】
図11は、第4実施形態に係る電力増幅器を模式的に示す平面図である。図12は、図11のXII-XII’断面図である。図11及び図12に示すように、エミッタ配線42Aは、エミッタ電極31A及び貫通孔H9を覆って、基板20の裏面側に形成される。図11に示すように、基板20の主面側には、エミッタ電極31A及びエミッタ配線42Aは設けられない。このため、平面視での、トランジスタ30Cの第2方向Dyでの幅は、ベース層35の第2方向Dyでの幅で規定される。このような構成により、複数のトランジスタ30Cを第2方向Dyに配列したマルチセル構造の電力増幅器10Eでは、複数のトランジスタ30Cの配置ピッチを小さくすることができ、第2方向Dyでの小型化を図ることができる。
【0076】
また、図12に示すように、複数のコレクタ配線40の上に、コレクタ引出配線50及び導体突起51が積層される。導体突起51の上にはんだ64が設けられる。
【0077】
なお、貫通孔H9の主面側の開口の幅は、コンタクト層32の幅と同じ大きさで形成されている。ただし、これに限定されず、貫通孔H9の主面側の開口の幅は、コンタクト層32の幅と異なっていてもよい。また、図12では、基板20の裏面に基板裏面側絶縁層22が設けられている。ただし、基板裏面側絶縁層22はなくてもよい。
【0078】
(第5実施形態)
図13は、第5実施形態に係る電力増幅器を模式的に示す断面図である。第5実施形態の電力増幅器10Fでは、上述した各実施形態及び各変形例とは異なり、コレクタ配線40及びエミッタ配線42の直上に導体突起72、75が設けられる構成について説明する。
【0079】
図13に示すように、コレクタ電極39に接続されたコレクタ配線40の上に、下地金属層71、導体突起72、はんだ73の順に設けられる。また、エミッタ電極31に接続されたエミッタ配線42の上に、下地金属層74、導体突起75、はんだ76の順に設けられる。
【0080】
導体突起72、75は、例えば、Cuピラーバンプであり、電界メッキ法により形成される。ただし、導体突起72、75は、例えば、ハンダバンプやスタッドバンプでもよく、Au等の他の金属材料により構成されてもよい。下地金属層71、74は、導体突起72、75を形成する際のメッキ種電極である。
【0081】
本実施形態では、導体突起72、75が設けられていることにより、トランジスタ30Dの上面側の放熱特性を向上させることができる。また、導体突起72、75がコレクタ配線40及びエミッタ配線42の直上に設けられ、コレクタ引出配線50、エミッタ引出配線52(図6参照)が設けられていないので、積層構造を簡易にできる。
【0082】
なお、上記した実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更/改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【符号の説明】
【0083】
10、10A、10B、10C、10D、10E、10F 電力増幅器
20 基板
21 基板側絶縁層
21A 多層配線構造
22 基板裏面側絶縁層
27 基板側トランジスタ
30、30A、30B、30C、30D トランジスタ(HBT)
31、31A エミッタ電極
32 コンタクト層
33 キャップ層
34 エミッタ層
35 ベース層
36 エッチング停止層
37 コレクタ層
38 サブコレクタ層
39 コレクタ電極
40 コレクタ配線
41 ベース電極
42 エミッタ配線
43 ベース配線
45 絶縁物
50 コレクタ引出配線
51、53、72、75 導体突起
52 エミッタ引出配線
55 RF入力配線
56 対向電極
57 容量素子
58 抵抗素子
59 バイアス入力配線
100 母基板
101 剥離層
102 素子形成層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13