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特許7521441電源制御装置、それを備える画像形成装置および電源を制御する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】電源制御装置、それを備える画像形成装置および電源を制御する方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20240717BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20240717BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
H02M3/28 H
G03G21/00 398
G03G15/00 680
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021013379
(22)【出願日】2021-01-29
(65)【公開番号】P2022116947
(43)【公開日】2022-08-10
【審査請求日】2023-06-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 拓
(72)【発明者】
【氏名】野々山 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】舛田 純一
(72)【発明者】
【氏名】山本 豊
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼津 宏明
【審査官】栗栖 正和
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-171289(JP,A)
【文献】特開2016-063633(JP,A)
【文献】特開2020-167803(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/28
G03G 21/00
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流を直流に変換するAC/DCコンバーターと、
前記AC/DCコンバーターの出力電圧を監視する電圧監視部と、
前記AC/DCコンバーターの変換動作のオン/オフを制御する制御部とを備え、
前記制御部は、
前記AC/DCコンバーターに接続される負荷に応じて前記AC/DCコンバーターの前記出力電圧の下限値を設定し、
前記電圧監視部より取得した前記出力電圧の値と、前記下限値とに基づいて、前記出力電圧を調節
前記AC/DCコンバーターに接続される前記負荷の変更を検出し、
前記負荷の変更に基づいて、前記下限値を更新する、電源制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、
予め定められた電圧の範囲内で前記下限値を設定し、
前記予め定められた電圧の範囲内で、前記出力電圧の上限値を設定し、
前記出力電圧を調節することは、前記下限値から前記上限値の間の値になるように、前記出力電圧を調節することを含む、請求項1に記載の電源制御装置。
【請求項3】
前記AC/DCコンバーターには、1または複数の負荷が接続され、
前記負荷に応じて前記AC/DCコンバーターの前記出力電圧の下限値を設定することは、前記1または複数の負荷の全てが動作可能となる最低電圧以上になるように、前記下限値を設定することを含む、請求項1または2に記載の電源制御装置。
【請求項4】
前記負荷は、DC/DCコンバーターを含み、
前記DC/DCコンバーターは、予め定められた条件下において、通常よりも低いスイッチング周波数での発振、または、間欠発振による低電力動作を行うように構成されており、
前記負荷に応じて前記AC/DCコンバーターの前記出力電圧の下限値を設定することは、前記DC/DCコンバーターが前記低電力動作を行なうことが可能な最低電圧以上になるように、前記下限値を設定することを含む、請求項に記載の電源制御装置。
【請求項5】
前記負荷は、DC/DCコンバーターと、前記DC/DCコンバーター以外の他の負荷とを含み、
前記負荷に応じて前記AC/DCコンバーターの前記出力電圧の下限値を設定することは、前記DC/DCコンバーターが低電力動作可能な第1の最低電圧、および、前記他の負荷が動作可能な第2の最低電圧のいずれか高い方の電圧以上となるように、前記下限値を設定することを含む、請求項に記載の電源制御装置。
【請求項6】
前記負荷は、第1のDC/DCコンバーターと、第2のDC/DCコンバーターとを含み、
前記負荷に応じて前記AC/DCコンバーターの前記出力電圧の下限値を設定することは、前記第1のDC/DCコンバーターが動作可能な第1の最低電圧、および、前記第2のDC/DCコンバーターが動作可能な第2の最低電圧のいずれか高い方の電圧以上になるように、前記下限値を設定することを含む、請求項に記載の電源制御装置。
【請求項7】
前記負荷は、低電力動作の機能を有する第1のDC/DCコンバーターと、低電力動作の機能を有さない第2のDC/DCコンバーターと、DC/DCコンバーター以外のその他の負荷とを含み、
前記負荷に応じて前記AC/DCコンバーターの前記出力電圧の下限値を設定することは、前記第1のDC/DCコンバーターが低電力動作可能な第1の最低電圧、前記第2のDC/DCコンバーターが動作可能な第2の最低電圧、および、前記他の負荷が動作可能な第3の最低電圧の中で最も高い電圧以上になるように、前記下限値を設定することを含む、請求項に記載の電源制御装置。
【請求項8】
前記負荷は、通常モードまたは省電力モードで動作し、
前記制御部は、
前記通常モードにおいて、前記AC/DCコンバーターの前記出力電圧を一定に調節し、
前記省電力モードにおいて、前記下限値以上になるように、前記AC/DCコンバーターの前記出力電圧を調節する、請求項に記載の電源制御装置。
【請求項9】
前記省電力モードは、少なくとも、第1の省電力モードおよび第2の省電力モードを含み、
前記制御部は、
前記第1の省電力モードにおける前記下限値を第1の下限値に設定し、
前記第2の省電力モードにおける前記下限値を前記第1の下限値とは異なる第2の下限値に設定し、
前記第1の省電力モードにおいて、前記第1の下限値以上になるように、前記AC/DCコンバーターの前記出力電圧を調節し、
前記第2の省電力モードにおいて、前記第2の下限値以上になるように、前記AC/DCコンバーターの前記出力電圧を調節する、請求項に記載の電源制御装置。
【請求項10】
前記負荷は、DC/DCコンバーターを含み、
前記DC/DCコンバーターの出力電流を監視するための出力電流監視部をさらに備え、
前記制御部は、
前記出力電流監視部から、前記DC/DCコンバーターの出力電流を取得し、
前記負荷に応じて前記AC/DCコンバーターの前記出力電圧の下限値を設定することは、前記DC/DCコンバーターの前記出力電流に基づいて、前記DC/DCコンバーターが低電力動作可能となる最低電圧以上になるように、前記下限値を設定することを含む、請求項に記載の電源制御装置。
【請求項11】
請求項1~10のいずれかに記載の電源制御装置を備える、画像形成装置。
【請求項12】
電源を制御する方法であって、
AC/DCコンバーターが交流を直流に変換するステップと、
前記AC/DCコンバーターの出力電圧を監視するステップと、
前記AC/DCコンバーターに接続される負荷に応じて前記AC/DCコンバーターの前記出力電圧の下限値を設定するステップと、
前記出力電圧の値と、前記下限値とに基づいて、前記AC/DCコンバータ―の変換動作を制御して、前記出力電圧を調節するステップと
前記AC/DCコンバーターに接続される前記負荷の変更を検出するステップと、
前記負荷の変更に基づいて、前記下限値を更新するステップとを含む、方法。
【請求項13】
前記方法は、予め定められた電圧の範囲内で前記下限値を設定するステップと、
前記予め定められた電圧の範囲内で、前記出力電圧の上限値を設定するステップとをさらに含み、
前記出力電圧を調節するステップは、前記下限値から前記上限値の間の値になるように、前記出力電圧を調節するステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記AC/DCコンバーターには、1または複数の負荷が接続され、
前記負荷に応じて前記AC/DCコンバーターの前記出力電圧の下限値を設定するステップは、前記1または複数の負荷の全てが動作可能となる最低電圧以上になるように、前記下限値を設定するステップを含む、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
前記負荷は、DC/DCコンバーターを含み、
前記DC/DCコンバーターは、予め定められた条件下において、通常よりも低いスイッチング周波数での発振、または、間欠発振による低電力動作を行うように構成されており、
前記負荷に応じて前記AC/DCコンバーターの前記出力電圧の下限値を設定するステップは、前記DC/DCコンバーターが前記低電力動作を行なうことが可能な最低電圧以上になるように、前記下限値を設定するステップを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記負荷は、DC/DCコンバーターと、前記DC/DCコンバーター以外の他の負荷とを含み、
前記負荷に応じて前記AC/DCコンバーターの前記出力電圧の下限値を設定するステップは、前記DC/DCコンバーターが低電力動作可能な第1の最低電圧、および、前記他の負荷が動作可能な第2の最低電圧のいずれか高い方の電圧以上となるように、前記下限値を設定するステップを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記負荷は、第1のDC/DCコンバーターと、第2のDC/DCコンバーターとを含み、
前記負荷に応じて前記AC/DCコンバーターの前記出力電圧の下限値を設定するステップは、前記第1のDC/DCコンバーターが動作可能な第1の最低電圧、および、前記第2のDC/DCコンバーターが動作可能な第2の最低電圧のいずれか高い方の電圧以上になるように、前記下限値を設定するステップを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記負荷は、低電力動作の機能を有する第1のDC/DCコンバーターと、低電力動作の機能を有さない第2のDC/DCコンバーターと、DC/DCコンバーター以外のその他の負荷とを含み、
前記負荷に応じて前記AC/DCコンバーターの前記出力電圧の下限値を設定するステップは、前記第1のDC/DCコンバーターが低電力動作可能な第1の最低電圧、前記第2のDC/DCコンバーターが動作可能な第2の最低電圧、および、前記他の負荷が動作可能な第3の最低電圧の中で最も高い電圧以上になるように、前記下限値を設定するステップを含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電源制御装置に関し、より特定的には、コンバーターの電圧制御に関する。
【背景技術】
【0002】
国際エネルギースタープログラムのような制度が運営されているように、オフィス機器等の消費電力の削減要求が高まっている。そのため、オフィス機器等の一層の省エネルギー化が求められている。その結果、オフィス機器等の省エネルギー化において、省電力モード時の機器の消費電力を低減することが重要となっている。
【0003】
消費電力の低減に関し、例えば、特開2015-171289号公報(特許文献1)は、「AC/DCコンバーターと、DC/DCコンバーターCV1およびCV2と、AC/DCコンバーターの出力電圧を指標する出力電圧監視部とを備えている。AC/DCコンバーターは、変換動作を行っている場合において、出力電圧が第1の既定値P1まで上昇したときは、変換動作を停止し、変換動作を停止している場合において、出力電圧が第2の既定値P2まで低下したときは、変換動作を開始する。第1の既定値P1は、DC/DCコンバーターCV1およびCV2が動作可能な電圧範囲の上限値のうち最も低い値以下の値であり、第2の既定値P2は、DC/DCコンバーターCV1およびCV2が動作可能な電圧範囲の下限値のうち最も高い値以上の値である」電源制御装置を開示している([要約]参照)。
【0004】
また、消費電力の低減に関する他の技術が、例えば、特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-171289号公報
【文献】特開2006-340429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1および2に開示された技術によると、電源に接続される負荷に基づいて電源の出力電圧を制御できない。したがって、電源に接続される負荷に基づいて電源の出力電圧を制御するための技術が必要とされている。
【0007】
本開示は、上記のような背景に鑑みてなされたものであって、ある局面における目的は、電源に接続される負荷に基づいて電源の出力電圧を制御するための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ある実施の形態に従うと電源制御装置が提供される、電源制御装置は、交流を直流に変換するAC/DCコンバーターと、AC/DCコンバーターの出力電圧を監視する電圧監視部と、AC/DCコンバーターの変換動作のオン/オフを制御する制御部とを備える。制御部は、AC/DCコンバーターに接続される負荷に応じてAC/DCコンバーターの出力電圧の下限値を設定し、電圧監視部より取得した出力電圧の値と、下限値とに基づいて、出力電圧を調節する。
【0009】
ある局面において、制御部は、予め定められた電圧の範囲内で下限値を設定し、予め定められた電圧の範囲内で、出力電圧の上限値を設定する。出力電圧を調節することは、下限値から上限値の間の値になるように、出力電圧を調節することを含む。
【0010】
ある局面において、制御部は、AC/DCコンバーターに接続される負荷の変更を検出し、負荷の変更に基づいて、下限値を更新する。
【0011】
ある局面において、AC/DCコンバーターには、1または複数の負荷が接続される。負荷に応じてAC/DCコンバーターの出力電圧の下限値を設定することは、1または複数の負荷の全てが動作可能となる最低電圧以上になるように、下限値を設定することを含む。
【0012】
ある局面において、負荷は、DC/DCコンバーターを含む。DC/DCコンバーターは、予め定められた条件下において、通常よりも低いスイッチング周波数での発振、または、間欠発振による低電力動作を行うように構成されている。負荷に応じてAC/DCコンバーターの出力電圧の下限値を設定することは、DC/DCコンバーターが低電力動作を行なうことが可能な最低電圧以上になるように、下限値を設定することを含む。
【0013】
ある局面において、負荷は、DC/DCコンバーターと、DC/DCコンバーター以外の他の負荷とを含む。負荷に応じてAC/DCコンバーターの出力電圧の下限値を設定することは、DC/DCコンバーターが低電力動作可能な第1の最低電圧、および、他の負荷が動作可能な第2の最低電圧のいずれか高い方の電圧以上となるように、下限値を設定することを含む。
【0014】
ある局面において、負荷は、第1のDC/DCコンバーターと、第2のDC/DCコンバーターとを含む。負荷に応じてAC/DCコンバーターの出力電圧の下限値を設定することは、第1のDC/DCコンバーターが動作可能な第1の最低電圧、および、第2のDC/DCコンバーターが動作可能な第2の最低電圧のいずれか高い方の電圧以上になるように、下限値を設定することを含む。
【0015】
ある局面において、負荷は、低電力動作の機能を有する第1のDC/DCコンバーターと、低電力動作の機能を有さない第2のDC/DCコンバーターと、DC/DCコンバーター以外のその他の負荷とを含む。負荷に応じてAC/DCコンバーターの出力電圧の下限値を設定することは、第1のDC/DCコンバーターが低電力動作可能な第1の最低電圧、第2のDC/DCコンバーターが動作可能な第2の最低電圧、および、他の負荷が動作可能な第3の最低電圧の中で最も高い電圧以上になるように、下限値を設定することを含む。
【0016】
ある局面において、負荷は、通常モードまたは省電力モードで動作する。制御部は、通常モードにおいて、AC/DCコンバーターの出力電圧を一定に調節し、省電力モードにおいて、下限値以上になるように、AC/DCコンバーターの出力電圧を調節する。
【0017】
ある局面において、省電力モードは、少なくとも、第1の省電力モードおよび第2の省電力モードを含む。制御部は、第1の省電力モードにおける下限値を第1の下限値に設定し、第2の省電力モードにおける下限値を第1の下限値とは異なる第2の下限値に設定し、第1の省電力モードにおいて、第1の下限値以上になるように、AC/DCコンバーターの出力電圧を調節し、第2の省電力モードにおいて、第2の下限値以上になるように、AC/DCコンバーターの出力電圧を調節する。
【0018】
ある局面において、負荷は、DC/DCコンバーターを含む。DC/DCコンバーターの出力電流を監視するための出力電流監視部をさらに備える。制御部は、出力電流監視部から、DC/DCコンバーターの出力電流を取得する。負荷に応じてAC/DCコンバーターの出力電圧の下限値を設定することは、DC/DCコンバーターの出力電流に基づいて、DC/DCコンバーターが低電力動作可能となる最低電圧以上になるように、下限値を設定することを含む。
【0019】
他の実施の形態に従うと、上記のいずれかの電源制御装置を備える画像形成装置が提供される。
【0020】
他の実施の形態に従うと、電源を制御する方法が提供される。方法は、AC/DCコンバーターが交流を直流に変換するステップと、AC/DCコンバーターの出力電圧を監視するステップと、AC/DCコンバーターに接続される負荷に応じてAC/DCコンバーターの出力電圧の下限値を設定するステップと、出力電圧の値と、下限値とに基づいて、AC/DCコンバータ―の変換動作を制御して、出力電圧を調節するステップとを含む。
【0021】
ある局面において、方法は、予め定められた電圧の範囲内で下限値を設定するステップと、予め定められた電圧の範囲内で、出力電圧の上限値を設定するステップとをさらに含み、出力電圧を調節するステップは、下限値から上限値の間の値になるように、出力電圧を調節するステップを含む。
【0022】
ある局面において、方法は、AC/DCコンバーターに接続される負荷の変更を検出するステップと、負荷の変更に基づいて、下限値を更新するステップとをさらに含む。
【0023】
ある局面において、AC/DCコンバーターには、1または複数の負荷が接続される。負荷に応じてAC/DCコンバーターの出力電圧の下限値を設定するステップは、1または複数の負荷の全てが動作可能となる最低電圧以上になるように、下限値を設定するステップを含む。
【0024】
ある局面において、負荷は、DC/DCコンバーターを含む。DC/DCコンバーターは、予め定められた条件下において、通常よりも低いスイッチング周波数での発振、または、間欠発振による低電力動作を行うように構成されている。負荷に応じてAC/DCコンバーターの出力電圧の下限値を設定するステップは、DC/DCコンバーターが低電力動作を行なうことが可能な最低電圧以上になるように、下限値を設定するステップを含む。
【0025】
ある局面において、負荷は、DC/DCコンバーターと、DC/DCコンバーター以外の他の負荷とを含む。負荷に応じてAC/DCコンバーターの出力電圧の下限値を設定するステップは、DC/DCコンバーターが低電力動作可能な第1の最低電圧、および、他の負荷が動作可能な第2の最低電圧のいずれか高い方の電圧以上となるように、下限値を設定するステップを含む。
【0026】
ある局面において、負荷は、第1のDC/DCコンバーターと、第2のDC/DCコンバーターとを含む。負荷に応じてAC/DCコンバーターの出力電圧の下限値を設定するステップは、第1のDC/DCコンバーターが動作可能な第1の最低電圧、および、第2のDC/DCコンバーターが動作可能な第2の最低電圧のいずれか高い方の電圧以上になるように、下限値を設定するステップを含む。
【0027】
ある局面において、負荷は、低電力動作の機能を有する第1のDC/DCコンバーターと、低電力動作の機能を有さない第2のDC/DCコンバーターと、DC/DCコンバーター以外のその他の負荷とを含む。負荷に応じてAC/DCコンバーターの出力電圧の下限値を設定するステップは、第1のDC/DCコンバーターが低電力動作可能な第1の最低電圧、第2のDC/DCコンバーターが動作可能な第2の最低電圧、および、他の負荷が動作可能な第3の最低電圧の中で最も高い電圧以上になるように、下限値を設定するステップを含む。
【発明の効果】
【0028】
ある実施の形態に従うと、電源に接続される負荷に基づいて電源の出力電圧を制御することが可能である。
【0029】
この開示内容の上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解される本開示に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】ある実施の形態に従う電源制御装置の構成の第1の例を示す図である。
図2】AC/DCコンバーター100の出力電圧の推移を示すタイムチャートの一例を示す図である。
図3】DC/DCコンバーター170の効率特性の一例を示す図である。
図4】ある実施の形態に従う電源制御装置の構成の第2の例を示す図である。
図5】ある実施の形態に従う電源制御装置の構成の第3の例を示す図である。
図6】ある実施の形態に従う電源制御装置の構成の第4の例を示す図である。
図7】オフィス機器が複数の省エネルギーモードを備える場合のAC/DCコンバーター100の出力電圧の推移を示すタイムチャートの一例を示す図である。
図8】ある実施の形態に従う電源制御装置の構成の第5の例を示す図である。
図9】DC/DCコンバーター870と、AC/DCコンバーター100の出力電圧閾値との関係を示す表の一例である。
図10】オフィス機器が図8に示す構成を備える場合のAC/DCコンバーター100の出力電圧の推移を示すタイムチャートの一例を示す図である。
図11】電源制御装置におけるAC/DCコンバーター100の出力電圧を調節する手順の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照しつつ、本開示に係る技術思想の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0032】
図1は、本実施の形態に従う電源制御装置の構成の第1の例を示す図である。電源制御装置は、AC/DCコンバーター100と、出力電圧監視部110と、オフモード制御部120と、電源制御部130と、スイッチ140と、その他の交流を直流に変換する回路とを含む。ある局面において、出力電圧監視部110、オフモード制御部120、および、電源制御部130は、AC/DCコンバーター100と一体型であってもよいし、AC/DCコンバーター100とは別の構成であってもよい。
【0033】
制御基板150は、電源制御装置に接続されている。より具体的には、制御基板150は、AC/DCコンバーター100の出力端子OP1,OP2に接続されている。制御基板150は、DC/DCコンバーター170を含む。電源制御装置および制御基板150は、例えば、画像形成装置等の任意のオフィス機器に搭載され得る。ある局面において、電源制御装置は、制御基板150を含んでいてもよい。他の局面において、電源制御装置は、制御基板150を含まなくてもよい。
【0034】
AC/DCコンバーター100は、交流電流を直流電流に変換する。出力電圧監視部110は、AC/DCコンバーター100の出力端子OP1,OP2から出力される出力電圧を監視する。出力電圧監視部110は、検出した電圧を示すフィードバック信号SN1をオフモード制御部120に出力する。
【0035】
オフモード制御部120は、電源制御部130にオフモード制御信号SN2を送信する。オフモード制御信号SN2は、電源制御部130にスイッチ140の動作を停止または開始させる(AC/DCコンバーター100に変換動作を停止または開始させる)。
【0036】
電源制御部130は、電源制御信号SN3をスイッチ140に出力して、スイッチ140のオン/オフ動作を制御する。電源制御部130は、スイッチ140に高速にオン/オフ動作を実行させることで、パルス信号を発生させることができる。また、電源制御部130は、オフモード制御信号SN2に基づいて、スイッチ140の動作を停止または開始させることができる。
【0037】
スイッチ140は、スイッチング素子であり、電源制御部130からの電源制御信号SN3に基づいて、オン/オフ動作する。ある局面において、スイッチ140は、バイポーラトランジスタ、電界効果トランジスタ、絶縁ゲートトランジスタ、または、これらを含むスイッチング回路であってもよい。
【0038】
制御基板150は、プロセッサを備え、電源制御装置が搭載されるオフィス機器の各機能を制御し得る。DC/DCコンバーター170は、AC/DCコンバーター100の出力電圧(電圧DC1)を変圧して、電圧DC2を出力する。ある局面において、DC/DCコンバーター170は、低電力動作機能を備えていてもよい。その場合、DC/DCコンバーター170は、予め定められた条件下において、通常よりも低いスイッチング周波数での発振、または、間欠発振による低電力動作を行うように構成され得る。他の局面において、DC/DCコンバーター170は、低電力動作機能を備えていなくてもよい。
【0039】
次に、AC/DCコンバーター100が交流電流を直流電流に変換して出力する手順(AC/DCコンバーター100の変換動作)、および、交流を直流に変換する回路の各々の機能について説明する。交流電源1は、AC/DCコンバーター100に交流である電源電流を供給する。ブリッジダイオードD1は、電源電流を交流から直流に変換(整流)する。平滑コンデンサーC1は、直流成分に変換された電源電流を平滑化する。
【0040】
また、電源電流は、整流ダイオードD4および起動抵抗R1を介して、直流成分となって電源制御部130に供給される。電源制御部130は、電力が供給されたことにより起動し、スイッチ140を制御する。
【0041】
スイッチ140は、電源制御部130からの電源制御信号SN3に基づいて、オン/オフ動作をする。スイッチ140がオン/オフ動作を高速で繰り返すことにより、トランスT1の一次巻線101にパルス状の高周波電流が流れる。一次巻線101に電流が流れたことにより、トランスT1の二次巻線102および補助巻線103に電流が発生する。
【0042】
補助巻線103で発生した交流電流は、整流ダイオードD3によって整流され、また、平滑コンデンサーC3によって平滑化されて電源制御部130に供給される。補助巻線103から電源制御部130に供給される電流は、起動後の電源制御部130を駆動するための電源電流となる。
【0043】
二次巻線102で発生した交流電流は、整流ダイオードD2によって整流され、さらに、平滑コンデンサーC2によって平滑化される。平滑化された電流は、AC/DCコンバーター100の出力電流として、出力端子OP1,OP2を介して、AC/DCコンバーター100に接続される負荷に供給される。なお、AC/DCコンバーター100の出力端子OP1,OP2に接続される負荷は、ケーブルまたはプリント基板回路等を介して間接的に出力端子OP1,OP2に接続され得る。
【0044】
次に、電源制御装置が、AC/DCコンバーター100の出力電圧を予め定められた範囲内で変更する手順について説明する。出力電圧監視部110は、AC/DCコンバーター100の出力電圧を監視する。また、出力電圧監視部110は、AC/DCコンバーター100の出力電圧を示すフィードバック信号SN1をオフモード制御部120および電源制御部130の各々に出力する。これ以降、各種信号の出力をHIGH/LOWで表すことがある。HIGHとは一定以上の電圧の信号、または、受信側の装置がデジタル信号として検出できるレベルの信号を意味する。逆に、LOWとは信号が出力されていないこと、一定未満の電圧の信号、または、受信側の装置がデジタル信号として検出できないレベルの信号を意味する。HIGH/LOW信号は、1/0を表すため、オン/オフ信号であるとも言える。なお、電圧または電流等の何からの値を示す信号は、HIGH/LOW信号の組み合わせ(デジタル信号)であってもよいし、アナログ信号であってもよい。
【0045】
電源制御部130は、取得したフィードバック信号SN1が示すAC/DCコンバーター100の出力電圧が一定値となるように、一次巻線101を流れる電流をPWM(Pulse Width Modulation)制御する。電源制御部130は、電源制御信号SN3により、スイッチ140を開閉することで、PWM信号を発生させる。
【0046】
オフモード制御部120は、AC/DCコンバーター100が変換動作を実行している場合において、フィードバック信号SN1が示すAC/DCコンバーター100の出力電圧が、第1の既定値P1まで上昇したときは、オフモード制御信号SN2をHIGHにする。
【0047】
電源制御部130は、オフモード制御信号SN2がHIGHになったことを検知すると、スイッチ140のオン/オフの切替動作を停止し、スイッチ140を常時オフにする。これにより、AC/DCコンバーター100は、変換動作を停止する。第1の既定値P1は、AC/DCコンバーター100が変換動作の際に出力する一定の電圧値以上に、予め設定される。
【0048】
変換動作が停止されると、AC/DCコンバーター100の出力電圧は急激には低下せず、平滑コンデンサーC2の作用により徐々に低下する。AC/DCコンバーター100が変換動作を停止している場合において、フィードバック信号SN1が示すAC/DCコンバーター100の出力電圧が第2の既定値P2まで低下したとき、オフモード制御部120は、オフモード制御信号SN2をLOWにする。オフモード制御信号SN2がLOWになると、電源制御部130は、スイッチ140のオン/オフの切替動作を開始する。これにより、AC/DCコンバーター100は変換動作を開始(再開)する。
【0049】
第2の既定値P2は、AC/DCコンバーター100の出力端子OP1,OP2に接続された負荷が動作可能な最低電圧以上に、予め設定される。図1に示す例では、第2の既定値P2は、DC/DCコンバーター170が、動作可能な最低電圧以上に、予め設定される。DC/DCコンバーター170が低電力動作機能を有する場合、第2の既定値P2は、DC/DCコンバーター170が、低電力動作可能な最低電圧以上に、予め設定される。
【0050】
一例として、AC/DCコンバーター100が変換動作の際に出力する一定の電圧が5.1Vであり、DC/DCコンバーター170が動作可能な電圧が4V以上である場合を想定する。この場合、第1の既定値P1は、5.1V以上の値に設定され、第2の既定値P2は、4V以上の値に設定され得る。
【0051】
ある局面において、第1の既定値P1および第2の既定値P2は、オフモード制御部120内のメモリ(図示せず)に格納されていてもよい。他の局面において、第1の既定値P1および第2の既定値P2は、オフモード制御部120とは別の場所にあるメモリ(図示せず)に格納されていてもよい。オフモード制御部120は、メモリ内の第1の既定値P1および第2の既定値P2を参照し得る。
【0052】
上記のように、電源制御装置は、予め定められた範囲内(第1の既定値P1~第2の既定値P2)で、AC/DCコンバーター100の出力電圧を変更する機能を備える。当該機能により、電源制御装置は、AC/DCコンバーター100の出力端子OP1,OP2に接続される負荷に基づいて、AC/DCコンバーター100の出力電圧を調節することで、オフィス機器の消費電力を抑制することができる。
【0053】
例えば、電源制御装置は、オフィス機器が省電力モードで動作している場合(負荷の消費電力が低い場合)、AC/DCコンバーター100の出力電圧を下げて、オフィス機器が通常モードで動作している場合(負荷の消費電力が高い場合)、AC/DCコンバーター100の出力電圧を上げることができる。
【0054】
図2は、AC/DCコンバーター100の出力電圧の推移を示すタイムチャートの一例を示す図である。図2に示す例では、変換動作中の電源制御信号SN3が拡大して表示されている。図2を参照して、オフモード制御信号SN2および電源制御信号SN3に基づく、AC/DCコンバーター100の出力電圧の変化について説明する。グラフ210は、AC/DCコンバーター100の出力電圧の時系列の変化を示す。グラフ220は、オフモード制御信号SN2の時系列の変化を示す。グラフ230は、電源制御信号SN3の時系列の変化を示す。
【0055】
時刻TM1において、フィードバック信号SN1が示すAC/DCコンバーター100の出力電圧は、第1の既定値P1に達している。このとき、オフモード制御部120は、オフモード制御信号SN2をHIGHにする。
【0056】
オフモード制御信号SN2がHIGHになると、電源制御部130は、電源制御信号SN3をLOWにして(PWM制御を停止して)、AC/DCコンバーター100の変換動作を停止させる。AC/DCコンバーター100が変換動作を停止すると、AC/DCコンバーター100の出力電圧は徐々に低下する。
【0057】
なお、時刻TM1において、オフモード制御部120がオフモード制御信号SN2をHIGHにしてから、電源制御部130が電源制御信号SN3をLOWにして変換動作を停止するまでには時間を要する。その間、AC/DCコンバーター100の出力電圧は増加し続けるため、AC/DCコンバーター100の出力電圧は、時刻TM1の少し後において極大値となる。当該極大値は、第1の既定値P1よりもわずかに高い値となる。ある局面において、極大値が所定の電圧を超えないように、第1の既定値P1は低く設定されてもよい。
【0058】
時刻TM2において、フィードバック信号SN1が示すAC/DCコンバーター100の出力電圧が低下していき、第2の既定値P2に達する。このとき、オフモード制御部120は、オフモード制御信号SN2をLOWにする。
【0059】
オフモード制御信号SN2がLOWになったことにより、電源制御部130は、電源制御信号SN3をHIGHにして(PWM制御を開始して)、AC/DCコンバーター100の変換動作を開始(再開)させる。これにより、AC/DCコンバーター100の出力電圧は増加を開始する。変換動作において、AC/DCコンバーター100の出力電圧は、第1の既定値P1となるように制御される。
【0060】
なお、時刻TM2において、オフモード制御部120がオフモード制御信号SN2をLOWにしてから、電源制御部130が、電源制御信号SN3をHIGHにして変換動作を開始するまでには、時間を要する。その間、AC/DCコンバーター100の出力電圧は低下し続けるため、AC/DCコンバーター100の出力電圧は、時刻TM2の少し後において極小値となる。当該極小値は、第2の既定値P2よりもわずかに低い値となる。ある局面において、極小値が所定の電圧を下回らないように、第2の既定値P2は高く設定されてもよい。これ以降、電源制御部130は、入力されたオフモード制御信号SN2に基づいて、変換動作の停止および再開を繰り返す。
【0061】
上述したように、フィードバック信号SN1が示すAC/DCコンバーター100の出力電圧が第1の既定値P1に上昇してから第2の既定値P2に低下するまでの間、AC/DCコンバーター100の変換動作は停止する。これにより、単位時間当たりのスイッチング回数(スイッチ140のオン/オフの回数)が減少し、それと共に、スイッチングロスも低減される。
【0062】
また、AC/DCコンバーター100の出力電圧は、AC/DCコンバーター100の出力端子OP1,OP2に接続された1または複数の負荷の全てが動作可能、または、低電力動作可能な範囲で維持される。それにより、AC/DCコンバーター100の出力電圧は、1または複数の負荷の全てが動作可能な範囲において、効率の良い電圧を維持し得る。その結果、オフィス機器の消費電力は低減される。
【0063】
図3は、DC/DCコンバーター170の効率特性の一例を示す図である。グラフ310は、DC/DCコンバーター170の効率曲線である。グラフ310によると、AC/DCコンバーター100の出力電圧が第2の既定値P2を下回ると、DC/DCコンバーター170は低電力動作を維持できなくなる。その結果、DC/DCコンバーター170の効率は急激に低下する。そのため、第2の既定値P2は、DC/DCコンバーター170が低電力動作を維持できる最低電圧以上に設定されることが望ましい。
【0064】
図3に示す例では、第2の既定値P2は、4.0V以上に設定され得る。また、第1の既定値P1は、一例として、DC/DCコンバーター170の定格電圧または推奨される動作電圧以下に設定されてもよい。図3に示す例では、第1の既定値P1は、5.1V以下に設定され得る。
【0065】
上述したように、AC/DCコンバーター100の出力端子OP1,OP2に接続される負荷がDC/DCコンバーター170の場合、第1の既定値および第2の既定値は、DC/DCコンバーター170が低電力動作を維持できる範囲に設定され得る。その結果、電源制御装置は、DC/DCコンバーター170が低電力動作可能な範囲で、効率の良い電圧を維持し得る。
【0066】
次に、図4図10を参照して、本実施の形態に従う電源制御装置の動作を負荷の種類ごとに説明する。図1図10に示す構成は、一例であり、本実施の形態に従う電源制御装置は、各図を参照して説明する機能を全て備えていてもよく、また、これらの機能を組み合わせて使用し得る。
【0067】
図4は、本実施の形態に従う電源制御装置の構成の第2の例を示す図である。図4に示す構成は、図1に示す構成と異なり、AC/DCコンバーター100の出力端子OP1,OP2には、制御基板150に加えて、負荷410が接続されている。ある局面において、負荷410は、オフィス機器の操作パネルまたはWi-Fi(登録商標)モジュール、または、他の任意の機器であってもよい。
【0068】
この場合、第2の既定値P2は、DC/DCコンバーター170が動作可能な最低電圧、および、負荷410が動作可能な最低電圧の高い方の値以上に設定され得る。一例として、DC/DCコンバーター170が低電力動作可能な最低電圧が4.0Vであるとする。また、負荷410が動作可能な最低電圧は4.7Vであるとする。
【0069】
上記の例では、第2の既定値P2は、DC/DCコンバーター170が低電力動作可能な最低電圧4.0V、および、負荷410が動作可能な最低電圧4.7Vの中で高い方の電圧4.7V以上に設定され得る。これにより、電源制御装置は、AC/DCコンバーター100の出力端子OP1,OP2に接続される全ての負荷(DC/DCコンバーター170および負荷410)が動作可能な状態を維持しつつ、オフィス機器の消費電力を低減し得る。
【0070】
図5は、本実施の形態に従う電源制御装置の構成の第3の例を示す図である。図5に示す構成は、図1および図4に示す構成と異なり、AC/DCコンバーター100の出力端子OP1,OP2には、複数のDC/DCコンバーター570A,570Bを含む制御基板550が接続されている。ある局面において、制御基板550は、3つ以上のDC/DCコンバーターを含んでいてもよい。
【0071】
この場合、第2の既定値P2は、DC/DCコンバーター570Aが動作可能な最低電圧、および、DC/DCコンバーター570Bが動作可能な最低電圧の高い方の値以上に設定され得る。ある局面において、DC/DCコンバーター570A,570Bのいずれかは、低電力動作可能であってもよい。一例として、DC/DCコンバーター570Aは、低電力動作可能であり、低電力動作可能な最低電圧は4.0Vであるとする。また、DC/DCコンバーター570Bは、低電力動作の機能を備えておらず、動作可能な最低電圧は4.2Vであるとする。
【0072】
上記の例では、第2の既定値P2は、DC/DCコンバーター570Aが低電力動作可能な最低電圧4.0V、および、DC/DCコンバーター570Bが動作可能な最低電圧4.2Vの中で高い方の電圧4.2V以上に設定され得る。これにより、電源制御装置は、AC/DCコンバーター100の出力端子OP1,OP2に接続される全ての負荷(DC/DCコンバーター570A,570B)が動作可能な状態を維持しつつ、オフィス機器の消費電力を低減し得る。
【0073】
図6は、本実施の形態に従う電源制御装置の構成の第4の例を示す図である。図6に示す構成は、図1,4,5に示す構成と異なり、AC/DCコンバーター100の出力端子OP1,OP2には、複数のDC/DCコンバーター570A,570Bを含む制御基板550、および、負荷610が接続されている。ある局面において、制御基板550は、3つ以上のDC/DCコンバーターを含んでいてもよい。他の局面において、負荷410は、オフィス機器の操作パネルまたはWi-Fiモジュール、または、他の任意の機器であってもよい。
【0074】
この場合、第2の既定値P2は、DC/DCコンバーター570Aが動作可能な最低電圧、DC/DCコンバーター570Bが動作可能な最低電圧、および、負荷610が動作可能な最低電圧の中で最も高い値以上に設定され得る。一例として、DC/DCコンバーター570Aは、低電力動作可能であり、低電力動作可能な最低電圧は4.0Vであるとする。また、DC/DCコンバーター570Bは、低電力動作の機能備えておらず、動作可能な最低電圧は4.2Vであるとする。また、負荷610が動作可能な最低電圧は4.7Vであるとする。
【0075】
上記の例では、第2の既定値P2は、DC/DCコンバーター570Aが低電力動作可能な最低電圧4.0V、DC/DCコンバーター570Bが動作可能な最低電圧4.2V、および、負荷610が動作可能な最低電圧4.7Vの中で最も高い電圧4.7V以上に設定され得る。これにより、電源制御装置は、AC/DCコンバーター100の出力端子OP1,OP2に接続される全ての負荷(DC/DCコンバーター570A,570B、および、負荷610)が動作可能な状態を維持しつつ、オフィス機器の消費電力を低減し得る。
【0076】
図7は、オフィス機器が複数の省エネルギーモードを備える場合のAC/DCコンバーター100の出力電圧の推移を示すタイムチャートの一例を示す図である。オフィス機器によっては、複数の省エネルギーモードを有することがある。その場合、第2の既定値P2は、省エネルギーモードごとに異なる値が設定され得る。ある局面において、第1の既定値P1も、省エネルギーモードごとに異なる値が設定されてもよい。
【0077】
以下に、図6に示す構成を例に、オフィス機器が複数の省エネルギーモードを有する場合の電源制御装置の動作について説明する。図6に示す電源制御装置を備えるオフィス機器は、以下に示す、通常モード、第1の省エネルギーモード、および、第2の省エネルギーモードを有する。通常モードにおいて、DC/DCコンバーター570A,570Bおよび負荷610は稼働している。第1の省エネルギーモードにおいて、DC/DCコンバーター570Aおよび負荷610は稼働し、DC/DCコンバーター570Bは停止している。第2の省エネルギーモードにおいて、DC/DCコンバーター570Aは稼働し、DC/DCコンバーター570Bおよび負荷610は停止している。
【0078】
期間710は、オフィス機器が通常モードで動作している期間である。期間720は、オフィス機器が第1の省エネルギーモードで動作している期間である。期間730は、オフィス機器が第2の省エネルギーモードで動作している期間である。
【0079】
期間710(通常モードの期間)において、オフモード制御部120は、オフモード制御信号SN2をLOWにする。また、電源制御部130は、スイッチ140のオン/オフ制御(PWM制御)を続ける。その結果、AC/DCコンバーター100は、一定の電圧(例えば、5.1V)を出力する。
【0080】
期間720(第1の省エネルギーモードの期間)において、電源制御装置は、図4を参照して説明した手順により、AC/DCコンバーター100の出力電圧を制御する。第2の既定値P2は、DC/DCコンバーター570Aが動作可能な最低電圧、および、負荷610が動作可能な最低電圧の高い方の電圧以上に設定され得る。
【0081】
期間730(第2の省エネルギーモードの期間)において、電源制御装置は、図1を参照して説明した手順により、AC/DCコンバーター100の出力電圧を制御する。第2の既定値P2は、DC/DCコンバーター570Aが低電力動作可能な最低電圧以上に設定され得る。
【0082】
ある局面において、オフィス機器は、1つの省エネルギーモードだけを有していてもよい。その場合、例えば、電源制御装置は、通常モードにおいて、AC/DCコンバーター100の出力電圧を一定に保つ。また、電源制御装置は、省エネルギーモードにおいて、AC/DCコンバーター100の出力電圧を第2の既定値P2以上および第1の既定値P1以下に調節し得る。
【0083】
上記のように、オフィス機器が複数の省エネルギーモードを有する場合、第2の既定値P2は、省エネルギーモードの各々において、異なる基準に基づいて、決定され得る。これにより、電源制御装置は、いずれの省エネルギーモードにおいても負荷を動作させるために必要な出力電圧を維持したまま、各省エネルギーモードに適した消費電力の低減を実現し得る。
【0084】
図8は、本実施の形態に従う電源制御装置の構成の第5の例を示す図である。図8に示す構成は、図1,4,5,6に示す構成と異なり、AC/DCコンバーター100の出力端子OP1,OP2には、DC/DCコンバーター870と、出力電流監視部880とを含む制御基板850が接続されている。DC/DCコンバーター870は、低電力動作が可能である。
【0085】
出力電流監視部880は、DC/DCコンバーター870の出力電流を監視し、DC/DCコンバーター870の出力電流を示す電流監視信号SN4をオフモード制御部120に出力する。オフモード制御部120は、電流監視信号SN4に基づいて、オフモード制御信号SN2のHIGH/LOWを切り替える。
【0086】
ある局面において、オフモード制御部120は、電流監視信号SN4に基づいて、段階的にAC/DCコンバーター100の出力電圧を変化させるように、オフモード制御信号SN2のHIGH/LOWを切り替えてもよい。他の局面において、オフモード制御部120は、フィードバック信号SN1および電流監視信号SN4のいずれかが予め定められた条件を満たしたことに基づいて、オフモード制御信号SN2のHIGH/LOWを切り替えてもよい。
【0087】
図9は、DC/DCコンバーター870と、AC/DCコンバーター100の出力電圧閾値との関係を示す表の一例である。表900は、出力電流901と、出力電圧閾値902とを含む。出力電流901は、DC/DCコンバーター870の出力電流の値を示す。出力電圧閾値902は、AC/DCコンバーター100の出力電圧の閾値を示す。DC/DCコンバーター870の各出力電流に対して、AC/DCコンバーター100の出力電圧閾値以上であれば、DC/DCコンバーター870は、低電力動作し得る。例えば、DC/DCコンバーター870の出力電流が0.35A以上かつ0.4A未満である場合、AC/DCコンバーター100の出力電圧は4.8V以上であれば、DC/DCコンバーター870は低電力動作し得る。
【0088】
ある局面において、オフモード制御部120は、オフモード制御部120内のメモリに、表900をデータとして格納していてもよい。他の局面において、オフモード制御部120は、オフモード制御部120とは別の位置にあるメモリ内の表900を参照してもよい。
【0089】
オフモード制御部120は、電流監視信号SN4および表900を参照する。そして、オフモード制御部120は、AC/DCコンバーター100の出力電圧が出力電圧閾値の値になるように、オフモード制御信号SN2のHIGH/LOWを切り替える。
【0090】
例えば、電流監視信号SN4が0.38Aの電流値を示していたとする。表900によると、電流監視信号SN4が示す電流値(0.38A)は、0.35A以上かつ0.4A未満なので、AC/DCコンバーター100の出力電圧は、4.8Vであればよいことになる。そのため、オフモード制御部120は、表900に基づいて、AC/DCコンバーター100の出力電圧が4.8Vになるように、オフモード制御信号SN2を電源制御部130に出力する。その際、オフモード制御部120は、フィードバック信号SN1を参照することで、オフモード制御信号SN2のHIGH/LOWを切り替えて、AC/DCコンバーター100の出力電圧を調節し得る。
【0091】
上記の例では、オフモード制御部120は、出力電流901の各々に基づいて、AC/DCコンバーター100の出力電圧を出力電圧閾値902の各々の値に設定しているが、これは一例であり、本実施の形態に従う電圧制御の手順はこれに限られるものではない。ある局面において、オフモード制御部120は、出力電流901の各々に基づいて、AC/DCコンバーター100の出力電圧を出力電圧閾値902の各々の値以上に設定してもよい。例えば、電流監視信号SN4が示す電流値が0.38Aの場合、オフモード制御部120は、AC/DCコンバーター100の出力電圧を4.8V以上~5.1V未満に設定し得る。
【0092】
図10は、オフィス機器が図8に示す構成を備える場合のAC/DCコンバーター100の出力電圧の推移を示すタイムチャートの一例を示す図である。期間1010は、DC/DCコンバーター870の出力電流が0.5Aの期間である。期間1020は、DC/DCコンバーター870の出力電流が0.33Aの期間である。期間1030は、DC/DCコンバーター870の出力電流が0.21Aの期間である。
【0093】
期間1010(DC/DCコンバーター870の出力電流が0.5Aの期間)において、出力電流監視部880は、電流値0.5Aを示す電流監視信号SN4をオフモード制御部120に送信する。オフモード制御部120は、電流監視信号SN4および表900を参照し、AC/DCコンバーター100の出力電圧の第2の既定値P2を決定する。表900を参照すると、出力電流901が0.4A以上のときの出力電圧閾値902は、5.1Vである。そのため、オフモード制御部120は、AC/DCコンバーター100の出力電圧の第2の既定値P2を5.1Vに設定する。ある局面において、オフモード制御部120は、AC/DCコンバーター100の出力電圧の第2の既定値P2を5.1V以上に設定してもよい。
【0094】
オフモード制御部120は、フィードバック信号SN1を適宜参照して、オフモード制御信号SN2のHIGH/LOWを切り替えることで、AC/DCコンバーター100の出力電圧を5.1Vまたは5.1V以上となるように維持する。
【0095】
期間1020(DC/DCコンバーター870の出力電流が0.33Aの期間)において、出力電流監視部880は、電流値0.33Aを示す電流監視信号SN4をオフモード制御部120に送信する。オフモード制御部120は、電流監視信号SN4および表900を参照し、AC/DCコンバーター100の出力電圧の第2の既定値P2を決定する。表900を参照すると、出力電流901が0.30A以上のときの出力電圧閾値902は、4.5Vである。そのため、オフモード制御部120は、AC/DCコンバーター100の出力電圧の第2の既定値P2を4.5Vに設定する。ある局面において、オフモード制御部120は、AC/DCコンバーター100の出力電圧の第2の既定値P2を4.5V以上に設定してもよい。
【0096】
オフモード制御部120は、フィードバック信号SN1を適宜参照して、オフモード制御信号SN2のHIGH/LOWを切り替えることで、AC/DCコンバーター100の出力電圧を4.5Vまたは4.5V以上となるように維持する。
【0097】
期間1030(DC/DCコンバーター870の出力電流が0.21Aの期間)において、出力電流監視部880は、電流値0.21Aを示す電流監視信号SN4をオフモード制御部120に送信する。オフモード制御部120は、電流監視信号SN4および表900を参照し、AC/DCコンバーター100の出力電圧の第2の既定値P2を決定する。表900を参照すると、出力電流901が0.20A以上のときの出力電圧閾値902は、4.0Vである。そのため、オフモード制御部120は、AC/DCコンバーター100の出力電圧の第2の既定値P2を4.0Vに設定する。ある局面において、オフモード制御部120は、AC/DCコンバーター100の出力電圧の第2の既定値P2を4.0V以上に設定してもよい。
【0098】
オフモード制御部120は、フィードバック信号SN1を適宜参照して、オフモード制御信号SN2のHIGH/LOWを切り替えることで、AC/DCコンバーター100の出力電圧を4.0Vまたは4.0V以上となるように維持する。
【0099】
上記のように、電源制御装置は、AC/DCコンバーター100に接続される負荷(DC/DCコンバーター870等)の出力電流に応じて、低電力動作を維持可能な範囲で第2の既定値P2を下げることができる。これにより、AC/DCコンバーター100の変換動作が停止する期間は長くなり、また、スイッチ140のスイッチング回数は抑制される。その結果、オフィス機器の消費電力は低減され得る。
【0100】
図11は、電源制御装置におけるAC/DCコンバーター100の出力電圧を調節する手順の一例を示す図である。ある局面において、オフモード制御部120が、図11に示す処理を実行してもよい。他の局面において、制御基板150,550,850等に搭載されるプロセッサー(図示せず)が、例えば、図1または図8等に示した各構成に対して制御信号を出力することによって、図11に示す処理を実行してもよい。
【0101】
ステップS1110において、オフモード制御部120は、接続機器の変更を検出する。接続機器とは、AC/DCコンバーター100の出力端子OP1,OP2に接続される機器を示す。例えば、オフィス機器が、図1に示す構成から図4に示す構成に変更された場合、オフモード制御部120は、新たに追加された機器として負荷410を検出する。ある局面において、制御基板150,550,850等に搭載されるプロセッサーが、接続機器の変更を検出してもよい。
【0102】
ステップS1120において、オフモード制御部120は、接続機器の変更に基づいて、各種設定を変更する。各種設定は、例えば、第1の既定値P1、第2の既定値P2および表900等を含む。ある局面において、制御基板150,550,850等に搭載されるプロセッサーが、機器の接続を検出したことに基づいて、各種設定を変更するためのデータをオフモード制御部120に送信してもよい。ステップS1130において、オフモード制御部120は、出力電圧監視部110からフィードバック信号SN1により、AC/DCコンバーター100の出力電圧を取得する。
【0103】
ステップS1140において、オフモード制御部120は、表900を参照する。ステップS1150において、オフモード制御部120は、閾値電圧を取得する。また、オフモード制御部120は、閾値電圧を第2の既定値P2に設定する。閾値電圧は、表900の出力電圧閾値902の各セルの値である。
【0104】
ある局面において、電源制御装置が図8に示す構成以外の場合は、オフモード制御部120は、ステップS1140,S1150を実行しなくてもよい。その場合、オフモード制御部120は、ステップS1120にて変更した第2の既定値P2を直接使用し得る。ステップS1160において、オフモード制御部120は、閾値電圧(第2の既定値P2)に基づいて、AC/DCコンバーター100の出力電圧を調節する。
【0105】
以上説明した通り、本実施の形態に従う電源制御装置は、予め定められた範囲内(第1の既定値P1~第2の既定値P2)で、AC/DCコンバーター100の出力電圧を調節する機能を備える。当該機能により、電源制御装置は、AC/DCコンバーター100の出力端子OP1,OP2に接続される負荷に基づいて、AC/DCコンバーター100の出力電圧を調節して、オフィス機器の消費電力を抑制することができる。
【0106】
また、オフィス機器が複数の省エネルギーモードを有する場合、第2の既定値P2は、省エネルギーモードの各々において、異なる基準に基づいて決定され得る。これにより、電源制御装置は、いずれの省エネルギーモードにおいても負荷を動作させるために必要な出力電圧を維持したまま、各省エネルギーモードに適した消費電力の低減を実現し得る。
【0107】
また、電源制御装置は、AC/DCコンバーター100に接続される負荷の出力電流に応じて、負荷が低電力動作を維持可能な範囲で第2の既定値P2を下げることができる。これにより、AC/DCコンバーター100の変換動作が停止する期間は長くなり、また、スイッチ140のスイッチング回数は抑制される。その結果、オフィス機器の消費電力は低減され得る。
【0108】
さらに、電源制御装置は、接続機器の変更を検出したことに基づいて、適宜、第2の既定値P2を変更し得る。これにより、電源制御装置は、オフィス機器の構成に応じて、適切にオフィス機器の消費電力を抑制することができる。
【0109】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内で全ての変更が含まれることが意図される。また、実施の形態および各変形例において説明された開示内容は、可能な限り、単独でも、組合わせても、実施することが意図される。
【符号の説明】
【0110】
100 AC/DCコンバーター、1V,2V,4,5,7V 電圧、101 一次巻線、102 二次巻線、103 補助巻線、110 出力電圧監視部、120 オフモード制御部、130 電源制御部、140 スイッチ、150,550,850 制御基板、170,570A,570B,870 DC/DCコンバーター、210,220,230,310 グラフ、410,610 負荷、710,720,730,1010,1020,1030 期間、880 出力電流監視部、900 表、901 出力電流、902 出力電圧閾値、C1,C2,C3 平滑コンデンサー、D1 ブリッジダイオード、D2,D3,D4 整流ダイオード、DC1,DC2 直流電圧、OP1,OP2 出力端子、P1 第1の既定値、P2 第2の既定値、R1 起動抵抗、SN1 フィードバック信号、SN2 オフモード制御信号、SN3 電源制御信号、SN4 電流監視信号、T1 トランス、TM1 時刻。
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