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特許7521442自律移動システム、自律移動方法及び自律移動プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】自律移動システム、自律移動方法及び自律移動プログラム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/43 20240101AFI20240717BHJP
【FI】
G05D1/43
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021014463
(22)【出願日】2021-02-01
(65)【公開番号】P2022117776
(43)【公開日】2022-08-12
【審査請求日】2023-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】平 哲也
(72)【発明者】
【氏名】小田 志朗
(72)【発明者】
【氏名】豊島 聡
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 裕太
(72)【発明者】
【氏名】松井 毅
(72)【発明者】
【氏名】那須 敬義
(72)【発明者】
【氏名】吉川 恵
(72)【発明者】
【氏名】太田 雄介
(72)【発明者】
【氏名】石田 裕太郎
(72)【発明者】
【氏名】大沼 侑司
【審査官】渡邊 捷太郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0238523(US,A1)
【文献】特開2004-280451(JP,A)
【文献】国際公開第2020/219734(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/217739(WO,A1)
【文献】特開2017-220123(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0340826(US,A1)
【文献】国際公開第2013/011543(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設内を自律移動する自律移動システムであって、
人が利用するために通路に設置された設置物を検知する障害物検知手段と、
前記設置物との距離を測定する距離測定手段と、
前記設置物の種類を判定する障害物判定手段と、
前記設置物の種類に応じて設定された所定距離であって、前記人が前記設置物を利用するための前記所定距離を記憶する記憶手段と、
を備え、
所定の移動体が近づかない場合には、前記設置物の種類に応じて、前記設置物との間に前記所定距離を空けて走行し、
前記所定の移動体が近づいた場合であって、前記設置物を利用する前記人を検知しない場合には、前記設置物との間の距離を、前記所定距離よりも小さくして走行する、
自律移動システム。
【請求項2】
施設内を自律移動する自律移動装置と、
前記自律移動装置との間で走行情報を送受信するサーバ装置と、
を備えた自律移動システムであって、
人が利用するために通路に設置された設置物を検知する障害物検知手段と、
前記設置物との距離を測定する距離測定手段と、
前記設置物の種類を判定する障害物判定手段と、
前記設置物の種類に応じて設定された所定距離であって、前記人が前記設置物を利用するための前記所定距離を記憶する記憶手段と、
を備え、
前記自律移動装置に所定の移動体が近づかない場合には、前記自律移動装置は、前記設置物の種類に応じて、前記設置物との間に前記所定距離を空けて走行し、
前記自律移動装置に前記所定の移動体が近づいた場合であって、前記設置物を利用する前記人を検知しない場合には、前記自律移動装置は、前記設置物との間の距離を、前記所定距離よりも小さくして走行する、
自律移動システム。
【請求項3】
前記設置物は、手すり、ベンチ及び掲示板の少なくともいずれか1つを含む、
請求項1または2に記載の自律移動システム。
【請求項4】
前記設置物を利用する人を検知した場合に、自律移動の速度を変える、
請求項1~3のいずれか1項に記載の自律移動システム。
【請求項5】
通路を有する施設内を自律移動する自律移動装置の自律移動方法であって、
走行する前記通路に人が利用するために設置された設置物を検知した場合には、前記設置物の種類を判定させるステップと、
前記設置物の種類に応じて設定された所定距離であって、前記人が前記設置物を利用するための前記所定距離記憶手段から用意させるステップと、
所定の移動体が近づいたか判定するステップと、
を備え
前記所定の移動体が近づいたか判定するステップにおいて、前記所定の移動体が近づかない場合に、前記設置物の種類に応じて、前記設置物との間に前記所定距離を空けて走行するステップと、
前記所定の移動体が近づいたか判定するステップにおいて、前記所定の移動体が近づいた場合に、前記設置物を利用する人を検知したか判定するステップと、
前記設置物を利用する人を検知したか判定するステップにおいて、前記設置物を利用する人を検知しない場合に、前記設置物との間の距離を、前記所定距離よりも小さくして走行するステップと、
をさらに備えた自律移動方法。
【請求項6】
通路を有する施設内を自律移動する自律移動装置の自律移動プログラムであって、
走行する前記通路に人が利用するために設置された設置物を検知した場合には、前記設置物の種類を判定させ、
前記設置物の種類に応じて設定された所定距離であって、前記人が前記設置物を利用するための前記所定距離記憶手段から用意させ、
所定の移動体が近づいたか判定させる、
ことをコンピュータに実行させる自律移動プログラムであって、
前記所定の移動体が近づいたか判定させた際に、前記所定の移動体が近づかない場合に、前記設置物の種類に応じて、前記設置物との間に前記所定距離を空けて走行させ、
前記所定の移動体が近づいたか判定させた際に、前記所定の移動体が近づいた場合に、前記設置物を利用する人を検知したか判定させ、
前記設置物を利用する人を検知したか判定させた際に、前記設置物を利用する人を検知しない場合に、前記設置物との間の距離を、前記所定距離よりも小さくして走行させる、
ことをさらにコンピュータに実行させる自律移動プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自律移動システム、自律移動方法及び自律移動プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
所定の建物や施設内で自律移動する自律移動装置の開発が進んでいる。このような自律移動装置は、荷台を有することにより、自動で荷物を配達する自動配達装置になり得る。自動配達装置は、出発地から目的地まで自律移動することにより、例えば、出発地で搭載した荷物を目的地に届けることができる。
【0003】
例えば、自律移動ロボットが走行する範囲には、実際には人が通行し、障害物や階段など近づくのが好ましくない場所が存在する場合も考えられる。特許文献1では、安全確認用のマークを検出するためのマーク検出器と、環境情報取得手段と、位置情報取得手段と、自己位置情報、地図情報、および制御パラメータを記憶する記憶手段と、を有し、安全領域であることを示すマークがない場合は、危険領域とみなし移動を停止する自律移動ロボットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-176203号公報
【文献】特開2007-226322号公報
【文献】特開2006-293975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
手すりなど人が利用する確率が高い箇所も、自律移動ロボットが走行する箇所としては好ましくない場所として考えられる。しかし、そういった箇所との干渉を避けるために、大きく迂回して走行することは、運搬等のロボットの目的によっては、仕事の効率を低下させる恐れがある。
【0006】
本発明は、そのような課題を解決するためになされたものであり、移動ロボットの移動効率を向上させることができる自律移動システム、自律移動方法及び自律移動プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態に係る自律移動システムは、施設内を自律移動する自律移動システムであって、通路の障害物を検知する障害物検知手段と、前記障害物との距離を測定する距離測定手段と、前記障害物の種類を判定する障害物判定手段と、前記障害物の種類に応じて設定された所定距離を記憶する記憶手段と、を備え、前記障害物の種類に応じて、前記障害物との間に前記所定距離を空けて走行する。このような構成により、移動ロボットの移動効率を向上させることができる。
【0008】
本実施形態に係る自律移動システムは、施設内を自律移動する自律移動装置を備え、前記自律移動装置は、走行する通路に障害物がある場合には、前記障害物との間に、前記障害物の種類に応じて設定された所定距離を空けて走行する。このような構成により、移動ロボットの移動効率を向上させることができる。
【0009】
上記自律移動システムでは、前記自律移動装置との間で走行情報を送受信するサーバ装置をさらに備え、前記サーバ装置は、前記自律移動システムにおける、前記通路の前記障害物を検知する障害物検知手段、前記障害物との距離を測定する距離測定手段、前記障害物の種類を判定する障害物判定手段、及び、前記障害物の種類に応じて設定された所定距離を記憶する記憶手段のうち、少なくともいずれかを有する。このような構成により、障害物との干渉を抑制しつつ、移動ロボットの移動効率を向上させることができる。
【0010】
上記自律移動システムでは、前記障害物は、人が利用するために前記通路に設置された設置物であり、前記所定距離は、前記人が前記設置物を利用するための距離である。このような構成により、設置物との干渉を抑制しつつ、移動ロボットの移動効率を向上させることができる。
【0011】
上記自律移動システムでは、前記設置物は、手すり、ベンチ及び掲示板の少なくともいずれか1つを含む。このような構成により、手すり、ベンチ及び掲示板等との干渉を抑制しつつ、移動ロボットの移動効率を向上させることができる。
【0012】
上記自律移動システムでは、前記設置物を利用する人を検知した場合に、自律移動の速度を変える。このような構成により、設置物を利用する人との干渉を抑制することができる。
【0013】
上記自律移動システムでは、所定の移動体が近づいた場合であって、前記設置物を利用する人を検知しない場合には、前記設置物との間の距離を、前記所定距離よりも小さくして走行する。このような構成により、移動ロボットの移動効率をさらに向上させることができる。
【0014】
本実施形態に係る自律移動方法は、通路を有する施設内を自律移動する自律移動装置の自律移動方法であって、走行する前記通路に障害物を検知した場合には、前記障害物の種類を判定させるステップと、前記障害物の種類に応じて設定された所定距離を用意させるステップと、前記障害物との間に前記所定距離を空けて走行させるステップと、を備える。このような構成により、移動ロボットの移動効率を向上させることができる。
【0015】
本実施形態に係る自律移動プログラムは、通路を有する施設内を自律移動する自律移動装置の自律移動プログラムであって、走行する前記通路に障害物を検知した場合には、前記障害物の種類を判定させ、前記障害物の種類に応じて設定された所定距離を用意させ、前記障害物との間に前記所定距離を空けて走行させることをコンピュータに実行させる。このような構成により、移動ロボットの移動効率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本実施形態によれば、移動効率を向上させることができる自律移動システム、自律移動方法及び自律移動プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態1に係る移動ロボットを例示した概略図である。
図2】実施形態1に係る移動ロボットを例示した斜視図である。
図3】実施形態1に係る移動ロボットを例示したブロック図である。
図4】実施形態1に係る移動ロボットの施設内における移動方法を例示した平面図である。
図5】実施形態1に係る移動ロボットの施設内における移動方法を例示した平面図である。
図6】実施形態1に係る移動ロボットの施設内における移動方法を例示したフローチャート図である。
図7】実施形態1の変形例1に係る移動ロボットの施設内における移動方法を例示したフローチャート図である。
図8】実施形態1の変形例2に係る移動ロボットの施設内における移動方法を例示したフローチャート図である。
図9】実施形態1の変形例3に係る移動ロボットの施設内における移動方法を例示したフローチャート図である。
図10】実施形態2に係るサーバ装置を例示したブロック図である。
図11】実施形態2に係る移動ロボットの施設内における移動方法を例示したシーケンス図である。
図12】実施形態2の変形例1に係る移動ロボットの施設内における移動方法を例示したシーケンス図である。
図13】実施形態2の変形例2に係る移動ロボットの施設内における移動方法を例示したシーケンス図である。
図14】実施形態2の変形例3に係る移動ロボットの施設内における移動方法を例示したシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、発明の実施形態を通じて本発明を説明するが、特許請求の範囲に係る発明を以下の実施形態に限定するものではない。また、実施形態で説明する構成の全てが課題を解決するための手段として必須であるとは限らない。説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0019】
(実施形態1)
実施形態1に係る自律移動システムを説明する。本実施形態では、自律移動システムを、自律移動装置に置き換えてもよいし、自律移動装置を、自律移動システムに置き換えてもよい。また、本実施形態の自律移動システムは、自律移動装置を備えるとしてもよい。自律移動装置は、所定の施設内を自律移動する。自律移動装置は、例えば、自律移動する移動ロボットでもよいし、物品を搬送するために自律移動する搬送ロボットでもよい。以下では、移動ロボットを自律移動装置の一例として説明する。移動ロボットについて、<移動ロボットの構成>及び<移動ロボットの動作>に分けて説明する。
【0020】
<移動ロボットの構成>
図1は、実施形態1に係る移動ロボットを例示した概略図である。図1に示すように、移動ロボット100は、所定の施設900内を自律移動する自律移動装置の一例である。所定の施設900は、例えば、病院である。なお、所定の施設900は、移動ロボット100が自律移動可能な施設900であれば、病院に限らず、ホテル、ショッピングモール等でもよい。施設900内には、手すり等の設置物905が設置されている。設置物905は、人907によって利用される。
【0021】
移動ロボット100は、施設900内の床面910上を自律移動する。施設カメラ400は、施設900内に固定されている。例えば、施設カメラ400は、施設900の天井920に固定され、施設カメラ400の周辺を撮像して画像データを生成する。施設カメラ400は、例えば、通路、曲がり角、通行人、他の移動ロボット100等を撮像する。施設900内において、複数の施設カメラ400が設けられてもよい。
【0022】
移動ロボット100と施設カメラ400とは、無線通信等の情報伝達手段を介して相互に通信可能に接続されている。移動ロボット100と施設カメラ400とは、例えば、直接に通信可能に接続されてもよいし、アクセスポイント500及びサーバ装置300を介して、通信可能に接続されてもよい。よって、移動ロボット100は、施設カメラ400から直接に画像データを取得してもよいし、アクセスポイント500及びサーバ装置300を介して、画像データを取得してもよい。
【0023】
アクセスポイント500は、例えば、無線LANのアクセスポイントである。アクセスポイント500は、施設900内に固定され、アクセスポイント500の周辺に位置する移動ロボット100から位置情報、走行情報等を取得する。施設900内において、複数のアクセスポイント500が設けられてもよい。
【0024】
施設900内において、複数の移動ロボット100が自律移動してもよい。複数の移動ロボット100が自律移動している場合には、複数の移動ロボット100は、無線通信等の情報伝達手段を介して相互に通信可能に接続されてもよい。複数の移動ロボット100は、例えば、相互に直接に通信可能に接続されてもよいし、アクセスポイント500及びサーバ装置300を介して、相互に通信可能に接続されてもよい。
【0025】
図2は、実施形態1に係る移動ロボット100を例示した斜視図である。図3は、実施形態1に係る移動ロボット100を例示したブロック図である。図2及び図3に示すように、移動ロボット100は、駆動部110、筐体部120、通信部130、操作受付部140、表示部150、センサ群160、IDセンサ170、制御部180及び記憶部190を備えている。
【0026】
図2に示すように、移動ロボット100は、移動面である床面910を移動する移動体である。ここで、移動ロボット100の説明の便宜のため、XYZ直交座標軸系を用いている。床面910をXY平面とし、上方を+Z軸方向とする。
【0027】
駆動部110は、移動ロボット100の移動手段として機能する。駆動部110は、床面910に接しており直進方向(前後方向または図のX軸方向)に対して直角の方向(左右方向または図のY軸方向)に伸びる1本の回転軸を中心にそれぞれ独立して回転可能に設定されている2つの駆動輪111および床面に接するキャスター112を有している。移動ロボット100は、左右に配置された駆動輪111を同じ回転数で駆動させることにより、前進または後進を行い、左右の駆動輪111の回転速度または回転方向に差を生じさせることにより、旋回を行う。駆動部110は、制御部180の指示に応じて、駆動輪111を駆動させる。
【0028】
筐体部120は、移動ロボット100における駆動部110の上方に配置されている。筐体部120は、収納室扉121を有してもよい。その場合には、筐体部120は、物品の収納手段として機能する。収納室扉121を開けると、筐体部120の内部には、所定の物品を収納するための収納室が設けられている。すなわち、移動ロボット100は、所定の物品を搬送する搬送ロボットとすることもできる。筐体部120は、制御部180の指示に応じて、収納室扉121の開閉を行ってもよい。
【0029】
図3に示すように、通信部130は、外部と通信可能に接続するインターフェイスである。よって、通信部130は、通信手段として機能する。通信部130は、例えば、アンテナ及びアンテナを介して送信する信号の変調または復調を行う回路等を含む。通信部130は、施設カメラ400から直接に、または、アクセスポイント500及びサーバ装置300を介して、画像データを受信する。
【0030】
また、通信部130は、サーバ装置300から目的地に関する情報や、位置情報、走行情報等を受信してもよい。また、通信部130は、サーバ装置300に対して、移動ロボット100の状態に関する情報、位置情報、走行情報等の送信を行ってもよい。また、通信部130は、他の移動ロボット100との間で、直接に、または、アクセスポイント500及びサーバ装置300を介して、位置情報の送受信及び画像データの送受信を行ってもよい。
【0031】
通信部130は、サーバ装置300に対して、ハートビート信号を定期送信してもよい。ハートビート信号は、移動ロボット100の状態を時系列に示すログデータを含んでもよい。また、ハートビート信号は、移動ロボット100のID(Identification)及びユーザのIDを含んでもよい。
【0032】
通信部130は、制御部180に接続し、施設カメラ400及びサーバ装置300から送信された情報を含む信号を制御部180に出力するとともに、制御部180から出力された情報を含む信号をサーバ装置300に送信する。
【0033】
操作受付部140は、ユーザからの入力操作を受け付けて、操作信号を制御部180へ送信する。ユーザからの入力操作を受け付ける手段として、操作受付部140は、例えば、操作ボタンや、表示部150に重畳されたタッチパネルなどを有してもよい。ユーザは、これらの入力操作手段を操作して、電源のオン/オフや収納室扉121の開閉操作等を行う。
【0034】
表示部150は、例えば、筐体部120の上面に突出して設けられている。表示部150は、例えば、矩形状の液晶パネルを含む表示部である。表示部150は、制御部180の指示に応じて適宜情報を表示する。表示部150は、情報の表示手段として機能する。表示部150には、ユーザからの操作を受け付けるタッチパネルが重畳されてもよい。
【0035】
センサ群160は、移動ロボット100が自律移動をするために必要なデータを取得するセンサを含む。センサ群160は、通路の障害物を検知する障害物検知手段として機能する。また、センサ群160は、通路の障害物との距離を測定する距離測定手段として機能する。センサ群160は、例えば、ロボットカメラ161及び距離センサ162を含む。センサ群160は、ロボットカメラ161及び距離センサ162以外のセンサを適宜含んでもよい。
【0036】
ロボットカメラ161は、例えば、筐体部120の上部であって、表示部150の下方に配置されている。ロボットカメラ161は、同じ画角を有する2つのカメラユニットが互いに水平方向に離間して配置されてもよい。これにより、それぞれのカメラユニットで撮像された画像を画像データとして制御部180に出力する。
【0037】
距離センサ162は、例えば、筐体部120の下部に配置されている。距離センサ162は、筐体部120における+X軸方向側の面、-X軸方向側の面、+Y軸方向側の面、及び-Y軸方向側の面の各下部に配置されてもよい。距離センサ162は、移動ロボット100の周囲における物体との距離を測定する。制御部180は、ロボットカメラ161が出力する画像データや、距離センサ162が出力する検出信号を解析することにより、移動ロボット100の周囲の障害物を認識するとともに、移動ロボット100と障害物との間の距離を測定する。
【0038】
IDセンサ170は、例えば、表示部150の近傍に設けられている。IDセンサ170は、移動ロボット100を操作するユーザのIDを識別するものであって、ユーザがそれぞれ所有するIDカードに含まれる固有の識別子を検出する。IDセンサ170は、例えば、無線タグの情報読取りをするためのアンテナを含む。ユーザは、IDカードをIDセンサ170に近付けることにより、移動ロボット100に操作者であるユーザのIDを認識させる。
【0039】
制御部180は、CPU(Central Processing Unit)等の演算装置を有する情報処理装置である。制御部180は、制御部180が有するハードウェアと、当該ハードウェアに格納されたプログラムとを含む。すなわち、制御部180が実行する処理は、ハードウェアまたはソフトウェアのいずれかにより実現される。
【0040】
制御部180は、各構成から種々の情報を取得して、取得した情報に応じて各構成に指示をする。例えば、制御部180は、ロボットカメラ161から取得した画像データ及び距離センサ162から取得した移動ロボット100の周辺における物体の情報等から、移動ロボット100と周囲の物体との間の距離を検出する。そして、制御部180は、検出した距離から目的地への経路を算出し、算出した経路に応じて、駆動部110に対して経路に沿った移動をするための指示をする。このような処理を実行する場合には、制御部180は、記憶部190が記憶するフロアマップに関する情報を参照する。また、制御部180は、走行する通路の障害物の種類を判定する。例えば、制御部180は、センサ群160が検知した障害物の特徴を認識して障害物の種類を判定する。よって、制御部180は、障害物の種類を判定する障害物判定手段として機能する。
【0041】
記憶部190は、フラッシュメモリやSSD(Solid State Drive)等の不揮発性メモリを含む。記憶部190は、移動ロボット100が自律移動をするために使用する施設のフロアマップを記憶している。また、記憶部190は、障害物及び設置物905の情報を記憶する。また、記憶部190は、障害物及び設置物905の種類に応じて設定された所定距離906を記憶する。所定距離906は、障害物の種類に応じて設定された距離であって、走行する移動ロボット100と障害物との間の距離である。このように、記憶部190は、記憶手段として機能する。記憶部190は、制御部180に接続し、制御部180からの要求に応じて、記憶している情報を制御部180に出力する。
【0042】
図2に示すように、移動ロボット100は、ロボットカメラ161が設置された+X軸方向側を前方とする。すなわち、通常の移動時においては、矢印で示すように、+X軸方向側が進行方向となる。
【0043】
なお、移動ロボット100の前方をどのように規定するかについては、様々な考え方を採用することができる。例えば、周辺環境を認識するためのセンサ群160がどのように配置されているかに基づいて前方を規定することができる。具体的には、認識能力が高いセンサが配置されていたり、多くのセンサが配置されていたりする筐体部120の+X軸方向側を前方とすることができる。このように前方を規定すれば、移動ロボット100は、周辺環境をより的確に認識しながら移動することができる。本実施形態における移動ロボット100も、ロボットカメラ161が配置されている+X軸方向側を前方としている。
【0044】
あるいは、表示部150がどのように配置されているかに基づいて前方を規定することができる。表示部150がキャラクターの顔などを表示すれば、周囲の人は、表示部150が移動ロボット100の前方であることを自然に認識する。そこで、表示部150の表示面側を前方とすれば、周囲の人にとって違和感が少ない。本実施形態における移動ロボット100も、表示部150の表示面側を前方としている。
【0045】
また、移動ロボット100の筐体形状に基づいて前方を規定しても良い。例えば、筐体部120の走行面への投影形状が長方形である場合に、長手側を前方とするよりも短手側を前方とする方が、移動時においてすれ違う人の邪魔にならない。すなわち、筐体形状によっては、通常の移動時に前方とすることが好ましい筐体面が存在する。本実施形態における移動ロボット100において、長方形の短手側を前方としている。移動ロボット100は、以上のようにいくつかの考え方に合致するように前方を規定しているが、いずれの考え方に基づいて前方を規定するかは、その移動ロボットの形状や役割などを考慮して決定すれば良い。
【0046】
<移動ロボットの動作>
次に、本実施形態の移動ロボットの動作を説明する。例えば、ユーザは、移動ロボット100の電源をオンさせる。そして、ユーザは、操作受付部140に所望のタスクを入力する。なお、電源をオンする際、または、操作受付部140で操作する際に、必要があれば、IDセンサ170によって、ユーザのIDを識別させる。
【0047】
所望のタスクとして、物品を搬送させるためには、ユーザは、操作受付部140を操作して、収納室扉121を開け、物品を収納室に収納する。そして、操作受付部140を操作して、収納室扉121を閉じる。次に、物品の搬送先を操作受付部140から入力する。移動ロボット100の制御部180は、搬送先までの経路を、記憶部190に記憶されたフロアマップを用いて検索する。移動ロボット100は、検索された経路に沿って、自律移動する。
【0048】
図4は、実施形態1に係る移動ロボット100の施設900内における移動方法を例示した平面図である。図4に示すように、施設900内には、X軸方向に延びた通路902が設けられている。通路902の所定の位置には、人907が利用するために設置された設置物905が設けられている。設置物905は、例えば、手すりである。なお、設置物905は、手すりに限らない。例えば、設置物905は、人907が利用するために設置されたものであれば、ベンチでもよいし、掲示板でもよい。
【0049】
移動ロボット100は、通路902を-X軸方向側から+X軸方向側へ移動する。移動ロボット100は、基本的に壁際を走行する。これにより、通路902を移動する人907及び他の移動ロボット100の邪魔にならないようにする。移動ロボット100は、走行する通路902に障害物がある場合には、障害物との間に、障害物の種類に応じて設定された所定距離906を空けて走行する。障害物は、例えば、人907が利用するために通路902に設置された設置物905である。所定距離906は、人907が設置物905を利用するための距離であり、設置物905の種類に応じて設定される。
【0050】
例えば、設置物905が手すりの場合には、所定距離906は、手すりにつかまって歩行する人907にぶつからない距離である。また、設置物905がベンチの場合には、所定距離906は、ベンチに座った人907にぶつからない距離である。また、設置物905が掲示板の場合には、所定距離906は、掲示板を見る人907にぶつからない距離である。
【0051】
なお、障害物は、設置物905に限らず、他の移動ロボット100、ストレッチャー等のように移動する移動体でもよい。この場合でも、所定距離906は、障害物の種類に応じて設定されてもよい。
【0052】
移動ロボット100は、設置物905等の障害物をロボットカメラ161で検知してもよいし、予め、記憶部190に記憶されたフロアマップから障害物を検知してもよい。また、移動ロボット100は、施設カメラ400が撮像した画像データから障害物を検知してもよい。画像データは、施設カメラ400から直接に送信されてもよいし、サーバ装置300及びアクセスポイント500を介して送信されてもよい。
【0053】
壁際を走行する移動ロボット100は、設置物905を検知した場合には、設置物905との間に、所定距離906を空けて走行する。これにより、移動ロボット100と、設置物905を利用する人907との干渉を抑制することができる。また、移動ロボット100は、大きく迂回しなくてもよいので、移動効率を向上させることができる。
【0054】
なお、移動ロボット100は、設置物905を検知した場合に、設置物905を利用する人907を検知しても、設置物905を利用する人907を検知しなくても、所定距離906を空けて走行してもよい。また、移動ロボット100は、設置物905及び設置物905を利用する人907を検知した場合に、所定距離906を空けて走行し、設置物905のみ検知した場合には、所定距離906を空けないようにしてもよい。
【0055】
移動ロボット100は、設置物905を利用する人907を検知した場合に、自律移動の速度を変えてもよい。これにより、移動ロボット100と、設置物を利用する人907との干渉をさらに抑制することができる。
【0056】
図5は、実施形態1に係る移動ロボット100の施設900内における移動方法を例示した平面図である。図5に示すように、例えば、移動ロボット100は、所定の移動体904が近づいた場合であって、設置物905を利用する人907を検知しない場合には、設置物905との間の距離を、所定距離906よりも小さくして走行してもよい。これにより、移動ロボット100の走行の安全性を確保しつつ、移動ロボット100の移動効率をさらに向上させることができる。
【0057】
次に、上述した移動ロボット100の動作を、フローチャートを参照して説明する。図6は、実施形態1に係る移動ロボット100の施設900内における移動方法を例示したフローチャート図である。図6のステップS101に示すように、移動ロボット100は、障害物を検知したか判断する。例えば、移動ロボット100の制御部180は、センサ群160が通路902に障害物を検知したか判断する。ステップS101において、障害物を検知しない場合には、ステップS101を繰り返す。
【0058】
一方、ステップS101において、移動ロボット100は、障害物を検知した場合には、ステップS102に示すように、障害物の種類を判定する。例えば、移動ロボット100の制御部180は、センサ群160が障害物を検知した情報から、障害物の種類を判定する。例えば、制御部180は、ロボットカメラ161が撮像した障害物の画像から、障害物の種類を判定する。
【0059】
次に、ステップS103に示すように、移動ロボット100は、障害物の種類に応じて設定された所定距離906を用意する。例えば、制御部180は、障害物の種類に応じて設定された所定距離906を記憶部190から入手する。所定距離906は、予め記憶部190に記憶されてもよい。
【0060】
次に、ステップS104に示すように、移動ロボット100は、障害物との間に所定距離906を空けて走行する。本実施形態によれば、移動ロボット100は、障害物との干渉を抑制しつつ、移動効率を向上させることができる。なお、移動ロボット100は、障害物との間に所定距離906を空けて走行する際に、移動ロボット100の自律移動の速度を変えてもよい。例えば、障害物のない通路を走行する際の速度よりも小さくしてもよい。
【0061】
<実施形態1の変形例1>
次に、変形例1を説明する。変形例1は、障害物が設置物905の場合の例である。図7は、実施形態1の変形例1に係る移動ロボット100の施設900内における移動方法を例示したフローチャート図である。
【0062】
図7のステップS111に示すように、移動ロボット100は、障害物を検知したか判断する。ステップS111において、障害物を検知しない場合には、ステップS111を繰り返す。
【0063】
一方、ステップS111において、移動ロボット100は、障害物を検知した場合には、ステップS112に示すように、障害物は設置物905か判断する。例えば、移動ロボット100の制御部180は、センサ群160が障害物を検知した情報から、障害物が設置物905か判断する。ステップS112において、障害物が設置物905でない場合には、前述の図6のステップS102に進み、ステップS102~S104を実行する。
【0064】
一方、ステップS112において、障害物が設置物905である場合には、ステップS113に示すように、設置物905の種類を判定する。例えば、移動ロボット100の制御部180は、センサ群160が設置物905を検知した情報から、設置物905の種類を判定する。
【0065】
次に、ステップS114に示すように、移動ロボット100は、設置物905の種類に応じて設定された所定距離906を用意する。例えば、制御部180は、設置物905の種類に応じて設定された所定距離906を記憶部190から入手する。所定距離906は、予め記憶部190に記憶されてもよい。例えば、設置物905が手すりの場合には、所定距離906は、人907が手すりにつかまって歩くのに邪魔にならない距離である。
【0066】
次に、ステップS115に示すように、移動ロボット100は、設置物905との間に所定距離906を空けて走行する。本変形例によれば、設置物905を利用する人の安全性を確保しつつ、移動ロボット100の移動効率を向上させることができる。
【0067】
<実施形態1の変形例2>
次に、変形例2を説明する。変形例2は、障害物が設置物905の場合であって、設置物905を利用する人907がいる場合と、設置物905を利用する人907がいない場合とで区別する方法である。図8は、実施形態1の変形例2に係る移動ロボット100の施設900内における移動方法を例示したフローチャート図である。
【0068】
図8のステップS121~ステップS124は、前述のステップS111~ステップ114と同様である。
【0069】
次に、ステップS125に示すように、設置物905を利用する人を検知したか判断する。例えば、移動ロボット100の制御部180は、センサ群160が設置物905を検知した情報から、設置物905を利用する人を検知したか判断する。ステップS125において、設置物905を利用する人を検知した場合には、ステップS126に示すように、移動ロボット100は、設置物905との間に所定距離906を空けて走行する。
【0070】
一方、ステップS125において、設置物905を利用する人を検知しない場合には、ステップS127に示すように、移動ロボット100は、設置物905との間の距離を所定距離906よりも小さくして走行する。本変形例によれば、設置物905を利用する人の安全性を確保しつつ、移動効率をさらに向上させることができる。
【0071】
<実施形態1の変形例3>
次に、変形例3を説明する。変形例3は、障害物が設置物905の場合であって、さらに移動体904とすれ違う方法である。図9は、実施形態1の変形例3に係る移動ロボット100の施設900内における移動方法を例示したフローチャート図である。
【0072】
図9のステップS131~ステップS134は、前述のステップS111~ステップ114と同様である。
【0073】
次に、ステップS135に示すように、移動体904を検知したか判断する。例えば、移動ロボット100の制御部180は、センサ群160が移動体904を検知したか判断する。ステップS135において、移動体904を検知しない場合には、ステップS115またはステップS125に進む。
【0074】
一方、ステップS135において、移動体904を検知した場合には、ステップS136に示すように、移動ロボット100は、移動体904とすれ違い可能か判断する。ステップS136において、移動体904とのすれ違いができない場合には、移動ロボット100は、所定の処理を行う。例えば、通路902の縁で停止してもよいし、通路902を逆戻りしてもよい。
【0075】
一方、ステップS136において、移動体904とのすれ違いが可能な場合には、ステップS137に示すように、設置物905を利用する人907を検知したか判断する。例えば、移動ロボット100の制御部180は、センサ群160が設置物905を検知した情報から、設置物905を利用する人907を検知したか判断する。ステップS137において、設置物905を利用する人907を検知した場合には、ステップS138に示すように、移動ロボット100は設置物905との間に所定距離906を空けて走行する。
【0076】
一方、ステップS137において、設置物905を利用する人907を検知しない場合には、ステップS139に示すように、移動ロボット100は、設置物905との間の距離を所定距離906よりも小さくして走行する。
【0077】
このように、変形例3においては、所定の移動体904が近づいた場合であって、設置物905を利用する人907を検知しない場合には、設置物905との間の距離を、所定距離906よりも小さくして走行する。本変形例によれば、移動体904とすれ違う場合でも、設置物905を利用する人907の安全性を確保しつつ、移動効率を向上させることができる。
【0078】
(実施形態2)
次に、実施形態2に係る自律移動システムを説明する。本実施形態の自律移動システムは、所定の施設900内を自律移動する自律移動装置を制御するシステムである。自律移動システムについて、<自律移動システムの構成>及び<自律移動システムの動作>に分けて説明する。
【0079】
<自律移動システムの構成>
自律移動システムは、移動ロボット100を備えている。自律移動システムは、複数の移動ロボット100を備えてもよい。また、自律移動システムは、移動ロボット100の他、サーバ装置300と、施設カメラ400と、を備えてもよい。
【0080】
<移動ロボット>
本実施形態の移動ロボット100の構成は、前述の実施形態1と同様である。本実施形態の移動ロボット100は、実施形態1の移動ロボット100における機能のいくつかをサーバ装置300にさせてもよい。
【0081】
例えば、通信部130は、サーバ装置300に対して、センサ群160が検知した障害物の情報を送信してもよい。そして、通信部130は、サーバ装置300から、障害物の種類の情報及び障害物の種類に応じた所定距離906の情報を受信してもよい。
【0082】
<サーバ装置>
サーバ装置300は、例えば、通信機能を有するコンピュータである。サーバ装置300は、自律移動システムの各構成と通信可能であれば任意の場所に設置されてよい。サーバ装置300は、移動ロボット100との間で走行情報を送受信するとともに、施設カメラ400から画像データを取得してもよい。サーバ装置300は、例えば、前述の実施形態1の移動ロボット100における障害物検知手段、距離測定手段、障害物判定手段及び記憶手段のうち、少なくともいずれかを有してもよい。
【0083】
図10は、実施形態2に係るサーバ装置を例示したブロック図である。図10に示すように、サーバ装置300は、通信部330、制御部380及び記憶部390を有する。
【0084】
通信部330は、移動ロボット100及び施設カメラ400と個別に通信を行う。通信部330は、各構成から受け取った信号を制御部380に出力する。また、通信部330は、制御部380から出力される信号を適宜各構成に送信する。通信部330は、複数の移動ロボット100及び施設カメラ400との通信を行うためのルータ装置が含まれていてもよい。通信部330は、複数の移動ロボット100及び施設カメラ400との通信を行うために通信する構成要素ごとに複数の異なる通信手段を有していてもよい。通信部330は、イントラネット回線やインターネット回線を介して各構成と通信可能に接続されてもよい。
【0085】
通信部330は、移動ロボット100から、移動ロボット100が検知した障害物の情報を受信してもよい。また、通信部330は、施設カメラ400から、施設カメラ400が撮像した障害物の画像データを受信してもよい。通信部330は、受信した障害物の情報を制御部380に出力する。また、通信部330は、制御部380が判定した障害物の種類の情報及び障害物の種類に応じた所定距離906の情報を受け取り、移動ロボット100に送信してもよい。
【0086】
制御部380は、CPU等の演算装置を構成とし、種々の情報処理を行う。制御部380は、移動ロボット100及び施設カメラ400の情報から、障害物を検知してもよい。また、制御部380は、障害物の情報から、障害物との距離を測定してもよいし、障害物の種類及び障害物の種類に応じた所定距離906を判定してもよい。
【0087】
記憶部390は、フラッシュメモリやSSD等の不揮発性メモリを含む。記憶部390は、移動ロボット100が自律移動をするために使用する施設のフロアマップを記憶している。また、記憶部390は、障害物、設置物905、障害物の種類に応じて設定された所定距離906を記憶する。記憶部390は、制御部380に接続し、制御部380にからの要求に応じて、記憶している情報を制御部380に出力する。
【0088】
<自律移動システムの動作>
次に、自律移動システムの動作を説明する。図11は、実施形態2に係る移動ロボット100の施設900内における移動方法を例示したシーケンス図である。図11のステップS201に示すように、移動ロボット100は、障害物を検知したか判断する。例えば、移動ロボット100の制御部180は、センサ群160が通路902に障害物を検知したか判断する。ステップS201において、障害物を検知しない場合には、ステップS201を繰り返す。
【0089】
一方、ステップS201において、障害物を検知した場合には、ステップS202に示すように、サーバ装置300に障害物の情報を送信する。例えば、移動ロボット100の通信部130は、サーバ装置300の通信部330に対して、センサ群160が検知した障害物の情報を送信する。これに対し、サーバ装置300は、障害物の情報を受信する。
【0090】
また、ステップS203に示すように、施設カメラ400は、移動ロボット100の周辺の画像を撮像してもよい。そして、ステップS204に示すように、施設カメラ400は、撮像した画像データをサーバ装置300に送信してもよい。
【0091】
次に、ステップS205に示すように、サーバ装置300は、移動ロボット100から受信した障害物の情報から障害物の種類を判定する。なお、サーバ装置300は、施設カメラ400の画像データから障害物を検知してもよい。そして、検知した障害物の種類を判定してもよい。
【0092】
次に、ステップS206に示すように、サーバ装置300は、障害物の種類に応じて設定された所定距離906を用意する。例えば、制御部380は、所定距離906を記憶部390から入手する。所定距離906は、予め記憶部390に記憶されてもよい。
【0093】
次に、ステップS207に示すように、サーバ装置300は、用意した所定距離906を移動ロボット100に送信する。例えば、サーバ装置300の通信部330は、移動ロボット100の通信部130に対して、用意した所定距離906を送信する。これに対して、移動ロボット100は、所定距離906を受信する。
【0094】
次に、ステップS208に示すように、移動ロボット100は、障害物との間に所定距離906を空けて走行する。本実施形態によれば、サーバ装置300は、障害物の種類の判定及び所定距離906の用意を行うので、移動ロボット100の負担を低減することができ、移動ロボット100の処理スピードを向上させることができる。
【0095】
<実施形態2の変形例1>
次に、変形例1を説明する。変形例1は、障害物が設置物905の場合の例である。図12は、実施形態2の変形例1に係る移動ロボット100の施設900内における移動方法を例示したシーケンス図である。
【0096】
図12のステップS211に示すように、移動ロボット100は、障害物を検知したか判断する。ステップS211において、障害物を検知しない場合には、ステップS211を繰り返す。
【0097】
一方、ステップS211において、障害物を検知した場合には、ステップS212に示すように、移動ロボット100は、サーバ装置300に障害物の情報を送信する。これに対し、サーバ装置300は、障害物の情報を受信する。
【0098】
また、ステップS213に示すように、施設カメラ400は、移動ロボット100の周辺の画像を撮像してもよい。そして、ステップS214に示すように、施設カメラ400は、撮像した画像データをサーバ装置300に送信してもよい。
【0099】
次に、ステップS215に示すように、サーバ装置300は、移動ロボット100から受信した障害物が設置物か判定する。なお、サーバ装置300は、施設カメラ400の画像データから障害物を検知し、検知した障害物が設置物か判定してもよい。ステップS215において、障害物が設置物905でない場合には、前述の図11のステップ205に進む。
【0100】
一方、ステップS215において、障害物が設置物905である場合には、ステップS216に示すように、設置物905の種類を判定する。例えば、サーバ装置300の制御部380は、記憶部390に記憶した設置物905の情報と照らして、設置物905の種類を判定する。
【0101】
次に、ステップS217に示すように、サーバ装置300は、設置物905の種類に応じて設定された所定距離906を用意する。例えば、制御部380は、設置物905の種類に応じて設定された所定距離906を記憶部390から入手する。
【0102】
次に、ステップS218に示すように、サーバ装置300は、移動ロボット100に用意した所定距離906を送信する。例えば、サーバ装置300の通信部330は、移動ロボット100の通信部130に対して、用意した所定距離906を送信する。これに対して、移動ロボット100は、所定距離906を受信する。
【0103】
次に、ステップS219に示すように、移動ロボット100は、設置物905との間に所定距離906を空けて走行する。本変形例によれば、設置物905との干渉を抑制しつつ、移動ロボット100の移動効率を向上させることができる。
【0104】
<実施形態2の変形例2>
次に、変形例2を説明する。変形例2は、障害物が設置物905の場合であって、設置物905を利用する人907がいる場合と、設置物905を利用する人907がいない場合とで区別する方法である。図13は、実施形態2の変形例2に係る移動ロボット100の施設900内における移動方法を例示したシーケンス図である。
【0105】
図13のステップS221~ステップS227は、前述のステップS211~ステップS217と同様である。
【0106】
ステップS228に示すように、サーバ装置300は、設置物905を利用する人907がいるか検知してもよい。例えば、サーバ装置300の制御部380は、施設カメラ400の画像から設置物905を利用する人907がいるか検知してもよい。
【0107】
次に、ステップS229に示すように、サーバ装置300は、用意した所定距離906を移動ロボット100に送信する。その際に、サーバ装置300は、設置物905を利用する人907がいるかどうかも含め、所定距離等として移動ロボット100に送信してもよい。これに対して、移動ロボット100は、所定距離等を受信する。
【0108】
次に、ステップS230に示すように、移動ロボット100は、設置物905を利用する人907を検知したか判断する。例えば、移動ロボット100の制御部180は、センサ群160が設置物905を検知した情報から、設置物905を利用する人907を検知したか判定する。または、移動ロボット100の制御部180は、サーバ装置300から受信した所定距離等の情報から、設置物905を利用する人907を検知したか判断してもよい。
【0109】
ステップS230において、設置物905を利用する人907を検知した場合には、ステップS231に示すように、移動ロボット100は、設置物905との間に所定距離906を空けて走行する。
【0110】
一方、ステップS230において、設置物905を利用する人907を検知しない場合には、ステップS232に示すように、移動ロボット100は、設置物905との間の距離を所定距離906よりも小さくして走行する。本変形例によれば、移動ロボット100の移動効率をさらに向上させることができる。
【0111】
<実施形態2の変形例3>
次に、変形例3を説明する。変形例3は、障害物が設置物905の場合であって、さらに移動体904とすれ違う方法である。図14は、実施形態2の変形例3に係る移動ロボット100の施設900内における移動方法を例示したシーケンス図である。
【0112】
図14のステップS241~ステップS247は、前述のステップS221~ステップ227と同様である。
【0113】
ステップS248に示すように、サーバ装置300は、移動体904を検知してもよい。例えば、サーバ装置300の制御部380は、施設カメラ400の画像から移動体904があるか検知してもよい。そして、ステップS249に示すように、移動体904がある場合には、すれ違いが可能かを判断してもよい。さらに、ステップS250に示すように、サーバ装置300は、設置物905を利用する人907がいるか検知してもよい。
【0114】
次に、ステップS251に示すように、サーバ装置300は、用意した所定距離906を移動ロボット100に送信する。その際に、サーバ装置300は、移動体904があるか、移動体904とすれ違い可能か、及び、設置物905を利用する人907がいるかも含め、所定距離等として移動ロボット100に送信してもよい。これに対して、移動ロボット100は、所定距離等を受信する。
【0115】
次に、ステップS252に示すように、移動ロボット100は、移動体904を検知したか判断する。例えば、移動ロボット100の制御部180は、センサ群160が移動体904を検知したか判定する。または、移動ロボット100の制御部180は、サーバ装置300から受信した所定距離等の情報から、移動体904があるか判断してもよい。ステップS252において、移動体904を検知しない場合には、図12のステップS219または図13のステップS230に進む。
【0116】
一方、ステップS252において、移動体904を検知した場合には、ステップS253に示すように、移動ロボット100は、移動体904とすれ違い可能か判断する。ステップS253において、移動体904とのすれ違いができない場合には、移動ロボット100は、所定の処理を行う。例えば、通路902の縁で停止してもよいし、通路902を逆戻りしてもよい。
【0117】
一方、ステップS253において、移動体904とのすれ違いが可能な場合には、ステップS254に示すように、設置物905を利用する人907を検知したか判断する。例えば、移動ロボット100の制御部180は、センサ群160が設置物905を検知した情報から、設置物905を利用する人907を検知したか判断する。または、移動ロボット100の制御部180は、サーバ装置300から受信した所定距離等の情報から、設置物905を利用する人907がいるか判断してもよい。
【0118】
ステップS254において、設置物905を利用する人907を検知した場合には、ステップS255に示すように、移動ロボット100は、設置物905との間に所定距離906を空けて走行する。
【0119】
一方、ステップS254において、設置物905を利用する人907を検知しない場合には、ステップS256に示すように、移動ロボット100は、設置物905との間の距離を所定距離906よりも小さくして走行する。本変形例によれば、移動体904とすれ違う場合でも、設置物905との干渉を抑制しつつ、移動ロボット100の移動効率を向上させることができる。
【0120】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、実施形態1及び2の各構成を組み合わせたものも、本実施形態の技術的思想の範囲に含まれる。また、下記の自律移動方法及び自律移動プログラムも本実施形態の技術的思想の範囲に含まれる。
(付記1)
通路を有する施設内を自律移動する自律移動装置の自律移動方法であって、
走行する前記通路に障害物を検知した場合には、前記障害物の種類を判定させるステップと、
前記障害物の種類に応じて設定された所定距離を用意させるステップと、
前記障害物との間に前記所定距離を空けて走行させるステップと、
を備えた自律移動方法。
(付記2)
前記障害物は、人が利用するために前記通路に設置された設置物であり、
前記所定距離は、前記人が前記設置物を利用するための距離である、
付記1に記載の自律移動方法。
(付記3)
前記設置物は、手すり、ベンチ及び掲示板の少なくともいずれか1つを含む、
付記2に記載の自律移動方法。
(付記4)
前記設置物を利用する人を検知した場合に、自律移動の速度を変えさせる、
付記2または3に記載の自律移動方法。
(付記5)
所定の移動体が近づいた場合であって、前記設置物を利用する人を検知しない場合には、前記設置物との間の距離を、前記所定距離よりも小さくして走行させる、
付記2~4のいずれか1項に記載の自律移動方法。
(付記6)
通路を有する施設内を自律移動する自律移動装置の自律移動プログラムであって、
走行する前記通路に障害物を検知した場合には、前記障害物の種類を判定させ、
前記障害物の種類に応じて設定された所定距離を用意させ、
前記障害物との間に前記所定距離を空けて走行させる、
ことをコンピュータに実行させる自律移動プログラム。
(付記7)
前記障害物は、人が利用するために前記通路に設置された設置物であり、
前記所定距離は、前記人が前記設置物を利用するための距離である、
付記6に記載の自律移動プログラム。
(付記8)
前記設置物は、手すり、ベンチ及び掲示板の少なくともいずれか1つを含む、
付記7に記載の自律移動プログラム。
(付記9)
前記設置物を利用する人を検知した場合に、自律移動の速度を変えさせる、
ことをコンピュータに実行させる付記7または8に記載の自律移動プログラム。
(付記10)
所定の移動体が近づいた場合であって、前記設置物を利用する人を検知しない場合には、前記設置物との間の距離を、前記所定距離よりも小さくして走行させる、
ことをコンピュータに実行させる付記7~9のいずれか1項に記載の自律移動プログラム。
【符号の説明】
【0121】
100 移動ロボット
110 駆動部
111 駆動輪
112 キャスター
120 筐体部
121 収納室扉
130 通信部
140 操作受付部
150 表示部
160 センサ群
161 ロボットカメラ
162 距離センサ
170 IDセンサ
180 制御部
190 記憶部
300 サーバ装置
330 通信部
380 制御部
390 記憶部
400 施設カメラ
500 アクセスポイント
900 施設
902 通路
904 移動体
905 設置物
906 所定距離
907 人
910 床面
920 天井
図1
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