(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】空調装置
(51)【国際特許分類】
A47C 7/74 20060101AFI20240717BHJP
B60N 2/56 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
A47C7/74 C
B60N2/56
(21)【出願番号】P 2021025417
(22)【出願日】2021-02-19
【審査請求日】2023-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】浅野 有美
(72)【発明者】
【氏名】宇井 秀一
(72)【発明者】
【氏名】村端 宏史
(72)【発明者】
【氏名】小林 和真
【審査官】白土 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-075865(JP,A)
【文献】特開2018-103656(JP,A)
【文献】特開2016-159869(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0093347(US,A1)
【文献】特許第6708090(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00-2/90
A47C 7/00-7/74
B60H 1/00-3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クッションフレームと、前記クッションフレームの下方に配置された部品ホルダと、を備える乗物用シートに用いられる空調装置であって、
ファンと、
前記ファンを保持するケースと、
を備え、
前記ケースは、
前記ファンを保持すると共に、前記クッションフレームに取り付けられるように構成されたケース本体と、
前記ケース本体から下方に突出すると共に、前記部品ホルダと対向する位置において前記ケースの下方への移動を規制するように構成された第1ストッパと、
前記ケース本体の前記第1ストッパとは異なる位置から下方に突出すると共に、前記部品ホルダと対向する位置において前記ケースの下方への移動を規制するように構成された第2ストッパと、
を有する、空調装置。
【請求項2】
請求項1に記載の空調装置であって、
前記第2ストッパの下端は、前記第1ストッパの下端よりも下方に位置する、空調装置。
【請求項3】
請求項2に記載の空調装置であって、
前記部品ホルダの形状が互いに異なる第1乗物用シート及び第2乗物用シートの双方に用いられ、
前記第1ストッパは、前記第1乗物用シートの前記部品ホルダと対向する位置に配置されることで前記ケースの下方への移動を規制するように構成され、
前記第2ストッパは、前記第1乗物用シートの前記部品ホルダと対向する位置に配置されることで前記ケースの下方への移動を規制すると共に、前記第2乗物用シートの前記部品ホルダと対向する位置に配置されることで前記ケースの下方への移動を規制するように構成される、空調装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の空調装置であって、
前記部品ホルダに対し、前記クッションフレームの少なくとも一部を上下方向に移動させるように構成された昇降装置をさらに備える、空調装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両等に配置される乗物用シートにおいて、シートクッションへの空気の供給、又はシートクッションからの空気の排出を行うファンを備えた空調装置が設けられる場合がある。空調装置は、シートクッションを支持するクッションフレームに取り付けられる(特許文献1参照)。
【0003】
空調装置の下方には、空調装置及びその他の装置に接続されるワイヤーハーネスを保持する部品ホルダが配置される。そのため、利用者の着席によってシートクッションへの荷重が増加した場合、シートクッションが昇降装置によって下降した場合等に、ファンが部品ホルダに干渉するおそれがある。
【0004】
そこで、部品ホルダに上方から接触するストッパを空調装置に設けることで、ファンと部品ホルダとの干渉が抑制することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のホルダの位置及び形状は、乗物用シートの仕様(例えば、車両内での乗物用シートの位置)によって異なるため、乗物用シートに合わせてストッパの位置及び形状を変える必要がある。この結果として、空調装置のコストが増加する。
【0007】
本開示の一局面は、部品ホルダとの干渉を抑制するためのケースの形状を共通化できる空調装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様は、クッションフレーム(103)と、クッションフレーム(103)の下方に配置された部品ホルダ(107)と、を備える乗物用シート(100)に用いられる空調装置(1)である。空調装置(1)は、ファン(2)と、ファン(2)を保持するケース(3)と、を備える。
【0009】
ケース(3)は、ファン(2)を保持すると共に、クッションフレーム(103)に取り付けられるように構成されたケース本体(31)と、ケース本体(31)から下方に突出すると共に、部品ホルダ(107)と対向する位置においてケース(3)の下方への移動を規制するように構成された第1ストッパ(32)と、ケース本体(31)の第1ストッパ(32)とは異なる位置から下方に突出すると共に、部品ホルダ(107)と対向する位置においてケース(3)の下方への移動を規制するように構成された第2ストッパ(33)と、を有する。
【0010】
このような構成によれば、ケース(3)が位置をずらして配置された複数のストッパ(32,33)を有することで、異なる形状の部品ホルダ(107)に対してケース(3)の干渉を抑制できる。つまり、異なる形状の部品ホルダ(107)を備える乗物用シート(100)に対して、ケース(3)の形状を共通化できる。その結果、空調装置(1)のコストを低減できる。
【0011】
本開示の一態様では、第2ストッパ(33)の下端は、第1ストッパ(32)の下端よりも下方に位置してもよい。このような構成によれば、ケース(3)と対向する部分の高さが異なる複数の部品ホルダ(107)に対して、ケース(3)の形状を的確に共通化できる。
【0012】
本開示の一態様は、部品ホルダ(107)の形状が互いに異なる第1乗物用シート(100)及び第2乗物用シート(100A)の双方に用いられてもよい。第1ストッパ(32)は、第1乗物用シート(100)の部品ホルダ(107)と対向する位置に配置されることでケース(3)の下方への移動を規制するように構成されてもよい。第2ストッパ(33)は、第1乗物用シート(100)の部品ホルダ(107)と対向する位置に配置されることでケース(3)の下方への移動を規制すると共に、第2乗物用シート(100A)の部品ホルダ(107A)と対向する位置に配置されることでケース(3)の下方への移動を規制するように構成されてもよい。
【0013】
このような構成によれば、第1ストッパ(32)による移動の規制が可能な部品ホルダ(107)に対して、第1ストッパ(32)に加えて第2ストッパ(33)によってケース(3)の移動を規制することができる。そのため、部品ホルダ(107)に対するケース(3)の干渉抑制効果が促進される。
【0014】
本開示の一態様は、部品ホルダ(107)に対し、クッションフレーム(103)の少なくとも一部を上下方向に移動させるように構成された昇降装置(105,106)をさらに備えてもよい。このような構成によれば、昇降装置(105,106)によってクッションフレーム(103)が下降する際に、部品ホルダ(107)に対するケース(3)の干渉を的確に抑制できる。
【0015】
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本開示は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、実施形態の第1乗物用シートを示す模式的な斜視図である。
【
図2】
図2A及び
図2Bは、
図1のクッションフレーム、スライド装置、リフト装置、チルト装置、空調装置及び部品ホルダの模式的な斜視図である。
【
図4】
図4は、
図2Aの空調装置と部品ホルダとの配置を示す模式的な部分断面図である。
【
図5】
図5A,5Bは、第2乗物用シートのクッションフレーム、スライド装置、リフト装置、チルト装置、空調装置及び部品ホルダの模式的な斜視図である。
【
図6】
図6は、
図5Aの空調装置と部品ホルダとの配置を示す模式的な部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本開示が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
[1.第1実施形態]
[1-1.構成]
<第1乗物用シート>
図1に示す第1乗物用シート100は、シートクッション101と、シートバック102と、クッションフレーム103と、バックフレーム(図示省略)と、第1スライド装置104Aと、第2スライド装置104Bと、リフト装置105と、チルト装置106と、部品ホルダ107と、空調装置1とを備える。
【0018】
第1乗物用シート100は、乗用車の座席シートとして使用される。なお、以下の説明及び各図面における方向は、第1乗物用シート100を乗物(つまり乗用車)に組み付けた状態における方向を意味する。本実施形態では、シート幅方向は、乗物の左右方向に一致し、シート前方は、乗物の前方に一致する。
【0019】
シートクッション101は、着席者の臀部を支持するための部位である。シートバック102は、着席者の背部を支持するための部位である。クッションフレーム103は、シートクッション101を支持する。
【0020】
<クッションフレーム>
クッションフレーム103は、
図2A,2Bに示すように、左サイドフレーム103Aと、右サイドフレーム103Bと、フロントパネル103Cと、第1ロッド103Dと、第2ロッド103Eとを有する。
【0021】
左サイドフレーム103A及び右サイドフレーム103Bは、それぞれ前後方向に延伸すると共に、シート幅方向に互いに離間して配置されている。フロントパネル103C、第1ロッド103D及び第2ロッド103Eは、左サイドフレーム103Aと右サイドフレーム103Bとをシート幅方向に連結している。
【0022】
フロントパネル103Cは、シートクッション101の前部を下方から支持する。フロントパネル103Cの後端部は、チルト装置106を介して、左サイドフレーム103A及び右サイドフレーム103Bそれぞれの前端部に取り付けられている。
【0023】
第1ロッド103D及び第2ロッド103Eは、円筒状のパイプで構成されている。第1ロッド103Dは、フロントパネル103Cの後方に配置されている。第2ロッド103Eは、第1ロッド103Dの後方に配置されている。
【0024】
<スライド装置>
第1スライド装置104A及び第2スライド装置104Bは、協働してシートクッション101及びシートバック102をシート前後方向にスライドさせるように構成されている。
【0025】
第1スライド装置104A及び第2スライド装置104Bは、それぞれ、クッションフレーム103に取り付けられた可動レールと、車両の床面に固定されると共に可動レールをスライド可能に支持する固定レールとを有する。
【0026】
第1スライド装置104Aの可動レールは、リフト装置105を介して左サイドフレーム103Aに取り付けられている。第2スライド装置104Bの可動レールは、リフト装置105を介して右サイドフレーム103Bに取り付けられている。
【0027】
<リフト装置>
リフト装置105は、車両の床面(つまり第1スライド装置104A及び第2スライド装置104B)に対してクッションフレーム103を上下方向に移動させるように構成されている。
【0028】
リフト装置105は、左サイドフレーム103A及び右サイドフレーム103Bとスライド装置104A,104Bの可動レールとを連結する複数のリンクと、これらのリンクを駆動させるモータ等の駆動源とを有する。
【0029】
<チルト装置>
チルト装置106は、フロントパネル103Cを左サイドフレーム103A及び右サイドフレーム103Bに対して上下方向に揺動させることで、シートクッション101の前部を後部に対し上下方向に移動させる。
【0030】
チルト装置106は、左サイドフレーム103A及び右サイドフレーム103Bとフロントパネル103Cの後端部とを連結する複数のリンクと、これらのリンクを駆動させるモータ等の駆動源とを有する。
【0031】
<部品ホルダ>
部品ホルダ107は、スライド装置104A,104B、リフト装置105、チルト装置106、空調装置1等への車両からの電力供給、又はこれらの装置と車両との通信を行うための複数のワイヤーハーネスを保持する。
【0032】
部品ホルダ107は、クッションフレーム103の下方に配置されている。具体的には、部品ホルダ107は、フロントパネル103Cの下方において、フロントパネル103Cと上下方向に重なる位置に配置されている。
【0033】
部品ホルダ107は、クッションフレーム103には固定されていない。部品ホルダ107は、例えば、図示しないブラケットによって、第1スライド装置104A及び第2スライド装置104Bの可動レールに取り付けられている。そのため、リフト装置105及びチルト装置106は、クッションフレーム103の全体又は一部を部品ホルダ107に対し上下方向に移動させる。
【0034】
<空調装置>
空調装置1は、シートクッション101に空気を供給する、又はシートクッション101から空気を排出する装置である。空調装置1は、クッションフレーム103に取り付けられている。
【0035】
空調装置1は、
図3A,3Bに示すように、ファン2と、ケース3と、ダクト4とを備える。
【0036】
(ファン)
ファン2は、複数の羽を回転させることで、ダクト4に空気を送る送風運転、又はダクト4から空気を吸引する換気運転を行うように構成されている。なお、ファン2は、ヒーター又はクーラーによって空気を加熱又は冷却する機能を有してもよい。
【0037】
(ケース)
ケース3は、ケース本体31と、第1ストッパ32と、第2ストッパ33と、コネクタ34とを有する。
【0038】
ケース本体31は、枠体31Aと、突出部31Bと、係止部31Cとを有する。枠体31Aは、ファン2の周囲を囲うことでファン2を保持している。突出部31Bは、枠体31Aから前方に突出している。
【0039】
係止部31Cは、枠体31Aの上方に配置されたC字状のフックである。係止部31Cは、
図2Bに示すように、クッションフレーム103の第1ロッド103Dに前方から係止する。
【0040】
係止部31Cは、第1ロッド103Dに対して固定されず、第1ロッド103Dの外周面上を摺動可能なように係止される。そのため、ケース本体31は、第1ロッド103Dの中心軸を中心として揺動可能な状態で、クッションフレーム103に取り付けられる。
【0041】
ケース3は、部品ホルダ107に対し、クッションフレーム103と共にリフト装置105によって上下方向に移動する。また、ケース3は、チルト装置106によるフロントパネル103Cの上下方向の揺動に伴って上下方向に揺動する。
【0042】
図4に示すように、第1ストッパ32及び第2ストッパ33は、それぞれ、ケース本体31の突出部31Bから下方に突出している。第2ストッパ33は、突出部31Bにおいて第1ストッパ32とは異なる位置(具体的には、第1ストッパ32の左側)から突出している。また、第2ストッパ33の下端は、第1ストッパ32の下端よりも下方に位置する。
【0043】
第1ストッパ32及び第2ストッパ33は、それぞれ、上下方向において部品ホルダ107と対向する位置に配置されている。そのため、第1ストッパ32及び第2ストッパ33は、それぞれ、部品ホルダ107に上方から接触することで、ケース3の下方への移動を規制するように構成されている。
【0044】
図4は、リフト装置105及びチルト装置106によるケース3の移動範囲のうち、最も下の位置(つまり、最降下地点)にケース3が位置している状態を示している。この状態では、第1ストッパ32及び第2ストッパ33が共に部品ホルダ107に上方から接触することで、ケース3の下方への移動が規制されている。
【0045】
具体的には、第1ストッパ32の下面及び第2ストッパ33の下面がそれぞれ違う高さにおいて部品ホルダ107に接触している。また、ケース3のうち、第1ストッパ32及び第2ストッパ33以外の部位は、部品ホルダ107から離れている。
【0046】
なお、第1ストッパ32及び第2ストッパ33は、ケース3が最降下地点にあるときに必ずしも部品ホルダ107に接触しなくてもよい。クッションフレーム103の上下方向の位置は、シートクッション101に加わる荷重の大きさ(例えば着席者の体重)によって変化する。
【0047】
そのため、最大荷重時には第1ストッパ32及び第2ストッパ33と部品ホルダ107とが接触する一方で、最大荷重未満の時には第1ストッパ32及び第2ストッパ33と部品ホルダ107との間にクリアランスが発生するように設計されてもよい。
【0048】
本実施形態では、第1ストッパ32及び第2ストッパ33はシート幅方向に連続して(つまり隣接して)設けられている。また、第1ストッパ32及び第2ストッパ33それぞれの下面は平坦面である。さらに、第1ストッパ32及び第2ストッパ33は、ファン2の中心軸よりも左側に配置されている。
【0049】
また、本実施形態では、第1ストッパ32及び第2ストッパ33は、成型によりケース本体31と一体化されている。ただし、第1ストッパ32及び第2ストッパ33は、ケース本体31に取り付けられた、ケース本体31とは独立した部材で構成されてもよい。
【0050】
コネクタ34は、ファン2への電力供給及び信号入力を行うワイヤーハーネスが接続される部位である。コネクタ34は、前方からワイヤーハーネスの端子が挿入可能なように、枠体31Aの下方に配置されている。
【0051】
本実施形態では、コネクタ34は、第1ストッパ32及び第2ストッパ33の右側に配置されている。また、コネクタ34は、前後方向においてファン2の中心軸と重なる位置に配置されている。
【0052】
(ダクト)
図3A,3Bに示すダクト4は、ファン2が供給する空気又はファン2が吸引する空気の流路を構成する。
【0053】
ダクト4は、可撓性を有するゴム等の弾性体で形成された蛇腹状の管体である。ダクト4の下方の端部は、ファン2に接続されている。ダクト4の上方の端部は、シートクッション101に向けて開口している。
【0054】
ダクト4は、ダクト4の上方の端部から径方向外側に突出した連結部41を有する。連結部41には、ボルト挿通用の孔が設けられている。ダクト4は、連結部41によってフロントパネル103Cに取り付けられている。
【0055】
ダクト4の上方の端部は、チルト装置106によるフロントパネル103Cの上下方向の揺動に伴って上下方向に移動する。フロントパネル103Cが上方に揺動すると、ダクト4は上下に伸張すると共に、ダクト4が連結されたファン2及びケース3が第1ロッド103Dを中心に上方に揺動する。フロントパネル103Cが下方に揺動すると、ダクト4は収縮し、ファン2及びケース3が第1ロッド103Dを中心に下方に揺動する。
【0056】
<第2乗物用シート>
空調装置1は、
図5A,5Bに示すように、部品ホルダ107Aを備える第2乗物用シート100Aにも装着可能である。
【0057】
第2乗物用シート100Aは、例えば、同じ車両において第1乗物用シート100と異なる位置に配置される。そのため、第2乗物用シート100Aに接続されるワイヤーハーネスの配線経路(つまり取り回し)は、第1乗物用シート100に接続されるワイヤーハーネスの配線経路と異なる。これにより、第2乗物用シート100Aの部品ホルダ107Aは、
図1の第1乗物用シート100の部品ホルダ107と互いに異なる形状を有する。
【0058】
第2乗物用シート100Aの部品ホルダ107A以外の構成は、第1乗物用シート100と同じである。また、第2乗物用シート100Aにおける空調装置1の取り付け位置も第1乗物用シート100と同じである。
【0059】
図6に示すように、第2乗物用シート100Aにおいて、空調装置1の第1ストッパ32及び第2ストッパ33は、それぞれ、上下方向において部品ホルダ107Aと対向する位置に配置されている。
【0060】
図6に示す最降下地点に空調装置1のケース3が位置している状態では、第2ストッパ33が部品ホルダ107Aに上方から接触する一方で、第1ストッパ32は、部品ホルダ107Aに接触しない。
【0061】
つまり、第2乗物用シート100Aでは、第1ストッパ32及び第2ストッパ33のうち、第2ストッパ33のみが部品ホルダ107Aに上方から接触することで、ケース3の下方への移動を規制するように構成されている。
【0062】
換言すれば、第2ストッパ33は、第1乗物用シート100及び第2乗物用シート100Aの双方においてケース3の移動を規制するように機能する。一方、第1ストッパ32は、第1乗物用シート100のみにおいてケース3の移動を規制するように機能する。
【0063】
[1-2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)ケース3が位置をずらして配置された第1ストッパ32及び第2ストッパ33を有することで、異なる形状の部品ホルダ107,107Aに対してケース3の干渉を抑制できる。つまり、異なる形状の部品ホルダ107,107Aを備える乗物用シート100,100Aに対して、ケース3の形状を共通化できる。その結果、空調装置1のコストを低減できる。
【0064】
(1b)第2ストッパ33の下端が第1ストッパ32の下端よりも下方に位置することで、ケース3と対向する部分の高さが異なる複数の部品ホルダ107,107Aに対して、ケース3の形状を的確に共通化できる。
【0065】
(1c)第1乗物用シート100において第2ストッパ33が第1ストッパ32と共に部品ホルダ107の移動を規制することで、第1ストッパ32による移動の規制が可能な部品ホルダ107に対して、第1ストッパ32に加えて第2ストッパ33によってケース3の移動を規制することができる。そのため、部品ホルダ107に対するケース3の干渉抑制効果が促進される。
【0066】
(1d)リフト装置105及び/又はチルト装置106によってクッションフレーム103が下降する際に、部品ホルダ107,107Aに対するケース3の干渉を的確に抑制できる。
【0067】
[2.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0068】
(2a)上記実施形態の空調装置において、対応する部品ホルダに対するケースの移動を規制できれば、第2ストッパの下端は、必ずしも第1ストッパの下端よりも下方に位置しなくてもよい。例えば、第2ストッパの下端と第1ストッパの下端とが同じ高さにあってもよい。
【0069】
(2b)上記実施形態の空調装置において、第2ストッパは、必ずしも形状の異なる複数の部品ホルダに対してケースの下方への移動を規制するように構成されなくてもよい。例えば、第2ストッパは、第2乗物用シートの部品ホルダに対して機能する一方で、第1乗物用シートの部品ホルダに対しては機能しなくてもよい。
【0070】
(2c)上記実施形態の空調装置が取り付けられる乗物用シートは、必ずしも昇降装置(つまりリフト装置及びチルト装置)を備えなくてもよい。また、乗物用シートは、リフト装置及びチルト装置以外の昇降装置を備えてもよい。
【0071】
(2d)上記実施形態の乗物用シートは、乗用車以外の自動車に用いられるシートや、自動車以外の例えば、鉄道車両、船舶、航空機等の乗物に用いられるシートにも適用できる。
【0072】
(2e)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0073】
1…空調装置、2…ファン、3…ケース、4…ダクト、31…ケース本体、
31A…枠体、31B…突出部、31C…係止部、32…第1ストッパ、
33…第2ストッパ、34…コネクタ、41…連結部、100…第1乗物用シート、
100A…第2乗物用シート、101…シートクッション、102…シートバック、
103…クッションフレーム、103A…左サイドフレーム、
103B…右サイドフレーム、103C…フロントパネル、103D…第1ロッド、
103E…第2ロッド、104A…第1スライド装置、104B…第2スライド装置、
105…リフト装置、106…チルト装置、107,107A…部品ホルダ。