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特許7521455コンテントの表示制御装置、表示制御方法及び表示制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】コンテントの表示制御装置、表示制御方法及び表示制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G09G 5/00 20060101AFI20240717BHJP
   G06F 3/0484 20220101ALI20240717BHJP
【FI】
G09G5/00 530T
G06F3/0484
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021026213
(22)【出願日】2021-02-22
(65)【公開番号】P2022127955
(43)【公開日】2022-09-01
【審査請求日】2023-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】川嶋 大義
(72)【発明者】
【氏名】近藤 卓哉
(72)【発明者】
【氏名】手嶋 健太郎
【審査官】西島 篤宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-021833(JP,A)
【文献】米国特許第09786087(US,B1)
【文献】国際公開第2021/029178(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 5/00 - 5/42
G06F 3/0484
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アプリケーションを記憶するアプリケーション記憶部(11)と、
前記アプリケーションからの表示要求が受け付けられたことに応じてコンテントを表示するための画面遷移のルール定義を記憶する画面遷移ルール定義記憶部(14)と、
前記アプリケーションからの表示要求を受け付けると、前記画面遷移のルール定義に基づいて何れのコンテントを優先して表示するかの調停を行うことでコンテントを割り当て、画面遷移結果を作成する画面遷移調停部(13)と、
画面遷移アニメーションのルール定義を記憶するアニメーションルール定義記憶部(16)と、
前記画面遷移結果を入力すると、その入力した画面遷移結果により割り当てられたコンテントを用いて画面遷移アニメーション情報を作成し、実行中のアニメーションの情報を格納する実行中アニメーションリストを参照し、調停対象の画面遷移アニメーションが実行状態であるときのアニメーション制約式を満たしたか否かを判定して前記アニメーション制約式を評価し、前記アニメーションルール定義記憶部に記憶されている画面遷移アニメーションのルール定義に基づいて干渉チェックを行い、画面遷移の処理単位で画面遷移アニメーションの実行有無を判定し、何れのアニメーションを表示するかの調停を行うアニメーション調停部(15)と、
前記アニメーション調停部の判定結果にしたがって画面遷移アニメーションの実行可否を指示する実行可否指示部(12)と、
前記実行可否指示部からの指示にしたがって画面遷移アニメーションの表示を制御する表示制御部(17)と、を備えるコンテントの表示制御装置。
【請求項2】
前記実行可否指示部は、前記アニメーション調停部が画面遷移アニメーションの実行無を判定すると、画面遷移アニメーションの実行否としてキャンセルを指示する請求項1に記載したコンテントの表示制御装置。
【請求項3】
前記アニメーション調停部は、調停対象の画面遷移アニメーションが実行状態であるときのアニメーション制約式を評価する請求項1又は2に記載したコンテントの表示制御装置。
【請求項4】
前記アニメーション調停部は、調停対象の画面遷移アニメーションが実行状態であるときのアニメーション制約式を満たしていると判定すると、調停対象の画面遷移アニメーションを実行前である場合に、調停対象の画面遷移アニメーションを実行通知アニメーションリストに追加する請求項3に記載したコンテントの表示制御装置。
【請求項5】
前記アニメーション調停部は、調停対象の画面遷移アニメーションが実行状態であるときのアニメーション制約式を満たしていないと判定すると、調停対象の画面遷移アニメーションを実行中である場合に、調停対象の画面遷移アニメーションをキャンセル通知アニメーションリストに追加する請求項3に記載したコンテントの表示制御装置。
【請求項6】
アプリケーションを記憶するアプリケーション記憶部(11)と、
前記アプリケーションからの表示要求が受け付けられたことに応じてコンテントを表示するための画面遷移のルール定義を記憶する画面遷移ルール定義記憶部(14)と、
画面遷移アニメーションのルール定義を記憶するアニメーションルール定義記憶部(16)と、を備えるコンテントの表示制御装置(10)において、
前記アプリケーションからの表示要求を受け付けると、前記画面遷移のルール定義に基づいて何れのコンテントを優先して表示するかの調停を行うことでコンテントを割り当て、画面遷移結果を作成する画面遷移調停手順と、
前記画面遷移結果を入力すると、その入力した画面遷移結果により割り当てられたコンテントを用いて画面遷移アニメーション情報を作成し、実行中のアニメーションの情報を格納する実行中アニメーションリストを参照し、調停対象の画面遷移アニメーションが実行状態であるときのアニメーション制約式を満たしたか否かを判定して前記アニメーション制約式を評価し、前記アニメーションルール定義記憶部に記憶されている画面遷移アニメーションのルール定義に基づいて干渉チェックを行い、画面遷移の処理単位で画面遷移アニメーションの実行有無を判定し、何れのアニメーションを表示するかの調停を行うアニメーション調停手順と、
前記アニメーション調停手順の判定結果にしたがって画面遷移アニメーションの実行可否を指示する実行可否指示手順と、
前記実行可否指示手順からの指示にしたがって画面遷移アニメーションの表示を制御する表示制御手順と、を行うコンテントの表示制御方法。
【請求項7】
アプリケーションを記憶するアプリケーション記憶部(11)と、
前記アプリケーションからの表示要求が受け付けられたことに応じてコンテントを表示するための画面遷移のルール定義を記憶する画面遷移ルール定義記憶部(14)と、
画面遷移アニメーションのルール定義を記憶するアニメーションルール定義記憶部(16)と、を備えるコンテントの表示制御装置(10)のマイクロコンピュータに、
前記アプリケーションからの表示要求を受け付けると、前記画面遷移のルール定義に基づいて何れのコンテントを優先して表示するかの調停を行うことでコンテントを割り当て、画面遷移結果を作成する画面遷移調停手順と、
前記画面遷移結果を入力すると、その入力した画面遷移結果により割り当てられたコンテントを用いて画面遷移アニメーション情報を作成し、実行中のアニメーションの情報を格納する実行中アニメーションリストを参照し、調停対象の画面遷移アニメーションが実行状態であるときのアニメーション制約式を満たしたか否かを判定して前記アニメーション制約式を評価し、前記アニメーションルール定義記憶部に記憶されている画面遷移アニメーションのルール定義に基づいて干渉チェックを行い、画面遷移の処理単位で画面遷移アニメーションの実行有無を判定し、何れのアニメーションを表示するかの調停を行うアニメーション調停手順と、
前記アニメーション調停手順の判定結果にしたがって画面遷移アニメーションの実行可否を指示する実行可否指示手順と、
前記実行可否指示手順からの指示にしたがって画面遷移アニメーションの表示を制御する表示制御手順と、を実行させるコンテントの表示制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテントの表示制御装置、表示制御方法及び表示制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば車両に設置されている表示装置に表示されるコンテントは多岐にわたる。この種のコンテントとしては、車両走行に関係する走行系のコンテント、車両走行に関係しない非走行系のコンテント等がある。走行系のコンテントとしては、例えば車速、エンジン回転数、シフトポジション、燃料の残量等が挙げられる。非走行系のコンテントとしては、例えばナビゲーション用の地図情報、オーディオ情報、電話情報等が挙げられる。コンテントは、アプリケーションからのコンテントの表示要求を受け付けることに応じて表示される。この場合、一のアプリケーションのコンテントを表示中に他のアプリケーションからのコンテントの表示要求を受け付けると、何れのコンテントを優先して表示するかの調停を行う。例えば特許文献1には、何れのコンテントを優先して表示するかの調停を行う手法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-3649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年では、コンテントの表示制御が複雑化することに伴い、画面遷移アニメーションの制御も複雑化している。画面遷移アニメーションとは、例えば1つのエリアで一のコンテントから他のコンテントにクロスフェードして遷移するときのアニメーション、又は1つのコンテントが一のエリアから他のエリアに移動して遷移するときに付随するアニメーションである。従来は、画面遷移アニメーションを管理する手法として、状態遷移表やマトリクス表を作成し、画面遷移アニメーションと画面遷移との関係を示す調停仕様を網羅的に可視化して管理及び設計していた。
【0005】
しかしながら、この手法では、コンテントや画面遷移アニメーションを抽出した上で1つ1つイベント分析する必要があり、コンテントや画面遷移アニメーションの追加や変更等の仕様変更に対して柔軟に対応することができない。又、状態遷移表やマトリクス表が大規模になってしまうので、調停仕様を管理及び設計することができたとしても実装する際に誤りが発生する虞があった。
【0006】
更に、特許文献1の手法では、コンテントの割り当て有無の制御に着目しているに過ぎず、例えば1つのコンテントが移動の画面遷移アニメーションを実行しながらクロスフェードの画面遷移アニメーションを実行する際に、移動の画面遷移アニメーションだけをキャンセルしたい場合、コンテントの割り当て有無の制御だけでは画面遷移アニメーションの制御を行うことができない。
【0007】
一方、出願人は、コンテントの表示制御に関連する出願として、特願2019-147337号を出願した。しかしながら、特願2019-14733号は、画面遷移アニメーション同士の干渉をルールベース調停する課題解決案であり、画面遷移アニメーションとアニメーションの付随しない画面遷移とが干渉したときの画面遷移アニメーションの制御を行うものではない。このような事情から、画面遷移アニメーションの制御を容易に管理することができる手法が望まれている。
【0008】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、その目的は、画面遷移アニメーションの制御を容易に管理することができるコンテントの表示制御装置、表示制御方法及び表示制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載した発明によれば、アプリケーション記憶部(11)は、アプリケーションを記憶する。画面遷移ルール定義記憶部(14)は、アプリケーションからの表示要求が受け付けられたことに応じてコンテントを表示するための画面遷移のルール定義を記憶する。画面遷移調停部(13)は、アプリケーションからの表示要求を受け付けると、画面遷移のルール定義に基づいて何れのコンテントを優先して表示するかの調停を行うことでコンテントを割り当て、画面遷移結果を作成する。アニメーションルール定義記憶部(16)は、画面遷移アニメーションのルール定義を記憶する。アニメーション調停部(15)は、画面遷移結果を入力すると、その入力した画面遷移結果により割り当てられたコンテントを用いて画面遷移アニメーション情報を作成し、実行中のアニメーションの情報を格納する実行中アニメーションリストを参照し、調停対象の画面遷移アニメーションが実行状態であるときのアニメーション制約式を満たしたか否かを判定してアニメーション制約式を評価し、アニメーションルール定義記憶部に記憶されている画面遷移アニメーションのルール定義に基づいて干渉チェックを行い、画面遷移の処理単位で画面遷移アニメーションの実行有無を判定し、何れのアニメーションを表示するかの調停を行う。実行可否指示部(12は、アニメーション調停部の判定結果にしたがって画面遷移アニメーションの実行可否を指示する。表示制御部(17)は、実行可否指示部からの指示にしたがって画面遷移アニメーションの表示を制御する。
【0010】
画面遷移結果により割り当てられたコンテントを用いて画面遷移アニメーション情報を作成し、実行中のアニメーションの情報を格納する実行中アニメーションリストを参照し、調停対象の画面遷移アニメーションが実行状態であるときのアニメーション制約式を満たしたか否かを判定してアニメーション制約式を評価し、アニメーションルール定義記憶部に記憶されている画面遷移アニメーションのルール定義に基づいて干渉チェックを行い、画面遷移の処理単位で画面遷移アニメーションの実行有無を判定し、何れのアニメーションを表示するかの調停を行うようにした。状態遷移表やマトリクス表を作成することなく、画面遷移の処理単位で画面遷移アニメーションの表示を制御することで、画面遷移アニメーションとアニメーションの付随しない画面遷移とが干渉したときの画面遷移アニメーションの制御を行うことができる。これにより、画面遷移アニメーションの制御を容易に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態における表示制御装置の構成を示す機能ブロック図
図2】車室内を示す斜視図
図3】優先度調停を示す図
図4】後勝ち調停を示す図
図5】エリアのZオーダーと優先度との関係を示す図
図6】コンテントと状態とエリアの関係性を示す図
図7】論理式の構文を示す図
図8】論理式の構文を示す図
図9】システム構成を示す図
図10】全体処理を示すフローチャート
図11】アニメーション制約式の評価処理を示すフローチャート
図12】マトリクス仕様を示す図
図13】画面遷移アニメーション(通常時)を示す図
図14】画面遷移アニメーション(キャンセル時)を示す図
図15】調停ロジックの流れを示す図
図16】マトリクス仕様を示す図
図17】マトリクス仕様を示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、一実施形態について図面を参照して説明する。図2に示すように、車両の車室1内には運転席2と助手席3とが配置されており、それらの前方にインストルメントパネル4が配置されている。インストルメントパネル4の前端にはフロントガラス5が立ち上がるように実装されている。インストルメントパネル4には第1表示装置6及び第2表示装置7が配置され、フロントガラス5には第3表示装置8が配置されている。
【0013】
第1表示装置6は、例えばフルカラーの液晶表示装置から構成されるセンターディスプレイであり、基本的に車両走行に関係しない非走行系のコンテントを表示する表示部として機能する。非走行系のコンテントは、例えばナビゲーション用の地図情報、オーディオ情報、電話情報等である。又、第1表示装置6は、車両の後進時にリアカメラにより撮像された車両後方の映像を表示する表示部としても機能する。第2表示装置7は、例えばフルカラーの液晶表示装置から構成されるメータディスプレイであり、基本的に車両走行に関係する走行系のコンテントを表示する表示部として機能する。走行系のコンテントは、例えば車速、エンジン回転数、シフトポジション、燃料の残量等である。第3表示装置8は、インストルメントパネル4に配置されている表示ユニット9からフロントガラス5に映像が投影されるヘッドアップディスプレイであり、第2表示装置7と同様に、基本的に走行系のコンテントを表示する表示部として機能する。各表示装置6~8にはコンテントを表示するエリアが1つ又は複数設定されている。このような構成では、各表示装置6~8にコンテントが表示されることで、走行系のコンテントや非走行系のコンテントから構成される各種情報が乗員に提供される。
【0014】
図1に示すように、表示制御装置10は、アプリケーション記憶部11と、制御部12と、画面遷移調停部13と、画面遷移ルール定義記憶部14と、アニメーション調停部15と、アニメーションルール定義記憶部16と、表示制御部17と、入出力I/F18とを有する。表示制御装置10はコンテントの表示制御装置に相当する。制御部12は実行可否指示部に相当する。アプリケーション記憶部11には複数のアプリケーションA~Cが予め記憶されている。各アプリケーションA~Cは、一又は複数のコンテントの表示要求が発生すると、表示対象、表示領域を示すエリア及びコンテントを示す表示要求を制御部12に割り込み出力する。エリアとは、コンテントを表示する際に割り当てる領域である。
【0015】
制御部12、画面遷移調停部13、アニメーション調停部15及び表示制御部17は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、I/O(Input/Output)等を含むマイクロコンピュータを有し、非遷移的実体的記憶媒体に格納されている表示制御プログラムを実行し、表示制御装置10の動作を制御する。
【0016】
画面遷移ルール定義記憶部14には画面遷移のルール定義が記憶されている。ルール定義は、コンテントをエリアに割り当てる場合の基本的な調停を定義した調停ポリシーと、制約式とを含んで構成されている。調停ポリシーは、後述するように優先度調停/後勝ち調停/価値ベース調停の何れかで必ず設定される。制約式は、1つに限定されることはなく、記述者の意図に応じて設けられない場合もあるし複数設けられる場合もある。
【0017】
画面遷移調停部13は、アプリケーションから表示要求が制御部12に割り込み出力されたことで、アプリケーションからの表示要求を受け付けると、画面遷移ルール定義記憶部14に記憶されている画面遷移のルール定義に基づいてエリアにコンテントを割り当て、画面遷移結果を作成する。画面遷移調停部13は、複数の異なるアプリケーションからの表示要求を同時に受け付ける場合があり、このような場合は何れのコンテントを優先して表示するかの調停を行う。ここでいう「同時」とは時間的に同時という意味ではなく、一のアプリケーションがコンテントを表示中に他のアプリケーションからのコンテントの表示要求を受け付けた状態、即ち、2つ以上のアプリケーションからの表示要求を同時に受け付けた状態を意味する。
【0018】
アニメーションルール定義記憶部16にはアニメーションのルール定義が記憶されている。アニメーション調停部15は、画面遷移調停部13から画面遷移結果を入力すると、その入力した画面遷移結果を用いて画面遷移アニメーション情報を作成し、アニメーション制約式を評価し、画面遷移の処理単位で画面遷移アニメーションの実行有無を判定する。アニメーション調停部15は、画面遷移アニメーションの実行有無を判定すると、画面遷移結果及び画面遷移アニメーション情報をアプリケーションに通知する。
【0019】
制御部12は、アニメーション調停部15の判定結果にしたがって画面遷移アニメーションの実行可否を指示する。表示制御部17は、制御部12から画面遷移アニメーションの新規表示が指示されると、その新規表示の指示にしたがって画面遷移アニメーションを新規表示する。表示制御部17は、制御部12から画面遷移アニメーションのキャンセルが指示されると、そのキャンセルの指示にしたがって実行中の画面遷移アニメーションをキャンセルする。
【0020】
入出力I/F18は、車載ネットワーク19を介して各種ECU20、各種センサ21、各種スイッチ22、自動運転制御装置23等と接続されている。車載ネットワーク19は、例えばCAN(Controller Area Network、登録商標)等である。
【0021】
以下、ルールベース調停について説明する。
(1)ルールベース調停
ルールベース調停は、与えられた一定のルールに基づいてコンテントを調停して任意のエリアに割り当てる調停方法を記述している。ルールベース調停におけるルールの定義としては、エリア定義、コンテント定義、制約式が必要である。
【0022】
(1-1)エリア定義
エリア定義では、表示場所、表示場所の価値、調停ポリシーが定義される。エリア毎に調停が行われるので、エリア毎に調停ポリシーを定義する。
エリアでは、表示装置6~8にコンテントを表示させる枠を定義する。1つのエリアには1つのコンテントのみが割り当てられる。
エリアは、以下の定義とする。
・エリアは、割り当てられたコンテントを表示する。
・エリアは、調停ポリシーを持つ。
・エリアは、表示可能なコンテントを参照する。
・エリアは、1つ以上のサイズを持つ。
【0023】
各エリアは、プロパティを有している。プロパティとして、優先度、Zオーダー、調停ポリシー、サイズが設定されている。
(a)優先度
優先度は、エリア自体の価値を示す値(0~100%)である。優先度の値が大きいエリアから順に調停を行う。
(b)Zオーダー
Zオーダーは、高さに関する座標である。Zオーダーの値が高いほど前面に表示される。優先度が同じエリアがある場合には、Zオーダーの値が高い順に調停を行う。
(c)調停ポリシー
調停ポリシーは、優先度調停、後勝ち調停、価値ベース調停の何れかである。
(c-1)優先度調停
優先度調停は、エリア単位の調停ポリシーであり、図3に示すように、エリアに表示可能なコンテントの中で最も優先度の高いコンテントを表示する調停である。
(c-2)後勝ち調停
後勝ち調停は、エリア単位の調停ポリシーであり、図4に示すように、エリアで最後に要求が発生したコンテントを表示し、そのコンテントの表示が終了した場合は残っている中で最後に要求が発生したコンテントを表示する調停である。
(c-3)価値ベース調停
価値ベース調停は、エリア全体での調停ポリシーであり、コンテントの価値を数値化した数値とエリアの価値を数値化した数値とを乗じた演算値が最大となるコンテントを表示する調停である。
(d)サイズ
サイズは、エリアのサイズで縦×横となる。複数定義されている場合には、コンテントのサイズに応じて決定される。エリアのZオーダーと優先度との関係は、図5に示すようになる。
【0024】
(1-2)コンテント定義
コンテント定義では、表示可能エリア、コンテントの状態、コンテントの状態の価値が定義される。コンテントは、状態を複数持つことが可能であり、コンテントがエリアに割り当てられ、コンテントの状態が表示される。コンテントは、自分が表示可能なエリアを定義して参照する。
【0025】
コンテントでは、表示装置6~8の表示画面に定義されたエリアに表示するコンテントを定義する。1つのエリアには1つのコンテントのみが割り当てられる。
コンテントは、以下の定義とする。
・コンテントは、エリアに対して割り当てられる。
・コンテントは、自らが表示可能なエリアを1つ以上参照する。
・コンテントは、必ず1つ以上の状態を持つ。
・コンテントは、1つ以上のサイズを持つ。
【0026】
表示可能なエリアが複数ある場合には、何れも表示可能であることを示し、1つのコンテントを複数エリアに同時に表示することもできる。1つのコンテントに複数の状態を持つことができ、複数持っている場合には、それぞれの状態は排他的であり必ず1つの状態でしか一度に表示することができない。コンテントはサイズを複数持つことができ、複数ある場合には、表示先のエリアのサイズに応じて最も近いサイズを表示させる。コンテントと状態とエリアの関係性は、図6に示すように紐づけられる。
【0027】
コンテントは、プロパティを有しており、プロパティとして、優先度、サイズ、調停負けしたときに表示要求を取り下げる(キャンセルする)又は取り下げない(待機する)の何れかを示す属性が設定されている。
(a)優先度
優先度は、エリアの調停ポリシーが「優先度調停」の場合に使われる値であり、優先度の高いコンテントが先にエリアに割り当てられる。
(b)サイズ
サイズは、コンテントの表示のサイズで縦×横となる。複数定義されていた場合は、エリアのサイズに応じて決定される。
【0028】
(1-3)制約式
制約式は、調停中又は調停後において、例外的に満たすべき性質を記述したルールである。調停の状態を制約式で抑制することで、そのままの調停ポリシーでは表現しきれない状態を表したり、調停後の調停結果の判定に用いたりすることができる。即ち、例えば車両の走行状態等の状況に応じては、調停ポリシーにて割り当てられたコンテントであっても表示しない方が良い場合があるためである。制約式では、調停結果が満たすべき条件であるコンテント抑制やエリア抑制の条件が定義される。
【0029】
制約式で扱える論理式は、コンテントの状態、エリアの状態、エリアに表示中のコンテント、エリアとコンテントの集合、シーンの状態、論理演算、量化記号である。シーンとは、例えば手動運転シーン又は自動運転装置19による自動運転シーンであり、自動運転シーンでは手動運転用コンテントグループのコンテントは表示しないという表示制御が可能となる。
【0030】
(a)コンテントの状態は、アクティブ/非アクティブ、表示中/非表示中の何れかである。
(b)エリアの状態は、表示中/非表示中の何れかである。
(c)論理演算は、NOT(!)、AND、OR、含意(->)、等号(=)である。
量化記号は、∀(For All:集合の要素全てに対して条件が成立する)、∃(Exists:集合に条件を満たす要素が少なくとも一つ存在する)である。
(d)制約式
制約式は、調停ロジックの結果に影響を及ぼし、調停ロジックは全ての制約を満たすように振る舞う。
【0031】
(1-4)コンテント抑制
例えばコンテントc1の表示中はコンテントc2を表示しないという制約式として、「中心エリア.displaying Content()=c1 ->! c2.is Visible()」を例示する。この制約式は、中心エリアにコンテントc1を表示していれば、コンテントc2を表示しないという抑制を記述している。
【0032】
(1-5)優先度調停と後勝ち調停
優先度調停と後勝ち調停とが混在する場合は、エリアの調停ポリシーを後勝ちにしておき、優先度が関わるコンテント間の関係のみを制約式で記述することで対応可能である。
【0033】
このような制約式として、「電話.is Active() -> For All MM系割り込み(電話以外){x|!x.is Visible()}」を例示する。調停ポリシーが後勝ち調停のエリアであるが、この制約式を加えることで電話という優先度の高いコンテントがアクティブであれば、全てのマルチメディア系割り込み(電話以外)を表示しないという抑制を記述している。
【0034】
(2)調停ロジック
調停ロジックは、与えられたルールに基づき、エリアの調停ポリシーに基づいた形で制約式を満たすようにコンテントを割り当てる方法を定義したアルゴリズムである。基本的にはエリア毎に優先度順に調停を行う。調停ロジックには、エリア内の調停とエリア全体の調停とがある。
【0035】
(2-1)エリア内の調停
(a)エリア内の調停は、優先度調停及び後勝ち調停のエリアを優先度の高い順に調停する。
(b)各エリアについて以下を評価する。
最も優先されるコンテントを仮に割り当て、制約式の評価結果が真(TRUE)であれば、仮に割り当てたコンテントを確定する。制約式の評価結果が偽(FALSE)であれば、次に優先されるコンテントを再評価する。制約式を満たすコンテントがなければ、そのエリアにはコンテントを表示しない。
【0036】
(2-2)エリア全体の調停
エリア全体の調停(価値ベース調停)は、ベストフィットロジック及びワンパスロジックがある。
(a)ベストフィットロジックは、制約式を満たすコンテントとエリアとの全ての組み合わせの中から価値の総和が最も高いものを選択する。
(b)ワンパスロジックは、優先度の高いエリアから順に優先度の高いコンテントをエリアに割り当て、既に他のエリアに割り当てられたコンテントは対象外にする。本実施形態ではワンパスロジックを採用するが、ベストフィットロジックを採用しても良い。
【0037】
従来は、画面遷移アニメーションを管理する手法として、状態遷移表やマトリクス表を作成し、画面遷移アニメーションと画面遷移との関係を示す調停仕様を網羅的に可視化して管理及び設計していた。しかしながら、この手法では、コンテントや画面遷移アニメーションの追加や変更等の仕様変更に対して柔軟に対応することができない問題や、実装する際に誤りが発生する虞がある問題があった。このような事情から、画面遷移アニメーションの制御を容易に管理することができる手法が望まれており、本実施形態では、以下に示す構成を採用している。
【0038】
本実施形態では、図7に示す制約式で扱える論理式の構文の一例に、図8に示す画面遷移アニメーションのキャンセルを表す論理式の構文を追加している。画面遷移アニメーションのキャンセルを表す論理式の構文を追加したことで、画面遷移単位で画面遷移アニメーションの制御が可能となる。図7に示す構文と図8に示す構文とを組み合わせた画面遷移条件と、どの画面遷移アニメーションを制御するかという情報とを組み合わせ、アニメーション制約式を作成する。
【0039】
アニメーション制約式の記述例を以下に示す。
例えば「Content1が表示されたら、AnimeAはキャンセルする」は、
Content1.isVisible() -> AnimeA.animationIsCanceled()
と記述することができる。
例えば「AreaAが非表示になったら、AnimeAはキャンセルする」は、
!AreaA.isDisplayed() -> AnimeA.animationIsCanceled()
と記述することができる。
【0040】
アニメーション調停部15は、図9に示すように、実行中のアニメーションの情報を格納する実行中アニメーションリスト24、実行通知の対象とするアニメーションの情報を格納する実行通知アニメーションリスト25、キャンセル通知の対象とするアニメーションの情報を格納するキャンセル通知アニメーションリスト26を保持している。アニメーション調停部15は、アニメーション制約式の評価を、実行中アニメーションリスト24を参照し、調停対象の画面遷移アニメーションが実行状態であるときのアニメーション制約式を満たしたか否かを判定することで、調停対象のアニメーションを実行通知アニメーションリスト25又はキャンセル通知アニメーションリスト26の何れかに追加する。
【0041】
表示制御装置10は、図10に示す全体処理、図11に示すアニメーション制約式評価処理を行う。表示制御装置10は、全体処理を開始すると、アプリケーションから表示要求が制御部12に割り込み出力されたことで、アプリケーションからの表示要求を画面遷移調停部13により受け付けると、エリアにコンテントを割り当て、画面遷移結果を作成する(S1、画面遷移調停手順)。
【0042】
表示制御装置10は、画面遷移結果を用いて画面遷移アニメーション情報を作成する(S2)。表示制御装置10は、アニメーション制約式評価処理に移行し、アニメーションルール定義記憶部16に記憶されているアニメーションのルール定義に基づいてアニメーション制約式を評価し、画面遷移の処理単位で画面遷移アニメーションの実行有無を判定する(S3、アニメーション調停手順)。
【0043】
表示制御装置10は、アニメーション制約式評価処理を開始すると、実行中アニメーションリスト24を参照し、今回評価するアニメーション制約式を決定する(S11)。表示制御装置10は、実行中アニメーションリスト24に含まれる画面遷移アニメーションを調停対象とし(S12)、調停対象の画面遷移アニメーションが実行状態であるときのアニメーション制約式を満たしているか否かを判定する(S13)。
【0044】
表示制御装置10は、調停対象の画面遷移アニメーションが実行状態であるときのアニメーション制約式を満たしていると判定すると(S13:YES)、調停対象の画面遷移アニメーションを実行前の場合に、調停対象の画面遷移アニメーションを実行通知アニメーションリスト25に追加する(S14)。
【0045】
一方、表示制御装置10は、調停対象の画面遷移アニメーションが実行状態であるときのアニメーション制約式を満たしていないと判定すると(S13:NO)、調停対象の画面遷移アニメーションを実行前の場合に、画面遷移アニメーション情報を通知せず、調停対象の画面遷移アニメーションを実行中の場合に、調停対象の画面遷移アニメーションをキャンセル通知アニメーションリスト26に追加する(S15)。
【0046】
表示制御装置10は、アニメーション制約式評価処理を終了すると、画面遷移結果及び画面遷移アニメーション情報をアプリケーションに通知し(S4)、全体処理を終了する。
【0047】
以下、ルールベース仕様のアニメーション制約式について具体例を説明する。
(1)アニメーション制約式の具体例1
「ある画面遷移アニメーションが実行中に警告表示の画面遷移が発生したら全ての画面遷移アニメーションを中断させる」を成立させるには、従来のマトリクス仕様では図12に示すマトリクス表を作成することになる。これに対し、本実施形態のルールベース仕様では以下に示すアニメーション制約式で記述することができる。
【0048】
animationConstraint 警告表示の画面遷移が発生したら全ての画面遷移アニメーションを中断{警告.isVisible() -> For-All {animeA, animeB, animeC} {x| x.animationIsCanceled()}
}
【0049】
この場合、表示制御装置10は、ドア開コンテントをフェードインアニメーションで表示する場合は、以下のように動作する。表示制御装置10は、図13及び図14に示すように、コンテント表示可能エリアに、リングコンテント31を表示しており、正面視にてリングコンテント31の右側に、時刻を示す時刻情報32、シフト位置を表示するシフト位置情報33、走行積算距離を示す走行積算距離情報34を表示している。尚、リングコンテント31は、車速を表示する車速表示部31aと、エンジンの回転数を表示する円周状のエンジン回転数表示部31bとを有する。
【0050】
この状態でアプリケーションからドア開コンテントの表示要求を受け付けると、表示制御装置10は、正面視にてリングコンテント31の左側に、ドア開コンテント35のフェードインアニメーションによる表示を開始する(図13(b),図14(b)参照)。表示制御装置10は、フェードインアニメーションによる表示を開始した直後では、ドア開コンテント35の表示の濃さを比較的弱く、ドア開コンテント35を不鮮明に表示する。
【0051】
これ以降、ドア開コンテント35のフェードインアニメーションによる表示を終了するまでにアプリケーションから警告コンテントの表示要求を受け付けなければ、表示制御装置10は、ドア開コンテント35のフェードインアニメーションによる表示を継続する。表示制御装置10は、ドア開コンテント35のフェードインアニメーションによる表示を継続することで、ドア開コンテント35の表示の濃さを時間経過と共に徐々に強くし、最終的にドア開コンテント35を鮮明に表示する(図13(c)、(d)参照)。
【0052】
これに対し、ドア開コンテント35のフェードインアニメーションによる表示を終了するまでにアプリケーションから警告コンテントの表示要求を受け付けると、表示制御装置10は、警告コンテント36を表示し、ドア開コンテント35のフェードインアニメーションによる表示を継続せずにキャンセルする。キャンセルするとは、中断することと同意である。表示制御装置10は、ドア開コンテント35のフェードインアニメーションによる表示をキャンセルすることで、ドア開コンテント35の表示の濃さを即座に強くし、ドア開コンテント35の表示の濃さを即時に最終時の濃さとする(図14(c)参照)。
【0053】
調停ロジックの流れは図15に示す通りとなる。
前提条件:何も表示されていないWindowIntエリア、WindowWrnエリアがある。
シナリオ:ドア開コンテントの表示要求を受け付け、ドア開コンテントのフェードインアニメーションの新規表示指示を出力する。その後、警告コンテントの表示要求を受け付け、ドア開コンテントのフェードインアニメーションのキャンセル指示を出力する。
【0054】
制御部12は、アプリケーションからドア開コンテントの表示要求を受け付けると、ドア開オン要求を画面遷移調停部13に出力する(A1)。画面遷移調停部13は、制御部12からドア開オン要求を入力すると、WindowIntエリアにドア開コンテントを割り当て可能と判定し、調停結果をアニメーション調停部15に出力し、WindowIntエリアにドア開コンテントを新規表示する旨をアニメーション調停部15に出力する(A2)。
【0055】
アニメーション調停部15は、画面遷移調停部13から調停結果を入力すると、アニメーションルール定義記憶部16に記憶されているアニメーションのルール定義に基づいて干渉チェックを行う。ここで、アニメーション調停部15は、前提条件としてWindowIntエリアに何も表示されていないので、ドア開コンテントのフェードインアニメーションを実行可能と判定し、アニメーション調停結果を制御部12に出力し、WindowIntエリアにドア開コンテントをフェードインアニメーションで新規表示する旨を制御部12に出力する(A3)。
【0056】
制御部12は、アニメーション調停結果をアニメーション調停部15から入力すると、その入力したアニメーション調停結果にしたがい、ドア開コンテントをフェードインアニメーションで新規表示する指示を表示制御部17に出力する(A4)(実行可否指示手順)。表示制御部17は、ドア開コンテントをフェードインアニメーションで新規表示する指示を制御部12から入力すると、その入力した指示に基づいてドア開コンテントのフェードインアニメーションを新規表示する(表示制御手順)。
【0057】
続いて、制御部12は、アプリケーションから警告コンテントの表示要求を入力すると、警告オン要求を画面遷移調停部13に出力する(A5)。画面遷移調停部13は、制御部12から警告オン要求を入力すると、WindowWrnエリアに警告コンテントを割り当て可能と判定し、調停結果をアニメーション調停部15に出力し、WindowWrnエリアに警告コンテントを新規表示する旨をアニメーション調停部15に出力する(A6)。
【0058】
アニメーション調停部15は、画面遷移調停部13から調停結果を入力すると、アニメーションルール定義記憶部16に記憶されているアニメーションのルール定義に基づいて干渉チェックを行う。ここで、アニメーション調停部15は、アニメーション制約式を評価し、ドア開コンテントのフェードインアニメーションのキャンセルを判定し、アニメーション調停結果を制御部12に出力し、WindowIntエリアのドア開コンテントのフェードインアニメーションをキャンセルする旨を制御部12に出力する(A7)。
【0059】
制御部12は、アニメーション調停結果をアニメーション調停部15から入力すると、その入力したアニメーション調停結果にしたがい、ドア開コンテントのフェードインアニメーションをキャンセルする指示を表示制御部17に出力する(A8)。表示制御部17は、ドア開コンテントのフェードインアニメーションをキャンセルする指示を制御部12から入力すると、その入力した指示に基づいてドア開コンテントのフェードインアニメーションをキャンセルする(表示制御手順)。
【0060】
(2)アニメーション制約式の具体例2
「あるコンテントの画面遷移アニメーション実行中、そのコンテントの非表示条件が成立して非表示の画面遷移が発生したら、その画面遷移アニメーションを中断させ、且つ非表示させる」を成立させるには、従来のマトリクス仕様では図16及び図17に示すマトリクス表を作成することになる。これに対し、本実施形態のルールベース仕様では以下に示すアニメーション制約式で記述することができる。
【0061】
animationConstraint コンテントaの非表示条件成立時はanimeAを中断する {
!コンテントa.isVisible() -> animeA.animationIsCanceled()
}
animationConstraint コンテントbの非表示条件成立時はanimeBを中断する {
!コンテントb.isVisible() -> animeB.animationIsCanceled()
}
animationConstraint コンテントcの非表示条件成立時はanimeCを中断する {
!コンテントc.isVisible() -> animeC.animationIsCanceled()
}
【0062】
本実施形態によれば、以下に示す作用効果を得ることができる。表示制御装置10において、画面遷移結果を用いて画面遷移アニメーション情報を作成し、アニメーション制約式を評価し、画面遷移の処理単位で画面遷移アニメーションの実行有無を判定し、画面遷移アニメーションの表示を制御するようにした。状態遷移表やマトリクス表を作成することなく、画面遷移の処理単位で画面遷移アニメーションの表示を制御することで、画面遷移アニメーションとアニメーションの付随しない画面遷移とが干渉したときの画面遷移アニメーションの制御を行うことができる。これにより、画面遷移アニメーションの制御を容易に管理することができる。
【0063】
調停対象の画面遷移アニメーションが実行状態であるときのアニメーション制約式を満たしていると判定すると、調停対象の画面遷移アニメーションを実行前であれば、調停対象の画面遷移アニメーションを実行通知アニメーションリスト25に追加するようにした。アニメーション制約式を満たしている調停対象の画面遷移アニメーションを実行通知アニメーションリスト25により管理することができる。
【0064】
調停対象の画面遷移アニメーションが実行状態であるときのアニメーション制約式を満たしていないと判定し、調停対象の画面遷移アニメーションを実行中であれば、調停対象の画面遷移アニメーションをキャンセル通知アニメーションリスト26に追加するようにした。アニメーション制約式を満たしていない調停対象の画面遷移アニメーションをキャンセル通知アニメーションリスト26により管理することができる。
【0065】
本開示は、実施形態に準拠して記述されたが、当該実施形態や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、更には、それらに一要素のみ、それ以上、或いはそれ以下を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
車両用に限らず、車両用以外の用途のコンテントの表示制御装置に適用しても良い。
【0066】
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することにより提供された専用コンピュータにより実現されても良い。或いは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によりプロセッサを構成することにより提供された専用コンピュータにより実現されても良い。若しくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路により構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより実現されても良い。又、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていても良い。
【符号の説明】
【0067】
図面中、10はコンテントの表示制御装置、11はアプリケーション記憶部、12は制御部(実行可否指示部)、13は画面遷移調停部、14は画面遷移ルール定義記憶部、15はアニメーション調停部、16はアニメーションルール定義記憶部、17は表示制御部、25は実行通知アニメーションリスト、26はキャンセル通知アニメーションリストである。
図1
図2
図3
図4
図5
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図10
図11
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