(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】非接触操作装置
(51)【国際特許分類】
H05B 47/115 20200101AFI20240717BHJP
H01H 36/00 20060101ALI20240717BHJP
H03K 17/955 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
H05B47/115
H01H36/00 D
H03K17/955 U
(21)【出願番号】P 2021030595
(22)【出願日】2021-02-26
【審査請求日】2023-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】宮内 拓也
(72)【発明者】
【氏名】鳥居 寛成
(72)【発明者】
【氏名】益子 智信
【審査官】谷口 東虎
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-004632(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 47/115
H01H 36/00
H03K 17/955
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の駆動状態に切替わり可能であるとともに、前記駆動状態が切替わることにより、負荷への電力の供給状態を変化させる駆動回路と;
静電容量について基準容量に対する変化量をそれぞれが検知する複数の検知部と;
前記複数の検知部での前記変化量の検知結果に基づいて、前記複数の検知部のいずれに検知対象が近接したかを判定するとともに、前記検知対象の近接についての判定結果に対応する駆動状態で前記駆動回路を駆動させる制御部であって、前記複数の検知部の少なくとも1つにおいて前記変化量が基準値以上である場合は、最も大きい変化量を他の変化量の1つ以上と比較し、前記変化量の比較結果に少なくとも基づいて、前記検知対象の近接について判定する
とともに、所定回数以上の時点において2番目に大きい変化量に対する最も大きい前記変化量の比率が所定値未満となったことに基づいて、前記変化量が最も大きい前記検知部及び前記変化量が2番目に大きい前記検知部の両方に前記検知対象が近接したと判定する制御部と;
を具備する、非接触操作装置。
【請求項2】
複数の駆動状態に切替わり可能であるとともに、前記駆動状態が切替わることにより、負荷への電力の供給状態を変化させる駆動回路と;
静電容量について基準容量に対する変化量をそれぞれが検知する複数の検知部と;
前記複数の検知部での前記変化量の検知結果に基づいて、前記複数の検知部のいずれに検知対象が近接したかを判定するとともに、前記検知対象の近接についての判定結果に対応する駆動状態で前記駆動回路を駆動させる制御部であって、前記複数の検知部の少なくとも1つにおいて前記変化量が基準値以上である場合は、最も大きい変化量を他の変化量の1つ以上と比較し、前記変化量の比較結果に少なくとも基づいて、前記検知対象の近接について判定する
とともに、2番目に大きい変化量に対する最も大きい前記変化量の比率が所定値未満である場合は、最も大きい前記変化量と3番目に大きい変化量を比較し、2つの前記変化量の比較結果に少なくとも基づいて、前記検知対象の近接について判定する制御部と;
を具備する、非接触操作装置。
【請求項3】
前記制御部は、2番目に大きい前記変化量に対する最も大きい前記変化量の比率が所定値以上の場合は、前記変化量が最も大きい前記検知部にのみ前記検知対象が近接したと判定する、
請求項
1又は2に記載の非接触操作装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記複数の検知部の全てにおいて前記変化量が前記基準値未満である場合は、前記複数の検知部のいずれにも前記検知対象が近接していないと判定する、
請求項1~
3のいずれか1項に記載の非接触操作装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記複数の検知部のいずれにも前記検知対象が近接していないと判定した場合は、前記駆動回路の前記駆動状態を維持し、
前記制御部は、前記複数の検知部のいずかに前記検知対象が近接したと判定した場合は、前記駆動回路を対応する前記駆動状態に切替える、
請求項1~
4のいずれか1項に記載の非接触操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、非接触操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
照明負荷等の負荷の作動を制御する制御システムにおいて、近接スイッチ装置等の非接触操作装置が用いられている。このような制御システムでは、非接触操作装置である非接触スイッチ装置において、制御部は、センサ等の検知部に手等の検知対象が近接したことに基づいて、スイッチ回路の駆動状態を切替える。例えば、制御部は、検知対象の近接による静電容量の容量変化に基づいて、駆動回路であるスイッチ回路のスイッチ部のON/OFFを切替え、照明負荷の点灯及び消灯を切替える。
【0003】
前述のような負荷の作動を制御する制御システムでは、1つの非接触スイッチ装置に複数の検知部(センサ)が設けられたり、複数の非接触スイッチ装置が互いに対して近い位置に配置されたりする等して、複数の検知部が互いに対して近い位置に配置されることがある。このように複数の検知部が互いに対して近い位置に配置される構成では、検知対象の近接を同時に検知したことに起因する負荷の誤作動等を有効に防止することが、求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-135101号公報
【文献】特許第4702768号公報
【文献】特許第4915657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、複数の検知部が同時に検知対象の近接を検知したことに起因する負荷の誤作動を有効に防止する非接触操作装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、非接触操作装置は、駆動回路、複数の検知部及び制御部を具備する。駆動回路は、複数の駆動状態に切替わり可能であるとともに、駆動状態が切替わることにより、負荷への電力の供給状態を変化させる。複数の検知部は、静電容量について基準容量に対する変化量をそれぞれが検知する。制御部は、複数の検知部での変化量の検知結果に基づいて、複数の検知部のいずれに検知対象が近接したかを判定するとともに、検知対象の近接についての判定結果に対応する駆動状態で駆動回路を駆動させる。制御部は、複数の検知部の少なくとも1つにおいて変化量が基準値以上である場合は、最も大きい変化量を他の変化量の1つ以上と比較し、前記変化量の比較結果に少なくとも基づいて、前記検知対象の近接について判定するとともに、所定回数以上の時点において2番目に大きい変化量に対する最も大きい前記変化量の比率が所定値未満となったことに基づいて、前記変化量が最も大きい前記検知部及び前記変化量が2番目に大きい前記検知部の両方に前記検知対象が近接したと判定する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数の検知部が同時に検知対象の近接を検知したことに起因する負荷の誤作動を有効に防止する非接触操作装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る負荷制御システムを示す概略図である。
【
図2】
図2は、
図1の負荷制御システムの制御系統を示す概略図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る非接触操作装置の制御部によって行われる、負荷制御システムの制御の一例を概略的に示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、実施形態に係る非接触操作装置の制御部によって行われる、照明負荷の制御の一例を概略的に示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、実施形態に係る非接触操作装置において、検知対象が検知部へ接近することによる静電容量の変化の一例を示すグラフである。
【
図6】
図6は、実施形態に係る非接触操作装置において、検知対象が
図5とは異なる状態で検知部へ接近することによる静電容量の変化の一例を示すグラフである。
【
図7】
図7は、実施形態に係る非接触操作装置において、検知対象が
図5及び
図6の両方とは異なる状態で検知部へ接近することによる静電容量の変化の一例を示すグラフである。
【
図8】
図8は、実施形態に係る非接触操作装置において、検知対象が
図5~
図7とは異なる状態で検知部へ接近することによる静電容量の変化の一例を示すグラフである。
【
図9】
図9は、実施形態の変形例に係る負荷制御システムの制御系統を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施形態の非接触操作装置(10)は、駆動回路(22A~22C)、複数の検知部(12A~12C)及び制御部(20)を具備する。駆動回路(22A~22C)は、複数の駆動状態に切替わり可能であるとともに、駆動状態が切替わることにより、負荷(15A~15C)への電力の供給状態を変化させる。複数の検知部(12A~12C)は、静電容量について基準容量に対する変化量をそれぞれが検知する。制御部(20)は、複数の検知部(12A~12C)での変化量の検知結果に基づいて、複数の検知部(12A~12C)のいずれに検知対象が近接したかを判定するとともに、検知対象の近接についての判定結果に対応する駆動状態で駆動回路(22A~22C)を駆動させる。制御部(20)は、複数の検知部(12A~12C)の少なくとも1つにおいて変化量が基準値以上である場合は、最も大きい変化量を他の変化量の1つ以上と比較し、変化量の比較結果に少なくとも基づいて、検知対象の近接について判定する。これにより、検知対象が検知部(12A~12C)に近接していない状態において駆動回路(22A~22C)の駆動状態を切替えることが、有効に防止される。
【0010】
実施形態の非接触操作装置(10)では、制御部(20)は、複数の検知部(12A~12C)の少なくとも1つにおいて変化量が基準値以上であることに少なくとも基づいて、最も大きい変化量と2番目に大きい変化量を比較し、2つの変化量の比較結果に少なくとも基づいて、検知対象の近接について判定する。これにより、検知対象が検知部(12A~12C)に近接していない状態において駆動回路(22A~22C)の駆動状態を切替えることが、有効に防止される。
【0011】
実施形態の非接触操作装置(10)では、制御部(20)は、2番目に大きい変化量に対する最も大きい変化量の比率が所定値以上の場合は、変化量が最も大きい検知部にのみ検知対象が近接したと判定する。これにより、検知対象が検知部(12A~12C)に近接していない状態において駆動回路(22A~22C)の駆動状態を切替えることが、有効に防止される。
【0012】
実施形態の非接触操作装置(10)では、制御部(20)は、所定回数以上の時点において2番目に大きい変化量に対する最も大きい変化量の比率が所定値未満となったことに基づいて、変化量が最も大きい検知部及び変化量が2番目に大きい検知部の両方に検知対象が近接したと判定する。これにより、検知対象が検知部(12A~12C)に近接していない状態において駆動回路(22A~22C)の駆動状態を切替えることが、有効に防止される。
【0013】
実施形態の非接触操作装置(10)では、制御部(20)は、2番目に大きい変化量に対する最も大きい変化量の比率が所定値未満である場合は、最も大きい変化量と3番目に大きい変化量を比較し、2つの変化量の比較結果に少なくとも基づいて、検知対象の近接について判定する。これにより、検知対象が検知部(12A~12C)に近接していない状態において駆動回路(22A~22C)の駆動状態を切替えることが、有効に防止される。
【0014】
実施形態の非接触操作装置(10)では、制御部(20)は、複数の検知部(12A~12C)の全てにおいて変化量が基準値未満である場合は、複数の検知部(12A~12C)のいずれにも検知対象が近接していないと判定する。これにより、検知対象が検知部(12A~12C)に近接していない状態において駆動回路(22A~22C)の駆動状態を切替えることが、有効に防止される。
【0015】
実施形態の非接触操作装置(10)では、制御部(20)は、複数の検知部(12A~12C)のいずれにも検知対象が近接していないと判定した場合は、駆動回路(22A~22C)の駆動状態を維持する。制御部(20)は、複数の検知部(12A~12C)のいずかに検知対象が近接したと判定した場合は、駆動回路(22A~22C)を対応する駆動状態に切替える。これにより、検知対象が検知部(12A~12C)に近接していない状態において駆動回路(22A~22C)の駆動状態を切替えることが、有効に防止される。
【0016】
(実施形態)
図1は、実施形態に係る負荷制御システムの一例として実施形態の負荷制御システム1を示す。また、
図2は、
図1の負荷制御システム1の制御系統を示す。
図1及び
図2に示すように、負荷制御システム1は、非接触操作装置10、交流電源等の商用電源13、及び、負荷である照明負荷15A~15Cを備える。本実施形態では、非接触操作装置10は、非接触スイッチ装置である。非接触操作装置10は、カバー等から形成される外装部11、及び、検知部12(12A~12C)を備える。外装部11は、部屋等を形成する空間に一部が露出する状態で、壁面等に取付けられる。
【0017】
検知部12は、検知対象の接近による静電容量の容量変化を検出する。検知部12は、外装部11の空間に露出している表面に位置する。検知部12での静電容量の容量変化は、検知対象と検知部12との空間的な関係性、すなわち、検知対象と検知部12との接近の状態が変化することにより引き起こされる。本実施形態では、検知対象としての手が検知部12に接近することにより、検知部12での静電容量が変化する。なお、非接触操作装置10による検知対象は、手に限られるものではない。検知対象は、検知部12での静電容量の容量変化を、非接触操作装置10の操作者が意図的に発生させられるものであればよい。
【0018】
本実施形態では、非接触操作装置10に検知部12として3つの検知部12A~12Cが設けられ、3つの検知部12A~12Cが近接した状態で非接触操作装置10に配置される。検知部12Aは、検知対象と検知部12Aとの接近状態が変化することによる、検知部12Aでの静電容量の第1の変化量を取得する。同様に、検知部12Bは、検知対象と検知部12Bとの接近状態が変化することによる、検知部12Bでの静電容量の第2の変化量を取得する。検知部12Cは、検知対象と検知部12Cとの接近状態が変化することによる、検知部12Cでの静電容量の第3の変化量を取得する。なお、検知部12の個数は3つに限られるものではない。
【0019】
非接触スイッチ装置である非接触操作装置10は、制御部20、電源部21、及び、駆動回路であるスイッチ回路22A~22Cを備える。制御部20は、例えば、コンピュータ等の処理装置から構成される。制御部20は、プロセッサ又は集積回路、及び、メモリ等の記憶媒体を備える。プロセッサ又は集積回路は、CPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、マイコン、FPGA(Field Programmable Gate Array)及び、DSP(Digital Signal processor)等のいずれかを含む。制御部20は、集積回路等を1つのみ備えてもよく、集積回路等を複数備えてもよい。制御部20は、記憶媒体等に記憶されるプログラム等を実行することにより、処理を行う。
【0020】
電源部21は、電力変換回路等を備える。電源部21には、商用電源13から電力が供給される。そして、電源部21は、商用電源13からの電力を制御部20に対応した電力に変換し、
図2の破線の矢印で示すように、変換した電力を制御部20に供給する。ある一例では、電源部21は、商用電源13からの交流電力を直流電力に変換し、変換した直流電力を制御部20に供給する。制御部20は、電源部21から供給される電力によって起動され、処理を実行可能になる。
【0021】
スイッチ回路22A~22Cは、対応するスイッチ部23A~23Cを備える。スイッチ回路22Aは、スイッチ部23AがONの状態、及び、スイッチ部23AがOFFの状態の複数の駆動状態に切替わり可能である。同様に、スイッチ回路22Bは、スイッチ部23BがONの状態、及び、スイッチ部23BがOFFの状態の複数の駆動状態に切替わり可能である。また、スイッチ回路22Cは、スイッチ部23CがONの状態、及び、スイッチ部23CがOFFの状態の複数の駆動状態に切替わり可能である。制御部20は、スイッチ部23AのON/OFFを制御し、スイッチ回路22Aの駆動状態を制御する。制御部20は、スイッチ部23BのON/OFFを制御し、スイッチ回路22Bの駆動状態を制御する。制御部20は、スイッチ部23CのON/OFFを制御し、スイッチ回路22Cの駆動状態を制御する。制御部20は、制御信号をスイッチ回路22A~22Cのそれぞれに出力する等して、スイッチ回路22A~22Cの駆動状態を制御する。
【0022】
スイッチ部23AがONの状態では、商用電源13からスイッチ部23Aを通して照明負荷15Aに電力が供給され、照明負荷15Aが点灯する。一方、スイッチ部23AがOFFの状態では、商用電源13からスイッチ部23Aを通して照明負荷15Aに電力が供給されず、照明負荷15Aは点灯しない。したがって、スイッチ回路22Aの駆動状態が切替わることにより、照明負荷15Aへの電力の供給状態が変化する。これにより、照明負荷15Aの作動状態が切替わり、照明負荷15Aの点灯及び消灯が切替わる。同様に、スイッチ回路22Bの駆動状態が切替わることにより、照明負荷15Bへの電力の供給状態が変化する。これにより、照明負荷15Bの作動状態が切替わり、照明負荷15Bの点灯及び消灯が切替わる。また、スイッチ回路22Cの駆動状態が切替わることにより、照明負荷15Cへの電力の供給状態が変化する。これにより、照明負荷15Cの作動状態が切替わり、照明負荷15Cの点灯及び消灯が切替わる。なお、スイッチ部23AがOFFの状態でも電源部21で消費された電流が照明負荷15Aに流れる。ただし、スイッチ部23AがOFFの状態では、照明負荷15Aに流れる電流は小さいため、照明負荷15Aは点灯しない。
【0023】
制御部20は、検知部12への検知対象の接近による静電容量の変化量を取得する。静電容量の変化量は、検知部12に検知対象が接近していない状態における静電容量(初期容量)と、検知部12に検知対象が接近した状態における静電容量との差である。制御部20は、検知部12における静電容量の変化量を定期的に取得する。このため、制御部20は、静電容量の変化量の経時的な変動(時間履歴)を取得する。本実施形態では、検知部12として3つの検知部12A~12Cが設けられるため、制御部20は、検知部12A~12Cのそれぞれの静電容量の変化量、すなわち、第1の変化量~第3の変化量を定期的に取得する。また、制御部20は、第1の変化量~第3の変化量のそれぞれの経時的な変動(時間履歴)を取得する。
【0024】
制御部20は、取得した静電容量の変化量及び静電容量の変化量の閾値に基づいて、スイッチ回路22A~22Cのそれぞれの駆動状態を制御し、照明負荷15A~15Cのそれぞれの作動を制御する。したがって、照明負荷15A~15Cのそれぞれの点灯及び消灯は、検知部12における静電容量の変化量及び静電容量の変化量の閾値に基づいて、制御される。本実施形態では、検知部12として3つの検知部12A~12Cが設けられるため、制御部20は、検知部12A~12Cのそれぞれの静電容量の変化量、すなわち第1の変化量~第3の変化量及び静電容量の変化の閾値に基づいて、照明負荷15A~15Cのそれぞれの点灯及び消灯を制御する。
【0025】
制御部20が適切に照明負荷15A~15Cのそれぞれの作動を制御することができれば、静電容量の変化量の閾値の個数及び静電容量の変化量の閾値の値等は特に制限されない。本実施形態では、静電容量の変化の閾値として、第1の閾値ε1、第2の閾値ε2及び第3の閾値ε3を規定する。第1の閾値ε1は、検知部12での静電容量の変化量の基準値である。第2の閾値ε2は、制御部20が取得した静電容量の変化量のうち2番目に大きい変化量ΔC2に関連する値である。第3の閾値ε3は、制御部20が取得した静電容量の変化量のうち3番目に大きい変化量ΔC3に関連する値である。本実施形態では、第2の閾値ε2及び第3の閾値ε3は、以下の式(1)及び式(2)により規定される。
【0026】
ε2=a×ΔC2 (1)
ε3=b×ΔC3 (2)
ここで、a,bは所定値である。a,bは、非接触操作装置10の使用態様等によって適宜設定される値であり、同じ値でもよく、異なる値であってもよい。本実施形態では、a及びbの両方が1.2(a=b=1.2)に設定される。この場合、第2の閾値ε2は、2番目に大きい変化量ΔC2の120%に設定され、第3の閾値ε3は、3番目に大きい変化量ΔC3の120%に設定される。
【0027】
非接触操作装置10では、検知部12Aでの静電容量の容量変化に基づいて、照明負荷15Aの作動状態が切替えられる。検知部12Bでの静電容量の容量変化に基づいて、照明負荷15Bの作動状態が切替えられる。検知部12Cでの静電容量の容量変化に基づいて、照明負荷15Cの作動状態が切替えられる。この場合、非接触操作装置10の操作者は、照明負荷15Aの作動状態を切替える場合、検知対象としての手を検知部12Aに近接させることにより、検知部12Aでの静電容量の容量変化を引き起こす。同様に、非接触操作装置10の操作者は、照明負荷15Bの作動状態を切替える場合、検知部12Bでの静電容量の容量変化を引き起こし、照明負荷15Cの作動状態を切替える場合、検知部12Cでの静電容量の容量変化を引き起こす。
【0028】
ある一例では、非接触操作装置10の操作者は、検知対象としての手を使用して、照明負荷15Aの駆動状態を切替えようとする。操作者は、検知対象としての手を検知部12Aに近づけることにより、検知部12Aの静電容量の容量変化を引き起こす。本実施形態では
図1に示すように、検知部12A~12Cが近接した状態で配置されている。そのため、検知対象としての手が検知部12Aに接近する経路によっては、検知部12Aでの静電容量の容量変化に加えて、検知部12Bでの静電容量の容量変化及び検知部12Cでの静電容量の容量変化が起きることがある。この場合、操作者の意図に反して、例えば、検知部12Bの静電容量の容量変化に基づいて、非接触操作装置10が、検知部12Bに対応する照明負荷15Bの作動状態を切替えることがある。このような操作者の意図に反した非接触操作装置10の誤動作を有効に防止することが重要である。
【0029】
図3及び
図4は、実施形態に係る非接触操作装置の制御部によって行われる、負荷制御システムの制御の一例を示すフローチャートである。
図4は、
図3における負荷制御の処理におけるフローチャートを示す。
図3及び4の処理は、照明負荷15A~15Cを使用している状態において、経時的に繰り返し行われる。
図3及び
図4の処理を行っている状態では、制御部20は、検知部12での静電容量の変化量を定期的に取得し、静電容量の変化量の経時的な変動を取得する。
【0030】
図3及び
図4では、カウンタα,β、カウンタリミットn,m、カウンタ増分c,d、第1の閾値ε1、第2の閾値ε2及び第3の閾値ε3が設定値としてあらかじめ設定される。カウンタα,βは、制御部20による判定処理の結果に基づいて値が増加する。すなわち、カウンタα,βは、制御部20による判定処理の結果の回数に対応する値である。カウンタリミットnはカウンタαの上限値であり、カウンタリミットmはカウンタβの上限値である。すなわち、カウンタリミットn,mは、制御部20による判定処理の結果の回数の上限値(所定回数)である。カウンタリミットn,mは、非接触操作装置10の使用態様等によって適宜設定される値であり、同じ値でもよく、異なる値であってもよい。本実施形態では、n及びmの両方が3(n=m=3)に設定される。また、カウンタ増分c,dは、非接触操作装置10の使用態様等によって適宜設定される値であり、同じ値でもよく、異なる値であってもよい。本実施形態では、c及びdの両方が1(c=d=1)に設定される。
【0031】
図3の処理を行っている状態において、制御部20は、カウンタα,βを初期化し、カウンタα,βのそれぞれを0(α=β=0)にする(S301)。S301の処理後、制御部20は、静電容量の容量変化及び前述の設定値に基づいて、S302における負荷の制御を実行する(S302)。制御部20は、負荷の制御の実行により照明負荷15A~15Cの作動状態が切替わったか否かを判定する(S303)。照明負荷15A~15Cの作動状態が切替わっていない場合(S303-No)、処理はS302に戻り、制御部20はS302以降の処理を順次実行する。照明負荷15A~15Cのいずれかの作動状態が切替わった場合(S303-Yes)、制御部20は、検知対象が検知部12から離れたか否かを判定する(S304)。制御部20は、検知部12での静電容量の容量変化が起きていない状態が所定の時間継続したこと、すなわち静電容量の容量変化が0又はほとんど0の状態が所定の時間継続したことに基づいて、検知対象が検知部12から離れたと判定する。S304の処理は、検知対象が検知部12から離れたと判定されるまで繰り返される。検知対象が検知部12から離れたと判定すると(S304-Yes)、制御部20は処理を終了させる。すなわち、操作者による照明負荷15A~15Cの作動状態の切替えが終了する。
【0032】
制御部20は、負荷の制御を実行する処理S302において、
図4に示す処理を順次実行する。制御部20は、検知部12での静電容量の変化量ΔCが第1の閾値ε1以上であるか否かを判定する(S401)。ここで、静電容量の変化量ΔCは、制御部20で検知部12から取得される静電容量の変化量の少なくとも一つである。すなわち、制御部20は、取得した静電容量の変化量のうち少なくとも一つが第1の閾値ε1以上であるか否かを判定する。本実施形態では、制御部20が第1の変化量~第3の変化量を取得するため、S401では、制御部20は、第1の変化量~第3の変化量のうち少なくとも一つが第1の閾値(基準値)ε1以上であるか否かを判定する。
【0033】
変化量の比較結果として、静電容量の変化量ΔCが第1の閾値ε1未満である場合(S401-No)、制御部20は、
図4に示す負荷の制御の処理を終了する。制御部20は、照明負荷15A~15Cのリアルタイムの駆動状態を切替えない。すなわち、制御部20は、複数の検知部12A~12Cのいずれにも検知対象が近接していないと判定し、駆動回路22A~22Cの駆動状態を維持する。そして、制御部20は、S303以降の処理を順次実行する。変化量の比較結果として、静電容量の変化量ΔCが第1の閾値ε1以上である場合(S401―Yes)、制御部20は、S402以降の処理を順次実行する。制御部20は、静電容量の変化量ΔCが第1の閾値ε1以上であることを満たすΔCの個数が2つ以上であるか否かを判定する(S402)。ΔCの個数が2つ未満である場合(S402-No)、制御部20は、S403の処理を実行せずにS404以降の処理を順次実行する。ΔCの個数が2つ以上である場合(S402-Yes)、制御部20は、S403以降の処理を順次実行する。制御部20は、取得した静電容量の変化量のうち最も大きい最大変化量ΔC1が第2の閾値ε2以上であるか否かを判定する(S403)。本実施形態では、制御部20が第1の変化量~第3の変化量を取得し、第2の閾値ε2はa×ΔC2に設定される。ΔC2は、第1の変化量~第3の変化量のうち2番目に大きい変化量である。制御部20は、最も大きい変化量と2番目に大きい変化量を比較する。これにより、制御部20は、第1の変化量~第3の変化量のうち最も大きい最大変化量ΔC1が第2の閾値(a×ΔC2)以上であるか否かを判定する。すなわち、制御部20は、2番目に大きい変化量に対する最も大きい変化量の比率が所定値以上であるか否かを判定する。
【0034】
変化量の比較結果として、最大変化量ΔC1が第2の閾値ε2以上である場合(S403-Yes)、制御部20は、最大変化量ΔC1で変化した検知部12に対応する負荷W1の作動状態を切替える(S404)。本実施形態では、非接触操作装置10は照明負荷15A~15Cを備える。そのため、制御部20は、最大変化量ΔC1で変化した検知部12A~12Cに対応する照明負荷15A~15Cのいずれかを負荷W1として、負荷W1の作動状態を切替える。制御部20は、
図4に示す負荷の制御の処理を終了し、S303以降の処理を順次実行する。
【0035】
変化量の比較結果として、最大変化量ΔC1が第2の閾値ε2未満である場合(S403-No)、制御部20は、S404以降の処理を順次実行する。制御部20は、取得した変化量のうち最も大きい最大変化量ΔC1が第3の閾値ε3以上であるか否かを判定する(S405)。本実施形態では、制御部20が第1の変化量~第3の変化量を取得し、第3の閾値ε3はb×ΔC3に設定される。ΔC3は、第1の変化量~第3の変化量のうち3番目に大きい変化量である。制御部20は、最も大きい変化量と3番目に大きい変化量を比較する。これにより、制御部20は、第1の変化量~第3の変化量のうち最も大きい最大変化量ΔC1が第3の閾値(b×ΔC3)以上であるか否かを判定する。すなわち、制御部20は、3番目に大きい変化量に対する最も大きい変化量の比率が所定値以上であるか否かを判定する。
【0036】
変化量の比較結果として、最大変化量ΔC1が第3の閾値ε3以上である場合(S405-Yes)、制御部20は、カウンタαにカウンタ増分cを加える(S406)。すなわち、カウンタαの値が、α+cに更新される。本実施形態では、カウンタ増分cが1に設定されているため、カウンタαの値がα+1に更新される。制御部20は、更新されたカウンタαの値がカウンタリミットnの値以上であるか否かを判定する(S407)。カウンタαの値がカウンタリミットnの値以上である場合(S407-Yes)、制御部20は、最大変化量ΔC1で変化した検知部12に対応する負荷W1の作動状態、及び、2番目に大きい変化量ΔC2で変化した検知部12に対応する負荷W2の作動状態の両方を切替える(S408)。本実施形態では、非接触操作装置10は照明負荷15A~15Cを備える。そのため、制御部20は、最大変化量ΔC1で変化した検知部12A~12Cに対応する照明負荷15A~15Cのいずれかを負荷W1として、負荷W1の作動状態を切替える。また、制御部20は、2番目に大きい変化量ΔC2で変化した検知部12A~12Cに対応する照明負荷15A~15Cのいずれかを負荷W2として、負荷W2の作動状態を切替える。制御部20は、
図4に示す負荷の制御の処理を終了し、S303以降の処理を順次実行する。カウンタαの値がカウンタリミットnの値未満である場合(S407-No)、制御部20は、
図4に示す負荷の制御の処理を終了し、S303以降の処理を順次実行する。すなわち、制御部20は、照明負荷15A~15Cのリアルタイムの駆動状態を切替えることなく、S303以降の処理を順次実行する。
【0037】
変化量の比較結果として、最大変化量ΔC1が第3の閾値ε3未満である場合(S405-No)、制御部20は、カウンタβにカウンタ増分dを加える(S409)。すなわち、カウンタβの値が、β+dに更新される。本実施形態では、カウンタ増分dが1に設定されているため、カウンタβの値がβ+1に更新される。制御部20は、更新されたカウンタβの値がカウンタリミットmの値以上であるか否かを判定する(S410)。カウンタβの値がカウンタリミットm以上である場合(S410-Yes)、制御部20は、最大変化量ΔC1で変化した検知部12に対応する負荷W1の作動状態、2番目に大きい変化量ΔC2で変化した検知部12に対応する負荷W2の作動状態、及び、3番目に大きい変化量ΔC3で変化した検知部12に対応する負荷W3の作動状態のすべてを切替える(S411)。以上で説明したように、制御部20が、複数の検知部12A~12Cのいずれかに検知対象が近接したと判定した場合は、駆動回路22A~22Cを対応する駆動状態に切替える。
【0038】
本実施形態では、非接触操作装置10は照明負荷15A~15Cを備える。そのため、制御部20は、最大変化量ΔC1で変化した検知部12A~12Cのいずれかに対応する照明負荷15A~15Cのいずれかを負荷W1として、負荷W1の作動状態を切替える。制御部20は、2番目に大きい変化量ΔC2で変化した検知部12A~12Cに対応する照明負荷15A~15Cのいずれかを負荷W2として、負荷W2の作動状態を切替える。また、制御部20は、3番目に大きい変化量ΔC3で変化した検知部12A~12Cに対応する照明負荷15A~15Cのいずれかを負荷W3として、負荷W3の作動状態を切替える。制御部20は、
図4に示す負荷の制御の処理を終了し、S303以降の処理を順次実行する。カウンタβの値がカウンタリミットmの値未満である場合(S410-No)、制御部20は、
図4に示す負荷の制御の処理を終了し、S303以降の処理を順次実行する。すなわち、制御部20は、照明負荷15A~15Cのリアルタイムの駆動状態を切替えることなく、S303以降の処理を順次実行する。
【0039】
次に、制御部20が
図3及
図4に示す処理を実行する具体例を、
図5~
図8に示す静電容量の経時的な変化に基づいて説明する。
図5~
図8では、曲線ω1は、検知部12Aでの静電容量の経時的な変動を示す。曲線ω2は、検知部12Bでの静電容量の経時的な変動である。曲線ω3は、検知部12Cでの静電容量の経時的な変動である。また、検知部12A~12Cでの静電容量が経時的に変動しても、検知部12Aの第1の変化量が最も大きいため、第1の変化量が最大変化量ΔC1になる。同様に、検知部12Bの第2の変化量が2番目に大きいため、第2の変化量が変化量ΔC2になる。そして、検知部12Cの第3の変化量が3番目に大きいため、第3の変化量が変化量ΔC3になる。また、前述したように、制御部20は、検知部12A~12Cのそれぞれの静電容量の変化量、すなわち、第1の変化量~第3の変化量を定期的に取得する。
図5では、制御部20が変化量を取得する時刻を、その時刻が早いほうから順にt51~t53とする。同様に、
図6ではt61~t65、
図7ではt71~t75、
図8ではt81~t85とする。
【0040】
なお、静電容量の経時的な変動による制御部20の処理の一例を簡潔に説明するため、
図5の一例では、静電容量の経時的な変動が起きても、静電容量の変化が常にΔC1>aΔC2を満たすとする。同様に、
図6の一例では、静電容量の変化がΔC1<aC2かつΔC1>bΔC3を常に満たすとする。
図7の一例では、静電容量の変化がΔC1<aC2かつΔC1<bΔC3を常に満たすとする。また、
図5~
図8では、ΔC1及びΔC2の両方が少なくとも第1の閾値ε1以上を満たすとする。すなわち、ΔC≧ε1を満たすΔCが2つ以上存在するとする。
【0041】
図5では、非接触操作装置10の操作者は、検知対象としての手を検知部12Aに接近させることにより、検知部12Aに対応する照明負荷15Aの作動状態を切替えることを意図して、操作している。時刻t51において、制御部20が第1の変化量~第3の変化量を取得する。時刻t51では検知部12A~12Cでの静電容量の容量変化が起きておらず、ω1~ω3は一定又は略一定であり、かつ、第1の閾値ε1未満である。この場合、制御部20は、照明負荷15A~15Cのリアルタイムの駆動状態を切替えないため(S303-No)、負荷の制御(S302)を再度実行する。
【0042】
時刻t52において、制御部20が第1の変化量~第3の変化量を取得する。時刻t52では検知部12A~12Cでの静電容量の容量変化が起きているが、いずれの容量変化も第1の閾値ε1未満である。したがって、制御部20の処理は時刻t51と同様に進み、制御部20は、負荷の制御(S302)を再度実行する。
【0043】
時刻t53において、制御部20が第1の変化量~第3の変化量を取得する。時刻t53では検知部12A~12Cでの静電容量の容量変化が起きている。また、第1の変化量~第3の変化量のうち、第1の変化量及び第2の変化量が、第1の閾値ε1以上である。そのため、制御部20の処理が、S401-Yesに進み、前述の条件(ΔC≧ε1を満たすΔCが2つ以上、ΔC1>aΔC2)に基づいてS402-Yes、S403-Yesの順にに進む。そして、制御部20がS404の処理を実行するため、最大変化量ΔC1で変化した検知部12Aに対応する照明負荷15Aの作動状態が切替えられる。照明負荷15Aの作動状態が切替えられたため(S303-Yes)、制御部20は、検知対象としての手が検知部12から離れることにより(S304-Yes)、
図3に示す処理を終了する。このように、
図5に示す静電容量の経時的な変動では、操作者の意図にしたがって、照明負荷15Aの作動状態の切替えが制御部20により実行される。
【0044】
図6では、非接触操作装置10の操作者は、検知対象としての手を検知部12A,12Bに接近させることにより、検知部12Aに対応する照明負荷15A及び検知部12Bに対応する照明負荷15Bの両方の作動状態を切替えることを意図して、操作している。時刻t61及び時刻t62における制御部20の処理は、
図5の時刻t51及び時刻t52の場合と同様である。
【0045】
時刻t63において、制御部20は、第1の変化量~第3の変化量を取得する。時刻t63では、第1の変化量及び第2の変化量が、第1の閾値ε1以上である。そのため、制御部20が
図3に示す処理をしている状態において、
図4に示す負荷の制御の処理では、制御部20の処理が、S401-Yesに進む。
【0046】
次に、前述の条件(ΔC≧ε1を満たすΔCが2つ以上、ΔC1<aC2)に基づいて、制御部20の処理がS402-Yes、S403-Noに進む。そして、前述の条件(ΔC1>bΔC3)に基づいて、制御部20の処理がS405-Yesに進む。制御部20はカウンタαを更新する(S406)。本実施形態ではカウンタリミットnが3に設定されているため、α(=1)<n(=3)が成立する(S407-No)。この場合、照明負荷15A~15Cのリアルタイムの作動状態が維持される。よって、制御部20は、S401から再び処理を実行する。
【0047】
時刻t64において、制御部20は、第1の変化量~第3の変化量を取得する。取得した変化量は、時刻t63において取得した変化量と同様の関係性を満たす。そのため、制御部20の処理は、前述した時刻t63において取得した変化量に基づく処理と同様である。したがって、制御部20はカウンタαを更新し、α=2となる(S406)。ただし、カウンタαの値はカウンタリミットnの値未満である。すなわちα(=2)<n(=3)である(S407-No)。よって、制御部20は、S401から再び処理を実行する。
【0048】
時刻t65において、制御部20は、第1の変化量~第3の変化量を取得する。取得した変化量は、時刻t63及び時刻t64において取得した変化量と同様の関係性を満たす。そのため、制御部20の処理は、前述した時刻t63及び時刻t64において取得した変化量に基づく処理と同様である。したがって、制御部20はカウンタαを更新し、α=3となる(S406)。ただし、S406において、カウンタαの値がカウンタリミットnの値と等しくなる(α=n=3)。よって、制御部20の処理がS407-Yesに進む。そして、制御部20がS407の処理を実行するため、最大変化量ΔC1で変化した検知部12Aに対応する照明負荷15Aの作動状態、及び、2番目に大きい変化量ΔC2で変化した検知部12Bに対応する照明負荷15Bの作動状態の両方が切替えられる。照明負荷15A,15Bの作動状態が切替えられたことに基づいて、制御部20の処理がS303-Yesに進み、
図5と同様にして、制御部20が
図3に示す処理を完了する。このように、
図6に示す静電容量の経時的な変動では、操作者の意図にしたがって、照明負荷15A,15Bの両方の作動状態の切替えが、制御部20により実行される。
【0049】
図7では、非接触操作装置10の操作者は、検知対象としての手を検知部12A~12Cに接近させることにより、検知部12Aに対応する照明負荷15A、検知部12Bに対応する照明負荷15B及び検知部12Cに対応する照明負荷15Cのすべての作動状態を切替えることを意図して、操作している。時刻t71及び時刻t72における制御部20の処理は、
図5の時刻t51及び時刻t52と同様である。
【0050】
時刻t73において、制御部20は、第1の変化量~第3の変化量を取得する。時刻t73では、第1の変化量~第3の変化量が、第1の閾値ε1以上である。そのため、制御部20が
図3に示す処理をしている状態において、
図4に示す負荷の制御の処理では、制御部20の処理が、S401-Yesに進む。
【0051】
次に、前述の条件(ΔC≧ε1を満たすΔCが2つ以上、ΔC1<aC2)に基づいて、制御部20の処理がS402-Yes、S403-Noの順に進む。そして、前述の条件(ΔC1<bΔC3)に基づいて、制御部20の処理がS405-Noに進む。制御部20はカウンタβを更新する(S408)。本実施形態ではカウンタリミットmが3に設定されているため、β(=1)<m(=3)が成立する(S410-No)。この場合、照明負荷15A~15Cのリアルタイムの作動状態が維持される。よって、制御部20は、S401から再び処理を実行する。
【0052】
時刻t74において、制御部20は、第1の変化量~第3の変化量を取得する。取得した変化量は、時刻t73において取得した変化量と同様の関係性を満たす。そのため、制御部20の処理は、前述した時刻t73において取得した変化量に基づく処理と同様である。したがって、制御部20はカウンタβを更新し、β=2となる(S409)。ただし、カウンタβの値はカウンタリミットmの値未満である。すなわちβ(=2)<m(=3)である(S410-No)。よって、制御部20は、S401から再び処理を実行する。
【0053】
時刻t75において、制御部20は、第1の変化量~第3の変化量を取得する。取得した変化量は、時刻t73及び時刻t74において取得した変化量と同様の関係性を満たす。そのため、制御部20の処理は、前述した時刻t73及び時刻t74において取得した変化量に基づく処理と同様である。したがって、制御部20はカウンタβを更新し、β=3となる(S409)。ただし、S410において、カウンタβの値がカウンタリミットmの値と等しくなる(β=m=3)。よって、制御部20の処理がS410-Yesに進む。そして、制御部20がS410の処理を実行するため、最大変化量ΔC1で変化した検知部12Aに対応する照明負荷15Aの作動状態、2番目に大きい変化量ΔC2で変化した検知部12Bに対応する照明負荷15Bの作動状態、及び、3番目に大きい変化量ΔC3で変化した検知部12Cに対応する照明負荷15Bの作動状態のすべてが切替えられる。照明負荷15A,15B,15Cの作動状態が切替えられたことに基づいて、制御部20の処理がS303-Yesに進み、
図5と同様にして、制御部20が
図3に示す処理を完了する。このように、
図7に示す静電容量の経時的な変動では、操作者の意図にしたがって、照明負荷15A,15B,15Cのすべての作動状態の切替えが、制御部20により実行される。
【0054】
図8では、非接触操作装置10の操作者は、検知対象としての手を検知部12Aに接近させることにより検知部12Aに対応する照明負荷15Aの作動状態を切替えることを意図して、操作している。しかしながら、操作者は、検知対象としての手を検知部12Aに接近させるとともに検知部12Bにも接近させたことに引き続いて、検知対象としての手を検知部12Aにさらに接近させた。そのため、操作者の意図は
図5と同様であるが、
図8の静電容量の容量変化が、
図5の静電容量の容量変化とは異なっている。
図8では、時刻t81において静電容量が変化しておらず、制御部20は、
図5の時刻t51と同様の処理を実行する。
【0055】
時刻t82において、制御部20は、第1の変化量~第3の変化量を取得する。時刻t52では、第1の変化量及び第2の変化量が、第1の閾値ε1以上である。そのため、制御部20が
図3に示す処理をしている状態において、
図4に示す負荷の制御の処理では、制御部20の処理が、S401-Yesに進む。
【0056】
次に、時刻t82で取得した変化量において、最大変化量ΔC1が2番目に大きい変化量ΔC2とほとんど同じであることから、ΔC1<aΔC2である。また、最大変化量ΔC1が3番目に大きい変化量ΔC3と比べて極めて大きいことから、ΔC1<bΔC3である。これらの条件及びΔC≧ε1を満たすΔCが2つ以上であることから、制御部20の処理が、S402-Yes、S403-No、S405-Yesの順に進む。制御部20はカウンタαを更新する(S406)。本実施形態ではカウンタリミットnが3に設定されているため、α(=1)<n(=3)が成立する(S407-No)。この場合、照明負荷15A~15Cのリアルタイムの作動状態が維持される。よって、制御部20は、S401から再び処理を実行する。
【0057】
時刻t83において、制御部20は、第1の変化量~第3の変化量を取得する。時刻t83では、第1の変化量及び第2の変化量が、第1の閾値ε1以上である。そのため、制御部20が
図3に示す処理をしている状態において、
図4に示す負荷の制御の処理では、制御部20の処理が、S401-Yesに進む。次に、時刻t83で取得した変化量において、最大変化量ΔC1が2番目に大きい変化量ΔC2より大きいことから、ΔC1>aΔC2である。この条件及びΔC≧ε1を満たすΔCが2つ以上であることから、制御部20の処理が、S402-Yes、S403-Yesの順に進む。そして、制御部20がS404の処理を実行するため、最大変化量ΔC1で変化した検知部12Aに対応する照明負荷15Aの作動状態が切替えられる。照明負荷15Aの作動状態が切替えられたことに基づいて、制御部20の処理がS303-Yesに進み、
図5と同様にして、制御部20が
図3に示す処理を完了する。このように、
図8に示す静電容量の経時的な変動では、操作者の意図にしたがって、照明負荷15Aの作動状態の切替えが制御部20により実行される。
【0058】
前述のように本実施形態では、制御部20は、複数の検知部12A~12Cの少なくとも1つにおいて変化量が基準値以上である場合は、最も大きい変化量を他の変化量の1つ以上と比較し、変化量の比較結果に少なくとも基づいて、検知対象の近接について判定する。これにより、複数の照明負荷15A~15Cの作動を制御する負荷制御システム1であっても、操作者の意図に反する照明負荷15A~15Cの作動等が有効に防止される。これにより、照明負荷15A~15Cの誤作動が、有効に防止される。
【0059】
そのため、本実施形態の非接触操作装置10を、いわゆる大角連用スイッチと同様の使用形態、例えば、非接触操作装置10を近接した状態で(連接した状態で)配置しても、照明負荷の誤作動が有効に防止される。したがって、大角連用スイッチを本実施形態の非接触操作装置10に置き換えて使用することで、操作者は非接触により照明負荷の作動状態を容易に切替えることができる。
【0060】
本実施形態では、制御部20は、複数の検知部12A~12Cの少なくとも1つにおいて変化量が基準値以上であることに少なくとも基づいて、最も大きい変化量と2番目に大きい変化量を比較し、2つの変化量の比較結果に少なくとも基づいて、検知対象の近接について判定する。これにより、複数の照明負荷15A~15Cの作動を制御する負荷制御システム1であっても、操作者の意図に反する照明負荷15A~15Cの作動等が有効に防止される。これにより、照明負荷15A~15Cの誤作動が、有効に防止される。
【0061】
本実施形態では、制御部20は、2番目に大きい変化量に対する最も大きい変化量の比率が所定値以上の場合は、変化量が最も大きい検知部にのみ検知対象が近接したと判定する。これにより、検知対象が検知部12A~12Cに近接していない状態において駆動回路22A~22Cの駆動状態を切替えることが、有効に防止される。
【0062】
本実施形態では、制御部20は、所定回数以上の時点において2番目に大きい変化量に対する最も大きい変化量の比率が所定値未満となったことに基づいて、変化量が最も大きい検知部及び変化量が2番目に大きい検知部の両方に検知対象が近接したと判定する。これにより、検知対象が検知部12A~12Cに近接していない状態において駆動回路22A~22Cの駆動状態を切替えることが、有効に防止される。
【0063】
本実施形態では、制御部20は、2番目に大きい変化量に対する最も大きい変化量の比率が所定値未満である場合は、最も大きい変化量と3番目に大きい変化量を比較し、2つの変化量の比較結果に少なくとも基づいて、検知対象の近接について判定する。これにより、検知対象が検知部12A~12Cに近接していない状態において駆動回路22A~22Cの駆動状態を切替えることが、有効に防止される。
【0064】
本実施形態では、制御部20は、複数の検知部12A~12Cの全てにおいて変化量が基準値未満である場合は、複数の検知部12A~12Cのいずれにも検知対象が近接していないと判定する。これにより、検知対象が検知部12A~12Cに近接していない状態において駆動回路22A~22Cの駆動状態を切替えることが、有効に防止される。
【0065】
本実施形態では、制御部20は、複数の検知部12A~12Cのいずれにも検知対象が近接していないと判定した場合は、駆動回路22A~22Cの駆動状態を維持する。制御部20は、複数の検知部12A~12Cのいずかに検知対象が近接したと判定した場合は、駆動回路22A~22Cを対応する駆動状態に切替える。これにより、検知対象が検知部12A~12Cに近接していない状態において駆動回路22A~22Cの駆動状態を切替えることが、有効に防止される。
【0066】
なお、照明負荷の作動状態の切替えは、照明負荷の点灯及び消灯の切替えに限るものではない。ある一例では、非接触操作装置の制御部は、照明負荷への電力の供給状態を切替えることにより、照明負荷からの照射光の明るさを切替えてもよい。この場合、非接触操作装置には、前述したスイッチ回路22A~22C等の代わりに調光回路が、駆動回路として設けられる。そして、検知対象の検知部への近接が検知されると、制御部は、調光回路の駆動状態を切替え、照明負荷からの照明光の明るさのレベルを切替える。
【0067】
また、商用電源13及び照明負荷15A~15Cのそれぞれと非接触操作装置10との間の配線構造は、前述の実施形態等の配線構造に限るものではない。例えば、商用電源13及び照明負荷15A~15Cのそれぞれと非接触操作装置10との間の配線構造が、
図9の変形例のように形成されてもよい。
図9の配線構造では、
図2の配線構造とは異なり、スイッチ部23AがOFFの状態において、電源部21で消費された電流が照明負荷15Aに流れない。
【0068】
これら少なくとも一つの実施形態によれば、非接触操作装置の制御部は、複数の検知部の少なくとも1つにおいて変化量が基準値以上である場合は、最も大きい変化量を他の変化量の1つ以上と比較し、変化量の比較結果に少なくとも基づいて、検知対象の近接について判定する。これにより、複数の検知部が同時に検知対象の近接を検知したことに起因する負荷の誤作動が、有効に防止される。
【0069】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下、付記を記載する。
[1]複数の駆動状態に切替わり可能であるとともに、前記駆動状態が切替わることにより、負荷への電力の供給状態を変化させる駆動回路と;
静電容量について基準容量に対する変化量をそれぞれが検知する複数の検知部と;
前記複数の検知部での前記変化量の検知結果に基づいて、前記複数の検知部のいずれに検知対象が近接したかを判定するとともに、前記検知対象の近接についての判定結果に対応する駆動状態で前記駆動回路を駆動させる制御部であって、前記複数の検知部の少なくとも1つにおいて前記変化量が基準値以上である場合は、最も大きい変化量を他の変化量の1つ以上と比較し、前記変化量の比較結果に少なくとも基づいて、前記検知対象の近接について判定する制御部と;
を具備する、非接触操作装置。
[2]前記制御部は、前記複数の検知部の少なくとも1つにおいて前記変化量が前記基準値以上であることに少なくとも基づいて、最も大きい変化量と2番目に大きい変化量を比較し、2つの前記変化量の比較結果に少なくとも基づいて、前記検知対象の近接について判定する、
請求項1に記載の非接触操作装置。
[3]前記制御部は、2番目に大きい前記変化量に対する最も大きい前記変化量の比率が所定値以上の場合は、前記変化量が最も大きい前記検知部にのみ前記検知対象が近接したと判定する、
請求項2に記載の非接触操作装置。
[4]前記制御部は、所定回数以上の時点において2番目に大きい前記変化量に対する最も大きい前記変化量の比率が所定値未満となったことに基づいて、前記変化量が最も大きい前記検知部及び前記変化量が2番目に大きい前記検知部の両方に前記検知対象が近接したと判定する、
請求項2又は3に記載の非接触操作装置。
[5]前記制御部は、2番目に大きい前記変化量に対する最も大きい前記変化量の比率が所定値未満である場合は、最も大きい前記変化量と3番目に大きい変化量を比較し、2つの前記変化量の比較結果に少なくとも基づいて、前記検知対象の近接について判定する、
請求項2~4のいずれか1項に記載の非接触操作装置。
[6]前記制御部は、前記複数の検知部の全てにおいて前記変化量が前記基準値未満である場合は、前記複数の検知部のいずれにも前記検知対象が近接していないと判定する、
請求項1~5のいずれか1項に記載の非接触操作装置。
[7]前記制御部は、前記複数の検知部のいずれにも前記検知対象が近接していないと判定した場合は、前記駆動回路の前記駆動状態を維持し、
前記制御部は、前記複数の検知部のいずかに前記検知対象が近接したと判定した場合は、前記駆動回路を対応する前記駆動状態に切替える、
請求項1~6のいずれか1項に記載の非接触操作装置。
【符号の説明】
【0070】
1…負荷制御システム、10…非接触操作装置、12(12A~12C)…検知部、15A~15C…照明負荷(負荷)、20…制御部、22A~22C…スイッチ回路(駆動回路)。