IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ウシオ電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-不活化機能付き照明装置 図1
  • 特許-不活化機能付き照明装置 図2
  • 特許-不活化機能付き照明装置 図3
  • 特許-不活化機能付き照明装置 図4
  • 特許-不活化機能付き照明装置 図5
  • 特許-不活化機能付き照明装置 図6
  • 特許-不活化機能付き照明装置 図7
  • 特許-不活化機能付き照明装置 図8
  • 特許-不活化機能付き照明装置 図9
  • 特許-不活化機能付き照明装置 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】不活化機能付き照明装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 45/385 20200101AFI20240717BHJP
   H05B 47/115 20200101ALI20240717BHJP
   F21S 8/02 20060101ALI20240717BHJP
   F21V 33/00 20060101ALI20240717BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20240717BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240717BHJP
   F21Y 103/00 20160101ALN20240717BHJP
【FI】
H05B45/385
H05B47/115
F21S8/02 430
F21V33/00 400
F21V23/00 120
F21Y115:10
F21Y103:00
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021040153
(22)【出願日】2021-03-12
(65)【公開番号】P2022139667
(43)【公開日】2022-09-26
【審査請求日】2023-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000102212
【氏名又は名称】ウシオ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】霜村 真二
(72)【発明者】
【氏名】石倉 明
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-190604(JP,A)
【文献】特開2015-174026(JP,A)
【文献】特開2015-072739(JP,A)
【文献】特開平04-270608(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/385
H05B 47/115
F21S 8/02
F21V 33/00
F21V 23/00
F21Y 115/10
F21Y 103/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
200nm~230nmの波長域にピーク波長を有する紫外線を出射するランプを含んでなるUVC光源と、
可視光を出射するLED光源と、
外部電源に接続され、前記外部電源に由来する交流電圧を直流電圧に変換して出力する単一のAC/DCコンバータと、
前記AC/DCコンバータから出力された直流電圧を前記UVC光源の点灯用電圧に変換して前記UVC光源に供給するUVC光源用回路部と、
前記AC/DCコンバータから出力された直流電圧を前記LED光源の点灯用電流に変換して前記LED光源に供給するLED光源用回路部と
前記UVC光源と前記LED光源とを収容する筐体とを備え、
既存の照明装置が設置されている場所に置き換えて設置可能であることを特徴とする、不活化機能付き照明装置。
【請求項2】
前記LED光源は、複数のLED素子が直列に接続されてなるLED素子群を、一列又は相互に並列接続した複数列含み、
前記LED素子群の両端間電圧は、前記AC/DCコンバータから出力された直流電圧より低く、
前記LED光源用回路部は抵抗成分を含むことを特徴とする、請求項1に記載の不活化機能付き照明装置。
【請求項3】
前記LED光源は、複数のLED素子が直列に接続されてなるLED素子群を、一列又は相互に並列接続された複数列含み、
前記LED素子群の両端間電圧は、前記AC/DCコンバータから出力された直流電圧より高く、
前記LED光源用回路部は、前記AC/DCコンバータから出力された直流電圧を昇圧するDC/DCコンバータを含むことを特徴とする、請求項1に記載の不活化機能付き照明装置。
【請求項4】
前記LED光源用回路部は、前記DC/DCコンバータの出力側端子と前記LED光源との間の位置に配置された抵抗成分を含むことを特徴とする、請求項3に記載の不活化機能付き照明装置。
【請求項5】
前記ランプは、KrClエキシマランプ又はKrBrエキシマランプであることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の不活化機能付き照明装置。
【請求項6】
前記筐体は、前記UVC光源から出射される前記紫外線と、前記LED光源から出射される前記可視光の双方を外部に取り出すための共通の光取り出し面を有し、スポットライト又はダウンライトの形状を呈することを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の不活化機能付き照明装置。
【請求項7】
前記UVC光源は、前記紫外線のうち、波長240nmを超える波長域に属する成分の光強度を抑制するフィルタ部材を備えることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の不活化機能付き照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置に関し、特に菌又はウイルスに対する不活化機能が搭載された照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般家庭、商品店舗又は飲食店等では、従来、照明用光源としてハロゲンランプや放電ランプが使われてきたが、近年ではLEDが主流になりつつある。例えば、下記特許文献1には、LED光源を用いたスポットライト型の照明装置の構造が開示されている。
【0003】
また、スポットライト型の照明装置に限らず、天井の天板等に装置の一部が埋め込まれて設置される、いわゆるダウンライト型の照明装置においても、同様にLED光源が利用されてきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許6692407号公報
【文献】実開昭63-187221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、細菌又はウイルス(以下、これらを「菌等」と総称することがある。)による感染が問題となっており、LED光源を含む照明装置が設置される空間においても、菌等を不活化させたいという事情がある。
【0006】
空間内に存在する菌等を不活化させるために、紫外線を照射する方法が知られている。例えば特許文献2には、調理場等の日常的に食品が扱われる場所の利用に供することを目的として、波長254nmの紫外光を発する殺菌ランプと、照明用の光を発する蛍光ランプとが箱体形状の器具本体に埋め込まれてなる、殺菌灯組込型照明器具が提案されている。
【0007】
しかし、上記特許文献2に記載されている殺菌ランプのように、240nm~300nmの波長域に高い光強度を示す紫外線は、人間に照射されると人体に影響を及ぼすリスクがある。皮膚は、表面に近い部分から表皮、真皮、その深部の皮下組織の3つの部分に分けられ、表皮は、更に表面に近い部分から順に、角質層、顆粒層、有棘層、基底層の4層に分けられる。殺菌線としての波長254nmを含む240nm~300nmの波長域に高い光強度を示す紫外線が人体に照射されると、角質層を透過して、顆粒層や有棘層、場合によっては基底層に達し、これらの層内に存在する細胞のDNAに吸収される。この結果、皮膚がんのリスクが発生する。
【0008】
これに対し、例えば、KrClやKrBrを含む発光ガスが封入されたエキシマランプによれば、200nm~230nmの波長域にピーク波長を有する紫外線、すなわち人体に対するリスクの少ない紫外線が得られる。よって、このようなエキシマランプを、照明用のLED光源と共に搭載した照明装置を実現することで、空間を照明しながら空間内の菌等の不活化を行うことができると考えられる。
【0009】
しかし、エキシマランプ等の紫外線を発する光源(以下、「UVC光源」と称する。)は、点灯の際に高電圧が必要となるため、インバータ回路が必須であり、このインバータ回路に入力するための直流電圧を商用電圧から生成するためのAC/DCコンバータが必要となる。よって、照明用のLED光源と不活化用のUVC光源の両者を同一の装置内に搭載する場合、点灯用の回路を多数搭載する必要がある。この結果、照明装置としての規模が大型化するおそれがある。
【0010】
一方で、一般的な照明装置は大きさや形状が概ね規定されている。このため、照明装置内にUVC光源を組み込むことを理由に、照明装置を大型化することは望ましくない。特に、既存の照明装置に対して、不活化機能付きの照明装置を置き換える場合には、その事情は顕著に現れる。つまり、従来の照明装置から大きさや形状をほぼ変えることなく、不活化機能を搭載した照明装置を実現することが好ましい。
【0011】
UVC光源としてのランプ(上の例ではエキシマランプ)は、照明用のLED光源よりは短寿命であるため、LED光源よりも短い時間間隔で交換することが想定される。スポットライトやダウンライトは一般的に天井に設置されて使用されることから、照明装置全体の大きさが大型化することは、ランプの交換作業をより困難に強いる懸念がある。
【0012】
本発明は、上記の課題に鑑み、従来の照明装置と同等の装置規模でありながらも、不活化機能を付加することのできる、不活化機能付き照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る不活化機能付き照明装置は、
200nm~230nmの波長域にピーク波長を有する紫外線を出射するUVC光源と、
可視光を出射するLED光源と、
外部電源に接続され、前記外部電源に由来する交流電圧を直流電圧に変換して出力する単一のAC/DCコンバータと、
前記AC/DCコンバータから出力された直流電圧を前記UVC光源の点灯用電圧に変換して前記UVC光源に供給するUVC光源用回路部と、
前記AC/DCコンバータから出力された直流電圧を前記LED光源の点灯用電流に変換して前記LED光源に供給するLED光源用回路部とを備えたことを特徴とする。
【0014】
本明細書において、「不活化」とは菌やウイルスを死滅させる又は感染力や毒性を失わせることを包括する概念を指る。また、「菌」とは細菌や真菌(カビ)等の微生物を指す。
【0015】
「発明が解決しようとする課題」の項で上述したように、UVC光源としてのランプは、点灯の際に高電圧が必要となるため、インバータ回路が必須である。そして、このインバータ回路に対して直流に入力するための直流電圧を、外部電源電圧(一般的には商用電圧)から生成するためのAC/DCコンバータが必要となる。また、可視光を出射するLED光源は、点灯の際に直流電流が必要となるため、商用電圧から直流電流(直流電圧)を生成するためのAC/DCコンバータが必要となる。
【0016】
UVC光源のインバータ回路は、UVC光源を安定的に点灯させる観点から、許容される入力電圧の大きさに制限が課せられる。つまり、UVC光源を搭載した従来の紫外線照明装置は、商用電源からインバータ回路に入力すべき直流電圧を生成すべく回路設計された、AC/DCコンバータ(ここでは、便宜上、「UVC光源用AC/DCコンバータ」と称する。)を備えている。
【0017】
一方、LED光源は、通常複数のLED素子を内蔵しており、LED素子の数すなわち光出力によって、必要な直流電圧の大きさが決定される。つまり、LED光源を搭載した従来の照明装置は、各LED素子を発光させるために必要な電流を供給するための直流電圧を生成すべく回路設計された、AC/DCコンバータ(ここでは、便宜上、「LED光源用AC/DCコンバータ」と称する。)を備えている。
【0018】
ここで、単に、UVC光源とLED光源とを同一の装置内に搭載しようとした場合、それぞれの光源を点灯させるために必要な直流電圧は異なっているため、それぞれの光源に対して適正に回路設計された、UVC光源用AC/DCコンバータ及びLED光源用AC/DCコンバータを搭載する必要がある。AC/DCコンバータは、整流回路及びトランスが必要となるため、素子数が多い回路である。よって、それぞれの光源用のAC/DCコンバータを装置内に搭載すると、点灯用の回路規模が大きくなってしまう。この結果、従来のLED光源からなる照明装置と同等の大きさ及び形状を維持しながら、UVC光源を搭載することは困難な場合がある。
【0019】
これに対し、上記構成の不活化機能付き照明装置によれば、外部電源から直流電圧を生成する単一のAC/DCコンバータを備えている。そして、UVC光源用回路部において、AC/DCコンバータから出力される直流電圧がUVC光源の点灯用電圧に変換されて出力され、LED光源用回路部において、前記直流電圧がLED光源の点灯用電流に変換されて出力される。これにより、回路点数の多いAC/DCコンバータを共通化できるため、UVC光源とLED光源の双方を搭載しながらも、点灯用の回路規模を従来のLED照明装置と同等にすることができる。
【0020】
そして、本発明に係る不活化機能付き照明装置から放射される紫外線は、人や動物の皮膚や目に紅斑や角膜炎を起こすことはなく、紫外線本来の殺菌、ウイルスの不活化能力を提供することができる。特に、低圧水銀ランプ等の従来の紫外線光源とは異なり、有人環境で使用できるという特徴を生かし、屋内外の有人環境に設置することで、環境全体を照射することができ、空気と環境内設置部材表面のウイルス抑制・除菌を提供することができる。このことは、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標3「あらゆる年齢の全ての人々が健康的な生活を確保し、福祉を促進する」に対応し、また、ターゲット3.3「2030年までに、エイズ、結核、マラリア及び顧みられない熱帯病といった伝染病を根絶するとともに、肝炎、水系感染症およびその他の感染症に対処する」に大きく貢献するものである。
【0021】
前記LED光源は、複数のLED素子が直列に接続されてなるLED素子群を、一列又は相互に並列接続した複数列含み、
前記LED素子群の両端間電圧は、前記AC/DCコンバータから出力された直流電圧より低く、
前記LED光源用回路部は抵抗成分を含むものとしても構わない。
【0022】
LED光源が備えるLED素子に対して、発光に必要な直流の点灯用電流を供給するためには、直列接続された複数のLED素子群の両端間電圧に基づく直流電圧をLED光源に対して印加する必要がある。この両端間電圧は、直列に接続されたLED素子群の素子数に依存する。この素子数は、需要者が要求するLED光源の輝度や規格によって設定されるものであり、製造者側で装置毎に自由に変更することは基本的に困難である。
【0023】
つまり、照明装置の仕様によっては、UVC光源の点灯のためにインバータに入力すべき直流電圧が、LED素子群の両端間電圧よりも高くなる場合が想定される。この場合、AC/DCコンバータから出力された直流電圧をそのまま、LED光源に供給すると、各LED素子に対して流れる電流が定格電流よりも高くなり過ぎ、LED光源の破損のおそれが生じる。
【0024】
これに対し、上記構成のように、AC/DCコンバータとLED光源との間に、抵抗成分を含むLED光源用回路部を介在させることで、LED光源に対して供給される電流量が低下される。この結果、AC/DCコンバータを共通化しながらも、UVC光源及びLED光源の双方に対して、定格値(定格電圧/定格電流)を供給することができる。また、この場合、LED光源用回路部としては、従来のUVC光源の点灯用の回路と比べて最小限の追加要素として抵抗成分を含むことで実現できる。つまり、上記構成によれば、それぞれの光源用のAC/DCコンバータを備える場合と比べて、装置規模が大幅に縮小される。
【0025】
前記LED光源は、複数のLED素子が直列に接続されてなるLED素子群を、一列又は相互に並列接続された複数列含み、
前記LED素子群の両端間電圧は、前記AC/DCコンバータから出力された直流電圧より高く、
前記LED光源用回路部は、前記AC/DCコンバータから出力された直流電圧を昇圧するDC/DCコンバータを含むものとしても構わない。
【0026】
製品によっては、UVC光源の点灯のためにインバータに入力すべき直流電圧よりも、LED素子群の両端間電圧が低くなる場合が想定される。この場合、AC/DCコンバータから出力された直流電圧をそのままLED光源に供給すると、各LED素子に対して流れる電流が定格電流よりも低くなり過ぎ、LED光源の最大輝度が低下するおそれが生じる。また、そもそもLED素子を流れる電流が閾値電流に達せず、各LED素子が発光しない場合も想定される。
【0027】
これに対し、上記構成のように、AC/DCコンバータとLED光源との間に、AC/DCコンバータから出力された直流電圧を昇圧するDC/DCコンバータを含むLED光源用回路部を介在させることで、LED光源に対して供給される電流量を定格値まで高めることができる。この結果、AC/DCコンバータを共通化しながらも、UVC光源及びLED光源の双方に対して、定格値(定格電圧/定格電流)を供給することができる。また、LED光源用回路部としては、従来のUVC光源の点灯用の回路と比べて、DC/DCコンバータを含むことで実現できる。DC/DCコンバータは、AC/DCコンバータと異なり、部品点数の多い整流回路やトランスが不要であり、極めて簡素な回路で実現できる。つまり、上記構成によれば、それぞれの光源用のAC/DCコンバータを備える場合と比べて、装置規模が大幅に縮小される。
【0028】
前記LED光源用回路部は、前記DC/DCコンバータの出力側端子と前記LED光源との間の位置に配置された抵抗成分を含むものとしても構わない。
【0029】
上記構成によれば、DC/DCコンバータ回路の出力電圧と、LED素子群の両端間電圧とが乖離する場合においても、両者の値をより近接させることができる。
【0030】
前記不活化機能付き照明装置は、前記UVC光源と前記LED光源とを収容する筐体を含むものとしても構わない。
【0031】
これにより、単一の照明装置によって、不活化機能が搭載された照明装置が実現される。なお、この場合において、装置規模をより縮小化する観点から、前記UVC光源用回路部と前記LED光源用回路部とが同一の基板に実装されるのが好ましい。
【0032】
前記LED光源用回路部は、前記LED光源に対する調光機能を実現するための制御部を備えていても構わない。
【0033】
前記筐体は、前記UVC光源から出射される前記紫外線と、前記LED光源から出射される前記可視光の双方を外部に取り出すための共通の光取り出し面を有し、スポットライト又はダウンライトの形状を呈するものとしても構わない。
【0034】
このような構成によれば、従来の照明装置とほぼ同じ外観を有しながらも、照明対象となる空間に対して可視光を照射して照明すると共に、同じ空間に対して紫外線を照射して菌等の不活化を行うことができる。
【0035】
前記UVC光源は、前記紫外線のうち、波長240nmを超える波長域に属する成分の光強度を抑制するフィルタ部材を備えるものとしても構わない。
【0036】
UVC光源として、例えば、KrClエキシマランプや、KrBrエキシマランプを使用する場合、同光源から出射される紫外線は、240nmを超える波長域にほとんど光強度を示さない。しかし、この紫外線においても、ピーク波長の光強度に対して極めて低い比率(10%未満)で、240nmを超える波長域に光強度を示す場合がある。上記構成のように、フィルタ部材を備えることで、照射される紫外線のうち、240nmを超える波長域の光強度が更に抑制されるため、人体に対する影響を更に低下できる。
【0037】
なお、このようなフィルタ部材としては、例えば、波長域200nm~230nmの紫外線を透過し、波長域240nm~280nmの紫外線を遮断する波長選択フィルタを用いることができる。この波長選択フィルタとしては、例えば、HfO2層及びSiO2層が積層されてなる誘電体多層膜フィルタが用いられる。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、従来の照明装置と同等の装置規模でありながらも、不活化機能を搭載した照明装置が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本発明の不活化機能付き照明装置の一実施形態の構成を模式的に示す断面図である。
図2図1の不活化機能付き照明装置が備える光取り出し面を+Z方向に見たときの模式的な平面図である
図3】UVC光源の一例としてのエキシマランプの構造を模式的に示す側面図である。
図4】UVC光源を発光管の管軸方向に見たときの模式的な平面図である。
図5】前記不活化機能付き照明装置が備える点灯用回路の構成を模式的に示す回路ブロック図である。
図6】AC/DCコンバータの回路構成例である。
図7】UVC光源用回路部の回路構成例である。
図8】前記不活化機能付き照明装置が備える点灯用回路の別の構成を模式的に示す回路ブロック図である。
図9】AC/DCコンバータの回路構成例である。
図10】本発明の不活化機能付き照明装置の別の実施形態の構成を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明に係る不活化機能付き照明装置の実施形態につき、以下において図面を参照して説明する。なお、以下の図面は模式的に示されたものであり、図面上の寸法比と実際の寸法比とは必ずしも一致しない。また、図面間においても寸法比が一致していない場合がある。
【0041】
なお、以下では、不活化機能付き照明装置を単に「照明装置」と略記することがある。
【0042】
図1は、本実施形態の照明装置の模式的な断面図である。図1に示す照明装置1は、天井に搭載されるダウンライト型の照明装置が想定されている。
【0043】
照明装置1は筐体4を含み、筐体4内には、紫外線L2を発するUVC光源2と、可視光L3を発するLED光源3とが収容されている。図1では、照明装置1が、照明装置1に対して+Z側に位置する天井(不図示)に設置されて、-Z方向に向かって光(L2,L3)を発する場合が想定されている。なお、以下では、図1及び後述する図2に示すように、Z方向に直交する平面をXY平面とする、X-Y-Z座標系が適宜参照される。
【0044】
本明細書において、方向を表現する際に正負の向きを区別する場合には「+Z方向」、「-Z方向」のように正負の符号を付して記載され、正負の向きを区別しない場合には単に「Z方向」のように正負の符号が省略して記載される。すなわち、本明細書において、単に「Z方向」と記載されている場合には、「+Z方向」と「-Z方向」の双方が含まれる。X方向及びY方向についても同様である。
【0045】
筐体4内において、+Z側に位置する上部領域4aには各光源(2,3)を点灯させるための回路(6,12,13)が収容され、-Z側に位置する下部領域4bには各光源(2,3)が収容されている。筐体4の各領域(4a,4b)は、例えば円筒形状であって両者が同軸上に配置されている。筐体4の寸法の一例は、上部領域4aが外径が200mm四方、高さ100mmであり、下部領域4bが外径が400mm四方、高さ50mmである。
【0046】
筐体4の上部領域4a内には、AC/DCコンバータ6と、UVC光源用回路部12と、LED光源用回路部13とが収容されている。AC/DCコンバータ6は、商用の交流電圧(例えばAC200V、AC100V等)を、直流電圧に変換する回路である。UVC光源用回路部12は、AC/DCコンバータ6で生成された直流電圧を、UVC光源2の点灯用電圧(後述する図5内の電圧V2)に変換する回路である。LED光源用回路部13は、AC/DCコンバータ6で生成された直流電圧を、LED光源3の点灯用電流(後述する図5内の電流I3)に変換する回路である。本実施形態では、図1に示すように、UVC光源用回路部12と、LED光源用回路部13とが同一の基板10上に実装されているが、これは一例である。なお、AC/DCコンバータ6についても、基板10上に実装されていても構わない。AC/DCコンバータ6、UVC光源用回路部12、及びLED光源用回路部13が全て同一の基板10に実装されることで、照明装置1の規模がより縮小される。AC/DCコンバータ6、UVC光源用回路部12、及びLED光源用回路部13の詳細な説明は後述される。
【0047】
筐体4の下部領域4b内には、UVC光源2と、LED光源3と、これらの光源(2,3)から出射された光(L2,L3)を照明装置1の外部に取り出すための光取り出し面5とが配置される。
【0048】
図1に示すように、本実施形態の照明装置1は、筐体4の-Z側の箇所に光取り出し面5を有する。光取り出し面5は、UVC光源2から出射された紫外線L2を取り出すための領域5aと、LED光源3から出射された可視光L3を取り出すための領域5bとを含む。図2は、この光取り出し面5を+Z方向に見たときの模式的な平面図である。本実施形態の照明装置1が備える光取り出し面5は、紫外線L2を取り出すための領域5aの外側に、可視光L3を取り出すための領域5bを備える構成である。これにより、可視光L3の配光角が広げられ、対象空間内をより効率的に照明しつつ、対象空間内の不活化が実現できる。
【0049】
ただし、本発明において、照明装置1が備える光取り出し面5の態様は限定されない。すなわち、図2において、紫外線L2を取り出すための領域5aと、可視光L3を取り出すための領域5bとの位置関係が反転しても構わないし、領域5aと領域5bとがX方向又はY方向に隣接して配置されても構わない。更には、領域5aと領域5bとが異なる面上に配置されていても構わない。より詳細には、照明装置1が、紫外線L2用の光取り出し面5aと、可視光L3用の光取り出し面5bとを備えると共に、これらの光取り出し面(5a,5b)がそれぞれ筐体4の異なる位置に設けられていても構わない。
【0050】
また、光取り出し面5のうちの、特に領域5bには拡散部材が設けられることで、可視光L3を拡散して対象空間内に照射するのが好適である。
【0051】
本実施形態において、UVC光源2はエキシマランプで構成される。より詳細には、図3に模式的に示すように、UVC光源2は、発光管21と一対の電極(22,22)とを備える。図3は、エキシマランプで構成されるUVC光源2の模式的な側面図である。
【0052】
図3に示すUVC光源2は、エキシマランプの発光管21の外表面に接触するように、一対の電極(22,22)が配置されている。一対の電極(22,22)は、発光管21の管軸方向に離間した位置に配置されている。一対の電極(22,22)は、導電性の材料からなり、好ましくは発光管21から出射される紫外線L2に対する反射性を示す材料からなる。一例として、一対の電極(22,22)は、共に、Al、Al合金、ステンレスなどで構成される。
【0053】
エキシマランプの発光管21には、発光ガスG20が封入されている。UVC光源用回路部12から、一対の電極(22,22)の間に、例えば数kHz~5MHz程度の高周波の交流電圧が印加されると、エキシマランプの発光管21を介して発光ガスG20に対して前記電圧が印加される。このとき、発光ガスG20が封入されている放電空間内で放電プラズマが生じ、発光ガスG20の原子が励起されてエキシマ状態となり、この原子が基底状態に移行する際にエキシマ発光を生じる。
【0054】
発光ガスG20は、エキシマ発光時に200nm~230nmの波長域にピーク波長を有する紫外線L2を出射する材料からなる。一例として、発光ガスG20としては、KrCl、KrBrが含まれる。
【0055】
例えば、発光ガスG20にKrClが含まれる場合には、エキシマランプの発光管21からピーク波長が222nm近傍の紫外線L2が出射される。発光ガスG20にKrBrが含まれる場合には、エキシマランプの発光管21からは、ピーク波長が207nm近傍の紫外線L2が出射される。なお、KrClエキシマランプにおけるピーク波長について「222nm近傍」と記載したのはエキシマランプの製品上の個体差を含む意図であり、絶対的な意味における222.0nmは勿論のこと、222.0nmを基準として±3.0nm以内での範囲内における波長のずれを許容する意図である。KrBrエキシマランプについても同様である。
【0056】
なお、発光管21の管壁に蛍光体(不図示)が配置されていても構わない。この場合、UVC光源2の発光管21に封入される発光ガスG20は、エキシマ発光時に出射される紫外線のピーク波長が200nm未満であっても構わない。また、蛍光体は、エキシマ光が入射されると、200nm~230nmの波長域にピーク波長を有する光(紫外線)に変換する材料であればよい。例えば、発光ガスG20として、XeやArF等、ピーク波長が200nm未満のエキシマ光を発する材料のガスを用いることができる。また、この場合、蛍光体としては、例えばLaPO4:Pr、K2YF5:Pr、LaF3:Nd等を用いることができる。
【0057】
UVC光源2は、複数のエキシマランプを含んでも構わない。図4は、複数のエキシマランプが所定の方向に整列して配置されている場合において、UVC光源2をエキシマランプの発光管21の管軸方向に見たときの模式的な平面図である。図4には、それぞれの発光管21の外壁に接触している一方の電極22のみが現れているが、これは、図示の都合上であり、実際には、紙面奥行き方向に他方の電極22が存在しているものとして構わない。
【0058】
UVC光源2から出射される紫外線L2は、光取り出し面5の領域5aから、照明装置1の外部に取り出される。ここで、上述した例のように、UVC光源2が、KrClエキシマランプやKrBrエキシマランプの場合、紫外線L2は、ピーク波長が200~230nmの範囲内であり、240nmを超える波長域にはほとんど光強度を示さない。しかし、紫外線L2が、240nmを超える波長域についてもごくわずかながら光強度を示す場合がある。そこで、図4に示すように、少なくとも光取り出し面5の領域5a(紫外線L2が取り出される領域)には、人体への影響が懸念される波長域(例えば、240nm~280nm)の紫外線を遮断するフィルタ部材25を備えるものとしても構わない。特に、UVC光源2が、発光管21の管壁に蛍光体を塗布して実現されている場合には、フィルタ部材25を備えるのが好適である。
【0059】
また、フィルタ部材25は、波長200nm未満の紫外線L2についても遮断するように設計されていても構わない。この波長帯の紫外線L2が対象空間内に放射されるのが抑制されることで、対象空間内でオゾンが生成されるのを防止できる。UVC光源2が、波長200nm未満の紫外線L2を遮断するフィルタ部材25を備えていない場合には、紫外線L2の光強度の上限値を予め定めておくことで、対象空間内で副次的に生成されるオゾン量を極めて微小にするものとしてもよい。
【0060】
なお、図3図4に図示されているエキシマランプについて数値例を挙げると、発光管21の管径がφ6mm、発光管21の長さが70mm、エキシマランプ同士の離間距離が14mm、定格電力が12Wである。
【0061】
本実施形態において、LED光源3は、基板30と、基板30上に実装された複数のLED素子31を備える。LED素子31は、複数個が直列に接続されており、更にLED光源3として所望される最大輝度に応じて複数列が並列に接続される。図5に示す例では、6個のLED素子31が直列に接続されると共に、この直列回路(LED素子群)が4列に並列接続されている場合が模式的に示されている。LED光源3は、一例として、青色領域(例えば波長450nm)の光を発する素子と、この光を受光して黄色領域の蛍光を発する蛍光体とを備え、両者が混合されて白色の可視光L3を生成する構成が採用できる、この構成には限定されない。
【0062】
図5は、本実施形態の照明装置1が備える、点灯用回路の構成を模式的に示す回路ブロック図である。上述したように、照明装置1は、AC/DCコンバータ6と、UVC光源用回路部12と、LED光源用回路部13とを含む。
【0063】
AC/DCコンバータ6は、商用電源9(「外部電源」に対応する。)から供給される商用の交流電圧Vcを直流電圧V0に変換する回路である。AC/DCコンバータ6の回路構成例を、図6に示す。図6に示すように、AC/DCコンバータ6は、少なくとも整流回路51とトランス回路52を含む。整流回路51及びトランス回路52は、いずれも素子の点数が多いため、AC/DCコンバータ6は比較的大型化しやすい回路である。なお、図6では整流回路51が模式的にブロック図で図示されているが、一般的な全波整流回路の場合、4個のダイオード素子が不可欠である。
【0064】
図5に示すように、本実施形態の照明装置1は、UVC光源2とLED光源3とでAC/DCコンバータ6を共用している。すなわち、照明装置1は、紫外線L2を発するUVC光源2と、可視光L3を発するLED光源3とを備えながらも、AC/DCコンバータ6は単一とすることで、装置規模の小型化が図られている。
【0065】
UVC光源用回路部12は、AC/DCコンバータ6で生成された直流電圧V0を、UVC光源2の点灯用電圧V2に変換する回路である。UVC光源用回路部12の回路構成例を、図7に示す。図7は、一般的にフライバック方式と呼ばれる点灯回路であり、スイッチング素子41、スイッチング素子41の開閉制御を行う制御部42、平滑コンデンサ43、及びトランス40を備える。トランス40の二次側に誘起される電圧V2が、UVC光源2を構成するエキシマランプが備える一対の電極(22,22)間に印加される。
【0066】
トランス40の一次側巻線は、スイッチング素子41を介して、直流電圧V0に接続される。本実施形態では、この直流電圧V0がAC/DCコンバータ6の出力電圧に対応する。スイッチング素子41がON状態になると、直流電圧V0からトランス40の一次側巻線に対して一次側電流が流れる。スイッチング素子41は、制御部42からの制御信号G(t)に基づいてON/OFF制御が行われる。制御信号G(t)がLowからHighに変化すると、スイッチング素子41がOFF状態からON状態に遷移し、トランス40の一次側電流が時間の経過と共に上昇する。その後、制御信号G(t)がHighからLowに変化すると、スイッチング素子41がON状態からOFF状態に遷移する。このとき、トランス40の二次側巻線に逆起電力が発生し、インパルス状の二次側電圧V2が生じる。この二次側電圧V2が、一対の電極(22,22)を介してエキシマランプの発光管21内に印加され、紫外線L2が出射する。以下、スイッチング素子41のON/OFF制御が繰り返し実行されることで、エキシマランプに対して高周波の電圧V2が連続的に印加され、紫外線L2が連続的に放射される。エキシマランプは水銀を含まない構成であるため、UVC光源2としてエキシマランプを採用することで、環境対策としても優れている。
【0067】
図5の例では、LED光源3として、6個のLED素子31が直列に接続されてなるLED素子群が4列に並列接続されて構成されている。LED素子31は、その特性上、閾値電圧を超える電圧が印加さなければ電流が流れず、また、印加電圧に応じて流れる電流が特定される。また、LED素子31は、最大輝度を実現するために流すべき定格電流が存在し、この定格電流が流れたときに素子の両端に生じる電圧(ここでは、「順方向電圧Vf」と称する。)が、素子の特性によって決定される。
【0068】
ここで、AC/DCコンバータ6の出力端子に、直接LED光源3を接続した場合について検討する。AC/DCコンバータ6から出力される直流電圧V0(以下、単に「AC/DCコンバータ6の出力電圧V0」と表記することがある。)が、LED素子31の直列接続数6と順方向電圧Vfとの積(6・Vf)よりも十分高い場合、LED素子群に対して定格電流を超える電流が流れ、各LED素子31が破損することが想定される。
【0069】
これに対し、図5に示すように、本実施形態の照明装置1はLED光源用回路部13として電流調整素子13aを備える。この電流調整素子13aは、少なくとも抵抗成分を備えていればよい。具体的には、AC/DCコンバータ6の出力電圧をV0、LED素子31に流れる定格電流をIf、LED素子31に対して定格電流Ifが流れたときの順方向電圧をVf、直列接続されるLED素子31の素子数をnとすると、電流調整素子13aが備える抵抗成分R13は、下記(1)式で算定されるRの値に実質的に一致するように設定される。なお、(1)式における項(n・Vf)は、定格電流Ifが流れたときの、複数のLED素子31が直列接続されてなるLED素子群の両端間電圧に対応する。
R = (V0 - n・Vf) / If ……(1)
【0070】
なお、「実質的に一致する」とは、誤差を許容することを意味しており、具体的には、電流調整素子13aに含まれる抵抗成分R13が、0.9R≦R13≦1.1Rであるものとして構わない。
【0071】
また、LED光源用回路部13は、電流調整素子13aの他に調光用の制御部(不図示)を備えていても構わない。この場合、電流調整素子13aは制御部からの信号に基づいて抵抗値を可変できる構成であり、制御部は、LED光源3から出射される可視光L3の所望輝度に応じてLED素子31に対して流すべき電流I3を決定すると共に、LED素子31に対して電流I3が流れるように電流調整素子13aの抵抗値を可変させるものとして構わない。
【0072】
図8は、照明装置1の別の構成例を図5にならって模式的に図示した図面である。図8の例では、LED光源3として、12個のLED素子31が直列に接続されてなるLED素子群が4列に並列接続されて構成されている。
【0073】
既存のLED照明装置に対して、UVC光源2を新たに付加することで不活化機能付き照明装置1を実現する場合には、LED光源3の構成は容易に変更できないことが想定される。例えば、図8に示す例のように、直列に接続されたLED素子31の素子数が極めて多い場合には、LED素子31に対して定格電流Ifが流れたときの順方向電圧Vfと素子数n(ここでは12)の積(n・Vf)が、AC/DCコンバータ6の出力電圧V0よりも大きくなる、すなわち、上記(1)式における(V0-n・Vf)の値が負になることが想定される。
【0074】
このような場合に、AC/DCコンバータ6の出力端子に、直接LED光源3を接続すると、各LED素子31に対して発光に必要な閾値電圧が印加されず、LED光源3が発光しないことが生じ得る。
【0075】
これに対し、図8に示すように、本実施形態の照明装置1は、LED光源用回路部13として電流調整素子13aとDC/DCコンバータ13bを備える。DC/DCコンバータ13bは、AC/DCコンバータ6の出力電圧V0を直流電圧V4に昇圧する回路であり、例えば、図9に示すような回路構成で実現される。図9に示すように、DC/DCコンバータ13bは、図6に示すAC/DCコンバータ6とは異なり、整流回路やトランスを必要としないため、小さい回路規模で実現できる。
【0076】
DC/DCコンバータ13bは、理想的には、AC/DCコンバータ6の出力電圧V0を、LED素子31に対して定格電流Ifが流れたときの順方向電圧Vfと直列接続されるLED素子31の素子数nの積(n・Vf)で表される直流電圧V4に昇圧するように設計される。
【0077】
ただし、実際には、LED素子31に流れる電流I3を調整するための、電流調整素子13aを備えるのが設計時の自由度を高める観点で好ましい。この場合、DC/DCコンバータ13bは、(n・Vf)よりも高い電圧で表される直流電圧V4に昇圧しておき、電流調整素子13aによって接続される抵抗成分R13は、下記(2)式で算定されるRの値に実質的に一致するように設定されるものとして構わない。
R = (V4 - n・Vf) / If ……(2)
【0078】
[別実施形態]
以下、別実施形態につき説明する。
【0079】
〈1〉上述した照明装置1は、図1に示すダウンライト型の構造を示す場合を想定して説明したが、他の構造を採用することも可能である。図10は、照明装置1がスポットライト型である場合の模式的な斜視図である。
【0080】
図10に示す照明装置1は、全体が円筒形状の灯具62と、この灯具62の側面に一端が取り付けられたアーム63と、天井に固定されると共にアーム63の他端が取り付けられた保持部64を含む。灯具62が、筐体を構成する。
【0081】
灯具62の内部には、UVC光源2、LED光源3、及び上述した点灯用の回路(AC/DCコンバータ6、UVC光源用回路部12、LED光源用回路部13)が収容されている。灯具62の前端面62aには光取り出し面5が設けられ、光取り出し面5から不活化用の紫外線L2と、照明用の可視光L3が出射される。灯具62について、数値例を挙げると、前端面62aとその反対側の後端面は共に、φ150mm、長さ232mmである。灯具62は、紫外線L2と可視光L3の出射方向を可変するために、水平方向又は鉛直方向に対して、回転又は傾斜移動が可能であってもよい。
【0082】
〈2〉上記実施形態では、UVC光源2がエキシマランプ(又は発光管21の管壁に蛍光体が配置された誘電体バリア放電ランプ)である場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明は、UVC光源2が、200nm~230nmの波長域にピーク波長を有する紫外線L2を発するLED(UV-LED)光源である場合にも、適用可能である。
【0083】
〈3〉UVC光源用回路部12は、人感センサを備えるものとしても構わない。具体的には、人感センサが対象空間内に人間の存在を検知すると、制御部42がスイッチング素子41に対する制御動作を停止してUVC光源2を消灯するものとして構わない。また、制御部42は、対象空間内に人間が所定時間以上存在しないことを確認すると、上述したスイッチング素子41に対する制御動作を開始して、UVC光源2を点灯するものとしても構わない。
【符号の説明】
【0084】
1 :不活化機能付き照明装置
2 :UVC光源
3 :LED光源
4 :筐体
4a :上部領域
4b :下部領域
5 :光取り出し面
5a,5b :光取り出し面の領域
6 :AC/DCコンバータ
9 :商用電源
10 :基板
12 :UVC光源用回路部
13 :LED光源用回路部
13a :電流調整素子
13b :DC/DCコンバータ
21 :発光管
22 :電極
25 :フィルタ部材
30 :基板
31 :LED素子
40 :トランス
41 :スイッチング素子
42 :制御部
43 :平滑コンデンサ
51 :整流回路
52 :トランス回路
62 :灯具
62a :灯具の前端面
63 :アーム
64 :保持部
G20 :発光ガス
L2 :紫外線
L3 :可視光
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10