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  • 特許-液晶表示素子 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】液晶表示素子
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1341 20060101AFI20240717BHJP
   G02F 1/1333 20060101ALI20240717BHJP
   G02F 1/1345 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
G02F1/1341
G02F1/1333 500
G02F1/1345
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021040530
(22)【出願日】2021-03-12
(65)【公開番号】P2022139939
(43)【公開日】2022-09-26
【審査請求日】2023-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(72)【発明者】
【氏名】太田 信司
【審査官】山口 裕之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第5684556(US,A)
【文献】特表2001-500633(JP,A)
【文献】米国特許第6784969(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1341
G02F 1/1333
G02F 1/1345
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素電極が形成された駆動基板と、
透明電極が形成されたガラス基板と、
前記駆動基板と前記ガラス基板との間に設けられているシール材と、
前記駆動基板と前記ガラス基板との間の前記シール材で囲まれた空間に注入されている液晶と、
を備え、
前記駆動基板の第1の方向の幅は、前記ガラス基板の前記第1の方向の幅より幅広であり、
前記駆動基板は、
前記第1の方向の第1の端部側に、前記ガラス基板の前記第1の方向の第1の側端面よりも突出した第1の突出部と、
前記第1の方向の第2の端部側に、前記ガラス基板の前記第1の方向の第2の側端面よりも突出した第2の突出部と、
を有し、
前記第1の突出部には、前記複数の画素電極のうちの一部の画素電極と接続された複数の接続端子が形成されており、
前記第2の突出部には、前記複数の画素電極のうちの他の一部の画素電極と接続された複数の接続端子が形成されており、
前記第1の方向と直交する方向である前記ガラス基板の第2の方向の幅は、前記駆動基板の前記第2の方向の幅より幅広であり、
前記ガラス基板は、
前記第2の方向の第3の端部側に、前記駆動基板の前記第2の方向の第3の側端面よりも突出した第3の突出部と、
前記第2の方向の第4の端部側に、前記駆動基板の前記第2の方向の第4の側端面よりも突出した第4及び第5の突出部と、
を有し、
前記ガラス基板における前記第4の突出部と前記第5の突出部との間には、前記第4の側端面と面一の側端面を有する切り欠きが形成されており、
前記駆動基板と前記ガラス基板との間に前記液晶を注入するための前記シール材が設けられていない注入口は前記切り欠き内に配置されており、前記注入口は封止材で封止されている
液晶表示素子。
【請求項2】
駆動基板を収納する凹部を有するヒートシンクをさらに備え、
前記第3の突出部は、前記凹部を挟む前記ヒートシンクの第1及び第2の上面のうちの前記第1の上面に接着剤によって接着され、
前記第4及び第5の突出部は、前記第2の上面に接着剤によって接着されている
請求項1に記載の液晶表示素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているように、プロジェクタは、投射すべき画像に応じて照明光を変調する液晶表示素子を備える。液晶表示素子は、複数の画素電極が形成された駆動基板と、透明電極が形成されたガラス基板との間に液晶を封入した構成を有する。
【0003】
特許文献1の図1に図示されているように、駆動基板の第1の方向の幅はガラス基板の第1の方向の幅より幅広である。駆動基板の一方の端部は、ガラス基板の第1の方向の一方の側端面よりも突出している。駆動基板の他方の端部の側端面は、ガラス基板の第1の方向の他方の側端面と一致している。ガラス基板の側端面よりも突出している駆動基板の一方の端部には、画素電極と接続されている接続端子が形成されている。
【0004】
ガラス基板の第1の方向と直交する第2の方向の幅は駆動基板の第2の方向の幅より幅広である。ガラス基板の第2の方向の両端部は、駆動基板の第2の方向の側端面よりも突出している。特許文献1には記載されていないが、ガラス基板の第2の方向の両端部が駆動基板の第2の方向の側端面よりも突出しているのは、液晶表示素子をヒートシンク上に配置して、突出しているガラス基板の両端部をヒートシンクに接着して液晶表示素子をヒートシンクに固定するためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-216777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、プロジェクタによって投射する画像の画素数が増大している。水平画素数3840画素、垂直画素数2160画素のいわゆる4Kの画素数を有する液晶表示素子より画素数の多い、水平画素数7680画素、垂直画素数4320画素のいわゆる8Kの画素数を有する液晶表示素子が登場している。
【0007】
8Kの画素数を有する液晶表示素子における接続端子の数は、4Kの画素数を有する液晶表示素子における接続端子の数と比較して4倍である。従って、ガラス基板の側端面よりも突出している駆動基板の一方の端部のみに、8Kの画素数を有する液晶表示素子の接続端子を形成することができない。特許文献1の図1に図示されているように、接続端子が形成されている一方の端部とは反対側の駆動基板の他方の端部には、液晶を封入するための封入口が設けられているから、駆動基板の他方の端部をガラス基板の側端面よりも突出させて、接続端子を形成することはできない。
【0008】
そこで、画素数が増大しても接続端子を形成することができ、かつ、駆動基板の側端面よりも突出しているガラス基板の両端部をヒートシンクに固定することができる液晶表示素子の登場が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、複数の画素電極が形成された駆動基板と、透明電極が形成されたガラス基板と、前記駆動基板と前記ガラス基板との間に設けられているシール材と、前記駆動基板と前記ガラス基板との間の前記シール材で囲まれた空間に注入されている液晶とを備え、前記駆動基板の第1の方向の幅は、前記ガラス基板の前記第1の方向の幅より幅広であり、前記駆動基板は、前記第1の方向の第1の端部側に、前記ガラス基板の前記第1の方向の第1の側端面よりも突出した第1の突出部と、前記第1の方向の第2の端部側に、前記ガラス基板の前記第1の方向の第2の側端面よりも突出した第2の突出部とを有し、前記第1の突出部には、前記複数の画素電極のうちの一部の画素電極と接続された複数の接続端子が形成されており、前記第2の突出部には、前記複数の画素電極のうちの他の一部の画素電極と接続された複数の接続端子が形成されており、前記第1の方向と直交する方向である前記ガラス基板の第2の方向の幅は、前記駆動基板の前記第2の方向の幅より幅広であり、前記ガラス基板は、前記第2の方向の第3の端部側に、前記駆動基板の前記第2の方向の第3の側端面よりも突出した第3の突出部と、前記第2の方向の第4の端部側に、前記駆動基板の前記第2の方向の第4の側端面よりも突出した第4及び第5の突出部とを有し、前記ガラス基板における前記第4の突出部と前記第5の突出部との間には、前記第4の側端面と面一の側端面を有する切り欠きが形成されており、前記駆動基板と前記ガラス基板との間に前記液晶を注入するための前記シール材が設けられていない注入口は前記切り欠き内に配置されており、前記注入口は封止材で封止されている液晶表示素子を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の液晶表示素子によれば、画素数が増大しても接続端子を形成することができ、かつ、駆動基板の側端面よりも突出しているガラス基板の両端部をヒートシンクに固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態の液晶表示素子を示す平面図である。
図2】一実施形態の液晶表示素子を示す部分斜視図である。
図3】一実施形態の液晶表示素子を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、一実施形態の液晶表示素子について、添付図面を参照して説明する。図1において、液晶表示素子100は、駆動基板1とガラス基板2とを備える。駆動基板1には8Kの画素数の複数の画素(図示せず)と、各画素に対応する画素電極(図示せず)が形成されている。駆動基板1は大規模集積回路(LSI)で構成されており、LSI基板と称されることがある。ガラス基板2には透明電極が形成されている。駆動基板1とガラス基板2との間には、シール材3が設けられている。
【0013】
シール材3は、駆動基板1の側端面1sa(第3の側端面)及び側端面1sb(第4の側端面)と、ガラス基板2の側端面2sa(第1の側端面)及び側端面2sb(第2の側端面)とに沿って塗布されている。駆動基板1の側端面1sb側には、シール材3が塗布されていない注入口31が形成されている。駆動基板1とガラス基板2との間のシール材3で囲まれた空間には、注入口31よりここでは図示していない液晶が注入される。
【0014】
注入口31は、図示していないディスペンサノズルによって封止材32を注入口31に注入することによって封止されている。封止材32によって封止された注入口31は封止口となる。
【0015】
図1における上下方向を第1の方向、第1の方向と直交する左右方向を第2の方向とする。駆動基板1の第1の方向の幅は、ガラス基板2の第1の方向の幅より幅広である。駆動基板1は、第1の方向の第1の端部側(図1の上端部側)に、ガラス基板2の第1の方向の側端面2saよりも突出した第1の突出部1aを有する。駆動基板1は、第1の方向の第2の端部側(図1の下端部側)に、ガラス基板2の第1の方向の側端面2sbよりも突出した第2の突出部1bを有する。
【0016】
第1の突出部1aには、複数の画素電極のうちの一部の画素電極と接続された複数の接続端子1tが形成されている。第2の突出部1bには、複数の画素電極のうちの他の一部の画素電極と接続された複数の接続端子1tが形成されている。第1の突出部1a及び第2の突出部1bの双方に接続端子1tが形成されているから、液晶表示素子100は、8Kの画素数に対応する接続端子1tを駆動基板1に設けることができる。
【0017】
ガラス基板2の第2の方向の幅は、駆動基板1の第2の方向の幅より幅広である。ガラス基板2は、第2の方向の第3の端部側(図1の左端部側)に、駆動基板1の第2の方向の側端面1saよりも突出した第3の突出部2aを有する。ガラス基板2は、第2の方向の第4の端部側(図1の右端部側)に、駆動基板1の第2の方向の側端面1sbよりも突出した第4の突出部2b1及び第5の突出部2b2を有する。
【0018】
ガラス基板2における第4の突出部2b1と第5の突出部2b2との間には、側端面2scを有する切り欠き2b3が形成されている。第4の突出部2b1と第5の突出部2b2との間隔である切り欠き2b3の幅Wb3は、ディスペンサノズルが封止材32を注入口31に注入するときにガラス基板2と干渉しない程度の幅とされている。
【0019】
切り欠き2b3において、ガラス基板2の側端面2scは、駆動基板1及びガラス基板2の上方から見て、駆動基板1の側端面1sbと同じ位置にある。即ち、図2の部分斜視図に示すように、駆動基板1の側端面1sbと切り欠き2b3におけるガラス基板2の側端面2scとは面一となっている。
【0020】
シール材3が設けられていない注入口31は、駆動基板1とガラス基板2の側端面(1sb及び2sc)が互いに面一となっている切り欠き2b3内に配置されている。駆動基板1とガラス基板2の側端面が互いに面一となっている切り欠き2b3内に注入口31を設けているので、駆動基板1とガラス基板2との間に注入された液晶を封止材32によって確実に封止することができる。
【0021】
図3は、図1に示す液晶表示素子100をヒートシンク5に固定した状態における図1のA-A位置での断面を示している。ヒートシンク5は、液晶表示素子100の駆動基板1を収納する凹部51を有する。ヒートシンク5は例えばアルミニウムまたはアルミニウム合金によって形成されている。
【0022】
液晶表示素子100は、凹部51内に配置した放熱材6と駆動基板1とが接触するように配置されている。液晶表示素子100の動作時に駆動基板1で発生した熱は放熱材6を介してヒートシンク5に伝達して放熱される。
【0023】
駆動基板1とガラス基板2との間のシール材3で囲まれた空間には、液晶4が注入されている。ガラス基板2の第2の方向の幅は凹部51の幅よりも広い。ヒートシンク5は、凹部51を挟んで対向する第1の上面5ta及び第2の上面5tbを有する。第3の突出部2aはヒートシンク5の第1の上面5ta上に載っており、第4の突出部2b1及び第5の突出部2b2は第2の上面5tb上に載っている。
【0024】
第3の突出部2aと第1の上面5ta、及び第4の突出部2b1及び第5の突出部2b2と第2の上面5tbとは、接着剤7によって互いに接着されている。ガラス基板2とヒートシンク5とが接着剤7によって接着されることによって、液晶表示素子100はヒートシンク5に固定されている。
【0025】
本発明は以上説明した本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。図1に示す液晶表示素子100においては、駆動基板1の第1の方向の両端部に接続端子1tが形成されている第1の突出部1a及び第2の突出部1bを設けている。また、ガラス基板2の第2の方向の両端部に第3の突出部2aと第4の突出部2b1及び第5の突出部2b2を設けている。液晶表示素子100を次のように構成してもよい。
【0026】
液晶表示素子100は、駆動基板1の第2の方向の両端部に接続端子1tが形成されている突出部を備える。液晶表示素子100は、ガラス基板2の第1の方向の両端部のうちの一方の端部に幅全体に突出する突出部を備え、他方の端部に、幅方向の中間部に切り欠きを有する2つの突出部を備える。この場合も、注入口31は切り欠き内に配置される。
【符号の説明】
【0027】
1 駆動基板
1a 第1の突出部
1b 第2の突出部
1sa 側端面(第3の側端面)
1sb 側端面(第4の側端面)
1t 接続端子
2 ガラス基板
2a 第3の突出部
2b1 第4の突出部
2b2 第5の突出部
2b3 切り欠き
2sa 側端面(第1の側端面)
2sb 側端面(第2の側端面)
2sc 側端面
3 シール材
4 液晶
5 ヒートシンク
5ta 第1の上面
5tb 第2の上面
6 放熱材
7 接着剤
31 注入口
32 封止材
51 凹部
100 液晶表示素子
図1
図2
図3