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特許7521468無線通信システム、本体装置、及び端末装置並びに無線通信システムにおける通信制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】無線通信システム、本体装置、及び端末装置並びに無線通信システムにおける通信制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 76/30 20180101AFI20240717BHJP
   H04M 1/00 20060101ALI20240717BHJP
   H04M 1/73 20060101ALI20240717BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20240717BHJP
   H04W 8/00 20090101ALI20240717BHJP
   H04W 76/10 20180101ALI20240717BHJP
   H04W 84/10 20090101ALI20240717BHJP
   H04W 92/08 20090101ALI20240717BHJP
【FI】
H04W76/30
H04M1/00 U
H04M1/73
H04Q9/00 301D
H04W8/00 110
H04W76/10
H04W84/10 110
H04W92/08 110
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021043870
(22)【出願日】2021-03-17
(65)【公開番号】P2022143389
(43)【公開日】2022-10-03
【審査請求日】2023-05-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】小塩 智弘
【審査官】▲高▼木 裕子
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-231158(JP,A)
【文献】特開2020-120306(JP,A)
【文献】特開2016-134770(JP,A)
【文献】特開2020-031448(JP,A)
【文献】特開2019-110470(JP,A)
【文献】特開2019-041210(JP,A)
【文献】特開2016-163249(JP,A)
【文献】特開2012-209765(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
H04Q 9/00
H04M 1/00
H04M 1/73
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の無線通信規格に従って互いに通信可能な、第1の通信モジュールと第2の通信モジュールとを備える無線通信システムであって、
前記第1の通信モジュールは、対象エリアにおけるユーザの存在又は不在を示す信号を出力する第1のセンサを備え、
前記第1の通信モジュールは、前記第2の通信モジュールとの間で第1の接続を確立した接続状態において、前記第1のセンサにより前記ユーザの不在を示す信号が出力される場合に、前記第2の通信モジュールとの間の前記第1の接続を切断するように制御を行
前記第2の通信モジュールは、前記第1の通信モジュールにより前記第1の接続が切断された場合に、前記第1の通信モジュールとの間の同期通信の頻度を示す値を、第1の値から前記第1の値よりも低い第2の値に変更する、
無線通信システム。
【請求項2】
前記第2の通信モジュールは、前記第1の通信モジュールにより前記第1の接続が切断された場合に、該切断の時点から所定の時間が経過後に、前記第1の通信モジュールとの間の同期通信を停止する、
請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記第1の通信モジュールは、前記第1の接続が切断された非接続状態において、前記第1のセンサにより前記ユーザの存在を示す信号が出力される場合に、前記第2の通信モジュールとの間で第2の接続を確立するように制御を行う、
請求項2に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記第1の通信モジュールは、
前記第1の接続を確立する際に、前記第2の通信モジュールから該第2の通信モジュールのボンディング情報を取得し、
前記第2の接続を確立する際に、取得した前記ボンディング情報に従って、前記第2の通信モジュールに対してコネクション要求を送信する、
請求項3に記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記第2の通信モジュールは、第2のセンサを備え、
前記第2の通信モジュールは、前記第2のセンサにより所定のアクティブ信号が出力される場合に、前記第1の通信モジュールとの前記第2の接続を確立するように動作する、
請求項3又は4に記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記第2のセンサは、前記ユーザの操作に応じて前記所定のアクティブ信号を出力する、
請求項5に記載の無線通信システム。
【請求項7】
前記第1の通信モジュールは、前記第1の接続が切断された非接続状態において、前記第2の通信モジュールとの間で、前記第2の値で前記同期通信を実行する第2の接続を確立するように制御を行う、
請求項に記載の無線通信システム。
【請求項8】
前記第1の通信モジュールは、前記第2の接続が確立した接続状態において、前記第1のセンサにより前記ユーザの存在を示す信号が出力される場合に、前記第2の接続を切断する、
請求項に記載の無線通信システム。
【請求項9】
前記第2の通信モジュールは、前記第1の通信モジュールにより前記第2の接続が切断された場合に、前記第2の通信モジュールとの間で行う前記頻度を示す値を、前記第2の値から前記第1の値に変更する、
請求項に記載の無線通信システム。
【請求項10】
前記第1の通信モジュールは、前記第2の接続が切断された非接続状態において、前記第2の通信モジュールとの間で、前記第1の値で前記同期通信を実行する第3の接続を確立するように制御を行う、
請求項に記載の無線通信システム。
【請求項11】
前記第2の通信モジュールは、前記第2の値に変更された時点から所定の時間が経過後に、前記第1の通信モジュールとの間の前記同期通信を停止する、
請求項に記載の無線通信システム。
【請求項12】
前記第1のセンサは、赤外線センサ、超音波センサ、及び可視光センサの少なくともいずれかからなる人感センサである、
請求項1から11のいずれか一項に記載の無線通信システム。
【請求項13】
前記所定の無線通信規格は、Bluetooth Low Energy(BLE)であり、
前記第1の通信モジュールは、前記BLEにおけるセントラルとして動作し、
前記第2の通信モジュールは、前記BLEにおけるペリフェラルとして動作する、
請求項1から12のいずれか一項に記載の無線通信システム。
【請求項14】
ユーザの操作端末装置によって遠隔的に操作される本体装置であって、
制御ボードと、
対象エリアにおける前記ユーザの存在を示す信号又は前記ユーザの不在を示す信号を前記制御ボードに出力するセンサと、
前記制御ボードの制御の下、所定の無線通信規格に従って、前記操作端末装置との間で同期通信を行うための通信モジュールと、を備え、
前記制御ボードは、
前記本体装置と前記操作端末装置とが第1の接続を確立した接続状態において、前記本体装置に設けられたセンサにより前記ユーザの不在を示す信号が出力される場合に、前記第1の接続を切断するように前記通信モジュールを制御し、
前記第1の接続が非接続状態で前記操作端末装置において前記通信モジュールとの間の同期通信の頻度を示す値が第1の値から前記第1の値よりも低い第2の値に変更され、前記操作端末装置との間で、前記第2の値で前記同期通信を実行する第2の接続を確立するように制御を行う、
本体装置。
【請求項15】
ユーザが本体装置を遠隔的に操作するための操作端末装置であって、
制御部と、
前記制御部の制御の下、所定の無線通信規格に従って、前記本体装置との間で同期通信を行うための通信モジュールと、
前記ユーザの操作を検出して所定のアクティブ信号を前記制御部に出力するセンサと、を備え、
前記制御部は、
前記本体装置と前記操作端末装置とが第1の接続を確立した接続状態において、前記本体装置に設けられたセンサにより対象エリアにおいて前記ユーザが不在の場合に出力される信号に従って前記本体装置により前記第1の接続が切断された場合に、前記通信モジュールとの間の同期通信の頻度を示す値を第1の値から前記第1の値よりも低い第2の値に変更し、前記切断の時点から所定の時間が経過後に、前記通信モジュールの動作を停止するように制御を行い、
前記操作端末装置の前記センサにより前記所定のアクティブ信号が出力される場合に、停止している前記通信モジュールの動作を再開させ、前記本体装置との第2の接続を確立するように制御を行う、
操作端末装置。
【請求項16】
所定の無線通信規格に従って互いに通信可能な、第1の通信モジュールと第2の通信モジュールとを備える無線通信システムにおける通信制御方法であって、
前記第1の通信モジュールは、対象エリアにおけるユーザの存在又は不在を示す信号出力する第1のセンサを備え、
前記通信制御方法は、
前記第1の通信モジュールと前記第2の通信モジュールとの間で同期通信をするために第1の接続を確立することと、
前記第1の接続が確立された接続状態において、前記第1のセンサにより前記ユーザの不在を示す信号が出力される場合に、前記第1の通信モジュールと前記第2の通信モジュールとの間の前記第1の接続を切断するように制御を行うことと、
前記第1の接続が切断された場合に、前記第1の通信モジュールと前記第2の通信モジュールとの間の同期通信の頻度を示す値を、第1の値から前記第1の値よりも低い第2の値に変更することと、を含む、
通信制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システム、本体装置、及び端末装置並びに無線通信システムにおける通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルデバイス間の近距離無線通信規格として、Bluetooth(登録商標)が広く普及している。また、このBluetooth(登録商標)の規格の一部であるBluetooth Low Energy(以下「BLE」という。)は、低消費電力及び低コスト化に特化した規格である。
【0003】
BLE規格では、BLEデバイスがセントラル又はペリフェラルのいずれかの役割で通信を行う。セントラル(「マスタ」と呼ばれることもある)として動作するセントラル機器は、通信の制御を行う役割を担い、ペリフェラル(「スレーブ」と呼ばれることもある)として動作するペリフェラル機器は、セントラル機器から送信される要求に応答することにより通信を実現する。例えば、下記特許文献1は、BLE規格に従って無線通信が可能な複数の装置を含む無線通信システムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-127238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
BLE規格では、セントラル機器とペリフェラル機器との間の接続が確立すると、これら接続状態にあるセントラル機器とペリフェラル機器との間で、コネクションイベントと呼ばれる同期通信に関する処理が所定の時間間隔(コネクションインターバル)で行われる。したがって、低消費電力化を謳うBLE規格といえども、このような同期通信は、当該デジタルデバイスがバッテリ駆動の場合、その消費を早める。
【0006】
ところで、赤外線通信方式を採用した従前の無線通信システムには、ユーザの操作端末装置から本体装置への片方向通信のものがある。例えば、テレビ装置や空気調和機(いわゆるエアコン)には、操作端末装置としてのリモートコントローラ(いわゆるリモコン)が付属しており、当該リモコンはユーザの操作があったときのみ赤外線通信により本体装置に制御信号を出力する。従ってこのような従前の赤外線通信方式による無線通信システムは、BLE規格に比較して消費電力が少なく、端末装置のバッテリ寿命は実用的に十分に耐え得る。
【0007】
以上より、BLE規格をリモコンと本体装置間の無線通信システムに採用した場合、ペリフェラル機器であるリモコンのバッテリ寿命は、赤外線無線通信方式のリモコンのバッテリ寿命に比較して短くなってしまうという問題がある。バッテリ交換が頻繁に発生すると、交換作業の煩わしさや交換費用が増加するため、製品自体の訴求力を阻害する要因となり得る。
【0008】
そこで、本発明は、本体装置と操作端末装置との間で無線通信を行う無線通信システムにおいて、操作端末装置の消費電力を抑制することを目的とする。
【0009】
より具体的には、本発明は、BLE規格に従ってセントラル機器との間で無線通信を行うバッテリ駆動型のペリフェラル機器の消費電力を抑制し、もって、ペリフェラル機器のバッテリの交換頻度を減らし、使い勝手の良い(ユーザビリティの高い)ペリフェラル機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための本発明は、以下に示す発明特定事項又は技術的特徴を含んで構成される。
【0011】
すなわち、ある観点に従う本発明は、所定の無線通信規格に従って互いに通信可能な、第1の通信モジュールと第2の通信モジュールとを備える無線通信システムである。第1の通信モジュールは、対象エリアにおけるユーザの存在又は不在を示す信号を出力する第1のセンサを備える。第1の通信モジュールは、第2の通信モジュールとの間で第1の接続を確立した接続状態において、第1のセンサによりユーザの不在を示す信号が出力される場合に、第2の通信モジュールとの間の第1の接続を切断するように制御を行う。
【0012】
また、ある観点に従う本発明は、ユーザの操作端末装置によって遠隔的に操作される本体装置である。本体装置は、制御ボードと、対象エリアにおけるユーザの存在又は不在を示す信号を制御ボードに出力するセンサと、制御ボードの制御の下、所定の無線通信規格に従って、操作端末装置との間で同期通信を行うための通信モジュールと、を備える。制御ボードは、本体装置と操作端末装置とが第1の接続を確立した接続状態において、本体装置に設けられたセンサによりユーザの不在を示す信号が出力される場合に、第1の接続を切断するように通信モジュールを制御する。
【0013】
また、ある観点に従う本発明は、ユーザが本体装置を遠隔的に操作するための操作端末装置である。操作端末装置は、制御部と、制御部の制御の下、所定の無線通信規格に従って、本体装置との間で同期通信を行うための通信モジュールと、ユーザの操作を検出して所定のアクティブ信号を制御部に出力するセンサと、を備える。制御部は、本体装置と操作端末装置とが第1の接続を確立した接続状態において、本体装置に設けられたセンサにより対象エリアにおいてユーザが不在の場合に出力される信号に従って本体装置により第1の接続が切断された場合に、切断の時点から所定の時間(例えば30秒)の経過後に、通信モジュールの動作を停止するように制御を行う。また、制御部は、操作端末装置のセンサにより所定のアクティブ信号が出力される場合に、停止している通信モジュールの動作を再開させ、本体装置との第2の接続を確立するように制御を行う。
【0014】
また、ある観点に従う本発明は、所定の無線通信規格に従って互いに通信可能な、第1の通信モジュールと第2の通信モジュールとを備える無線通信システムにおける通信制御方法である。第1の通信モジュールは、対象エリアにおけるユーザの存在又は不在を示す信号を出力する第1のセンサを備える。そして、通信制御方法は、第1の通信モジュールと第2の通信モジュールとの間で同期通信をするために第1の接続を確立することと、第1の接続が確立された接続状態において、第1のセンサによりユーザの不在を示す信号が出力される場合に、第1の通信モジュールと第2の通信モジュールとの間の第1の接続を切断するように制御を行うことと、を含む。
【0015】
なお、本明細書等において、「システム」とは、複数の装置(又は特定の機能を実現する機能モジュール)が論理的に集合した物のことをいい、各装置や機能モジュールが単一の筐体内にあるか否かは特に問わない。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、セントラル機器とペリフェラル機器との間でBLE規格に従って通信を行う通信システムにおいて、ペリフェラル機器の消費電力を抑制することができる。とりわけ、バッテリ駆動型のペリフェラル機器では、消費電力の抑制により、バッテリの交換頻度が減り、これにより、交換作業に対するユーザの手間を減らし、また、環境負荷への影響も抑制できる。
【0017】
本発明の他の技術的特徴、目的、及び作用効果又は利点は、添付した図面を参照して説明される以下の実施形態により明らかにされる。本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、また他の効果があっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る無線通信システムが適用される空気調和システムの構成の一例を示すブロックダイアグラムである。
図2図2は、本発明の一実施形態に係る空気調和システムにおける室内機の機能的構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、本発明の一実施形態に係る空気調和システムにおける操作端末装置の機能的構成の一例を示すブロックダイアグラムである。
図4図4は、本発明の一実施形態に係る空気調和システムにおける端末装置の外観構成の一例を示す図である。
図5図5は、本発明の一実施形態に係る空気調和システム1の概略動作の一例を説明するためのシーケンスチャートである。
図6図6は、本発明の一実施形態に係る空気調和システム1における室内機の動作を説明するためのフローチャートである。
図7図7は、本発明の一実施形態に係る空気調和システム1における操作端末装置の動作を説明するためのフローチャートである。
図8図8は、本発明の一実施形態に係る空気調和システム1における室内機の動作を説明するためのフローチャートである。
図9図9は、本発明の一実施形態に係る空気調和システム1における操作端末装置の動作を説明するためのフローチャートである。
図10A図10Aは、本発明の一実施形態に係る空気調和システム1の概略動作の一例を説明するためのシーケンスチャートである。
図10B図10Bは、本発明の一実施形態に係る空気調和システム1の概略動作の一例を説明するためのシーケンスチャートである。
図11図11は、本発明の一実施形態に係る空気調和システム1における室内機の動作を説明するためのフローチャートである。
図12図12は、本発明の一実施形態に係る空気調和システム1における操作端末装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形(例えば各実施形態を組み合わせる等)して実施することができる。また、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付して表している。図面は模式的なものであり、必ずしも実際の寸法や比率等とは一致しない。図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることがある。
【0020】
[第1の実施形態]
本実施形態は、本体装置と操作端末装置との間の無線通信システムにおいて、本体装置が、対象エリア内にユーザが存在しないことを検出すると、操作端末装置との間の接続(無線通信)を切断し、これにより、操作端末装置は、必要最小限のコンポーネントのみを動作状態にして、通信モジュール等の他のコンポーネントを停止状態にすることを特徴とする。また、対象エリア内にユーザが存在することが検出されると、本体装置と操作端末装置とは接続を再確立する。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態に係る無線通信システムが適用される空気調和システムの構成の一例を示すブロックダイアグラムである。同図に示すように、空気調和システム1は、例えば、空気調和機の室内機2と、室内機2を遠隔的に操作可能な操作端末装置3とを備える。また、図示しないが、空気調和システム1は、室内機2に電気配線及び冷媒配管によって接続された室外機を含む。
【0022】
室内機2は、例えば室内に配置され、室内の空気を調和する空気調和システムの一部である。室内機2は、熱交換器やファンを備え、熱交換器により冷媒と室内空気との間で熱交換を行い適切な温度及び湿度に調節された空気をファンにより室内に送出することで、室内の暖房、冷房、除湿等を行う。本開示において、室内機2は、操作端末装置3との関係において、本体装置とも称される。
【0023】
操作端末装置3は、ユーザが室内機2を遠隔的に操作するためのユーザインターフェースデバイスであり、リモートコントローラ(いわゆる「リモコン」)とも称される。操作端末装置3は、据置型であっても良いし、これに限られず、手持ち型であっても良い。
【0024】
無線通信システム10は、室内機2と操作端末装置3との間での無線通信を実現するためのシステムである。無線通信システム10は、室内機2及び操作端末装置3のそれぞれに組み込まれる一対の通信モジュールから構成される。本開示において、室内機2に組み込まれる通信モジュールは第1の通信モジュール24に相当し、操作端末装置3に組み込まれる通信モジュールは第2の通信モジュール35に相当する。BLE(Bluetooth Low Energy)規格でいうセントラルは、第1の通信モジュール24の一態様であり、また、ペリフェラルは、第2の通信モジュール35の一態様である。本開示では、無線通信システム10は、BLE規格に従った無線通信を実現するシステムであるものとする。
【0025】
図2は、本発明の一実施形態に係る空気調和システムにおける室内機の機能的構成の一例を示すブロック図である。同図に示すように、室内機2は、例えば、制御ボード21と、空気調和機構22と、センサ23と、通信モジュールとしての第1の通信モジュール24とを含む。
【0026】
制御ボード21は、室内機2の動作を統括的に制御するためのプロセッサ(マイクロコンピュータ)211、メモリ212、外部インターフェース213等を含み構成される制御回路である。メモリ212は、例えば組み込み型制御プログラム及び各種の設定データ等を記憶する。制御ボード21は、例えば、ユーザによる操作端末装置3の操作の下、運転モード(例えば、冷房運転、暖房運転、除湿運転等)を切り替えるように、室内機2を制御する。外部インターフェース213は、制御ボード21と、空気調和機構22、センサ23、及び第1の通信モジュール24とを接続するインターフェース回路である。
【0027】
空気調和機構22は、室内機2のうち、熱交換器、コンプレッサ、ファン、ルーバー等からなる機構系の構成物である。空気調和機構22は、制御ボード21からの制御を受け、こうして室内機2は室外機との協働により、熱交換器において冷媒と室内空気との間で熱交換を行い、適切な温度及び湿度に調節された空気を室内に吹き出す。
【0028】
センサ23は、空気調和システム1の動作を適切に保つために、各種の物理量を検出する素子である。センサ23は、例えば、各種の環境センサを含み構成される。同図では、温度センサ23a及び湿度センサ23bが示されている。本開示では、センサ23は、更に、人感センサ23cを含む。人感センサ23cは、対象エリアにおけるユーザの存在又は不在に応じた信号を出力する。人感センサ23cは、例えば焦電型の赤外線センサである。本開示において、人感センサ23cは、第1のセンサの一態様である。
【0029】
第1の通信モジュール24は、操作端末装置3の第2の通信モジュール35との間で無線通信を実現するための通信インターフェース回路である。上述のとおり、第1の通信モジュール24は、BLE(Bluetooth Low Energy)規格でいうセントラルとして機能する。
【0030】
図3は、本発明の一実施形態に係る空気調和システムにおける操作端末装置の機能的構成の一例を示すブロックダイアグラムである。同図に示すように、操作端末装置3は、例えば、制御部31と、記憶部32と、ユーザインターフェース部33と、センサ34と、第2の通信モジュール35といったコンポーネントを備える。
【0031】
制御部31は、操作端末装置3の動作を統括的に制御する。制御部31は、例えば、プロセッサを含み構成される。また、記憶部32は、制御部31の利用に供されるメモリモジュールであり、例えば組み込み型制御プログラムや各種の設定データ等を記憶する。制御部31は、操作端末装置3を通常モード及びスリープモードのいずれかで動作するように制御する。スリープモードは、例えば、制御部31の一部及びセンサ34といった動作に必要な最小限のコンポーネントへ電力を供給して、それらを動作状態にする一方、ユーザインターフェース部33や第2の通信モジュール35といった他のコンポーネントへは電力の供給を停止し、それらを停止状態にするモードである。また、制御部31のプロセッサの動作周波数が低くなるよう変更されても良い。これにより、操作端末装置3全体の消費電力を抑制することができる。なお、スリープモードは、待機モードや省電力モードと称されることもあるが、その名称は拘らない。
【0032】
ユーザインターフェース部33は、制御部31による制御の下、ユーザにインタラクティブな操作を提供するユーザインターフェースを実現する。ユーザインターフェース部33は、例えば、タッチパネルであり得る。また、ユーザインターフェース部33は、音声ガイダンス等を発するためのスピーカやユーザによる音声コマンド等を集音するマイク等を含んでいても良い。
【0033】
センサ34は、対象物(ここではユーザ)が接近又は操作したことを検出する操作センサである。本開示において、操作センサは、第2のセンサの一態様である。センサ34は、ユーザがセンサ34の前方で手をかざしたり、ジェスチャーをしたりすることで、アクティブ信号を制御部31に出力する。センサ34は、例えば赤外線センサであるが、これに限られない。他の例として、センサ34は、ユーザが直接的に触れることでアクティブ信号を出力する接触センサであり得る。更に他の例として、センサ34は、加速度センサであり得る。このような加速度センサは、ユーザが操作端末装置3を手にすることを検出して、アクティブ信号を出力する。或いは、センサ34は、このようなユーザの能動的な動きを検出するのでなく、ユーザが近づいた場合に、アクティブ信号を制御部31に出力しても良い。なお、センサ34は、ユーザの操作を検出するものであるから、ユーザインターフェース部33の一部とみなすこともできるが、本開示では、ユーザインターフェース部33とセンサ34とは分けて説明している。
【0034】
第2の通信モジュール35は、室内機2との間で無線通信を実現するための通信インターフェース回路である。上述のとおり、第2の通信モジュール35は、BLE規格でのペリフェラルとして機能する。
【0035】
図4は、本発明の一実施形態に係る空気調和システムにおける操作端末装置3の外観構成の一例を示す図である。同図に示すように、操作端末装置3は、筐体301の上面に、ユーザインターフェース部33が設けられた形状を有している。
【0036】
筐体301は、操作端末装置3の略外観を規定し、例えば、ABS等の樹脂材料により形成される。本例では、筐体301は、略円筒状の形状を有し、ユーザインターフェース部33が形成された上面301aは、手前(正面)から奥(背面)に向けて僅かに傾斜している。
【0037】
ユーザは、例えば、スリープモードにある操作端末装置3に対して、センサ34上で手をかざすことにより、制御部31は、これを検出して、操作端末装置3の動作モードをスリープモードから通常モードに切り替える。通常モードにある操作端末装置3は、ユーザによるユーザインターフェース部33への各種の操作を受け付けて、これにより、室内機2を遠隔的に操作する。
【0038】
図5は、本発明の一実施形態に係る空気調和システム1の概略動作の一例を説明するためのシーケンスチャートである。具体的には、同図は、空気調和システム1における無線通信システム10の動作を説明している。同図において、室内機2の処理は、制御ボード21のプロセッサが制御プログラムを実行することにより、他のコンポーネントと協働して、実現される一方、操作端末装置3の処理は、制御部31のプロセッサが制御プログラムを実行することにより他のコンポーネントと協働して、実現される。
【0039】
同図に示すように、室内機2及び操作端末装置3は、それぞれ、例えば電源ON等により起動されると、所定の初期化処理を行う(S501A及びS501B)。初期化処理は、例えば、以下に述べるペアリングに関する各種のパラメータの初期化を含む。BLE規格において、多数のパラメータが定義されているが、本開示に関係するものとしては、例えば、コネクションインターバル、コネクションスレーブレイテンシー(以下「スレーブレイテンシー」という。)、コネクションスーパービジョンタイムアウト(以下「タイムアウト」という。)等が挙げられる。コネクションインターバルは、コネクションイベントと呼ばれるデータパケットの送受信の時間間隔であり、また、チャネルのホッピングが行われる周期を示す。スレーブレイテンシーは、ペリフェラル機器において送信すべきデータパケットがない場合に、ペリフェラル機器がコネクションイベントを無視できる回数から算出される時間を示す。この時間は、例えばコネクションイベントの発生間隔が20msの場合、それに前述の回数を乗じたものとなる。つまり、スレーブレイテンシーの値を大きくすることで、データパケットの送信遅延時間は増えるが、ペリフェラル機器は、接続状態を維持したままで無線通信に要する消費電力を抑制できる。タイムアウトは、通信が切断したと判断する時間である。室内機2及び操作端末装置3がそれぞれ起動した後、ユーザは、室内機2と操作端末装置3との間の無線通信を確立するために、ペアリングの指示を行う。これを受けて、室内機2及び操作端末装置3は、ペアリング処理を実行する(S502A及びS502B)。
【0040】
ペアリングでは、概略的には、まず、室内機2の第1の通信モジュール24は、スキャナとして機能して、操作端末装置3の第2の通信モジュール35を発見するために、スキャニングを行う一方、第2の通信モジュール35は、アドバタイザとして機能して、アドバタイジングを行う。つまり、第2の通信モジュール35は、アドバタイジングにより、特定の周波数帯においてチャネルを切り替えながらデータパケット(アドバタイジングパケット)を送信し、第1の通信モジュール24は、該データパケットを受信することで、第2の通信モジュール35を発見する。
【0041】
第1の通信モジュール24は、第2の通信モジュール35を発見すると、次に、イニシエータとして機能して、コネクション要求を第2の通信モジュール35に送信し、第2の通信モジュール35は、該コネクション要求に応答する。また、第1の通信モジュール24は、ペアリングにおいて取得した第2の通信モジュール35のデバイスアドレス等のボンディング情報を、制御ボード21の制御の下、メモリ212に格納する一方、第2の通信モジュール35は、第1の通信モジュール24のデバイスアドレス等のボンディング情報を、制御部31の制御の下、記憶部32に格納する。デバイスアドレスは、BLEデバイスを識別するために割り当てられた識別子である。これにより、第1の通信モジュール24と第2の通信モジュール35との間のペアリングは完了し、第1の通信モジュール24と第2の通信モジュール35とは無線通信が確立する(すなわち、接続状態となる)。ペアリングにより、第1の通信モジュール24はセントラルとして機能する一方、第2の通信モジュール35はペリフェラルとして機能する。
【0042】
接続状態にある第1の通信モジュール24と第2の通信モジュール35とは、コネクションインターバルでコネクションイベントと呼ばれるデータパケットの交換を行うことで、双方向の同期通信が可能になる(S503)。例えば、ユーザは、操作端末装置3のユーザインターフェース部33を操作して、室内機2に運転開始(例えば暖房ON)を指示すると、操作端末装置3は、制御部31の制御の下、第1の通信モジュール24から室内機2の第2の通信モジュール35に運転開始コマンドを送信し、これを受けて、室内機2は、制御ボード21の制御の下、運転を開始する。
【0043】
室内機2は、制御ボード21の制御の下、人感センサ23cによりユーザが在室(対象エリア内(例えば室内全体や室内の特定範囲)に存在)しているか否かを監視している。人感センサ23cによる監視は、室内機2の運転中及び待機中のいずれで行われても良い。例えば、人感センサ23cは、対象エリア内にユーザを検出している場合には、ユーザの存在を示す信号(例えば信号レベル「H」)を制御ボード21に出力し、ユーザを検出できない場合には、ユーザの不在を示す信号(例えば信号レベル「L」)を制御ボード21に出力する。
【0044】
今、ユーザが、室内機2が設置された室内から退出したとする。人感センサ23cは、室内の対象エリア内にユーザの存在を検出できないため、ユーザの不在を示す信号の出力を開始する(S504A)。これにより、制御ボード21は、ユーザが不在であると判断し、第1の通信モジュール24と第2の通信モジュール35との間の接続を切断するように制御を行う(S505A)。すなわち、第1の通信モジュール24は、コネクションインターバルでのコネクションイベントによるデータパケットの送信を停止する。
【0045】
第2の通信モジュール35は、コネクションイベントによるデータパケットを受信できないため、接続が切断したと判断し(S504B)、第1の通信モジュール24との接続の確立を試みるために、アドバタイジングを開始する(S505B)。制御部31は、第2の通信モジュール35が一定期間内にコネクション要求に応答できなかった場合、アドバタイジングに対して第2の通信モジュール35が発見されなかったと判断して、スリープモードに移行する(S506B)。すなわち、制御部31は、制御部31の一部及びセンサ34以外のコンポーネントへの電力の供給を停止するように制御する。これにより、操作端末装置3全体の消費電力を抑制することができる。とりわけ、本開示では、第2の通信モジュール35への電力の供給は停止され、BLE規格の下で無線通信に伴う消費電力を完全又はほぼ完全に抑制することができる。
【0046】
その後、ユーザが、室内に入ってきたとする。人感センサ23cは、対象エリア内のユーザを検出し、ユーザの存在を示す信号を出力する(S506A)。これにより、制御ボード21は、ユーザが存在すると判断し、第1の通信モジュール24に第2の通信モジュール35との接続を再確立させるように制御を行う(S507A)。すなわち、第1の通信モジュール24は、メモリ212に格納されているボンディング情報のデバイスアドレスが示す第2の通信モジュール35との間でペアリングを開始する。
【0047】
一方、室内に入ってきたユーザは、室内機2を操作するために、操作端末装置3のセンサ34上で例えば手をかざす。これにより、センサ34は、アクティブ信号を制御部31に出力し、制御部31は、ユーザの操作があったことを検出する(S507B)。制御部31は、ユーザの操作を検出すると、操作端末装置3をスリープモードから通常モードに移行させ、停止していたコンポーネントに電力が供給されるように制御して、その動作を再開させる。動作を再開した第2の通信モジュール35は、接続の再確立を試みるために、記憶部32に格納されているボンディング情報のデバイスアドレスが示す第1の通信モジュール24との間でペアリングを開始する(S508B)。すなわち、スリープモードにより電力の供給が停止されていた第2の通信モジュール35は、通常モードの移行により、電力の供給が再開され、動作を再開する。
【0048】
第1の通信モジュール24は、上述したように、スキャニングにより第2の通信モジュール35を発見すると、第2の通信モジュール35にコネクション要求を送信し、第2の通信モジュール35がこれに応答することにより、接続状態となる。これにより、第1の通信モジュール24と第2の通信モジュール35とは、コネクションイベントによる同期通信が可能になる(S509)。
【0049】
図6は、本発明の一実施形態に係る空気調和システム1における室内機の動作を説明するためのフローチャートである。具体的には、同図は、図5に示した室内機2の第1の通信モジュール24による初回のペアリング処理(S502A)を説明するためのフローチャートである。
【0050】
同図を参照して、まず、室内機2は電源が投入され又はリセットボタンが押下されることにより起動し、制御ボード21の制御の下、第1の通信モジュール24は、上述したように各種のパラメータの初期化処理を行う(S601)。例えば、第1の通信モジュール24は、コネクションインターバル、スレーブレイテンシー、及びタイムアウト等のパラメータの値をメモリ212に記憶されている初期値に設定する。初期値は空気調和システム1の設計時に実験等により予め定められ、メモリ212に記憶されている。
【0051】
次に、第1の通信モジュール24は、制御ボード21の制御の下、例えば室内機2に設けられた操作端末装置3とペアリングを開始するための特定のボタンの押下、すなわちペアリング操作があった場合(S602のYes)、スキャニングを開始する(S603)。スキャニングは、特定の周波数帯(例えば2.4GHz帯)においてアドバタイジングチャネルを切り替えながらアドバタイジングパケットの受信を試みる。
【0052】
第1の通信モジュール24は、スキャニングの間、操作端末装置3の第2の通信モジュール35によるアドバタイジングパケットを受信したか否かを監視する(S604)。第1の通信モジュール24は、アドバタイジングパケットを受信すると(S604のYes)、コネクションの要求処理を行う(S605)。すなわち、第1の通信モジュール24は、アドバタイジングパケットを送信した第2の通信モジュール35に対して、コネクション要求を送信する。コネクション要求には、例えば、第1の通信モジュール24のデバイスアドレス、アクセスアドレス、ホッピング、コネクションインターバル、スレーブレイテンシー、及びタイムアウト等の各種のパラメータを含む。
【0053】
第1の通信モジュール24は、コネクション要求に対する第2の通信モジュール35からの応答を受けて、受信した第2の通信モジュール35のデバイスアドレス等のパラメータをボンディング情報としてメモリ212に格納する(S606)。これにより、第1の通信モジュール24と第2の通信モジュール35とは接続状態となる。すなわち、第1の通信モジュール24と第2の通信モジュール35とは、所定の時間間隔(コネクションインターバル=例えば500ms)で行われるコネクションイベントにより同期通信が可能になる。
【0054】
図7は、本発明の一実施形態に係る空気調和システム1における操作端末装置3の動作を説明するためのフローチャートである。具体的には、同図は、図5に示した操作端末装置3の第2の通信モジュール35による初回のペアリング処理(S502B)を説明するためのフローチャートである。
【0055】
同図を参照して、操作端末装置3はバッテリが装置にセットされ又はリセットボタンが押下されることにより起動し、制御部31の制御の下、第2の通信モジュール35は、初期化処理を行う(S701)。例えば、第2の通信モジュール35は、コネクションインターバル、スレーブレイテンシー、及びタイムアウト等のパラメータの値を記憶部32に記憶されている初期値に設定する。初期値は空気調和システム1の設計時に実験等により予め定められ、記憶部32に記憶されている。
【0056】
次に、第2の通信モジュール35は、制御部31の制御の下、ペアリング操作があったか否かを監視する(S702)。第2の通信モジュール35は、ペアリング操作があったと判断される場合(S702のYes)、アドバタイジングを開始する(S703)。アドバタイジングは、特定の周波数帯(例えば2.4GHz帯)において、所定の時間間隔でアドバタイジングチャネルを切り替えながら、アドバタイジングパケットを送信する。
【0057】
続いて、第2の通信モジュール35は、タイムアウトで示される期間(例えば3秒)内に、第1の通信モジュール24からコネクション要求があったか否かを監視する(S704及びS705)。第2の通信モジュール35は、タイムアウトで示される期間内に、第1の通信モジュール24からコネクション要求を受信できなかったと判断する場合(S705のYes)、今回のペアリング操作による処理を無効にして、再度、ペアリング操作があったか否かを監視する(S702)。
【0058】
一方、第2の通信モジュール35は、タイムアウトで示される期間内に、第1の通信モジュール24からコネクション要求を受信したと判断する場合(S704のYes)、該コネクション要求に応答するために、自身のパラメータを第1の通信モジュール24に送信する(S706)。続いて、第2の通信モジュール35は、受信したコネクション要求に含まれるパラメータを第1の通信モジュール24とのボンディング情報として記憶部32に格納する。これにより、第1の通信モジュール24と第2の通信モジュール35とは接続状態となり、同期通信が可能になる。
【0059】
図8は、本発明の一実施形態に係る空気調和システム1における室内機の動作を説明するためのフローチャートである。具体的には、同図は、図5に示した室内機2によるユーザ検出に関わる処理を説明するためのフローチャートである。
【0060】
同図に示すように、室内機2は、制御ボード21の制御の下、人感センサ23cにより、対象エリア内のユーザの存在又は不在の状態を監視する(S801)。すなわち、人感センサ23cは、対象エリア内にユーザを検出している間、ユーザの存在を示す信号を制御ボード21に出力し、ユーザを検出できない場合には、ユーザの不在を示す信号を制御ボード21に出力する。
【0061】
ユーザが室内から退出し、これにより、制御ボード21は、人感センサ23cからユーザの不在を示す信号を受信すると(S801のNo)、操作端末装置3との通信接続を切断するように第1の通信モジュール24を制御する(S802)。これにより、第1の通信モジュール24と第2の通信モジュール35との間でのコネクションイベントが行われなくなり、第1の通信モジュール24と第2の通信モジュール35とは、非接続状態になる。
【0062】
室内機2は、非接続状態においても、制御ボード21の制御の下、人感センサ23cにより、対象エリア内のユーザの存在又は不在の状態を継続的に監視する(S803)。制御ボード21は、ユーザが室内に戻り、これにより、人感センサ23cからユーザの存在を示す信号を受信すると(S803のYes)、操作端末装置3との通信接続を再確立するために、スキャニングを開始する(S804)。
【0063】
第1の通信モジュール24は、スキャニングの間、第2の通信モジュール35によるアドバタイジングパケットを受信したか否かを監視する(S805)。例えば、室内に戻ってきたユーザがスリープモードにある操作端末装置3を操作することにより、操作端末装置3は通常モードに移行し、アドバタイジングを開始する。第1の通信モジュール24は、第2の通信モジュール35からアドバタイジングパケットを受信すると(S805のYes)、メモリ212に第2の通信モジュール35のボンディング情報が格納されているか否かを判断する(S806)。つまり、第1の通信モジュール24は、受信したアドバタイジングパケット及びボンディング情報に基づいて、アドバタイジングパケットを送信した装置が既にペアリングを行った第2の通信モジュール35であるか否かを判断する。第1の通信モジュール24は、メモリ212に第2の通信モジュール35のボンディング情報が格納されていないと判断する場合(S806のNo)、スキャニングを継続する(S804)。
【0064】
これに対して、第1の通信モジュール24は、メモリ212に第2の通信モジュール35のボンディング情報が格納されていると判断する場合(S806のYes)、アドバタイジングパケットを送信した装置が既にペアリングを行った第2の通信モジュール35であると判断して、ボンディング情報に従ってコネクション要求を送信し、操作端末装置3との通信接続を再確立する(S807)。これにより、第1の通信モジュール24と第2の通信モジュール35とは接続状態となり、同期通信が可能になる。
【0065】
図9は、本発明の一実施形態に係る空気調和システム1における操作端末装置の動作を説明するためのフローチャートである。具体的には、同図は、図5に示した室内機2によるユーザの検出に基づく操作端末装置3の動作を説明するためのフローチャートである。
【0066】
同図に示すように、第2の通信モジュール35は、第1の通信モジュール24との接続状態が維持されている否かを監視する(S901)。すなわち、第2の通信モジュール35は、コネクションインターバルでコネクションイベントによる同期通信が正常に行われているか否かを監視している。第2の通信モジュール35は、操作端末装置3との通信接続が切断されていると判断する場合(S901Yes)、上述したようにアドバタイジングを開始する(S902)。
【0067】
続いて、第2の通信モジュール35は、タイムアウトで示される時間内に、第1の通信モジュール24からコネクション要求があったか否かを監視する(S903及びS904)。第2の通信モジュール35は、タイムアウトで示される期間に、第1の通信モジュール24からコネクション要求を受信できなかったと判断する場合(S904のYes)、制御部31は、操作端末装置3をスリープモードに移行させる(S905)。スリープモードでは、例えば、制御部31の一部、及びセンサ34といった必要最小限のコンポーネントのみが動作する。これにより、BLE規格の下で消費電力を更に抑制することができる。スリープモードへ移行後、制御部31は、センサ34によりユーザの操作を検出するまでで待機する(S906)。例えば、室内に戻ってきたユーザが操作端末装置3のセンサ34の前方で手をかざすことで、センサ34はアクティブ信号を出力し、これを受けて、制御部31は、ユーザの操作があったことを認識する。制御部31は、ユーザの操作を検出したと判断すると(S906のYes)、第2の通信モジュール35の動作を再開させ、アドバタイジングを行う(S902)。
【0068】
一方、第2の通信モジュール35は、タイムアウトで示される期間内に、第1の通信モジュール24からコネクション要求を受信したと判断する場合(S903のYes)、第2の通信モジュール35は、記憶部32にボンディング情報が格納されているか否かを判断する(S907)。第2の通信モジュール35は、記憶部32にボンディング情報が格納されていないと判断する場合(S907のNo)、アドバタイジングチャネルを切り替えて、アドバタイジングを継続する(S902)。
【0069】
第2の通信モジュール35は、記憶部32にボンディング情報が格納されていると判断する場合(S907のYes)、該ボンディング情報に基づいて、コネクション要求に応答し(S908)、これにより、第1の通信モジュール24と第2の通信モジュール35とは接続状態となり、同期通信が可能になる。
【0070】
以上のように、本実施形態によれば、室内機2が、対象エリア内にユーザが存在しないことを検出すると、操作端末装置3との間の接続を切断し、これにより、操作端末装置3は、制御部31の一部、及びセンサ34といった必要最小限のコンポーネントのみを動作状態にして、他のコンポーネントを停止状態にするので、操作端末装置3全体の消費電力を更に抑制することができる。つまり、第1の通信モジュール24と第2の通信モジュール35とは、対象エリア内にユーザが存在しない間、コネクションイベントによる同期通信に伴う消費電力を抑制することができ、第2の通信モジュール35のバッテリの消費を抑制することができる。
【0071】
[第2の実施形態]
本実施形態は、第1の実施形態の変形であり、本体装置と操作端末装置との間の無線通信システムにおいて、本体装置が、対象エリア内にユーザが存在しないことを検出すると、操作端末装置との同期通信の頻度を下げ、その状態で接続を維持することを特徴とする。また、本体装置が、対象エリア内にユーザが存在することを検出すると、操作端末装置との同期通信の頻度を上げる。BLE規格では、このような同期通信の頻度は、スレーブレイテンシーによって規定される。
【0072】
図10A及び10Bは、本発明の一実施形態に係る空気調和システム1の概略動作の一例を説明するためのシーケンスチャートである。
【0073】
図Aに示すように、室内機2及び操作端末装置3は、それぞれ、例えば電源ON等により起動されると、所定の初期化処理を行う(S1001A及びS1001B)。上述したように、初期化処理は、スレーブレイテンシー等といったペアリングに関する各種のパラメータの初期化を含む。続いて、ユーザは、室内機2と操作端末装置3との間の無線通信を確立するために、ペアリング操作を行う。これを受けて、上述したように、室内機2と操作端末装置3とはペアリング処理を実行する(S1002A及びS1002B)。ペアリングにより、室内機2と操作端末装置3とは接続状態となり、同期通信が可能になる(S1003)。
【0074】
今、ユーザが、室内機2が設置された室内から退出したとする。人感センサ23cは、室内の対象エリア内にユーザを検出できないため、ユーザの不在を示す信号を出力する(S1004A)。これにより、制御ボード21は、ユーザが不在であると判断し、第1の通信モジュール24と第2の通信モジュール35との間の無線通信を切断するように制御を行う(S1005A)。すなわち、第1の通信モジュール24は、コネクションインターバルでのコネクションイベントによるデータパケットの送信を停止する。
【0075】
第2の通信モジュール35は、コネクションイベントによるデータパケットの受信ができないため、接続が切断されたと判断し(S1004B)、スレーブレイテンシーを現在の第1の値(初期値)から該第1の値よりも大きな第2の値に変更する(S1005B)。すなわち、第2の通信モジュール35は、スレーブレイテンシーの現在の値を該値よりも大きな値に変更することによって、コネクションイベントによる同期通信の頻度を下げる。続いて、第2の通信モジュール35は、第1の通信モジュール24との接続を再確立するために、ペアリング処理を開始する(S1006B)。すなわち、上述したように、第2の通信モジュール35は、アドバタイザとして機能して、記憶部32に格納されているボンディング情報に基づいて、アドバタイジングを行い、第1の通信モジュール24とのペアリングを行う。
【0076】
一方、第1の通信モジュール24は、コネクションイベントによるデータパケットの送信を停止した時点から所定の期間経過後、第2の通信モジュール35との無線通信が切断されたとみなして、ペアリング処理を開始する(S1006A)。すなわち、上述したように、第1の通信モジュール24は、スキャナとして機能して、第2の通信モジュール35を発見するために、スキャニングを行う。スキャニングにより、第1の通信モジュール24は、第2の通信モジュール35を発見すると、イニシエータとして機能して、コネクション要求を第2の通信モジュール35に送信する。
【0077】
第1の通信モジュール24からのコネクション要求に対して第2の通信モジュール35が応答すると、これにより、第1の通信モジュール24と第2の通信モジュール35との間のペアリングは完了し、第1の通信モジュール24と第2の通信モジュール35とは再度接続状態となる。接続状態にある第1の通信モジュール24と第2の通信モジュール35とは、コネクションインターバルでコネクションイベントと呼ばれるデータパケットの交換を行うことで、双方向の同期通信が可能になる(S1007)。なお、ここでの同期通信では、第2の通信モジュール35は、変更されたスレーブレイテンシーの値に従うことになる。つまり、第2の通信モジュール35は、スレーブレイテンシーの値を大きくしているため、コネクションイベントによる同期通信のための動作回数を減らすことができ、接続状態を維持したままで無線通信の消費電力を抑制することができる。また、スレーブレイテンシーの変更は、例えば所定時間の経過ごとに段階的に変更するようにしても良い。
【0078】
その後、ユーザが、外部から室内に入ってきたとする。同図Bに示すように、人感センサ23cは、室内の対象エリア内でユーザを検出し、ユーザの存在を示す信号を出力する(S1008A)。これにより、制御ボード21は、ユーザが存在すると判断し、無線通信を一旦切断する(S1009A)。すなわち、第1の通信モジュール24は、コネクションインターバルでのコネクションイベントによるデータパケットの送信を停止する。これは、現在のスレーブレイテンシーの値での同期通信に代えて、新しい値で接続を再確立するためである。スレーブレイテンシーの新しい値は、現在の値よりも小さい値(例えば初期値)である。
【0079】
第2の通信モジュール35は、コネクションイベントによるデータパケットの受信ができないため、無線通信が切断されたと判断し(S1008B)、スレーブレイテンシーを現在の第2の値から第1の値に変更する(S1009B)。すなわち、第2の通信モジュール35は、スレーブレイテンシーの現在の値を該値よりも小さな値に変更することによって、コネクションイベントによる同期通信の頻度を通常の状態まで上げる。本例では、スレーブレイテンシーの値を初期値に戻すものとしているが、これに限られない。続いて、第2の通信モジュール35は、第1の通信モジュール24との無線通信を再確立するために、ペアリング処理を開始する(S1010B)。すなわち、第2の通信モジュール35は、アドバタイザとして機能して、記憶部32に格納されたボンディング情報に基づいて、アドバタイジングを行い、第1の通信モジュール24とのペアリングを行う。
【0080】
一方、第1の通信モジュール24は、コネクションイベントによるデータパケットの送信を停止した時点から所定の期間経過後、第2の通信モジュール35との無線通信が切断されたとみなして、ペアリング処理を開始する(S1010A)。すなわち、上述したように、第1の通信モジュール24は、スキャナとして機能して、第2の通信モジュール35を発見するために、スキャニングを行う。スキャニングにより、第1の通信モジュール24は、第2の通信モジュール35を発見すると、イニシエータとして機能して、コネクション要求を第2の通信モジュール35に送信する。
【0081】
第1の通信モジュール24からのコネクション要求に対して第2の通信モジュール35が応答すると、これにより、第1の通信モジュール24と第2の通信モジュール35との間のペアリングは完了し、第1の通信モジュール24と第2の通信モジュール35とは再度接続状態となる。接続状態にある第1の通信モジュール24と第2の通信モジュール35とは、コネクションインターバルでコネクションイベントと呼ばれるデータパケットの交換を行うことで、双方向の同期通信が可能になる(S1011)。このようにスレーブレイテンシーの値を元の値に戻すことにより、データパケットの送信遅延時間を小さくすることができる。
【0082】
図11は、本発明の一実施形態に係る空気調和システム1における室内機2の動作を説明するためのフローチャートである。具体的には、同図は、図10A及び10Bに示した室内機2によるユーザの検出に関わる処理を説明するためのフローチャートである。
【0083】
同図に示すように、室内機2は、制御ボード21の制御の下、人感センサ23cにより、室内の対象エリア内のユーザの存在又は不在の状態を監視する(S1101)。すなわち、人感センサ23cは、対象エリア内にユーザを検出している間、ユーザの存在を示す信号を制御ボード21に出力し、ユーザを検出できない場合には、ユーザの不在を示す信号を制御ボード21に出力する。
【0084】
ユーザが室内から退出し、これにより、制御ボード21は、人感センサ23cからユーザの不在を示す信号を受信すると(S1101のNo)、制御ボード21は、ユーザが不在である旨の通知(以下「ユーザ不在通知」という。)を操作端末装置3に送信するように第1の通信モジュール24を制御する(S1102)。これにより、第1の通信モジュール24は、ユーザ不在通知をコネクションイベントにより第2の通信モジュール35に送信する。ユーザ不在通知を送信するのは、第2の通信モジュール35が、後記する接続の切断が電波状況の悪化等に起因していないことを認識するためである。第1の通信モジュール24は、続いて、スレーブレイテンシーの値を変更するため、接続を一旦切断するように第1の通信モジュール24を制御する(S1103)。これにより、第1の通信モジュール24と第2の通信モジュール35との間でのコネクションイベントが行われなくなり、第1の通信モジュール24と第2の通信モジュール35とは、非接続状態になる。
【0085】
第1の通信モジュール24は、所定の期間経過後、第2の通信モジュール35との接続を再確立するためにペアリング処理を開始する(S1104)。一方で、第2の通信モジュール35は、接続の切断により、スレーブレイテンシーの値を変更して、同様に、ペアリング処理を開始している。これにより、第1の通信モジュール24と第2の通信モジュール35とは接続状態となり、同期通信が可能になる。
【0086】
また、室内機2は、制御ボード21の制御の下、人感センサ23cにより、室内の対象エリア内のユーザの存在又は不在の状態を継続的に監視する(S1105)。制御ボード21は、人感センサ23cからユーザの存在を示す信号を受信すると(S1105のYes)、ユーザが存在する旨の通知(以下「ユーザ存在通知」という。)を操作端末装置3に送信するように第1の通信モジュール24を制御し(S1106)、続いて、スレーブレイテンシーの値を変更するため、接続を一旦切断するように第1の通信モジュール24を制御する(S1107)。これにより、第1の通信モジュール24と第2の通信モジュール35との間でのコネクションイベントが行われなくなり、第1の通信モジュール24と第2の通信モジュール35とは、非接続状態になる。
【0087】
第1の通信モジュール24は、所定の期間経過後、第2の通信モジュール35との接続を再確立するためにペアリング処理を開始する(S1108)。一方で、第2の通信モジュール35は、接続の切断により、スレーブレイテンシーの値を変更して、同様に、ペアリング処理を開始している。これにより、第1の通信モジュール24と第2の通信モジュール35とは接続状態となり、同期通信が可能になる。
【0088】
図12は、本発明の一実施形態に係る空気調和システム1における操作端末装置の動作を説明するためのフローチャートである。具体的には、同図は、図10A及び10Bに示した室内機2によるユーザの検出に基づく操作端末装置3の動作を説明するためのフローチャートである。
【0089】
同図に示すように、第2の通信モジュール35は、第1の通信モジュール24からユーザ不在通知を受信したか否かを監視する(S1201)。第2の通信モジュール35は、ユーザ不在通知を受信したと判断する場合(S1201のYes)、次に、接続が切断したか否かを監視する(S1202)。
【0090】
第2の通信モジュール35は、接続が切断したと判断する場合(S1202のYes)、第2の通信モジュール35は、スレーブレイテンシーの値を現在の第1の値(初期値)から該第1の値よりも大きな第2の値に変更する(S1203)。すなわち、第2の通信モジュール35は、スレーブレイテンシーの現在の値を該値よりも大きな値に変更することによって、コネクションイベントによる同期通信の頻度を下げる。続いて、第2の通信モジュール35は、第1の通信モジュール24との接続を再確立するために、ペアリング処理を開始する(S1204)。すなわち、第2の通信モジュール35は、アドバタイザとして機能して、記憶部32に格納されているボンディング情報に基づいて、アドバタイジングを行い、第1の通信モジュール24とのペアリングを行う。これにより、第2の通信モジュール35は、制御部31の制御の下、第1の通信モジュール24との接続状態を維持したまま、動作し続ける。
【0091】
接続状態の間、第2の通信モジュール35は、第1の通信モジュール24からユーザ存在通知を受信したか否かを監視する(S1205)。第2の通信モジュール35は、ユーザ存在通知を受信したと判断する場合(S1205のYes)、次に、接続が切断したか否かを監視する(S1206)。
【0092】
第2の通信モジュール35は、接続が切断されていると判断する場合(S1206のYes)、第2の通信モジュール35は、スレーブレイテンシーの値を現在の第2の値から第1の値に変更する(S1207)。すなわち、第2の通信モジュール35は、スレーブレイテンシーの現在の値を該値よりも小さな値に変更することによって、コネクションイベントによる同期通信の頻度を通常の状態まで上げる。続いて、第2の通信モジュール35は、第1の通信モジュール24との接続を再確立するために、ペアリング処理を開始する(S1208)。すなわち、第2の通信モジュール35は、アドバタイザとして機能して、記憶部32に格納されたボンディング情報に基づいて、アドバタイジングを行い、第1の通信モジュール24とのペアリングを行う。これにより、第1の通信モジュール24と第2の通信モジュール35とは接続状態となる。
【0093】
以上のように、本実施形態によれば、室内機2が、対象エリア内にユーザが存在しないことを検出すると、操作端末装置3がスレーブレイテンシーの値が大きくなるように変更した上で、操作端末装置3との接続を再確立し、ユーザが戻ってくるまで待機するので、第2の通信モジュール35は、コネクションイベントによる同期通信のための動作回数を減らすことができ、無線通信に伴う消費電力を抑制することができる。また、第2の通信モジュール35は、スリープモードに移行していないので、直ちに接続を確立することができる。また、室内機2が、対象エリア内にユーザが存在することを検出すると、スレーブレイテンシーの値が小さくなるように変更した上で、操作端末装置3との接続を再確立するので、データパケットの送信遅延時間を小さくすることができる。
【0094】
また、本実施形態に係る空気調和システム1は、第1の実施形態に示した技術と組み合わせることにより構成されても良い。例えば、室内機2は、対象エリア内にユーザが存在しないことを検出すると、操作端末装置3がスレーブレイテンシーの値を大きくなるように変更した上で、操作端末装置3との接続を再確立し、ユーザが戻ってくるまで待機する。続いて、操作端末装置3は、更に所定の時間(例えば20秒)が経過すると、スリープモードに移行して、ユーザが戻ってくるまで待機する。操作端末装置3は、室内に戻ってきたユーザの操作により、接続を再確立する。このような構成によっても、同様に、BLE規格の下で消費電力を更に抑制することができる。
【0095】
上記各実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな形態で実施することができる。
【0096】
例えば、本明細書に開示される方法においては、その結果に矛盾が生じない限り、ステップ、動作又は機能を並行して又は異なる順に実施しても良い。説明されたステップ、動作及び機能は、単なる例として提供されており、ステップ、動作及び機能のうちのいくつかは、発明の要旨を逸脱しない範囲で、省略でき、また、互いに結合させることで一つのものとしてもよく、また、他のステップ、動作又は機能を追加してもよい。
【0097】
また、本明細書では、さまざまな実施形態が開示されているが、一の実施形態における特定のフィーチャ(技術的事項)を、適宜改良しながら、他の実施形態に追加し、又は該他の実施形態における特定のフィーチャと置換することができ、そのような形態も本発明の要旨に含まれる。
【符号の説明】
【0098】
1…空気調和システム
10…無線通信システム
2…室内機
21…制御ボード
211…プロセッサ
212…メモリ
213…外部インターフェース
22…空気調和機構
23…センサ
23a…温度センサ
23b…湿度センサ
23c…人感センサ
24…第1の通信モジュール
3…操作端末装置
31…制御部
32…記憶部
33…ユーザインターフェース部
34…センサ
35…第2の通信モジュール
301…筐体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12