(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
B65D 5/10 20060101AFI20240717BHJP
【FI】
B65D5/10 C
(21)【出願番号】P 2021068329
(22)【出願日】2021-04-14
【審査請求日】2023-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 麻美
【審査官】加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】特許第4024183(JP,B2)
【文献】特開2017-056967(JP,A)
【文献】特開2018-090321(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0324933(US,A1)
【文献】米国特許第05305950(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後の端壁および左右の側壁を有する筒状の胴部と、
前記胴部の下側開口部を閉塞する底部と、
前記胴部の上側開口部の外周部を覆う頂部と、を備え、
前記頂部は、
前後の前記端壁の上縁部に連設された前後の端部フラップと、
左右の前記側壁の上縁部に連設された左右の側部フラップと、を備え、
左右の前記側部フラップの間に中央開口部が形成され、
前記端部フラップには、
左右の前記側部フラップの上面に重ねられた基端部と、
前記中央開口部を通じて前記胴部内に挿入され、前記基端部に対して折り返された先端部と、
前記先端部に連設され、外側縁部が前記側壁の内面に当接する張出部と、が形成されており、
前記張出部は、前記先端部の左右の側縁部のうち少なくとも一方の側縁部に連設しており、
前記張出部の外側縁部の前後方向長さは、前記先端部の前記側縁部の前後方向長さよりも長いことを特徴とする包装箱。
【請求項2】
請求項1に記載の包装箱であって、
前記張出部は、前後の前記端部フラップにそれぞれ一つずつ形成されており、
一方の前記張出部は、他方の前記張出部に対し前記底部の対角線上に配置されていることを特徴とする包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
段ボール製の包装箱としては、角筒状の胴部と、胴部の下側開口部を閉塞する底部と、胴部の上側開口部に形成される頂部と、を備え、頂部の中央部に中央開口部が形成されているものがある。
前記した包装箱の頂部は、胴部の上縁部に連設された前後の端部フラップを有しており、端部フラップの先端部は、中央開口部を通じて胴部内に挿入され、基端部に対して折り返されている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の包装箱では、胴部が空の状態であると、端部フラップの基端部と先端部との間の折り目に作用する復元力によって、端部フラップの先端部が基端部に対して平坦な状態に逆戻りしてしまうという問題があった。このような問題を解決した包装箱が特許文献2に開示されている。
特許文献2の包装箱は、胴部と底部と頂部とを備えている。頂部は、前後の端部フラップと左右の側部フラップとを備えており、左右の側部フラップの突き合わせ部の中央部には中央開口部が形成され、中央開口部の前後の縁部には係止用凹部が形成されている。端部フラップには、左右の側部フラップの上面に重ねられた基端部と、中央開口部を通じて胴部内に挿入され、基端部に対して折り返された先端部と、が形成されている。そして、基端部と先端部との間の中間部が係止用凹部内に嵌め込まれている。このような包装箱によれば、端部フラップの形状が逆戻りするのを防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4024183号公報
【文献】特開2018-90321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2の包装箱では、左右の側壁に前後逆方向の力が作用した際には、箱が捻じれて歪んでしまうことがあった。
【0006】
本発明は、前記した問題を解決し、歪み難い包装箱を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明の包装箱は、前後の端壁および左右の側壁を有する筒状の胴部と、前記胴部の下側開口部を閉塞する底部と、前記胴部の上側開口部の外周部を覆う頂部と、を備えている。前記頂部は、前後の前記端壁の上縁部に連設された前後の端部フラップと、左右の前記側壁の上縁部に連設された左右の側部フラップと、を備えている。左右の前記側部フラップの間には中央開口部が形成されている。前記端部フラップには、左右の前記側部フラップの上面に重ねられた基端部と、前記中央開口部を通じて前記胴部内に挿入され、前記基端部に対して折り返された先端部と、前記先端部に連設され、外側縁部が前記側壁の内面に当接する張出部と、が形成されており、前記張出部は、前記先端部の左右の側縁部のうち少なくとも一方の側縁部に連設しており、前記張出部の外側縁部の前後方向長さは、前記先端部の前記側縁部の前後方向長さよりも長い。
【0008】
本発明の包装箱によれば、端部フラップの先端部に連設された張出部が側壁の内面に当接しているので、先端部が箱の内部で回動しない。したがって、先端部が収容物を傷つけることを防止できる。また、張出部が包装箱を内側から押えているので、包装箱の形状の保持性能が高くなり歪み難い。さらに、張出部と側壁の当接長さを大きくできるので、包装箱の形状の保持性能がより一層高くなる。
【0010】
本発明の包装箱において、前記張出部は、前後の前記端部フラップにそれぞれ一つずつ形成されており、一方の前記張出部は、他方の前記張出部に対し前記頂部の対角線上に配置されているものが好ましい。このような構成によれば、左右両方の側壁が押さえられるので、包装箱の形状の保持性能がより一層高くなる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の包装箱によれば、歪み難いという作用効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係る包装箱を前方左上から見た斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る包装箱のブランクシートを示した図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る包装箱を示した側断面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る包装箱の組み立て手順を示した図で、胴部を組み立てた段階の斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る包装箱の組み立て手順を示した図で、側部フラップを折り曲げた段階の斜視図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る包装箱の組み立て手順を示した図で、端部フラップを折り曲げた段階の斜視図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る包装箱の組み立て手順を示した図で、(a)は端部フラップの先端部を折り曲げた段階の側断面図、(b)は胴部内に収容物を収納する段階の側断面図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る包装箱の頂部を内側から見上げた平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、各実施形態の説明において、同一の構成要素に関しては同一の符号を付し、重複した説明は省略するものとする。
以下の説明において、前後左右方向とは、本実施形態の包装箱を説明する上で便宜上設定したものであり、包装箱の構成を限定するものではない。
【0014】
実施形態に係る包装箱1は、
図1に示すように、角筒状に形成された胴部10と、胴部10の下側開口部10b(
図4参照)を閉塞している底部30と、胴部10の上側開口部10a(
図4参照)に形成された頂部20と、を備えている。
実施形態では、
図7に示すように、複数の長葱N(収容物)を収納するための包装箱1について説明する。
【0015】
包装箱1は、
図2に示すように、一枚の段ボール製のシートを切り抜いたブランクシートSを各罫線において山折りまたは谷折りすることで形成される。
図2に示すブランクシートSは内面側が見えるように配置されている。
ブランクシートSの各罫線(折線)は、ブランクシートSの表面を押し込んで形成された線状の溝である。なお、罫線に切れ込みを形成してもよい。このようにすると、罫線においてブランクシートSを折り曲げ易くなる。
【0016】
胴部10は、
図1に示すように、前後一対の端壁11,12と、左右一対の側壁13,14と、を備え、四角形の角筒状に形成されている。
前端壁11は、長方形に形成されており、上下方向の長さよりも左右方向の長さが大きく形成されている。
【0017】
前端壁11の左縁部には、罫線L1を介して、左側壁13が連設されている。
左側壁13は、前端壁11の左縁部から後方に向けて延びている。左側壁13は、前端壁11に対して垂直に形成されている。第一実施形態の左側壁13は、長方形に形成されており、上下方向の長さよりも前後方向の長さが大きく形成されている。
【0018】
左側壁13の後縁部には、罫線L2を介して、後端壁12が連設されている。
後端壁12は、左側壁13の後縁部から右方に向けて延びている。後端壁12は、左側壁13に対して垂直に形成されている。後端壁12は前端壁11と同じ形状である(
図2参照)。
【0019】
前端壁11の右縁部には、罫線L3を介して、右側壁14が連設されている。
右側壁14は、前端壁11の右縁部から後方に向けて延びている。右側壁14は、前端壁11に対して垂直に形成されている。右側壁14は左側壁13と同じ形状である(
図2参照)。
【0020】
右側壁14の後縁部には、
図4に示すように、罫線L4を介して接合片15が連設されている。接合片15は、右側壁14の後縁部に沿って帯状に形成されている。接合片15は、後端壁12の内面の右端部に接着剤によって接合される部位である。接合片15の下端部には、折れ線を介して先端接合片Aが連設されている。先端接合片Aは、底部30の内フラップ31の内面に接着剤によって接合される部位である。
【0021】
ブランクシートS(
図2参照)を罫線L1~L4で折り曲げつつ、接合片15を後端壁12の内面に接合すると、前端壁11、左側壁13、後端壁12および右側壁14によって、四角形の角筒状の胴部10が形成される。
【0022】
底部30は、
図1に示すように、胴部10の下側開口部10bを閉塞するものであり、前後一対の内フラップ31,31および左右一対の外フラップ32,32によって形成されている。
【0023】
前後の内フラップ31,31は、前後の端壁11,12の下縁部に連設されている。また、左右の外フラップ32,32は、左右の側壁13,14の下縁部に連設されている。
前後の内フラップ31,31の下面に左右の外フラップ32,32が重ねられている。左右の外フラップ32,32の先端縁部同士は互いに対向している。そして、左右の外フラップ32,32をテープ等の接着手段によって連結することで、底部30が形成されている。
【0024】
頂部20は、胴部10の上側開口部10a(
図4参照)に形成された蓋部である。頂部は、上側開口部10aの外周部を覆っており、頂部20の中央部には中央開口部25が形成されている。すなわち、頂部20は、平面視ロ字状(矩形枠状)を呈している。
頂部20は、前後の端壁11,12に連設された前後一対の端部フラップ21,21と、左右の側壁13,14に連設された左右一対の側部フラップ22,22と、を備えている。中央開口部25は、左右の側部フラップ22,22の間に形成されている。
【0025】
左右の側部フラップ22,22は、
図5に示すように、左右の側壁13,14の上縁部に罫線L22,L22を介して連設されている。
左右の側部フラップ22,22は、左右の側壁13,14に対して垂直に折り曲げられている。側部フラップ22は、側壁13(または側壁14)に連設される長方形状の基部と、基部の前後の端部から他方の端部に向かって張り出す突合部とを備えていて、平面視略凹形状を呈している。左右の側部フラップ22,22の先端縁部22a,22aは、上側開口部10a(
図4参照)の左右方向の中央部において対向している。なお、先端縁部22a,22aは、互いに当接させた(突き合わせた)状態で対向させてもよいし、隙間をあけた状態で対向させてもよい。
【0026】
左側の側部フラップ22の先端縁部22a(右縁部)の前後方向の中央部には、開口用凹部23が形成されている。また、右側の側部フラップ22の先端縁部22a(左縁部)の前後方向の中央部にも同様に開口用凹部23が形成されている。
開口用凹部23は、略長方形に形成されており、左右方向よりも前後方向に大きく形成されている。側部フラップ22は、開口用凹部23の前後両側において、前後の端部が左右方向に突出した凹形状に形成されている。
【0027】
左側の側部フラップ22の開口用凹部23と、右側の側部フラップ22の開口用凹部23とが連結されることで、頂部20の中央部に略長方形の中央開口部25が形成されている。つまり、左右の側部フラップ22,22の間に中央開口部25が形成されている。
【0028】
中央開口部25の前縁部および後縁部には、前後の係止用凹部26,26が形成されている。係止用凹部26は、後記する端部フラップ21の中間部21bが嵌め込まれる部位である(
図1参照)。
係止用凹部26は、中央開口部25の前縁部および後端部の中央部に形成されている。つまり、係止用凹部26は、左右の側部フラップ22,22の先端の対向部に形成されている。係止用凹部26の左半分は左側の側部フラップ22の対向部に形成され、係止用凹部26の右半分は右側の側部フラップ22の対向部に形成されている。
【0029】
後側の端部フラップ21は、後端壁12に連設された基端部27と、基端部27に連設された中間部28と、中間部28に連設された先端部29と、先端部29に連設された張出部50と、を備えている。
【0030】
基端部27は、後端壁12の上縁部に罫線L21を介して連設されている。基端部27は、略台形に形成されており、基端部27の後端壁12側の端部(後端部)の左右方向の幅は、後端壁12の左右方向の幅と同じ大きさに形成されている。基端部27の中間部28側の端部(前端部)の左右方向の幅は、後端壁12の左右方向の幅よりも狭く、中央開口部25の左右方向の幅と略同じ大きさに形成されている。
基端部27は、
図6に示すように、左右の側部フラップ22,22の後端部の上面に重ねられている。
図3に示すように、基端部27の先端縁部27a(前縁部)が、中央開口部25の後縁部に重なるように、基端部27の前後方向の長さが形成されている。
【0031】
基端部27の先端部には、
図6に示すように、中間部28が罫線L23を介して連設されている。中間部28は、基端部27の先端部の左右方向中央部に形成されている。
罫線L23は、基端部27の先端縁部27a(前縁部)よりも後側(罫線L21側)に配置されている。つまり、中間部28の基端縁部28bは、基端部27の先端縁部27aよりも基端側に入り込んでいる。
図3に示すように、中間部28の基端縁部28b(罫線L23)は、係止用凹部26の底部に重なるように形成されている。
【0032】
図2に示すように、ブランクシートSの状態において、中間部28の左右の縁部にはスリットが形成されている(
図6参照)。つまり、中間部28の左右の縁部は基端部27から切り離されている。
【0033】
中間部28は、
図1に示すように、罫線L23において基端部27に対して下方に向けて折り曲げられている(
図3参照)。中間部28は、係止用凹部26内に嵌め込まれている。
中間部21bの上下方向の長さ(罫線L23と罫線L24との間隔)は、側部フラップ22の厚さと同じ大きさに形成されている。
【0034】
中間部28の左右方向の幅は、係止用凹部26の左右方向の幅と同じ大きさまたは僅かに大きく形成されている。
図6に示すように、基端部27を左右の側部フラップ22,22の上面に重ねた状態から、
図1に示すように、基端部27に対して中間部28を下方に向けて折り曲げると、中間部28が係止用凹部26内に押し込まれる。
そして、中間部28が係止用凹部26に保持され、端部フラップ21が左右の側部フラップ22,22に連結された状態となる。
【0035】
中間部28の先端縁部28aには、
図6に示すように、先端部29が罫線L24を介して連設されている。
先端部29の左右方向の幅は、中間部28の左右方向の幅よりも大きく形成されている。また、先端部29の左右方向の幅は、中央開口部25の左右方向の幅以下に形成されており、中央開口部25から内側に挿入可能となっている。本実施形態では、先端部29の左右方向の幅は、中央開口部25の左右方向の幅よりも僅かに小さく形成されている。
【0036】
先端部29は、
図3に示すように、中間部28の下縁部(先端縁部28a,罫線L24)に対して後方に向けて折り曲げられている。つまり、先端部29は、基端部27に対して後方に向けて折り返されている(
図1および
図7参照)。
本実施形態では、先端部29を基端部27に対して折り返したときに、先端部29の先端縁部が後端壁12の内面に当接しないように構成されているが、先端部29を後端壁12の内面に当接させてもよい。
【0037】
張出部50は、先端部29の左右の側縁部のうち少なくとも一方の側縁部に連設しており、側壁13(14)に向かって張り出している。張出部50は、外側縁部51が側壁13(14)に内側から当接することで、側壁13(14)を補強する。本実施形態では、後側の端部フラップ21の張出部50は、後側の端部フラップ21の先端部29の右側縁部に連設され、外側縁部51が右側壁14の内面に当接する。なお、前側の端部フラップ21の張出部50は、先端部29の左側縁部に連設され、外側縁部51が左側壁13の内面に当接する。張出部50は、台形に形成されており、折れ線を介して先端部29の側縁部に連続している。張出部50は、折れ線において先端部29に対して折り曲げ可能となっており、先端部29を中央開口部25から挿入する際に基端部27から切り離されつつ折り曲げられて、先端部29と共に包装箱1の内部に挿入される。
【0038】
張出部50の側縁部(外側縁部51)は、前後方向に沿って直線状に延在している。後側の張出部50は、右側壁14の内面に線状に当接し、前側の張出部50は、左側壁13の内面に線状に当接している(
図1参照)。張出部50の外側縁部51の前後方向長さは、先端部29の側縁部の前後方向長さ(張出部50の内側縁部の前後方向長さ)より大きい。
【0039】
張出部50の先端縁部54は、先端部29の先端縁部と同一線上で左右方向に沿って延在している。本実施形態では、先端部29を基端部27に対して折り返したときに、張出部50の先端縁部54が後端壁12の内面に当接しないように構成されているが、先端縁部54を後端壁12の内面に当接させてもよい。
【0040】
張出部50の基端側縁部55は、外側縁部51の基端と内側縁部52の基端とを直線状に結んでおり、左右方向に対して傾斜している。具体的には、先端部29を基端部27に対して折り返したときに、張出部50の基端側縁部55は、内側から外側に向かうに連れて、前方になるように傾斜している。つまり、張出部50の基端部は、外側が突出した三角形状となっている。なお、先端部29を基端部27に対して折り返す前の状態では、基端側縁部55は、切断線(スリット)を介して、基端部27の側縁部に隣接している。
【0041】
本実施形態では、張出部50は、前後の端部フラップ21,21にそれぞれ一つずつ形成されている。一方の張出部50は、他方の張出部50に対し頂部20が構成する四角形の対角線上に配置されている。すなわち、前側の張出部50と後側の張出部50は、点対称の関係にある。
【0042】
さらに、前側の端部フラップ21は、
図1および
図3に示すように、後側の端部フラップ21と点対称な関係にある。前側の端部フラップ21の先端部29は、基端部27に対して前方に向けて折り返されている。前側の端部フラップ21および張出部50については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0043】
次に、本実施形態の包装箱1の頂部20を組み立てる手順について説明する。
まず、
図4に示すように、胴部10を組み立てて、底部30が開いている状態で、
図5に示すように、左右の側部フラップ22,22を左右の側壁13,14に対して折り曲げる。
これにより、左右の側部フラップ22,22の先端縁部22a,22a同士が対向し、側部フラップ22,2の間に中央開口部25が形成される。また、中央開口部25の前後の縁部に前後の係止用凹部26,26が形成される。
【0044】
続いて、
図6に示すように、前後の端部フラップ21,21を左右の側部フラップ22,22の上面に重ねる。
これにより、端部フラップ21の中間部28は、係止用凹部26(
図5参照)の上側に重ねられるとともに、先端部29は、中央開口部25に重ねられる。
【0045】
そして、
図7(a)に示すように、端部フラップ21の基端部27に対して中間部28および先端部29を折り曲げて、中間部28を係止用凹部26内に嵌め込む。このとき、張出部50は、先端部29に対して折れ線で折り曲げ、先端部29とともに中央開口部25から箱の内側に挿入する。さらに、中間部28に対して先端部29を折り曲げて、基端部27に対して先端部29を折り返す。ここで、張出部50は、折れ線で広げて、先端部29に対して面一になるように戻す。すると、張出部50の外側縁部51は、側壁13(14)の内面に当接する。
【0046】
このように、端部フラップ21の先端部29および張出部50を中央開口部25から胴部10内に挿入し、先端部29を基端部27に対して折り返すことで、頂部20が完成する。
【0047】
なお、頂部20を組み立てた後は、
図7(b)に示すように、胴部10を上下反転させて配置する。そして、下側開口部10bから胴部10内に長葱Nを挿入すると、先端部29および張出部50は、長葱Nに押されて固定された状態となる。
図3に示すように、胴部10内に複数の長葱Nを挿入した後に、底部30を組み立てるとともに、包装箱1を上下反転させて、包装箱1の組み立て作業を完了する。
【0048】
以上のような包装箱1では、
図1に示すように、端部フラップ21の先端部29に連設された張出部50が側壁13(14)の内面に当接しているので、先端部29が箱の内部で回動しない。したがって、先端部29が収容物を傷つけ難くなる。また、張出部50が包装箱1を内側から押えているので、包装箱1の形状の保持性能が高くなり歪み難い。
【0049】
さらに、張出部50は、先端部29の左右の側縁部のうち少なくとも一方の側縁部に連設しており、張出部50の外側縁部51の前後方向長さは、先端部29の側縁部の前後方向長さよりも大きくなっているので、張出部50と側壁13(14)の当接長さを長くできる。したがって、張出部50による先端部29が箱の内部でより一層回転し難くなる。さらに、側壁13,14の補強部分の長さが大きくなるので、包装箱1の形状の保持性能がより一層高くなる。
【0050】
また、本実施形態では、張出部50は、前後の端部フラップ21,21にそれぞれ一つずつ形成されており、一方の張出部50は、他方の張出部50に対し頂部20の対角線上に配置されているので、左右両方の側壁13,14のそれぞれが張出部50によってバランス良く押さえられることとなる。したがって、包装箱1の形状の保持性能がより一層高くなる。
【0051】
さらに、端部フラップ21の先端部29を中央開口部25から胴部10内に挿入して、先端部29を基端部27に対して折り返すことで、端部フラップ21と左右の側部フラップ22,22とを連結することができるため、頂部20を容易に組み立てることができる。
【0052】
また、包装箱1では、先端部29の左右方向の幅が中央開口部25の左右方向の幅以下に形成されているため(
図6参照)、中央開口部25に対して先端部29をスムーズに通過させることができる。さらに、張出部50は、折れ線を介して折り曲げ可能に先端部29に連設されているので、中央開口部25をスムーズに通過させることができる。
【0053】
本実施形態の包装箱1では、端部フラップ21の先端部29を基端部27に対して折り返したときに、端部フラップ21の中間部28が係止用凹部26に保持されるため、先端部29が基端部27に対して平坦な状態に逆戻りするのを防ぐことができる。さらに、張出部50が側壁13(14)の内面に当接しているので、側部フラップ22の下面に重ねられる。したがって、包装箱1では、胴部10が空の状態でも頂部20の形状を保つことができる。
【0054】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。例えば、前記実施形態の包装箱1では、張出部50は、外側縁部51の前後方向長さが、先端部29の側縁部の前後方向長さよりも長くなっているが、これに限定されるものではない。外側縁部51の前後方向長さは、先端部29の側縁部の前後方向長さと同等であってもよいし、先端部29の側縁部の前後方向長さより短くてもよい。このような構成でも、張出部50が側壁13(14)の内面に当接するので、先端部29の回動抑制効果および胴部10の補強効果を得られる。
【0055】
また、前記実施形態の包装箱1では、張出部50は、頂部20の対角線上に配置されているが、これに限定されるものではない。張出部50は、前後の同じ側に二か所設けてもよいし、左右の同じ側に二か所設けてもよい。さらに、張出部50を、頂部20の四隅にそれぞれ設けてもよい。張出部50を四隅に設けると、先端部29の回動抑制効果と胴部10の補強効果が大きくなる。
【符号の説明】
【0056】
1 包装箱
10 胴部
10a 上側開口部
10b 下側開口部
11 前端壁(端壁)
12 後端壁(端壁)
13 左側壁(側壁)
14 右側壁(側壁)
20 頂部
21 端部フラップ
22 側部フラップ
25 中央開口部
27 基端部
28 中間部
29 先端部
30 底部
50 張出部
51 外側縁部