特許 7521498 蓄電装置

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2024-07-16

(45)【発行日】2024-07-24

(54)【発明の名称】蓄電装置

(51)【国際特許分類】

   H01M 10/6554 20140101AFI20240717BHJP

   H01M 10/613 20140101ALI20240717BHJP

   H01M 10/617 20140101ALI20240717BHJP

   H01M 10/625 20140101ALI20240717BHJP

   H01M 10/647 20140101ALI20240717BHJP

   H01M 10/652 20140101ALI20240717BHJP

   H01M 10/6556 20140101ALI20240717BHJP

   H01M 10/6568 20140101ALI20240717BHJP

   H01M 50/204 20210101ALI20240717BHJP

   H01M 50/209 20210101ALI20240717BHJP

   H01M 50/249 20210101ALI20240717BHJP

   H01M 50/289 20210101ALI20240717BHJP

【ＦＩ】

H01M10/6554

H01M10/613

H01M10/617

H01M10/625

H01M10/647

H01M10/652

H01M10/6556

H01M10/6568

H01M50/204 401H

H01M50/209

H01M50/249

H01M50/289

H01M50/289 101

【請求項の数】 4

(21)【出願番号】P 2021115663

(22)【出願日】2021-07-13

(65)【公開番号】P2023012176

(43)【公開日】2023-01-25

【審査請求日】2023-04-13

(73)【特許権者】

【識別番号】000003207

【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】110001195

【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所

(72)【発明者】

【氏名】後飯塚 真也

【審査官】宮本 秀一

(56)【参考文献】

【文献】特開２０２１－０５１８９４（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０１７－１１１９１３（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０２０－０５３１４８（ＪＰ，Ａ）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ｈ０１Ｍ１０／５２－１０／６６７

Ｈ０１Ｍ５０／２０－５０／２９８

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

一方向に並ぶように配置された複数の蓄電セルを含む蓄電モジュールと、
前記蓄電モジュールを収容するケースと、
前記ケースの下方に設けられており、前記ケースを介して前記蓄電モジュールを冷却するための冷却器と、
前記蓄電モジュールの下面と前記ケースとの間に配置された熱伝導材と、を備え、
前記冷却器は、前記一方向に沿って冷却媒体が流れる冷却流路を有し、
前記蓄電モジュールは、
前記冷却流路の流れ方向における上流側に配置されており、前記複数の蓄電セルのうち一部の蓄電セルを含む上流側スタックと、
前記流れ方向における前記上流側スタックの下流側に配置されており、前記複数の蓄電セルのうち前記上流側スタックに含まれる蓄電セル以外の蓄電セルを含む下流側スタックと、
前記上流側スタックと前記下流側スタックとの間に配置された中間プレートと、を有し、
前記ケースは、前記蓄電モジュールの下方に配置された底壁を有し、
前記底壁は、前記中間プレートに向かって隆起する隆起部を有し、
前記熱伝導材は、
前記流れ方向における前記隆起部の上流側でかつ前記上流側スタックと前記底壁との間に配置された上流側熱伝導部と、
前記流れ方向における前記隆起部の下流側でかつ前記下流側スタックと前記底壁との間に配置された下流側熱伝導部と、を有し、
前記下流側熱伝導部は、前記上流側熱伝導部の厚みよりも小さな厚みを有する、蓄電装置。

【請求項2】

前記下流側熱伝導部の厚みは、前記流れ方向における下流側に向かうにしたがって次第に小さくなる、請求項１に記載の蓄電装置。

【請求項3】

前記蓄電モジュールを前記底壁に向けて押し付ける押付け部材をさらに備え、
前記押付け部材は、
前記流れ方向における前記上流側スタックの上流側の端部を前記底壁に向けて押し付ける上流側押付け部と、
前記流れ方向における前記下流側スタックの下流側の端部を前記底壁に向けて押し付ける下流側押付け部と、を有し、
前記下流側押付け部は、前記下流側熱伝導部の厚みが前記上流側熱伝導部の厚みよりも小さくなるように前記下流側スタックの前記下流側の端部を前記底壁に向けて押し付けている、請求項１又は２に記載の蓄電装置。

【請求項4】

前記上流側押付け部は、
前記上流側スタックを前記ケースに取り付けるための上流側ブラケットと、
前記上流側ブラケットを前記上流側スタックに締結する第１上流側締結部材と、
前記上流側ブラケットを前記ケースに締結する第２上流側締結部材と、を有し、
前記下流側押付け部は、
前記下流側スタックを前記ケースに取り付けるための下流側ブラケットと、
前記下流側ブラケットを前記下流側スタックに締結する第１下流側締結部材と、
前記下流側ブラケットを前記ケースに締結する第２下流側締結部材と、を有し、
前記中間プレートが前記隆起部に載置され、前記下流側ブラケットが前記第１下流側締結部材によって前記下流側スタックに固定され、かつ、前記下流側ブラケットが前記第２下流側締結部材によって前記ケースに固定される前の状態における前記下流側ブラケット及び前記ケース間の寸法は、前記中間プレートが前記隆起部に載置され、前記上流側ブラケットが前記第１上流側締結部材によって前記上流側スタックに固定され、かつ、前記上流側ブラケットが前記第２上流側締結部材によって前記ケースに固定される前の状態における前記上流側ブラケット及び前記ケース間の寸法よりも大きい、請求項３に記載の蓄電装置。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本開示は、蓄電装置に関する。

【背景技術】

【0002】

例えば、特開２０２０－５３１４８号公報には、一方向に沿って並ぶように配置された複数の電池セルを含む電池モジュールと、電池モジュールの下方に配置された冷却器と、電池モジュールと冷却器との間に設けられたグリスと、を備える電池ユニットが開示されている。冷却器は、冷媒（冷却水）が流れる冷媒流路を有している。冷媒流路は、一方向に沿って延びる形状を有している。冷媒は、一方向における冷媒流路の一端側から他端側に向かって流れる。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【文献】特開２０２０－５３１４８号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

特開２０２０－５３１４８号公報に記載される電池ユニットでは、冷媒流路を流れる冷媒の温度は、冷媒流路の下流側に向かうほど高くなる。このため、冷媒流路の下流側において、冷媒による蓄電セルの冷却量が小さくなる。よって、冷却流路の上流側に配置された蓄電セルの温度と下流側に配置された蓄電セルの温度とにバラツキが生じる懸念がある。

【0005】

本開示の目的は、冷却流路の上流側に配置された蓄電セルの温度と下流側に配置された蓄電セルの温度とにバラツキが生じるのを抑制可能な蓄電装置を提供することである。

【課題を解決するための手段】

【0006】

本開示の一局面に従った蓄電装置は、一方向に並ぶように配置された複数の蓄電セルを含む蓄電モジュールと、前記蓄電モジュールを収容するケースと、前記ケースの下方に設けられており、前記ケースを介して前記蓄電モジュールを冷却するための冷却器と、前記蓄電モジュールの下面と前記ケースとの間に配置された熱伝導材と、を備え、前記冷却器は、前記一方向に沿って冷却媒体が流れる冷却流路を有し、前記蓄電モジュールは、前記冷却流路の流れ方向における上流側に配置されており、前記複数の蓄電セルのうち一部の蓄電セルを含む上流側スタックと、前記流れ方向における前記上流側スタックの下流側に配置されており、前記複数の蓄電セルのうち前記上流側スタックに含まれる蓄電セル以外の蓄電セルを含む下流側スタックと、前記上流側スタックと前記下流側スタックとの間に配置された中間プレートと、を有し、前記ケースは、前記蓄電モジュールの下方に配置された底壁を有し、前記底壁は、前記中間プレートに向かって隆起する隆起部を有し、前記熱伝導材は、前記流れ方向における前記隆起部の上流側でかつ前記上流側スタックと前記底壁との間に配置された上流側熱伝導部と、前記流れ方向における前記隆起部の下流側でかつ前記下流側スタックと前記底壁との間に配置された下流側熱伝導部と、を有し、前記下流側熱伝導部は、前記上流側熱伝導部の厚みよりも小さな厚みを有する。

【発明の効果】

【0007】

本開示によれば、冷却流路の上流側に配置された蓄電セルの温度と下流側に配置された蓄電セルの温度とにバラツキが生じるのを抑制可能な蓄電装置を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【0008】

【図1】本開示の一実施形態の蓄電装置の構成を概略的に示す斜視図である。

【図2】蓄電装置の分解斜視図である。

【図3】図１におけるＩＩＩ－ＩＩＩ線での断面図である。

【図4】ロアケースに蓄電モジュールが載置される前の状態を概略的に示す断面図である。

【発明を実施するための形態】

【0009】

本開示の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。

【0010】

図１は、本開示の一実施形態の蓄電装置の構成を概略的に示す斜視図である。この蓄電装置１は、例えば、車両に搭載される。

【0011】

図１～図３に示されるように、蓄電装置１は、複数の蓄電モジュール１００と、ケース２００と、冷却器３００と、熱伝導材４００と、押付け部材５００と、を備えている。

【0012】

図３に示されるように、各蓄電モジュール１００は、複数の蓄電セル１１０と、一対のエンドプレート１２０と、を有している。

【0013】

複数の蓄電セル１１０は、一方向に並ぶように配置されている。蓄電セル１１０として、例えば、リチウムイオン電池が挙げられる。各蓄電セル１１０は、直方体に形成されている。図１に示されるように、複数の蓄電モジュール１００は、一方向及び上下方向の双方と直交する直交方向に並ぶように配置されている。

【0014】

一対のエンドプレート１２０は、一方向における複数の蓄電セル１１０の両側に配置されている。各エンドプレート１２０は、金属（アルミニウム等）からなる。

【0015】

ケース２００は、複数の蓄電モジュール１００を収容している。ケース２００は、ロアケース２０１と、アッパーケース２０２（図３を参照）と、を有している。なお、図１及び図２では、アッパーケース２０２の図示は省略されている。

【0016】

ロアケース２０１は、上方に開口する形状を有している。ロアケース２０１は、金属からなる。ロアケース２０１は、底壁２１０と、周壁２２０と、フランジ２３０と、仕切壁２４０（図２を参照）と、補強ブラケット２５０と、を有している。

【0017】

底壁２１０は、複数の蓄電モジュール１００の下方に配置されている。図２及び図３に示されるように、底壁２１０のうち一方向における中央部には、上方に向かって隆起する隆起部２１２が形成されている。隆起部２１２の頂部は、平坦に形成されている。

【0018】

周壁２２０は、底壁２１０の周縁部から起立するとともに、複数の蓄電モジュール１００の周囲を囲んでいる。

【0019】

フランジ２３０は、周壁２２０の上端部から外側に向かって張り出す形状を有している。

【0020】

図２に示されるように、仕切壁２４０は、直交方向に互いに隣接する一対の蓄電モジュール１００間を仕切っている。一方向における仕切壁２４０の両端部は、周壁２２０に接続されている。すなわち、仕切壁２４０は、周壁２２０を補強する機能を有している。

【0021】

補強ブラケット２５０は、一方向における周壁２２０と蓄電モジュール１００との間に配置されている。補強ブラケット２５０は、蓄電モジュール１００の底壁２１０への取り付けを補強する。図３に示されるように、補強ブラケット２５０の下端部は、溶接等によって底壁２１０に接続されている。図１及び図２に示されるように、補強ブラケット２５０の上端部は、溶接等によってフランジ２３０に固定されている。

【0022】

図３に示されるように、アッパーケース２０２は、下方に開口する形状を有している。アッパーケース２０２は、ロアケース２０１とともに複数の蓄電モジュール１００を収容している。アッパーケース２０２は、金属からなる。

【0023】

図３に示されるように、冷却器３００は、ケース２００の下方に設けられており、ケース２００を介して蓄電モジュール１００を冷却する。冷却器３００は、底壁２１０の下面に接している。冷却器３００と底壁２１０との間には、熱伝導部材が設けられることが好ましい。冷却器３００は、一方向に沿って冷却媒体（水等）が流れる冷却流路３０２を有している。

【0024】

図２及び図３に示されるように、各蓄電モジュール１００は、上流側スタック１０１と、下流側スタック１０２と、中間プレート１０３と、を有している。

【0025】

上流側スタック１０１は、冷却流路３０２の流れ方向における上流側に配置されている。上流側スタック１０１は、当該蓄電モジュール１００に含まれる複数の蓄電セル１１０のうち一部の蓄電セル１１０を含んでいる。

【0026】

下流側スタック１０２は、流れ方向における上流側スタック１０１の下流側に配置されている。下流側スタック１０２は、当該蓄電モジュール１００に含まれる複数の蓄電セル１１０のうち上流側スタック１０１に含まれる蓄電セル１１０以外の蓄電セル１１０を含んでいる。本実施形態では、下流側スタック１０２に含まれる蓄電セル１１０の数は、上流側スタック１０１に含まれる蓄電セル１１０の数と同じである。図３に示されるように、下流側スタック１０２は、流れ方向における下流側に向かうにしたがって次第に底壁２１０に近づくように底壁２１０に対して傾斜している。

【0027】

中間プレート１０３は、上流側スタック１０１と下流側スタック１０２との間に配置されている。換言すれば、中間プレート１０３は、一方向における蓄電モジュール１００の中央に配置されており、上流側スタック１０１は、流れ方向における中間プレート１０３の上流側に配置されており、下流側スタック１０２は、流れ方向における中間プレート１０３の下流側に配置されている。図３に示されるように、中間プレート１０３は、底壁２１０の隆起部２１２上に載置されている。

【0028】

熱伝導材４００は、蓄電モジュール１００の下面とケース２００との間に配置されている。より詳細には、熱伝導材４００は、各蓄電セル１１０の下面と底壁２１０の上面との間に配置されている。熱伝導材４００は、グリス等からなる。図２及び図３に示されるように、熱伝導材４００は、上流側熱伝導部４１０と、下流側熱伝導部４２０と、を有している。

【0029】

上流側熱伝導部４１０は、流れ方向における隆起部２１２の上流側でかつ上流側スタック１０１と底壁２１０との間に配置されている。上流側熱伝導部４１０は、一方向に略均一の厚みを有している。

【0030】

下流側熱伝導部４２０は、流れ方向における隆起部２１２の下流側でかつ下流側スタック１０２と底壁２１０との間に配置されている。下流側熱伝導部４２０は、上流側熱伝導部４１０の厚みよりも小さな厚みを有している。図３に示されるように、下流側熱伝導部４２０の厚みは、流れ方向における下流側に向かうにしたがって次第に小さくなっている。ただし、下流側熱伝導部４２０は、上流側熱伝導部４１０の厚みよりも小さな厚みであれば、一方向に略均一の厚みを有していてもよい。隆起部２１２は、上流側熱伝導部４１０の厚み及び下流側熱伝導部４２０の厚みの基準として機能する。

【0031】

押付け部材５００は、蓄電モジュール１００を底壁２１０に向けて押し付ける部材である。押付け部材５００は、熱伝導材４００が押し潰されるように蓄電モジュール１００を底壁２１０に向けて押し付けた状態で当該蓄電モジュール１００をケース２００に取り付けている。押付け部材５００は、上流側押付け部５１０と、下流側押付け部５２０と、を有している。

【0032】

上流側押付け部５１０は、流れ方向における上流側スタック１０１の上流側の端部（エンドプレート１２０）を底壁２１０に向けて押し付けている。上流側押付け部５１０は、上流側ブラケット５１２と、第１上流側締結部材５１４と、第２上流側締結部材５１６と、を有している。

【0033】

上流側ブラケット５１２は、上流側スタック１０１をケース２００に取り付けるための部材である。上流側ブラケット５１２は、金属からなる。一方向における上流側ブラケット５１２の内側の端部は、上流側スタック１０１の上流側の端部（エンドプレート１２０）に第１上流側締結部材５１４によって固定されている。一方向における上流側ブラケット５１２の外側の端部は、補強ブラケット２５０の上端部に第２上流側締結部材５１６によって固定されている。

【0034】

下流側押付け部５２０は、流れ方向における下流側スタック１０２の下流側の端部（エンドプレート１２０）を底壁２１０に向けて押し付けている。下流側押付け部５２０は、下流側熱伝導部４２０の厚みが上流側熱伝導部４１０の厚みよりも小さくなるように下流側スタック１０２の下流側の端部を底壁２１０に向けて押し付けている。下流側押付け部５２０は、下流側ブラケット５２２と、第１下流側締結部材５２４と、第２下流側締結部材５２６と、を有している。

【0035】

下流側ブラケット５２２は、下流側スタック１０２をケース２００に取り付けるための部材である。下流側ブラケット５２２は、金属からなる。一方向における下流側ブラケット５２２の内側の端部は、下流側スタック１０２の下流側の端部（エンドプレート１２０）に第１下流側締結部材５２４によって固定されている。一方向における下流側ブラケット５２２の外側の端部は、補強ブラケット２５０の上端部に第２下流側締結部材５２６によって固定されている。

【0036】

図４は、中間プレート１０３が隆起部２１２に載置され、各ブラケット５１２，５２２の外側の端部が締結される前の状態を示している。図４に示されるように、中間プレート１０３が隆起部２１２に載置され、下流側ブラケット５２２の内側の端部が第１下流側締結部材５２４によってエンドプレート１２０に固定され、かつ、下流側ブラケット５２２の外側の端部が補強ブラケット２５０の上端部に固定される前の状態における下流側ブラケット５２２及び補強ブラケット２５０の上端部間の寸法ｈ２は、中間プレート１０３が隆起部２１２に載置され、上流側ブラケット５１２の内側の端部が第１上流側締結部材５１４によってエンドプレート１２０に固定され、かつ、上流側ブラケット５１２の外側の端部が補強ブラケット２５０の上端部に固定される前の状態における上流側ブラケット５１２及び補強ブラケット２５０の上端部間の寸法ｈ１よりも大きい。また、エンドプレート１２０に対する第１上流側締結部材５１４の締結点及びエンドプレート１２０に対する第１下流側締結部材５２４の締結点の底壁２１０からの高さは、互いに等しい。すなわち、上下方向における下流側ブラケット５２２の寸法は、上下方向における上流側ブラケット５１２の寸法よりも小さい。このため、第２上流側締結部材５１６及び第２下流側締結部材５２６が締め付けられると、図３に示されるように、下流側熱伝導部４２０の厚みが上流側熱伝導部４１０の厚みよりも小さくなる。

【0037】

以上のように、本実施形態の蓄電装置１では、下流側熱伝導部４２０の厚みが上流側熱伝導部４１０の厚みよりも小さいため、冷却媒体による下流側スタック１０２の冷却量が増大する。よって、上流側スタック１０１に含まれる蓄電セル１１０の温度と下流側スタック１０２に含まれる蓄電セル１１０の温度とにバラツキが生じることが抑制される。

【0038】

上記実施形態において、補強ブラケット２５０が省略され、一方向における各ブラケット５１２，５２２の外側の端部がケース２００のフランジ２３０等に固定されてもよい。

【0039】

また、上流側ブラケット５１２と下流側ブラケット５２２とが互いに同じ形状を有し、エンドプレート１２０に対する第１下流側締結部材５２４の締結点の底壁２１０からの高さが、エンドプレート１２０に対する第１上流側締結部材５１４の締結点の底壁２１０からの高さよりも大きくてもよい。

【0040】

上述した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。

【0041】

上記実施形態における蓄電装置は、一方向に並ぶように配置された複数の蓄電セルを含む蓄電モジュールと、前記蓄電モジュールを収容するケースと、前記ケースの下方に設けられており、前記ケースを介して前記蓄電モジュールを冷却するための冷却器と、前記蓄電モジュールの下面と前記ケースとの間に配置された熱伝導材と、を備え、前記冷却器は、前記一方向に沿って冷却媒体が流れる冷却流路を有し、前記蓄電モジュールは、前記冷却流路の流れ方向における上流側に配置されており、前記複数の蓄電セルのうち一部の蓄電セルを含む上流側スタックと、前記流れ方向における前記上流側スタックの下流側に配置されており、前記複数の蓄電セルのうち前記上流側スタックに含まれる蓄電セル以外の蓄電セルを含む下流側スタックと、前記上流側スタックと前記下流側スタックとの間に配置された中間プレートと、を有し、前記ケースは、前記蓄電モジュールの下方に配置された底壁を有し、前記底壁は、前記中間プレートに向かって隆起する隆起部を有し、前記熱伝導材は、前記流れ方向における前記隆起部の上流側でかつ前記上流側スタックと前記底壁との間に配置された上流側熱伝導部と、前記流れ方向における前記隆起部の下流側でかつ前記下流側スタックと前記底壁との間に配置された下流側熱伝導部と、を有し、前記下流側熱伝導部は、前記上流側熱伝導部の厚みよりも小さな厚みを有する。

【0042】

この蓄電装置では、下流側熱伝導部の厚みが上流側熱伝導部の厚みよりも小さいため、冷却媒体による下流側スタックの冷却量が増大する。よって、上流側スタックに含まれる蓄電セルの温度と下流側スタックに含まれる蓄電セルの温度とにバラツキが生じることが抑制される。

【0043】

また、前記下流側熱伝導部の厚みは、前記流れ方向における下流側に向かうにしたがって次第に小さくなることが好ましい。

【0044】

このようにすれば、上流側スタックに含まれる蓄電セルの温度と下流側スタックに含まれる蓄電セルの温度とにバラツキが生じることがより確実に抑制される。

【0045】

また、前記蓄電装置において、前記蓄電モジュールを前記底壁に向けて押し付ける押付け部材をさらに備え、前記押付け部材は、前記流れ方向における前記上流側スタックの上流側の端部を前記底壁に向けて押し付ける上流側押付け部と、前記流れ方向における前記下流側スタックの下流側の端部を前記底壁に向けて押し付ける下流側押付け部と、を有し、前記下流側押付け部は、前記下流側熱伝導部の厚みが前記上流側熱伝導部の厚みよりも小さくなるように前記下流側スタックの前記下流側の端部を前記底壁に向けて押し付けていることが好ましい。

【0046】

また、前記上流側押付け部は、前記上流側スタックを前記ケースに取り付けるための上流側ブラケットと、前記上流側ブラケットを前記上流側スタックに締結する第１上流側締結部材と、前記上流側ブラケットを前記ケースに締結する第２上流側締結部材と、を有し、前記下流側押付け部は、前記下流側スタックを前記ケースに取り付けるための下流側ブラケットと、前記下流側ブラケットを前記下流側スタックに締結する第１下流側締結部材と、前記下流側ブラケットを前記ケースに締結する第２下流側締結部材と、を有していてもよい。この場合において、前記中間プレートが前記隆起部に載置され、前記下流側ブラケットが前記第１下流側締結部材によって前記下流側スタックに固定され、かつ、前記下流側ブラケットが前記第２下流側締結部材によって前記ケースに固定される前の状態における前記下流側ブラケット及び前記ケース間の寸法は、前記中間プレートが前記隆起部に載置され、前記上流側ブラケットが前記第１上流側締結部材によって前記上流側スタックに固定され、かつ、前記上流側ブラケットが前記第２上流側締結部材によって前記ケースに固定される前の状態における前記上流側ブラケット及び前記ケース間の寸法よりも大きいことが好ましい。

【0047】

なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。

【符号の説明】

【0048】

１ 蓄電装置、１００ 蓄電モジュール、１０１ 上流側スタック、１０２ 下流側スタック、１０３ 中間プレート、１１０ 蓄電セル、１２０ エンドプレート、２００ ケース、２０１ ロアケース、２０２ アッパーケース、２１０ 底壁、２１２ 隆起部、２２０ 周壁、２３０ フランジ、２４０ 仕切壁、２５０ 補強ブラケット、３００ 冷却器、３０２ 冷却流路、４００ 熱伝導材、４１０ 上流側熱伝導部、４２０ 下流側熱伝導部、５００ 押付け部材、５１０ 上流側押付け部、５１２ 上流側ブラケット、５１４ 第１上流側締結部材、５１６ 第２上流側締結部材、５２０ 下流側押付け部、５２２ 下流側ブラケット、５２４ 第１下流側締結部材、５２６ 第２下流側締結部材。

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】