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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】管理システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/90 20160101AFI20240717BHJP
   H02J 50/40 20160101ALI20240717BHJP
   H02J 50/12 20160101ALI20240717BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240717BHJP
   H02J 50/80 20160101ALI20240717BHJP
【FI】
H02J50/90
H02J50/40
H02J50/12
H02J7/00 P
H02J7/00 301D
H02J50/80
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021115678
(22)【出願日】2021-07-13
(65)【公開番号】P2023012185
(43)【公開日】2023-01-25
【審査請求日】2023-04-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横山 大樹
(72)【発明者】
【氏名】橋本 俊哉
(72)【発明者】
【氏名】小林 勝也
(72)【発明者】
【氏名】平野 貴洋
(72)【発明者】
【氏名】杉山 緑
(72)【発明者】
【氏名】山下 龍之介
【審査官】清水 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-097456(JP,A)
【文献】特開2014-236540(JP,A)
【文献】特開2008-243071(JP,A)
【文献】米国特許第9768621(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/00 - 50/90
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に対してワイヤレス給電を行なう給電マットを管理する管理システムであって、
前記給電マットは、所定の場所に設置された状態で通信を行なうように構成され、
当該管理システムは、
前記給電マットの通信を監視する監視装置と、
前記監視装置によって前記給電マットの通信が途絶えたことが検知された場合に、所定の処理を実行する処理装置と、
を備え、
当該管理システムは、前記給電マットを含む複数の給電マットをさらに備え、
設置された前記複数の給電マットが、給電マット間で通信を行なうように構成され、
前記監視装置は、前記給電マット間の通信を監視するように構成される、管理システム。
【請求項2】
前記所定の処理は、前記給電マットの通信が途絶えたことを示す信号を前記処理装置が送信することを含む、請求項1に記載の管理システム。
【請求項3】
当該管理システムは警報器をさらに備え、
前記所定の処理は、前記処理装置が前記警報器によって警報を鳴らすことを含む、請求項1又は2に記載の管理システム。
【請求項4】
前記給電マットは、当該給電マットの位置を発信する発信機を有し、
前記所定の処理は、前記処理装置が前記発信機に位置の発信を開始させることを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の管理システム。
【請求項5】
前記処理装置は、前記複数の給電マットのいずれかの通信が途絶えたことが前記監視装置によって検知された場合に、前記複数の給電マットのいずれで通信が途絶えたかを示す信号を送信する、請求項1~4のいずれか一項に記載の管理システム。
【請求項6】
前記複数の給電マットの各々は、筒状に巻回可能な程度の柔軟性を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の管理システム。
【請求項7】
前記複数の給電マットの各々は、貸出し用の給電マットである、請求項1~6のいずれか一項に記載の管理システム。
【請求項8】
前記複数の給電マットの各々が、前記監視装置及び前記処理装置を備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の管理システム。
【請求項9】
移動体に対してワイヤレス給電を行なう給電マットを管理する管理システムであって、
前記給電マットは、所定の場所に設置された状態で通信を行なうように構成され、
当該管理システムは、
前記給電マットの通信を監視する監視装置と、
前記監視装置によって前記給電マットの通信が途絶えたことが検知された場合に、所定の処理を実行する処理装置と、
を備え、
当該管理システムは、前記所定の場所に設置された状態の前記給電マットと通信を行なう通信装置をさらに備え、
前記監視装置は、前記給電マットと前記通信装置との間の通信を監視するように構成され、
前記給電マットは複数の送電コイルを含み、
当該管理システムは、前記給電マットに含まれる各送電コイルに電力を供給する電源回路を含む電源モジュールをさらに備え、
前記監視装置及び前記通信装置は前記電源モジュールに内蔵される、管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、管理システム、及び給電マットの管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば特開2018-157686号公報(特許文献1)には、複数の給電ユニットが走行車線に沿って設けられた給電レーンを車両が走行する際に、車体前方の道路上に異物の存在を検知した場合に、異物の存在を検知した地点の前後の所定範囲に存在する給電ユニットからの給電を停止又は抑制させることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-157686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載される給電ユニットは道路に埋設される。そして、複数の給電ユニットの各々は1つの送電コイルを備える。これに対し、本願発明者は、容易に設置可能な給電マットを提案する。給電マットは、たとえば床又は壁に設置され、給電マットに近づいた移動体に対してワイヤレス給電を行なうように構成される。
【0005】
給電マットは、上記特許文献1に記載されるような道路に埋設される給電ユニットと比べて、設置後の取外しが容易であるため、風で飛ばされたり盗難されたりすることが懸念される。
【0006】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、設置された給電マットを容易かつ適切に監視することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の観点に係る管理システムは、移動体に対してワイヤレス給電を行なう給電マットを管理するように構成される。給電マットは、所定の場所に設置された状態で通信を行なうように構成される。そして、当該管理システムは、給電マットの通信を監視する監視装置と、監視装置によって給電マットの通信が途絶えたことが検知された場合に、所定の処理を実行する処理装置とを備える。
【0008】
上記管理システムでは、処理装置が、給電マットの通信が途絶えたか否かに基づいて、給電マットが所定の場所に存在するか否かを判断することができる。具体的には、給電マットの通信が継続している場合には、給電マットは所定の場所に存在すると考えられる。他方、給電マットの通信が途絶えた場合には、給電マットは所定の場所に存在しない可能性が高い。そして、給電マットが所定の場所から離れたときには、処理装置が所定の処理を実行することによって必要な措置を講じることができる。
【0009】
移動体の例としては、無人の移動体(無人搬送車(AGV)、農業機械、歩行ロボット、ドローン、ロボットクリーナ、宇宙探査機等)、乗り物(自動車、鉄道車両、船、飛行機等)が挙げられる。
【0010】
上記所定の処理は、給電マットの通信が途絶えたことを示す信号を処理装置が送信することを含んでもよい。こうした構成によれば、給電マットが所定の場所に存在しなくなったことを外部の端末(たとえば、給電マットの管理者の端末)に知らせることができる。
【0011】
上述したいずれかの管理システムは警報器をさらに備えてもよい。上記所定の処理は、処理装置が警報器によって警報を鳴らすことを含んでもよい。こうした構成によれば、給電マットの盗難を抑制することができる。
【0012】
給電マットは、当該給電マットの位置を発信する発信機を有してもよい。上記所定の処理は、処理装置が上記発信機に位置の発信を開始させることを含んでもよい。こうした構成によれば、給電マットの盗難を抑制することができる。
【0013】
上述したいずれかの管理システムにおいて、監視装置及び処理装置の各々は、給電マット内又は給電マットの近傍に配置されてもよい。当該管理システムは、給電マットの管理者の端末と通信可能に構成されるサーバをさらに備えてもよい。処理装置は、監視装置によって給電マットの通信が途絶えたことが検知された場合に、サーバへ第1信号を送信するように構成されてもよい。サーバは、第1信号を受信すると、給電マットが所定の場所から離れたことを示す第2信号を、給電マットの管理者の端末へ送信するように構成されてもよい。
【0014】
上記構成によれば、給電マットが所定の場所に存在しなくなったことを、上記サーバを介して、給電マットの管理者に知らせることができる。上記のようなサーバを採用することで、多くの給電マットを管理しやすくなる。
【0015】
上述したいずれかの管理システムは、上述した給電マットを含む複数の給電マットをさらに備えてもよい。そして、設置された複数の給電マットが、給電マット間で通信を行なうように構成されてもよい。監視装置は、給電マット間の通信を監視するように構成されてもよい。
【0016】
上記管理システムによれば、設置された複数の給電マットを容易かつ適切に監視することが可能になる。給電マット間の通信は、有線通信であってもよいし、無線通信であってもよい。
【0017】
処理装置は、上記複数の給電マットのいずれかの通信が途絶えたことが監視装置によって検知された場合に、上記複数の給電マットのいずれで通信が途絶えたかを示す信号を送信するように構成されてもよい。
【0018】
上記構成によれば、複数の給電マットのいずれかが所定の場所に存在しなくなった場合に、いずれの給電マットが所定の場所に存在しなくなったかを外部の端末(たとえば、給電マットの管理者の端末)に知らせることができる。
【0019】
上記複数の給電マットの各々は、筒状に巻回可能な程度の柔軟性を有してもよい。こうした給電マットは、巻いて筒状にできるため、持ち運びが容易である。
【0020】
上記複数の給電マットの各々は、貸出し用の給電マットであってもよい。前述した監視装置及び処理装置により貸出し用の給電マットを管理しやすくなるため、給電マットを貸し出すビジネスモデルが成立しやすくなる。
【0021】
上記複数の給電マットの各々が監視装置及び処理装置を備えてもよい。こうした構成によれば、仮に1つの給電マットが所定の場所から遠くに離れても、残った給電マットの処理装置によって所定の処理を実行することができる。
【0022】
上述したいずれかの管理システムは、上記所定の場所に設置された状態の給電マットと通信を行なう通信装置をさらに備えてもよい。監視装置は、給電マットと通信装置との間の通信を監視するように構成されてもよい。
【0023】
上記構成によっても、設置された給電マットを容易かつ適切に監視することができる。上記通信装置は、上記所定の場所の近傍(たとえば、地中)に設けられてもよい。また、上記通信装置は、上記所定の場所から離れた場所に設けられたサーバに搭載されてもよい。給電マットと通信装置との間の通信は、有線通信であってもよいし、無線通信であってもよい。
【0024】
上記通信装置は給電マットの電源設備に搭載されてもよい。具体的には、上記給電マットは複数の送電コイルを含んでもよい。管理システムは、給電マットに含まれる各送電コイルに電力を供給する電源回路を含む電源モジュールをさらに備えてもよい。監視装置及び通信装置は電源モジュールに内蔵されてもよい。
【0025】
上記構成では、電源モジュールに内蔵された監視装置によって、給電マットを容易かつ適切に監視することができる。
【0026】
本開示の第2の観点に係る給電マットの管理方法は、移動体に対してワイヤレス給電を行なう給電マットの通信を監視することと、給電マットの通信が途絶えた場合に所定の処理を実行することとを含む。
【0027】
上記給電方法によっても、前述した管理システムと同様、設置された給電マットを容易かつ適切に監視することができる。
【発明の効果】
【0028】
本開示によれば、設置された給電マットを容易かつ適切に監視することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本開示の実施の形態に係る給電マットを示す図である。
図2図1に示した給電マットの使用中の状態の一例を示す図である。
図3】本開示の実施の形態に係る給電マットを利用する移動体の構成と、給電マット及びその電源設備の構成とについて説明するための図である。
図4】本開示の実施の形態に係る給電方法を示すフローチャートである。
図5】本開示の実施の形態に係る管理システムについて説明するための図である。
図6】本開示の実施の形態に係る給電マットの管理方法において、設置された給電マットによって実行される監視処理を示すフローチャートである。
図7図6に示した監視処理によって送信される第1盗難信号を受信したサーバが実行する処理を示す図である。
図8】変形例において給電マットが実行する処理を示すフローチャートである。
図9】第1変形例に係る管理システムを示す図である。
図10】第1変形例に係る管理システムにおいて、図6に示した処理の代わりに実行される処理を示すフローチャートである。
図11】第2変形例に係る管理システムにおいて、図6及び図7に示した処理の代わりに実行される処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図中、同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0031】
図1は、この実施の形態に係る給電マットを示す図である。図1を参照して、給電マット100は、シート基材110と、シート基材110の内部に設けられた複数の送電コイル120とを含む。給電マット100は持ち運び可能に構成される。給電マット100の重さは、たとえば1人又は数人で持ち運び可能な程度に軽い。また、後述する給電マット100の電源設備(図3参照)は給電マット100に対して着脱可能に構成される。給電マット100は、筒状に巻回可能な程度の柔軟性を有する。図1には、部分的に筒状に巻回された状態の給電マット100を示している。ただし、給電マット100は、全体を筒状に巻回することもできる。給電マット100を巻いて筒状にすることで、給電マット100を持ち運びやすくなる。給電マット100は、筒状に巻回された状態で保管されてもよい。給電マット100は、シート状に広げることもできる。給電マット100は広げられた状態で使用される(後述する図2参照)。給電マット100は、敷物として扱うことができる。給電マット100は、屋内又は屋外に設置可能に構成される。給電マット100は屋内の通路(たとえば、通路の交差点)に設置されてもよい。給電マット100は、床の上に設置された後に、取外し可能な留め具(たとえば、押さえ金具又はグリッパー)で固定されてもよい。
【0032】
この実施の形態では、広げられた状態の給電マット100が矩形状の外形(平面形状)を有する。ただし、給電マット100の外形は矩形状に限られず適宜変更可能である。給電マット100の外形は、四角形以外の多角形(三角形、五角形、六角形等)でもよいし、円形でもよい。この実施の形態では、給電マット100に含まれる複数の送電コイル120がシート基材110に内蔵されている。しかしこれに限られず、送電コイル120は給電マット100の表面に露出するように設けられてもよい。シート基材110は、たとえば樹脂で形成される。ただし、シート基材110の材質は適宜変更可能である。送電コイル120は、たとえば金属で形成される。ただし、送電コイル120の材質は適宜変更可能である。たとえば、送電コイル120は導電性樹脂で形成されてもよい。給電マット100が備える送電コイル120の数は任意であり、2以上10未満であってもよいし、10以上100未満であってもよいし、100以上であってもよい。
【0033】
この実施の形態では、マット面(給電マット100の主面)において、複数の送電コイル120が縦と横とに規則的に配列されている。送電コイル120は、たとえば格子状に配置されている。ただしこれに限られず、送電コイル120の配置は適宜変更可能である。送電コイル120は不規則に配置されてもよい。図1に示す例では、送電コイル120が平面視で正六角形に形成されているが、送電コイル120の形状は適宜変更可能である。送電コイル120の平面形状は、六角形以外の多角形(たとえば、四角形)であってもよいし、円形であってもよい。送電コイル120の大きさも、給電マット100の用途(たとえば、給電マット100を使用する移動体の構造)に合わせて適宜変更してもよい。
【0034】
図2は、給電マット100の使用中の状態の一例を示す図である。図2に示す例では、給電マット100上に移動体201~208が載っている。給電マット100に含まれる複数の送電コイル120は、別々の移動体に個別に給電可能に構成される。移動体の受電コイル(2次コイル)と電磁的に結合した送電コイル120から移動体へワイヤレス給電が実行される。ワイヤレス電力伝送(WPT)の方式は任意であり、磁界共鳴方式でもよいし、電磁誘導方式でもよい。また、他の方式が採用されてもよい。
【0035】
移動体201~208の各々は、屋内及び屋外を走行可能に構成される小型のBEV(電気自動車)である。移動体201~206の各々は無人搬送車(AGV)である。移動体207及び208の各々は1人乗り電気自動車である。
【0036】
移動体201~205は、同じタイプのAGVである。移動体201~205の各々は、荷物の搬送に使用される。図2に示す例では、移動体201~203の各々が単独で荷物を運んでいる。一方、移動体204及び205は、1台では運べない大きな荷物を協働で運んでいる。移動体201~205の各々は、屋内(又は、敷地内)での搬送に適している。以下では、区別して説明する場合を除いて、移動体201~205の各々を「AGV200」と称する。
【0037】
移動体206は、配達ボックス付きのAGVである。配達ボックスは施解錠可能に構成されてもよい。配達ボックスは、特定の人(たとえば、認証に成功した者)のみが施解錠可能であってもよい。配達ボックスは温度調整可能に構成されてもよい。配達ボックスは保冷庫であってもよい。
【0038】
移動体207及び208の各々は、人が乗って手動で運転することも無人で自動運転で走行することも可能に構成される。移動体207はハンドルバーを備える。移動体208はハンドルバー及び座席を備える。移動体207及び208の各々は、屋内(又は、敷地内)を移動する乗り物として適している。
【0039】
図3は、給電マット100から給電を受ける移動体の構成と、給電マット100の電源設備の構成とについて説明するための図である。以下では、移動体の一例として、AGV200の構成について説明する。
【0040】
図2とともに図3を参照して、この実施の形態に係る給電システムは、給電マット100と、電源モジュール300と、カメラ350とを含む。電源モジュール300は、給電マット100の電源設備に相当する。電源モジュール300はケーブルを介して給電マット100と電気的に接続される。電源モジュール300は電源回路310を備える。電源回路310は、電力系統PGから電力の供給を受け、給電マット100に含まれる複数の送電コイル120の各々に電力を供給するように構成される。電力系統PGは、図示しない発電所及び送配電設備によって構築される電力網である。電力系統PGは、交流電力(たとえば、三相交流電力)を電源モジュール300へ供給する。電源回路310は、電力変換回路を含む。電源回路310は、電力系統PGから供給される電力を、給電マット100に適した電力に変換して、変換後の電力を給電マット100へ供給する。
【0041】
カメラ350は、電源モジュール300から電力の供給を受け、給電マット100の上方から給電マット100の周辺を撮像するように構成される。電源モジュール300は、給電マット100のための電源回路310に加えて、カメラ350のための電源回路(図示せず)も含む。カメラ350は、壁に取り付けられてもよい。あるいは、カメラ350を支持する支柱が設けられてもよい。カメラ350は、撮像素子に加えて、撮像素子で取得した映像を解析するためのプロセッサ及び画像処理回路を内蔵する。カメラ350は、給電マット100の全面を撮像し、給電マット100上に存在する対象(生体又は物体)を識別する。カメラ350によって給電マット100の状態が監視される。
【0042】
給電マット100は、シート基材110の内部に、複数の磁気マーカ121と、電力制御回路130と、電力制御回路130を制御するマットコントローラ150とをさらに備える。マットコントローラ150としては、プロセッサ、RAM(Random Access Memory)、記憶装置、及び通信I/F(インターフェース)を備えるコンピュータを採用できる。この実施の形態では、マットコントローラ150において記憶装置に記憶されているプログラムをプロセッサが実行することで、給電マット100における各種制御が実行される。ただし、給電マット100における各種制御は、ソフトウェアによる実行に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で実行することも可能である。
【0043】
電力制御回路130は接続切替回路を含む。この接続切替回路は、電源回路310から電力の供給を受け、給電マット100に含まれる各送電コイル120と電源回路310との接続/遮断を切り替えるように構成される。電力制御回路130の接続切替回路は、送電コイル120ごとに設けられたスイッチを含んでもよい。この実施の形態では、接続切替回路がノーマリオフ型のスイッチ回路である。マットコントローラ150が停止状態(スリープ状態を含む)になっているときには、給電マット100に含まれる各送電コイル120と電源回路310とは遮断状態になる。
【0044】
電力制御回路130は電力変換回路をさらに含む。この電力変換回路は、電源回路310と電気的に接続された各送電コイル120に対して所定の電圧を印加するように構成される。具体的には、電力制御回路130の電力変換回路は、共振回路(たとえば、LC共振回路)、フィルタ回路、インバータ、及びPFC(Power Factor Correction)回路を含んでもよい。詳細は後述するが、マットコントローラ150は、受電コイル(2次コイル)と結合した送電コイル120に対してはワイヤレス給電に適した電圧を印加し、受電コイル(2次コイル)と結合していない送電コイル120に対しては微弱な電圧を印加するように、電力制御回路130を制御する。
【0045】
複数の磁気マーカ121は、複数の送電コイル120に対応して設けられている。すなわち、磁気マーカ121は、給電マット100に含まれる送電コイル120ごとに設けられている。磁気マーカ121は、対応する送電コイル120の位置を示す。移動体は、磁気マーカ121が発する磁気を磁気センサで検出することにより、その磁気マーカ121に対応する送電コイル120の位置を検出できる。
【0046】
給電マット100のシート基材110には、支柱145を介して、連携モジュール140が接続されている。連携モジュール140は、通信機141と、警報器142とを含む。支柱145の内部には、マットコントローラ150と連携モジュール140とをつなぐ通信線が設けられている。マットコントローラ150は、通信機141を通じて、給電マット100の外部の装置と通信するように構成される。
【0047】
給電マット100は、他の給電マットと通信可能に構成される。通信機141は、給電マット100の近傍に設置された他の給電マットと通信可能な近距離通信機を含む。複数の給電マット100が近傍に配置された場合には、給電マット100の通信機141同士が、たとえばNFC(Near Field Communication)のような近距離通信を行なう。この実施の形態では、近くに設置された複数の給電マット100が相互に無線通信を行なう。ただし、給電マット間の通信方式は任意であり、有線通信であってもよい。警報器142は、給電マット100の所定の通信(この実施の形態では、給電マット100の近傍に設置された他の給電マットとの通信)が途絶えたときに警報を鳴らすように構成される。警報器142は、たとえば警報ブザーである。警報器142は、マットコントローラ150によって制御される。
【0048】
詳細は後述するが、通信機141は、AGV200と通信可能な無線通信機をさらに含む。
【0049】
給電マット100と電源モジュール300とをつなぐケーブルの内部には電力線だけでなく通信線も設けられている。この実施の形態では、給電マット100と電源モジュール300とが通信可能に構成される。マットコントローラ150は、電源モジュール300内の電源回路310を制御するように構成される。また、カメラ350は電源モジュール300を介して給電マット100と通信可能に接続されている。カメラ350が取得した情報は電源モジュール300を経由してマットコントローラ150に入力される。
【0050】
AGV200は、バッテリ210と、送電コイル120から非接触で電力を受ける受電コイル220と、受電コイル220で受けた電力を用いてバッテリ210の充電を行なう充電回路230と、無線通信機240と、充電回路230を制御するECU(Electronic Control Unit)250とを備える。
【0051】
バッテリ210としては、公知の車両用蓄電装置(たとえば、液式二次電池、全固体二次電池、又は組電池)を採用できる。車両用二次電池の例としては、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池が挙げられる。二次電池の代わりに、電気二重層キャパシタのような他の蓄電装置を採用してもよい。充電回路230は、バッテリ210の車載充電器として機能する。ECU250としては、プロセッサ、RAM、記憶装置、及び通信I/Fを備えるコンピュータを採用できる。この実施の形態では、ECU250において記憶装置に記憶されているプログラムをプロセッサが実行することで、AGV200における各種制御が実行される。ただし、AGV200における各種制御は、ソフトウェアによる実行に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で実行することも可能である。
【0052】
AGV200は、バッテリ210に蓄えられた電力を用いて無人で走行可能に構成される自動運転車両である。図示は割愛しているが、AGV200は、電動モータと、BMS(Battery Management System)と、自動運転センサと、地図情報を有するナビゲーションシステムとをさらに備える。AGV200は、バッテリ210から電動モータに電力を供給して、電動モータによって生成される動力によって走行する。また、BMSは、バッテリ210の状態(たとえば、電流、電圧、及び温度)を検出する各種センサを含み、その検出結果がECU250に入力される。たとえば、バッテリ210の充電電力(充電電流及び充電電圧)がBMSによって検出される。また、BMSによってバッテリ210のSOC(State Of Charge)が推定され、その推定結果がECU250に入力される。
【0053】
自動運転センサは、自動運転に使用されるセンサである。ただし、自動運転センサは、自動運転が実行されていないときに所定の制御で使用されてもよい。自動運転センサは、AGV200の外部環境を認識するための情報を取得するセンサと、AGV200の位置及び姿勢に関する情報を取得するセンサとを含む。自動運転センサは、カメラ、ミリ波レーダ、及びライダーの少なくとも1つを含む。さらに、自動運転センサはIMU(Inertial Measurement Unit)及びGPS(Global Positioning System)センサを含む。
【0054】
AGV200は、所定の走行スケジュールに従って無人で自律走行可能に構成される。走行スケジュールは、たとえば目的地への出発時刻及び到達時刻を含む。走行スケジュールの設定方法は任意である。たとえば、AGV200と無線通信可能なユーザ端末(たとえば、モバイル端末)をユーザが操作して、ECU250に走行スケジュール及び目的地を設定してもよい。あるいは、AGV200と有線通信可能に接続されたサービスツール、又はAGV200が備えるHMI(Human Machine Interface)をユーザが操作して、ECU250に走行スケジュール及び目的地を設定してもよい。
【0055】
ECU250は、所定の自動運転プログラムに従い、自動運転(自動駐車を含む)を実行するように構成される。ECU250は、自動運転センサによって取得される各種情報を用いて、AGV200のアクセル装置、ブレーキ装置、及び操舵装置(いずれも図示せず)を制御することにより、AGV200の自動運転を実行する。自動運転プログラムは、OTA(Over The Air)によって逐次更新されてもよい。
【0056】
充電回路230は、バッテリ210と受電コイル220との間に位置し、ECU250によって制御される。充電回路230は電力変換回路を含む。送電コイル120から受電コイル220に供給される電力によってバッテリ210の充電が行なわれる場合には、受電コイル220からバッテリ210に適切な電力が入力されるようにECU250が充電回路230を制御する。充電回路230は、受電コイル220から入力される交流電力を直流電力に変換してバッテリ210へ直流電力を出力する。具体的には、充電回路230は、共振回路(たとえば、LC共振回路)、フィルタ回路、整流回路を含んでもよい。
【0057】
AGV200は、マット面(給電マット100の主面)におけるAGV200の位置を検出する位置センサモジュール221をさらに備える。位置センサモジュール221は、送電コイル120と受電コイル220との位置合わせに使用される。位置センサモジュール221は、たとえばAGV200の底面に設けられている。位置センサモジュール221は複数の磁気センサを含む。複数の磁気センサは格子状に配置されてもよい。位置センサモジュール221に含まれる各磁気センサは、磁気マーカ121から発せられる磁気を検出する。AGV200は、位置センサモジュール221の検出結果に基づいて、送電コイル120と受電コイル220との位置合わせを行ないながら、給電マット100上を走行するように構成される。
【0058】
この実施の形態では、給電マット100とAGV200とが通信可能に構成される。給電マット100の通信機141とAGV200の無線通信機240とが無線通信を行なうことによって、マットコントローラ150とECU250との間で情報をやり取りすることができる。給電マット100とAGV200との通信方式は任意である。給電マット100とAGV200とは、たとえばNFC(Near Field Communication)又はBluetooth(登録商標)のような近距離通信(たとえば、給電マット100周辺の範囲での直接通信)を行なうように構成されてもよい。また、給電マット100とAGV200とは、無線LAN(Local Area Network)を利用した無線通信を行なうように構成されてもよい。AGV200は、RFID(Radio Frequency IDentification)装置を備えてもよい。そして、給電マット100は、AGV200のRFID装置から発せられる信号を受信するように構成されてもよい。
【0059】
上記では、AGV200の構成について説明したが、図2に示した移動体206~208の各々も、図3に示した構成に準ずる構成を内部に有する。必要に応じて、上述した回路構成を変更して同様の機能を実現してもよい。
【0060】
図4は、この実施の形態に係る給電方法を示すフローチャートである。この実施の形態では、所定の充電開始条件が成立したときに、移動体が図4に示す処理を開始する。所定の充電開始条件は、たとえば移動体が給電マット100の周辺の所定エリア内に入ると成立する。移動体は、給電マット100との通信が確立したときに、所定エリア内に入ったと認識してもよい。また、エリア判断にジオフェンシング技術が利用されてもよい。以下では、フローチャート中の各ステップを、単に「S」と表記する。また、以下では図4に示される処理をAGV200が実行する場合について説明するが、図4に示される処理は、他の移動体(たとえば、図2に示した移動体206~208)によっても実行される。
【0061】
図3とともに図4を参照して、S11では、AGV200のECU250が給電要求(給電を要求する信号)を給電マット100へ送信する。
【0062】
給電マット100がAGV200(ECU250)から上記給電要求を受信すると、マットコントローラ150が図4に示す処理を開始する。なお、S11において、認証のための情報が移動体から給電マット100へ送信されてもよい。そして、マットコントローラ150は、認証に成功した移動体に対してのみ、図4に示す処理を開始してもよい。
【0063】
マットコントローラ150は、S21において、給電マット100に含まれるいずれかの送電コイル120が、AGV200の受電コイル220(2次コイル)と電磁的に結合したか否かを判断する。マットコントローラ150は、送電コイル120と受電コイル220との結合係数に基づいて、送電コイル120と受電コイル220とが電磁的に結合しているか否かを判断してもよい。マットコントローラ150は、給電マット100に含まれる各送電コイル120に微弱電力を供給しながら、いずれかの送電コイル120がAGV200の受電コイル220と電磁的に結合したか否かを判断してもよい。
【0064】
受電コイル220と電磁的に結合した送電コイル120(以下、「結合コイル」とも称する)が給電マット100に存在する場合には、S21においてYESと判断され、処理がS22に進む。S22では、結合コイルから受電コイル220へワイヤレス電力伝送(WPT)が実行されるように、マットコントローラ150が電力制御回路130を制御する。S22では、ワイヤレス給電のための電圧が結合コイルに印加される。ただし、カメラ350によって給電マット100上(特に、結合コイルの近傍)に所定の対象(たとえば、金属片のような異物)が検出されたときには、WPT(S22)が禁止されてもよい。結合コイルが給電マット100に存在しない場合には、S21においてNOと判断され、処理がS23に進む。S23では、給電マット100に含まれる各送電コイル120に微弱電力が供給されるように、マットコントローラ150が電力制御回路130を制御する。
【0065】
マットコントローラ150は、AGV200から充電完了通知を受信するまで、上述したS21~S23の処理を継続する。マットコントローラ150は、S24において、給電マット100が充電完了通知を受信したか否かを判断する。
【0066】
一方、AGV200は、S12において走行中充電を実行する。具体的には、AGV200は、位置センサモジュール221の検出結果に基づいて、送電コイル120と受電コイル220との位置合わせを行ないながら、給電マット100上を走行する。AGV200は走行中に給電マット100から給電を受ける。そして、給電マット100の送電コイル120からAGV200の受電コイル220に供給される電力によってバッテリ210の充電が行なわれる。走行中のAGV200に対して給電を行なう送電コイル120は、AGV200の位置に応じて変わる。バッテリ210の充電中は、ECU250が充電電力を調整するように充電回路230を制御する。
【0067】
AGV200は、所定の充電完了条件が成立するまで上記の走行及び充電を継続する。ECU250は、S13において、上記充電完了条件が成立したか否かを判断する。この実施の形態では、AGV200が給電マット100を通過したときに充電完了条件が成立する。ECU250は、受電コイル220が給電マット100から給電を受けなくなったときに、AGV200が給電マット100を通過したと判断してもよい。また、バッテリ210のSOCが所定SOC値(たとえば、満充電を示すSOC値)以上になったときにも充電完了条件が成立する。充電完了条件が成立すると(S13にてYES)、ECU250は、S14において、給電マット100へ充電完了通知を送信する。そして、給電マット100が充電完了通知を受信すると(S24にてYES)、図4に示す一連の処理が終了する。
【0068】
上述のように、給電マット100は、移動体(たとえば、図2に示した移動体201~208のいずれか)に対してワイヤレス給電を行なうように構成される。しかしながら、こうした給電マット100は、道路に埋設されるタイプの給電ユニットと比べて、設置後の取外しが容易であるため、風で飛ばされたり盗難されたりすることが懸念される。
【0069】
そこで、この実施の形態に係る管理システムは、設置された給電マットを容易かつ適切に監視するために、以下に説明するサーバ500を備える。
【0070】
図5は、この実施の形態に係る管理システムについて説明するための図である。図3とともに図5を参照して、サーバ500は、モバイル端末T1と通信可能に構成される。モバイル端末T1は、給電マットの管理者(以下、「マット管理者」とも称する)によって携帯される。この実施の形態に係るモバイル端末T1は、本開示に係る「給電マットの管理者の端末」の一例に相当する。
【0071】
モバイル端末T1は、コンピュータを内蔵する。この実施の形態では、モバイル端末T1として、タッチパネルディスプレイを具備するスマートフォンを採用する。モバイル端末T1は、サーバ500と無線通信可能に構成される。モバイル端末T1のタッチパネルディスプレイは、マット管理者に対して情報を報知可能に構成される。ただし、モバイル端末T1としては、任意のモバイル端末を採用可能であり、タブレット端末、ウェアラブルデバイス(たとえば、スマートウォッチ)、電子キー、又はサービスツールなども採用可能である。
【0072】
マット管理者は貸出し用の給電マットを管理してもよい。マット管理者は、特定のユーザに給電マットを貸し出して、その対価を得てもよい。マット管理者は、ユーザが使用できるように給電マットを設置して、給電マットを使用したユーザから給電マットの使用料を受け取ってもよい。マット管理者は、図5に示す給電マット100A~100Dを貸し出してもよい。たとえば、ユーザが給電マット100A~100Dを使用できるように、給電マット100A~100Dの各々が所定の場所に設置されてもよい。図5に示す例では、給電マット100A~100Dが互いに隣接して大きな1つの給電マットを形成するように設置されている。このように設置された給電マット100A~100Dは、大きな1つの給電マットとして扱うことができる。しかし、前述のように、給電マットの一部(給電マット100A~100Dのいずれか)が風で飛ばされたり盗難されたりする可能性がある。
【0073】
そこで、この実施の形態では、近くに設置された給電マット100A~100Dを1つのグループとして扱い、同じグループに属する各給電マットによって、同じグループに属する他の給電マット(以下、「監視対象」とも称する)を監視する。監視対象は、給電マットごとに決められる。各給電マットは、監視対象が所定の場所(以下、「給電場所」とも称する)に存在するか否かを逐次判断する。各給電マットの給電場所は、当該給電マットが設置された場所に相当する。設置された給電マット100A~100Dが互いの存在を確認し合うことで、いずれかの給電マットが給電場所から離れた場合に、給電マットの離脱を早期に検出することができる。以下では、主に盗難防止の観点で給電マットの監視を行なう。ただし、監視の目的は盗難防止に限られない。たとえば、風で飛ばされた給電マットの有無を確認する目的で、設置された給電マットが監視されてもよい。
【0074】
サーバ500は、給電マット100A~100Dを管理するように構成される。給電マット100A~100Dの各々は、サーバ500と無線通信可能に構成される。サーバ500は、給電マット100A~100Dの各々から受信した情報に基づいて、給電マット100A~100Dの各々の状態を把握することができる。サーバ500は、上記グループ(給電マット100A~100D)だけでなく、複数のグループを管理するように構成されてもよい。
【0075】
この実施の形態では、給電マット100A~100Dの各々が、図1図3に示した給電マット100と同じ構成を有する。給電マット100A~100Dの使用方法は、前述のとおりである(図2図4参照)。図5では、電源モジュール300と給電マット100Dとをつなぐケーブルのみが図示されているが、電源モジュール300はケーブルを介して給電マット100A~100Dの各々と電気的に接続されている。電源モジュール300は、給電マット100Dのシート基材110(図3)の内部に設けられたケーブルを介して給電マット100A~100Cの各々と電気的に接続されてもよい。
【0076】
マットコントローラ150は、給電制御部151と、近距離通信制御部152と、盗難判断部153と、報知処理部154と、警報制御部155とを含む。これら各部は、たとえば、プロセッサと、プロセッサにより実行されるプログラムとによって具現化される。ただしこれに限られず、これら各部は、専用のハードウェア(電子回路)によって具現化されてもよい。
【0077】
給電制御部151は、移動体に対するワイヤレス給電を制御するように構成される(たとえば、図4参照)。
【0078】
近距離通信制御部152は、当該給電マットの近くに設置された所定の給電マット(以下、「通信対象」とも称する)と近距離通信を行なうように構成される。給電場所に設置された状態の給電マットにおいては、近距離通信制御部152による近距離通信が継続的に実行される。設置された複数の給電マット(たとえば、給電マット100A~100D)が、給電マット間で通信を行なう。この実施の形態では、通信対象(近距離通信の相手)を、隣接する給電マットとする。給電マット100Aは給電マット100D及び100Bと、給電マット100Bは給電マット100A及び100Cと、給電マット100Cは給電マット100B及び100Dと、給電マット100Dは給電マット100C及び100Aと近距離通信を行なう。給電マット100A~100Dの各々は、給電場所に設置された状態で継続して他の給電マット(詳しくは、隣接する給電マット)と通信を行なうように構成される。なお、通信対象は、隣接する給電マットに限られず、適宜変更可能である。
【0079】
盗難判断部153は、給電マット間の上記近距離通信を監視し、給電マットの上記近距離通信が途絶えたか否かを判断するように構成される。判断方法の詳細については後述する(図6参照)。
【0080】
報知処理部154は、盗難判断部153によって給電マット間の上記近距離通信が途絶えたことが検知された場合に、給電マットの通信が途絶えたことを示す第1信号をサーバ500へ送信するように構成される。こうした構成によれば、給電マットが給電場所に存在しなくなったことをサーバ500に知らせることができる。この実施の形態では、後述する第1盗難信号が上記第1信号に相当する(図6参照)。
【0081】
警報制御部155は、盗難判断部153によって給電マット間の上記近距離通信が途絶えたことが検知された場合に、警報器142によって警報を鳴らすように構成される。こうした構成によれば、給電マットの盗難を抑制することができる。
【0082】
この実施の形態では、マットコントローラ150が、本開示に係る「監視装置」及び「処理装置」を兼ねる。盗難判断部153が「監視装置」として機能し、報知処理部154及び警報制御部155の各々が「処理装置」として機能する。
【0083】
サーバ500は、管理者連絡判断部510を含む。サーバ500は、プロセッサと、RAMと、プログラムを記憶する記憶装置と(いずれも図示せず)を備え、プロセッサと、プロセッサにより実行されるプログラムとによって、管理者連絡判断部510が具現化される。ただしこれに限られず、管理者連絡判断部510は、専用のハードウェア(電子回路)によって具現化されてもよい。
【0084】
管理者連絡判断部510は、サーバ500が上記第1信号を受信すると、給電マットが給電場所から離れたことを示す第2信号を、モバイル端末T1へ送信するように構成される。この実施の形態では、後述する第2盗難信号が上記第2信号に相当する(図7のS42参照)。
【0085】
サーバ500は送受信機520をさらに備える。送受信機520は、給電マット100A~100Dの各々と通信可能に構成される。この実施の形態では、送受信機520が給電マット100A~100Dの各々と無線通信を行なう。ただしこれに限られず、通信方式は有線通信であってもよい。
【0086】
図6は、設置された給電マット100A~100Dの各々によって実行される監視処理(給電マットの監視に係る処理)を示すフローチャートである。以下では、図6に示す処理を実行する給電マットを、「対象マット」と称する。対象マットを監視する給電マットを、「第1隣接マット」と称する。対象マットに監視される給電マットを、「第2隣接マット」と称する。対象マットにとって、第2隣接マットは監視対象に相当する。
【0087】
この実施の形態では、対象マットが給電マット100Aである場合には、給電マット100Dが第1隣接マット、給電マット100Bが第2隣接マットに相当する。対象マットが給電マット100Bである場合には、給電マット100Aが第1隣接マット、給電マット100Cが第2隣接マットに相当する。対象マットが給電マット100Cである場合には、給電マット100Bが第1隣接マット、給電マット100Dが第2隣接マットに相当する。対象マットが給電マット100Dである場合には、給電マット100Cが第1隣接マット、給電マット100Aが第2隣接マットに相当する。
【0088】
対象マットは、第1隣接マットから存在確認通知を受信すると、図6に示す一連の処理を開始する。図6に示す処理は、対象マットのマットコントローラ150によって実行される。
【0089】
図6を参照して、S31では、対象マットが存在信号を第1隣接マットへ返信する。存在信号は、対象マットが給電場所(設置された場所)に存在することを示す信号である。対象マットが給電マット100Aである場合には、給電マット100Aは、給電マット100Dから存在確認通知を受信し、給電マット100Dへ存在信号を返信する。ただし、給電マット100Aが給電場所に存在しない場合には、給電マット100Aと給電マット100Dとの近距離通信が途絶え、給電マット100Aから給電マット100Dへ存在信号が返信されない。
【0090】
続くS32では、対象マットが存在確認通知を第2隣接マットへ送信する。存在確認通知は、監視対象の存在を確認するための通知である。対象マットが給電マット100Aである場合には、給電マット100Aから給電マット100Bへ存在確認通知が送信される。給電マット100Aと給電マット100Bとの近距離通信が途絶えていなければ、給電マット100Bは存在確認通知を受信する。これにより、給電マット100Bを対象マットとする監視処理(図6に示す一連の処理)が、給電マット100Aを対象マットとする監視処理(図6に示す一連の処理)とは別に開始される。これらの監視処理は並行して実行される。
【0091】
続くS33では、対象マットの盗難判断部153が、タイマによる計測を開始する。このタイマは、対象マットが存在確認通知を第2隣接マットへ送信してから経過した時間を計測する。
【0092】
続くS34では、対象マットの盗難判断部153が、第2隣接マットから存在信号を受信したか否かを判断する。対象マットが第2隣接マットから存在信号を受信していない場合には(S34にてNO)、対象マットの盗難判断部153が、S35において、タイマの計測値が所定値(以下、「Th1」と表記する)を超えたか否かを判断する。タイマの計測値がTh1を超えていなければ、S35においてNOと判断され、処理がS34に戻る。Th1は、第2隣接マット(監視対象)の存否を的確に判断できるように設定される。Th1は30秒以上10分以下の範囲から選ばれた時間であってもよい。この実施の形態では、Th1を5分とする。
【0093】
対象マットが存在確認通知を第2隣接マットへ送信してから経過した時間がTh1を超える前に、対象マットが第2隣接マットから存在信号を受信すると(S34にてYES)、対象マットの盗難判断部153は、S38においてタイマをリセットする。これにより、タイマは初期値(0)に戻る。対象マットが第2隣接マットから存在信号の返信を受けたことは、対象マットと第2隣接マットとの近距離通信が途絶えていないことを意味する。
【0094】
タイマの計測値がTh1を超えても対象マットが第2隣接マットから存在信号の返信を受けない場合には(S35にてYES)、S36及びS37の処理が実行される。タイマの計測値がTh1を超えても対象マットが第2隣接マットから存在信号の返信を受けないことは、対象マットと第2隣接マットとの近距離通信が途絶えたことを意味する。
【0095】
S36では、対象マットの報知処理部154が、第2隣接マットを識別する情報(監視対象ID)を含む第1盗難信号をサーバ500へ送信する。第1盗難信号は、給電マット100A~100Dのいずれで通信が途絶えたかを示す。たとえば、第2隣接マットが給電マット100Bである場合には、第1盗難信号は、給電マット100Bで通信が途絶えた旨を示す。さらに、第1盗難信号は、第2隣接マットが給電場所から離れたこと(たとえば、第2隣接マットが盗難されたこと)を示す。
【0096】
S37では、対象マットの警報制御部155が、警報器142によって警報を鳴らす。これにより、警報器142が鳴動し、警報器142から音が出る。警報器142は、所定の期間が経過するまで継続して鳴動する。
【0097】
S36及びS37の処理が実行されると、図6に示す一連の処理が終了する。
図7は、上述した監視処理によって送信される第1盗難信号を受信したサーバ500が実行する処理を示す図である。
【0098】
図7を参照して、設置された給電マット100A~100Dの各々は、図6に示した処理を実行する。そして、給電マット100Bが盗難されると、給電マット100Aを対象マットとする監視処理(図6に示す一連の処理)において、以下に示すようにS36及びS37の処理が実行される。給電マット100Aは、S36において、給電マット100Bで通信が途絶えた旨を示す第1盗難信号をサーバ500へ送信する。また、給電マット100Aは、S37において警報を鳴らす。これにより、給電マット100Aの警報器142が警告音を発して盗難が発生したことを周囲に知らせる。
【0099】
サーバ500は、図7中のフローチャートF1で示される処理を繰り返し実行するように構成される。S41では、サーバ500が、給電マットから第1盗難信号を受信したか否かを判断する。サーバ500が第1盗難信号を受信しない期間においては、S41の処理が繰り返し実行される。そして、サーバ500は、第1盗難信号を受信すると(S41にてYES)、S42において、給電マットが給電場所に存在しなくなったことを、その給電マットの管理者に連絡する。サーバ500は、給電マット100A~100Dのいずれかから第1盗難信号を受信すると、モバイル端末T1へ第2盗難信号を送信する。第2盗難信号は、給電マットが給電場所から離れたこと(たとえば、給電マットが盗難されたこと)を示す。さらに、第2盗難信号は、給電場所から離れた給電マットを識別する情報を含む。たとえば、給電マット100Bが盗難された場合には、第2盗難信号は、給電マット100Bが給電場所から離れたことを示す。
【0100】
第2盗難信号を受信したモバイル端末T1は、第2盗難信号を受信したことをマット管理者に報知する。モバイル端末T1は、たとえば「給電マット100Bの所在が不明です。盗難された可能性があります。」のようなメッセージを表示してもよい。
【0101】
以上説明したように、この実施の形態に係る管理システムは、移動体に対してワイヤレス給電を行なう給電マット100A~100Dを管理するように構成される。給電マット100A~100Dの各々は、所定の場所に設置された状態で通信を行なうように構成される。給電マット100A~100Dの各々は、以下に説明する監視装置及び処理装置として機能するマットコントローラ150(盗難判断部153、報知処理部154、及び警報制御部155を含む)を備える。
【0102】
監視装置は、給電マットの通信を監視するように構成される。処理装置は、監視装置によって給電マットの通信が途絶えたことが検知された場合に、所定の処理を実行するように構成される。
【0103】
上記マットコントローラ150では、盗難判断部153が、給電マットの通信が途絶えたか否かに基づいて、給電マットが給電場所に存在するか否かを判断する(図6のS34及びS35)。そして、給電マットが給電場所から離れたときには、報知処理部154がサーバ500経由でマット管理者に給電マットの離脱を知らせるとともに、警報制御部155が警報を鳴らす(図6のS36及びS37)。こうした管理システムによれば、設置された給電マットを容易かつ適切に監視することが可能になる。
【0104】
この実施の形態に係る給電マットの管理方法は、移動体に対してワイヤレス給電を行なう給電マットの通信を監視すること(図6のS34及びS35)と、給電マットの通信が途絶えた場合に所定の処理を実行すること(図6のS36及びS37)とを含む。こうした給電マットの管理方法によれば、設置された給電マットを容易かつ適切に監視することが可能になる。
【0105】
図6に示した処理では、対象マットによって第2隣接マット(監視対象)の存否が監視される。しかしこれに限られず、対象マットは、監視対象の存否に加えて、自らの存否(対象マットの存否)を監視してもよい。図8は、変形例において給電マット100A~100Dの各々が実行する処理を示すフローチャートである。この変形例においては、給電マット100A~100Dの各々が、給電場所に設置された状態で、以下に説明する図8に示す処理を繰り返し実行する。この変形例では、給電マット100A~100Dの各々が、当該給電マットの位置を発信する発信機(たとえば、図8に示す発信機160)を有する。図8に示す処理は、対象マットのマットコントローラ150によって実行される。
【0106】
図5とともに図8を参照して、対象マットは、S51において、第1隣接マットから存在確認通知を受信したか否かを判断する。そして、対象マットは、第1隣接マットから存在確認通知を受信すると(S51にてYES)、S30において、図6に示した一連の処理を実行する。この流れは、上記実施の形態と同じである。
【0107】
ただし、この変形例では、対象マットが第1隣接マットから存在確認通知を受信しない期間(S51にてNO)において、S52の処理が実行される。S52では、対象マットが直近の存在確認通知(前回の存在確認通知)を受信してから所定時間(以下、「Th2」と表記する)以上経過したか否かを、対象マットのマットコントローラ150が判断する。Th2は、対象マットの存否を的確に判断できるように設定される。Th2は30秒以上10分以下の範囲から選ばれた時間であってもよい。
【0108】
そして、前回の存在確認通知の受信からTh2以上経過しても対象マットが次の存在確認通知(今回の存在確認通知)を受信しない場合には(S52にてYES)、以下に説明するS53及びS54の処理が実行される。前回の存在確認通知の受信からTh2以上経過しても対象マットが今回の存在確認通知を受信しないことは、対象マットと第1隣接マットとの近距離通信が途絶えたことを意味する。なお、対象マットのマットコントローラ150は、対象マットが電源モジュール300から切り離された場合に対象マットに搭載されたバックアップ電源によって所定の期間だけ動作できるように構成されてもよい。また、対象マットのマットコントローラ150が正常な終了処理によらず停電状態になった場合に、S52においてYESと判断されてもよい。
【0109】
S53では、対象マットのマットコントローラ150が、対象マットのシート基材110に内蔵された発信機160を有効化する。発信機160は、たとえばGPS発信機である。発信機160は、平常時は無効(オフ)になっており、S53の処理により有効化(オン)されると、対象マットの位置の発信を開始する。給電マット100A~100Dの各々は発信機160のための蓄電装置を備えてもよい。あるいは、図示しないバックアップ電源から発信機160へ電力が供給されてもよい。
【0110】
S54では、対象マットのマットコントローラ150が、対象マットを識別する情報(対象マットID)を含む第3盗難信号をサーバ500へ送信するように構成される。第3盗難信号は、対象マットの通信が途絶えたことを示す。
【0111】
給電マット100A~100Dのうち、給電マット100Aが盗難されると、給電マット100Dから給電マット100Aに向けて存在確認通知が送信されても給電マット100Aに届かなくなる。このため、給電マット100Aを対象マットとする処理(図8に示す一連の処理)において、上記S53の処理により給電マット100Aの発信機160が有効化される。その一方で、給電マット100Bは給電マット100Aから存在確認通知を受信しなくなる。このため、給電マット100Bを対象マットとする処理(図8に示す一連の処理)においては、上記S53の処理により給電マット100Bの発信機160が有効化される。
【0112】
サーバ500は、上記第3盗難信号(S54)を受信すると、図8に示す処理を開始する。サーバ500は、S61において、各給電マットの発信機160から発信される各給電マットの位置情報を取得する。続けて、サーバ500は、S62において、S61で取得した各給電マットの位置情報に基づいて、各給電マットが盗難された可能性を診断する。具体的には、サーバ500は各給電マットの挙動に基づいて各給電マットの盗難の可能性を診断してもよい。たとえば、給電マットの位置が給電場所から遠かったり、給電マットが給電場所から遠ざかる方向へ移動中であれば、給電マットは盗難された可能性が高い。また、給電マットが給電場所の周辺に留まっていれば、給電マットは風で飛ばされた可能性が高い。
【0113】
続くS63では、サーバ500が、S62で盗難の可能性が高いと診断された給電マットの識別情報及び位置情報をモバイル端末T1へ送信する。さらに、サーバ500は、盗難の可能性が高いと診断された給電マットの発信機160から発信される位置情報に基づいて、当該給電マットと給電場所との距離を求め、得られた距離をモバイル端末T1へ送信してもよい。
【0114】
サーバ500は、発信機160から発信される信号(位置情報)を受信している間は、S61~S63の処理を繰り返し実行する。サーバ500は、継続的に発信機160から給電マットの位置情報を受信することで、給電マットの移動経路を取得することができる。そして、S63の処理により、給電マットの位置がリアルタイムでモバイル端末T1へ逐次送信される。上記図8に示す処理によれば、盗難された給電マットを追跡できる。盗難された給電マットを追跡することで、盗難された給電マットを取り戻しやすくなる。
【0115】
図5に示した例では、1つのグループに属する給電マットの数が4つである。しかしこれに限られず、1つのグループに属する給電マットの数は2つ又は3つでもよいし、5つ以上でもよい。
【0116】
図5に示した例では、同じグループに属する給電マット100A~100Dが隣接して配置される。しかし、同じグループに属する給電マット100A~100Dが接触していることは必須ではなく、給電マット100A~100Dは間隔を空けて配置されてもよい。
【0117】
グループ内における通信対象及び監視対象は適宜変更可能である。上記実施の形態では、各給電マットが、隣接する1つの給電マットを監視するように構成される。しかしこれに限られず、各給電マットが複数の給電マットを監視するように構成されてもよい。たとえば、1つのグループを形成するように設置された複数の給電マットの各々が、同じグループに属する他の全ての給電マットを通信対象及び監視対象としてもよい。具体的には、図5に示した例において、給電マット100Aが給電マット100B~100Dの各々を監視するように構成されてもよい。
【0118】
上記実施の形態では、マットコントローラ150が監視装置及び処理装置として機能する。すなわち、監視装置及び処理装置の各々が給電マット内に配置されている。しかしこれに限られず、監視装置及び処理装置の各々は給電マットの外部(たとえば、給電マットの近傍)に配置されてもよい。
【0119】
上記実施の形態では、グループ内における給電マット間の通信が監視され、この通信が途絶えた場合に、給電マットが給電場所から離れたと判断される。しかしこれに限られず、給電マットの外部に設けられた通信装置と給電マットとの間の通信が監視され、この通信が途絶えた場合に、給電マットが給電場所から離れたと判断されてもよい。
【0120】
図9は、第1変形例に係る管理システムを示す図である。図9を参照して、第1変形例に係る管理システムは電源モジュール300Aを備える。電源モジュール300Aは、基本的には、図3に示した電源モジュール300に準ずる構成を有する。ただし、電源モジュール300Aは、電源回路310に加えて、監視コンピュータ320と、通信装置330とを内蔵する。通信装置330は、給電場所に設置された状態の給電マット100A~100Dの各々と通信を行なうように構成される。監視コンピュータ320は監視装置及び処理装置として機能する。
【0121】
監視コンピュータ320は、盗難判断部153Aと報知処理部154Aとを含む。盗難判断部153Aは、給電マット100A~100Dの各々と通信装置330との間の通信を監視するように構成される。報知処理部154Aは、盗難判断部153Aによって給電マット100A~100Dのいずれかと通信装置330との間の通信が途絶えたことが検知された場合に、給電マットの通信が途絶えたことを示す信号(後述する第4盗難信号)をサーバ500へ送信するように構成される。
【0122】
第1変形例に係る管理システムでは、給電マット100A~100Dの各々のマットコントローラ150が、図6に示した処理の代わりに、以下に説明する図10に示す処理を実行する。図10は、第1変形例に係る管理システムにおいて、図6に示した処理の代わりに実行される処理を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、所定周期で繰り返し実行される。
【0123】
図10を参照して、S71では、監視コンピュータ320が存在確認通知を給電マット100A~100Dの各々へ送信する。続くS72では、監視コンピュータ320が、タイマによる計測を開始する。このタイマは、監視コンピュータ320が存在確認通知を送信してから経過した時間を計測する。続くS73では、監視コンピュータ320が、給電マット100A~100Dのいずれかから存在信号を受信したか否かを判断する。そして、監視コンピュータ320が給電マット100A~100Dのいずれかから存在信号を受信すると(S73にてYES)、監視コンピュータ320が、S74において、給電マット100A~100Dの全てから存在信号を受信したか否かを判断する。監視コンピュータ320が給電マット100A~100Dのいずれかから存在信号を受信していない場合には(S74にてNO)、監視コンピュータ320が、S75において、タイマの計測値が所定値(以下、「Th3」と表記する)を超えたか否かを判断する。タイマの計測値がTh3を超えていなければ、S75においてNOと判断され、処理がS73に戻る。Th3は、各給電マットの存否を的確に判断できるように設定される。Th3は30秒以上10分以下の範囲から選ばれた時間であってもよい。
【0124】
一方、給電マット100A~100Dの各々のマットコントローラ150は、S81において、電源モジュール300Aから存在確認通知を受信したか否かを判断し、存在確認通知を受信した場合には(S81にてYES)、S82において存在信号を電源モジュール300Aへ返信する。ただし、給電場所から離れた給電マットは、電源モジュール300Aから存在確認通知を受信しなくなるため、存在信号を電源モジュール300Aへ返信しない。
【0125】
タイマの計測値がTh3を超える前に電源モジュール300Aが全ての給電マットから存在信号を受信すると(S74にてYES)、監視コンピュータ320は、S78においてタイマをリセットする。これにより、タイマは初期値(0)に戻る。
【0126】
タイマの計測値がTh3を超えても存在信号を返信しない給電マットがある場合には(S75にてYES)、監視コンピュータ320は、S76において、存在信号を返信しない給電マットを特定し、S77において、存在信号を返信しない給電マットの識別情報を含む第4盗難信号をサーバ500へ送信する。第4盗難信号を受信したサーバ500は、図7のS42の処理により、第5盗難信号をモバイル端末T1へ送信する。第5盗難信号を受信したモバイル端末T1は、給電マット(より特定的には、存在信号を返信しない給電マット)が給電場所に存在しなくなったことをマット管理者に報知する。
【0127】
次に、第2変形例に係る管理システムについて説明する。第2変形例に係る管理システムでは、上述した盗難判断部153A(監視装置)及び報知処理部154A(処理装置)の機能がサーバ500に搭載される。サーバ500は、以下に説明する図11に示す処理(S71~S76、S77A、及びS78)を実行する。
【0128】
図11は、第2変形例に係る管理システムにおいて、図6及び図7に示した処理の代わりに実行される処理を示すフローチャートである。図11に示す処理は、基本的には図10に示した処理と同じであるが、S77の代わりにS77Aを含む。S77Aでは、サーバ500が、存在信号を返信しない給電マットの識別情報を含む第6盗難信号をモバイル端末T1へ送信する。
【0129】
上述した図10又は図11に示される方法で監視される通信は、給電マット間の通信ではなく、給電マットと電源モジュール300A又はサーバ500との通信である。このため、上記の方法によれば、グループ単位で給電マットを監視するだけでなく、給電マットを個別に監視することもできる。電源モジュール300A又はサーバ500によって監視される給電マットの数は1つであってもよい。電源モジュール300Aは、警報器を有し、図10のS77の後で、警報器によって警報を鳴らしてもよい。
【0130】
給電マットが適用される移動体は、図2及び図3に示した車両に限られない。移動体は、内燃機関を備えないBEVに限られず、内燃機関を備えるPHEV(プラグインハイブリッド車両)であってもよい。移動体は走行中充電ではなく停車中充電を行なってもよい。移動体は、農業機械、歩行ロボット、ドローン、ロボットクリーナ、又は宇宙探査機であってもよいし、鉄道車両、船、又は飛行機であってもよい。
【0131】
上記の各種変形例は任意に組み合わせて実施されてもよい。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0132】
100,100A~100D 給電マット、110 シート基材、120 送電コイル、121 磁気マーカ、130 電力制御回路、140 連携モジュール、141 通信機、142 警報器、145 支柱、150 マットコントローラ、151 給電制御部、152 近距離通信制御部、153,153A 盗難判断部、154,154A 報知処理部、155 警報制御部、160 発信機、200 AGV、201~208 移動体、210 バッテリ、220 受電コイル、221 位置センサモジュール、230 充電回路、240 無線通信機、250 ECU、300,300A 電源モジュール、310 電源回路、320 監視コンピュータ、330 通信装置、350 カメラ、500 サーバ、510 管理者連絡判断部、520 送受信機、PG 電力系統、T1 モバイル端末。
図1
図2
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図5
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図11