(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】情報処理装置、及び、情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/083 20240101AFI20240717BHJP
【FI】
G06Q10/083
(21)【出願番号】P 2021144260
(22)【出願日】2021-09-03
【審査請求日】2023-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 和幸
(72)【発明者】
【氏名】田中 由里香
(72)【発明者】
【氏名】駒嶺 聡史
(72)【発明者】
【氏名】田中 剛
(72)【発明者】
【氏名】藤井 宏光
【審査官】星野 裕
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/039014(WO,A1)
【文献】特開2015-057684(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0209876(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されユーザによる荷物の預け入れが可能な複数の区画を有する格納装置に前記荷物を預かるサービスを前記ユーザが利用した後に、前記区画に前記荷物が残留していることを検出した場合に、前記ユーザに報知すること、
を実行する制御部を有する情報処理装置
であって、
前記制御部は、
前記ユーザに報知した場合、所定条件が成立するまでは、前記車両を停止させておき、
前記所定条件が成立したとしても、前記ユーザの端末から前記ユーザが前記車両に戻ることに関する情報を受信した場合には、前記車両を停車させておく、
情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記ユーザの端末に前記報知に関する情報を送信する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記所定条件は、前記ユーザに報知してから所定時間が経過することである、
請求項
1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記ユーザが前記車両に戻ることに関する情報には、前記報知に対する前記ユーザの端末からの応答を含む、
請求項
1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記ユーザが前記車両に戻ることに関する情報には、前記ユーザの端末の位置情報を含む、
請求項
1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記ユーザに報知するときに、前記ユーザの端末から取得する位置情報に基づいて前記車両を移動させる、
請求項1から
5の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記ユーザの端末から取得する位置情報に基づいて前記車両を移動させるときに、前記ユーザの端末へ前記荷物の引き渡しを行う地点に関する情報を送信する、
請求項
6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記ユーザによる前記荷物の引き取りがない場合には、前記荷物を回収する所定地点に前記車両を移動させる、
請求項1から
7の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
コンピュータが、
車両に搭載されユーザによる荷物の預け入れが可能な複数の区画を有する格納装置に前記荷物を預かるサービスを前記ユーザが利用した後に、前記区画に前記荷物が残留していることを検出した場合に、前記ユーザに報知すること、
を実行する情報処理方法
であって、
前記コンピュータが、
前記ユーザに報知した場合、所定条件が成立するまでは、前記車両を停止させておき、
前記所定条件が成立したとしても、前記ユーザの端末から前記ユーザが前記車両に戻ることに関する情報を受信した場合には、前記車両を停車させておく、
情報処理方法。
【請求項10】
前記コンピュータが、前記ユーザの端末に前記報知に関する情報を送信する、
請求項
9に記載の情報処理方法。
【請求項11】
前記所定条件は、前記ユーザに報知してから所定時間が経過することである、
請求項
9に記載の情報処理方法。
【請求項12】
前記ユーザが前記車両に戻ることに関する情報には、前記報知に対する前記ユーザの端末からの応答を含む、
請求項
9に記載の情報処理方法。
【請求項13】
前記ユーザが前記車両に戻ることに関する情報には、前記ユーザの端末の位置情報を含む、
請求項
9に記載の情報処理方法。
【請求項14】
前記コンピュータが、前記ユーザに報知するときに、前記ユーザの端末から取得する位置情報に基づいて前記車両を移動させる、
請求項
9から
13の何れか1項に記載の情報処理方法。
【請求項15】
前記コンピュータが、前記ユーザの端末から取得する位置情報に基づいて前記車両を移動させるときに、前記ユーザの端末へ前記荷物の引き渡しを行う地点に関する情報を送信する、
請求項
14に記載の情報処理方法。
【請求項16】
前記コンピュータが、前記ユーザによる前記荷物の引き取りがない場合には、前記荷物を回収する所定地点に前記車両を移動させる、
請求項
9から
15の何れか1項に記載の情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、及び、情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
列車の荷物置き場にロック機構を設け、カメラで撮影された画像に基づいて荷物を預けた人物を特定して、ロック機構のロック及びアンロックを行う技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。また、ロッカーのボックスに忘れ物等の残留物がある場合に、他のボックスに変更可能とする技術が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-046015号公報
【文献】特開2020-107223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的は、ユーザがロッカーに荷物を忘れた場合に早期にユーザに荷物を渡すことにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の態様の一つは、
車両に搭載されユーザによる荷物の預け入れが可能な複数の区画を有する格納装置に前記荷物を預かるサービスを前記ユーザが利用した後に、前記区画に前記荷物が残留していることを検出した場合に、前記ユーザに報知すること、
を実行する制御部を有する情報処理装置である。
【0006】
本開示の態様の一つは、
コンピュータが、
車両に搭載されユーザによる荷物の預け入れが可能な複数の区画を有する格納装置に前記荷物を預かるサービスを前記ユーザが利用した後に、前記区画に前記荷物が残留していることを検出した場合に、前記ユーザに報知すること、
を実行する情報処理方法である。
【0007】
また、本開示の他の態様は、上記の情報処理装置における処理をコンピュータに実行させるためのプログラム、または、このプログラムを非一時的に記憶した記憶媒体である。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、ユーザがロッカーに荷物を忘れた場合に早期にユーザに荷物を渡すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係るシステムの概略構成を示す図である。
【
図3】実施形態に係るシステムを構成する車両、ユーザ端末、及び、サーバのそれぞれの構成の一例を概略的に示すブロック図である。
【
図5】車両情報DBのテーブル構成を例示した図である。
【
図6】荷物情報DBのテーブル構成を例示した図である。
【
図9】忘れ物があるときにユーザ端末の出力部に表示される画像の一例である。
【
図10】第1実施形態に係るサーバにおける荷物の預け入れ及び引き取り処理のフローチャートである。
【
図11】ロッカーに忘れ物があるときのシステム全体の処理のシーケンス図である。
【
図12】第1実施形態に係る忘れ物判定処理のフローチャートである。
【
図13】ロッカーに忘れ物があるときのシステム全体の処理のシーケンス図である。
【
図14】第2実施形態に係る忘れ物判定処理のフローチャートである。
【
図15】ロッカーに忘れ物があるときのシステム全体の処理のシーケンス図である。
【
図16】引き渡し地点についての情報を受信したユーザ端末の画面に表示される画像の一例である。
【
図17】引き渡し地点についての情報を受信したユーザ端末の画面に表示される画像の他の例である。
【
図18】第3実施形態に係る忘れ物判定処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の態様の一つである情報処理装置は、制御部を有する。制御部は、車両に搭載されユーザによる荷物の預け入れが可能な複数の区画を有する格納装置に荷物を預かるサービスをユーザが利用した後に、区画に前記荷物が残留していることを検出した場合に、ユーザに報知する。
【0011】
格納装置は車両に搭載されているため、車両の移動と共に格納装置も移動する。したがって、ユーザは、荷物を預け入れるとき又は荷物を引き取るときに車両ごと格納装置を呼び寄せることができる。そのため、ユーザは、荷物を預けたり引き取ったりするときに、長距離を移動する必要がない。格納装置は複数の区画を有するため、複数のユーザに対応した複数の荷物を預け入れることができる。制御部は、例えば、ユーザからの荷物の預け入れ、及び、ユーザへの荷物の引き渡しを行うように車両を制御することで、荷物を預かるサービスを提供する。
【0012】
ここで、ユーザが区画から荷物を引き取るときに荷物の一部を区画内に忘れてしまうと、次のユーザがその区画を利用できなくなる虞がある。そして、荷物を預けることが可能な区画が減少すると、その分、利益が低下する虞がある。
【0013】
そこで制御部は、ユーザの利用が終了した後も区画に荷物が残留していることを検出した場合に、このユーザに報知する。ユーザに報知することには、例えば、ユーザの端末を介して報知すること、及び、格納装置からユーザに対して直接報知することを含む。ユーザの端末を介して報知することには、例えば、ユーザの端末に荷物が残留していることを表す文字を表示させること、及び、音若しくは振動を発生させることを含む。また、格納装置からユーザに対して報知することには、例えば、忘れ物が残留していることを表す音声を格納装置から流すことを含む。なお、格納装置からユーザに対して報知する場合には、車両がユーザの現在地に向かうように車両を移動させてもよい。すなわち、車両がユーザを追いかけてもよい。
【0014】
一方、荷物の引き取りが行われた地点において、ユーザが戻ってくるまで車両が待っていてもよい。すなわち、ユーザが忘れ物に気付いて車両に戻っても、車両が移動してしま
うとユーザが車両にたどり着くことが困難になり得るため、車両が停止したまま待つようにしてもよい。以上のようにして、ユーザが忘れた荷物をユーザに早期に引き渡すことができる。
【0015】
以下、図面に基づいて、本開示の実施の形態を説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本開示は実施形態の構成に限定されない。また、以下の実施形態は可能な限り組み合わせることができる。
【0016】
<第1実施形態>
図1は、実施形態に係るシステム1の概略構成を示す図である。システム1は、ロッカー18を搭載する車両10にユーザが荷物を保管することが可能なシステムである。ユーザは、サーバ30を介して車両10を呼び出すことで、任意の地点において荷物の預け入れ、および、引き取りを行うことができる。車両10は、例えば自律走行可能な車両であるが、運転者による手動走行可能な車両であってもよく、車両10またはロッカー18を監視するオペレータが乗車する車両であってもよい。
【0017】
ロッカー18は、複数の区画を有し、それぞれの区画に荷物を格納することができる装置である。
図2に、ロッカー18の外観を示す。図示したように、ロッカー18は、複数の扉によってそれぞれの区画であるボックス180にアクセスできるよう構成される。システム1のユーザは、ユーザ端末20を用いて、または、ロッカー18に設けられたインタフェースを介して、指定されたボックス180の解錠操作を行うことができる。ロッカー18は、車両10の車室内に搭載される。なお、ロッカー18は格納装置の一例であり、ボックス180は区画の一例である。
【0018】
ユーザは、ロッカー18を利用するユーザである。ユーザ端末20は、ユーザが所持する端末である。ユーザは、ユーザ端末20にインストールされている所定のアプリケーションを実行することで、車両10の呼び出し及びロッカーの施解錠を行うことができる。
【0019】
サーバ30は、車両10の運行を管理する装置である。サーバ30は、ユーザ端末20から、車両10の派遣要請を受けた場合に、当該ユーザの元へ派遣する車両10を決定し、当該車両10に対して運行を指示する。
【0020】
また、サーバ30は、ロッカー18を管理する装置でもある。サーバ30は、ユーザがロッカー18に忘れ物をした場合に、ユーザに報知する。すなわち、サーバ30は、ユーザがロッカー18から荷物を引き取るための動作をした後に、ボックス180内に荷物が残留している場合に、ユーザに対して報知するための処理を実行する。この処理により、ユーザに対して荷物の引き取りを促す。
【0021】
車両10、ユーザ端末20、及び、サーバ30は、ネットワークN1によって相互に接続されている。ネットワークN1は、例えば、インターネット等の世界規模の公衆通信網でありWAN(Wide Area Network)やその他の通信網が採用されてもよい。また、ネットワークN1は、携帯電話等の電話通信網、または、Wi-Fi(登録商標)等の無線通信網を含んでもよい。また、ロッカー18は、近距離無線通信等を含むネットワークN2を介して、ユーザ端末20に接続される。ネットワークN2は、例えば、Bluetooth(登録商標)LowEnergy、NFC(Near Field Communication)、UWB(Ultra Wideband)、Wi-Fi(登録商標)などを利用してデータ通信を行う。
【0022】
図3に基づいて、車両10、ユーザ端末20、及び、サーバ30のハードウェア構成及び機能構成について説明する。
図3は、本実施形態に係るシステム1を構成する車両10
、ユーザ端末20、及び、サーバ30のそれぞれの構成の一例を概略的に示すブロック図である。
【0023】
サーバ30は、コンピュータの構成を有している。サーバ30は、プロセッサ31、主記憶部32、補助記憶部33、及び、通信部34を有する。これらは、バスにより相互に接続される。プロセッサ31は、制御部の一例である。
【0024】
プロセッサ31は、CPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)等である。プロセッサ31は、サーバ30を制御し、様々な情報処理の演算を
行う。主記憶部32は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等である。補助記憶部33は、EPROM(Erasable Programmable ROM)、ハードディ
スクドライブ(HDD、Hard Disk Drive)、リムーバブルメディア等である。補助記憶
部33には、オペレーティングシステム(Operating System :OS)、各種プログラム、各種テーブル等が格納される。補助記憶部33に格納されたプログラムをプロセッサ31が主記憶部32の作業領域にロードして実行し、このプログラムの実行を通じて各構成部等が制御される。これにより、所定の目的に合致した機能をサーバ30が実現する。主記憶部32および補助記憶部33は、コンピュータで読み取り可能な記録媒体である。なお、サーバ30は、単一のコンピュータであってもよいし、複数台のコンピュータが連携したものであってもよい。また、補助記憶部33に格納される情報は、主記憶部32に格納されてもよい。また、主記憶部32に格納される情報は、補助記憶部33に格納されてもよい。
【0025】
通信部34は、ネットワークN1経由で、車両10、及び、ユーザ端末20と通信を行う手段である。通信部34は、例えば、LAN(Local Area Network)インターフェースボード、無線通信のための無線通信回路である。LANインターフェースボードや無線通信回路は、ネットワークN1に接続される。
【0026】
次に、車両10は、例えば自律的に走行可能な移動体であり、コンピュータを有している。車両10は、プロセッサ11、主記憶部12、補助記憶部13、通信部14、位置情報センサ15、環境情報センサ16、駆動部17、及び、ロッカー18を有する。これらは、バスにより相互に接続される。プロセッサ11、主記憶部12、及び、補助記憶部13は、サーバ30のプロセッサ31、主記憶部32、及び、補助記憶部33と同様であるため、説明を省略する。
【0027】
通信部14は、車両10をネットワークN1に接続するための通信手段である。通信部14は、例えば、移動体通信サービス(例えば、5G(5th Generation)、4G(4th Generation)、3G(3rd Generation)、LTE(Long Term Evolution)等の電話通信網
)、Wi-Fi(登録商標)、または、Bluetooth(登録商標)等の無線通信を利用して、ネットワークN1経由で他の装置(例えばサーバ30等)と通信を行うための回路である。
【0028】
位置情報センサ15は、所定の周期で、車両10の位置情報(例えば緯度、経度)を取得する。位置情報センサ15は、例えば、GPS(Global Positioning System)受信部
、無線通信部等である。位置情報センサ15で取得された情報は、例えば、補助記憶部13等に記録され、サーバ30に送信される。
【0029】
環境情報センサ16は、車両10の状態をセンシングしたり、または、車両10の周辺をセンシングしたりする手段である。車両10の状態をセンシングするためのセンサとして、ジャイロセンサ、加速度センサ、または、方位角センサが挙げられる。車両10の周辺をセンシングするためのセンサとして、ステレオカメラ、レーザスキャナ、LIDAR
、または、レーダなどが挙げられる。
【0030】
駆動部17は、プロセッサ11が生成した制御指令に基づいて、車両10を走行させるための装置である。駆動部17は、例えば、車両10が備えるロータを駆動するための複数のモータ等を含んで構成され、制御指令に従って複数のモータ等が駆動されることで、車両10の自律走行が実現される。
【0031】
ロッカー18は、ユーザの荷物を預かる装置である。ロッカー18は、ユーザの荷物を格納する複数のボックス180を有しており、各ボックス180には、荷物の有無を検出するセンサ181が備わる。また、ロッカー18は、入出力部182及び通信部183を有する。センサ181、入出力部182及び通信部183は、バスにより車両10のプロセッサ11等と接続されている。
【0032】
センサ181は、例えば、ボックス180の底に取り付けられ、質量を検出可能なセンサを含む。すなわち、ボックス180の底面に置かれた荷物の質量を検出することにより、荷物の有無を検出してもよい。別法として、センサ181は、例えば、カメラ(イメージセンサ)を備えたセンサを含むことができる。すなわち、撮像した画像データに基づいて荷物を検出してもよい。さらに別法として、センサ181は、ボックス180内に照射される光を検出するセンサを含むことができる。すなわち、光量を検出することで荷物の有無を検出してもよい。
【0033】
入出力部182は、ユーザが行った入力操作を受け付け、ユーザに対して情報を提示するユニットである。本実施形態では一つのタッチパネルディスプレイからなる。また、入出力部182は、ユーザ端末20との間で認証情報を交換するためのさらなる手段を有していてもよい。例えば、二次元バーコードを読み取るためのカメラなどを有していてもよい。また、入出力部182は、ユーザへ報知するときに利用されるスピーカを備えていてもよい。
【0034】
通信部183は、ロッカー18をネットワークN2に接続するための通信手段である。通信部183は、例えば、Bluetooth(登録商標)LowEnergy、NFC(Near Field Communication)、UWB(Ultra Wideband)、Wi-Fi(登録商標)等の無線通信網を利用して、ネットワークN2経由で他の装置(例えばユーザ端末20等)と通信を行うための回路である。
【0035】
次に、ユーザ端末20について説明する。ユーザ端末20は、例えば、スマートフォン、携帯電話、タブレット端末、個人情報端末、ウェアラブルコンピュータ(スマートウォッチ等)、パーソナルコンピュータ(Personal Computer、PC)といった小型のコンピュータである。ユーザ端末20は、プロセッサ21、主記憶部22、補助記憶部23、入力部24、ディスプレイ25、及び、通信部26を有する。これらは、バスにより相互に接続される。プロセッサ21、主記憶部22、補助記憶部23については、サーバ30のプロセッサ31、主記憶部32、補助記憶部33と同様であるため、説明を省略する。
【0036】
入力部24は、ユーザが行った入力操作を受け付ける手段であり、例えば、タッチパネル、マウス、キーボード、または、押しボタン等である。ディスプレイ25は、ユーザに対して情報を提示する手段であり、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、または、EL(Electroluminescence)パネル等である。入力部24及びディスプレイ25は、
1つのタッチパネルディスプレイとして構成してもよい。
【0037】
通信部26は、ユーザ端末20をネットワークN1またはネットワークN2に接続する
ための通信手段である。通信部26は、例えば、移動体通信サービス(例えば、5G(5th Generation)、4G(4th Generation)、3G(3rd Generation)、LTE(Long Term Evolution)等の電話通信網)、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録
商標)LowEnergy、NFC(Near Field Communication)、UWB(Ultra Wideband)、等の無線通信網を利用して、ネットワークN1またはネットワークN2経由で他の装置(例えば車両10、ロッカー18、または、サーバ30等)と通信を行うための回路である。
【0038】
次に、サーバ30の機能について説明する。
図4は、サーバ30の機能構成を例示した図である。サーバ30は、機能構成要素として、制御部300、ユーザ情報DB311、車両情報DB312、荷物情報DB313、及び、地図情報DB314を備える。サーバ30のプロセッサ31は、主記憶部32上のコンピュータプログラムにより、制御部300の処理を実行する。ただし、各機能構成素のいずれか、またはその処理の一部がハードウェア回路により実行されてもよい。制御部300には、車両管理部301、荷物管理部302、及び、指令部303が含まれる。
【0039】
ユーザ情報DB311、車両情報DB312、荷物情報DB313、及び、地図情報DB314は、プロセッサ31によって実行されるデータベース管理システム(Database Management System、DBMS)のプログラムが、補助記憶部33に記憶されるデータを管理することで構築される。ユーザ情報DB311、車両情報DB312、荷物情報DB313、及び、地図情報DB314は、例えば、リレーショナルデータベースである。
【0040】
なお、サーバ30の各機能構成要素のいずれか、またはその処理の一部は、ネットワークN1に接続される他のコンピュータにより実行されてもよい。
【0041】
車両管理部301は、車両10に関する情報を収集し、後述の車両情報DB312を更新する。具体的には、車両管理部301は、複数の車両10と周期的に通信を行い、車両10に関する情報(以下、車両情報ともいう。)を収集する。収集した情報は、後述する車両情報DB312に反映される。
【0042】
荷物管理部302は、荷物の預け入れを希望するユーザからの預け入れ要求を取得する。預け入れ要求とは、ユーザの希望する地点に荷物を預け入れる車両10を呼び出すための情報である。預け入れ要求は、ユーザ端末20からサーバ30に送信される。預け入れ要求には、ユーザID、預け入れ地点、預け入れ日時、及び、荷物の大きさ等に関する情報が含まれる。ユーザIDは、ユーザに固有な識別子である。ユーザIDに対応するユーザ情報(例えば、氏名、住所、電話番号、e-mailアドレス等)は、予めユーザがユ
ーザ端末20を用いて登録してもよく、または、預け入れ要求と共にユーザ端末20から送信されてもよい。このユーザ情報は、ユーザ情報DB311に格納されている。ユーザ情報DB311は、上記の補助記憶部33にユーザ情報が格納されて形成されており、そこではユーザとユーザ情報の紐付けが行われている。
【0043】
預け入れ地点は、ユーザが車両10のロッカー18に荷物を預け入れることを希望する地点であり、例えば、座標(緯度及び経度)、住所、又は、建物の名称などによって示される。預け入れ日時は、ユーザが車両10のロッカーに荷物を預け入れることを希望する日時である。なお、預け入れ日時は、ある程度の幅を持った時間帯として指定してもよい。
【0044】
また、荷物管理部302は、荷物の引き取りを希望するユーザからの引き取り要求を取得する。引き取り要求とは、荷物を引き取る目的のために、ユーザの希望する地点に荷物
を載せた車両10を呼び出すための情報である。引き取り要求は、ユーザ端末20からサーバ30に送信される。引き取り要求には、ユーザID、引き取り地点、引き取り日時等に関する情報が含まれる。
【0045】
引き取り地点は、ユーザが車両10のロッカー18から荷物を引き取ることを希望する地点であり、例えば、座標(緯度及び経度)、住所、又は、建物の名称などによって示される。引き取り日時は、ユーザが車両10のロッカー18から荷物を引き取ることを希望する日時である。なお、引き取り日時は、ある程度の幅を持った時間帯として指定してもよい。また、引き取り要求は、預け入れ要求と同時にユーザ端末20から送信されてもよく、預け入れ要求の後に、引き取り要求がユーザ端末20から送信されてもよい。
【0046】
荷物管理部302は、預け入れ要求に含まれる情報、及び、引き取り要求に含まれる情報を後述する荷物情報DB313に格納する。
【0047】
指令部303は、預け入れ要求または引き取り要求を受信した場合に、荷物の預け入れまたは引き取りを行う地点(すなわち、車両10を派遣する地点。以下、派遣地点)、および、その日時(以下、派遣日時)を決定し、車両10を運行させるための指令である運行指令を生成する。運行指令には、例えば、車両10のルートが含まれる。指令部303は、地図情報DB314に格納されている地図情報に基づいてルートを生成する。指令部303は、例えば、車両10が、現在地から出発して、各派遣地点を派遣日時に経由して走行するように運行指令を生成する。また、運行指令には、各派遣地点において、ユーザから荷物を預かる指令、または、ユーザに荷物を引き渡す指令が含まれる。
【0048】
指令部303は、例えば、ユーザから預け入れ要求を受信した場合には、預け入れ要求に含まれる預け入れ地点、預け入れ日時、及び、荷物の大きさなどの情報に基づいて、派遣可能な車両10を選定する。派遣可能な車両10は、該当する大きさの荷物を預け入れ可能なボックス180の空きがあり、且つ、預け入れ日時に預け入れ地点に移動可能な車両である。例えば、同じ日時に他の場所で荷物の預け入れ又は引き取りの予約が入っている車両は、預け入れ日時に預け入れ地点に移動可能な車両10には該当しない。したがって、他の荷物に対応した派遣地点及び派遣日時に応じて、車両10を選定する。なお、ユーザが希望する預け入れ日時に派遣可能な車両10が存在しない場合には、荷物を預け入れできないことをユーザ端末20に通知してもよい。このときに、預け入れ地点において荷物を預けることができる日時をユーザ端末20に通知してもよい。
【0049】
なお、上記説明では、預け入れ要求に預け入れ日時が含まれているが、これに限らず、サーバ30からユーザに預け入れ日時を提示してもよい。例えば、サーバ30がユーザ端末20から預け入れ地点を取得した場合に、ボックス180の予約状況に基づいて荷物を預け入れ可能な日時を取得し、その預け入れ可能な日時をユーザ端末20へ通知してもよい。預け入れ可能な日時が複数存在する場合には、複数の預け入れ可能な日時をユーザに提示してもよい。このようにして、ユーザが複数の預け入れ可能な日時の中から選択できるようにしてもよい。同様に、預け入れ要求に預け入れ地点を含めずに、サーバ30からユーザに預け入れ地点を提示してもよい。さらに、別法として、サーバ30からユーザに預け入れ地点及び預け入れ日時を提示してもよい。
【0050】
また、指令部303は、例えば、ユーザから引き取り要求を受信した場合には、引き取り要求に含まれるユーザID、引き取り地点、及び、引き取り日時などの情報に基づいて、派遣する車両10を選定する。このときに派遣する車両10は、ユーザが既に荷物を預けている車両である。したがって、ユーザIDに基づいてユーザが既に荷物を預けている車両10を特定する。そして、指令部303は、引き取り要求に含まれる引き取り地点及び引き取り日時に基づいて、その引き取り日時に引き取り地点に車両10を派遣可能か否
か判定する。なお、ユーザが希望する引き取り日時に車両10を派遣できない場合には、その引き取り日時にその引き取り地点で荷物の引き渡しができないことをユーザ端末20に通知してもよい。このときに、引き取り地点において荷物を引き渡すことができる日時をユーザ端末20に通知してもよい。
【0051】
なお、上記説明では、引き取り要求に引き取り日時が含まれているが、これに限らず、サーバ30からユーザに引き取り日時を提示してもよい。例えば、サーバ30が引き取り地点を取得した場合に、ボックス180の予約状況に基づいて荷物を引き取り可能な日時を取得し、その引き取り可能な日時をユーザ端末20へ通知してもよい。引き取り可能な日時が複数存在する場合には、複数の引き取り可能な日時をユーザに提示してもよい。このようにして、ユーザが複数の引き取り可能な日時の中から選択できるようにしてもよい。同様に、引き取り要求に引き取り地点を含めずに、サーバ30からユーザに引き取り地点を提示してもよい。さらに、別法として、サーバ30からユーザに引き取り地点及び引き取り日時を提示してもよい。
【0052】
また、荷物管理部302は、車両10からセンサ181の検出値を取得する。センサ181の検出値は、例えば、車両10から定期的に送信される車両情報に含まれていてもよい。また、ユーザからの引き取りが完了したときに、ユーザが荷物を引き取ったボックス180のセンサ181の検出値を車両10からサーバ30へ送信してもよい。そして、ユーザによる荷物の引き取りが終了した後にセンサ181によって荷物が検出された場合に、ユーザ端末20へ、ボックス180内に荷物が残留している(すなわち、忘れ物がある)ことを報知するための情報を送信する。
【0053】
なお、「ユーザによる荷物の引き取りが終了した」とは、例えば、ユーザが荷物を引き取るときに、ユーザがボックス180の扉を開いた後に閉めたこと、または、ユーザが荷物を引き取るときに、ボックス180を解錠した後に施錠したことである。また、ボックス180内に荷物が残留していることを報知するための情報とは、例えば、忘れ物があることを示す画像をユーザ端末20の出力部25に表示させるための情報である。この情報には、ユーザ端末20にインストールされているロッカー18を利用するための所定のアプリケーションに、忘れ物があることを示す画像を表示させる指令が含まれていてもよい。また、別法として、この情報には、e-mail、または、プッシュ通知を利用してユ
ーザ端末20の出力部25に忘れ物が存在していることを示す画像を表示させる指令が含まれていてもよい。また、この情報には、画像に代えて、または、画像と共に、警告音、音声または振動などをユーザ端末20で発生させるための指令が含まれていてもよい。
【0054】
荷物管理部302は、ボックス180に対応する荷物の取り忘れについての情報を、後述する荷物情報DB313に格納する。
【0055】
また、指令部303は、ボックス180に忘れ物がある場合に、車両10の移動を制限する。例えば、ユーザが忘れ物を取りに戻るまで車両10を停車させておく。これにより、ユーザが車両10を容易に見つけることができる。ロッカー18が車室内に配置されている場合には、忘れ物を取りにユーザが戻るまで車両10のドアを閉めてロックしておいてもよい。これにより、他のユーザの利用を制限する。しかし、ユーザが忘れ物を取りに戻らない場合も考えられる。そのため、荷物管理部302は、例えば、ユーザがボックス180を閉扉してから所定時間が経過してもユーザが車両10に戻らない場合には、車両10を移動させてもよい。このときには、次のユーザの預け入れ地点または引き取り地点に向かって走行してもよく、忘れ物を管理する管理センタに向かって移動してもよい。
【0056】
次に、車両情報DB312に格納される車両情報の構成について、
図5に基づいて説明する。
図5は、車両情報DB312のテーブル構成を例示した図である。車両情報テーブ
ルは、車両ID、現在地、ステータス、及び、ルートの各フィールドを有する。車両IDフィールドには、車両を識別可能な情報(車両ID)が入力される。車両IDは、各車両に例えば車両管理部301によって付与される。現在地フィールドには、車両10の現在地に関する情報(位置情報)が入力される。車両10の現在地は、車両10の位置情報センサ15で検出され、サーバ30に送信される。
【0057】
ステータスフィールドには、車両10の現在の状態を表すデータが格納されるフィールドである。具体的には、車両10のバッテリ残量、または、走行可能距離に関する情報などが格納される。ルートフィールドには、車両10のルートに関する情報が入力される。
【0058】
次に、荷物情報DB313に格納される荷物情報の構成について、
図6に基づいて説明する。
図6は、荷物情報DB313のテーブル構成を例示した図である。荷物情報テーブルは、車両ID、ボックス番号、ユーザID、大きさ、預け入れ地点、預け入れ日時、引き取り地点、引き取り日時、忘れ物、及び、利用可否の各フィールドを有する。車両IDフィールドには、車両を識別可能な情報(車両ID)が入力される。ボックス番号フィールドには、ボックス180を識別可能な情報(ボックス番号)が入力される。ユーザIDフィールドには、荷物を預けるユーザを識別可能な情報(ユーザID)が入力される。大きさフィールドには、荷物の大きさに関する情報が入力される。例えば、縦、横、及び、奥行きの寸法によって大きさを示してもよく、予め定義された、大、中、及び、小などによって大きさを示してもよい。
【0059】
預け入れ地点フィールドには、ユーザが荷物を預け入れる地点に関する情報が入力される。預け入れ地点フィールドには、例えば、座標、住所、または、建物の名称など、車両10のロッカー18にユーザが荷物を預け入れるときに車両10の目的地となり得る地点に関する情報が入力される。預け入れ日時フィールドには、ユーザが荷物を預け入れる日時に関する情報が入力される。引き取り地点フィールドには、ユーザが荷物を引き取る地点に関する情報が入力される。引き取り地点フィールドには、例えば、座標、住所、または、建物の名称など、車両10のロッカー18からユーザが荷物を引き取るときに車両10の目的地となり得る地点に関する情報が入力される。引き取り日時フィールドには、ユーザが荷物を引き取る日時に関する情報が入力される。
【0060】
忘れ物フィールドには、忘れ物があるか否かに関する情報が入力される。忘れ物があるする場合には「あり」が入力され、ない場合には「なし」が入力される。また、ボックス180を利用中には、忘れ物フィールドに何も入力されない。利用可否フィールドには、ボックス180を利用可能か否かに関する情報が入力される。利用可能なボックス180には「可」が入力され、利用できないボックス180には「不可」が入力される。例えば、忘れ物があるボックス180は利用が禁止されるため、利用可否フィールドには「不可」が入力される。一方、忘れ物が存在しないボックス180及び現在利用中のボックス180に対応する利用可否フィールドには「可」が入力される。
【0061】
地図情報DB314には、地図情報として、例えば、道路(リンク)に関するリンクデータ、ノード点に関するノードデータ、各交差点に関する交差点データ、ルートを探索するための探索データ、施設に関する施設データ、地点を検索するための検索データ等が格納されている。また、各道路に対応する制限速度等に関する情報、または、各道路の属性に関する情報が格納されていてもよい。
【0062】
次に、車両10の機能について説明する。
図7は、車両10の機能構成を示した図である。車両10は、機能構成要素として、走行部101、及び、ロッカー管理部102を有する。車両10のプロセッサ11は、主記憶部12上のコンピュータプログラムにより、走行部101、及び、ロッカー管理部102の処理を実行する。ただし、各機能構成素の
いずれか、またはその処理の一部がハードウェア回路により実行されてもよい。なお、車両10の各機能構成要素のいずれか、またはその処理の一部は、ネットワークN1に接続される他のコンピュータにより実行されてもよい。
【0063】
走行部101は、車両10の自律走行時に車両10の走行を制御する。走行部101は、環境情報センサ16によって検出したデータを用いて、駆動部17を制御するための制御指令を生成する。走行部101は、例えば、複数のモータを制御して複数のロータの回転速度に差を発生させることにより、車両10の速度、及び、舵角などを制御する。
【0064】
走行部101は、例えば、環境情報センサ16によって検出したデータに基づいて車両10の走行軌跡を生成し、当該走行軌跡に沿って走行するように、駆動部17を制御する。なお、車両10を自律走行させる方法については、公知の方法を採用することができる。走行部101は、自律走行時に、環境情報センサ16の検出値に基づいたフィードバック制御を実施してもよい。走行部101は、予め定められたルートを巡るように自律走行する。このルートは、サーバ30から送信される運行指令に含まれる。
【0065】
例えば、走行部101は、サーバ30から受信した運行指令に含まれる走行ルート及び目的地に基づいて車両10を走行させる。預け入れ要求または引き取り要求があった場合には、派遣地点が目的地になる。そして、派遣地点においてユーザが荷物の預け入れ又は引き取りを行うために車両10を停止させる。
【0066】
また、走行部101は、車両10に関する情報を定期的にサーバ30へ送信する。走行部101は、位置情報センサ15によって取得される現在地及びバッテリの残容量などに関する情報を車両10に関する情報としてサーバ30に送信する。
【0067】
また、ロッカー管理部102は、荷物の預け入れ又は引き取りを行うユーザのユーザ端末20の認証、ボックス180の施解錠、及び、忘れ物の検出などを実行する。ロッカー管理部102は、ネットワークN1を介してサーバ30からユーザ端末20の認証情報を取得する。また、ロッカー管理部102は、ネットワークN2を介してユーザ端末20と通信を確立してユーザ端末20の認証を行う。例えば、サーバ30から取得した認証情報と、ユーザ端末20から取得した認証情報とが一致した場合に、ユーザ端末20の認証が成功する。
【0068】
ユーザ端末20の認証が成功すると、ロッカー管理部102は、ユーザが入力した荷物の大きさに対応したボックス180を解錠すると共に、開扉させる。その後、ユーザがボックス180の扉を閉めると、ボックス180を施錠すると共に、ユーザが荷物を預けたことをサーバ30に通知する。なお、別法として、ユーザが入出力部182に入力した情報にしたがってユーザを認証してもよい。例えば、ユーザが入出力部182に入力したパスワードと、サーバ30から取得したパスワードとが一致した場合に、認証が成功する。このパスワードは、サーバ30が決定してもよい。別法として、ユーザがユーザ端末20に入力したパスワードが、ユーザ端末20からサーバ30へ送信されてもよい。
【0069】
また、荷物の引き取りの場合も同様に、ロッカー管理部102は、ネットワークN1を介してサーバ30からユーザ端末20の認証情報を取得する。また、ロッカー管理部102は、ネットワークN2を介してユーザ端末20と通信を確立してユーザの認証を行う。例えば、サーバ30から取得した認証情報と、ユーザ端末20から取得した認証情報とが一致した場合に、ユーザの認証が成功する。ユーザの認証が成功すると、ユーザが荷物を預け入れたボックス180の解錠及び開扉を行う。ユーザが荷物を預け入れたボックスの番号は、サーバ30から取得してもよい。また、別法として、ユーザが荷物を預け入れたときに、ユーザが荷物を預け入れたボックスの番号を車両10の補助記憶部13に記憶さ
せてもよい。
【0070】
また、ロッカー管理部102は、ユーザが荷物を引き取った後のセンサ181の検出値を、ネットワークN1を介してサーバ30へ送信してもよい。この場合、ユーザが荷物を引き取ったボックス180に対応するセンサ181の検出値を送信すればよい。なお、別法として、ロッカー管理部102は、定期的にセンサ181の検出値を、ネットワークN1を介してサーバ30へ送信してもよい。この場合、全てのセンサ181の検出値を送信してもよい。その結果、サーバ30によって所定のボックス180の利用が禁止される場合がある。その場合も、サーバ30からの指令に基づいて、例えば、利用を禁止されたボックス180の解錠を制限する。ユーザが荷物を預け入れるボックス180の番号は、サーバ30が管理しているため、利用を禁止されたボックス180にユーザが荷物を預け入れないように、サーバ30が管理する。また、忘れ物がある場合には、サーバ30からその場に停車しているように指示される場合もある。
【0071】
次に、ユーザ端末20の機能について説明する。
図8は、ユーザ端末20の機能構成を示した図である。ユーザ端末20は、機能構成要素として、ロッカー利用部201を有する。ユーザ端末20のプロセッサ21は、主記憶部22上のコンピュータプログラムにより、ロッカー利用部201の処理を実行する。ただし、ロッカー利用部201の処理の一部がハードウェア回路により実行されてもよい。なお、ロッカー利用部201の処理の一部は、ネットワークN1に接続される他のコンピュータにより実行されてもよい。
【0072】
ロッカー利用部201は、ユーザ端末20の入力部24への入力にしたがって、預け入れ要求及び引き取り要求を生成する。ロッカー利用部201は、出力部25にロッカー18を利用するための画面を表示させる。そこには、例えば、「預け入れ」及び「引き取り」の文言と共にボタンが表示される。
【0073】
ユーザが「預け入れ」のボタンをタップすると、ロッカー利用部201は、ユーザ情報の入力を求める。なお、ユーザ情報を一度入力すれば、その情報が補助記憶部23に記憶され、その後は例えばパスワードの入力だけでロッカー18を利用できるようにしてもよい。ユーザは、入力部24を介して、預け入れ地点、預け入れ日時、住所、氏名、電話番号、及び、e-mailアドレスなどを入力する。ユーザの入力が完了すると、ロッカー
利用部201は、預け入れ要求を生成してサーバ30へネットワークN1を介して送信する。
【0074】
一方、ユーザが「引き取り」のボタンをタップすると、ロッカー利用部201は、ユーザに対して引き取り地点、及び、引き取り日時などの入力を促す。ユーザが入力部24を介してこれらの入力を完了すると、ロッカー利用部201は、引き取り要求を生成してサーバ30へネットワークN1を介して送信する。
【0075】
預け入れ要求及び引き取り要求を送信すると、サーバ30から荷物の預け入れ又は引き取りに関する情報が送信されてもよい。例えば、ユーザ端末20が送信した条件で荷物の預け入れまたは引き取りが可能であることを示す情報、または、ユーザ端末20が送信した条件では荷物の預け入れまたは引き取りができないことを示す情報がサーバ30から送信される。その情報に応じた画像をロッカー利用部201が出力部25に表示させる。
【0076】
また、ユーザがロッカー18に荷物を預け入れるとき、または、ユーザがロッカー18から荷物を引き取るときには、ロッカー利用部201がロッカー18の通信部26と通信を確立し、ユーザに関する情報をロッカー18に送信する。したがって、ユーザ端末20は、ロッカー18のボックス180を解錠するための鍵として利用される。
【0077】
また、ユーザがロッカー18に荷物を忘れた場合には、サーバ30から、忘れ物があることを示す画像をユーザ端末20の出力部25に表示させるための情報を受信する。ここで、
図9は、忘れ物があるときにユーザ端末20の出力部25に表示される画像の一例である。出力部25には、例えば、ロッカー18に忘れ物があることを示す文言と、忘れ物を取りに戻ることを促す文言と、忘れ物を取りに戻るか否かを問い合わせる文言と、を表示させる。また、忘れ物を取りに戻るか否かの問い合わせに対する回答を入力可能なように、チェックボックス及び回答を送信するためのボタンを表示させてもよい。ロッカー利用部201は、ユーザが回答を入力すると、その回答に応じた情報をサーバ30へ送信する。
【0078】
次に、サーバ30における荷物の預け入れ及び引き取り処理について説明する。
図10は、本実施形態に係るサーバ30における荷物の預け入れ及び引き取り処理のフローチャートである。
図10に示した処理は、サーバ30において、所定の時間毎に実行される。なお、ユーザ情報は予めユーザ情報DB311に格納されているものとして説明する。
【0079】
ステップS101では、荷物管理部302が、ユーザ端末20から預け入れ要求を受信したか否か判定する。ステップS101で肯定判定された場合にはステップS102へ進み、否定判定された場合にはステップS107へ進む。ステップS102では、荷物管理部302が、ユーザの荷物を預け入れる車両10を選定する。荷物管理部302は、預け入れ要求に含まれる情報と、荷物情報DB313に格納されている情報とに基づいて、預け入れ日時に預け入れ地点に移動可能な車両10であって、ユーザの荷物の大きさに対応したボックス180に空きがある車両10を選定する。なお、このときには、忘れ物フィールドに「あり」が入力されているボックス180は、利用できないものとして車両10を選定する。
【0080】
ステップS103において指令部303は、車両10が、現在地から出発して、預け入れ日時に預け入れ地点を経由して走行するように運行指令を生成する。また、指令部303は、預け入れ地点においてユーザ端末20の認証を行い、ユーザから荷物を預かるように運行指令を生成する。そして、ステップS104において指令部303は、運行指令を車両10へ送信する。さらに、ステップS105において指令部303は、車両情報DB312を更新する。すなわち、ルートフィールドに新たなルートを入力する。
【0081】
ステップS106において荷物管理部302は、荷物情報DB313を更新する。すなわち、荷物管理部302は、ユーザID、大きさ、預け入れ地点、預け入れ日時に関する情報を荷物情報DB313に入力する。
【0082】
また、ステップS107では、荷物管理部302が、ユーザ端末20から引き取り要求を受信したか否か判定する。ステップS107で肯定判定された場合にはステップS108へ進み、否定判定された場合にはステップS113へ進む。ステップS108では、荷物管理部302が、ユーザの荷物が預けられている車両10を特定する。荷物管理部302は、引き取り要求に含まれる情報と、荷物情報DB313に格納されている情報とに基づいて、ユーザIDが一致する荷物が預けられている車両10を特定する。
【0083】
ステップS109において指令部303は、車両10が、現在地から出発して、引き取り日時に引き取り地点を経由して走行するように運行指令を生成する。また、指令部303は、引き取り地点においてユーザ端末20の認証を行い、ユーザに荷物を引き渡すように運行指令を生成する。そして、ステップS110において指令部303は、運行指令を車両10へ送信する。さらに、ステップS111において指令部303は、車両情報DB312を更新する。すなわち、ルートフィールドに新たなルートを入力する。
【0084】
ステップS112において荷物管理部302は、荷物情報DB313を更新する。すなわち、荷物管理部302は、引き取り地点、及び、引き取り日時を荷物情報DB313に入力する。
【0085】
ステップS113において荷物管理部302は、荷物の引き取りが完了したか否か判定する。例えば、荷物の受け取りが完了すると、車両ID、ボックス番号、ユーザID、及び、センサ181の検出値を含む情報が車両10からサーバ30へ送信される。この情報を受信した場合に、荷物の受け取りが完了したと判定する。ステップS113で肯定判定された場合にはステップS114へ進み、否定判定された場合には本ルーチンを終了させる。
【0086】
ステップS114において荷物管理部302は、忘れ物がないか否かを判定する忘れ物判定処理を実行する。忘れ物判定処理については、後述する。
【0087】
次に、荷物の引き取りが完了した後にロッカー18に忘れ物があるときのシステム1全体の処理について説明する。
図11は、ロッカー18に忘れ物があるときのシステム1全体の処理のシーケンス図である。この処理は、
図10のステップS113において肯定判定された後に実行される。車両10は、ユーザによる荷物の引き取りが完了すると、荷物の引き取りを行ったボックス180に取り付けられているセンサ181の検出値を取得し(S11)、サーバ30へ送信する(S12)。サーバ30は、センサ181の検出値に基づいて、忘れ物が存在しているか否か判定する(S13)。忘れ物が存在しているとサーバ30が判定した場合には、サーバ30からユーザ端末20に忘れ物情報が送信される(S14)。忘れ物情報は、
図9に示した画面を出力部25に出力するための情報であり、ユーザに忘れ物があることを報知するための情報である。
【0088】
忘れ物情報を受信したユーザ端末20では、
図9に示した画面が表示される。そして、ユーザが入力部24を介して入力した回答を取得すると(S15)、その回答をサーバ30へ送信する(S16)。忘れ物を取りに戻るとの回答を受信したサーバ30は、車両10の運行指令を生成する(S17)。この運行指令には、車両10をその場に所定時間停車させる指令を含む。サーバ30は、生成した運行指令を車両10へ送信する(S18)。
【0089】
運行指令を受信した車両10は、運行指令に基づいて所定時間停車する(S19)。そして、車両10は、停車中にユーザによる忘れ物の引き取りが完了した場合に(S20)、その旨を示す引き取り完了情報をサーバ30へ送信する(S21)。引き取り完了情報を受信したサーバ30は、運行指令を生成する(S22)。この運行指令は、車両10を次の預け入れ地点または次の引き取り地点に移動させるための指令である。この指令は、車両10へ送信される(S23)。この運行指令にしたがって、車両10は移動を開始する。
【0090】
次に、上記のステップS114において実行される忘れ物判定処理について説明する。
図12は、第1実施形態に係る忘れ物判定処理のフローチャートである。
【0091】
ステップS201において荷物管理部302は、センサ181の検出値に基づいて忘れ物があるか否か判定する。ここでは、荷物管理部302が、センサ181の検出値が忘れ物があるときの値であるか否か判定する。忘れ物があるときのセンサ181の検出値は、補助記憶部33に記憶されている。ステップS201で肯定判定された場合にはステップS202へ進み、否定判定された場合にはステップS203へ進む。
【0092】
ステップS202において荷物管理部302は、荷物情報DB313を更新する。荷物
管理部302は、センサ181の検出値に紐付けされた車両ID及びボックス番号に対応するレコードの忘れ物フィールドに「あり」を入力し、且つ、利用可否フィールドに「不可」を入力することで荷物情報DB313を更新する。これにより、忘れ物があるボックス180の利用が禁止される。
【0093】
一方、ステップS203において荷物管理部302は、荷物情報DB313を更新する。忘れ物がない場合には、荷物管理部302が、センサ181の検出値に紐付けされた車両ID及びボックス番号に対応するレコードの、ユーザID、預け入れ地点、預け入れ日時、引き取り地点、及び、引き取り日時の各フィールドに格納されている情報をリセットする。また、荷物管理部302は、このレコードの忘れ物フィールドに「なし」を入力する。
【0094】
ステップS204において荷物管理部302は、忘れ物情報をユーザ端末20へ送信する。この忘れ物情報の送信先は、ユーザIDと紐付けされてユーザ情報DB311に格納されている。ステップS205において指令部303は、車両10の停車状態を維持するように運行指令を生成し、ステップS206において指令部303は、生成した運行指令を車両10へ送信する。また、ステップS207において指令部303は、車両情報DB312を更新する。例えば、ステータスフィールドに車両10が停止した状態を維持していることを示す情報を入力する。このようにして車両10を停車させておくことにより、ユーザが車両10に忘れ物を取りに戻ったときに、ユーザが車両10を見つけやすくなる。
【0095】
ステップS208において荷物管理部302は、車両10から引き取り完了情報を受信したか否か判定する。ステップS208で肯定判定された場合にはステップS209へ進み、否定判定された場合にはステップS213へ進む。ステップS209において荷物管理部302は、荷物情報DB313を更新する。荷物管理部302は、忘れ物が引き取られたために、車両ID及びボックス番号に対応するレコードの、ユーザID、預け入れ地点、預け入れ日時、引き取り地点、及び、引き取り日時の各フィールドに格納されている情報をリセットする。さらに、忘れ物フィールドに「なし」を入力し、且つ、利用可否フィールドに「可」を入力する。
【0096】
ステップS210において指令部303は、次の目的地に移動するように運行指令を生成し、ステップS211において指令部303は、生成した運行指令を車両10へ送信する。また、ステップS212において指令部303は、車両情報DB312を更新する。例えば、ステータスフィールドから、車両10が停止した状態を維持していることを示す情報を削除する。
【0097】
また、ステップS213において荷物管理部302は、忘れ物情報を送信してから所定時間が経過したか否か判定する。ここでいう所定時間は、ユーザが忘れ物を取りに戻ることを車両10が待つ時間である。所定時間は、予め決めておいてもよく、次の預け入れ地点及び預け入れ日時、または、次の引き取り地点及び引き取り日時に応じて、荷物の預け入れ又は引き取りに間に合うように決定してもよい。例えば、次の目的地までの距離と車両10の平均速度とに基づいて、次の目的地までの移動に要する時間を算出し、次の予約時刻から移動に要する時間だけ前の時刻になると車両10が移動するように、所定時間を決定してもよい。ステップS213で肯定判定された場合にはステップS214へ進み、否定判定された場合にはステップS208へ戻る。
【0098】
ステップS214において荷物管理部302は、ユーザ端末20から忘れ物情報に対する回答を受信したか否か判定する。ここでは、ユーザ端末20から忘れ物を取りに車両10へ戻るか否かについての回答があり、その回答が忘れ物を取りに戻ることを示している
か否か判定している。このような回答がユーザからあった場合には、ステップS213において設定された所定時間が経過しても、ユーザを待つために車両10の停車状態を維持する。したがって、ステップS214で肯定判定された場合にはステップS218へ進み、否定判定された場合にはステップS215へ進む。
【0099】
なお、別法として、ステップS214では、荷物管理部302が、ユーザが忘れ物を取りに車両10まで戻る途中であるか否か判定してもよい。例えば、ユーザ端末20の位置情報に基づいてユーザが車両10に戻るか否か判定し、ユーザが車両10に戻ると判定した場合に、車両10の停止時間を延長してもよい。この場合、例えば、ユーザ端末20の位置情報を所定の間隔で取得し、位置情報の推移からユーザの移動方向を推定してもよい。そして、ユーザの移動方向が、車両10に近付く方向であれば、ユーザが車両10に戻ると判定してもよい。また、別法として、ユーザが移動したルートを逆方向に移動するようになった場合に、ユーザが車両10に戻ると判定してもよい。
【0100】
ステップS218において荷物管理部302は、車両10の停止時間を延長する。例えば、ステップS213における所定時間を長くすることにより、車両10の停止時間を延長させる。このときに延長する時間は、例えば、他のユーザの荷物の預け入れ及び引き取りに影響がないか、影響があっても問題のないような時間に設定する。別法として、ユーザ端末20の位置情報に基づいて、ユーザが車両10に戻るまでの時間を算出し、この時間だけ停止時間を延長してもよい。
【0101】
ステップS215において指令部303は、次の目的地に移動するように運行指令を生成し、ステップS216において指令部303は、生成した運行指令を車両10へ送信する。また、ステップS217において指令部303は、車両情報DB312を更新する。例えば、ステータスフィールドから、車両10が停止した状態を維持していることを示す情報を削除する。
【0102】
このようにすることで、ロッカー18に忘れ物を残したまま、他のユーザの荷物の預け入れ及び引き渡しを継続して行うことができるが、別法として、管理センタで忘れ物を回収してもよい。この場合、ステップS215において指令部303が、例えば忘れ物を回収する管理センタへ車両10が移動するように運行指令を生成してもよい。例えば、忘れ物があるためにボックス180が利用できないと、ユーザが予約した数のボックス180を確保できなくなる場合には、車両10を管理センタへ移動させてもよい。また、管理センタへ移動するタイミングは、ユーザが忘れ物をした直後に限らず、その後に他のユーザの荷物の預け入れ及び引き渡しが終了した後であってもよい。
【0103】
以上説明したように第1実施形態によれば、ロッカー18のボックス180にユーザが忘れ物をした場合に、ユーザに対して報知することで、ユーザに忘れ物を取りに戻ることを促すことができる。これにより、ボックス180の稼働率を高めることができる。
【0104】
<第2実施形態>
第1実施形態では、忘れ物があった場合にユーザ端末20を介してユーザに報知し、車両10はユーザが戻るまで停止して待っている。一方、第2実施形態では、車両10がスピーカ等を介してユーザに直接報知する。なお、第1実施形態で説明したユーザ端末20を介した報知を併用してもよい。また、第1実施形態では、車両10は停止したままユーザが戻るのを待っている。一方、第2実施形態では、ユーザ端末20の位置情報に基づいて車両10が移動することにより、車両10がユーザに忘れ物を届ける。
【0105】
図13は、ロッカー18に忘れ物があるときのシステム1全体の処理のシーケンス図である。この処理は、
図10のステップS113において肯定判定された後に実行される。
なお、
図11と同じ処理が実行されるステップについては同じ符号を付して説明を省略する。サーバ30からユーザ端末20に忘れ物情報が送信されると(S14)、ユーザ端末20から位置情報が定期的に複数回送信される(S31)。なお、忘れ物情報を受信したユーザ端末20では、忘れ物があることをユーザに報知してもよい。この場合、忘れ物があることを示す画面を表示させたり、振動若しくは音を発生させたりしてもよい。
【0106】
サーバ30では、ユーザ端末20から受信した位置情報に基づいて、車両10がユーザに向かって移動するように、運行指令を生成する(S32)。この運行指令には、車両10がユーザに近付いたときに、ユーザに対して報知する指令を含む。例えば、サーバ30は、ユーザ端末20の現在地までのルートを生成して車両10へ送信してもよい。この場合、ルートを生成後にユーザがさらに移動することも考えられるので、例えば、ユーザ端末20の現在地までのルートを定期的に生成して車両10へ送信してもよい。別法として、ユーザ端末20の位置情報の推移からユーザのルートを予測し、予測したユーザのルート上を車両10が通過するように車両10のルートを生成してもよい。
【0107】
サーバ30が生成した運行指令は、車両10へ送信される(S33)。車両10では、ユーザ端末20の現在地に向かって移動が開始される(S34)。そして、ユーザ端末20の現在地に車両10が近づくと、車両10のスピーカから例えば忘れ物があることをユーザに報知する(S35)。さらに、車両10がユーザに近付くと、停車してユーザが忘れ物を取り出すのを待つ。
【0108】
次に、ステップS114において実行される忘れ物判定処理について説明する。
図14は、第2実施形態に係る忘れ物判定処理のフローチャートである。なお、
図12と同じ処理が実行されるステップについては、同じ符号を付して説明を省略する。また、ユーザ端末20からサーバ30へ位置情報が定期的に送信されているものとして説明する。
図14に示したフローチャートでは、ステップS204の処理が完了するとステップS301へ進む。ステップS301において指令部303は、ユーザの現在地を取得する。指令部303は、ユーザ端末20から受信した現在地を、ユーザの現在地として取得する。
【0109】
ステップS302において指令部303は、車両10とユーザとの距離が所定距離以下であるか否か判定する。所定距離は、車両10の報知にユーザが気付き得る距離である。指令部303は、車両10の現在地とユーザ端末20の現在地とに基づいて、車両10とユーザとの距離を算出する。ステップS302で肯定判定された場合にはステップS307へ進み、否定判定された場合にはステップS303へ進む。
【0110】
ステップS303において指令部303は、ユーザ端末20へ忘れ物情報を送信してから所定時間が経過したか否か判定する。ここでいう所定時間は、次のユーザの荷物の預け入れ又は次のユーザの引き取りに間に合わなくなる虞のある時間である。ここで、忘れ物を届けるために次のユーザの荷物の預け入れ又は次のユーザの引き取りが遅れることは好ましくない。したがって、所定時間が経過しても車両10とユーザとの距離が所定距離以下にならない場合には、忘れ物を届けることをあきらめて次のユーザの荷物の預け入れ地点または次のユーザの荷物の引き取り地点に移動する。そのため、ステップS303で肯定判定された場合にはステップS215へ進み、否定判定された場合にはステップS304へ進む。
【0111】
ステップS304において指令部303は、車両10がユーザの現在地まで移動するように、且つ、車両10がユーザの現在地から所定距離内に入った場合にロッカー18のスピーカからユーザに対して忘れ物があることを報知するように、運行指令を生成する。この運行指令には、車両10がユーザの現在地まで移動するルートが含まれる。ステップS305において指令部303は、生成した運行指令を車両10へ送信する。また、ステッ
プS306において指令部303は、車両情報DB312を更新する。例えば、ルートフィールドに、ステップS304において生成したルートに関する情報を入力する。
【0112】
一方、ステップS307において荷物管理部302は、車両10から引き取り完了情報を受信したか否か判定する。ステップS307で肯定判定された場合にはステップS209へ進み、否定判定された場合にはステップS308へ進む。ステップS308において荷物管理部302は、ユーザ端末20へ忘れ物情報を送信してから所定時間が経過したか否か判定する。ここでいう所定時間は、次のユーザの荷物の預け入れ又は次のユーザの引き取りに間に合わなくなる虞のある時間である。すなわち、ユーザが何らかの理由によって忘れ物を引き取らない場合には、次のユーザの荷物の預け入れ又は次のユーザの引き取りに間に合わなくなる虞があるため、忘れ物を引き渡すことをあきらめて、次のユーザの荷物の預け入れ地点または次のユーザの荷物の引き取り地点に移動する。そのため、ステップS308で肯定判定された場合にはステップS215へ進み、否定判定された場合にはステップS307へ戻る。
【0113】
以上説明したように第2実施形態によれば、忘れ物をしたユーザを車両10が追いかけるため、ユーザが速やかに忘れ物を受け取ることができる。これにより、新たなユーザが荷物を預けることが可能になる。
【0114】
<第3実施形態>
第2実施形態では、ユーザ端末20の位置情報に基づいて車両10が移動することにより、車両10がユーザに忘れ物を届けている。一方、第3実施形態では、ユーザに対して忘れ物の引き渡し地点を提案し、その提案した地点に車両10を移動させて忘れ物の引き渡しを行う。なお、忘れ物の引き渡しを行う所定地点は、ユーザと合流する地点であり、例えば、車両10の現在地とユーザの現在地との間で車両10が停止可能な地点としてもよい。また、複数の地点を提案して、ユーザに選択させてもよい。
【0115】
図15は、ロッカー18に忘れ物があるときのシステム1全体の処理のシーケンス図である。この処理は、
図10のステップS113において肯定判定された後に実行される。なお、
図11または
図13と同じ処理が実行されるステップについては同じ符号を付して説明を省略する。サーバ30は、センサ181の検出値に基づいて、忘れ物が存在しているか否か判定し(S13)、忘れ物が存在しているとサーバ30が判定した場合には、サーバ30がユーザ端末20へ忘れ物情報を送信する(S14)。なお、この忘れ物情報には、忘れ物があることを示した画像をユーザ端末20の画面に表示させるための情報、及び、ユーザ端末20に位置情報の送信を指示するための情報が含まれる。忘れ物情報を受信したユーザ端末20は、サーバ30へ位置情報を送信する(S31)。なお、別法として、ユーザ端末20からサーバ30へ定期的に位置情報が送信されている場合には、S14の処理を省略することができる。また、忘れ物情報を受信したユーザ端末20において、忘れ物があることをユーザに報知することは必須ではない。すなわち、忘れ物情報が、ユーザ端末20から位置情報を送信させるための情報であってもよい。
【0116】
ユーザ端末20から位置情報を受信したサーバ30では、この位置情報に基づいて忘れ物の引き渡し地点を決定する(S41)。例えば、サーバ30は、ユーザ端末20の現在地の周辺で、車両10を止めることが可能な地点を引き渡し地点として決定する。このときに、ユーザが徒歩で移動可能な範囲に限定して引き渡し地点を決定してもよい。また、別法として、車両10の現在地とユーザ端末20の現在地との間で車両10を止めることが可能な地点を引き渡し地点として決定してもよい。このときに、引き渡し地点を複数決定してもよい。さらに、別法として、ユーザが移動するルートを予測し、その予測したルートの周辺で車両10を止めることが可能な地点を引き渡し地点として決定してもよい。
【0117】
サーバ30は、決定した引き渡し地点をユーザ端末20へ送信する(S42)。ユーザ端末20では、決定した引き渡し地点での荷物の引き渡しに同意するか否か、及び、引き渡し地点を選択するための画面が表示される。
図16は、引き渡し地点についての情報を受信したユーザ端末20の画面に表示される画像の一例である。
図16は、荷物の引き渡し地点が一ヵ所だけ決定された場合に、この引き渡し場所において荷物の引き渡しを希望するか否かを問い合わせるときにユーザ端末20の画面に表示される画像である。一方、
図17は、引き渡し地点についての情報を受信したユーザ端末20の画面に表示される画像の他の例である。
図17は、荷物の引き渡し地点が複数決定された場合に、これらの引き渡し場所の何れにおいて荷物の引き渡しを希望するか問い合わせるときにユーザ端末20の画面に表示される画像である。この画面にしたがってユーザが入力した回答をユーザ端末20が取得し(S43)、サーバ30へ送信する(S44)。
【0118】
サーバ30では、ユーザ端末20から受信した回答に基づいて、車両10が忘れ物の引き渡し地点に向かって移動するように、運行指令を生成する(S45)。例えば、引き渡し地点までのルートを生成して車両10へ送信してもよい。この運行指令には、車両10がユーザに近付いたときに、ユーザに対して報知する指令を含んでいてもよい。
【0119】
サーバ30が生成した運行指令は、車両10へ送信される(S46)。車両10では、引き渡し地点に向かって移動が開始される(S47)。そして、引き渡し地点に車両10が近づくと、車両10のスピーカから例えば忘れ物があることをユーザに報知する(S48)。そして、車両10が引き渡し地点に到着すると、所定時間停止する。所定時間停止してもユーザが忘れ物を取りに来ない場合には、次のユーザに向けて移動する。
【0120】
次に、ステップS114において実行される忘れ物判定処理について説明する。
図18は、第3実施形態に係る忘れ物判定処理のフローチャートである。なお、
図12と同じ処理が実行されるステップについては、同じ符号を付して説明を省略する。
図18に示したフローチャートでは、ステップS202の処理が完了するとステップS401へ進む。
【0121】
ステップS401において荷物管理部302は、忘れ物情報をユーザ端末20へ送信する。ここで送信する忘れ物情報には、忘れ物があることをユーザに報知するための情報が含まれていればよい。ステップS402において指令部303は、ユーザの現在地を取得する。指令部303は、ユーザ端末20から受信した現在地を、ユーザの現在地として取得する。
【0122】
ステップS403において荷物管理部302は、受け渡し地点を決定する。例えば、ユーザ端末20から取得した現在地から徒歩で移動可能な範囲内で且つ車両10を止めることができる地点を地図情報DB314に格納されているデータに基づいて抽出する。該当する地点が複数ある場合には、複数の受け渡し地点を決定してその中からユーザに選択させてもよい。また、別法として、ユーザ端末20から取得した現在地を受け渡し地点として決定してもよい。
【0123】
ステップS404において荷物管理部302は、決定した受け渡し地点に関する情報をユーザ端末20へ送信する。受け渡し地点に関する情報には、ユーザがその地点に移動可能になるための情報(例えば、座標、住所、名称、地点の説明などに関する情報)が含まれる。また、ユーザ端末20へ送信する情報には、ユーザ端末20の画面に受け渡し地点に対する問い合わせを表示させ、その回答をサーバ30へ送信する指令を含む。
【0124】
ステップS405において荷物管理部302は、ユーザ端末20から受け渡し地点に関する回答を受信したか否か判定する。ここでは、どの受け渡し地点で忘れ物を受け渡すのかについての回答があったか否か判定している。ステップS405で肯定判定された場合
にはステップS205へ進み、否定判定された場合にはステップS215へ進む。なお、ユーザ端末20から所定時間待っても回答がない場合には、ユーザ端末20から回答がないものとして扱ってもよい。
【0125】
なお、上記説明では、ユーザが忘れ物をした場合に、すぐに受け渡し地点を決定しているが、別法として、所定時間待ってから受け渡し地点を決定してもよい。例えば、ユーザが忘れ物に気付いて車両10に戻ることが考えられる。このときに車両10が移動していると、ユーザが車両10を見つけ難くなる。したがって、ユーザが戻る可能性のある時間内は、車両10が停止した状態を維持してもよい。
【0126】
以上説明したように第3実施形態によれば、忘れ物をしたユーザと車両10とが待ち合わせをすることでユーザに忘れ物を届けるため、ユーザが速やかに忘れ物を受け取ることができる。これにより、新たなユーザが荷物を預けることが可能になる。
【0127】
<その他の実施形態>
上記の実施形態はあくまでも一例であって、本開示はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得る。
【0128】
本開示において説明した処理や手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。
【0129】
また、1つの装置が行うものとして説明した処理が、複数の装置によって分担して実行されてもよい。あるいは、異なる装置が行うものとして説明した処理が、1つの装置によって実行されても構わない。コンピュータシステムにおいて、各機能をどのようなハードウェア構成(サーバ構成)によって実現するかは柔軟に変更可能である。例えば、車両10の機能の一部を、サーバ30が備えていてもよい。また、例えば、サーバ30の機能の一部または全部を、車両10が備えていてもよい。
【0130】
本開示は、上記の実施形態で説明した機能を実装したコンピュータプログラムをコンピュータに供給し、当該コンピュータが有する1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータのシステムバスに接続可能な非一時的なコンピュータ可読記憶媒体によってコンピュータに提供されてもよいし、ネットワークを介してコンピュータに提供されてもよい。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、例えば、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクドライブ(HDD)等)、光ディスク(CD-ROM、DVDディスク、ブルーレイディスク等)など任意のタイプのディスク、読み込み専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カード、フラッシュメモリ、光学式カード、電子的命令を格納するために適した任意のタイプの媒体を含む。
【符号の説明】
【0131】
1 システム
10 車両
18 ロッカー
20 ユーザ端末
30 サーバ
31 プロセッサ
32 主記憶部
33 補助記憶部
34 通信部
180 ボックス
181 センサ
182 入出力部
183 通信部