IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-蓄電装置 図1
  • 特許-蓄電装置 図2
  • 特許-蓄電装置 図3
  • 特許-蓄電装置 図4
  • 特許-蓄電装置 図5
  • 特許-蓄電装置 図6
  • 特許-蓄電装置 図7
  • 特許-蓄電装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6556 20140101AFI20240717BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20240717BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20240717BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20240717BHJP
   H01M 10/6554 20140101ALI20240717BHJP
   H01M 10/6568 20140101ALI20240717BHJP
【FI】
H01M10/6556
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/647
H01M10/6554
H01M10/6568
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021155478
(22)【出願日】2021-09-24
(65)【公開番号】P2023046725
(43)【公開日】2023-04-05
【審査請求日】2023-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀口 康太郎
(72)【発明者】
【氏名】青木 良太
(72)【発明者】
【氏名】森 伸一郎
(72)【発明者】
【氏名】廣森 一成
【審査官】宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-089812(JP,A)
【文献】特開2017-010781(JP,A)
【文献】特開2014-157756(JP,A)
【文献】特開2020-167133(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M10/52-10/667
H01M50/20-50/298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の蓄電セルを含む第1セル群および第2セル群、ならびに前記第1セル群と前記第2セル群との間に配置された中間プレートを含む蓄電スタックと、
底壁部を有し、前記蓄電スタックが配置されるロアケースと、
前記第1セル群と前記底壁部との間に配置された第1熱伝導部材と、
前記第2セル群と前記底壁部との間に配置された第2熱伝導部材と、を備え、
前記ロアケースは、前記底壁部から隆起するように設けられ、前記中間プレートを支持する台座部を含み、
前記第1熱伝導部材および前記第2熱伝導部材は、前記台座部に接触するように設けられている、蓄電装置。
【請求項2】
前記中間プレートは、前記第1セル群と前記第2セル群とが配列される配列方向において、前記台座部から前記第1セル群側にはみ出す第1はみ出し部と、前記台座部から前記第2セル群側にはみ出す第2はみ出し部を有し、
前記配列方向に直交する方向から見た場合に、前記第1熱伝導部材は、前記第1はみ出し部と前記台座部との間を充填するように設けられており、前記第2熱伝導部材は、前記第2はみ出し部と前記台座部との間を充填するように設けられている、請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記台座部は、前記第1セル群と前記第2セル群とが配列される配列方向と直交する方向に互いに離間して配置された第1台座部と第2台座部とを含む、請求項1または2に記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記蓄電スタックを冷却するための冷却器をさらに備え、
前記底壁部は、前記蓄電スタック側を向く内側主面と、前記蓄電スタックが位置する側とは反対側を向く外側主面とを有し、
前記冷却器は、前記外側主面に熱的に接触するように前記ロアケースの外側に配置されている、請求項1から3のいずれか1項に記載の蓄電装置。
【請求項5】
前記蓄電スタックを前記底壁部に向けて押し付ける押付け部材をさらに備え、
前記蓄電スタックは、前記第1セル群と前記第2セル群とが配列される配列方向において一端および他端を有し、
前記押付け部材は、前記一端を前記底壁部に向けて押し付けるための第1押し付け部と、前記他端を前記底壁部に向けて押し付けるための第2押し付け部とを有する、請求項1から4のいずれか1項に記載の蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両に搭載される蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の蓄電装置として、特開2020-053148号公報(特許文献1)には、収容ケース内に蓄電スタックと冷却器とが配置された構成において、複数のメイン冷却面および当該複数のメイン冷却面との間に凹部が設けられた冷却器と、蓄電スタックとを備え、複数のメイン冷却面と蓄電スタックとの間にゲル状の熱伝導部材を配置した蓄電装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-053148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の蓄電装置にあっては、複数のメイン冷却面との間に凹部が設けられているため、熱伝導部材の面積を大きく確保することが困難であり、熱伝導性が低下することが懸念される。
【0005】
さらに、冷却器を収容ケースの外部に配置する構成について検討されており、このような場合には、熱伝導部材を用いて蓄電スタックの底面と、ロアケースとの底壁部とを熱的に密着させることが考えられる。蓄電スタックの底面と底壁部とを熱伝導部材を介して接着する際には、蓄電スタックの底面と底壁部との間の空気が抜けずに残ってしまう場合がある。このような場合には、ロアケースに対する蓄電スタックの密着性が低下してしまう。さらに、熱伝導部材の面積が小さい場合には、熱伝導性が低下してしまう。
【0006】
本開示は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、本開示の目的は、熱伝導部材を介したロアケースに対する蓄電スタックの密着性を向上させ、かつ、良好な熱電伝導性を確保することができる蓄電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に基づく蓄電装置は、複数の蓄電セルを含む第1セル群および第2セル群、ならびに上記第1セル群と上記第2セル群との間に配置された中間プレートを含む蓄電スタックと、底壁部を有し、上記蓄電スタックが配置されるロアケースと、上記第1セル群と上記底壁部との間に配置された第1熱伝導部材と、上記第2セル群と上記底壁部との間に配置された第2熱伝導部材とを備える。上記ロアケースは、上記底壁部から隆起するように設けられ、上記中間プレートを支持する台座部を含む。上記第1熱伝導部材および上記第2熱伝導部材は、上記台座部に接触するように設けられている。
【0008】
上記構成のように、中間プレートが台座部に支持され、かつ、第1熱伝導部材および第2熱伝導部材が台座部に接触するように第1熱伝導部材および第2熱伝導部材を蓄電スタックとロアケースの底壁部で押し広げることにより、第1熱伝導部材および第2熱伝導部材と、蓄電スタックの底面と、底壁部とによって囲まれる台座部の周囲から、空気を逃がしつつ、第1熱伝導部材および第2熱伝導部材を押し広げることができる。これにより、第1熱伝導部材および第2熱伝導部材の面積を大きく確保することができる。この結果、第1熱伝導部材および第2熱伝導部材を介して蓄電スタック(第1セル群および第2セル群)とロアケースの底壁部との密着性を高めつつ、熱伝導性を良好に保つことができる。
【0009】
上記本開示に基づく蓄電装置にあっては、上記中間プレートは、上記第1セル群と上記第2セル群とが配列される配列方向において、上記台座部から上記第1セル群側にはみ出す第1はみ出し部と、上記台座部から上記第2セル群側にはみ出す第2はみ出し部を有していてもよい。この場合には、上記配列方向に直交する方向から見た場合に、上記第1熱伝導部材は、上記第1はみ出し部と上記台座部との間を充填するように設けられていてもよく、上記第2熱伝導部材は、上記第2はみ出し部と上記台座部との間を充填するように設けられていてもよい。
【0010】
上記構成によれば、中間プレート側に位置する第1セル群の端部および第2セル群の端部まで、第1熱伝導部材および第2熱伝導部材を確実に接触させることができる。
【0011】
上記本開示に基づく蓄電装置にあっては、上記台座部は、上記第1セル群と上記第2セル群とが配列される配列方向と直交する方向に互いに離間して配置された第1台座部と第2台座部とを含んでいてもよい。
【0012】
上記構成によれば、第1熱伝導部材および第2熱伝導部材を押し広げる際に、第1台座部および第2台座部の双方の周囲から空気を逃がすことができるため、ロアケースに対する蓄電スタックの密着性をさらに向上させることができる。
【0013】
上記本開示に基づく蓄電装置は、上記蓄電スタックを冷却するための冷却器をさらに備えていてもよい。上記底壁部は、上記蓄電スタック側を向く内側主面と、上記蓄電スタックが位置する側とは反対側に位置する外側主面とを有していてもよい。この場合には、上記冷却器は、上記外側主面に熱的に接触するように上記ロアケースの外側に配置されていることが好ましい。
【0014】
上記構成を有することにより、冷却器をロアケースの外側に配置した構成において、ロアケースの底壁部ならびに第1熱伝導部材および第2熱伝導部材を介して、蓄電スタックを冷却することができる。
【0015】
上記本開示に基づく蓄電装置は、上記蓄電スタックを上記底壁部に向けて押し付ける押付け部材をさらに備えていてもよい。上記蓄電スタックは、上記配列方向において一端および他端を有する。この場合には、上記押付け部材は、上記一端を上記底壁部に向けて押し付けるための第1押し付け部と、上記他端を上記底壁部に向けて押し付けるための第2押し付け部とを有することが好ましい。
【0016】
上記構成を有することにより、蓄電スタックを底壁部に向けて押し付けることができるため、蓄電スタックとロアケースの底壁部との密着性をさらに高めることができる。
【発明の効果】
【0017】
本開示によれば、熱伝導性部材を介したロアケースに対する蓄電スタックの密着性を向上させ、かつ、良好な熱電伝導性を確保することができる蓄電装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施の形態に係る蓄電装置の分解斜視図である。
図2】実施の形態に係る蓄電装置の断面図である。
図3】実施の形態に係る蓄電装置の中間プレートの下端の周囲を拡大して示す部分断面図である。
図4】実施の形態に係る蓄電装置の製造工程において、第1熱伝導部材および第2熱伝導部材を介して蓄電スタックをロアケースに取り付ける工程の初期状態を示す概略図である。
図5】底壁部に塗布された第1熱伝導部材および第2熱伝導部材を平面的に見た図である。
図6】実施の形態に係る蓄電装置の製造工程において、第1熱伝導部材および第2熱伝導部材を介して蓄電スタックをロアケースに取り付ける工程の途中状態を示す概略図である。
図7図6に示す途中状態において、蓄電スタックの底面と底壁部との間の空気の移動を模式的に示す図である。
図8】実施の形態に係る蓄電装置の製造工程において、第1熱伝導部材および第2熱伝導部材を介して蓄電スタックをロアケースに取り付ける工程の後状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本開示の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0020】
図1は、実施の形態に係る蓄電装置の分解斜視図である。図2は、実施の形態に係る蓄電装置の断面図であり、図1に示すII-II線に沿った断面図である。なお、図2においては、便宜上、後述するシェアパネル50を省略して図示している。図1および図2を参照して、実施の形態に係る蓄電装置1について説明する。
【0021】
実施の形態に係る蓄電装置1は、モータとエンジンとの少なくとも一方の動力を用いて走行可能なハイブリッド車両、または、電気エネルギによって得られた駆動力で走行する電動車両に搭載される。
【0022】
図1および図2に示すように、実施の形態に係る蓄電装置1は、複数の蓄電スタック10と、収容ケース20と、冷却器30と、外側熱伝導層40と、シェアパネル50と、熱伝導部材60と、押付け部材80(図2参照)とを含む。
【0023】
複数の蓄電スタック10の各々は、第1セル群11と、第2セル群12と、中間プレート13と、一対のエンドプレート16(図2参照)とを含む。
【0024】
第1セル群11および第2セル群12は、所定の方向(DR1方向)に並んで配置された複数の蓄電セル15(図2参照)を含む。DR1方向は、蓄電装置1が車両に搭載された状態においては、たとえば、車両の幅方向と平行な方向となる。
【0025】
蓄電セル15は、たとえば、ニッケル水素電池またはリチウムイオン電池等の二次電池である。単電池は、たとえば、角型形状を有する。二次電池は、液状の電解質を用いるものであってもよいし、固体状の電解質を用いるものであってもよい。また、蓄電セル15は、蓄電可能に構成された単位キャパシタであってもよい。
【0026】
中間プレート13は、第1セル群11と第2セル群12との間に配置されている。中間プレート13は、DR1方向における蓄電スタック10の中央に配置されている。中間プレート13は、たとえば、絶縁性を有する合成樹脂等によって構成されている。
【0027】
第1セル群11と第2セル群12とが配列された配列方向は、上記複数の蓄電セル15が並んで配置される方向と平行であり、DR1方向と平行である。
【0028】
一対のエンドプレート16は、DR1方向における蓄電スタック10の両端に配置されており、第1セル群11、中間プレート13、および第2セル群12を挟み込んでいる。一対のエンドプレート16は、たとえば、アルミニウム等の金属材料によって構成されている。
【0029】
複数の蓄電スタック10は、DR1方向に直交する方向(DR2方向)に並んで配置されている。DR2方向は、蓄電装置1が車両に搭載された状態においては、たとえば、車両の前後方向と平行な方向となる。
【0030】
収容ケース20は、複数の蓄電スタック10を内部に収容する。収容ケース20は、ロアケース21およびアッパーケース26を含む。
【0031】
ロアケース21は、上方に向けて開口する略箱形形状を有する。ロアケース21は、熱伝導性を有し、たとえば、金属によって形成されている。ロアケース21は、底壁部22、周壁部23、フランジ部24、台座部25、仕切壁211、および補強ブラケット212(図2参照)を有する。
【0032】
底壁部22は、複数の蓄電スタック10の下方に位置する。底壁部22は、蓄電スタック10側を向く内側主面22aと、蓄電スタック10が位置する側とは反対側を向く外側主面22bとを有する。
【0033】
周壁部23は、底壁部22の周縁から起立するように設けられている。フランジ部24は、周壁部23の上端から外側に向けて張り出すように設けられている。
【0034】
仕切壁211は、複数設けられている。仕切壁211は、所定の間隔でDR2方向に並んで配置されている。仕切壁211は、所定の間隔で蓄電スタック10が配置される領域を仕切っている。本実施の形態においては、仕切壁211は、2つの蓄電スタック10が配置される領域を仕切っているが、これに限定されず、仕切壁211の位置は適宜設定することができる。DR1方向における仕切壁211の両端は、周壁部23に接続されている。仕切壁211は、周壁部23を補強する。
【0035】
台座部25は、DR1方向における底壁部22の中央部から上方に向けて隆起するように設けられている。台座部25は、各蓄電スタック10に対応して複数設けられている。台座部25は、上述の複数の仕切壁211によって仕切られた領域の各々に設けられている。台座部25の頂部251(図3参照)は、平坦に形成されている。台座部25の頂部251には、中間プレート13が載置される。台座部25は、中間プレート13を支持する。
【0036】
台座部25は、第1台座部255および第2台座部256を含む。第1台座部255および第2台座部256は、DR2方向に互いに離間して配置されている。第1台座部255は、DR2方向における中間プレート13の一端側を支持する。第2台座部256は、DR2方向における中間プレート13の他端側を支持する。
【0037】
補強ブラケット212は、DR1方向における蓄電スタック10の両側において、周壁部23と蓄電スタック10との間に配置されている。補強ブラケット212は、蓄電スタック10の底壁部22への取付けを補強する。
【0038】
補強ブラケット212は、上端部、下端部、ならびに、上端部および下端部を接続する接続部を有する。上端部、および下端部は、蓄電スタック10から離れるようにDR1方向に沿って延びる平板形状を有し、接続部は、上下方向に沿って延在するように設けられている。
【0039】
補強ブラケット212の下端部は、たとえば溶接等によって底壁部22の内側主面22aに接続されている。補強ブラケット212の上端部は、たとえば溶接等によってフランジ部24に接続されている。
【0040】
アッパーケース26は、下方に向けて開口する略箱形状を有する。アッパーケース26は、たとえば、金属によって構成されている。
【0041】
アッパーケース26は、天井部27、周壁部28、およびフランジ部29を有する。天井部27は、収容ケース20の上壁を形成している。周壁部28は、天井部27の周縁から下方に向けて延設されている。フランジ部29は、周壁部28の下端から外側に向けて張り出すように設けられている。
【0042】
フランジ部24とフランジ部29とは、互いに上下方向に重ね合わされた状態において、複数の締結部材(不図示)により締結され、これにより、アッパーケース26およびロアケース21は、内部に複数の蓄電スタック10を収容する。
【0043】
冷却器30は、複数の蓄電スタック10を冷却するための機器である。冷却器30は、収容ケース20の外側に配置されている。具体的には、冷却器30は、ロアケース21の底壁部22の下方に配置されている。冷却器30と外側主面22bとの間には外側熱伝導層40が配置されている。冷却器30は、外側主面22bに熱的に接触するように、ロアケース21の外側に配置されている。
【0044】
冷却器30は、アルミニウム等の金属材料によって構成されてる。冷却器30は、複数のメイン冷却部31と、保持部32とを含む。複数のメイン冷却部31および保持部32の内部には、蓄電スタック10を冷却するための冷媒が流れる冷媒流路31a(図2参照)が配索されている。メイン冷却部31において、冷媒は、図2中矢印で示すように、第1セル群11側から第2セル群12側に向けて流れる。
【0045】
冷却器30は、冷媒導入部33、および冷媒排出部34を有する。冷媒導入部33を介して上記冷媒流路に外部から冷媒が導入される。冷媒排出部34を介して上記冷媒流路から冷媒が排出される。
【0046】
複数のメイン冷却部31は、DR2方向と平行な方向に並んで配置されている。複数のメイン冷却部31は、DR1方向に沿って延在する。複数のメイン冷却部31の各々は、底壁部22を挟んで蓄電スタック10と対向する位置に配置されている。
【0047】
保持部32は、複数のメイン冷却部31を保持している。保持部32は、少なくともDR1方向におけるメイン冷却部31の両端を保持するように設けられている。保持部32は、たとえば、メイン冷却部31の両端でDR2方向に沿って延びる一対の延在部を含むように設けられている。保持部32は、複数のメイン冷却部31を囲むように枠状に設けられていてもよい。
【0048】
外側熱伝導層40は、熱伝導材からなり、ロアケース21の底壁部22と冷却器30との間に配置されている。外側熱伝導層40は、複数の中央熱伝導部41と、環状熱伝導部42とを有している。
【0049】
複数の中央熱伝導部41は、各メイン冷却部31とロアケース21の底壁部22との間に配置されている。中央熱伝導部41は、DR1方向に延びる形状を有している。
【0050】
環状熱伝導部42は、各中央熱伝導部41を囲む形状を有している。環状熱伝導部42は、保持部32と収容ケース20との間に配置されている。これにより、環状熱伝導部42の内側の空間への水の進入が抑制される。
【0051】
外側熱伝導層40は、接着層としても機能し、冷却器30を底壁部22に接着固定している。外側熱伝導層40は、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン樹脂、または、エポキシ樹脂等を含む接着剤によって構成されている。
【0052】
シェアパネル50は、冷却器30を下方側から覆うように配置される。シェアパネル50は、冷却器30を保護するとともに、冷却器30の被水を抑制する。シェアパネル50は、金属材料によって構成されている。
【0053】
熱伝導部材60は、各蓄電スタック10と底壁部22(より特定的には内側主面22a)との間に配置されている。熱伝導部材60は、接着層としても機能し、各蓄電スタック10を底壁部22に接着固定している。
【0054】
熱伝導部材60は、第1熱伝導部材61と第2熱伝導部材62とを有する。第1熱伝導部材61は、第1セル群11と底壁部22との間に配置されている。第1熱伝導部材61は、第1セル群11を底壁部22に接着固定している。第2熱伝導部材62は、第2セル群12と底壁部22との間に配置されている。第2熱伝導部材62は、第2セル群12を底壁部22に接着固定している。
【0055】
第1熱伝導部材61および第2熱伝導部材62は、熱伝導性を有する樹脂部材によって構成されている。第1熱伝導部材61および第2熱伝導部材62としては、たとえば、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン樹脂、または、エポキシ樹脂等を含む接着剤を採用することができる。第1熱伝導部材61と第2熱伝導部材62とを同一の材料で構成する場合には、互いに異なる材料で構成する場合と比較して部材を簡素化することができる。
【0056】
なお、冷媒は、第1セル群11側から第2セル群12側に向けて流れる。すなわち、第1セル群11を冷却した冷媒を介して第2セル群12が冷却される。このため、第1セル群11と第2セル群12との温度差を抑制するために、第2熱伝導部材62の熱伝導率は、第1熱伝導部材61の熱伝導率よりも高くてもよい。
【0057】
押付け部材80は、蓄電スタック10を底壁部22に向けて押し付ける部材である。押付け部材80は、第1熱伝導部材61および第2熱伝導部材62が押し広がるように蓄電スタック10を底壁部22に向けて押し付けた状態で当該蓄電スタック10を収容ケース20に取り付けている。押付け部材80は、第1押付け部81と、第2押し付け部82とを有している。
【0058】
第1押付け部81は、DR1方向における蓄電スタック10の一端を底壁部22に向けて押し付けている。第1押し付け部81は、ブラケット811と、内側締結部材812と、外側締結部材813とを有している。
【0059】
ブラケット811は、第1セル群11を収容ケース20に取り付けるための部材である。ブラケット811は、金属によって構成されている。DR1方向におけるブラケット811の内側端部は、内側締結部材812によって蓄電スタック10の一端に固定されている。DR1方向におけるブラケット811の外側端部は、外側締結部材813によって補強ブラケット212の上端部に固定されている。
【0060】
第2押付け部82は、DR1方向における蓄電スタック10の他端を底壁部22に向けて押し付けている。第2押し付け部82は、ブラケット821と、内側締結部材822と、外側締結部材823とを有している。
【0061】
ブラケット821は、第2セル群12を収容ケース20に取り付けるための部材である。ブラケット821は、金属によって構成されている。DR1方向におけるブラケット821の内側端部は、内側締結部材822によって蓄電スタック10の他端に固定されている。DR1方向におけるブラケット821の外側端部は、外側締結部材823によって補強ブラケット212の上端部に固定されている。
【0062】
上述のように、第1押付け部81および第2押付け部82によって、第1セル群11および第2セル群12を底壁部22に向けて押し付けることにより、第1セル群11と底壁部22との間に配置された第1熱伝導部材61、および第2セル群12と底壁部22との間に配置された第2熱伝導部材62を押し広げることができる。
【0063】
図3は、実施の形態に係る蓄電装置の中間プレートの下端の周囲を拡大して示す部分断面図である。なお、図3においては便宜上、外側熱伝導層40、冷却器30、およびシェアパネル50を省略して図示している。図3を参照して、中間プレート13の下端の周囲の構成について説明する。
【0064】
図3に示すように、台座部25は、頂部251と、傾斜部252,253とを含む。頂部251は、略平板形状を有する。傾斜部252は、DR1方向における頂部251の一端に接続されており、DR1方向の一方側(蓄電スタック10の一端側)に向かうにつれて下方に向かうように傾斜している。傾斜部253は、DR1方向における頂部の他端に接続されており、DR1方向の他方側(蓄電スタック10の他端側)に向かうにつれて下方に向かうように傾斜している。
【0065】
中間プレート13は、台座部25(より特定的には頂部251)に載置されている。中間プレート13は、DR1方向において、第1セル群11側に位置する第1端部13a、および第2セル群12側に位置する第2端部13bを有する。
【0066】
中間プレート13は、台座部25の頂部251から第1セル群11側にはみ出す第1はみ出し部131と、台座部25から第2セル群12側にはみ出す第2はみ出し部132とを有する。
【0067】
第1熱伝導部材61は、台座部25に接触するように設けられている。第2熱伝導部材62側に位置する第1熱伝導部材61の端部61aは、上記傾斜部252に接触している。上記配列方向に直交する方向から見た場合に、第1熱伝導部材61は、第1はみ出し部131と台座部25との間を充填するように設けられている。
【0068】
第2熱伝導部材62は、台座部25に接触するように設けられている。第1熱伝導部材61側に位置する第2熱伝導部材62の端部62aは、上記傾斜部253に接触している。上記配列方向に直交する方向から見た場合に、第2熱伝導部材62は、第2はみ出し部132と台座部25との間を充填するように設けられている。
【0069】
図4は、実施の形態に係る蓄電装置の製造工程において、第1熱伝導部材および第2熱伝導部材を介して蓄電スタック10をロアケース21に取り付ける工程の初期状態を示す概略図である。
【0070】
図4に示すように、第1熱伝導部材61および第2熱伝導部材62を介して蓄電スタック10をロアケース21に取り付ける際には、まず、ロアケース21の底壁部22に第1熱伝導部材61および第2熱伝導部材62を塗布した状態で、当該底壁部22と蓄電スタック10とを対向して配置させる。
【0071】
図5は、底壁部に塗布された第1熱伝導部材および第2熱伝導部材を平面的に見た図である。
【0072】
図5に示すように、第1熱伝導部材61および第2熱伝導部材62は、底壁部22の内側主面22a上に塗布される。第1熱伝導部材61および第2熱伝導部材62は、台座部25側に向けて開放された略C字形状を有するように塗布される。第1熱伝導部材61および第2熱伝導部材62は、連続的に塗布されていてもよいし、間隔をあけて断続的に塗布されていてもよい。第1熱伝導部材61および第2熱伝導部材62は、台座部25との間に隙間ができるように塗布されている。
【0073】
第1熱伝導部材61は、第1部分611、第2部分612、および第3部分613を有するように塗布される。第1部分611および第2部分612は、DR2方向に間隔をあけて形成されており、DR1方向に沿って延在する。第3部分613は、DR2方向において、台座部25が位置する側とは反対側に位置する第1部分611および第2部分612の端部側に設けられている。第3部分613は、DR2方向に延在するように設けられている。
【0074】
同様に、第2熱伝導部材62は、第1部分621、第2部分622、および第3部分623を有するように塗布される。第1部分621および第2部分622は、DR2方向に間隔をあけて形成されており、DR1方向に沿って延在する。第3部分623は、DR2方向において、台座部25が位置する側とは反対側に位置する第1部分621および第2部分622の端部側に設けられている。第3部分623は、DR2方向に延在するように設けられている。
【0075】
図6は、実施の形態に係る蓄電装置の製造工程において、第1熱伝導部材および第2熱伝導部材を介して蓄電スタック10をロアケース21に取り付ける工程の途中状態を示す概略図である。
【0076】
図6に示すように、途中状態においては、蓄電スタック10の底面と底壁部22との間隔が狭まるように、蓄電スタック10を底壁部22に向けて移動させる。この際、第1熱伝導部材61および第2熱伝導部材62が、第1セル群11および第2セル群12と底壁部22とによって挟み込まれて押し広げられる。
【0077】
図7は、図6に示す途中状態において、蓄電スタックの底面と底壁部との間の空気の移動を模式的に示す図である。
【0078】
図7に示すように、第1熱伝導部材61および第2熱伝導部材62が押し広げられる際には、第1熱伝導部材61、第2熱伝導部材62、蓄電スタック10の底面、および底壁部22とによって囲まれた空間S1、S2内の空気を、図中矢印に示すように、台座部25の周囲から蓄電スタック10の外側に逃がすことができる。押し広げられた第1熱伝導部材61および第2熱伝導部材62は、第1セル群11と第2セル群12と底壁部22との間を充填している。
【0079】
このように、空気を逃がしつつ、第1熱伝導部材61および第2熱伝導部材62を押し広げることにより、蓄電スタック10とロアケース21の底壁部22との密着性を高めることができる。加えて、第1台座部255および第2台座部256の双方の周囲から空気を逃がすことで、上記密着性をさらに高めることができる。
【0080】
図8は、実施の形態に係る蓄電装置の製造工程において、第1熱伝導部材および第2熱伝導部材を介して蓄電スタック10をロアケース21に取り付ける工程の後状態を示す概略図である。
【0081】
図8に示すように、後状態においては、台座部25に中間プレート13が載置され、台座部25に接触するように第1熱伝導部材61および第2熱伝導部材62は、台座部25に接触する。このように、第1熱伝導部材および第2熱伝導部材が押し広げられることで、第1熱伝導部材61および第2熱伝導部材62の面積を大きく確保することができる。これにより、熱伝導性を良好に保つことができる。
【0082】
この際、上述のように第1熱伝導部材61が、第1はみ出し部131と台座部25との間を充填し、第2熱伝導部材62が、第2はみ出し部132と台座部25との間を充填することで、中間プレート13側に位置する第1セル群11の端部および第2セル群12の端部まで、第1熱伝導部材61および第2熱伝導部材62を確実に接触させることができる。
【0083】
加えて、押付け部材80を用いることにより、より強固に第1セル群11および第2セル群12を底壁部22に押し付けることができるため、蓄電スタック10の密着性をさらに高めることができる。
【0084】
なお、上述においては、押付け部材80が、補強ブラケット212に固定される場合を例示して説明したが、これに限定されず、押付け部材80は、底壁部22に固定されてもよい。また、熱伝導部材60によって蓄電スタック10を底壁部22に十分に固定できる場合には、押付け部材80および補強ブラケット212を省略してもよい。
【0085】
以上、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0086】
1 蓄電装置、10 蓄電スタック、11 第1セル群、12 第2セル群、13 中間プレート、13a 第1端部、13b 第2端部、15 蓄電セル、16 エンドプレート、20 収容ケース、21 ロアケース、22 底壁部、22a 内側主面、22b 外側主面、23 周壁部、24 フランジ部、25 台座部、26 アッパーケース、27 天井部、28 周壁部、29 フランジ部、30 冷却器、31 メイン冷却部、31a 冷媒流路、32 保持部、33 冷媒導入部、34 冷媒排出部、40 外側熱伝導層、41 中央熱伝導部、42 環状熱伝導部、50 シェアパネル、60 熱伝導部材、61 第1熱伝導部材、61a 端部、62 第2熱伝導部材、62a 端部、80 押付け部材、81 第1押付け部、82 第2押付け部、131 第1はみ出し部、132 第2はみ出し部、211 仕切壁、212 補強ブラケット、251 頂部、252,253 傾斜部、611 第1部分、612 第2部分、613 第3部分、621 第1部分、622 第2部分、623 第3部分、811 ブラケット、812 内側締結部材、813 外側締結部材、821 ブラケット、822 内側締結部材、823 外側締結部材。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8