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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】電磁接触器及び電磁接触器の組立方法
(51)【国際特許分類】
   H01H 50/02 20060101AFI20240717BHJP
   H01H 9/02 20060101ALI20240717BHJP
   H01H 49/00 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
H01H50/02 E
H01H9/02 C
H01H49/00 D
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021194632
(22)【出願日】2021-11-30
(65)【公開番号】P2023081001
(43)【公開日】2023-06-09
【審査請求日】2023-12-05
(73)【特許権者】
【識別番号】508296738
【氏名又は名称】富士電機機器制御株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(72)【発明者】
【氏名】関谷 優志
(72)【発明者】
【氏名】高谷 幸悦
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/046946(WO,A1)
【文献】特開2012-15088(JP,A)
【文献】国際公開第2021/187021(WO,A1)
【文献】特開2021-57221(JP,A)
【文献】特開平7-312159(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 50/02
H01H 49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下分割形の筐体を構成する下部フレーム及び上部フレームと、
前記上部フレームの内部に配置され、一対の可動接点を有する可動接触子と、前記一対の可動接点と接離可能な固定接点を有する一対の固定接触子と、前記可動接触子を支持する接点支えと、を備えた接点機構と、
前記下部フレームの内部に配置され、前記接点支えを介して、前記接点機構をオン・オフ駆動する操作用の電磁石と、を備え、
前記接点支えと前記電磁石とを、前記電磁石の駆動方向に交差する方向にスライド移動させることで連結する電磁接触器において、
前記上部フレームに前記接点支えを一体に組み込んだ状態で、スライド移動させることで前記接点支えと前記電磁石を連結し、
前記接点支えは、前記電磁石との連結方向に交差する方向の一端で開口して交差する方向に延在する連結挿入部を備え、
前記電磁石は、前記接点機構と連結する連結バネを備え、
前記接点支えの前記連結挿入部を、前記電磁石の前記連結バネに向けてスライド移動させることで、前記接点支えと前記電磁石を連結し、
前記電磁石は、励磁コイルが巻装される円筒部と、前記円筒部の端から外側且つ前記接点機構側に突出したフランジ部と、を有するスプールを備え、前記上部フレームは、前記電磁石側に前記可動接点と前記固定接点との接点ギャップよりも小さい寸法で突出する段差部を備え、前記接点ギャップが開いた際に、前記接点機構側に突出した前記フランジ部と前記段差部の壁面同士が対向し、前記接点ギャップが無い状態で前記フランジ部と前記段差部の壁面同士が対向しないことを特徴とする電磁接触器。
【請求項2】
前記接点機構の前記上部フレーム及び前記接点支えを前記接点ギャップが無いように保持した状態で、前記接点支えを、前記電磁石に向けてスライド移動させることを特徴とする請求項記載の電磁接触器。
【請求項3】
前記電磁石は、上下に移動するプランジャと、前記プランジャの端から外側に突出したアーマチュアとを有するプランジャ型電磁石であり、前記アーマチュアに前記連結バネが設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電磁接触器。
【請求項4】
前記電磁石は、上下に移動する可動鉄心を有する脚型電磁石であり、前記可動鉄心に前記連結バネが設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電磁接触器。
【請求項5】
請求項1からの何れか1項に記載されている電磁接触器の組立方法であって、
前記上部フレーム及び前記接点機構の前記接点支えを一体に組み込む第1の組立てステップと、
前記上部フレームとともに保持された前記接点支えを、前記電磁石にスライドして挿入していく第2の組立てステップと、
前記上部フレームの下縁部に、前記下部フレームの上縁部を係合して前記筐体を形成する第3の組立てステップと、を備えているとともに、
前記第1の組立てステップと前記第2の組立てステップとの間に、前記上部フレームとともに保持された前記接点支えを、前記固定接点及び前記可動接点が接触して前記接点ギャップが無くなるように相対移動させる干渉防止ステップを設け、
前記第2の組立てステップと前記第3の組立てステップの間に、前記接点支えと、前記電磁石との連結が完了したときに、前記固定接点及び前記可動接点の間に所定の前記接点ギャップが設けられるように前記上部フレームを前記電磁石に移動させる釈放ステップを設けたことを特徴とする電磁接触器の組立方法。
【請求項6】
プランジャ型電磁石を操作用の電磁石として使用する電磁接触器及び脚型電磁石を操作用の電磁石として使用する電磁接触器を含む組立ラインにおいて、前記第1の組立てステップを共通化することを特徴とする請求項に記載の電磁接触器の組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁接触器及び電磁接触器の組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電磁接触器として、上下分割形の本体ケースを構成する下部フレーム及び上部フレームと、上部フレームに内装された接点機構と、下部フレームに内装されて接点機構をオン・オフ駆動する操作電磁石と、を備え、接点機構を、上部フレームに固定された固定接触子と、上部フレームの内部に移動自在に配置され、操作電磁石に連結される接点支えと、接点支えに支持され、固定接触子の固定接点に可動接点が接離する可動接触子と、を備えた装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-118915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電磁接触器の操作電磁石として、プランジャ型電磁石及び脚型電磁石の一方が使用されている。プランジャ型電磁石は、上下に移動するプランジャと、プランジャの端から外側に突出したアーマチュアとを有する電磁石であり、脚型電磁石は、上下に移動する可動鉄心を有する電磁石である。このようなプランジャ型電磁石及び脚型電磁石の構造の違いから、異なる接点機構と操作電磁石の連結構造が使用されていた。
そのため、従来の電磁接触器の組立ては、プランジャ型電磁石及び脚型電磁石とで異なる工程で各部品の組立を行っており、異なる組立ラインを必要としていたため、工程数が多く、組立ラインが長くなることで設備投資が増大してしまい、電磁接触器の製造コストの面で問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、操作電磁石としてプランジャ型電磁石及び脚型電磁石の一方を使用して電磁接触器を製造する場合に、組立ラインを一部共通化し、組立工程数を減少させ、組立ラインを短くして組立設備投資を減少させて製造コストの低減化を図ることができる電磁接触器及び電磁接触器の組立方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る電磁接触器の一態様は、上下分割形の筐体を構成する下部フレーム及び上部フレームと、上部フレームの内部に配置され、一対の可動接点を有する可動接触子と、一対の可動接点と接離可能な固定接点を有する一対の固定接触子と、可動接触子を支持する接点支えと、を備えた接点機構と、下部フレームの内部に配置され、接点支えを介して、接点機構をオン・オフ駆動する操作用の電磁石と、を備え、接点支えと電磁石とを、電磁石の駆動方向に交差する方向にスライド移動させることで連結する電磁接触器において、上部フレームに接点支えを一体に組み込んだ状態で、スライド移動させることで接点支えと電磁石を連結するようにした。
【0007】
また、本発明に係る電磁接触器の組立方法の一態様は、上述した電磁接触器の組立方法であって、上部フレーム及び接点機構の接点支えを一体に組み込む第1の組立てステップと、上部フレームとともに保持された接点支えを、電磁石にスライドして挿入していく第2の組立てステップと、上部フレームの下縁部に、下部フレームの上縁部を係合して筐体を形成する第3の組立てステップと、を備えている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の電磁接触器及び電磁接触器の組立方法によると、操作電磁石としてプランジャ型電磁石及び脚型電磁石の一方を使用して電磁接触器を製造する場合、上部フレームにプランジャ型電磁石専用の接点支えを一体に組み込んでプランジャ型電磁石ユニットとし、或いは、上部フレームに脚型電磁石専用の接点支えを一体に組み込んで脚型電磁石用ユニットとする。そして、これらプランジャ型電磁石ユニット及び脚型電磁石用ユニットの一方の連結挿入部とプランジャ型電磁石及び脚型電磁石の一方を連結するようにしたことから、上部フレームに接点支えを組み込む工程を初期工程として共通化できる。したがって、操作電磁石としてプランジャ型電磁石及び脚型電磁石を使用する場合に異なる組立ラインで電磁接触器の一連の工程を行っていた従来の電磁接触器の組立ラインと比較して、組立工程数を減少させた組立ラインとすることができる。また、本発明は、組立ラインの短尺化を図って組立設備投資を減少させ、操作電磁石としてプランジャ型電磁石及び脚型電磁石の一方を使用した電磁接触器を製造する際に、製造コストの低減化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る第1実施形態の電磁接触器を示す斜視図である。
図2】本発明に係る第1実施形態の電磁接触器を前方から示した図である。
図3】操作電磁石としてプランジャ型電磁石を使用した第1実施形態の電磁接触器を示す断面図である。
図4】第1実施形態において電磁接触器を構成するプランジャ型電磁石を示す図である。
図5】第1実施形態においてプランジャ型電磁石専用の接点機構を構成する接点支えの構造を示す斜視図である。
図6】第1実施形態においてプランジャ型電磁石専用の接点機構を構成する上部フレーム及び上部フレームに配置した接点支えを示す斜視図である。
図7図3の符号Aで示す丸印の内部を拡大して示した図である。
図8】第1実施形態の電磁接触器を上方から示した図である。
図9】第1実施形態において固定接点及び可動接点の接点ギャップが無くなるように、プランジャ型電磁石専用の接点機構の接点支え及び上部フレームを相対移動させた状態を示す図である。
図10】上部フレームに形成した段差部を電磁石の一部(前側フランジ部)に干渉させずに、プランジャ型電磁石専用の接点機構を電磁石に対してスライド移動させることで、接点支えの連結挿入部を電磁石の連結バネに連結させる初期状態を示す図である。
図11】プランジャ型電磁石専用の接点機構において、スライド移動により接点支えの連結挿入部及び電磁石の連結バネの連結を完了し、上部フレームの段差部が電磁石の一部に干渉しない位置まで移動した状態を示す図である。
図12】操作電磁石として脚型電磁石を使用した第2実施形態の電磁接触器を示す断面図である。
図13】第2実施形態において脚型電磁石専用の接点機構を構成する接点支えの構造を示す斜視図である。
図14】第2実施形態において脚型電磁石専用の接点支えに可動鉄心を有する脚型電磁石が連結する状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、図面を参照して、本発明に係る実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0011】
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
なお、以下の説明で記載されている「上」、「下」、「左」、「右」、「底」、「前」、「後」、「長尺方向」、「短尺方向」等の方向を示す用語は、添付図面の方向を参照して用いられている。
【0012】
本発明に係る第1実施形態の電磁接触器10について、図1から図11を参照して説明する。
図1で示す第1実施形態の電磁接触器10は、第1のフレーム11Aと第2のフレーム11Bとが互いに前後方向に連結されることで筐体が構成されている。第1のフレーム11Aの有底角筒状部50の底部四隅には取付板部51が形成されている。第2のフレーム11Bは、第1のフレーム11Aの有底角筒状部50と対向する前端を開放した角筒部52を有する。
第2のフレーム11Bの角筒部52の前方には、図2に示すように、上方に電源側端子部53a及び補助端子部54aが形成され、下方に負荷側端子部53b及び補助端子部54bが形成されている。
【0013】
図3は、電磁接触器10の内部構造を示しており、第2のフレーム11Bに内装された接点機構13と、第1のフレーム11A(図3では不図示)に内装され、接点機構13をオン・オフ駆動して操作電磁石として使用されるプランジャ型電磁石12と、を備えている。
プランジャ型電磁石12は、図3に示すように、スプール14と、プランジャ15と、外ヨーク16と、励磁コイル21と、第1のアーマチュア24と、第2のアーマチュア25とを備えている。スプール14は、円筒部17と、円筒部17の軸方向両端部にそれぞれ半径方向に突出する前側フランジ部19と後側フランジ部20とを有している。スプール14の円筒部17の外周に、励磁コイル21が巻装されている。また、スプール14の前側フランジ部19に、励磁コイル21に通電するためのコイル端子22が装着されている。
【0014】
また、プランジャ15は、スプール14の円筒部17に挿通された円柱状の棒状体であり、プランジャ15の軸方向両端部に、図4にも示すように、半径方向に突出する第1のアーマチュア24と第2のアーマチュア25とが連結されている。
そして、第1のアーマチュア24の中央部には、連結バネ18が固定されている。この連結バネ18は、長尺な金属板で形成されており、第1のアーマチュア24に固定されている固定板部18aと、固定板部18aから第1のアーマチュア24に離間する斜め上方向に立ち上がり、先端側に曲率部を設けた一対の弾性係合板部18b,18cとで構成されている。
【0015】
接点機構13は、図3に示すように、第2のフレーム11Bに固定されて左右方向に並べて配置した複数組の電源側固定接触子26a及び負荷側固定接触子26bと、第2のフレーム11Bの内部に前後方向に移動自在に装着されている接点支え28と、接点支え28に支持され、複数組の電源側固定接触子26aの固定接点26a1及び複数組の負荷側固定接触子26bの固定接点26b1に可動接点27a,27bが接離可能となるように前後方向に移動する複数の可動接触子27と、を備えている。
【0016】
接点支え28は、プランジャ型電磁石専用の部材である。接点支え28は、図5に示すように、複数の可動接触子27を前後方向に可動自在に整列保持する複数の可動接触子支持部29と、これら可動接触子支持部29に一体に形成され、プランジャ型電磁石12が連結する一対の連結部30、31とで構成されている。
一対の連結部30,31は、図5に示すように、複数の可動接触子支持部29が整列されている方向に離間して形成されており、互いの対向する内壁に、直線状に延在するスリット形状の連結挿入部32a,32bが形成されている。
【0017】
そして、図3に示すように、プランジャ型電磁石12の第1のアーマチュア24に固定されている連結バネ18の弾性係合板部18b,18cが、接点支え28の連結挿入部32a,32bに弾性変形状態で係合することで、プランジャ型電磁石12及び接点支え28が一体に連結されている。
ここで、図6は、内部に接点支え28を配置した第2のフレーム11Bの構造を示すものである。第2のフレーム11Bの電源側端子部53a及び補助端子部54aが形成されている側の角筒部52が開口しており、その開口両縁部に段差部34,35が形成されている。
【0018】
図7は、図3の符号Aで示す丸印の範囲を拡大して示したものであるが、第2のフレーム11Bに形成されている段差部34,35は、プランジャ型電磁石12の前側フランジ部19に対して前後方向に寸法Lで重なって配置されている。また、この寸法Lは、図3に示す固定接点26a1及び可動接点27aの接点ギャップG(固定接点26b1及び可動接点27bの接点ギャップG)に対して小さい寸法に設定されている(L<G)。
また、図8は、電磁接触器10を上方から示したものであるが、段差部34,35は、第2のフレーム11Bとで筐体を構成する第1のフレーム11Aに内側から重なった状態で配置され、上方からゴミが電磁接触器10の内部に侵入するのを防止する機能を有している。
【0019】
次に、第1実施形態の電磁接触器10の組立て手順について、図1図3図9及び図10を参照して説明する。
先ず、接点機構13を形成した状態で電磁接触器10の組立てを行う。すなわち、第2のフレーム11Bの内部に複数組の電源側固定接触子26a及び負荷側固定接触子26b、複数の可動接触子27及び接点支え28が組み込まれた接点機構13を使用する。
【0020】
次いで、図9に示すように、接点支え28に対して第2のフレーム11Bを上方移動し、接点機構13の固定接点26a1及び可動接点27a(固定接点26b1及び可動接点27b)を接触させて接点ギャップGが無い状態に保持する。なお、接点機構13の固定接点26a1及び可動接点27a(固定接点26b1及び可動接点27b)の間に接点ギャップGが存在している状態が、本発明に記載した第1の組立てステップに対応し、図9に示す状態が、本発明に記載した干渉防止ステップに対応している。
【0021】
次いで、図10に示すように、接点機構13の接点支え28に設けた連結挿入部32a,32bの開口を、第1のアーマチュア24上の連結バネ18に対向させる。そして、接点機構13及びプランジャ型電磁石12の連結方向に対して直交する方向に、接点機構13をプランジャ型電磁石12の上部でスライド移動させる。その際、接点機構13の固定接点26a1及び可動接点27a(固定接点26b1及び可動接点27b)は接点ギャップGが無い状態に保持されているので、第2のフレーム11Bに形成されている段差部34,35は、プランジャ型電磁石12の前側フランジ部19に対して図10の上部に位置しているので、接点機構13は前側フランジ部19に干渉せずにスライド移動していく。これにより、連結バネ18の一対の弾性係合板部18b、18cが連結挿入部32a,32bの内部に係合していく。なお、図10に示した状態が、本発明に記載した第2の組立てステップに対応している。
【0022】
次いで、図11に示すように、接点機構13を、さらに左側にスライド移動していくことで、連結挿入部32a,32bへの連結バネ18の一対の弾性係合板部18b、18cの係合を完了する。このとき、第2のフレーム11Bの段差部34,35が前側フランジ部19に干渉しない位置まで移動するので、第2のフレーム11Bをプランジャ型電磁石12側に移動する。この第2のフレーム11Bの動作を行うことで、図3に示すように、固定接点26a1及び可動接点27a(固定接点26b1及び可動接点27b)の間に接点ギャップGを設けた接点機構13とし、接点機構13の接点支え28及びプランジャ型電磁石12を連結した状態とする。そして、第2のフレーム11Bの段差部34,35は、プランジャ型電磁石12の前側フランジ部19に対して前後方向に重なって配置される。なお、図11に示した状態が、本発明に記載した釈放ステップに対応している。
【0023】
そして、プランジャ型電磁石12を内装した第1のフレーム11Aを接点機構13の第2のフレーム11Bに連結することで、図1に示した電磁接触器10の組立てが完了する。なお、第1のフレーム11Aを接点機構13の第2のフレーム11Bに連結する動作が、本発明に記載した第3の組立てステップに対応している。
【0024】
次に、本発明に係る第2実施形態の電磁接触器60について、図12から図14を参照して説明する。
図12は、第2実施形態の電磁接触器60の内部構造を示しており、第2のフレーム61Bに内装された接点機構62と、第2のフレーム61Bと互いに前後方向に連結される第1のフレーム(不図示)に内装され、接点機構62をオン・オフ駆動して操作電磁石として使用される脚型電磁石63と、を備えている。
【0025】
脚型電磁石63は、固定鉄心64と、固定鉄心64の接極面64aに自身の接極面65aが対向して配置された可動鉄心65と、固定鉄心64の中央突出部の周囲に巻装されている電磁コイル66と、復帰バネ67とを備えている。可動鉄心65には、図12の左右方向(厚さ方向)に貫通する貫通孔65b形成されている。
接点機構62は、第2のフレーム61bに固定されて左右方向に並べて配置した複数組の電源側固定接触子68a及び負荷側固定接触子68bと、第2のフレーム61Bの内部に前後方向に移動自在に装着されている脚型電磁石専用の接点支え69と、接点支え69に支持され、複数組の電源側固定接触子68aの固定接点68a1及び複数組の負荷側固定接触子68bの固定接点68b1に可動接点70a,70bが接離可能となるように前後方向に移動する複数の可動接触子70と、を備えている。
【0026】
脚型電磁石専用の接点支え69は、図13に示すように、複数の可動接触子27を前後方向に可動自在に整列保持する複数の可動接触子支持部71と、これら可動接触子支持部71に一体に形成され、脚型電磁石63が連結する互いに対向する一対の連結部72、73とを備えている。一対の連結部72、73の間には、可動鉄心当接面74が形成されているとともに、一対の連結部72,73の対向する内壁に、直線状に延在するスリット形状の連結挿入部75a,75bが形成されている。この脚型電磁石専用の接点支え69は、第1実施形態で示したプランジャ型電磁石専用の接点支え28と同様に、第2のフレーム61Bの内部に装着され、接点支え69の可動により、第2のフレーム61Bに固定された複数組の電源側固定接触子68a及び負荷側固定接触子68bの固定接点68a1、固定接点68b1と、接点支え69に支持された複数組の可動接触子70の可動接点70a,70bとが接離する。
【0027】
そして、脚型電磁石63は、図14に示すように、可動鉄心65の鉄心上面65bを、接点支え69の可動鉄心当接面74に当接し、可動鉄心65の貫通孔65bに挿通した連結バネ76の先端部を連結挿入部75a,75bに挿入し、連結バネ76の弾性力で可動鉄心65が可動鉄心当接面74に押し付けられている。これにより、脚型電磁石63が接点支え69に一体に連結されて第2実施形態の電磁接触器60を構成することが可能となる。
【0028】
次に、第2実施形態の電磁接触器60の組立て手順について説明する。
先ず、第2のフレーム61Bの内部に複数組の電源側固定接触子68a及び負荷側固定接触子68b及び接点支え69を組み込んだ状態、すなわち、脚型電磁石専用の接点機構62を形成する。
次いで、接点機構62の固定接点68a1、固定接点68b1と、接点支え69に支持された可動接触子70の可動接点70a,70bを接触させて接点ギャップが無い状態となるように、接点支え69に対して第2のフレーム61Bを移動する(本発明に記載した第1の組立てステップに対応)。
【0029】
次いで、接点支え69に設けた連結挿入部75a,75bの開口を、可動鉄心65の貫通孔65bに挿通した連結バネ76に対向させ、脚型電磁石63の連結方向に対して直交する方向に、接点機構62を脚型電磁石63に対してスライド移動させる(本発明に記載した第2の組立てステップに対応)。
次いで、接点機構62をさらにスライド移動していくことで、連結挿入部75a,75bへの連結バネ76の先端部の係合を完了する。
そして、脚型電磁石63を内装するように第1のフレーム(不図示)を第2のフレーム61Bに連結することで(本発明に記載した第3の組立てステップに対応)、第2実施形態の電磁接触器60の組立てが完了する。
【0030】
次に、第1実施形態で示したプランジャ型電磁石12を操作電磁石とする電磁接触器10及び第2実施形態で示した脚型電磁石63を操作電磁石とする電磁接触器60に関する効果について説明する。
プランジャ型電磁石12を操作電磁石とする電磁接触器10の組立方法では、先ず、図9に示すように、第2のフレーム11Bの内部にプランジャ型電磁石専用の接点支え28を組み込むことでプランジャ型電磁石用ユニットを形成している。また、脚型電磁石63を操作電磁石とする電磁接触器60の組立方法では、先ず、第2のフレーム61Bの内部に、脚型電磁石専用の接点支え69を組み込むことで脚型電磁石用ユニットを形成している。そして、電磁接触器10の組立ラインでは、最初の組立工程として、プランジャ型電磁石用ユニットの連結挿入部32a,32bをプランジャ型電磁石12の連結バネ18に連結している(図11参照)。また、電磁接触器60の組立ラインでは、最初の組立工程として、脚型電磁石用ユニットの連結挿入部75a,75bを脚型電磁石63の可動鉄心65に係合している連結バネ76に連結している。
【0031】
このように、操作電磁石としてプランジャ型電磁石12及び脚型電磁石63の一方を使用して電磁接触器を製造する場合には、プランジャ型電磁石用ユニットの連結挿入部32a,32bにプランジャ型電磁石12の連結バネ18を連結する工程を最初の組立て工程とし、或いは、脚型電磁石用ユニットの連結挿入部75a,75bに脚型電磁石63の連結バネ76を連結する工程を最初の組立工程として共通化できるので、操作電磁石としてプランジャ型電磁石12及び脚型電磁石63を使用する場合に異なる組立ラインで電磁接触器の一連の工程を行っていた従来の電磁接触器の組立ラインと比較して、組立工程数を減少させた短尺な組立ラインとすることができる。そして、短尺な組立ラインとなることで組立設備投資を減少させ、プランジャ型電磁石12及び脚型電磁石63の一方を使用した電磁接触器を製造する際に、製造コストの低減化を図ることができる。
【0032】
また、プランジャ型電磁石用ユニット及び脚型電磁石用ユニットの一方を、プランジャ型電磁石12及び脚型電磁石63の一方に連結する際には、プランジャ型電磁石用ユニットの連結挿入部32a,32b、及び脚型電磁石用ユニットの連結挿入部75a,75bの一方を、プランジャ型電磁石12の連結バネ18及び脚型電磁石63の連結バネ76の一方に向けてスライド移動させるだけなので、電磁接触器の組立ての単純化も図ることができる。
【0033】
なお、プランジャ型電磁石12を操作電磁石とする電磁接触器10では、図8で示したように、第2のフレーム11Bの段差部34,35は、第1のフレーム11Aに内側から重なった状態で配置され、電磁接触器10の第1のフレーム11A及び第2のフレーム11Bの上部壁には内部に通じる空間が無くなるので、上方からゴミが電磁接触器10の内部に侵入するのを防止することができる。なお、脚型電磁石63を操作電磁石とする電磁接触器60も、詳細は記載していないが、第2のフレーム11Bに設けた段差部34,35が第1のフレーム11Aに内側から重なった状態で配置されることで、上方からゴミが電磁接触器10の内部に侵入するのを防止することができる。
【符号の説明】
【0034】
10 電磁接触器
11A 第1のフレーム(下部フレーム)
11B 第2のフレーム(上部フレーム)
12 プランジャ型電磁
13 接点機構
14 スプール
15 プランジャ
16 外ヨーク
17 円筒部
18 連結バネ
18a 固定板部
18b,18c 一対の弾性係合板部
19 前側フランジ部(フランジ部)
20 後側フランジ部
21 励磁コイル
22 コイル端子
24 第1のアーマチュア
25 第2のアーマチュア
26a 電源側固定接触子
26a1 固定接点
26b 負荷側固定接触子
26b1 固定接点
28 接点支え(プランジャ型電磁石用)
27 可動接触子
27a,27b 可動接点
29 可動接触子支持部
30、31 連結部
32a,32b 連結挿入部
34,35 段差部
50 有底角筒状部
51 取付板部
52 角筒部
53a 電源側端子部
53b 負荷側端子部
54a 補助端子部
54b 補助端子部
60 電磁接触器
61B 第2のフレーム(上部フレーム)
62 接点機構
63 脚型電磁石
64 固定鉄心
64a 接極面
65 可動鉄心
65a 接極面
65b 貫通孔
65c 鉄心上面
66 電磁コイル
67 復帰バネ
68a 電源側固定接触子
68b 負荷側固定接触子
69 接点支え(脚型電磁石用)
68a1 固定接点
68b1 固定接点
70a,70b 可動接点
70 可動接触子
71 可動接触子支持部
72、73 連結部
74 可動鉄心当接面
75a,75b 連結挿入部
76 連結バネ
G 接点ギャップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14