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特許7521517車両制御装置、車両、加減速制御方法、及び車両制御プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】車両制御装置、車両、加減速制御方法、及び車両制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   B60W 40/08 20120101AFI20240717BHJP
   B60W 30/18 20120101ALI20240717BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
B60W40/08
B60W30/18
G08G1/16 F
G08G1/16 C
G08G1/16 E
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021205822
(22)【出願日】2021-12-20
(65)【公開番号】P2023091202
(43)【公開日】2023-06-30
【審査請求日】2023-07-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】弁理士法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 雄真
【審査官】津田 真吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-59299(JP,A)
【文献】特開2010-125922(JP,A)
【文献】特開2005-81999(JP,A)
【文献】特開2017-190047(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 30/00
B60W 40/00
B60W 50/00
B60W 60/00
G08G 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の運転席に着座している運転者を撮影することにより運転席画像を取得するように構成された運転席カメラ装置と通信可能であって、且つ、前記車両の加速及び減速を制御する制御ユニットを備え、
前記運転席画像に基いて検出された前記運転者の運転に対する注意力が散漫となっている散漫状態が所定の第1時間継続した場合、前記車両の加速を抑制する加速抑制制御を実行し、
前記散漫状態が前記第1時間よりも長い所定の第2時間以上継続した場合、前記車両を減速して停車させる減速制御を実行し、
前記加速抑制制御の開始時点以降に前記散漫状態が所定の判定時間継続することなく、前記運転者が前記散漫状態でなくなった場合、前記加速抑制制御を終了するとともに、前記車両の加速度の時間微分値である加加速度が所定の閾値よりも大きくならないように前記車両を制御する加加速度制限制御を実行する、
ように構成された、
車両制御装置。
【請求項2】
車両の運転席に着座している運転者を撮影することにより運転席画像を取得するように構成された運転席カメラ装置と通信可能であって、且つ、前記車両の加速及び減速を制御する制御ユニットを備え、
前記運転席画像に基いて検出された前記運転者の運転に対する注意力が散漫となっている散漫状態が所定の第1時間継続した場合、前記車両の加速を抑制する加速抑制制御を実行し、
前記散漫状態が前記第1時間よりも長い所定の第2時間以上継続した場合、前記車両を減速して停車させる減速制御を実行し、
前記減速制御を一旦実行すると、前記運転者が前記散漫状態でなくなったとしても、所定の操作が行われるまで前記減速制御を継続する、
ように構成された、
車両制御装置。
【請求項3】
請求項1及び請求項2の何れか一つに記載の車両制御装置において、
前記制御ユニットは、
前記散漫状態が所定の第1判定時間継続した場合、前記注意力を高めるための第1注意喚起報知を開始し、
前記第1注意喚起報知の開始時点から前記散漫状態が所定の第2判定時間継続した場合、前記散漫状態が前記第1時間継続したと判定して前記加速抑制制御を開始する、
ように構成された、
車両制御装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れか一つに記載の車両制御装置において、
前記制御ユニットは、
前記加速抑制制御の開始時点にて、前記注意力を高めるための第2注意喚起報知を開始し、
前記第2注意喚起報知の開始時点から前記散漫状態が所定の判定時間継続した場合、前記散漫状態が前記第2時間以上継続したと判定して前記減速制御を開始する、
ように構成された、
車両制御装置。
【請求項5】
請求項1及び請求項2の何れか一つに記載の車両制御装置であって、
前記車両の前方に存在する物体を検出する物体センサを、更に備え、
前記制御ユニットは、
前記物体センサによって検出された前記物体と前記車両との関係が変化して前記車両の運転者による監視の必要性が前記関係の変化前に比べて増加したときに成立する所定条件が成立した場合、前記散漫状態が前記第1時間継続していない場合であっても、前記加速抑制制御を実行する、
ように構成された、
車両制御装置。
【請求項6】
請求項5に記載の車両制御装置において、
前記制御ユニットは、
前記物体センサが前記車両の前方を走行する先行車を検出していない場合、前記車両の加速度を前記車両の速度を設定車速と一致させるための目標加速度と一致させる定速制御を実行し、
前記物体センサが前記先行車を検出している場合、前記車両の加速度を前記先行車との車間距離を設定車間距離に維持するための目標加速度と一致させる車間距離維持制御を実行し、
前記物体センサが検出していた前記先行車を検出しなくなった場合、前記所定条件が成立し、前記加速抑制制御を実行する、
ように構成された、
車両制御装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6の何れか一つに記載の車両制御装置を搭載した車両。
【請求項8】
車両の運転席に着座している運転者の状態に基づいて前記車両の加速及び減速を制御する加減速制御方法において、
運転席カメラ装置が前記運転席に着座している運転者を撮影することにより取得した運転席画像に基いて検出された前記運転者の運転に対する注意力が散漫となっている散漫状態が所定の第1時間継続した場合、前記車両の加速を抑制する加速抑制制御を実行する第1ステップと、
前記散漫状態が前記第1時間よりも長い所定の第2時間以上継続した場合、前記車両を減速して停車させる減速制御を実行する第2ステップと、
前記加速抑制制御の開始時点以降に前記散漫状態が所定の判定時間継続することなく、前記運転者が前記散漫状態でなくなった場合、前記加速抑制制御を終了するとともに、前記車両の加速度の時間微分値である加加速度が所定の閾値よりも大きくならないように前記車両を制御する加加速度制限制御を実行する第3ステップと、
を含む、
加減速制御方法。
【請求項9】
車両の運転席に着座している運転者の状態に基づいて前記車両の加速及び減速を制御する加減速制御方法において、
運転席カメラ装置が前記運転席に着座している運転者を撮影することにより取得した運転席画像に基いて検出された前記運転者の運転に対する注意力が散漫となっている散漫状態が所定の第1時間継続した場合、前記車両の加速を抑制する加速抑制制御を実行する第1ステップと、
前記散漫状態が前記第1時間よりも長い所定の第2時間以上継続した場合、前記車両を減速して停車させる減速制御を実行する第2ステップと、
前記減速制御を一旦実行すると、前記運転者が前記散漫状態でなくなったとしても、所定の操作が行われるまで前記減速制御を継続する第3ステップと、
を含む、
加減速制御方法。
【請求項10】
車両に適用され、且つ、前記車両の運転席に着座している運転者の状態に基づいて前記車両の加速及び減速を制御するプログラムであって、前記車両に備わるコンピュータに、
運転席カメラ装置が前記運転席に着座している運転者を撮影することにより取得した運転席画像に基いて検出された前記運転者の運転に対する注意力が散漫となっている散漫状態が所定の第1時間継続した場合、前記車両の加速を抑制する加速抑制制御を実行する第1ステップと、
前記散漫状態が前記第1時間よりも長い所定の第2時間以上継続した場合、前記車両を減速して停車させる減速制御を実行する第2ステップと、
前記加速抑制制御の開始時点以降に前記散漫状態が所定の判定時間継続することなく、前記運転者が前記散漫状態でなくなった場合、前記加速抑制制御を終了するとともに、前記車両の加速度の時間微分値である加加速度が所定の閾値よりも大きくならないように前記車両を制御する加加速度制限制御を実行する第3ステップと、
実行させる、
車両制御プログラム。
【請求項11】
車両に適用され、且つ、前記車両の運転席に着座している運転者の状態に基づいて前記車両の加速及び減速を制御するプログラムであって、前記車両に備わるコンピュータに、
運転席カメラ装置が前記運転席に着座している運転者を撮影することにより取得した運転席画像に基いて検出された前記運転者の運転に対する注意力が散漫となっている散漫状態が所定の第1時間継続した場合、前記車両の加速を抑制する加速抑制制御を実行する第1ステップと、
前記散漫状態が前記第1時間よりも長い所定の第2時間以上継続した場合、前記車両を減速して停車させる減速制御を実行する第2ステップと、
前記減速制御を一旦実行すると、前記運転者が前記散漫状態でなくなったとしても、所定の操作が行われるまで前記減速制御を継続する第3ステップと、を
実行させる、
車両制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の運転者の状態に基づいて車両の加速及び減速を制御する車両制御装置、この車両制御装置を搭載した車両、車両の運転者の状態に基づいて車両の加速及び減速を制御する加減速制御方法、及び車両の運転者の状態に基づいて車両の加速及び減速を制御する車両制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、運転者が異常状態に陥った場合に減速制御を行う車両制御装置が知られている。例えば、特許文献1に記載された車両制御装置(以下、「従来装置」と称呼する。)は、運転者の運転状態及び運転者の顔画像に基いて、運転者が異常状態に陥る前の散漫状態であるか否かを判定する。散漫状態は、運転者が運転に対する注意力が散漫となっている(即ち、運転者の注意力が通常時よりも低下している)状態である。
【0003】
従来装置は、運転者が散漫状態であると判定した時点から警報を出し、判定時点から所定の猶予時間が経過した時点にて減速制御を開始する。従来装置は、猶予時間内に所定の操作が行われた場合には、減速制御の開始を中止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-82968号公報
【発明の概要】
【0005】
従来装置によれば、運転者が散漫状態である段階で減速制御が開始されるが、従来装置が搭載された車両の後方に後続車が存在する場合には、減速制御により後続車と車両に急接近する可能性が高くなる。このような後続車の急接近を避けるためには運転者が異常状態に陥ったとときに減速制御を開始することが考えられる。
しかし、運転者が散漫状態である場合に減速制御が行われなければ、車両が加速してしまう可能性もある。このような車両の加速は、運転者が正常状態に復帰したときに、運転者に不安を与える可能性もある。
【0006】
更に、車両が加速している状況下で運転者が散漫状態となった場合に急に減速制御が実行されるので、車両の加加速度が急変し、運転者に不安を与える可能性がある。
【0007】
本発明は前述した課題に対処するためになされたものである。即ち、本発明の目的の一つは、運転者が散漫状態である場合に、後続車間距離が急激に短くなってしまう可能性を低減し且つ車両が加速することを防止できる車両制御装置を提供することにある。
【0008】
本発明の車両制御装置(以下、「本発明装置」とも称呼する。)は、
車両の運転席に着座している運転者を撮影することにより運転席画像を取得するように構成された運転席カメラ装置(24)と通信可能であって、且つ、前記車両の加速及び減速を制御する制御ユニット(20、30、40)を備え、
前記制御ユニットは、
前記運転席画像に基いて検出された運転者の運転に対する注意力が散漫となっている散漫状態が所定の第1時間継続した場合(ステップ645「No」、ステップ675)、前記車両の加速を抑制する加速抑制制御を実行し(ステップ1230「Yes」、ステップ1240乃至ステップ1250、図16に示したステップ1230「Yes」、図16に示したステップ1240、ステップ1610、図16に示したステップ1250)、
前記散漫状態が前記第1時間よりも長い所定の第2時間以上継続した場合(ステップ720「No」)、前記車両を減速して停車させる減速制御を実行する(ステップ1300乃至ステップ1395)、
ように構成されている。
【0009】
本発明装置によれば、減速制御が開始される前に加速抑制制御が実行される。これにより、減速制御が開始される前に車両の加速を抑制でき、運転者が散漫状態である期間の車両の加速により、正常状態に復帰した運転者に不安を与えることを防止できる。更に、減速制御の実行後に後続車間距離が急激に短くなってしまう可能性を低減することができる。
更に、加速抑制制御が実行されてから減速制御が実行されるので、車両の加加速度が急変する可能性を低減でき、この加加速度の急変が運転者に不安を与える可能性を低減できる。
【0010】
本発明装置の一態様において、
前記制御ユニットは、
前記散漫状態が所定の第1判定時間継続した場合(ステップ620「Yes」、ステップ625)、前記注意力を高めるための第1注意喚起報知を開始し(ステップ660、ステップ665)、
前記第1注意喚起報知の開始時点から前記散漫状態が所定の第2判定時間継続した場合(ステップ645「No」、ステップ675)、前記散漫状態が前記第1時間継続したと判定して前記加速抑制制御を開始する(ステップ1230「Yes」、ステップ1240乃至ステップ1250、図16に示したステップ1230「Yes」、図16に示したステップ1240、ステップ1610、図16に示したステップ1250)、
ように構成されている。
【0011】
本態様によれば、第1注意喚起報知が実行された後に散漫状態が継続した場合に加速抑制制御が実行される。これにより、運転者が正常状態にもかかわらず散漫状態であると誤って判定され、加速抑制制御が実行される可能性を低減できる。
【0012】
本発明装置の一態様において、
前記制御ユニットは、
前記加速抑制制御の開始時点にて、前記注意力を高めるための第2注意喚起報知を開始し(ステップ735、ステップ740)、
前記第2注意喚起報知の開始時点から前記散漫状態が所定の第3判定時間継続した場合(ステップ720「No」」)、前記散漫状態が前記第2時間継続したと判定して前記減速制御を開始する(ステップ1300乃至ステップ1395)、
ように構成されている。
【0013】
本態様によれば、第2注意喚起報知が実行された後に散漫状態が継続した場合に減速制御が開始される。これにより、運転者が正常状態にもかかわらずに減速制御が実行される可能性を低減できる。
【0014】
本発明装置の一態様において、
前記制御ユニットは、
前記加速抑制制御の開始時点以降に前記散漫状態が所定の第3判定時間継続することなく、前記運転者が前記散漫状態でなくなった場合(ステップ730「Yes」)、前記加速抑制制御を終了するとともに(ステップ745)、前記車両の加速度の時間微分値である加加速度が所定の閾値よりも大きくならないように前記車両を制御する加加速度制限制御を実行する(ステップ750、ステップ1245、ステップ1250、ステップ1255乃至ステップ1270)、
ように構成されている。
【0015】
本態様によれば、加速抑制制御の開始時点移行に散漫状態が第3判定時間継続する前に運転者が散漫状態でなくなった場合、加速抑制制御が終了する。このとき、加加速度制限制御が実行されるので、加速抑制制御が終了したことにより、車両の加加速度が急変することを防止できる。
【0016】
本発明装置の一態様において、
前記制御ユニットは、
前記減速制御を一旦実行すると、前記運転者が前記散漫状態でなくなったとしても、所定の操作が行われるまで前記減速制御を継続する(ステップ825「Yes」、ステップ920「Yes」、ステップ1015「Yes」、ステップ1020「Yes」)、
ように構成されている。
【0017】
これにより、運転者が正常状態に復帰したと誤って判定され、減速制御が終了してしまう可能性を低減できる。
【0018】
本発明装置の一態様において、
前記車両の前方に存在する物体を検出する物体センサ(22、23)を、更に備え、
前記制御ユニットは、
前記物体センサによって検出された前記物体と前記車両との関係が変化して前記車両の運転者による監視の必要性が前記関係の変化前に比べて増加したときに成立する所定条件が成立した場合(ステップ1515「Yes」)、前記散漫状態が前記第1時間継続していない場合であっても(図15に示したステップ645「Yes」)、前記加速抑制制御を実行する(ステップ1230「Yes」、ステップ1240乃至ステップ1250、図12に示したステップ1230「Yes」、図12に示したステップ1240、ステップ1610、図12に示したステップ1250)、
ように構成されている。
【0019】
本態様によれば、散漫状態が第1時間継続していない場合であっても、物体と車両との関係が変化して運転者による監視の必要性が変化前に比べて増加したときに成立する所定条件が成立したときには加速抑制制御が実行される。これにより、車両の前方の状況により適切なタイミングで加速抑制制御が実行できる。
【0020】
上記態様において、
前記制御ユニットは、
前記物体センサが前記車両の前方を走行する先行車を検出していない場合(ステップ1120「No」)、前記車両の加速度を前記車両の速度を設定車速と一致させるための目標加速度と一致させる定速制御を実行し(ステップ1140、ステップ1145)、
前記物体センサが前記先行車を検出している場合(ステップ1120「Yes」)、前記車両の加速度を前記先行車との車間距離を設定車間距離に維持するための目標加速度と一致させる車間距離維持制御を実行し(ステップ1125乃至ステップ1135)、
前記物体センサが検出していた前記先行車を検出しなくなった場合(ステップ1515「Yes」)、前記所定条件が成立し、前記加速抑制制御を実行する、
ように構成されている。
【0021】
物体センサが検出していた先行車を検出しなくなった場合、車間距離維持制御から定速制御に切り替わる。定速制御に切り替わると、運転者が散漫状態にあるにもかかわらず車両が加速する可能性がある。本態様によれば、物体センサが検出していた先行車を検出しなくなった場合、所定条件が成立し、加速抑制制御が開始されるので、定速制御に切り替わったことにより車両が加速してしまうことを防止できる。
【0022】
本発明の車両(VA)は、上記本発明装置を搭載する。
【0023】
本発明の加減速制御方法は、
運転席カメラ装置が前記運転席に着座している運転者を撮影することにより取得した運転席画像に基いて検出された前記運転者の運転に対する注意力が散漫となっている散漫状態が所定の第1時間継続した場合(ステップ645「No」、ステップ675)、前記車両の加速を抑制する加速抑制制御を実行する第1ステップと(ステップ1230「Yes」、ステップ1240乃至ステップ1250、図12に示したステップ1230「Yes」、図12に示したステップ1240、ステップ1610、図12に示したステップ1250)、
前記散漫状態が前記第1時間よりも長い所定の第2時間以上継続した場合(ステップ720「No」)、前記車両を減速して停車させる減速制御を実行する第2ステップ(ステップ1300乃至ステップ1395)と、
を含む。
【0024】
本発明のプログラムは、車両に備わるコンピュータに、
運転席カメラ装置が前記運転席に着座している運転者を撮影することにより取得した運転席画像に基いて検出された前記運転者の運転に対する注意力が散漫となっている散漫状態が所定の第1時間継続した場合(ステップ645「No」、ステップ675)、前記車両の加速を抑制する加速抑制制御を実行する第1ステップ(ステップ1230「Yes」、ステップ1240乃至ステップ1250、図12に示したステップ1230「Yes」、図12に示したステップ1240、ステップ1610、図12に示したステップ1250)と、
前記散漫状態が前記第1時間よりも長い所定の第2時間以上継続した場合(ステップ720「No」)、前記車両を減速して停車させる減速制御を実行する第2ステップ(ステップ1300乃至ステップ1395)と、を
実行させる。
【0025】
上記方法及び上記プログラムによれば、減速制御が実行される前に加速抑制制御が実行される。これによって、減速制御が実行される前に車両の加速を抑制できる。更に、減速制御に後続車間距離が急激に短くなってしまう可能性を低減することができる。加速抑制制御が実行されてから減速制御が実行されるので、車両の加加速度の急変が運転者に不安を与える可能性を低減できる。
【0026】
なお、上記説明においては、発明の理解を助けるために、後述する実施形態に対応する発明の構成に対し、その実施形態で用いた名称及び/又は符号を括弧書きで添えている。しかしながら、発明の各構成要素は、前記名称及び/又は符号によって規定される実施形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、本発明の実施形態に係る車両制御装置の概略システム構成図である。
図2図2は、運転者が散漫状態から異常状態に陥った場合の本発明の実施形態に係る車両制御装置の作動例の説明図である。
図3A図3Aは、図1に示したディスプレイに表示される第1注意喚起画面の説明図である。
図3B図3Bは、図1に示したディスプレイに表示される第2注意喚起画面の説明図である。
図4A図4Aは、図1に示したディスプレイに表示される第1警告画面の説明図である。
図4B図4Bは、図1に示したディスプレイに表示される第2警告画面の説明図である。
図4C図4Cは、図1に示したディスプレイに表示される第3警告画面の説明図である。
図5図5は、運転者が散漫状態から正常状態に復帰した場合の本発明の実施形態に係る車両制御装置の作動例の説明図である。
図6図6は、図1に示した車両制御ECUのCPUが実行する第1注意喚起報知ルーチンを示したフローチャートである。
図7図7は、図1に示した車両制御ECUのCPUが実行する第2注意喚起報知ルーチンを示したフローチャートである。
図8図8は、図1に示した車両制御ECUのCPUが実行する第1警告ルーチンを示したフローチャートである。
図9図9は、図1に示した車両制御ECUのCPUが実行する第2警告ルーチンを示したフローチャートである。
図10図10は、図1に示した車両制御ECUのCPUが実行する第3警告ルーチンを示したフローチャートである。
図11図11は、図1に示した車両制御ECUのCPUが実行するACCルーチンを示したフローチャートである。
図12図12は、図1に示した車両制御ECUのCPUが実行するACC加速度設定ルーチンを示したフローチャートである。
図13A図13Aは、図1に示した車両制御ECUのCPUが実行する減速制御ルーチンを示したフローチャートである。
図13B図13Bは、図1に示した車両制御ECUのCPUが実行する目標加速度送信ルーチンを示したフローチャートである。
図14図14は、本発明の実施形態の第1変形例に係る車両制御装置の作動例の説明図である。
図15図15は、本発明の実施形態の第1変形例の第1注意喚起報知ルーチンを示したフローチャートである。
図16図16は、本発明の実施形態の第2変形例に係る車両制御装置の車両制御ECUのCPUが実行する加速度設定ルーチンを示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
<構成>
図1に示すように、本発明の実施形態に係る車両制御装置(以下、「本制御装置」と称呼される。)10は、車両VAに搭載される。
【0029】
本制御装置10は、車両制御ECU20、エンジンECU30、ブレーキECU40及びEPB ECU(電動パーキングブレーキECU)50を備えている。以下、車両制御ECU20は「VCECU20」と称呼する。
【0030】
これらのECUは、マイクロコンピュータを主要部として備える制御ユニット(Electronic Control Unit)であり、「コントローラ」と称呼する場合がある。マイクロコンピュータは、CPU、ROM、RAM、及びインターフェース(I/F)等を含む。これらのECUは、CAN(Controller Area Network)を介して相互にデータ交換可能に接続されている。CPUはROMに格納されたインストラクション(プログラム、ルーチン)を実行することにより各種機能を実現する。これらのECUは、幾つか又は全部が一つのECUに統合されてもよい。
【0031】
本制御装置10は、車輪速センサ21、カメラ装置22、ミリ波レーダ装置23、運転席カメラ装置24、操舵トルクセンサ25及び中止スイッチ26を備えている。これらは、VCECU20にデータ交換可能に接続されている。
【0032】
車輪速センサ21は、車両VAの車輪毎に設けられている。各車輪速センサ21は、対応する車輪が所定角度回転する毎に一つの車輪パルス信号を発生させる。VCECU20は、各車輪速センサ21から受け取った車輪パルス信号の単位時間におけるパルス数をカウントし、そのパルス数に基いて各車輪の回転速度を取得する。そして、VCECU20は、各車輪の車輪速度に基いて車両VAの速度を示す車速Vsを取得する。一例として、VCECU20は、四つの車輪の車輪速度の平均値を車速Vsとして取得する。
【0033】
カメラ装置22は、車両VAの車室内のフロントウィンドウの中央上部に配設され、車両VAの前方領域を撮影した画像(以下、「前方画像」とも称呼される。)を取得するカメラ装置22は、その前方画像に基いて、前方領域に存在する物体までの距離、その物体の方向を取得する。カメラ装置22は、所定時間が経過する毎に、これらを含むカメラ物体情報をVCECU20に送信する。
【0034】
ミリ波レーダ装置23は、ミリ波を車両VAの前方に送信する。ミリ波レーダ装置23は、物体に反射されたミリ波(反射波)を受信することによって、物体を検出するための周知のセンサである。ミリ波レーダ装置23は、受信した反射波に基いて、物体までの距離(物体距離)L、物体の車両VAに対する相対速度(物体相対速度)Vr及び物体の方向を算出する。そして、ミリ波レーダ装置23は、所定時間が経過する毎に、「物体距離L、物体相対速度Vr、及び物体の方向を含むレーダ物体情報」をVCECU20に送信する。
【0035】
VCECU20は、カメラ物体情報及びレーダ物体情報に基いて車両VAの前方に存在する物体の車両VAに対する位置を特定する。
【0036】
運転席カメラ装置24は、ステアリングホイールSW付近の所定位置に配設され、運転席に着座した運転者の顔付近の領域を撮影した運転席画像を取得する。運転席カメラ装置24は、所定時間が経過する毎に、運転席画像をVCECU20に送信する。
【0037】
操舵トルクセンサ25は、ステアリングホイールSWの操作により車両VAのステアリングシャフトSSに加わる操舵トルクTrを検出し、操舵トルクTrを表す検出信号を発生させる。VCECU20は、操舵トルクセンサ25からの検出信号を受け取ることにより、操舵トルクTrを特定する。
【0038】
中止スイッチ26は、ステアリングホイールSWの所定位置に配設されている。
【0039】
エンジンECU30は、アクセルペダル操作量センサ32及びエンジンセンサ34と接続され、これらのセンサの検出信号を受け取る。
【0040】
アクセルペダル操作量センサ32は、車両VAのアクセルペダル32aの操作量(即ち、アクセルペダル操作量AP)を検出する。運転者がアクセルペダル32aを操作していない場合のアクセルペダル操作量APは「0」である。
【0041】
エンジンセンサ34は、図示しない「車両VAの駆動源である内燃機関」の運転状態量を検出するセンサである。エンジンセンサ34は、スロットル弁開度センサ、機関回転速度センサ及び吸入空気量センサ等である。
【0042】
更に、エンジンECU30は、「スロットル弁アクチュエータ及び燃料噴射弁」等のエンジンアクチュエータ36と接続されている。エンジンECU30は、エンジンアクチュエータ36を駆動することによって内燃機関が発生するトルクを変更し、以て、車両VAの駆動力を調整する。
【0043】
エンジンECU30は、アクセルペダル操作量APが大きくなるほど目標スロットル弁開度TAtgtが大きくなるように目標スロットル弁開度TAtgtを決定する。エンジンECU30は、スロットル弁の開度が目標スロットル弁開度TAtgtに一致するようにスロットル弁アクチュエータを駆動する。
【0044】
ブレーキECU40は、車輪速センサ21及びブレーキペダル操作量センサ42と接続され、これらのセンサの検出信号を受け取る。
【0045】
ブレーキペダル操作量センサ42は、車両VAのブレーキペダル42aの操作量(即ち、ブレーキペダル操作量BP)を検出する。ブレーキペダル42aが操作されていない場合のブレーキペダル操作量BPは「0」である。
【0046】
ブレーキECU40は、車輪速センサ21からの車輪パルス信号に基いて車速VsをVCECU20と同様に取得する。なお、ブレーキECU40は車速VsをVCECU20から取得してもよい。
【0047】
更に、ブレーキECU40は、ブレーキアクチュエータ44と接続されている。ブレーキアクチュエータ44は油圧制御アクチュエータである。ブレーキアクチュエータ44は、ブレーキペダル42aの踏力によって作動油を加圧するマスタシリンダと、各車輪に設けられる周知のホイールシリンダを含む摩擦ブレーキ装置と、の間の油圧回路(何れも、図示略)に配設される。ブレーキアクチュエータ44はホイールシリンダに供給する油圧を調整し、車両VAの制動力を調整する。
【0048】
ブレーキECU40は、ブレーキペダル操作量BPに基いて「負の値である目標加速度」を決定する。ブレーキECU40は、車両VAの実際の加速度が目標加速度に一致するようにブレーキアクチュエータ44を駆動する。
【0049】
EPB ECU50は、パーキングブレーキアクチュエータ52に接続されている。パーキングブレーキアクチュエータ52は、ブレーキパッドをブレーキディスクに押し付けるためのアクチュエータである。従って、EPB ECU50は、パーキングブレーキアクチュエータ52を用いてパーキングブレーキ力を車輪に加え、車両VAを停止状態に保持できる。以下、パーキングブレーキアクチュエータ52を作動させることによる車両VAの制動を単に「EPB」と称呼する。
【0050】
本制御装置10は、ディスプレイ60及びスピーカ70を備えている。VCECU20にデータ交換可能に接続されている。
【0051】
ディスプレイ60は、車両VAの車室内の運転者が視認可能な所定位置に設けられている。スピーカ70は、車両VAの車室内に設けられており、警報音を発音する。
【0052】
(作動の概要)
VCECU20は、所定時間が経過する毎に、運転席カメラ装置24から運転席画像を取得する。VCECU20は、運転席画像に基いて運転者が散漫状態であるか否かを判定する。散漫状態は、運転者の運転に対する注意力が散漫となっている状態である。散漫状態の例としては、以下の五つの状態がある。
・わき見状態:運転者が正面を見ていない状態
・閉眼状態:運転者が眼を閉じている状態
・姿勢崩れ状態:運転者の姿勢が崩れている状態
・頭ロスト状態:運転席画像中に運転者の頭が検出されない状態
・眠気状態:運転者が眠気を感じている状態
【0053】
VCECU20は、運転者が散漫状態であるとの状況(以下、「散漫状況」と称呼する。)が所定の判定時間(以下、「第1時間」と称呼する場合がある。)に渡り継続したとの散漫条件が成立した場合、車両VAの加速を抑制する加速抑制制御を実行する。加速抑制制御においては、VCECU20は、車両VAの前後方向の加速度Gを「0」よりも大きくならないようにエンジンECU30を介してエンジンアクチュエータ36を制御する。なお、加速度Gは、車両VAの前方の加速度Gxを正の値とする。
【0054】
VCECU20は、散漫条件の成立時点以降(即ち、加速抑制制御の開始時点以降)に、運転席画像に基いて散漫状況が所定の異常判定時間(以下、「第3判定時間」と称呼する場合もある。)に渡り継続したと判定した場合、運転者はもはや散漫状態ではなく車両VAを運転できない異常状態に陥っていると判定する。換言すれば、散漫状態が上記第1時間よりも長い第2時間継続した場合、運転者が異常状態に陥っていると判定する。この場合、VCECU20は、車両VAを減速して停車させる減速制御を実行する。
【0055】
運転者が異常状態に陥ったと判定される前の運転者が散漫状態である段階で加速抑制制御が実行され、その後減速制御が実行される。このため、減速制御が実行される前に車両VAが加速しないので、車両VAの後方に後続車が存在する場合であっても、減速制御が実行された直後に後続車間距離が急激に短くなってしまう可能性を低減できる。更に、運転者が散漫状態である期間の車両VAの加速により、正常状態に復帰した運転者に不安を与える可能性を低減できる。更に、減速制御が開始される前に加速抑制制御が実行されるため、減速制御による車両の加加速度の急激な変化により運転者に不安を与える可能性も低減できる。
【0056】
(作動例1)
図2を用いて、運転者が散漫状態から正常状態に復帰せずに異常状態に陥ったと判定される場合の本制御装置10の作動例を説明する。
本実施形態では、VCECU20は、ACC(Adaptive Cruise Control)を実行している場合に上記散漫条件が成立したか否か判定を行う。ACCは、定速制御と追従制御(以下では、「車間距離維持制御」と称呼する場合もある。)の2種類の制御を含む。
【0057】
定速制御は、車両VAの前方を走行する先行車が存在しない場合に実行され、車速Vsを設定車速Vsetに維持しながら車両VAを走行させる制御である。詳細には、VCECU20は、車両VAの加速度Gを「車速Vsを設定車速Vsetと一致させるための目標加速度」と一致するように車両VAを走行させる。
【0058】
追従制御は、先行車が存在する場合に実行され、先行車と車両VAとの間の車間距離Dを設定車間距離Dsetに維持しながら先行車を追従するよう、車両VAを走行させる制御である。詳細には、VCECU20は、加速度Gを「車間距離Dを設定車間距離Dsetに維持するための目標加速度」と一致するように車両VAを走行させる。換言すれば、VCECU20は、先行車を追従するように車両VAを走行させる。
【0059】
定速制御又は追従制御で取得される目標加速度を「ACC目標加速度Gacc」と称呼する場合がある。
定速制御及び追従制御の何れにおいても、運転者のアクセルペダル32a及びブレーキペダル42aの操作を要することなく、車両VAは走行する。
【0060】
<時点t0>
時点t0にて、VCECU20は、運転者が散漫状態であることを検出する。
【0061】
<時点t1>
時点t0から第1判定時間Td1に渡って、VCECU20は、運転者が散漫状態であると判定し続けると仮定する。時点t0から第1判定時間Td1が経過した時点t1にて、VCECU20は、運転者を散漫状態から正常状態へ復帰させるために、「運転者の注意力を高めるための第1注意喚起報知」を行う。詳細には、VCECU20は、図3Aに示した第1注意喚起画面300をディスプレイ60に表示し、第1注意音パターンに従ってスピーカ70から警告音を発音する。
【0062】
図3Aに示したように、第1注意喚起画面300においては、所定の枠305内に注意マーク310及びメッセージ315が表示される。注意マーク310は黄色の画像である。メッセージ315は、運転者の注意力を高めるためのメッセージであり、具体的には、「周囲に注意を払ってください」とのメッセージである。
第1注意音パターンは、800Hzの警告音を単発で発音させるための発音パターンである。
【0063】
<時点t2>
時点t1から第2判定時間Td2に渡って、VCECU20は、運転者が散漫状態であると判定し続けると仮定する。時点t1から第2判定時間Td2が経過した時点t2にて、VCECU20は、散漫条件が成立したと判定し、加速抑制制御及び第2注意喚起報知を行う。第2注意喚起報知においては、VCECU20は、図3Bに示した第2注意喚起画面350をディスプレイ60に表示し、第2注意音パターンに従ってスピーカ70から警告音を発音する。
【0064】
図3Bに示したように、第2注意喚起画面350においては、所定の枠355内に注意マーク310及びメッセージ315が表示される。第2注意喚起画面350の枠355は、第1注意喚起画面300の枠305よりも強調表示される。一例としては、枠305は白色であるのに対し、枠355は黄色である。このため、第2注意喚起画面350の運転者に対する警告度は、第1注意喚起画面300の警告度よりも高い。
第2注意音パターンは、800Hzの警告音を0.7s周期で繰り返し発音させるための発音パターンである。第2注意音パターンでは警告音が繰り返し発音されるので、第2注意音パターンの警告度は、第1注意音パターンの警告度よりも高い。
【0065】
<時点t3>
時点t2から異常判定時間Tadに渡って、VCECU20は、運転者が散漫状態であると判定し続けると仮定する。時点t2から異常判定時間Tadが経過した時点t3にて、VCECU20は、運転者が異常状態に陥っていると判定し、減速制御を開始するとともに、第1警告を行う。
【0066】
減速制御においては、VCECU20は、以下の三つの制御を段階的に行う。
・緩減速制御:所定の負の第1加速度(即ち、第1減速度)で所定の制御時間Tsに渡り車両VAを減速させる制御
・停止減速制御:所定の負の第2減速度(即ち、第2減速度)で車両VAが停車するまで車両VAを減速させる制御
・停止保持制御:車両VAが停車した時点からEPBを作動させて車輪をロックすることにより、車両VAの停車状態を維持する制御
第1加速度は、第2加速度よりも大きな値である。即ち、緩減速制御では、停止減速制御よりも車両VAは緩やかに減速する。
時点t3にて、VCECU20は、緩減速制御を開始する。
【0067】
第1警告においては、VCECU20は、図4Aに示した第1警告画面400をディスプレイ60に表示し、第1警告音パターンに従ってスピーカ70から警告音を発音する。
【0068】
図4Aに示したように、第1警告画面400においては、保持指示マーク405及び中止操作メッセージ410が表示される。
保持指示マーク405は、運転者にステアリングホイールSWの保持(把持)を促すための画像であり、赤色の画像である。
中止操作メッセージ410には、緩減速制御を中止するための操作(即ち、ステアリングホイールSWを把持する操作)を促し、且つ、まもなく停止減速制御(停車支援機能)が開始することを運転者に報知するためのメッセージである。
保持指示マーク405が赤色であり図3A及び図3Bに示した注意マーク310は黄色であるため、第1警告画面400の警告度は、第1注意喚起画面300及び第2注意喚起画面350の警告度よりも高い。
【0069】
第1警告音パターンは、1600Hzの警告音を0.4s周期で繰り返し発音させるための発音パターンである。第1警告音パターンの警告音の周波数は第2注意音パターンの警告音よりも高く、第1警告音パターンの周期は第2注意音パターンの周期よりも短いので、第1警告音パターンの警告度は、第2注意音パターンの警告度よりも高い。
【0070】
<時点t4>
時点t4にて、時点t3から制御時間Tsが経過する。時点t4にて、VCECU20は、上記停止減速制御を開始するとともに、第2警告を行う。第2警告においては、VCECU20は、図4Bに示した第2警告画面420をディスプレイ60に表示し、第2警告音パターンに従ってスピーカ70から警告音を発音する。
【0071】
図4Bに示したように、第2警告画面420においては、「第1警告画面400と同じ保持指示マーク405」及び中止操作メッセージ425が表示される。
中止操作メッセージ425には、停車支援機能が実行中であること及び中止スイッチ26を操作すると停車支援機能を中止することを運転者に報知するためのメッセージである。
なお、停車支援機能は、停止減速制御及び停止保持制御を意味する。
【0072】
第2警告音パターンは、2400Hzの警告音を0.2s周期で繰り返し発音させるための発音パターンである。第2警告音パターンの警告音の周波数は第1警告音パターンの警告音よりも高く、第2警告音パターンの周期は第1警告音パターンの周期よりも短いので、第2警告音パターンの警告度は、第1警告音パターンの警告度よりも高い。
【0073】
<時点t5>
時点t5にて、停止減速制御により車両VAが停車する(即ち、車速Vsが「0km/h」となる。)。このため、時点t5にて、VCECU20は、上記停止保持制御(停車支援機能の一部)を開始するとともに、第3警告を行う。第3警告においては、VCECU20は、図4Cに示した第3警告画面430をディスプレイ60に表示し、第2警告音パターンに従ってスピーカ70から警告音を発音する。
【0074】
図4Bに示したように、第3警告画面430においては、「第1警告画面400と同じ保持指示マーク405」及び中止操作メッセージ435が表示される。
中止操作メッセージ435には、停車支援機能が実行中であること、シフトポジションをパーキングレンジ(Pレンジ)に切り替えること、及び、中止スイッチ26が操作されると停止減速制御が中止できることを運転者に報知するためのメッセージである。
【0075】
以上により、第1注意喚起報知を行っても第2判定時間Td2に渡り運転者が散漫状態である場合、加速抑制制御及び第2注意喚起報知を行う。これにより、運転者が異常状態に陥ったと判定される前の段階で車両VAの加速を抑制することができる。更に、第2注意喚起報知の警告度は第1注意喚起報知の警告度よりも高いので、運転者を正常状態に復帰させる可能性を高めることができる。
【0076】
(作動例2)
図5を用いて、加速抑制制御中に運転者が散漫状態から正常状態に復帰した場合の本制御装置10の作動例を説明する。
【0077】
図5に示した時点t0、時点t1及び時点t2は図4に示した時点t0、時点t1及び時点t2と同じである。図4に示した例と同様に、図5に示した時点t2にて、VCECU20は、加速抑制制御を開始するとともに第2注意喚起報知を行う。
【0078】
図5に示した例では、時点t2から異常判定時間Tadが経過する前の時点t6にて、VCECU20は、運転席画像に基いて、運転者が散漫状態でなくなったと判定する(即ち、運転者が正常状態に復帰したと判定する。)。この場合、時点t6にて、VCECU20は、加加速度制限制御を開始し、第2注意喚起報知を終了する。
【0079】
加加速度制限制御は、車両VAの加速度Gの時間微分値である加加速度が所定値よりも大きくなることを禁止(制限)する制御である。詳細には、加加速度制限制御では、VCECU20は、車両VAの加速度Gを「加加速度制限制御の開始時点からの経過時間が大きくなるにつれて「0」から徐々に大きくなる加速度Gjr」と一致させる。
【0080】
時点t2から時点t6までの期間においては、加速抑制制御が実行されていたため車両VAの加速度Gは「0」よりも大きくならない。運転者が正常状態に復帰した時点t6にて、加速度Gを「定速制御又は追従制御で取得されるACC目標加速度Gacc」と一致させると急加速を招く可能性がある。このような急加速は運転者に不安を与える可能性がある。時点t6にて加加速度制限制御が開始されるので、時点t6の直後の急加速を防止することができ、運転者に不安を与える可能性を低減できる。
【0081】
時点t7にて、加速度GがACC目標加速度Gaccと一致する。時点t7にて、VCECU20は、加加速度制限制御を終了する。時点t7以降、VCECU20は、加速度GをACC目標加速度Gaccと一致するように車両VAを走行させる(即ち、VCECU20は、定速制御又は追従制御で車両VAを走行させる。)。
【0082】
(具体的作動)
<第1注意喚起報知ルーチン>
VCECU20のCPU(以下、「CPU」と表記した場合、特に断りがない限り、VCECU20のCPUを指す。)は、所定時間が経過する毎に図6にフローチャートにより示した第1注意喚起報知ルーチンを実行する。
【0083】
従って、所定のタイミングになると、CPUは、図6に示したステップ600から処理を開始し、ステップ605に進む。ステップ605にて、CPUは、ACCフラグXaccの値が「1」であるか否かを判定する。
ACCフラグXaccの値は、所定のACC開始条件が成立した場合に「1」に設定され、所定のACC終了条件が成立した場合に「0」に設定される。なお、ACCフラグXaccの値は、イニシャルルーチンにおいても「0」に設定される。イニシャルルーチンは、車両VAの図示しないイグニッション・キー・スイッチがオフ位置からオン位置へと変更されたときにCPUによって実行されるルーチンである。
ACC開始条件は、図示しないACC開始スイッチが操作されたときに成立する条件である。
ACC終了条件は、図示しないACC終了スイッチが操作されたとき、及び、運転者が異常状態に陥った後に中止スイッチ26が操作されたとき等に成立する条件である。
【0084】
ACCフラグXaccの値が「0」である場合、CPUは、ステップ605にて「No」と判定し、ステップ695に進んで本ルーチンを一旦終了する。
一方、ACCフラグXaccの値が「1」である場合、CPUは、ステップ605にて「Yes」と判定し、ステップ608に進む。
【0085】
ステップ608にて、CPUは、第1警告フラグXab1、第2警告フラグXab2及び第3警告フラグXab3の何れの値も「0」であるか否かを判定する。
【0086】
第1警告フラグXab1の値は、運転者が異常状態に陥ったと判定された場合に「1」に設定され、運転者が所定の中止操作(ステアリングホイールSWの保持)を行ったとき「0」に設定される。なお、第1警告フラグXab1の値はイニシャルルーチンにて「0」に設定される。
【0087】
第2警告フラグXab2の値は、運転者が異常状態に陥ったと判定された時点から制御時間Tsが経過した場合に「1」に設定され、運転者が所定の中止操作(中止スイッチ26の操作)を行った場合に「0」に設定される。なお、第2警告フラグXab2の値はイニシャルルーチンにて「0」に設定される。
【0088】
第3警告フラグXab3の値は、停止減速制御により車速Vsが「0km/h」となった場合(車両VAが停車した場合)に「1」に設定され、運転者が所定の中止操作(中止スイッチ26の操作又はシフトポジションをPレンジに切り替える操作)を行った場合に「0」に設定される。なお、第3警告フラグXab3の値はイニシャルルーチンにて「0」に設定される。
【0089】
第1警告フラグXab1、第2警告フラグXab2及び第3警告フラグXab3の何れかの値が「1」である場合、CPUは、ステップ608にて「No」と判定し、ステップ695に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0090】
第1警告フラグXab1、第2警告フラグXab2及び第3警告フラグXab3の何れかの値も「0」である場合、CPUは、ステップ608にて「Yes」と判定し、ステップ610に進む。
【0091】
ステップ610にて、CPUは、第1注意喚起フラグXsa1の値が「0」であるか否かを判定する。
第1注意喚起フラグXsa1の値は、運転者が散漫状態である散漫状況が第1判定時間Td1に渡り継続した場合に「1」に設定され、運転者が正常状態に復帰したときに「0」に設定される。なお、第1注意喚起フラグXsa1の値はイニシャルルーチンにて「0」に設定される。
【0092】
第1注意喚起フラグXsa1の値が「0」である場合、CPUは、ステップ610にて「Yes」と判定し、ステップ615及びステップ620を順に実行する。
ステップ615:CPUは、運転席カメラ装置24から運転席画像を取得する。
ステップ620:CPUは、運転席画像に基いて、運転者が上記わき見状態、閉眼状態、姿勢崩れ状態、頭ロスト状態及び眠気状態の少なくとも一つに該当する(即ち、運転者が散漫状態である)散漫状況が第1判定時間Td1に渡り継続したか否かを判定する。
【0093】
運転者が散漫状態でない場合又は散漫状況が第1判定時間Td1に渡り継続していない場合、CPUは、ステップ620にて「No」と判定し、ステップ695に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0094】
一方、散漫状況が第1判定時間Td1に渡り継続した場合、CPUは、ステップ620にて「Yes」と判定し、ステップ625及びステップ630を順に実行する。
ステップ625:CPUは、第1注意喚起フラグXsa1の値を「1」に設定する。
ステップ630:CPUは、第2判定時間タイマTMsa2の値を「0」に設定する。
第2判定時間タイマTMsa2は、運転者が散漫状態であることが第1判定時間Td1に渡り継続したと判定された時点(ステップ620にて「Yes」と判定された時点)から経過した時間をカウントするためのタイマである。
その後、CPUは、ステップ695に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0095】
第1注意喚起フラグXsa1の値が「1」に設定された後、CPUが本ルーチンを実行してステップ610に進んだ場合、CPUは、ステップ610にて「No」と判定し、ステップ635に進む。
【0096】
ステップ635にて、CPUは、第2注意喚起フラグXsa2の値が「0」であるか否かを判定する。
第2注意喚起フラグXsa2の値は、「散漫状況が第1判定時間Td1に渡り継続した時点」から第2判定時間Td2に渡り散漫状況が継続することにより散漫条件が成立した場合に「1」に設定され、運転者が正常状態に復帰したときに「0」に設定される。なお、第2注意喚起フラグXsa2の値はイニシャルルーチンにて「0」に設定される。
【0097】
第2注意喚起フラグXsa2の値が「0」である場合、CPUは、ステップ635にて「Yes」と判定し、ステップ640及びステップ645を順に実行する。
ステップ640:CPUは、第2判定時間タイマTMsa2に「1」を加算する。
ステップ645:CPUは、第2判定時間タイマTMsa2の値が第2判定閾値T2th未満であるか否かを判定する。
第2判定閾値T2thは、第2判定時間タイマTMsa2の値が第2判定閾値T2th以上となったときに「散漫状況が第1判定時間Td1に渡り継続した時点」から第2判定時間Td2が経過するような値に設定される。
【0098】
第2判定時間タイマTMsa2の値が第2判定閾値T2th未満である場合、CPUは、ステップ645にて「Yes」と判定し、ステップ650及びステップ655を順に実行する。
ステップ650:CPUは、運転席カメラ装置24から運転席画像を取得する。
ステップ655:CPUは、運転席画像に基いて運転者が正常状態に復帰したか否かを判定する。
詳細には、CPUは、運転席画像に基いて、運転者が上記わき見状態、閉眼状態、姿勢崩れ状態、頭ロスト状態及び眠気状態の何れにも該当しなくなった場合、運転者が正常状態に復帰したと判定する。
【0099】
運転者が正常状態に復帰していない場合、CPUは、ステップ655にて「No」と判定し、ステップ660及びステップ665を順に実行する。
ステップ660:CPUは、第1注意喚起画面300をディスプレイ60に表示させる。
ステップ665:CPUは、第1注意音パターンに従って警告音をスピーカ70から発音させる。
その後、CPUは、ステップ695に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0100】
一方、CPUがステップ655に進んだときに運転者が正常状態に復帰した場合、CPUは、ステップ655にて「Yes」と判定し、ステップ670に進む。ステップ670にて、CPUは、第1注意喚起フラグXsa1の値を「0」に設定する。その後、CPUは、ステップ695に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0101】
一方、CPUがステップ645に進んだときに第2判定時間タイマTMsa2の値が第2判定閾値T2th以上である場合、CPUは、ステップ645にて「No」と判定し、ステップ675及びステップ680を順に実行する。
ステップ675:CPUは、第2注意喚起フラグXsa2の値を「1」に設定する。
ステップ680:CPUは、異常判定時間タイマTMadの値を「0」に設定する。
異常判定時間タイマTMadは、散漫条件が成立した時点(ステップ645にて「No」と判定された時点)から経過した時間をカウントするためのタイマである。
その後、CPUは、ステップ695に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0102】
<第2注意喚起報知ルーチン>
CPUは、所定時間が経過する毎に図7にフローチャートにより示した第2注意喚起報知ルーチンを実行する。
【0103】
従って、所定のタイミングになると、CPUは、図7に示したステップ700から処理を開始し、ステップ705に進む。ステップ705にて、CPUは、ACCフラグXaccの値が「1」であるか否かを判定する。
【0104】
ACCフラグXaccの値が「0」である場合、CPUは、ステップ705にて「No」と判定し、ステップ795に進んで本ルーチンを一旦終了する。
一方、ACCフラグXaccの値が「1」である場合、CPUは、ステップ705にて「Yes」と判定し、ステップ708に進む。
【0105】
ステップ708にて、CPUは、第1警告フラグXab1、第2警告フラグXab2及び第3警告フラグXab3の何れの値も「0」であるか否かを判定する。
第1警告フラグXab1、第2警告フラグXab2及び第3警告フラグXab3の何れかの値が「1」である場合、CPUは、ステップ708にて「No」と判定し、ステップ795に進んで本ルーチンを一旦終了する。
第1警告フラグXab1、第2警告フラグXab2及び第3警告フラグXab3の何れの値も「0」である場合、CPUは、ステップ708にて「Yes」と判定し、ステップ710に進む。
【0106】
ステップ710にて、CPUは、第2注意喚起フラグXsa2の値が「1」であるか否かを判定する。
第2注意喚起フラグXsa2の値が「0」である場合、CPUは、ステップ710にて「No」と判定し、ステップ795に進んで本ルーチンを一旦終了する。
一方、第2注意喚起フラグXsa2の値が「1」である場合、CPUは、ステップ710にて「Yes」と判定し、ステップ715及びステップ720を順に実行する。
【0107】
ステップ715:CPUは、異常判定時間タイマTMadに「1」を加算する。
ステップ720:CPUは、異常判定時間タイマTMadの値が異常判定閾値Tadth未満であるか否かを判定する。
異常判定閾値Tadthは、異常判定時間タイマTMadの値が異常判定閾値Tadth以上となったときに散漫条件が成立した時点から異常判定時間Tadが経過するような値に設定される。
【0108】
異常判定時間タイマTMadの値が異常判定閾値Tadth未満である場合、CPUは、ステップ720にて「Yes」と判定し、ステップ725及びステップ730を順に実行する。
ステップ725:CPUは、運転席カメラ装置24から運転席画像を取得する。
ステップ730:CPUは、運転席画像に基いて運転者が正常状態に復帰したか否かを判定する。
【0109】
運転者が正常状態に復帰していない場合、CPUは、ステップ730にて「No」と判定し、ステップ735及びステップ740を順に実行する。
ステップ735:CPUは、第2注意喚起画面350をディスプレイ60に表示させる。
ステップ740:CPUは、第2注意音パターンに従って警告音をスピーカ70から発音させる。
その後、CPUは、ステップ795に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0110】
一方、運転者が正常状態に復帰した場合、CPUは、ステップ730にて「Yes」と判定し、ステップ745乃至ステップ755を順に実行する。
ステップ745:CPUは、第1注意喚起フラグXsa1及び第2注意喚起フラグXsa2の値を「0」に設定する。
ステップ750:CPUは、加加速度制限制御フラグXjrの値を「1」に設定する。
加加速度制限制御フラグXjrの値は、加加速度制限制御を開始するときに「1」に設定され、加速抑制制御を終了するときに「0」に設定される。なお、加加速度制限制御フラグXjrの値はイニシャルルーチンにて「0」に設定される。
ステップ755:CPUは、制限タイマTMjrの値を「0」に設定する。
制限タイマTMjrは、加加速度制限制御が開始された時点から経過した時間をカウントするためのタイマである。
その後、CPUは、ステップ795に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0111】
一方、CPUがステップ720に進んだときに異常判定時間タイマTMadの値が異常判定閾値Tadth以上である場合、CPUは、運転者が異常状態に陥ったと判定する。この場合、CPUは、ステップ720にて「No」と判定し、ステップ760乃至ステップ765を順に実行する。
【0112】
ステップ760:CPUは、第1警告フラグXab1の値を「1」に設定する。
ステップ765:CPUは、緩減速タイマTMsの値を「0」に設定する。
緩減速タイマTMsは、運転者が異常状態に陥ったと判定された時点(即ち、緩減速制御の開始時点)から経過した時間をカウントするためのタイマである。
その後、CPUは、ステップ795に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0113】
<第1警告ルーチン>
CPUは、所定時間が経過する毎に図8にフローチャートにより示した第1警告ルーチンを実行する。
【0114】
従って、所定のタイミングになると、CPUは、図8に示したステップ800から処理を開始し、ステップ810に進む。ステップ810にて、CPUは、第1警告フラグXab1の値が「1」であるか否かを判定する。
第1警告フラグXab1の値が「0」である場合、CPUは、ステップ810にて「No」と判定し、ステップ895に進んで本ルーチンを一旦終了する。
一方、第1警告フラグXab1の値が「1」である場合、CPUは、ステップ810にて「Yes」と判定し、ステップ815及びステップ820を順に実行する。
【0115】
ステップ815:CPUは、緩減速タイマTMsに「1」を加算する。
ステップ820:CPUは、緩減速タイマTMsの値が制御閾値Tsth未満であるか否かを判定する。
制御閾値Tsthは、緩減速タイマTMsの値が制御閾値Tsth以上となったときに運転者が異常状態に陥ったと判定された時点から制御時間Tsが経過するような値に設定される。
【0116】
緩減速タイマTMsの値が制御閾値Tsth未満である場合、CPUは、ステップ820にて「Yes」と判定し、ステップ823及びステップ825を順に実行する。
ステップ823:CPUは、操舵トルクセンサ25からの検出信号に基いて、操舵トルクTrを取得する。
ステップ825:CPUは、操舵トルクTrが閾値トルクTrth未満であるか否かを判定する。
【0117】
操舵トルクTrが閾値トルクTrth未満である場合、CPUは、運転者はステアリングホイールSWを保持していないと判定する。この場合、CPUは、ステップ825にて「No」と判定し、ステップ830及びステップ835を順に実行する。
ステップ830:CPUは、第1警告画面400をディスプレイ60に表示させる。
ステップ835:CPUは、第1警告音パターンに従って警告音をスピーカ70から発音させる。
その後、CPUは、ステップ895に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0118】
一方、操舵トルクTrが閾値トルクTrth以上である場合、CPUは、ステップ825にて「Yes」と判定し、ステップ840に進む。ステップ840にて、CPUは、ACCフラグ、第1注意喚起フラグXsa1、第2注意喚起フラグXsa2及び第1警告フラグXab1の値を「0」に設定する。その後、CPUは、ステップ895に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0119】
一方、CPUがステップ820に進んだときに緩減速タイマTMsの値が制御閾値Tsth以上である場合、CPUは、ステップ820にて「No」と判定し、ステップ850に進む。ステップ850にて、CPUは、第2警告フラグXab2の値を「1」に設定し、第1警告フラグXab1の値を「0」に設定する。その後、CPUは、ステップ895に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0120】
<第2警告ルーチン>
CPUは、所定時間が経過する毎に図9にフローチャートにより示した第2警告ルーチンを実行する。
【0121】
従って、所定のタイミングになると、CPUは、図9に示したステップ900から処理を開始し、ステップ910に進む。ステップ910にて、CPUは、第2警告フラグXab2の値が「1」であるか否かを判定する。
第2警告フラグXab2の値が「0」である場合、CPUは、ステップ910にて「No」と判定し、ステップ995に進んで本ルーチンを一旦終了する。
一方、第2警告フラグXab2の値が「1」である場合、CPUは、ステップ910にて「Yes」と判定し、ステップ915に進む。
【0122】
ステップ915にて、CPUは、車速Vsが「0km/h」であるか否かを判定する。
車速Vsが「0km/h」でない場合、CPUは、ステップ915にて「No」と判定し、ステップ920に進む。ステップ920にて、CPUは、中止スイッチ26が操作されたか否かを判定する。
【0123】
中止スイッチ26が操作されていない場合、CPUは、ステップ920にて「No」と判定し、ステップ925及びステップ930を順に実行する。
ステップ925:CPUは、第2警告画面420をディスプレイ60に表示させる。
ステップ930:CPUは、第2警告音パターンに従って警告音をスピーカ70から発音させる。
その後、CPUは、ステップ995に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0124】
一方、中止スイッチ26が操作された場合、CPUは、ステップ920にて「Yes」と判定し、ステップ935に進む。ステップ935にて、CPUは、ACCフラグXacc、第1注意喚起フラグXsa1、第2注意喚起フラグXsa2及び第2警告フラグXab2の値を「0」に設定する。その後、CPUは、ステップ995に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0125】
一方、CPUがステップ915に進んだときに車速Vsが「0km/h」である場合、CPUは、ステップ915にて「Yes」と判定し、ステップ945に進む。ステップ945にて、CPUは、第3警告フラグXab3の値を「1」に設定し、第2警告フラグXabの値を「0」に設定する。その後、CPUは、ステップ995に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0126】
<第3警告ルーチン>
CPUは、所定時間が経過する毎に図10にフローチャートにより示した第3警告ルーチンを実行する。
【0127】
従って、所定のタイミングになると、CPUは、図10に示したステップ1000から処理を開始し、ステップ1010に進む。ステップ1010にて、CPUは、第3警告フラグXab3の値が「1」であるか否かを判定する。
第3警告フラグXab3の値が「0」である場合、CPUは、ステップ1010にて「No」と判定し、ステップ1095に進んで本ルーチンを一旦終了する。
一方、第3警告フラグXab3の値が「1」である場合、CPUは、ステップ1010にて「Yes」と判定し、ステップ1015に進む。ステップ1015にて、CPUは、中止スイッチ26が操作されたか否かを判定する。
【0128】
中止スイッチ26が操作されていない場合、CPUは、ステップ1015にて「No」と判定し、ステップ1020に進む。ステップ1020にて、CPUは、シフトポジションがPレンジに切り替えられたか否かを判定する。
【0129】
シフトポジションがPレンジに切り替えられていない場合、CPUは、ステップ1020にて「No」と判定し、ステップ1025及びステップ1030を順に実行する。
ステップ1025:CPUは、第3警告画面430をディスプレイ60に表示させる。
ステップ1030:CPUは、第2警告音パターンに従って警告音をスピーカ70から発音させる。
その後、CPUは、ステップ1095に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0130】
CPUがステップ1015に進んだときに中止スイッチ26が操作された場合、CPUは、ステップ1015にて「Yes」と判定し、ステップ1035に進む。ステップ1035にて、CPUは、ACCフラグXacc、第1注意喚起フラグXsa1、第2注意喚起フラグXsa2及び第3警告フラグXsa3の値を「0」に設定する。その後、CPUは、ステップ1095に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0131】
CPUがステップ1020に進んだときにシフトポジションがPレンジに切り替えられた場合、CPUは、ステップ1020にて「Yes」と判定し、ステップ1035を実行し、ステップ1095に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0132】
<ACCルーチン>
CPUは、所定時間が経過する毎に図11にフローチャートにより示したACCルーチンを実行する。
【0133】
従って、所定のタイミングになると、CPUは、図11に示したステップ1100から処理を開始し、ステップ1105に進む。ステップ1105にて、CPUは、ACCフラグXaccの値が「1」であるか否かを判定する。
【0134】
ACCフラグXaccの値が「0」である場合、CPUは、ステップ1105にて「No」と判定し、ステップ1195に進んで本ルーチンを一旦終了する。
一方、ACCフラグXaccの値が「1」である場合、CPUは、ステップ1105にて「Yes」と判定し、ステップ1110乃至ステップ1120を順に実行する。
【0135】
ステップ1110:CPUは、カメラ装置22からカメラ物体情報を取得する。
ステップ1115:CPUは、ミリ波レーダ装置23からレーダ物体情報を取得する。
ステップ1120:CPUは、カメラ物体情報及びレーダ物体情報に基いて先行車が存在するか否かを判定する。
【0136】
先行車が存在する場合、CPUは、ステップ1120にて「Yes」と判定し、ステップ1125乃至ステップ1135を順に実行する。
ステップ1125:CPUは、先行車と車両VAとの間の車間距離Dから設定車間距離Dsetを減じることにより車間偏差ΔD1を取得する。
ステップ1130:CPUは、レーダ物体情報に含まれる相対速度に基いて、先行車の車両VAに対する相対速度Vrを取得する。
【0137】
ステップ1135:CPUは、車間偏差ΔD1及び相対速度Vrを以下の(1)式に適用することにより、ACC目標加速度Gaccを取得する。

Gacc=ka1・(k1・ΔD1+k2・Vr) …(1)

上記(1)式におけるka1、k1及びk2は所定の正のゲイン(係数)である。
その後、CPUは、ステップ1195に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0138】
一方、CPUがステップ1120に進んだときに先行車が存在しない場合、CPUは、ステップ1120にて「No」と判定し、ステップ1140及びステップ1145を順に実行する。
ステップ1140:CPUは、設定車速Vsetから車速Vsを減じることにより車速偏差ΔVsを取得する。
ステップ1145:CPUは、車速偏差ΔVsを以下の(2)式に適用することにより、ACC目標加速度Gaccを取得する。

Gacc=k3×ΔVs …(2)

上記(2)式におけるk3は所定のゲイン(係数)である。
その後、CPUは、ステップ1195に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0139】
<ACC加速度設定ルーチン>
CPUは、所定時間が経過する毎に図12にフローチャートにより示したACC加速度設定ルーチンを実行する。
【0140】
従って、所定のタイミングになると、CPUは、図12に示したステップ1200から処理を開始し、ステップ1205に進む。ステップ1205にて、CPUは、ACCフラグXaccの値が「1」であるか否かを判定する。
【0141】
ACCフラグXaccの値が「0」である場合、CPUは、ステップ1205にて「No」と判定し、ステップ1295に進んで本ルーチンを一旦終了する。
一方、ACCフラグXaccの値が「1」である場合、CPUは、ステップ1205にて「Yes」と判定し、ステップ1210に進む。ステップ1210にて、CPUは、運転者加速度GdrがACC目標加速度Gaccよりも大きいか否かを判定する。運転者加速度Gdrは、運転者のアクセルペダル操作量APに対応する加速度である。
【0142】
運転者加速度GdrがACC目標加速度Gaccよりも大きい場合、CPUは、ステップ1210にて「Yes」と判定し、ステップ1215に進む。ステップ1215にて、CPUは、第1目標加速度G1tgtに運転者加速度Gdrを設定し、ステップ1295に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0143】
一方、CPUがステップ1210に進んだときに運転者加速度GdrがACC目標加速度Gacc以下である場合、CPUは、ステップ1210にて「No」と判定し、ステップ1225及びステップ1230を順に実行する。
【0144】
ステップ1225:CPUは、第1目標加速度G1tgtにACC目標加速度Gaccを設定する。
ステップ1230:CPUは、第2注意喚起フラグXsa2の値が「1」であるか否かを判定する。
【0145】
第2注意喚起フラグXsa2の値が「0」である場合、CPUは、ステップ1230にて「No」と判定し、ステップ1235に進む。ステップ1235にて、CPUは、加加速度制限制御フラグXjrの値が「1」であるか否かを判定する。
【0146】
加加速度制限制御フラグXjrの値が「0」である場合、CPUは、ステップ1235にて「No」と判定し、CPUは、ステップ1295に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0147】
一方、CPUがステップ1230に進んだときに第2注意喚起フラグXsa2の値が「1」である場合、CPUは、ステップ1230にて「Yes」と判定し、ステップ1240及びステップ1245を順に実行する。
【0148】
ステップ1240:CPUは、制限加速度Glmtを「0」に設定する。
ステップ1245:CPUは、第1目標加速度G1tgt(ACC目標加速度Gacc)が制限加速度Glmtよりも大きいか否かを判定する。
【0149】
第1目標加速度G1tgtが制限加速度Glmt以下である場合、CPUは、ステップ1245にて「No」と判定し、ステップ1295に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0150】
一方、第1目標加速度G1tgtが制限加速度Glmtよりも大きい場合、CPUは、ステップ1245にて「Yes」と判定し、ステップ1250に進む。ステップ1250にて、CPUは、第1目標加速度G1tgtに制限加速度Glmtを設定し、ステップ1295に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0151】
一方、CPUがステップ1235に進んだときに加加速度制限制御フラグXjrの値が「1」である場合、CPUは、ステップ1235にて「Yes」と判定し、ステップ1255乃至ステップ1265を順に実行する。
【0152】
ステップ1255:CPUは、制限タイマTMjrの値に「1」を加算する。
ステップ1260:CPUは、制限タイマTMjrの値をマップMap1に適用することにより、加速度Gjrを取得する。
マップMap1は、VCECU20のROMに格納されている。マップMap1では、加加速度が所定の閾値よりも大きくならないように且つ制限タイマTMjrの値が大きくなるにつれて加速度Gjrが徐々に大きくなるように制限タイマTMjrの値と加速度Gjrとの関係が定義されている。
ステップ1265:CPUは、ACC目標加速度Gaccと加速度Gjrとが等しくなったか否かを判定する。
【0153】
ACC目標加速度Gaccと加速度Gjrとが等しくない場合、CPUは、ステップ1265にて「No」と判定し、ステップ1270に進む。ステップ1270にて、CPUは、制限加速度Glmtを加速度Gjrに設定する。その後、CPUは、ステップ1245に進む。
【0154】
一方、ACC目標加速度Gaccと加速度Gjrとが等しい場合、CPUは、ステップ1265にて「Yes」と判定し、ステップ1275に進む。ステップ1275にて、CPUは、加加速度制限制御フラグXjrの値を「0」に設定する。その後、CPUは、ステップ1270に進む。
【0155】
以上により、運転者加速度GdrがACC目標加速度Gacc以下であり且つ第2注意喚起フラグXsa2の値が「1」である場合、CPUは、加速抑制制御を実行する。即ち、CPUは、制限加速度Glmtを「0」に設定し、第1目標加速度G1tgt(ACC目標加速度Gacc)が制限加速度Glmtよりも大きい場合、第1目標加速度G1tgtを制限加速度Glmtに設定する。これにより、車両VAが加速することが抑制(禁止)される。
【0156】
運転者加速度GdrがACC目標加速度Gacc以下であり且つ加加速度制限制御フラグXjrの値が「1」である場合、CPUは、加加速度制限制御を実行する。即ち、CPUは、制限加速度Glmtを、加加速度が閾値を超えないように加加速度制限制御の開始時点からの時間経過に伴って徐々に大きくなる加速度Gjrに設定する。そして、CPUは、第1目標加速度G1tgt(ACC目標加速度Gacc)が制限加速度Glmtよりも大きい場合、第1目標加速度G1tgtを制限加速度Glmtに設定する。これにより、車両VAの加加速度が閾値よりも大きくなることを防止できる。
【0157】
<減速制御ルーチン>
CPUは、所定時間が経過する毎に図13Aにフローチャートにより示した減速制御ルーチンを実行する。
【0158】
従って、所定のタイミングになると、CPUは、図13Aに示したステップ1300から処理を開始し、ステップ1310に進む。ステップ1310にて、CPUは、第1警告フラグXab1の値が「1」であるか否かを判定する。
【0159】
第1警告フラグXab1の値が「0」である場合、CPUは、ステップ1310にて「No」と判定し、ステップ1315に進む。ステップ1315にて、CPUは、第2警告フラグXab2の値が「1」であるか否かを判定する。
【0160】
第2警告フラグXab2の値が「0」である場合、CPUは、ステップ1315にて「No」と判定し、ステップ1320に進む。ステップ1320にて、CPUは、第3警告フラグXab3の値が「1」であるか否かを判定する。
【0161】
第3警告フラグXab3の値が「0」である場合、CPUは、ステップ1320にて「No」と判定し、ステップ1323に進む。ステップ1323にて、CPUは、第2目標加速度G2tgtに「無限大」を設定し、ステップ1395に進んで本ルーチンを一旦終了する。このため、第1警告フラグXab1、第2警告フラグXab2及び第3警告フラグXab3の何れの値も「0」である場合、ステップ1323で第2目標加速度G2tgtが「無限大」に設定される。これにより、図13Bに示した目標加速度送信ルーチンにて、第2目標加速度G2tgtがエンジンECU30及びブレーキECU40に送信されることはなく、第1目標加速度G1tgtがエンジンECU30及びブレーキECU40に送信されることとなる。
【0162】
CPUがステップ1310に進んだときに第1警告フラグXab1の値が「1」である場合、CPUは、ステップ1310にて「Yes」と判定し、ステップ1325に進む。ステップ1325にて、CPUは、第2目標加速度G2tgtに第1加速度Gab1を設定し、ステップ1395に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0163】
CPUがステップ1315に進んだときに第2警告フラグXab2の値が「1」である場合、CPUは、ステップ1315にて「Yes」と判定し、ステップ1335に進む。ステップ1335にて、CPUは、第2目標加速度G2tgtに第2加速度Gab2を設定し、ステップ1395に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0164】
CPUがステップ1320に進んだときに第3警告フラグXab3の値が「1」である場合、CPUは、ステップ1320にて「Yes」と判定し、ステップ1340に進む。ステップ1340にて、CPUは、EPBを作動させるとともに第2目標加速度G2tgtに「所定の負の値に設定された第3加速度Gab3」を設定する。その後、CPUは、ステップ1395に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0165】
<目標加速度送信ルーチン>
CPUは、所定時間が経過する毎に図13Bにフローチャートにより示した目標加速度送信ルーチンを実行する。
【0166】
従って、所定のタイミングになると、CPUは、図13Bに示したステップ1400から処理を開始し、ステップ1405に進む。ステップ1405にて、CPUは、ACCフラグXaccの値が「1」であるか否かを判定する。
【0167】
ACCフラグXaccの値が「0」である場合、CPUは、ステップ1405にて「No」と判定し、ステップ1495に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0168】
ACCフラグXaccの値が「1」である場合、CPUは、ステップ1405にて「Yes」と判定し、ステップ1410に進む。ステップ1410にて、CPUは、第1目標加速度G1tgtが第2目標加速度G2tgtよりも小さいか否かを判定する。
【0169】
第1目標加速度G1tgtが第2目標加速度G2tgtよりも小さい場合、CPUは、ステップ1410にて「Yes」と判定し、第1目標加速度G1tgtをエンジンECU30及びブレーキECU40に送信する。その後、CPUは、ステップ1495に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0170】
第1目標加速度G1tgtが第2目標加速度G2tgt以上である場合、CPUは、ステップ1410にて「No」と判定し、第2目標加速度G2tgtをエンジンECU30及びブレーキECU40に送信する。その後、CPUは、ステップ1495に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0171】
以上により、散漫条件が成立した場合には、VCECU20は、減速制御を行うのではなく加速抑制制御を行う。これにより、後続車間距離が急激に短くなってしまう可能性を低減できる。更に、運転者が散漫状態である期間の車両VAの加速が抑制されるので、運転者に不安を与える可能性を低減できる。更に、減速制御による車両の加加速度の急激な変化により運転者に不安を与える可能性も低減できる。
【0172】
本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用できる。
【0173】
(第1変形例)
本変形例に係るVCECU20は、図2に示した時点t1から第2判定時間Td2が経過する前であっても、「物体と車両との関係(位置関係)が所定条件を満たした場合、散漫条件が成立したと判定し、第2注意喚起報知を行うとともに、加速抑制制御を実行する。
【0174】
図14に示した時点t8において、VCECU20は、先行車PVが存在すると判定し、追従制御を行っている。更に、時点t8にて、VCECU20は、運転者が散漫状態であることを検出してから第1判定時間Td1が経過し、第1注意喚起報知を行う。
【0175】
時点t8から第2判定時間Td2が経過する前の時点t9にて、VCECU20は、先行車PVを検出できなくなる。この場合、VCECU20は、ACCの制御を追従制御から定速制御に切り替える。
【0176】
時点t8から時点t9までの何れかの時点にて、先行車PVの運転者は、道路工事用フェンスRCFを発見し、車線変更を開始している。車両VAの運転者は、散漫状態であることから道路工事用フェンスRCFに気付いていない。時点t9にてACCの制御が定速制御に切り替えられることにより車両VAが加速する可能性がある。この車両VAの加速は車両VAの道路工事用フェンスRCFへの急接近を招き、正常状態に復帰した運転者に不安を与える可能性がある。
【0177】
本変形例では、時点t9にてVCECU20が先行車PVを検出しなくなると、VCECU20は、時点8から第2判定時間Td2が経過する前であっても、上記所定条件が成立し、散漫条件が成立したと判定し、第2注意喚起報知を行うとともに加速抑制制御を実行する。これにより、先行車PVが検出されなくなったことから追従制御から定速制御に切り替わったことによって車両VAが加速してしまうことを防止でき、車両VAが道路工事用フェンスRCFに急接近する可能性を低減できる。
【0178】
本変形例のVCECU20のCPUは、図6に示した第1注意喚起報知ルーチンの代わりに図15に示した第1注意喚起報知ルーチンを所定時間が経過する毎に実行する。なお、図15では、図6に示したステップと同じ処理を行うステップには、図6にて使用した符号と同じ符号を付与して説明を省略する。
【0179】
CPUは、所定のタイミングになると、図15に示したステップ1500から処理を開始する。第1注意喚起報知の開始時点から第2判定時間Td2が未だ経過していない場合、CPUは、図15に示したステップ605及びステップ608にて「Yes」と判定し、図15に示したステップ610にて「No」と判定し、図15に示したステップ635にて「Yes」と判定する。その後、CPUは、図15に示したステップ640を実行し、図15に示したステップ645にて「Yes」と判定し、ステップ1505乃至ステップ1515を順に実行する。
【0180】
ステップ1505:CPUは、カメラ装置22からカメラ物体情報を取得する。
ステップ1510:CPUは、ミリ波レーダ装置23からレーダ物体情報を取得する。
ステップ1515:CPUは、カメラ物体情報及びレーダ物体情報に基いて先行車PVを検出していた状態(検出状態)から先行車PVを検出していない状態(非検出状態)へと変化したか否かを判定する。
【0181】
検出状態から非検出状態へと変化した場合、CPUは、散漫条件が成立したと判定する。この場合、CPUは、ステップ1515にて「Yes」と判定し、図15に示したステップ675及びステップ680を実行する。その後、CPUは、ステップ1595に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0182】
一方、検出状態から非検出状態へと変化していない場合、CPUは、ステップ1515にて「No」と判定し、図15に示したステップ650に進む。
【0183】
以上により、第1注意喚起報知の開始時点から第2判定時間Td2が経過する前であっても、VCECU20は、検出していた先行車PVを検出しなくなったとの所定条件が成立した場合、散漫条件が成立したと判定し、加速抑制制御を実行する。これにより、運転者が散漫状態である場合に追従制御から定速制御に切り替わることにより車両VAが加速してしまう可能性を低減できる。
【0184】
上記所定条件は、上記条件に限定されず、車両VAの前方に存在する物体と車両VAとの関係が変化して運転者の監視の必要性が「物体と車両VAとの関係が変化する前」に比べて増加したときに成立する条件であればよい。例えば、上記所定条件は、VCECU20が先行車PVの非検出状態から検出状態へと変化した場合に成立する条件であってもよい。
更には、上記所定条件は、車両が物体と衝突するまでにかかる衝突所要時間(TTC:Time To Collision)が所定の閾値時間以下となったときに成立する条件であってもよい。衝突所要時間は、物体までの距離を物体の相対速度で除算することにより得られる。
更に、上記所定条件は、車両VAの前方の所定の領域に歩行者が検出されたときに成立する条件であってもよい。
【0185】
(第2変形例)
本変形例に係るVCECU20は、ACCの実行中か否かにかかわらずに、運転者が散漫状態であることを検出し、その後、散漫条件が成立するか否かを判定する。詳細には、CPUは、第1注意喚起報知ルーチンにおいて図6に示したステップ605を実行せずにステップ610に進む。同様に、CPUは、第2注意喚起報知ルーチンにおいて図7に示したステップ705を実行せずにステップ710に進む。
【0186】
更に、散漫条件が成立した場合、VCECU20は、ACCの実行中か否かにかかわらず、加速抑制制御を実行する。詳細には、CPUは、図12に示したACC加速度設定ルーチンの他に図16に示した加速度設定ルーチンを実行する。
【0187】
<加速度設定ルーチン>
CPUは、所定時間が経過する毎に図16にフローチャートにより示した加速度設定ルーチンを実行する。なお、図16では、図12に示したステップと同じ処理を行うステップには、図12にて使用した符号と同じ符号を付与して説明を省略する。
従って、所定のタイミングになると、CPUは、図16に示したステップ1600から処理を開始し、ステップ1605に進む。ステップ1605にて、CPUは、ACCフラグXaccの値が「0」であるか否かを判定する。
【0188】
ACCフラグXaccの値が「0」である場合、CPUは、ステップ1605にて「Yes」と判定し、ステップ1610に進む。ステップ1610にて、CPUは、第1目標加速度G1tgtに運転者加速度Gdrを設定し、図16に示したステップ1230に進む。第2注意喚起フラグXsa2の値が「0」である場合、CPUは、図16に示したステップ1230にて「No」と判定し、ステップ1695に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0189】
一方、第2注意喚起フラグXsa2の値が「1」である場合、CPUは、図16に示したステップ1230にて「Yes」と判定し、図16に示したステップ1240にて制限加速度Glmtを「0」に設定し、図16に示したステップ1245に進み、第1目標加速度G1tgt(運転者加速度Gdr)が制限加速度Glmtよりも大きいか否かを判定する。
運転者加速度Gdrが制限加速度Glmtよりも大きい場合、CPUは、図16に示したステップ1245にて「Yes」と判定し、図16に示したステップ1250に進んで第1目標加速度Gtgtに制限加速度Glmtを設定する。その後、ステップ1695に進んで本ルーチンを一旦終了する。
一方、運転者加速度Gdrが制限加速度Glmt以下である場合、CPUは、ステップ図16に示したステップ1245にて「No」と判定し、ステップ1695に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0190】
一方、ACCフラグXaccの値が「1」である場合、CPUは、ステップ1605にて「No」と判定し、ステップ1695に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0191】
なお、本変形例では、CPUは、図13Bに示した目標加速度送信ルーチンでは、ステップ1405を実行せずに、ACCフラグXaccの値にかかわらずステップ1410に進み、第1目標加速度G1tgt及び第2目標加速度G2tgtの小さい方の目標加速度Gtgtを送信する。第1目標加速度G1tgtは、ACCフラグXaccの値が「1」であれば図12に示したルーチンで設定され、ACCフラグXaccの値が「0」であれば図16に示したルーチンで設定される。
【0192】
(第3変形例)
上記実施形態では、運転者の散漫状態が第1判定時間Td1に渡り継続すると第1注意喚起報知を開始し、第1注意喚起報知の開始時点から第2判定時間Td2に渡り散漫状態が継続した場合、VCECU20は、散漫条件が成立したと判定し、第2注意喚起報知及び加速抑制制御を行う。
本変形例では、運転者の散漫状態が第1判定時間Td1に渡り継続すると、第1注意喚起報知を行うことなく、散漫条件が成立したと判定し、第2注意喚起報知及び加速抑制制御を行う。
【0193】
(第4変形例)
図8に示したステップ825にて、CPUは、操舵トルクTrが閾値トルクTrth以上であれば、運転者がステアリングホイールSWを保持していると判定した。ステアリングホイールSWの保持の判定は、これに限定されない。例えば、本制御装置10は、運転者の手がステアリングホイールSWに接触していることを検出するように構成された接触センサを備えている。CPUは、接触センサからの検出信号に基いて、運転者がステアリングホイールSWを保持しているか否かを判定してもよい。更に、CPUは、運転席画像に基いてステアリングホイールSWを保持しているか否かを判定してもよい。
【0194】
(第5変形例)
上記実施形態では、VCECU20は、散漫条件が成立して第2注意喚起報知の開始時点から異常判定時間Tadに渡り散漫状況が継続したとき、運転者が異常状態に陥っていると判定したが、これに限定されない。本変形例では、VCECU20は、第2注意喚起報知の開始時点から異常判定時間Tadに渡って、散漫状況の他にアクセルペダル無操作状況及びステアリングホイール非保持状況の少なくとも一方の状況が継続したとき、運転者が異常状態に陥っていると判定する。
アクセルペダル無操作状況は、運転者がアクセルペダル32aを踏み込んでいない状況(即ち、運転者がアクセルペダル32aから足を離している状況)である。
ステアリングホイール非保持状況は、運転者がステアリングホイールSWを保持していない状況である。
【0195】
(第6変形例)
本制御装置10は、カメラ装置22及びミリ波レーダ装置23の少なくとも一方を備えていればよく、本制御装置10に備わる「物体を検出するためのセンサ」を「物体センサ」と称呼する場合もある。
ミリ波レーダ装置23は、ミリ波の代わりに無線媒体を送信し、反射された無線媒体を受信することによって物標を検出できるリモートセンシング装置であればよい。
【0196】
(第7変形例)
本制御装置10は、上記エンジン自動車だけでなく、ハイブリッド車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)、プラグインハブリッド車(PHEV:Plug-in Hybrid Electric Vehicle)、燃料電池車(FCEV:Fuel Cell Electric Vehicle)及び電気自動車(BEV:Battery Electric Vehicle)に適用可能である。
【0197】
本発明は、上記車両制御装置10の機能を実現するための車両制御プログラムを記憶したコンピュータが読み取り可能な非一時的な記憶媒体として捉えることも可能である。
【符号の説明】
【0198】
10…車両制御装置、20…車両制御ECU、24…運転席カメラ装置、30…エンジンECU、40…ブレーキECU。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14
図15
図16