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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】収納システム
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/14 20060101AFI20240717BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20240717BHJP
   G03B 21/16 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
G03B21/14 E
G03B21/00 D
G03B21/16
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021206585
(22)【出願日】2021-12-21
(65)【公開番号】P2023091798
(43)【公開日】2023-07-03
【審査請求日】2022-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002022
【氏名又は名称】弁理士法人コスモ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】津雪 泰弘
【審査官】西田 光宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-036789(JP,A)
【文献】特開2003-156795(JP,A)
【文献】特開2008-076806(JP,A)
【文献】特開2008-250279(JP,A)
【文献】特開2009-115967(JP,A)
【文献】特開2009-080146(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106200227(CN,A)
【文献】特開2020-016737(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 23/00-99/00
G03B 21/00-21/10
G03B 21/12-21/13
G03B 21/134-21/30
G03B 33/00-33/16
H01L 33/00-33/46
H05K 5/00-5/06
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面と、前記前面に対向する後面と、前記前面と前記後面との間に位置し、第1側面吸気口が設けられた第1側面と、前記第1側面に対向し、第2側面排気口が設けられた第2側面と、を有する物体と、
立ち上がり先端部を有する第1仕切壁であって、内部に収納させる前記物体を前記立ち上がり先端部に直接的又は間接的に当接させた状態で前記物体が前記内部に収納された場合に、前記内部の空間を第1隔離空間及び第2隔離空間に分離する第1仕切壁を有し、
記第1側面を前記第2側面より下側に位置するような姿勢で前記物体を収納するとともに天井に配置されている、収納装置と、
を備えることを特徴とする収納システム
【請求項2】
前記第1仕切壁はカバー部材に設けられ、
前記物体が収納された場合に、前記カバー部材は、前記第1隔離空間と連通する第1開口部と、前記第2隔離空間と連通する第2開口部と、を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の収納システム
【請求項3】
前記第1隔離空間には前記物体が備える吸気口が配置され、排気口が配置されず、
前記第2隔離空間には前記物体が備える排気口が配置され、吸気口が配置されない、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の収納システム
【請求項4】
前記物体は、画像を投影する投影部を有し、
前記物体が収納された場合に、前記カバー部材は、前記第1開口部と前記第2開口部の間に、前記投影部を前記カバー部材から露出させる投影開口部を有する、
ことを特徴とする請求項2に記載の収納システム
【請求項5】
前記カバー部材は、前記画像を前記物体に入力させる画像入力部材を前記カバー部材の外部から挿通させる画像入力孔部を有する、
ことを特徴とする請求項4に記載の収納システム
【請求項6】
前記第1仕切壁は、第1の高さを有する第1壁部と、前記第1の高さより低い第2の高さを有する第2壁部を備え、
前記物体は、前記第2壁部の立ち上がり先端部に当接させる、
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の収納システム
【請求項7】
前記カバー部材は第2仕切壁を有し、
前記第2仕切壁は、前記物体が収納された場合に、前記第1隔離空間及び前記第2隔離空間から隔離された第3隔離空間を形成する、
ことを特徴とする請求項2、4、5のいずれか1項に記載の収納システム
【請求項8】
前記第3隔離空間は、前記物体又は前記物体に関する付属部材から伸長する入出力線材が配置される、
ことを特徴とする請求項7に記載の収納システム
【請求項9】
記収納装置を支持する支持装置と、
を有する請求項1~8の何れか記載の収納システム。
【請求項10】
前記支持装置は、開口を形成する環状枠部と、送風装置と、を有する、
ことを特徴とする請求項9に記載の収納システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、天井材等に設けられた開口からその内側の空間(天井裏)にプロジェクター等を設置するための設置構造が提案されている。例えば特許文献1には、天井に投写光が通過する開口を設け、投写型表示装置は天井の上の空間(天井裏)に設置された天井の両サイドには、スリットが設けられており、一方のスリットには、ファンが設けられている設置構造が開示されている。そして、ファンが運転されると、一方のスリットからエアを排出すると、他方のスリットから、ほぼ同量のエアが天井裏の空間に流れ込み、投写型表示装置を冷却することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-164685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の投写型表示装置では、天井より下の空間(会議室等)から他方のスリットを介して流れ込んだエアが、投写型表示装置を運転させることで発生する熱により暖められることで、効率的に冷却することができない。投影を行わないときにプロジェクターが天井の内側の空間、即ち天井裏の空間に収納されることにより、プロジェクターが天井裏の温度環境下に長時間晒される。このため、例えば夏季等のように天井裏の空間が高温となる場合に投写型表示装置が高温環境下に長時間晒され、投写型表示装置に動作不良等の不具合が発生するおそれがあった。
【0005】
本発明の収納部材は、取り込んだエアを効率的に使って投影装置を冷却し、投影装置の運転により発生する暖められたエアを効率的に排出することで、投影装置の動作不良等の不具合の発生を低減させることができる収納システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の収納システムは、前面と、前記前面に対向する後面と、前記前面と前記後面との間に位置し、第1側面吸気口が設けられた第1側面と、前記第1側面に対向し、第2側面排気口が設けられた第2側面と、を有する物体と、立ち上がり先端部を有する第1仕切壁であって、内部に収納させる前記物体を前記立ち上がり先端部に直接的又は間接的に当接させた状態で前記物体が前記内部に収納された場合に、前記内部の空間を第1隔離空間及び第2隔離空間に分離する第1仕切壁を有し、前記第1側面を前記第2側面より下側に位置するような姿勢で前記物体を収納するとともに天井に配置されている、収納装置と、を備える
【0007】
本発明の一態様の収納システムは、前記収納装置を支持する支持装置を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の収納システムによれば、取り込んだエアを効率的に使って物体を冷却し、物体からの暖められたエアを効率的に排出することで、物体の不具合の発生を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る収納部材の設置構造の外観を示す斜視図である。
図2】実施形態に係る収納ケースを前側から視た斜視図である。
図3】実施形態に係る収納ケースの分解斜視図である。
図4】実施形態に係る収納ケースに収納される投影装置の斜視図である。
図5】(a)は排気側カバー及びその内側に配置される各部材の分解斜視図であり、(b)は排気側カバー及びその内側に配置された各部材の斜視図である。
図6】(a)は吸気側カバー及びその内側に配置される各部材の分解斜視図であり、(b)は吸気側カバー及びその内側に配置された各部材の斜視図である。
図7】収納ケースを左側面側から視た透過斜視図である。
図8】収納ケースを右側面側から視た透過斜視図である。
図9】収納ケースの横断面図であって、図2におけるIX-IX断面の断面構成(投影装置の内部構成は省略)を示す横断面図である。
図10】(a)は支持フレームの分解斜視図であり、(b)は支持フレームの一部透過斜視図である。
図11】支持フレームに支持された収納ケースを正面から視た一部透過正面図である。
図12】実施形態に係る吸排気用ファンの斜視図である。
図13】(a)、(b)は支持フレームに支持された収納ケースを天井の開口の内側に設置する手順を示す側面図である。
図14】(a)、(b)は支持フレームに支持された収納ケースを天井の開口の内側に設置する手順を示す正面図である。
図15】天井の開口の内側に設置した収納部材の設置構造から投影を行うときの状態を示す側面図であって、(a)は第1の投影角度で投影を行うときの側面図であり、(b)は第2の投影角度で投影を行うときの側面図である。
図16】(a)は第1の角度に調整された収納部材の設置構造を、吸気側開口部を通る縦断面で切断した断面図であって、(b)は第1の角度に調整された収納部材の設置構造を、排気側開口部を通る縦断面で切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1に示すように、実施形態に係る投影システム1は、収納ケース(収納装置)30と、収納ケース30を支持するとともに吸排気用ファン(送風装置)70を有する支持フレーム(支持装置)60と、を備える。投影システム1は、投影装置10(図2参照)を天井材(天井)又は壁材(壁)の裏側に埋め込む形で設置し、投影を行うための構造である。投影システム1では、内部に投影装置(物体)10を収納した収納ケース30を、天井材Cに設けられた開口CO(図13及び図14参照)から天井裏の空間(開口の内側の空間)に設置する。また、投影システム1では、内部に投影装置10を収納した収納ケース30を、壁材W(図15参照)に設けられた図示しない開口から壁の内側の空間(開口の内側の空間)に設置する。なお、図1は、支持フレーム60に支持された収納ケース30が傾けられた状態を示している。
【0011】
図2に示すように、収納ケース30は、全体として縦長の略箱状の中空部材であり、6面を構成する6つの壁部(上壁部30a、下壁部30b、左壁部30c、右壁部30d、前壁部30e、後壁部30f)を有する。なお、以下の収納ケース30の説明では、図2における手前方向を収納ケースの前側とし、その反対側を後側とし、図2における右方向を収納ケース30の左側とし、その反対側を右側として説明する。収納ケース30は、その内部に設けられた空間Sに投影装置10の略全域を覆うように収納する。収納ケース30の上壁部30aは平坦面となっており、下壁部30bは下方に向かって凸となる曲面となっている。また、収納ケース30の左壁部30cは平坦面となっており、右壁部30dは、上下方向を筒軸方向とする円筒の外周面のように収納ケース30の外側に向かって凸となる略円弧状に屈曲する曲面となっている。また、収納ケース30の後壁部30fは、外側に向かって凸となる曲面となっている。
【0012】
上壁部30aの上方には、投影装置10や収納ケース30を制御駆動するための電源ケーブルPC、及び投影装置10と接続される映像/音声伝送ケーブル(画像入力部材)HCが引き出されている。また、左壁部30cは、後述する支持フレーム60と干渉しないように、その下側部分が下側に向かうにつれて段階的に肉薄となっている(図1参照)。また、平坦面とされた右壁部30dの外面には、空間S内に配置される後述する取付板44を右壁部30dに取り付けるための第1ネジ軸81及び第2ネジ軸82が露出している。第1ネジ軸81及び第2ネジ軸82は、ネジ溝が設けられた部分とネジ溝が設けられていない部分とを有する軸状部材であり、そのうちネジ溝が設けられていない部分が右壁部30dの外面から露出しており、露出する先端部にワッシャが嵌められている。
【0013】
また、収納ケース30の前壁部30eの下側略半分の部分には、大きく開口するケース開口部32が設けられている。ケース開口部32は、収納ケース30内の空間Sと連通している。投影装置10は、後述する投影口20gをケース開口部32側に向けた形で、空間S内であって収納ケース30の左右方向略中央位置に縦置きされた状態で配置されている。空間Sは、縦置き配置された投影装置10によって他の空間から隔離された2つの空間に分離されている。この2つの空間のうち、左壁部30c側の空間は吸気空間(第1隔離空間)S1とされ、右壁部30d側の空間は排気空間(第2隔離空間)S2とされる。
【0014】
また、ケース開口部32のうち、左側の部分は吸気空間S1と連通する吸気側開口部(第1開口部)32aとなっており、右側の部分は排気空間S2と連通する排気側開口部(第2開口部)32bとなっている。そして、吸気側開口部32aと排気側開口部32bの間であってケース開口部32の左右方向略中央位置は、投影装置10の投影口20gを臨む投影開口部32cとなっている。換言すれば、投影装置10は、ケース開口部32の左右方向略中央位置において投影口20gを臨むような配置で空間S内に収納されている。なお、下壁部30bの前端部は、ケース開口部32の下側の開口縁を構成するとともに前方外側に開く形で傾斜して伸びる下側リブ部30b1となっている。
【0015】
収納ケース30の前壁部30eのうちケース開口部32を除く部分は、その表面に凹部と凸部が設けられている。投影開口部32cの直上に位置する前壁部30eは、その表面が外側に向かって略円弧状に凸となる第1凸部30e1となっている。前壁部30eのうち第1凸部30e1の上側であって吸気側開口部32a及び排気側開口部32bの直上に位置する部分は、内側に向かって平坦に凹んでなる第1凹部30e2となっている。前壁部30eのうち第1凹部30e2の上側に位置する部分は、その表面が外側に向かって略円弧状に凸となる第2凸部30e3となっている。また、前壁部30eの右側上端は、内側に向かって平坦に凹んでなる第2凹部30e4となっている。なお、第1凸部30e1と第1凹部30e2の間を繋ぐ部分は、その左右両側が内側から外側に向かって下方に傾斜して伸びる上側リブ部30e5となっている。
【0016】
図3に示すように、収納ケース30は、収納ケース30の右側の片側略半分を構成する排気側カバー(カバー部材)34と収納ケース30の左側の片側略半分を構成する吸気側カバー(カバー部材)36を備える。収納ケース30は、排気側カバー(カバー部材)34と吸気側カバー(カバー部材)36との間に、投影装置10を含む様々な部材を収納する。排気側カバー34及び吸気側カバー36は、軽量な合成樹脂製とされ、両者の間はビス止め等により接合される。収納ケース30の内部には、端子台42、取付板44、投影装置10、ベース板金52、制御基板54、リモコン基板55、シールド板金56、ACアダプタ58等が収納される。このうち投影装置10は、排気側カバー34の内側に配置される。
【0017】
図4に、収納ケース30に収納される投影装置10の一例を示す。図4に示すように、投影装置10は、左右方向を長手方向とする略長矩形箱状に6面(上面20a、下面20b、左側面20c、右側面20d、前面20e、後面20f)を有する筐体20を備える。投影装置10は、前面20e側に投影口20gを有する。投影装置10は、投影口20gから投影光を出射する。なお、以下の投影装置10の説明では、投影装置10における左右とは投影口20gからの投影方向に対しての左右方向を示し、前後とは投影装置10の投影光の進行方向に対しての前後方向を示す。筐体20は、上面20aと右側面20dの一部を備える上ケース21と、下面20bと右側面20dの一部を備える下ケース22とを有する。筐体20は、前側に前側パネル23、後側に後側パネル24、左側に左側パネル25を有する。前側パネル23は、筐体20の左前角部20hまで延在し、左前角部20hは角R状とされる。
【0018】
前側パネル23には、投影口20gの投影口開口部23a、第1吸気口23b及び第1排気口23cが設けられている。後側パネル24は、左後角部20iまで延在し、左後角部20iは角R状とされる。後側パネル24には、その略全域に第2吸気口24aが設けられている。左側パネル25は、前側パネル23及び後側パネル24が延在する左前角部20h及び左後角部20iとの間に設けられている。左側パネル25には、第3吸気口25aや、画像入出力用のコネクタ等の接続口25bが設けられている。
【0019】
上ケース21の上面20aには、投影装置10の設定等を行うことができる操作パネル21aが設けられている。また、上ケース21における右側面20dには、後側パネル寄りの部分に電源プラグの接続口21bと第2排気口21cが設けられている。また、下ケース22の下面20bには、天井固定用のネジ孔22bが3箇所に設けられている。以上のように投影装置10では、吸気が行われる吸気口が3箇所(第1吸気口23b,第2吸気口24a,第3吸気口25a)に設けられており、排気が行われる排気口が2箇所(第1排気口23c,第2排気口21c)に設けられている。
【0020】
次に、排気側カバー34の構成、及び収納ケース30に収納される部材のうち排気側カバー34の内側に配置される各部材について説明する。図5(a)に示すように、排気側カバー34は、収納ケース30のうち、右壁部30dを構成する部分、上壁部30aの右側略半分の領域を構成する部分(以下、「排気側上壁34a」という。)、下壁部30bの右側略半分の領域を構成する部分(以下、「排気側下壁34b」という。)、前壁部30eの右側略半分の領域を構成する部分(以下、「排気側前壁34e」という。)、及び後壁部30fの右側略半分の領域を構成する部分(以下、「排気側後壁34f」という。)をそれぞれ含む。また、排気側前壁34eの下側部分には、ケース開口部32のうち投影開口部32cの一部及び排気側開口部32bを構成する切欠き(以下、「排気側切欠き34g」という。)が形成されている。
【0021】
排気側カバー34の内側には、端子台42、取付板44、投影装置10、電源ケーブルPC、及び映像/音声伝送ケーブルHCが配置される。排気側カバー34の内側には、右壁部30dの内面から立ち上がるとともに排気側カバー34の内側の空間を仕切る第1仕切壁34h及び第2仕切壁34iが設けられている。第1仕切壁34hは、排気側上壁34aの内面から下方に伸びており、途中で前方に屈曲して排気側下壁34bの前側部分に繋がっている。第2仕切壁34iは、第1仕切壁34hよりも前側で排気側上壁34aの内面から下方に伸びて略L字状に屈曲して排気側前壁34eの上側部分に繋がっている。
【0022】
第1仕切壁34h及び第2仕切壁34iにより排気側カバー34の内側は、第1仕切壁34h、排気側後壁34f、排気側上壁34aの一部、及び排気側下壁34bによって囲まれる空間(以下、「後部空間(第1空間)34S1」という。)、第1仕切壁34h、排気側前壁34eの一部、及び第2仕切壁34iによって囲まれ、排気側切欠き34gを含む空間(以下、「前部空間(第2空間)34S2」という。)、第2仕切壁34i、排気側上壁34aの一部、及び排気側前壁34eの一部によって囲まれた空間(以下、「上部空間(第3隔離空間)34S3」という。)と、に区画される。後部空間34S1は、上述した吸気空間S1の一部を構成し、前部空間34S2は、上述した排気空間S2の一部を構成する。
【0023】
排気側上壁34aの内面から下方に伸びる第1仕切壁34hは、右壁部30dから立ち上がる立ち上がり高さが途中で低くなっている。具体的には、第1仕切壁34hのうち、前後方向において上部空間34S3と重なる部分が第1の高さを有する高壁部(第1壁部)34h1となっており、高壁部34h1より下側の部分が高壁部34h1より立ち上がり高さが低い第2の高さを有する低壁部(第2壁部)34h2となっている。高壁部34h1と低壁部34h2との立ち上がり高さは、収納ケース30に収納される投影装置10の厚みと略等しくされている。また、第2仕切壁34iの立ち上がり高さは、第1仕切壁34hにおける高壁部34h1の立ち上がり高さ、即ち第1の高さと等しくされている。
【0024】
端子台42は、上部空間34S3に収まる大きさの略箱状をなしており、投影システム1における電気系統の中継機器として上部空間34S3内に収納される。端子台42の一方の端子には電源ケーブルPCの信号線(入出力線材)等が接続されており、排気側上壁34aに設けられた第1ケーブル孔部H1にグロメットGMを介して挿通され、排気側上壁34aの上方から収納ケース30の外側へと引き出されるようになっている。電源ケーブルPCの先端のプラグは100Vコンセントに接続される。また、端子台42は、後述する第1接続ケーブル(入出力線材)58aと電気的に接続される。
【0025】
取付板44は、排気側カバー34の内側に投影装置10を取付固定するための部材であり、投影装置10に取り付けられた状態で投影装置10とともに排気側カバー34の内側に取り付けられる。取付板44は、板金部材であり、略三角形状の板状部44aと、板状部44aから略垂直に伸びる2つの脚部44bとを有する。略三角形状をなす板状部44aの3つの角部の近傍には、それぞれネジ孔44a1が設けられている。各ネジ孔44a1は、収納ケース30に収納される投影装置10の下面20bに設けられた天井固定用のネジ孔22bに対応する配置とされている。また、各脚部44bの先端部はL字状に折り曲げられており、その折り曲げられた板面上に取付板44を取り付けるための取付孔44b1が設けられている。また、各脚部44bの長さは、第1仕切壁34hにおける低壁部34h2の立ち上がり高さと略等しくなっている。
【0026】
ここで、右壁部30dには、上述した第1ネジ軸81及び第2ネジ軸82が露出する部分と対応する位置に、取付板44を排気側カバー34の内側に取り付けるための取付孔30d1がそれぞれ設けられている。取付板44は、各脚部44bに設けられた取付孔44b1を右壁部30dに設けられた取付孔30d1に重ね合わせ、右壁部30dの外面側から第1ネジ軸81及び第2ネジ軸82によってネジ止めすることにより、排気側カバー34の前部空間34S2内に取り付けられて固定される。右壁部30dに取り付けられた取付板44の板状部44aは、その板面が第1仕切壁34hにおける低壁部34h2の立ち上がり先端部34h2a(図9参照)と略同一平面上に位置する。
【0027】
投影装置10は、図5(a)に示すように、右側面20dを上側にして、前面20eの投影口20gを前方に向けた縦置きの状態で予め取付板44に取り付けられ、取付板44を介して排気側カバー34の内側に取り付けられる。投影装置10は、この状態で、下面20bに設けられた天井固定用のネジ孔22bに取付板44の板状部44aに設けられたネジ孔44a1を重ね合わせ、取付板44側からネジ止めすることにより、取付板44に取り付けられる(図8参照)。このため、投影装置10から出射される投影光の光軸LC(図13(a)参照)は取付板44の板状部44aの面に沿ったものとなり、第1ネジ軸81及び第2ネジ軸82の軸方向が投影装置10から出射される投影光の光軸LCと直交する形となる。
【0028】
投影装置10が取り付けられた取付板44を右壁部30dに取り付けることにより、投影装置10は、その下面20bを右壁部30d側(上面20aを吸気側カバー36側)、その右側面20dを排気側上壁34a側(左側面20cを排気側下壁34b側)、その前面20eを排気側前壁34e側(後面20fを排気側後壁34f側)に向けた姿勢で、排気側カバー34の内側の後部空間34S1と前部空間34S2とに跨る形で配置される。この姿勢では、投影装置10の投影口(投影部)20gは、排気側前壁34eの排気側切欠き34gから前方に露出した状態となる。
【0029】
ここで、排気側前壁34eのうち収納ケース30の第2凸部30e3を構成する部分の下端は、収納ケース30の第1凹部30e2との間の段差を繋ぐために前部空間34S2側に向かって略直角に屈曲している(以下、この屈曲した壁の部分を「当接壁34e1」という。)。取付板44を介して右壁部30dに取り付けられた投影装置10は、上述した姿勢で、その下面20bが第1仕切壁34hにおける低壁部34h2の立ち上がり先端部34h2aと取付板44を介して間接的に当接し、その右側面20dが第1仕切壁34hにおける高壁部34h1の下端及び第2仕切壁34iの下面全域と当接し、その前面20eが当接壁34e1と当接した形で、排気側カバー34の内側に配置される(図5(b)参照)。ここで、上述した「間接的に当接」とは、低壁部34h2の立ち上がり先端部34h2aと投影装置10との間に他の部材が配置され、投影装置10が当該他の部材を介して立ち上がり先端部34h2aと近接することをいう。なお、投影装置10が低壁部34h2の立ち上がり先端部34h2aと直接的に当接する構成であってもよい。
【0030】
図5(b)に示すように、投影装置10が上記のように排気側カバー34の内側に配置されることにより、前部空間34S2が投影装置10により覆われ、前部空間34S2を含む排気空間S2が形成される。そして、投影装置10の第1排気口23cが第2凸部30e3の内側において、第2排気口21cが排気側上壁34aの内側において、それぞれ投影装置10の各吸気口23b,24a,25aから分離された形で排気空間S2内に露出する。また、右壁部30dと投影装置10との間に前部空間34S2が位置した状態となり、排気側カバー34の前方に排気側切欠き34gと投影装置10の筐体20によって囲まれる排気側開口部32bが形成される。
【0031】
排気側カバー34の前方に形成される排気側開口部32bは、排気空間S2と連通する。そして、図5(b)及び図8に示すように、右壁部30dと投影装置10の間には、第1排気口23cから排気空間S2を経由して排気側開口部32bに至る流路と、第2排気口21cから排気空間S2を経由して排気側開口部32bに至る流路と、が形成される。即ち、排気空間S2は、投影装置10からの排気が流れる流路とされる。より具体的には、投影装置10の第1排気口23cと第2排気口21cそれぞれから排出される空気が、排気空間S2を経由して排気側開口部32bに至り、排気側カバー34(収納ケース30)の外側へと流れていく。
【0032】
一方、投影装置10が上記のように排気側カバー34の内側に配置されることにより、右壁部30dと投影装置10の後面20f寄りの部分との間に後部空間34S1が位置した状態となる。投影装置10の接続口25bに接続された映像/音声伝送ケーブルHCは、後部空間34S1内に通されて排気側上壁34aに設けられた第2ケーブル孔部(画像入力孔部)H2にグロメットGMを介して挿通され、排気側上壁34aの上方から収納ケース30の外側へと引き出されるようになっている。
【0033】
次に、吸気側カバー36の構成、及び収納ケース30に収納される部材のうち吸気側カバー36の内側に配置される各部材について説明する。図6(a)に示すように、吸気側カバー36は、略半円筒状をなしており、収納ケース30のうち、上壁部30aの左側略半分の領域を構成する部分(以下、「吸気側上壁36a」という。)、下壁部30bの左側略半分の領域を構成する部分(以下、「吸気側下壁36b」という。)、及び左壁部30cと前壁部30eの左側略半分の領域と後壁部30fの左側略半分の領域を構成する部分(以下、「吸気側側壁36c」という。)をそれぞれ含む。また、吸気側側壁36cの前方下側部分には、ケース開口部32のうち投影開口部32cの一部及び吸気側開口部32aを構成する切欠き(以下、「吸気側切欠き36g」という。)が形成されている。なお、吸気側側壁36cは、その前方部分に収納ケース30の第1凸部30e1となる部分を有している。
【0034】
吸気側カバー36の内側は仕切りが無い空間となっており、その空間内にベース板金52、制御基板54、リモコン基板55、シールド板金56、及びACアダプタ(付属部材)58が配置される。ベース板金52は、板状の板金部材であり、制御基板54及びリモコン基板55を吸気側カバー36に取り付けるための部材である。ベース板金52の板面は、排気側カバー34に取り付けられた投影装置10の上面20a等にビス止め等により支持される。シールド板金56は、板状の板金部材であり、制御基板54をシールドするための部材である。またシールド板金56は、リモコン基板55の少なくとも一部をシールドしてもよい。
【0035】
制御基板54は、収納ケース30に収納される投影装置10、リモコン基板55、及び吸排気用ファン70を制御するための基板である。制御基板54はリモコン基板55とコネクタCNを介して電気的に接続されている。また、制御基板54からは、後述する吸排気用ファン70の吸気ファンF1及び排気ファンF2をそれぞれ駆動するための2本の配線54aと、後述するACアダプタ58の第2接続ケーブル58bと接続される電源ケーブル54bとがそれぞれ伸びている。リモコン基板55は、図示しないリモコンのボタン操作に応じて送信される赤外線信号を受信するためのリモコン受光部(赤外線IRダイオード等)を有し、リモコン受光部が受光した信号をコネクタCNを介して制御基板54に送るための基板である。そして制御基板54は、リモコン基板55から送信された信号を図示しない配線等により投影装置10に送ることで投影装置10を制御する。これにより、収納ケース30の内側に配置された投影装置10に対して、容易にリモコンからの信号を受信させることができる。また、リモコン基板55には、投影装置10の操作パネル21aに配置されたMENUキーを押したときの動作と、同じ動作をさせるボタン部品を配置してもよい。このとき、リモコン基板55に配置されたボタン部品が押された際、操作パネル21aのMENUボタンが押されたときと同じ制御信号が送れるように、リモコン基板55または制御基板54の回路を構成する。リモコン基板55に配置されるボタン部品はMENUボタンに限定されず、ボタン部品を複数配置してもよい。これにより、収納ケース30の内側に配置された投影装置10に対して、容易にボタン操作を行うことができる。制御基板54及びリモコン基板55は、ベース板金52の板面上に取り付けられて、その上からシールド板金56がベース板金52に取り付けられることにより、シールド板金56によって囲まれ、外部からシールドされる。
【0036】
ACアダプタ58からは、第1接続ケーブル58a(AC入力)と第2接続ケーブル58b(DC出力)とがそれぞれ伸びている、ACアダプタ58は、第1接続ケーブル58aを端子台42の他方の端子と電気的に接続することで交流電圧が入力され、第2接続ケーブル58bにはACアダプタ58からのDC出力を制御基板54及び投影装置10に供給する。これにより収納ケース30に収納される投影装置10、制御基板54、リモコン基板55、吸排気用ファン70には、それぞれの装置等を動作させる動作電圧が供給される。ベース板金52、制御基板54、リモコン基板55、シールド板金56、及びACアダプタ58は、ベース板金52が投影装置10等に支持されるとともに各種ケーブル類が投影装置10や端子台42に接続された状態で、吸気側カバー36の内側に配置される(図6(b)、図7参照)。
【0037】
図7に示すように、収納ケース30に各部材が収納された状態で排気側カバー34に吸気側カバー36が接合されることにより、左壁部30cと投影装置10との間の空間が後部空間34S1と連通して吸気空間S1が形成され、吸気側カバー36の前方に吸気側切欠き36gと投影装置10の筐体20によって囲まれる吸気側開口部32aが形成される。吸気側カバー36の前方に形成される吸気側開口部32aは、吸気空間S1と連通する。
【0038】
そして、投影装置10の第1吸気口23bが第1凸部30e1の内側において、第2吸気口24aが後壁部30fの内側において、及び第3吸気口25aが下壁部30bの内側において、それぞれ投影装置10の各排気口23c,21cから分離された形で吸気空間S1内に露出する。なお、第1凸部30e1の内側の空間は、吸気空間S1側にのみ連通しており、その他の部分は第1凸部30e1の内側から伸びる壁が投影装置10と当接することにより塞がれている(図7及び図8参照)。
【0039】
これにより、左壁部30cと投影装置10との間には、吸気側開口部32aから吸気空間S1を経由して第1吸気口23bに至る流路と、吸気側開口部32aから吸気空間S1を経由して第2吸気口24aに至る流路と、吸気側開口部32aから吸気空間S1を経由して第3吸気口25aに至る流路と、が形成される。即ち、吸気空間S1は、投影装置10への吸気が流れる流路とされる。図9に示すように、排気側カバー34に吸気側カバー36が接合されることにより、吸気空間S1と排気空間S2は、投影装置10を介して互いに分離される。より具体的には、収納ケース30の外側から吸気側開口部32aに向かって流れる空気が、吸気側開口部32aから吸気空間S1を経由して、投影装置10の第1吸気口23b、第2吸気口24a、及び第3吸気口25aそれぞれに到達する。
【0040】
また、排気側カバー34に吸気側カバー36が接合されることにより、吸気側開口部32aと排気側開口部32bが接合され、ケース開口部32が形成される。そして、吸気側開口部32aと排気側開口部32bの間であって前壁部30eの第1凸部30e1の下側には、投影装置10の投影口20gが露出する投影開口部32cが形成される。なお、上述した制御基板54から伸びる2本の配線54aは、吸気側開口部32aから収納ケース30の外部へと引き出された状態とされる(図7参照)。
【0041】
次に、支持フレーム60のうち給排気用ファン70を除いた各部材の構成について説明する。支持フレーム60は、収納ケース30を支持した状態で天井Cに設けられた円形状の開口CO(図13及び図14参照)に取り付けられる略円環状の部材である。支持フレーム60は、収納ケース30を支持するために強固な金属製の部材とされる。図10(a)に示すように、支持フレーム60は、略円環状の部材であり、環状部62と、2つのストッパ部材63と、支持板部64と、リンク部材66と、蝶ネジ67と、前側カバー部68と、後側カバー部69と、を有する。なお、以下の支持フレーム60の説明では、図10(a)(b)における右下方向を支持フレーム60及び支持フレーム60を構成する各部材の前側とし、その反対側を後側とし、図10(a)(b)における左下方向を支持フレーム60及び支持フレーム60を構成する各部材の右側とし、その反対側を左側として説明する。
【0042】
環状部62は、環状枠部62aと、環状枠部62aの下端から鍔状にせり出す環状の鍔部62bと、環状枠部62aの中心を挟んで対向する環状枠部62a上の2箇所からそれぞれ立ち上がる立ち上がり部62cと、を有する。環状部62の鍔部62bは、取り付け対象となる天井Cの開口COより一回り大きな大きさとなっている。環状枠部62aは、取り付け対象となる天井Cの開口CO(図13参照)に対応した大きさの環状枠部材である。環状枠部62aの前方中央部と後方中央部には、後述する吸排気用ファン70を取り付けるためのファン取付ネジ孔62a1とファン取付孔62a2がそれぞれ設けられている。各立ち上がり部62cは、板面を環状枠部62aの中心側に向けた形で環状枠部62aから板状に立ち上がっており、その板面上に上下方向に縦長矩形状に開口する孔部62c1が設けられている。各立ち上がり部62cの立ち上がり先端部には、上下方向に開口し、前後方向に並んだ2つのネジ孔が設けられた下側取付部62c2が設けられている。
【0043】
各ストッパ部材63は、環状部62の各立ち上がり部62cに設けられた孔部62c1にそれぞれ取り付けられる。各ストッパ部材63は、略V字状に屈曲された板バネ部材であり、屈曲部分が立ち上がり部62cの外側に突出した姿勢で立ち上がり部62cの孔部62c1に係合される。各ストッパ部材63の外面は、上方から下方にかけて外側に傾斜する傾斜面となっており、環状部62の環状枠部62aよりも外側に突出している。各孔部62c1の内側には図示しない微細な凹凸が上下に沿って形成されている。これにより、孔部62c1に係合されたストッパ部材63は、屈曲部分を内側に押した状態で孔部62c1に沿って上下方向に段階的にスライドさせることができ、スライド後に屈曲部分を外側に弾性復帰させることにより孔部62c1上の適当なスライド位置で固定できるようになっている。
【0044】
支持板部64は、湾曲壁部64aと、湾曲壁部64aの両端側にそれぞれ設けられた上側取付部64bと、湾曲壁部64aの一端側に設けられた調整板部64cと、を有する。湾曲壁部64aは、上下方向に沿って立ち上がるとともに環状枠部62aに沿って円弧状に湾曲する壁状をなしており、その左右両端部が屈曲して後方に伸びている。湾曲壁部64aの前方中央上部には、前側カバー部68を取り付けるためのカバー取付孔64a1が設けられている。湾曲壁部64aは、その下端が環状枠部62aに接続される。各上側取付部64bは、環状枠部62aの両端部から後方に伸びる部分に環状部62の各下側取付部62c2と対応する形でそれぞれ設けられており、上下方向に開口し、前後方向に並んだ2つのネジ孔を有する。
【0045】
調整板部64cは、湾曲壁部64aの一端側から湾曲壁部64aと連続する形で板状に立ち上がっており、その板面が左右方向に向けられ、略三角形状をなしている。支持フレーム60を構成する各部材が組付けられた状態では、調整板部64cの立ち上がり方向は、環状部62の立ち上がり部62cの立ち上がり方向と略平行となる。調整板部64cの板面には、その下側にスリット状に開口する調整板側第1スリット64c1が設けられ、その上側にスリット状に開口する調整板側第2スリット64c2が設けられている。調整板側第1スリット64c1は、下方に向かって緩やかに凸となる略円弧状に形成されている。調整板側第1スリット64c1には、収納ケース30の右壁部30dの外面から露出する第1ネジ軸81が調整板側第1スリット64c1内を移動可能な形で係合される。
【0046】
一方、調整板側第2スリット64c2は、上方に向かって緩やかに凸となる略円弧状に形成されている。調整板側第2スリット64c2には、収納ケース30の右壁部30dの外面から露出する第2ネジ軸82が調整板側第2スリット64c2内を移動可能な形で係合される。そして、第2ネジ軸82の頭部と調整板部64cとの間に図示しないワッシャを噛ませることにより、第2ネジ軸82から調整板部64cが外れないようになっている。また、調整板部64cの板面における調整板側第1スリット64c1と調整板側第2スリット64c2の間には、調整板部64cの板面上から外側に向かって軸状に短く突出する支点軸64c3が設けられている。
【0047】
リンク部材66は、細長く伸びる平板状の部材であり、その一端がわずかに折れ曲がった略フック状となっている。リンク部材66の板面には、一端にスリット状に開口するリンク側第1スリット66aが設けられており、他端にスリット状に開口するリンク側第2スリット66bが設けられている。リンク側第1スリット66aには、調整板側第1スリット64c1を介して第1ネジ軸81がリンク側第1スリット66a内を移動可能な形で係合される。そして、第1ネジ軸81の頭部とリンク部材66との間に図示しないワッシャを噛ませることにより、第1ネジ軸81からリンク部材66及び調整板部64cが外れないようになっている。一方、リンク側第2スリット66bには、その外側から蝶ネジ67が挿通される。
【0048】
また、リンク部材66の板面におけるリンク側第1スリット66aとリンク側第2スリット66bの間には、調整板部64cの支点軸64c3が挿通される支点孔66cが設けられている。支点孔66cに支点軸64c3が挿通されることにより、リンク部材66は、調整板部64cの板面上で支点軸64c3の軸周りに回動可能に軸支される。そして、リンク側第2スリット66bに挿通された蝶ネジ67が締め付けられることにより、リンク側第2スリット66bにおいてリンク部材66が調整板部64cに固定され、リンク部材66の回動が規制されるようになっている。
【0049】
前側カバー部68は、略半円筒状をなし、環状部62及び支持板部64の前方側を覆う部材とされる。前側カバー部68の内面の前方中央上部には凸部(不図示)が設けられており、この凸部が支持板部64の湾曲壁部64aに設けられたカバー取付孔64a1に係合されることにより、前側カバー部68が支持板部64に取り付けられる。後側カバー部69は、略半円筒状をなし、環状部62及び支持板部64の後方側を覆う部材とされる。前側カバー部68と後側カバー部69の間はビス等により接合され、両者が接合されることにより、半円筒状のカバー部材とされる。
【0050】
後側カバー部69の両端側(左右両側)には、下方に開口する形で細長矩形状に切り欠かれたカバー側第1切欠き69aがそれぞれ設けられている。各カバー側第1切欠き69aは、各立ち上がり部62cに設けられた孔部62c1に対応する形で切り欠かれており、後側カバー部69によって孔部62c1周りが覆われる際に、孔部62c1に係合されるストッパ部材63と干渉しないようになっている。また、後側カバー部69の後方側には、上部に開口する形で略円弧状に切り欠かれたカバー側第2切欠き69bが設けられている。さらに、後側カバー部69の両端側のうち支持板部64の調整板部64cが設けられた側とは反対側を覆う端部側には、その上面に枕状の突起である枕部69cが設けられている。
【0051】
図10(b)に示すように、支持フレーム60を構成する各部材が組付けられた状態では、環状部62の鍔部62b、両ストッパ部材63、及び調整板部64cの支点軸64c3より上側の部分、が前側カバー部68及び後側カバー部69から露出し、その他の部分は前側カバー部68及び後側カバー部69により覆われる。そして、支持フレーム60の上部には、上方に開口するとともに支持フレーム60の内側を臨むフレーム側開口(開口)60aが形成される。
【0052】
次に、支持フレーム60による収納ケース30の支持態様について説明する。支持フレーム60に収納ケース30を取り付ける際には、収納ケース30を支持フレーム60のフレーム側開口60a内に嵌め込み、右壁部30dの外面から露出する第1ネジ軸81を調整板部64cの調整板側第1スリット64c1に係合させ、さらに第2ネジ軸82を調整板部64cの調整板側第2スリット64c2に係合させる。これにより、収納ケース30が支持フレーム60に支持される。即ち、図11に示すように、収納ケース30は、その右側(排気側カバー34側)のみが支持フレーム60に支持される。換言すれば、支持フレーム60は、調整板部64cのみで収納ケース30を支持する。なお、図11では、前側カバー部68のみを透過図で示している。
【0053】
図11では、収納ケース30が支持フレーム60に対して垂直な姿勢で支持された状態を示している。この状態では、投影装置10の投影口20gが前方に向けられており、投影口20gの略半分の領域が支持フレーム60から前方へ露出する。上記のような態様で支持フレーム60に支持された収納ケース30は、図11に示す状態から、第1ネジ軸81を調整板側第1スリット64c1内で移動させることにより、又は第2ネジ軸82を調整板側第2スリット64c2内で移動させることにより、収納ケース30を支持フレーム60に対して前方側に傾けることができる(図1等参照)。即ち、上述したように、第1ネジ軸81及び第2ネジ軸82の軸方向が投影装置10から出射される投影光の光軸LCと直交することから、支持フレーム60は、収納ケース30を投影光の光軸LCと直交する軸周りに回動可能に軸支している。
【0054】
収納ケース30を支持フレーム60に対して前方側に傾けることにより、投影口20gが斜め下方に向けられた状態とされ、支持フレーム60の内側から斜め下方に向けて投影を行うことができる。そして、第1ネジ軸81又は第2ネジ軸82を適宜移動させることにより、投影口20gの向き、即ち投影角度を調整することができる。なお、収納ケース30を支持フレーム60に対して傾ける際には、左壁部30cの下側部分が支持フレーム60の枕部69cの表面に摺接又は近接しながら収納ケース30が傾くようになっている。このため、収納ケース30を傾ける際に収納ケース30が左側へ傾倒することを防止ないし抑制することができる。
【0055】
次に、支持フレーム60が有する吸排気用ファン70の構成について説明する。吸排気用ファン70は、支持フレーム60に支持された収納ケース30を天井材Cに設けられた開口COの内側に設置した後に、支持フレーム60内側に取り付けられる。図12に示すように、吸排気用ファン70は、支持フレーム60の内側に収まる大きさとされた円形状の部材であり、円形皿部72と、隆起部73と、一対の傾斜壁74と、一対のファン側リブ76と、を有し、円形皿部72上に吸気ファン(第1送風部)F1と排気ファン(第2送風部)F2とがそれぞれ設置された構成とされる。なお、以下の給排気用ファン70の説明では、図12における右下方向を給排気用ファン70の前側とし、その反対側を後側として説明する。
【0056】
円形皿部72は、円形の平坦な浅皿形状の部材である。円形皿部72の中央部には、縦長に大きく開口するファン開口部72cが設けられている。ファン開口部72cの両側には、吸気ファンF1が設置される吸気ファン設置部72aと、排気ファンF2が設置される排気ファン設置部72bと、がそれぞれ設けられている。また、吸気ファン設置部72aは、円形皿部72の下側(吸気ファンF1が設置される面とは反対側の面、換言すると円形皿部72の底面)から吸気ファンF1に向かって空気を流すための図示しない開口部を有し、吸気ファンF1は当該開口部の上側に設置される。同様に、排気ファン設置部72bは、排気ファンF2から円形皿部72の下側に向かって空気を流すための図示しない開口部を有し、排気ファンF2は当該開口部の上側に配置される。また、円形皿部72の縁部の浅く立ち上がる部分には、前方側の一部に支持フレーム60と係合される係合片72dが設けられている。
【0057】
吸気ファンF1及び排気ファンF2は、いずれも円形状のファンを有する平面視矩形状の箱型部材である。また、吸気ファン設置部72a及び排気ファン設置部72bは、いずれも吸気ファンF1及び排気ファンF2の形状及び大きさに対応した矩形状となっている。吸気ファンF1及び排気ファンF2には、制御基板54から伸びる各配線54aが引き回されて接続され、これにより、吸気ファンF1及び排気ファンF2に駆動電源が供給される。吸気ファン設置部72aに設置された吸気ファンF1は、外部(円形皿部72の下側、円形皿部72の底面)からの空気を収納ケース30の吸気側開口部32aへ送風するためのファンとして機能し、排気ファン設置部72bに設置された排気ファンF2は、収納ケース30の排気側開口部32bから排出される空気を外部(円形皿部72の下側、円形皿部72の底面)へ送風するためのファンとして機能する。なお、吸気ファンF1及び排気ファンF2はいずれも軸流ファンであり、図12ではプロペラの図示を省略している。また、ファンは軸流ファンに限定されず、他のタイプのDCファンでもよい。
【0058】
隆起部73は、円形皿部72の後側に設けられて上方に隆起した部分であり、その上面の後側に支持フレーム60にネジ止めされるネジが挿通されるファン側ネジ孔73aが設けられている。一対の傾斜壁74は、ファン開口部72cと吸気ファン設置部72aの間、及びファン開口部72cと排気ファン設置部72bの間を仕切る形で、円形皿部72の皿面上からそれぞれ立ち上がる壁である。従って、吸気ファンF1と排気ファンF2の間は、一対の傾斜壁74により分離される。各傾斜壁74は、その立ち上がり先端部が後側から前側に向かって下方に傾斜している。一対のファン側リブ76は、隆起部73と吸気ファン設置部72aの間、及び隆起部73と排気ファン設置部72bの間を仕切る形で、円形皿部72の皿面上からそれぞれ立ち上がる壁である。各ファン側リブ76は、その立ち上がり先端部が前方側に向かって緩やかに湾曲する形状となっている。
【0059】
次に、収納ケース30を天井材Cに設けられた略円形状の開口COの内側に設置するための設置方法について説明する。まず、収納ケース30の設置に先立って、収納ケース30内に収納される投影装置10を含む各部材を、収納ケース30内に設けられた空間S内に投影装置10を覆うように収納する。このとき、投影開口部32cから投影口20gを臨むように投影装置10を空間S内に収納する。そして、各部材が収納された収納ケース30を垂直な姿勢で支持フレーム60により支持する。次に、支持フレーム60においてストッパ部材63の下端と鍔部62bとの間の距離D1(図13(a)及び図14(a)参照)が、設置対象となる天井材Cの開口COの開口縁の厚みD2と略等しくなるように、各ストッパ部材63を孔部62c1内の適切な位置にスライドさせて調整する。
【0060】
次に、図13(a)及び図14(a)に示すように、設置対象となる天井材Cの開口COに対して、その下側から支持フレーム60に支持された垂直な姿勢の収納ケース30を嵌め込む形で取り付ける。なお、収納ケース30は、垂直な姿勢で、環状部62の内側に収まるような大きさとされている。このとき、各ストッパ部材63の外面が開口COの開口端(開口周り)により押圧され、内側に弾性変形する。このため、各ストッパ部材63を含む支持フレーム60を鍔部62bの上面が開口COの開口端と当接するまで嵌め込むことができる。そして、鍔部62bの上面が開口COの開口端に当接すると、各ストッパ部材63の外面が押圧力から解放されて弾性復帰し、各ストッパ部材63と鍔部62bとの間に開口COの開口端が挟み込まれた形となる(図13(b)及び図14(b)に示す状態)。これにより、支持フレーム60に支持された収納ケース30が天井Cの開口COの内側に設置される。
【0061】
ここで、支持フレーム60に支持された収納ケース30を動かして、第1ネジ軸81を調整板側第1スリット64c1内で移動させることにより、又は第2ネジ軸82を調整板側第2スリット64c2内で移動させることにより、収納ケース30を傾かせることができる。即ち、収納ケース30は、吸気側開口部32a、排気側開口部32b、及び投影開口部32cを天井材Cの開口CO側に向けることが可能な形で支持フレーム60に支持される。なお、開口COの内側に設置された垂直姿勢の収納ケース30は、支持フレーム60の環状部62の内側下方から手動等により傾かせることができる。
【0062】
次に、収納ケース30の投影開口部32cから投影される投影光の投影角度の調整方法について説明する。上述したように、収納ケース30を動かして第1ネジ軸81又は第2ネジ軸82を移動させることにより、収納ケース30を傾かせることができ、投影光の投影角度を調整することができる。例えば、図15(a)に示すように、第1ネジ軸81を調整板側第1スリット64c1内の一端から他端まで移動させることにより、収納ケース30を垂直な姿勢から所定の角度(以下、「第1の投影角度」(θ1)という。)傾けた状態とすることができる。これにより、垂直な姿勢(図13(a)及び図14(a)参照)から第1の投影角度に傾けられた投影開口部32cから投影される投影光L1を、壁Wに向かって投影させることができる。
【0063】
そして、図15(b)に示すように、収納ケース30が第1の投影角度まで傾けられた状態から、さらに第2ネジ軸82を調整板側第2スリット64c2内の一端から他端まで移動させることにより、収納ケース30を垂直な姿勢から第1の投影角度θ1よりも傾いた投影角度(以下、「第2の投影角度」(θ2)という。)の状態とすることができる。これにより、第1の投影角度と比べて投影開口部32cからより下方側へ投影される投影光L2を、壁Wに向かって投影させることができる。なお、収納ケース30から投影される投影光の投影角度は、第1の投影角度θ1及び第2の投影角度θ2に限定されるものではなく、第1の投影角度から第2の投影角度の間で適宜調整することができる。また、第1の投影角度θ1は例えば45°であり、第2の投影角度θ2は例えば60°である。
【0064】
次に、吸排気用ファン70の支持フレーム60への取付方法について説明する。吸排気用ファン70は、支持フレーム60に支持された収納ケース30を天井材Cの開口COの内側に設置した後に、ケース開口部32と繋がる形で支持フレーム60に取り付けられる。ここで、後述するように、支持フレーム60に支持された収納ケース30が垂直な姿勢である場合(詳しくは、第1の投影角度より小さな角度である場合)、支持フレーム60に取り付けられる吸排気用ファン70が収納ケース30の一部と干渉し、吸排気用ファン70を支持フレーム60に取り付けることができない。そこで、図15(a)及び(b)に示すように、支持フレーム60に支持された収納ケース30を天井材Cの開口COの内側に設置した後、吸排気用ファン70を支持フレーム60に取り付ける前に収納ケース30を第1の投影角度θ1以上に傾ける。
【0065】
吸排気用ファン70は、天井材Cの開口COの下方から支持フレーム60の内側に嵌め込む形で支持フレーム60に取り付けることができる(図15(a)参照)。具体的には、吸排気用ファン70の係合片72dを支持フレーム60のファン取付孔62a2に係合させ、吸排気用ファン70のファン側ネジ孔73aを支持フレーム60のファン取付ネジ孔62a1と重ね合わせる。そして、ファン側ネジ孔73aの外側(下側)からネジ止めすることにより、吸排気用ファン70を支持フレーム60に取り付けて固定することができる。なお、吸排気用ファン70の支持フレーム60への取り付けに先立って、収納ケース30内の制御基板54から伸びる2本の配線54aを予め吸気ファンF1及び排気ファンF2にそれぞれ接続しておく。
【0066】
次に、図16(a)及び(b)を参照して、投影システム1における収納ケース30、支持フレーム60、及び吸排気用ファン70の組付け態様について説明する。吸排気用ファン70を支持フレーム60に取り付けることにより、吸気ファンF1の送風経路が吸気側開口部32aと連通し(図16(a)参照)、排気ファンF2の送風経路が排気側開口部32bと連通する(図16(b)参照)。
【0067】
ここで、収納ケース30が第1の投影角度θ1以上の角度に傾けられることにより、吸排気用ファン70の一対の傾斜壁74の間に、投影装置10の筐体20の左前角部20h近傍の部位が入り込み、一対の傾斜壁74の間に投影装置10の筐体20の一部が挟み込まれた状態となる。これにより、吸気ファンF1の上部の空間と排気ファンF2の上部の空間との間が、一対の傾斜壁74及び投影装置10の筐体20の一部により分離されるため、吸気側開口部32aから投影装置10の第1吸気口23b、第2吸気口24a及び第3吸気口25aそれぞれに向かう空気と、投影装置10の第1排気口23cと第2排気口21cから排気され排気側開口部32bへ向かう空気が混ざり合うことが防止ないし抑制される。さらに、吸排気用ファン70のファン開口部72cから吸気空間S1内及び排気空間S2内に外気が入り込むことが防止ないし抑制される。
【0068】
このため、吸気ファンF1を通じて天井材Cの開口COの外側(図15(a)の天井材Cと壁材Wで囲まれた内側の空間(室内等))から収納ケース30内の投影装置10が有する第1吸気口23b、第2吸気口24a及び第3吸気口25aそれぞれに向かって効果的に空気を取り込むことができる。また、収納ケース30内の投影装置10が有する第1排気口23cと第2排気口21cが排出する空気を、排気ファンF2を通じて天井材Cの開口COから外側へ向けて、効果的に排気を行うことができる。なお、収納ケース30が第1の投影角度θ1以上の角度に傾けられて一対の傾斜壁74の間に投影装置10の筐体20の一部が挟み込まれることにより、投影装置10の投影口20gが吸排気用ファン70のファン開口部72cに面した状態(ファン開口部72cから投影口20gを臨む状態)となる。このため、収納ケース30の投影開口部32cから投影される投影光を吸排気用ファン70によって遮られることなく、壁材W等へ投影させることができる。
【0069】
収納ケース30が垂直な姿勢とされた状態では、支持フレーム60に吸排気用ファン70を取り付けようとしても収納ケース30の下側リブ部30b1が吸排気用ファン70のファン側リブ76と干渉し、吸排気用ファン70を取り付けることができない。そこで、図16(a)及び(b)に示すように、収納ケース30が第1の投影角度θ1まで傾けられることにより、収納ケース30の下側リブ部30b1が支持フレーム60の後側カバー部69の内面に近接し、後側カバー部69のカバー側第2切欠き69bが収納フレームの下壁部30bと近接する。このため、収納ケース30の下壁部30bと支持フレーム60との間の隙間が効果的に遮蔽される。そして、下側リブ部30b1と干渉することなく吸排気用ファン70を支持フレーム60に取り付けることができる。これにより、吸排気用ファン70が支持フレーム60に取り付けられた後(収納ケース30が天井材Cの開口COの内側に設置された後)では、収納ケース30から投影される投影光の投影角度は、第1の投影角度θ1から第2の投影角度θ2の間の角度で設置される。従って、投影光L1または投影光L2は、天井裏(天井材Cの開口COの内側)の空間に投影されることはなく、壁材Wの方向に向かう。これにより、収納ケース30の投影角度の調整忘れや設置ミスを防ぐことが可能になる。換言すると、吸排気用ファン70は、収納ケース30の投影角度の調整忘れや設置ミスを防ぐ設置ミス防止部材としての機能を有している。
【0070】
また、収納ケース30が第1の投影角度θ1まで傾けられた状態では、吸気側カバー36側では収納ケース30の吸気側開口部32aの開口端32a1が吸排気用ファン70の一方のファン側リブ76と近接又は当接し、排気側カバー34側では収納ケース30の上側リブ部30e5の下面が吸排気用ファン70の他方のファン側リブ76と当接又は近接する。このため、収納ケース30の前壁部30eと吸排気用ファンとの間の隙間が効果的に遮蔽される。そして、収納ケース30を第1の投影角度α1からさらに傾ける際には、吸気側カバー36側では吸気側開口部32aの開口端32a1が一方のファン側リブ76に摺接しながら又は近接しながら、排気側カバー34側では上側リブ部30e5の下面が他方のファン側リブ76に摺接しながら又は近接しながら、収納ケース30が傾くようになっている。
【0071】
収納ケース30、支持フレーム60、及び吸排気用ファン70が上記のような組付け態様とされていることにより、天井材Cの開口COの内側に設置された収納ケース30の内部の吸気空間S1及び排気空間S2と、天井材Cの開口COの内側の空間(天井裏の空間)との間の隙間がほぼ遮蔽された状態となる。換言すれば、収納ケース30の内部の吸気空間S1及び排気空間S2が、天井材Cの開口COの内側の空間から隔離される。このため、投影システム1では、収納ケース30が第1の投影角度θ1から第2の投影角度θ2の間で傾けられた状態において、収納ケース30の内部の気密性が保たれるようになっている。これにより、収納ケース30の内部に取り込んだエアを効率的に使って投影装置10を冷却し、投影装置10の運転により発生する暖められたエアを収納ケース30の外部へ効率的に排出することができる。なお、収納ケース30の内部の吸気空間S1及び排気空間S2と天井材Cの開口COの内側の空間との間のわずかな隙間を、例えばスポンジ部材やフィルム状シートで埋めることにより、収納ケース30の内部の気密性を一層高めることができる。
【0072】
以上説明したように実施形態に係る収納ケース30は、内部に投影装置10が収納された状態で天井材Cの開口COの内側に設置することができ、設置された収納ケース30内の投影装置10から壁材W等に向かって投影を行うことができる。そして、天井材Cの開口COの内側に設置された収納ケース30の内部の空間Sは、天井材Cの開口COの内側の空間(天井裏の空間)から隔離されており、気密性が保たれているので、収納ケース30内の投影装置10が天井材Cの開口COの内側の空間の温度環境下に晒されることを防止ないし抑制することができる。このため、取り込んだエアを効率的に使って投影装置10を冷却し、投影装置10の運転により発生する暖められたエアを効率的に排出することにより、投影装置10に動作不良等の不具合が発生することを低減させることができ、天井材Cの開口COの内側に設置された投影装置10から良好な投影を行うことができる。
【0073】
また、収納ケース30では、第1仕切壁34hは排気側カバー34に設けられ、投影装置10が収納された場合に、排気側カバー34及び吸気側カバー36は、吸気空間S1と連通する吸気側開口部32aと、排気空間S2と連通する排気側開口部32bと、を有する。このため、収納ケース30内に収納された投影装置10の換気を効果的に行うことができ、投影装置10が天井材Cの開口COの内側の空間の温度環境下に晒されることを防止ないし抑制しながら、投影装置10の効率的な冷却を実現することができる。
【0074】
また、収納ケース30では、吸気空間S1には投影装置10が備える各吸気口(第1吸気口23b,第2吸気口24a,第3吸気口25a)が存在し、排気口が存在せず、排気空間S2には投影装置10が備える各排気口(第1排気口23c,第2排気口21c)が存在し、吸気口が存在しない。これにより、投影装置10への吸気は全て吸気空間S1を流れ、投影装置10からの排気は全て排気空間S2を流れる。このため、収納ケース30内に収納された投影装置10の換気を一層効果的に行うことができる。
【0075】
また、収納ケース30では、投影装置10が収納された場合に、排気側カバー34及び吸気側カバー36は、吸気側開口部32aと排気側開口部32bの間に、投影装置10が画像を投影する投影口20gを排気側カバー34及び吸気側カバー36から露出させる投影開口部32cを有する。このため、収納ケース30の投影開口部32cから画像の投影を行うことができ、天井Cの開口COの内側に設置された収納ケース30から投影を行うための具体的な構成を提供することができる。
【0076】
また、収納ケース30では、排気側カバー34及び吸気側カバー36は、画像を投影装置10に入力させる映像/音声伝送ケーブルHCを排気側カバー34及び吸気側カバー36の外部から挿通させる第2ケーブル孔部H2を有する。これにより、収納ケース30の内部に映像/音声伝送ケーブルHCを引き回すための具体的な構成を提供することができる。
【0077】
また、収納ケース30では、第1仕切壁34hは、第1の高さを有する高壁部34h1と、第1の高さより低い第2の高さを有する低壁部34h2を備え、投影装置10は、低壁部34h2の立ち上がり先端部34h2aに当接させる。これにより、収納ケース30の内部に投影装置10を収納することにより吸気空間S1と排気空間S2を他の空間から隔離された空間とするための具体的な構成を提供することができる。
【0078】
また、収納ケース30では、排気側カバー34は第2仕切壁34iを有し、第2仕切壁34iは、投影装置10が収納された場合に、吸気空間S1及び排気空間S2から隔離された上部空間34S3を形成する。これにより、収納ケース30の内部に吸気空間S1及び排気空間S2から隔離された上部空間34S3を形成するための具体的な構成を提供することができる。
【0079】
また、上部空間34S3は、投影装置10又は投影装置10に関する付属部材から伸長する電源ケーブルPCの信号線等が配置される。これにより、収納ケース30の内部に各種信号線や端子台42等を収納するための具体的な構成を提供することができる。
【0080】
また、投影システム1は、収納ケース30と、投影装置10と、収納ケース30を支持する支持フレーム60と、を有する。これにより、収納ケース30を天井材Cの開口CO周りに取り付けて画像の投影を行うための投影システムの具体的な構成を提供することができる。
【0081】
また、投影システム1では、支持フレーム60は、フレーム側開口60を形成する環状枠部62aと、吸排気用ファン70と、を有する。このため、吸排気用ファン70によって、吸気側開口部32a及び排気側開口部32bを介して収納ケース30内に収納された投影装置10の換気をフレーム側開口60を通じて効果的に行うことができる。
【0082】
なお、以上説明した実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0083】
例えば、上記の実施形態では、天井材に設けられた略円形状の開口の内側に設置される収納部材の設置構造を例示したが、天井材以外に設けられた開口(例えば壁材に設けられた開口、四角柱状の柱の壁材に設けられた開口等)に対しても本実施形態に係る収納部材の設置構造を適用することができる。また、略円形状以外の形状の開口に対しても本実施形態に係る収納部材の設置構造を適用することができる。この場合、支持フレームの形状や大きさ等を取付対象となる開口に対応したものとすることができる。また、上記の実施形態では、制御基板から吸気ファン及び排気ファンを駆動するための2本の配線が伸びる例を示したが、これに加えて、制御基板からGND配線が伸びる構成であってもよい。
【0084】
以下に、本願出願の最初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]立ち上がり先端部を有する第1仕切壁であって、内部に収納させる物体を前記立ち上がり先端部に直接的又は間接的に当接させた状態で前記物体が収納された場合に、前記内部の空間を第1隔離空間及び第2隔離空間に分離する第1仕切壁を有する、ことを特徴とする収納装置。
[2]前記第1仕切壁はカバー部材に設けられ、
前記物体が収納された場合に、前記カバー部材は、前記第1隔離空間と連通する第1開口部と、前記第2隔離空間と連通する第2開口部と、を有する、
ことを特徴とする前記[1]に記載の収納装置。
[3]前記第1隔離空間には前記物体が備える吸気口が存在し、排気口が存在せず、
前記第2隔離空間には前記物体が備える排気口が存在し、吸気口が存在しない、
ことを特徴とする前記[1]又は前記[2]に記載の収納装置。
[4]前記物体が収納された場合に、前記カバー部材は、前記第1開口部と前記第2開口部の間に、前記物体が画像を投影する投影部を前記カバー部材から露出させる投影開口部を有する、
ことを特徴とする前記[2]又は前記[3]に記載の収納装置。
[5]前記カバー部材は、前記画像を前記物体に入力させる画像入力部材を前記カバー部材の外部から挿通させる画像入力孔部を有する、
ことを特徴とする前記[2]~前記[4]のいずれかに記載の収納装置。
[6]前記第1仕切壁は、第1の高さを有する第1壁部と、前記第1の高さより低い第2の高さを有する第2壁部を備え、
前記物体は、前記第2壁部の立ち上がり先端部に当接させる、
ことを特徴とする前記[1]~前記[5]の何れかに記載の収納装置。
[7]前記カバー部材は第2仕切壁を有し、
前記第2仕切壁は、前記物体が収納された場合に、前記第1隔離空間及び前記第2隔離空間から隔離された第3隔離空間を形成する、
ことを特徴とする前記[2]~前記[6]に記載の収納装置。
[8]前記第3隔離空間は、前記物体又は前記物体に関する付属部材から伸長する入出力線材が配置される、
ことを特徴とする前記[7]に記載の収納装置。
[9]前記[1]~前記[8]の何れかに記載の収納装置と、
前記物体と、
前記収納装置を支持する支持装置と、
を有する投影システム。
[10]前記支持装置は、開口を形成する環状枠部と、送風装置と、を有する、
ことを特徴とする前記[9]に記載の投影システム。
【符号の説明】
【0085】
1 投影システム 10 投影装置
20 筐体 20a 上面
20b 下面 20c 左側面
20d 右側面 20e 前面
20f 後面 20g 投影口
20h 左前角部 20i 左後角部
21 上ケース 21a 操作パネル
21b 接続口 21c 第2排気口
22 下ケース 22b ネジ孔
23 前側パネル 23a 投影口開口部
23b 第1吸気口 23c 第1排気口
24 後側パネル 24a 第2吸気口
25 左側パネル 25a 第3吸気口
30 収納ケース 30a 上壁部
30b 下壁部 30b1 下側リブ部
30c 左壁部 30d 右壁部
30d1 取付孔 30e 前壁部
30e1 第1凸部 30e2 第1凹部
30e3 第2凸部 30e4 第2凹部
30e5 上側リブ部 30f 後壁部
32 ケース開口部 32a 吸気側開口部
32a1 開口端 32b 排気側開口部
32c 投影開口部 34 排気側カバー
34S1 後部空間 34S2 前部空間
34S3 上部空間 34a 排気側上壁
34b 排気側下壁 34e 排気側前壁
34e1 当接壁 34f 排気側後壁
34g 排気側切欠き 34h 第1仕切壁
34h1 高壁部 34h2 低壁部
34h2a 立ち上がり先端部 34i 第2仕切壁
36 吸気側カバー 36a 吸気側上壁
36b 吸気側下壁 36c 吸気側側壁
36g 吸気側切欠き 42 端子台
44 取付板 44a 板状部
44a1 ネジ孔 44b 脚部
44b1 取付孔 52 ベース板金
54 制御基板 56 シールド板金
58 ACアダプタ 58a 第1接続ケーブル
58b 第2接続ケーブル 60 支持フレーム
60a フレーム側開口 62 環状部
62a 環状枠部 62a1 ファン取付ネジ孔
62a2 ファン取付孔 62b 鍔部
62c 立ち上がり部 62c1 孔部
62c2 下側取付部 63 ストッパ部材
64 支持板部 64a 湾曲壁部
64a1 カバー取付孔 64b 上側取付部
64c 調整板部 64c1 調整板側第1スリット
64c2 調整板側第2スリット 64c3 支点軸
66 リンク部材 66a リンク側第1スリット
66b リンク側第2スリット 66c 支点孔
67 蝶ネジ 68 前側カバー部
69 後側カバー部 69a カバー側第1切欠き
69b カバー側第2切欠き 69c 枕部
70 吸排気用ファン 72 円形皿部
72a 吸気ファン設置部 72b 排気ファン設置部
72c ファン開口部 72d 係合片
73 隆起部 73a ファン側ネジ孔
74 傾斜壁 76 ファン側リブ
81 第1ネジ軸 82 第2ネジ軸
C 天井材 CN コネクタ
CO 開口 D1 距離
D2 厚み F1 吸気ファン
F2 排気ファン GM グロメット
H1 第1ケーブル孔部 H2 第2ケーブル孔部
HC 映像/音声伝送ケーブル L1 投影光
L2 投影光 LC 光軸
PC 電源ケーブル S 空間
S1 吸気空間 S2 排気空間
W 壁材 θ1 第1の投影角度
θ2 第2の投影角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16