(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】通信方法および通信システム
(51)【国際特許分類】
H04W 76/10 20180101AFI20240717BHJP
H04W 4/00 20180101ALI20240717BHJP
H04W 92/18 20090101ALI20240717BHJP
H04W 84/10 20090101ALI20240717BHJP
H04W 84/12 20090101ALI20240717BHJP
H04W 88/06 20090101ALI20240717BHJP
【FI】
H04W76/10
H04W4/00 110
H04W92/18
H04W84/10 110
H04W84/12
H04W88/06
(21)【出願番号】P 2021503486
(86)(22)【出願日】2020-02-10
(86)【国際出願番号】 JP2020005071
(87)【国際公開番号】W WO2020179368
(87)【国際公開日】2020-09-10
【審査請求日】2022-12-26
(31)【優先権主張番号】P 2019041780
(32)【優先日】2019-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082762
【氏名又は名称】杉浦 正知
(74)【代理人】
【識別番号】100123973
【氏名又は名称】杉浦 拓真
(72)【発明者】
【氏名】合間 寛
【審査官】岡本 正紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-004422(JP,A)
【文献】特開2015-119426(JP,A)
【文献】国際公開第2018/045561(WO,A1)
【文献】特開2010-245748(JP,A)
【文献】国際公開第2018/163962(WO,A1)
【文献】特開2016-005173(JP,A)
【文献】特開2016-019044(JP,A)
【文献】特開2006-295957(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセスポイントを介することなく直接通信することができる第1無線通信装置と第2無線通信装置が第1の通信で接続されており、
第2の通信であるWi-Fiでは前記第1無線通信装置と前記第2無線通信装置は互いに、かつ、他の装置とも接続されておらず、
前記第1無線通信装置は、ユーザから接続方法を前記第1の通信から前記Wi-Fiに切り替える指示があった場合、前記第1の通信で、複数存在する前記Wi-Fiのチャンネルの中から接続に使用する特定のチャンネルを指定するチャンネル指定情報を前記第2無線通信装置に送信し、
前記第2無線通信装置は、指定された前記チャンネルで前記Wi-Fiによる通信を行うよう通信機能を起動し、
前記第1無線通信装置は、指定された前記チャンネルを用いた前記Wi-Fiによる通信の接続要求を前記第2無線通信装置に送信する
通信方法。
【請求項2】
前記第2の通信は前記第1の通信よりも通信速度が速い
請求項1に記載の通信方法。
【請求項3】
前記第1の通信は前記第2の通信よりも消費電力が少ない
請求項1に記載の通信方法。
【請求項4】
前記第1の通信はBluetoothである
請求項1に記載の通信方法。
【請求項5】
前記
第2無線通信装置は前記第2の通信に用いる接続情報を前記第1の通信で前記
第1無線通信装置に送信する
請求項1に記載の通信方法。
【請求項6】
前記
第1無線通信装置と前記
第2無線通信装置は前記第1の通信により常時接続されている
請求項1に記載の通信方法。
【請求項7】
アクセスポイントを介することなく直接通信することができ、
第1の通信で接続されている第1無線通信装置と第2無線通信装置とからなり、
第2の通信であるWi-Fiでは前記第1無線通信装置と前記第2無線通信装置は互いに、かつ、他の装置とも接続されておらず、
前記第1無線通信装置は、ユーザから接続方法を前記第1の通信から前記Wi-Fiに切り替える指示があった場合、前記第1の通信で、複数存在する前記Wi-Fiのチャンネルの中から接続に使用する特定のチャンネルを指定するチャンネル指定情報を前記第2無線通信装置に送信し、
前記第2無線通信装置は、指定された前記チャンネルで前記Wi-Fiによる通信を行うよう通信機能を起動し、
前記第1無線通信装置は、指定された前記チャンネルを用いた前記Wi-Fiによる通信の接続要求を前記第2無線通信装置に送信する
通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は通信方法および通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数の装置間でWi-Fi、Bluetooth(登録商標)、NFC(Near Field Communication)などによる通信が可能となっている。通常、Wi-Fiは高速、大容量のデータ通信が可能であるが消費電力が大きい。一方、Bluetooth(登録商標)、NFCは低速、小容量のデータ通信しか行うことができないがWi-Fiと比べて消費電力が少ない。そこで、定常状態では消費電力が少ないBluetooth(登録商標)で通信し、高速、大容量のデータ通信が必要な場合にWi-Fi接続に切り替えるWi-Fiハンドオーバーという仕組みが提案されている。
【0003】
ハンドオーバーにおいては接続方法の切り替えを行うための時間が必要であり、その切り替え時間を短縮するための方法が提案されている(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
また、近年のスマートフォンなどの通信装置の普及により、Wi-FiやBluetooth(登録商標)などの通信に使用する無線帯域が込み合う傾向がある。そのような状況で安定した通信ができる帯域を確保するには周りの無線状況をスキャンする必要がある。しかし、Wi-Fi起動後、スキャンを行うとスキャンに時間を要し、接続確立に時間がかかってしまうという問題がある。これは、接続済みの一の通信方法から他の通信方法に切り替えるハンドオーバーを行う際も同様である。
【0006】
本技術はこのような点に鑑みなされたものであり、通信の切り替えに要する時間を短縮することができる通信方法、通信システムおよび無線通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、第1の技術は、アクセスポイントを介することなく直接通信することができる第1無線通信装置と第2無線通信装置が第1の通信で接続されており、第2の通信であるWi-Fiでは第1無線通信装置と第2無線通信装置は互いに、かつ、他の装置とも接続されておらず、第1無線通信装置は、ユーザから接続方法を第1の通信からWi-Fiに切り替える指示があった場合、第1の通信で、複数存在するWi-Fiのチャンネルの中から接続に使用する特定のチャンネルを指定するチャンネル指定情報を第2無線通信装置に送信し、第2無線通信装置は、指定されたチャンネルでWi-Fiによる通信を行うよう通信機能を起動し、第1無線通信装置は、指定されたチャンネルを用いたWi-Fiによる通信の接続要求を第2無線通信装置に送信する通信方法である。
【0008】
また、第2の技術は、アクセスポイントを介することなく直接通信することができ、第1の通信で接続されている第1無線通信装置と第2無線通信装置とからなり、第2の通信であるWi-Fiでは第1無線通信装置と第2無線通信装置は互いに、かつ、他の装置とも接続されておらず、第1無線通信装置は、ユーザから接続方法を第1の通信からWi-Fiに切り替える指示があった場合、第1の通信で、複数存在するWi-Fiのチャンネルの中から接続に使用する特定のチャンネルを指定するチャンネル指定情報を第2無線通信装置に送信し、第2無線通信装置は、指定されたチャンネルでWi-Fiによる通信を行うよう通信機能を起動し、第1無線通信装置は、指定されたチャンネルを用いたWi-Fiによる通信の接続要求を第2無線通信装置に送信する通信システムである。
【0009】
また、第3の技術は、アクセスポイントを介することなく直接通信することができ、第1の通信で他の装置と接続されており、第2の通信であるWi-Fiでは他の装置と接続されておらず、第1の通信で、複数存在するWi-Fiのチャンネルの中から接続に使用する特定のチャンネルを指定するチャンネル指定情報を他の装置に送信し、指定されたチャンネルを用いたWi-Fiによる通信の接続要求を他の装置に送信する無線通信装置である。
【0010】
さらに、第4の技術は、アクセスポイントを介することなく直接通信することができ、第1の通信で他の装置と接続されており、第2の通信であるWi-Fiでは他の装置と接続されておらず、他の装置から第1の通信で送信された、複数存在するWi-Fiのチャンネルの中から接続に使用する特定のチャンネルを指定するチャンネル指定情報を受信し、指定されたチャンネルでWi-Fiによる通信を行うよう通信機能を起動する無線通信装置である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】通信システム10の構成を示すブロック図である。
【
図2】2.4GHz帯のWi-Fiにおけるチャンネルの説明図である。
【
図3】5GHz帯のWi-Fiにおけるチャンネルの説明図である。
【
図4】
図4Aは第1無線通信装置100の構成を示すブロック図であり、
図4Bは第2無線通信装置200の構成を示すブロック図である。
【
図5】通信切り替え処理を示すフローチャートである。
【
図6】通信切り替え処理の変形例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本技術の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
<1.実施の形態>
[1-1.通信システム10の構成]
[1-2.第1無線通信装置100の構成]
[1-3.第2無線通信装置200の構成]
[1-4.通信切り替え処理]
<2.変形例>
【0013】
<1.実施の形態>
[1-1.通信システム10の構成]
まず、本技術に係る通信システム10について説明する。
図1に示すように通信システム10は第1無線通信装置100および第2無線通信装置200とから構成されている。第1無線通信装置100および第2無線通信装置200は無線通信機能を備え、無線通信を利用して互いに接続して各種データを送受信することが可能である。本実施の形態においては第1無線通信装置100と第2無線通信装置200は少なくとも第1の通信方法および第2の通信方法という2つの通信方法で通信可能となっている。
【0014】
第1無線通信装置100および第2無線通信装置200は、P2P(Peer to Peer)接続を可能とするIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11に準拠した無線通信装置である。第1無線通信装置100および第2無線通信装置200は通信グループを形成し、アクセスポイントを介することなく直接通信することができる。よって、第1無線通信装置100から第2無線通信装置200にデータ(例えば、画像データ、動画データなど)を直接送信することができる。なお、IEEE802.11に準拠した無線通信装置同士が直接通信するための通信規格としては、Wi-Fiダイレクトがある。
【0015】
また第1無線通信装置100および第2無線通信装置200は、IEEE802.15.1に準拠した無線通信装置である。IEEE802.15.1に準拠した無線通信装置同士が直接通信するための規格としてはBluetooth(登録商標)がある。
【0016】
この実施の形態においては、第1の通信方法はBluetooth(登録商標)であり、第2の通信方法はWi-Fiであるとして説明を行う。Wi-FiはBluetooth(登録商標)に比べて高速、大容量の通信が可能であるため、多数の画像データ、動画データ、プログラムなど容量が大きいデータの送受信に適している。一方、Bluetooth(登録商標)は送受信できるデータ容量は小さいが消費電力が少ないため、常時接続に適している。
【0017】
ここで、Wi-Fiのチャンネルについて説明する。現在Wi-Fiには2.4GHz帯と5GHzという2つの帯域がある。そして各帯域には一定のチャンネル幅で複数に分割されており、それぞれがチャンネルとして設定されている。2.4GHz帯では
図2に示すようにチャンネルの帯域幅を22MHzとして13個のチャンネルが設定され、隣り合うチャンネルと帯域の一部が重なり合っている。よって、干渉しないのは1ch、6ch、11chとなる。
【0018】
また、
図3に示すように5GHz帯の場合、チャンネルは19chあり、IEEE802.11aのW52で36、40、44、48の4つのチャネル、W53で52、56、60、64の4つのチャネル、W56で100、104、108、112、116、120、124、128、132、136、140の11個のチャネルが使用できる。1チャンネルあたり20MHzずつずれているので、チャンネル幅が20MHzの場合、全てのチャンネルを干渉することなく使用することができる。
【0019】
このように2.4GHz帯に加え5GHz帯も使用することにより、Wi-Fiを使用するためにWi-Fiスキャンを実行して使用するチャンネルを決定する処理に要する時間が長くなる。
【0020】
通常、Wi-Fiを用いて通信する機能を有する通信装置はWi-Fiで通信する際にチャンネルを選択設定する機能を備えている。第1無線通信装置100、第2無線通信装置200もチャンネル選択設定機能を備えている。
【0021】
[1-2.第1無線通信装置100の構成]
次に
図4Aを参照して第1無線通信装置100の構成について説明する。第1無線通信装置100は操作部101、表示部102、記憶部103、第1通信部104、第1アンテナ105、第2通信部106、第2アンテナ107、制御部108を備えて構成されている。
【0022】
操作部101は、第1無線通信装置100に対してユーザが各種指示を入力するためのものである。操作部101がユーザにより操作されると、その操作に応じた制御信号が生成されて制御部108に供給される。そして、制御部108はその制御信号に対応した各種処理を行う。操作部101は物理ボタンの他、タッチパネル、表示部102であるディスプレイと一体に構成されたタッチスクリーンなどでもよい。
【0023】
表示部102は、画像や映像などのコンテンツデータ、メッセージ、第1無線通信装置100のユーザインターフェースなどを表示するための表示デバイスなどである。表示デバイスとしては、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、PDP(Plasma Display Panel)、有機EL(Electro Luminescence)パネルなどにより構成されたものがある。
【0024】
記憶部103は、ハードディスク、フラッシュメモリなどの大容量記憶媒体により構成され、コンテンツデータなどの各種データ、第1無線通信装置100が動作するために必要なプログラムや、他の無線通信装置と通信するための情報などを保持する。例えば記憶部103は、他の無線通信装置についての接続情報(SSID、PSKなど)を保持する。
【0025】
第1通信部104は、制御部108による制御に従い、第1アンテナ105と協働して第2無線通信装置200とBluetooth(登録商標)通信を行う。例えばBluetooth(登録商標)通信におけるデータの送受信、第1通信部104はBluetooth(登録商標)アンテナから数メートル程度の近距離に到達する電波を送信し、ペアリングなどBluetooth(登録商標)通信に必要な処理などを行う。
【0026】
第2通信部106は制御部108による制御に従い、第2アンテナ107と協働して第2無線通信装置200とのWi-Fi通信を行う。例えば、第2通信部106は、アンテナにより受信された無線信号にダウンコンバージョン、復調および復号などの受信処理を施し、受信処理により得られた受信データを制御部108に供給する。また、第2通信部106は、制御部108から供給される送信データに符号化、変調、アップコンバージョンなどの送信処理を施し、送信処理により得られた高周波信号をアンテナに出力する。
【0027】
制御部108は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)などから構成されている。CPUは、ROMに記憶されたプログラムに従い様々な処理を実行してコマンドの発行を行うことによって第1無線通信装置100の全体および各部の制御を行う。
【0028】
制御部108は、第2通信部106および第2アンテナ107を介して所定の周波数帯域をスキャンすることによりWi-Fiを探索するWi-Fiスキャンを行う。
【0029】
制御部108は、第2無線通信装置200とのWi-Fi接続のためのハンドオーバーリクエストメッセージを生成する。このハンドオーバーリクエストメッセージには複数存在するWi-Fiのチャンネルの中から第2無線通信装置200との通信に使用する特定のチャンネルを指定するための指定チャンネル情報を含める。ハンドオーバーとは、通信の基地局や通信の方法を自動的に切り替えることであり、本実施の形態の場合、Bluetooth(登録商標)通信からWi-Fi通信に切り替えることを示している。
【0030】
第1無線通信装置100はハンドオーバーリクエストメッセージに含める指定チャンネル情報生成のために指定するWi-Fiチャンネルを決定する。指定するWi-Fiチャンネルとしては、周囲のWi-Fiアクセスポイントや他の装置がすでに使用しているチャンネル以外の干渉がない、または干渉が少ないチャンネルを指定するのが好ましい。干渉の度合いはそのチャンネルの電波強度を調べることなどにより確認することができる。また、第1無線通信装置100がWi-Fiスキャンにより検出したWi-Fiのチャンネルを確認し、それ以外のチャンネルを指定する、という方法もある。さらに、Wi-Fiスキャンで無線通信のノイズを検出し、そのノイズに基づき使用されておらず空いているチャンネルを決定する、という方法もある。
【0031】
制御部108は、第2無線通信装置200とのWi-Fi接続処理のための接続要求フレームであるアソシエーション要求(Association Request)フレームを生成する。このアソシエーション要求フレームを第2通信部106による通信で第2無線通信装置200に送信することによりWi-Fi接続要求を行う。このアソシエーション要求フレーム内には、接続に使用するWi-Fiのチャンネルを指定した指定チャネル情報を含める。
【0032】
ハンドオーバーリクエストメッセージは第1通信部104によるBluetooth(登録商標)通信で第2無線通信装置200に送信される。また、アソシエーション要求フレームは第2通信部106によるWi-Fi通信により第2無線通信装置200に送信される。
【0033】
第1無線通信装置100は制御部108の制御のもと、第2通信部106によるWi-Fi通信を行う際にWi-Fiのチャンネルを選択して通信を行う機能を備える。
【0034】
[1-3.第2無線通信装置200の構成]
次に
図4Bを参照して第2無線通信装置200の構成について説明する。第2無線通信装置200は操作部201、表示部202、記憶部203、第1通信部204、第1アンテナ205、第2通信部206、第2アンテナ207、制御部208を備えて構成されている。操作部201、表示部202、記憶部203、第1通信部204、第1アンテナ205、第2アンテナ207は第1無線通信装置100におけるものと同様である。
【0035】
第1通信部204は、制御部208による制御に従い、第1アンテナ205と協働して第2無線通信装置200とBluetooth(登録商標)通信を行う。例えばBluetooth(登録商標)通信におけるデータの送受信、第1通信部204はBluetooth(登録商標)アンテナから数メートル程度の近距離に到達する電波を送信し、ペアリングなどBluetooth(登録商標)通信に必要な処理などを行う。
【0036】
第2通信部206は制御部208による制御に従い、第2アンテナ207と協働して第1無線通信装置100とのWi-Fi通信を行う。例えば、第2通信部206は、第2アンテナ207により受信された無線信号にダウンコンバージョン、復調および復号などの受信処理を施し、受信処理により得られた受信データを制御部208に供給する。また、第2通信部206は、制御部208から供給される送信データに符号化、変調、アップコンバージョンなどの送信処理を施し、送信処理により得られた高周波信号をアンテナに出力する。
【0037】
第2通信部206は第2無線通信装置200がBluetooth(登録商標)で第1無線通信装置100と通信中は非動作状態(オフ状態またはスリープ状態)となっている。第1無線通信装置100からWi-Fiのチャンネルを指定されたハンドオーバーリクエストメッセージを受信すると制御部208が第2通信部206を起動させることにより第2無線通信装置200がWi-Fi通信可能となる。これが特許請求の範囲における、第2の通信を行う通信機能を起動、に該当するものである。
【0038】
制御部208は、第1無線通信装置100からのアソシエーション要求に対する接続応答フレームであるアソシエーション応答(Association Response)フレームを生成する。アソシエーション応答フレームは第2通信部206によるWi-Fi通信で第1無線通信装置100からのアソシエーション要求に対する応答として送信され、アソシエーション応答フレームを第1無線通信装置100に送信することによりWi-Fi接続が確立される。
【0039】
また制御部208は、第1無線通信装置100から受信したチャンネル指定情報で指定されたWi-Fiのチャンネルで固定してWi-Fi通信機能(第2通信部206)を起動させる。これにより、第1無線通信装置100と第2無線通信装置200とは指定されたチャンネルでのみWi-Fi通信を行うことが可能となる。予め第1無線通信装置100により指定されたチャンネルで第2通信部206を起動させて通信を行うので、第2無線通信装置200がWi-Fiスキャンを行う必要がない。ただし、第2無線通信装置200はWi-Fiスキャン機能を有していてもよい。
【0040】
第2無線通信装置200は制御部208の制御のもと、第2通信部206によるWi-Fi通信を行う際に上述したWi-Fiのチャンネルを選択して通信を行う機能を備える。
【0041】
以上のようにして第1無線通信装置100と第2無線通信装置200が構成されている。
【0042】
[1-4.通信切り替え処理]
次に
図5の図を参照して第1無線通信装置100と第2無線通信装置200間における通信切り替え処理について説明する。
図5において第1無線通信装置100と第2無線通信装置200間の直線はBluetooth(登録商標)についての動作、を示し、破線はWi-Fiについての動作を示す。
【0043】
まずステップS101に示すように第1無線通信装置100と第2無線通信装置200とはBluetooth(登録商標)により常時接続状態にある。
【0044】
第1無線通信装置100はステップS102に示すようにWi-Fiネットワーク検索のためのスキャンを実行している。なお、第1無線通信装置100は常時Wi-Fiスキャンを行っている。
【0045】
そして第1無線通信装置100に対するユーザからの入力によりWi-Fiへの切り替えが指示された場合、ステップS103で第1無線通信装置100は第2無線通信装置200に対してハンドオーバーリクエストメッセージを送信する。このハンドオーバーリクエストメッセージには複数存在するWi-Fiのチャンネルの中から接続に使用する特定のチャンネルを指定するための指定チャンネル情報を含んでいる。
【0046】
なお、ユーザからWi-Fiへの切り替え指示がなくても、ユーザの第1無線通信装置100への指示内容に基づき、第1無線通信装置100がWi-Fiが必要だと決定して処理を行ってもよい。例えば、ユーザが第2無線通信装置200とのデータの転送を指示した場合、データの種類、サイズに限らずWi-Fiが必要だと決定する。また、ユーザが第2無線通信装置200とのデータの転送を指示した場合、データの種類またはサイズを確認し、特定のデータ(画像データ、動画データなど)である場合、またはデータのサイズが所定サイズ以上である場合Wi-Fiが必要だと決定する、などである。
【0047】
次にステップS104で第2無線通信装置200は第1無線通信装置100から指定されたチャンネルでWi-Fi通信を行うように自身のWi-Fi機能(第2通信部206)を起動させる。このように第1無線通信装置100により指定されたチャンネルでWi-Fi機能(第2通信部206)を起動させるので、第2無線通信装置200はWi-Fiスキャンを実行してチャンネルを決定してからWi-Fi機能を起動させる必要がない。これにより、Wi-Fiスキャンを実行してチャンネルを決定してからWi-Fi機能を起動させる従来技術に比べてWi-Fi通信可能となるまでの時間を短縮させることができる。
【0048】
Wi-Fi機能の起動後、次にステップS105で第2無線通信装置200は第1無線通信装置100に対してWi-Fi接続のための接続情報であるSSID(Service Set Identifier)、Passkeyを送信する。SSIDとは、Wi-Fi(無線LAN)におけるアクセスポイントの識別名である。PassKeyとはWi-Fiに接続するためのパスワード(暗号化キー)である。
【0049】
次にステップS106で第1無線通信装置100は自身が指定したチャンネルでWi-Fi接続のためのアソシエーション要求フレームを第2無線通信装置200に送信することによりアソシエーション要求を行う。このとき、アソシエーション要求フレーム内に通信に使用するチャンネルを指定した使用要求チャネル情報を含める。
【0050】
次にステップS107で、第1無線通信装置100からのアソシエーション要求に対して第2無線通信装置200が接続許可の応答としてアソシエーション応答フレームを送信することによりアソシエーション応答を行う。
【0051】
次にステップS108で第1無線通信装置100はPSK(Pre Shared Key)を生成する。PSKとは無線LAN接続において使用される技術のひとつであり、無線接続する装置の双方において使用する事前共通鍵である。
【0052】
そしてステップS109で第1無線通信装置100と第2無線通信装置200とで通信確立のためのハンドシェイクが行われる。ハンドシェイクとは異なる装置が通信を行うために、通信路確立後に本格的に通信を行う前に通信速度やデータ形式、その他の取り決め、パラメータの送受信を行うことである。
【0053】
なお
図6のステップS201に示すように、Wi-Fi接続のためのハンドオーバーリクエストメッセージを、チャンネルを指定する側の装置ではない第2無線通信装置200から送信してもよい。この場合、このハンドオーバーリクエストメッセージには指定チャンネル情報は含めない。よってステップS202に示すように、第2無線通信装置200からハンドオーバーリクエストメッセージを受信した第1無線通信装置100がWi-Fi通信に使用するチャンネルを示す指定チャンネル情報をBluetooth(登録商標)通信で第2無線通信装置200に送信する。それ以外の処理は
図5を参照して説明した処理と同様である。
【0054】
以上のようにして第1無線通信装置100と第2無線通信装置200によるBluetooth(登録商標)接続からWi-Fi接続への切り替えが行われる。この方法によれば、予め指定したチャンネルでWi-Fiの接続を行うため、安定したチャンネルを指定することによって、安定し、かつ高速な通信を確立させることができる。また、第2無線通信装置200は第1無線通信装置100と接続するためにWi-Fiスキャンを行いチャンネルを決定する必要がないため、Bluetooth(登録商標)からWi-Fiへの接続の切り替えを従来よりも短時間で行うことができる。
【0055】
本技術の具体的な使用例としては、例えば第1無線通信装置100をスマートフォンとし、第2無線通信装置200をカメラとする例がある。カメラによる撮影後に多数枚の写真をカメラからスマートフォンに転送する場合、Bluetooth(登録商標)だと通信速度が遅いため、写真を送ることができない、または長時間を要することになる。このような場合に本技術を用いてBluetooth(登録商標)接続からWi-Fiに切り替えることにより従来技術よりも短時間で多数枚の写真をWi-Fiの高速通信でスマートフォンに転送することができる。
【0056】
なお、第1無線通信装置100をカメラとし、第2無線通信装置200をスマートフォンとしても同様にBluetooth(登録商標)接続からWi-Fiに切り替えて短時間で多数枚の写真をWi-Fi通信でカメラからスマートフォンに転送することができる。
【0057】
第1無線通信装置100と第2無線通信装置200とは、本技術の切り替え処理を行う装置として構成してもよいし、既存の無線通信装置においてプログラムが動作することにより第1無線通信装置100と第2無線通信装置200が構成されてもよい。そのプログラムは、予め無線通信装置にインストールされていてもよいし、ダウンロード、記憶媒体などで配布されて、ユーザが自らにインストールするようにしてもよい。また、本技術の機能は、プログラムによって実現されるのみでなく、その機能を有するハードウェアによる専用の装置、回路などを組み合わせて実現されてもよい。
【0058】
<2.変形例>
以上、本技術の実施の形態について具体的に説明したが、本技術は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本技術の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
【0059】
第1無線通信装置100および第2無線通信装置200は、スマートフォン、カメラに限られず、スマートスピーカ、コミュニケーションロボット、据え置き型パーソナルコンピュータ、ノートパソコン、タブレット端末、携帯ゲーム機、ウェアラブルデバイスなど第1の通信および第2の通信の機能を備えるものであればどのような装置でもよい。
【0060】
第1無線通信装置100の第1通信部104と第2無線通信装置200の第1通信部204による通信はBluetooth(登録商標)に限られず他の方法でもよい。他の方法としては、Bluetooth(登録商標)の低消費電力の通信規格であるBluetooth Low EnergyやNFCなどが考えられる。
【0061】
実施の形態では第1無線通信装置100と第2無線通信装置200という2つの装置の接続を例にして説明したが、3つ以上の装置の接続にも本技術は適用することができる。
【0062】
図5および
図6の説明において第2無線通信装置200から第1無線通信装置100に対して接続情報(SSID、Passkey)を送信したが、予め第1無線通信装置100にその接続情報を保持させておけば第2無線通信装置200から送信する必要はない。この場合、第2無線通信装置200が第2通信部206(Wi-Fi通信機能)を起動させたことを第1無線通信装置100に第1通信で通知するとよい。この通知を受けた第1無線通信装置100はアソシエーション要求フレームを第2無線通信装置200に送信してWi-Fi接続を確立させることができる。ただし、第2無線通信装置200から第1無線通信装置100への第2通信部206(Wi-Fi通信機能)を起動させたことの通知を行わなくても、第1無線通信装置100はハンドオーバーリクエストメッセージ送信後所定期間経過後に第2無線通信装置200はWi-Fi通信機能を起動させたとしてアソシエーション要求フレームを送信してもよい。
【0063】
本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)
第1無線通信装置は、第1の通信で第2の通信に用いるチャンネルを指定するチャンネル指定情報を第2無線通信装置に送信し、
前記第2無線通信装置は、指定された前記チャンネルで前記第2の通信を行うよう通信機能を起動し、
前記第1無線通信装置は、指定された前記チャンネルを用いた前記第2の通信の接続要求を前記第2無線通信装置に送信する通信方法。
(2)
前記第2の通信は前記第1の通信よりも通信速度が速い(1)に記載の通信方法。
(3)
前記第1の通信は前記第2の通信よりも消費電力が少ない(1)または(2)に記載の通信方法。
(4)
前記第1の通信はBluetoothである(1)から(3)のいずれかに記載の通信方法。
(5)
前記第2の通信はWi-Fiである(1)から(4)のいずれかに記載の通信方法。
(6)
前記第2の無線通信装置は前記第2の通信に用いる接続情報を前記第1の通信で前記第1の無線通信装置に送信する(1)から(5)のいずれかに記載の通信方法。
(7)
前記第1の無線通信装置と前記第2の無線通信装置は前記第1の通信により常時接続されている(1)から(6)のいずれかに記載の通信方法。
(8)
第1の無線通信装置と第2の無線通信装置とからなり、
第1無線通信装置は、第1の通信で第2の通信に用いるチャンネルを指定するチャンネル指定情報を前記第2無線通信装置に送信し、
前記第2無線通信装置は、指定された前記チャンネルで前記第2の通信を行うよう通信機能を起動し、
前記第1無線通信装置は、指定された前記チャンネルを用いた前記第2の通信の接続要求を前記第2無線通信装置に送信する通信システム。
(9)
第1の通信で第2の通信に用いるチャンネルを指定するチャンネル指定情報を他の装置に送信し、
指定された前記チャンネルを用いた前記第2の通信の接続要求を前記他の装置に送信する無線通信装置。
(10)
他の装置から第1の通信で送信された第2の通信に用いるチャンネル指定情報を受信し、
指定された前記チャンネルで前記第2の通信を行うよう通信機能を起動する無線通信装置。
【符号の説明】
【0064】
10・・・・通信システム
100・・・第1無線通信装置
200・・・第2無線通信装置