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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】通信装置及び通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 72/0446 20230101AFI20240717BHJP
   H04W 72/02 20090101ALI20240717BHJP
   H04W 72/50 20230101ALI20240717BHJP
   H04W 72/0453 20230101ALI20240717BHJP
   H04W 4/38 20180101ALI20240717BHJP
【FI】
H04W72/0446
H04W72/02
H04W72/50
H04W72/0453
H04W4/38
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021524702
(86)(22)【出願日】2020-04-20
(86)【国際出願番号】 JP2020017104
(87)【国際公開番号】W WO2020246158
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2023-03-01
(31)【優先権主張番号】P 2019103584
(32)【優先日】2019-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100093241
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 正昭
(74)【代理人】
【識別番号】100101801
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 英治
(74)【代理人】
【識別番号】100095496
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 榮二
(74)【代理人】
【識別番号】100086531
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】110000763
【氏名又は名称】弁理士法人大同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 雅典
(72)【発明者】
【氏名】桐山 沢子
(72)【発明者】
【氏名】柿沼 幸治
【審査官】松野 吉宏
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-509665(JP,A)
【文献】国際公開第2019/103809(WO,A1)
【文献】特表2017-515431(JP,A)
【文献】国際公開第2018/201401(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/173523(WO,A1)
【文献】特開2018-125793(JP,A)
【文献】特表2017-523736(JP,A)
【文献】特表2018-513626(JP,A)
【文献】特開2019-071663(JP,A)
【文献】特表2016-508306(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続先の基地局と無線通信を行う通信装置であって、
無線信号を送受信する通信部と、
前記通信部で前記基地局に対し固定周期で送信する場合に使用する無線資源を、所定の無線資源決定規則に従い時刻情報と前記通信装置のIDに基づいて決定する決定部と、
前記決定部が決定した無線資源に基づいて、前記通信部による無線信号の送受信動作を制御する制御部と、
を具備し、
前記決定部は、基準の送信周期に対して定義された基準無線資源決定規則と、前記基準の送信周期より短い1又は複数の送信周期に対してそれぞれ個別に定義された1又は複数の追加無線資源決定規則のうち前記通信部で前記基地局から受信した制御情報で利用が許可されていることが示された無線資源決定規則の中から選択した無線資源決定規則に従って時刻情報と前記通信装置のIDから無線信号の送信に使用する無線資源を決定し、
前記制御部は、選択した無線資源決定規則に対応する送信周期で前記通信部が前記決定した無線資源を使用して無線信号の送信を行うように制御する、
通信装置。
【請求項2】
前記決定部は、時刻情報と前記通信装置のIDに基づいて、前記通信部から無線信号を送信する時刻及び周波数を前記選択した無線資源決定規則に従って計算する、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
センサー情報を取得する取得部をさらに備え、
前記制御部は、前記センサー情報を記載した前記無線信号の送信を行うように制御する、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項4】
前記決定部は、前記制御情報で指定された無線資源決定規則を選択する、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項5】
前記決定部は、前記制御情報で自分が属するグループに利用が許可されていることが示された無線資源決定規則を選択する、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項6】
前記決定部は、前記制御情報で指定されたセンサー情報を記載した無線信号の送信を行うように制御する、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項7】
前記制御部は、送信周期を変更したいときに、前記制御情報を受信するように制御する、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項8】
少なくとも一部の無線資源決定規則には有効期間が設定されており、
前記制御部は、使用中の無線資源決定規則の有効期間が経過したときに、前記制御情報を受信するように制御する、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項9】
前記決定部は、時刻情報と無線システムのIDに基づいて、接続先の基地局から前記制御情報を受信する時刻及び周波数を計算する、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項10】
接続先の基地局と無線通信を行う通信装置が、基準の送信周期に対して定義された基準無線資源決定規則と、前記基準の送信周期より短い1又は複数の送信周期に対してそれぞれ個別に定義された1又は複数の追加無線資源決定規則のうち接続先の基地局から受信した制御情報で利用が許可されていることが示された無線資源決定規則の中から、無線信号の送信に使用する無線資源決定規則を選択するステップと、
前記通信装置が、選択した無線資源決定規則に従って時刻情報と前記通信装置のIDから無線信号の送信に使用する無線資源を決定するステップと、
前記通信装置が、選択した無線資源決定規則に対応する送信周期で前記決定した無線資源を使用して前記無線信号を送信するステップと、
を有する通信方法。
【請求項11】
無線システムにおいて基地局として無線通信を行う通信装置であって、
無線信号を送受信する通信部と、
前記通信部で使用する無線資源を決定する決定部と、
前記決定部が決定した無線資源に基づいて、前記通信部による無線信号の送受信動作を制御する制御部と、
を具備し、
前記基地局宛ての無線信号の送信に使用する、基準の送信周期に対する基準無線資源決定規則と前記基準の送信周期より短い1又は複数の送信周期に対する1又は複数の追加無線資源決定規則がそれぞれ個別に定義されており、
前記決定部は、所定の無線資源決定規則に従って時刻情報と前記無線システムのIDから無線信号の送信に使用する無線資源を決定し、
前記制御部は、前記追加無線資源決定規則の利用可否に関する情報を記載した制御情報を含んだ無線信号を、前記決定部が決定した無線資源を使って送信するように制御する、
通信装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記複数の追加無線資源決定規則の各々の選択の自由度に関する情報をさらに記載した前記制御情報を送信するように制御する、
請求項11に記載の通信装置。
【請求項13】
前記制御部は、端末のグループ毎に前記複数の追加無線資源決定規則の各々の利用の可否に関する情報をさらに記載した前記制御情報を送信するように制御する、
請求項11に記載の通信装置。
【請求項14】
前記制御部は、送信すべきセンサー情報の種別に関する情報をさらに記載した前記制御情報を送信するように制御する、
請求項11に記載の通信装置。
【請求項15】
前記制御部は、所定の有効期間毎に前記制御情報を送信するように制御する、
請求項11に記載の通信装置。
【請求項16】
前記制御部は、自分の余剰能力に応じた各無線資源決定規則の利用可否に関する情報を記載した前記制御情報を送信するように制御する、
請求項11に記載の通信装置。
【請求項17】
無線システムの基地局宛ての無線信号の送信に使用する、基準の送信周期に対する基準無線資源決定規則と前記基準の送信周期より短い1又は複数の送信周期に対する1又は複数の追加無線資源決定規則がそれぞれ個別に定義されており、
前記基地局として動作する通信装置が、前記基地局宛ての無線信号の送信に前記1又は複数の追加無線資源決定規則の利用の可否を決定するステップと、
前記通信装置が、所定の無線資源決定規則に従って時刻情報と前記無線システムのIDから無線信号の送信に使用する無線資源を決定するステップと、
前記通信装置が、前記決定した無線資源を使用して、前記追加無線資源決定規則の利用の可否を記載した制御情報を記載した無線信号を送信するステップと、
を有する通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、無線技術を使用する通信装置及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
IoT(Internet of Things)領域はさまざまな物体から情報を取得し分析することで新たな価値を生み出すことが期待されている。IoTにはさまざまな要求事項が期待されているが、とりわけ端末の低消費電力化に対する要求が高い。消費電力を低減することで、端末はより長時間の駆動が可能になる。また、より小型の電池で駆動できるので、端末の小型化を実現して、より多くの用途に利用できるようになる。IoT端末から情報を取得する手段として使用される無線技術にも、低消費電力化に対する期待が高い。
【0003】
端末の低消費電力化を実現する技術として、通信手順の簡略化が検討されている。従来の携帯電話や無線LAN(Local Area Network)などでは、端末は基地局やアクセスポイントが周期的に送信している制御信号やビーコンなどの報知信号を受信し、接続要求を送信し、接続許可を受信し、その後データの送信が可能となる。このような一連の手順では、データの送信までに、多くの制御信号のやり取りが必要であり、多くの電力を消費することになる。特にIoT領域では、端末が送信するデータは、位置情報、温度、湿度といった数十バイト程度の少量のセンサー情報が主なデータである。従来の接続手順では、データに対する制御信号のオーバーヘッドが大きく、電力のロスが問題である。
【0004】
IoT領域では、制御情報のやり取りをなくして、端末が低消費電力でデータ送信を開始できる方法が検討されている。しかしながら、制御情報のやり取りをなくすと、基地局は、端末がデータを送信する時刻及び周波数を事前に把握できないため、常時無線フレームの検出と復調を行わなければならない。この結果、基地局の高機能化が必要となり、無線システム全体のコストが高くなる。
【0005】
そこで、端末及び基地局ともにGPS(Global Positioning System)受信機を使って取得する共通の時刻に基づいて時間同期する無線システムが考えられている(例えば、特許文献1を参照のこと)。この無線システムでは、送信周期と、GPSから得られる時刻と、端末IDから、端末がデータを送信する時刻及び周波数を決定する無線資源決定規則が、無線規格として事前に端末と基地局の間で共有されている。端末は、事前に割り当てられた送信周期と、GPSから得られる時刻と、自分の端末IDに基づいて、データを送信する時刻及び周波数を決定する。一方の基地局も、同様の方法に従って端末からデータを受信すべき時刻と周波数を決定する。基地局は事前に端末からデータを受信する時刻及び周波数を限定することができるため、基地局を低価格で実現することが可能となり、無線システム全体のコストを抑えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第6259550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本明細書で開示する技術の目的は、事前の制御情報のやり取りなしにデータの無線通信を行う通信装置及び通信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書で開示する技術の第1の側面は、
無線信号を送受信する通信部と、
前記通信部で使用する無線資源を決定する決定部と、
前記決定部が決定した無線資源に基づいて、前記通信部による無線信号の送受信動作を制御する制御部と、
を具備し、
前記決定部は、所望する送信周期に対応する無線資源決定規則に従って無線信号の送信に使用する無線資源を決定し、
前記制御部は、前記所望する送信周期で前記通信部から無線信号の送信を行うように制御する、通信装置である。
【0009】
送信周期毎の複数の無線資源決定規則が定義されている。そして、前記決定部は、前記通信部で受信した制御情報で利用が許可されていることが示された無線資源決定規則の中から選択した無線資源決定規則に従って無線信号の送信に使用する無線資源を決定する。また、第1の側面に係る通信装置は、センサー情報を取得する取得部をさらに備え、前記制御部は、前記センサー情報を記載した前記無線信号の送信を行うように制御する。
【0010】
また、本明細書で開示する技術の第2の側面は、
無線信号を送受信する通信部と、
前記通信部で使用する無線資源を決定する決定部と、
前記決定部が決定した無線資源に基づいて、前記通信部による無線信号の送受信動作を制御する制御部と、
を具備し、
前記制御部は、自分宛ての無線信号の送信に使用する無線資源を決定するための無線資源決定規則に関する制御情報を含んだ無線信号を、前記決定部が決定した無線資源を使って送信するように制御する、
通信装置である。
【0011】
また、本明細書で開示する技術の第3の側面は、
無線信号を送受信する通信部と、
前記通信部で使用する無線資源を決定する決定部と、
前記決定部が決定した無線資源に基づいて、前記通信部による無線信号の送受信動作を制御する制御部と、
を具備し、
前記制御部は、自分宛ての無線信号の送信に使用する無線資源を決定するための無線資源決定規則に関する制御情報を含んだ無線信号を、前記決定部が決定した無線資源を使って送信するように制御する、
通信装置である。
【0012】
また、本明細書で開示する技術の第4の側面は、
自分宛ての無線信号の送信に使用する無線資源を決定するための無線資源決定規則を選択するステップと、
前記選択した無線資源決定規則に関する制御情報を含んだ無線信号の送信に使用する無線資源を決定するステップと、
前記決定した無線資源を使用して前記無線信号を送信するステップと、
を有する通信方法である。
【発明の効果】
【0013】
本明細書で開示する技術によれば、無線資源決定規則に従って送信時刻及び送信周波数を決定しつつ、送信周期を変更することが可能な通信装置及び通信方法を提供することができる。
【0014】
なお、本明細書に記載された効果は、あくまでも例示であり、本明細書で開示する技術によりもたらされる効果はこれに限定されるものではない。また、本明細書で開示する技術が、上記の効果以外に、さらに付加的な効果を奏する場合もある。
【0015】
本明細書で開示する技術のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する実施形態や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は無線システム内の時間の構成例を示した図である。
図2図2は、擬似乱数系列生成器を示した図である。
図3図3は、図2に示した擬似乱数系列生成器に初期値を設定して擬似乱数系列を生成する様子を示した図である。
図4図4は、擬似乱数系列生成器で得られたビット系列からGrid番号を決定する方法を示した図である。
図5図5は、図2に示した擬似乱数系列生成器で送信周波数決定用の擬似乱数系列を新たに生成する様子示した図である。
図6図6は、擬似乱数系列生成器で新たに生成した8ビットの系列から各タイムスロットの送信で使用する周波数を決定する方法を示した図である。
図7図7は、無線システムの構成例を示した図である。
図8図8は、端末100が基地局200に送信(アップリンク)する様子を示した図である。
図9図9は、アップリンク無線フレームの構成例を示した図である。
図10図10は、相関計算器のブロック図である。
図11図11は、図10に示した相関計算器の出力イメージを示した図である。
図12図12は、アップリンク無線資源コントロール信号のフレーム構成例を示した図である。
図13図13は、UL Resource Controlフィールドの構成例を示した図である。
図14図14は、基地局200及び端末100がそれぞれ送信する様子を示した図である。
図15図15は、無線システム内の通信シーケンス例を示した図である。
図16図16は、端末100の構成例を示した図である。
図17図17は、端末101の構成例を示した図である。
図18図18は、基地局200の構成例を示した図である。
図19図19は、端末が実行する処理手順を示したフローチャートである。
図20図20は、基地局200が実行する処理手順を示したフローチャートである。
図21図21は、第2の実施例で使用するUL Resource Controlフィールド1203の構成例を示した図である。
図22図22は、第3の実施例で使用するUL Resource Controlフィールド1203の構成例を示した図である。
図23図23は、第3の実施例で使用するUL Resource Controlフィールド1203の変形例を示した図である。
図24図24は、第4の実施例で使用するUL Resource Controlフィールド1203の変形例を示した図である。
図25図25は、第4の実施例で使用するUL Resource Controlフィールド1203の変形例を示した図である。
図26図26は、無線システムの一例を示したである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら本明細書で開示する技術の実施形態について詳細に説明する。
【0018】
送信周期とGPSから得られる時刻と端末IDから、所定の無線資源決定規則に従って端末のデータ送信時刻及び送信周波数を決定するという無線規格(前述)に従うと、無線システム内で端末がデータ(センサー情報など)を送信する周期が規定周期に限定されてしまうことになる。
【0019】
一方で、端末のデータ送信周期を変えたい場合がある。例えば、端末の電源投入後はより短い周期で送信を行うことで、データの到達確認を迅速に行うことが可能になる。また、端末でセンサー情報に急激な変化が生じている場合には、通常よりも短い周期で基地局に送信を行いたい場合もある。また、顧客からの要望に応じて、一時的にデータの収集周期を変更したい場合もある。
【0020】
そこで、本明細書では、所定の無線資源決定規則に従って端末のデータ送信時刻及び送信周期を決定することで、端末と基地局間での制御情報のやり取りを不要としつつ、端末のデータ送信周期を適宜変更可能な無線システムに関する技術について、以下で提案する。本明細書で提案する技術によれば、複数の無線資源決定規則を規定しておき、端末は必要とされる無線資源決定規則を選択してデータ送信を行うことが可能である。
【実施例1】
【0021】
第1の実施例について、以下の順番で説明する。
【0022】
A.GPS時刻を利用した無線資源決定規則
B.GPS時刻を利用した無線資源決定規則に基づくデータ送受信方法
C.課題
D.提案方法
【0023】
A.GPS時刻を利用した無線資源決定規則
図26には、本実施形態で想定している無線システムの一例を示している。図示の無線システムは、1台の基地局200と、その基地局からの信号の受信可能範囲に存在する端末100及び端末101からなる。同図中、基地局100と端末100及び101の各々からの信号の受信可能範囲をそれぞれ点線で囲って示している。各端末100及び101は、例えばセンサー機能を搭載したIoTデバイスであり、取得したセンサー情報を含むデータを基地局200に送信する。
【0024】
図面の簡素化のため、基地局200の受信可能範囲に2台の端末しか描いていないが、実際には3台以上若しくは多数の端末が受信可能範囲内に収容されていることが想定される。後述するように、基地局200は、データ量の少ない制御情報をダウンリンク送信して、受信可能範囲内の端末を制御する。基地局は、データ量が少ない制御情報を、ビット当たりの送信エネルギーを大きくして送信することができる。この結果、制御情報の長距離通信を実現し易く、基地局は遠方の端末を含めて制御可能である。また、端末にとっては、制御情報の受信時間が短いので、低消費電力化を実現することができる。
【0025】
基地局200及び各端末100及び101にはGPS受信機が搭載されており、GPS信号を受信することで、時刻情報を取得して、それぞれ装置内の内部時計を同期するものとする。まず以下では、GPS受信機から得られるGPS時刻を用いて端末が送信する時刻及び周波数を決定する無線資源決定規則について説明する。
【0026】
A-1.送信時刻の決定
図1には、本実施形態に係る無線システム内の時間の構成例を示している。同図に示すように、無線システム内では、時間は所定長のスーパーフレーム(Superframe:SP)に分割され、各スーパーフレームは複数(図示の例では4個)のタイムスロット(Time Slot:TS)に分割され、各タイムスロットはさらに複数(図示の例では8個)のグリッド(Grid)に分割される。なお、以下ではスーパーフレームの通し番号をSP番号と呼ぶことにする。
【0027】
A-1-1.送信するSP番号及びSP開始時刻
まず、GPS時刻から現在のSP番号と、そのSP番号のスーパーフレームの開始時刻を決定する。GPS信号から取得したGPS時刻をtとする。GPS時刻から得られる時刻は、1980年1月6日0時0分0秒を基準としたものである。ここでは秒単位として考える。また、スーパーフレーム区間の長さはSPdurationとする。スーパーフレーム区間の長さは無線システムとして事前に決定する。このとき、スーパーフレーム区間の通し番号であるSP番号をnとし、番号nのスーパーフレームの開始時刻をSP(n)start-timeとすると、下式(1)及び(2)のように決定することができる。なお、演算子div()は割り算の商を示している。
【0028】
【数1】
【0029】
【数2】
【0030】
上式(1)及び(2)によれば、GPS時刻tをスーパーフレーム区間SPdurationで割り算した商を通し番号とするスーパーフレームSP(n)の開始時刻SP(n)start-timeは、nとスーパーフレーム区間長を乗算した値ということになる。例えば、SPduration=20秒、GPS時刻=105秒のとき、n=5及びSP(5)start-time=100秒となる。
【0031】
次に、端末が送信することができるSP番号を決定する。これには、事前に割り当てられる送信周期(Period)と、当該端末に固有の情報として端末識別子(ID)を用いて決定する。端末固有の情報である端末IDを用いて決定するため、同一送信周期であっても、端末毎に異なるSP番号が割り当てられる。
【0032】
ここで、秒単位で表される送信周期Periodを、スーパーフレームの数、すなわちSP番号の間隔(m)に変換する。具体的には、下式(3)に従って、事前に割り当てられた送信周期Periodをスーパーフレーム区間長SPdurationで割算した商を、SP番号の間隔mとする。
【0033】
【数3】
【0034】
次に、端末毎にSP番号を変えるために、下式(4)に従ってオフセット値moftを計算する。但し、下式(4)中の演算子mod()は割算の余りを示している。すなわち、端末IDをSP番号の間隔mで割り算した余りが、その端末のオフセット値moftとなる。
【0035】
【数4】
【0036】
そして、上記のオフセット値moftを用いて、端末が送信することができるSP番号(n)を決定する。具体的には、下式(5)を満たすSP番号(n)のときに、端末は送信を行うことができる。すなわち、オフセット値moftを加算した値が送信周期に相当するSP番号の間隔(m)で割り切れるSP番号(n)のスーパーフレームで、端末は送信を行うことができる。
【0037】
【数5】
【0038】
例えば、SPduratoin=20秒、GPS時刻=105秒、送信周期3分(180秒)、端末識別子がID=1のとき、m=9、moft=1となり、SP番号がn=8、17、26、…のときに、端末は送信が可能となる。したがって、SPdurationが20秒であるから、160秒(n=8)、340秒(n=17)、520秒(n=26)と、送信周期3分(180秒)毎に、端末に送信機会が割り当てられていることになる。
【0039】
A-1-2.スーパーフレーム内の送信開始時刻(Grid決定)
次に、上記で決定したSP番号のスーパーフレーム内での送信時間を決定する。スーパーフレーム内は、複数のタイムスロット(TS)に分割されている。図1に示す例では、1スーパーフレームは4つのタイムスロットに分割されている。端末は、各タイムスロットにおいて、繰り返し送信を行うものとする。繰り返し送信は、端末が同一のデータを複数回送ることであり、これによって通信の成功率を高めることができ、長距離通信を実現することが可能となる。繰り返し送信は、スーパーフレーム内のタイムスロットの数だけ実施される。スーパーフレーム内のタイムスロットが1つでもよいが、この場合には繰り返し送信は行われない。
【0040】
各タイムスロットにおける送信開始時刻は、該当するスーパーフレームの開始時刻と、スーパーフレーム内のタイムスロット数で決定することが可能である。n番目のスーパーフレームSP(n)におけるタイムスロットの分割数をnTSとして、スーパーフレーム内のk番目のタイムスロットTS(k)の開始時刻TS(k)start-time in SP(n)は、下式(6)に従って決定される。但し、kは0乃至(nTS-1)の整数であり、図1に示す例ではnTS=4である。
【0041】
【数6】
【0042】
タイムスロット内にはgridと呼ばれる送信開始時刻が複数規定されている。図1に示す例では、タイムスロット毎にgrid(0)~grid(7)の8か所の開始時刻が規定されている。端末が送信を行うgridは、擬似乱数系列を用いて決定する。
【0043】
図2には、擬似乱数系列の生成器の一例を示している。これは一般的なPN(Pseudorandom Numbers)系列の生成器の1つを示している。図2に示す生成器を用いて疑似乱数系列を生成する方法について説明しておく。
【0044】
最初に、生成器に初期値を設定する。初期値は、図2中の四角の箱で示される遅延素子の初期値として設定する0/1のビットを指す。図2に示す例では、1~24までの遅延素子で構成されているので、24ビットの初期値を設定することになる。このような疑似乱数系列生成器では、初期値が異なると生成される疑似乱数系列が異なるものになる(若しくは、同じ初期値からは必ずその値に基づく決まった値が出力される)、という特性がある。
【0045】
初期値を設定した後、生成器のクロックを1つ動かすことで、出力(OUTPUT)が1ビット出力される。つまり、図2中の遅延素子1に設定された値が出力される。同時に出力は、図2中の線で結ばれた箇所に提供される。図2中の丸に乗算記号×を書いたものは、排他的論理和(XOR)の論理演算を示している。例えば、出力は遅延素子2の出力とXORを計算し、遅延素子1に蓄えられる。以下、同様に必要な演算を行い各遅延素子の値を更新する。順次クロックを動かすことで必要な長さの出力ビットを得ることが可能となる。
【0046】
各端末が送信を行うgridを決めるため、図2に示す疑似乱数系列の初期値に端末IDとSP番号を設定して、12ビットの疑似乱数系列を生成する。図3には、図2に示した擬似乱数系列生成器の初期値に端末IDとSP番号を設定して擬似乱数系列を生成する様子を示している。図3に示す例では、SP番号nを256で割った余り8ビットに端末IDの16ビットを連結した計24ビットを初期値として設定している。その後、クロックを12回だけ動かして、12ビットの疑似乱数系列を生成する。
【0047】
図3に示したように擬似乱数系列生成器が端末ID及びSP番号に基づく初期値から生成した12ビットを利用して、Grid番号を決定する。図4には、擬似乱数系列生成器で得られた12ビットの系列からGrid番号を決定する方法を示している。図4に示す例では、12ビットを3ビット毎の4つのグループに分割し、それぞれの3ビットを10進数に変換したものを、TS(0)、TS(1)、TS(2)、及びTS(3)の各タイムスロット(TS)で送信するGrid番号として決定する。
【0048】
なお、図2に示した疑似乱数系列生成器が使用する遅延素子が24個なので、端末IDとSP番号の一部(SP番号nを256で割った余り8ビット)を初期値とした。但し、より多い遅延素子で構成される疑似乱数系列生成器を使用することで、より長い端末IDやSP番号を初期値として用いることが可能である。また、図1に示す例では、スーパーフレーム内のタイムスロット数が4つ、タイムスロット内のGrid数が8つなので、12ビットの系列からGrid番号を決定したが、タイムスロット数、タイムスロット内のGrid数が異なる場合でも、図2に示した擬似乱数系列生成器を用いて必要な長さの疑似乱数を生成することで対応可能である。
【0049】
A-2.送信周波数の決定
無線システムとして利用可能な周波数チャネルの数をnFとする。ここではnF=4として説明する。図1に示した例では、1スーパーフレーム内で4回(1タイムスロット毎に1回)の送信を行うので、その4回の送信に使用する送信周波数を決定する例について説明する。
【0050】
図3に示した疑似乱数系列の生成方法において、送信時刻(タイムスロット内のGrid番号)を決定するために生成した12ビットの後に、さらに8ビットの疑似乱数系列を生成する。この様子を図5に示しており、新たに生成した疑似乱数系列が13~20の8ビットである。そして、図6には、擬似乱数系列生成器で新たに生成した8ビットの系列から各タイムスロットの送信で使用する周波数を決定する方法を示している。nF=4なので、図6に示す例では、8ビットを2ビットずつ、4つに分割して、各2ビットを10進数に変換した値を送信周波数番号とする。周波数番号は、実際に送信する場合の搬送波周波数の中心周波数に対応している。
【0051】
なお、上記の説明では、利用できる周波数の数が4つ(nF=4)の場合なので2ビットずつ、1スーパーフレーム内のタイムスロットが4つなので4つのグループで計8ビットから決定しているが、利用できる周波数やタイムスロットの数に応じて必要な長さの疑似乱数系列を生成することで拡張可能である。
【0052】
上記のように、GPS時刻及び端末IDに基づいて、端末が固定周期(Period)で送信する場合の送信時刻と送信周波数を決定することが可能となる。GPS時刻を利用していることと、端末IDを利用していることから、端末毎に異なる時刻、周波数を割り当てることが可能であり、また送信する時刻によって異なる時刻、周波数を割り当てることが可能となる。
【0053】
なお、本明細書では詳細な説明を省略するが、基地局も同様に、GPS時刻及びIDに基づいて、基地局が固定周期で送信する場合の送信時刻と送信周波数を決定することができるものとする。
【0054】
B.GPS時刻を利用した無線資源決定規則に基づくデータ送受信方法
続いて、図7に示すように、端末100と基地局200とサーバ300からなる無線システムにおいて、端末100と基地局200間でデータを送受信する方法について説明する。但し、図7では、説明の簡素化のため、端末100、基地局200、及びサーバ300をそれぞれ1台ずつしか描いていないが、各々が複数台存在する無線システムも想定し得る。
【0055】
図8には、端末100が基地局200に送信(アップリンク)する様子を示している。但し、同図において、縦軸は周波数、横軸は時間を示すものとする。また、横軸を点線で分割した各区間は各スーパーフレームの区間を示し、軸を点線で分割した各領域は周波数チャネルを示している。例えば、端末100の送信は、上記A項で説明した無線資源決定規則に基づいて、送信周期(図8中のPeriod)毎にスーパーフレーム内で4回の繰り返し送信が行われる。図8に示す例では、f0~f3の4つの周波数チャネルが無線フレームの送信に使用され、各々の周波数チャネルにホッピングしながら互いに異なる送信タイミングで無線フレームの送信が実施されている。図8中、端末100が送信するアップリンク信号を白い箱で示している。
【0056】
図9には、端末100が送信するアップリンク無線フレームの構成例を示している。図示の無線フレームは、プリアンブル(Preamble)901とペイロード(Payload)902からなる。
【0057】
プリアンブル901は、アップリンク固有のパターンからなる。受信側(例えば、基地局200)では、プリアンプルの固有パターンと受信信号との相関を計算することで無線フレームの検出を行う。無線フレームの検出方法の詳細については後述に譲る。
【0058】
ペイロード902は、IDフィールド903と、DATAフィールド904と、CRCフィールド905を含んでいる。
【0059】
IDフィールド903には、当該アップリンク無線フレームを送信する端末の識別子(端末ID)が格納される。また、DATAフィールド904には、センサー情報などの送信データが格納される。
【0060】
CRCフィールド905には、IDフィールド903及びDATAフィールド904の各々に格納される値に基づいて計算されるCyclic Redundancy Code(巡回冗長符号)の値が格納される。
【0061】
受信側(例えば、基地局200)では、受信したIDフィールド903及びDATAフィールド904の各々に格納される値に基づいてCRCの値を再計算して、受信したCRCフィールド905の値と一致するか否かによって当該無線フレームの受信に成功したか失敗したかを判定することができる。
【0062】
アップリンク無線フレームの送信側である端末100は、ID、DATA、及びCRCの各値に対して誤り訂正やインターリーブなどの信号処理を施してから、ペイロード902内のIDフィールド903、DATAフィールド904、及びCRCフィールド905にそれぞれ格納する。
【0063】
なお、誤り訂正は、通信路の耐雑音性能を高めるための信号処理であり、本実施形態ではLDPC(Low Density Parity Check)や畳み込み符号など一般的な信号処理を想定している。誤り訂正では、入力信号に対して冗長な情報を付加することで耐雑音性を高めているので、一般的に入力長よりも出力長が長くなる。また、インターリーブはバースト的な雑音の影響を軽減するため、あらかじめデータの順番を並び替える処理である。
【0064】
続いて、図9に示したアップリンク無線フレームを受信側で検出する方法について説明する。既に述べたように、プリアンプルの固有パターンと受信信号との相関を計算することで無線フレームの検出を行う。
【0065】
図10には、相関計算器1000のブロック図を示している。「INPUT」は、受信信号(但し、デジタル変換後)である。受信信号は、サンプル毎に1サンプル遅延を行う遅延素子(図10中、「D」と書かれたブロック)1001~1004に入力される。図10中、C4、C3、C2、C1からなるビット系列が既知のプリアンプルパターンである。各遅延素子1001~1004の出力とC4、C3、C2、及びC1との乗算をそれぞれ乗算器1011~1014で行い、それらの乗算結果の加算を図10中で「SUM」と書かれた加算ブロック1005内で計算する。そして、「OUTPUT」がプリアンプルの固有パターンと受信信号との相関値である。図10ではプリアンブルが4ビット長の例を示しているが、より長いプリアンブルパターンを用いる場合も、図10の構成を拡張して適用することが可能である。
【0066】
図11には、図10に示した相関計算器1000が計算した相関値OUTPUTの出力イメージを示している。但し、横軸を時間軸とし、縦軸を時刻毎に相関計算器1000で計算された相関値OUTPUTとする。相関値OUTPUTは、受信信号が既知のプリアンブルパターンと一致したタイミングで大きな値となり、タイミングがずれたときには小さい値となる。そして、図11中の相関値OUTPUTがピークとなる時刻が無線フレームの受信タイミングとすることで、無線フレームの検出を行うことが可能である。また、相関値OUTPUTの最大となる値は受信電力の強さである。
【0067】
基地局200では、端末100からのアップリンク無線フレームの受信を行う場合には、上述した無線資源決定規則を使って受信すべきタイミング及び周波数を計算して、受信動作を行う。無線フレームを受信すべきタイミングは、無線資源決定規則によりあらかじめ算出することができるが、実際の無線伝搬では距離に応じた遅延が生じるため、上述したようにプリアンプルを使った無線フレーム検出を行い、正確な受信タイミングを検出する。このようにして検出されたアップリンク無線フレームを加算し、復調処理(誤り訂正やインターリーブに対応する信号処理)を行い、CRCを確認することで受信の成功失敗を判断する。
【0068】
図7に示す無線システムにおいて、基地局200は、端末100からのアップリンク無線フレームの受信に成功したと判定した場合には、受信信号から取得したIDとDATAをサーバ300に報告する。
【0069】
C.課題
上述したように、無線システム内では、端末が固定周期で送信する場合の送信時刻と送信周波数を、無線資源決定規則に従いGPS時刻及び端末IDに基づいて決定することが可能となる。したがって、端末100と基地局200間での制御情報のやり取りを行うことなく、端末100から基地局200へのアップリンク送信を開始することができる。
【0070】
一方で、端末のデータ送信周期を変えたい場合がある。例えば、端末の電源投入後はより短い周期で送信を行うことで、データの到達確認を迅速に行うことが可能になる。また、端末でセンサー情報に急激な変化が生じている場合には、通常よりも短い周期で基地局に送信を行いたい場合もある。また、顧客からの要望に応じて、一時的にデータの収集周期を変更したい場合もある。
【0071】
無線資源決定規則に従いGPS時刻及び端末IDに基づいて決定する上記の方法では、無線システム内で端末がデータを送信する周期が規定周期に限定されてしまうという問題がある。
【0072】
D.提案方法
上記C項で述べた課題を解決するために、本実施例では、端末のデータ送信周期を変更可能にするために、GPS時刻及び端末IDに基づいて無線フレームの送信時刻及び送信周波数を決定するための無線資源決定規則を複数定義する。
【0073】
例えば、基準の送信周期であるものや、より送信周期が短いものなどを規定するとともに、異なる送信周期毎に無線資源決定規則を複数定義して、規則毎に通し番号を付ける。例えば、基準の送信周期に対して無線資源決定規則1を定義し、より短い送信周期に対して無線資源決定規則2を追加して定義する。
【0074】
また、本実施例では、基地局200が周期的に送信するアップリンク無線資源コントロール信号を送信することを定義する。アップリンク無線資源コントロール信号には、基準となる無線資源決定規則(例えば、無線資源決定規則1)以外に、利用可能な無線資源決定規則の番号を記載する。
【0075】
端末は通常、基準となる無線資源決定規則(例えば、無線資源決定規則1)に従ってデータ(センサー情報)の送信を行い、アップリンク無線コントロール信号を受信する必要はない。また、端末は、上述した理由などにより送信周期を変更したい場合にはアップリンク無線資源コントロール信号を受信して、利用可能な無線資源決定規則を確認し、利用可能な場合に別の無線資源決定規則(例えば無線資源決定規則2)に従って送信時刻及び送信周波数を決定してデータの送信を行う。このようにすることで、端末のデータ送信周期を変更することが可能となる。
【0076】
D-1.複数の無線資源決定規則の定義
端末から基地局へデータを送信するアップリンクにおいて、基準の送信周期(Period)に対して基準の無線資源決定規則が定義されるとともに、基準の送信周期とは異なる(より短い)送信周期に対して新たに無線資源決定規則が定義される。基準の送信周期とは異なる複数の送信周期を使用する場合には、各々の送信周期に対してそれぞれ異なる無線資源決定規則が定義される。基準の送信周期に対して定義された無線資源決定規則を「基準無線資源決定規則」とし、新たに定義される無線資源決定規則を「追加無線資源決定規則」とする。追加無線資源決定規則が複数定義される場合には、追加無線資源決定規則1、追加無線資源決定規則2、…のように、通し番号を付けて区別する。
【0077】
基準無線資源決定規則に対して設定される基準の送信周期は、例えば端末購入時など初期契約時に決定するデフォルトの送信周期であり、例えば10分とする。以下では、基準無線資源決定規則の送信周期をPeriod(Def)とも表記する。契約内容などに応じて、端末毎(若しくは、端末の種類毎、端末の購入者毎であってもよい)に異なる送信周期を割り当ててもよい。
【0078】
また、基準の送信周期より短い、2つの送信周期を追加して規定する場合、各々の追加の送信周期を例えばPeriod(1)、Period(2)とも表記する。また、Period(1)に対して定義される無線資源決定規則を追加無線資源決定規則1、Period(2)に対して定義される無線資源決定規則を追加無線資源決定規則2とも表記する。
【0079】
D-2.基地局動作
本実施例では、基準の送信周期よりも短い、1以上の送信周期を追加して規定するとともに、送信周期毎に追加無線資源決定規則を定義する。そして、基地局200は、自局において利用可能な追加無線資源決定規則に関する情報を記載したアップリンク無線資源コントロール信号を周期的に送信する。
【0080】
基地局200も、端末100と同様に所定の無線資源決定規則に従って、GPS時刻及びIDに基づいて、基地局200が固定周期で(ダウンリンク)送信する場合の送信時刻と送信周波数を決定する。そして、基地局200は、決定した送信時刻及び送信周波数を使って、アップリンク無線資源コントロール信号を周期的に送信する。
【0081】
基地局200が当該信号を送信する周期を、Period(DL)とも表記する。Period(DL)は、30分など無線システムにおいて固有の値とする。また、IDは無線システム固有の値とする。基地局200の配下の端末100も、無線システム固有のIDは既知であり、したがって端末100側も、所定の無線資源決定規則に従って、基地局200からのダウンリンク信号の送信時刻及び送信周波数を把握することができる。
【0082】
D-2-1.アップリンク無線資源コントロール信号の無線フレーム
図12には、アップリンク無線資源コントロール信号のフレーム構成例を示している。図示の無線フレームは、プリアンブル(Preamble)1201とペイロード(Payload)1202からなる。
【0083】
プリアンブル1201は、アップリンク固有のパターンからなる。受信側(例えば、端末100)では、プリアンプルの固有パターンと受信信号との相関を計算することで無線フレームの検出を行う。無線フレームの検出方法は上記と同様なので(例えば、図10及び図11を参照のこと)、ここでは詳細な説明を省略する。
【0084】
ペイロード1202は、UL Resource Controlフィールド1203と、CRCフィールド1204を含んでいる。
【0085】
図13には、UL Resource Controlフィールド1203の構成例を示している。UL Resource Controlフィールド1203には、アップリンク送信方法を決定する追加無線資源決定規則の利用可否を示すフラグ(0/1)が記載されている。例えば、基準無線資源決定規則以外に2つの無線資源決定規則が追加して定義されている場合には、各追加無線資源決定規則の利用可否をそれぞれ示すために、2ビットの利用可否フラグが用意されている。そして、追加無線資源決定規則が利用可能な場合には1が、利用できない場合には0が、対応する利用可否フラグに記載される。
【0086】
CRCフィールド1204には、UL Resource Controlフィールド1203に格納される値に基づいて計算されるCRCの値が格納される。受信側(例えば、端末100)では、受信したUL Resource Controlフィールド1203に格納される値に基づいてCRCの値を再計算して、受信したCRCフィールド1204の値と一致するか否かによって当該無線フレームの受信に成功したか失敗したかを判定することができる(同上)。
【0087】
なお、アップリンク無線資源コントロール信号に記載されたUL Resource Controlで許可される追加無線資源決定規則には、有効期間を設定できるものとする。例えば、有効期間を1時間として無線システムで規定する。
【0088】
D-2-2.アップリンクリソースコントロール情報の設定方法
続いて、基地局200がUL Resource Controlの情報を設定する方法について説明する。
【0089】
基地局200には、複数の端末が接続する前提で、その処理能力が設計されている。しかしながら、実際に接続する端末は、基地局200の受信エリアに存在する端末に限定される。したがって、基地局200の処理能力には余剰分が存在する場合がある。基地局200は、この余剰能力に基づいて、追加の無線資源決定規則を許可するかどうかを決定する。例えば、より短い送信周期の無線資源決定規則を追加で許可すると、基地局200はその分だけ処理能力が必要になる。このため、基地局200は、余剰分の範囲内で、追加無線資源決定規則を許可するかどうかを判定する。追加無線資源決定規則の有効期間毎に、基地局200の余剰能力の範囲内で、新たに追加無線資源決定規則を許可するようにすればよい。
【0090】
D-3.端末動作
図14には、基地局200及び端末100がそれぞれ送信する様子を示している。但し、同図において、縦軸は周波数、横軸は時間を示すものとする。また、横軸を点線で分割した各区間は各スーパーフレームの区間を示し、軸を点線で分割した各領域は周波数チャネルを示している。
【0091】
端末100は、基本的には、デフフォルトの送信周期Period(Def)で、基準無線資源決定規則に従ってGPS時刻及び端末IDに基づいて決定される送信時刻及び送信周波数を使って、アップリンク信号(例えば、図9に示した無線フレーム)を送信する。また、基地局200も、所定の無線資源決定規則に従って、固定周期Period(DL)で、GPS時刻と無線システム雇用のIDに基づいて決定される送信時刻及び送信周波数を使って、アップリンク無線資源コントロール信号(図12を参照のこと)を含むダウンリンク信号を送信する。図14に示す例では、f0~f3の4つの周波数チャネルが無線フレームの送信に使用され、各々の周波数チャネルにホッピングしながらアップリング並びにダウンリンクの無線フレームの送信が実施されている。図14中、基地局200が送信するアップリンク無線資源コントロール信号を黒い箱で示すとともに、端末100が送信するアップリンク信号を白い箱で示している。
【0092】
端末100は、通常は、デフフォルトの送信周期Period(Def)で、基準無線資源決定規則に従って決定する送信時刻及び送信周波数を使って無線フレームを送信する。
【0093】
一方で、端末100は、上述した利用により送信周期を変えたい(より短くしたい)場合がある。このような場合、端末100は、基地局200が周期的に送信するアップリンク無線資源コントロール信号を受信して、端末100は、受信したアップリング無線資源コントロール信号に記載されているUL Resource Controlの情報を確認する。そして、追加無線資源決定規則が許可されており、且つ、端末100自身がその追加無線資源規則で決まる送信周期で無線フレームを送信したい場合には、端末100は、基準無線資源決定規則からその追加無線資源決定規則に切り替える。例えば、追加無線資源決定規則1に切り替えた場合には、端末100は、図14中のPeriod(1)の送信周期で送信を行うことが可能になる。
【0094】
アップリンク無線資源コントロール信号に記載されているUL Resource Controlの情報(若しくは、追加無線資源決定規則)には有効期間が設定されている。このため、端末100は、一度アップリンク無線資源コントロール信号を受信した後、有効期間(例えば、1時間)の間は、アップリンク無線資源コントロール信号を受信することなく、許可された追加無線資源決定規則を使用し続けることが可能である。その後、有効期間が経過したら(若しくは、経過する前に)、端末100は、再度アップリンク無線資源コントロール信号を受信して、UL Resource Controlの情報を再確認することで、有効期間の延長、すなわち追加無線資源決定規則の継続的使用が可能である。
【0095】
図15には、無線システム内の通信シーケンス例を示している。ここでは、基地局200に2台の端末100及び101が同時に接続していることを想定している。但し、端末100は基準無線資源決定規則に従って通常動作する端末を表し、端末101はアップリンク無線資源コントロール信号を受信して送信周期を変更する端末を表している。また、説明の簡素化のため、サーバ300の図示を省略している。
【0096】
端末100は、アップリンク信号を複数回繰り返し送信する(SEQ1501)。ここでは、周波数チャネルf0~f3を周波数ホッピングしながら4回、アップリンク信号を送信することを想定している。アップリンク信号は、例えば図9に示した無線フレームからなる。
【0097】
その後、端末100は、基準無線資源決定規則に従い、且つ、デフォルトの送信周期Period(Def)で、同様にアップリンク信号の送信のみを行い(SEQ1502、SEQ1503、SEQ1504)、基地局200からのダウンリンク信号を受信しない。
【0098】
基地局200は、端末100から4回繰り返し送信されるアップリンク信号を受信する。図8にも示したように、端末100は、4つの周波数チャネルf0~f3を使って、同じアップリンク信号を繰り返し送信する。基地局200は、受信可能ないずれか1つの周波数チャネルを使ってアップリンク信号を受信し、あるいは2以上の周波数チャネルで受信したアップリンク信号を合成して、信号の受信精度を高めることができる。
【0099】
また、基地局200は、現在の余剰能力を考慮して、許可できる追加無線資源決定規則を決定して(SEQ1521)、その決定結果に基づくUL Resource Controlの情報を記載したアップリンク無線資源コントロール信号をダウンリンク送信する(SEQ1522)。
【0100】
他方、端末101は、上述したいずれかの理由により送信周期の変更要求が発生する(SEQ1511)。端末101は、この送信周期変更要求に応答して、基地局200からのアップリンク無線資源コントロール信号を受信するために、所定の無線資源決定規則に従って、GPS時刻及び無線システム固有のIDに基づいて、ダウンリンク信号の送信時刻及び送信周波数を計算する(SEQ1512)。そして、端末101は、算出した送信時刻及び送信周波数にて、基地局200からのアップリンク無線資源コントロール信号を受信する(SEQ1513)。
【0101】
端末101は、アップリンク無線資源コントロール信号に記載されているUL Resource Controlの情報を確認して、所望の送信周期Period(x)となる追加無線資源決定規則を選択する(SEQ1514)。そして、端末101は、選択した追加無線資源決定規則に従って、GPS時刻及び端末101のIDに基づいてアップリンク信号の送信時刻及び送信周波数を再計算する(SEQ1515)。
【0102】
その後、端末101は、送信周期Period(x)毎に、再計算した送信時刻及び送信周波数を使って、無線フレームをアップリンク送信する(SEQ1516、SEQ1517、SEQ1518、…)。
【0103】
D-4.端末の構成(1)
図16には、端末100の構成例を模式的に示している。端末100は、基準無線資源決定規則に従って通常動作する端末である。端末100は、センサー情報取得部1601と、フレーム生成部1602と、無線送信部1603と、GPS受信部1604と、無線資源決定部1605と、無線制御部1606を備えている。
【0104】
センサー情報取得部1601は、端末100に装備されたセンサー(若しくは、端末100からセンサー情報を取得可能なセンサー)から、アップリンク送信すべきセンサー情報を選択して取得する。
【0105】
フレーム生成部1602は、センサー情報取得部1601が取得したセンサー情報などのデータをDATAフィールドに含んだ、アップリンクの無線フレームを生成する。無線フレームの構成については図9を参照されたい。
【0106】
無線送信部1603は、無線制御部1606が制御する送信時刻及び送信周波数で、フレーム生成部1602が生成した無線フレームの無線送信を行う。
【0107】
GPS受信部1604は、GPS衛星からのGPS信号を受信して、時刻情報と位置情報を取得する。GPS受信部1604は、取得した時刻情報を無線資源決定部1605に提供する。また、センサー情報として端末100自身の位置情報を無線フレームで送信する場合には、GPS受信部1604で取得した位置情報を、フレーム生成部1602に提供する。
【0108】
無線資源決定部1605は、基準無線資源決定規則に従って、GPS受信部1604から提供される時刻情報(GPS時刻)と、端末100自身の端末IDに基づいて、無線フレームの送信時刻及び送信周波数を決定して、無線制御部1606に渡す。
【0109】
無線制御部1606は、無線資源決定部1605から指示される送信時刻及び送信周波数で無線送信を行うように、無線送信部1603による無線信号の送信動作を制御する。
【0110】
端末100は、IoTデバイスであることを想定しているが、必要に応じて図16に示した以外の構成要素を備えていてもよい。
【0111】
D-5.端末の構成(2)
図17には、端末101の構成例を模式的に示している。端末101は、アップリンク無線資源コントロール信号を受信して送信周期を変更する端末である。端末101は、センサー情報取得部1701と、フレーム生成部1702と、無線送信部1703と、GPS受信部1704と、無線資源決定部1705と、無線制御部1706と、無線受信部1707と、検出部1708と、フレーム合成部1709と、フレーム復調部1710と、データ取得部1711を備えている。
【0112】
センサー情報取得部1701と、フレーム生成部1702と、無線送信部1703と、GPS受信部1704と、無線資源決定部1705と、無線制御部1706に関しては、図16に示した端末100内の同一名の構成要素であるが、同様の動作に関しては詳細な説明を省略する。
【0113】
無線受信部1707は、無線制御部1706から指示される時刻及び周波数で無線信号を受信し、ベースバンド信号に変換する。
【0114】
検出部1708は、プリアンプルの固有パターンと受信信号との相関を計算することで無線フレームの検出を行う。無線フレームの検出方法は既に説明した通りである。
【0115】
フレーム合成部1709は、繰り返し送信される無線フレームを合成する。フレーム復調部1710は、合成後の受信信号に対して誤り訂正などの信号処理を実行し、さらにCRCを確認して、無線フレームの受信に成功したか否かを判定する。以下では、無線フレームの受信に成功したことを想定して説明し、受信に失敗した場合の動作については説明を省略する。
【0116】
データ取得部1711は、受信した無線信号が基地局200からのアップリンク無線資源コントロール信号である場合に、UL Resource Controlの情報を取得して、無線資源決定部1705に渡す。
【0117】
無線資源決定部1705は、端末101においてULの送信周期を変更したい場合には、基準無線資源決定規則に従って、GPS受信部1704から提供される時刻情報(GPS時刻)と、無線システム固有のIDに基づいて、基地局200からのダウンリンク信号(アップリンク無線資源コントロール信号)の受信時刻及び受信周波数を決定して、無線制御部1706に渡す。また、無線資源決定部1705は、端末101においてULの送信周期を変更したい場合には、データ取得部1711から渡されたUL Resource Controlの情報を確認して、所望の送信周期となる追加無線資源決定規則を選択する。そして、無線資源決定部1705は、選択した追加無線資源決定規則に従って、GPS時刻及び端末101のIDに基づいてアップリンク信号の送信時刻及び送信周波数を再計算して、無線制御部1706に渡す。
【0118】
無線制御部1706は、追加無線資源決定規則に従って再計算された送信時刻及び送信周波数で無線送信を行うように、無線送信部1703による無線信号の送信動作を制御する。
【0119】
なお、ULの送信周期を変更する必要がない場合には、端末101は、基地局200からのダウンリンク信号(アップリンク無線資源コントロール信号)の受信動作を行わない。また、ULの送信周期を変更する必要がない場合の無線資源決定部1705の動作は、図16に示した端末100内の無線資源決定部1605の動作と同様であるものとする。
【0120】
端末101は、IoTデバイスであることを想定しているが、必要に応じて図17に示した以外の構成要素を備えていてもよい。
【0121】
D-6.基地局の構成
図18には、基地局200の構成例を模式的に示している。基地局200は、無線受信部1801と、フィルタ1802と、検出部1803と、フレーム合成部1804と、フレーム復調部1805と、データ取得部1806と、サーバ通信部1807と、受信端末ID取得部1808と、GPS受信部1809と、アップリンク(UL)用無線資源決定部1810と、ダウンリンク(DL)用無線資源決定部1811と、追加無線資源決定規則選択部1812と、フレーム生成部1813と、無線送信部1814と、無線制御部1815を備えている。
【0122】
無線受信部1801は、無線システムで使用するすべての周波数を受信するように動作する。
【0123】
フィルタ1802は、無線受信部1801で取得したすべての周波数が含まれるデータから、周波数チャネル毎に情報を取り出す。図18に示す例では、フィルタ1802は、周波数毎に設けられた複数(N個)のフィルタ(BPF)1802-1、…、1802-Nで構成される。但し、Nは無線システムで利用できる周波数であり、上記のf0~f3の4つの周波数チャネルを使用する場合はN=4である。
【0124】
検出部1803は、プリアンプルの固有パターンと受信信号との相関を計算して、無線フレームの検出を行う。図18に示す例では、N個のフィルタ1802-1、…、1802-Nの各々に対応して、N個の検出部1803-1、…、1803-Nが配設されている。各複数(N個)のフィルタ(BPF)1802-1、1802-2、…、1802-Nから出力される周波数チャネル毎の受信信号に対して無線フレームの検出処理を行う。
【0125】
フレーム合成部1804は、各周波数チャネルで繰り返し送信される無線フレームを合成する。
【0126】
フレーム復調部1805は、合成後の受信信号に対して誤り訂正などの信号処理を実行し、さらにCRCを確認して、無線フレームの受信に成功したか否かを判定する。受信する無線フレームは、端末100及び端末101の各々から送信されるアップリンク信号であり、図9に示したフレーム構成を備えているものとする。以下では、無線フレームの受信に成功したことを想定して説明し、受信に失敗した場合の動作については説明を省略する。
【0127】
データ取得部1806は、復調された無線フレームのペイロードから、IDとDATAを取り出して、サーバ通信部1807を介してサーバ(図示しない)へ報告する。
【0128】
サーバ通信部1807は、インターネットなどの一般的な広域回線を介してサーバ(図示しない)との通信を行う。
【0129】
受信端末ID取得部1808は、サーバ通信部1807を介して、基地局200で受信すべき端末IDのリストをサーバ(図示しない)から取得して、受信すべき端末IDをUL用無線資源決定部1810と追加無線資源決定規則選択部1812に提供する。
【0130】
GPS受信部1809は、GPS衛星からのGPS信号を受信して、時刻情報と位置情報を取得する。GPS受信部1809は、取得した時刻情報をUL用無線資源決定部1810及びDL用無線資源決定部1811に提供する。
【0131】
UL用無線資源決定部1810は、GPS受信部1809から提供される時刻情報(GPS時刻)と受信すべき端末IDから、アップリンク信号を受信すべき時刻及び周波数を計算して、各検出部1803-1、…、1803-Nとフレーム合成部1804に指示を出す。
【0132】
DL用無線資源決定部1811は、GPS受信部1809から提供される時刻情報(GPS時刻)と無線システム固有のIDから、ダウンリンク信号(アップリンク無線資源コントロール信号)の送信時刻及び送信周波数を決定して、無線制御部1815に渡す。
【0133】
追加無線資源決定規則選択部1812は、受信端末ID取得部1808から受信すべき端末IDを取得すると、各端末IDに該当する端末101に対して追加無線資源決定規則として許可するものを選択する。追加無線資源決定規則選択部1812は、アップリンク無線フレームを受信すべき端末台数などに応じた余剰能力に基づいて、追加の無線資源決定規則を許可するかどうかを決定する。例えば、余剰能力が十分な場合には、より短い送信周期の無線資源決定規則を追加で許可する。
【0134】
フレーム生成部1813は、アップリンク無線資源コントロール信号などのダウンリンク信号の無線フレームを生成する。アップリンク無線資源コントロール信号の無線フレームは、例えば図12に示したフレーム構成であり、アップリンク送信方法を決定する追加無線資源決定規則の利用可否を示すUL Resource Controlフィールドを含む。
【0135】
無線送信部1814は、無線制御部1815が制御する送信時刻及び送信周波数で、フレーム生成部1813が生成した無線フレームの無線送信を行う。
【0136】
無線制御部1815は、無線受信部1801に対して、無線システムで使用するすべての周波数で無線信号を受信するように制御する。また、無線制御部1815は、無線送信部1814に対して、DL用無線資源決定部1811が決定した送信時刻及び送信周波数でダウンリンク信号(アップリンク無線資源コントロール信号)の無線送信を行うように制御する。
【0137】
D-7.端末の処理手順
図19には、端末が実行する処理手順をフローチャートの形式で示している。ここで言う端末は、基準無線資源決定規則に従って通常動作する端末100と、送信周期を変更する端末101の双方を含むものとする。
【0138】
まず、端末は、基準無線資源決定規則を使用するかどうかをチェックする(ステップS1901)。
【0139】
端末が基準無線資源決定規則に従って通常動作する端末100の場合、若しくは、端末101であるが送信周期を変更する利用がない場合には、基準無線資源決定規則を使用することを決定する(ステップS1901のYes)。
【0140】
この場合、端末は、センサー情報を取得して(ステップS1902)、センサー情報をペイロードのDATAフィールドに記載したアップリンク無線フレーム(図9を参照のこと)を生成する(ステップS1903)。また、端末は、基準無線資源決定規則に従って、GPS時刻及び端末IDに基づいて送信時刻及び送信周波数を決定する(ステップS1904)。
【0141】
そして、端末は、デフォルトの送信周期で、ステップS1903において生成した無線フレームを、ステップS1904で決定した無線資源を使ってアップリンク送信する(ステップS1905)。
【0142】
また、端末が送信周期を変更する端末101であって、上述した理由などにより送信周期を変更したい場合には、基準無線資源決定規則を使用しないことを決定する(ステップS1901のNo)。
【0143】
この場合、まず端末は、追加無線資源決定規則を取得しているか、並びに取得している場合にはその追加無線資源決定規則は有効期間内かどうかをチェックする(ステップS1906)。
【0144】
そして、有効な追加無線資源決定規則を保持している場合には(ステップS1906のYes)、端末は、基地局200からのアップリンク無線資源コントロール信号を再受信する必要がないかどうかをさらにチェックする(ステップS1907)。
【0145】
現在保持している追加無線資源決定規則に対応する送信周期のままでよい場合、あるいはデフォルトの送信周期Period(Def)でよい場合には、端末は、アップリンク無線資源コントロール信号を再受信する必要がないと判定する(ステップS1907のYes)。
【0146】
この場合、端末は、センサー情報を取得し(ステップS1902)、センサー情報をペイロードのDATAフィールドに記載したアップリンク無線フレーム(図9を参照のこと)を生成する(ステップS1903)。また、端末は、有効期間内の追加無線資源決定規則(若しくは、基準無線資源決定規則)に従い、GPS時刻及び端末IDに基づいて送信時刻及び送信周波数を決定して(ステップS1904)、その無線資源を使って無線フレームをアップリンク送信する(ステップS1905)。
【0147】
また、端末が有効期間内の追加無線資源決定規則を保持していない場合(ステップS1906のNo)、又は、アップリンク無線資源コントロール信号を再受信する場合(よりも短い送信周期に変更したい場合など)には(ステップS1907のNo)、端末は、GPS時刻と無線システム固有のIDに基づいてダウンリンク信号(アップリンク無線資源コントロール信号)の送信時刻及び送信周波数を決定して(ステップS1908)、基地局200からのアップリンク無線資源コントロール信号の受信を試みる(ステップS1909)。
【0148】
そして、アップリンク無線資源コントロール信号の受信に成功した場合には(ステップS1910のYes)、端末は、受信信号からUL Resource Controlの情報を取得して(ステップS1911)、利用可能と示されている追加無線資源決定規則の中から所望の送信周期に該当するものの選択を試みる(ステップS1912)。
【0149】
端末は、いずれかの追加無線資源決定規則を選択した場合には(ステップS1912のYes)、その後、センサー情報を取得し(ステップS1902)、センサー情報をペイロードのDATAフィールドに記載したアップリンク無線フレーム(図9を参照のこと)を生成する(ステップS1903)。また、端末は、ステップS1912で選択した追加無線資源決定規則に従い、GPS時刻及び端末IDに基づいて送信時刻及び送信周波数を決定して(ステップS1904)、その無線資源を使って無線フレームをアップリンク送信する(ステップS1905)。
【0150】
アップリンク無線資源コントロール信号の受信に失敗した場合には(ステップS1910のYes)、端末は、アップリンク無線資源コントロール信号の受信を停止するかどうかを決定する(ステップS1913)。
【0151】
アップリンク無線資源コントロール信号の受信を継続する場合には(ステップS1913のNo)、ステップS1908に戻り、端末は、地局200からのアップリンク無線資源コントロール信号の受信を繰り返し試みる。
【0152】
また、アップリンク無線資源コントロール信号の受信を停止する場合(ステップS1913のYes)、並びに、利用可と示されている追加無線資源決定規則の中からいずれも選択しなかった場合には(ステップS1912のNo)、端末は、基準無線資源決定規則を使用するかどうかを決定する(ステップS1914)。
【0153】
端末は、基準無線資源決定規則を使用することを決定した場合には(ステップS1914のYes)、センサー情報を取得し(ステップS1902)、センサー情報をペイロードのDATAフィールドに記載したアップリンク無線フレーム(図9を参照のこと)を生成する(ステップS1903)。そして、端末は、基準無線資源決定規則に従い、GPS時刻及び端末IDに基づいて送信時刻及び送信周波数を決定して(ステップS1904)、その無線資源を使って無線フレームをアップリンク送信する(ステップS1905)。
【0154】
また、端末は、基準無線資源決定規則を使用しない決定した場合には(ステップS1914のNo)、無線フレームのアップリンク送信を実施することなく、本処理を終了する。
【0155】
D-8.基地局の処理手順
図20には、基地局200が実行する処理手順をフローチャートの形式で示している。
【0156】
まず、無線制御部1815は、端末100又は端末101からのアップリンク無線フレームの受信、又はアップリンク無線資源コントロール信号のダウンリンク送信のいずれを行うかを決定する(ステップS2001)。
【0157】
ステップS2001で、アップリンク無線フレームの受信を行うことを決定した場合には、UL用無線資源決定部1810は、GPS時刻と受信すべき端末IDに基づいて、アップリンク無線フレームの送信時刻及び送信周波数を決定して(ステップS2002)、検出部1803とフレーム合成部1804に指示を出し、ステップS2002で決定した送信時刻及び送信周波数にてアップリンク無線フレームを受信して(ステップS2003)、本処理を終了する。
【0158】
一方、ステップS2001で、アップリンク無線資源コントロール信号の送信を行うことを決定した場合には、追加無線資源決定規則選択部1812は、現在の余剰能力などに応じて、自局に接続している端末101に対して追加無線資源決定規則として許可するものを選択する(ステップS2004)。
【0159】
そして、フレーム生成部1813は、ステップS2004で選択した追加無線資源決定規則の利用が許可されることを示すUL Resource Controlの情報を含んだアップリンク無線資源コントロール信号の無線フレームを生成する(ステップS2005)。
【0160】
次いで、DL用無線資源決定部1811は、GPS時刻と無線システム固有のIDから、アップリンク無線資源コントロール信号の送信時刻及び送信周波数を決定する(ステップS2006)。
【0161】
次いで、無線送信部1814は、無線制御部1815からの指示に従って、ステップS2006で決定した送信時刻及び送信周波数を使って、アップリング無線資源コントロール信号のダウンリンク送信を行って(ステップS2007)、本処理を終了する。
【実施例2】
【0162】
第1の実施例では、基地局200が許可した追加無線資源決定規則の中から端末100(若しくは、端末101)が任意に選択することができる。図12に示したアップリンク無線資源コントロール信号のペイロード1202内のUL Resource Controlフィールド1203には、追加無線資源決定規則の利用可否を示すフラグ(0/1)が記載されている(図13を参照のこと)。そして、端末は、フラグに1が記載され、利用可であることが示された追加無線資源決定規則を任意に選択することができる。
【0163】
これに対し、第2の実施例では、基地局200が端末の送信周期を意図的に変更する。
【0164】
図21には、第2の実施例で使用するUL Resource Controlフィールド1203の構成例を示している。同図では、基準無線資源決定規則以外に2つの無線資源決定規則が追加して定義されていることを想定している。各追加無線資源決定規則の利用可否をそれぞれ示すために、ビット0及びビット1の2ビットの利用可否フラグが用意されている。そして、各追加無線資源規則を選択する自由度をそれぞれ示すために、ビット2及びビット3の2ビットの選択自由度フラグがさらに追加されている。
【0165】
例えば、端末101が切り替えを希望する追加無線資源決定規則1が利用可能(ビット0=1)で、ビット2=0(selective)の場合には、端末は追加無線資源決定規則1を自由に選択することができる。また、追加無線資源決定規則1が利用可能(ビット0=0)で、ビット2=1(forced)の場合には、端末は追加無線資源決定規則1を選択しなければならない。後者の場合、基地局200は、端末に対して特定の追加無線資源決定規則の選択を強制し、その結果、必然的にセンサー情報の送信周期を変更させることができる。
【0166】
例えば、基地局200は、サーバ300からの指示に基づいて、端末の送信周期を一時的に変更したい場合に、図21に示すようなUL Resource Controlの情報を使って、端末の送信周期を意図的に変更するようにしてもよい。サーバ300が端末の送信周期の変更を指示するか否かは、例えば端末(若しくは、端末の所有者)との契約などに基づいて判断される。
【0167】
第2の実施例に係る無線システムにおいても、基地局200と端末100、端末101の間では、図15に示したものと同様の通信シーケンスに従って、ダウンリンク送信及びアップリンク送信が行われるものとする。また、端末100及び端末101はそれぞれ図19に示した処理手順に従って通信動作を行うことができ、基地局200は図20に示した処理手順に従って通信動作を行うことができるものとする。
【0168】
本実施例において、基地局200が端末100(若しくは、端末101)の送信周期を意図的に変更する場合、図19に示したフローチャート中のステップS1912において、端末は、UL Resource Controlの情報の利用可否フラグで利用可と示されている追加無線資源決定規則の選択自由度フラグをさらに参照して、いずれの追加無線資源決定規則を選択するかをチェックことになる。
【0169】
また、本実施例において、基地局200が端末100(若しくは、端末101)の送信周期を意図的に変更する場合、図20に示したフローチャート中のステップS2004において、基地局200は、自局に接続している端末に対して追加無線資源決定規則として許可するものを選択するとともに、許可した各追加無線資源決定規則の選択自由度(すなわち、selecttive又はforcedのいずれであるか)を決定することになる。そして、続くステップS2005では、アップリンク無線資源コントロール信号に格納するUL Resource Controlの情報として、利用可否フラグとともに選択自由度フラグを記載することになる。
【実施例3】
【0170】
第2の実施例では、基地局200が端末の送信周期を意図的に変更することができる。しかしながら、送信周期の変更を行うすべての端末に対して一律に送信周期の変更を強制してしまうことになる。
【0171】
これに対し、第3の実施例では、基地局200に接続している端末を複数のグループに分け、グループ単位で端末の送信周期を意図的に変更するようにする。
【0172】
図22には、第3の実施例で使用するUL Resource Controlフィールド1203の構成例を示している。但し、端末には、端末毎の端末IDとは別にグループ番号が付与されているものとする。また、各端末がグループ1~3の3グループに分けられているものとする。
【0173】
図22では、基準無線資源決定規則以外に2つの無線資源決定規則が追加して定義されていることを想定している。各追加無線資源決定規則の利用可否をそれぞれ示すために、ビット0及びビット1の2ビットの利用可否フラグが用意されている。また、各追加無線資源規則を選択する自由度をそれぞれ示すために、ビット2及びビット3の2ビットの選択自由度フラグが追加されている。そして、端末のグループ毎に、このUL Resource Controlの情報が利用可能か否かを示す、ビット4~6の3ビットのグループ利用可否フラグがさらに追加されている。
【0174】
例えば、端末101が切り替えを希望する追加無線資源決定規則1が利用可能(ビット0=1)で、ビット2=0(selective)の場合には、端末は追加無線資源決定規則1を自由に選択することができる。また、追加無線資源決定規則1が利用可能(ビット0=0)で、ビット2=1(forced)の場合には、端末は追加無線資源決定規則1を選択しなければならない。
【0175】
また、端末がグループ1に属する場合には、さらにビット4を参照して、このUL Resource Controlの情報が利用可能か否かを確認する。ビット4=1であれば、端末はこのUL Resource Controlの情報が利用可能であり、ビット0とビット2の組み合わせに基づいて追加無線資源決定規則1を任意に又は強制的に選択し、又はビット1とビット3の組み合わせに基づいて追加無線資源決定規則2を任意に又は強制的に選択する。また、ビット4=0であれば、そもそも端末が属するグループ1はこのUL Resource Controlの情報を利用することができないので、端末は追加無線資源決定規則1及び追加無線資源決定規則2にいずれにも切り替えることができない。同様に、ビット5及びビット6は、それぞれグルーブ2及びグループ3に属する端末がこのUL Resource Controlの情報が利用可能か否かを指定する。
【0176】
また、図23には、第3の実施例で使用するUL Resource Controlフィールド1203の変形例を示している。但し、各端末がグループ1~3の3グループに分けられ、グルーブ毎に端末IDとは異なるグループ番号が付与されているものとする(同上)。
【0177】
図23では、基準無線資源決定規則以外に2つの無線資源決定規則が追加して定義されていることを想定している。各追加無線資源決定規則の利用可否をそれぞれ示すために、ビット0及びビット1の2ビットの利用可否フラグが用意されている。さらに、端末のグループ毎に、このUL Resource Controlの情報が利用可能か否かを示す、ビット2~5の3ビットのグループ利用可否フラグが追加されている。但し、図22に示した構成例とは相違し、UL Resource Controlフィールド1203には各追加無線資源規則を選択する自由度を示す選択自由度フラグは含まれていない。
【0178】
例えば、端末101が切り替えを希望する追加無線資源決定規則1が利用可能(ビット0=1)で、端末がグループ1に属する場合には、さらにビット2を参照して、このUL Resource Controlの情報が利用可能か否かを確認する。ビット2=1であれば、端末はこのUL Resource Controlの情報が利用可能であり、ビット0の値に基づいて追加無線資源決定規則1を選択することができる。また、ビット2=0であれば、端末が属するグループ1はこのUL Resource Controlの情報を利用することができないので、端末は追加無線資源決定規則1及び追加無線資源決定規則2にいずれにも切り替えることができない。同様に、ビット3及びビット4は、それぞれグルーブ2及びグループ3に属する端末がこのUL Resource Controlの情報が利用可能か否かを指定する。
【0179】
第3の実施例に係る無線システムにおいても、基地局200と端末100、端末101の間では、図15に示したものと同様の通信シーケンスに従って、ダウンリンク送信及びアップリンク送信が行われるものとする。また、端末100及び端末101はそれぞれ図19に示した処理手順に従って通信動作を行うことができ、基地局200は図20に示した処理手順に従って通信動作を行うことができるものとする。
【0180】
本実施例において、基地局200が端末100(若しくは、端末101)の送信周期を意図的に変更する場合、図19に示したフローチャート中のステップS1912において、端末は、UL Resource Controlの情報の利用可否フラグで利用可と示されている追加無線資源決定規則の選択自由度フラグを参照するとともに、グループ利用可否フラグをさらに参照して、自端末が属するグループの利用が許可されているかどうかを確認してから、追加無線資源決定規則を選択する必要がある。
【0181】
また、本実施例において、基地局200が端末100(若しくは、端末101)の送信周期を意図的に変更する場合、図20に示したフローチャート中のステップS2004において、基地局200は、利用を許可する追加無線資源決定規則を選択し、許可した各追加無線資源決定規則の選択自由度を決定するとともに、端末グループ毎に追加無線資源決定規則の利用を許可するか否かを決定することになる。そして、続くステップS2005では、アップリンク無線資源コントロール信号に格納するUL Resource Controlの情報として、各追加無線資源決定規則の利用可否フラグ及び選択自由度フラグとともにグループ利用可否フラグを記載することになる。
【実施例4】
【0182】
各端末に複数のセンサーが搭載されていることがある(若しくは、各端末のセンサー情報取得部1701が複数のセンサーからのセンサー情報を取得できることがある)。他方、各端末からのセンサー情報を集計するサーバ300側では、すべてのセンサー情報を必要としない場合もある。不要なセンサー情報をアップリンク無線フレーム(図9を参照のこと)のDATAフィールド904に載せると、その分だけフレーム長が長くなり、無線資源を無駄に使用することになる。また端末は、無駄なデータを送信する分だけ消費電力を浪費することになる。
【0183】
そこで、第4の実施例では、センサー毎にセンサー番号を付与して、端末がアップリンク無線フレームで報告すべきセンサー情報の種別をUL Resource Controlで指定することを可能にする。また、基地局200に接続している端末を複数のグループに分け、端末毎の端末IDとは別にグループ番号を付与して、端末がアップリンク無線フレームで報告すべきセンサー情報の種別をグループ単位で指定することも可能である。
【0184】
付言すれば、基地局200(若しくは、基地局を管理下に置くサーバ300)は、端末100から収集するセンサー情報の種別を、時間毎に切り替えるようにしてもよい。例えば、昼間と夜間、晴天時と雨天時などに応じてセンサー情報の種別を切り替える、という無線システムの運用も考えられる。
【0185】
図24には、第4の実施例で使用するUL Resource Controlフィールド1203の構成例を示している。但し、各端末がグループ1~3の3グループに分けられ、グルーブ毎に端末IDとは異なるグループ番号が付与されているものとする(同上)。また、センサー毎にセンサー番号が付与されているものとする(前述)。
【0186】
図24では、基準無線資源決定規則以外に2つの無線資源決定規則が追加して定義されていることを想定している。各追加無線資源決定規則の利用可否をそれぞれ示すために、ビット0及びビット1の2ビットの利用可否フラグが用意されている。また、各追加無線資源規則を選択する自由度すなわち、selecttive又はforcedのいずれであるか)をそれぞれ示すために、ビット2及びビット3の2ビットの選択自由度フラグが追加されている。また、端末のグループ毎に、このUL Resource Controlの情報が利用可能か否かを示す、ビット4~6の3ビットのグループ利用可否フラグが追加されている。そして、端末のグループ毎に、アップリンク無線フレームで報告すべきセンサー情報の種別を指定する、ビット7~9の3ビットのセンサー種別フラグがさらに追加されている。
【0187】
例えば、端末101が切り替えを希望する追加無線資源決定規則1が利用可能(ビット0=1)で、ビット2=0(selective)の場合には、端末は追加無線資源決定規則1を自由に選択することができる。また、追加無線資源決定規則1が利用可能(ビット0=0)で、ビット2=1(forced)の場合には、端末は追加無線資源決定規則1を選択しなければならない。
【0188】
また、端末がグループ1に属する場合には、さらにビット4を参照して、このUL Resource Controlの情報が利用可能か否かを確認する。ビット4=1であれば、端末はこのUL Resource Controlの情報が利用可能であり、ビット0とビット2の組み合わせに基づいて追加無線資源決定規則1を任意に又は強制的に選択し、又はビット1とビット3の組み合わせに基づいて追加無線資源決定規則2を任意に又は強制的に選択する。
【0189】
また、グループ1に属する端末は、さらにビット7を参照して、ビット7=0であればセンサー#1のセンサー情報をDATAフィールド904に格納すべきであることを認識し、ビット7=1であればセンサー#2のセンサー情報をDATAフィールド904に格納すべきであることを認識する。
【0190】
他方、ビット4=0であれば、そもそも端末が属するグループ1はこのUL Resource Controlの情報を利用することができないので、端末は追加無線資源決定規則1及び追加無線資源決定規則2にいずれにも切り替えることができない。同様に、グループ#2及びグループ#3に属する端末はそれぞれビット8及び9を参照して、センサー#1及びセンサー#2載せセンサー情報をDATAフィールド904に格納すべきであるかどうかを認識する。
【0191】
また、図25には、第5の実施例で使用するUL Resource Controlフィールド1203の変形例を示している。但し、各端末がグループ1~3の3グループに分けられ、グルーブ毎に端末IDとは異なるグループ番号が付与され、且つ、センサー毎にセンサー番号が付与されているものとする(同上)。
【0192】
図25では、基準無線資源決定規則以外に2つの無線資源決定規則が追加して定義されていることを想定している。各追加無線資源決定規則の利用可否をそれぞれ示すために、ビット0及びビット1の2ビットの利用可否フラグが用意されている。そして、端末のグループ毎に、アップリンク無線フレームで報告すべきセンサー情報の種別を指定する、ビット2~4の3ビットのセンサー種別フラグがさらに追加されている。但し、図24に示した構成例とは相違し、UL Resource Controlフィールド1203には、各追加無線資源規則を選択する自由度を示す選択自由度フラグと、端末のグループ毎の利用可否フラグは含まれていない。
【0193】
例えば、端末101が切り替えを希望する追加無線資源決定規則1が利用可能(ビット0=1)で、端末がグループ1に属する場合には、さらにビット2を参照して、アップリンク無線フレームで報告すべきセンサー情報の種別を確認する。そして、ビット2=0であればセンサー#1のセンサー情報をDATAフィールド904に格納すべきであることを認識し、ビット2=1であればセンサー#2のセンサー情報をDATAフィールド904に格納すべきであることを認識する。
【0194】
第4の実施例に係る無線システムにおいても、基地局200と端末100、端末101の間では、図15に示したものと同様の通信シーケンスに従って、ダウンリンク送信及びアップリンク送信が行われるものとする。また、端末100及び端末101はそれぞれ図19に示した処理手順に従って通信動作を行うことができ、基地局200は図20に示した処理手順に従って通信動作を行うことができるものとする。
【0195】
本実施例において、基地局200が端末100(若しくは、端末101)の送信周期を意図的に変更する場合、図19に示したフローチャート中のステップS1912において、端末は、UL Resource Controlの情報の利用可否フラグで利用可と示されている追加無線資源決定規則の選択自由度フラグ及びグループ毎の利用可否フラグをさらに参照して、追加無線資源決定規則を選択する必要がある。そして、ステップS1902でセンサー情報を取得し、又はステップS1903でアップリンク無線フレームを生成する際には、センサー種別フラグを参照して、自端末が属するグループに指定されたセンサー情報をDATAフィールド904に格納する。
【0196】
また、本実施例において、基地局200が端末100(若しくは、端末101)の送信周期を意図的に変更する場合、図20に示したフローチャート中のステップS2004において、基地局200は、利用を許可する追加無線資源決定規則を選択し、許可した各追加無線資源決定規則の選択自由度を決定するとともに、端末グループ毎の追加無線資源決定規則の利用の可否及びセンサー種別を決定することになる。そして、続くステップS2005では、アップリンク無線資源コントロール信号に格納するUL Resource Controlの情報として、各追加無線資源決定規則の利用可否フラグ及び選択自由度フラグとともに、各グループの利用可否フラグ及びセンサー種別フラグを記載することになる。
【0197】
ここまで、本明細書で提案する技術に関する4つの実施例について説明してきたが、最後に、本明細書で提案する技術がもたらす効果についてまとめておく。
【0198】
(1)本明細書で提案する技術によれば、無線システムにおいて、異なる送信周期毎に無線資源決定規則を複数定義し、端末は、基地局が許容する無線資源決定規則の中で所望する送信周期に対応するものに切り替えることで、送信周期の切り替えを行うことができる。無線システム内では、基地局が、追加した無線資源決定規則に関する情報を含んだ制御情報をダウンリンク送信する。また、無線システム内で、制御情報を受信することなく送信が可能な端末と、必要に応じて制御情報を受信し、適切な無線資源決定規則を選択して送信が可能な端末とが共存することができる。
【0199】
(2)無線資源決定規則は、例えばGPS時刻と端末IDに基づいて端末毎に異なる無線資源を決定する方法を定めたものである。また、制御情報は、無線システムで送信周期毎に定義される複数の無線資源決定規則の利用可否をフラグなどで示す情報を含む、短いデータ長からなる。端末は、所望の送信周期に対応する無線資源決定規則に切り替えることにより、送信周期を変更しつつ、端末毎に異なる無線資源を決定することが可能である。
【0200】
(3)基地局からダウンリンク送信される制御情報は、各追加無線資源決定規則を選択の自由度を示す選択自由度フラグや、端末のグループ毎の追加無線資源決定規則の利用の可否を示すグループ利用可否フラグ、各グループが報告すべきセンサー情報の種別を示すセンサー種別フラグを含むこともある。いずれにせよ制御情報のデータ量は少ない。したがって、端末の受信時間を短くすることができ、端末の低消費電力化を実現することができる。
【0201】
(4)基地局は、データ量が少ない制御情報を、ビット当たりの送信エネルギーを大きくして送信することができる。この結果、制御情報の長距離通信を実現し易く、基地局は遠方の端末を含めて制御可能である。
【0202】
(5)基地局は、制御情報において、各無線資源決定規則の利用可否や選択の自由度を指定することで、端末の送信周期を意図的に変更することができる。例えば、基地局は、自局の余剰能力の範囲内で端末の送信周期を変更するようにすることができる。
【0203】
(6)また、基地局は、制御情報において、端末のグループ毎に無線資源決定規則の利用可否や選択の自由度を指定することで、端末のグループ単位で端末の送信周期を意図的に変更することができる。
【0204】
(7)基地局は、制御情報において、端末が報告すべきセンサー情報の種別を指定することで、特定のセンサー情報のみを端末から収集するようにすることができる。また、基地局は、制御情報において、端末のグループ毎にセンサー情報の種別を指定することができる。例えば、端末は、グループ#1に属する端末からはセンサー#1のセンサー情報を収集すると同時に、グループ#2に属する端末からはセンサー#2のセンサー情報を収集することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0205】
以上、特定の実施形態を参照しながら、本明細書で開示する技術について詳細に説明してきた。しかしながら、本明細書で開示する技術の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施形態の修正や代用を成し得ることは自明である。
【0206】
本明細書で開示する技術は、主にIoT領域に適用して、端末の低消費電力化と、基地局の低価格化及び無線システム全体のコスト低減を実現することができる。もちろん、本明細書で提案する技術は、事前の制御情報のやり取りなしにデータ送信を行うことが必要とされる他のさまざまな無線システム、若しくは無線資源決定規則に基づいて端末のデータ送信時刻及び送信臭気を決定する他のさまざまな無線システムにも同様に適用することができ、端末のデータ送信周期を必要に応じて変更することが可能となる。
【0207】
要するに、例示という形態により本明細書で開示する技術について説明してきたのであり、本明細書の記載内容を限定的に解釈するべきではない。本明細書で開示する技術の要旨を判断するためには、特許請求の範囲を参酌すべきである。
【0208】
なお、本明細書の開示の技術は、以下のような構成をとることも可能である。
【0209】
(1)無線信号を送受信する通信部と、
前記通信部で使用する無線資源を決定する決定部と、
前記決定部が決定した無線資源に基づいて、前記通信部による無線信号の送受信動作を制御する制御部と、
を具備し、
前記決定部は、所望する送信周期に対応する無線資源決定規則に従って無線信号の送信に使用する無線資源を決定し、
前記制御部は、前記所望する送信周期で前記通信部から無線信号の送信を行うように制御する、通信装置。
【0210】
(2)前記決定部は、時刻情報と前記通信装置のIDに基づいて、前記通信部から無線信号を送信する時刻及び周波数を計算する、
上記(1)に記載の通信装置。
【0211】
(2-1)GPS信号を受信するGPS受信部をさらに備え、
前記決定部は、GPS時刻と前記通信装置のIDに基づいて、前記通信部から無線信号を送信する時刻及び周波数を計算する、
上記(2)に記載の通信装置。
【0212】
(3)送信周期毎の複数の無線資源決定規則が定義されており、
前記決定部は、所望の送信周期に対応する無線資源決定規則を選択する、
上記(1)又は(2)のいずれかに記載の通信装置。
【0213】
(4)センサー情報を取得する取得部をさらに備え、
前記制御部は、前記センサー情報を記載した前記無線信号の送信を行うように制御する、
上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の通信装置。
【0214】
(5)前記決定部は、前記通信部で受信した制御情報で利用が許可されていることが示された無線資源決定規則の中から選択した無線資源決定規則に従って無線信号の送信に使用する無線資源を決定する、
上記(1)乃至(4)のいずれかに記載の通信装置。
【0215】
(6)前記決定部は、前記制御情報で指定された無線資源決定規則を選択する、
上記(5)に記載の通信装置。
【0216】
(7)前記決定部は、前記制御情報で自分が属するグループに利用が許可されていることが示された無線資源決定規則を選択する、
上記(5)又は(6)のいずれかに記載の通信装置。
【0217】
(8)前記決定部は、前記制御情報で指定されたセンサー情報を記載した無線信号の送信を行うように制御する、
上記(5)乃至(7)のいずれかに記載の通信装置。
【0218】
(9)前記制御部は、送信周期を変更したいときに、前記制御情報を受信するように制御する、
上記(5)乃至(8)のいずれかに記載の通信装置。
【0219】
(10)少なくとも一部の無線資源決定規則には有効期間が設定されており、
前記制御部は、使用中の無線資源決定規則の有効期間が経過したときに、前記制御情報を受信するように制御する、
上記(5)乃至(9)のいずれかに記載の通信装置。
【0220】
(11)前記決定部は、時刻情報と無線システムのIDに基づいて、接続先の基地局から前記制御情報を受信する時刻及び周波数を計算する、
上記(5)乃至(10)のいずれかに記載の通信装置。
【0221】
(11-1)GPS信号を受信するGPS受信部をさらに備え、
前記決定部は、GPS時刻と前記無線システムのIDに基づいて、前記基地局から前記制御情報を受信する時刻及び周波数を計算する、
上記(11)に記載の通信装置。
【0222】
(12)制御情報に基づいて、使用する無線資源決定規則を決定するステップと、
無線資源決定規則に従って無線信号の送信に使用する無線資源を決定するステップと、
前記無線資源決定規則に対応する送信周期で前記無線信号を送信するステップと、
を有する通信方法。
【0223】
(13)無線信号を送受信する通信部と、
前記通信部で使用する無線資源を決定する決定部と、
前記決定部が決定した無線資源に基づいて、前記通信部による無線信号の送受信動作を制御する制御部と、
を具備し、
前記制御部は、自分宛ての無線信号の送信に使用する無線資源を決定するための無線資源決定規則に関する制御情報を含んだ無線信号を、前記決定部が決定した無線資源を使って送信するように制御する、
通信装置。
【0224】
(13-1)前記決定部は、時刻情報と無線システムのIDに基づいて、前記無線信号を送信する時刻及び周波数を計算する、
上記(13)に記載の通信装置。
【0225】
(13-2)GPS信号を受信するGPS受信部をさらに備え、
前記決定部は、GPS時刻と前記無線システムのIDに基づいて、前記無線信号を送信する時刻及び周波数を計算する、
上記(13-1)に記載の通信装置。
【0226】
(14)複数の無線資源決定規則が定義されており、
前記制御部は、各無線資源決定規則の利用可否に関する情報を記載した前記制御情報を送信するように制御する、
上記(13)に記載の通信装置。
【0227】
(15)前記制御部は、前記複数の無線資源決定規則の各々の選択の自由度に関する情報をさらに記載した前記制御情報を送信するように制御する、
上記(14)に記載の通信装置。
【0228】
(16)前記制御部は、端末のグループ毎に前記複数の無線資源決定規則の各々の利用の可否に関する情報をさらに記載した前記制御情報を送信するように制御する、
上記(14)又は(15)のいずれかに記載の通信装置。
【0229】
(17)前記制御部は、送信すべきセンサー情報の種別に関する情報をさらに記載した前記制御情報を送信するように制御する、
上記(14)乃至(16)のいずれかに記載の通信装置。
【0230】
(18)前記制御部は、所定の有効期間毎に前記制御情報を送信するように制御する、
上記(13)乃至(17)のいずれかに記載の通信装置。
【0231】
(19)異なる送信周期にそれぞれ対応した前記複数の無線資源決定規則が定義されており、
前記制御部は、自分の余剰能力に応じた各無線資源決定規則の利用可否に関する情報を記載した前記制御情報を送信するように制御する、
上記(13)乃至(18)のいずれかに記載の通信装置。
【0232】
(20)自分宛ての無線信号の送信に使用する無線資源を決定するための無線資源決定規則を選択するステップと、
前記選択した無線資源決定規則に関する制御情報を含んだ無線信号の送信に使用する無線資源を決定するステップと、
前記決定した無線資源を使用して前記無線信号を送信するステップと、
を有する通信方法。
【符号の説明】
【0233】
100…端末、101…端末、200…基地局、300…サーバ
1000…相関計算器、1001~1004…遅延素子
1005…加算ブロック、1011~1014…乗算器
1601…センサー情報取得部、1602…フレーム生成部
1603…無線送信部、1604…GPS受信部
1605…無線資源決定部、1606…制御部
1701…センサー情報取得部、1702…フレーム生成部
1703…無線送信部、1704…GPS受信部
1705…無線資源決定部、1706…制御部
1707…無線受信部、1708…検出部、1709…フレーム合成部
1710…フレーム復調部1711…データ取得部
1801…無線受信部、1802…フィルタ、1803…検出部
1804…フレーム合成部、1805…フレーム復調部
1806…データ取得部、1807…サーバ通信部
1808…受信端末ID取得部、1809…GPS受信部
1810…UL用無線資源決定部、1811…DL用無線資源決定部
1812…追加無線資源決定規則選択部、1813…フレーム生成部
1814…無線送信部、1815…無線制御部
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