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特許7521543物体認識装置、物体認識理方法、及び、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】物体認識装置、物体認識理方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20240717BHJP
   G06V 10/26 20220101ALI20240717BHJP
【FI】
G06T7/00 300Z
G06V10/26
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021574410
(86)(22)【出願日】2020-01-31
(86)【国際出願番号】 JP2020003712
(87)【国際公開番号】W WO2021152829
(87)【国際公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-07-08
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡延
(72)【発明者】
【氏名】鍋藤 悠
(72)【発明者】
【氏名】白石 壮馬
【審査官】鈴木 圭一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-040227(JP,A)
【文献】特開2008-287438(JP,A)
【文献】特開2007-299210(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00
G06V 10/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の特徴量と、各特徴量の特徴点を持つ物体とを関連付けたテーブルを記憶する記憶手段と、
入力画像から、複数の物体の物体領域を検出する物体領域検出手段と、
前記入力画像から、特徴点の特徴量を抽出する特徴量抽出手段と、
前記テーブルを参照し、前記物体領域に属する特徴点の特徴量に基づいて、認識対象の全物体を、当該物体領域に対応する物体候補に絞り込む絞り込み手段と、
前記物体領域に属する特徴点と、前記物体候補毎の特徴点とを照合して前記物体を認識し、照合結果を出力し、当該照合結果が0件であった場合には、前記物体候補に関連する物体である可能性があることを表示装置に表示する照合手段と、
を備える物体認識装置。
【請求項2】
前記絞り込み手段は、前記物体領域に属する特徴量毎に当該特徴量を有する物体の投票を行い、投票数が上位である複数の物体を前記物体候補と決定する請求項1に記載の物体認識装置。
【請求項3】
前記照合手段は、前記特徴点の照合により前記物体の外形を検出し、検出された外形が示す領域と、前記物体領域検出手段が検出した当該物体の物体領域とが所定量以上異なる場合には、当該物体についての認識結果を破棄する請求項1又は2に記載の物体認識装置。
【請求項4】
前記特徴量抽出手段は、前記物体領域の周囲の所定領域においても前記特徴量を抽出する請求項1乃至3のいずれか一項に記載の物体認識装置。
【請求項5】
前記照合手段は、前記物体領域の周囲の所定領域に存在する特徴点を含めて前記特徴点の照合を行う請求項1乃至4のいずれか一項に記載の物体認識装置。
【請求項6】
前記絞り込み手段は、前記物体領域に含まれる特徴点の一部を使用し、
前記照合手段は、前記物体領域に含まれる特徴点の全てを使用する請求項1乃至5のいずれか一項に記載の物体認識装置。
【請求項7】
前記絞り込み手段は、前記物体領域に含まれる特徴点の全てを使用し、
前記照合手段は、前記物体領域に含まれる特徴点の一部を使用する請求項1乃至5のいずれか一項に記載の物体認識装置。
【請求項8】
複数の物体の各々が有する特徴点の特徴量を取得し、前記特徴量を複数のグループに分類し、各グループに属する特徴量を有する物体を、当該特徴量に関連付けて前記テーブルを生成するテーブル生成手段を備える請求項1乃至7のいずれか一項に記載の物体認識装置。
【請求項9】
前記物体領域検出手段は、さらに、同じ段の他の物体領域矩形と比較して面積が大きく異なる物体領域矩形を誤検出として除去する請求項1に記載の物体認識装置。
【請求項10】
前記物体領域検出手段は、物体領域が検出されなかった領域の大きさが、同じ段で検出された物体領域が入る大きさである場合には、同じ段で検出された物体領域矩形と同じ大きさの矩形を前記大きさの空き領域に追加する請求項1に記載の物体認識装置。
【請求項11】
入力画像から、複数の物体の物体領域を検出し、
前記入力画像から、前記物体領域に属する特徴点の特徴量を抽出し、
複数の特徴量と、各特徴量の特徴点を持つ物体とを関連付けたテーブルを参照し、前記物体領域に属する特徴点の特徴量に基づいて、認識対象の全物体を、当該物体領域に対応する物体候補に絞り込み、
前記物体領域に属する特徴点と、前記物体候補毎の特徴点とを照合して前記物体を認識し、照合結果を出力し、当該照合結果が0件であった場合には、前記物体候補に関連する物体である可能性があることを表示装置に表示する物体認識方法。
【請求項12】
入力画像から、複数の物体の物体領域を検出し、
前記入力画像から、前記物体領域に属する特徴点の特徴量を抽出し、
複数の特徴量と、各特徴量の特徴点を持つ物体とを関連付けたテーブルを参照し、前記物体領域に属する特徴点の特徴量に基づいて、認識対象の全物体を、当該物体領域に対応する物体候補に絞り込み、
前記物体領域に属する特徴点と、前記物体候補毎の特徴点とを照合して前記物体を認識し、照合結果を出力し、当該照合結果が0件であった場合には、前記物体候補に関連する物体である可能性があることを表示装置に表示する処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影画像から物体を認識する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
店舗における在庫管理などの目的で、陳列棚にある商品の撮影画像から個々の商品を認識する手法が提案されている。特許文献1は、物体領域抽出機能と画像特徴量抽出機能により撮影画像の物体領域から画像特徴量を抽出し、DBサーバに登録している画像マスタと照合する事で、物体の特定と数量を取得する在庫管理システムを記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-40227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の手法では、撮影画像から抽出された特徴量を、多数の商品の画像マスタと照合する必要があるため、大量の商品を認識する場合に処理時間がかかってしまうという問題がある。
【0005】
本発明の1つの目的は、大量の物体を効率的に認識することが可能な物体認識手法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの観点は、物体認識装置であって、
複数の特徴量と、各特徴量の特徴点を持つ物体とを関連付けたテーブルを記憶する記憶手段と、
入力画像から、複数の物体の物体領域を検出する物体領域検出手段と、
前記入力画像から、特徴点の特徴量を抽出する特徴量抽出手段と、
前記テーブルを参照し、前記物体領域に属する特徴点の特徴量に基づいて、認識対象の全物体を、当該物体領域に対応する物体候補に絞り込む絞り込み手段と、
前記物体領域に属する特徴点と、前記物体候補毎の特徴点とを照合して前記物体を認識し、照合結果を出力し、当該照合結果が0件であった場合には、前記物体候補に関連する物体である可能性があることを表示装置に表示する照合手段と、を備える。
【0007】
本発明の他の観点は、物体認識方法であって、
入力画像から、複数の物体の物体領域を検出し、
前記入力画像から、前記物体領域に属する特徴点の特徴量を抽出し、
複数の特徴量と、各特徴量の特徴点を持つ物体とを関連付けたテーブルを参照し、前記物体領域に属する特徴点の特徴量に基づいて、認識対象の全物体を、当該物体領域に対応する物体候補に絞り込み、
前記物体領域に属する特徴点と、前記物体候補毎の特徴点とを照合して前記物体を認識し、照合結果を出力し、当該照合結果が0件であった場合には、前記物体候補に関連する物体である可能性があることを表示装置に表示する。
【0008】
本発明の他の観点は、プログラムであって、
入力画像から、複数の物体の物体領域を検出し、
前記入力画像から、前記物体領域に属する特徴点の特徴量を抽出し、
複数の特徴量と、各特徴量の特徴点を持つ物体とを関連付けたテーブルを参照し、前記物体領域に属する特徴点の特徴量に基づいて、認識対象の全物体を、当該物体領域に対応する物体候補に絞り込み、
前記物体領域に属する特徴点と、前記物体候補毎の特徴点とを照合して前記物体を認識し、照合結果を出力し、当該照合結果が0件であった場合には、前記物体候補に関連する物体である可能性があることを表示装置に表示する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、大量の物体を効率的に認識することが可能なとなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係る物体認識装置を示す。
図2】物体認識装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】物体認識装置の機能構成を示すブロック図である。
図4】商品画像の一例を示す。
図5】商品画像において抽出された特徴点を模式的に示す。
図6】商品画像から検出された物体領域の例を示す。
図7】ハッシュテーブルの例、及び、検索方法を示す。
図8】物体認識処理のフローチャートである。
図9】第2実施形態に係る物体認識装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
<第1実施形態>
[物体認識装置]
図1は、第1実施形態に係る物体認識装置を示す。物体認識装置100には、商品の画像が入力される。商品の画像は、例えば店舗の商品棚などを正面から撮影した画像であり、棚に陳列された複数の商品が含まれている。通常、商品棚には異なる種類の商品が陳列されており、物体認識装置100は個々の商品がどの商品であるかを認識し、認識結果を出力する。認識結果は、商品棚への商品の補充作業や、店舗での在庫管理などに利用される。なお、本発明の適用は商品画像には限定されず、例えば床に積まれた物体などの認識にも適用可能である。
【0012】
本実施形態では、認識対象の個々の商品について特徴量を示す特徴量ファイルを予め生成しておく。そして、物体認識装置100は、商品画像から抽出された特徴点と、特徴量ファイルに含まれる各商品の特徴量とを順に照合して、商品画像に含まれる商品がいずれの商品であるかを認識する。しかしながら、上記の照合処理は処理量が大きいため、商品画像の特徴点を特徴量ファイル内の全ての商品の特徴量と照合していると、処理時間が長くなってしまう。そこで、本実施形態では、特徴量に基づく絞り込み検索を行って照合処理の対象とする商品を減らしてから、実際の照合処理を行う。これにより、全体の処理時間を短縮する。
【0013】
[ハードウェア構成]
図2は、物体認識装置100のハードウェア構成を示すブロック図である。図示のように、物体認識装置100は、入力IF(InterFace)11と、プロセッサ12と、メモリ13と、記録媒体14と、データベース(DB)15と、入力装置16と、表示装置17と、出力装置18と、を備える。
【0014】
入力IF11は、データの入出力を行う。具体的に、入力IF11は、外部から商品画像を取得するとともに、その画像に基づいて物体認識装置100が生成した認識結果を出力する。
【0015】
プロセッサ12は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)などのコンピュータであり、予め用意されたプログラムを実行することにより、物体認識装置100の全体を制御する。特に、プロセッサ12は、後述する物体認識処理を行う。
【0016】
メモリ13は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などにより構成される。メモリ13は、プロセッサ12により実行される各種のプログラムを記憶する。また、メモリ13は、プロセッサ12による各種の処理の実行中に作業メモリとしても使用される。
【0017】
記録媒体14は、ディスク状記録媒体、半導体メモリなどの不揮発性で非一時的な記録媒体であり、物体認識装置100に対して着脱可能に構成される。記録媒体14は、プロセッサ12が実行する各種のプログラムを記録している。
【0018】
DB15は、入力IF11から入力されるデータを記憶する。具体的に、DB15には、商品画像が記憶される。また、DB15には、物体の認識に使用されるデータ、具体的には後述するデータベースファイルや特徴量ファイルが記憶される。
【0019】
入力装置16は、例えばキーボード、マウス、タッチパネルなどであり、物体認識装置100による処理に関連してユーザが必要な指示、入力を行う際に使用される。表示装置17は例えば液晶ディスプレイなどであり、物体認識結果が表示される。出力装置18は、物体認識結果を外部装置へ出力する。例えば、出力装置18は、ネットワークを介して、物体認識結果をPOS(Point Of Sale)端末などに出力してもよい。
【0020】
[機能構成]
図3は、物体認識装置100の機能構成を示すブロック図である。物体認識装置100は、画像取得部21と、特徴量抽出部22と、物体領域検出部23と、絞り込み検索部24と、特徴量ファイル記憶部25と、ハッシュテーブル生成部26と、特徴量ファイル読込部27と、照合部28と、を備える。
【0021】
画像取得部21は、商品画像を取得する。図4は、商品画像の一例を示す。商品画像は、例えば店舗の商品棚の撮影画像であり、複数種類の商品が含まれている。画像取得部21は、取得した商品画像を特徴量抽出部22に出力する。
【0022】
特徴量抽出部22は、商品画像から特徴量を抽出する。特徴量抽出部22は、商品画像から特徴点を検出し、その特徴点における特徴量を生成する。特徴量としては、例えばSIFT(Scale-Invariant Feature Transform)特徴量などを使用することができる。SIFT特徴量の場合、画像の平滑化などによりキーポイントと呼ばれる特徴点が検出され、各特徴点について輝度の勾配を示す128次元のベクトルの特徴量が抽出される。なお、SIFT特徴量は本実施形態で使用する特徴量の一例であり、これに限定されるものではない。図5は、商品画像において抽出された特徴点を模式的に示す。商品画像における商品上又は商品の近傍において特徴点Pが検出される。特徴量抽出部22は、商品画像と、抽出された特徴量に関する特徴量情報を物体領域検出部23に出力する。特徴量情報は、その商品画像における各特徴点の位置情報と、各特徴点の特徴量とを含む。
【0023】
物体領域検出部23は、商品画像から物体領域を検出する。物体領域は、個々の商品に対応する領域である。物体領域の検出は、例えばニューラルネットワークを用いた領域検出手法により行うことができる。図6は、商品画像から検出された物体領域の例を示す。物体領域の検出により、商品画像に含まれる個々の商品を囲む矩形の物体領域Rが検出される。物体領域検出部23は、特徴量情報と、物体領域情報とを絞り込み検索部24に出力する。物体領域情報は、商品画像に含まれる個々の商品に対応する物体領域Rの位置情報を含む。
【0024】
特徴量ファイル記憶部25は、特徴量ファイルを記憶している。特徴量ファイルは、物体認識装置100が認識対象とする多数の商品それぞれの特徴量を示す。認識対象となる商品については、予めその撮影画像に基づいて上述のような特徴量抽出処理を行い、その商品が有する特徴量情報が生成されている。即ち、個々の商品について、その商品が有する複数の特徴点の位置情報、及び、各特徴点の特徴量が特徴量ファイルとして生成され、特徴量ファイル記憶部25に記憶されている。
【0025】
ハッシュテーブル生成部26は、特徴量ファイルからハッシュテーブルを生成する。図7(A)はハッシュテーブルの例を示す。ハッシュテーブル生成部25は、商品画像から得られた各特徴量をキーとして所定のハッシュ関数に入力してハッシュ値を生成し、各ハッシュ値をインデックスとする配列を作成する。図7(A)の例では、ハッシュ関数により各特徴量を「0」~「6」のハッシュ値に変換し、それらをインデックスとする配列ft[0]~ft[6]を作成している。そして、配列ft[0]~ft[6]に対して、その配列に分類される特徴量を有する商品を値として割り当てる。図7(A)の例では、ハッシュ値が「0」となる特徴量を有する商品A、D、Fが配列ft[0]の値に割り当てられている。同様に、ハッシュ値が「1」となる特徴量を有する商品A、C、Hが配列ft[1]の値に割り当てられ、ハッシュ値が「5」となる特徴量を有する商品C、F、G、Iが配列ft[5]の値に割り当てられている。このように、ハッシュテーブル生成部25は、事前処理として、物体認識装置100が認識対象とする全ての商品を値として含むハッシュテーブルを生成する。
【0026】
絞り込み検索部24は、ハッシュテーブルを用いて、絞り込み検索(ハッシュ検索)を行う。前述のように、絞り込み検索部24には、物体領域情報と、特徴量情報とが入力される。まず、絞り込み検索部24は、特徴量を物体領域毎に分割し、物体領域毎の特徴量を生成する。次に、絞り込み検索部24は、ハッシュテーブルを用いて物体領域毎に特徴点の投票を行う。詳しくは、図7(A)に示すように、絞り込み検索部24は、1つの物体領域Rについて、その物体領域Rに含まれる個々の特徴点Pの特徴量に対応する商品の投票を行う。図7(A)の例では、絞り込み検索部24は、ハッシュテーブルを参照し、特徴点P1に基づき商品A、D、Fにそれぞれ1票を与え、特徴点P2に基づき商品A、C、Hにそれぞれ1票を与える。こうして、絞り込み検索部24は、1つの物体領域Rに対応する全ての特徴点に基づき、ハッシュテーブルが値として示す商品に投票する。図7(B)は、こうして得られた投票結果の例を示す。横軸は商品の種類を示し、縦軸は投票数を示す。投票結果における投票数が多い商品ほど、その商品が物体領域Rの商品である確率が高いことになる。図7(B)の例では、商品Dの投票数が最も多く、商品Bと商品Iがほぼ同数で2番目に多い。
【0027】
そこで、絞り込み検索部24は、投票結果の投票数に基づいて商品を絞り込む。例えば、絞り込み検索部24は、投票数が上位のN個(例えばN=5とすると上位5位まで)の商品を商品候補として選択する。他の例では、絞り込み検索部24は、全ての商品を投票数の順に並べ、投票数が上位の商品から順に、次の順位の商品との投票数の差を算出し、その差が所定値以上となった場合に、その順位より上の順位の商品を商品候補として選択する。例えば、所定数を「10」とし、投票数1位の商品と2位の商品との投票数差が「5」、投票数2の商品と3位の商品との投票数差が「7」、投票数3位の商品と4位の商品との投票数差が「11」であった場合、絞り込み検索部24は投票数1位~3位の商品を商品候補とする。こうして、絞り込み検索部24は、上記の処理を全ての物体領域Rに対して行い、物体領域R毎に商品候補を決定して照合部28へ出力する。例えば、投票数の上位N個の商品を商品候補に決定する場合、絞り込み検索部24は、商品画像から検出された全ての物体領域Rについて、N個ずつの商品候補を出力する。
【0028】
特徴量ファイル読込部27は、特徴量ファイル記憶部25から特徴量ファイルを読み込み、照合部28へ出力する。照合部28は、絞り込み検索部24が決定した商品候補について特徴点の照合を行う。具体的に、照合部28は、個々の物体領域について、その物体領域に含まれる特徴点と、その物体領域について絞り込み検索部24が決定した商品候補の特徴点とのマッチングを行い、類似性が高い特徴点を対応点とする。例えば、図7(B)の例において、絞り込み検索部24が商品候補を商品B、D、Iと決定した場合、照合部28は、物体領域の特徴量と、特徴量ファイル内の商品B、D、Iの特徴量とのマッチングを行う。そして、照合部28は、商品候補に含まれる複数の商品のうち、対応点が最も多い商品をその物体領域に対する認識結果、即ち、その物体領域に存在する商品と決定する。照合部28は、この処理を全ての物体領域について行い、各物体領域に対応する商品を認識結果として出力する。
【0029】
このように、本実施形態では、絞り込み検索部24が全商品をいくつかの商品候補に絞り込み、照合部28は商品候補のみを対象に特徴点の照合を行う。特徴点の照合は、物体領域に含まれる複数の特徴点と、特徴量ファイルに記憶されている各商品の特徴点との全ての組み合わせを比較するため、非常に処理負荷が高い。仮に1つの商品棚に60点の商品が陳列可能であり、取り扱う商品の種類が数千点あるとすると、1つの商品棚を撮影した1枚の商品画像に対して、60×数千の組み合わせについて照合処理を行うことになり、処理に非常に時間がかかる。この点、本実施形態では、特徴量に基づいて生成したハッシュテーブルを利用して、絞り込み検索部24が数千点の商品をそれより十分に少ない商品候補に絞り込み、それら商品候補のみについて照合部28が特徴点の照合を行えばよいので、処理時間を大幅に短縮することが可能となる。
【0030】
[物体認識処理]
図8は、物体認識処理のフローチャートである。この処理は、図2に示すプロセッサ12が予め用意されたプログラムを実行し、図3に示す各要素として動作することにより実現される。まず、事前処理として、ハッシュテーブル生成部26は、特徴量ファイルから認識対象の全商品の特徴量情報を取得し、ハッシュテーブルを生成する(ステップS11)。
【0031】
次に、画像取得部21は商品画像を取得し(ステップS12)、特徴量抽出部22は、図5に例示するように商品画像から特徴量を抽出する(ステップS13)。次に、物体領域検出部23は、図6に例示するように各商品に対応する物体領域を検出する(ステップS14)。次に、絞り込み検索部24は、ハッシュテーブルを参照し、各物体領域の特徴量に基づいて絞り込み検索を行い、商品候補を決定する(ステップS15)。そして、照合部28は、各物体領域の特徴量と、特徴量ファイルに記憶されている各商品候補の特徴量とを用いて照合処理を行い、各物体領域に対する認識結果を出力する(ステップS16)。そして、処理は終了する。
【0032】
[変形例]
次に、上記の実施形態の変形例について説明する。以下の変形例は、適宜組み合わせて適用することができる。
(変形例1)
上記の実施形態では、まず、特徴量抽出部22が商品画像全体から特徴量を抽出し、次に物体領域検出部23が物体領域を検出し、検出された物体領域毎に特徴量を分割して物体領域毎の特徴量を求めている。その代わりに、まず、物体領域検出部23が物体領域を検出し、特徴量抽出部22は物体領域毎の画像から特徴量を抽出してもよい。
【0033】
(変形例2)
照合部28は、物体領域に含まれる特徴点と、特徴量ファイルに含まれる各商品の特徴点とのマッチングを行うことにより、その物体領域に対応する商品の矩形を検出することができる。物体領域検出部23が検出した物体領域の矩形(以下、「物体領域矩形」と呼ぶ。)と、照合部28による特徴点のマッチングで得られる矩形(以下、「特徴点マッチング矩形」と呼ぶ。)が大きく異なる場合、照合部28は、その物体領域について得られた照合結果を破棄してもよい。これは、物体領域矩形と特徴点マッチング矩形とが大きく異なる場合、物体領域の検出処理又は照合処理の精度が不十分と考えられるためである。
【0034】
(変形例3)
上記の実施形態では、物体領域検出部23が検出した物体領域矩形に基づいて特徴点を選択し、絞り込み検索部24による絞り込み検索及び照合部28による照合処理を行っている。その際、物体領域矩形の内部に存在する特徴点のみならず、物体領域矩形の周囲に存在する特徴点も用いて、絞り込み検索及び照合処理の少なくとも一方を行うこととしてもよい。ここで、物体領域矩形の「周囲」とは、例えば、物体領域矩形の外側の所定画素分を含む領域である。これにより、物体領域検出部23が検出した物体領域が実際の商品の位置に対して多少ずれていても、その商品を正しく認識することが可能となる。
【0035】
また、物体領域矩形の内部に存在する特徴点の一部を使用して、絞り込み検索及び照合処理を行ってもよい。例えば、絞り込み検索部24は物体領域矩形内の一部の特徴量を使用して絞り込み検索を行い、照合部28は物体領域矩形内の全ての特徴点を使用して照合を行ってもよい。逆に、絞り込み検索部24は物体領域矩形内の全ての特徴量を使用して絞り込み検索を行い、照合部28は物体領域矩形内の一部の特徴点を使用して照合を行ってもよい。
【0036】
(変形例4)
物体領域検出部23が検出した物体領域について照合部28が照合処理を行った結果、照合結果が0件であった場合、即ち、該当する商品が見つからなかった場合、照合部28は、その商品の登録が漏れている旨、又は、未登録の新商品の可能性がある旨をユーザに通知してもよい。なお、商品の登録がされていないとは、その商品についての特徴量ファイルが用意されていないことを指す。例えば、照合部28は、表示装置17に商品画像を表示し、その商品の部分を黒塗りで示したり、メッセージを表示したりしてもよい。また、表示装置17に照合結果リストとして商品名などを表示する場合には、商品名の欄に「不明」、「登録漏れ?」、「新商品?」などと表示してもよい。
【0037】
また、上記のように照合結果が0件であった場合、照合部28は、絞り込み検索部24により決定された商品候補の商品の新ラベルや新シリーズなどの関連商品の可能性があることをユーザに通知してもよい。例えば、絞り込み検索部24により、商品A、D、Fが商品候補に決定されている場合、照合部28は表示装置17に「商品A、D、Fのいずれかの新商品の可能性あり。」などと表示してもよい。
【0038】
(変形例5)
店舗の商品棚は、各段にほぼ同じ大きさの商品が配置されていることが多い。特に、飲料などについてはその傾向が高い。そこで、物体領域検出部23は、検出された物体領域矩形の面積が、隣接する左右の物体領域矩形の面積と大きく異なる場合には、その物体領域矩形を誤検出として除去してもよい。また、物体領域検出部23は、隣接する左右の物体領域矩形のみでなく、同じ段の他の物体領域矩形と比較して面積が大きく異なる物体領域矩形を誤検出として除去してもよい。
【0039】
(変形例6)
物体領域検出部23による物体領域の検出結果において、物体領域が検出されなかった領域(以下、「空き領域」と呼ぶ。)があり、その空き領域の大きさが、商品棚の同じ段で検出された物体領域が入るぐらいの大きさである場合には、物体領域検出部23は、同じ段で検出された物体領域矩形と同じ大きさの矩形をその空き領域に追加してもよい。これにより、空き領域についても、その後の絞り込み検索や照合処理が実行される。そして、照合部28は、最終的に空き領域について照合結果が得られた(いずれかの商品と判定された)場合には、その結果を採用し、照合結果が得られなかった場合には、その空き領域には商品が存在しないと判定すればよい。商品棚に対する照明の状態により、商品画像において暗い位置の商品などは物体領域が検出されないことがある。また、商品が重なっていたり、値札などが商品に重なっている場合にも物体領域が検出されないことがある。このように、物体領域検出部23が商品画像からの物体領域の検出に失敗した場合でも、空き領域に物体領域矩形を追加することにより、その失敗を補うことが可能となる。
【0040】
(変形例7)
上記の実施形態では、物体認識装置100の認識対象を飲料などの商品としているが、認識対象を飲料以外の商品としてもよい。その場合、物体領域は矩形とは限らず、多角形やそれ以外の複雑な外形となることがある。また、認識対象は商品には限られず、棚に保管されている様々な物体であってもよい。
【0041】
<第2実施形態>
図9は、第2実施形態に係る物体認識装置50の機能構成を示すブロック図である。物体認識装置50は、記憶部51と、物体領域検出部52と、特徴量抽出部53と、絞り込み部54と、照合部55と、を備える。記憶部51は、複数の特徴量と、各特徴量の特徴点を持つ物体とを関連付けたテーブルを記憶する。物体領域検出部52は、入力画像から、複数の物体の物体領域を検出する。特徴量抽出部53は、入力画像から、特徴点の特徴量を抽出する。絞り込み部54は、テーブルを参照し、物体領域に属する特徴点の特徴量に基づいて、認識対象の全物体を、当該物体領域に対応する物体候補に絞り込む。照合部55は、物体領域に属する特徴点と、物体候補毎の特徴点とを照合して物体を認識し、認識結果を出力する。
【0042】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0043】
(付記1)
複数の特徴量と、各特徴量の特徴点を持つ物体とを関連付けたテーブルを記憶する記憶部と、
入力画像から、複数の物体の物体領域を検出する物体領域検出部と、
前記入力画像から、特徴点の特徴量を抽出する特徴量抽出部と、
前記テーブルを参照し、前記物体領域に属する特徴点の特徴量に基づいて、認識対象の全物体を、当該物体領域に対応する物体候補に絞り込む絞り込み部と、
前記物体領域に属する特徴点と、前記物体候補毎の特徴点とを照合して前記物体を認識し、認識結果を出力する照合部と、
を備える物体認識装置。
【0044】
(付記2)
前記絞り込み部は、前記物体領域に属する特徴量毎に当該特徴量を有する物体の投票を行い、投票数が上位である複数の物体を前記物体候補と決定する付記1に記載の物体認識装置。
【0045】
(付記3)
前記照合部は、前記特徴点の照合により前記物体の外形を検出し、検出された外形が示す領域と、前記物体領域検出部が検出した当該物体の物体領域とが所定量以上異なる場合には、当該物体についての認識結果を破棄する付記1又は2に記載の物体認識装置。
【0046】
(付記4)
前記特徴量抽出部は、前記物体領域の周囲の所定領域においても前記特徴量を抽出する付記1乃至3のいずれか一項に記載の物体認識装置。
【0047】
(付記5)
前記照合部は、前記物体領域の周囲の所定領域に存在する特徴点を含めて前記特徴点の照合を行う1乃至4のいずれか一項に記載の物体認識装置。
【0048】
(付記6)
前記絞り込み部は、前記物体領域に含まれる特徴点の一部を使用し、
前記照合部は、前記物体領域に含まれる特徴点の全てを使用する付記1乃至5のいずれか一項に記載の物体認識装置。
【0049】
(付記7)
前記絞り込み部は、前記物体領域に含まれる特徴点の全てを使用し、
前記照合部は、前記物体領域に含まれる特徴点の一部を使用する付記1乃至5のいずれか一項に記載の物体認識装置。
【0050】
(付記8)
複数の物体の各々が有する特徴点の特徴量を取得し、前記特徴量を複数のグループに分類し、各グループに属する特徴量を有する物体を、当該特徴量に関連付けて前記テーブルを生成するテーブル生成部を備える付記1乃至7のいずれか一項に記載の物体認識装置。
【0051】
(付記9)
前記照合部により認識結果が得られなかった物体領域について、当該物体領域に存在する物体が未登録である旨を通知する通知部を備える付記1乃至8のいずれか一項に記載の物体認識装置。
【0052】
(付記10)
前記通知部は、前記物体領域に存在する物体が、前記絞り込み部により決定された物体候補に関連する物体である可能性が高い旨を通知する付記9に記載の物体認識装置。
【0053】
(付記11)
前記照合部は、左右の物体領域の面積と所定値以上異なる物体領域について得られた認識結果を誤検出として破棄する付記1乃至10のいずれか一項に記載の物体認識装置。
【0054】
(付記12)
前記物体は棚に配置されており、
前記照合部は、前記棚の同一の段において検出された物体領域の面積と所定値以上異なる物体領域について得られた認識結果を誤検出として破棄する付記1乃至10のいずれか一項に記載の物体認識装置。
【0055】
(付記13)
前記物体領域検出部は、前記物体領域を検出しなかった空き領域が、隣接して検出された物体領域と同等以上の面積を有する場合には、前記隣接して検出された物体領域と同じ大きさの物体領域を当該空き領域に追加する付記1乃至12のいずれか一項に記載の物体認識装置。
【0056】
(付記14)
入力画像から、複数の物体の物体領域を検出し、
前記入力画像から、特徴点の特徴量を抽出し、
複数の特徴量と、各特徴量の特徴点を持つ物体とを関連付けたテーブルを参照し、前記物体領域に属する特徴点の特徴量に基づいて、認識対象の全物体を、当該物体領域に対応する物体候補に絞り込み、
前記物体領域に属する特徴点と、前記物体候補毎の特徴点とを照合して前記物体を認識し、認識結果を出力する物体認識方法。
【0057】
(付記15)
入力画像から、複数の物体の物体領域を検出し、
前記入力画像から、特徴点の特徴量を抽出し、
複数の特徴量と、各特徴量の特徴点を持つ物体とを関連付けたテーブルを参照し、前記物体領域に属する特徴点の特徴量に基づいて、認識対象の全物体を、当該物体領域に対応する物体候補に絞り込み、
前記物体領域に属する特徴点と、前記物体候補毎の特徴点とを照合して前記物体を認識し、認識結果を出力する処理をコンピュータに実行させるプログラムを記録した記録媒体。
【0058】
以上、実施形態及び実施例を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態及び実施例に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0059】
21 画像取得部
22 特徴量抽出部
23 物体領域検出部
24 絞り込み検索部
25 特徴量ファイル記憶部
26 ハッシュテーブル生成部
27 特徴量ファイル読込部
28 照合部
100 物体認識装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9