(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】搬送設備
(51)【国際特許分類】
B65G 1/00 20060101AFI20240717BHJP
【FI】
B65G1/00 501C
(21)【出願番号】P 2022030849
(22)【出願日】2022-03-01
【審査請求日】2024-02-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】岩田 昌重
(72)【発明者】
【氏名】木村 和誠
(72)【発明者】
【氏名】中村 浩章
【審査官】内田 茉李
(56)【参考文献】
【文献】特許第6461359(JP,B2)
【文献】特開平5-178404(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を搬送する搬送台車と、
前記搬送台車が一方向に移動する搬送経路と、
前記物品が順次搬送されてきて保持される保持部を複数備えた保持装置と、
前記物品を外部へ搬出する搬出部と、
前記搬送台車を制御する制御システムと、を備えた搬送設備であって、
前記搬送経路は、前記搬出部に対応する搬出位置を通って前記搬送台車が一方向に循環する循環経路を形成しており、前記搬出位置に対して下流側に設定された第1区間と、前記第1区間よりも下流側かつ前記搬出位置よりも上流側に設定されていると共に前記第1区間に対して特定方向に離間して平行状に配置された第2区間と、を備え、
複数の前記保持部は、前記第1区間に沿って並ぶように配置され、
前記物品を一時的に保管可能な仮置き部が、前記搬送経路に沿って複数配置され、
複数の前記仮置き部には、前記第1区間と前記第2区間との前記特定方向の間において前記第1区間及び前記第2区間の双方に沿って並ぶように配置された両区間仮置き部が複数含まれ、
前記搬送台車は、前記搬送経路における、複数の前記保持部、複数の前記仮置き部、及び、前記搬出部のそれぞれに対応する位置において、それらと前記物品の受け渡しを行うことができるように構成され、
複数の前記保持部に保持された前記物品のうち1つを対象物品とし、複数の前記保持部に保持された前記物品のうちの前記対象物品以外の前記物品を非対象物品とし、前記対象物品が保持されている前記保持部を対象保持部として、
前記制御システムは、
前記搬送台車により前記対象物品を前記搬出部へ搬送する場合において、前記第1区間における前記対象保持部の下流側に、空き状態の前記両区間仮置き部が存在する場合には、当該空き状態の前記両区間仮置き部を第1対象仮置き部として、前記対象物品を前記対象保持部から受け取って前記第1区間内で前記第1対象仮置き部に引き渡し、その後、前記第2区間内で前記第1対象仮置き部から前記対象物品を受け取って前記搬出部に引き渡す、中継搬出処理を前記搬送台車により実行し、
更に、前記中継搬出処理を実行する場合において、前記第1区間内で前記第1対象仮置き部に前記対象物品を引き渡した位置の下流側に前記非対象物品が保持された前記保持部である非対象保持部があり、かつ、前記非対象保持部の下流側であって前記第2区間内で前記第1対象仮置き部から前記対象物品を受け取る位置の上流側に空き状態の前記仮置き部が存在する場合には、当該空き状態の前記仮置き部を第2対象仮置き部として、前記中継搬出処理の途中で、前記非対象物品を前記非対象保持部から受け取って前記第2対象仮置き部に引き渡す、中間搬送処理を前記搬送台車により実行する、搬送設備。
【請求項2】
前記制御システムは、前記中継搬出処理を実行する場合において、前記第1区間における前記対象保持部の下流側に、空き状態の前記両区間仮置き部が複数存在する場合には、それらのうち最も上流側の前記両区間仮置き部を前記第1対象仮置き部とする、請求項1に記載の搬送設備。
【請求項3】
前記制御システムは、前記搬送台車により前記対象物品を前記対象保持部から前記搬出部へ搬送する場合において、前記第1区間における前記対象保持部の下流側に、空き状態の前記両区間仮置き部が存在しない場合には、前記対象物品を前記対象保持部から受け取って、そのまま前記対象物品を前記搬出位置まで搬送し、前記対象物品を前記搬出部に引き渡す、直接搬出処理を前記搬送台車により実行する、請求項1又は2に記載の搬送設備。
【請求項4】
前記制御システムは、前記第1区間における前記対象保持部の上流側に前記非対象保持部があり、かつ、前記非対象保持部の下流側であって前記対象保持部の上流側に空き状態の前記仮置き部が存在する場合には、当該空き状態の前記仮置き部を第3対象仮置き部として、前記対象物品を前記対象保持部から受け取る前に、前記非対象物品を前記非対象保持部から受け取って前記第3対象仮置き部に引き渡す、事前搬送処理を前記搬送台車により実行する、請求項1から3のいずれか一項に記載の搬送設備。
【請求項5】
前記制御システムは、前記非対象保持部が複数存在する場合、それぞれの前記非対象保持部から前記非対象物品を受け取った場合に当該非対象物品を引き渡すことができる空き状態の前記仮置き部が存在するか否かを、前記搬送台車が複数の前記非対象保持部のそれぞれに到達する毎に判定する、請求項1から4のいずれか一項に記載の搬送設備。
【請求項6】
前記制御システムは、前記仮置き部に保管された前記物品であって前記対象物品と同等であるとみなす1つ以上の前記物品を同等物品として設定し、前記同等物品を前記対象物品とみなすと共に当該同等物品が保管された前記仮置き部を前記第1対象仮置き部とみなした場合に前記中間搬送処理を実行できる場合には、前記同等物品を前記対象物品とみなすと共に当該同等物品が保管された前記仮置き部を前記第1対象仮置き部とみなして、前記中継搬出処理及び前記中間搬送処理を実行する、請求項1から5のいずれか一項に記載の搬送設備。
【請求項7】
複数の前記仮置き部には、前記第2区間に沿って並ぶように配置され、前記第2区間内に位置する前記搬送台車とのみ前記物品の受け渡しが行われる片側仮置き部が更に含まれ、
前記制御システムは、前記両区間仮置き部と前記片側仮置き部との双方から、前記中間搬送処理における前記第2対象仮置き部を選択する、請求項1から6のいずれか一項に記載の搬送設備。
【請求項8】
前記搬送台車を複数備え、
前記制御システムは、複数の前記搬送台車のそれぞれを対象搬送台車として、前記対象搬送台車が搬送中であった前記物品を前記搬出部に引き渡した後、最も上流側に配置された前記保持部に到達するまでの間に、前記対象搬送台車に搬送させる前記対象物品を指定する、請求項1から7のいずれか一項に記載の搬送設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を搬送する搬送台車と、前記搬送台車が一方向に移動する搬送経路と、前記物品を外部へ搬出する搬出部と、前記搬送台車を制御する制御システムと、を備えた搬送設備に関する。
【背景技術】
【0002】
このような搬送設備の一例が、特許第6461359号公報(特許文献1)に開示されている。以下、背景技術の説明の欄において括弧内に示される符号は、特許文献1のものである。
【0003】
特許文献1に開示された搬送設備は、物品(30)を搬送する複数の搬送台車(110)と、複数の搬送台車(110)が循環移動するループ状の搬送経路(100)と、搬送経路(100)に物品(30)を搬入する搬入部(201)と、搬送経路(100)から物品(30)を搬出する搬出部(401)と、搬送経路(100)に隣接する位置において物品(30)を一時的に保管するバッファ(600)と、を備えている。
【0004】
特許文献1に開示された搬送設備では、複数の物品(30)が、搬入部(201)への到着順に、搬送経路(100)へと搬入される。そして、上記到着順が予め意図された正規の順番とは異なる場合には、搬送経路(100)内において、複数の物品(30)の順番を正規の順番に入れ替えるための処理が行われる。具体的には、搬送経路(100)上で水平方向に対向して配置される2つの搬送台車(110)間で物品(30)を受け渡すバイパス搬送を行うことで、搬送経路(100)に先に進入していた先行物品(30)を追い越すモード(a)を実行する。これにより、搬送経路(100)に後に進入した物品(30)の順番が繰り上げられる。また、先に搬送経路(100)に進入した先行物品(30)をバッファ(600)に一時的に保管し、それよりも後に搬送経路(100)に進入した物品(30)が上記先行物品(30)を追い越すまで待機するモード(b)を実行する。これにより、搬送経路(100)に先に進入していた先行物品(30)の順番が繰り下げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、特許文献1に開示された搬送設備では、搬送経路(100)内において、複数の物品(30)の順番を正規の順番に入れ替えるための処理を行っている。しかし、特許文献1には、設備全体として搬送効率を向上させる点について詳細な開示は無い。
【0007】
上記実状に鑑みて、搬送台車が一方向に循環する循環経路を備えた搬送設備において、設備全体として搬送効率を向上させることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
物品を搬送する搬送台車と、
前記搬送台車が一方向に移動する搬送経路と、
前記物品が順次搬送されてきて保持される保持部を複数備えた保持装置と、
前記物品を外部へ搬出する搬出部と、
前記搬送台車を制御する制御システムと、を備えた搬送設備であって、
前記搬送経路は、前記搬出部に対応する搬出位置を通って前記搬送台車が一方向に循環する循環経路を形成しており、前記搬出位置に対して下流側に設定された第1区間と、前記第1区間よりも下流側かつ前記搬出位置よりも上流側に設定されていると共に前記第1区間に対して特定方向に離間して平行状に配置された第2区間と、を備え、
複数の前記保持部は、前記第1区間に沿って並ぶように配置され、
前記物品を一時的に保管可能な仮置き部が、前記搬送経路に沿って複数配置され、
複数の前記仮置き部には、前記第1区間と前記第2区間との前記特定方向の間において前記第1区間及び前記第2区間の双方に沿って並ぶように配置された両区間仮置き部が複数含まれ、
前記搬送台車は、前記搬送経路における、複数の前記保持部、複数の前記仮置き部、及び、前記搬出部のそれぞれに対応する位置において、それらと前記物品の受け渡しを行うことができるように構成され、
複数の前記保持部に保持された前記物品のうち1つを対象物品とし、複数の前記保持部に保持された前記物品のうちの前記対象物品以外の前記物品を非対象物品とし、前記対象物品が保持されている前記保持部を対象保持部として、
前記制御システムは、
前記搬送台車により前記対象物品を前記搬出部へ搬送する場合において、前記第1区間における前記対象保持部の下流側に、空き状態の前記両区間仮置き部が存在する場合には、当該空き状態の前記両区間仮置き部を第1対象仮置き部として、前記対象物品を前記対象保持部から受け取って前記第1区間内で前記第1対象仮置き部に引き渡し、その後、前記第2区間内で前記第1対象仮置き部から前記対象物品を受け取って前記搬出部に引き渡す、中継搬出処理を前記搬送台車により実行し、
更に、前記中継搬出処理を実行する場合において、前記第1区間内で前記第1対象仮置き部に前記対象物品を引き渡した位置の下流側に前記非対象物品が保持された前記保持部である非対象保持部があり、かつ、前記非対象保持部の下流側であって前記第2区間内で前記第1対象仮置き部から前記対象物品を受け取る位置の上流側に空き状態の前記仮置き部が存在する場合には、当該空き状態の前記仮置き部を第2対象仮置き部として、前記中継搬出処理の途中で、前記非対象物品を前記非対象保持部から受け取って前記第2対象仮置き部に引き渡す、中間搬送処理を前記搬送台車により実行する。
【0009】
本構成によれば、搬出部との距離が保持部よりも近い仮置き部に、対象物品を一時的に配置することができる。そして、搬送台車は、対象物品を仮置き部に配置した後、対象物品を搬送していない移動中に、非対象物品を保持部から受け取って別の仮置き部に配置することができる。その後、搬送台車は、自らが仮置き部に配置した対象物品を第2区間において受け取り、適切に搬出部へ搬送することができる。上記において別の仮置き部に配置された非対象物品は、他の搬送台車にとっての対象物品となり得るため、他の搬送台車が当該非対象物品を搬出部へ搬送する際の搬送距離を短くできる。このように、本構成によれば、対象保持部から搬出部への対象物品の搬送を適切に行うことができると共に、その対象保持部から搬出部までの経路の移動中に、非対象物品を搬出部に近い位置に移動させることができる。従って、物品を搬出部へ搬送する場合の搬送効率を、設備全体として向上させることができる。
【0010】
本開示に係る技術のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図8A】グループ出庫処理が実行される場合の説明図
【
図8B】グループ出庫処理が実行される場合の説明図
【
図9】制御システムが実行する処理の手順を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
搬送設備は、物品を搬送するための設備である。搬送対象とされる物品は、商品を収容する容器(折り畳みコンテナや段ボール箱等)や商品を載置するパレット、或いは、商品そのものであっても良い。なお、商品には、完成品や仕掛品が含まれる。以下、搬送設備の実施形態について図面を参照して説明する。
【0013】
図1に示すように、搬送設備100は、物品9を搬送する搬送台車1と、搬送台車1が一方向に移動する搬送経路2と、物品9が順次搬送されてきて保持される保持部50を複数備えた保持装置5と、物品9を外部へ搬出する搬出部7と、搬送台車1を制御する制御システム8(
図3参照)と、を備えている。本実施形態では、搬送設備100は、搬送台車1を複数備えている。
【0014】
搬送経路2は、搬出部7に対応する搬出位置70を通って搬送台車1が一方向に循環する循環経路を形成しており、搬出位置70に対して下流側(搬送方向の下流側。以下同じ。)に設定された第1区間21と、第1区間21よりも下流側かつ搬出位置70よりも上流側(搬送方向の上流側。以下同じ。)に設定されていると共に第1区間21に対して特定方向Xに離間して平行状に配置された第2区間22と、を備えている。
【0015】
本実施形態では、搬送経路2は、搬送台車1が鉛直面内に沿って循環する循環経路を形成している。搬送経路2の第1区間21及び第2区間22は、上下方向に沿って延在している。本例では、搬送経路2は、特定方向Xに沿って延在する第1接続区間21c及び第2接続区間22cを備えている。第1接続区間21c及び第2接続区間22cのそれぞれは、第1区間21と第2区間22とを接続している。本例では、第1接続区間21cと第2接続区間22cとは、互いに上下方向に離間して配置されている。第1接続区間21cは、第1区間21の上端部と第2区間22の上端部とを接続している。第2接続区間22cは、第1区間21の下端部と第2区間22の下端部とを接続している。
【0016】
以下の説明では、水平面に沿う特定の方向を上記の「特定方向X」とし、特定方向Xに対して平面視で直交する方向を「直交方向Y」とする。本例では、特定方向Xに直交する水平方向を直交方向Yとしている。
【0017】
本実施形態では、搬送経路2は、直交方向Yに離間して配置された一対の駆動レール3と、直交方向Yに離間して配置された一対の補助レール4と、を備えている。本例では、駆動レール3及び補助レール4は、第1区間21、第1接続区間21c、第2区間22、及び第2接続区間22cに沿って配置されており、直交方向Y視でループ状を成すように形成されている。駆動レール3と補助レール4とは、直交方向Y視において、一部(図示の例では4箇所)が重複しつつ互いにずれて配置されている。
【0018】
図2に示すように、駆動レール3は、搬送台車1の後述する駆動輪12を案内するように構成されている。本実施形態では、駆動レール3は、搬送経路2に沿って設けられたレール側ギヤ部30を有している。レール側ギヤ部30は、搬送台車1の駆動輪12に噛み合うように構成されている。図示の例では、駆動レール3は、搬送台車1の駆動輪12が配置される内部空間を有している。そして、レール側ギヤ部30は、駆動レール3の内面に設けられている。
【0019】
本実施形態では、補助レール4は、搬送台車1の後述する第1補助輪13及び第2補助輪14を案内するように構成されている。補助レール4は、搬送経路2に沿って設けられた一対の案内面40を有している。図示の例では、補助レール4は、搬送台車1の第1補助輪13及び第2補助輪14が配置される内部空間を有している。一対の案内面40は、補助レール4の内部空間において、レール延在方向に直交する方向に対向している。一対の案内面40のレール延在方向に直交する方向の間隔は、第1補助輪13や第2補助輪14が一対の案内面40の双方に同時に接触しない間隔に設定されている。一対の案内面40は、補助レール4の内部空間において、搬送台車1の第1補助輪13及び第2補助輪14を両側から挟むように構成されている。
【0020】
図1に示すように、保持装置5は、搬送経路2に対して特定方向Xの一方側に隣接して配置されている。複数の保持部50は、第1区間21に沿って並ぶように配置されている。本実施形態では、複数の保持部50は、上下方向に沿って並ぶように配置されている。複数の保持部50のそれぞれは、搬送経路2を移動している搬送台車1との間で物品9が移載され得る移載対象箇所の1つである。保持装置5は、例えば、自動倉庫に保管されている物品9を出庫するための装置とされる。この場合、各保持部50には、自動倉庫から出庫される物品9が順次搬送されてくる。
【0021】
複数の保持部50のそれぞれは、物品9を特定方向Xに沿って搬送するように構成されている。これにより、複数の保持部50のそれぞれは、物品9を搬送経路2に隣接する位置に順次搬送可能であると共に、搬送台車1に対して物品9を引き渡すことが可能となっている。例えば、複数の保持部50のそれぞれは、特定方向Xに沿って物品9を搬送するコンベヤを備えている。
【0022】
本実施形態では、複数の保持部50のそれぞれには、物品9の有無を検出する在荷センサ50D(
図3参照)が設けられている。後述するように、在荷センサ50Dによって検出された、保持部50における物品9の有無の情報は、制御システム8に送信される。
【0023】
搬出部7は、搬送経路2を移動している搬送台車1との間で物品9が移載され得る移載対象箇所の1つである。搬出部7は、搬送経路2のいずれかの箇所に配置されている。本例では、搬出部7は、特定方向Xにおいて、搬送経路2を挟んで保持装置5とは反対側に配置されている。換言すれば、上述のように、保持装置5は、搬送経路2に対して特定方向Xの一方側に隣接して配置されている。そして、搬出部7は、搬送経路2に対して特定方向Xの他方側に隣接して配置されている。
【0024】
搬出部7は、物品9を特定方向Xに沿って搬送するように構成されている。これにより、搬出部7は、搬送台車1から適切に物品9を受け取ることが可能であると共に、受け取った物品9を次の工程が行われる場所(例えば、物品9から商品を取り出すピッキング作業が行われる場所)等に搬送可能となっている。例えば、搬出部7は、特定方向Xに沿って物品9を搬送するコンベヤを備えている。
【0025】
物品9を一時的に保管可能な仮置き部6が、搬送経路2に沿って複数配置されている。仮置き部6は、搬送経路2を移動している搬送台車1との間で物品9が移載され得る移載対象箇所の1つである。搬送台車1が保持部50から受け取った物品9を仮置き部6に一時的に保管することで、保持部50に搬送されてきた物品9が保持部50に長く留まることを抑制しつつ、保持部50からの物品9の搬出順序とは異なる順序で、複数の物品9を搬出部7に搬送することができる。
【0026】
本実施形態では、複数の仮置き部6のそれぞれには、物品9の有無を検出する在荷センサ60D(
図3参照)が設けられている。後述するように、在荷センサ60Dによって検出された、仮置き部6における物品9の有無の情報は、制御システム8に送信される。
【0027】
複数の仮置き部6には、第1区間21と第2区間22との特定方向Xの間において第1区間21及び第2区間22の双方に沿って並ぶように配置された両区間仮置き部6mが複数含まれる。本実施形態では、複数の両区間仮置き部6mは、第1区間21と第2区間22との特定方向Xの間において、上下方向に沿って並ぶように配置されている。
【0028】
複数の両区間仮置き部6mのそれぞれは、物品9を特定方向Xに沿って搬送するように構成されている。これにより、複数の両区間仮置き部6mのそれぞれは、第1区間21にある搬送台車1から物品9を受け取ることが可能であると共に、第2区間22にある搬送台車1へ物品9を引き渡すことが可能となっている。例えば、複数の両区間仮置き部6mのそれぞれは、特定方向Xに沿って物品9を搬送するコンベヤを備えている。
【0029】
本実施形態では、複数の仮置き部6には、第2区間22に沿って並ぶように配置され、第2区間22内に位置する搬送台車1とのみ物品9の受け渡しが行われる片側仮置き部6sが更に含まれる。本実施形態では、片側仮置き部6sは、特定方向Xにおいて、第2区間22を挟んで両区間仮置き部6mとは反対側に配置されている。換言すれば、両区間仮置き部6mは、第2区間22に対して特定方向Xの一方側に隣接して配置されている。そして、片側仮置き部6sは、第2区間22に対して特定方向Xの他方側に隣接して配置されている。
【0030】
本実施形態では、複数の片側仮置き部6sが搬送経路2に沿って配置されている。本例では、複数の片側仮置き部6sは、上下方向に沿って並ぶように配置されている。
【0031】
複数の片側仮置き部6sのそれぞれは、物品9を特定方向Xに沿って搬送するように構成されている。これにより、複数の片側仮置き部6sのそれぞれは、第2区間22にある搬送台車1との間で物品9の受け渡しが可能となっている。例えば、複数の片側仮置き部6sのそれぞれは、特定方向Xに沿って物品9を搬送するコンベヤを備えている。
【0032】
搬送台車1は、搬送経路2における、複数の保持部50、複数の仮置き部6、及び、搬出部7のそれぞれに対応する位置において、それらと物品9の受け渡しを行うことができるように構成されている。すなわち、複数の保持部50、複数の仮置き部6、及び、搬出部7が、搬送台車1との間で物品9を移載可能な移載対象箇所である。
【0033】
この搬送設備100では、搬送台車1は、複数の保持部50のうちいずれかの保持部50に保持されている物品9を、搬出部7へ搬送するように構成されている。例えば、搬送台車1は、保持部50から搬出部7へ移動する間に、複数の仮置き部6(両区間仮置き部6m又は片側仮置き部6s)のいずれかに物品9を搬送する。
【0034】
図2に示すように、本実施形態では、搬送台車1は、本体部10と、上記の各移載対象箇所との間で物品9を移載する移載部11と、一対の駆動レール3のそれぞれのレール側ギヤ部30に噛み合う車輪側ギヤ部12gを備えた駆動輪12と、一対の補助レール4のそれぞれに案内される第1補助輪13と、一対の補助レール4のそれぞれに案内される第2補助輪14と、を備えている。
【0035】
移載部11は、特定方向Xに沿って物品9を移動させるように構成されている。これにより、移載部11は、搬送台車1に対して特定方向Xに隣接して配置された各移載対象箇所との間で、物品9を移載可能となっている。本例では、移載部11は、コンベヤを用いて構成されている。但し、移載部11は、フォーク機構やチャック機構等を備えた周知の移載手段を用いて構成されていても良い。
【0036】
一対の駆動輪12は、本体部10から直交方向Yの外側に突出する駆動軸12aに連結されている。駆動輪12は、直交方向Yに沿う軸心まわりに回転するように構成されている。駆動軸12aは、モータ等の駆動源(不図示)によって回転駆動される。
【0037】
本実施形態では、一対の第1補助輪13及び一対の第2補助輪14は、本体部10に対して回転自在に支持された非駆動輪である。第1補助輪13及び第2補助輪14は、直交方向Yに沿う軸心まわりに回転するように構成されている。第1補助輪13及び第2補助輪14は、補助レール4に備えられた一対の案内面40の間に配置され、案内面40との接触によって回転するように構成されている。上記のように、一対の第1補助輪13及び一対の第2補助輪14が非駆動輪であるため、搬送台車1に搭載される駆動源の数を少なく抑えることができる。従って、搬送台車1の低コスト化を図ることが可能となっている。
【0038】
本実施形態では、駆動輪12と第1補助輪13と第2補助輪14とが、上下方向の異なる位置に配置されている。すなわち、搬送台車1における直交方向Yの両側のそれぞれにおいて、3つの車輪が、上下方向の異なる位置で駆動レール3又は補助レール4によって支持されている。これにより、搬送台車1が上下方向に対して傾くことを抑制し易くなっている。
【0039】
本実施形態では、駆動輪12に対して特定方向Xに離間した位置において、第1補助輪13と第2補助輪14とが上下方向に離間して配置されている。そして、第1補助輪13と第2補助輪14との上下方向の間に、駆動輪12が配置されている。これにより、搬送台車1が上下方向に対して傾こうとした場合に生じるモーメントを、第1補助輪13と第2補助輪14とが案内面40に接触することによって受け止めることができる。そのため、搬送台車1の傾きに起因して駆動輪12に負荷が掛かることを回避することができる。従って、搬送台車1の傾きを抑制しつつ、搬送台車1が搬送経路2に沿って移動するための推進力を適切に付与し易い。
【0040】
図3に示すように、搬送設備100は、設備全体を統括して管理する統括制御装置80と、複数の搬送台車1のそれぞれに搭載される搬送制御装置81と、を備えている。本実施形態では、統括制御装置80と複数の搬送制御装置81とが、制御システム8の少なくとも一部を構成している。制御システム8(本例では、統括制御装置80及び搬送制御装置81)は、例えば、マイクロコンピュータ等のプロセッサ、メモリ等の周辺回路等を備えている。そして、これらのハードウェアとコンピュータ等のプロセッサ上で実行されるプログラムとの協働により、各機能が実現される。
【0041】
本実施形態では、複数の搬送台車1のそれぞれは、自らの現在位置を検出する位置検出部15を備えている。また本例では、
図1に示すように、保持部50、仮置き部6、及び搬出部7などの移載対象箇所に対応した位置に被検出部25が設けられている。被検出部25は、当該被検出部25が配置された位置のアドレス情報を保持している。搬送台車1は、被検出部25に保持されたアドレス情報を位置検出部15により読み取ることで、自らの現在位置を検出することができる。例えば、被検出部25として、1次元コード又は2次元コードを用い、位置検出部15として、1次元コードリーダ又は2次元コードリーダを用いることができる。
【0042】
本実施形態では、被検出部25は、搬送経路2に設けられている。具体的には、被検出部25は、搬送経路2における、保持部50、仮置き部6、及び搬出部7などの移載対象箇所に対して上流側に隣接する位置に設けられている。これにより、搬送台車1は、目的の移載対象箇所に到着する前に自らの現在位置を把握できる。従って、搬送台車1は、目的の移載対象箇所に到着する前に、減速などの到着準備を行うことができる。
【0043】
搬送台車1が位置検出部15により取得した自らの現在位置の情報は、搬送制御装置81を介して統括制御装置80に送信される。そのため、統括制御装置80は、搬送経路2における各搬送台車1の現在位置を把握可能となっている。
【0044】
図3に示すように、本実施形態では、複数の保持部50のそれぞれに、物品9の有無を検出する在荷センサ50Dが設けられている。在荷センサ50Dによって検出された、保持部50における物品9の有無の情報は、統括制御装置80に送信される。そのため、統括制御装置80は、複数の保持部50における物品9の有無を把握可能となっている。
【0045】
本実施形態では、複数の仮置き部6のそれぞれに、物品9の有無を検出する在荷センサ60Dが設けられている。在荷センサ60Dによって検出された、仮置き部6における物品9の有無の情報は、統括制御装置80に送信される。そのため、統括制御装置80は、複数の仮置き部6における物品9の有無を把握可能となっている。
【0046】
制御システム8は、複数の保持部50のそれぞれに設けられた在荷センサ50Dから取得した情報に基づいて、複数の保持部50のうちいずれかの保持部50に保持されている物品9を搬出部7へ搬送するように、搬送台車1を制御する。
【0047】
また、制御システム8は、複数の仮置き部6(両区間仮置き部6m又は片側仮置き部6s)のそれぞれに設けられた在荷センサ60Dから取得した情報に基づいて、搬送台車1が保持部50から搬出部7へ移動する間に複数の仮置き部6のいずれかに物品9を搬送するように、搬送台車1を制御する。
【0048】
図1に示すように、制御システム8は、搬出部7へ搬送すべき物品9を、各搬送台車1に割り当てる。
図1に示す例において、物品9に付された文字(A,B,C…)と搬送台車1に付された文字(A,B,C…)とが対応している。例えば、物品9(D)は、搬送台車1(D)に対応している。すなわち、搬送台車1(D)には、制御システム8によって物品9(D)が割り当てられている。この場合、搬送台車1(D)は、物品9(D)を保持部50から搬出部7まで搬送する。なお、
図1において物品9や搬送台車1に付されている文字(A,B,C…)は、実際には存在しないものである。ここでは、説明の便宜上そのような文字を図示している。
【0049】
本明細書では、複数の保持部50に保持された物品9のうち1つを対象物品9とし、複数の保持部50に保持された物品9のうちの対象物品9以外の物品9を非対象物品9とし、対象物品9が保持されている保持部50を対象保持部50とする。複数の搬送台車1のそれぞれを対象搬送台車1として、制御システム8は、対象搬送台車1に対象物品9を割り当てる。
図1に示す例では、搬送台車1(D)に着目した場合に、当該搬送台車1(D)に割り当てられた物品9(D)が、対象物品9である。そして、物品9(D)が保持されている保持部50が、対象保持部50である。すなわち、対象物品9、非対象物品9、及び対象保持部50は、複数の搬送台車1のうちいずれが対象搬送台車1とされるかによって変わる概念である。
【0050】
本実施形態では、制御システム8は、対象搬送台車1が搬送中であった物品9を搬出部7に引き渡した後、最も上流側に配置された保持部50に到達するまでの間に、対象搬送台車1に搬送させる対象物品9を指定する。
図1に示す例では、物品9(V)を搬出部7に引き渡した後の対象搬送台車1に、次に搬送すべき対象物品9(H)が制御システム8によって指定されている。その後、当該対象搬送台車1(H)は、対象保持部50から物品9(H)を受け取って搬出部7に搬送するために、搬送経路2を周回する。
【0051】
制御システム8は、対象物品9を対象保持部50から搬出部7へ搬送するための処理として、中継搬出処理又は直接搬出処理を実行するように構成されている。
【0052】
〔中継搬出処理〕
制御システム8は、中継搬出条件を満たす場合に、中継搬出処理を搬送台車1により実行する。中継搬出条件は、搬送台車1により対象物品9を搬出部7へ搬送する場合において、第1区間21における対象保持部50の下流側に、空き状態の両区間仮置き部6mが存在することである。なお、対象物又は対象位置の下流側とは、対象物の配置位置又は対象位置を基準位置として、基準位置と、基準位置に対して下流側に離間した位置との双方を含む概念である。ここでは、対象保持部50が対象物であり、対象保持部50の配置位置が基準位置となる。制御システム8は、この中継搬出条件を満たす場合に、空き状態の両区間仮置き部6mを第1対象仮置き部61tとして(
図4A等参照)、対象物品9を対象保持部50から受け取って第1区間21内で第1対象仮置き部61tに引き渡し、その後、第2区間22内で第1対象仮置き部61tから対象物品9を受け取って搬出部7に引き渡す。
【0053】
〔直接搬出処理〕
制御システム8は、直接搬出条件を満たす場合に、直接搬出処理を搬送台車1により実行する。直接搬出条件は、搬送台車1により対象物品9を対象保持部50から搬出部7へ搬送する場合において、第1区間21における対象保持部50の下流側に、空き状態の両区間仮置き部6mが存在しないことである。制御システム8は、この直接搬出条件を満たす場合に、対象物品9を対象保持部50から受け取って、そのまま対象物品9を搬出位置70まで搬送し、対象物品9を搬出部7に引き渡す。
【0054】
制御システム8は、非対象物品9を保持部50から仮置き部6へ搬送するための処理として、中間搬送処理又は事前搬送処理を実行するように構成されている。
【0055】
〔中間搬送処理〕
制御システム8は、中間搬送条件を満たす場合に、中間搬送処理を搬送台車1により実行する。中間搬送条件は、上記の中継搬出処理を実行する場合において、第1区間21内で第1対象仮置き部61tに対象物品9を引き渡した位置の下流側に非対象物品9が保持された保持部50である非対象保持部50があり、かつ、非対象保持部50の下流側であって第2区間22内で第1対象仮置き部61tから対象物品9を受け取る位置の上流側に空き状態の仮置き部6が存在することである。なお、対象物又は対象位置の上流側とは、対象物の配置位置又は対象位置を基準位置として、基準位置と、基準位置に対して上流側に離間した位置との双方を含む概念である。制御システム8は、この中間搬送条件を満たす場合に、空き状態の仮置き部6を第2対象仮置き部62tとして(
図4A等参照)、中継搬出処理の途中で、非対象物品9を非対象保持部50から受け取って第2対象仮置き部62tに引き渡す。なお、中間搬送処理では、両区間仮置き部6m又は片側仮置き部6sを第2対象仮置き部62tとして、当該第2対象仮置き部62tに非対象物品9を引き渡すようにして良い。
【0056】
〔事前搬送処理〕
制御システム8は、事前搬送条件を満たす場合に、事前搬送処理を搬送台車1により実行する。事前搬送条件は、第1区間21における対象保持部50の上流側に非対象保持部50があり、かつ、非対象保持部50の下流側であって対象保持部50の上流側に空き状態の仮置き部6が存在することである。制御システム8は、この事前搬送条件を満たす場合に、空き状態の仮置き部6を第3対象仮置き部63tとして(
図6A参照)、対象物品9を対象保持部50から受け取る前に、非対象物品9を非対象保持部50から受け取って第3対象仮置き部63tに引き渡す。なお、事前搬送処理では、仮置き部6のうち両区間仮置き部6mを第3対象仮置き部63tとして、当該第3対象仮置き部63tに非対象物品9を引き渡す。上述のように、事前搬送処理では、搬送台車1が対象物品9を対象保持部50から受け取る前に非対象物品9を仮置き部6に引き渡さなければならないため、保持装置5(全ての保持部50)よりも下流側に配置されている片側仮置き部6sを第3対象仮置き部63tとすることはできない。
【0057】
本実施形態では、制御システム8は、非対象保持部50が複数存在する場合、それぞれの非対象保持部50から非対象物品9を受け取った場合に当該非対象物品9を引き渡すことができる空き状態の仮置き部6が存在するか否かを、搬送台車1が複数の非対象保持部のそれぞれに到達する毎に判定する。これにより、搬送台車1が非対象保持部50から非対象物品9を受け取ることが可能な時点における仮置き部6の状況に応じて、非対象物品9を搬送するか否かの判断を行うことができる。
【0058】
次に、
図4~
図6を参照して、異なる複数のケースにおける制御システム8の処理について説明する。なお、
図4~
図6では、実際に存在している物品9を実線で示し、物品9を移載可能な空き状態の仮置き部6上に、物品9の形状を模した破線を示している。
【0059】
〔ケース1〕
図4A及び
図4Bは、ケース1において制御システム8が実行する処理を示している。ケース1は、制御システム8が中継搬出処理及び中間搬送処理を実行するケースである。
【0060】
図4Aに示すように、時刻T11では、第1区間21における、対象物品9(A)が保持された対象保持部50の下流側に、空き状態の両区間仮置き部6mが存在している。そのため、中継搬出条件を満たす。制御システム8は、中継搬出処理を開始し、空き状態の両区間仮置き部6mを第1対象仮置き部61tとして、対象物品9(A)を対象保持部50から受け取って第1区間21内で第1対象仮置き部61tに引き渡す。
図4Aに示すように、本実施形態では、制御システム8は、中継搬出処理を実行する場合において、第1区間21における対象保持部50の下流側に、空き状態の両区間仮置き部6mが複数存在する場合には、それらのうち最も上流側の両区間仮置き部6mを第1対象仮置き部61tとする。これにより、搬送台車1(A)が対象物品9(A)を仮置き部6に引き渡す位置を、より上流側にすることができる。そのため、その後も継続して搬送経路2を移動する搬送台車1(A)が非対象物品9を搬送可能な搬送経路2の範囲を、広く確保することができる。
【0061】
時刻T12(時刻T11よりも後の時刻)では、第1区間21内で第1対象仮置き部61tに対象物品9(A)を引き渡した位置の下流側に、例えば非対象物品9(B)が保持された非対象保持部50(最上段から4段目の保持部50)があり、かつ、非対象保持部50の下流側であって第2区間22内で第1対象仮置き部61tから対象物品9(A)を受け取る位置の上流側に空き状態の仮置き部6(例えば両区間仮置き部6m)が存在している。そのため、中間搬送条件を満たす。制御システム8は、中間搬送処理を実行し、上記空き状態の仮置き部6(両区間仮置き部6m)を第2対象仮置き部62tとして、中継搬出処理の途中で、非対象物品9(B)を非対象保持部50から受け取って第2対象仮置き部62tに引き渡す。なお、制御システム8は、両区間仮置き部6mと片側仮置き部6sとの双方から、中間搬送処理における第2対象仮置き部62tを選択する。従って、制御システム8は、中間搬送条件を満たし得る空き状態の片側仮置き部6sが存在している場合には、空き状態の両区間仮置き部6mに代えて、当該片側仮置き部6sを第2対象仮置き部62tとして選択しても良い。
【0062】
図4Bに示すように、時刻T13(時刻T12よりも後の時刻)において、制御システム8は、中継搬出処理を再開し、第2区間22内で第1対象仮置き部61tから対象物品9(A)を受け取る。そして、時刻T14(時刻T13よりも後の時刻)において、制御システム8は、第2区間22内で第1対象仮置き部61tから受け取った対象物品9(A)を搬出部7に引き渡す。
【0063】
このように、制御システム8は、中継搬出処理を実行することにより、搬出部7との距離が対象保持部50よりも近い仮置き部6に、対象物品9(A)を一時的に配置することができる。そして、搬送台車1(A)は、対象物品9(A)を仮置き部6に引き渡した後、対象物品9(A)を搬送していない移動中に、非対象物品9(B)を非対象保持部50から受け取って別の仮置き部6に引き渡すことができる。その後、搬送台車1(A)は、自らが仮置き部6に引き渡した対象物品9(A)を第2区間22において受け取り、適切に搬出部7に引き渡すことができる。上記において別の仮置き部6に配置された非対象物品9(B)は、他の搬送台車1にとっての対象物品9となり得るため、他の搬送台車1が当該非対象物品9(B)を搬出部7へ搬送する際の搬送距離を短くできる。
【0064】
〔ケース2〕
図5は、ケース2において制御システム8が実行する処理を示している。ケース2は、制御システム8が直接搬出処理を実行するケースである。
【0065】
図5に示すように、時刻T21では、第1区間21における、対象物品(A)が保持された対象保持部50の下流側に、空き状態の両区間仮置き部6mが存在していない。そのため、直接搬出条件を満たす。制御システム8は、直接搬出処理を実行し、対象物品9(A)を対象保持部50から受け取って(時刻T21)、そのまま対象物品9(A)を搬出位置70まで搬送し、搬出部7に引き渡す(時刻T22)。
【0066】
このように、第1区間21における対象保持部50の下流側に空き状態の両区間仮置き部6mが存在しない状況において、制御システム8は、直接搬出処理を実行することにより、非対象物品9の搬送を行うことなく、対象物品9(A)を対象保持部50から搬出部7へ適切に搬送することができる。
【0067】
〔ケース3〕
図6A及び
図6Bは、ケース3において制御システム8が実行する処理を示している。ケース3は、制御システム8が事前搬送処理及び中継搬出処理を実行するケースである。
【0068】
図6Aに示すように、時刻T31では、第1区間21における対象物品9(A)が保持された対象保持部50の上流側に、非対象物品9(B)が保持された非対象保持部50があり、かつ、非対象保持部50の下流側であって対象保持部50の上流側に、空き状態の両区間仮置き部6m(最上段から4段目の両区間仮置き部6m)が存在している。そのため、事前搬送条件を満たす。制御システム8は、事前搬送処理を実行し、上記空き状態の両区間仮置き部6mを第3対象仮置き部63tとして、対象物品9(A)を対象保持部50から受け取る前に、非対象物品9(B)を非対象保持部50から受け取って第3対象仮置き部63tに引き渡す。
【0069】
時刻T32(時刻T31よりも後の時刻)では、第1区間21における、対象物品9(A)が保持された対象保持部50の下流側に、空き状態の両区間仮置き部6m(最上段から2段目の両区間仮置き部6m)が存在している。そのため、中継搬出条件を満たす。制御システム8は、中継搬出処理を開始し、上記空き状態の両区間仮置き部6mを第1対象仮置き部61tとして、対象物品9(A)を対象保持部50から受け取って第1区間21内で第1対象仮置き部61tに引き渡す。
【0070】
図6Bに示すように、時刻T33(時刻T32よりも後の時刻)では、第1区間21内で第1対象仮置き部61tに対象物品9(A)を引き渡した位置の下流側に、非対象物品9(K)が保持された非対象保持部50(最上段の保持部50)があるが、当該非対象保持部50の下流側であって第2区間22内で第1対象仮置き部61t(最上段から2段目の両区間仮置き部6m)から対象物品9(A)を受け取る位置の上流側に空き状態の仮置き部6が存在していない。そのため、中間搬送条件を満たさず、制御システム8は中間搬送処理を実行しない。従って、制御システム8は、第1区間21内で第1対象仮置き部61tに対象物品9(A)を引き渡した位置の下流側では非対象物品9を受け取ることなく、第2区間22内で第1対象仮置き部61tから対象物品9(A)を受け取る。そして、時刻T34(時刻T33よりも後の時刻)において、制御システム8は、第2区間22内で第1対象仮置き部61tから受け取った対象物品9(A)を搬出部7に引き渡す。なお、上記において中間搬送条件を満たす場合には、制御システム8は、第2区間22内で第1対象仮置き部61tから対象物品9(A)を受け取る前に、中間搬送処理を実行しても良い。
【0071】
このように、制御システム8は、事前搬送処理を実行することにより、搬送台車1(A)が対象保持部50に到達するまでの移動中に、非対象物品9(B)を搬出部7に近い位置に移動させることができる。
【0072】
〔仮置き部予約処理〕
本実施形態では、制御システム8は、仮置き部予約処理を実行するように構成されている。仮置き部予約処理は、搬送台車1が空き状態の特定の仮置き部6の上流側にある状態で、物品9を配置するために当該仮置き部6を予約する処理である。予約された仮置き部6は、実際には空き状態であっても、他の搬送台車1にとっては物品9が配置された状態として取り扱われる。
【0073】
図7は、制御システム8が仮置き部予約処理を実行するケースを示している。
図7に示例では、2台の搬送台車1が搬送経路2を移動している。2台のうち先(下流側)を移動する搬送台車1(A)には、対象物品9(A)が割り当てられている。2台のうち後(上流側)を移動する搬送台車1(B)には、対象物品9(B)が割り当てられている。以下では、搬送台車1(A)を先行搬送台車1(A)とし、搬送台車1(B)を後続搬送台車1(B)とする。
【0074】
図7に示すように、時刻T41において、先行搬送台車1(A)が、対象保持部50から対象物品9(A)を受け取る時点では、2つの空き状態の両区間仮置き部6m(最上段から2段目と3段目の両区間仮置き部6m)が存在している。制御システム8は、仮置き部予約処理を実行することにより、2つの空き状態の両区間仮置き部6mのうち1つ(最上段から3段目の両区間仮置き部6m)を、先行搬送台車1(A)が対象物品9(A)を配置するための仮置き部6として予約する。
【0075】
時刻T42(時刻T41よりも後の時刻)において、後続搬送台車1(B)が、対象保持部50から対象物品9(B)を受け取る時点では、先刻予約された両区間仮置き部6m(最上段から3段目の両区間仮置き部6m)に先行搬送台車1(A)が未だ対象物品(A)を配置していないため、実際には、2つの空き状態の両区間仮置き部6m(最上段から2段目と3段目の両区間仮置き部6m)が存在している。しかし、先刻、先行搬送台車1(A)が対象物品9(A)を配置するための仮置き部6として予約された両区間仮置き部6m(最上段から3段目の両区間仮置き部6m)は、後続搬送台車1(B)にとっては、対象物品9(A)が配置されているものとして取り扱われる。そのため、制御システム8は、別の仮置き部予約処理を実行することにより、先行搬送台車1(A)が対象物品9(A)を配置するための仮置き部6として予約された両区間仮置き部6m以外の空き状態の両区間仮置き部6m(最上段から2段目の両区間仮置き部6m)を、後続搬送台車1(B)が対象物品9(B)を配置するための仮置き部6として予約する。
【0076】
このように、制御システム8は、仮置き部予約処理を実行することにより、搬送経路2を移動する複数の搬送台車1が保持部50から物品9を受け取ったにもかかわらず当該物品9を仮置き部6に搬送できない事態を回避することができる。
【0077】
〔グループ出庫処理〕
本実施形態では、制御システム8は、グループ出庫処理を実行するように構成されている。グループ出庫処理は、複数の仮置き部6のそれぞれに保管された一部の物品9を対象物品9とみなし、対象物品9とみなした複数の物品9のうちから搬出部7へ搬送する対象を選択する処理を含む。制御システム8は、グループ出庫処理と共に、中継搬出処理及び中間搬送処理を実行する。すなわち、制御システム8は、仮置き部6に保管された物品9であって対象物品9と同等であるとみなす1つ以上の物品9を同等物品9として設定し、同等物品9を対象物品9とみなすと共に当該同等物品9が保管された仮置き部6を第1対象仮置き部61tとみなした場合に中間搬送処理を実行できる場合には、同等物品9を対象物品9とみなすと共に当該同等物品9が保管された仮置き部6を第1対象仮置き部61tとみなして、中継搬出処理及び中間搬送処理を実行する。例えば、対象物品9と同じ商品を収容する物品9が、同等物品9として設定される構成とすることができる。また、複数の物品9(例えば、1つのオーダー情報により指定される複数の物品9)を1つのグループとして搬出部7に搬送する場合に、対象物品9と同じグループに含まれる物品9が、同等物品9として設定される構成とすることもできる。
【0078】
図8A及び
図8Bは、制御システム8が、グループ出庫処理と共に、中継搬出処理及び中間搬送処理を実行するケースを示している。
図8A及び
図8Bに示す例では、両区間仮置き部6m(最上段の両区間仮置き部6m)に配置された物品9(A)、及び、片側仮置き部6s(最上段から5段目の片側仮置き部6s)に配置された物品9(A)が、搬送台車1(A)が搬送すべき対象物品(A)と同等であるとみなされている。
【0079】
図8Aに示すように、時刻T51では、第1区間21における、対象物品9(A)が保持された対象保持部50の下流側に、空き状態の両区間仮置き部6m(最上段から3段目の両区間仮置き部6m)が存在している。そのため、中継搬出条件を満たす。制御システム8は、中継搬出処理を開始し、上記空き状態の両区間仮置き部6mを第1対象仮置き部61tとして、対象物品9(A)を対象保持部50から受け取って第1区間21内で第1対象仮置き部61tに引き渡す。
【0080】
時刻T52(時刻T51よりも後の時刻)では、第1区間21内で第1対象仮置き部61tに対象物品9(A)を引き渡した位置の下流側に、例えば非対象物品9(B)が保持された非対象保持部50(最上段から2段目の保持部50)があるが、当該非対象保持部50の下流側であって、第2区間22内で先刻対象物品9(A)を引き渡した第1対象仮置き部61t(最上段から3段目の両区間仮置き部6m)の上流側には、空き状態の仮置き部6が存在しない。しかし、本ケースにおいては、空き状態の片側仮置き部6s(最上段から4段目の片側仮置き部6s)の下流側にある片側仮置き部6s(最上段から5段目の片側仮置き部6s)に既に配置されている物品9(A)が、搬送台車1(A)が搬送すべき対象物品9(A)と同等であるとみなされ、当該物品9(A)が配置されている片側仮置き部6sが第1対象仮置き部61tとみなされている。そのため、非対象物品9(B)が保持された非対象保持部50(最上段から2段目の保持部50)の下流側であって第2区間22内で第1対象仮置き部61tから対象物品9(A)を受け取る位置(最上段から5段目の片側仮置き部6s)の上流側に、空き状態の片側仮置き部6s(最上段から4段目の片側仮置き部6s)が存在している。従って、中間搬送条件を満たす。制御システム8は、中間搬送処理を実行し、上記空き状態の片側仮置き部6sを第2対象仮置き部62tとして、中継搬出処理の途中で、非対象物品9(B)を非対象保持部50から受け取って第2対象仮置き部62tに引き渡す。
【0081】
図8Bに示すように、時刻T53(時刻T52よりも後の時刻)において、制御システム8は、中継搬出処理を再開し、第2区間22内で、第1対象仮置き部61tとみなした片側仮置き部6s(最上段から5段目の片側仮置き部6s)から、対象物品9(A)とみなした同等物品9(A)を受け取る。そして、時刻T54(時刻T53よりも後の時刻)において、制御システム8は、対象物品9(A)とみなして受け取った同等物品9(A)を、搬出部7に引き渡す。
【0082】
このように、制御システム8は、グループ出庫処理を実行することにより、物品9を搬出部7または仮置き部6に搬送する場合にとり得る選択肢を増やすことができ、中継搬出処理及び中間搬送処理を実行できる可能性を高めることができる。
【0083】
次に、
図9のフローチャートを参照して、制御システム8が実行する処理の手順について説明する。なお、
図9のフローチャートに示される処理は、1台の搬送台車1に関して実行されるものである。制御システム8は、このような処理を、搬送経路2を移動する複数の搬送台車1のそれぞれに対して実行する。
【0084】
図9に示すように、制御システム8は、まず、事前搬送条件を満たすか否かを判定する(ステップ#1)。制御システム8は、事前搬送条件を満たすと判定した場合には(ステップ#1:Yes)、事前搬送処理を実行する(ステップ#2)。次に、制御システム8は、中継搬出条件を満たすか否かを判定する(ステップ#3)。なお、制御システム8は、上記ステップ#1の処理において、事前搬送条件を満たさないと判定した場合には(ステップ#1:No)、事前搬送処理を実行せずに、ステップ#3の処理に移行する。
【0085】
制御システム8は、中継搬出条件を満たすと判定した場合には(ステップ#3:Yes)、中継搬出処理を開始する(ステップ#4)。制御システム8は、中継搬出処理を開始することにより、対象物品9を対象保持部50から受け取って第1対象仮置き部61tに引き渡す。なお、制御システム8は、中継搬出条件を満たさないと判定した場合には(ステップ#3:No)、直接搬出処理を実行し(ステップ#9)、ルーチンを終了する。
【0086】
制御システム8は、中継搬出処理を開始した後は(ステップ#4)、中間搬送条件を満たすか否かを判定する(ステップ#5)。制御システム8は、中間搬送条件を満たすと判定した場合には(ステップ#5:Yes)、中間搬送処理を実行する(ステップ#6)。制御システム8は、中間搬送条件を満たさないと判定するまで、ステップ#5の処理とステップ#6の処理とを繰り返し実行する。
【0087】
制御システム8は、中間搬送条件を満たさないと判定した場合には(ステップ#5:No)、中継搬出処理を再開して第1対象仮置き部61tの対象物品9を搬出部7まで搬送し(ステップ#7)、その後、中継搬出処理を終了する(ステップ#8)。
【0088】
以上説明した搬送設備100によれば、物品9を搬出部7へ搬送する場合の搬送効率を、設備全体として向上させることができる。
【0089】
〔その他の実施形態〕
次に、搬送設備のその他の実施形態について説明する。
【0090】
(1)上記の実施形態では、制御システム8は、中継搬出処理を実行する場合において、第1区間21における対象保持部50の下流側に、空き状態の両区間仮置き部6mが複数存在する場合には、それらのうち最も上流側の両区間仮置き部6mを第1対象仮置き部61tとする例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、制御システム8は、中継搬出処理を実行する場合において、複数の空き状態の両区間仮置き部6mのうちいずれを第1対象仮置き部61tとしても良い。
【0091】
(2)上記の実施形態では、制御システム8は、対象搬送台車1が搬送中であった物品9を搬出部7に引き渡した後、最も上流側に配置された保持部50に到達するまでの間に、対象搬送台車1に搬送させる対象物品9を指定する例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、制御システム8は、例えば、対象搬送台車1が搬送中であった物品9を搬出部7に引き渡す前に、当該対象搬送台車1に対して次に搬送すべき対象物品9を指定しても良い。
【0092】
(3)上記の実施形態では、複数の仮置き部6には、第2区間22に沿って並ぶように配置され、第2区間22内に位置する搬送台車1とのみ物品9の受け渡しが行われる片側仮置き部6sが含まれる例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、複数の仮置き部6には、両区間仮置き部6mが含まれていれば良く、片側仮置き部6sは含まれていなくても良い。
【0093】
(4)上記の実施形態では、搬送経路2が、搬送台車1が鉛直面内に沿って循環する循環経路を形成している例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、搬送経路2は、例えば、水平面内に沿って循環する循環経路を形成していても良い。この場合、搬送経路2の第1区間21及び第2区間22は、上下方向ではなく、水平方向に沿って延在するように構成される。
【0094】
(5)上記の実施形態では、
図2を参照して搬送台車1の具体的構成について説明した。すなわち、搬送台車1が、駆動輪12と第1補助輪13と第2補助輪14とを備え、これらの車輪が上下方向の異なる位置に配置されている点について説明した。しかし、搬送台車1は、上記のような構成に限定されることなく、搬送経路2を移動可能で、かつ、複数の移載対象箇所との間で物品9を移載可能に構成されていれば良い。周知の構成を用いて搬送台車1を実現しても良い。
【0095】
(6)なお、上述した実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0096】
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明した搬送設備について説明する。
【0097】
物品を搬送する搬送台車と、
前記搬送台車が一方向に移動する搬送経路と、
前記物品が順次搬送されてきて保持される保持部を複数備えた保持装置と、
前記物品を外部へ搬出する搬出部と、
前記搬送台車を制御する制御システムと、を備えた搬送設備であって、
前記搬送経路は、前記搬出部に対応する搬出位置を通って前記搬送台車が一方向に循環する循環経路を形成しており、前記搬出位置に対して下流側に設定された第1区間と、前記第1区間よりも下流側かつ前記搬出位置よりも上流側に設定されていると共に前記第1区間に対して特定方向に離間して平行状に配置された第2区間と、を備え、
複数の前記保持部は、前記第1区間に沿って並ぶように配置され、
前記物品を一時的に保管可能な仮置き部が、前記搬送経路に沿って複数配置され、
複数の前記仮置き部には、前記第1区間と前記第2区間との前記特定方向の間において前記第1区間及び前記第2区間の双方に沿って並ぶように配置された両区間仮置き部が複数含まれ、
前記搬送台車は、前記搬送経路における、複数の前記保持部、複数の前記仮置き部、及び、前記搬出部のそれぞれに対応する位置において、それらと前記物品の受け渡しを行うことができるように構成され、
複数の前記保持部に保持された前記物品のうち1つを対象物品とし、複数の前記保持部に保持された前記物品のうちの前記対象物品以外の前記物品を非対象物品とし、前記対象物品が保持されている前記保持部を対象保持部として、
前記制御システムは、
前記搬送台車により前記対象物品を前記搬出部へ搬送する場合において、前記第1区間における前記対象保持部の下流側に、空き状態の前記両区間仮置き部が存在する場合には、当該空き状態の前記両区間仮置き部を第1対象仮置き部として、前記対象物品を前記対象保持部から受け取って前記第1区間内で前記第1対象仮置き部に引き渡し、その後、前記第2区間内で前記第1対象仮置き部から前記対象物品を受け取って前記搬出部に引き渡す、中継搬出処理を前記搬送台車により実行し、
更に、前記中継搬出処理を実行する場合において、前記第1区間内で前記第1対象仮置き部に前記対象物品を引き渡した位置の下流側に前記非対象物品が保持された前記保持部である非対象保持部があり、かつ、前記非対象保持部の下流側であって前記第2区間内で前記第1対象仮置き部から前記対象物品を受け取る位置の上流側に空き状態の前記仮置き部が存在する場合には、当該空き状態の前記仮置き部を第2対象仮置き部として、前記中継搬出処理の途中で、前記非対象物品を前記非対象保持部から受け取って前記第2対象仮置き部に引き渡す、中間搬送処理を前記搬送台車により実行する。
【0098】
本構成によれば、搬出部との距離が保持部よりも近い仮置き部に、対象物品を一時的に配置することができる。そして、搬送台車は、対象物品を仮置き部に配置した後、対象物品を搬送していない移動中に、非対象物品を保持部から受け取って別の仮置き部に配置することができる。その後、搬送台車は、自らが仮置き部に配置した対象物品を第2区間において受け取り、適切に搬出部へ搬送することができる。上記において別の仮置き部に配置された非対象物品は、他の搬送台車にとっての対象物品となり得るため、他の搬送台車が当該非対象物品を搬出部へ搬送する際の搬送距離を短くできる。このように、本構成によれば、対象保持部から搬出部への対象物品の搬送を適切に行うことができると共に、その対象保持部から搬出部までの経路の移動中に、非対象物品を搬出部に近い位置に移動させることができる。従って、物品を搬出部へ搬送する場合の搬送効率を、設備全体として向上させることができる。
【0099】
前記制御システムは、前記中継搬出処理を実行する場合において、前記第1区間における前記対象保持部の下流側に、空き状態の前記両区間仮置き部が複数存在する場合には、それらのうち最も上流側の前記両区間仮置き部を前記第1対象仮置き部とする、と好適である。
【0100】
本構成によれば、搬送台車が対象物品を第1対象仮置き部に配置する位置を、より上流側にすることができる。そのため、その後も継続して搬送経路を移動する搬送台車が非対象物品を搬送可能な搬送経路の範囲を、広く確保することができる。
【0101】
前記制御システムは、前記搬送台車により前記対象物品を前記対象保持部から前記搬出部へ搬送する場合において、前記第1区間における前記対象保持部の下流側に、空き状態の前記両区間仮置き部が存在しない場合には、前記対象物品を前記対象保持部から受け取って、そのまま前記対象物品を前記搬出位置まで搬送し、前記対象物品を前記搬出部に引き渡す、直接搬出処理を前記搬送台車により実行する、と好適である。
【0102】
状況によっては、第1区間における対象保持部の下流側に、空き状態の両区間仮置き部が存在しない場合がある。本構成によれば、このような状況では、直接搬出処理を実行することによって、非対象物品の搬送を行うことなく、対象物品を対象保持部から搬出部へ適切に搬送することができる。
【0103】
前記制御システムは、前記第1区間における前記対象保持部の上流側に前記非対象保持部があり、かつ、前記非対象保持部の下流側であって前記対象保持部の上流側に空き状態の前記仮置き部が存在する場合には、当該空き状態の前記仮置き部を第3対象仮置き部として、前記対象物品を前記対象保持部から受け取る前に、前記非対象物品を前記非対象保持部から受け取って前記第3対象仮置き部に引き渡す、事前搬送処理を前記搬送台車により実行する、と好適である。
【0104】
本構成によれば、事前搬送処理を実行することにより、搬送台車が対象保持部に到達するまでの移動中に、非対象物品を搬出部に近い位置に移動させることができる。
【0105】
前記制御システムは、前記非対象保持部が複数存在する場合、それぞれの前記非対象保持部から前記非対象物品を受け取った場合に当該非対象物品を引き渡すことができる空き状態の前記仮置き部が存在するか否かを、前記搬送台車が複数の前記非対象保持部のそれぞれに到達する毎に判定する、と好適である。
【0106】
本構成によれば、搬送台車が非対象保持部から非対象物品を受け取ることが可能な時点における仮置き部の状況に応じて、非対象物品を搬送するか否かの判断を行うことができる。
【0107】
前記制御システムは、前記仮置き部に保管された前記物品であって前記対象物品と同等であるとみなす1つ以上の前記物品を同等物品として設定し、前記同等物品を前記対象物品とみなすと共に当該同等物品が保管された前記仮置き部を前記第1対象仮置き部とみなした場合に前記中間搬送処理を実行できる場合には、前記同等物品を前記対象物品とみなすと共に当該同等物品が保管された前記仮置き部を前記第1対象仮置き部とみなして、前記中継搬出処理及び前記中間搬送処理を実行する、と好適である。
【0108】
本構成によれば、物品を搬出部または仮置き部に搬送する場合にとり得る選択肢を増やすことができ、中継搬出処理及び中間搬送処理を実行できる可能性を高めることができる。
【0109】
複数の前記仮置き部には、前記第2区間に沿って並ぶように配置され、前記第2区間内に位置する前記搬送台車とのみ前記物品の受け渡しが行われる片側仮置き部が更に含まれ、
前記制御システムは、前記両区間仮置き部と前記片側仮置き部との双方から、前記中間搬送処理における前記第2対象仮置き部を選択する、と好適である。
【0110】
本構成によれば、非対象物品を仮置き部に搬送する場合にとり得る選択肢を増やすことができ、中間搬送処理を実行できる可能性を高めることができる。
【0111】
前記搬送台車を複数備え、
前記制御システムは、複数の前記搬送台車のそれぞれを対象搬送台車として、前記対象搬送台車が搬送中であった前記物品を前記搬出部に引き渡した後、最も上流側に配置された前記保持部に到達するまでの間に、前記対象搬送台車に搬送させる前記対象物品を指定する、と好適である。
【0112】
本構成によれば、搬送経路を循環する複数の搬送台車のそれぞれに、適切に対象物品を搬送させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本開示に係る技術は、物品を搬送する搬送台車と、前記搬送台車が一方向に移動する搬送経路と、前記物品を外部へ搬出する搬出部と、前記搬送台車を制御する制御システムと、を備えた搬送設備に利用することができる。
【符号の説明】
【0114】
100 :搬送設備
1 :搬送台車
2 :搬送経路
21 :第1区間
22 :第2区間
5 :保持装置
50 :保持部
6 :仮置き部
6m :両区間仮置き部
6s :片側仮置き部
61t :第1対象仮置き部
62t :第2対象仮置き部
63t :第3対象仮置き部
7 :搬出部
70 :搬出位置
8 :制御システム
9 :物品
X :特定方向