(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】電池パック
(51)【国際特許分類】
H01M 50/204 20210101AFI20240717BHJP
H01M 50/213 20210101ALI20240717BHJP
H01M 50/548 20210101ALI20240717BHJP
H01M 50/503 20210101ALI20240717BHJP
H01M 50/509 20210101ALI20240717BHJP
H01M 50/505 20210101ALI20240717BHJP
【FI】
H01M50/204 401Z
H01M50/213
H01M50/548 201
H01M50/503
H01M50/509
H01M50/505
(21)【出願番号】P 2022504981
(86)(22)【出願日】2020-12-22
(86)【国際出願番号】 JP2020047901
(87)【国際公開番号】W WO2021176808
(87)【国際公開日】2021-09-10
【審査請求日】2022-08-12
(31)【優先権主張番号】P 2020036218
(32)【優先日】2020-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020071780
(32)【優先日】2020-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100087985
【氏名又は名称】福井 宏司
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(72)【発明者】
【氏名】森 倫也
【審査官】多田 達也
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第208819969(CN,U)
【文献】特開2018-005984(JP,A)
【文献】国際公開第2019/124109(WO,A1)
【文献】特開2001-006652(JP,A)
【文献】特開2019-192371(JP,A)
【文献】特開2004-031049(JP,A)
【文献】中国実用新案第204011498(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M50/20-50/298
H01M50/50-50/598
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の外形を有し、筒軸方向における正側の端部と負側の端部それぞれに電極端子を有する複数の電池が、互いの筒軸が平行な姿勢で筒軸方向と直交する第1方向に沿って配置される電池組と、
前記複数の電池それぞれの前記正側の端部の電極端子を接続するタブと、を備え、
前記複数の電池は、第1電池、第2電池、第3電池の順番に配置される前記第1電池、前記第2電池および前記第3電池を含み、
前記タブは、前記第2電池に接続されずに、前記第1電池と前記第3電池とに接続される第1タブと、第2タブと、を含み、
前記複数の電池は、前記第3電池における前記第2電池側とは反対側で隣り合い前記第1タブが接続されない第4電池を含み、
前記第2タブは、前記第1電池と前記第3電池に接続されずに、前記第2電池と前記第4電池とに接続さ
れ、
前記第1電池、前記第2電池、前記第3電池、及び前記第4電池は、前記第1方向において互いに間隔を空けて配置されている
電池パック。
【請求項2】
前記第1タブは、前記筒軸方向における正側から平面視されたとき、少なくとも1箇所で前記第2タブと交差する、
請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
筒状の外形を有し、筒軸方向における正側の端部と負側の端部それぞれに電極端子を有する複数の電池が、互いの筒軸が平行な姿勢で筒軸方向と直交する第1方向に沿って配置される電池組と、
前記複数の電池それぞれの前記正側の端部の電極端子を接続するタブと、を備え、
前記複数の電池は、第1電池、第2電池、第3電池の順番に配置される前記第1電池、前記第2電池および前記第3電池を含み、
前記タブは、前記第2電池に接続されずに、前記第1電池と前記第3電池とに接続される第1タブと、第2タブと、を含み、
前記複数の電池は、前記第3電池における前記第2電池側とは反対側で隣り合い前記第1タブが接続されない第4電池を含み、
前記第2タブは、前記第1電池と前記第3電池に接続されずに、前記第2電池と前記第4電池とに接続さ
れ、
前記第1タブは、前記筒軸方向と前記第1方向と直交する第2方向から平面視されたとき、少なくとも1箇所で前記第2タブと交差する、
電池パック。
【請求項4】
前記複数の電池は、前記第1電池と前記第2方向で隣接する第5電池と、前記第2電池と前記第2方向で隣接する第6電池と、前記第3電池と前記第2方向で隣接する第7電池と、前記第4電池と前記第2方向に隣接する第8電池と、を更に備え、
前記第1タブは、前記第5電池と前記第7電池とに接続されず、前記第6電池と前記第8電池と接続され、
前記第2タブは、前記第6電池と前記第8電池とに接続されず、前記第5電池と前記第7電池と接続される、
請求項3に記載の電池パック。
【請求項5】
前記第1電池および前記第2電池の前記筒軸方向における正側の端部には、正極端子が設けられ、
前記第3電池および前記第4電池の前記筒軸方向における正側の端部には、負極端子が設けられている、
請求項1から4のいずれか1項に記載の電池パック。
【請求項6】
前記タブは、複数のサブタブを有する、
請求項1から5のいずれか1項に記載の電池パック。
【請求項7】
前記第1タブは、前記筒軸方向における正側から平面視されたとき、前記第2タブと交差しない、
請求項1に記載の電池パック。
【請求項8】
前記第1タブは、前記複数の電池に対して前記筒軸方向と前記第1方向と直交する第2方向側に位置する部分を有し、
前記第2タブは、前記複数の電池に対して前記第2方向とは反対方向側に位置し、前記電池を挟んで前記第1タブと向かい合う部分を有する、
請求項1に記載の電池パック。
【請求項9】
前記第1方向において隣り合う2つの前記電池は、同一の前記タブに接続されていない、
請求項1に記載の電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の円筒形の二次電池をケースの特定の面に対して垂直な姿勢であり且つ隣接する二次電池が俵積み状に配置されるように縦横に並べてなる電池ブロック集合体と、電池ブロック集合体を収納する収納ケースと、を備えるパック電池が提案されている(例えば特許文献1参照)。このパック電池は、電池ブロック集合体を構成する複数の二次電池の電力に共通に接続され複数の二次電池を並列に接続するリード板を更に備える。このパック電池は、収納ケース内の限られたスペースに円筒形であり且つ互いに隣接する二次電池が俵積み状に配置されている。これにより、パック電池の地面への落下、互いに隣接して配置されたパック電池同士の衝突等によりパック電池に外力が加わっても、二次電池の潰れが抑制され安全な状態が維持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたパック電池では、収納ケース内の限られたスペースに複数の二次電池が俵積み状に配置されているため、互いに隣り合う二次電池同士が近接している。従って、1つの二次電池が発火した場合、限られたスペースで電池が配置されているので、発火した電池に近接した二次電池に、リード板を介して伝達する熱と、二次電池間に生じている隙間に存在する空気を介して伝達する熱とが集中する。これにより、最初に発火した二次電池に近接した二次電池が高温に熱せられる結果、二次的に発火する虞がある。
【0005】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、予め設定されたスペースに配置された複数の電池のうちの1つが発火した場合における他の電池への延焼が抑制される電池パックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る電池パックは、
筒状の外形を有し、筒軸方向における正側の端部と負側の端部それぞれに電極端子を有する複数の電池が、互いの筒軸が平行な姿勢で筒軸方向と直交する第1方向に沿って配置される電池組と、
前記複数の電池それぞれの前記正側の端部の電極端子を接続するタブと、を備え、
前記複数の電池は、第1電池、第2電池、第3電池の順番に配置される前記第1電池、前記第2電池および前記第3電池を含み、
前記第2電池の前記正側の端部は、前記タブを介して前記第1電池および前記第3電池と直接接続されず、
前記タブは、前記第2電池に接続されずに、前記第1電池と前記第3電池とに接続される第1タブを含む。
また、本発明に係る電池パックは、
前記タブは、前記第2電池に接続される第2タブを更に含み、
前記第2タブは、前記第1電池と前記第3電池に接続されない、ものであってもよい。
【0007】
また、本発明に係る電池パックは、
筒状の外形を有し、筒軸方向における正側の端部と負側の端部それぞれに電極端子を有する複数の電池が、互いの筒軸が平行な姿勢で筒軸方向と直交する第1方向に沿って配置される電池組と、
前記複数の電池それぞれの前記正側の端部の電極端子を接続するタブと、を備え、
前記複数の電池は、第1電池、第2電池、第3電池の順番に配置される前記第1電池、前記第2電池および前記第3電池を含み、
前記タブは、前記第2電池に接続されずに、前記第1電池と前記第3電池とに接続される第1タブと、第2タブと、を含み、
前記複数の電池が、前記第3電池における前記第2電池側とは反対側で隣り合い前記第1タブが接続されない第4電池を含み、
前記第2タブは、前記第1電池と前記第3電池に接続されずに、前記第2電池と前記第4電池とに接続される。
【0008】
また、本発明に係る電池パックは、
前記第1タブが、前記筒軸方向における正側から平面視されたとき、少なくとも1箇所で前記第2タブと交差する、ものであってもよい。
【0009】
また、本発明に係る電池パックは、
前記第1タブが、前記筒軸方向と前記第1方向と直交する第2方向から平面視したときに、少なくとも1箇所で前記第2タブと交差する、ものであってもよい。
【0010】
また、本発明に係る電池パックは、
前記複数の電池が、前記第1電池と前記第2方向で隣接する第5電池と、前記第2電池と前記第2方向で隣接する第6電池と、前記第3電池と前記第2方向で隣接する第7電池と、前記第4電池と前記第2方向に隣接する第8電池と、を更に備え、
前記第1タブが、前記第5電池と前記第7電池とに接続されず、前記第6電池と前記第8電池と接続され、
前記第2タブが、前記第6電池と前記第8電池とに接続されず、前記第5電池と前記第7電池と接続される、ものであってもよい。
【0011】
また、本発明に係る電池パックは、
前記第1電池および前記第2電池の前記筒軸方向における正側の端部には、正極端子が設けられ、
前記第3電池および前記第4電池の前記筒軸方向における正側の端部には、負極端子が設けられている、ものであってもよい。
【0012】
また、本発明に係る電池パックは、
前記タブが、複数のサブタブを有する、ものであってもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、第1電池、第2電池、第3電池が、第1電池、第2電池、第3電池の順番に配置され、第1タブが、第2電池に接続されずに、第1電池と第3電池とに接続される。これにより、複数の電池のうちの1つの電池が発火した場合、発火した電池と隣接する他の電池へ熱が集中的に伝達することが抑制される。従って、発火した電池と隣接する他の電池が高温に熱せられることに起因した他の電池への延焼が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る電池パックの斜視図である。
【
図2A】実施の形態1に係る電池パックの平面図である。
【
図2B】実施の形態1に係る電池パックの側面図である。
【
図3】実施の形態1に係る電池パックの回路図である。
【
図4B】比較例に係る電池パックの機能を説明するための図である。
【
図5A】実施の形態1に係る電池パックの一部の平面図である。
【
図5B】実施の形態1に係る電池パックの機能を説明するための図である。
【
図6A】本発明の実施の形態2に係る電池パックの平面図である。
【
図6B】実施の形態2に係る電池パックの側面図である。
【
図7A】本発明の実施の形態3に係る電池パックの平面図である。
【
図7B】実施の形態3の変形例に係る電池パックの平面図である。
【
図8】本発明の実施の形態4に係る電池パックの斜視図である。
【
図9A】実施の形態4に係る電池パックの平面図である。
【
図9B】実施の形態4に係る電池パックの側面図である。
【
図10A】変形例に係る電池パックの平面図である。
【
図10B】変形例に係る電池パックの側面図である。
【
図14A】変形例に係る電池パックの等価回路を示す回路図である。
【
図14B】変形例に係る電池パックの等価回路を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。本実施の形態に係る電池パックは、筒状であり、互いに筒軸方向が平行となる姿勢で一方向に沿って並列された3つ以上の電池からなる第1電池組と、3つ以上の電池のうちのいずれか1つの電池に設けられた電極端子と、1つの電池と一方向において隣接する他の電池以外の電池の電極端子と、を接続する少なくとも1つのタブと、を備える。
【0016】
図1、
図2Aおよび
図2Bに示すように、本実施の形態に係る電池パック1は、互いの筒軸が平行な姿勢で筒軸方向と直交する第1方向、即ち、X軸方向に沿って配置される6つの電池11からなる電池組と、タブ121、122、131、132、171、172、181、182と、プリント回路基板(以下、「PCB」と称する。)15、16と、を備える。
【0017】
電池11は、例えば充電可能な二次電池である。二次電池としては、リチウムイオン電池、ニッケル-水素電池、ニッケル-カドミウム電池等を用いることができる。6つの電池11は、それぞれ、円筒状の外形を有するいわゆる円筒型電池であり、筒軸J1方向における正側、即ち、+Z方向側の端部と、負側、即ち、-Z方向側の端部のそれぞれに電極端子を有する。即ち、電池11は、筒軸J1方向における一端部に設けられた電極端子である正極端子11aと、筒軸J1方向における他端部に設けられた電極端子である負極端子11bと、を有する。また、6つの電池11は、それぞれ、互いに筒軸J1方向が平行となる姿勢でX軸方向に沿って直線状に並列している。また、6つの電池11は、
図2Aに示すように、隣り合う電池11間の最短距離が距離W2となるように等間隔に並列している。また、6つの電池11の筒軸J1同士の距離は、距離W1で一定である。
【0018】
また、6つの電池11は、筒軸J1方向に沿って正極端子11aから負極端子11bに向かう向きが-Z方向と一致する姿勢で配置された2個の電池11からなる第1電池群1Aと、筒軸J1方向に沿って正極端子11aから負極端子11bに向かう向きが筒軸J1方向における正方向である+Z方向で同じとなる姿勢で配置された2個の電池11からなる第2電池群1Bと、を含んでいる。そして、2つの第1電池群1Aと1つの第2電池群1Bとが、X軸方向に沿って交互に配置されている。
【0019】
タブ121、122、131、132、171、172、181、182は、それぞれ、Cu、Al等の金属板から形成されている。
図2Aおよび
図2Bに示すように、タブ121、122、131、132、171、172、181、182それぞれの延在方向および厚さ方向に直交する方向の幅W3は、同じである。ここで、タブ121、122、131、132は、6つの電池
11それぞれの正側、即ち、+Z方向側の端部の電極端子を接続する。タブ122、132は、それぞれ一端部がPCB15に固定され、PCB15に形成された導電パターン151を介して互いに電気的に接続されている。また、タブ122は、最も+X方向側に配置された電池11から数えて-X方向における2番目の電池11の正極端子11aに電気的に接続されている。更に、タブ132は、最も+X方向側に配置された電池11の正極端子11aに電気的に接続されている
。タブ121は、最も-X方向側に配置された電池11の正極端子11aと、最も-X方向側から数えて3番目に配置された電池11の負極端子11bと、を電気的に接続する。タブ131は、最も-X方向側に配置された電池11から数えて+
X方向における2番目に配置された電池11の正極端子11aと、最も-X方向側に配置された電池11から数えて+X方向における4番目に配置された電池11の負極端子11bと、を電気的に接続する。即ち、タブ121、131は、6つの電池11のうちのいずれか1つの電池11に設けられた正極端子11aと、この1つの電池11とX軸方向において隣接する他の電池11以外の電池11の負極端子11bと、を接続している。また、最も-X方向側に配置された電池11を第1電池とし、第1電池と+X方向側で隣り合う電池11を第2電池とし、第2電池と+X方向側で隣り合う電池11を第3電池としたとき、タブ121は、第2電池に接続されずに、第1電池と第3電池とに接続されている。更に、第3電池における第2電池側とは反対側、即ち、+X方向側で隣り合う電池11を第4電池としたとき、タブ131は、第1電池と第3電池に接続されずに、第2電池と第4電池とに接続されている。タブ121、122、131、132は、それぞれ、電池11の正極端子11a、負極端子11bに抵抗スポット溶接、レーザスポット溶接等により溶接されている。
【0020】
タブ172、182は、それぞれ一端部がPCB15に固定され、PCB15に形成された導電パターン161を介して互いに電気的に接続されている。また、タブ172は、最も-X方向側に配置された電池11の負極端子11bに電気的に接続されている。更に、タブ182は、最も-X方向側に配置された電池11から数えて+X方向における2番目の電池11の負極端子11bに電気的に接続されている。タブ171は、最も-X方向側に配置された電池11から数えて+X方向における3番目に配置された電池11の正極端子11aと、最もーX方向側に配置された電池11から数えて+X方向における5番目に配置された電池11の負極端子11bと、を電気的に接続する。タブ181は、最も+X方向側に配置された電池11の負極端子11bと、最も+X方向側に配置された電池11から数えて-X方向における3番目に配置された電池11の正極端子11aと、を電気的に接続する。即ち、タブ171、181は、6つの電池11のうちのいずれか1つの電池11に設けられた正極端子11aと、この1つの電池11とX軸方向において隣接する他の電池11以外の電池11の負極端子11bと、を接続している。タブ171、172、181、182は、それぞれ、電池11の正極端子11a、負極端子11bに抵抗スポット溶接、レーザスポット溶接等により溶接されている。そして、6つの電池11は、それぞれ、タブ121、122、131、132、171、172、181、182により、
図3に示すように、PCB15の導電パターン151、161との間に2並列3直列に接続される。
【0021】
ここで、本実施の形態に係る電池パック1の機能について、比較例と比較しながら説明する。比較例に係る電池パックは、
図4Aに示すように、X軸方向に沿って延在する幅W3のタブ9012、9017を備える。この比較例に係る電池パックでは、電池11Aと電池11Bとの間には、タブ9012、9017を介した伝熱経路と、電池11Aと電池11Bとの間に存在する空気を介した伝熱経路と、が形成されている。ここで、例えば電池11Aが発火して大量の熱が発生した場合、
図4Bの矢印AR91に示すように、電池11Aで発生した熱が隣接する電池11Bへ集中的に伝達されるため、電池11Bが発火温度以上に熱せられてしまう可能性が高くなってしまう。
【0022】
一方、本実施の形態に係る電池パック1では、
図5Aに示すように、電池11Aと電池11Bとの間には、電池11Aと電池11Bとの間に存在する空気を介した伝熱経路のみが形成されており、電池11Aと電池11Cとの間には、タブ121、131、171、181を介した伝熱経路と、電池11Aと電池11Cとの間に存在する空気を介した伝熱経路と、が形成されている。このため、電池11Aと電池11Bとの間の熱抵抗は、タブ121、131、171、181を介した伝熱経路が形成されていない分だけ、比較例に係るそれに比べて大きくなる。このため、電池11Aと電池11Bとの間の熱抵抗は、比較例に係るそれに比べて、電池11Aと電池11Cとの間の熱抵抗に近い大きさとなっている。従って、例えば電池11Aが発火して大量の熱が発生した場合、
図5Bの矢印AR11に示すように、電池11Aから電池11Bへ伝達する熱の熱量が減少する一方、
図5Bの矢印AR12に示すように、電池11Aから電池11Cへ伝達する熱の熱量が増大する。この結果、電池11Aで発生した熱が、電池11B、11Cへ均等に伝達されるため、電池11B、11Cそれぞれの過度の温度上昇が抑制される。
【0023】
以上説明したように、本実施の形態に係る電池パック1によれば、タブ121、131は、6つの電池11のうちのいずれか1つの電池11に設けられた正極端子11aと、この1つの電池11とX軸方向において隣接する他の電池11以外の電池11の負極端子11bと、を接続している。また、タブ171、181は、6つの電池11のうちのいずれか1つの電池11に設けられた正極端子11aと、この1つの電池11とX軸方向において隣接する他の電池11以外の電池11の負極端子11bと、を接続している。これにより、6つの電池11のうちの1つの電池11が発火した場合、発火した電池11と隣接する他の電池11へ熱が集中的に伝達することが抑制される。従って、発火した電池11と隣接する他の電池11が高温に熱せられることに起因した他の電池11への延焼が抑制される。
【0024】
(実施の形態2)
本実施の形態に係る電池パックは、タブの形状が実施の形態1に係る電池パック1と相違する。具体的には、1のタブが、筒軸J1方向における正側、即ち、+Z方向から平面視されたとき、他のタブの1箇所と交差している点が相違する。
【0025】
図6Aおよび
図6Bに示すように、本実施の形態に係る電池パック2は、6つの電池11と、タブ2121、122、131、132、2171、172、181、182と、PCB15、16と、を備える。なお、
図6Aおよび
図6Bにおいて実施の形態1と同様の構成については
図2Aおよび
図2Bと同一の符号を付している。
【0026】
タブ2121は、筒軸J1方向における正側、即ち、+Z方向から平面視されたとき、タブ131の1箇所と交差している。ここで、タブ131を請求項3の第2タブとすると、タブ2121は、請求項3の第1タブに相当する。タブ2121は、長尺板状であり、長手方向における両端部それぞれが、正極端子11aにタブ131が接続された電池11のX軸方向における両側に配置された2つの電池11の正極端子11aと負極端子11bとに接続されている。そして、タブ2121は、タブ131から離れた状態で、タブ131が接続された正極端子11aの+Z方向側を跨ぐように配置されている。タブ2171も、Z軸方向から見て、タブ181の一部と重なっている。タブ2171は、長尺板状であり、長手方向における両端部それぞれが、正極端子11aにタブ181が接続された電池11のX軸方向における両側に配置された2つの電池11の正極端子11aと負極端子11bとに接続されている。そして、タブ2171は、タブ181から離れた状態で、タブ181が接続された正極端子11aの-Z方向側を跨ぐように配置されている。
【0027】
本実施の形態に係る電池パック2によれば、タブ2121が、6つの電池11の+Z方向側に配置され、タブ2171が6つの電池11の-Z方向側に配置される。これにより、電池パック2のY軸方向の幅を低減することができるので、電池パック2の筐体の薄型化を図ることができる。
【0028】
(実施の形態3)
本実施の形態に係る電池パックでは、3つ以上の電池のうちの少なくとも1つの電池の筒軸が、他の電池の筒軸を含み且つX軸方向に平行な仮想平面からY軸方向へずれた位置に配置されている点が実施の形態1に係る電池パック1と相違する。
【0029】
図7Aに示すように、本実施の形態に係る電池パック3は、6つの電池11と、タブ3121、122、3131、132、3171、3181、182と、PCB15、16と、を備える。なお、
図7Aにおいて実施の形態1と同様の構成については
図2Aと同一の符号を付している。6つの電池11のうち、最も-X方向側に配置された電池11と、最も-X方向側に配置された電池11から数えて+X方向における3番目、5番目それぞれに配置された電池11と、は、X軸方向に沿って一直線状に並列している。また、最も-X方向側に配置された電池11から数えて+X方向における2番目、4番目、6番目それぞれに配置された電池11は、それらの筒軸J1が他の電池11の筒軸J1を含み且つX軸方向に平行な仮想平面VL3から+Y方向へずれた位置に配置された状態で並列している。最も-X方向側に配置された電池11から数えて+X方向における2番目、4番目、6番目それぞれに配置された電池11の筒軸J1は、仮想平面VL3から距離W304だけずれた位置に配置されている。また、仮想平面を用いない表現で言い換えると、
図2Aにおける左から1番目に配置される電池11の筒軸J1と、
図2Aにおける左から3番目に配置される電池11の筒軸J1とは、電池11が並べられる方向であるX方向と平行な直線上に配置される。そして、前述の電池11とは別の電池である
図2Aにおける左から2番目の電池11の筒軸J1と、
図2Aにおける左から1番目に配置される電池11の筒軸J1とは、電池11が並べられる方向であるX方向と平行でない直線上に配置される。距離W304は、例えば電池11をZ軸方向から見たときの電池11の半径以下の長さとなるように設定される。そして、6つの電池11は、それぞれ、最も近い位置に配置された電池11との間の最短距離が距離W2となるように配置されている。ここで、X軸方向で隣り合う2つの電池11の筒軸J1同士の間の距離W301は、実施の形態1に係る電池パック1における距離W1に比べて短くすることができる。
【0030】
タブ3121は、最も-X方向側に配置された電池11の正極端子11aと、最も-X方向側から数えて3番目に配置された電池11の負極端子11bと、を電気的に接続する。タブ3131は、最も-X方向側に配置された電池11から数えて+X方向における2番目に配置された電池11の正極端子11aと、最も-X方向側に配置された電池11から数えて+X方向における4番目に配置された電池11の負極端子11bと、を電気的に接続する。タブ3171は、最も-X方向側に配置された電池11から数えて+X方向における3番目に配置された電池11の正極端子11aと、最も+X方向側に配置された電池11から数えて-X方向における2番目に配置された電池11の負極端子11bと、を電気的に接続する。タブ3181は、最も+X方向側に配置された電池11の負極端子11bと、最も+X方向側に配置された電池11から数えて-X方向における3番目に配置された電池11の正極端子11aと、を電気的に接続する。
【0031】
なお、
図7Bに示す電池パック4のように、長尺板状でありZ軸方向から見てタブ3131の一部と重なっているタブ4121と、長尺板状でありZ軸方向から見てタブ3181の一部と重なっているタブ4171と、を備えるものであってもよい。ここで、タブ4121、4171の形状は、実施の形態2で説明したタブ2121、2171と同様の形状とすればよい。
【0032】
本実施の形態に係る電池パック3、4によれば、X軸方向で隣り合う2つの電池11の筒軸J1同士の間の距離W301は、実施の形態1に係る電池パック1における距離W1に比べて短い。これにより、実施の形態1に係る電池パック1に比べてX軸方向の長さを短くすることができるので、その分、電池パック3の小型化を図ることができる。
【0033】
(実施の形態4)
本実施の形態に係る電池パックでは、1のタブが、Y軸方向から平面視したとき、少なくとも1箇所で他のタブと交差している点が実施の形態1に係る電池パック1と相違する。
【0034】
図8、
図9Aおよび
図9Bに示すように、本実施の形態に係る電池パック5は、8つの電池11と、タブ5121、5131、5171、5172、5173、5181、5182、5183と、PCB15、16と、を備える。なお、
図8、図9Aおよび図9Bにおいて実施の形態1と同様の構成については
図1、図2Aおよび図2Bと同一の符号を付している。8つの電池11は、筒軸J1方向に沿って正極端子11aから負極端子11bに向かう向きが-Z方向と一致する姿勢で配置された2個の電池11からなる2つの第1電池群1Aと、筒軸J1方向に沿って正極端子11aから負極端子11bに向かう向きが第
3方向である+Z方向で同じとなる姿勢で配置された2個の電池11からなる2つの第2電池群1Bと、が、X軸方向に沿って交互に配置されている。
【0035】
2つのタブ5121のうちのーX方向側の一方は、最も-X方向側に配置された電池11の正極端子11aと、最も-X方向側に配置された電池11から数えて+X方向における3番目に配置された電池11の負極端子11bと、を電気的に接続する。2つのタブ5121のうちの+X方向側の他方は、最も-X方向側に配置された電池11から数えて+X方向における5番目に配置された電池11の正極端子11aと、最も-X方向側に配置された電池11から数えて+X方向における7番目に配置された電池11の負極端子11bと、を電気的に接続する。2つのタブ5131のうちのーX方向側の一方は、最も-X方向側に配置された電池11から数えて+X方向における2番目に配置された電池11の正極端子11aと、最も-X方向側に配置された電池11から数えて+X方向における4番目に配置された電池11の負極端子11bと、を電気的に接続する。2つのタブ5131のうちの+X方向側の他方は、最も-X方向側に配置された電池11から数えて+X方向における6番目に配置された電池11の正極端子11aと、最も+X方向側に配置された電池11の負極端子11bと、を電気的に接続する。ここで、タブ5121は、筒軸J1方向と第1方向、即ち、X軸方向と直交する第2方向、即ち、Y軸方向から平面視したとき、少なくとも1箇所でタブ5131と交差している。ここにおいて、タブ5121を請求項4の第1タブとすると、タブ5131が請求項4の第2タブに相当する。また、タブ5131におけるタブ5121と重なった重複部分5131aは、Y軸方向においてタブ5121から距離W505だけ離れた位置に配置されている。
【0036】
タブ5172、5182は、
図9Aおよび
図9Bに示すように、それぞれ一端部がPCB15に固定され、PCB15に形成された導電パターン161を介して互いに電気的に接続されている。また、タブ5172は、最も-X方向側に配置された電池11の負極端子11bに電気的に接続されている。更に、タブ5182は、最も-X方向側に配置された電池11から数えて+X方向における2番目の電池11の負極端子11bに電気的に接続されている。タブ5173、5183は、それぞれ一端部がPCB15に固定され、PCB15に形成された導電パターン151を介して互いに電気的に接続されている。また、タブ5173は、最も+X方向側に配置された電池11の正極端子11aに電気的に接続されている。更に、タブ5183は、最も+X方向側に配置された電池11から数えてーX方向における2番目の電池11の正極端子11aに電気的に接続されている。
【0037】
タブ5171は、最も-X方向側に配置された電池11から数えて+X方向における3番目に配置された電池11の正極端子11aと、最もーX方向側に配置された電池11から数えて+X方向における5番目に配置された電池11の負極端子11bと、を電気的に接続する。タブ5181は、最もーX方向側に配置された電池11から数えて+X方向における4番目に配置された電池11の正極端子11aと、最もーX方向側に配置された電池11から数えて+X方向における6番目に配置された電池11の負極端子11bと、を電気的に接続する。ここで、タブ5181は、-Y方向から見たときに、タブ5171の一部と重なっている。そして、タブ5181におけるタブ5171と重なった重複部分5181aは、Y軸方向においてタブ5171から距離W505だけ離れた位置に配置されている。このようにして、8つの電池11は、それぞれ、タブ5121、5131、5171、5172、5173、5181、5182、5183により、PCB15の導電パターン151、161との間に4直列2並列に接続される。
【0038】
本実施の形態に係る電池パック5によれば、タブ5121、5131、5171、5172、5173、5181を全て8つの電池11の-Y方向側に配置することができるので、8つの電池11の+Y方向側の省スペース化を図ることができる。
【0039】
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明は前述の各実施の形態の構成に限定されるものではない。例えば
図10Aおよび
図10Bに示す電池パック6のように、タブ2121、2171が、それぞれ、Z軸方向から見たときに、タブ6131、6181と重なっている部分において結合部6121a、6171aを介してタブ6131、6181に結合されているものであってもよい。なお、
図10Aおよび
図10Bにおいて、実施の形態1と同様の構成については
図2Aおよび
図2Bと同一の符号を付している。ここで、タブ6131における電池11の正極端子11aに接続される部分は、正極端子11aから-X方向側へ張り出した形状を有する。また、タブ6181における電池11の正極端子11aに接続される部分も、正極端子11aから-X方向側へ張り出した形状を有する。即ち、タブ6131、6181における電池11の正極端子11aに接続される部分のそれらの延在方向および厚さ方向に直交する方向における幅が、他の部分におけるその幅に比べて長くなっている。結合部6121a、6171aは、抵抗スポット溶接、レーザスポット溶接等により形成されている。また、結合部6121a、6171aは、それぞれ、単位長さ当たりの熱抵抗がタブ2121、6131、2171、6181の単位長さ当たりの熱抵抗に比べて大きい。
【0040】
或いは、
図11に示す電池パック7のように、タブ5131、5181が、それぞれ、Z軸方向から見たときに、タブ5121、5171と重なっている重複部分5131a、5181aにおいて結合部7121a、7171aを介してタブ5121、5171に結合されているものであってもよい。ここで、結合部7121a、7171aは、単位長さ当たりの熱抵抗がタブ5121、5131、5171、5181それぞれの単位長さ当たりの熱抵抗に比べて大きい。
【0041】
本構成によれば、タブ2121、2171が、それぞれ、結合部6121a、6171aを介してタブ6131、6181に結合されていることにより、タブ2121、2171とタブ6131、6181との間に生じる抵抗を低減することができる。
【0042】
実施の形態1において、タブ121、122、131、132、171、172、181、182が、それぞれ、複数のサブタブから構成されているものであってもよい。例えば
図12に示す電池パック8のように、タブ8121が、5つのサブタブ1211、1212、1213から構成され、タブ8131が、5つのサブタブ1311、1312、1313から構成されるものであってもよい。また、タブ8171も、5つのサブタブ1711、1712、1713から構成されるものであってもよい。更に、タブ8122が、3つのサブタブ1221、1222、1223から構成され、タブ8132が、3つのサブタブ1321、1322、1323から構成されるものであってもよい。また、タブ8172が、3つのサブタブ1721、1722、1723から構成され、タブ8182が、3つのサブタブから構成されるものであってもよい。
【0043】
各実施の形態では、複数の電池11がX軸方向に一直線状に並列した構成について説明したが、電池11の配列はこれに限定されるものではない。例えば
図13に示す電池パック1001のように
、8つの電池11からなる第1電池組と、この電池組の+
X方向側において8つの電池11と隣接して配置された8つの電池11からなる第2電池組と、を備えるものであってもよい。なお、
図13において、実施の形態1と同様の構成については
図1と同一の符号を付している。言い換えると、第1電池組と第2電池組とは、最も-X方向側における-Y方向側に配置された電池11を第1電池とし、第1電池と+X方向側で隣り合う電池11を第2電池とし、第2電池と+X方向側で隣り合う電池11を第3電池とし、第3電池と+X方向側で隣り合う電池11を第4電池とし、第1電池の第2方向、即ち、+Y方向側で隣り合う第5電池と、第2電池の+Y方向側で隣り合う第6電池と、第3電池の+Y方向側で隣り合う第7電池と、第4電池の+Y方向側で隣り合う第8電池と、からなる。電池パック1001は、2つの第1電池群101Aと、2つの第2電池群101Bと、を備え、第1電池群101Aと第2電池群101BとがX軸方向に沿って交互に配置されている。第1電池群101Aは、正極端子11aが電池11の+Z方向側に位置する姿勢で、X軸方向に沿って2つ、Y軸方向に沿って2つ、即ち、2行2列に並列した4つの電池11からなる。第2電池群101Bは、正極端子11aが-Z方向側に位置する姿勢で、X軸方向に沿って2つ、Y軸方向に沿って2つ、即ち、2行2列に並列した4つの電池11からなる。また、電池パック1001は、タブ10121、10131、10133、10171、10181と、PCB(図示せず)と、を備える。タブ10121、10131は、それぞれ、一端部がPCBに固定され、PC
Bに形成された導電パターン(図示せず)を介して互いに電気的に接続されている。
【0044】
タブ10121、10131は、8つの電池11それぞれの筒軸J1方向から平面視したときに、3箇所で交差している。タブ10121は、接続片10121a、10121b、10121dと延出片10121c、10121hを有する。ここで、接続片10121aは、-Y方向側に配置された電池11の正極端子11aと、その電池11に対して+X方向側且つ+Y方向側に配置された電池11の正極端子11aとを接続する。接続片10121bは、+Y方向側に配置された電池11の正極端子11aと、その電池11に対して+X方向側且つ-Y方向側に配置された電池11の負極端子11bとを接続する。接続片10121dは、-Y方向側に配置された電池11の負極端子11bと、その電池11に対して+X方向側且つ+Y方向側に配置された電池11の負極端子11bとを接続する。即ち、タブ10121は、-Y方向側でX軸方向に沿って並列した8つの電池11それぞれと、+Y方向において隣り合う8つの電池11のうち、-Y方向側に位置する8つの電池11それぞれとの間の距離が最短となる電池11以外の電池11とを接続するように設けられている。
【0045】
延出片10121cは、接続片10121a、10121b、10121dに連続し、最も-X方向側に配置された電池11の正極端子11aと、最も-X方向側に配置された電池11から+X方向へ3番目に配置された電池11の負極端子11bとを接続する。即ち、タブ10121は、前述の第2電池と前述の第4電池と前述の第5電池と前述の第7電池に接続されず、前述の第1電池と前述の第3電池と前述の第6電池と前述の第8電池と接続される第1タブである。そして、別の延出片10121cは、接続片10121a、10121b、10121dに連続し、最も-X方向側から+X方向へ5番目に配置された電池11の正極端子11aと、最も-X方向側に配置された電池11から+X方向へ7番目に配置された電池11の負極端子11bとを接続する。延出片10121hは、接続片10121a、10121bの接続部分から+Y方向へ延出し、先端部がPCBに接続されている。
【0046】
タブ10131は、接続片10131a、10131b、10131dと延出片10131c、10131hとを有する。接続片10131aは、+Y方向側に配置された電池11の正極端子11aと、その電池11に対して+X方向側且つ-Y方向側に配置された電池11の正極端子11aとを接続する。接続片10131bは、-Y方向側に配置された電池11の正極端子11aと、その電池11に対して+X方向側且つ+Y方向側に配置された電池11の負極端子11bとを接続する。接続片10131dは、+Y方向側に配置された電池11の負極端子11bと、その電池11に対して+X方向側且つ-Y方向側に配置された電池11の負極端子11bとを接続する。即ち、タブ10131は、+Y方向側でX軸方向に沿って並列した8つの電池11それぞれと、-Y方向において隣り合う8つの電池11のうち、+Y方向側に位置する8つの電池11それぞれとの間の距離が最短となる電池11以外の電池11とを接続するように設けられている。
【0047】
延出片10131cは、接続片10131a、10131b、10131dに連続し、最も-X方向側に配置された電池11から数えて+X方向における2番目に配置された電池11の正極端子11aと、最も-X方向側に配置された電池11から数えて+X方向における4番目の負極端子11bと、を電気的に接続する。即ち、タブ10131は、前述の第1電池と前述の第3電池と前述の第6電池と前述の第8電池に接続されず、前述の第2電池と前述の第4電池と前述の第5電池と前述の第7電池とに接続される第2タブである。前述とは別の延出片10131cは、接続片10131a、10131bに連続し、最も-X方向側に配置された電池11から数えて+X方向における6番目に配置された電池11の正極端子11aと、最も-X方向側に配置された電池11から数えて+X方向における8番目に配置された電池11の負極端子11bと、を電気的に接続する。延出片10131hは、接続片10131b、10131dの接続部分から+Y方向へ延出し、先端部がPCBに接続されている。
【0048】
なお、タブ10171、10181は、それぞれタブ10121、10131と同様の形状を有する。タブ10171の延出片10171cは、最も-X方向側に配置された電池11から数えて+X方向における3番目に配置された電池11の正極端子11aと、最も-X方向側に配置された電池11から数えて+X方向における5番目に配置された電池11の負極端子11bと、を電気的に接続する。タブ10181の延出片10181cは、最も-X方向側に配置された電池11から数えて+X方向における4番目に配置された電池11の正極端子11aと、最も-X方向側に配置された電池11から数えて+X方向における6番目に配置された電池11の負極端子11bと、を電気的に接続する。タブ10171、10181は、それぞれ、PCBに接続されている。
【0049】
ここで、PC
B上において、延出片10121h、10131h同士が抵抗を介さずに接続されている場合、電池パック1001は、
図14Aに示すような等価回路で表される。一方、PC
B上において、延出片10121h、10131h同士が抵抗R10を介して接続されている場合、電池パック1001は、
図14Bに示すような等価回路で表される。
【0050】
また、
図15に示す電池パック1002のように、6つの電池11からなる第1電池群111Aと、6つの電池
11からなる第2電池群111Bと、を備えるものであってもよい。ここで、第1電池群111Aは、正極端子11aが電池11の+Z方向側に位置する姿勢で、X軸方向に沿って3つ、Y軸方向に沿って2つ並列した6つの電池11からなる。第2電池群111Bは、正極端子11aが-Z方向側に位置する姿勢で、X軸方向に沿って3つ、Y軸方向に沿って2つ並列した6つの電池11からなる。
【0051】
タブ11121、11131は、12個の電池11それぞれの筒軸J1方向から平面視したときに、5箇所で交差している。タブ11121は、接続片11121a、11121b、11121d、11121e、11121fと延出片11121c、11121h、11121iとを有する。ここで、接続片11121aは、-Y方向側に配置された電池11の正極端子11aと、その電池11に対して+X方向側且つ+Y方向側に配置された電池11の正極端子11aとを接続する。接続片11121bは、+Y方向側に配置された電池11の正極端子11aと、その電池11に対して+X方向側且つ-Y方向側に配置された電池11の正極端子11aとを接続する。接続片11121dは、-Y方向側に配置された電池11の正極端子11aと、その電池11に対して+X方向側且つ+Y方向側に配置された電池11の負極端子11bとを接続する。接続片11121eは、+Y方向側に配置された電池11の負極端子11bと、その電池11に対して+X方向側且つ-Y方向側に配置された電池11の負極端子11bとを接続する。接続片11121fは、-Y方向側に配置された電池11の負極端子11bと、その電池11に対して+X方向側且つ+Y方向側に配置された電池11の負極端子11bとを接続する。即ち、タブ11121は、-Y方向側でX軸方向に沿って並列した6つの電池11それぞれと、+Y方向において隣り合う6つの電池11のうち、-Y方向側に位置する6つの電池11それぞれとの間の距離が最短となる電池11以外の電池11とを接続するように設けられている。
【0052】
延出片11121cは、接続片11121a、11121b、11121d、11121e、11121fに連続し、最も-X方向側に配置された電池11の正極端子11aと、最も-X方向側に配置された電池11から数えて+X方向における3番目に配置された電池11の正極端子11aと、最も-X方向側に配置された電池11から数えて+X方向における5番目に配置された電池11の負極端子11bと、を電気的に接続する。延出片11121hは、接続片11121a、11121bの接続部分から+Y方向へ延出し、先端部がPCB15に接続されている。延出片11121iは、接続片11121d、11121eの接続部分から+Y方向へ延出し、先端部がPCB15に接続されている。
【0053】
タブ11131は、接続片11131a、11131b、11131d、11131e、11131fと延出片11131c、11131h、11131iとを有する。接続片11131aは、+Y方向側に配置された電池11の正極端子11aと、その電池11に対して+X方向側且つ-Y方向側に配置された電池11の正極端子11aとを接続する。接続片11131bは、-Y方向側に配置された電池11の正極端子11aと、その電池11に対して+X方向側且つ+Y方向側に配置された電池11の正極端子11aとを接続する。接続片11131dは、+Y方向側に配置された電池11の正極端子11aと、その電池11に対して+X方向側且つ-Y方向側に配置された電池11の負極端子11bとを接続する。接続片11131eは、-Y方向側に配置された電池11の負極端子11bと、その電池11に対して+X方向側且つ+Y方向側に配置された電池11の負極端子11bとを接続する。接続片11131fは、+Y方向側に配置された電池11の負極端子11bと、その電池11に対して+X方向側且つ-Y方向側に配置された電池11の負極端子11bとを接続する。即ち、タブ11131は、+Y方向側でX軸方向に沿って並列した6つの電池11それぞれと、-Y方向において隣り合う6つの電池11のうち、+Y方向側に位置する6つの電池11それぞれとの間の距離が最短となる電池11以外の電池11とを接続するように設けられている。
【0054】
延出片11131cは、接続片11131a、11131b、11131d、11131e、11131fに連続し、最も-X方向側に配置された電池11から数えて+X方向における2番目に配置された電池11の正極端子11aと、最も-X方向側に配置された電池11から数えて+X方向における4番目に配置された電池11の負極端子11bと、最も+X方向側に配置された電池11の負極端子11bと、を電気的に接続する。延出片11131hは、接続片11131b、11131dの接続部分から+Y方向へ延出し、先端部がPCB15に接続されている。延出片11131iは、接続片11131e、11131fの接続部分から+Y方向へ延出し、先端部がPCB15に接続されている。
【0055】
なお、本変形例では、第1電池群111A、第2電池群111Bが、それぞれ、6つの電池11から構成される例について説明したが、第1電池群、第2電池群を構成する電池11の数は6つに限定されるものではない。例えば第1電池群、第2電池群が、それぞれ、8つ以上の電池11から構成されるものであってもよい。
【0056】
本構成によれば、8つの電池11が、タブ10121、10131の延出片10121c、10131cまたはタブ10171、10181の延出片10171c、10181cを介して互いに接続されている。或いは、12個の電池11が、タブ11121、11131の延出片11121c、11131cを介して互いに接続されている。これにより、電池11間に生じる抵抗を低減することができる。
【0057】
実施の形態では、電池11がいわゆる円筒型電池である例について説明したが、電池11の形状はこれに限定されるものではなく、例えばいわゆる角柱型電池であってもよい。
【0058】
以上、本発明の実施の形態および変形例について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明は、実施の形態および変形例が適宜組み合わされたもの、それに適宜変更が加えられたものを含む。
【0059】
本出願は、2020年3月3日に出願された日本国特許出願特願2020-036218号並びに2020年4月13日に出願された日本国特許出願特願2020-071780号に基づく。本明細書中に日本国特許出願特願2020-036218号の明細書、特許請求の範囲および図面全体並びに日本国特許出願特願2020-071780号の明細書、特許請求の範囲および図面全体を参照として取り込むものとする。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、複数の電池を備える組電池として好適である。
【符号の説明】
【0061】
1,2,3,4,5,6,7,8,1001,1002:電池パック、11,11A,11B,11C:電池、11a:正極端子、11b:負極端子、15,16:PCB、101A,111A:第1電池群、101B,111B:第2電池群、121,122,131,132,171,172,181,182,2121,2171,3121,3131,3171,3181,4121,4171,5121,5131,5171,5172,5173,5181,5182,5183,6131,6181,10121,10131,10133,10171,10181,11121,11131:タブ、151,161:導電パターン、1211,1212,1213,1221,1222,1223,1311,1312,1313,1321,1322,1323,1711,1712,1713,1721,1722,1723:サブタブ、5131a,5181a:重複部分、6121a,6171a,7121a,7171a:結合部、10121a,10121b,10121d,10131a,10131b,10131d,11121a,11121b,11121d,11121e,11121f,11131a,11131b,11131d,11131e,11131f:接続片、10121c,10131c,10171c,10181c,10121h,10131h,11121c,11121h,11121i,11131c,11131h,11131i:延出片、J1:筒軸、VL3:仮想平面