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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】画像処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20240717BHJP
   G06T 7/60 20170101ALI20240717BHJP
【FI】
G06T7/00 660B
G06T7/60 180
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022558714
(86)(22)【出願日】2020-10-29
(86)【国際出願番号】 JP2020040645
(87)【国際公開番号】W WO2022091300
(87)【国際公開日】2022-05-05
【審査請求日】2023-04-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124811
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 資博
(74)【代理人】
【識別番号】100088959
【弁理士】
【氏名又は名称】境 廣巳
(74)【代理人】
【識別番号】100097157
【弁理士】
【氏名又は名称】桂木 雄二
(74)【代理人】
【識別番号】100187724
【弁理士】
【氏名又は名称】唐鎌 睦
(72)【発明者】
【氏名】朴 君
【審査官】▲広▼島 明芳
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-016344(JP,A)
【文献】特表2018-506788(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00 - 7/90
G06V 10/00 - 20/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像処理装置において、
異なる時刻に撮影された複数の画像を取得する画像取得手段と、
前記各画像から所持品を検出する所持品検出手段と、
前記各画像から人の骨格情報を検出する骨格情報検出手段と、
前記検出された所持品と人の骨格情報とから再特定する所持品を選択する再特定所持品選択手段と、
前記複数の画像のうち、何れか1つの画像から選択された再特定する所持品と他の何れか1つの画像から選択された再特定する所持品とが同一の所持品であるか否かを判定する所持品再特定手段と、を備え、
前記再特定所持品選択手段は、前記検出された人の骨格情報を構成する複数の関節の位置が前記検出された所持品の外接矩形の中にある場合、前記外接矩形の面積に対する、前記複数の関節の位置の外接矩形の面積の割合に基づいて前記選択を行う、
画像処理装置。
【請求項2】
画像処理装置において、
異なる時刻に撮影された複数の画像を取得する画像取得手段と、
前記各画像から所持品を検出する所持品検出手段と、
前記各画像から人の骨格情報を検出する骨格情報検出手段と、
前記検出された所持品と人の骨格情報とから再特定する所持品を選択する再特定所持品選択手段と、
前記複数の画像のうち、何れか1つの画像から選択された再特定する所持品と他の何れか1つの画像から選択された再特定する所持品とが同一の所持品であるか否かを判定する所持品再特定手段と、を備え、
前記再特定所持品選択手段は、前記検出された人の骨格情報を構成する少なくとも1つの関節の位置が前記検出された所持品の外接矩形の中にある場合、前記関節の位置と前記外接矩形の中心の位置との距に基づいて前記選択を行う、
画像処理装置。
【請求項3】
前記各画像から人物を検出する人物検出手段と、
同じ前記画像から検出された人物と所持品の所持関係の有無を判定する所持判定手段と、
前記複数の画像のうち、何れか1つの画像から検出された人物と他の何れか1つの画像から検出された人物とが同一の人物であるか否かを判定する人物再特定手段と、
前記所持判定手段と前記人物再特定手段と前記所持品再特定手段の各判定結果に基づいて、人物と所持品との間に所持関係の変化が生じたか否かを判定し、判定結果を出力するイベント判定手段と、を更に備える
請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
画像処理方法において、
コンピュータが、
異なる時刻に撮影された複数の画像を取得し、
前記各画像から所持品を検出し、
前記各画像から人の骨格情報を検出し、
前記検出された所持品と人の骨格情報とから再特定する所持品を選択し、
前記複数の画像のうち、何れか1つの画像から選択された再特定する所持品と他の何れか1つの画像から選択された再特定する所持品とが同一の所持品であるか否かを判定し、
前記再特定する所持品の選択では、前記検出された人の骨格情報を構成する複数の関節の位置が前記検出された所持品の外接矩形の中にある場合、前記外接矩形の面積に対する、前記複数の関節の位置の外接矩形の面積の割合に基づいて前記選択を行う、
画像処理方法。
【請求項5】
画像処理方法において、
コンピュータが、
異なる時刻に撮影された複数の画像を取得し、
前記各画像から所持品を検出し、
前記各画像から人の骨格情報を検出し、
前記検出された所持品と人の骨格情報とから再特定する所持品を選択し、
前記複数の画像のうち、何れか1つの画像から選択された再特定する所持品と他の何れか1つの画像から選択された再特定する所持品とが同一の所持品であるか否かを判定し、
前記再特定する所持品の選択では、前記検出された人の骨格情報を構成する少なくとも1つの関節の位置が前記検出された所持品の外接矩形の中にある場合、前記関節の位置と前記外接矩形の中心の位置との距に基づいて前記選択を行う、
情報処理方法。
【請求項6】
コンピュータに、
異なる時刻に撮影された複数の画像を取得する処理と、
前記各画像から所持品を検出する処理と、
前記各画像から人の骨格情報を検出する処理と、
前記検出された所持品と人の骨格情報とから再特定する所持品を選択する処理と、
前記複数の画像のうち、何れか1つの画像から選択された再特定する所持品と他の何れか1つの画像から選択された再特定する所持品とが同一の所持品であるか否かを判定する処理と、を行わせ、
前記再特定する所持品の選択では、前記検出された人の骨格情報を構成する複数の関節の位置が前記検出された所持品の外接矩形の中にある場合、前記外接矩形の面積に対する、前記複数の関節の位置の外接矩形の面積の割合に基づいて前記選択を行わせるためのプログラム。
【請求項7】
コンピュータに、
異なる時刻に撮影された複数の画像を取得する処理と、
前記各画像から所持品を検出する処理と、
前記各画像から人の骨格情報を検出する処理と、
前記検出された所持品と人の骨格情報とから再特定する所持品を選択する処理と、
前記複数の画像のうち、何れか1つの画像から選択された再特定する所持品と他の何れか1つの画像から選択された再特定する所持品とが同一の所持品であるか否かを判定する処理と、を行わせ、
前記再特定する所持品の選択では、前記検出された人の骨格情報を構成する少なくとも1つの関節の位置が前記検出された所持品の外接矩形の中にある場合、前記関節の位置と前記外接矩形の中心の位置との距に基づいて前記選択を行わせるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理方法、および記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の画像を入力として、それらの中から、同一の物体を発見する技術は、再特定技術或いは再同定技術と呼ばれる。再特定技術を記載した文献として、例えば特許文献1がある。本明細書では、物体が人物であるときの再特定を人物再特定、物体が人物以外の物体であるときの再特定を物体再特定と呼ぶ。本発明は、主に物体再特定に関するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2018-506788
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
再特定技術を用いて異なる画像に表された人物の所持品が同じであるか否かを判定するシステムでは、例えば監視カメラで撮影された画像から物体検出技術を用いて、再特定する所持品の全体または一部分を含む画像を検出する。そして、システムは、検出した画像と上記と同様の方法で取得され保存されている、所持品の全体または一部分を含む他の画像とを再特定技術を用いて比較し、比較結果に基づいて双方の画像が同一の所持品に係る画像か否かを表す再特定結果を出力する。このとき、所持品の一部分が人物によって遮蔽されている画像から検出された所持品を無条件に再特定する所持品に選択すると、所持品の再特定誤りが頻発する。すなわち、双方の画像が表す所持品が同一であるにもかかわらず、異なっているとする間違った再特定結果を出力する頻度が増加する。あるいは、双方の画像が表す所持品が異なっているにもかかわらず、同一であるとする間違った再特定結果を出力する頻度が増加する。これは、主に物体検出と再特定との間にオクルージョンに対する頑健性の違いがあるときに生じる。
【0005】
本発明は、上述した課題、すなわち、画像から検出された所持品を無条件に再特定する所持品に選択すると所持品の再特定誤りが頻発する、という課題を解決する画像処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態に係る画像処理装置は、
画像処理装置において、
異なる時刻に撮影された複数の画像を取得する画像取得手段と、
前記各画像から所持品を検出する所持品検出手段と、
前記各画像から人の骨格情報を検出する骨格情報検出手段と、
前記検出された所持品と人の骨格情報とから再特定する所持品を選択する再特定所持品選択手段と、
前記複数の画像のうち、何れか1つの画像から選択された再特定する所持品と他の何れか1つの画像から選択された再特定する所持品とが同一の所持品であるか否かを判定する所持品再特定手段と、を備えるように構成されている。
【0007】
また、本発明の他の形態に係る画像処理方法は、
画像処理方法において、
異なる時刻に撮影された複数の画像を取得し、
前記各画像から所持品を検出し、
前記各画像から人の骨格情報を検出し、
前記検出された所持品と人の骨格情報とから再特定する所持品を選択し、
前記複数の画像のうち、何れか1つの画像から選択された再特定する所持品と他の何れか1つの画像から選択された再特定する所持品とが同一の所持品であるか否かを判定する、
ように構成されている。
【0008】
また、本発明の他の形態に係るコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、
コンピュータに、
異なる時刻に撮影された複数の画像を取得する処理と、
前記各画像から所持品を検出する処理と、
前記各画像から人の骨格情報を検出する処理と、
前記検出された所持品と人の骨格情報とから再特定する所持品を選択する処理と、
前記複数の画像のうち、何れか1つの画像から選択された再特定する所持品と他の何れか1つの画像から選択された再特定する所持品とが同一の所持品であるか否かを判定する処理と、を行わせるためのプログラムを記録するように構成されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、上述したような構成を有することにより、所持品の再特定誤りの増加を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1の実施形態に係る画像処理装置のブロック図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る画像処理装置における所持品検出情報のフォーマット例を示す図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る画像処理装置における骨格検出情報のフォーマット例を示す図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係る画像処理装置における再特定所持品選択情報のフォーマット例を示す図である。
図5】本発明の第1の実施形態に係る画像処理装置の動作例を示すフローチャートである。
図6】本発明の第1の実施形態に係る画像処理装置における再特定所持品選択部の処理例を示すフローチャートである。
図7図6のステップS17の詳細を示すフローチャートである。
図8】所持品の外接矩形の内部に骨格情報の関節が1つも含まれていないという条件1が成立する画像の例を示す模式図である。
図9】所持品の外接矩形の内部に含まれる複数の関節の外接矩形の面積が所持品の外接矩形の面積のT1%未満であるという条件2、または、所持品の外接矩形の内部に含まれる複数の関節と所持品の外接矩形の中心との間の距離がT2以上であるという条件3が成立する画像の例を示す模式図である。
図10】条件1、条件2、および条件3の全てが成立しない画像の例を示す模式図である。
図11】本発明の第2の実施形態に係る画像処理装置のブロック図である。
図12】本発明の第2の実施形態に係る画像処理装置における人物検出情報のフォーマット例を示す図である。
図13】本発明の第2の実施形態に係る画像処理装置における所持判定情報のフォーマット例を示す図である。
図14】本発明の第2の実施形態に係る画像処理装置における同一所持品判定情報のフォーマット例を示す図である。
図15】本発明の第2の実施形態に係る画像処理装置における同一人物判定情報のフォーマット例を示す図である。
図16】本発明の第2の実施形態に係る画像処理装置における追跡情報のフォーマット例を示す図である。
図17】本発明の第2の実施形態に係る画像処理装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図18図17のステップS39の詳細を示すフローチャートである。
図19】本発明の第3の実施形態に係る画像処理装置における人物検出情報のフォーマット例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る画像処理装置100のブロック図である。図1を参照すると、画像処理装置100は、カメラI/F(インターフェース)部110と通信I/F部120と操作入力部130と画面表示部140と記憶部150と演算処理部160とを含んで構成されている。
【0012】
カメラI/F部110は、有線または無線により画像サーバ170に接続され、画像サーバ170と演算処理部160との間でデータの送受信を行うように構成されている。画像サーバ170は、有線または無線によりカメラ171に接続され、カメラ171で撮影されたそれぞれ撮影時刻が異なる複数の画像を過去一定期間分蓄積するように構成されている。カメラ171は、例えば、数百万画素程度の画素容量を有するCCD(Charge-Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary MOS)イメージセンサを備えたカラーカメラであってよい。カメラ171は、防犯・監視の目的のために多くの人や物が行きかう街頭、屋内などに設置されたカメラであってよい。またカメラ171は、固定された場所から固定された撮影方向で同一或いは異なる撮影領域を撮影するカメラであってよい。或いはカメラ171は、車などの移動体に搭載されて移動しながら同一或いは異なる撮影領域を撮影するカメラであってよい。カメラ171は1台に限定されず、複数台あってよい。
【0013】
通信I/F部120は、データ通信回路から構成され、有線または無線によって図示しない外部装置との間でデータ通信を行うように構成されている。操作入力部130は、キーボードやマウスなどの操作入力装置から構成され、オペレータの操作を検出して演算処理部160に出力するように構成されている。画面表示部140は、LCD(Liquid Crystal Display)などの画面表示装置から構成され、演算処理部160からの指示に応じて、各種情報を画面表示するように構成されている。
【0014】
記憶部150は、ハードディスクやメモリなどの記憶装置から構成され、演算処理部160における各種処理に必要な処理情報およびプログラム1501を記憶するように構成されている。プログラム1501は、演算処理部160に読み込まれて実行されることにより各種処理部を実現するプログラムであり、通信I/F部120などのデータ入出力機能を介して図示しない外部装置や記録媒体から予め読み込まれて記憶部150に保存される。記憶部150に記憶される主な処理情報には、画像1502、所持品検出情報1503、骨格検出情報1504、および再特定所持品選択情報1505がある。
【0015】
画像1502は、カメラ171で撮影された画像である。画像1502は、カメラ171で撮影された動画を構成するフレーム画像であってよい。あるいは画像1502は、カメラ171で撮影された動画のフレームレートをダウンサンプリングして得られたフレーム画像であってよい。画像1502には、撮影時刻が付加されている。画像1502の撮影時刻は、画像毎に相違する。
【0016】
所持品検出情報1503は、画像1502から検出された所持品に係る情報である。所持品は、人が手に持ったり、身に付けたりする物のことである。本実施形態では、検出する種類の所持品が事前に定められている。検出する所持品は、人が実際に手に持っているか、身に付けているかは問わない。検出する種類の所持品は、例えば旅行用のスーツケース、バックパック、鞄などが例示されるが、それに限定されない。
【0017】
図2は、所持品検出情報1503のフォーマット例を示す。この例の所持品検出情報1503は、仮所持品ID15031と所持品画像15032と撮影時刻15033と所持品位置15034と所持品種別15035の各項目から構成されている。仮所持品ID15031は、画像1502から検出された所持品に対して割り当てられた識別番号である。この仮所持品ID15031は、同じ画像1502から検出された1以上の所持品を一意に識別するIDである。所持品画像15032は、画像1502から検出された所持品の像である。所持品画像15032は、例えば所持品の像の外接矩形内部の画像である。撮影時刻15033は、当該所持品が検出された画像1502の撮影時刻である。所持品位置15034は、画像1502上における所持品画像15032の位置である。所持品位置15034は、例えば、所持品画像15032の重心、所持品画像の外接矩形の4頂点の座標値などであってよい。所持品種別15035は、スーツケース、バックパックなどの所持品の種類(クラス)である。
【0018】
骨格検出情報1504は、画像1502から検出された人の骨格情報である。人の骨格情報は、人体を構成する関節の位置を表す情報を含んでいる。関節は骨格点とも呼ぶ。関節は、首や肩などの関節のみならず、目や鼻などの顔のパーツも関節に含めてよい。人の骨格情報は、関節の位置に加えて、さらに、関節毎の信頼度(特徴認識の尤度)を含んでいてよい。
【0019】
図3は、骨格検出情報1504のフォーマット例を示す。この例の骨格検出情報1504は、仮人物ID15041と撮影時刻15042と関節ID15043と関節位置情報15044と関節信頼度15045の各項目から構成されている。仮人物ID15041は、画像1502から検出された骨格情報に係る人物に対して割り当てられた識別番号である。この仮人物ID15041は、同じ画像1502から検出された1以上の人の骨格情報を一意に識別するIDである。撮影時刻15042は、当該骨格情報が検出された画像1502の撮影時刻である。関節ID15043は、複数の関節のうちから個々の関節を一意に識別するIDである。関節位置情報15044は、当該関節ID15043で識別される関節の位置を表す情報である。関節位置情報15044は、例えば画像1502上における当該関節のX座標値とY座標値との組によって表現されてよい。関節信頼度15045は、当該関節ID15043で識別される関節の信頼度を表す情報である。関節ID15043と関節位置情報15044と関節信頼度15045との組は、人の骨格情報を構成する関節毎に存在する。但し、全ての関節の位置情報が必ずしも検出されているとは限られない。例えば、対象となる人物に所持品による遮蔽がある場合、遮蔽された人物領域の関節は全く検出されないか、検出されていたとしても正しく推定されているとは限らない。そのため、遮蔽された人物領域の関節の関節信頼度15045の値は事前に設定された閾値よりも小さな値となっている。
【0020】
再特定所持品選択情報1505は、画像1502から検出された1以上の所持品のうち、再特定の対象として選択された所持品に係る情報である。図4は、再特定所持品選択情報1505のフォーマット例を示す。この例の再特定所持品選択情報1505は、仮所持品ID15051と所持品画像15052と撮影時刻15053と所持品位置15054と所持品種別15055の各項目から構成されている。再特定所持品選択情報1505における仮所持品ID15051と所持品画像15052と撮影時刻15053と所持品位置15054と所持品種別15055の各項目は、再特定の対象として選択された図2に示した所持品検出情報1503における仮所持品ID15031と所持品画像15032と撮影時刻15033と所持品位置15034と所持品種別15035の各項目のコピーである。
【0021】
演算処理部160は、MPUなどのプロセッサとその周辺回路を有し、記憶部150からプログラム1501を読み込んで実行することにより、上記ハードウェアとプログラム1501とを協働させて各種処理部を実現するように構成されている。演算処理部160で実現される主な処理部には、画像取得部1601、所持品検出部1602、骨格情報検出部1603、再特定所持品選択部1604、および、所持品再特定部1605がある。
【0022】
画像取得部1601は、カメラI/F部110を通じて画像サーバ170から、カメラ171で撮影された複数の画像あるいはそれをダウンサンプリングした画像を取得し、画像1502として記憶部150に記憶するように構成されている。
【0023】
所持品検出部1602は、記憶部150から画像1502を読み出し、その画像1502から所持品を検出し、所持品検出情報1503を記憶部150に保存するように構成されている。所持品検出部1602は、例えば、カメラ画像から所持品の像(所持品画像)と物体種別(所持品の種類)を推定するための機械学習を行った学習済みの学習モデルに画像1502を入力することで、画像1502中に存在する所持品の像とその所持品の種類を当該学習モデルから取得するように構成されている。学習モデルは、例えば、様々なカメラ画像とそのカメラ画像中の様々な種類の所持品の像とを教師データとしてニューラルネットワークなどの機械学習アルゴリズムを用いた機械学習によって、事前に生成することができる。但し、画像から所持品の像とその種類を検出する方法は上記に限定されず、パターンマッチングなどの方法を使用してもよい。また所持品検出部1602は、検出した所持品画像と物体種別の組毎に、仮所持品ID、撮影時刻、および、所持品位置を算出し、それらをまとめて所持品検出情報1503として記憶部150に保存するように構成されている。一般的に、所持品検出部1602のような物体検出手段は、検出対象となる物体(本例では所持品)にある程度の遮蔽(オクルージョン)があっても画像中から所持品領域を検出することが可能である。換言すれば、所持品検出部1602は、概ね全体が写っている所持品のみならず、全体の一部が遮蔽されている所持品も検出することができるように構成されている。
【0024】
骨格情報検出部1603は、記憶部150から画像1502を読み出し、その画像1502から人の骨格情報を検出し、検出した人の骨格情報に係る骨格検出情報1504を記憶部150に保存するように構成されている。骨格情報検出部1603は、例えば、画像中の人物の骨格情報をディープラーニングで推定するシステムを用いて実現してよい。上記システムには、例えば、OpenPose、HRNet、AlphaPoseなどがある。例えば、OpenPoseでは、鼻、首、右肩、右肘、右手首、左肩、左肘、左手首、右腰、右膝、右足首、左腰、左膝、左足首、右目、左目、右耳、左耳の合計18箇所の関節の位置(x、y座標)と信頼度とを抽出する。
【0025】
再特定所持品選択部1604は、記憶部150から所持品検出情報1503と骨格検出情報1504とを読み出し、それらから再特定する所持品を選択し、選択した再特定する所持品に係る再特定所持品選択情報1505を記憶部150に保存するように構成されている。この再特定所持品選択部1604の詳細については後述する。
【0026】
所持品再特定部1605は、記憶部150から再特定所持品選択情報1505を読み出し、再特定所持品選択情報1505を用いて所持品を再特定するように構成されている。即ち、所持品再特定部1605は、記憶部150に保存されている複数の再特定所持品選択情報1505のうちの何れか1つの再特定所持品選択情報1505に係る所持品と、他の何れか1つの再特定所持品選択情報1505に係る所持品とが同一の所持品であるか否かを判定する。複数の再特定所持品選択情報1505のうちの何れの再特定所持品選択情報1505を使用して再特定処理を行うかは、所持品再特定部1605が自動的に決定してもよいし、例えば操作入力部130を通じてオペレータから入力される指示に従って決定してもよい。
【0027】
所持品再特定部1605は、例えば、2つの所持品画像が同一の所持品に係る所持品画像であるか否かを推定するための機械学習を行った学習済みの学習モデルに、一方の再特定所持品選択情報1505の所持品画像15052と他方の再特定所持品選択情報1505の所持品画像15052とを入力することで、同一所持品に係る所持品画像であるか否かの推定結果を当該学習モデルから取得するように構成されている。学習モデルは、例えば、様々な同一所持品に係る所持品画像ペアおよび様々な相違所持品に係る所持品画像ペアを教師データとしてニューラルネットワークなどの機械学習アルゴリズムを用いた機械学習によって、事前に生成することができる。但し、2つの所持品画像が同一所持品に係る所持品画像であるか否かを判定する方法は上記方法に限定されず、2つの所持品画像から抽出した特徴ベクトルの距離が所定距離以下か否かを判定する方法など、他の方法を使用してもよい。また、双方の再特定所持品選択情報1505の所持品種別15055どうしを比較し、所持品種別15055が同一でない場合、両者は同一所持品に係る所持品画像でないと判定し、所持品種別15055が同一である場合、上記学習モデルによる同一所持品判定あるいは特徴ベクトルによる同一所持品判定を行って、同一か否かを判定するようにしてもよい。また所持品再特定部1605は、再特定結果を記憶部150に保存し、あるいは画面表示部140に表示し、あるいは通信I/F部120を通じて外部装置に出力するように構成されていてよい。
【0028】
続いて、画像処理装置100の動作を説明する。図5は、画像処理装置100の動作例を示すフローチャートである。図5を参照すると、先ず、画像取得部1601は、カメラ171で撮影された画像を取得し、画像1502として記憶部150に記憶する(ステップS1)。次に所持品検出部1602は、記憶部150から画像1502を読み出し、その画像1502から所持品を検出し、所持品検出情報1503を記憶部150に保存する(ステップS2)。次に骨格情報検出部1603は、記憶部150から画像1502を読み出し、その画像1502から人の骨格情報を検出し、骨格検出情報1504を記憶部150に保存する(ステップS3)。次に再特定所持品選択部1604は、記憶部150から所持品検出情報1503と骨格検出情報1504とを読み出し、それらから再特定する所持品を選択し、選択した再特定する所持品に係る再特定所持品選択情報1505を記憶部150に保存する(ステップS4)。次に所持品再特定部1605は、記憶部150から再特定所持品選択情報1505を読み出し、再特定所持品選択情報1505を用いて所持品を再特定する(ステップS5)。そして、画像処理装置100は、ステップS1に戻り、上述した動作と同様の動作を繰り返す。
【0029】
続いて、再特定所持品選択部1604について詳細に説明する。
【0030】
図6は、再特定所持品選択部1604の処理例を示すフローチャートである。再特定所持品選択部1604は、画像取得部1601が取得した或る1つの画像1502に対する所持品検出部1602および骨格情報検出部1603の処理が終了すると、当該画像1502から検出された所持品検出情報1503および骨格検出情報1504を記憶部150から読み出して、図6に示す処理を開始する。
【0031】
先ず、再特定所持品選択部1604は、画像1502から検出された所持品検出情報1503の1つに注目する(ステップS11)。若し、所持品検出情報1503が存在しなければ(ステップS11でYES)、再特定所持品選択部1604は、図6の処理を終了する。若し、所持品検出情報1503が存在したならば(ステップS11でNO)、再特定所持品選択部1604は、画像1502から検出された骨格検出情報1504の1つに注目する(ステップS13)。若し、骨格検出情報1504が存在しなければ(ステップS14でYES)、再特定所持品選択部1604は、注目中の所持品検出情報1503を再特定所持品選択情報1505としてコピーし、記憶部150に保存する(ステップS15)。そして、再特定所持品選択部1604は、画像1502から検出された所持品検出情報1503の他の1つに注目を移し(ステップS16)、ステップS12の処理に戻って、上述した処理と同様の処理を繰り返す。
【0032】
一方、骨格検出情報1504が存在すれば(ステップS14でNO)、再特定所持品選択部1604は、注目中の所持品検出情報1503に係る所持品が注目中の骨格検出情報1504に係る人物によって遮蔽されていないか否かを調べる(ステップS17)。このステップS17の詳細は後述する。次に、再特定所持品選択部1604は、注目中の所持品検出情報1503に係る所持品が注目中の骨格検出情報1504に係る人物によって遮蔽されていれば(ステップS18でNO)、注目中の所持品検出情報1503は選択しないと判断し、ステップS16に戻って、上述した処理と同様の処理を繰り返す。また、再特定所持品選択部1604は、注目中の所持品検出情報1503に係る所持品が注目中の骨格検出情報1504に係る人物によって遮蔽されていなければ(ステップS18でYES)、画像1502から検出された骨格検出情報1504の他の1つに注目を移し(ステップS19)、ステップS14に戻って、上述した処理と同様の処理を繰り返す。
【0033】
続いて、図6のステップS17の詳細、すなわち、注目中の所持品検出情報1503に係る所持品が注目中の骨格検出情報1504に係る人物によって遮蔽されていないか否かを調べる方法について、一例を挙げて説明する。但し、注目中の所持品検出情報1503に係る所持品が注目中の骨格検出情報1504に係る人物によって遮蔽されていないか否かを調べる方法は、以下の例に限定されるものではない。
【0034】
図7は、図6のステップS17の詳細の一例を示すフローチャートである。図7を参照すると、再特定所持品選択部1604は、先ず、注目中の所持品の外接矩形の内部に注目中の骨格情報の関節が1つも含まれていないという条件1が成立するか否かを調べる(ステップS21)。ここで、再特定所持品選択部1604は、条件1および後述する条件2、条件3の判定に使用する関節には、その関節信頼度が閾値以上の関節を使用する。次に、再特定所持品選択部1604は、条件1が成立する場合(ステップS22でNO)、注目中の所持品は注目中の骨格情報に係る人物によって遮蔽されていないと判断し(ステップS23)、図7の処理を終了する。
【0035】
図8は、条件1が成立する画像1502の例を示す模式図である。図8に示す画像1502には、人物の像から検出された骨格情報の関節(図中の黒点)は所持品(図示の例ではスーツケース)の外接矩形(図中の破線)内に1つも存在していない。このような状況は、カメラ側から見て所持品の外接矩形と人物とに重なりが全くない場合に生じる。そのため、人物の骨格情報の関節が1つも外接矩形内に存在しない所持品は、当該人物によって遮蔽されていないと判断される。
【0036】
一方、再特定所持品選択部1604は、条件1が成立しない場合(ステップS22でNO)、ステップS24とステップS25とを実行する。
【0037】
再特定所持品選択部1604は、ステップS24においては、注目中の所持品の外接矩形の内部に含まれる関節の外接矩形の面積A1が、注目中の所持品の外接矩形の面積A2のT1%未満であるという条件2が成立するか否かを調べる。ここで、T1は、許容可能な遮蔽率に応じて事前に設定された面積の閾値である。また再特定所持品選択部1604は、ステップS25においては、注目中の所持品の外接矩形の内部に含まれる1以上の関節と注目中の所持品の外接矩形の中心との間の距離の最小値Lが、T2以上であるという条件3が成立するか否かを調べる(ステップS25)。ここで、T2は、許容可能な遮蔽率に応じて事前に設定された距離の閾値である。T2は、注目中の所持品の外接矩形のサイズに応じて正規化された値であってもよい。即ち、T2は、注目中の所持品の外接矩形のサイズが小さければ小さく、反対に大きければ大きく補正される値であってもよい。また、T2は、注目中の所持品の外接矩形の短辺に所定の比率を乗じて求められる値であってもよい。
【0038】
次に再特定所持品選択部1604は、条件2および条件3の少なくとも一方が成立する場合(ステップS26でYES)、注目中の所持品は注目中の骨格情報に係る人物によって遮蔽されていないと判断し(ステップS23)、図7の処理を終了する。一方、再特定所持品選択部1604は、条件2および条件3の双方とも成立しない場合(ステップS26でNO)、注目中の所持品は注目中の骨格情報に係る人物によって遮蔽されていると判断し(ステップS27)、図7の処理を終了する。
【0039】
図9は、条件1が成立せず、条件2または条件3が成立する画像1502の例を示す模式図である。図9に示す画像1502には、人物の像から検出された骨格情報の関節(図中の黒点)の一部が所持品(図示の例ではスーツケース)の外接矩形(図中の破線)内に存在しているため、所持品の外接矩形内に存在する複数の関節どうしをつなぐ人体部分によって所持品の領域の一部が遮蔽されている可能性がある。しかし、図9に示す画像1502では、所持品の外接矩形の内部に含まれる関節の外接矩形(図9のハッチングを施した部分)の面積A1が、所持品の外接矩形の面積A2のT1%未満であるという条件2を満たしている。または/および、図9に示す画像1502では、所持品の外接矩形の内部に含まれる1以上の関節と所持品の外接矩形の中心(図9中の×)との間の距離のうちの最小値が、T2以上であるという条件3を満たしている。このような状況は、カメラ側から見て所持品が人物によって全く遮蔽されていないか、遮蔽されていたとしても遮蔽率が事前に予想される割合未満である場合に生じる。そのため、条件2および条件3の少なくとも一方を満足する所持品は、当該人物によって遮蔽されていないと判断される。
【0040】
図10は、条件1、条件2、および条件3の全てが成立しない画像1502の例を示す模式図である。図10に示す画像1502には、人物の像から検出された骨格情報の関節(図中の黒点)の一部が所持品(図示の例ではスーツケース)の外接矩形(図中の破線)内に存在している。また、図10に示す画像1502では、所持品の外接矩形の内部に含まれる関節の外接矩形の面積A1が、所持品の外接矩形の面積A2のT1%未満であるという条件2を満たしていない。また、図10に示す画像1502では、所持品の外接矩形の内部に含まれる1以上の関節と所持品の外接矩形の中心との間の距離のうちの最小値が、T2以上であるという条件3を満たしていない。このような状況は、カメラ側から見て所持品が人物によって事前に予想される割合以上に遮蔽されている場合に生じる。そのため、条件1、条件2および条件3の全てが成立しない所持品は、当該人物によって遮蔽されていると判断される。
【0041】
以上説明したように本実施形態に係る画像処理装置100によれば、所持品の再特定誤りの増加を防止することができる。その理由は、物体検出と再特定との間にオクルージョンに対する頑健性の違いがあることを考慮し、画像1502から検出された所持品と同じ画像1502から検出された人物の骨格情報とから当該人物によって遮蔽されていない所持品を再特定する所持品に選択するためである。
【0042】
[第2の実施の形態]
図11は、本発明の第2の実施形態に係る画像処理装置200のブロック図であり、図1と同一符号は同一部分を示す。図11を参照すると、画像処理装置200は、図1に示した画像処理装置100と比較して、プログラム1501A、人物検出情報1506、所持判定情報1507、同一所持品判定情報1508、同一人物判定情報1509、追跡情報1510、人物検出部1606、所持判定部1607、人物再特定部1608、および、イベント判定部1609を更に備えている点で相違し、それ以外は画像処理装置100と同じである。
【0043】
人物検出情報1506は、画像1502から検出された人物に係る情報である。図12は、人物検出情報のフォーマット例を示す。この例の人物検出情報1506は、仮人物ID15061と人物画像15062と撮影時刻15063と人物位置15064との各項目から構成されている。仮人物ID15061は、画像1502から検出された人物に対して割り当てられた識別番号である。この仮人物ID15061は、同じ画像1502から検出された1以上の人物を一意に識別するIDである。人物画像15062は、画像1502から検出された人物の像である。人物画像15062は、例えば人物の像の外接矩形内部の画像である。撮影時刻15063は、当該人物が検出された画像1502の撮影時刻である。人物位置15064は、画像1502上における人物画像15062の位置である。人物位置15064は、例えば、人物画像15062の重心とすることができるが、それに限定されず、人物画像の外接矩形の4頂点などとすることができる。
【0044】
所持判定情報1507は、画像1502から検出された人物と所持品の所持関係の有無の判定結果を表す情報である。図13は、所持判定情報1507のフォーマット例を示す。この例の所持判定情報1507は、撮影時刻15071と、行列15072とから構成されている。撮影時刻15071は、画像1502の撮影時刻である。行列15072は、縦方向(列方向)に仮人物ID15073を並べ、横方向(行方向)に仮所持品ID15074を並べ、行と列の交点15075に所持関係の有無の情報を記録するように構成されている。行列15072の行数は、画像1502から検出された人物の数に等しい。また行列15072の列数は、画像1502から選択された再特定する所持品の数に等しい。例えば、図13に示す行列15072は、仮人物ID1と仮所持品ID1の交点に丸印が記載されている。これは、仮人物ID1で特定される人物と仮所持品ID1で特定される所持品とは所持関係がある、即ち、仮人物ID1で特定される人物は仮所持品ID1で特定される所持品を所持していることを表している。また、図13に示す行列15072は、仮人物ID1と仮所持品ID2の交点に×印が記載されている。これは、仮人物ID1で特定される人物と仮所持品ID2で特定される所持品とは所持関係がない、即ち、仮人物ID1で特定される人物は仮所持品ID1で特定される所持品を所持していないことを表している。
【0045】
同一所持品判定情報1508は、撮影時刻の異なる2つの画像1502のうち、一方の画像から再特定所持品選択部1604によって選択された再特定する所持品画像と他方の画像から再特定所持品選択部1604によって選択された再特定する所持品画像とが同一の所持品に係る所持品画像であるか否かを判定した結果(所持品再特定部1605の判定結果)を表す情報である。図14は、同一所持品判定情報1508のフォーマット例を示す。この例の同一所持品判定情報1508は、行列15084から構成されている。行列15084は、撮影時刻の異なる2つの画像のうち、未来側の撮影時刻tの画像1502から選択された再特定する所持品画像を特定する仮所持品ID15081を縦方向(列方向)に並べ、過去側の撮影時刻t-nの画像1502から選択された再特定する所持品画像を特定する仮所持品ID15082を横方向(行方向)に並べ、行と列の交点15083に同一所持品であるか否かを表す情報を記録するように構成されている。行列15084の行数は、未来側の画像1502から選択された再特定する所持品の数に等しい。また行列15084の列数は、過去側の画像1502から選択された再特定する所持品の数に等しい。例えば、図14に示す行列15084は、撮影時刻tの仮所持品ID1と撮影時刻t-nの仮所持品ID1の交点に×印が記載されている。これは、撮影時刻tの仮所持品ID1で特定される所持品画像と撮影時刻t-nの仮所持品ID1で特定される所持品画像とは同一所持品に係る画像でないことを表している。また、図14に示す行列15084は、撮影時刻tの仮所持品ID1と撮影時刻t-nの仮所持品ID2の交点に丸印が記載されている。これは、撮影時刻tの仮所持品ID1で特定される所持品画像と撮影時刻t-nの仮所持品ID2で特定される所持品画像とは同一所持品の画像であることを表している。
【0046】
同一人物判定情報1509は、撮影時刻の異なる2つの画像1502のうち、一方の画像から検出された人物画像と他方の画像から検出された人物画像とが同一人物に係る人物画像であるか否かを判定した結果を表す情報である。図15は、同一人物判定情報1509のフォーマット例を示す。この例の同一人物判定情報1509は、行列15094から構成されている。行列15094は、撮影時刻の異なる2つの画像のうち、未来側の撮影時刻tの画像1502から検出された人物画像を特定する仮人物ID15091を縦方向(列方向)に並べ、過去側の撮影時刻t-nの画像1502から検出された人物画像を特定する仮人物ID15092を横方向(行方向)に並べ、行と列の交点15093に同一人物であるか否かを表す情報を記録するように構成されている。行列15094の行数は、未来側の画像1502から検出された人物の数に等しい。また行列15094の列数は、過去側の画像1502から検出された人物の数に等しい。例えば、図15に示す行列15094は、撮影時刻tの仮人物ID1と撮影時刻t-nの仮人物ID1の交点に丸印が記載されている。これは、撮影時刻tの仮人物ID1で特定される人物画像と撮影時刻t-nの仮人物ID1で特定される人物画像とは同一人物に係る画像であることを表している。また、図15に示す行列15094は、撮影時刻tの仮人物ID1と撮影時刻t-nの仮人物ID2の交点に×印が記載されている。これは、撮影時刻tの仮人物ID1で特定される人物画像と撮影時刻t-nの仮人物ID2で特定される人物画像とは同一人物の画像でないことを表している。
【0047】
追跡情報1510は、同一人物に係る人物検出情報または同一所持品に係る所持品検出情報を撮影時刻毎に対応付け、管理番号などで紐付けした情報である。図16は、追跡情報1510のフォーマット例を示す。この例の追跡情報1510は、追跡情報種別15101と追跡対象ID15102と検出情報ID15103と所持関係ID15104の各項目から構成されている。追跡情報種別15101は、当該追跡情報1510が、同一人物に係る人物検出情報を対応付けた人物追跡情報、または同一所持品に係る所持品検出情報を対応付けた所持品追跡情報の何れであるかを表す情報である。追跡対象ID15102は、追跡対象の人物または所持品に割り当てた人物IDまたは所持品IDである。前述した仮人物ID、仮所持品IDとは異なり、追跡対象ID15102は、複数の撮影時間に亘って一意になるようなIDである。
【0048】
検出情報ID15103と所持関係ID15104の組は、同一人物に係る人物検出情報または同一所持品に係る所持品検出情報の数だけ存在する。1つの組の検出情報ID15103は、同一人物または同一所持品に係る1つの人物検出情報または所持品検出情報を特定する情報である。例えば検出情報ID15103は、人物検出情報1506の仮人物ID15061と撮影時刻15063との組み合わせ、または再特定所持品選択情報1505の仮物体ID15051と撮影時刻15053の組み合わせとしてよい。所持関係ID15104は、同じ組の検出情報ID15103で特定される人物検出情報または所持品検出情報と所持関係のある所持品検出情報または人物検出情報が検出されているか否か、検出されていれば所持関係のある所持品検出情報または人物検出情報を特定するID(例えば、再特定所持品選択情報1505の仮所持品ID15051と撮影時刻15053の組み合わせ、または人物検出情報1506の仮人物ID15061と撮影時刻15063との組み合わせ)を表す情報である。
【0049】
プログラム1501Aは、演算処理部160に読み込まれて実行されることにより各種処理部を実現するプログラムである。演算処理部160で実現される処理部には、画像取得部1601、所持品検出部1602、骨格情報検出部1603、再特定所持品選択部1604、所持品再特定部1605、人物検出部1606、所持判定部1607、人物再特定部1608、および、イベント判定部1609がある。このうち、画像取得部1601、所持品検出部1602、骨格情報検出部1603、再特定所持品選択部1604は、第1の実施形態で既に説明したので、その詳細な説明は省略する。
【0050】
所持品再特定部1605は、第1の実施形態で説明した機能に加えて、再特定した結果を同一所持品判定情報1508として記憶部150に保存するように構成されている。
【0051】
人物検出部1606は、記憶部150から画像1502を読み出し、その画像1502から人物画像を検出するように構成されている。人物検出部1606は、例えば、カメラ画像から人物像を推定するための機械学習を行った学習済みの学習モデルに画像1502を入力することで、画像1502中に存在する人物画像を当該学習モデルから取得するように構成されている。学習モデルは、例えば、様々なカメラ画像とそのカメラ画像中の様々な人物像とを教師データとしてニューラルネットワークなどの機械学習アルゴリズムを用いた機械学習によって、事前に生成することができる。但し、画像1502から人物画像を検出する方法は上記に限定されず、パターンマッチングなどの方法を使用してもよい。また人物検出部1606は、検出した人物画像毎に、仮人物ID、撮影時刻、および、人物位置を算出し、それらをまとめて人物検出情報1506として記憶部150に保存するように構成されている。
【0052】
所持判定部1607は、画像1502から検出された人物検出情報1506および再特定所持品選択情報1505を記憶部150から読み出し、その画像1502から検出された人物画像に係る人物と所持品画像に係る所持品との間の所持関係の有無を判定し、判定結果を所持判定情報1507として記憶部150に保存するように構成されている。例えば所持判定部1607は、画像1502から検出された人物検出情報1506の1つに注目し、画像1502から選択された再特定所持品選択情報1505のうち、注目中の人物検出情報1506の人物位置15064との間の画像中での距離が所定距離以下である所持品位置15054を有する再特定所持品選択情報1505を、当該注目中の人物検出情報に係る人物と所持関係があると判断し、上記距離が所定距離を超える再特定所持品選択情報1505を、当該注目中の人物検出情報に係る人物と所持関係がないと判断する。所持判定部1607は、残りの人物検出情報1506についても同様の処理を行う。次に所持判定部1607は、上記の判断の結果を図13に示した行列15072の形式で表現し、それに画像1502の撮影時刻15071を付加して、所持判定情報1507を生成し、記憶部150に保存する。
【0053】
人物再特定部1608は、最新の画像1502から検出された人物検出情報(以下、最新の人物検出情報と記す)1506および最新の画像1502と時間的に所定の関係を有する少なくとも1つの過去の画像1502から検出された人物検出情報(以下、過去の人物検出情報と記す)1506を記憶部150から読み出し、最新の人物検出情報1506に係る人物画像と少なくとも1つの過去の人物検出情報1506に係る人物画像とが同一人物に係る人物画像であるか否かを判定するように構成されている。最新の画像1502と時間的に所定の関係を有する少なくとも1つの過去の画像は、最新の画像1502のi個(iは1以上の正の整数)前の画像1502であってよい。或いは最新の画像1502と時間的に所定の関係を有する少なくとも1つの過去の画像は、最新の画像1502のi個前の画像1502とj個(jはiより大きい正の整数)前の画像1502であってよい。ここでは、過去の画像を1つまたは2つとしたが、最新の画像1502と時間的に所定の関係を有する過去の画像は3つ以上あってもよい。
【0054】
人物再特定部1608は、例えば、2つの人物画像が同一人物に係る人物画像であるか否かを推定するための機械学習を行った学習済みの学習モデルに最新の人物検出情報1506の人物画像と過去の人物検出情報1506の人物画像とを入力することで、同一人物に係る人物画像であるか否かの推定結果を当該学習モデルから取得するように構成されている。学習モデルは、例えば、様々な同一人物に係る人物画像ペアおよび様々な相違人物に係る人物画像ペアを教師データとしてニューラルネットワークなどの機械学習アルゴリズムを用いた機械学習によって、事前に生成することができる。但し、2つの人物画像が同一人物に係る人物画像であるか否かを判定する方法は上記に限定されず、2つの人物画像から抽出した特徴ベクトルの距離が所定距離以下か否かを判定する方法など、他の方法を使用してもよい。
【0055】
また人物再特定部1608は、最新の人物検出情報1506に係る人物画像と過去の人物検出情報1506に係る人物画像とが同一人物に係る人物画像であるか否かの判定結果を図15に示すような行列15094の形式で表現し、記憶部150に保存するように構成されている。
【0056】
イベント判定部1609は、最新の画像1502についての人物検出部1606、再特定所持品選択部1604、所持判定部1607、人物再特定部1608、および、所持品再特定部1605の処理が完了する毎に、記憶部150から最新の所持判定情報1507、同一人物判定情報1509、および、同一所持品判定情報1508を読み出し、それらの情報に基づいて、同一人物および同一所持品に係る追跡情報1510を適宜生成ないし更新するように構成されている。またイベント判定部1609は、生成ないし更新後の追跡情報1510を解析することにより、人物と所持品との間の所持関係の変化を検出するように構成されている。またイベント判定部1609は、検出したイベントに関する情報を表すテキスト、音声、画像などを通信I/F部120を通じて外部装置へ出力(送信)し、または/および、画面表示部140に出力(表示)するように構成されている。例えば、イベント判定部1609は、人物と所持品との間に所持関係の変化が検出された時点の画像1502に対して、所持関係の変化が検出された人物像の外接矩形、所持品像の外接矩形を合成した画像を出力してよい。
【0057】
図17は、画像処理装置200の動作の一例を示すフローチャートである。図17を参照すると、先ず、画像取得部1601は、カメラI/F部110を通じて画像サーバ170から、カメラ171で撮影された複数の画像あるいはそれをダウンサンプリングした画像を取得し、画像1502として記憶部150に記憶する(ステップS31)。次に人物検出部1606は、記憶部150から最新の画像1502を読み出し、その画像1502から人物画像を検出し、人物検出情報1506を記憶部150に保存する(ステップS32)。次に所持品検出部1602は、記憶部150から最新の画像1502を読み出し、その画像1502から所持品画像を検出し、所持品検出情報1503を記憶部150に保存する(ステップS33)。次に骨格情報検出部1603は、記憶部150から最新の画像1502を読み出し、その画像1502から人の骨格情報を検出し、骨格検出情報1504を記憶部150に保存する(ステップS34)。次に再特定所持品選択部1604は、最新の画像1502から検出された所持品検出情報1503と骨格検出情報1504とを記憶部150から読み出し、それらから再特定する所持品を選択し、選択した再特定する所持品に係る再特定所持品選択情報1505を記憶部150に保存する(ステップS35)。
【0058】
次に所持判定部1607は、最新の画像1502から検出された人物検出情報1506および再特定所持品選択情報1505を記憶部150から読み出し、その画像1502から検出された人物画像に係る人物と所持品画像に係る所持品の所持関係の有無を判定し、判定結果を所持判定情報1507として記憶部150に保存する(ステップS36)。次に人物再特定部1608は、最新の画像1502から検出された人物検出情報(最新の人物検出情報)1506および最新の画像1502と時間的に所定の関係を有する少なくとも1つの過去の画像1502から検出された人物検出情報(過去の人物検出情報)1506を記憶部150から読み出し、最新の人物検出情報1506に係る人物画像と過去の人物検出情報1506に係る人物画像とが同一人物に係る人物画像であるか否かを判定し、同一人物判定情報1509を記憶部150に保存する(ステップS37)。次に所持品再特定部1605は、最新の画像1502から検出された再特定所持品選択情報(最新の再特定所持品選択情報)1505および最新の画像1502と時間的に所定の関係を有する少なくとも1つの過去の画像1502から検出された再特定所持品選択情報(過去の再特定所持品選択情報)1505を記憶部150から読み出し、最新の再特定所持品選択情報1505に係る所持品画像と過去の再特定所持品選択情報1505に係る所持品画像とが同一の所持品に係る所持品画像であるか否かを判定し、同一所持品判定情報1508を記憶部150に保存する(ステップS38)。次にイベント判定部1609は、記憶部150から最新の所持判定情報1507、同一人物判定情報1509、および、同一所持品判定情報1508を読み出し、それらの情報に基づいて、人物と所持品との間に所持関係の変化が生じたか否かを判定し、判定結果を通信I/F部120を通じて外部装置へ送信し、または/および、画面表示部140に表示する(ステップS39)。その後、画像処理装置200は、ステップS31に戻り、上述した動作と同様の動作を繰り返す。
【0059】
図18はイベント判定部1609が実行するステップS39の詳細を示すフローチャートである。図18を参照すると、先ずイベント判定部1609は、最新の所持判定情報1507、同一人物判定情報1509、および、同一所持品判定情報1508に基づいて、同一人物毎に、当該同一人物に係る追跡情報1510を生成・更新する(ステップS41)。
【0060】
上記ステップS41では、イベント判定部1609は、最新の画像1502から検出された人物のうち、過去の画像から検出された何れの人物とも同一でないと人物再特定部1608によって判定された人物、即ち、最新の画像1502において初めて検出された人物については、当該人物に係る追跡情報1510を新規に生成する。その際、イベント判定部1609は、図16に示した追跡情報種別15101に人物を示す種別を、追跡対象ID15102に当該人物に割り当てた人物IDを、検出情報ID15103に最新の画像1502から検出された当該人物の人物検出情報1506の撮影時刻および仮人物IDを、所持関係ID15104に所持判定部1607によって当該人物が所持品を所持していないと判定されていればNULL値、所持していると判定されていれば所持品を特定する情報(例えば再特定所持品選択情報1505を特定する撮影時刻と仮物体ID)を、それぞれ設定する。
【0061】
また上記ステップS41では、イベント判定部1609は、最新の画像1502から検出された人物のうち、過去の画像から検出された何れかの人物と同一であると人物再特定部1608によって判定された人物については、その人物について既に作成されている追跡情報1510に最新の検出情報ID15103と所持関係ID15104のペアを追加する。即ち、イベント判定部1609は、最新の画像1502から検出された当該人物の人物検出情報1506の撮影時刻および仮人物IDを設定した検出情報ID15103と、最新の画像1502において当該人物が所持品を所持していなければNULL値を、所持していれば所持品を特定する情報を、それぞれ設定した所持関係ID15104を追加する。
【0062】
次にイベント判定部1609は、最新の所持判定情報1507、同一人物判定情報1509、および、同一所持品判定情報1508に基づいて、同一所持品毎に、当該同一所持品に係る追跡情報1510を生成・更新する(ステップS42)。
【0063】
上記ステップS42では、イベント判定部1609は、最新の画像1502から検出された所持品のうち、過去の画像から検出された何れの所持品とも同一でないと所持品再特定部1605によって判定された所持品については、その所持品に係る追跡情報1510を新規に生成する。その際、イベント判定部1609は、図16に示した追跡情報種別15101に所持品を示す種別を、追跡対象ID15102に当該所持品に割り当てた所持品IDを、検出情報ID15103に最新の画像1502から検出された当該所持品の再特定所持品選択情報1505の撮影時刻および仮物体IDを、所持関係ID15104に当該所持品が何れの人物にも所持されていないと所持判定部1607によって判定されていればNULL値、所持されていると判定されていれば所持者を特定する情報(例えば人物検出情報1506を特定する撮影時刻と仮人物ID)を、それぞれ設定する。
【0064】
また上記ステップS42では、イベント判定部1609は、最新の画像1502から検出された所持品のうち、過去の画像から検出された何れかの所持品と同一であると所持品再特定部1605によって判定された所持品、すなわち、その所持品に係る追跡情報1510が既に存在する所持品については、当該所持品に係る追跡情報1510に最新の検出情報ID15103と所持関係ID15104のペアを追加する。即ち、イベント判定部1609は、最新の画像1502から検出された当該所持品の再特定所持品選択情報1505の撮影時刻および仮物体IDを設定した検出情報ID15103と、最新の画像1502において当該所持品が何れの人物にも所持されていなければNULL値を、所持されていれば所持者の人物を特定する情報(例えば、人物検出情報1506の撮影時刻と仮人物ID)を、それぞれ設定した所持関係ID15104を追加する。
【0065】
次にイベント判定部1609は、ステップS41で更新した同一人物に係る追跡情報1510毎に、当該人物と所持品との間に所持関係の変化が生じたか否かを判定する(ステップS43)。具体的には、イベント判定部1609は、当該人物が所持品の所持状態から非所持状態に変化したか否か、または、その逆に所持品の非所持状態から所持状態に変化したか否か、または、所持品が或る所持品から別の所持品に変化したか否かを判定する。例えばイベント判定部1609は、当該人物が所持品の所持状態から非所持状態に変化したと判定した場合、所持状態から非所持状態に変化したことを表す変化種別と、当該人物の人物IDと、変化した時刻と、変化前に所持していた所持品の所持品IDとから構成される判定情報を生成する。またイベント判定部1609は、当該人物が所持品の非所持状態から所持状態に変化したと判定した場合、非所持状態から所持状態に変化したことを表す変化種別と、当該人物の人物IDと、変化した時刻と、変化後に所持していた所持品の所持品IDとから構成される判定情報を生成する。またイベント判定部1609は、当該人物の所持品が或る所持品から別の所持品に変化したことを判定した場合、所持品が変化したことを表す変化種別と、当該人物の人物IDと、変化した時刻と、変化前に所持していた所持品の所持品IDと、変化後に所持していた所持品の所持品IDとから構成される判定情報を生成する。
【0066】
次にイベント判定部1609は、ステップS42で更新した同一所持品に係る追跡情報1510毎に、当該所持品と人物との間に所持関係の変化が生じたか否かを判定する(ステップS44)。具体的には、イベント判定部1609は、当該所持品が所持者のいる所持状態から所持者のいない非所持状態に変化したか否か、または、その逆に所持者のいない非所持状態から所持者のいる所持状態に変化したか否か、または、所持者が或る人物から別の人物に変化したか否かを判定する。例えばイベント判定部1609は、当該所持品が所持者のいる所持状態から所持者のいない非所持状態に変化したと判定した場合、所持状態から非所持状態に変化したことを表す変化種別と、当該所持品の所持品IDと、変化した時刻と、変化前の所持者である人物の人物IDとから構成される判定情報を生成する。またイベント判定部1609は、当該所持品が所持者のいない非所持状態から所持者のいる所持状態に変化したと判定した場合、非所持状態から所持状態に変化したことを表す変化種別と、当該所持品の物体IDと、変化した時刻と、変化後の所持者である人物の人物IDとから構成される判定情報を生成する。またイベント判定部1609は、当該所持品の所持者が或る人物から別の人物に変化したことを判定した場合、所持者が変化したことを表す変化種別と、当該所持品の所持品IDと、変化した時刻と、変化前の所持者である人物の人物IDと、変化後の所持者である人物の人物IDとから構成される判定情報を生成する。
【0067】
次にイベント判定部1609は、ステップS43による同一人物に係る追跡情報に基づく判定結果とステップS44による同一所持品に係る追跡情報に基づく判定結果とを総合的に判断して、人物と所持品との間に所持関係の変化が生じたか否かを最終的に判断する(ステップS45)。
【0068】
例えば、イベント判定部1609は、ステップS43による同一人物に係る追跡情報に基づく判定結果とステップS44による同一所持品に係る追跡情報に基づく判定結果とを単純に寄せ集めた結果を最終判定結果としてよい。これによって、同一人物に係る追跡情報および同一所持品に係る追跡情報の何れか一方に基づく場合に比べて、人物と所持品との間に所持関係の変化が生じたか否かを漏れなく検出することができる。その理由は、同一人物に係る追跡情報によっては検出できない人物と所持品との間の所持関係の変化が、同一物体に係る追跡情報によって検出できるケースがあり、また、その逆のケースもあるためである。
【0069】
またイベント判定部1609は、ステップS43による同一人物に係る追跡情報に基づく判定結果とステップS44による同一所持品に係る追跡情報に基づく判定結果とを突き合わせ、人物と所持品との間の論理的に同じ所持関係の変化を1つにまとめるようにしてもよい。例えば、時刻t1に人物Aが所持品Xの所持状態から非所持状態に変化したという同一人物に係る追跡情報に基づく判定結果と、時刻t1に所持品Xが所持者Aのいる所持状態から所持者のいない非所持状態に変化したという同一所持品に係る追跡情報に基づく判定結果とを1つにまとめて、時刻t1に人物Aと所持品Xとの所持関係が所持状態から非所持状態に変化したという判定結果を生成してよい。これによって、判定結果の精度を高めることができる。
【0070】
またイベント判定部1609は、ステップS43による或る人物に係る追跡情報に基づく判定結果と他の人物に係る追跡情報に基づく判定結果とを突き合わせ、複数の人物と所持品との間の関連する所持関係の変化を1つにまとめるようにしてもよい。例えば、時刻t1に人物Aが所持品Xの所持状態から非所持状態に変化したという判定結果と、時刻t1近傍の時刻に人物Bが非所持状態から所持品Xの所持状態に変化したという判定結果とを1つにまとめて、時刻t1近傍の時刻に人物Aから人物Bに所持品Xが受け渡されたという判定結果を生成してよい。或いは、時刻t1に人物Aが所持品Xの所持状態から所持品Yの所持状態に変化したという判定結果と、時刻t1近傍の時刻に人物Bが所持品Yの所持状態から所持品Xの所持状態に変化したという判定結果とを1つにまとめて、時刻t1近傍の時刻に人物Aと人物Bとの間で人物Aが所持していた所持品Xと人物Bが所持していた所持品Yとのすり替えが行われたという判定結果を生成してよい。
【0071】
またイベント判定部1609は、ステップS44による或る所持品に係る追跡情報に基づく判定結果と他の所持品に係る追跡情報に基づく判定結果とを突き合わせ、複数の人物と所持品との間の関連する所持関係の変化を1つにまとめるようにしてもよい。例えば、時刻t1に所持品Xが人物Aに所持されている状態から非所持状態に変化したという判定結果と、時刻t1近傍の時刻に所持品Xが非所持状態から人物Bに所持される状態に変化したという判定結果とを1つにまとめて、時刻t1近傍の時刻に所持品Xが人物Aから人物Bに受け渡されたという判定結果を生成してよい。或いは、時刻t1に所持品Xが人物Aに所持されている所持状態から人物Bに所持されている所持状態に変化したという判定結果と、時刻t1近傍の時刻に所持品Yが人物Bに所持されている所持状態から人物Aに所持されている所持状態に変化したという判定結果とを1つにまとめて、時刻t1近傍の時刻に人物Aと人物Bとの間で人物Aに所持されていた所持品Xと人物Bに所持されていた所持品Yとのすり替えが行われたという判定結果を生成してよい。
【0072】
以上説明したように本実施形態に係る画像処理装置200によれば、人物と所持品との所持関係の有無の変化を検出することができると共に、人物と所持品との間の所持関係の変化、すなわち、或る人物の所持品が或る所持品から別の所持品に変化したことを検出することができる。そして、画像処理装置200によれば、画像から検出した所持品を無条件に再特定する所持品に選択するのではなく、人物によって遮蔽されていない所持品を再特定する所持品に選択しているため、所持品再特定部1605において所持品の再特定誤りの増加を防止することができる。そのため、所持品の再特定誤りが原因で同一所持品を追跡する処理が途中で破綻するといった事態を防止することができる。
【0073】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施形態に係る画像処理装置300について図面を参照して説明する。図19は、画像処理装置300のブロック図である。図19を参照すると、画像処理装置300は、画像取得手段301と所持品検出手段302と骨格情報検出手段303と再特定所持品選択手段304と所持品再特定手段305とを備えている。
【0074】
画像取得手段301は、異なる時刻に撮影された複数の画像を取得するように構成されている。画像取得手段301は、例えば、図1の画像取得部1601と同様に構成することができるが、それに限定されない。
【0075】
所持品検出手段302は、画像取得手段301によって取得された各画像から所持品を検出するように構成されている。所持品検出手段302は、例えば、図1の所持品検出部1602と同様に構成することができるが、それに限定されない。
【0076】
骨格情報検出手段303は、画像取得手段301によって取得された各画像から人の骨格情報を検出するように構成されている。骨格情報検出手段303は、例えば、図1の骨格情報検出部1603と同様に構成することができるが、それに限定されない。
【0077】
再特定所持品選択手段304は、所持品検出手段302によって検出された所持品と骨格情報検出手段303によって検出された人の骨格情報とから、再特定する所持品を選択するように構成されている。再特定所持品選択手段304は、例えば、図1の再特定所持品選択部1604と同様に構成することができるが、それに限定されない。
【0078】
所持品再特定手段305は、画像取得手段301によって取得された複数の画像のうち、何れか1つの画像から再特定所持品選択手段304によって選択された再特定する所持品と、他の何れか1つの画像から再特定所持品選択手段304によって選択された再特定する所持品とが、同一の所持品であるか否かを判定するように構成されている。所持品再特定手段305は、例えば、図1の所持品再特定部1605と同様に構成することができるが、それに限定されない。
【0079】
このように構成された画像処理装置300は、以下のように動作する。即ち、画像取得手段301は、異なる時刻に撮影された複数の画像を取得する。次に、所持品検出手段302は、画像取得手段301によって取得された各画像から所持品を検出する。次に、骨格情報検出手段303は、画像取得手段301によって取得された各画像から人の骨格情報を検出する。次に、再特定所持品選択手段304は、所持品検出手段302によって検出された所持品と骨格情報検出手段303によって検出された人の骨格情報とから、再特定する所持品を選択する。次に、所持品再特定手段305は、画像取得手段301によって取得された複数の画像のうち、何れか1つの画像から再特定所持品選択手段304によって選択された再特定する所持品と、他の何れか1つの画像から再特定所持品選択手段304によって選択された再特定する所持品とが、同一の所持品であるか否かを判定する。
【0080】
以上のように構成され動作する画像処理装置300によれば、所持品の再特定誤りの増加を防止することができる。その理由は、物体検出と再特定との間にオクルージョンに対する頑健性の違いがあることを考慮し、画像取得手段301によって取得された画像から所持品検出手段302によって検出された所持品と、同じ画像から骨格情報検出手段303によって検出された人物の骨格情報とから、再特定所持品選択手段304によって当該人物によって遮蔽されていない所持品を再特定する所持品に選択するためである。
【0081】
以上、上記各実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明の範囲内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【0082】
例えば、前述した実施形態では、所持品検出、骨格情報検出、再特定所持品検出、所持品再特定などの処理をオンラインで実施したが、オフラインで実施するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、人の所持品の再特定に利用でき、特に人による所持品の置き去り、持ち去り、すり替えなどのイベントを検出する技術に利用できる。
【0084】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
[付記1]
画像処理装置において、
異なる時刻に撮影された複数の画像を取得する画像取得手段と、
前記各画像から所持品を検出する所持品検出手段と、
前記各画像から人の骨格情報を検出する骨格情報検出手段と、
前記検出された所持品と人の骨格情報とから再特定する所持品を選択する再特定所持品選択手段と、
前記複数の画像のうち、何れか1つの画像から選択された再特定する所持品と他の何れか1つの画像から選択された再特定する所持品とが同一の所持品であるか否かを判定する所持品再特定手段と、を備える
画像処理装置。
[付記2]
前記再特定所持品選択手段は、前記検出された所持品と人の骨格情報とから前記所持品が前記人によって遮蔽されているか否かを判定し、前記判定の結果に基づいて前記選択を行う、
付記1に記載の画像処理装置。
[付記3]
前記再特定所持品選択手段は、前記検出された人の骨格情報を構成する関節の位置が前記検出された所持品の外接矩形の中にあるか否かを判定し、前記判定の結果に基づいて前記選択を行う、
付記1または2に記載の画像処理装置。
[付記4]
前記再特定所持品選択手段は、前記検出された人の骨格情報を構成する複数の関節の位置が前記検出された所持品の外接矩形の中にある場合、前記外接矩形の面積に対する、前記複数の関節の位置の外接矩形の面積の割合に基づいて前記選択を行う、
付記1乃至3の何れかに記載の画像処理装置。
[付記5]
前記再特定所持品選択手段は、前記検出された人の骨格情報を構成する少なくとも1つの関節の位置が前記検出された所持品の外接矩形の中にある場合、前記関節の位置と前記外接矩形の中心の位置との距に基づいて前記選択を行う、
付記1乃至4の何れかに記載の画像処理装置。
[付記6]
前記各画像から人物を検出する人物検出手段と、
同じ前記画像から検出された人物と所持品の所持関係の有無を判定する所持判定手段と、
前記複数の画像のうち、何れか1つの画像から検出された人物と他の何れか1つの画像から検出された人物とが同一の人物であるか否かを判定する人物再特定手段と、
前記所持判定手段と前記人物再特定手段と前記所持品再特定手段の各判定結果に基づいて、人物と所持品との間に所持関係の変化が生じたか否かを判定し、判定結果を出力するイベント判定手段と、を更に備える
付記1乃至5の何れかに記載の画像処理装置。
[付記7]
画像処理方法において、
異なる時刻に撮影された複数の画像を取得し、
前記各画像から所持品を検出し、
前記各画像から人の骨格情報を検出し、
前記検出された所持品と人の骨格情報とから再特定する所持品を選択し、
前記複数の画像のうち、何れか1つの画像から選択された再特定する所持品と他の何れか1つの画像から選択された再特定する所持品とが同一の所持品であるか否かを判定する、
画像処理方法。
[付記8]
コンピュータに、
異なる時刻に撮影された複数の画像を取得する処理と、
前記各画像から所持品を検出する処理と、
前記各画像から人の骨格情報を検出する処理と、
前記検出された所持品と人の骨格情報とから再特定する所持品を選択する処理と、
前記複数の画像のうち、何れか1つの画像から選択された再特定する所持品と他の何れか1つの画像から選択された再特定する所持品とが同一の所持品であるか否かを判定する処理と、を行わせるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【符号の説明】
【0085】
100 画像処理装置
110 カメラI/F部
120 通信I/F部
130 操作入力部
140 画面表示部
150 記憶部
160 演算処理部
170 画像サーバ
171 カメラ
200 画像処理装置
300 画像処理装置
301 画像取得手段
302 所持品検出手段
303 骨格情報検出手段
304 再特定所持品選択手段
305 所持品再特定手段
1501 プログラム
1501A プログラム
1502 画像
1503 所持品検出情報
1504 骨格検出情報
1505 再特定所持品選択情報
1506 人物検出情報
1507 所持判定情報
1508 同一所持品判定情報
1509 同一人物判定情報
1510 追跡情報
1601 画像取得部
1602 所持品検出部
1603 骨格情報検出部
1604 再特定所持品選択部
1605 所持品再特定部
1606 人物検出部
1607 所持判定部
1608 人物再特定部
1609 イベント判定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19