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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】支持部材
(51)【国際特許分類】
   F16F 15/02 20060101AFI20240717BHJP
【FI】
F16F15/02 L
F16F15/02 E
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022571966
(86)(22)【出願日】2021-11-17
(86)【国際出願番号】 JP2021042227
(87)【国際公開番号】W WO2022137905
(87)【国際公開日】2022-06-30
【審査請求日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】P 2020215513
(32)【優先日】2020-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉
(72)【発明者】
【氏名】廣▲瀬▼ 光典
【審査官】大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】実開平7-31242(JP,U)
【文献】実開昭60-64334(JP,U)
【文献】実開平3-64091(JP,U)
【文献】特開2001-173719(JP,A)
【文献】特開2015-112706(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被支持体から下方に突出する突出部を載置して前記被支持体の荷重を受ける荷重受け部を備える上側部材と、
床面に配置されて前記上側部材を載置する下側部材と、を備え、
前記上側部材は、平面視における中央部分に、前記荷重受け部が受けた前記被支持体の荷重により下方に撓む第1撓み部を備え、
前記下側部材は、下方に撓んだ前記第1撓み部に押されて下方に撓む第2撓み部を備え、
前記荷重受け部が前記被支持体の荷重を受けることにより、下方に撓んだ前記第1撓み部と、前記第1撓み部に押されて下方に撓んだ前記第2撓み部とが摺動可能な摺動領域が形成される、支持部材。
【請求項2】
前記被支持体又は前記床面が振動した場合に、前記摺動領域において前記第1撓み部と前記第2撓み部とが摺動する、請求項1に記載の支持部材。
【請求項3】
前記第1撓み部と前記第2撓み部との間には、前記荷重受け部が前記被支持体の荷重を受けていないときに間隙が形成される、請求項1又は請求項2に記載の支持部材。
【請求項4】
前記下側部材は、
前記床面に接する複数の脚部と、
前記第2撓み部として、前記複数の脚部に囲まれた凹み部と、を備える、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の支持部材。
【請求項5】
前記上側部材は、前記下側部材よりも剛性が低い、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の支持部材。
【請求項6】
被支持体から下方に突出する突出部を載置して前記被支持体の荷重を受ける荷重受け部を備える上側部材と、
床面に配置されて前記上側部材を載置する下側部材と、を備え、
前記上側部材は、
平面視における中央部分に、前記荷重受け部が受けた前記被支持体の荷重により下方に撓む撓み部と、
前記撓み部の周囲の部分に、前記下側部材に当接する当接部と、を備え、
前記当接部は、前記撓み部が下方に撓むことで姿勢が変化し、
前記荷重受け部が前記被支持体の荷重を受けることにより、前記撓み部が撓むことで姿勢が変化した前記当接部と、前記下側部材とが摺動可能な摺動領域が形成される、支持部材。
【請求項7】
前記被支持体又は前記床面が振動した場合に、前記摺動領域において前記当接部と前記下側部材とが摺動する、請求項6に記載の支持部材。
【請求項8】
前記上側部材の下面と前記下側部材の上面とのいずれか一方には凹状の被嵌合部が設けられ、いずれか他方には前記被嵌合部に嵌め合わされる凸状の嵌合部が設けられる、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の支持部材。
【請求項9】
前記上側部材及び前記下側部材は、平面視において、いずれも外縁が同一径の円形である、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の支持部材。
【請求項10】
前記荷重受け部は、前記突出部を挿入可能な凹部の底部である、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の支持部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持部材に関する。
【背景技術】
【0002】
被支持体を支持し、被支持体の振動を抑制する支持部材が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の支持部材は、被支持体から下方に突出する突出部を載置して被支持体の荷重を受ける荷重受け部を備える上側部材と、床面に配置されて上側部材を載置する下側部材とを備える。そして、特許文献1に記載の支持部材は、被支持体が振動した場合に、上側部材と下側部材との接触面に生じる摩擦減衰を利用して、被支持体の振動を抑制する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-112706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の支持部材は、摩擦減衰を利用して被支持体の振動を抑制するものであるが、下側部材に対して上側部材が単に横滑りする構造であるため、大きな振動が発生しないと、摩擦減衰効果を得にくい。
【0005】
本発明は、振動の大小にかかわらず、被支持体の振動が床面に伝わることと、床面の振動が被支持体に伝わることとを抑制することができる支持部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、支持部材が提供される。支部材は、被支持体から下方に突出する突出部を載置して被支持体の荷重を受ける荷重受け部を備える上側部材を備える。支持部材は、床面に配置されて上側部材を載置する下側部材を備える。上側部材は、平面視における中央部分に、荷重受け部が受けた被支持体の荷重により下方に撓む第1撓み部を備える。下側部材は、下方に撓んだ第1撓み部に押されて下方に撓む第2撓み部を備える。支持部材には、荷重受け部が被支持体の荷重を受けることにより、下方に撓んだ第1撓み部と、第1撓み部に押されて下方に撓んだ第2撓み部とが摺動可能な摺動領域が形成される。
【0007】
本発明の第2の態様によれば、支持部材が提供される。支持部材は、被支持体から下方に突出する突出部を載置して被支持体の荷重を受ける荷重受け部を備える上側部材を備える。支持部材は、床面に配置されて上側部材を載置する下側部材を備える。上側部材は、平面視における中央部分に、荷重受け部が受けた被支持体の荷重により下方に撓む撓み部を備える。上側部材は、撓み部の周囲の部分に、下側部材に当接する当接部を備える。当接部は、撓み部が下方に撓むことで姿勢が変化する。支持部材には、荷重受け部が被支持体の荷重を受けることにより、撓み部が撓むことで姿勢が変化した当接部と、下側部材とが摺動可能な摺動領域が形成される。
【発明の効果】
【0008】
本発明による支持部材は、振動の大小にかかわらず、被支持体の振動が床面に伝わることと、床面の振動が被支持体に伝わることとを抑制することができる。
【0009】
第1の態様の支持部材は、被支持体又は床面が振動した場合に、摺動領域において第1撓み部と第2撓み部とが摺動する。これにより、被支持体が振動した場合に、摺動領域において第1撓み部と第2撓み部とが摺動し、被支持体の振動が床面に伝わることを抑制することができる。また、床面が振動した場合に、摺動領域において第1撓み部と第2撓み部とが摺動し、床面の振動が被支持体に伝わることを抑制することができる。
【0010】
第1の態様の支持部材における第1撓み部と第2撓み部との間には、荷重受け部が被支持体の荷重を受けていないときに間隙が形成されてよい。これにより、荷重受け部に突出部が載置されたときに、下方に撓んだ第1撓み部と、第1撓み部に押されて下方に撓んだ第2撓み部とが摺動可能な摺動領域を好適に形成することができる。
【0011】
第1の態様の支持部材における下側部材は、床面に接する複数の脚部を備えてよい。また、下側部材は、第2撓み部として、複数の脚部に囲まれた凹み部を備えてよい。これにより、荷重受け部に突出部が載置されたときに、第1撓み部に押されて第2撓み部を好適に撓ませることができる。
【0012】
第1態様の支持部材における上側部材は、下側部材よりも剛性が低くてよい。これにより、荷重受け部に突出部が載置されたときに、第1撓み部が下方に撓む量と、第1撓み部に押されて第2撓み部が下方に撓む量とを異ならせることができ、摺動領域を好適に形成することができる。
【0013】
第2態様の支持部材は、被支持体又は床面が振動した場合に、摺動領域において当接部と下側部材とが摺動する。これにより、被支持体が振動した場合に、摺動領域において当接部と下側部材とが摺動し、被支持体の振動が床面に伝わることを抑制することができる。また、床面が振動した場合に、摺動領域において当接部と下側部材とが摺動し、床面の振動が被支持体に伝わることを抑制することができる。
【0014】
第1態様及び第2態様の支持部材における上側部材の下面と下側部材の上面とのいずれか一方には凹状の被嵌合部が設けられ、いずれか他方には被嵌合部に嵌め合わされる凸状の嵌合部が設けられてよい。これにより、荷重受け部に突出部が載置されているときに、被支持体又は床面が振動しても、下側部材に対して上側部材が過度に摺動することを抑制することができる。
【0015】
第1態様及び第2態様の支持部材における上側部材及び下側部材は、平面視において、いずれも外縁が同一径の円形であってよい。これにより、荷重受け部に突出部が載置されたときに、平面視における好適な位置に摺動領域を形成することができる。
【0016】
第1態様及び第2態様の支持部材における荷重受け部は、突出部を挿入可能な凹部の底部であってよい。これにより、被支持体から下方に突出する突出部を凹部に挿入することで、突出部を好適に載置することができる。
【0017】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となり得る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】支持部材100の利用形態の一例を概略的に示す図である。
図2】上側部材110と下側部材120とを離した状態を斜め上方から見た斜視図である。
図3】上側部材110と下側部材120とを離した状態を斜め下方から見た斜視図である。
図4】上側部材110を上方から見た平面図、及び平面図におけるA-A断面を示す断面図である。
図5】下側部材120を下方から見た平面図、及び平面図におけるB-B断面を示す断面図である。
図6】荷重受け部111が被支持体Sの荷重を受けていないときの状態を示す支持部材100の断面図である。
図7】荷重受け部111が被支持体Sの荷重を受けているときの状態を示す支持部材100の断面図である。
図8】下方に撓んだ上側部材110の第1撓み部113に押されたときに、下側部材120に加わる接触圧の分布を示す図である。
図9】荷重受け部211が被支持体Sの荷重を受けていないときの状態を示す支持部材200の断面図である。
図10】荷重受け部211が被支持体Sの荷重を受けているときの状態を示す支持部材200の断面図である。
図11】撓み部213が下方に撓むことで当接部214の姿勢が変化したときに、下側部材220に加わる接触圧の分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施の形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0020】
図1は、支持部材100の利用形態の一例を概略的に示す図である。支持部材100は、被支持体Sを支持する部材である。図1に示す支持部材100は、被支持体Sとして工作機械を支持している。工作機械は、被支持体Sの一例である。支持部材100は、上側部材110と下側部材120とを備える。下側部材120は、床面Fに配置されて上側部材110を載置する。
【0021】
図2は、上側部材110と下側部材120とを離した状態を斜め上方から見た斜視図である。図3は、上側部材110と下側部材120とを離した状態を斜め下方から見た斜視図である。図4は、上側部材110を上方から見た平面図、及び平面図におけるA-A断面を示す断面図である。図5は、下側部材120を下方から見た平面図、及び平面図におけるB-B断面を示す断面図である。
【0022】
上側部材110は、被支持体Sから下方に突出する突出部Pを載置して被支持体Sの荷重を受ける荷重受け部111を備える。例えば被支持体Sが工作機械である場合、上側部材110の荷重受け部111は、工作機械から下方に突出する高さ調整用ボルトを載置して工作機械の荷重を受ける。高さ調整用ボルトは、突出部Pの一例である。
【0023】
図4に示すように、上側部材110は、平面視における形状が円形の部材である。図5に示すように、下側部材120は、平面視における形状が円形の部材である。そして、図2及び図3に示すように、上側部材110及び下側部材120は、平面視における外縁の径が同一である。
【0024】
図2及び図4に示すように、平面視において上側部材110の上部における中央部分には、被支持体Sの突出部Pを挿入可能な凹部115が形成される。荷重受け部111は、凹部115の底部である。
【0025】
図3及び図4に示すように、上側部材110の下面には、凹状の被嵌合部112が設けられる。一方、図2及び図5に示すように、下側部材120の上面には、上側部材110の被嵌合部112に嵌め合わされる凸状の嵌合部121が設けられる。図3及び図4に示す上側部材110には、平面視における荷重受け部111の径よりも十分に大きい径の円形の被嵌合部112が設けられている。一方、図2及び図5に示す下側部材120には、上側部材110の被嵌合部112に嵌め合わせ可能となるように、平面視における被嵌合部112の径よりも僅かに小さい径の嵌合部121が設けられている。なお、凹状の被嵌合部は、下側部材120の上面に設けられてもよい。その場合、上側部材110の下面には、下側部材120の被嵌合部に嵌め合わされる凸状の嵌合部が設けられる。
【0026】
図3及び図5に示すように、下側部材120は、床面Fに接する複数の脚部122を備える。平面視において複数の脚部122に囲まれた中央部分には、脚部122の下面よりも上方に凹んだ凹み部124が形成される。図3及び図5に示す下側部材120は、平面視において中央部分を除く領域に、3つの脚部122が周方向において等間隔に備えている。
【0027】
図4に示すように、上側部材110は、平面視における中央部分に、荷重受け部111が受けた被支持体Sの荷重により下方に撓む第1撓み部113を備える。図5に示すように、下側部材120は、下方に撓んだ上側部材110の第1撓み部113に押されて下方に撓む第2撓み部123として、複数の脚部122に囲まれた部分に凹み部124を備える。
【0028】
図6は、荷重受け部111が被支持体Sの荷重を受けていないときの状態を示す支持部材100の断面図である。図7は、荷重受け部111が被支持体Sの荷重を受けているときの状態を示す支持部材100の断面図である。図8は、下方に撓んだ上側部材110の第1撓み部113に押されたときに、下側部材120に加わる接触圧の分布を示す図である。
【0029】
支持部材100は、被支持体Sを床面Fに配置するときに、上側部材110の被嵌合部112に下側部材120の嵌合部121を嵌め合わせた状態で、被支持体Sから下方に突出する突出部Pの真下に配置される。図1に示す例では、支持部材100は、工作機械から下方に突出する高さ調整用ボルトの真下に配置される。
【0030】
上側部材110の荷重受け部111が被支持体Sの荷重を受けていないとき、図6に示すように、上側部材110の第1撓み部113の下面と下側部材120の第2撓み部123の上面との間には、間隙G1が形成される。
【0031】
上側部材110の荷重受け部111に被支持体Sの突出部Pが載置されて、図7に示すように、荷重受け部111が被支持体Sの荷重Lを受けることにより、上側部材110の第1撓み部113が下方に撓む。上側部材110の第1撓み部113が下方に撓むと、下側部材120の第2撓み部123は、上側部材110の第1撓み部113に押されて下方に撓む。このとき、下側部材120の第2撓み部123には、図8に示すように、平面視において、脚部122の位置に対応しない領域R1よりも、脚部122の位置に対応する領域R2に対して高い接触圧が加わる。図8に示すような接触圧の分布は、上側部材110の剛性よりも下側部材120の剛性の方が低くなるように、上側部材110及び下側部材120の肉厚、素材等を設定することにより実現可能である。
【0032】
そして、支持部材100には、下方に撓んだ上側部材110の第1撓み部113と、第1撓み部113に押されて下方に撓んだ下側部材120の第2撓み部123とが摺動可能な摺動領域SA1が形成される。摺動領域SA1が形成された状態の支持部材100は、被支持体Sが振動すると、摺動領域SA1において第1撓み部113と第2撓み部123とが摺動することにより、被支持体Sの振動が床面Fに伝わることを抑制する。また、摺動領域SA1が形成された状態の支持部材100は、床面Fが振動すると、摺動領域SA1において第1撓み部113と第2撓み部123とが摺動することにより、床面Fの振動が被支持体Sに伝わることを抑制する。
【0033】
以上、説明したとおり、支持部材100は、被支持体Sから下方に突出する突出部Pを載置して被支持体Sの荷重Lを受ける荷重受け部111を備える上側部材110を備える。また、支持部材100は、床面Fに配置されて上側部材110を載置する下側部材120を備える。上側部材110は、平面視における中央部分に、荷重受け部111が受けた被支持体Sの荷重Lにより下方に撓む第1撓み部113を備える。下側部材120は、下方に撓んだ第1撓み部113に押されて下方に撓む第2撓み部123を備える。支持部材100には、荷重受け部111が被支持体Sの荷重Lを受けることにより、下方に撓んだ第1撓み部113と、第1撓み部113に押されて下方に撓んだ第2撓み部123とが摺動可能な摺動領域SA1が形成される。これにより、振動の大小にかかわらず、被支持体Sの振動が床面Fに伝わることと、床面Fの振動が被支持体Sに伝わることとを抑制することができる。
【0034】
また、支持部材100は、被支持体S又は床面Fが振動した場合に、摺動領域SA1において第1撓み部113と第2撓み部123とが摺動する。これにより、被支持体Sが振動した場合に、摺動領域SA1において第1撓み部113と第2撓み部123とが摺動し、被支持体Sの振動が床面Fに伝わることを抑制することができる。また、床面Fが振動した場合に、摺動領域SA1において第1撓み部113と第2撓み部123とが摺動し、床面Fの振動が被支持体Sに伝わることを抑制することができる。
【0035】
また、第1撓み部113と第2撓み部123との間には、荷重受け部111が被支持体Sの荷重Lを受けていないときに間隙G1が形成されてよい。これにより、荷重受け部111に突出部Pが載置されたときに、第1撓み部113と第2撓み部123とが摺動可能な摺動領域SA1を好適に形成することができる。
【0036】
また、下側部材120は、床面Fに接する複数の脚部122を備えてよい。また、下側部材120は、第2撓み部123として、複数の脚部122に囲まれた凹み部124を備えてよい。これにより、荷重受け部111に突出部Pが載置されたときに、第1撓み部113に押されて第2撓み部123を好適に撓ませることができる。
【0037】
また、上側部材110は、下側部材120よりも剛性が低くてよい。これにより、荷重受け部111に突出部Pが載置されたときに、第1撓み部113が下方に撓む量と、第2撓み部123が下方に撓む量とを異ならせることができ、摺動領域SA1を好適に形成することができる。
【0038】
また、上側部材110の下面と下側部材120の上面とのいずれか一方には凹状の被嵌合部が設けられ、いずれか他方には被嵌合部に嵌め合わされる凸状の嵌合部が設けられてよい。これにより、荷重受け部111に突出部Pが載置されているときに、被支持体S又は床面Fが振動しても、下側部材120に対して上側部材110が過度に摺動することを抑制することができる。
【0039】
また、上側部材110及び下側部材120は、平面視において、いずれも外縁が同一径の円形であってよい。これにより、荷重受け部111に突出部Pが載置されたときに、平面視における好適な位置に摺動領域SA1を形成することができる。
【0040】
また、荷重受け部111は、突出部Pを挿入可能な凹部115の底部であってよい。これにより、被支持体Sから下方に突出する突出部Pを凹部115に挿入することで、突出部Pを好適に載置することができる。
【0041】
図9から図11は、他の実施の形態にかかる支持部材200を示す図である。図9は、荷重受け部211が被支持体Sの荷重を受けていないときの状態を示す支持部材200の断面図である。支持部材200は、被支持体Sを支持する部材である。支持部材200は、上側部材210と下側部材220とを備える。
【0042】
上側部材210は、被支持体Sから下方に突出する突出部Pを載置して被支持体Sの荷重を受ける荷重受け部211を備える部材である。下側部材220は、床面Fに配置されて上側部材210を載置する部材である。
【0043】
上側部材210は、支持部材100の上側部材110と同様に、平面視における形状が円形の部材である。下側部材220は、支持部材100の下側部材120と同様に、平面視における形状が円形の部材である。そして、上側部材210及び下側部材220は、支持部材100の上側部材110及び下側部材120と同様に、平面視における外縁の径が同一である。
【0044】
平面視において上側部材210の上部における中央部分には、被支持体Sの突出部Pを挿入可能な凹部215が形成される。荷重受け部11は、凹部215の底部である。
【0045】
上側部材210の下面には、凹状の被嵌合部212が設けられる。一方、下側部材220の上面には、上側部材210の被嵌合部212に嵌め合わされる凸状の嵌合部221が設けられる。図9に示す上側部材210には、平面視における荷重受け部211の径よりも十分に大きい径の円形の被嵌合部212が設けられている。一方、下側部材120には、上側部材210の被嵌合部212に嵌め合わせ可能となるように、平面視における被嵌合部212の径よりも僅かに小さい径の嵌合部221が設けられている。なお、凹状の被嵌合部は、下側部材220の上面に設けられてもよい。その場合、上側部材210の下面には、下側部材220の被嵌合部に嵌め合わされる凸状の嵌合部が設けられる。
【0046】
下側部材120は、床面Fに接する複数の脚部222を備える。図9に示す下側部材220は、平面視において中央部分を除く領域に、3つの脚部222が周方向において等間隔に備えている。
【0047】
上側部材210は、平面視における中央部分に、荷重受け部211が受けた被支持体Sの荷重により下方に撓む撓み部213を備える。また、上側部材210は、撓み部213の周囲の部分に、下側部材220の平面部225に当接する当接部を備える。当接部214は、撓み部213が下方に撓むことで姿勢が変化する。
【0048】
図10は、荷重受け部211が被支持体Sの荷重Lを受けているときの状態を示す支持部材200の断面図である。図11は、撓み部213が下方に撓むことで当接部214の姿勢が変化したときに、下側部材220に加わる接触圧の分布を示す図である。
【0049】
支持部材200は、被支持体Sを床面Fに配置するときに、上側部材210の被嵌合部212に下側部材220の嵌合部221を嵌め合わせた状態で、被支持体Sから下方に突出する突出部Pの真下に配置される。
【0050】
上側部材210の荷重受け部211が被支持体Sの荷重Lを受けていないとき、図9に示すように、上側部材210の撓み部213の下面と下側部材220の上面との間には、間隙G2が形成される。間隙G2は、上側部材210の荷重受け部211が被支持体Sの荷重Lを受けることにより、上側部材210の撓み部213の下面と下側部材220の上面とが接しない程度の大きさに設定される。また、上側部材210の荷重受け部211が被支持体Sの荷重Lを受けていないとき、図9に示すように、上側部材210は、当接部21の下面の全体が下側部材220の平面部225に当接している。
【0051】
上側部材210の荷重受け部211に被支持体Sの突出部Pが載置されて、図10に示すように、荷重受け部211が被支持体Sの荷重Lを受けることにより、上側部材210の撓み部213が下方に撓む。上側部材210の撓み部213の下面と下側部材220の上面との間には、上側部材210の撓み部213が下方に撓んでも、間隙G2よりも小さい間隙G3が形成される。上側部材210の当接部214は、上側部材210の撓み部213の下面と下側部材220の上面とが接しないことに起因して、平面視における径方向の外側に押されて、図10に示すように姿勢が変化する。上側部材210は、当接部214の下面における径方向の外側の部分が下側部材220の平面部225から離れて浮き上がり、当接部214の下面における径方向の内側の部分が平面部225に当接している。このとき、下側部材220の平面部225には、図11に示すように、上側部材210の当接部214と接していない領域R3には接触圧が加わらず、当接部214と接している領域R4に対して接触圧が加わる。
【0052】
そして、支持部材200には、上側部材210の撓み部213が撓んで姿勢が変化した当接部214と、下側部材220の平面部225とが摺動可能な摺動領域SA2が形成される。摺動領域SA2が形成された状態の支持部材200は、被支持体Sが振動すると、摺動領域SA2において当接部214と下側部材220の平面部225とが摺動することにより、被支持体Sの振動が床面Fに伝わることを抑制する。また、摺動領域SA2が形成された状態の支持部材200は、床面Fが振動した場合に、摺動領域SA2において当接部214と下側部材220の平面部225とが摺動することにより、床面Fの振動が被支持体Sに伝わることを抑制する。
【0053】
以上、説明したとおり、支持部材200は、被支持体Sから下方に突出する突出部Pを載置して被支持体Sの荷重Lを受ける荷重受け部211を備える上側部材210を備える。また、支持部材200は、床面Fに配置されて上側部材210を載置する下側部材220を備える。上側部材210は、平面視における中央部分に、荷重受け部211が受けた被支持体Sの荷重Lにより下方に撓む撓み部213を備える。また、上側部材210は、撓み部213の周囲の部分に、下側部材220に当接する当接部214を備える。当接部214は、撓み部213が下方に撓むことで姿勢が変化する。支持部材200には、荷重受け部211が被支持体Sの荷重Lを受けることにより、撓み部213が撓むことで姿勢が変化した当接部214と、下側部材220とが摺動可能な摺動領域SA2が形成される。これにより、振動の大小にかかわらず、被支持体Sの振動が床面Fに伝わることと、床面Fの振動が被支持体Sに伝わることとを抑制することができる。
【0054】
また、被支持体S又は床面Fが振動した場合に、摺動領域SA2において当接部214と下側部材220とが摺動する。これにより、被支持体Sが振動した場合に、摺動領域SA2において当接部214と下側部材220とが摺動し、被支持体Sの振動が床面Fに伝わることを抑制することができる。また、床面Fが振動した場合に、摺動領域SA2において当接部214と下側部材220とが摺動し、床面Fの振動が被支持体Sに伝わることを抑制することができる。
【0055】
また、上側部材210の下面と下側部材220の上面とのいずれか一方には凹状の被嵌合部が設けられ、いずれか他方には被嵌合部に嵌め合わされる凸状の嵌合部が設けられてよい。これにより、荷重受け部211に突出部Pが載置されているときに、被支持体S又は床面Fが振動しても、下側部材220に対して上側部材210が過度に摺動することを抑制することができる。
【0056】
また、上側部材210及び下側部材220は、平面視において、いずれも外縁が同一径の円形であってよい。これにより、荷重受け部211に突出部Pが載置されたときに、平面視における好適な位置に摺動領域SA2を形成することができる。
【0057】
また、荷重受け部211は、突出部Pを挿入可能な凹部215の底部であってよい。これにより、被支持体Sから下方に突出する突出部Pを凹部215に挿入することで、突出部Pを好適に載置することができる。
【0058】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。また、日本特許出願である特願2020-215513、及び上述の実施形態などで引用した全ての文献の開示を援用して本文の記載の一部とする。
【符号の説明】
【0059】
100 支持部材
110 上側部材
111 荷重受け部
112 被嵌合部
113 第1撓み部
115 凹部
120 下側部材
121 嵌合部
122 脚部
123 第2撓み部
124 凹み部
200 支持部材
210 上側部材
211 荷重受け部
212 被嵌合部
213 撓み部
214 当接部
215 凹部
220 下側部材
221 嵌合部
222 脚部
225 平面部
F 床面
G1 間隙
G2 間隙
G3 間隙
L 荷重
P 突出部
R1 領域
R2 領域
R3 領域
R4 領域
S 被支持体
SA1 摺動領域
SA2 摺動領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11