(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】表示制御装置及び表示制御方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20240717BHJP
G01C 21/26 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
G08G1/16 C
G01C21/26 C
(21)【出願番号】P 2022577981
(86)(22)【出願日】2021-01-29
(86)【国際出願番号】 JP2021003395
(87)【国際公開番号】W WO2022162909
(87)【国際公開日】2022-08-04
【審査請求日】2023-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三角 龍馬
(72)【発明者】
【氏名】中村 誠秀
【審査官】上野 博史
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-233770(JP,A)
【文献】特開2017-182588(JP,A)
【文献】特開2017-058868(JP,A)
【文献】特開2016-182891(JP,A)
【文献】国際公開第2016/113891(WO,A1)
【文献】特開2017-211366(JP,A)
【文献】特開2018-112887(JP,A)
【文献】特開2020-185830(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-21/36
23/00-25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コントローラを備える表示制御装置であって、
前記コントローラは、
自律走行機能を有する自車両の走行経路を取得し、
前記自車両の周囲状況の情報を取得し、
前記自車両が停止した状態で前記自車両の進行可否を判定する可能性のある停止判定位置の情報を取得し、
前記周囲状況に基づき、前記停止判定位置での前記自車両の停止要否を判定することで、前記自車両が自律走行により前記走行経路に沿って進行可能か否かを判定し、
前記自車両が進行可と判定された第1範囲と前記第1範囲以外の前記自車両が進行不可と判定された第2範囲とを前記走行経路上で区別した走行経路画像を表示装置に表示させ、
前記停止判定位置での前記自車両の停止が不要と判定した場合、前記停止判定位置での前記自車両の停止要否を判定する前の前記走行経路画像から、前記第1範囲と前記第2範囲の境界を前記自車両の進行方向側に移動させた前記走行経路画像を表示させる表示制御装置。
【請求項2】
前記走行経路画像は、色、模様、及び明度のうち少なくとも何れか一つが前記第1範囲と前記第2範囲とで異なる画像である請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項3】
前記走行経路画像は、前記自車両の進行可を示す表示が前記第1範囲に重畳表示された画像である請求項1又は2に記載の表示制御装置。
【請求項4】
前記コントローラは、前記周囲状況に基づき、前記走行経路を横断する可能性のある移動体が存在すると判定した場合、前記移動体に対して前記自車両の停止要否を判定する請求項1~3の何れかに記載の表示制御装置。
【請求項5】
前記コントローラは、前記周囲状況に基づき、前記走行経路上に障害物が存在すると判定した場合、前記障害物に対して前記自車両の停止要否を判定する請求項1~4の何れかに記載の表示制御装置。
【請求項6】
前記コントローラは、
前記自車両の現在位置の情報を取得し、
前記自車両の現在位置と前記停止判定位置との距離が所定閾値未満の場合、前記自車両の進行可否を判定する請求項1~5の何れかに記載の表示制御装置。
【請求項7】
前記コントローラは、
前記停止判定位置での前記自車両の停止が必要と判定した場合、前記停止判定位置での前記自車両の停止要否を判定する前の前記走行経路画像から、前記境界が変わらない前記走行経路画像を表示させる請求項6に記載の表示制御装置。
【請求項8】
前記停止判定位置は、交差点、横断歩道、合流地点、信号機、及び停止線のうち少なくとも何れか一つを含む請求項6又は7に記載の表示制御装置。
【請求項9】
前記コントローラは、前記自車両の周囲に複数の停止要因が存在する場合、前記停止要因ごとに前記停止要因に対して前記自車両の進行可否を判定する請求項1~8の何れかに記載の表示制御装置。
【請求項10】
前記コントローラは、前記停止要因の種別に応じて表示形態が異なる前記第1範囲を表示させる請求項9に記載の表示制御装置。
【請求項11】
前記コントローラは、前記停止要因の種別にかかわらず表示形態が同じ前記第1範囲を表示させる請求項9に記載の表示制御装置。
【請求項12】
前記コントローラは、
前記自車両が左折又は右折する場合、対向車に対して前記自車両の進行可否を判定し、
前記対向車に対して前記自車両が進行可と判定された場合、歩行者に対して前記自車両の進行可否を判定する請求項9~11の何れかに記載の表示制御装置。
【請求項13】
前記表示装置は、前記自車両に搭載されたディスプレイ、前記自車両の走行を監視するための監視用端末に備わるディスプレイ、及び携帯端末のディスプレイの何れか一つを含む請求項1~12の何れかに記載の表示制御装置。
【請求項14】
前記コントローラは、地図情報を格納する記憶装置、前記自車両の周囲を検出するセンサ、他車両と通信可能な通信機、及び前記他車両の走行状態の情報を管理するサーバのうち少なくとも何れか一つから、前記周囲状況の情報を取得する請求項1~13の何れかに記載の表示制御装置。
【請求項15】
前記第1範囲は、前記走行経路上で前記第2範囲よりも前記自車両側に位置する請求項1~14の何れかに記載の表示制御装置。
【請求項16】
前記コントローラは、前記周囲状況に基づき、前記自車両が自律走行により前記走行経路に沿って停止することなく進行可能か否かを判定し、
前記第1範囲は、前記自車両が停止することなく進行可と判定された前記走行経路上の範囲である請求項1~15の何れかに記載の表示制御装置。
【請求項17】
前記第1範囲は、前記走行経路上で前記自車両の現在位置からの範囲であり、
前記第2範囲は、前記走行経路上で前記自車両の進行方向に沿って前記第1範囲以降の範囲である請求項15に記載の表示制御装置。
【請求項19】
コントローラにより実行される表示制御方法であって、
自律走行機能を有する自車両の走行経路を取得し、
前記自車両の周囲状況の情報を取得し、
前記自車両が停止した状態で前記自車両の進行可否を判定する可能性のある停止判定位置の情報を取得し、
前記周囲状況に基づき、前記停止判定位置での前記自車両の停止要否を判定することで、前記自車両が自律走行により前記走行経路に沿って進行可能か否かを判定し、
前記自車両が進行可と判定された第1範囲と前記第1範囲以外の前記自車両が進行不可と判定された第2範囲とを前記走行経路上で区別した走行経路画像を表示装置に表示させ、
前記停止判定位置での前記自車両の停止が不要と判定した場合、前記停止判定位置での前記自車両の停止要否を判定する前の前記走行経路画像から、前記第1範囲と前記第2範囲の境界を前記自車両の進行方向側に移動させた前記走行経路画像を表示させる表示制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示制御装置及び表示制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動運転機能を有する自車両の停止状態を表示する車両用表示装置が知られている(特許文献1)。この車両用表示装置は、自車両が自動運転中に周囲状況において将来的に停車状態となる場合、周囲状況の路面から上方に延出する停止表示を表示装置に表示させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の車両用表示装置では、停止表示が表示されるものの、安全確認が完了した範囲を視認者が直感的に把握するのが難しい、という問題がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、安全確認が完了した範囲を視認者が直感的に把握することができる表示制御装置及び表示制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、自律走行機能を有する自車両の走行経路を取得し、自車両の周囲状況の情報を取得し、自車両の周囲状況に基づき、自車両が自律走行で走行経路を走行するために必要な安全確認を行い、安全確認が完了した第1範囲と第1範囲以外の第2範囲とを走行経路上で区別した走行経路画像を表示装置に表示させることで、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、視認者は、走行経路画像によって、安全確認が完了した範囲を直感的に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係る運転支援装置の一例を示すブロック図である。
【
図2】本実施形態に係るコントローラ等の一例を示すブロック図である。
【
図3】自車両が交差点に接近する場面を示す概略図である。
【
図6】自車両が自律走行により交差点を通過する場合の表示制御方法のフローチャートの一例である。
【
図7A】信号機への安全確認処理を示すサブルーチンの一例である。
【
図7B】歩行者への安全確認処理を示すサブルーチンの一例である。
【
図7C】対向車への安全確認処理を示すサブルーチンの一例である。
【
図8】自車両が自律走行により直進路において信号機のない横断歩道を通過する場合の表示制御方法のフローチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
本明細書において自動運転とは、自車両の走行制御(操舵制御及び速度制御を含む)が運転支援装置1により自律的に制御されている状態を意味する。即ち、本明細書における自動運転は、乗員が関与せずに自車両の操舵及び速度のすべてが自律制御される完全自動運転の他、自車両の操舵及び速度の少なくとも1つが自律制御される運転支援を含む。自動運転は、先行車追従制御、車間距離制御、車線逸脱防止制御等であってもよい。一方、本明細書における手動運転とは、自車両の操舵及び速度のすべてが運転者の操作により操作される運転状態を意味する。なお、以降の説明において、車両の通行は左側通行とする。
【0011】
本実施形態に係る表示制御装置は、
図1に示すように、運転支援装置1の一部として実現される。
図1は、本実施形態に係る運転支援装置1の一例を示すブロック図である。運転支援装置1は、運転支援装置1を搭載する車両(以下、「自車両」と称す)の周囲の走行環境に基づき自車両の自動運転制御を行う。自車両は、運転支援装置1による自動運転制御又は運転者の手動運転により走行可能である。
【0012】
運転支援装置1は、周囲環境センサ群10、測位装置11、高精度地図記憶部12、車両センサ群20、コントローラ30、表示装置31及び車両制御アクチュエータ群40を備える。このうち、例えばコントローラ30が、本発明の本実施形態に係る表示制御装置を構成し得る。
【0013】
周囲環境センサ群10は、自車両の周囲の対象物を検出するためのセンサ群である。対象物とは、例えば、道路の車線境界線、センターライン、路面標示、中央分離帯、ガードレール、縁石、高速道路の側壁、道路標識、信号機、横断歩道、工事現場、事故現場、速度制限表示である。また対象物には、自車両以外の自動車(先行車、対向車などの他車両)、オートバイ、自転車、歩行者が含まれる。対象物には、自車両の走行に影響を与える可能性がある障害物(路上の駐車車両又は停車車両など)も含まれる。
【0014】
周囲環境センサ群10は、測距装置13、カメラ14及び通信機15を含む。対象物は、例えば、測距装置13、カメラ14及び通信機15により検出される。測距装置13は、自車両に対する対象物の相対位置と、自車両と対象物との相対距離及び相対速度とを演算するための装置であり、例えば、レーザーレーダー、ミリ波レーダーなど(LRF等)、LiDAR(Light detection and ranging)ユニット、超音波レーダーなどのレーダー装置又はソナーである。測距装置13は、自車両に複数設けることができ、例えば、自車両の前方、右側方、左側方、及び後方に配置できる。これにより、自車両の周囲の対象物について、自車両に対する対象物の相対位置と、自車両と対象物との相対距離及び相対速度を正確に演算することができる。測距装置13により検出された検出結果は、自車両の周囲環境情報として、コントローラ30に出力される。なお、本明細書では、「周囲環境」と「周囲状況」は同義の単語として扱い、以降の説明において、「周囲環境情報」を、「周囲状況情報」と読み替えてもよい。
【0015】
カメラ14は、画像により自車両の周囲の対象物を認識する装置であり、例えば、CCD等の撮像素子を備えるカメラ、超音波カメラ、赤外線カメラなどのカメラである。カメラ14により認識される対象物の情報としては、例えば、対象物の種別、対象物の色(青色、黄色、赤色の信号機の点灯色など)、自車両に対する対象物の相対位置、自車両と対象物との相対距離が挙げられる。カメラ14も、自車両に複数設けることができ、例えば、自車両のフロントグリル部、左右ドアミラーの下部、及びリアバンパ近傍に配置できる。これにより、自車両の周囲の対象物を認識する場合の死角を減らすことができる。カメラ14により検出された検出結果は、自車両の周囲環境情報として、コントローラ30に出力される。
【0016】
測距装置13及びカメラ14は、所定の時間間隔で、コントローラ30に自車両の周囲環境情報を出力する。測距装置13及びカメラ14の検出結果は、コントローラ30にて統合又は合成することができ、これにより、検出結果に不足している対象物の情報を補完する。例えば、後述する測位装置11から出力された、自車両の現在位置である測位情報(自己位置情報)と、測距装置13又はカメラ14により検出された自車両と対象物の相対位置(距離と方向)により、コントローラ30にて対象物の位置情報を算出することができる。またこれに代えて、高精度地図記憶部12に記憶される高精度地図情報と、オドメトリによる測位情報と、自車両と対象物の相対位置(距離と方向)とを対応させて、対象物の位置情報を算出してもよい。算出された対象物の位置情報は、コントローラ30にて、測距装置13及びカメラ14の検出結果、高精度地図情報などの複数の情報と統合され、自車両の周囲環境情報となる。これに加えて、コントローラ30では、測距装置13及びカメラ14の検出結果と、高精度地図情報とを用いて、自車両の周囲の対象物とを認識し、その動きを予測することもできる。
【0017】
通信機15は、無線通信により自車両の周囲の対象物を認識する装置であり、例えば、4G/LTE、Wifi(商標登録)等の通信規格を利用して、インターネットに接続する機器である。また通信機15は、他車両との車車間通信の通信規格、及び路側機との路車間通信の通信規格にも対応する機器である。例えば、通信機15は、所定の時間間隔で、交通情報センターから、渋滞情報(渋滞箇所など)、事故情報(事故箇所など)などを受信する。また例えば、通信機15は、所定の時間間隔で、自車両の周囲の他車両との間で車車間通信を行い、自車両に対する他車両の相対位置、自車両と他車両との相対速度等を他車両から受信する。また例えば、通信機15は、所定の時間間隔で、自車両の周囲の路側機(例えば、信号機)との間で路車間通信を行い、自車両に対する信号機の相対位置、信号機の点灯色、信号機の点灯時間(点灯周期)等を路側機から受信する。通信機15により検出された検出結果は、自車両の周囲環境情報として、コントローラ30に出力される。
【0018】
測位装置11は、自車両の現在位置を測定する装置であり、例えば全地球測位システム(GPS)受信機である。測位装置11は、GLONASS(Global Navigation Satellite System)等の他の衛星測位システムの衛星信号に基づき自車両の現在位置を測定してもよい。測位装置11は、慣性航法装置であってもよい。測位装置11は、所定の時間間隔で、衛星測位システムから衛星信号を受信し、自車両の現在位置を測位する。測位装置11による測定結果は、コントローラ30に出力される。
【0019】
高精度地図記憶部12に記憶される高精度地図情報は、従来のナビ地図情報よりも高精度の地図情報であり、道路単位の情報よりも詳細な車線単位の情報を含む。例えば、高精度地図情報は、車線単位の情報として、車線基準線(例えば中央の線)上の交差点等の基準点を示す車線ノードの情報と、車線ノード間の車線の区間態様を示す車線リンクの情報を含む。車線ノードの情報は、その車線ノードの識別番号、位置座標、接続される車線リンク数、接続される車線リンクの識別番号を含む。車線リンクの情報は、その車線リンクの識別番号、車線の種類、車線境界線の種類、車線の形状、車線基準線の形状を含む。更に、高精度地図情報は、車線上又はその近傍に存在する信号機、停止線、標識(交通法規)、建物、電柱、縁石、横断歩道、壁等の地物の種類及び位置座標と、地物の位置座標に対応する車線ノードの識別番号及び車線リンクの識別番号等の地物の情報を含む。なお、本実施形態では、高精度地図情報が高精度地図記憶部12に記憶されている構成を例に挙げて説明するが、高精度地図情報が記憶されている場所は自車両に限られず、サーバに設けられた記録媒体において読み込み可能な状態で記憶されていてもよい。この場合、コントローラ30は、通信機15を介して、サーバに設けられた記録媒体から高精度地図情報を取得する。
【0020】
また、高精度地図情報は、自車両が走行する走路とそれ以外との境界を含む走路境界の情報を含む。自車両が走行する走路とは、自車両が走行するための道であり、走路の形態は特に限定されない。走路境界は、自車両の進行方向に対して左右それぞれに存在する。走路境界の形態は特に限定されず、例えば、路面標示(車線境界線、センターラインなど)、道路構造物(中央分離帯、ガードレール、縁石、トンネル又は高速道路の側壁など)が挙げられる。なお、走路境界が明確に特定できない地点(例えば、交差点内)に対して、高精度地図情報には予め走路境界が設定されている。予め設定された走路境界は架空の走路境界であって、実際に存在する路面標示又は道路構造物ではない。例えば、高精度地図情報は、直進、左折、右折のそれぞれの場合における交差点内の架空の走路境界を含む。
【0021】
車両センサ群20は、自車両の走行状態を検出するセンサと、運転者による運転操作を検出するセンサとを含む。自車両の走行状態を検出するセンサは、車速センサ21、加速度センサ22及びジャイロセンサ23を含む。運転操作を検出するセンサは、操舵角センサ24、アクセルセンサ25及びブレーキセンサ26を含む。
【0022】
車速センサ21は、自車両の車輪速を検出し、車輪速に基づき自車両の速度を算出する。加速度センサ22は、自車両の前後方向の加速度、車幅方向の加速度及び上下方向の加速度を検出する。ジャイロセンサ23は、ロール軸、ピッチ軸及びヨー軸を含む3軸回りの自車両の回転角度の角速度を検出する。
【0023】
操舵角センサ24は、操舵操作子であるステアリングホイールの現在の回転角度(操舵操作量)である現在操舵角を検出する。アクセルセンサ25は、運転者によるアクセル操作量(アクセル開度)を検出する。ブレーキセンサ26は、運転者によるブレーキ操作量を検出する。車両センサ群20の各センサが検出した自車両の速度、加速度、角速度、操舵角、アクセル操作量(アクセル開度)、ブレーキ操作量の情報を総称して「車両情報」と称す。車両センサ群20は車両情報をコントローラ30へ出力する。
【0024】
車両制御アクチュエータ群40は、電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)などの車載コンピュータ群であり、自車両の走行を律する車載機器を制御する。車両制御アクチュエータ群40は、自車両の操舵操作を制御するステアリングアクチュエータ41と、自車両の走行速度を制御するアクセル開度アクチュエータ42及びブレーキ制御アクチュエータ43を備える。ステアリングアクチュエータ41、アクセル開度アクチュエータ42及びブレーキ制御アクチュエータ43は、コントローラ30から入力された制御信号に応じて、操舵装置、駆動装置、及び制動装置の動作を自律的に制御する。これにより、自車両は、コントローラ30により生成された走行経路に沿って自律的に走行できる。
【0025】
ステアリングアクチュエータ41は、ステアリングホイール(いわゆるハンドル)の操舵角度に応じて操舵輪を制御するステアリングアクチュエータを制御する。自動運転モードでは、ステアリングアクチュエータ41には、コントローラ30から、目標操舵方向、目標操舵角、及び目標操舵量に応じた制御信号が入力される。ステアリングアクチュエータ41は、入力された制御信号に基づき、コントローラ30により演算された走行経路に対して所定の横位置(自車両の左右方向の位置)を維持しながら自車両が走行するように、ステアリングアクチュエータの動作を自律的に制御する。
【0026】
アクセル開度アクチュエータ42は、自車両の走行駆動源である電動モータ及び/又は内燃機関、これら走行駆動源からの出力を駆動輪に伝達するドライブシャフトや自動変速機を含む動力伝達装置や動力伝達装置を制御する駆動装置を制御することで、自車両のアクセル開度を制御する。またブレーキ制御アクチュエータ43は、自車両の車輪を制動する制動装置を制御する。自動運転モードでは、アクセル開度アクチュエータ42及びブレーキ制御アクチュエータ43には、コントローラ30から、目標車速に応じた制御信号が入力される。アクセル開度アクチュエータ42は、入力された制御信号に基づいて駆動装置を制御し、自車両のアクセル開度を制御する。またブレーキ制御アクチュエータ43は、入力された制御信号に基づいて制動装置を制御し、自車両のブレーキを制御する。アクセル開度アクチュエータ42による自車両のアクセル制御と、ブレーキ制御アクチュエータ43による自車両のブレーキ制御によって、自車両の速度は自律的に制御される。
【0027】
一方、手動運転モードでは、ステアリングアクチュエータ41には、例えば、コントローラ30から、車両センサ群20により検出された操舵角に応じた制御信号が入力される。アクセル開度アクチュエータ42には、例えば、コントローラ30から、車両センサ群20により検出されたアクセル開度に応じた制御信号が入力される。ブレーキ制御アクチュエータ43には、例えば、車両センサ群20により検出されたブレーキ操作量に応じた制御信号が入力される。なお、手動運転モードにおける各アクチュエータの制御には、本願出願時に知られた制御を適宜用いることができる。
【0028】
コントローラ30は、自車両の運転制御を行う電子制御ユニット(ECU)等の処理回路である。またコントローラ30は、自車両の周囲環境(周囲状況)を乗員に対して提示するための表示制御を行う電子制御ユニット(ECU)等の処理回路でもある。コントローラ30は、プロセッサ32と、記憶装置33等の周辺部品とを含む。プロセッサ32は、例えばCPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro-Processing Unit)であってよい。記憶装置33は、半導体記憶装置、磁気記憶装置及び光学記憶装置のいずれかを備えてよい。記憶装置33は、レジスタ、キャッシュメモリ、主記憶装置として使用されるROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等のメモリを含んでよい。なお、汎用の半導体集積回路中に設定される機能的な論理回路でコントローラ30を実現してもよい。例えば、コントローラ30はフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)等のプログラマブル・ロジック・デバイス(PLD)等を有していてもよい。
【0029】
コントローラ30が実現する機能の概要について説明する。コントローラ30は、自律走行制御により自車両を走行させる自動運転モードと、運転者の手動運転により自車両を走行させる手動運転モードとを切り替え可能である。自動運転モードと手動運転モードの切り替えは、例えば、乗員が操作可能なインターフェースを介して行われる。またコントローラ30は、周囲環境センサ群10により検出された周囲環境情報に基づき、自車両の自律走行が困難と判定した場合、手動運転モードに切り替えるよう乗員に対して音声や警告灯にて報知する構成でもよい。コントローラ30は、自律走行制御により自車両を走行させる場合、交通法規を遵守するようにプログラミングされている。
【0030】
自動運転モードでは、コントローラ30は、自車両を走行させるための走行経路を演算し、自車両が走行経路に沿って走行するように車両制御アクチュエータ群40を駆動させる。即ち、コントローラ30は、生成した走行経路に基づいて車両制御アクチュエータ群40の制御量を算出し、算出した制御量に応じた制御信号を車両制御アクチュエータ群40に出力する。コントローラ30は、所定の時間間隔で、制御量の算出及び車両制御アクチュエータ群40への制御信号の出力を行うことで、自車両の操舵及び速度の自律制御を実現させる。
【0031】
またコントローラ30は、周囲環境センサ群10により検出された周囲環境情報に基づき、自車両の周囲環境(周囲状況)を表示装置31の視認者に対して提示するための表示画像(ヒューマン・マシン・インターフェース(HMI)画像)を生成する。
【0032】
図3は、自車両100が自律走行により走行経路105に沿って走行中の場面の一例である。
図3の例に示すように、自車両100が交差点手前から交差点内に進入し、その後、交差点を右折する場面を考える。交差点手前には停止線101及び横断歩道102が存在し、交差点奥には信号機103が設置されている。また、自車両100が右折した先には、横断歩道104が存在する。
【0033】
コントローラ30は、
図3に示した自車両100の周囲状況を乗員に対して表示するための表示画像を生成する。例えば
図4Aに示すように、表示画像には、
図3に示した自車両100の走行車線や交差点を含む、自車両100の前方の路面が表示される。表示画像は、自車両100の後方の斜め上方を仮想的な視点位置として、その視点位置から自車両100の前方を含む自車両100の周囲を見る鳥瞰画像であってもよい。表示画像は、コンピュータグラフィックス(CG)画像等の仮想画像であってもよく、カメラ14により撮像された撮像画像であってもよい。
図4Aは、本実施形態に係る表示画像の一例である。
【0034】
図4Aに示すように、表示画像は、
図3の自車両100を模擬した表示(自車両アイコン)V1と、
図3の横断歩道102を模擬した表示(横断歩道アイコン)A1と、
図3の信号機103を模擬した表示(信号機アイコン)T1と、
図3の横断歩道104を模擬した表示(横断歩道アイコン)A2と、自車両100の現在の車速表示M1を含む。また表示画像は、
図3に示す自車両100の走行経路105を模擬した表示(走行経路画像)R0を含む。走行経路画像R0は、自車両V1の車幅と同程度の幅を有する画像であって、その形状は、
図3に示す走行経路105に対応する。走行経路画像R0は、その他の表示と識別するための特定の色が重畳して表示された画像であってもよい。更に、図示を省略するが、
図3に示す自車両100の前方に、自車両の走行に影響を与える可能性がある対象物が存在する場合には、対象物の位置を示すための対象物を模擬した対象物アイコンを表示画像中に表示してもよい。対象物としては、例えば、先行車、対向車、駐車車両、歩行者、オートバイ、自転車、歩行者などが挙げられる。これらの対象物を模擬したアイコンは、例えば、記憶装置33に記憶されている。
【0035】
図1に示すコントローラ30は、生成した表示画像を表示装置31に表示させる。更に、コントローラ30は、周囲環境センサ群10により検出された周囲環境情報及び高精度地図記憶部12に記憶される高精度地図情報に基づき、自車両が自律走行で走行経路に沿って走行するために必要な安全確認を行い、安全確認が完了した範囲とそれ以外の範囲とを自車両の走行経路上で区別した走行経路画像を含む表示画像を表示装置31に表示させる(安全確認が完了した後の走行経路画像については後述する)。
【0036】
表示装置31は、例えば自車両に搭載されたナビゲーション装置のディスプレイであってもよく、自車両のメータパネルに配置されたディスプレイであってもよく、ヘッドアップディスプレイ(HUD)装置でもよい。
【0037】
図2は、本実施形態に係るコントローラ等の一例を示すブロック図である。コントローラ30は、
図2に示すように、自車速取得部50、信号情報取得部51、先行車車速取得部52、対向車情報取得部53、歩行者情報取得部54、停止判定位置取得部55、自車位置算出部56、接近判定部57、停止可能性演算部58、走行経路演算部59、走行経路取得部60、HMI描画部61、及び表示画像生成部62を備える。
図2に示す各ブロックの機能は、コントローラ30のプロセッサ32が、記憶装置33に格納されたコンピュータプログラムを実行することによって実現されてよい。
【0038】
自車速取得部50は、車速センサ21により検出された自車両の車速を取得する。信号情報取得部51は、カメラ14により検出された自車両の前方の信号機の点灯色、点灯時間を含む信号情報を取得する。信号情報取得部51は、自車両の前方の信号機や路側機等から、通信機15を介して、路車間通信により信号情報を取得してもよい。
【0039】
先行車車速取得部52は、測距装置13により検出された先行車の存否、自車両に対する先行車の相対位置、自車両と先行車との相対距離及び相対速度を含む先行車情報を取得する。先行車車速取得部52は、カメラ14により連続的に撮像された複数の撮像画像を画像処理し、画像処理結果から、先行車情報に含まれる各情報を演算してもよい。また先行車車速取得部52は、先行車から、通信機15を介して、車車間通信により、先行車情報を取得してもよい。
【0040】
対向車情報取得部53は、測距装置13により検出された対向車の存否、自車両に対する対向車の相対位置、自車両と対向車との相対距離及び相対速度を含む対向車情報を取得する。対向車情報取得部53も、先行車車速取得部52と同様に、カメラ14により連続的に撮像された複数の撮像画像に基づき、対向車情報に含まれる各情報を演算してもよい。また対向車情報取得部53は、通信機15を介して、車車間通信により、対向車情報を取得してもよい。
【0041】
歩行者情報取得部54は、測距装置13により検出された歩行者の存否、自車両に対する歩行者の相対位置、自車両と歩行者との相対距離及び相対速度を含む歩行者情報を取得する。歩行者情報取得部54も、先行車車速取得部52及び対向車情報取得部53と同様に、カメラ14により連続的に撮像された複数の撮像画像に基づき、歩行者情報に含まれる各情報を演算してもよい。
【0042】
停止判定位置取得部55は、高精度地図記憶部12に記憶された高精度地図情報から、自車両の走行経路上に存在する停止判定位置を取得する。停止判定位置とは、車両が停止した状態で安全確認を行う可能性がある位置である。停止判定位置は、車両が必ず停止する必要がある位置と、車両の周辺状況に応じて車両が停止する可能性が変わる位置を含む。停止判定位置は、交差点、横断歩道、合流地点、信号機、及び停止線のうち少なくとも何れか一つを含む。信号機がある交差点の場合を例に挙げると、このような交差点では、信号機の点灯色、自車両の進路、歩行者の存否、対向車の存否などに応じて、車両の停止判定位置及び車両が停止判定位置で停止する可能性が変わる。
【0043】
図3を用いて説明すると、信号機103の点灯色が赤色の場合、自車両100は、停止線101よりも手前で停止する必要がある。一方、信号機103の点灯色が青色の場合、自車両100は停止線101で停止することなく交差点内に進入できる。さらに、自車両100は対向車の存否に応じて交差点内で停止する必要がある。例えば、直進する対向車が存在する場合、自車両100の右折よりも対向車の直進が優先されるため、自車両100は交差内で停止する必要がある。一方、例えば、対向車が存在しない場合、自車両100は交差点内で停止することなく右折することができる。加えて、自車両100は、横断歩道104を横断する歩行者の存否に応じて横断歩道104の手前で停止する必要がある。例えば、横断歩道104を横断する歩行者が存在する場合、自車両100の右折よりも歩行者が優先されるため、自車両100は横断歩道104の手前で停止する必要がある。一方、例えば、横断歩道104を横断する歩行者が存在しない場合、自車両100は、横断歩道104の手前で停止することなく横断歩道104を通過することができる。
【0044】
本実施形態に係る表示制御装置及び表示制御方法では、上述したような複雑多岐にわたる状況を走行経路画像に示し、表示装置31に表示させることで、自車両が停止する可能性や自車両の停止位置などの情報を視認者に視覚を通じて直感的に伝えることができる。また様々な状況に対応した走行経路画像の表示が可能なため、自律走行による安全確認の状況を視認者に適切に伝えることができる場所及び周辺環境を増やすことができる。
【0045】
停止判定位置取得部55は、例えば、走行経路取得部60から自車両の走行経路が入力されたタイミングにて、高精度地図情報から、走行経路上に存在する停止判定位置を取得する。なお、交差点のように、横断歩道や信号機などその他の停止判定位置が周囲に存在する停止判定位置の場合、停止判定位置取得部55は、高精度地図情報から、各停止判定位置を取得してもよい。
図3の例の場合、停止判定位置取得部55は、高精度地図情報から、交差点の基準点(車線ノードの情報)に加えて、停止線101、横断歩道102、信号機103、及び横断歩道104それぞれの位置(位置座標)を取得してもよい。
【0046】
自車位置算出部56は、測位装置11により得られた測位情報と、高精度地図記憶部12に記憶された高精度地図情報とに基づき、高精度地図上の自車両の現在位置を検出する。
【0047】
接近判定部57は、停止判定位置取得部55により取得された停止判定位置と、自車位置算出部56により検出された自車両の現在位置と、走行経路取得部60から入力される自車両の走行経路とに基づき、自車両が停止判定位置に接近しているか否かを判定する。
図3の例の場合、接近判定部57は、自車両100が交差点に接近しているか否かを判定する。なお、
図3の例において、自車両100と停止線101との相対距離が最も短いため、接近判定部57は、自車両100が停止線101に接近しているか否かを判定してもよい。
【0048】
接近判定部57は、停止判定位置と自車両の現在位置の距離とを算出し、算出した距離が所定の閾値未満の場合、自車両が停止判定位置に接近していると判定する。一方、接近判定部57は、停止判定位置と自車両の現在位置との距離が当該所定の閾値以上の場合、自車両が停止判定位置に接近していないと判定する。所定の閾値は、自車両が減速を開始してから停止判定位置よりも手前で停止可能な距離である。例えば、所定の閾値は、自車両の現在位置から停止判定位置までの距離と自車両の速度に応じた距離である。このような閾値を設定することで、自車両が停止判定位置で停止する必要がある場合でも、自車両が急減速する可能性を防ぎ、自律走行に対する乗員の違和感を低減させることができる。
【0049】
走行経路演算部59は、自車位置算出部56により算出された自車両の現在位置と、乗員の操作等により設定される目的地に基づき、高精度地図記憶部12に記憶された高精度地図上の自車両の走行経路を演算する。走行経路演算部59は、自車両の現在位置から目的地までの経路として、車線単位で示す走行経路を演算する。自動運転モードでは、自車両の操舵及び速度は、走行経路演算部59により演算された走行経路に沿って自車両が走行するように制御される。
【0050】
走行経路取得部60は、走行経路演算部59により演算された走行経路を取得する。走行経路取得部60により取得された自車両の走行経路は、自動運転モードにおいて自車両が自律走行するために用いられるだけでなく、接近判定部57での接近判定、HMI描画部61でのHMI画像の生成にも用いられる。
【0051】
停止可能性演算部58は、接近判定部57により自車両が停止判定位置に接近していると判定された場合に、周囲環境センサ群10により検出された周囲環境情報に基づき、自車両が自律走行により走行経路を走行するために必要な安全確認を行う。停止可能性演算部58は、安全確認の一つとして、停止判定位置で自車両を停止させるか否かを判定する。停止可能性演算部58は、停止判定位置で自車両の停止が不要と判定した場合、すなわち、自車両が停止判定位置を通過可能と判定した場合、自車両が停止判定位置を通過することに対する安全確認が完了したと判定する。一方、停止可能性演算部58は、停止判定位置での自車両の停止が必要と判定した場合、すなわち、自車両が停止判定位置を通過不可と判定した場合、自車両が停止判定位置を通過することに対する安全確認は完了していないと判定する。
【0052】
自車両を停止させる要因(以降、単に停止要因ともいう)は、一時停止の標識や信号機の進行不可の表示などの道路構造物と、自車両の走行経路を横断する移動体とを含む。本実施形態では、停止要因として、信号機(道路構造物の例)、歩行者及び対向車(走行経路を横断する移動体の例)を例に挙げて説明する。停止要因は、自車両が自律走行で走行経路に沿って走行できない要因、すなわち、自律走行による自車両の進行を妨げる要因ともいう。
【0053】
停止可能性演算部58は、自車両の周囲に存在する複数の停止要因への安全確認を行う場合、停止要因ごとに停止要因への安全確認を行う。
図3の例において、自車両100を停止させる停止要因としては、信号機103、交差点を直進する対向車(図示しない)、横断歩道104を横断する歩行者などが挙げられる。各停止要因への安全確認の例について説明する。
【0054】
停止可能性演算部58は、信号情報取得部51により取得された信号情報に基づき信号機への安全確認を行い、歩行者情報取得部54により取得された歩行者情報に基づき歩行者への安全確認を行い、対向車情報取得部53により取得された対向車情報に基づき対向車への安全確認を行う。
【0055】
例えば、停止可能性演算部58は、信号機への安全確認として、接近判定部57により自車両が交差点に接近していると判定されたタイミングでの信号機の点灯色に応じて、停止線で自車両を停止させる要否を判定する。停止可能性演算部58は、信号機の点灯色が進行不可を示す場合(信号機の点灯色が赤色の場合)、停止線での自車両の停止が必要と判定する。一方、停止可能性演算部58は、一定時間の間、信号機の点灯色が進行可を示す場合(信号機の点灯色が青色の場合)、停止線での自車両の停止が不要と判定する。なお、進行可から進行不可への移行を示す信号機の表示の場合(信号機の点灯色が黄色の場合)、停止可能性演算部58は、停止線での自車両の停止が必要と判定する。
【0056】
また停止可能性演算部58は、歩行者への安全確認として、接近判定部57により自車両が横断歩道に接近していると判定されたタイミングでの歩行者情報に基づき、横断歩道手前で自車両を停止させる要否を判定する。例えば、停止可能性演算部58は、自車両と歩行者との相対距離、歩行者の移動方向、自車両の車速、及び予め定められた歩行者の移動速度から、自車両が歩行者に干渉するまでの余裕時間(TTC:Tim To Collision)を算出する。停止可能性演算部58は、算出された余裕時間が所定の閾値未満の場合、横断歩道手前での自車両の停止が必要と判定する。停止可能性演算部58は、算出された余裕時間が所定の閾値以上の場合、横断歩道手前での自車両の停止が不要と判定する。
【0057】
また停止可能性演算部58は、対向車への安全確認として、接近判定部57により自車両が停止判定位置に接近していると判定されたタイミングでの対向車情報に基づき、交差点内の所定位置で自車両を停止させる要否を判定する。例えば、停止可能性演算部58は、自車両と対向車との相対距離及び相対速度から、自車両が対向車に干渉するまでの余裕時間(TTC)を算出する。停止可能性演算部58は、算出された余裕時間が所定の閾値未満の場合、交差点内の所定位置での自車両の停止が必要と判定する。停止可能性演算部58は、算出された余裕時間が所定の閾値以上の場合、交差点内の所定位置での自車両の停止が不要と判定する。なお、余裕時間の比較対象である所定の閾値は、歩行者への安全確認で用いる閾値と、対向車への安全確認で用いる閾値とで異なっていてもよい。また交差点内の所定位置は、高精度地図情報に含まれる架空の走路境界に基づき設定された位置であって、自車両が対向車の走行を妨げない位置に設定される(例えば、交差点中央付近)。
【0058】
また本実施形態では、停止可能性演算部58は、所定の停止判定位置で自車両を停止させる複数の停止要因が存在する場合、各停止要因への安全確認を行い、停止判定位置での自車両の停止の要否を判定する。また本実施形態では、停止可能性演算部58は、停止判定位置での自車両の停止が必要と判定した場合、自車両の現在位置から停止判定位置までの範囲を対象にした安全確認を行う。例えば、停止可能性演算部58は、走行経路のうち自車両の現在位置と停止判定位置までの範囲を横断する可能性がある対象物の存否を判定する。
【0059】
ここで、停止可能性演算部58と自車両の自律走行制御(自律速度制御)の関係について説明する。コントローラ30は、停止可能性演算部58により停止判定位置での自車両の停止が必要と判定された場合、停止判定位置で自車両を停止させるためのブレーキ制御アクチュエータ43の制御量を算出する。コントローラ30は、算出した制御量に応じた制御信号をブレーキ制御アクチュエータ43に出力する。これにより、自車両は、停止判定位置で自律的に停止することができる。なお、先行車も停止判定位置で停止する場合、コントローラ30は、自車両と先行車との相対距離に基づき、停止判定位置よりも手前に停止位置を設定し、設定した停止位置で自車両を停止させるためのブレーキ制御アクチュエータ43の制御量を算出する。
【0060】
HMI描画部61は、カメラ14及び測距装置13により検出された自車両の周囲状況に基づき、自車両の前方の状況を含む自車両の周囲状況を表示する表示画像(ベース画像)を描画(生成)する。表示画像としては、
図4Aに示す表示画像が一例として挙げられる。HMI描画部61は、自車両の移動に伴い表示画像を逐次更新する。
図3の例において、自車両が走行経路105に沿って移動すると、HMI描画部61は、自車両の移動に伴い、自車両の周囲状況を表示するベース画像を更新する。
【0061】
表示画像生成部62は、接近判定部57の判定結果と、停止可能性演算部58の判定結果とに応じて、自車両が自律走行により走行経路を走行するために必要な安全確認が完了した範囲とそれ以外の範囲とを走行経路上で区別した走行経路画像を生成する。
【0062】
表示画像生成部62は、接近判定部57により自車両が停止判定位置に接近していると判定された場合、自車両の走行経路において、自車両の現在位置から停止判定位置までの範囲を進行可能範囲に設定し、停止判定位置以降の範囲を進行不可範囲に設定する。表示画像生成部62は、進行可能範囲と進行不可範囲とを区別した走行経路画像として、色、模様、及び明度のうち少なくとも何れか一つが進行可能範囲と進行不可範囲とで異なる走行経路画像を生成する。
【0063】
例えば、
図3において、自車両100が停止線101の手前を走行している場面を考える。表示画像生成部62は、接近判定部57により自車両100が交差点(停止線101)に接近していると判定されると、例えば、
図4Bに示すように、自車両アイコンV1から停止線アイコンL1までの進行可能範囲1aと進行不可範囲1bとを区別した走行経路画像R1を生成する。表示画像生成部62は、進行可能範囲1aが進行不可範囲1bよりも強調されるように、例えば、色が進行可能範囲1aと進行不可範囲1bとで異なる走行経路画像R1を生成する。表示画像生成部62は、走行経路画像R1を含む表示画像を表示装置31に表示させる。
図4Bは、
図3において自車両100が停止線101の手前を走行している場面での表示画像の一例である。
【0064】
また表示画像生成部62は、停止可能性演算部58により停止要因への安全確認が完了した場合、安全確認を行う前の走行経路画像から、進行可能範囲と進行不可範囲との境界を自車両の進行方向側に移動させた走行経路画像を生成する。表示画像生成部62は、自車両の進行方向における安全確認が完了するたびに、進行可能範囲が自車両の進行方向側に延伸した走行経路画像を生成して、走行経路画像を表示装置31に表示させる。これにより、走行経路画像内の進行可能範囲は、安全確認が完了という判定結果が得られるたびに延伸するため、表示画像の視認者は、自律走行により自車両が走行経路に沿って進行可能範囲を走行することを直感的に把握しやすくなる。本実施形態では、表示画像生成部62は、停止可能性演算部58により停止要因への安全確認が完了した場合、次に自車両が通過する予定の停止判定位置(次の停止判定位置)までの範囲を進行可能範囲に設定する。表示画像生成部62は、停止可能性演算部58により停止要因への安全確認が完了した場合、次の停止判定位置よりも近い地点までの範囲を進行可能範囲に設定してもよい。
【0065】
一方、表示画像生成部62は、停止可能性演算部58により停止要因への安全確認が完了するまで、安全確認を行う前の走行経路画像から、進行可能範囲と進行不可範囲との境界が変わらない走行経路画像を生成して、走行経路画像を表示装置31に表示させる。これにより、走行経路画像内の進行可能範囲は、安全確認が完了という判定結果が得られるまで保持されるため、表示画像の視認者は、自律走行により自車両が進行可能範囲と進行不可範囲との境界で停止することを直感的に把握しやすくなる。
【0066】
例えば、
図3において、自車両が横断歩道102上を走行している場面を考える。表示画像生成部62は、停止可能性演算部58により、停止線101での自車両100の停止が不要と判定され、信号機103への安全確認が完了した場合、例えば、
図4Cに示すように、自車両アイコンV1から交差点内の所定位置までの進行可能範囲2aと進行不可範囲2bとを区別した走行経路画像R2を生成する。表示画像生成部62は、進行可能範囲2aが進行不可範囲2bよりも強調されるように、例えば、色が進行可能範囲2aとそれ以外の進行不可範囲2bとで異なる走行経路画像R2を生成する。表示画像生成部62は、走行経路画像R2を含む表示画像を表示装置31に表示させる。
図4Cは、
図3において自車両100が横断歩道102上を走行している場面での表示画像の一例である。
【0067】
また例えば、
図3において、自車両が交差点中央よりも手前を走行している場面を考える。表示画像生成部62は、停止可能性演算部58により、交差点中央での自車両100の停止が不要と判定され、対向車への安全確認が完了した場合、例えば、
図4Dに示すように、自車両アイコンV1から横断歩道アイコンA2の手前までの進行可能範囲3aとそれ以外の進行不可範囲3bとを区別した走行経路画像R3を生成する。表示画像生成部62は、進行可能範囲3aが進行不可範囲3bよりも強調されるように、例えば、色が進行可能範囲3aと進行不可範囲3bとで異なる走行経路画像R3を生成する。表示画像生成部62は、走行経路画像R3を含む表示画像を表示装置31に表示させる。
図4Dは、
図3において自車両100が交差点中央よりも手前を走行している場面での表示画像の一例である。
【0068】
なお、本実施形態では、表示画像生成部62は、停止要因の種別にかかわらず表示形態が同じ進行可能範囲を表示装置31に表示させる。
図4C及び
図4Dの例において、表示画像生成部62は、停止要因が対向車であっても横断歩道104を横断する歩行者であっても、例えば、同一色の進行可能範囲2a及び進行可能範囲3aを表示装置31に表示させる。
【0069】
また
図4B~
図4Dを用いた説明では、進行可能範囲と進行不可範囲とを色で区別する方法を例に挙げて説明したが、進行可能範囲と進行不可範囲とを区別する方法はこれに限られない。表示画像生成部62は、例えば、
図5に示すように、安全確認の完了表示を模した表示(矢印形状のアイコン)を進行可能範囲1aに重畳表示した表示画像R1を生成してもよい。なお、安全確認の完了表示を模したアイコンの形態は、進行可能範囲と進行不可範囲とが区別可能な形態であれば特に限定されない。
図5は、本実施形態に係る表示画像の他の例である。
【0070】
次に、
図6のフローチャートを参照しながら、本実施形態に係る表示制御方法の一例を説明する。
図6に示すフローチャートは、
図1のコントローラ30により実行される。また、
図6に示すフローチャートは、自車両が自律走行により交差点を通過する場合のフローチャートの一例である。
【0071】
ステップS1では、コントローラ30は、自車両の現在位置と、乗員の操作等により設定される目的地に基づき、高精度地図記憶部12に記憶された高精度地図上の自車両の走行経路を演算する。コントローラ30は、演算された走行経路全体を第1の色で重畳表示した走行経路画像を生成し、生成した走行経路画像を含む表示画像を表示装置31に表示させる。このステップから
図6に示すフローチャートが終了するまでの間、コントローラ30は、所定の時間間隔で、以下の処理を実行する。コントローラ30は、所定の時間間隔で、車速センサ21から自車両の車速を取得する。また、コントローラ30は、所定の時間間隔で、周囲環境センサ群10から自車両の周囲環境情報を取得する。さらに、コントローラ30は、演算した走行経路に沿って自車両を自律走行させるための制御信号を車両制御アクチュエータ群40に出力する。さらにコントローラ30は、所定の時間間隔で、測位装置11から自車両の現在位置を取得する。
【0072】
ステップS2では、コントローラ30は、高精度地図記憶部12により記憶される高精度地図情報から、停止判定位置を取得する。例えば、コントローラ30は、高精度地図情報から、停止判定位置として、交差点、横断歩道、合流地点、信号機、停止線などを取得する。
【0073】
ステップS3では、コントローラ30は、ステップS2で取得した停止判定位置である交差点に自車両が接近しているか否かを判定する。コントローラ30は、交差点と自車両の現在位置との距離を算出し、算出した距離が所定の閾値未満の場合、自車両が交差点に接近していると判定する。一方、コントローラ30は、算出した距離が所定の閾値以上の合、自車両が交差点に接近していないと判定する。コントローラ30により肯定的な判定がされた場合、ステップS4に進み、コントローラ30により否定的な判定がされた場合、コントローラ30により肯定的な判定がされるまで、ステップS3に留まる。
【0074】
ステップS4では、コントローラ30は、自車両の現在位置から停止線までの進行可能範囲を第2の色で重畳表示した走行経路画像を生成する。第2の色は、第1の色とは異なる色である。コントローラ30は、生成した走行経路画像を含む表示画像を表示装置31に表示させる(
図4B参照)。
【0075】
ステップS5では、コントローラ30は、周囲環境センサ群10により検出された周囲環境情報に基づき、交差点での信号機の存否を判定する。例えば、コントローラ30は、カメラ14により撮像された自車両前方の撮像画像から信号機を検出した場合、交差点に信号機が存在すると判定する。一方、例えば、コントローラ30は、測距装置13及びカメラ14のいずれ機器からも信号機の存在を検出できない場合、交差点に信号機が存在しないと判定する。コントローラ30により肯定的な判定がされた場合、ステップS6に進み、コントローラ30により否定的な判定がされた場合、ステップS9に進む。
【0076】
ステップS5でコントローラ30により肯定的な判定がされた場合、ステップS6に進む。ステップS6では、コントローラ30は、信号機への安全確認を行う。ステップS6に進むと、コントローラ30は、
図7Aに示すサブルーチンを実行する。
図7Aは、信号機への安全確認処理を示すサブルーチンの一例である。
【0077】
ステップS31では、コントローラ30は、カメラ14により検出された自車両の前方の信号機の点灯色、点灯時間を含む信号情報を取得する。ステップS32では、コントローラ30は、自車両の前方の信号機の点灯色から、信号機が進行可の表示であるか否かを判定する。例えば、コントローラ30は、信号機の点灯色が青色の場合、信号機が進行可の表示と判定し、信号機の点灯色が黄色又は赤色の場合、信号機が進行不可の表示と判定する。コントローラ30により肯定的な判定がされた場合、ステップS33に進み、コントローラ30により否定的な判定がされた場合、ステップS35に進む。
【0078】
ステップS32でコントローラ30により肯定的な判定がされた場合、ステップS33に進む。ステップS33では、コントローラ30は、信号機の点灯時間から、信号機の進行可の表示が一定時間継続しているか否かを判定する。コントローラ30により肯定的な判定がされた場合、ステップS34に進み、コントローラ30により否定的な判定がされた場合、ステップS35に進む。
【0079】
ステップS33でコントローラ30により肯定的な判定がされた場合、ステップS34に進む。ステップS34では、コントローラ30は、自車両は交差点手前の停止線を進行可能であるとして、信号機への安全確認が完了したと判定する。一方、ステップS32又はステップS33でコントローラ30により否定的な判定がされた場合、ステップS35に進む。ステップS35では、コントローラ30は、自車両は交差点手前の停止線で停止する必要があるとして、信号機への安全確認が完了してないと判定する。ステップS34又はステップS35の処理が終了すると、
図7Aのサブルーチンを抜け、
図6のステップS7に進む。
【0080】
図6のステップS7では、コントローラ30は、信号機への安全確認の結果を確認する。
図7AのステップS34からステップS7に進んだ場合、コントローラ30は、信号機への安全確認が完了したと判定する。一方、
図7AのステップS35からステップS7に進んだ場合、コントローラ30は、信号機への安全確認が完了してないと判定する。コントローラ30により肯定的な判定がされた場合、ステップS12に進み、コントローラ30により否定的な判定がされた場合、ステップS8に進む。
【0081】
ステップS7でコントローラ30により否定的な判定がされた場合、ステップS8に進む。ステップS8では、コントローラ30は、交差点手前の停止線(走行経路画像における第1の色と第2の色との境界)で自車両を停止させるための減速処理及び停止処理を実行する。コントローラ30は、交差点手前の停止線で停止するためのブレーキ制御アクチュエータ43の制御量を算出する。コントローラ30は、算出した制御量に応じた制御信号をブレーキ制御アクチュエータ43に出力する。ステップS8が終了して自車両が交差点手前の停止線で停止すると、ステップS6に戻る。この場合、自車両が交差点手前の停止線で停止した状態で、コントローラ30は、
図7Aのサブルーチンに従い、再び信号機への安全確認を行う。
【0082】
ステップS5でコントローラ30により否定的な判定がされた場合、ステップS9に進む。ステップS9では、コントローラ30は、歩行者への安全確認を行う。ステップS9に進むと、コントローラ30は、
図7Bに示すサブルーチンを実行する。
図7Bは、歩行者への安全確認処理を示すサブルーチンの一例である。
【0083】
ステップS41では、コントローラ30は、測距装置13により検出された歩行者の存否、自車両に対する歩行者の相対位置、自車両と歩行者との相対距離及び相対速度を含む歩行者情報を取得する。ステップS42では、コントローラ30は、歩行者情報から、歩行者が存在するか否かを判定する。コントローラ30により肯定的な判定がされた場合、ステップS43に進み、コントローラ30により否定的な判定がされた場合、ステップS45に進む。
【0084】
ステップS42でコントローラ30により肯定的な判定がされた場合、ステップS43に進む。ステップS43では、コントローラ30は、歩行者情報に基づき、歩行者の挙動を分析する。例えば、コントローラ30は、自車両と歩行者との相対距離、歩行者の移動方向、自車両の車速、及び予め定められた歩行者の移動速度から、自車両が歩行者に干渉するまでの余裕時間を算出する。
【0085】
ステップS44では、コントローラ30は、ステップS43での結果に基づき、自車両が横断歩道手前で停止する必要があるか否かを判定する。例えば、コントローラ30は、ステップS43で算出された余裕時間が所定の閾値未満の場合、横断歩道手前での自車両の停止が必要と判定する。一方、コントローラ30は、ステップS43で算出された余裕時間が所定の閾値以上の場合、横断歩道手前での自車両の停止が不要と判定する。コントローラ30により否定的な判定がされた場合、ステップS45に進み、コントローラ30により肯定的な判定がされた場合、ステップS46に進む。
【0086】
ステップS42又はステップS44でコントローラ30により否定的な判定がされた場合、ステップS45に進む。ステップS45では、コントローラ30は、自車両は横断歩道を進行可能であるとして、歩行者への安全確認が完了したと判定する。一方、ステップS44でコントローラ30により肯定的な判定がされた場合、ステップS46に進む。ステップS46では、コントローラ30は、自車両は横断歩道手前で停止する必要があるとして、歩行者への安全確認が完了してないと判定する。ステップS45又はステップS46の処理が終了すると、
図7Bのサブルーチンを抜け、
図6のステップS10に進む。
【0087】
図6のステップS10では、コントローラ30は、歩行者への安全確認の結果を確認する。
図7BのステップS45からステップS10に進んだ場合、コントローラ30は、歩行者への安全確認が完了したと判定する。一方、
図7BのステップS46からステップS10に進んだ場合、コントローラ30は、歩行者への安全確認が完了してないと判定する。コントローラ30により肯定的な判定がされた場合、ステップS12に進み、コントローラ30により否定的な判定がされた場合、ステップS11に進む。
【0088】
ステップS10でコントローラ30により否定的な判定がされた場合、ステップS11に進む。ステップS11では、コントローラ30は、交差点手前の停止線(走行経路画像における第1の色と第2の色との境界)で自車両を停止させるための減速処理及び停止処理を実行する。ステップS11は、ステップS8に対応しているため、ステップS8の説明を援用し、繰り返しの説明は省略する。ステップS11が終了して自車両が交差点手前の停止線で停止すると、ステップS9に戻る。この場合、自車両が交差点手前の停止線で停止した状態で、コントローラ30は、
図7Bのサブルーチンに従い、再び歩行者への安全確認を行う。
【0089】
ステップS7又はステップS10でコントローラ30により肯定的な判定がされた場合、ステップS12に進む。ステップS12では、コントローラ30は、自車両の走行経路に基づき、「左折」、「直進」、「右折」のいずれかによって自車両が交差点を通過するかを判定する。
【0090】
ステップS12において、自車両が「左折」により交差点を通過すると判定された場合、ステップS13に進む。ステップS13では、コントローラ30は、自車両の現在位置から左折先の横断歩道手前までの進行可能範囲を第2の色で重畳表示した走行経路画像を生成する。コントローラ30は、生成した走行経路画像を含む表示画像を表示装置31に表示させる。
【0091】
ステップS14では、コントローラ30は、歩行者への安全確認を行う。ステップS14に進むと、ステップS9と同様に、コントローラ30は、
図7Bに示すサブルーチンを実行する。
図7Bのサブルーチンについては説明済みのため、繰り返しの説明は省略する。
図7BのステップS45又はステップS46の処理が終了すると、
図7Bのサブルーチンを抜け、
図6のステップS15に進む。
【0092】
図6のステップS15では、コントローラ30は、歩行者への安全確認の結果を確認する。ステップS15はステップS10に対応しているため、ステップS10の説明を援用し、繰り返しの説明は省略する。コントローラ30により肯定的な判定がされた場合、ステップS25に進み、コントローラ30により否定的な判定がされた場合、ステップS16に進む。
【0093】
ステップS15でコントローラ30により否定的な判定がされた場合、ステップS16に進む。ステップS16では、コントローラ30は、左折先の横断歩道手前(走行経路画像における第1の色と第2の色との境界)で自車両を停止させるための減速処理及び停止処理を実行する。コントローラ30による減速処理及び停止処理は、ステップS8及びステップS11と同じため、これらのステップの説明を援用し、繰り返しの説明は省略する。ステップS16が終了して自車両が左折先の横断歩道手前で停止すると、ステップS14に戻る。この場合、自車両が左折先の横断歩道手前で停止した状態で、コントローラ30は、
図7Bのサブルーチンに従い、再び歩行者への安全確認を行う。
【0094】
ステップS12において、自車両が「直進」により交差点を通過すると判定された場合、ステップS25に進む。またステップS12において、自車両が「右折」により交差点を通過すると判定された場合、ステップS17に進む。
【0095】
ステップS17では、コントローラ30は、自車両の現在位置から交差点中央までの進行可能範囲を第2の色で重畳表示した走行経路画像を生成する。コントローラ30は、生成した走行経路画像を含む表示画像を表示装置31に表示させる(
図4C参照)。
【0096】
ステップS18では、コントローラ30は、対向車への安全確認を行う。ステップS18に進むと、コントローラ30は、
図7Cに示すサブルーチンを実行する。
図7Cは、対向車への安全確認処理を示すサブルーチンの一例である。
【0097】
ステップS51では、コントローラ30は、測距装置13により検出された対向車の存否、自車両に対する対向車の相対位置、自車両と対向車との相対距離及び相対速度を含む対向車情報を取得する。ステップS52では、コントローラ30は、対向車情報から、対向車が存在するか否かを判定する。コントローラ30により肯定的な判定がされた場合、ステップS53に進み、コントローラ30により否定的な判定がされた場合、ステップS55に進む。
【0098】
ステップS52でコントローラ30により肯定的な判定がされた場合、ステップS53に進む。ステップS53では、コントローラ30は、対向車情報に基づき、対向車の挙動を分析する。例えば、コントローラ30は、自車両と対向車との相対距離及び相対速度から、自車両が対向車に干渉するまでの余裕時間を算出する。
【0099】
ステップS54では、コントローラ30は、ステップS53での結果に基づき、自車両が交差点中央で停止する必要があるか否かを判定する。例えば、コントローラ30は、ステップS53で算出された余裕時間が所定の閾値未満の場合、交差点中央での自車両の停止が必要と判定する。一方、コントローラ30は、ステップS53で算出された余裕時間が所定の閾値以上の場合、交差点中央での自車両の停止が不要と判定する。コントローラ30により否定的な判定がされた場合、ステップS55に進み、コントローラ30により肯定的な判定がされた場合、ステップS56に進む。
【0100】
ステップS52又はステップS54でコントローラ30により否定的な判定がされた場合、ステップS55に進む。ステップS55では、コントローラ30は、自車両は交差点を右折可能(進行可能)であるとして、対向車への安全確認が完了したと判定する。一方、ステップS54でコントローラ30により肯定的な判定がされた場合、ステップS56に進む。ステップS56では、コントローラ30は、自車両は交差点中央で停止する必要があるとして、対向車への安全確認が完了してないと判定する。ステップS55又はステップS56の処理が終了すると、
図7Cのサブルーチンを抜け、
図6のステップS19に進む。
【0101】
図6のステップS19では、コントローラ30は、対向車への安全確認の結果を確認する。
図7CのステップS55からステップS19に進んだ場合、コントローラ30は、対向車への安全確認が完了したと判定する。一方、
図7CのステップS56からステップS19に進んだ場合、コントローラ30は、対向車への安全確認が完了してないと判定する。コントローラ30により肯定的な判定がされた場合、ステップS20に進み、コントローラ30により否定的な判定がされた場合、ステップS23に進む。
【0102】
ステップS19でコントローラ30により否定的な判定がされた場合、ステップS23に進む。ステップS23では、コントローラ30は、交差点中央(走行経路画像における第1の色と第2の色との境界)で自車両を停止させるための減速処理及び停止処理を実行する。コントローラ30による減速処理及び停止処理は、ステップS8、ステップS11、及びステップS16と同じため、これらのステップの説明を援用し、繰り返しの説明は省略する。ステップS23が終了して自車両が交差点中央で停止すると、ステップS18に戻る。この場合、自車両が交差点中央で停止した状態で、コントローラ30は、
図7Cのサブルーチンに従い、再び対向車への安全確認を行う。
【0103】
ステップS19でコントローラ30により肯定的な判定がされた場合、ステップS20に進む。ステップS20では、コントローラ30は、自車両の現在位置から右折先の横断歩道手前までの進行可能範囲を第2の色で重畳表示した走行経路画像を生成する。コントローラ30は、生成した走行経路画像を含む表示画像を表示装置31に表示させる(
図4D参照)。
【0104】
ステップS21では、コントローラ30は、歩行者への安全確認を行う。ステップS21に進むと、ステップS9及びステップS14と同様に、コントローラ30は、
図7Bに示すサブルーチンを実行する。
図7Bのサブルーチンについては説明済みのため、繰り返しの説明は省略する。
図7BのステップS45又はステップS46の処理が終了すると、
図7Bのサブルーチンを抜け、
図6のステップS22に進む。
【0105】
図6のステップS22では、コントローラ30は、歩行者への安全確認の結果を確認する。ステップS22は、ステップS10及びステップS15に対応しているため、ステップS10及びステップS15の説明を援用し、繰り返しの説明は省略する。コントローラ30により肯定的な判定がされた場合、ステップS25に進み、コントローラ30により否定的な判定がされた場合、ステップS24に進む。
【0106】
ステップS22でコントローラ30により否定的な判定がされた場合、ステップS24に進む。ステップS24では、コントローラ30は、右折先の横断歩道手前(走行経路画像における第1の色と第2の色との境界)で自車両を停止させるための減速処理及び停止処理を実行する。コントローラ30による減速処理及び停止処理は、ステップS8、ステップS11、ステップS15及びステップS23と同じため、これらのステップの説明を援用し、繰り返しの説明は省略する。ステップS24が終了して自車両が右折先の横断歩道手前で停止すると、ステップS21に戻る。この場合、自車両が右折先の横断歩道手前で停止した状態で、コントローラ30は、
図7Bのサブルーチンに従い、再び歩行者への安全確認を行う。
【0107】
ステップS15又はステップS22でコントローラ30により肯定的な判定がされた場合、又はステップS12でコントローラ30により自車両が「直進」により交差点を通過すると判定された場合、ステップS25に進む。ステップS25では、コントローラ30は、自車両の現在位置から交差点先までの進行可能範囲を第2の色で重畳表示した走行経路画像を生成する。コントローラ30は、生成した走行経路画像を含む表示画像を表示装置31に表示させる。なお、ステップS12からステップS25に進んだ場合、走行経路画像は、直進形状の経路の画像であって、交差点よりも先まで第2の色で表示される画像となる。またステップS15からステップS25に進んだ場合、走行経路画像は、左折後の横断歩道よりも先まで第2の色で表示される画像となる。さらにステップS22からステップS25に進んだ場合、走行経路画像は、右折後の横断歩道よりも先まで第2の色で表示される画像となる。
【0108】
ステップS26では、コントローラ30は、表示制御を終了するか否かを判定する。表示制御の終了条件としては、例えば、目的地までの経路が第2の色で表示されているか否かという条件が挙げられる。この場合、コントローラ30は、走行経路画像に目的地が含まれているかを判定することで、表示制御を終了するか否かを判定する。目的地までの経路が第2の色で表示されている場合、コントローラ30は、肯定的な判定をする。一方、目的地までの経路が第2の色で表示されていない場合、コントローラ30は、否定的な判定をする。コントローラ30により肯定的な判定がされた場合、コントローラ30は、
図6に示す表示制御を終了する。コントローラ30により否定的な判定がされた場合、ステップS2に戻り、コントローラ30は、表示装置31に表示される表示画像の表示制御を実行する。
【0109】
以上のように、本実施形態に係る表示制御装置は、表示画像の表示制御を行うコントローラ30を備える。コントローラ30は、自律走行機能を有する自車両の走行経路を取得し(走行経路取得部60)、自車両の周囲環境情報を取得し(信号情報取得部51、先行車車速取得部52、対向車情報取得部53、歩行者情報取得部54)、自車両の周囲状況に基づき、自車両が自律走行により走行経路を走行するために必要な安全確認を行い(停止可能性演算部58)、安全確認が完了した進行可能範囲とそれ以外の進行不可範囲とを走行経路上で区別した走行経路画像を表示装置31に表示させる(表示画像生成部62)。表示装置31の視認者は、走行経路画像を視認することで、安全確認が完了した範囲を直感的に把握することができる。また表示装置31の視認者は、進行可能範囲と進行不可範囲の境界から、停止位置になり得る位置を直感的に把握することができる。
【0110】
また、本実施形態では、コントローラ30により表示される走行画像は、色、模様、及び明度のうち少なくとも何れか一つが進行可能範囲と進行不可範囲とで異なる画像である。表示装置31の視認者は、安全確認が完了した範囲を容易に把握することができ、視認者に自律走行への安心感を与えることができる。
【0111】
また、本実施形態では、コントローラ30により表示される走行画像は、安全確認の完了表示が進行可能範囲に重畳表示された画像である。表示装置31の視認者は、安全確認が完了した範囲を容易に把握することができ、視認者に自律走行への安心感を与えることができる。
【0112】
また、本実施形態では、コントローラ30は、自車両の周囲状況に基づき、自車両の走行経路を横断する可能性のある歩行者が存在すると判定した場合、歩行者への安全確認を行う。またコントローラ30は、自車両の周囲状況に基づき、自車両の走行経路を横断する可能性のある対向車が存在すると判定した場合、対向車への安全確認を行う。安全確認を行うタイミングを制限することにより、コントローラ30の演算負荷を低減することができる。
【0113】
また、本実施形態では、コントローラ30は、自車両の現在位置の情報を取得し、自車両が停止した状態で安全確認を行う可能性のある停止判定位置の情報を取得し、自車両の現在位置と停止判定位置との距離が所定閾値未満の場合、安全確認を行う。これにより、自車両が停止判定位置に到達する前に、停止判定位置での自車両の停止の要否を判定することができる。進行可能な状態にもかかわらず、自車両が停止判定位置で停止してしまい、表示装置31の視認者に自律走行への安心感が損なわれるのを抑制できる。
【0114】
また、本実施形態では、コントローラ30は、停止判定位置での自車両の停止要否を判定し、停止判定位置での自車両の停止が必要と判定した場合、安全確認を行う前の走行経路画像から、進行可能範囲と進行不可範囲の境界が変わらない走行経路画像を表示させる。これにより、表示装置31の視認者は、進行可能範囲と進行不可範囲の境界で自車両が停止することを予測することができ、自車両を停止させる要因の存在を認識できる。
【0115】
また、本実施形態では、コントローラ30は、停止判定位置での自車両の停止が必要と判定した場合、自車両の現在位置から停止判定位置までの範囲を対象にした安全確認を行う。自車両は停止判定位置で停止するために減速するため、安全確認の対象範囲を限定することにより、コントローラ30の演算負荷を低減することができる。
【0116】
また、本実施形態では、コントローラ30は、停止判定位置での自車両の停止が不要と判定した場合、安全確認を行う前の走行経路画像から、進行可能範囲と進行不可範囲の境界を自車両の進行方向側に移動させた走行経路画像を表示させる。これにより、表示装置31の視認者は、自車両が停止判定位置を通過することを直感的に把握することができ、自車両を停止させる要因が存在しないことを認識できる。
【0117】
また、本実施形態では、停止判定位置は、交差点、横断歩道、合流地点、信号機、及び停止線のうち少なくとも何れか一つを含む。これにより、自律走行による安全確認の状況を視認者に適切に伝えることができる場所及び周辺環境を増やすことができる。
【0118】
また、本実施形態では、コントローラ30は、自車両の周囲に存在する複数の停止要因への安全確認を行う場合、停止要因ごとに停止要因への安全確認を行う。これにより、表示装置31の視認者が気付きにくい停止要因が存在しても、走行経路画像を通して停止要因の存在を視認者に認識させることができる。
【0119】
また、本実施形態では、コントローラ30は、停止要因の種別にかかわらず表示形態が同じ進行可能範囲を表示装置31に表示させる。これにより、走行可能範囲が変化した場合、表示装置31の視認者は、走行可能範囲の変化の様子を容易に把握することができ、安全確認が行われたことを直感的に把握することができる。
【0120】
また、本実施形態では、コントローラ30は、自車両が右折する場合、対向車への安全確認を行い、対向車への安全確認が完了した場合、歩行者への安全確認を行う。対向車及び歩行者への安全確認が必要な右折の場面においても、表示装置31の視認者は安全確認が段階的に行われていることを直感的に把握することができる。
【0121】
また、本実施形態では、表示装置31は、自車両に搭載されたディスプレイである。これにより、自車両の乗員は、走行経路画像を視認することで、安全確認が完了した範囲を直感的に把握することができる。また乗員は、進行可能範囲と進行不可範囲の境界から、停止位置になり得る位置を直感的に把握することができ、乗員に自律走行への安心感を与えることができる。
【0122】
加えて、本実施形態では、コントローラ30は、高精度地図情報を格納する高精度地図記憶部12と、自車両の周囲を検出する測距装置13及びカメラ14と、車車間通信により他車両と通信可能な通信機15から、自車両の周囲環境情報を取得する。これにより、安全確認に必要な自車両の周囲環境情報が不足するのを抑制することができる。なお、他車両の走行状態(現在の車速、現在位置など)を管理する管理サーバが存在する場合、コントローラ30は、管理サーバから、自車両の周囲に存在する他車両について、他車両の走行状態を含む自車両の周囲環境情報を取得してもよい。コントローラ30は、高精度地図記憶部12、測距装置13、カメラ14、通信機15、及び上述の管理サーバのうち少なくとも何れか一つから、自車両の周囲環境情報を取得すればよい。
【0123】
なお、以上に説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0124】
例えば、上述の実施形態では、表示装置31として、自車両に搭載されたディスプレイを例に挙げて説明したが、表示装置31は、自車両に搭載されていることに限定されない。例えば、自車両の外部にある監視センターで監視者が自車両の自律走行を監視する場合、表示装置31は、監視用端末に備わるディスプレイであってもよい。また例えば、表示装置31は、自車両の乗員又は監視者が携帯する携帯端末のディスプレイであってもよい。表示装置31が自車両の外部の構成の場合、コントローラ30は、通信機15を介して、走行経路画像を含む表示画像を自車両外部の表示装置31に送信する。表示装置31は、上述の自車両に搭載されたディスプレイ、監視用端末に備わるディスプレイ、及び携帯端末のディスプレイのうち何れか一つを含んでいればよい。
【0125】
また例えば、上述の実施形態では、自車両の走行経路を横断する可能性のある移動体として、対向車及び歩行者を例に挙げて説明したが、自転車、オートバイであってもよい。また例えば、コントローラ30は、測距装置13及びカメラ14の検出結果に基づき、自車両の走行経路上において自車両の進行方向先に障害物(駐車車両、停車車両、工事現場など)が存在すると判定した場合、障害物を停止要因とみなして、障害物への安全確認を行ってもよい。自律走行による安全確認の状況を視認者に適切に伝えることができる場所及び周辺環境を増やすことができる。なお、コントローラ30は、障害物により自車両が進行不可と判定した場合、手動運転モードに切り替えるよう乗員に対して音声や警告灯にて報知する構成でもよい。
【0126】
また例えば、上述の実施形態では、コントローラ30は、停止要因の種別にかかわらず表示形態が同じ進行可能範囲を表示装置31に表示させる構成を例に挙げて説明したが、進行可能範囲の表示形態は停止要因の種別に応じて異なっていてもよい。
図6のフローチャートの一例を用いて説明する。例えば、自車両が交差点を右折して通過する場合、ステップS20では、コントローラ30は、第1の色及び第2の色とも異なる色により、自車両の現在位置から右折先の横断歩道手前までの進行可能範囲を表示してもよい。これにより、表示装置31の視認者は、対向車への安全確認が行われたことを直感的に把握しやすくなる。停止要因の種別に応じて表示形態が異なる進行可能範囲を表示させることで、視認者は安全確認が行われた停止要因の種別を容易に把握することができる。
【0127】
また例えば、上述の実施形態では、走行経路演算部59により自車両の走行経路を演算する構成を例に挙げて説明したが、コントローラ30以外が走行経路を演算してもよい。例えば、コントローラ30は、通信機15を介して、上述の監視センターにより演算された自車両の走行経路を取得する構成であってもよい。
【0128】
また例えば、上述の実施形態では、
図6及び
図7A~
図7Cを用いて、自律走行により自車両が交差点を通過する場合の表示制御方法を説明したが、本発明に係る表示制御方法はこれに限定されない。例えば、
図7Bに示す歩行者への安全確認処理では、ステップS43及びステップS44の処理として、余裕時間による判定方法を例に挙げたが、歩行者への安全確認はその他の判定方法であってもよい。ステップS43及びステップS44では、コントローラ30は、横断歩道での歩行者の位置と自車両に対する歩行者の移動方向に基づいて、自車両の停止要否を判定してもよい。例えば、コントローラ30は、横断歩道での歩行者の位置を予め定められた大きさの複数ブロックに分け、自車両に対する歩行者の移動方向と各ブロックとの組み合わせに応じて、自車両の停止要否を判定してもよい。
【0129】
また
図8は、自車両が自律走行により直進路において信号機のない横断歩道を通過する場合の表示制御方法の一例である。
図8の各ステップの処理は、
図6に示すステップと同様のため省略するが、
図8に示すように、本発明に係る表示制御方法では、自車両が自律走行により直進路において信号機のない横断歩道を通過する場面においても、表示装置31の視認者に安全確認が完了した範囲を直感的に把握させることができる。
【0130】
また本実施形態では、車両の通行が左側通行の場合を例に挙げて説明したが、車両の通行が右側通行であっても、本発明に係る表示制御装置及び表示制御方法を適用することができる。詳細な説明は省略するが、例えば、
図6に示すフローチャートにおいて、ステップS12での判定結果、第2の色で表示する処理(ステップS13、ステップS17、ステップS20、ステップS25)を右側通行に合わせることで、車両の通行が右側通行においても本発明に係る表示制御装置及び表示制御方法を適用することができる。
【符号の説明】
【0131】
1…運転支援装置
10…周囲環境センサ群
11…測位装置
12…高精度地図記憶部
13…測距装置
14…カメラ
15…通信機
20…車両センサ群
21…車速センサ
22…加速度センサ
23…ジャイロセンサ
24…操舵角センサ
25…アクセルセンサ
26…ブレーキセンサ
30…コントローラ
31…表示装置
32…プロセッサ
33…記憶装置
40…車両制御アクチュエータ群
41…ステアリングアクチュエータ
42…アクセル開度アクチュエータ
43…ブレーキ制御アクチュエータ
50…自車速取得部
51…信号情報取得部
52…先行車車速取得部
53…対向車情報取得部
54…歩行者情報取得部
55…停止判定位置取得部
56…自車位置算出部
57…接近判定部
58…停止可能性演算部
59…走行経路演算部
60…走行経路取得部
61…HMI描画部
62…表示画像生成部