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特許7521619情報処理装置、情報処理方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   B61L 25/02 20060101AFI20240717BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240717BHJP
   G06T 7/60 20170101ALI20240717BHJP
【FI】
B61L25/02 A
G06T7/00 650Z
G06T7/00 660Z
G06T7/60 110
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022579348
(86)(22)【出願日】2021-11-18
(86)【国際出願番号】 JP2021042464
(87)【国際公開番号】W WO2022168402
(87)【国際公開日】2022-08-11
【審査請求日】2023-07-25
(31)【優先権主張番号】P 2021016968
(32)【優先日】2021-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 大地
(72)【発明者】
【氏名】北裏 篤史
(72)【発明者】
【氏名】向井 康晃
(72)【発明者】
【氏名】武内 信
(72)【発明者】
【氏名】チョウ ショウソ
(72)【発明者】
【氏名】川崎 大輔
(72)【発明者】
【氏名】山根 薫
【審査官】冨永 達朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-003972(JP,A)
【文献】特開2007-290574(JP,A)
【文献】特開2020-149710(JP,A)
【文献】特開2018-042049(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61L 25/02
G06T 7/00
G06T 7/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の内部を撮影するカメラが生成した画像データを取得する画像データ取得部と、
前記画像データにかかる乗降口付近を含む画像を複数の領域に分割し、対象領域を抽出する領域設定部と、
複数の前記領域のうちの前記対象領域に存在する人物の数をカウントするカウント部と、
前記人物の数に基づいて前記車両の混雑度を判定する混雑度判定部と、
前記混雑度に関する情報を出力する出力部と、を備え
前記カウント部は、前記車両の内部の所定の広告領域をカウントの前記対象領域から除外する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記画像データ取得部は、前記車両の上部に設置された前記カメラが前記人物を俯瞰するように撮影した前記画像にかかる前記画像データを取得する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記画像データ取得部は、前記車両の乗降口を含む前記画像にかかる前記画像データを取得する、
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記領域設定部は、前記車両の乗降口付近を含む前記画像を前記対象領域に設定する、
請求項1~3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記カウント部は、前記人物の頭部を認識し、前記対象領域において認識した前記頭部の数をカウントする、
請求項1~4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記混雑度判定部は、前記人物の数が第1値の場合における第1混雑度が、前記第1値より少ない第2値における第2混雑度より大きくなるように前記混雑度を判定する、
請求項1~5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記混雑度判定部は、前記対象領域における複数の前記人物の互いの距離である人物間距離の統計値に基づいて前記混雑度を判定する、
請求項1~5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記領域設定部は、前記対象領域として、前記車両の乗降口付近を含む第1領域と、前記第1領域と異なる部分を含む第2領域とをそれぞれ設定し、
前記混雑度判定部は、前記第1領域と前記第2領域とに異なる重みづけを設定したうえで前記混雑度を判定する、
請求項1~5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
コンピュータが、
車両の内部を撮影するカメラが生成した画像データを取得し、
前記画像データにかかる乗降口付近を含む画像を複数の領域に分割して対象領域を抽出し、
複数の前記領域のうちの前記対象領域に存在する人物の数をカウントし、
前記人物の数に基づいて前記車両の混雑度を判定し、
前記混雑度に関する情報を出力し、
前記車両の内部の所定の広告領域をカウントの前記対象領域から除外する、
情報処理方法。
【請求項10】
コンピュータが、
車両の内部を撮影するカメラが生成した画像データを取得し、
前記画像データにかかる乗降口付近を含む画像を複数の領域に分割して対象領域を抽出し、
複数の前記領域のうちの前記対象領域に存在する人物の数をカウントし、
前記人物の数に基づいて前記車両の混雑度を判定し、
前記混雑度に関する情報を出力し、
前記車両の内部の所定の広告領域をカウントの前記対象領域から除外する、
情報処理方法を、コンピュータに実行させる
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は情報処理装置、情報処理方法およびコンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
列車等の車両の混雑状態を把握したいという要求が高まっている。
【0003】
特許文献1に記載の車両混雑状況通知システムは、乗車人数検出装置が列車の車両ごとに設置されていて、列車が発車したときに車両に乗車している人数を検出し、検出した乗車人数のデータをサーバ装置に送信する。車両混雑状況通知システムを構成するカメラは、車両の車内の上部である天井に光軸を下方に向け設置され、車両の長手方向に複数台設置されていて、車両に乗車しているすべての利用者の検出をカバーするようにしている。
【0004】
列車混雑度通知システムは、列車設備として、列車内のドア付近を撮影するカメラと、カメラによって取得された映像データに基づいて列車内の混雑度を算出するデータ処理部と、データ処理部から出力される混雑度情報と、を有している。またこのシステムは、列車を特定する列車特定情報と、列車内におけるカメラによる撮影位置を示す撮影位置情報とを含む混雑状況データを送信する送信部とを有し、混雑状況を情報センタに保存させ、駅の表示部に表示させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-059315号公報
【文献】特開2007-290574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
車両の混雑度を判定するには、車両内に存在する人物の数や状態などを認識する必要がある。しかしながら、車両内の全ての人物や空席を検出すると非常に煩雑なシステムとなり好ましくない。一方、簡易な構成であっても混雑状態を適切に判定したい。
【0007】
本開示はこのような課題を鑑みてなされたものであり、簡易な構成で精度よく混雑度を判定する情報処理装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の1実施形態にかかる情報処理装置は、画像データ取得部、領域設定部、カウント部、混雑度判定部および出力部を有している。画像データ取得部は、車両の内部を撮影するカメラが生成した画像データを取得する。領域設定部は、画像データにかかる画像を複数の領域に分割する。カウント部は、複数の領域のうちの対象領域に存在する人物の数をカウントする。混雑度判定部は、人物の数に基づいて車両の混雑度を判定する。出力部は、混雑度に関する情報を出力する。
【0009】
本開示の1実施形態にかかる情報処理方法は、以下の方法をコンピュータが実行する。コンピュータは、車両の内部を撮影するカメラが生成した画像データを取得する。コンピュータは、画像データにかかる画像を複数の領域に分割する。コンピュータは、複数の前記領域のうちの対象領域に存在する人物の数をカウントする。コンピュータは、人物の数に基づいて前記車両の混雑度を判定する。コンピュータは、混雑度に関する情報を出力する。
【0010】
本開示の1実施形態にかかるプログラムは、コンピュータに、以下のステップを実行させるものである。コンピュータは、コンピュータは、車両の内部を撮影するカメラが生成した画像データを取得する。コンピュータは、画像データにかかる画像を複数の領域に分割する。コンピュータは、複数の前記領域のうちの対象領域に存在する人物の数をカウントする。コンピュータは、人物の数に基づいて前記車両の混雑度を判定する。コンピュータは、混雑度に関する情報を出力する。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、簡易な構成で精度よく混雑度を判定する情報処理装置等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施の形態1にかかる情報処理装置のブロック図である。
図2】実施の形態1にかかる情報処理方法のフローチャートである。
図3】実施の形態2にかかる情報処理システムのブロック図である。
図4】実施の形態2にかかる撮影装置のブロック図である。
図5】実施の形態2にかかる情報提供装置のブロック図である。
図6】車両内の状況の例を示す図である。
図7】実施の形態2にかかる混雑度を判定するための条件の例を示す図である。
図8】実施の形態2にかかる画像の例を示す第1の図である。
図9】実施の形態2にかかる画像の例を示す第2の図である。
図10】コンピュータのハードウェア構成を例示するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、特許請求の範囲にかかる発明を以下の実施形態に限定するものではない。また、実施形態で説明する構成の全てが課題を解決するための手段として必須であるとは限らない。説明の明確化のため、以下の記載および図面は、適宜、省略、および簡略化がなされている。なお、各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0014】
<実施の形態1>
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は、実施の形態1にかかる情報処理装置10のブロック図である。図1に示す情報処理装置10は、所定の交通機関に設けられたカメラが撮影した画像から、かかる交通機関の混雑度を判定して出力する。本開示における所定の交通機関とは例えば、列車、トラム、トロリーまたはバスなど複数の人物が搭乗する交通機関である。図1に示す情報処理装置10は主な構成として、画像データ取得部111、領域設定部112、カウント部113、混雑度判定部114および出力部115を有している。
【0015】
画像データ取得部111は、車両の内部を撮影するカメラが生成した画像データを取得する。画像データ取得部111は、予め設定された期間ごとに画像データを取得しても良い。予め設定された期間とは例えば2分、5分、10分などである。画像データ取得部111は受け取った画像データを領域設定部112に供給する。なお、画像データ取得部111が一回に受け取る画像データは1フレーム分の静止画像データであってもよいし、連続した数フレーム分の動画像データであってもよい。動画像データは例えば毎秒30フレームや毎秒15フレームの画像データである。動画像データは例えば、MPEG(Moving Picture Experts Group)、モーションJPEG(Joint Photographic Experts Group)またはAVI(Audio Video Interleave)等の規格に沿ったものであってもよい。
【0016】
領域設定部112は、画像データ取得部111から受け取った画像データにかかる画像を複数の領域に分割する。領域設定部112が行う画像の分割にかかる領域は予め設定されたものであってもよいし、所定の条件に応じて変化するものであっても良い。所定の条件とは例えば情報処理装置10の管理者がおこなう操作によって設定されるものであってもよいし、時刻や車両の運行状態などに応じて変更されるものであってもよい。領域設定部112が行う分割は、例えば画像データを分割にかかる複数の画像データに分離してもよいし、分割にかかる領域の境界を示す情報を生成するものであってもよい。領域設定部112は画像を分割すると、分割した画像にかかる画像データをカウント部113に供給する。
【0017】
カウント部113は、領域設定部112から分割した画像にかかる画像データを受け取り、分割にかかる複数の領域のうちの対象領域に存在する人物の数をカウントする。ここで対象領域とは、予め設定されたものであって、情報処理装置10が混雑度を判定する際の処理の対象となる領域を指す。カウント部113は、対象領域に存在する人物の数をカウントすると、カウントした数にかかる情報を混雑度判定部114に供給する。
【0018】
混雑度判定部114は、カウント部113がカウントした人物の数にかかる情報を受け取り、受け取った情報から対象領域にかかる車両の混雑度を判定する。対象領域における人物の数と混雑度との関係は、予め設定されたものである。ただし混雑度判定部114は混雑度を判定する際に、対象領域における人物の数に加えて、他の要素を加味することもできる。他の要素とは例えば人物が存在する位置にかかる情報や、人物同士の距離に関する情報などである。混雑度判定部114は、混雑度を判定すると、判定した混雑度に関する情報を生成し、生成した情報を出力部115に供給する。判定した混雑度に関する情報は、混雑度の他に、判定した車両の識別情報が含まれる。
【0019】
出力部115は、混雑度判定部114から混雑度に関する情報を受け取ると、受け取った情報を、所定の出力先へ出力する。所定の出力先とは例えば上述の判定にかかる車両を利用する利用者や、かかる車両の運行を管理している運行管理者である。
【0020】
次に、図2を参照して、情報処理装置10が行う情報管理方法について説明する。図2は、実施の形態1にかかる情報管理方法を示すフローチャートである。図2に示すフローチャートは、例えば情報処理装置10を起動することにより開始される。
【0021】
まず、画像データ取得部111は、車両の内部を撮影するカメラが生成した画像データを取得する(ステップS11)。
【0022】
領域設定部112は、画像データにかかる画像を複数の領域に分割する(ステップS12)。
【0023】
カウント部113は、複数の前記領域のうちの対象領域に存在する人物の数をカウントする(ステップS13)。
【0024】
混雑度判定部114は、人物の数に基づいて前記車両の混雑度を判定する(ステップS14)。
【0025】
出力部115は、混雑度に関する情報を出力し(ステップS15)、一連の処理を終了する。なお、上述の情報処理方法は、情報処理装置10が画像データを取得する度に実行されてもよい。また上述の情報処理方法は、予め設定された期間ごとに実行されてもよい。
【0026】
以上、実施の形態1にかかる情報処理装置および情報処理方法について説明した。尚、情報処理装置10は、図示しない構成としてプロセッサ及び記憶装置を有するものである。情報処理装置10が有する記憶装置は、例えばフラッシュメモリやSSD(Solid State Drive)などの不揮発性メモリを含む記憶装置を含む。この場合に、情報処理装置10が有する記憶装置は、上述の画像処理方法を実行するためのコンピュータプログラム(以降、単にプログラムとも称する)を記憶している。またプロセッサは、記憶装置からコンピュータプログラムをDRAM(Dynamic Random Access Memory)等のバッファメモリへ読み込ませ、当該プログラムを実行する。
【0027】
情報処理装置10が有する各構成は、それぞれが専用のハードウェアで実現されていてもよい。また、各構成要素の一部又は全部は、汎用または専用の回路(circuitry)、プロセッサ等やこれらの組合せによって実現されてもよい。これらは、単一のチップによって構成されてもよいし、バスを介して接続される複数のチップによって構成されてもよい。各装置の各構成要素の一部又は全部は、上述した回路等とプログラムとの組合せによって実現されてもよい。また、プロセッサとして、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(field-programmable gate array)等を用いることができる。なお、ここに説明した構成に関する説明は、本開示において以下に説明するその他の装置またはシステムにおいても、適用され得る。
【0028】
また、情報処理装置10の各構成要素の一部又は全部が複数の情報処理装置や回路等により実現される場合には、複数の情報処理装置や回路等は、集中配置されてもよいし、分散配置されてもよい。例えば、情報処理装置や回路等は、クライアントサーバシステム、クラウドコンピューティングシステム等、各々が通信ネットワークを介して接続される形態として実現されてもよい。また、情報処理装置10の機能がSaaS(Software as a Service)形式で提供されてもよい。
【0029】
以上、実施の形態1について説明した。実施の形態1によれば、簡易な構成で精度よく混雑度を判定する情報処理装置等を提供することができる。
【0030】
<実施の形態2>
次に、実施の形態2について説明する。図3は、実施の形態2にかかる情報処理システム1のブロック図である。図3に示す情報処理システム1は主な構成として、情報処理装置10および撮影装置310を含む。また情報処理システム1は情報提供装置400を含んでもよい。情報処理システム1はさらにユーザ端末900を含んでもよい。
【0031】
本実施形態における情報処理装置10は、ネットワークN1を介して撮影装置310と通信可能に接続している。情報処理装置10は撮影装置310から車両300の内部を撮影した画像にかかる画像データを取得する。情報処理装置10は撮影装置310から取得した画像データから混雑度を判定する。情報処理装置10はまた、ネットワークN1を介して情報提供装置400と通信可能に接続している。情報処理装置10は撮影装置310から取得した画像データから混雑度を判定すると、車両300の混雑度に関する情報を情報提供装置400に出力する。
【0032】
本実施の形態における画像データ取得部111は、車両300の上部に設置された撮影装置310が人物を俯瞰するように撮影した画像にかかる画像データを取得する。また上述のように撮影装置310は車両300の乗降口付近に設置されている。そのため画像データ取得部111は、車両300の乗降口を含む画像にかかる画像データを取得する。
【0033】
本実施の形態における領域設定部112は、車両300の乗降口付近を含む画像を対象領域に設定する。
【0034】
本実施の形態におけるカウント部113は、撮影装置310から取得した画像データから人物の頭部を認識する。すなわちカウント部113は取得した画像データのうちの対象領域において認識した頭部の数をカウントする。カウント部113は頭部を認識する手段として、例えば画像データをCNN(Convolutional Neural Network)による畳み込み処理を利用してもよい。またカウント部113は頭部のサンプル画像を学習した学習器を利用して頭部を認識してもよい。機械学習を利用することにより、カウント部113は頭部の認識精度を向上させることができる。
【0035】
撮影装置310は、車両300の天井に設置され、車両300の上部から車両300の内部の人物を俯瞰するように撮影する。撮影装置310は車両300の乗降口付近の天井に設置されるのが好ましい。撮影装置310が車両300の乗降口付近に設置されることにより、情報処理システム1は、車両300の混雑度を好適に判定できる。撮影装置310は、車両300の内部の風景を撮影して画像データを生成する。撮影装置310は、ネットワークN1を介して、生成した画像データを情報処理装置10に供給する。なお、車両300に設置される撮影装置310は1つでもよいし、複数でもよい。
【0036】
情報提供装置400は、ネットワークN1を介して情報処理装置10から車両300の混雑度に関する情報を受け取る。情報提供装置400はまた、ネットワークN1を介してユーザ端末900に通信可能に接続している。情報提供装置400は、車両300の混雑度に関する情報をユーザ端末900に提供する。ユーザ端末900は例えばスマートフォンである。ユーザ端末900は、ネットワークN1を介して情報提供装置400から車両300の混雑度を受け取る。これによりユーザUは、自身の端末であるユーザ端末900を操作して車両300の混雑度を把握できる。なおユーザ端末900はタブレット端末、パーソナルコンピュータ等であってもよい。
【0037】
次に図4を参照して撮影装置310の詳細について説明する。図4は、実施の形態2にかかる撮影装置310のブロック図である。撮影装置310は主な構成として、カメラ311、通信部312、制御部313および記憶部320を有している。
【0038】
カメラ311は、車両300の内部の風景を撮影して画像データを生成する。カメラ311は、対物レンズ、撮像素子、光電変換部および画像生成部等を含む。
【0039】
通信部312は、撮影装置310をネットワークN1に通信可能に接続するためのインタフェースである。通信部312は、カメラ311が生成した画像データ等を、ネットワークN1を介して情報処理装置10に供給する。また通信部312は、ネットワークN1を介して情報処理装置10からの画像データ要求に関する信号を受け取っても良い。
【0040】
制御部313は、例えばCPUまたはMPU等の演算装置であって、撮影装置310が有する各構成を制御する。また制御部313は記憶部320が記憶しているプログラム321を実行する。より具体的には例えば制御部313は、予め設定されたプログラムに従い、所定の期間ごとにカメラ311が生成した画像データと固有識別データとを情報処理装置10に提供する処理を実行する。
【0041】
記憶部320は、不揮発性メモリを含む記憶装置である。記憶部320は例えば、撮影装置310の制御を司るプログラム321を記憶している。また記憶部320は例えば撮影装置310に設定されている固有識別データを記憶している。
【0042】
次に、図5を参照して情報提供装置400について説明する。図5は、実施の形態2にかかる情報提供装置400のブロック図である。情報提供装置400は主な構成として、混雑度取得部411、提供情報生成部412、通信部413、制御部414および記憶部420を有している。
【0043】
混雑度取得部411は、情報処理装置10から混雑度に関する情報を受け取る。より詳細には、混雑度取得部411は、情報処理装置10から撮影装置310の固有識別データとともに、これに対応する混雑度を含む情報を受け取る。
【0044】
提供情報生成部412は、ユーザUに提供する情報を生成する。ユーザUに提供する情報には、例えば、車両300にかかる列車の運行状況とともに、情報処理装置10から受け取った混雑度が含まれる。
【0045】
通信部413は、情報提供装置400と情報処理装置10との通信および情報提供装置400とユーザ端末900との通信を行うためのインタフェースである。
【0046】
制御部414は、CPU等の演算装置を含み、情報提供装置400の各構成を制御する。制御部414は記憶部420からプログラム421を読み取り、読み取ったプログラムにしたがって、本実施形態にかかる所定の機能を実現する。
【0047】
記憶部420は不揮発性メモリを含む記憶装置であって、情報提供装置400に本実施の形態における機能を実現させるためのプログラム421を記憶している。
【0048】
次に、車両300における撮影装置310の位置、撮影装置310が撮影する領域および混雑度を判定するための対象領域の例について説明する。
【0049】
図6は、車両内の状況の例を示す図である。図6は、車両300の内部を上方から下方に向かって観察した状態を模式的に示している。図6に示す車両300は、右側ドア301Rおよび左側ドア301Lを含む。車両300内には人物P10~P40が搭乗している。図に示す円形はそれぞれの人物の頭部を示している。人物P10~P30は、右側ドア301Rと左側ドア301Lとの間に立っている。また人物P40は右側ドア301R付近の座席に座っている。
【0050】
車両300は右側ドア301Rの近傍の天井と左側ドア301Lの近傍の天井それぞれに、撮影装置310がそれぞれ設置されている。情報処理装置10はこれら2つの撮影装置310のいずれからの画像データを取得してもよいし、いずれか一方の撮影装置310から画像データを取得するものであってもよい。撮影装置310は右側ドア301Rまたは左側ドア301Lの近傍から周辺の風景を俯瞰するように撮影する。すなわち撮影装置310は車両300に存在する人物の頭部を上方から撮影する。
【0051】
右側ドア301Rと左側ドア301Lとの間に太字の二点鎖線により示された矩形は、対象領域A310である。情報処理装置10の領域設定部112は車両300の画像からこの対象領域A310を抽出できるように設定される。すなわち情報処理装置10は、対象領域を車両300の乗降口付近を含む領域に設定することにより混雑度を判定する。図において、人物P10~P30は、対象領域A310に含まれる。一方、人物P40は対象領域A310に含まれない。そのため図6の例の場合において、カウント部113は人数を3とカウントする。
【0052】
なお、車両300において撮影装置310が上述のように構成されているのは、次の2つの理由による。すなわち1つ目の理由は、車両300において元々防犯または防災を目的として乗降口付近に監視カメラが設置されることがある。情報処理装置10はこのような防犯または防災を目的とした監視カメラの画像を取得して利用することにより、車両300に新たにカメラを設置する必要がなくなり、情報処理システム1の構成を簡易にすることができる。2つめの理由は、車両300の混雑度を判定する場合に、車両300の全ての空間における混雑状況を把握してもよいが、乗降口付近の混雑状況を把握することにより、車両全体のおおよその混雑度が把握できる。以上の理由から、情報処理システム1においては、撮影装置310を車両300の上部且つ乗降口付近に設置する。
【0053】
図7は、実施の形態2にかかる混雑度を判定するための条件の例を示す図である。図7には、表T10が示されている。表T10は、混雑度1~4と、それぞれの混雑度に対応した判定のための条件が示されている。表T10には判定のための条件の具体例として、対象領域の人数Nが示されている。混雑度1における対象領域の人数Nは0以上5未満である。混雑度2における対象領域の人数Nは5以上10未満である。混雑度3における対象領域の人数Nは10以上14未満である。混雑度4における対象領域の人数Nは14以上である。このように、混雑度判定部114は、人数が例えば第1値(5以上10未満)の場合における第1混雑度(2)が、前記第1値より少ない第2値(0以上5未満)における第2混雑度(1)より大きくなるように混雑度を判定するものであってもよい。
【0054】
なお、混雑度の設定は、上述の例に限られない。図7に示す表T10は、混雑度の判定のための条件として、対象領域の人数に加えて、人物間距離の標準偏差と、対象領域の設定と、が示されている。
【0055】
すなわち混雑度の判定において、例えば、混雑度判定部114は、対象領域における複数の人物の互いの距離である人物間距離を測定し、さらに人物間距離の統計値を算出し、この統計値を加味して混雑度を判定してもよい。例えば図6において、人物P10と人物P20と間は距離D12である。また人物P20と人物P30と間は距離D23である。人物P10と人物P30と間は距離D13である。混雑度判定部114は、距離D12、距離D23および距離13から、人物間距離の平均値や標準偏差を算出し、これらの値から混雑度を判定してもよい。このような手法を採用することにより、人物同士が密集している空間を含む場合には混雑度を比較的に高く判定できる。
【0056】
また混雑度の判定に際し、領域設定部112は、対象領域として、車両300の乗降口付近を含む第1領域と、第1領域と異なる部分を含む第2領域とをそれぞれ設定でし得る。そして、混雑度判定部114は、この第1領域と第2領域とに異なる重みづけを設定したうえで、混雑度を判定してもよい。
【0057】
またその他にも、領域設定部112は、時間帯や車両300の運行区間などに応じて領域の設定を行ってもよい。領域設定部112が複数の領域を設定する場合、複数の領域は互いに重なり合っていてもよいし、離れていてもよい。領域設定部112が設定する領域は、予め座標が設定されていてもよいし、画像を認識することにより設定されてもよい。
【0058】
図8は、実施の形態2にかかる画像の例を示す第1の図である。図8は、撮影装置310が撮影した第1画像F101である。第1画像F101は、右側ドア301Rおよび左側ドア301Lを含み、さらに床302および乗降口付近の座席303が含まれる。また撮影装置310は天井に設置されているため、第1画像F101は、車両300の上部に設置されている手摺り304や車内広告305も含む。
【0059】
図8の第1画像F101において、太字の二点鎖線により示された3つの矩形は、左側からそれぞれ第1座席領域A101、乗降口領域A102および第2座席領域A103である。第1座席領域A101は、座席303、手摺り304および車内広告305の画像を含む。乗降口領域A102は主に、床302、右側ドア301Rおよび左側ドア301Lの画像を含む。第2座席領域A103は、床302、座席303および手摺り304を含む。
【0060】
図8に示す例において、情報処理装置10の領域設定部112は、上述のように、第1画像F101を、3つの領域に分割する。そして、カウント部113は、分割した領域の内の乗降口領域A102内に存在する人物の頭部を認識してカウントする。
【0061】
次に、図9を参照して領域の設定についてさらに説明する。図9は、実施の形態2にかかる画像の例を示す第2の図である。図9には、第2画像F102が示されている。第2画像F102は、領域の設定が、図8に示した第1画像F101と異なる。
【0062】
図9において、第1座席領域A101の内側には、太字の点線により示された広告領域A106が示されている。広告領域A106は画像の殆どの領域に車内広告が写り込んでいる。乗降口領域A102の内側には、太字の点線により示された右側ドア領域A104と、左側ドア領域A105とが示されている。右側ドア領域A104は、右側ドア301Rの画像を含み、右側ドア301Rから車両300の中央に向かって70センチメートル程度の幅を有する。左側ドア領域A105は、左側ドア301Lの画像を含み、左側ドア301Lから車両300の中央に向かって70センチメートル程度の幅を有する。
【0063】
図9に示す例において、領域設定部112は、対象領域として、乗降口領域A102に加えて、右側ドア領域A104および左側ドア領域A105を設定する。そしてカウント部113は、乗降口領域A102における人物をカウントするとともに、右側ドア領域A104および左側ドア領域A105における人物をそれぞれカウントする。そして混雑度判定部114は、乗降口領域A102、右側ドア領域A104および左側ドア領域A105のそれぞれの数から混雑度を判定する。混雑度判定部114は、乗降口領域A102における人物の数が例えばN2であった場合に、右側ドア領域A104および左側ドア領域A105における人物の数が比較的に多い状態の方が、右側ドア領域A104および左側ドア領域A105における人物の数が比較的に少ない状態に比べて混雑度を高いと判定する。
【0064】
情報処理装置10は、上述の例の他にも様々な手法により混雑度を判定できる。例えばカウント部113は、時間帯や運行状況により、第1座席領域A101や第2座席領域A103の人物の数をカウントしてもよい。この場合に、カウント部113は、広告領域A106をカウントの対象領域から除外することができる。車内広告は様々なイラストや写真等が掲載され得る。そのため、車内広告に人物の頭部が表示されていた場合には、カウント部113が誤検出してしまう虞がある。そのため、予め広告領域A106を対象領域から除外することにより、情報処理装置10は混雑度の判定制度の低下を抑制できる。なお、広告領域は予め設定されていてもよいし、領域設定部112が広告の有無を自動判別することにより設定してもよい。
【0065】
カウント部113は、車両300が駅に停止してドアを開いているタイミングで車両300に出入りしている人物のカウントを行ってもよい。この場合、カウント部113は例えば、人物の顔の向きを検出し、車両に乗り込む方向に向いている人物を加算し、車両から降りる方向に向いている人物を減算する。このような構成により情報処理装置10は人物が乗降中であっても混雑度の判定を行うことができる。
【0066】
以上、実施の形態2について説明した。実施の形態2にかかる情報処理システム1または情報処理装置10によれば、簡易な構成で精度よく混雑度を判定する情報処理装置等を提供することができる。
【0067】
<ハードウェア構成の例>
以下、本開示における情報処理装置の各機能構成がハードウェアとソフトウェアとの組み合わせで実現される場合の例について説明する。
【0068】
図10は、コンピュータのハードウェア構成を例示するブロック図である。本開示における情報処理装置は、図に示すハードウェア構成を含むコンピュータ500により上述の機能を実現できる。コンピュータ500は、スマートフォンやタブレット端末などといった可搬型のコンピュータであってもよいし、PCなどの据え置き型のコンピュータであってもよい。コンピュータ500は、各装置を実現するために設計された専用のコンピュータであってもよいし、汎用のコンピュータであってもよい。コンピュータ500は、所定のアプリケーションをインストールされることにより、所望の機能を実現できる。
【0069】
コンピュータ500は、バス502、プロセッサ504、メモリ506、ストレージデバイス508、入出力インタフェース(I/F)510およびネットワークインタフェース(I/F)512を有する。バス502は、プロセッサ504、メモリ506、ストレージデバイス508、入出力インタフェース510、及びネットワークインタフェース512が、相互にデータを送受信するためのデータ伝送路である。ただし、プロセッサ504などを互いに接続する方法は、バス接続に限定されない。
【0070】
プロセッサ504は、CPU、GPUまたはFPGAなどの種々のプロセッサである。メモリ506は、RAM(Random Access Memory)などを用いて実現される主記憶装置である。
【0071】
ストレージデバイス508は、ハードディスク、SSD、メモリカード、又はROM(Read Only Memory)などを用いて実現される補助記憶装置である。ストレージデバイス508は、所望の機能を実現するためのプログラムが格納されている。プロセッサ504は、このプログラムをメモリ506に読み出して実行することで、各装置の各機能構成部を実現する。
【0072】
入出力インタフェース510は、コンピュータ500と入出力デバイスとを接続するためのインタフェースである。例えば入出力インタフェース510には、キーボードなどの入力装置や、ディスプレイ装置などの出力装置が接続される。ネットワークインタフェース512は、コンピュータ500をネットワークに接続するためのインタフェースである。
【0073】
以上、本開示における情報処理装置の各機能構成がハードウェアとソフトウェアとの組み合わせで実現される場合の例について説明した。
【0074】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0075】
プログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、random-access memory(RAM)、read-only memory(ROM)、フラッシュメモリ、solid-state drive(SSD)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、digital versatile disc(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、またはその他の形式の伝搬信号を含む。
【0076】
この出願は、2021年2月4日に出願された日本出願特願2021-016968を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0077】
1 情報処理システム
10 情報処理装置
111 画像データ取得部
112 領域設定部
113 カウント部
114 混雑度判定部
115 出力部
300 車両
301R 右側ドア
301L 左側ドア
302 床
303 座席
304 手摺り
305 車内広告
310 撮影装置
311 カメラ
312 通信部
313 制御部
320 記憶部
400 情報提供装置
411 混雑度取得部
412 提供情報生成部
413 通信部
414 制御部
420 記憶部
500 コンピュータ
502 バス
504 プロセッサ
506 メモリ
508 ストレージデバイス
510 出入力I/F
512 ネットワークI/F
900 ユーザ端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10