(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】空気調和機及び空気調和システム
(51)【国際特許分類】
F24F 11/56 20180101AFI20240717BHJP
F24F 11/64 20180101ALI20240717BHJP
【FI】
F24F11/56
F24F11/64
(21)【出願番号】P 2023037397
(22)【出願日】2023-03-10
(62)【分割の表示】P 2018248610の分割
【原出願日】2018-12-28
【審査請求日】2023-04-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】喜多見 隆一
【審査官】安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-322908(JP,A)
【文献】特開2015-184823(JP,A)
【文献】特開2015-198284(JP,A)
【文献】特開2016-122336(JP,A)
【文献】特開2017-223426(JP,A)
【文献】特開2018-028939(JP,A)
【文献】特許第7305956(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2018/0283723(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/00 - 11/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転履歴データを用いて更新される学習モデルを基に空調制御を行う
アダプタを含む空気調和機であって、
前記
アダプタは、前記学習モデルが書き込まれる複数の記憶領域を有する記憶部と、制御部と、を有し、
前記制御部は、前記学習モデルが更新される度に、更新された前記学習モデルを前記複数の記憶領域のうちの一つに順次書き込み、
前記制御部は、使用者の入力操作により生成された信号に対応する学習モデルを前記複数の記憶領域のうち任意の記憶領域から読み出し、読み出した学習モデルを基に空調制御を行うことを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
前記学習モデルを前記記憶領域に書き込む際には、前記記憶領域のうち、前記空気調和機を制御するための学習モデルを読み出し中の領域を除き、一番古い学習モデルが書き込まれている領域に上書きで書き込むことを特徴とした請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記使用者の入力操作により生成された信号は、第1の読み出し信号と第2の読み出し信号とを含み、
前記第1の読み出し信号に応じて、前記空気調和機を制御するための学習モデルを前記記憶領域から読み出す際には、前記記憶領域のうち、前記学習モデルを書き込み中の領域を除き、一番新しい学習モデルが書き込まれている領域から学習モデルを読み出すことを特徴とした請求項1に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記第2の読み出し信号に応じて、前記空気調和機を制御するための学習モデルを前記記憶領域から読み出す際に、前記記憶領域のうち、前記学習モデルを書き込み中の領域を除き、二番目以降に新しいプログラムが書き込まれている領域から学習モデルを読み出すことを特徴とした請求項3に記載の空気調和機。
【請求項5】
運転履歴データを用いて更新される学習モデルを基に空調制御を行う
アダプタを含む空気調和機と、前記空気調和機と通信可能なサーバ装置とを有する空気調和システムであって、
前記
アダプタは、
前記学習モデルが書き込まれる複数の記憶領域を有する記憶部と、制御部と、を有し、
前記制御部は、前記学習モデルが更新される度に、更新された前記学習モデルを前記複数の記憶領域のうちの一つに順次書き込み、
前記制御部は、使用者の入力操作により生成された信号に対応する学習モデルを前記複数の記憶領域のうち任意の記憶領域から読み出し、読み出した学習モデルを基に空調制御を行うと共に、
前記学習モデルは、
前記サーバ装置における機械学習で生成された学習済みモデルであることを特徴とした空気調和システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機及び空気調和システムに関する。
【背景技術】
【0002】
学習機能を有する空気調和システムには、記憶部が学習機能を有する場合、標準仕様設定による制御に、居住者等の好みや行動パターン等による時系列的に居住者等にとって好適な温度環境を反映させることができる(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで例えば、サーバ装置が空気調和システムに関わるデータを収集し、機械学習により学習済みモデル(プログラム)を生成する手法も提案されている。例えば、サーバ装置は、室温や外気温等の環境情報とともにユーザの操作情報等をデータとして収集した後、当該データを用いて学習済みモデルを生成する。そして、サーバ装置は、生成した学習済みモデルを、室内機とサーバ装置との間を中継するアダプタに送信する。アダプタは、受信した学習済みモデルをメモリに記憶する。そしてアダプタはメモリに記憶された学習済みモデルを参照し、室内機に対し制御信号を送信する。
【0005】
ここで、サーバ装置が新たな学習済みモデル送信し、アダプタが学習済みモデルを更新するため新たな学習済みモデルをメモリに記憶している最中は、メモリ内にある更新前の学習済みモデルは一部の書き換えにより壊れてしまっているため、アダプタ自身が同メモリにある学習済みモデルを参照することができない。そのため、アダプタは室内機に学習済みモデルを基にした制御信号を送信することができず、室内機はアダプタから最後に受け取った制御信号に従った動作を継続することとなる。そのため、その期間にユーザの快適性が低下するおそれがあった。
【0006】
また、更新された新たな学習済みモデルに基づいて制御が行われたきに、その制御をユーザが不快に感じ、更新前の学習済みモデルに戻したいと考えた場合、更新前の学習済みモデルは新たな学習済みモデルにより上書きされてしまっているため、再度サーバ装置から更新前の学習済みモデルを受信しなおす必要がある。このとき上述の学習済みモデルの更新時と同様な動作となり、同じくユーザの快適性が低下するおそれがあった。
【0007】
尚、ユーザが不快に感じる要因としては、例えば、学習済みモデルを作成するためのデータとしてユーザの操作情報があげられる。例えば何らかの理由でユーザがイレギュラーな操作をした場合、その操作情報が学習済みモデルに反映され、イレギュラーな操作をしなくなったあとに、その学習済みモデルでの制御が行われる可能性がある。この場合、ユーザが不快に感じる。
【0008】
本発明ではこのような問題に鑑み、新たな学習済みモデルへの更新に伴うユーザの不快感が低減できる空気調和機及び空気調和システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一つの態様の空気調和機は、運転履歴データを用いて更新される学習モデルを基に空調制御を行う。前記空気調和機は、前記学習モデルが書き込まれる複数の記憶領域を有する記憶部と、制御部と、を有する。前記制御部は、前記学習モデルが更新される度に、更新された前記学習モデルを前記複数の記憶領域のうちの一つに順次書き込む。前記制御部は、使用者の入力操作により生成された信号に対応する学習モデルを前記複数の記憶領域のうち任意の記憶領域から読み出し、読み出した学習モデルを基に空調制御を行う。
【発明の効果】
【0010】
一つの側面として、新たな学習済みモデルへの更新に伴うユーザの不快感が低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本実施例の空気調和システムの一例を示す説明図である。
【
図2】
図2は、アダプタの構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、モデルメモリの各記憶領域の書込み及び読出しの一例を示す説明図である。
【
図4】
図4は、サーバ装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、書込み処理に関わるアダプタ内のCPUの処理動作の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、第1の読出し処理に関わるアダプタ内のCPUの処理動作の一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、第2の読出し処理に関わるアダプタ内のCPUの処理動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に基づいて、本願の開示する空気調和機等の実施例を詳細に説明する。尚、本実施例により、開示技術が限定されるものではない。また、以下に示す各実施例は、矛盾を起こさない範囲で適宜変形しても良い。
【実施例】
【0013】
図1は、本実施例の空気調和システム1の一例を示す説明図である。
図1に示す空気調和システム1は、室内機2と、アダプタ3と、ルータ4と、サーバ装置5と、中継装置6と、通信端末7と、通信網8とを有する。
【0014】
室内機2は、例えば、室内に配置され、室内の空気を加熱又は冷却する空気調和機の一部である。尚、室内機2の利用者は、リモコン9の操作により室内機2を遠隔操作することが可能である。室内機2は、本体2Aと、当該本体2Aを制御する制御部2Bとを有する。本体2Aには、室内ファンや室内熱交換器が備えられ、室内熱交換器で冷媒と熱交換を行った室内空気が本体2Aから吹き出されることで、部屋の暖房、冷房、除湿等が行われる。また、図示しない室外機には、室外ファンや圧縮機等が備えられている。通信端末7は、利用者のスマートフォン等の端末装置である。
【0015】
アダプタ3は、室内機2とルータ4との間を無線通信で接続する通信機能と、室内機2をAI(Artificial Intelligence)制御する制御機能とを有する。アダプタ3は、室内機2毎に配置するものである。ルータ4は、例えば、WLAN(Wireless Local Area Network)等を使用してアダプタ3と通信網8とを無線通信で接続するアクセスポイントの装置である。通信網8は、例えば、インターネット等の通信網である。サーバ装置5は、室内機2を制御するAIの学習済みモデルを生成する機能や運転履歴データ等を記憶するデータベース等を有する。尚、サーバ装置5は、例えば、データセンタに配置されている。中継装置6は、通信網8と通信で接続すると共に、サーバ装置5と通信で接続する機能を有する。中継装置6は、通信網8経由で室内機2に適用される学習済みモデルの生成又は更新に使用する運転履歴データ等をアダプタ3からサーバ装置5に送信する。また、中継装置6は、サーバ装置5で生成又は更新した学習済みモデルを通信網8経由でアダプタ3に送信する。尚、中継装置6は、例えば、データセンタ等に配置されている。
【0016】
中継装置6は、第1の中継部6Aと、第2の中継部6Bと、第3の中継部6Cとを有する。第1の中継部6Aは、アダプタ3とサーバ装置5との間でAI制御に関わる各種データを送信する。第1の中継部6Aは、アダプタ3から受信した学習済みモデルの生成又は更新に使用する運転履歴データ等を通信網8経由でサーバ装置5に送信すると共に、サーバ装置5が生成又は更新した学習済みモデルを通信網8経由でアダプタ3に送信する。第2の中継部6Bは、利用者が外出先から通信端末7を使用して設定した室内機2の運転条件(冷房/暖房といった運転モードや設定温度など)を取得し、これを室内機2に送信する。第3の中継部6Cは、例えば、インターネット等の通信網8から天気予報等の外部データを取得し、取得した外部データをサーバ装置5に送信する。また、第3の中継部6Cは、外部データを通信網8経由でアダプタ3に送信する。
【0017】
図2は、アダプタ3の構成の一例を示すブロック図である。
図2に示すアダプタ3は、第1の通信部11と、第2の通信部12と、記憶部13と、CPU(Central Processing Unit)14とを有する。第1の通信部11は、室内機2内の制御部2Bと通信接続する、例えば、UART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)等の通信IF(Interface)である。第2の通信部12は、ルータ4と通信接続する、例えば、WLAN等の通信IF等の通信部である。記憶部13は、例えば、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等を有し、データやプログラム等の各種情報を格納する。CPU14は、アダプタ3全体を制御する。
【0018】
図2に示すアダプタ3内の記憶部13は、室内機2から取得した、運転履歴データを一時記憶する運転履歴メモリ13Aと、サーバ装置5から取得した、学習済みモデルを記憶するモデルメモリ13Bと、外部データを記憶する外部メモリ13Cとを有する。
【0019】
モデルメモリ13Bは、例えば、第1の領域130A、第2の領域130B及び第3の領域130C等の複数の記憶領域130を有する。各記憶領域130の状態には、例えば、書込み済みの学習済みモデルを読出し中の状態、学習済みモデルを書込み途中(以下、単に書込み中と称する)の状態や、読出し中および書込み中のいずれでもない状態である学習済みモデルが書込み済みの状態がある。
【0020】
CPU14は、取得部21と、送信部22と、受信部23と、書込み部24と、第1の読出し部25と、第2の読出し部26と、予測制御部27とを有する。
【0021】
取得部21は、室内機2から所定周期、例えば5分毎の取得タイミングに操作履歴や温度履歴等の運転履歴データを取得する。取得部21は、5分周期に取得した運転履歴データを運転履歴メモリ13Aに記憶する。
【0022】
受信部22は、通信網8経由でサーバ装置5から学習済みモデルを受信すると共に、学習済みモデルの受信時刻を取得する。書込み部24は、受信部22にて受信した学習済みモデル及びその受信時刻を、モデルメモリ13B内の複数の記憶領域130の内、学習済みモデルを読出し中の記憶領域130を除き、受信時刻が一番古い学習済みモデルが書き込まれている書込み済みの記憶領域130に上書きで書き込む。一番古い学習済みモデルが記憶領域130にない場合は、何も書込がない記憶領域130に書き込む。
【0023】
第1の読出し部25は、第1の読出し信号に応じて、モデルメモリ13B内の複数の記憶領域130の内、サーバ装置5から受信した学習済みモデルを書き込み中の記憶領域130を除き、受信時刻が一番新しい学習済みモデルが書き込まれている記憶領域130から学習済みモデルを読み出す。尚、第1の読出し信号は、受信時刻が一番新しい学習済みモデルを使用して室内機2の制御を求める、例えば、ユーザの入力操作の信号である。予測制御部27は、読み出した受信時刻が一番新しい学習済みモデルに基づき、室内機2内の制御部2Bを制御する。
【0024】
第2の読出し部26は、第2の読出し信号に応じて、モデルメモリ13B内の複数の記憶領域130の内、サーバ装置5から受信した学習済みモデルを書込み中の記憶領域130を除き、受信時刻が二番目に新しい学習済みモデルが書き込まれている記憶領域130から学習済みモデルを読み出す。尚、第2の読出し信号は、受信時刻が二番目に新しい学習済みモデルを使用した室内機2の制御を求める、例えば、ユーザの入力操作の信号である。予測制御部27は、読み出した二番目に新しい学習済みモデルに基づき、室内機2内の制御部2Bを制御する。
【0025】
尚、説明の便宜上、予測制御部27は、学習済みモデルに基づき、室内機2内の制御部2Bを制御する場合を例示したが、予測制御部27は、学習済みモデルに基づき、室内機2の本体2Aを直接的に制御しても良い。また、予測制御部27は、学習済みモデルに基づく制御態様を制御部2Bに送信する。つまり、予測制御部27が、制御部2Bを介して本体2Aを間接的に制御するようにしても良く、適宜変更可能である。
【0026】
図3は、モデルメモリ13Bの各記憶領域130の状態の一例を示す説明図である。尚、説明の便宜上、ステータスAの状態で、例えば、第1の領域130Aに学習済みモデルのバージョンnが、第2の領域130Bに学習済みモデルのバージョンn-1が、第3の領域130Cに学習済みモデルのバージョンn-2が書き込まれているとする。アダプタ3は第1の領域130Aにある学習済みモデルのバージョンnを読み出し動作している。すなわち第1の領域130Aは読み出し中の状態となる。ここでバージョンの後に続く数字が大きい程、新しい学習済みモデルである。
【0027】
書込み部24は、ステータスAの状態で、サーバ装置5から新たな学習済みモデルを受信した場合、学習済みモデルを読み出し中のバージョンnがある第1の領域130Aを除き、受信時刻が一番古い学習済みモデルであるバージョンn-2がある第3の領域130Cに新たな学習済みモデルであるバージョンn+1及び受信時刻を上書きで書き込む。その結果、ステータスBの状態となり、アダプタ3は第3の領域130Cにある学習済みモデルであるバージョンn+1を読み出し動作している。すなわち第3の領域130Cは読み出し中の状態となる。
【0028】
書込み部24は、ステータスBの状態で、サーバ装置5から新たな学習済みモデルを受信した場合、学習済みモデルを読み出し中のバージョンn+1がある第3の領域130Cを除き、受信時刻が一番古い学習済みモデルであるバージョンn-1が書き込まれている第2の領域130Bに新たな学習済みモデルであるバージョンn+2及び受信時刻を上書きで書き込む。その結果、ステータスCの状態となり、アダプタ3は第2の領域130Bにある学習済みモデルであるバージョンn+2を読み出し動作している。すなわち第2の領域130Bは読み出し中の状態となる。
【0029】
図4は、サーバ装置5の構成の一例を示すブロック図である。
図3に示すサーバ装置5は、通信部31と、記憶部32と、CPU33とを有する。通信部31は、中継装置6と通信接続する通信IFである。記憶部32は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、ROMやRAM等を有し、データやプログラム等の各種情報を記憶する。CPU33は、サーバ装置5全体を制御する。
【0030】
図4に示すサーバ装置5内の記憶部32は、データメモリ32Aと、モデル記憶部32Bとを有する。データメモリ32Aは、各アダプタ3から受信した運転履歴データ等を記憶する。モデル記憶部32Bは、サーバ装置5で生成又は更新した学習済みモデルを記憶する。
【0031】
サーバ装置5内のCPU33は、モデル学習部33Aと、受信部33Bと、送信部33Cとを有する。
【0032】
モデル学習部33Aは、複数の室内機2の各アダプタ3と接続してルータ4、通信網8及び中継装置6を経由して、各アダプタ3から所定時間分の運転履歴データを受信する。そして、モデル学習部33Aは、各アダプタ3からのデータメモリ32Aに記憶中の所定時間分の運転履歴データを使用して学習し、学習結果に基づき、各室内機2の学習済みモデルを生成又は更新する。学習済みモデルには、例えば、各家庭の空気調和機の運転状況に応じて室内の利用者に対する5分後の体感温度を予測し、予測する体感温度に応じて空気調和機を制御する体感温度設定予測モデルがある。
【0033】
モデル学習部33Aは、データメモリ32Aに記憶中のアダプタ3毎の所定時間分の運転履歴データに基づき、当該アダプタ3対応の学習済みモデルを生成又は更新し、生成又は更新した学習済みモデルをモデル記憶部32Bに記憶する。送信部33Cは、中継装置6、通信網8及びルータ4経由でモデル学習部33Aにて生成又は更新された学習済みモデルをアダプタ3に送信する。
【0034】
次に本実施例の空気調和システム1の動作について説明する。
図5は、書込み処理に関わるアダプタ3内のCPU14の処理動作の一例を示すフローチャートである。
図5においてアダプタ3内のCPU14は、サーバ装置5から新たな学習済みモデルを受信したか否かを判定する(ステップS11)。CPU14は、サーバ装置5から学習済みモデルを受信した場合(ステップS11、Yes)、読出し中の記憶領域130を除く、モデルメモリ13B内の複数の記憶領域130の内、受信時刻が1番古い書込み済みの記憶領域130を特定する(ステップS12)。
【0035】
CPU14は、特定された書込み済みの記憶領域130に、受信した新たな学習済みモデル及び受信時刻を上書きで書込み(ステップS13)、
図5に示す処理動作を終了する。CPU14は、サーバ装置5から学習済みモデルを受信しなかった場合(ステップS11、No)、
図5に示す処理動作を終了する。
【0036】
以上説明したように、アダプタ3は、サーバ装置5から受信した新たな学習済みモデルを、読出し中の記憶領域130を除く、複数の記憶領域130の内、受信時刻が1番古い書込み済みの記憶領域130に受信時刻と共に書込む。その結果、アダプタ3は、新たな学習済みモデルをモデルメモリ13Bに上書き更新できる。
【0037】
図6は、第1の読出し処理に関わるアダプタ3内のCPU14の処理動作の一例を示すフローチャートである。
図6においてアダプタ3内のCPU14は、第1の読出し信号を検出したか否かを判定する(ステップS21)。CPU14は、第1の読出し信号を検出した場合(ステップS21、Yes)、書込み中の記憶領域130を除く、複数の記憶領域130の内、記憶されている受信時刻により受信時刻が1番新しい学習済みモデルが書き込まれている書込み済みの記憶領域130を特定する(ステップS22)。CPU14は、特定された記憶領域130に書込まれた学習済みモデルを読み出し(ステップS23)、
図6に示す処理動作を終了する。その結果、CPU14は、読み出した最新の学習済みモデルを用いて室内機2の制御部2Bを制御する。CPU14は、第1の読出し信号を検出しなかった場合(ステップS21、No)、
図6に示す処理動作を終了する。
【0038】
以上説明したように、アダプタ3は、第1の読出し信号を検出した場合、書込み中の記憶領域130を除く、複数の記憶領域130の内、受信時刻が1番新しい書込み済みの記憶領域130に書込まれている学習済みモデルを読み出す。そして、アダプタ3は、読み出した最新の学習済みモデルを用いて室内機2の制御部2Bを制御する。その結果、アダプタ3は、最新の学習済みモデルを用いて室内機2の制御部2Bを制御できる。
【0039】
図7は、第2の読出し処理に関わるアダプタ3内のCPU14の処理動作の一例を示すフローチャートである。
図7においてアダプタ3内のCPU14は、第2の読出し信号を検出したか否かを判定する(ステップS31)。CPU14は、第2の読出し信号を検出した場合(ステップS31、Yes)、書込み中の記憶領域130を除く、複数の記憶領域130の内、受信時刻が2番目の学習済みモデルが書き込まれている書込み済みの記憶領域130を特定する(ステップS32)。CPU14は、特定された記憶領域130に書込まれている学習済みモデルを読み出し(ステップS33)、
図7に示す処理動作を終了する。その結果、CPU14は、最新の学習済みモデルを過去の学習済みモデルと入れ替え、入れ替えた過去の学習済みモデルを用いて室内機2の制御部2Bを制御する。CPU14は、第2の読出し信号を検出しなかった場合(ステップS31、No)、
図7に示す処理動作を終了する。
【0040】
以上説明したように、アダプタ3は、第2の読出し信号を検出した場合、書込み中の記憶領域130を除く、複数の記憶領域130の内、受信時刻が2番目の書込み済みの記憶領域130に書込まれている学習済みモデルを読み出し、読み出した学習済みモデルを用いて室内機2の制御部2Bを制御する。その結果、アダプタ3は、最新の学習済みモデルを過去の学習済みモデルに戻した場合、最新の学習済みモデルを過去の学習済みモデルを戻し、過去の学習済みモデルを用いて室内機2の制御部2Bを制御できる。
【0041】
本実施例のアダプタ3は、サーバ装置5から学習済みモデルを受信する度に、受信した学習済みモデルを複数の記憶領域130のうちの一つに順次書き込み、複数の記憶領域130のうち任意の記憶領域130に書き込まれた学習済みモデルを読み出す。その結果、アダプタ3は、学習済みモデルを用いて室内機2を制御中の場合でも、新たな学習済みモデルを別の記憶領域130に記憶するため、新たな学習済みモデルへの更新に伴うユーザの不快性が低減できる。
【0042】
アダプタ3は、サーバ装置5から受信した学習済みモデルを記憶領域130に書き込む際には、記憶領域130のうち、学習済みモデルを読み出し中の記憶領域130を除き、サーバ装置5からの受信時刻が一番古い学習済みモデルが書き込まれている記憶領域130に上書きで書き込む。その結果、記憶領域130の限りある容量を節約しながら、新たな学習済みモデルを更新できる。
【0043】
アダプタ3は、学習済みモデルを記憶領域130から読み出す際、記憶領域130のうち、サーバ装置5から受信した学習済みモデルを書き込み中の記憶領域130を除き、サーバ装置5からの受信時刻が一番新しい学習済みモデルが書き込まれている記憶領域130から学習済みモデルを読み出す。その結果、書込み中で記憶領域130から読み出しができない事態が回避され、常に学習済みモデルを基にした室内機2の制御が可能となる。
【0044】
アダプタ3は、第2の読出し信号を検出した場合、学習済みモデルを、記憶領域130のうち、サーバ装置5から受信した学習済みモデルを書き込み中の記憶領域130を除き、サーバ装置5からの受信時刻が二番目以降に新しい学習済みモデルが書き込まれている記憶領域130から学習済みモデルを読み出す。例えば、ユーザがイレギュラーな操作をし、その操作情報が学習済みモデルに反映され、イレギュラーな操作をしなくなったあとに、その学習済みモデルでの制御が行われる可能性がある。この場合でも、ユーザが最新の学習済みモデルの制御を不快と感じた場合でも、最新の学習済みモデルの代わりに、二番目以降に新しい学習済みモデルを用いて室内機2を制御できる。
【0045】
尚、上記実施例のアダプタ3は、サーバ装置5からの学習済みモデルをモデルメモリ13B内の各記憶領域130に記憶する場合を例示したが、学習済みモデルに限定されるものではなく、室内機2を制御するプログラムであれば良く、適宜変更可能である。
【0046】
アダプタ3は、サーバ装置5から新たな学習済みモデルを受信した場合、受信した新たな学習済みモデルを書込み済みの記憶領域130に上書きで更新する場合を例示した。しかしながら、書込み済みの記憶領域130が書込み中の記憶領域130に切り替わった時点で学習済みモデルを消去しても良く、適宜変更可能である。
【0047】
アダプタ3内のモデルメモリ13B内の記憶領域130は、第1の領域130A、第2の領域130B及び第3の領域130Cで構成する場合を例示した。しかしながら、3個の記憶領域130に限定されるものではなく、例えば、2個以上の記憶領域130であれば良く、適宜変更可能である。
【0048】
また、図示した各部の各構成要素は、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【0049】
更に、各装置で行われる各種処理機能は、CPU(Central Processing Unit)(又はMPU(Micro Processing Unit)、MCU(Micro Controller Unit)等のマイクロ・コンピュータ)上で、その全部又は任意の一部を実行するようにしても良い。また、各種処理機能は、CPU(又はMPU、MCU等のマイクロ・コンピュータ)で解析実行するプログラム上、又はワイヤードロジックによるハードウェア上で、その全部又は任意の一部を実行するようにしても良いことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0050】
1 空気調和システム
2 室内機
2A 本体
2B 制御部
3 アダプタ
5 サーバ装置
23 受信部
24 書込み部
25 第1の読出し部
26 第2の読出し部
27 予測制御部