IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日産自動車株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-情報処理装置、及び情報処理方法 図1
  • 特許-情報処理装置、及び情報処理方法 図2A
  • 特許-情報処理装置、及び情報処理方法 図2B
  • 特許-情報処理装置、及び情報処理方法 図3
  • 特許-情報処理装置、及び情報処理方法 図4
  • 特許-情報処理装置、及び情報処理方法 図5
  • 特許-情報処理装置、及び情報処理方法 図6
  • 特許-情報処理装置、及び情報処理方法 図7
  • 特許-情報処理装置、及び情報処理方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】情報処理装置、及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/09 20060101AFI20240717BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
G08G1/09 H
G08G1/16 A
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023504696
(86)(22)【出願日】2021-03-10
(86)【国際出願番号】 IB2021000177
(87)【国際公開番号】W WO2022189823
(87)【国際公開日】2022-09-15
【審査請求日】2023-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】中村 光範
【審査官】上野 博史
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-227412(JP,A)
【文献】特開平6-344840(JP,A)
【文献】特開2008-065481(JP,A)
【文献】特開2001-309420(JP,A)
【文献】特開2005-173703(JP,A)
【文献】特開2011-191946(JP,A)
【文献】特開2014-064140(JP,A)
【文献】特表2004-502992(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/09
G08G 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項2】
前記コントローラは、
前記第1移動体が将来走行する経路を含む第1将来経路データを取得し、前記第1将来経路データに基づいて前記第1将来位置を特定し、
前記第2移動体が将来走行する経路を含む第2将来経路データを取得し、前記第2将来経路データに基づいて前記第2将来位置を特定する
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記対象移動体は、
前記通信部の通常通信エリアの外に位置する前記第2移動体、
前記第1移動体が走行する道路の追い越し車線を走行する経路を有する前記第2移動体、又は
前記第1移動体が将来走行する経路に含まれる交差点を通過する経路を有する前記第2移動体である
請求項2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記コントローラは、
前記相対位置関係に基づいて、前記第1移動体と前記対象移動体とが将来交錯するか否かを判断し、
交錯の判断結果に基づいて、前記通信部の無線通信に関する指向性を制御する
請求項1から3いずれか一項記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記コントローラは、
前記第1移動体と交錯すると判断された前記対象移動体に向けて、前記通信部の無線通信に関する指向性を制御する
請求項4記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記コントローラは、
前記第1移動体に対する前記対象移動体の相対速度に基づいて、前記第1移動体と前記対象移動体とが将来交錯するか否かを判断する
請求項4又は5記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記コントローラは、
前記第1移動体に対する前記対象移動体の相対速度が所定の判定値よりも小さい場合に、前記第1移動体と前記対象移動体とが将来交錯すると判断する
請求項6記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記コントローラは、
前記第1移動体が追い越しを行うか否かを判定し、
前記第1移動体が追い越しを行うと判定した場合に、前記対象移動体を特定する処理を行う
請求項1から4いずれか一項記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記通信部は、
指向性を有するビームを形成することで、前記通信部の無線通信に関する指向性を調整可能であり、
前記コントローラは、
前記通信部によって形成されるビームの指向性を制御することで、前記通信部の無線通信に関する指向性を制御する
請求項1から8いずれか一項記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記通信部は、前記第1移動体が走行する道路周辺に設けられた路側機とデータ通信が可能であり、
前記コントローラは、
前記交錯すると判断された前記対象移動体に関する情報を含む配信データを送信する前記路側機に向けて、前記通信部の無線通信に関する指向性を制御する
請求項4記載の情報処理装置。
【請求項16】
前記スキャンの範囲には、前記第1移動体が将来走行する経路における前記第1移動体の前方及び交差点、並びに前記交差点を通る交差道路が含まれる
請求項15記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自車両の周辺に存在する複数の他車両と車車間通信を行う通信部を備える通信装置が開示されている。この通信装置は、複数の他車両に関する情報を取得する取得部と、取得部が取得した情報に基づいて、アンテナ部の指向性の少なくとも一方を制御する制御部とをさらに備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-67880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された手法は、レーダ装置が検出した他車両に対してアンテナ部の指向性を制御している。自車両の将来の走行に影響がある他車両であっても、レーダ装置が他車両を現に検出するまでは、アンテナ部の指向性はその他車両に対して制御されない。そのため、必要な情報を適切に受け取ることができない虞がある。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、必要な情報を適切に受け取ることができる情報処理装置及び情報処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る情報処理装置は、第1移動体の周囲に存在する第2移動体との間でデータ通信を行う通信部と、通信部によって行われるデータ通信を制御するコントローラ110と、を備えている。コントローラ110は、第1移動体との間の通信品質が所定の基準を満たさない第2移動体である対象移動体を特定し、第1移動体が将来走行する第1将来位置と、対象移動体が将来走行する第2将来位置との相対位置関係に基づいて、通信部の無線通信に関する指向性を制御する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、必要な情報を適切に受け取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態に係る通信ネットワークを示す構成図である。
図2A図2Aは、通信部の通常モードを説明する図である。
図2B図2Bは、通信部の指向性モードを説明する図である。
図3図3は、通信ネットワークにおける車車間通信の処理の流れを示すフローチャートである。
図4図4は、本実施形態に係る走行シーンを説明する図である。
図5図5は、対象車両及び指向性ビームを説明する図である。
図6図6は、通常モードへの切り替えを示す説明図である。
図7図7は、本実施形態が適用可能な走行シーンを説明する図である。
図8図8は、路側機及び指向性ビームを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図面の記載において同一の構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0010】
図1を参照して、本実施形態に係る通信ネットワークを説明する。本実施形態に係る通信ネットワークは、車両Aと、車両Bとを備えている。車両A及び車両Bは、移動体(第1移動体及び第2移動体)の一例である。車両Aは、自車両であり、車両Bは、自車両の周囲に存在する他車両である。図1では、車両Bが1台のみが描かれているが、車両Bは複数でもよい。
【0011】
車両A及び車両Bは、自動運転機能を有する車両でもよく、自動運転機能を有しない車両でもよい。また、車両A及び車両Bは、自動運転と手動運転とを切り替えることが可能な車両でもよい。本実施形態では、車両A及び車両Bは、自動運転機能を有する車両として説明する。
【0012】
通信ネットワークは、路側機300と、基地局400とをさらに備えている。
【0013】
車両Aは、データ通信機能を有する通信部100を備える。車両Bは、データ通信機能を有する通信部200を備える。個々の通信部100、200は、例えば一つ以上のアンテナ、モデム、アプリケーションプロセッサ、メモリなどで構成されている。
【0014】
通信部100と通信部200とは、通信を直接的に行うことができる。通信部100と通信部200とが行う直接的な通信を、以下では直接通信と定義する。直接通信は、車車間通信と表現されてもよい。本実施形態では、車両A及び車両Bは、直接通信によって、車両(車両A及び車両B)の情報など複数のデータを共有することができる。
【0015】
通信部100と通信部200とは、基地局400及び図示しないネットワーク(例えば携帯電話網など)を経由して、相互に通信を行うことも可能である。基地局400は、移動しない固定の通信装置であり、ネットワークをカバーするアクセスポイントである。基地局400及びネットワークを経由した通信部100と通信部200との通信は、直接通信との対比で、間接通信と定義される。
【0016】
直接通信は、基地局400及びネットワークを経由しないため、低遅延、かつ簡易な構成で相手方へデータを送信することができる。間接通信は、直接通信では送ることができない大容量データ、一定時間情報が変わらずに繰り返し送るデータを送信する際に用いられる。また、間接通信は、直接通信できない場合に用いることができる。
【0017】
個々の通信部100、200は、路側機300と通信を行うことができる。路側機300は、例えば道路路肩の道路設備に配備される固定の通信装置であり、所定の情報を含む配信データを、道路上の車両に対して配信する。路側機300は、RSU(roadside unit)、又はITS(intelligent transport systems)スポットと称されることもある。
【0018】
本実施形態に示す路側機300は、送信局に相当し、通信部100、200は、受信局に相当する。路側機300と通信部100、200とは、路側機300から通信部100、200に向かうダウンリンクの通信を行う。もっとも、路側機300と通信部100、200とは、逆方向のアップリンクの通信を行うこともできる。この場合、通信部100、200が送信局に相当し、路側機300が受信局に相当する。通信部100、200と路側機300との通信は路車間通信とも称される。
【0019】
路側機300から配信される配信データには、路側機300の情報を示す路側機データと、路側機300の周囲に存在する車両の情報を示す交通データとが含まれる。路側機300の情報には、路側機300の位置情報などが含まれる。車両の情報には、車両の位置情報、速度情報、進行方向情報などが含まる。
【0020】
つぎに、車両Aの構成について説明する。
【0021】
車両Aは、上述した通信部100と、GPS受信機101と、地図情報取得部102と、コントローラ110とを備える。通信部100、GPS受信機101、地図情報取得部102、及びコントローラ110は、本実施形態に示す車車間通信を実現する情報処理装置を構成する。
【0022】
GPS受信機101は、人工衛星からの電波を受信することにより、地上における車両Aの位置情報を検出する。GPS受信機101が検出する車両Aの位置情報には、緯度情報、経度情報、及び時刻情報が含まれる。GPS受信機101は、検出した車両Aの位置情報をコントローラ110に出力する。なお、車両Aの位置情報を検出する方法は、GPS受信機101に限定されない。例えば、オドメトリと呼ばれる方法を用いて位置を推定してもよい。オドメトリとは、車両Aの回転角、回転角速度に応じて車両Aの移動量及びと移動方向を求めることにより、車両Aの位置を推定する方法である。なお、GPS(Global Positioning System)は、GNSS(Global Navigation Satellite System)の一部である。
【0023】
地図情報取得部102は、車両Aが走行する道路の構造を示す地図情報を取得する。地図情報取得部102は、地図情報を格納した地図データベースを所有してもよいし、クラウドコンピューティングにより地図情報を外部の地図データサーバから取得してもよい。また、地図情報取得部102は、車車間通信、路車間通信を用いて地図情報を取得してもよい。
【0024】
地図情報には、交差点や分岐点などを示すノードの種別、ノードの位置などを含むノード情報、ノード間を繋ぐ道路区間であるリンクの種別、リンク長、車線数、曲率、勾配などを含むリンク情報が含まれる。また、リンク情報には、車線の絶対位置、車線の接続関係などの道路構造の情報が含まれる。さらに、地図情報には、交通規則、道路標識などの情報が含まれる。
【0025】
コントローラ110は、例えばマイクロコンピュータにより構成されている。コントローラ110は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサと、メモリと、各種のインターフェースとを有している。メモリ、各種のインターフェースは、バスを介してハードウェアプロセッサに接続されている。
【0026】
マイクロコンピュータには、情報処理装置として機能させるためのコンピュータプログラムがインストールされている。コンピュータプログラムを実行することにより、マイクロコンピュータは、情報処理装置が備える複数の情報処理回路として機能する。コントローラ110は、複数の情報処理回路の一例として、通信制御部111を備える。
【0027】
通信制御部111は、通信部100によって行われる無線通信(データ通信)を制御する。
【0028】
通信制御部111は、通信部100の動作モードの切り替え、通信部100が形成するビームの制御などを行う。通信部100は、切り替え可能な動作モードとして、通常モードと、指向性モードとを有している。図2A及び図2Bを参照し、通信部100の動作モードを説明する。
【0029】
図2Aを参照し、通常モードについて説明する。通常モードは、通信部100の無線通信に関する指向性を制御せずに予め設定された範囲(エリア)に対して無線通信を行うモードである。通常モードで動作する場合、通信部100、具体的には通信部100のアンテナは、所定の範囲(エリア)に対して、通常ビームBnを形成する。通常ビームBnは、例えば、全方位に対して均等に形成されるビームであり、特定の方位に対して指向性を持たない。通常ビームBnは、通信部100を中心として所定距離を半径とする円形状の範囲に形成される。このように、通常ビームBnが形成する所定範囲を、所定距離を半径とする円形状の範囲としてもよいし、他の例としては、所定範囲を車両進行方向など所定の方向に指向性を持たせた所定範囲としてもよい。このように、通常モードでは、通信部100のアンテナにより、予め設定された所定範囲に対して通常ビームBnを形成する。
【0030】
車両Aは、通常ビームBnが形成されるエリア内に存在する車両Bと通信を行うことができる。通常モードで動作する通信部100と通信を行うことができるエリアを通常通信エリアという。通常通信エリアは、基本的には、通常ビームBnが形成されるエリアと対応する。ただし、電波の減衰の影響、遮蔽物の存在といった通信環境の影響により、通常ビームBnが形成されるエリアであっても、一定レベル以上の通信品質で車両Bと通信できないことがある。すなわち、通常通信エリアは、一定レベル以上の通信品質で車両Bと通信できるエリアをいい、必ずしも通常ビームBnが形成されるエリア(所定の範囲)と一致するものではない。
【0031】
図2Bを参照し、指向性モードについて説明する。指向性モードは、通信部100の無線通信に関する指向性を制御することができるモードである。本明細書では、以下、無線通信に関する指向性を、単に「指向性」という。指向性モードで動作する場合、通信部100のアンテナは、指向性ビームBdを形成する。指向性ビームBdは、特定の方位に向けて形成されるビームであり、特定の方位に対して指向性を有している。方位は、方向の水平成分に相当する。指向性ビームBdは、所定の方位角となるビーム軸Bd1を中心に所定のビーム幅Bd2を有するビームとして形成される。ビーム軸Bd1の方位角と、ビーム幅Bd2とはそれぞれ調整することができ、これにより、通信部100の指向性を調整することができる。このように、指向性モードは、通信部100のアンテナが指向性を有する動作モードに相当する。
【0032】
車両Aは、指向性ビームBdが形成されるエリア内に存在する車両Bと通信を行うことができる。指向性ビームBdは、ビーム軸Bd1に沿う方向に長く形成され、その距離(軸方向の距離)は通常ビームBnの半径距離よりも長くなっているまた、車両Bが同一位置に存在すると仮定した場合、指向性ビームBdを用いた通信での受信強度は、通常ビームBnを用いた通信での受信強度よりも相対的に高くなる。よって、指向性ビームBdを用いることで、通常通信エリアの外にいる車両Bとも通信を行うことができる。指向性ビームBdは、通常ビームBnではデータ通信を行うことができない位置に存在する車両Bとデータ通信を行うことができるビームである。すなわち、指向性モードは、通常モードと比べて指向性を制御することで、通常モードではデータ通信を行うことができない位置に存在する車両Bとデータ通信を行うことができるモードである。
【0033】
通信部100が指向性モードで動作する場合、通信制御部111は、指向性ビームBdの制御を行う。指向性ビームBdの制御には、ビーム軸Bd1の方位角とビーム幅Bd2とを調整するビームフォーミングが含まれる。通信制御部111は、ビームフォーミングにより、通信部100の指向性、すなわち、通信部100のアンテナによって形成されるビームの指向性を制御する。
【0034】
通信部100は、車両Aの周囲に、車両Aの現在の位置情報、走行計画情報など含む車両A位置データをブロードキャスト送信する。ブロードキャスト送信には、直接通信方式が用いられる。直接通信方式は、例えばIEEE 802.11pに準拠したDSRC方式(周波数:5.9GHz帯)、あるいは3GPP Release14以降の仕様に準拠したセルラV2X方式である。
【0035】
現在の位置情報は、車両Aの現在位置を示す緯度及び経度と、当該位置を取得した際の時間とを関連付けたデータである。
【0036】
走行計画情報とは、車両Aが将来走行する将来位置に対して車速が関連付けられた車速計画データと、将来の走行経路データとを含む走行計画データである。将来の走行経路データ(将来経路データ)は、車両Aが将来走行する経路の情報を含んでいる。将来の走行経路データは、予め設定された目的地まで走行する走行道路のルート情報でもよいし、車速計画データに基づいて将来位置(緯度、経度)と通過予定時刻が関連付けられたデータであってもよい。例えば、走行計画情報は、SAE2735(Dedicated Short Range Communications(DSRC)Message Set Dictionary)のメッセージに準拠したデータに対して、車速計画データを追加したデータである。なお、「将来」とは、現在から所定時間後に到来するある時点を指す。
【0037】
ブロードキャスト送信される車両A位置データの例を表1に示す。車両A位置データは、ヘッダ及びコンテンツデータを含むパッケージデータである。
【表1】
【0038】
表1に示すように、車両A位置データのヘッダには、送信元である車両Aの識別番号と、コンテンツデータに含まれるコンテンツの種別を示す識別情報(例えば、現在の位置情報、走行計画情報などを示す識別用のID)が格納される。コンテンツデータには、緯度、経度とこれらの位置情報を取得した時間とを関連付けたデータである現在の位置情報、および走行計画情報とが格納される。
【0039】
通信制御部111は、通信部100によって行われる無線通信を制御する機能以外にも、無線通信の遂行に必要な各種の処理を行うデータ処理機能を担っている。ヘッダ及びコンテンツデータを含むパッケージデータである車両A位置データは、通信制御部111によって、GPS受信機101などから取得したデータ及びコントローラ110に備えるメモリに予め記録されたデータに基づいて生成される。車両A位置データは、通信部100より送信され、車両Bの通信部200により受信される。
【0040】
通信部100は、車両Bの通信部200より送信された、車両B位置データを受信し、受信した車両B位置データを通信制御部111に出力する。通信制御部111は、通信部100から車両B位置データを取得する。通信部100が、車両B位置データを受信したということは、車両Aと車両Bとの間で直接通信が確立したことを意味する。
【0041】
本実施形態との関係において、通信制御部111は、データ処理機能を利用して、車両A及び車両Bが将来走行する将来位置を特定する。そして、通信制御部111は、車両Aの将来位置と車両Bの将来位置との相対位置関係に基づいて、通信部100の指向性を制御する。
【0042】
つぎに、車両Bの構成について説明する。
【0043】
図1に示すように、車両Bは、上述した通信部200と、GPS受信機201と、地図情報取得部202と、コントローラ210とを備えている。通信部200、GPS受信機201、地図情報取得部202、及びコントローラ210は、本実施形態に示す車車間通信を実現する情報処理装置を構成する。
【0044】
GPS受信機201及び地図情報取得部202の機能は、GPS受信機101及び地図情報取得部102の機能と同様である。コントローラ210は、コントローラ110と同様に、ハードウェアプロセッサと、メモリと、各種のインターフェースとを備えたマイクロコンピュータにより構成されている。コントローラ210は、複数の情報処理回路の一例として、通信制御部211を備える。通信制御部211の機能は、通信制御部111の機能と同じであり、通信部100によって行われる無線通信を制御する機能、車両B位置データの生成など無線通信の遂行に必要な各種の処理を行うデータ処理機能を備えている。
【0045】
図3から図6を参照し、通信ネットワークにおける車車間通信の処理の流れを説明する。図3のフローチャートに示す処理は、自車両A(図1の車両Aに対応)のコントローラ110によって実行される。通信部100の動作モードは、初期的には通常モードに設定されている。また、以下の説明では、図4に示すような交差点を走行するシーンを想定する。自車両Aは、ノードN1で示される交差点に接続する道路を走行している。自車両Aの現在位置は、交差点より第1距離だけ手前の位置(Xa、Xb)である。自車両Aが将来走行する経路は、交差点で左折する経路であるとする。また、三台の他車両B1、B2、B3(それぞれ図1の他車両Bに対応)が、ノードN1で示される交差点を通る交差道路を走行している。他車両B1の現在位置は、交差点を通過した位置(Xb1、Yb1)である。他車両B2の現在位置は、交差点より第2距離だけ手前の位置(Xb2、Yb2)であり、他車両B3の現在位置は、交差点より第2距離だけ手前の位置(Xb3、Yb3)である。第2距離は、第3距離より小さく、第3距離は第1距離と概ね同じである。それぞれの他車両B1、B2、B3が将来走行する経路は、交差道路を直進する経路であるとする。
【0046】
まず、コントローラ110は、自車両Aが将来走行する将来位置を特定する(S10)。コントローラ110は、例えば、車両A位置データに含まれる車速計画データを取得し、この車速計画データから将来位置を特定する。あるいは、コントローラ110は、車両A位置データに含まれる将来の走行経路データを取得し、将来の走行経路に基づいて将来位置を特定してもよい。
【0047】
コントローラ110は、自車両Aの走行シーンが注意すべき状況であるか否かを判断する。注意すべき状況の一例は、図4に示すように、交差点を走行するシーンである。コントローラ110は、地図情報取得部102によって取得される地図情報を参照する。コントローラ110は、自車両Aの将来位置が交差点と対応する場合、或いは、自車両Aの将来の走行経路に交差点が含まれる場合には、自車両Aの走行シーンが注意すべき状況であると判断する(S12でYes)。
【0048】
コントローラ110は、通信部100の動作モードを通常モードから指向性モードへと切り替える。そして、コントローラ110は、指向性ビームBdを方位角方向にスイープ制御して、必要な範囲をスキャンする(S14)。指向性ビームBdによってスキャンする範囲は、自車両Aの現在位置及び将来位置を中心に行われる。これにより、交差点に接続する道路における自車両の前方、交差点、及び交差点を通る交差道路が、指向性ビームBdによってスキャンされる。指向性ビームBdによってスキャンされる範囲には、自車両Aの将来経路に含まれる交差点を通過する経路を有する他車両B1、B2、B3が存在する。コントローラ110は、他車両B1、B2、B3のそれぞれから、他車両B位置データを取得する(S16)。
【0049】
コントローラ110は、対象車両を特定する(S18)。具体的には、コントローラ110は、通信部100が信号(他車両B位置データ)を受信したときに、その信号の受信強度を検出する。受信強度は、他車両B1、B2、B3との間の通信品質を評価するパラメメータである。例えば、受信強度(dBm)は、0以下のマイナスの値で表現され、通信品質が悪いほど、その値が小さくなる(マイナス側に大きくなる)。コントローラ110は、所定の基準値よりも小さい受信強度となる他車両を対象車両として特定する。すなわち、コントローラ110は、通信品質が所定の基準を満たさない他車両を対象車両として特定することとなる。
【0050】
電波は距離に応じて減衰するため、受信強度は、自車両Aと他車両B1、B2、B3との距離に応じて変化する。そこで、コントローラは、自車両Aと他車両B1、B2、B3との距離とに基づいて受信強度の減衰量を推定し、推定した減衰量に基づいて、所定の基準を満たさない通信品質となる他車両を判断してもよい。また、通信品質の評価は、受信強度に限らず、その他の要素に着目して行ってもよい。
【0051】
以下の説明では、三台の他車両B1、B2、B3のいずれも、通信品質が所定の基準を満たさないものとする。コントローラ110は、以下の処理を行い、通信品質が所定の基準を満たさない他車両B1、B2、B3の中で、対象車両の絞り込みを行う。
【0052】
まず、コントローラ110は、他車両B位置データに含まれる車速計画データから、他車両B1、B2、B3の将来位置を特定する。あるいは、コントローラ110は、他車両B位置データに含まれる将来の走行経路データを取得し、将来の走行経路に基づいて将来位置を特定する。
【0053】
コントローラ110は、自車両Aの将来位置と、他車両B1、B2、B3の将来位置との相対位置関係に基づいて、自車両Aと他車両B1、B2、B3とが将来交錯するか否かを判断する。具体的には、コントローラ110は、将来の同一時刻における自車両Aの将来位置と、他車両B1、B2、B3の将来位置とが一致する、或いは一定の範囲内にある場合には、自車両Aと他車両B1、B2、B3とが将来交錯すると判断する。図4に示す例では、自車両Aから交差点までの距離と、他車両B3から交差点までの距離とが概ね一致している。自車両Aと他車両B3との速度が概ね同じである場合、将来の同一時刻おいて自車両Aと他車両B3とが交差点に進入することとなる。したがって、自車両Aと他車両B3とは、将来の同一時刻における将来位置が一致する、或いは一定の範囲内にある関係となる。そこで、コントローラ110は、自車両Aと他車両B3とが交錯すると判断する。一方、他車両B1、B2は、自車両Aに対して、上記の関係にないので、自車両Aと交錯しないと判断する。そして、コントローラ110は、三台の他車両B1、B2、B3の中でも、他車両B3が最も優先度が高い車両であると判定する。これにより、コントローラ110は、優先度が最も高い他車両B3を、最終的な対象車両として確定する。
【0054】
将来の交錯を判断する手法は、将来位置を比較する以外の手法であってもよい。例えば、コントローラ110は、将来走行する経路同士である走行経路データを比較することで、将来の交錯を判断してもよい。
【0055】
また、他車両B1、B2、B3によっては送信するデータの内容が異なり、走行計画情報(将来位置及び将来の走行経路)を取得できない場合がある。この場合、コントローラ110は、他車両B1、B2、B3の現在の位置情報に基づいて、将来の交錯を判断してもよい。例えば、コントローラ110は、自車両Aの現在位置から交差点までの距離と、他車両B1、B2、B3の現在位置から交差点までの距離との差が基準値以下である場合には、両者は交錯すると判断する。
【0056】
また、コントローラ110は、他車両B1、B2、B3の現在位置の変化から、他車両B1、B2、B3の速度を特定することができる。これにより、コントローラ110は、自車両Aに対する他車両B1、B2、B3の相対速度を求めることができる。自車両Aと他車両B1、B2、B3とが交差点に向かって相互に接近する場合、自車両Aに対する他車両B1、B2、B3の相対速度はマイナスとなる。そこで、コントローラ110は、自車両Aに対する他車両B1、B2、B3の相対速度が所定の判定値(例えばゼロ)よりも小さい場合に、両者は交錯すると判断してもよい。
【0057】
また、コントローラ110は、他車両B1、B2、B3の現在位置、他車両B1、B2、B3の速度、地図情報に基づいて、他車両B1、B2、B3の将来の走行経路を予測する。コントローラ110は、自車両Aの将来の走行経路と、他車両B1、B2、B3の将来の走行経路とを比較することで、両者の交錯を判断してもよい。
【0058】
コントローラ110は、これらの手法を単独で、或いは組み合わせることで、将来の交錯を複合的に判断してもよい。これにより、コントローラ110は、自車両Aの将来経路に含まれる交差点を通過する経路を有する他車両B1、B2、B3のうち、最も優先度の高い他車両B3を対象車両として特定することができる。
【0059】
対象車両が特定されると、コントローラ110は、指向性ビームBdの角度制御を開始する(S20)。図5に示すように、コントローラ110は、指向性ビームBdが対象車両である他車両B3に向くように、指向性ビームBdを制御する。すなわち、コントローラ110は、指向性ビームBdのビーム軸Bd1を所定の方位角に調整する。ビーム軸Bd1を向けるべき方位角は、自車両Aの現在位置と他車両B3の現在位置とに基づいて自車両Aから他車両B3を観測したときの方位角を演算することで、特定することができる。ビーム軸Bd1の方位角を制御することで、指向性ビームBdは、他車両B3の現在位置に向くように調整される。
【0060】
指向性ビームBdが他車両B3に向けられると、その後、コントローラ110は、移動する他車両B3を追従するように指向性ビームBdを制御する。他車両B3を追従する方法としては、他車両B3とのデータ通信を利用して他車両B3の現在位置を継続的に特定し、最新の現在位置に基づいて指向性ビームBdの方位角を制御する方法が挙げられる。また、コントローラ110は、受信強度が最大となる点を探索するように、指向性ビームBdの方位角をフィードバック制御してもよい。
【0061】
コントローラ110は、他車両B3とデータ通信を開始する(S22)。
【0062】
コントローラ110は、他車両B3を監視する(S24)。他車両B3の監視には、受信強度の監視と、他車両B3の現在位置の監視とが含まれる。
【0063】
コントローラ110は、他車両B3が通常ビームBnでも通信できる条件を具備したかどうかを判断する。具体的には、受信強度が一定の水準まで上昇した場合、或いは、他車両B3の現在位置が通常ビームBnのエリア内に存在する場合、コントローラ110は、上記の条件を具備したと判断し(S26でYes)、通信部100の動作モードを通常モードへと切り替える(S28)。一方、コントローラ110は、条件を具備していないと判断した場合には、他車両B3の監視を継続する(S24)。
【0064】
このように本実施形態において、情報処理装置のコントローラ110は、自車両の将来位置と他車両の将来位置との相対位置関係に基づいて、通信部100の指向性を制御している。相対位置関係を考慮することで、自車両(第1移動体)の将来の走行に影響がある他車両(第2移動体)を把握することができるので、この他車両の情報が得られる所望の通信対象に向けて通信部の指向性を制御することができる。これにより、通信対象とデータ通信を良好に行うことができるので、必要な情報を適切に受け取ることができる。
【0065】
本実施形態において、情報処理装置のコントローラ110は、自車両及び他車両の将来経路データから、自車両及び他車両の将来位置を特定している。将来走行する経路を考慮することができるので、将来位置を精度よく特定することができる。その結果、自車両の将来の走行に影響がある他車両を適切に把握することができる。
【0066】
本実施形態では、自車両の将来経路に含まれる交差点を通過する経路を有する他車両が、対象車両として例示されている。この他車両は、自車両の将来の走行に影響を与える可能性が高いので、対象車両として扱うことが好ましい。これにより、自車両の将来の走行に影響がある他車両を適切に把握することができる。
【0067】
本実施形態において、情報処理装置のコントローラ110は、自車両と対象車両とが将来交錯するか否かを判断し、その判断結果に基づいて、通信部100の指向性を制御している。自車両と対象車両とが将来交錯する場合、その対象車両は、自車両の将来の走行に与える影響が大きい。交錯を判断することで、自車両の将来の走行に影響がある他車両を適切に把握することができる。
【0068】
本実施形態において、情報処理装置のコントローラ110は、交錯すると判断された対象車両に向けて、通信部100の指向性を制御している。自車両は、将来交錯する他車両との間でデータ通信を確実に行うことができるので、必要な情報を適切に受け取ることができる。
【0069】
自車両と対象車両との交錯は、自車両に対する対象車両の相対速度から評価することができる。そのため、自車両に対する対象車両の相対速度を参酌することで、交錯の判断を適切に行うことができる。
【0070】
自車両が進入する交差点に、交差道路を走行する他車両が進入する場合、自車両に対する他車両の相対速度はゼロ以下又はゼロに近い値となる。そのため、コントローラは、相対速度が所定の判定値よりも小さいことを条件に、自車両と対象車両とが交錯すると判断することができる。
【0071】
本実施形態において、通信部100は、指向性を有するビームを形成することで、通信部100の指向性を調整することができる。これにより、通信部100の指向性を適切に制御することができる。
【0072】
通信部100が指向性を有しない通常モードで動作する場合、所望の他車両の情報が得られる通信対象との間でデータ通信を良好に行うことができない場合がある。しかしながら、通信部100の動作モードを指向性モードに切り替えることで、所望の通信対象に対して通信部100の指向性を制御することができる。これにより、通信対象とデータ通信を良好に行うことができるので、必要な情報を適切に受け取ることができる。
【0073】
本実施形態において、情報処理装置のコントローラ110は、自車両の周囲をスキャンして、対象車両とデータ通信することで対象車両の将来の走行経路を取得している。これにより、対象車両が将来走行する経路を把握することができるので、対象車両の将来位置を精度よく特定することができる。
【0074】
上述した実施形態では、注意すべき状況として、交差点を走行するシーンを例示した。しかしながら、注意すべき状況は、自車両と他車両とが交錯するといったように、自車両の将来の走行に影響がある他車両が存在するシーンであればよい。例えば、図7に示すように、走行車線Laを走行する自車両Aが追い越し車線Lbへ車線変更するシーンであってもよい。追い越し車線Lbを走行する他車両Bは、自車両Aと交錯する可能性があるので、将来の走行に影響を与える可能性が高い。したがって、車線変更のシーンでは、自車両Aが走行する道路の追い越し車線Lbを走行する経路を有する他車両Bが、対象車両として特定される。これにより、自車両Aの将来の走行に影響がある他車両Bを適切に把握することができる。なお、追い越しを行うシーンは、追い越し車線を利用して追い越しを行う以外にも、対向車線を利用して追い越しを行う状況であってもよい。
【0075】
コントローラ110は、自車両が追い越しを行うと判定した場合に、対象車両を特定する処理を行うことが好ましい。例えば、コントローラ110は、乗員による追い越しを許可する操作信号を検出した場合に、自車両が追い越しを行うと判定する。あるいは、コントローラ110は、地図情報や先行車両のデータに基づいて、走行車線における自車両の前方に障害物が存在すること、或いは自車両よりも速度が遅い先行車両が存在することを条件に、自車両が追い越しを行うことを自律的に判定してもよい。このように、自車両が追い越しを行う場合には、自車両の追い越しをトリガーとして、対象車両を特定する処理を行うことで、適切なタイミングで対象車両を特定することができる。
【0076】
また、注意すべき状況は、特定の走行シーンに限らない。通信部100の通常通信エリアの外に他車両が存在している場合には、その他車両は自車両の将来の走行に影響を与えることがある。例えば、コントローラ110は、指向性ビームBdをスイープ制御して、自車両の全周囲に対してスキャン動作を行うことで、通常通信エリアの外に位置する他車両の有無を判定することができる。これにより、自車両の将来の走行に影響がある他車両を適切に把握することができる。
【0077】
また、本実施形態では、対象車両を特定すると、コントローラ110は、指向性ビームBdが対象車両に向くように、指向性ビームBdを制御している。しかしながら、自車両が対象車両と通信を行うことの趣旨は、自車両と交錯する対象車両の情報を取得することにある。また、指向性ビームBdを形成した場合であっても、対象車両との間に遮蔽物が存在するといったように、通信環境によっては対象車両との間で車車間通信を行うことができない場合がある。
【0078】
図8に示すように、自車両が走行する道路には、車両の情報を配信する路側機300が存在することがある。そこで、対象車両の情報を含む配信データを送信する路側機300が存在する場合、コントローラ110は、路側機300に向けて、指向性ビームBdを制御してもよい。例えば、コントローラ110は、上述したスキャン動作の際に、路側機300と通信することができた場合には、配信データを解析することで、対象車両の情報を含む配信データを送信する路側機300であるかどうかを判断することができる。また、配信データより、指向性ビームBdを向けるべき路側機300の位置情報を取得することができる。
【0079】
このように、コントローラ110は、交錯すると判断された対象車両に関する情報を含む配信データを送信する路側機300に向けて、通信部100の指向性を制御してもよい。これにより、路側機300との間でデータ通信を確実に行うことができるので、交錯すると判断された対象車両の情報を適切に受け取ることができる。すなわち、コントローラ110は、対象車両そのものに代えて、対象車両の情報を含む配信データを送信する路側機300を、対象車両として扱ってもよい。
【0080】
また、本実施形態に開示する情報処理方法によれば、情報処理装置と同様、自車両の将来位置と他車両の将来位置との相対位置関係に基づいて、通信部100の指向性を制御することができる。相対位置関係を考慮することで、自車両(第1移動体)の将来の走行に影響がある他車両(第2移動体)を把握することができるので、この他車両の情報が得られる所望の通信対象に向けて通信部の指向性を制御することができる。これにより、通信対象とデータ通信を良好に行うことができるので、必要な情報を適切に受け取ることができる。
【0081】
なお、本実施形態では、ソフトウェアによってコントローラ110、210が備える複数の情報処理回路を実現する例を示したが、もちろん、各情報処理を実行するための専用のハードウェアを用意して、情報処理回路を構成することも可能である。また、複数の情報処理回路を個別のハードウェアにより構成してもよい。
【0082】
上記のように、本発明の実施形態を記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【符号の説明】
【0083】
A 車両、自車両(第1移動体、情報処理装置)
100 通信部
101 GPS受信機
102 地図情報取得部
110 コントローラ
111 通信制御部
B 車両、他車両(第2移動体、情報処理装置)
200 通信部
201 GPS受信機
202 地図情報取得部
210 コントローラ
211 通信制御部
300 路側機
400 基地局
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8