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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】無線通信システム、端末、及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 7/022 20170101AFI20240717BHJP
   H04B 7/08 20060101ALI20240717BHJP
   H04B 7/185 20060101ALI20240717BHJP
   H04W 16/28 20090101ALI20240717BHJP
   H04W 84/06 20090101ALI20240717BHJP
   H04W 88/02 20090101ALI20240717BHJP
【FI】
H04B7/022
H04B7/08 800
H04B7/185
H04W16/28
H04W84/06
H04W88/02 140
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023508667
(86)(22)【出願日】2022-01-14
(86)【国際出願番号】 JP2022001029
(87)【国際公開番号】W WO2022201770
(87)【国際公開日】2022-09-29
【審査請求日】2023-07-12
(31)【優先権主張番号】P 2021051506
(32)【優先日】2021-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】若藤 健司
【審査官】鉢呂 健
(56)【参考文献】
【文献】特開平7-154859(JP,A)
【文献】特表2018-528636(JP,A)
【文献】特開2020-182157(JP,A)
【文献】特表2006-515725(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/022
H04B 7/06
H04B 7/08
H04W 16/28
H04W 84/06
H04W 88/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上に配置された地上基地局と、
所定の高度範囲内に配置された高高度基地局と、
前記地上基地局及び前記高高度基地局と接続可能な端末と、を備え、
前記地上基地局及び前記高高度基地局は、
前記端末の向きの送信ビームフォーミングの方向を順次切り替える送信ビームスイーピングを行い、
前記端末は、
前記地上基地局の向きの受信ビームフォーミングの方向を順次切り替える受信ビームスイーピングを予め決められた時間だけ行い、
前記地上基地局の向きの受信ビームスイーピングにより前記地上基地局を見つけられた場合、前記地上基地局と接続し、
前記地上基地局の向きの受信ビームスイーピングにより前記地上基地局を見つけられなかった場合、前記高高度基地局の向きの受信ビームフォーミングの方向を順次切り替える受信ビームスイーピングを開始し、
前記高高度基地局の向きの受信ビームスイーピングにより前記高高度基地局を見つけられた場合、前記高高度基地局と接続する、
無線通信システム。
【請求項2】
前記端末は、
前記高高度基地局の向きの受信ビームスイーピングを行う間に、前記地上基地局の向きの受信ビームスイーピングを割り込んで行う、
請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記端末は、
前記高高度基地局の向きの受信ビームスイーピングを行う間に、前記地上基地局の向きの受信ビームスイーピングを割り込んで行う場合、前記地上基地局の向きの受信ビームスイーピングの割合を、前記高高度基地局の向きの受信ビームスイーピングよりも大きくする、
請求項2に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記地上基地局及び前記高高度基地局は、
前記端末の向きの送信ビームスイーピングを行う場合、前記端末の向きの送信ビームフォーミングの方向を、予め決められた複数方向に順次切り替え、
前記端末は、
前記地上基地局又は前記高高度基地局の向きの受信ビームスイーピングを行う場合、前記地上基地局又は前記高高度基地局の向きの受信ビームフォーミングの方向を、予め決められた複数方向に順次切り替える、
請求項1から3のいずれか1項に記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記端末は、
前記地上基地局又は前記高高度基地局の向きの受信ビームスイーピングを行う場合、前記地上基地局又は前記高高度基地局の向きの受信ビームフォーミングの方向を、予め決められた時間だけ固定した後、別の方向に切り替える、
請求項4に記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記端末は、
前記地上基地局又は前記高高度基地局と接続した場合、前記地上基地局又は前記高高度基地局との間でビームを送受信することと並行して、前記地上基地局又は前記高高度基地局から受信したビームに含まれる情報に基づいて、前記地上基地局又は前記高高度基地局に送信するビームのビーム方向を補正することを継続し、
前記地上基地局及び前記高高度基地局は、
前記端末と接続した場合、前記端末との間でビームを送受信することと並行して、前記端末から受信したビームに含まれる情報に基づいて、前記端末に送信するビームのビーム方向を補正することを継続する、
請求項1から5のいずれか1項に記載の無線通信システム。
【請求項7】
地上に配置された地上基地局及び所定の高度範囲内に配置された高高度基地局と通信可能な通信部と、
前記通信部に結合された処理部と、を備え、
前記処理部は、
前記地上基地局の向きの受信ビームフォーミングの方向を順次切り替える受信ビームスイーピングを予め決められた時間だけ行い、
前記地上基地局の向きの受信ビームスイーピングにより前記地上基地局を見つけられた場合、前記地上基地局と接続し、
前記地上基地局の向きの受信ビームスイーピングにより前記地上基地局を見つけられなかった場合、前記高高度基地局の向きの受信ビームフォーミングの方向を順次切り替える受信ビームスイーピングを開始し、
前記高高度基地局の向きの受信ビームスイーピングにより前記高高度基地局を見つけられた場合、前記高高度基地局と接続する、
端末。
【請求項8】
前記処理部は、
前記高高度基地局の向きの受信ビームスイーピングを行う間に、前記地上基地局の向きの受信ビームスイーピングを割り込んで行う、
請求項7に記載の端末。
【請求項9】
前記処理部は、
前記高高度基地局の向きの受信ビームスイーピングを行う間に、前記地上基地局の向きの受信ビームスイーピングを割り込んで行う場合、前記地上基地局の向きの受信ビームスイーピングの割合を、前記高高度基地局の向きの受信ビームスイーピングよりも大きくする、
請求項8に記載の端末。
【請求項10】
前記処理部は、
前記地上基地局又は前記高高度基地局の向きの受信ビームスイーピングを行う場合、前記地上基地局又は前記高高度基地局の向きの受信ビームフォーミングの方向を、予め決められた複数方向に順次切り替える、
請求項7から9のいずれか1項に記載の端末。
【請求項11】
前記処理部は、
前記地上基地局又は前記高高度基地局の向きの受信ビームスイーピングを行う場合、前記地上基地局又は前記高高度基地局の向きの受信ビームフォーミングの方向を、予め決められた時間だけ固定した後、別の方向に切り替える、
請求項10に記載の端末。
【請求項12】
前記処理部は、
前記地上基地局又は前記高高度基地局と接続した場合、前記地上基地局又は前記高高度基地局との間でビームを送受信することと並行して、前記地上基地局又は前記高高度基地局から受信したビームに含まれる情報に基づいて、前記地上基地局又は前記高高度基地局に送信するビームのビーム方向を補正することを継続する、
請求項7から11のいずれか1項に記載の端末。
【請求項13】
端末の制御方法であって、
地上に配置された地上基地局の向きの受信ビームフォーミングの方向を順次切り替える受信ビームスイーピングを予め決められた時間だけ行うステップと、
前記地上基地局の向きの受信ビームスイーピングにより前記地上基地局を見つけられた場合、前記地上基地局と接続するステップと、
前記地上基地局の向きの受信ビームスイーピングにより前記地上基地局を見つけられなかった場合、所定の高度範囲内に配置された高高度基地局の向きの受信ビームフォーミングの方向を順次切り替える受信ビームスイーピングを開始するステップと、
前記高高度基地局の向きの受信ビームスイーピングにより前記高高度基地局を見つけられた場合、前記高高度基地局と接続するステップと、
を含む、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線通信システム、端末、及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、5G(Generation)等では、通信速度をさらに向上させるために、ミリ波の高い周波数を利用した無線通信が実現されている。しかし、一般に、高い周波数を利用した無線通信は、伝搬損失が大きい。そのため、5G等のミリ波の高い周波数を利用した無線通信は、4G等の6GHz以下の周波数を利用した無線通信に比べて、1つの基地局あたりのサービスエリアが小さくなる。ただし、都市部では、基地局あたりの端末の収容数が多いため、サービスエリアが小さな基地局を設置しても、コストに見合う。一方、過疎地では、基地局あたりの端末の収容数が少ないため、サービスエリアが小さな基地局を設置することはコストに見合わない。そのため、過疎地では、5Gの基地局の整備の遅れが想定される。
【0003】
一方で、衛星打ち上げの低コスト化や、成層圏を移動するHAPS(High Altitude Platform Station)の実現性が見えてきている。そのため、今後は、HAPSに搭載する等の方法で成層圏に配置された高高度基地局により、広範囲のカバレッジのサポートが可能になると考えられる(特許文献1参照)。ただし、高高度基地局は、地上に配置された地上基地局に比べて、端末との距離が遠いため、地上基地局ほどの通信速度は得られない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2021-013053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、最近は、成層圏等の高高度の高度範囲内に配置された高高度基地局の実現性が見えてきている。そのため、今後、端末が無線ネットワークに接続する方法としては、従来通りに地上基地局に接続する方法と、高高度基地局に接続する方法と、の2通りの方法が考えられる。
【0006】
しかし、地上基地局には、通信速度が高速であるという利点はあるものの、サービスエリアが小さいという欠点がある。一方、高高度基地局には、サービスエリアが大きいという利点があるものの、通信速度が低速であるという欠点がある。
【0007】
そのため、今後は、地上基地局の利点と高高度基地局の利点とを組み合わせることで、端末が、消費電力を抑えつつ、通信速度をできるだけ落とさずに、短時間で地上基地局又は高高度基地局に接続することを実現する重要性が高まると予測される。
【0008】
そこで、本開示の目的は、上述した課題を解決し、端末が、消費電力を抑えつつ、通信速度をできるだけ落とさずに、短時間で地上基地局又は高高度基地局に接続できる無線通信システム、端末、及び制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様による無線通信システムは、
地上に配置された地上基地局と、
所定の高度範囲内に配置された高高度基地局と、
前記地上基地局及び前記高高度基地局と接続可能な端末と、を備え、
前記地上基地局及び前記高高度基地局は、
前記端末の向きの送信ビームフォーミングの方向を順次切り替える送信ビームスイーピングを行い、
前記端末は、
前記地上基地局の向きの受信ビームフォーミングの方向を順次切り替える受信ビームスイーピングを予め決められた時間だけ行い、
前記地上基地局の向きの受信ビームスイーピングにより前記地上基地局を見つけられた場合、前記地上基地局と接続し、
前記地上基地局の向きの受信ビームスイーピングにより前記地上基地局を見つけられなかった場合、前記高高度基地局の向きの受信ビームフォーミングの方向を順次切り替える受信ビームスイーピングを開始し、
前記高高度基地局の向きの受信ビームスイーピングにより前記高高度基地局を見つけられた場合、前記高高度基地局と接続する。
【0010】
一態様による端末は、
地上に配置された地上基地局及び所定の高度範囲内に配置された高高度基地局と通信可能な通信部と、
前記通信部に結合された処理部と、を備え、
前記処理部は、
前記地上基地局の向きの受信ビームフォーミングの方向を順次切り替える受信ビームスイーピングを予め決められた時間だけ行い、
前記地上基地局の向きの受信ビームスイーピングにより前記地上基地局を見つけられた場合、前記地上基地局と接続し、
前記地上基地局の向きの受信ビームスイーピングにより前記地上基地局を見つけられなかった場合、前記高高度基地局の向きの受信ビームフォーミングの方向を順次切り替える受信ビームスイーピングを開始し、
前記高高度基地局の向きの受信ビームスイーピングにより前記高高度基地局を見つけられた場合、前記高高度基地局と接続する。
【0011】
一態様による制御方法は、
端末の制御方法であって、
地上に配置された地上基地局の向きの受信ビームフォーミングの方向を順次切り替える受信ビームスイーピングを予め決められた時間だけ行うステップと、
前記地上基地局の向きの受信ビームスイーピングにより前記地上基地局を見つけられた場合、前記地上基地局と接続するステップと、
前記地上基地局の向きの受信ビームスイーピングにより前記地上基地局を見つけられなかった場合、所定の高度範囲内に配置された高高度基地局の向きの受信ビームフォーミングの方向を順次切り替える受信ビームスイーピングを開始するステップと、
前記高高度基地局の向きの受信ビームスイーピングにより前記高高度基地局を見つけられた場合、前記高高度基地局と接続するステップと、
を含む。
【発明の効果】
【0012】
上述の態様によれば、端末が、消費電力を抑えつつ、通信速度をできるだけ落とさずに、短時間で地上基地局又は高高度基地局に接続できる無線通信システム、端末、及び制御方法を提供できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施の形態に係る無線通信システムの全体構成例を示す図である。
図2】実施の形態に係る端末の構成例を示すブロック図である。
図3】実施の形態に係る無線通信システムの動作例を説明する図である。
図4】実施の形態に係る無線通信システムにおける、地上基地局による送信ビームスイーピング及び端末による受信ビームスイーピングの動作例を説明する図である。
図5】実施の形態に係る無線通信システムにおける、地上基地局による送信ビームスイーピング及び端末による受信ビームスイーピングの動作例を説明する図である。
図6】実施の形態に係る無線通信システムにおける、高高度基地局による送信ビームスイーピング及び端末による受信ビームスイーピングの動作例を説明する図である。
図7】実施の形態に係る無線通信システムにおける、高高度基地局による送信ビームスイーピング及び端末による受信ビームスイーピングの動作例を説明する図である。
図8】実施の形態に係る無線通信システムにおいて、端末が、高高度基地局の向きの受信ビームスイーピングの間に、地上基地局の向きの受信ビームスイーピングを割り込ませるときの動作例を説明する図である。
図9】実施の形態に係る無線通信システムにおいて、端末が高高度基地局と接続するときの動作例を説明する図である。
図10】実施の形態に係る無線通信システムにおいて、端末が地上基地局又は高高度基地局と接続するまでの動作の流れの例を説明するフロー図である。
図11】実施の形態に係る端末の一部又は全部の処理を実現するコンピュータのハードウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本開示の実施の形態について説明する。なお、以下の記載及び図面は、説明の明確化のため、適宜、省略及び簡略化がなされている。また、以下の各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0015】
<実施の形態>
<実施の形態の構成>
まず、図1を参照して、本実施の形態に係る無線通信システムの全体構成例について説明する。図1に示されるように、本実施の形態に係る無線通信システムは、地上基地局10-1,10-2、高高度基地局20-1~20-6、及び端末30を備えている。
【0016】
以下、地上基地局10-1,10-2を特に区別することなく言及する場合には、単に「地上基地局10」と呼ぶことがある。同様に、高高度基地局20-1~20-6も、単に「高高度基地局20」と呼ぶことがある。
【0017】
地上基地局10は、地上に配置され、位置が固定された基地局である。なお、地上基地局10は、4Gの基地局又は5Gの基地局のいずれであっても良いし、その他の基地局であっても良い。
高高度基地局20は、所定の高度範囲内に配置され、その高度範囲内を移動する基地局である。例えば、高高度基地局20は、成層圏から低軌道又は中軌道の範囲内に配置される。一例として、高高度基地局20を成層圏に配置する場合は、成層圏を移動するHAPSに高高度基地局20を搭載しても良い。
端末30は、地上基地局10及び高高度基地局20と接続可能で、地上を移動する移動端末である。
【0018】
なお、図1では、2つの地上基地局10が設けられているが、地上基地局10の数は1つ以上であれば良い。同様に、高高度基地局20の数も1つ以上であれば良い。また、端末30の数も1つ以上であれば良い。
【0019】
また、図1では、一点鎖線で示されるエリアが、地上基地局10のサービスエリアであり、点線で示されるエリアが、高高度基地局20のサービスエリアであるものとする。
また、図1では、左部分が、都市部を示し、中央部分が、過疎地を示し、右部分が、山岳、海、空、宇宙等を示しているものとする。
【0020】
続いて、図2を参照して、本実施の形態に係る端末30の構成例について説明する。図2に示されるように、本実施の形態に係る端末30は、通信部31及び処理部32を備えている。
【0021】
通信部31は、地上基地局10及び高高度基地局20との無線通信が可能である。なお、通信部31は、地上基地局10との無線通信及び高高度基地局20との無線通信に共通して使用可能なアンテナ(不図示)を備えているものとする。
【0022】
処理部32は、通信部31に結合され、通信部31を制御して、各種の処理を行う。なお、以下で説明する端末30の動作は、処理部32が通信部31を制御して行う動作であるものとする。
【0023】
<実施の形態の前提条件>
続いて、本実施の形態に係る無線通信システムの前提条件について説明する。
本開示は、上述したように、端末30が、消費電力を抑えつつ、通信速度をできるだけ落とさずに、短時間で地上基地局10又は高高度基地局20に接続できるようにすることを目的としている。
【0024】
本実施の形態は、上記の目的を達成するために、端末30は、距離が近く、高速通信が可能な地上基地局10への接続を優先し、地上基地局10が見つからない場合に、高高度基地局20に接続することを前提とする。
【0025】
その他の前提条件は、以下の通りとする。
・高高度基地局20及び端末30は移動するため、端末30と各地上基地局10及び各高高度基地局20との相対位置は、時間と共に変化するものとする。
【0026】
・地上基地局10及び高高度基地局20は、同じコアネットワーク(不図示)に接続されているため、時間同期は取れているものとする。その一方、端末30は、各地上基地局10及び各高高度基地局20との時間同期は取れていないものとする。ただし、地上基地局10及び高高度基地局20は、端末30との接続初期の送受信用周波数を、端末30のSIM(Subscriber Identity Module)等の情報から既知であるとする。
・端末30は、端末30自身の姿勢(上下、水平)を、端末30に搭載されたセンサ(不図示)で認識できるものとする。
【0027】
・端末30と地上基地局10及び高高度基地局20との無線通信には、通信速度の更なる高速化のために、ミリ波以上の高い周波数帯を利用することが考えられる。しかし、ミリ波以上の高い周波数を利用した無線通信は、伝搬損失が大きいため、通信距離の確保が難しくなる。そこで、通信距離を延伸することを目的として、エネルギーを通信方向に集中させ、かつ受信の利得も向上させるために、端末30と地上基地局10及び高高度基地局20との無線通信には、送受信ビームフォーミングを適用する。
【0028】
・ミリ波以上の送受信ビームフォーミングにより、端末30と地上基地局10とで送受信されるビームと、端末30と高高度基地局20とで送受信されるビームと、の間のアイソレーションは十分取れていると仮定し、仮に同じ周波数を使用していても、干渉による影響はないものとする。
【0029】
<実施の形態の動作>
続いて、図3を参照して、本実施の形態に係る無線通信システムの動作例について説明する。
上述したように、端末30は、距離が近く、高速通信が可能な地上基地局10への接続を優先する。そのため、まずは、地上基地局10及び端末30の双方が、互いを見つける必要がある。
【0030】
そのため、図3に示されるように、まず、地上基地局10は、端末30の向きに送信ビームフォーミングを行い、端末30は、地上基地局10の向きに受信ビームフォーミングを行う。
【0031】
しかし、地上基地局10による送信ビームフォーミングの方向と、端末30による受信ビームフォーミングの方向と、が同一時間に一致しないと、地上基地局10及び端末30の双方が、互いを見つけることはできない。
【0032】
そこで、地上基地局10は、端末30の向きの送信ビームフォーミングの方向を順次切り替える送信ビームスイーピングを行い、端末30は、地上基地局10の向きの受信ビームフォーミングの方向を順次切り替える受信ビームスイーピングを行う。
【0033】
ここで、図4及び図5を参照して、地上基地局10による送信ビームスイーピング及び端末30による受信ビームスイーピングの動作例について説明する。
図4に示されるように、地上基地局10は、水平方向への送信ビームスイーピングを継続して行う。
【0034】
ここでは、地上基地局10によるスイープ1周の時間がt1時間であるとする。この場合、スイープ2周分に相当する(t1×2)時間の間、受信ビームスイーピングを行う端末30は、水平方向の1つに受信ビームの方向を固定する。そして、端末30は、(t1×2)時間毎に、水平方向に受信ビームの方向を順次変更していく。なお、スイープ2周分としたのは、地上基地局10と端末30との間で時間同期が取れていないため、タイミングのずれにより、互いを見逃さないためである。ただし、スイープ2周分としたのは例示であって、これには限定されない。例えば、端末30は、t1よりも長い時間毎に受信ビームの方向を順次変更することにより、互いを見逃さないようにしても良い。
【0035】
また、ここでは、図5に示されるように、端末30における受信ビームの方向が水平方向にn(nは2以上の整数)方向あるとする。この場合、端末30によるスイープ1周の時間は、(t1×2×n)時間となる。そのため、端末30が、地上基地局10からの受信ビーム(すなわち、電波)が届く位置(すなわち、地上基地局10のセル内)にいれば、最大(t1×2×n)時間で受信ビームを受信できることになる。
【0036】
なお、地上基地局10及び端末30において、スイープの順番は、端から順に一周する方式、ランダムに切り替える方式、及び、過去に実績がある方向を中心に近いところから徐々に離れる方式、のいずれかから選択すれば良い。
【0037】
図3に戻ると、地上基地局10は、端末30の向きの送信ビームスイーピングを継続して行う。その一方、端末30は、地上基地局10の向きの受信ビームスイーピングを、予め決められた時間だけ行う。予め決められた時間は、図4及び図5の例では、(t1×2×n)時間とすれば良い。
【0038】
端末30は、地上基地局10の向きの受信ビームスイーピングにより、地上基地局10からの受信ビームを受信した場合、すなわち、地上基地局10を見つけられた場合は、地上基地局10と接続する。なお、端末30が地上基地局10と接続するときの動作については後述する。
【0039】
一方、端末30は、地上基地局10の向きの受信ビームスイーピングを予め決められた時間だけ行っても、地上基地局10からの受信ビームを受信できなかった場合、すなわち、地上基地局10を見つけられなかった場合は、高高度基地局20への接続を試行する。図3の例は、地上基地局10と端末30との間の遮蔽物SHの存在により、端末30が、地上基地局10を見つけられなかった例を示している。
【0040】
ここで、端末30が高高度基地局20に接続するためには、高高度基地局20及び端末30の双方が、互いを見つける必要がある。
このとき、高高度基地局20は、端末30の向きの送信ビームフォーミングの方向を順次切り替える送信ビームスイーピングを継続して行っている。一方、端末30は、地上基地局10を見つけられないまま、予め決められた時間が経過したタイミングで、高高度基地局20の向きの受信ビームフォーミングの方向を順次切り替える受信ビームスイーピングを開始する。
【0041】
ここで、図6及び図7を参照して、高高度基地局20による送信ビームスイーピング及び端末30による受信ビームスイーピングの動作例について説明する。ここでは、高高度基地局20における送信ビームの方向及び端末30における受信ビームの方向は共に、水平方向に4方向かつ垂直方向に4方向で、合計16(=4×4)方向あるとする。
図6に示されるように、高高度基地局20は、水平方向かつ垂直方向の合計16方向への送信ビームスイーピングを継続して行う。
【0042】
ここでは、高高度基地局20による16方向へのスイープの時間がt2時間であるとする。この場合、16方向へのスイープ2回分に相当する(t2×2)時間の間、受信ビームスイーピングを行う端末30は、16方向の1つに受信ビームの方向を固定する。そして、端末30は、(t2×2)時間毎に、受信ビームの方向を順次変更していく。なお、16方向へのスイープを2回分としたのは、高高度基地局20と端末30との間で時間同期が取れていないため、タイミングのずれにより、互いを見逃さないためである。ただし、スイープ2回分としたのは例示であって、これには限定されない。例えば、端末30は、t2よりも長い時間毎に受信ビームの方向を順次変更することにより、互いを見逃さないようにしても良い。
【0043】
また、ここでは、図6及び図7に示されるように、端末30における受信ビームの方向は、16方向である。この場合、端末30による16方向へのスイープの時間は、(t2×2×16)時間となる。そのため、端末30が、高高度基地局20からの受信ビーム(すなわち、電波)が届く位置(すなわち、高高度基地局20のセル内)にいれば、最大(t2×2×16)時間で受信ビームを受信できることになる。
【0044】
なお、高高度基地局20及び端末30において、スイープの順番は、端から順に切り替える方式、ランダムに切り替える方式、及び、過去に実績がある方向を中心に近いところから徐々に離れる方式、のいずれかから選択すれば良い。
【0045】
図3に戻ると、高高度基地局20は、端末30の向きの送信ビームスイーピングを継続して行う。
端末30は、高高度基地局20の向きの受信ビームスイーピングにより、高高度基地局20からの受信ビームを受信した場合、すなわち、高高度基地局20を見つけられた場合は、高高度基地局20と接続する。なお、端末30が高高度基地局20と接続するときの動作については後述する。
【0046】
ここで、端末30は、地上基地局10を見つけられなかった場合に、高高度基地局20の向きの受信ビームスイーピングを開始している。しかし、端末30は、移動するため、移動先で地上基地局10を見つけられる可能性がある。例えば、図3の例では、端末30は、遮蔽物SHを回避できる位置に移動していれば、地上基地局10を見つけられる可能性がある。
【0047】
そこで、図8に示されるように、端末30は、地上基地局10を見つけた場合に、優先して地上基地局10に接続できるようにするため、高高度基地局20の向きの受信ビームスイーピングの間に、地上基地局10の向きの受信ビームスイーピングを割り込ませる。
【0048】
また、このとき、端末30は、地上基地局10の向きの受信ビームスイーピングの割合を、高高度基地局20の向きの受信ビームスイーピングよりも大きくする。これにより、地上基地局10への接続の優先度が、高高度基地局20よりも高くなるよう維持する。
【0049】
ここで、高高度基地局20の向きの受信ビームスイーピングに、地上基地局10の向きの受信ビームスイーピングを割り込ませる方式としては、例えば、以下が挙げられる。地上基地局10の向きの受信ビームスイーピングをS1、高高度基地局20の向きの受信ビームスイーピングをS2とすると、S1,S1,S2,S1,S1,S2,・・・のように、S1の割合が大きくなるように、等間隔でS2にS1を割り込ませる方式が考えられる。また、この方式において、1回のS1では、受信ビームの1方向分のスイープ(図4及び図5の例では、(t1×2)時間分のスイープ)を行い、1回のS2では、受信ビームの1方向分のスイープ(図6及び図7の例では、(t2×2)時間分のスイープ)を行っても良い。ただし、1回のS1、1回のS2で、それぞれ、どの程度まで受信ビームスイーピングを進めるかは任意で決定すれば良い。
【0050】
続いて、図9を参照して、端末30が高高度基地局20と接続するときの動作例について説明する。
端末30は、高高度基地局20の向きの受信ビームスイーピングによって、高高度基地局20からのビームを受信することで、高高度基地局20を見つける。高高度基地局20からのビームには、高高度基地局20の位置の情報と、ビームの送信時刻の情報と、高高度基地局20のID(Identification)と、高高度基地局20の移動方向、速度、及び加速度の情報と、次に与えられる端末30の送信タイミングの情報と、が含まれている。そのため、端末30は、ビームを受信した方向から高高度基地局20へ送信するビームのビーム方向を把握する。
【0051】
ただし、図9に示されるように、高高度基地局20及び端末30は移動するため、端末30と高高度基地局20との相対位置は、時間と共に変化する。
そのため、端末30は、与えられた送信タイミングになると、高高度基地局20の移動方向、速度及び加速度と、端末30の移動方向、速度及び加速度と、に基づいて、高高度基地局20へ送信するビームのビーム方向を補正し、補正されたビーム方向へビームを送信する。これにより、高高度基地局20と端末30との間でビームの送受信が成立し、両者が接続される。
【0052】
端末30は、ビームの送受信により伝搬遅延を計算することで高高度基地局20と端末30との距離を算出する。端末30は、距離の算出を3箇所以上の基地局(高高度基地局20でも良いが、位置が固定の地上基地局10が好適である)と実施することで端末30の位置を推定する。端末30からの送信されるビームには、端末30のIDと、端末30の位置の情報と、端末30の移動方向、速度及び加速度の情報と、が含まれる。
【0053】
高高度基地局20も、端末30からのビームに含まれる情報に基づいて、端末30へ送信するビームのビーム方向を補正する。
以降、高高度基地局20及び端末30は、ビームを送受信することと並行して、ビーム方向を補正することを継続する。
高高度基地局20及び端末30は、一旦接続が切れた場合には、初期の動作に戻り、再接続を行う。
【0054】
以上、端末30が高高度基地局20と接続するときの動作について説明したが、端末30が地上基地局10と接続するときの動作も略同様である。ただし、地上基地局10は、位置が固定であるため、端末30に送信するビームに、地上基地局10の移動方向、速度、及び加速度等の情報を含める必要は無い。
【0055】
続いて、図10を参照して、端末30が地上基地局10又は高高度基地局20と接続するまでの動作の流れの例について説明する。
図10に示されるように、地上基地局10及び高高度基地局20は、端末30の向きの送信ビームスイーピングを行う(ステップS101)。
また、端末30は、まず、地上基地局10の向きの受信ビームスイーピングを予め決められた時間だけ行う(ステップS102)。
【0056】
端末30は、地上基地局10の向きの受信ビームスイーピングにより、地上基地局10を見つけられた場合は(ステップS103のYes)、地上基地局10と接続する(ステップS104)。その後、処理を終了する。
【0057】
その一方、端末30は、地上基地局10の向きの受信ビームスイーピングを予め決められた時間だけ行っても、地上基地局10を見つけられなかった場合は(ステップS103のNo)、続いて、高高度基地局20の向きの受信ビームスイーピングを開始する(ステップS106)。
【0058】
端末30は、高高度基地局20の向きの受信ビームスイーピングにより、高高度基地局20を見つけられた場合は(ステップS107のYes)、高高度基地局20と接続する(ステップS108)。その後、処理を終了する。
【0059】
その一方、端末30は、高高度基地局20を見つけられなかった場合は、ステップS107に戻り、高高度基地局20の向きの受信ビームスイーピングを継続して行う。ただし、これには限定されない。
【0060】
端末30は、図8にて説明したように、ステップS107における高高度基地局20の向きの受信ビームスイーピングの間に、地上基地局10の向きの受信ビームスイーピングを割り込ませても良い。そして、端末30は、割り込ませた地上基地局10の向きの受信ビームスイーピングにより、地上基地局10を見つけられた場合は、地上基地局10と接続しても良い。
【0061】
<実施の形態の効果>
上述したように、本実施の形態によれば、地上基地局10及び高高度基地局20は、端末30の向きの送信ビームスイーピングを行う。端末30は、まず、地上基地局10の向きの受信ビームスイーピングを行い、地上基地局10を見つけられた場合、地上基地局10と接続する。一方、端末30は、地上基地局10を見つけられなかった場合、続いて、高高度基地局20の向きの受信ビームスイーピングを開始し、高高度基地局20を見つけられた場合、高高度基地局20と接続する。
【0062】
そのため、端末30は、距離が近く、高速通信が可能な地上基地局10と優先的に接続できる。端末30は、距離が近い地上基地局10との通信により、消費電力が抑えられ、かつ、通信速度を高速に維持できる。また、端末30は、地上基地局10が見つけられなかった場合には、高高度基地局20の向きの受信ビームスイーピングによって、高高度基地局20を見つけて、高高度基地局20と接続できる。これにより、端末30は、消費電力を抑えつつ、通信速度をできるだけ落とさずに、短時間で地上基地局10又は高高度基地局20と接続できるようになる。
【0063】
<実施の形態に係る端末のハードウェア構成>
続いて、図11を参照して、上述した実施の形態に係る端末30の一部又は全部の処理を実現するコンピュータ90のハードウェア構成例について説明する。図11に示されるコンピュータ90は、プロセッサ91及びメモリ92を備えている。
【0064】
プロセッサ91は、例えば、マイクロプロセッサ、MPU(Micro Processing Unit)、又はCPU(Central Processing Unit)であっても良い。プロセッサ91は、複数のプロセッサを含んでも良い。
【0065】
メモリ92は、揮発性メモリ及び不揮発性メモリの組み合わせによって構成される。メモリ92は、プロセッサ91から離れて配置されたストレージを含んでも良い。この場合、プロセッサ91は、図示されていないI(Input)/O(Output)インタフェースを介してメモリ92にアクセスしても良い。
【0066】
また、上述した実施の形態に係る端末30における通信部31及び処理部32は、プロセッサ91がメモリ92に記憶されたプログラムを読み込んで実行することにより実現されても良い。
【0067】
また、上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD-ROM(Compact Disc-ROM)、CD-R(CD-Recordable)、CD-R/W(CD-ReWritable)、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAMを含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されても良い。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバなどの有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0068】
以上、実施の形態を参照して本開示を説明したが、本開示は上述した実施の形態に限定されるものではない。本開示の構成や詳細には、本開示のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0069】
また、上述した実施の形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
地上に配置された地上基地局と、
所定の高度範囲内に配置された高高度基地局と、
前記地上基地局及び前記高高度基地局と接続可能な端末と、を備え、
前記地上基地局及び前記高高度基地局は、
前記端末の向きの送信ビームフォーミングの方向を順次切り替える送信ビームスイーピングを行い、
前記端末は、
前記地上基地局の向きの受信ビームフォーミングの方向を順次切り替える受信ビームスイーピングを予め決められた時間だけ行い、
前記地上基地局の向きの受信ビームスイーピングにより前記地上基地局を見つけられた場合、前記地上基地局と接続し、
前記地上基地局の向きの受信ビームスイーピングにより前記地上基地局を見つけられなかった場合、前記高高度基地局の向きの受信ビームフォーミングの方向を順次切り替える受信ビームスイーピングを開始し、
前記高高度基地局の向きの受信ビームスイーピングにより前記高高度基地局を見つけられた場合、前記高高度基地局と接続する、
無線通信システム。
(付記2)
前記端末は、
前記高高度基地局の向きの受信ビームスイーピングを行う間に、前記地上基地局の向きの受信ビームスイーピングを割り込んで行う、
付記1に記載の無線通信システム。
(付記3)
前記端末は、
前記高高度基地局の向きの受信ビームスイーピングを行う間に、前記地上基地局の向きの受信ビームスイーピングを割り込んで行う場合、前記地上基地局の向きの受信ビームスイーピングの割合を、前記高高度基地局の向きの受信ビームスイーピングよりも大きくする、
付記2に記載の無線通信システム。
(付記4)
前記地上基地局及び前記高高度基地局は、
前記端末の向きの送信ビームスイーピングを行う場合、前記端末の向きの送信ビームフォーミングの方向を、予め決められた複数方向に順次切り替え、
前記端末は、
前記地上基地局又は前記高高度基地局の向きの受信ビームスイーピングを行う場合、前記地上基地局又は前記高高度基地局の向きの受信ビームフォーミングの方向を、予め決められた複数方向に順次切り替える、
付記1から3のいずれか1項に記載の無線通信システム。
(付記5)
前記端末は、
前記地上基地局又は前記高高度基地局の向きの受信ビームスイーピングを行う場合、前記地上基地局又は前記高高度基地局の向きの受信ビームフォーミングの方向を、予め決められた時間だけ固定した後、別の方向に切り替える、
付記4に記載の無線通信システム。
(付記6)
前記端末は、
前記地上基地局又は前記高高度基地局と接続した場合、前記地上基地局又は前記高高度基地局との間でビームを送受信することと並行して、前記地上基地局又は前記高高度基地局から受信したビームに含まれる情報に基づいて、前記地上基地局又は前記高高度基地局に送信するビームのビーム方向を補正することを継続し、
前記地上基地局及び前記高高度基地局は、
前記端末と接続した場合、前記端末との間でビームを送受信することと並行して、前記端末から受信したビームに含まれる情報に基づいて、前記端末に送信するビームのビーム方向を補正することを継続する、
付記1から5のいずれか1項に記載の無線通信システム。
(付記7)
地上に配置された地上基地局及び所定の高度範囲内に配置された高高度基地局と通信可能な通信部と、
前記通信部に結合された処理部と、を備え、
前記処理部は、
前記地上基地局の向きの受信ビームフォーミングの方向を順次切り替える受信ビームスイーピングを予め決められた時間だけ行い、
前記地上基地局の向きの受信ビームスイーピングにより前記地上基地局を見つけられた場合、前記地上基地局と接続し、
前記地上基地局の向きの受信ビームスイーピングにより前記地上基地局を見つけられなかった場合、前記高高度基地局の向きの受信ビームフォーミングの方向を順次切り替える受信ビームスイーピングを開始し、
前記高高度基地局の向きの受信ビームスイーピングにより前記高高度基地局を見つけられた場合、前記高高度基地局と接続する、
端末。
(付記8)
前記処理部は、
前記高高度基地局の向きの受信ビームスイーピングを行う間に、前記地上基地局の向きの受信ビームスイーピングを割り込んで行う、
付記7に記載の端末。
(付記9)
前記処理部は、
前記高高度基地局の向きの受信ビームスイーピングを行う間に、前記地上基地局の向きの受信ビームスイーピングを割り込んで行う場合、前記地上基地局の向きの受信ビームスイーピングの割合を、前記高高度基地局の向きの受信ビームスイーピングよりも大きくする、
付記8に記載の端末。
(付記10)
前記処理部は、
前記地上基地局又は前記高高度基地局の向きの受信ビームスイーピングを行う場合、前記地上基地局又は前記高高度基地局の向きの受信ビームフォーミングの方向を、予め決められた複数方向に順次切り替える、
付記7から9のいずれか1項に記載の端末。
(付記11)
前記処理部は、
前記地上基地局又は前記高高度基地局の向きの受信ビームスイーピングを行う場合、前記地上基地局又は前記高高度基地局の向きの受信ビームフォーミングの方向を、予め決められた時間だけ固定した後、別の方向に切り替える、
付記10に記載の端末。
(付記12)
前記処理部は、
前記地上基地局又は前記高高度基地局と接続した場合、前記地上基地局又は前記高高度基地局との間でビームを送受信することと並行して、前記地上基地局又は前記高高度基地局から受信したビームに含まれる情報に基づいて、前記地上基地局又は前記高高度基地局に送信するビームのビーム方向を補正することを継続する、
付記7から11のいずれか1項に記載の端末。
(付記13)
端末の制御方法であって、
地上に配置された地上基地局の向きの受信ビームフォーミングの方向を順次切り替える受信ビームスイーピングを予め決められた時間だけ行うステップと、
前記地上基地局の向きの受信ビームスイーピングにより前記地上基地局を見つけられた場合、前記地上基地局と接続するステップと、
前記地上基地局の向きの受信ビームスイーピングにより前記地上基地局を見つけられなかった場合、所定の高度範囲内に配置された高高度基地局の向きの受信ビームフォーミングの方向を順次切り替える受信ビームスイーピングを開始するステップと、
前記高高度基地局の向きの受信ビームスイーピングにより前記高高度基地局を見つけられた場合、前記高高度基地局と接続するステップと、
を含む、制御方法。
【0070】
この出願は、2021年3月25日に出願された日本出願特願2021-051506を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0071】
10-1,10-2 地上基地局
20-1~20-6 高高度基地局
30 端末
31 通信部
32 処理部
90 コンピュータ
91 プロセッサ
92 メモリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11