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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】車両用アンテナデバイスの取付装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/12 20060101AFI20240717BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20240717BHJP
   H01Q 1/22 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
H01Q1/12 Z
B60R11/02 A
H01Q1/22 B
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020102853
(22)【出願日】2020-06-15
(65)【公開番号】P2021002828
(43)【公開日】2021-01-07
【審査請求日】2023-03-15
(31)【優先権主張番号】10 2019 116 652.7
(32)【優先日】2019-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】506076628
【氏名又は名称】ヒルシュマン カー コミュニケーション ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Hirschmann Car Communication GmbH
【住所又は居所原語表記】Stuttgarter Strasse 45-51, D-72654 Neckartenzlingen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】シーマン,ライナー
【審査官】佐藤 当秀
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0267243(US,A1)
【文献】特開2016-041520(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0103579(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/12
B60R 11/02
H01Q 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用のアンテナデバイスであって、
前記アンテナデバイスは、
- ベースプレート(1)と、
- 伸張要素と、
- 前記ベースプレート(1)および前記伸張要素と協働する作動要素と、を有し、
前記伸張要素は、第1の伸張要素部品(10)と前記第1の伸張要素部品(10)と嵌合する少なくとも1つのさらなる伸張要素部品(11)とによって形成され、
前記第1の伸張要素部品(10)は少なくとも1つの平坦領域(12、14)を有し、前記少なくとも1つのさらなる伸張要素部品(11)も少なくとも1つの平坦領域(13、15)を有し、
サイドアーム(16)が前記第1の伸張要素部品(10)の前記平坦領域(14)から傾斜して突出し、サイドアーム(17)が前記少なくとも1つのさらなる伸張要素部品(11)の前記平坦領域(15)から突出し、
各平坦領域(12、14;13、15)において、前記第1の伸張要素部品(10)を前記少なくとも1つのさらなる伸張要素部品(11)と嵌合させるため、かつ前記作動要素のための1つの通路開口部を形成するための、横に開いた貫通孔(19)が設けられていることを特徴とする、
アンテナデバイス。
【請求項2】
前記第1の伸張要素部品(10)と前記少なくとも1つのさらなる伸張要素部品(11)とに、前記ベースプレート(1)においてばね要素を用いてプレストレスが与えられることを特徴とする、
請求項1に記載のアンテナデバイス。
【請求項3】
前記ばね要素(21)は渦巻ばねとして形成されていることを特徴とする、
請求項2に記載のアンテナデバイス。
【請求項4】
前記第1の伸張要素部品(10)は2つの平坦領域(12、14)を有し、前記少なくとも1つのさらなる伸張要素部品(11)は2つの平坦領域(13、15)を有し、各伸張要素部品(10、11)の前記2つの平坦領域は互いにずれた向きに配置されていることを特徴とする、
請求項1から3のいずれか一項に記載のアンテナデバイス。
【請求項5】
傾斜縁部領域(20)が少なくとも部分的に平坦領域の周りにあることを特徴とする、
請求項1から4のいずれか一項に記載のアンテナデバイス。
【請求項6】
前記サイドアーム(16、17)は、前記サイドアームの前端部から離れて終端する少なくとも1つの傾斜領域(18)を有することを特徴とする、
請求項1から5のいずれか一項に記載のアンテナデバイス。
【請求項7】
前記サイドアーム(16、17)は2つの平行な傾斜領域(18)を有することを特徴とする、
請求項1から6のいずれか一項に記載のアンテナデバイス。
【請求項8】
前記少なくとも2つの伸張要素部品(10、11)はプラスチック材料から形成されていることを特徴とする、
請求項1から7のいずれか一項に記載のアンテナデバイス。
【請求項9】
前記少なくとも2つの伸張要素部品(10、11)は金属物質から形成されていることを特徴とする、
請求項1から7のいずれか一項に記載のアンテナデバイス。
【請求項10】
前記少なくとも2つの伸張要素部品(10、11)は同一の部品として構成されていることを特徴とする、
請求項1から9のいずれか一項に記載のアンテナデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分の特徴による、ベースプレートと、伸張要素(expansion element)と、ベースプレートおよび伸張要素と協働する作動要素とを有する車両用アンテナデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用アンテナデバイスが米国特許出願公開第2011/0267243(A1)号から公知である。アンテナデバイスは、車体表面の上面、特に車両ルーフに配置され、アンテナデバイスのベースプレートの下面が、車体表面の上面に載って止まる。車体表面に対応する切欠きがあるため、車体表面の下面からベースプレートの領域に手が届く。車体表面の下面から、伸張要素をベースプレートに動作接続する。伸張要素は作動要素によって作動され伸張するため、伸張効果によって、アンテナデバイスは、車体表面の上面に恒久的に、しかし解放可能に配置され固定される。この先行技術には、スリーブ、クランプ要素、および作動要素と協働する2つの伸張要素がある。2つの伸張要素は、いずれも個々に独立して形成されて動作し、十字形に配置される要素である。この十字形は、同様に十字形に形成されたクランプ要素によって規定される。
それぞれの個々の伸張要素は個別に有効であり、これは、この先行技術において、1つの伸張要素であってもルーフアンテナを恒久的に配置し固定するのに十分であることを意味する。伸張要素は、その中央領域において、平坦であるように構成され、完全に囲まれた開口部を有し、この開口部を通して作動要素を案内することができる。いくつかの傾斜領域がそれぞれの伸張要素の中央平坦領域から突出しており、これらの傾斜領域は、ばね効果を実現し、事前組立済みのルーフアンテナを車体表面の切欠きに通すプロセス中に必要とされる。2つの伸張要素は、スリーブおよびクランプ要素を用いて下面に十字形に配置された後、最初に作動要素(ねじ)によって保持される。これは、この米国特許出願公開公報の図4に見られる。この状態で、このように準備されたルーフアンテナを車体表面の上面に上から配置し、準備された取付装置を車体表面の切欠きに通して、この取付装置に車体表面の下面から手が届くようにする。
取付装置を車体表面の切欠きに通す間、2つの伸張要素の、軸方向に連続して傾斜した突出するサイドアームが互いに押し付けられて、ベースプレートの下面が車体表面の上面に載って止まるときに、再びその開始位置に戻る。このプロセスは、米国特許出願公開公報の図5図7に示される。このように戻った後、サイドアームの傾斜領域の前端部が凹部(切欠きとも呼ばれる)近くの車体表面の下面に当たるため、作動要素をさらに作動させると支持効果が生じる。米国特許出願公開公報の図8に示されるこのさらなる作動により、ベースプレートの下面が、車体表面の上面の方向にさらに引かれることにより、恒久的に固定される。互いに別々に製造される2つの伸張要素は、主に複数の傾斜領域により、長手方向および横方向の両方に非常に複雑な幾何形状を有するため、製造が難しい。
さらに、取付装置全体が、これら2つの伸張要素だけでなく、さらにスリーブおよびクランプ要素からも構成されるため、2つの伸張要素はクランプ要素またはスリーブがないと機能しない。したがって、装着時にクランプ要素またはスリーブを忘れると、2つの伸張要素は機能しなくなる。公知の2つの伸張要素は、作動要素の軸方向に互いに嵌合して十字形を形成する。さらに、作動要素の通路開口部は周方向に閉じている。
【0003】
アンテナデバイス、特にルーフアンテナを車両の車体表面、特にルーフに配置し取り付けるための同様の取付装置が、米国特許出願公開第2013/0082158(A1)号および米国特許出願公開第2018/0026328(A1)号から公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2011/0267243(A1)号
【文献】米国特許出願公開第2013/0082158(A1)号
【文献】米国特許出願公開第2018/0026328(A1)号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、先行技術よりも安価で、改良された装着をもたらす車両用アンテナデバイスを提供するという課題に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、請求項1の特徴によって解決される。
【0007】
伸張要素は、第1の伸張要素部品とこの第1の伸張要素部品と嵌合する少なくとも1つのさらなる伸張要素部品とによって形成され、第1の伸張要素部品は少なくとも1つの平坦領域を有し、少なくとも1つのさらなる伸張要素部品も少なくとも1つの平坦領域を有し、サイドアームが第1の伸張要素部品の平坦領域から傾斜して突出し、サイドアームが少なくともさらなる伸張要素部品の平坦領域から突出し、各平坦領域において、第1の伸張要素部品を少なくともさらなる伸張要素部品と嵌合させるため、かつ作動要素のための1つの通路開口部を形成するための、横に開いた貫通孔が設けられていることが、本発明によって想定される。この構成は、第1に、アンテナデバイスを車体表面に配置して恒久的に固定するために、2つの個々の部品から構成された1つの伸張要素のみを必要とするという利点を有する。
この目的で、単独で機能するのではなく、嵌合時に必要な機能を果たす2つの伸張要素部品が設けられる。一方、嵌合した2つの伸張要素部品は、作動要素のための周方向に閉じた通路開口部を形成する。2つの伸張要素部品は、未嵌合状態では、嵌合を可能にするために平坦領域において横に開いており、作動要素の軸方向に対して横方向に嵌合が行われる。さらに、サイドアームは、それによってばね効果を実現する必要がないため、非常に簡単に構成することができる。したがって、サイドアームは、アンテナデバイスのベースプレートの方向で、それぞれの伸張要素部品の平坦領域から傾斜して延び、アンテナデバイスの取付構成を、車両の車体表面に配置した後に、車体表面の下面でサイドアームの前端部によって支持することができるようになっている。2つの伸張要素部品が取付装置の1つの伸張要素を形成することが有利である。
3つ以上の伸張要素部品を使用することも考えられ、その場合、伸張要素部品は三角形、十字形などに配置され、取付装置の1つの伸張要素を形成する。
【0008】
2つの伸張部品は、必ずしも横に開いていなくてもよい。代わりに、伸張部品は、前または後に貫通孔を有していてもよく、すなわち開いていてもよい。個々の部品の前記嵌合も必ずしも必要ではなく、代わりに、2つの部品を互いに重ねてもよく、ねじで固定するだけでもよい。
【0009】
本発明のさらなる発展において、第1の伸張要素部品と少なくともさらなる伸張要素部品とに、ベースプレートにおいてばね要素を用いてプレストレスが与えられることが想定される。このばね要素を用いたプレストレスにより、少なくとも2つの伸張要素のサイドアームを、作動要素を用いてベースプレートに固定した後(アンテナデバイスが車体表面に装着される前)に、車体表面の凹部に通すことができるため、有利である。サイドアームは、凹部の側縁に接触することなく、または好ましくは凹部の側縁に接触することにより凹部に通され、これにより、2つの伸張要素部品のサイドアームは取付装置の中心軸の方向へ多少動く。これは、凹部に通すプロセス中にサイドアームが互いに多少押し付けられることを意味する。このことは、ベースプレートの下面が車体表面の上面に配置されたときに、(ばね要素を用いてプレストレスを与えることにより)2つのサイドアームがその開始位置に再び戻って、2つのサイドアームの端部が車体表面の下面に載って止まるという利点を有する。
これは、アンテナデバイスが車体表面の第1の位置(事前装着位置とも呼ばれる)に配置されることを保証する。この配置は、既に最終的なものであって(特にシールなどのさらなる弾性手段を使用することにより有効になる。これは、シール効果を実現しようとしても、他の方法ではシール効果を実現することができないからである)、配置されたアンテナデバイスのさらなる指向が不要であるようになっているか、またはアンテナデバイスを配置した後でも、その最終位置に指向させることができる。これは、ベースプレートおよび凹部ならびにアンテナデバイスの取付装置をどのように構成するかに応じて決まる。これに関しては、図面のさらなる説明において考察する。したがって、ばね要素を用いてプレストレスを与えることにより2つのサイドアームを押し広げることが有利であるが、作動要素のみを用いることにより、ばね要素を省略してもよい。適宜、追加の要素が必要である(ガイド、摺動リンクなど)。
【0010】
特に好ましい構成において、ばね要素はプレストレスを生じさせる渦巻ばねとして形成されている。これは、作動要素、例えばねじを通すことのできる従来のばね要素を使用するという利点を有する。
【0011】
本発明のさらなる発展において、各伸張要素部品は2つの平坦領域を有し、各伸張要素部品の2つの平坦領域は平面において互いにずれた向きに配置されていることが想定される。これによって、2つの伸張要素部品は、それぞれ横に開いた貫通孔があることにより嵌合し、嵌合後に枢動するため、枢動前に互いに対して特定の角度に向けられていた、それぞれの伸張要素部品の平坦領域が、互いに略平行に当たって止まる。これにより、2つの伸張要素部品は、作動要素のための通路開口部の周りに二重層を形成するため、生じる領域が通路開口部の周りで全体的に強化されるか、または少なくとも2つの伸張要素部品の個々の平坦領域を、材料に関してより薄く形成することができる。2つの伸張要素部品を嵌合した後に枢動させなければ、アンテナデバイスの取付装置で使用可能な機能的伸張要素にはならない。さらに、作動要素のための明確な通路開口部が形成されないため、事前に装着することができない。
【0012】
本発明のさらなる発展において、傾斜縁部領域が少なくとも部分的に平坦領域の周りにあることが想定される。これにより、各伸張要素部品のそれぞれの傾斜平坦領域によって、他方の伸張要素部品の対向するそれぞれの平坦領域を、嵌合および枢動後に目的の方法で共に案内して、作動要素のための通路開口部の周りに二重層を形成する。この縁部領域によって2つの伸張要素部品を目的通りに共に案内することにより、嵌合した伸張要素にさらに大きな安定性が得られ、装着が簡単になる。
【0013】
本発明のさらなる発展において、サイドアームは、サイドアームの長手方向を向く少なくとも1つの傾斜領域を有し、この傾斜領域は、サイドアームの前端部から離れて終端し、かつ/または、その軸方向に連続して前端部に円弧形状を有することが想定される。第1の変形例により、ベースプレートが車体表面の上面に取付装置によって配置された後に、傾斜領域の端部が車体表面の下面に載って止まり、サイドアームの遠位、すなわち、段付端部領域が車体表面の凹部に入り、特に凹部の側縁に載って止まるため有利である。これにより、アンテナデバイスを車体表面に配置し正確に固定した後に、それぞれのサイドアームを目的通りに案内する。第2の変形例により、特にプレストレスを受けたサイドアームを、車体表面の凹部に通したときに、より容易に互いに押し付けることができ、アンテナデバイスのベースプレートを車体表面の上面に配置したときに、再び開始位置に確実に戻ることができるため有利である。これにより、アンテナデバイスの装着がより容易になる。
【0014】
本発明のさらなる発展において、それぞれの伸張要素部品のサイドアームは2つの平行な傾斜領域を有する。これにより、アンテナデバイスを車体表面に配置し、恒久的かつ解放可能に固定する取付装置の全体的な強度が、均一な力配分により、取付プロセス後に大幅に増加する。
【0015】
本発明のさらなる発展において、少なくとも2つの伸張要素部品はプラスチック材料または金属物質から形成されていることが想定される。プラスチックを使用する場合、伸張要素部品を、プラスチック射出成形方法で安価、正確、かつ大量に製造することができる。これは、伸張要素部品が電気的機能を持つ必要がない場合に特に適している。しかしながら、例えば、アンテナデバイスを、例えば導電性の車体表面を介して車両内のさらなる電気ユニットに接地接続する必要がある場合には、伸張要素部品は金属物質から形成される。そのような場合、公知の打抜き曲げ方法で製造することができ、例えば、それぞれの伸張要素部品の所望の幾何形状が、平坦な薄板金材料から形成される。2つ(または必要に応じて3つ以上)の伸張要素部品から1つの伸張要素を形成するために、同一の材料から形成された(すなわちプラスチックのみまたは金属物質のみから形成された)伸張要素部品を使用する。
しかしながら、例えば、プラスチックから形成された1つの伸張要素部品と金属物質から形成された1つの伸張要素部品とを嵌合して1つの伸張要素を形成することも考えられる。
【0016】
本発明のさらなる発展において、少なくとも2つの伸張要素部品は(プラスチックまたは金属物質から形成された)同一の部品として構成されていることが想定される。これにより、2つの異なる部品を嵌合させる必要が効果的に避けられるため、伸張要素部品の製造が簡単になり、部品の種類が減り、装着がさらに容易になる。
【0017】
以下で、本発明によるアンテナデバイスおよび関連する取付装置および適切な取付方法の例示的な実施形態について、図面を用いてさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】隆起を有する下面を備えたベースプレート1を示す図である。
図2】1つの伸張要素を形成する2つの伸張要素部品10、11の最終的な向きを示す図である。
図3】アンテナデバイスの取付装置の事前装着位置を示す図である。
図4】取付装置を凹部23に通す間のアンテナデバイスの動きを示す図である。
図5】車両ルーフ22に恒久的に配置され固定されたときのアンテナデバイスの最終装着位置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
アンテナデバイスおよび取付装置の基本的な要素が図1に示される。簡単にするために、アンテナデバイスの機能に必要な要素、例えば、高周波信号を送受信するためのアンテナ、プリント回路基板、(アンテナが上に配置される)箔など、機械的構成(アンテナカバー、シールなど)、および電気的構成(ケーブル、プラグコネクタなど)は図示しないが、存在する。
【0020】
図1に示すアンテナデバイスは、隆起、特にドーム2を有する下面を備えたベースプレート1を有する。ベースプレート1はプラスチックまたは金属から形成される。ドーム2は下面から突出するが、ベースプレート1の他方の面の方向のみを向いていても、さらに他方の面の方向を向いていてもよい。ドーム2を省いてもよいことも考えられる。ドーム2はねじ付開口部3を有する。ドーム2は、その周囲に少なくとも1つの支持部4を備え、この場合、4つの支持部4を備える。ベースプレート1の下面に突起5がある。これらの突起5により、ベースプレート1の下面を車体表面の上面から離間させたままにする。これは、特にシールおよび/またはアンテナカバーの下面が、ベースプレート1の側縁の周囲にわたってベースプレート1の下面上に突出している場合に、車体表面上でアンテナデバイスを均一に担持するために必要である。
アンテナカバー(図示せず)を取り付けるために、ベースプレート1はその周囲に分散された複数の貫通孔6を有し、この貫通孔6に、例えばねじを通し、ねじによってアンテナカバーとベースプレート1とを互いに接続することができる。
【0021】
支持部4の前端部は、車体表面(図1には示さず)の凹部の側縁に対応するように特に選択されて、アンテナデバイスを車体表面に配置した後に目的の方法で案内し、所定の事前装着位置に配置する。
【0022】
取付装置のさらなる要素は、ねじ7の形の作動要素である。ねじ7はねじ頭8およびねじ部9を有する。ねじ部9は、ドーム2のねじ付開口部3の雌ねじに対応する。雌ねじを、例えばベースプレート1のみに設けてもよい(ドーム2を省く)。あるいは、作動要素を掛止要素または伸張要素として形成してもよい。しかしながら、ねじ7としての作動要素の構成は、アンテナデバイスを車両の車体表面に恒久的に固定するために所定の力を加えることができるという利点を有する。これは、例えば、トルクレンチを用いてねじ7を締め付けることによって行うことができる。
【0023】
さらに、第1の伸張要素部品10と少なくとも1つのさらなる伸張要素部品11とを設けて、取付装置の1つの伸張要素を形成する。以下の説明および図面において、1つの伸張要素を形成するための2つの伸張要素部品10、11があることを想定する。しかしながら、3つ以上の伸張要素部品を使用して1つの伸張要素を形成することも考えられる。2つの伸張要素部品10、11は各々、平坦領域12、14および13、15をそれぞれ有する。図示しない実施形態において、それぞれの平坦領域12、14および13、15は、それぞれ1つの同一平面に位置する。しかしながら、図1による設計においては、2つの伸張要素部品10、11のそれぞれの平坦領域12、13および14、15は互いにずれて配置されている。各伸張要素部品10、11は、関連する平坦領域14、15のそれぞれから、サイドアーム16、17をそれぞれ有する。
サイドアーム16、17は、平坦領域14、15から略直角に突出する。外方を向くサイドアーム16、17の上面に、少なくとも1つの傾斜領域18がそれぞれ設けられる。図1による設計において、サイドアーム16、17の細長い外側端部領域に、それぞれ1つの傾斜領域18がある。図から推測されるように、例えば、それぞれの伸張要素部品10、11を打抜き曲げ方法で製造する際に、これらの傾斜領域18は、サイドアーム16、17の外側端部領域で対応して曲げられている。
【0024】
平坦領域12、14および13、15のそれぞれの中央領域に(これらの平坦領域が1つの平面に配置されるか互いにずれて配置されるかに関係なく)、それぞれ作動要素、特にねじ7のための1つの貫通孔19がある。しかしながら、この貫通孔19は周方向に閉じているのではなく、(例えばスロットの形の)側部へ外方に開く開口部を有する。この開口部により、作動要素、特にねじ7の軸方向に対して横方向の動きによって、2つの伸張要素部品10、11を嵌合させることができる。このプロセスは、2つの伸張要素部品10、11を最初に特定の角度で互いに当てた後に嵌合させる(互いに挿入する)ことによって行われる。その後、2つの嵌合した伸張要素部品を枢動させることにより、第1の伸張要素部品10の平坦領域12、14がさらなる伸張要素部品11の関連する平坦領域13、15に平らに載って止まる。
【0025】
嵌合プロセスが完了し、枢動が完了し、したがって、2つの伸張要素部品10、11が1つの伸張要素を形成するために最終的な向きにある状態が、図2に示される。
【0026】
さらに、例示的な本実施形態において、平坦領域12~15の周りに縁部領域20があることが図1に見て取れる。この縁部領域20は、2つの伸張要素部品10、11の一方のみにあってもよい。伸張要素部品10、11については、この縁部領域20も金属物質から打抜き曲げ方法で製造することが有利である。2つの伸張要素部品10、11の嵌合後の枢動プロセスを、縁部領域20によって支えることが有利である。枢動プロセスによって、2つの伸張要素部品10、11は枢動後に互いに対して所定の位置に配置され、さらに逆に枢動しなければ離れることができなくなる。
【0027】
嵌合させ枢動させた伸張要素部品10、11にベースプレート1でプレストレスを与えるために、ばね要素21がある。例示的な本実施形態において、このばね要素21は渦巻ばねとして形成され、これにねじ7を通す。これにより、渦巻ばねは、取付装置およびベースプレート1に目的の方法で配置されるため、事前装着位置で、伸張要素を所定の状態に保持することができる。
【0028】
図1および図2を見て取付装置の必要な要素について説明した後、図3を参照する。ベースプレート1の下面が車体表面の上面、特に車両ルーフ22の方向に当てられることが見て取れる。車体表面は切欠き23を有し、この切欠き23にアンテナ構成の取付装置を通す。この取付装置は、ベースプレート1の下面に準備されている。
【0029】
したがって、図3に、アンテナデバイスの取付装置の事前装着位置が示されている。図2に従って枢動した、2つの嵌合した伸張要素部品10、11が、ドーム2に固定され、プレストレスを受けることが見て取れる。これは、ねじ7のねじ部9を、今は完全に閉じている通路開口部に通すことによって行われる。この通路開口部は、2つの伸張要素部品10、11と、ねじ部9に同様に押し付けられているばね要素21、特に渦巻ばねとによって形成されている。その後、このユニットをベースプレート1の下面の方向に動かし、ねじ7のねじ部9の端部をドーム2のねじ付開口部3に多少ねじ込んでいる。これにより、図3に示す事前装着位置を実現する。言い換えると、準備されたアンテナデバイスを、取付装置を前にして、車体表面の上面の方向へ動かし、ベースプレート1の下面が車体表面の上面に載って止まるまで、取付装置を車体表面、特に車両ルーフ22の凹部23に通す。
このステップが図4に示される。この場合、取付装置を凹部23に通す間、傾斜領域18の、好ましくは円弧状に延びるそれぞれの前端部が、凹部23の周縁に載って止まることが見て取れる。これにより、それぞれの伸張要素部品10、11の2つのサイドアーム16、17を、ねじ7を通って延びる取付装置の中心軸の方向に互いに押し付ける。この押付けは、ばね要素21のばね力に対抗して行われる。この押付けは、2つの伸張要素部品10、11を取付装置の中心軸に対して横方向の軸の周りで互いに対して多少枢動させることができるという点で、構造的に可能である。これにより、アンテナデバイスがその事前装着位置から終端位置の方向へ動くときに、伸張要素部品10、11自体、特にそれらのサイドアーム16が、ばね効果またはプレストレスをもたらす必要がないという利点も見られる。ばね効果またはプレストレスは、ばね要素21によってのみ使用可能になり、または代替構成においては、ばね要素を省くことにより、全く発生しない。
【0030】
図4では、取付装置を車両ルーフ22の凹部23に通す間のアンテナデバイスの動きが示され、ねじ7も事前装着位置で占める位置から動いていないが、図5には最終装着位置(最終位置)が示され、ここでは、アンテナデバイスが車両ルーフ22(一般に車両の車体表面)に恒久的に配置され固定されている。この最終的な固定は、ベースプレート1が(必要であれば、突起5および/またはベースプレート1の周りの周方向シールおよび/またはアンテナカバーの下縁により離間して)車体表面の面に平行に当たって止まった後に、サイドアーム16が再び元の位置に多少戻っているという点で実現されている。例示的な実施形態において、傾斜領域18の遠位端が車両ルーフ22の下面に載って止まり、サイドアーム16の段付前面(端部)が凹部23の周縁に載って止まるという点で、サイドアームの最終位置に到達する。
このプロセスは、ベースプレート1が意図した通りに車体表面に載って止まったときにそれぞれの幾何形状を適切に調節することによって自動で行われる。言い換えると、サイドアーム16は、ばね要素21によってプレストレスを与えられることにより、事前装着位置で占めていた位置に戻り、図5に示す位置を占める。図5において占めているこのサイドアーム16の位置は、図3に示す事前装着位置におけるサイドアーム16の元の位置から多少ずれていてもよい。これは、図3による事前装着位置において、サイドアーム16が、図5に示す最終装着位置よりも多少突出していることを意味する。
【0031】
アンテナデバイスの取付装置を車体表面の凹部23に通すことによりサイドアーム16が互いに押し付けられ、凹部23を完全に通ったときにサイドアーム16が再び枢動して戻った後に、特に傾斜領域18と組み合わせたサイドアーム16の幾何形状によってアンテナデバイスの事前掛止位置となる。したがって、このアンテナデバイスは最初に車体表面の最終装着位置に配置されるが、まだ恒久的に有効に固定されていない。この固定は、ねじ7を締め付けることによって行われ、これにより、ベースプレート1が車体表面の上面の方向へさらに少しだけ動く(押し付けられる)。このねじ7の締付けを所定のトルクで行って、所定のトルクに達するとアンテナデバイスが車体表面に恒久的に固定されるようにすることが有利である。ねじ7を回転させて固定を行う代わりに、ねじ7の代わりに使用される掛止要素、伸張要素などを用いてアンテナデバイスを車体表面に恒久的に固定することも考えられる。
【0032】
図3図5に示す動きの順序では、取付装置が凹部23に挿入されると、ドーム2から突出する支持部4が(円弧状に構成され得る前部傾斜により)案内を行うことも見て取れる。これにより、アンテナデバイスの取付装置を目的通りに凹部23に通し、車体表面、特に車両ルーフ22においてアンテナデバイスの向きを予め定める。
【0033】
上記の案内を行っても行わなくてもよい。例えば、方向コード化ピンも考えられる。スパイク(ピン)が、ロック機構の前または後ろでベースプレートから車体の方向に突出し、装着中に、ルーフアンテナの向きを決める孔に挿入される。
【0034】
図3図5に関して説明し図示した動きの順序を、取外しのために逆にしてもよいことが明らかである。このために、締め付けたねじ7を緩め、サイドアーム16をねじ7の中心軸の方向に互いに押し付けることが必要である。これにより、事前ロックのための装着に必要であった、車体表面の切欠き23の領域におけるサイドアーム16と傾斜領域18とによる取付装置のロックが不要になる。サイドアーム16をねじ7の中心軸の方向に互いに押し付ける(これは、例えば手で、または道具を用いて行うことができる)と、アンテナデバイスを車体表面から持ち上げることができ、取付装置を切欠き23から引き抜くことができる。
【0035】
最後に、改良されたアンテナデバイス、特に、先行技術と比べて明らかに改良されたアンテナデバイスの取付装置が、本発明によって使用可能である。このアンテナデバイスは、非常に小型に構成され、必要な部品数が少なく、装着が非常に簡単である。アンテナデバイスを準備し、取付装置によって使用可能にすることができるという点で、特に簡単であることがわかる。その後にのみ、このように準備されたアンテナデバイスを、最終的に車両に装着するときに使用し、これに関して非常に容易に取り扱うことができる。
【符号の説明】
【0036】
1 ベースプレート
2 ドーム
3 ねじ付開口部
4 支持部
5 突起
6 貫通孔
7 ねじ
8 ねじ頭
9 ねじ部
10 第1の伸張要素部品
11 さらなる伸張要素部品
12 平坦領域
13 平坦領域
14 平坦領域
15 平坦領域
16 サイドアーム
17 サイドアーム
18 傾斜領域
19 貫通孔
20 縁部領域
21 ばね要素
22 車両ルーフ
23 切欠き
図1
図2
図3
図4
図5