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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】水晶振動子及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H03H 9/19 20060101AFI20240717BHJP
   H03H 3/02 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
H03H9/19 A
H03H3/02 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022044564
(22)【出願日】2022-03-18
(65)【公開番号】P2023035794
(43)【公開日】2023-03-13
【審査請求日】2022-03-18
(31)【優先権主張番号】110132308
(32)【優先日】2021-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】522054178
【氏名又は名称】國立陽明交通大學
(73)【特許権者】
【識別番号】522111611
【氏名又は名称】安碁科技股▲フェン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】AKER TECHNOLOGY CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100217836
【弁理士】
【氏名又は名称】合田 幸平
(72)【発明者】
【氏名】洪 瑞華
(72)【発明者】
【氏名】林 逸倫
【審査官】工藤 一光
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-165367(JP,A)
【文献】特開2013-12977(JP,A)
【文献】特開2013-98814(JP,A)
【文献】特開2014-39107(JP,A)
【文献】特開2014-154994(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H3/02-3/04
H03H9/00-9/135
H03H9/15-9/215
H03H9/54-9/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の表面と、該第1の表面の反対側にある第2の表面と、前記第1の表面及び前記第2の表面を繋ぐ側面と、を有する板状体に形成されていると共に、該板状体に外周部と該外周部に囲まれる振動部とを有する振動基板と、
前記振動部を囲むように前記振動基板の前記第2の表面に設けられ、前記振動基板と異なる材料であってフォトレジストからなるフレームと、
前記振動基板の前記振動部の前記第1の表面に形成される第1のメイン電極部及び該第1のメイン電極部から前記側面を経由して前記第2の表面の前記フレームの外側にある部分に延伸する第1の延伸電極部を有する第1の電極と、
前記振動基板の前記振動部の前記第2の表面に形成され、少なくとも1つの孔を囲む第2のメイン電極部及び該第2のメイン電極部から前記振動基板と前記フレームとの間を経由して前記フレームの外側にある前記第2の表面の周縁に延伸する第2の延伸電極部を有する第2の電極と、を含み、
前記振動部は、前記第2の表面が前記第2のメイン電極部により覆われる主振動区と、前記少なくとも1つの孔に位置的に対応して前記第2のメイン電極部により覆われずに前記少なくとも1つの孔から露出し、且つ厚さが前記主振動区の厚さより薄い薄化区と、を有するように構成されている、水晶振動子。
【請求項2】
前記第1の電極の前記第1の延伸電極部と前記第2の電極の前記第2の延伸電極部とは互いに間を開けて前記第2の表面の同一の側縁に臨む、請求項1に記載の水晶振動子。
【請求項3】
前記第2の表面の前記第1の延伸電極部が形成されている部分に対応する前記振動基板の厚さは、前記第2の表面の前記第2の延伸電極部が形成されている部分に対応する前記振動基板の厚さと同じである、請求項1又は2に記載の水晶振動子。
【請求項4】
前記薄化区の少なくとも一部は前記振動部を貫通する貫通孔である、請求項1から3のいずれか一項に記載の水晶振動子。
【請求項5】
第1の表面と、該第1の表面の反対側にある第2の表面と、前記第1の表面及び前記第2の表面を繋ぐ側面と、を有する圧電基板の前記第1の表面に第1のメイン電極部を形成する、第1の電極形成ステップと、
前記第1のメイン電極部に仮基板を貼り合わせる、貼合ステップと、
前記圧電基板の前記第2の表面に対して薄化加工を実行する、第1の薄化ステップと、
薄化された前記圧電基板の前記第2の表面に、前記第1のメイン電極部の前記第2の表面における正投影範囲の少なくとも一部と重なり、且つ、薄化された前記圧電基板の前記第2の表面が露出する少なくとも1つの孔を囲む第2のメイン電極部、及び前記第2のメイン電極部から前記第2の表面の周縁に延伸する第2の延伸電極部、を有する第2の電極と、前記第1の表面にある前記第1のメイン電極部から前記側面を経由して前記第2の表面に延伸する第1の延伸電極部と、を形成する、第2の電極形成ステップと、
フォトリソグラフィを介して、所定の厚さを有し、薄化された前記圧電基板と異なる材料であってフォトレジストからなるフレームを、前記第2の電極の前記第2のメイン電極部を囲み、且つ、前記第2のメイン電極部と前記第2の延伸電極部とを仕切るように前記第2の延伸電極部の一部に圧着し、前記第1の延伸電極部と前記第2の延伸電極部との少なくとも一部が前記フレームの外側に位置するように前記第2の表面に形成する、フレーム形成ステップと、
前記第2のメイン電極部をマスクとして、薄化された前記圧電基板の前記第2のメイン電極部により囲まれる前記孔から露出する箇所に対してエッチングして薄化させる第2の薄化ステップと、を含む、水晶振動子の製造方法。
【請求項6】
前記第2の薄化ステップにおいて、薄化された前記圧電基板の前記孔から露出する箇所を貫通するように完全にエッチングする、請求項5に記載の水晶振動子の製造方法。
【請求項7】
前記第2の薄化ステップの後に、前記仮基板を除去する、除去ステップ、をさらに含む、請求項5又は6に記載の水晶振動子の製造方法。
【請求項8】
前記第2の電極形成ステップにおいて、前記第1の延伸電極部と前記第2の延伸電極部とは、前記第2の表面の同一の側縁に延伸する、請求項5から7のいずれか一項に記載の水晶振動子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動子及びその製造方法に関し、特に高い発振周波数の発振出力が得られる水晶振動子及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の水晶振動子の構造は大まかに、水晶(石英)からなる振動板と、外部に電気的に接続するように該振動板の相対する2つの表面にそれぞれ形成される2つの電極と、を含む。産業のニーズに応えて、水晶振動子は、短波(HF)通信に適用するように軽量化・薄型化が進んでおり、振動板の厚さを薄化することによってより高い周波数の発振出力が得られる。例えば、特許文献1は振動素子を開示し、該振動素子は、基板が部分的に薄化されて、平板状の振動部と、振動部と一体であって振動部より厚さの厚い厚肉部とを有するようになっていて、基板の全体的な厚さをコントロールし、所定の周波数の発振出力を実現する。さらに、厚肉部は振動素子の強度を補強し且つ後続の製造過程で挟持するための部分として使用され、基板が薄化されたことによる強度不足のため振動素子が製造過程で割れることを防げる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開第2014-154994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、薄化された基板が割れないように設けられた厚肉部は、振動素子全体の重さを増加させることになるため、製品の軽量化を妨げる。
【0005】
従って、本発明の目的は、軽量化された水晶振動子及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の水晶振動子は、第1の表面と、該第1の表面の反対側にある第2の表面と、前記第1の表面及び前記第2の表面を繋ぐ側面と、を有する板状体に形成されていると共に、該板状体に外周部と該外周部に囲まれる振動部とを有する振動基板と、前記振動部を囲むように前記振動基板の前記第2の表面に設けられるフレームと、前記振動基板の前記振動部の前記第1の表面に形成される第1のメイン電極部及び該第1のメイン電極部から前記側面を経由して前記第2の表面の前記フレームの外側にある部分に延伸する第1の延伸電極部を有する第1の電極と、前記振動基板の前記振動部の前記第2の表面に形成される第2のメイン電極部及び該第2のメイン電極部から前記フレームの外側にある前記振動基板の周縁に延伸する第2の延伸電極部を有する第2の電極と、を含み、前記振動部は、前記第2の表面が前記第2のメイン電極部により覆われる主振動区と、前記第2のメイン電極部により覆われずに露出し、且つ厚さが前記主振動区の厚さより薄い薄化区と、を有するように構成されている。
【0007】
本発明の水晶振動子の製造方法は、第1の表面と、該第1の表面の反対側にある第2の表面と、前記第1の表面及び前記第2の表面を繋ぐ側面と、を有する圧電基板の前記第1の表面に第1のメイン電極部を形成する、第1の電極形成ステップと、前記第1のメイン電極部に仮基板を貼り合わせる、貼合ステップと、前記圧電基板の前記第2の表面に対して薄化加工を実行する、第1の薄化ステップと、薄化された前記圧電基板の前記第2の表面に、前記第1のメイン電極部の前記第2の表面における正投影範囲の少なくとも一部と重なり、且つ、薄化された前記圧電基板の前記第2の表面が露出する少なくとも1つの孔を囲む第2のメイン電極部、及び前記第2のメイン電極部から薄化された前記圧電基板の周縁に延伸する第2の延伸電極部、を有する第2の電極と、前記第1の表面にある前記第1のメイン電極部から前記側面を経由して前記第2の表面に延伸する第1の延伸電極部と、を形成する、第2の電極形成ステップと、所定の厚さを有するフレームを、前記第2の電極の前記第2のメイン電極部を囲み、且つ、前記第2のメイン電極部と前記第2の延伸電極部とを仕切るように前記第2の延伸電極部の一部に圧着し、前記第1の延伸電極部と前記第2の延伸電極部との少なくとも一部が前記フレームの外側に位置するように前記第2の表面に形成する、フレーム形成ステップと、前記第2のメイン電極部をマスクとして、薄化された前記圧電基板の前記第2のメイン電極部により囲まれる前記孔から露出する箇所に対してエッチングして薄化させる第2の薄化ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0008】
上記の水晶振動子によれば、厚さのより薄い薄化区を振動基板の振動部に形成し、水晶振動子の振動部が異なる厚さを有することによって、水晶振動子が所望の周波数の発振出力が得られると共に、水晶振動子全体の重さをさらに軽減することができる。
【0009】
上記の水晶振動子の製造方法によれば、第2の薄化ステップにおいて、第2の表面に形成された第2のメイン電極部をマスクとして、圧電基板の孔から露出する箇所をさらに薄化する。従って、本発明の水晶振動子の製造方法で製造された水晶振動子の振動部は、異なる厚さを有するようになり、よって、水晶振動子は所望の周波数の発振出力が得られると共に、水晶振動子全体の重さをさらに軽減することができる。
【0010】
本発明の他の特徴及び利点は、添付の図面を参照する以下の実施形態の詳細な説明において明白になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の水晶振動子の実施例1が示される上面図である。
図2図1のII-II線に沿った断面図である。
図3図1のIII-III線に沿った断面図である。
図4】本発明の水晶振動子の製造方法の実施例1が示されるフローチャートである。
図5】水晶振動子の製造方法の実施例1を説明するための断面図である。
図6】水晶振動子の製造方法の実施例1を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を詳細に説明する前に、以下の説明では、類似な構成要素は同一の参照符号で示されていることに留意されたい。また、本発明の技術内容、特徴、及び効果については、図面を参照する以下の実施例の詳細な説明において明白になる。なお、本発明の図面は各構成要素の間の構造や位置の相対関係を示すものに過ぎなく、各構成要素の実際のサイズを示すものではないことに留意されたい。
【0013】
図1図2、及び図3には、本発明の水晶振動子200の実施例1が示されている。本実施例において、水晶振動子200は、振動基板2と、フレーム3と、第1の電極4と、第2の電極5と、を含む。
【0014】
振動基板2は、第1の表面21と、第1の表面21の反対側にある第2の表面22と、第1の表面21及び第2の表面22を繋ぐ側面20と、を有する板状体に形成されていると共に、該板状体に外周部25と該外周部25に囲まれる振動部23とを有する。振動部23は、厚さが第1の厚さT1の主振動区231と、厚さが第2の厚さT2の薄化区232とを有するように構成されている。第2の厚さT2は、第1の厚さT1より薄い。振動基板2は共振(resonance)特性を有する圧電材料としての水晶(石英)からなる。本実施例において、主振動区231の第1の厚さT1は50μm以下が好ましく、薄化区232の第2の厚さT2は10μm以下が好ましい。なお、第1の厚さT1と第2の厚さT2との具体的数値に関しては、製品としての水晶振動子200の発振出力に応じて設定する。
【0015】
必要に応じて、薄化区232の一部若しくは全体は振動基板2の振動部23を貫通する貫通孔2321(図2を参照)であってもよい。なお、薄化区232の全体が貫通孔2321から構成されているということは、薄化区232の第2の厚さT2が0であることを意味する。
【0016】
フレーム3は、振動基板2の振動部23を囲むように該振動基板2の第2の表面22に設けられている(図1を参照)。フレーム3は、電子部品に配置することが容易になるように、厚さを増やして挟持できる箇所を提供する。フレーム3は、環状体であり、必要に応じて絶縁材料又はフォトレジストから製造されてもよい。さらに、該環状体の具体的な幅、形状、及び設置位置などはニーズ又はデサインによって異なり、特に制限はない。
【0017】
第1の電極4は、振動基板2の振動部23の第1の表面21に形成される第1のメイン電極部41と、該第1のメイン電極部41から側面20を経由して第2の表面22のフレーム3の外側にある部分に延伸する第1の延伸電極部42と、を有する。
【0018】
第2の電極5は、振動基板2の振動部23の第2の表面22に形成され、複数の孔511を囲む第2のメイン電極部51と、該第2のメイン電極部51からフレーム3の外側にある第2の表面22の周縁に延伸する第2の延伸電極部52とを有する。第2のメイン電極部51は、第1のメイン電極部41の第2の表面22における正投影範囲の一部と重なる。本実施例において、第2の延伸電極部52は、振動基板2とフレーム3との間を経由して第2の表面22の周縁に延伸し、第1の電極4の第1の延伸電極部42と第2の電極5の第2の延伸電極部52とは、互いに間を開けて第2の表面22の同一の側縁に臨む。
【0019】
より具体的には、本実施例において、振動基板2は、フレーム3の少なくとも一部が振動基板2の周縁と間隔をおいてあることによって、フレーム3を介して互いに間を開けて第2の表面22における同一側に位置する2つの周縁区24をさらに有する。第1の延伸電極部42は第1のメイン電極部41から側面20を経由してその1つの周縁区24に延伸し、第2の延伸電極部52は第2のメイン電極部51からフレーム3と振動基板2との間を経由してもう1つの周縁区24に延伸する。
【0020】
外部の電子部品に接続するため、第1の延伸電極部42と第2の延伸電極部52とは第2の表面22の同一側に位置する以外、第2の表面22の第1の延伸電極部42が形成されている部分に対応する振動基板2の厚さは、第2の表面22の第2の延伸電極部52が形成されている部分に対応する振動基板2の厚さと同じであることが好ましい。すなわち、本実施例において、2つの周縁区24の厚さは同じである。さらに、本実施例において、2つの周縁区24の厚さは主振動区231と同じく第1の厚さT1である。
【0021】
第2のメイン電極部51の複数の孔511はそれぞれ、振動基板2の薄化区232に対応して形成される。すなわち、振動基板2の振動部23は、第2の表面22が第2のメイン電極部51により覆われる主振動区231と、第2のメイン電極部51の孔511に対応して第2のメイン電極部51により覆われずに露出している薄化区232とを有するように構成されている。孔511の分布位置、数などは必要に応じて変化することができ、第2のメイン電極部51に孔511を1つだけ形成してもよく、特に制限はない。
【0022】
第1の電極4及び第2の電極5は、金、銀、アルミニウムなどの導電材料からなる。さらに、第1の電極4及び第2の電極5は互いに同じ又は異なる導電材料から製造されてもよい。
【0023】
上記のように、本発明の水晶振動子200は、厚さの比較的薄い薄化区232を振動基板2の振動部23に形成することにより、水晶振動子200の振動部23が異なる厚さを有するようになり、これによって、所望の周波数の発振出力が得られると共に、水晶振動子200全体の重さをさらに軽減することができ、軽量化された水晶振動子200を提供するという目的を実現する。
【0024】
図4図5、及び図6には、上記の水晶振動子200を製造する水晶振動子の製造方法の実施例1が示されている。図4は本発明の水晶振動子の製造方法の実施例1のフローチャートであり、図5及び図6は、図1において水晶振動子200を横切るII-II線の箇所における、水晶振動子の製造方法の実施例1の各ステップに対応する断面図である。本実施例において、水晶振動子の製造方法は、第1の電極形成ステップS81と、貼合ステップS82と、第1の薄化ステップS83と、第2の電極形成ステップS84と、フレーム形成ステップS85と、第2の薄化ステップS86と、除去ステップS87と、を含む。
【0025】
第1の電極形成ステップS81は、第1の表面21と、第1の表面21の反対側にある第2の表面22と、第1の表面21及び第2の表面22を繋ぐ側面20と、を有する圧電基板6の第1の表面21に第1のメイン電極部41を形成し、第1の半製品300を得る。本実施例において、圧電基板6は水晶(石英)からなる。第1の電極形成ステップS81は、導電材料を用いて堆積又は印刷によって第1のメイン電極部41を形成する。
【0026】
貼合ステップS82は、第1のメイン電極部41に仮基板7を貼り合わせる。本実施例において、第1の半製品300は第1のメイン電極部41を仮基板7に向けるように仮基板7に貼り合わせる。仮基板7は、振動基板2が後続の薄化ステップと電極形成ステップとで割れないように支持を提供する。
【0027】
第1の薄化ステップS83は、圧電基板6が第1の厚さT1になるまで、圧電基板6の第2の表面に対して圧電基板6の全体に薄化加工を実行する。本実施例において、研削又は化学エッチングによって、圧電基板6を薄化する。
【0028】
第2の電極形成ステップS84は、薄化された圧電基板6の第2の表面22に、第1のメイン電極部41の第2の表面22における正投影範囲の少なくとも一部と重なり、且つ、薄化された圧電基板6の第2の表面22が露出する複数の孔511を囲む第2のメイン電極部51、及び第2のメイン電極部51から薄化された圧電基板6の周縁に延伸する第2の延伸電極部52、を有する第2の電極5と、第1の表面21にある第1のメイン電極部41から側面20を経由して第2の表面22に延伸する第1の延伸電極部42と、を形成する。本実施例において、第1の延伸電極部42と第2の延伸電極部52とは、第2の表面22に同一の側縁に延伸する。
【0029】
本実施例において、第2の電極5(第2のメイン電極部51及び第2の延伸電極部52)は、導電材料を用いて、堆積又は印刷を介して形成され、第1の延伸電極部42は、導電材料を用いて、印刷又はコーティングを介して形成される。
【0030】
第2の電極形成ステップS84の第2の電極5と第1の延伸電極部42とを形成する順番について、特に制限はない。必要に応じて、第2の電極5を形成してから第1の延伸電極部42を形成してもよく、又は第1の延伸電極部42を形成してから第2の電極5を形成してもよい。さらに、いくつかの実施例において、第2の電極5と第1の延伸電極部42とは同時に第2の表面22に形成された後、銀ペーストなどの導電性接着剤を用いて、第1のメイン電極部41と第1の延伸電極部42とを繋ぐ。
【0031】
フレーム形成ステップS85は、所定の厚さを有する環状体のフレーム3を、第2の電極5の第2のメイン電極部51を囲み、且つ、第2のメイン電極部51と第2の延伸電極部52とを仕切るように第2の延伸電極部52の一部に圧着し、第1の延伸電極部42と第2の延伸電極部52との少なくとも一部がフレーム3の外側に位置するように第2の表面22に形成される。なお、フレーム形成ステップS85は、フレーム3の構成材料に応じて、異なる方法で実行する。例えば、フォトレジストを用いてフォトリソグラフィ(photolithography)を介してフレーム3を形成する。又は、絶縁材料からなり、且つ、所定の形状及び厚さを有する事前に加工された框材を、接着剤で薄化された圧電基板6の第2の表面22に貼り付けてフレーム3を形成する。
【0032】
第2の薄化ステップS86は、第2のメイン電極部51をマスクとして、薄化された圧電基板6の第2のメイン電極部51により囲まれる孔511から露出する箇所に対してエッチングして、厚さが第2の厚さT2になるまで薄化させ、第2の半製品400を得る。第2の厚さT2は第1の厚さT1より薄い。
【0033】
必要に応じて、第2の薄化ステップS86において薄化された圧電基板6のいくつか若しくはすべての孔511から露出する箇所を貫通するように完全にエッチングすることもできる。すなわち、薄化された圧電基板6のフレーム3に囲まれる範囲の第2のメイン電極部51の形成されていない箇所の一部若しくは全体に、薄化された圧電基板6を貫通する貫通孔2321を形成するように薄化することもできる。なお、薄化された圧電基板6の孔511から露出する箇所の全体を完全にエッチングすることは、第2の厚さT2が0であることを意味する。
【0034】
除去ステップS87は、第2の半製品400から仮基板7を除去し、水晶振動子200を得る。除去ステップS87の仮基板7を除去する方法は、貼合ステップS82の仮基板7を第1の半製品300に貼り付ける方法に応じて異なる方法を使う。例えば、仮基板7を光分解性又は熱分解性の接着剤を介して第1の半製品300に貼り付ける場合において、除去ステップS87は、第2の半製品400に光を当てる又は第2の半製品400を加熱する方法を介して、仮基板7を除去する。
【0035】
本発明の水晶振動子の製造方法の除去ステップS87の実行を経て作成した水晶振動子200について、薄化された圧電基板6は上記本発明の水晶振動子200の振動基板2に対応し、そして薄化された圧電基板6のフレーム3に囲まれる部分は振動部23に対応し、フレーム3に囲まれ、且つ、第2の表面22に第2のメイン電極部51が形成されている部分は振動基板2の主振動区231に対応し、第2のメイン電極部51の孔511から露出し、且つ、第2の薄化ステップS86で薄化された箇所は薄化区232に対応する。主振動区231は第1の厚さT1を有し、薄化区232は第2の厚さT2を有し、第2の厚さT2は第1の厚さT1より薄い。
【0036】
上記のように、本発明の水晶振動子の製造方法は、第1の薄化ステップS83と第2の薄化ステップS86とによって圧電基板6(振動基板2)の全体の厚さを調整する。第1のメイン電極部41と第2のメイン電極部51との間に位置し、且つ、第2のメイン電極部51に覆われる部分(主振動区231に対応する)は第1の厚さT1に維持し、水晶振動子200は所望の周波数の発振出力が得られる。同時に、仮基板7を支持として圧電基板6に貼り合わせている状態で、第2の薄化ステップS86は、第2の表面22に形成された第2のメイン電極部51をマスクとして、圧電基板6の孔511から露出する箇所を第2の厚さT2になるまでさらに薄化し、圧電基板6の一部をさらに除去する。従って、本発明の水晶振動子の製造方法で製造された水晶振動子200の振動部23は、異なる厚さを有することによって、水晶振動子200が所望の周波数の発振出力が得られると共に、水晶振動子200全体の重さをさらに軽減することができる。よって、軽量化された水晶振動子の製造方法を提供するという目的を実現する。
【0037】
以上、本発明の好ましい実施形態および変化例を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、最も広い解釈の精神および範囲内に含まれる様々な構成として、全ての修飾および均等な構成を包含するものとする。
【符号の説明】
【0038】
200 水晶振動子
300 第1の半製品
400 第2の半製品
2 振動基板
20 側面
21 第1の表面
22 第2の表面
23 振動部
231 主振動区
232 薄化区
2321 貫通孔
24 周縁区
25 外周部
3 フレーム
4 第1の電極
41 第1のメイン電極部
42 第1の延伸電極部
5 第2の電極
51 第2のメイン電極部
511 孔
52 第2の延伸電極部
6 圧電基板
7 仮基板
S81 第1の電極形成ステップ
S82 貼合ステップ
S83 第1の薄化ステップ
S84 第2の電極形成ステップ
S85 フレーム形成ステップ
S86 第2の薄化ステップ
S87 除去ステップ
T1 第1の厚さ
T2 第2の厚さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6