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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】ナビゲーションシステム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/32 20060101AFI20240717BHJP
【FI】
G01C21/32
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2023223743
(22)【出願日】2023-12-29
【審査請求日】2024-01-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501403863
【氏名又は名称】株式会社オーイーシー
(74)【代理人】
【識別番号】100189865
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 正寛
(74)【代理人】
【識別番号】100094215
【弁理士】
【氏名又は名称】安倍 逸郎
(72)【発明者】
【氏名】中村 健一郎
【審査官】上野 博史
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-192196(JP,A)
【文献】特開平07-146998(JP,A)
【文献】特開2001-059731(JP,A)
【文献】特開平08-094372(JP,A)
【文献】特開平07-129888(JP,A)
【文献】特開平11-051685(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナビゲーションファイルに格納されるナビゲーション情報に基づいて、ルート案内を必要とする利用者に必要な案内指示を行うナビゲーションシステムにおいて、
前記ナビゲーションファイルは、前記利用者が運転する車両が走行するルート上でかつナビゲーションが必要な位置における位置座標点のみが格納され、
前記ナビゲーション情報は3以上の位置座標点からなり、これらの位置座標点を順番に直線で結ぶことでルートを構成し、そのルート上を走行するように前記運転するユーザに、前記車両が右折、左折又はUターンをすべき旨の案内指示を行い、
前記車両が右折、左折又はUターンをすべき地点(1)の位置座標点における案内指示の内容は、
前記地点(1)の位置座標点と、その直近で、前記車両が右折、左折又はUターンを行った地点(0)の位置座標点とを結ぶ直線及び前記地点(1)の位置座標点と、その次に前記車両が右折又は左折をすべき地点(2)の位置座標点とを結ぶ直線とにより形成される角の角度を第一角度とし、
前記地点(1)の位置座標点と、前記地点(2)の位置座標点とを結ぶ直線及び前記地点(2)の位置座標点と、前記地点(2)の次に前記車両が右折又は左折をすべき地点(3)の位置座標点とを結ぶ直線とにより形成される角の角度を第二角度とし、
前記第一角度と、前記第二角度と、前記地点(1)の位置座標点及び前記地点(2)の位置座標点の離間距離と、によって、Uターンであるか否かを決するナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記ルート上にある位置座標点における位置を通過した際に、ルート上の、当該位置座標点より前の位置座標点における位置を通過したものとみなし、ルートから除外する請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーションシステム、具体的には、ナビゲーション端末に搭載されている地図に含まれるリンク及びノード等で構成されるナビゲーション用の道路データ(道路ネットワーク)を用いずに、車両を運転するユーザに必要な案内指示を行うナビゲーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用のナビゲーションシステムにおいて、目的地や経由地を指定することで、そこまでの経路を最短時間もしくは最適と思われるルートを案内することに主力が置かれている。その上で特許文献1のように、利用者の都合や判断で優先する走行指標の迅速な変更や、特許文献2のように、経由地点の評価値を設定することで最適ルートを算出するようなナビゲーションシステムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-250718号公報
【文献】特開平08-201089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のナビゲーションシステムに共通していえることとして、ナビゲーション端末に搭載されているもしくはネットワーク経由でサーバーから取得した道路ネットワークを利用することを前提に構成されているため、様々な問題が生じている。
第一に、ナビゲーション端末に搭載されている道路ネットワークと、走行時点における道路状況とに相違が生じることが多々あり、ルート案内を適正に行うことができない場合がある。特に、ナビゲーション端末に搭載されている道路ネットワークを更新する術を持たない場合には、その相違が日々大きくなる。
第二に、複雑なルートや、同じ地点を走行する業務用車両(例えば、ゴミ回収のためのパッカー車等)の場合、走行順序を正しく伝達することができないため、ナビゲーションシステムの利用は不適と判断されていた。
【0005】
そこで、これらの問題を解決するためには、道路ネットワークを利用すること自体が問題であると考え、この道路ネットワークを用いずに、ルート案内を必要とする利用者に必要な案内指示を行うことができれば、これらの問題を解決することができることを知見し、本発明を完成させた。
本発明は、端末に搭載されている道路ネットワークデータを用いずに、ルート案内を必要とする利用者に必要な案内指示を行うナビゲーションシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、ナビゲーションファイルに格納されるナビゲーション情報に基づいて、ルート案内を必要とする利用者に必要な案内指示を行うナビゲーションシステムにおいて、前記ナビゲーションファイルは、前記利用者が運転する車両が走行するルート上でかつナビゲーションが必要な位置における位置座標点のみが格納され、前記ナビゲーション情報は3以上の位置座標点からなり、これらの位置座標点を順番に直線で結ぶことでルートを構成し、そのルート上を走行するように前記運転するユーザに、前記車両が右折、左折又はUターンをすべき旨の案内指示を行い、前記車両が右折、左折又はUターンをすべき地点(1)の位置座標点における案内指示の内容は、前記地点(1)の位置座標点と、その直近で、前記車両が右折、左折又はUターンを行った地点(0)の位置座標点とを結ぶ直線及び前記地点(1)の位置座標点と、その次に前記車両が右折又は左折をすべき地点(2)の位置座標点とを結ぶ直線とにより形成される角の角度を第一角度とし、前記地点(1)の位置座標点と、前記地点(2)の位置座標点とを結ぶ直線及び前記地点(2)の位置座標点と、前記地点(2)の次に前記車両が右折又は左折をすべき地点(3)の位置座標点とを結ぶ直線とにより形成される角の角度を第二角度とし、前記第一角度と、前記第二角度と、前記地点(1)の位置座標点及び前記地点(2)の位置座標点の離間距離と、によって、Uターンであるか否かを決するナビゲーションシステムである。
【0007】
本発明によれば、ナビゲーションファイルに格納されている情報はナビゲーションが必要な位置の位置座標のみであり、ナビゲーション端末に搭載されている道路ネットワークデータは用いない。
したがって、経時的に変化する道路ネットワークデータを更新するなど、新しい情報を追加する必要がなく、車両を運転するユーザに必要な案内指示を行うことができる。
特に、複雑なルートや、同じ地点を何度も奏功する業務用車両の場合であっても、位置座標の設定さえ適切に設定されていれば、ナビゲーションシステムとして利用することができる。
【0008】
位置座標は、プローブ情報における地理座標系をそのまま利用してもよく、また、地理座標系を、直交座標系等に置き換えてもよい。
ナビゲーションシステムでは、外部からプローブ情報(GNSS情報)を受信する受信端末、プローブ情報から車両の位置情報(経緯度)を抽出し、案内指示を行う座標との離間距離を求める離間距離演算部、案内指示の内容を判断し、ナビシステムの利用者に案内指示を行う案内部とを有している。
【0009】
第一角度とは、案内指示を行う位置の位置座標点と、その直近で案内指示を行った位置の位置座標点とを結ぶ直線及び案内指示を行う位置の位置座標点と、その次に案内指示を行う位置の位置座標点とを結ぶ直線とにより形成される角の角度である。
第二角度とは、案内指示を行う位置の位置座標点と、その次に案内指示を行う位置の位置座標点とを結ぶ直線及び案内指示を行う位置の次に案内指示を行う位置の位置座標点と、その次に案内指示を行う位置の位置座標点とを結ぶ直線とにより形成される角の角度である。
わかりやすく、具体例を挙げて説明すると、A,B,C,D地点があり、案内指示を行う位置の位置座標点をBとする場合、第一角度は、AとBを結ぶ直線及びBとCを結ぶ直線とによって形成される角Bの角度をいう。第二角度は、BとCを結ぶ直線およびCとDを結ぶ直線によって形成される角Cの角度をいう。なお、離間距離はBC間の直線距離をいう。
発明では、第一角度、第二角度及び離間距離に基づいて案内指示の内容を決するものである。
【0010】
ナビゲーションシステムにおいて、最も重要なことは、車両を運転するユーザに正しくルートを案内することであるが、案内が必要な個所は、交差点で右折または左折すべきところ、そして、Uターンをすべきところである。交差点で右折または左折すべきところについて、案内指示を行う位置におけるルートの屈折角度によってアナウンスの内容を決定できるようにすれば、ナビゲーションファイルに案内指示の内容を格納する必要もなく、また、別途案内指示の内容を格納したファイルも必要ない。このため、ナビゲーションシステムで使用するファイル容量を抑えることができ、コンパクトで使い勝手のよいナビゲーションシステムを構成することが可能となる。
その上で、複雑に入り組んだもしくは、何度も同じ道を通るようなルートであっても利用者は迷うことなく走行することができる。
【0011】
特に、交差点で右折または左折すべきところだけでなく、Uターンをすべきところについても、適切に案内することが可能となる。
具体的には、第一角度から、曲がる方向(右折または左折)を決定し、第二角度から、その次に曲がる角度を決定する。第一角度と第二角度とにより、それぞれの曲がる方向が異なる場合には、Uターンではないため、その度に案内指示を出せばよい。
しかし、第一角度と第二角度とにより、それぞれの曲がる方向が同じ場合には、単に同じ方向に曲がるだけなのか、Uターンなのかの判別はできない。
そこで、2か所の離間距離を求めることにより、単に曲がる方向が同じなのか、Uターンなのかを判別することができる。
例えば、2か所の案内指示が同じであり、かつ、2か所の離間距離が数メートル程度と短い場合にUターンすべきと判断し、その旨を運転者に案内指示を行う。
これにより、これにより、交差点で右折または左折すべきところだけでなく、Uターンをすべきところについても、適切に案内することができる。
【0012】
請求項に記載の発明は、前記ルート上にある位置座標点における位置を通過した際に、ルート上の、当該位置座標点より前の位置座標点における位置を通過したものとみなし、ルートから除外する請求項1に記載のナビゲーションシステムである。
【0013】
請求項に記載の発明によれば、ルート上にある位置座標点における位置を通過した際に、ルート上の、当該位置座標点より前の位置座標点における位置を通過したものとみなし、ルートから除外する。すなわち、すでに走行済みのルートを随時削除し、現在走行中のルート及び数点先のナビゲーションを行う位置座標点に限定する。これにより、同じ交差点や道路を何度も通る場合であっても進むべきルートを適切に案内することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ナビゲーションファイルに格納されている情報はナビゲーションが必要な位置の位置座標のみであり、ナビゲーション端末に道路ネットワークを含む地図データは用いない。
したがって、経時的に変化する道路ネットワークを含む地図データを更新するなど、新しい情報を追加する必要がなく、車両を運転するユーザに必要な案内指示を行うことができる。
特に、一般的にカーナビは目的地付近までを最短もしくは最速で移動することを目的としているため、ごみ収集やルート配送といった予め指定したルート通りに移動する必要がある用途には適さず、道路ネットワークが提供されていない場所については、「目的地付近」までしかルート案内することができないが、本発明を使うことで、道路ネットワークが提供されないルートであってもナビゲーションすることができるため、短い距離で右左折を行うといった複雑なルートや、同じ地点を何度も走行する業務用車両の場合であっても、位置座標の設定さえ適切に設定されていれば、ナビゲーションシステムとして利用することができる。
【0015】
そのうえで、第一角度、第二角度、そして、案内指示を行う地点の位置座標と次の案内指示を行う地点の位置座標との離間距離の3つのファクターによって案内指示の内容を決定する。これにより、交差点で右折または左折すべきところだけでなく、Uターンをすべきところについても、適切に案内することが可能となる。
【0016】
また、請求項に記載の発明では、現在走行中のルート及び数点先のナビゲーションを行う座標点に限定し、進行方向前方に向かって流れる矢印等を示すことで、同じ交差点や道路を何度も通る場合であっても進むべきルートを適切に案内することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】(a)本発明の実施例1に係るナビゲーションシステムにおいて、右折または左折の判定を示した説明図である。(b)本発明の実施例1の変形例に係るナビゲーションシステムにおいて、右折、左折またはUターンの判定を示した説明図である。
図2】本発明の実施例1に係るナビゲーションシステムにけるナビゲーション方法を説明するためのルート図である。
図3】本発明の実施例3に係るナビゲーションシステムにおいて、ナビゲーションがどのように行われるのかを示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(実施例1)
本発明の実施例1に係るナビゲーションシステムは、Uターンが求められていないルートにおいて用いられるものである。
このナビゲーションシステムは、演算装置、記憶装置、入力装置、出力装置、制御装置から構成され、24時間安定可能なOSが導入されたナビゲーション端末が搭載されている。
ナビゲーション端末には、ナビゲーションプログラムを備えている。ナビゲーションプログラムには、GPS情報から車両の位置情報(経緯度)を抽出する機能、案内指示を行う位置の経緯度(案内位置座標)をナビゲーションファイルから読み取る機能、案内位置座標における案内指示の内容を判断し、必要な案内をする案内機能を有している。
案内機能は、出力装置であるディスプレイ表示(画面表示)及び音声案内により行われる。
【0019】
ナビゲーションファイルは、案内指示を出す順番に沿って、案内位置座標を格納している。位置座標は最低3か所(出発地点の位置座標、到着地点の位置座標および案内位置座標)が格納されている。ナビゲーションファイルは、管理を容易とするために、CSV(Comma Separated Value)ファイルで格納されている。
ナビゲーションファイルの作成は、ナビゲーション端末上で作成してもよく、ナビゲーション端末以外の端末(例えば、別場所に設置のデスクトップ端末)で作成してもよい。この場合、ナビゲーション端末にナビゲーションファイルを格納する必要があるが、例えば、外部メディア媒体に格納されたナビゲーションファイルをナビゲーション端末に読み込ませる方法でも、有線・無線を問わずネットワーク回線を介してナビゲーションファイルをナビゲーション端末に読み込ませる方法であってもよい。
【0020】
ここで、実施例1に係るナビゲーションシステムにおいて、案内指示の内容を決定する方法について説明する。
なお、ナビゲーションファイルに格納されている最初の位置座標と最後の位置座標、出発と到着を示すものでる。ここでは、右折や左折、直進の判断を行う方法について説明する。
【0021】
図1に基づき、案内指示が右折または左折もしくは直進を決定する方法について説明する。
まず、案内指示を行う地点の位置座標を端部として、その地点に到達するルートを基軸とし、案内指示を行う地点の位置座標を端部として、その先のルートを屈折軸とし、2軸から形成される角度(第一角度)を求める。
次に、その角度から直進であるか、右折であるかまたは左折であるかを判定する。
図1(a)に基づき、方位角の考え方を元に進行方向を0度として右回りの角度で説明する。具体的には、直進と判定される角度、右折と判定される角度、左折と判定される角度を設定する。例えば、直進の場合、330度から30度、右折の場合は30度から180度、左折は、180度から330度と設定する。そのうえで、先ほど求めた角度を設定値に当てはめることで案内指示の内容を決定する。
【0022】
具体的なナビゲーションシステムに基づくナビゲーション方法について、図2に示すルート図に基づき説明する。なお、この図は、ポイントαから車両が出発し、AからHにおいて示す丸印を順に通過し、ポイントβに至るルートを示す。D,Eポイントは、Uターンするポイントである。
【0023】
Aポイントは、右折の案内を行う箇所である。出発ポイントαからAポイントに向かうルート上の直線と、Aポイントと次の案内指示を行うBポイントとを直線で結んだとき、2本の直線からなる角度(Aポイントの角度)を求める。図2によれば、当該角度は略105度である。これを図1(a)の案内指示の判定に当てはめると右折に該当するため、「右折せよ」と指示を出す。
【0024】
同じように、AポイントからBポイントに向かうルート上の直線と、Bポイントから次の案内指示を行うCポイントを直線で結んだとき、2本の直線からなる角度(Bポイントの角度)を求める。図2によれば、当該角度は粗255度である。これを図1(a)の案内指示の判定に当てはめると左折に該当するため、「左折せよ」と指示を出す。
【0025】
同じように、BポイントからCポイントに向かうルート上の直線と、Cポイントから次の案内指示を行うDポイントを直線で結んだとき、2本の直線からなる角度(Cポインの角度)を求める。図2によれば、当該角度は粗270度である。これを図1(a)の案内指示の角度に当てはめると同様に、左折に該当するため、「左折せよ」と指示を出す。
【0026】
この他のルートの案内も、同様に行われるため、説明は省略するが、実施例1に係るナビゲーションシステムにおいては、複雑なルートや、同じ地点を何度も走行する業務用車両の場合であっても、位置座標の設定さえ適切に設定されていれば、ナビゲーションシステムとして利用することができる。
【0027】
なお、実施例1に係るナビゲーションシステムにおいて、図1(a)のように、角度から直進であるか、右折であるかまたは左折であるかを判定する方法について説明したが、
図1(b)のように、Uターンの判定が可能な形をとることも可能である。例えば、直進の場合、330度から30度、右折の場合は30度から165度、左折は、195度から330度、Uターンの場合は、165度から195度と設定する。この他の構成は同じであるため省略する。この場合においては、右折または左折の判断だけでなく、無条件でのUターンの判断も可能となるため、有用である。
【0028】
(実施例2)
本発明の実施例2に係るナビゲーションシステムは、Uターンが求められているルートにおいて用いられるものである。
基本構成については、案内指示の判定方法のみが異なり、他は実施例1と同様であるため、省略する。
【0029】
実施例2に係るナビゲーションシステムでは、案内指示を行うポイントでの案内指示の内容、その次のポイントでの案内指示の内容、及び案内指示を行うポイントとその次のポイントとの離間距離に基づいて案内指示を行うものである。
具体的には、案内指示を行うポイントでの案内指示の内容とその次のポイントでの案内指示の内容が同一で、かつ、案内指示を行うポイントとその次のポイントとの離間距離が閾値以内(仮に10m以内)の場合にはUターンとする方法である。
【0030】
具体的なナビゲーション方法について、引き続き図2に示すルート図に基づき、Cポイントから順にFポイント向かうルートについて説明する。
【0031】
Dポイントでは、CポイントからDポイントに向かうルート上の直線と、Dポイントから次の案内指示を行うEポイントを直線で結んだとき、2本の直線からなる角度(Dポイントの角度)を求める。図2によれば、当該角度は粗90度である。これを図1(a)の案内指示の判定に当てはめると右折に該当する。
次に、Uターンに該当するか否かを判断するため、その次のEポイントがポイントDと同じ右折に該当する場合にはUターンという判断を行う必要がある。このためDポイントからEポイントに向かうルートの直線と、Eポイントから次の案内指示を行うFポイントを直線で結んだとき、2本の直線からなる角度(Eポイントの角度)を求める。図2によれば、当該角度は粗90度である。これを図1(a)の案内指示の判定に当てはめるとポイントEも右折に該当する。
このため、DポイントとEポイントの案内指示の内容が同一であると判断することができる。
【0032】
次に、DポイントとEポイントとの離間距離を測定する。図2によれば、DポイントとEポイントの離間距離は、Uターン判定距離の閾値(例えば3m)以下である。
このため、Dポイントでは、Uターンと判定し、「Uターンせよ」と指示を出す。
そして、Eポイントでは、すでに、Uターンせよとの指示を出しているため、「右折せよ」との指示は行わない。
【0033】
この他のルートの案内も、同様に行われるため、説明は省略するが、実施例2に係るナビゲーションシステムにおいても、複雑なルートや、同じ地点を何度も走行する業務用車両の場合であっても、位置座標の設定さえ適切に設定されていれば、ナビゲーションシステムとして利用することができる。そのうえで、Uターンが必要な個所においても、適切に指示を出すことが可能であり、実施例1に係るナビゲーションシステムにおいても対応が困難となると予想される程の複雑なルートであっても、適切な運用が可能となる。
【0034】
(実施例3)
実施例3は、実施例1、実施例2に係るナビゲーションシステムの変形例として、図3に基づき、現在走行中のルート及び数点先のナビゲーションを行う座標点、進行方向前方に向かってルート案内表示(流れる矢印等)を示す方法について説明する。
まず、ナビゲーションを行うルートの開始座標付近に到着し且つナビゲーションを行うルート上の進行方向に向かって走行を開始したものとする。このとき自動的にこのルートのナビゲーションルート開始地点の到達を判断してもよく、ボタン等でナビゲーションルート開始地点の到達を指示しても良い。これによりナビゲーションを行う最初の直線が決まるため、その直線と3つ先迄の右左折及びUターンを行うポイント(座標)迄の線上に対し、ナビゲーションルートの前方に向かってルート案内表示を行う。このとき3つ先の右左折及びUターンを行うポイントの指示がUターンの場合には、このルート案内表示(流れる矢印等)は4つ先の右左折及びUターンを行うポイント迄を対象とする。また、走行位置が直近の右左折及びUターンを行うポイントを通過した場合、その座標点迄表示していたルート案内表示は行わない。これによりナビゲーションを行う対象ルートだけが明瞭となるため、同じ道路や交差点を何度も走行する場合であっても、利用者は混乱することなく走行することが可能となる。
【0035】
図3(1)においてポイントγは、ナビゲーション端末の現在位置を示しており、AポイントからBポイントに向かって走行しているものとする。このとき直前の右左折及びUターンポイントAから、次の右左折及びUターンポイントB迄と、ポイントBから3点先のポイントD迄についてルート案内表示を行う。このときポイントDはUターンを指示するポイントであるため、ルート案内表示はポイントE迄行う。また、既に通過したAポイント迄のルートの案内表示は行わない。
【0036】
図3(2)ではナビゲーション端末がポイントβ迄移動した場合のケースである。この場合、直前の右左折及びUターンポイントB迄のルート案内表示は行わず、ルート案内表示をポイントF迄に延長する。
【要約】      (修正有)
【課題】ナビゲーション端末に搭載されている地図データを用いずに、車両を運転するユーザに必要な案内指示を行うナビゲーションシステムを提供する。
【解決手段】ナビゲーションファイルに、車両が走行する走行ルート上でかつナビゲーションが必要な位置の位置座標(位置情報)のみを格納する。ナビゲーション情報は3以上の位置座標からなり、これらの位置座標を直線で結ぶことで1つのルートを構成し、そのルート上を走行するように運転するユーザに案内指示を行う。案内指示の内容は、案内指示を行う位置座標を頂点とする2本の直線によって構成される角の角度によって決するか、当該角度のほかに、案内指示を行う位置の次の位置の位置座標を頂点とする2本の直線によって構成される角の角度と、案内指示を行う位置の位置座標及び案内指示を行う位置の次の位置の位置座標の離間距離との3要素によって決する。
【選択図】図1
図1
図2
図3