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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】生体情報測定装置及び生体情報測定方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/0537 20210101AFI20240717BHJP
【FI】
A61B5/0537
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019206078
(22)【出願日】2019-11-14
(65)【公開番号】P2021078536
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-11-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000133179
【氏名又は名称】株式会社タニタ
(74)【代理人】
【識別番号】100115808
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 真司
(74)【代理人】
【識別番号】100169199
【弁理士】
【氏名又は名称】石本 貴幸
(72)【発明者】
【氏名】児玉 美幸
(72)【発明者】
【氏名】上原 克文
(72)【発明者】
【氏名】永濱 敏樹
(72)【発明者】
【氏名】香坂 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】谷田 千里
【審査官】門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-011734(JP,A)
【文献】特開2004-255015(JP,A)
【文献】特開2000-139869(JP,A)
【文献】特開平11-128197(JP,A)
【文献】特開2009-022482(JP,A)
【文献】特開2005-087226(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/0537
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被計測者が乗る筐体を有し、持ち運びが可能な可搬型の生体情報測定装置であって、
前記被計測者の複数の所定部位に電流を流す電流供給手段と、
前記被計測者の身長以外の身体の長さであって、前記被計測者の電流経路を推定するための長さを測定する非接触式の距離測定手段と、
前記電流経路に生じる電位差を測定する電位差測定手段と、
前記距離測定手段及び前記電位差測定手段の測定結果に基づいて、前記被計測者の体組成を算出する体組成算出手段と、
を備え、
前記電流供給手段及び前記電位差測定手段は、前記被計測者によって把持される左右一対のグリップの各々に備えられ、
前記距離測定手段は、前記一対のグリップの少なくとも一方に設けられ、前記被計測者の腕部の長さを測定する、
生体情報測定装置。
【請求項2】
前記グリップは、被計測者が乗る筐体である本体部とケーブルによって接続され、
前記距離測定手段は、前記一対のグリップの少なくとも一方において前記ケーブルとの接続側とは逆側に設けられる、請求項1記載の生体情報測定装置。
【請求項3】
前記被計測者の脚部の長さを測定する非接触式の第2距離測定手段を備える、請求項1又は請求項記載の生体情報測定装置。
【請求項4】
前記第2距離測定手段は、前記筐体に乗った前記被計測者の股下に相当する前記筐体の位置に設けられ、前記被計測者の脚部の長さを測定する、請求項記載の生体情報測定装置。
【請求項5】
被計測者が乗る筐体を有し、持ち運びが可能な可搬型の生体情報測定装置であって、
前記被計測者の複数の所定部位に電流を流す電流供給手段と、
前記被計測者の身長以外の身体の長さであって、前記被計測者の電流経路を推定するための長さを測定する非接触式の距離測定手段と、
前記電流経路に生じる電位差を測定する電位差測定手段と、
前記距離測定手段及び前記電位差測定手段の測定結果に基づいて、前記被計測者の体組成を算出する体組成算出手段と、
前記被計測者の胴体に装着されるベルトユニットと、
を備え、
前記距離測定手段は、前記ベルトユニットに設けられ、前記被計測者の手までの距離、及び脚部の長さの少なくとも一方を測定する、生体情報測定装置。
【請求項6】
被計測者が乗る筐体を有し、持ち運びが可能な可搬型の生体情報測定装置であって、
前記被計測者の複数の所定部位に電流を流す電流供給手段と、
前記被計測者の身長以外の身体の長さであって、前記被計測者の電流経路を推定するための長さを測定する非接触式の距離測定手段と、
前記電流経路に生じる電位差を測定する電位差測定手段と、
前記距離測定手段及び前記電位差測定手段の測定結果に基づいて、前記被計測者の体組成を算出する体組成算出手段と、
を備え、
前記距離測定手段は、前記筐体に乗って下を向いた前記被計測者の額の直下に相当する前記筐体の位置に設けられ、下を向いた前記被計測者の額までの長さを測定する、生体情報測定装置。
【請求項7】
被計測者が乗る筐体を有し、持ち運びが可能な可搬型の生体情報測定装置であって、
前記被計測者の複数の所定部位に電流を流す電流供給手段と、
前記被計測者の身長以外の身体の長さであって、前記被計測者の電流経路を推定するための長さを測定する非接触式の距離測定手段と、
前記電流経路に生じる電位差を測定する電位差測定手段と、
前記距離測定手段及び前記電位差測定手段の測定結果に基づいて、前記被計測者の体組成を算出する体組成算出手段と、
を備え、
前記距離測定手段は、前記被計測者の上方に設けられ、前記筐体の上面から前記被計測者の肩までの距離を測定する、生体情報測定装置。
【請求項8】
被計測者が乗る筐体を有し、持ち運びが可能な可搬型の生体情報測定装置であって、
長さの基準となる基準物と前記被計測者とを被写体として含む画像に基づいて算出された前記被計測者の身長以外の身体の長さを示す長さ情報を取得する取得手段と、
前記被計測者の複数の所定部位に電流を流す電流供給手段と、
前記被計測者の電流経路に生じる電位差を測定する電位差測定手段と、
前記取得手段によって取得された前記長さ情報及び前記電位差測定手段の測定結果に基づいて、前記被計測者の体組成を算出する体組成算出手段と、
を備える生体情報測定装置。
【請求項9】
被計測者が乗る筐体を有し、持ち運びが可能な可搬型の生体情報測定装置であって、
前記被計測者の複数の所定部位に電流を流す電流供給手段と、
前記被計測者の身長以外の身体の長さであって、前記被計測者の電流経路を推定するための長さを測定する非接触式の距離測定手段と、
前記電流経路に生じる電位差を測定する電位差測定手段と、
前記距離測定手段及び前記電位差測定手段の測定結果に基づいて、前記被計測者の体組成を算出する体組成算出手段と、
前記筐体に乗った前記被計測者の股下に相当する前記筐体の位置に設けられ、前記被計測者の股部の前方から後方における複数個所までの距離を測定する股部距離測定手段と、
前記股部距離測定手段による測定結果に基づいて、前記被計測者の性別を判定する第1性別判定手段と、
を備え、
前記体組成算出手段は、前記第1性別判定手段によって判定された前記性別、前記被計測者の身体の長さ、及び前記電位差測定手段の測定結果に基づいて、前記被計測者の体組成を算出する、生体情報測定装置。
【請求項10】
被計測者が乗る筐体を有し、持ち運びが可能な可搬型の生体情報測定装置であって、
前記被計測者の複数の所定部位に電流を流す電流供給手段と、
前記被計測者の身長以外の身体の長さであって、前記被計測者の電流経路を推定するための長さを測定する非接触式の距離測定手段と、
前記電流経路に生じる電位差を測定する電位差測定手段と、
前記距離測定手段及び前記電位差測定手段の測定結果に基づいて、前記被計測者の体組成を算出する体組成算出手段と、
年齢に対する生体情報の変化状態を性別毎に示す変化情報と、前記電位差測定手段による前記被計測者の測定結果と前記被計測者の年齢とに基づいて、前記被計測者の性別を判定する第2性別判定手段と、
を備え、
前記体組成算出手段は、前記第2性別判定手段によって判定された前記性別、前記被計測者の身体の長さ、及び前記電位差測定手段の測定結果に基づいて、前記被計測者の体組成を算出する、生体情報測定装置。
【請求項11】
前記第2性別判定手段は、前記被計測者の性別を確率で表し、
前記体組成算出手段は、前記確率に基づいた重みを用いて、前記被計測者の体組成を算出する、請求項10記載の生体情報測定装置。
【請求項12】
被計測者の複数の所定部位に電流を流す電流供給手段と、前記被計測者の身長以外の身体の長さであって、前記被計測者の電流経路を推定するための長さを測定する非接触式の距離測定手段と、前記電流経路に生じる電位差を測定する電位差測定手段と、を備え、持ち運びが可能な可搬型の生体情報測定装置による生体情報測定方法であって、
筐体に乗った前記被計測者の前記身体の長さを前記距離測定手段が測定すると共に、前記電流供給手段が前記被計測者に電流を供給し、前記電位差測定手段が前記電流経路に生じる電位差を測定する第1工程と、
前記距離測定手段及び前記電位差測定手段の測定結果に基づいて、前記被計測者の体組成を算出する第2工程と、
を有し、
前記電流供給手段及び前記電位差測定手段は、前記被計測者によって把持される左右一対のグリップの各々に備えられ、
前記距離測定手段は、前記一対のグリップの少なくとも一方に設けられ、前記被計測者の腕部の長さを測定する、
生体情報測定方法。
【請求項13】
長さの基準となる基準物と被計測者とを被写体として含む画像に基づいて、前記被計測者の身長以外の身体の長さを示す長さ情報を算出する第1工程と、
電流供給手段が前記被計測者の複数の所定部位に電流を流し、電位差測定手段が被計測者の電流経路に生じる電位差を測定する第2工程と、
前記第1工程によって算出された前記長さ情報及び前記電位差測定手段の測定結果に基づいて、前記被計測者の体組成を算出する第3工程と、
を有する生体情報測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体情報測定装置及び生体情報測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
被計測者の体内に微弱な電流を流して生体インピーダンス等を測定して被計測者の体組成を算出するBIA(Bioelectrical impedance analysis:生体インピーダンス法)を用いた生体情報測定装置、いわゆる体組成計が広く普及している。このような体組成計は、被計測者の体内で電流が流れる経路長と被計測者の身長とに相関関係があるため、被計測者の身長が性別や年齢と共に予め入力され、体組成の算出に用いられる。
【0003】
しかしながら、電流が流れる経路(以下「電流経路」という。)は胴体に比べて細い腕や脚を含むため、より正確な体組成を算出するためには、被計測者の腕や脚に関する情報を取得することが好ましい。また、電流経路には頭部がほとんど含まれないため、電流経路は、正確には身長とは異なる。
【0004】
ここで、特許文献1には、ボディサイズの測定を行うボディサイズ測定手段と、生体に電流を流す電流供給手段及び電圧を測定する電圧測定手段と、ボディサイズ測定手段により測定したボディサイズと、電圧測定手段により測定された生体インピーダンスとから体組成を求める体組成測定装置が開示されている。
【0005】
特許文献1の体組成測定装置では、円筒形の個室である測定ルームに被計測者が入り、ボディサイズ測定手段である体型センサによって被計測者の体形が測定される。この体型センサは、円筒形の測定ルームの中央を中心軸として回転する逆L字型の体型測定バーに等間隔で取り付けられた複数の赤外線やレーザを使用した公知の光学式距離測定素子を備えている。そして、体型センサの体型測定バーを回転させつつ、赤外線やレーザを放射し、被計測者の身体の表面で反射された赤外線やレーザを受信することにより、身体各部の立体座標が検出される。この立体座標から、被計測者のボディサイズの測定を行われる。測定されるボディサイズは、頭囲、肩幅、首周り、胸囲(バスト)、腹部(ウェスト)、腰回り(ヒップ)、股下等の周囲長や、四肢の長さと体積である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2009-011734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、特許文献1に開示されている体組成測定装置では、四肢の長さを含む被計測者の各部位を測定できるものの、測定ルームに被計測者が入る必要があり、かつ多数のセンサを用いて被計測者の身体各部の立体座標を算出するため、装置構成が大型かつ複雑である。
【0008】
そこで、本発明は、簡易な構成でより正確に被計測者の体組成を算出できる、生体情報測定装置及び生体情報測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様の生体情報測定装置は、被計測者が乗る筐体を有し、持ち運びが可能な可搬型の生体情報測定装置であって、前記被計測者の複数の所定部位に電流を流す電流供給手段と、前記被計測者の身長以外の身体の長さであって、前記被計測者の電流経路を推定するための長さを測定する非接触式の距離測定手段と、前記電流経路に生じる電位差を測定する電位差測定手段と、前記距離測定手段及び前記電位差測定手段の測定結果に基づいて、前記被計測者の体組成を算出する体組成算出手段と、を備える。
【0010】
本構成によれば、可搬型の生体情報測定装置が、非接触式の距離測定手段によって測定された被計測者の身長以外の身体の長さを用いて、被計測者の体組成を算出する。身長以外の身体の長さとは、被計測者の電流経路を推定するための長さであり、例えば、腕部や脚部等の身体の一又は複数の部位の長さであり、頭部の長さは含まない。すなわち、本構成は、所定の電流経路に関連する身体の一部の距離を測定することで、当該電流経路の長さを推定するので、これにより、簡易な構成でより正確に被計測者の体組成が算出される。
【0011】
上記の生体情報測定装置において、前記身長以外の身体の長さは、前記被計測者の腕部及び脚部の長さの少なくとも一方でもよい。本構成によれば、より正確に被計測者の体組成を算出できる。
【0012】
上記の生体情報測定装置において、前記距離測定手段は、前記身長以外の身体の長さを複数箇所測定してもよい。本構成によれば、より正確に被計測者の体組成を算出できる。
【0013】
上記の生体情報測定装置において、前記電流供給手段及び前記電位差測定手段は、前記被計測者によって把持される左右一対のグリップの各々に備えられ、前記距離測定手段は、前記一対のグリップの少なくとも一方に設けられ、前記被計測者の腕部の長さ及び脚部の長さの少なくとも一方を測定してもよい。本構成によれば、簡易な構成でより正確に被計測者の体組成を算出できる。
【0014】
上記の生体情報測定装置において、前記被計測者の胴体に装着されるベルトユニットを備え、前記距離測定手段は、前記ベルトユニットに設けられ、前記被計測者の手までの距離、及び脚部の長さの少なくとも一方を測定してもよい。本構成によれば、簡易な構成でより正確に被計測者の体組成を算出できる。
【0015】
上記の生体情報測定装置において、前記距離測定手段は、前記筐体の上面に設けられ、当該上面から前記筐体に載った前記被計測者の所定部位までの距離を測定してもよい。本構成によれば、簡易な構成でより正確に被計測者の体組成を算出できる。
【0016】
上記の生体情報測定装置において、前記距離測定手段は、前記筐体に乗った前記被計測者の股下に相当する前記筐体の位置に設けられ、前記被計測者の脚部の長さを測定してもよい。本構成によれば、簡易な構成でより正確に被計測者の体組成を算出できる。
【0017】
上記の生体情報測定装置において、前記距離測定手段は、前記筐体に乗って下を向いた前記被計測者の額の直下に相当する前記筐体の位置に設けられ、下を向いた前記被計測者の額までの長さを測定してもよい。本構成によれば、簡易な構成でより正確に被計測者の体組成を算出できる。
【0018】
上記の生体情報測定装置において、前記距離測定手段は、前記被計測者の上方に設けられ、前記筐体の上面から前記被計測者の肩までの距離を測定してもよい。本構成によれば、簡易な構成でより正確に被計測者の体組成を算出できる。
【0019】
本発明の一態様の生体情報測定装置は、前記被計測者が乗る筐体を有し、持ち運びが可能な可搬型の生体情報測定装置であって、長さの基準となる基準物と前記被計測者とを被写体として含む画像に基づいて算出された前記被計測者の身長以外の身体の長さを示す長さ情報を取得する取得手段と、前記被計測者の複数の所定部位に電流を流す電流供給手段と、前記被計測者の電流経路に生じる電位差を測定する電位差測定手段と、前記第1工程によって取得された前記長さ情報及び前記電位差測定手段の測定結果に基づいて、前記被計測者の体組成を算出する体組成算出手段と、を備える。
【0020】
本構成によれば、長さの基準物と被計測者とを撮像して算出された被計測者の身長以外の身体の長さ、例えば腕部や脚部の長さを用いて、被計測者の体組成を算出するので、簡易な構成でより正確に被計測者の体組成を算出できる。
【0021】
上記の生体情報測定装置において、前記筐体に乗った前記被計測者の股下に相当する前記筐体の位置に設けられ、前記被計測者の股部の前方から後方における複数個所までの距離を測定する股部距離測定手段と、前記股部距離測定手段による測定結果に基づいて、前記被計測者の性別を判定する第1性別判定手段を備え、前記体組成算出手段は、前記第1性別判定手段によって判定された前記性別、前記被計測者の身体の長さ、及び前記電位差測定手段の測定結果に基づいて、前記被計測者の体組成を算出してもよい。本構成によれば、被計測者は自身の性別を生体情報測定装置に入力する必要がなく、性別の誤入力も防止される。
【0022】
上記の生体情報測定装置において、年齢に対する生体情報の変化状態を性別毎に示す変化情報と、前記電位差測定手段による前記被計測者の測定結果と前記被計測者の年齢とに基づいて、前記被計測者の性別を判定する第2性別判定手段を備え、前記体組成算出手段は、前記第2性別判定手段によって判定された前記性別、前記被計測者の身体の長さ、及び前記電位差測定手段の測定結果に基づいて、前記被計測者の体組成を算出してもよい。本構成によれば、被計測者は自身の性別を生体情報測定装置に入力する必要がなく、性別の誤入力も防止される。
【0023】
上記の生体情報測定装置において、前記第2性別判定手段は、前記被計測者の性別を確率で表し、前記体組成算出手段は、前記確率に基づいた重みを用いて、前記被計測者の体組成を算出してもよい。本構成によれば、第2性別判定手段は被計測者の性別を男性又は女性で特定するのではなく、男性又は女性である確率で表すので、性別の誤判定を抑制できる。
【0024】
本発明の一態様の生体情報測定方法は、被計測者の複数の所定部位に電流を流す電流供給手段と、前記被計測者の身長以外の身体の長さであって、前記被計測者の電流経路を推定するための長さを測定する非接触式の距離測定手段と、前記電流経路に生じる電位差を測定する電位差測定手段と、を備え、持ち運びが可能な可搬型の生体情報測定装置による生体情報測定方法であって、筐体に乗った前記被計測者の前記身体の長さを前記距離測定手段が測定すると共に、前記電流供給手段が前記被計測者に電流を供給し、前記電位差測定手段が前記電流経路に生じる電位差を測定する第1工程と、前記距離測定手段及び前記電位差測定手段の測定結果に基づいて、前記被計測者の体組成を算出する第2工程と、を有する。
【0025】
本発明の一態様の生体情報測定方法は、長さの基準となる基準物と被計測者とを被写体として含む画像に基づいて、前記被計測者の身長以外の身体の長さを示す長さ情報を算出する第1工程と、電流供給手段が前記被計測者の複数の所定部位に電流を流し、電位差測定手段が被計測者の電流経路に生じる電位差を測定する第2工程と、前記第1工程によって算出された前記長さ情報及び前記電位差測定手段の測定結果に基づいて、前記被計測者の体組成を算出する第3工程と、を有する。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、簡易な構成でより正確に被計測者の体組成を算出できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、第1実施形態の体組成計の概略構成図である。
図2図2は、第1実施形態の距離センサの設置位置及び距離センサによる測定を示す模式図である。
図3図3は、第1実施形態の体組成算出機能の構成を示す機能ブロック図である。
図4図4は、第2実施形態の距離センサの設置位置及び距離センサによる測定を示す模式図である。
図5図5は、第3実施形態の距離センサの設置位置及び距離センサによる測定を示す模式図である。
図6図6は、第4実施形態の距離センサの設置位置及び距離センサによる測定を示す模式図である。
図7図7は、第5実施形態の距離センサの設置位置及び距離センサによる測定を示す模式図である。
図8図8は、第6実施形態の撮像による被計測者の身体の長さ測定を示す模式図である。
図9図9は、第6実施形態の体組成算出機能の構成を示す機能ブロック図である。
図10図10は、第7実施形態の距離センサによる測定を示す模式図である。
図11図11は、第7実施形態の体組成算出機能の構成を示す機能ブロック図である。
図12図12は、第8実施形態の年齢に対する生体情報の変化状態と性別との関係を示すグラフであり、図12(A)は両手間R/Xと性別との関係を示すグラフであり、図12(B)は両足間R/Xと性別との関係を示すグラフである。
図13図13は、第8実施形態の体組成算出機能の構成を示す機能ブロック図である。
図14図14は、第8実施形態の体組成算出に用いる性別判定結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施する場合の一例を示すものであって、本発明を以下に説明する具体的構成に限定するものではない。本発明の実施にあたっては、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてよいし、異なる実施形態の各構成が適宜組み合わされてもよい。
【0029】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態の体組成計10の概略図である。体組成計10は、被計測者12(図2参照)の体重や生体インピーダンスに基づいて体組成等の生体情報を測定する。なお、本実施形態の体組成計10は、被計測者12が乗る筐体(本体部30)を有し、持ち運びが可能な可搬型とされる。
【0030】
本実施形態の体組成計10は、本体部30に被計測者12が乗る載台32、右ハンドグリップ33R及び左ハンドグリップ33Lが設けられている。そして、被計測者12は、裸足で載台32の上に立ち、右手で右ハンドグリップ33Rを握り、左手で左ハンドグリップ33Lを握ることで体組成を測定する。
【0031】
載台32は、右足通電電極321Rと、右足測定電極322Rと、左足通電電極321Lと、左足測定電極322Lとを備えている。また、右ハンドグリップ33Rは、右手通電電極331Rと、右手測定電極332Rとを備え、左ハンドグリップ33Lは、左手通電電極331Lと、左手測定電極332Lとを備えている。
【0032】
なお、右足通電電極321R、左足通電電極321L、右手通電電極331R、及び左手通電電極331Lは、被計測者12の複数の所定部位に電流を流す電流供給手段(以下「通電用電極」ともいう。)である。また、右足測定電極322R、左足測定電極322L、右手測定電極332R、及び左手測定電極332Lは、電流経路に生じる電位差を測定する電位差測定手段(以下「測定用電極」ともいう。)である。
【0033】
また、本体部30は、体重測定部31と体組成測定部34とを備えている。
【0034】
体重測定部31は、体重を測定するためのロードセルを備えている。ロードセルは荷重に応じて変形する金属部材の起歪体と、起歪体に貼られる歪みゲージとによって構成される。被計測者12が載台32の上に乗ると、被計測者12の荷重によってロードセルの起歪体が撓んで歪ゲージが伸縮する。歪みゲージの抵抗値(出力値)は、その伸縮に応じて変化する。体組成測定部34は、荷重がかかっていないときのロードセルの出力値(ゼロ点)と荷重がかかったときの出力値との差から体重を演算する。なお、ロードセルを用いた体重の測定に関する構成は、一般の体重計と同様の構成を用いればよい。
【0035】
体組成測定部34は、各通電用電極から被計測者12の身体の所定部位に所定の周波数の微弱な電流を流す電流供給機能と、被計測者12の電流経路に生じる電位差を測定する電位差測定機能と、このような電流及び電位差の各値に基づいて、被計測者12の全身及び各身体部位の生体インピーダンスを算出する生体インピーダンス算出機能とを備えている。
【0036】
体組成測定部34には、被計測者12の情報(登録情報)として、一例として、年齢、性別、身長が入力される。これらの登録情報は、後述する登録情報記憶部50に記憶されている。
【0037】
体組成測定部34による被計測者12の全身及び各身体部位の生体インピーダンスの測定は、例えば以下のようにして行う。
(1)全身の生体インピーダンスの測定では、左手通電電極331L及び左足通電電極321Lを用いて電流を供給し、左手、左腕、胸部、腹部、左脚、左足を流れる電流経路において、その左手に接触している左手測定電極332Lと左足に接触している左足測定電極322Lとの間の電位差を測定する。
(2)右脚の生体インピーダンスの測定では、右手通電電極331R及び右足通電電極321Rを用いて電流を供給し、右手、右腕、胸部、腹部、右脚、右足を流れる電流経路において、その左足に接触している左足測定電極322Lと右足に接触している右足測定電極322Rとの間の電位差を測定する。
(3)左脚の生体インピーダンスの測定では、左手通電電極331L及び左足通電電極321Lを用いて電流を供給し、左手、左腕、胸部、腹部、左脚、左足を流れる電流経路において、その左足に接触している左足測定電極322Lと右足に接触している右足測定電極322Rとの間の電位差を測定する。
(4)右腕の生体インピーダンスの測定では、右手通電電極331R及び右足通電電極321Rを用いて電流を供給し、右手、右腕、胸部、腹部、右脚、右足を流れる電流経路において、その左手に接触している左手測定電極332Lと右手に接触している右手測定電極332Rとの間の電位差を測定する。
(5)左腕の生体インピーダンスの測定では、左手通電電極331L及び左足通電電極321Lを用いて電流を供給し、左手、左腕、胸部、腹部、左脚、左足を流れる電流経路において、その左手に接触している左手測定電極332Lと右手に接触している右手測定電極332Rとの間の電位差を測定する。
【0038】
そして、体組成測定部34は、被計測者12の登録情報(年齢、性別)と、後述する距離センサによって計測された被計測者12の身長以外の身体の長さと、体重測定部31で測定された体重と、算出された各生体インピーダンスを所定の回帰式に適用して演算することで、全身及び身体部位ごとの体組成測定値を算出する。体組成測定部34は、体組成測定値として、脂肪率、脂肪量、除脂肪量、筋肉量、内臓脂肪量、内臓脂肪レベル、内臓脂肪面積、皮下脂肪量、基礎代謝量、骨量、体水分率、BMI、細胞内液量、細胞外液量等を算出する。体組成測定値の演算に関する構成も、一般の体組成計と同様の構成を用いることができる。
【0039】
さらに、体組成計10はタッチパネルディスプレイ20を備える。
【0040】
タッチパネルディスプレイ20は、液晶ディスプレイパネル等の表示パネルと、表示パネルと一体となってタッチ入力を受け付けるタッチセンサとを備える。タッチパネルディスプレイ20には、体組成計10による測定結果等の情報が表示される。なお、タッチパネルディスプレイ20の替わりに、表示パネル、及び表示パネルとは独立したボタンやスイッチ等の入力装置が備えられてもよい。
【0041】
次に図2を参照して、本実施形態の体組成計10を説明する。図2は、本実施形態の被計測者12における電流経路及び体組成計10が備える距離センサ40の設置位置を示す模式図である。
【0042】
本実施形態の体組成計10は、被計測者12の身長以外の身体の長さであって、被計測者12の電流経路を推定するための長さを測定する非接触式の距離センサ40を備える。本実施形態の体組成計10は、距離センサ40及び測定用電極(右足測定電極322R、左足測定電極322L、右手測定電極332R、左手測定電極332L)の測定結果等に基づいて、被計測者12の体組成を算出する。なお、本実施形態の距離センサ40は、例えば、超音波や赤外線レーザ等で対象物までの距離を測定するものであり、非接触式であれば特に限定されない。
【0043】
身長以外の身体の長さとは、例えば、腕部や脚部等の身体の一又は複数の部位の長さであり、頭部の長さは含まない。体組成の算出には、上述の生体インピーダンスを用いるが、生体インピーダンスは電流が流れる経路の長さに比例し、経路の断面積に反比例して変化する。このため、断面積の大きい部位の長さと比較して、断面積の小さい部位の長さは、生体インピーダンスの増減へ与える影響が大きくなる。すなわち、身体において胴部より断面積が小さい部位である腕部及び脚部の長さを体組成の算出に用いることにより、例えば身長から電流経路の長さを推定して体組成の算出を行う場合と比較して、より精度高く体組成の算出が可能となる。また、図2の被計測者12を示す図における三角形状の列は、通電用電極から被計測者12の体内を流れる電流経路を示している。このように、頭部はほとんど電流経路には含まれないので、体組成の算出に身長を用いると頭部の長さが誤差に含まれることとなる。
【0044】
図2に示されるように、本実施形態の距離センサ40は、右ハンドグリップ33R、左ハンドグリップ33Lに設けられ、被計測者12の腕部の長さ及び脚部の長さを測定する。なお、以下の説明において、右ハンドグリップ33Rと左ハンドグリップ33Lとを区別しない場合には、単にハンドグリップ33という。
【0045】
本実施形態の体組成計10のハンドグリップ33は、ケーブル36によって本体部30と電気的及び機械的に接続されており、このケーブル36の接続側とは逆側の端部に距離センサ40が設けられる。また、ハンドグリップ33に設けられる距離センサ40は、上下方向の距離を測定可能なように、右ハンドグリップ33Rと左ハンドグリップ33Lの端部に2つずつ設けられる。
【0046】
これにより、被計測者12がハンドグリップ33を把持して腕を下ろして直立姿勢となった場合に、距離センサ40が設けられるハンドグリップ33の端部は、被計測者12の体の側部に位置する。そして、距離センサ40は、被計測者12の腋までの距離、すなわち被計測者12の腕部の長さと、本体部30の上面までの距離、すなわち被計測者12の脚部の長さと、のように複数箇所の身長以外の身体の長さを測定することになる。なお、被計測者12は、距離センサ40が腋までの距離を測定可能なように、腕を少し広げて直立する。
【0047】
また、距離センサ40は、右ハンドグリップ33R、左ハンドグリップ33Lの少なくとも一方に設けられればよい。さらに、一例として、ハンドグリップ33のグリップ形状(被計測者12が手で握る部分の形状)は、被計測者12がハンドグリップ33を握った状態で腕を下した際に、端部に設けられた2つの距離センサ40が自然に上方及び下方を向くように形成される。
【0048】
そして本実施形態の体組成計10は、距離センサ40の測定結果である被計測者12の腕部の長さや脚部の長さを、被計測者12の体内を流れる電流経路(電流経路の長さ)をより正確に推定するために用いる。これにより、本実施形態の体組成計10は、簡易な構成でより正確に被計測者12の体組成を算出できる。
【0049】
また、距離センサ40が被計測者12の身体の所定部位(腕部や脚部の長さ)を測定することにより、被計測者12は体組成の算出のために身長を体組成計10に入力する必要がなくなり、身長の誤入力も防止できる。さらに、体組成の測定の度に距離センサ40が測定を行うので、身長が変化し易い小児等の体組成もより正確に算出可能となる。
【0050】
また、同じ身長であっても腕部や脚部の長さは個人差が生じるものであり、例えば、アジア人と欧米人等の人種によっても異なるものである。例えば、本実施形態の体組成計10では、身長の替わりに距離センサ40によって測定された被計測者12の腕部や脚部の長さを用いて体組成を算出するため、人種にかかわらずより正確な体組成を算出できる。
【0051】
図3は、体組成計10が有する体組成算出機能の構成を示す機能ブロック図であり、体組成測定部34は、登録情報記憶部50、電位差算出部52、及び体組成算出部54を備える。なお、電位差算出部52及び体組成算出部54は、一例として、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の個別のハードウェアによって実現されてもよい。
【0052】
登録情報記憶部50は、被計測者12の性別や年齢等の登録情報や、測定結果である体組成等を登録情報に対応付けて記憶する。なお、登録情報は、被計測者12が初めて体組成計10での測定を行う前に、例えば、タッチパネルディスプレイ20を介して入力される。
【0053】
電位差算出部52は、右足測定電極322R、左足測定電極322L、右手測定電極332R、左手測定電極332Lの測定結果に基づいて、両手、両足間等の電位差を算出する。
【0054】
体組成算出部54は、被計測者12の体重、距離センサ40による測定結果、測定用電極による電位差の測定結果、及び登録情報記憶部50に記憶されている被計測者12の登録情報に基づいて、被計測者12の体組成を算出する。
【0055】
すなわち、本実施形態の体組成計10は、所定の電流経路に関連する身体の一部の長さを距離センサ40で測定することで当該電流経路の長さを推定し、被計測者12の体組成を算出する。このように、本実施形態の体組成計10は、所定の電流経路に関連する身体の一部の距離を測定することで当該電流経路の長さを推定するので、より正確に被計測者12の体組成が算出できる。なお、体組成算出部54は、距離センサ40による測定部位(本実施形態では腕部及び脚部の長さ)から推定される電流経路をモデル化した算出式を用いて被計測者12の体組成を算出する。
【0056】
体組成算出部54によって算出された体組成は、タッチパネルディスプレイ20に表示されると共に、被計測者12の登録情報に対応付けて記憶される。なお、本実施形態の距離センサ40は、1箇所の身長以外の身体の長さ(例えば、腕部と脚部の長さのいずれか一方)を測定してもよい。また、体組成算出部54は、距離センサ40によって測定された1箇所の身長以外の身体の長さから他の箇所の身体の長さを推定してもよい。
【0057】
(第2実施形態)
図4は、本実施形態の体組成計10における距離センサ40の設置位置及び距離センサ40による測定を示す模式図である。
【0058】
本実施形態の体組成計10は、被計測者12の胴体に装着されるベルトユニット60を備える。そして、距離センサ40は、ベルトユニット60に設けられ、被計測者12の手までの距離、及び脚部の長さを測定する。
【0059】
ベルトユニット60は、一例として、被計測者12の腰回りに装着され、被計測者12によるベルト62の締め付け長さによって被計測者12の腰周囲径(ウェストサイズ)を測定する。
【0060】
また、距離センサ40は、被計測者12の肩幅に相当する両手までの距離と脚部の長さに相当する本体部30までの距離を測定する。このため、ベルトユニット60には、一例として、距離センサ40が3つ設けられる。
【0061】
ベルトユニット60は、有線又は無線により、測定結果を本体部30に送信する。そして本実施形態の体組成算出部54は、ベルトユニット60による測定部位(本実施形態では腰周囲径、肩幅、及び脚部の長さ)から推定される電流経路をモデル化した算出式を用いて被計測者12の体組成を算出する。これにより、本実施形態の体組成計10は、簡易な構成でより正確に被計測者12の体組成を算出できる。なお、本実施形態の距離センサ40は、被計測者12の手までの距離及び脚部の長さの何れか一方を測定し、体組成計10は、当該測定結果に基づいても被計測者12の体組成を算出してもよい。
【0062】
(第3実施形態)
図5は、本実施形態の体組成計10における距離センサ40の設置位置及び距離センサ40による測定を示す模式図である。本実施形態の距離センサ40は、筐体である本体部30の上面に設けられ、本体部30の載台32に乗った被計測者12の所定部位までの距離を測定する。また、本実施形態の体組成計10は、ハンドグリップ33を備えなくもよい。
【0063】
本実施形態の所定部位とは、被計測者12の股であり、距離センサ40は、載台32に乗った被計測者12の股下に相当する本体部30の位置に設けられる。これにより、距離センサ40は、被計測者12の脚部の長さを測定することとなる。
【0064】
そして本実施形態の体組成算出部54は、距離センサ40による測定部位(本実施形態では脚部の長さ)から推定される電流経路をモデル化した算出式を用いて被計測者12の生体情報を算出する。これにより、本実施形態の体組成計10は、簡易な構成でより正確に被計測者12の体組成を算出できる。
【0065】
(第4実施形態)
図6は、本実施形態の体組成計10における距離センサ40の設置位置及び距離センサ40による測定を示す模式図である。本実施形態の距離センサ40は、筐体である本体部30の上面に設けられ、本体部30の載台32に乗った被計測者12の所定部位までの距離を測定する。また、本実施形態の体組成計10は、ハンドグリップ33を備えなくもよい。
【0066】
本実施形態の所定部位とは、被計測者12の額であり、距離センサ40は、載台32に乗って下を向いた被計測者12の額の直下に相当する本体部30の位置に設けられる。載台32に乗った被計測者12が下を向く場合とは、例えば、タッチパネルディスプレイ20の表示を確認する場合であるため、本実施形態の距離センサ40はタッチパネルディスプレイ20の近傍に設けられる。図6の例では、距離センサ40は、タッチパネルディスプレイ20に対して被計測者12側に設けられる。
【0067】
また、被計測者12が下を向いた場合の額までの距離は、被計測者12の頭部を含まない身体の長さに相当する。すなわち、被計測者12の頭部は電流経路にはほとんど含まれないため、体組成の算出に被計測者12の額までの距離を用いることで、より正確な体組成の算出が可能となる。
【0068】
そして本実施形態の体組成算出部54は、距離センサ40による測定部位(本実施形態では足元から額までの長さ)から推定される電流経路をモデル化した算出式を用いて被計測者12の生体情報を算出する。これにより、本実施形態の体組成計10は、簡易な構成でより正確に被計測者12の体組成を算出できる。
【0069】
(第5実施形態)
図7は、本実施形態の体組成計10における距離センサ40の設置位置及び距離センサ40による測定を示す模式図である。本実施形態の距離センサ40は、被計測者12の上方に設けられ、筐体である本体部30の上面から被計測者12の頭頂及び肩までの距離を測定する。また、本実施形態の体組成計10は、ハンドグリップ33を備えなくもよい。
【0070】
本実施形態の距離センサ40は、一例として、本体部30に立設する支柱64の上端部に設置される距離センサユニット66に3つが設けられる。3つの距離センサ40は、被計測者12の頭部、右肩、及び左肩に対応するように配置される。なお、これに限らず、距離センサユニット66には、例えば、被計測者12の頭頂部に対応するように一つの距離センサ40が設置され、この距離センサ40が被計測者12の右肩から左肩に至るように走査することで、本体部30の上面から被計測者12の頭頂及び肩までの距離を測定してもよい。
【0071】
なお、本体部30の上面から距離センサ40の配置位置までの距離から、距離センサ40によって測定された被計測者12の頭頂部及び肩までの距離を減算することにより、被計測者12の身長及び足下から肩までの長さが算出される。
【0072】
ここで、一般的な身長計では、スケールを被計測者12の頭頂部まで下げることで被計測者12の身長を測定する。すなわち、被計測者12の頭頂部とスケールとが直接接触することで身長が測定されるが、被計測者12の髪が結われる等していると、結われた髪の高さに応じて身長が長く測定される可能性がある。被計測者12の足下から肩までの長さは、被計測者12の頭部を含まない身体の長さに相当するので、被計測者12の肩までの長さを用いることで、より正確な体組成の算出が可能となる。
【0073】
そして本実施形態の体組成算出部54は、距離センサ40による測定部位(本実施形態では被計測者12の足元から肩までの長さ)から推定される電流経路をモデル化した算出式を用いて被計測者12の生体情報を算出する。これにより、本実施形態の体組成計10は、簡易な構成でより正確に被計測者12の体組成を算出できる。
【0074】
(第6実施形態)
本実施形態の体組成計10は、被計測者12を撮像することで取得された被計測者12の身体の長さに基づいて体組成を算出する。図8は、撮像による被計測者12の身体の長さ測定を示す模式図である。
【0075】
図8に示されるように、例えばスマートフォンやタブレット端末等の携帯端末装置70が備えるカメラ72によって、長さの基準となる基準物73と被計測者12とを被写体として含む画像(以下「撮像画像」という。)が取得される。基準物73は、例えば、飲料が封入される缶等、一般的に長さが規格化されている物体である。携帯端末装置70は、基準物73の長さを基準長とし、画像処理により同じ画角に含まれる被計測者12の身体の長さを算出する。
【0076】
なお、図8で示される基準物73と被計測者12との位置関係は一例であるが、被計測者12と基準物73とは、より正確な身体の長さを算出するために近接して撮像されることが好ましい。たとえば、被計測者12が基準物73を手に持った状態で撮像されてもよい。
【0077】
図9は、体組成算出機能の構成を示す機能ブロック図である。図9に示される体組成計10の構成において、図3と同一の構成部分については図3と同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0078】
図9に示されるように、体組成計10は通信部56を介して、携帯端末装置70から被計測者12の身体の長さを示す長さ情報を受信する。これにより、体組成計10と携帯端末装置70とは、体組成算出システム68を構成する。なお、体組成算出システム68は、携帯端末装置70の替わりに、被計測者12と基準物73とを撮像した画像を記憶し、下記で説明する処理を実行するデスクトップ型PC(Personal Computer)やラップトップ型PC等の他の情報処理装置とされてもよい。
【0079】
携帯端末装置70は、被計測者12の身体の長さ情報を算出するために、画像処理部76及び長さ情報算出部78を備える。なお、画像処理部76及び長さ情報算出部78によって行われる処理は、携帯端末装置70が備える演算装置(CPU:Central Processing Unit)によって実行される。
【0080】
画像処理部76は、カメラ72によって取得された撮像画像から、被計測者12及び基準物73を示す画像(以下「抽出画像」という。)を抽出する。なお、被計測者12及び基準物73を示す画像の抽出処理は、限定されないが、例えば、携帯端末装置70の操作者が、撮像画像から被計測者12及び基準物73の領域を選択し、当該選択された領域が抽出画像とされる。
【0081】
長さ情報算出部78は、抽出画像に基づいて被計測者12の身体の長さを算出する。より具体的には、長さ情報算出部78が、抽出画像から基準物73の長さに相当するドット数(以下「基準ドット数)という。)を取得する。そして長さ情報算出部78は、基準ドット数、基準物73の実際の長さ、及び被計測者12を示す抽出画像の長さを示すドット数とから、被計測者12の身体の長さ(被計測者12の身長、腕部や脚部の長さ等)を算出する。
【0082】
基準物73の実際の長さは、一例として、携帯端末装置70の操作者によって入力される。なお、これに限らず、例えば、基準物73の名称と実際の長さが対応付けられたテーブルデータを携帯端末装置70が記憶し、基準物73の名称を操作者が携帯端末装置70に入力することで名称に対応付けられた実際の長さがテーブルデータから選択されてもよい。
【0083】
長さ情報算出部78によって算出された長さ情報は、通信部74を介して体組成計10へ送信される。
【0084】
体組成計10が通信部56によって長さ情報を取得すると、体組成算出部54は、長さ情報が示す被計測者12の身体をモデル化した算出式を用いて被計測者12の生体情報を算出する。
【0085】
このような体組成算出システム68によれば、長さの基準物73と被計測者12とを撮像して算出された被計測者12の身長以外の身体の長さ、例えば腕部や脚部の長さを用いて、被計測者12の体組成を算出するので、簡易な構成でより正確に被計測者12の体組成を算出できる。
【0086】
(第7実施形態)
本実施形態の体組成計10は、距離センサ(股部距離センサ80)を用いて被計測者12の性別を判定する。これにより、被計測者12は、登録情報として性別を入力する必要がなくなり、性別の誤入力も防止できる。
【0087】
図10は、本実施形態の体組成計10が備える股部距離センサ80による測定を示す模式図である。
【0088】
股部距離センサ80は、本体部30に乗った被計測者12の股下に相当する本体部30の位置に設けられる。より具体的には、股部距離センサ80は、載台32に乗った被計測者12の股下に相当する本体部30の位置に設けられる。
【0089】
そして、股部距離センサ80は、被計測者12の股部の前方から後方における複数個所までの距離を測定する。なお、被計測者12の股部の後方には被計測者12の臀部も含まれる。すなわち、股部距離センサ80は、被計測者12の股部の前方から臀部に至るまで走査し、距離を測定する。
【0090】
図11は、本実施形態の体組成算出機能の構成を示す機能ブロック図である。なお、図11における図3と同様の構成において、図3と同一の構成部分については図3と同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0091】
本実施形態の体組成測定部34が備える性別判定部82Aは、股部距離センサ80による測定結果に基づいて、被計測者12の性別を判定する。より具体的には、性別判定部82Aは、股部距離センサ80による測定結果から被計測者12の股部の形状を推定し、当該形状に基づいて被計測者12の性別を判定する。
【0092】
性別判定部82Aは、例えば、被計測者12の股部の前方に凸部が存在する場合には、被計測者12は男性であると判定し、被計測者12の股部の前方に凸部が存在しない場合には、被計測者12は女性であると判定する。また、性別判定部82Aは、被計測者12の臀部のサイズを考慮して性別を判定してもよい。
【0093】
そして、本実施形態の体組成算出部54は、被計測者12の体重、性別判定部82Aによって判定された被計測者12の性別、距離センサ40の測定結果、及び電位差算出部52による電位差の算出結果等に基づいて、被計測者12の体組成を算出する。
【0094】
なお、本実施形態の体組成計10は、距離センサ40及び股部距離センサ80を備えるが、股部距離センサ80が距離センサ40の機能(例えば、被計測者12の脚部の測定機能)を共有してもよい。この形態の場合、体組成計10は距離センサ40を備えない。
【0095】
また、本実施形態の体組成計10は、被計測者12の身体の長さを距離センサ40によって測定し、当該測定結果を体組成の算出に用いるが、これに限らず、体組成計10に登録情報として入力された被計測者12の身長を体組成の算出に用いてもよい。
【0096】
(第8実施形態)
本実施形態の体組成計10は、測定用電極の測定結果を用いて被計測者12の性別を判定する。
【0097】
図12は、年齢に対する生体情報の変化状態と性別との関係を示すグラフである。黒色の菱形は男性のリアクタンスとレジスタンスとの比(以下「R/X」とする。)を示し、白色の菱形は女性のR/Xを示す。このR/Xは、年齢に対する足測定電極322R,322L又は手測定電極332R,332Lの複数の測定結果である。
【0098】
図12(A)は両手間R/Xと性別との関係を示すグラフである。変化曲線M1は男性の年齢に対する両手間R/Xの変化状態を示し、変化曲線F1は女性の年齢に対する両手間R/Xの変化状態を示す。また、図12(B)は両足間R/Xと性別との関係を示すグラフである。変化曲線M2は男性の年齢に対する両足間R/Xの変化状態を示し、変化曲線F2は女性の年齢に対する両足間R/Xの変化状態を示す。
【0099】
図12(A),(B)に示されるように、両手間R/X及び両足間R/Xが共に、年齢に対する変化状態が性別によって異なることが発明者によって見出された。
【0100】
図13は、本実施形態の体組成算出機能の構成を示す機能ブロック図である。なお、図13に示される体組成計10の構成において、図3と同一の構成部分については図3と同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0101】
本実施形態の体組成測定部34が備える性別判定部82Bは、変化情報(変化曲線M1,M2,F1,F2)と、測定用電極による被計測者12の測定結果と被計測者12の年齢とに基づいて、被計測者12の性別を判定する。なお、被計測者12の年齢は、登録情報記憶部50に記憶されている被計測者12の登録情報に基づくものである。
【0102】
本実施形態の体組成算出部54は、被計測者12の体重、性別判定部82Bによって判定された性別、距離センサ40の測定結果、及び電位差算出部52による電位差の算出結果等に基づいて、被計測者12の体組成を算出する。
【0103】
ここで、性別判定部82Bによる性別判定の一例について図14を参照して説明する。図14に示されるように、被計測者12のR/Xの実測値(以下「実測R/X」という。)が変化曲線M1以上の場合、被計測者12の性別は男性(男性度100%)と判定され、被計測者12の実測R/Xが変化曲線F1以下の場合、被計測者12の性別は女性(女性度100%)と判定される。
【0104】
一方で、被計測者12の実測R/Xが変化曲線F1を超え、かつ変化曲線M1未満の場合、実測R/Xの位置を変化曲線F1と変化曲線M1との間で按分した割合(1~99%)で被計測者12の性別が表される。
【0105】
このように、本実施形態の性別判定部82Bは、被計測者12の性別を確率(以下「性別確率」)で表す。
【0106】
そして、体組成算出部54は、判定された性別確率に基づいた重みを用いて、被計測者12の体組成を算出する。一例として、体組成算出部54は、まず、被計測者12を男性とした場合の体組成(以下「男性体組成」という。)と被計測者12を女性とした場合の体組成(以下「女性体組成」という。)を算出する。そして、体組成算出部54は、性別確率が男性度100%の場合は算出した男性体組成を被計測者12の体組成として出力し、性別確率が女性度100%の場合は算出した女性体組成を被計測者12の体組成として出力する。
【0107】
一方で、性別確率が1~99%の場合、性別確率で男性体組成と女性体組成を重み付けした値を出力する。例えば、性別確率が男性度40%(女性度60%)の場合、体組成算出部54は、男性体組成に0.4を乗算した値と女性体組成に0.6を乗算した値とを足し合わせて得られた値を、被計測者12の体組成として出力する。
【0108】
このように、本実施形態の性別判定部82Bは被計測者12の性別を男性又は女性で特定するのではなく、男性又は女性である確率で表すので、性別の誤判定を抑制できる。
【0109】
また、性別判定部82Bは、変化情報として変化曲線M1,F1及び変化曲線M2,F2の両方を用いてもよいし、変化曲線M1,F1及び変化曲線M2,F2の何れか一方を用いてもよい。なお、変化曲線M1,F1及び変化曲線M2,F2の両方を用いる場合、性別判定部82Bは、変化曲線M1,F1を用いて算出した性別確率と変化曲線M2,F2を用いて算出した性別確率との平均値を被計測者12の性別として出力する。
【0110】
また、図12に示される変化情報(変化曲線M1,F1,M2,F2)は、リアクタンスとレジスタンスとの比に基づいて取得されるが、これに限らず、他の生体情報(例えば、生体インピーダンス等)に基づいて取得されてもよい。
【0111】
また、本実施形態の体組成計10は、被計測者12の身体の長さを距離センサ40によって測定し、当該測定結果を体組成の算出に用いるが、これに限らず、体組成計10に登録情報として入力された被計測者12の身長を体組成の算出に用いてもよい。
【0112】
以上、本発明を、上記実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0113】
10 体組成計(生体情報測定装置)
30 本体部(筐体)
321R 右足通電電極(電流供給手段)
321L 左足通電電極(電流供給手段)
331R 右手通電電極(電流供給手段)
331L 左手通電電極(電流供給手段)
322R 右足測定電極(電位差測定手段)
322L 左足測定電極(電位差測定手段)
332R 右手測定電極(電位差測定手段)
332L 左手測定電極(電位差測定手段)
40 距離センサ(距離測定手段)
54 体組成算出部(体組成算出手段)
33 ハンドグリップ(グリップ)
60 ベルトユニット
56 通信部(取得手段)
80 股部距離センサ(股部距離測定手段)
82A 性別判定部(第1性別判定手段)
82B 性別判定部(第2性別判定手段)
図1
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