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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】飛翔体
(51)【国際特許分類】
   G01S 13/90 20060101AFI20240717BHJP
【FI】
G01S13/90 129
G01S13/90 191
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019501862
(86)(22)【出願日】2018-02-26
(86)【国際出願番号】 JP2018006941
(87)【国際公開番号】W WO2018155683
(87)【国際公開日】2018-08-30
【審査請求日】2021-01-04
【審判番号】
【審判請求日】2022-10-05
(31)【優先権主張番号】P 2017034122
(32)【優先日】2017-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】503361400
【氏名又は名称】国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100181124
【弁理士】
【氏名又は名称】沖田 壮男
(72)【発明者】
【氏名】稲場 典康
(72)【発明者】
【氏名】小澤 悟
(72)【発明者】
【氏名】杉本 洋平
【合議体】
【審判長】岡田 吉美
【審判官】佐々木 祐
【審判官】濱野 隆
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2008/016153(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/010000(WO,A1)
【文献】米国特許第5248979(US,A)
【文献】特開2001-4398(JP,A)
【文献】特開2004-170170(JP,A)
【文献】特開2011-208961(JP,A)
【文献】特開2012-242216(JP,A)
【文献】特開2010-197337(JP,A)
【文献】国際公開第2016/167017(WO,A1)
【文献】特開2012-63196(JP,A)
【文献】特開2012-63195(JP,A)
【文献】特表平9-507582(JP,A)
【文献】特開2013-250122(JP,A)
【文献】特開2000-275338(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S13/00-13/95
G01S7/00-7/42
G08C13/00-25/04
G06T1/00
H04N5/232
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視空間に電波を送信し且つ前記監視空間において反射された電波を受信する合成開口レーダーと、
前記合成開口レーダーが受信した前記反射された電波に基づいて観測データを生成する観測データ生成部と、
生成された前記観測データに基づいて前記監視空間を表す画像を生成する画像生成部と、
生成された前記画像に基づいて検出対象を検出する検出部と、
検出された前記検出対象の位置を算出し、算出した位置を示す位置情報を生成する位置算出部と、
生成された前記位置情報を、送信データとして生成する送信データ生成部と、
生成された前記送信データに応じた電波を、受信装置に向けて送信する通信アンテナ部と、
を備える飛翔体であって、
前記監視空間には、海域が含まれ、
前記検出対象は、前記海域における船舶であり、
前記検出部は、生成された前記画像における所定の領域ごとに、前記所定の領域を構成する画素の輝度値に対して標準偏差フィルターを適用することにより、生成された前記画像の各画素の輝度値を二値化した二値化画像を生成し、生成された前記二値化画像に、前記二値化により設定された所定の輝度値を持つ所定数以上の画素により構成される領域が含まれている場合、当該領域を前記船舶として検出し、
前記位置算出部は、各時刻における前記飛翔体の位置を示す飛翔体位置情報および前記飛翔体の姿勢を示す飛翔体姿勢情報を取得し、取得された前記飛翔体位置情報および前記飛翔体姿勢情報と、生成された前記画像とに基づいて、前記船舶の位置を表す緯度および経度を算出し、
前記画像生成部は、生成された前記画像から、前記船舶を中心とした所定形状の領域を表す部分画像をトリミングし、トリミングした前記部分画像を送信画像として生成し、
さらに、前部分画像特徴と、前記船舶の針路および速力とが対応付けられた情報を機械学習することにより設定された複数のパラメーターに基づいて、検出された前記船舶の針路および速力を判定する特徴抽出部をさらに備え、
前記送信データ生成部は、生成された前記位置情報と、生成された前記送信画像と、算出された前記船舶の位置を表す緯度および経度の情報と、判定された前記船舶の針路および速力の情報とを含む前記送信データを生成し、
前記観測データ生成部、前記画像生成部、前記検出部、前記位置算出部、前記送信データ生成部、および前記特徴抽出部は、FPGA(Field Programmable Gate Array)により実現される、
飛翔体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、飛翔体、及びプログラムに関する。
本願は、2017年2月24日に、日本に出願された特願2017-034122号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
観測対象との間において電波を送受信する人工衛星に関する技術の研究や開発が行われている。このような人工衛星は、例えば、観測対象から受信した電波に基づいて観測対象を表す観測データを生成し、生成した観測データを地上の受信装置に向けて送信する。受信装置は、受信した観測データに基づく処理を行う。
【0003】
これに関し、観測データを複数のチャネルへ周波数多重分離し、当該複数のチャネルのそれぞれに対してハードウェアによる圧縮を実行する人工衛星が知られている(特許文献1参照)また、受信装置によって人工衛星から受信された観測データに基づいて、観測対象を表す画像を生成する技術が知られている。また、当該画像に基づいて、観測対象に含まれる海域における船舶を検出するソフトウェアが知られている(非特許文献1、非特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2014-510913号公報
【非特許文献】
【0005】
【文献】VESSELFINDER powered by HuygensWorks: http://www.mss.co.jp/information/20141205/VesselFinder2.pdf
【文献】MARITIME PRODUCTS USING TERRASAR-X and SENTINEL-1 IMAGERY: S.Lehner, B.Tings, The International Archives of the Photogrammetry, Remote Sensing and Spatial Information Sciences, Volume XL-7/W3, 2015
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の人工衛星では、観測データのデータ量を圧縮することはできるが、観測対象以外の観測データも地上局に送信する。このため、データ伝送に要する時間(衛星からダウンリンクする時間、地上局バッファストレージでの待機時間、バッファストレージからデータ処理センターまでの伝送時間等を含めた時間)が長くなる場合がある。その結果、従来の人工衛星では、観測対象の迅速な発見ができない可能性がある。また、従来のソフトウェアでは、観測対象を表す画像に基づいて観測対象に含まれる海域における船舶を検出するため、人工衛星によって当該船舶が観測された時間と、当該ソフトウェアにより当該船舶が検出された時間との差分が、およそ十数時間程度から数日程度となる可能性がある。その結果、ユーザーが監視したい所望の海域における船舶をユーザーが検出したい所望のタイミングで検出することができない可能性が有る。
【0007】
本発明は、地上局側へデータを送信する際に、送信するデータのデータ量を観測データのデータ量よりも小さくすることができ、所望の検出対象が検出されたことを、より早くユーザーに通知することができる飛翔体、及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、レーダーが受信した電波に基づいて観測データを生成する観測データ生成部と、前記観測データ生成部により生成された前記観測データに基づいて監視空間を表す画像を生成する画像生成部と、前記画像生成部により生成された前記画像に基づいて検出対象を検出する検出部と、を備える飛翔体である。
【0009】
本発明の他の態様は、レーダーが受信した電波に基づいて観測データを生成する観測データ生成部と、前記観測データ生成部により生成された前記観測データをレンジ圧縮する処理部と、前記処理部によりレンジ圧縮された信号に基づいて検出対象を検出する検出部と、を備える飛翔体である。
【0010】
本発明の他の態様は、飛翔体において、前記監視空間には、海域が含まれ、前記検出対象には、前記海域における船舶が含まれる、構成が用いられてもよい。
【0011】
本発明の他の態様は、飛翔体において、前記検出部は、予め記憶された複数のパラメーターに基づいて、前記監視空間における前記検出対象の候補の中から前記検出対象と推定される対象を前記検出対象として検出する、構成が用いられてもよい。
【0012】
本発明の他の態様は、飛翔体において、前記検出部は、ベースマップと、前記画像生成部により生成された画像とを比較することにより前記検出対象を検出する、構成が用いられてもよい。
【0013】
本発明の他の態様は、飛翔体において、前記検出対象には、前記監視空間における地殻変動が含まれる、構成が用いられてもよい。
【0014】
本発明の他の態様は、飛翔体において、前記検出部により検出された前記検出対象の位置を算出し、算出した位置を示す位置情報を生成する位置算出部を更に備える、構成が用いられてもよい。
【0015】
本発明の他の態様は、飛翔体において、前記検出部により検出された前記検出対象の特徴を抽出する特徴抽出部を更に備える、構成が用いられてもよい。
【0016】
本発明の他の態様は、飛翔体が備えるコンピューターに、レーダーが受信した電波に基づく観測データを生成し、生成した前記観測データに基づいて監視空間を表す画像を生成し、生成された前記画像における検出対象を検出させる、プログラムである。
【0017】
本発明の他の態様は、飛翔体が備えるコンピューターに、レーダーが受信した電波に基づく観測データを生成し、生成した前記観測データをレンジ圧縮し、レンジ圧縮された信号に基づいて検出対象を検出させる、プログラムである。
【発明の効果】
【0018】
上記した飛翔体、及びプログラムによれば、地上局側へデータを送信する際に、送信するデータのデータ量を観測データのデータ量よりも小さくすることができる。これにより、所望の検出対象が検出されたことを、より早くユーザーに通知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】衛星観測システム1の構成の一例を示す図である。
図2】制御装置3のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3】制御装置3の機能構成の一例を示す図である。
図4】制御装置3が観測データに基づいて領域Dに含まれる船舶を検出する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図5】二値化画像の一例を示す図である。図5に示した画像P1は、二値化画像の一例である。
図6】制御装置3が観測データに基づいて領域D2に含まれる船舶を検出する処理の流れの他の例を示すフローチャートである。
図7】領域D2に1艘の船舶が含まれている場合における圧縮データ画像の一例を示す図である。
図8】制御装置3が観測データに基づいて領域D2に含まれる検出対象を検出する処理の流れの更に他の例を示すフローチャートである。
図9】制御装置3が観測データに基づいて領域Dに含まれる陸域の少なくとも一部において生じる地殻変動を検出する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<実施形態>
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0021】
<衛星観測システムの概要>
まず、実施形態に係る衛星観測システム1の概要について説明する。図1は、衛星観測システム1の構成の一例を示す図である。
【0022】
衛星観測システム1は、飛翔体2と、受信装置4を備える。
飛翔体2は、本実施形態において、地球ETの地表上空を予め決められた周回軌道に沿って周回する人工衛星である。なお、飛翔体2は、地球ETの地表上空に代えて、他の天体や物体の表面上空を当該周回軌道に沿って周回する人工衛星であってもよい。当該天体には、火星や金星等の地球ETと異なる他の惑星、月やタイタン等の衛星、イトカワ等の小惑星等が含まれる。また、当該物体には、岩石等が含まれる。また、飛翔体2は、人工衛星に代えて、飛行機、ドローン等の他の飛翔体であってもよい。
【0023】
飛翔体2は、本実施形態において、地球ETの地表に含まれる領域のうちの一部である領域Dを観測したい所望の対象である観測対象として観測する。すなわち、飛翔体2は、領域Dに向けて電波を照射(送信)する。観測対象は、換言すると、飛翔体2が監視する監視空間のことである。当該監視空間(すなわち、観測対象)は、この一例における領域Dのように二次元平面であってもよく、二次元平面に代えて、三次元空間であってもよい。
なお、飛翔体2は、当該領域の一部を観測対象として観測する構成に代えて、地球ET上に存在する他の物体を観測対象として観測する構成であってもよい。飛翔体2は、当該地表上空のうち領域Dに電波を照射可能な上空を通過する際、飛翔体2から照射される電波が領域Dに照射されるように姿勢を制御される。以下では、飛翔体2の姿勢の制御方法については、既知の制御方法を用いてもよく、これから開発される方法を用いてもよいため、説明を省略する。飛翔体2は、領域Dに照射してから領域Dの表面において反射された電波を受信することにより、領域Dの観測を行う。
【0024】
より具体的には、飛翔体2は、合成開口レーダー部21と、通信アンテナ部22と、制御装置3を備える。飛翔体2は、飛翔体の一例である。
【0025】
合成開口レーダー部21には、第1方向に配列された複数のアンテナ素子がフェーズドアレイアンテナA1として設けられている。以下の説明において、フェーズドアレイアンテナA1は、送信と受信の両方の機能を有している。しかしながら、フェーズドアレイアンテナA1は、送信アンテナと受信のアンテナが別体の構成を有していてもよい。フェーズドアレイアンテナA1は、合成開口レーダー部21の予め決められた位置に設けられている。当該位置は、フェーズドアレイアンテナA1から電波を第2方向に向けて照射(送信)可能な位置である。当該電波は、合成開口レーダー部21が制御装置3から取得した信号に応じた電波である。第2方向は、第1方向と直交する方向のことである。飛翔体2が地球ETの地表上空のうち領域Dに電波を照射可能な上空を通過する際、第2方向は、領域Dに向かう方向と一致する。以下では、一例として、第1方向がアジマス方向である場合について説明する。アジマス方向は、飛翔体2の進行方向のことである。すなわち、この一例における第2方向は、レンジ(サイドルッキング方式におけるスラントレンジ)方向である。また、フェーズドアレイアンテナA1は、フェーズドアレイアンテナA1に向かって到来する電波を受信する。なお、第1方向は、アジマス方向に代えて、他の方向であってもよい。すなわち、第2方向は、レンジ方向に代えて、他の方向であってもよい。また、合成開口レーダー部21は、フェーズドアレイアンテナA1に代えて、スロットアンテナ、パラボラアンテナ等の他のアンテナを備える構成であってもよい。また、合成開口レーダー部21が備えるアンテナは、本実施形態におけるフェーズドアレイアンテナA1と同様に、送信アンテナと受信アンテナが別体であってもよい。この場合、飛翔体2は、当該受信アンテナのみを備え、当該送信アンテナを備える衛星とタンデム衛星を構成してもよい。
【0026】
通信アンテナ部22は、受信装置4との間で各種の情報に応じた電波の送受信を行うアンテナを備える。当該アンテナは特に限定されず、パラボラアンテナであってもよく、フェーズドアレイアンテナであってもよい。
【0027】
制御装置3は、飛翔体2の全体を制御する。制御装置3は、本実施形態において、飛翔体2に内蔵されている。なお、制御装置3は、飛翔体2と別体であってもよい。この場合、例えば、制御装置3は、他の人工衛星に備えられており、無線通信によって当該人工衛星から飛翔体2を制御する。
【0028】
制御装置3は、合成開口時間(すなわち、1サイクル)内においてPRI(Pulse Repetition Frequency)間隔で送信パルス信号を合成開口レーダー部21に出力する。これにより、制御装置3は、領域Dに向けて送信パルス信号に応じた電波を照射電波としてフェーズドアレイアンテナA1に照射(送信)させる。送信パルス信号は、チャープ信号であり、時間の経過とともに周波数が変化する信号である。送信パルス信号の周波数帯は、本実施形態において、マイクロ波の周波数帯である。なお、送信パルス信号の周波数帯は、マイクロ波の周波数帯に代えて、マイクロ波の周波数帯より低い周波数帯であってもよく、マイクロ波の周波数帯より高い周波数帯であってもよい。
【0029】
ここで、フェーズドアレイアンテナA1から照射された照射電波のうちの一部の電波は、領域Dの表面の各位置における仮想的な点状後方散乱体によって、フェーズドアレイアンテナA1に向けて反射される。制御装置3は、このように反射された当該電波をフェーズドアレイアンテナA1によって受信する。このため、以下では、説明の便宜上、当該各位置における点状後方散乱体を後方散乱体と称して説明する。
【0030】
制御装置3は、フェーズドアレイアンテナA1が受信した電波の強度と、当該電波を受信した時刻とに基づく観測データを生成する。観測データは、フェーズドアレイアンテナA1が電波を受信した時刻を表すセルを有する二次元データである。観測データの各セルには、各セルが表す時刻にフェーズドアレイアンテナA1が受信した電波の強度が対応付けられている。制御装置3が観測データを生成する方法は、既知の方法であってもよく、これから開発される方法であってもよい。このため、以下では、当該方法について、これ以上の詳細な説明(例えば、ノイズ除去を行う処理等の説明)を省略する。
【0031】
ここで、制御装置3と異なる制御装置X(例えば、従来の制御装置)は、生成した観測データを通信アンテナ部22に出力し、当該観測データに応じた電波を通信アンテナ部22に地球ETの地表に設置された受信装置に向けて送信させる。これにより、当該受信装置は、ユーザーからの要求に応じて、制御装置Xから受信した観測データを当該要求に応じたタイミングで当該要求に応じた装置に送信することができる。しかし、当該タイミングは、あるユーザー1人の都合によって決めることができない場合が多い。また、制御装置Xから当該受信装置への観測データの伝送(送信)に要する時間は、観測データのデータ量が大きくなるほど長くなる。このような事情から、制御装置Xを備える衛星観測システムは、領域Dにおける検出対象の検出をユーザーが所望するタイミングで行うことができない場合があった。ここで、ユーザーは、例えば、地上において当該装置を操作する人である。なお、ユーザーは、当該人に代えて、他の人であってもよい。
【0032】
そこで、制御装置3は、生成した観測データに基づいて領域D(すなわち、観測対象)における検出対象を検出する。すなわち、飛翔体2自身が当該観測データに基づいて領域Dにおける検出対象を検出する。これにより、飛翔体2は、データを送信する対象(この一例において、受信装置4)に送信するデータのデータ量を観測データのデータ量よりも小さくすることができる。また、飛翔体2は、当該データを記憶するために必要な記憶容量を小さくすることができる。これにより、飛翔体2は、所望の検出対象が検出されたことを、より早くユーザーに通知することができる。また、地上局に直接伝送可能な地域の観測については、送信データを記憶部に記憶せず、通信部に直接送ってもよい。制御装置3は、検出対象を検出した後、検出対象を検出した結果を示す情報を含む送信データを生成する。制御装置3は、生成した送信データを通信アンテナ部22に出力し、送信データを通信アンテナ部22に受信装置4に向かって送信させる。制御装置3は、通信アンテナ部22を介して受信装置4からの各種の制御信号に応じた電波を受信する。制御装置3は、受信した当該電波に応じた処理を行う。
【0033】
受信装置4は、飛翔体2との間で各種の情報を電波によって送受信可能なアンテナを備える。受信装置4は、例えば、当該アンテナを接続された専用又は汎用のコンピューターである。受信装置4は、地球ETの地表のうちのユーザーが所望する位置に設置される。
受信装置4は、飛翔体2が受信装置4に向けて送信した送信データを受信データとして受信する。受信装置4は、受信した受信データを記憶する。これにより、ユーザーは、受信装置4により記憶された受信データに含まれる検出対象を示す情報に応じた作業を行うことができる。
【0034】
ここで、以下では、制御装置3の機能構成と、制御装置3が観測データに基づいて領域Dにおける検出対象を検出する処理とについて詳しく説明する。
【0035】
<制御装置のハードウェア構成>
以下、図2を参照し、制御装置3のハードウェア構成について説明する。図2は、制御装置3のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0036】
制御装置3は、例えば、FPGA(Field Programmable Gate Array)31と、記憶部32と、通信部34を備える。これらの構成要素は、バスBusを介して相互に通信可能に接続されている。また、制御装置3は、通信部34を介して合成開口レーダー部21、通信アンテナ部22のそれぞれと通信を行う。なお、制御装置3は、FPGA31に代えて、CPU(Central Processing Unit)を備える構成であってもよい。
【0037】
FPGA31は、後述する制御装置3の機能構成をハードウェア機能部によって実現する。
記憶部32は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、ROM(Read-Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリー等を含む。記憶部32は、制御装置3が処理する各種の情報、各種の画像等を格納する。
通信部34は、例えば、各種の通信規格に応じたアナログ又はデジタルの入出力ポート等を含んで構成される。
【0038】
<制御装置の機能構成>
以下、図3を参照し、制御装置3の機能構成について説明する。図3は、制御装置3の機能構成の一例を示す図である。
【0039】
制御装置3は、記憶部32と、通信部34と、制御部36を備える。
【0040】
制御部36は、制御装置3の全体を制御する。制御部36は、通信制御部361と、レーダー制御部363と、観測データ生成部364と、処理部365と、画像生成部367と、検出対象検出部369と、位置算出部371と、特徴抽出部373と、送信データ生成部375を備える。制御部36が備えるこれらの機能部のうちの一部又は全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェア機能部であってもよい。
【0041】
通信制御部361は、通信アンテナ部22によって受信装置4との間で各種の情報に応じた電波の送受信を行う。具体的には、例えば、通信制御部261は、通信アンテナ部22によって受信装置4から各種の制御信号に応じた電波を受信する。また、通信制御部261は、送信データ生成部275が生成した送信データに応じた電波を受信装置4に向けて通信アンテナ部22に送信させる。
【0042】
レーダー制御部363は、合成開口時間(すなわち、1サイクル)内においてPRI間隔で送信パルス信号を合成開口レーダー部21に出力する。そして、レーダー制御部363は、領域Dに向けて送信パルス信号に応じた照射電波を合成開口レーダー部21のフェーズドアレイアンテナA1に照射(送信)させる。また、レーダー制御部363は、フェーズドアレイアンテナA1から照射された照射電波のうちの一部の電波であって各後方散乱体において反射された電波をフェーズドアレイアンテナA1によって受信する。
【0043】
観測データ生成部364は、合成開口レーダー部21のフェーズドアレイアンテナA1によって受信された電波に基づいて前述の観測データを生成する。
【0044】
処理部365は、観測データ生成部364により生成された観測データに各種の処理を行う。
【0045】
画像生成部367は、処理部365により生成された観測データに基づいて、領域D(すなわち、観測対象)を表す画像を生成する。
【0046】
検出対象検出部369は、観測データ生成部364により生成された観測データに基づいて、領域Dにおける検出対象を検出する。
【0047】
位置算出部271は、観測データ生成部364により生成された観測データに基づいて、検出対象検出部369により検出された検出対象の位置を算出する。
【0048】
特徴抽出部373は、観測データ生成部364により生成された観測データに基づいて、検出対象検出部369により検出された検出対象の特徴を抽出する。
【0049】
送信データ生成部375は、画像生成部367により生成された画像と、位置算出部271により算出された位置を示す位置情報と、特徴抽出部373により検出された特徴を示す特徴情報とのうちの一部又は全部を含む情報を送信データとして生成する。
【0050】
<制御装置が観測データに基づいて観測対象における検出対象を検出する処理>
以下、図4を参照し、制御装置3が観測データに基づいて領域Dにおける検出対象を検出する処理について説明する。以下では、一例として、制御装置3が観測データに基づいて領域Dにおける船舶を検出対象として検出する処理について説明する。この場合、領域Dには、地球ETの地表に含まれる領域のうちの海域が少なくとも含まれている。図4は、制御装置3が観測データに基づいて領域Dにおける船舶(すなわち、当該海域における船舶)を検出する処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、検出対象には、船舶に加えて、他の物体や現象が含まれる構成であってもよい。
【0051】
レーダー制御部363は、飛翔体2の位置が領域Dの少なくとも一部に合成開口レーダー部21から照射電波を照射可能な位置である場合、合成開口レーダー部21を制御し、領域Dを観測する(ステップS110)。具体的には、当該場合、レーダー制御部363は、合成開口時間(すなわち、1サイクル)内においてPRI間隔で送信パルス信号を合成開口レーダー部21に出力する。そして、レーダー制御部363は、領域Dに向けて送信パルス信号に応じた照射電波を合成開口レーダー部21のフェーズドアレイアンテナA1に照射(送信)させる。レーダー制御部363は、飛翔体2の位置が領域Dの少なくとも一部に合成開口レーダー部21から照射電波を照射不可能な位置まで移動した場合に、合成開口レーダー部21への送信パルス信号の出力を停止する。また、レーダー制御部363は、フェーズドアレイアンテナA1から照射された照射電波のうちの一部の電波であって各後方散乱体において反射された当該電波をフェーズドアレイアンテナA1によって受信する。そして、レーダー制御部363は、受信した当該電波を示す受信電波情報に対してA/D変換等の処理を行う。なお、本実施形態では、当該処理についての説明を省略する。このようにして、レーダー制御部363は、合成開口レーダー部21によって領域Dを観測する。
【0052】
次に、観測データ生成部364は、ステップS110において受信した電波を示す受信電波情報に基づいて観測データを生成する(ステップS120)。ここで、観測データ生成部364は、ステップS120において観測データを生成した後、生成した観測データを記憶部32に記憶する構成であってもよく、当該観測データを記憶部32に記憶しない構成であってもよい。
【0053】
次に、画像生成部367は、ステップS120において生成された観測データに基づいて、領域Dを表す画像を生成する(ステップS150)。具体的には、画像生成部367は、レンジ方向についての圧縮と、アジマス方向についての圧縮とを当該観測データに対して行い、領域Dを表す画像として生成する。ここで、画像生成部367により生成された画像の各画素の位置は、前述の後方散乱体の当該画像上での位置を表し、当該各画素の画素値は、後方散乱体において反射された電波の輝度値を表す。また、当該画像の各画素には、各画素が表す後方散乱体からフェーズドアレイアンテナA1に向かって到来する電波の位相を示す位相情報が対応付けられる。画像生成部367は、例えば、レンジドップラー法、チャープスケーリング法、オメガ・カッパー法等によって領域Dを表す画像を生成する。この際、画像生成部367は、高精度軌道決定処理、電離層遅延補正を行うことによって、当該位相の算出精度を向上させてもよい。また、画像生成部367は、記憶部32に予め記憶されたデジタルエレベーションモデルを用いて、領域Dの表面における高度に起因する位相成分を除去する処理を行う構成であってもよい。この場合、画像生成部367は、記憶部32からデジタルエレベーションモデルを読み出す。ここで、デジタルエレベーションモデルは、地球ETの表面の少なくとも一部の形状を表す三次元モデルのことである。なお、画像生成部367は、これらの方法と異なる既知の方法によって当該観測データから当該画像を生成する構成であってもよく、これから開発される方法によって当該観測データから当該画像を生成する構成であってもよい。このため、画像生成部367による当該画像の生成方法については、これ以上の詳細な説明を省略する。
【0054】
次に、検出対象検出部369は、ステップS150において画像生成部367により生成された画像に基づいて、当該画像に含まれる船舶と考えられる(推定される)物体を船舶として検出する(ステップS160)。なお、当該画像に含まれる船舶として考えられる(推定される)物体には、本物の船舶の他に、海上の構造物、小島等の物体が含まれる場合がある。ここで、ステップS160の処理について説明する。例えば、検出対象検出部369は、領域Dに含まれる領域のうち海域と異なる領域である陸域を示す陸域情報を記憶部32から読み出す。陸域は、領域Dに含まれる領域のうちの陸地の領域のことである。検出対象検出部369は、読み出した陸域情報に基づいて、当該画像に陸域フィルターを適用する。具体的には、検出対象検出部369は、当該画像において、当該陸域情報が示す陸域の部分に含まれる画素の輝度値を予め決められた第1輝度値に変更する。第1輝度値は、例えば、0である。なお、第1輝度値は、0に代えて、後述する第3輝度値との輝度値の違いを検出対象検出部369が区別可能な輝度値であれば如何なる輝度値であってもよい。以下では、説明の便宜上、当該画像に陸域フィルターを適用した後の画像を陸域除去画像と称して説明する。
【0055】
陸域除去画像を生成した後、検出対象検出部369は、陸域除去画像に二値化フィルターを適用する。具体的には、検出対象検出部369は、陸域除去画像を構成する複数の画素のうち輝度値が所定輝度値未満の画素の輝度値を第2輝度値に設定し、陸域除去画像を構成する複数の画素のうち輝度値が第1所定輝度値以上の画素の輝度値を予め決められた第3輝度値に設定することにより、陸域除去画像の二値化を行う。第2輝度値は、例えば、0である。なお、第2輝度値は、0に代えて、後述する第3輝度値との輝度値の違いを検出対象検出部369が区別可能な輝度値であれば如何なる輝度値であってもよい。第3輝度値は、例えば、255である。なお、第3輝度値は、255に代えて、第1輝度値及び第2輝度値の両方との輝度値の違いを検出対象検出部369が区別可能な輝度値であれば如何なる輝度値であってもよい。第1所定輝度値は、第1輝度値及び第2輝度値の両方よりも大きく、第3輝度値よりも小さい輝度値であれば如何なる輝度値であってもよい。
以下では、説明の便宜上、陸域除去画像に二値化フィルターを適用した後の画像を二値化画像と称して説明する。図5は、二値化画像の一例を示す図である。図5に示した画像P1は、二値化画像の一例である。画像P1において、領域SC1は、輝度値が第3輝度値である画素によって構成された領域を表している。また、ハッチングされた領域である領域SC2は、輝度値が第2輝度値である画素によって構成された領域を表している。また、検出対象検出部369は、二値化フィルターの代わりに標準偏差フィルターにより、陸域除去画像の二値化を行う構成であってもよい。
【0056】
検出対象検出部369は、輝度値が第3輝度値である画素であって所定数以上の画素によって構成された1以上の領域が二値化画像に含まれている場合、当該領域のそれぞれ(すなわち、前述の船舶と考えられる物体に対応する領域)を船舶として検出する。所定数は、例えば、10である。なお、所定数は、10より小さい数であってもよく、10より大きい数であってもよい。ここで、図5に示した領域SC1は、輝度値が第3輝度値であって所定数の画素によって構成された領域の一例である。すなわち、図5に示した例では、検出対象検出部369は、領域SC1を船舶として検出する。
【0057】
なお、ステップS160における検出対象検出部369は、ステップS150において生成された画像に対して陸域フィルターと二値化フィルターと標準偏差フィルターとの少なくとも一部を適用することなく、機械学習のアルゴリズムを用いて当該画像から船舶を検出する構成であってもよい。この場合、検出対象検出部369には、船舶が含まれている複数の画像と当該画像のそれぞれにおける船舶の位置及び形状とを対応付けた情報と、船舶が含まれていない複数の画像と当該画像のそれぞれにおいて船舶が含まれていないことを示す情報とが複数のパラメーターとして予め記憶(学習)されている。ここで、当該画像のそれぞれは、1シーンの画像を切り抜いた船舶画像である。そして、検出対象検出部369は、予め記憶された複数のパラメーターに基づいて、ステップS150において生成された画像に含まれる船舶の候補の中から船舶として尤もらしい候補を船舶として検出する。また、当該場合、検出対象検出部369は、ステップS160において当該アルゴリズムを用いて、当該尤もらしい候補を船舶として検出するとともに、後述するステップS180の処理(具体的には、ステップS160において検出した船舶の特徴の抽出)を行う構成であってもよい。ここで、当該アルゴリズムは、既知の如何なるアルゴリズム(深層学習を含む)であってもよく、これから開発されるアルゴリズムであってもよい。
このため、当該機械学習のアルゴリズムについて、これ以上の詳細な説明を省略する。
【0058】
ステップS160の処理が行われた後、検出対象検出部369は、ステップS160において船舶が検出されたか否かを判定する(ステップS165)。ステップS160において船舶が検出されていないと検出対象検出部369が判定した場合(ステップS165-NO)、制御部36は、処理を終了する。一方、ステップS160において船舶が検出されていると検出対象検出部369が判定した場合(ステップS165-YES)、画像生成部367、位置算出部271、特徴抽出部373、通信制御部361、送信データ生成部375のそれぞれは、ステップS160において検出された1以上の船舶毎に、ステップS170~ステップS210の処理を繰り返し行う(ステップS167)。以下では、説明の便宜上、ステップS167において選択された船舶を対象船舶と称して説明する。
【0059】
ステップS167において対象船舶が選択された後、位置算出部271は、対象船舶の位置を算出する(ステップS170)。具体的には、位置算出部271は、ステップS160において二値化画像に含まれる領域のうち対象船舶として検出された領域の所定位置が表す緯度及び経度を対象船舶の位置として算出する。この際、位置算出部271は、各時刻における飛翔体2の位置を示す飛翔体位置情報(例えば、GPS(Global Positioning System)の情報)と、各時刻における飛翔体2の姿勢を示す飛翔体姿勢情報(例えば、ACS(Attitude Control System)の情報)とのそれぞれを取得し、取得した飛翔体位置情報及び飛翔体姿勢情報に基づいて、当該所定位置が表す緯度及び経度を対象船舶の位置として算出する。当該所定位置は、例えば、当該領域の図心(又は重心)の位置である。なお、当該所定位置は、当該領域の図心の位置に代えて、当該領域に基づく他の位置であってもよい。
【0060】
次に、画像生成部367は、ステップS170において算出された対象船舶の位置に基づいて、ステップS150において生成された画像をトリミングする(ステップS175)。具体的には、画像生成部367は、領域Dに含まれる領域のうちステップS170において算出された対象船舶の位置を中心とした所定形状の領域を表す部分画像を当該画像からトリミングする(切り抜く)。当該所定形状は、例えば、所定距離四方の矩形である。また、当該所定形状は、当該画像における緯度方向に平行な辺と、経度方向と平行な辺とを有する矩形の領域である。当該所定距離は、例えば、500メートルである。なお、当該所定距離は、500メートルよりも短い距離であってもよく、500メートルよりも長い距離であってもよい。また、当該所定形状は、矩形に代えて、円形、楕円形等の他の形状であってもよい。画像生成部367は、トリミングした当該部分画像を送信画像として生成する。
【0061】
次に、特徴抽出部373は、対象船舶の特徴を抽出する(ステップS180)。この一例において、当該特徴には、対象船舶の全長、対象船舶の種類、対象船舶の針路、対象船舶の速力、対象船舶の航行状態が含まれる。対象船舶の航行状態は、対象船舶が停止している状態と、対象船舶が移動している状態とのいずれかの状態のことである。なお、当該特徴には、これらの一部又は全部に代えて、対象船舶の特徴を表す他の情報が含まれる構成であってもよく、当該一部又は全部に加えて、対象船舶の特徴を表す他の情報が含まれる構成であってもよい。ここで、ステップS180の処理について説明する。
【0062】
特徴抽出部373は、機械学習のアルゴリズムを用いて、ステップS160において生成された二値化画像と、画像生成部367が生成した送信画像とに基づいて対象船舶の特徴を抽出する。この場合、特徴抽出部373には、対象船舶を表す領域の特徴と、対象船舶の特徴のそれぞれとが対応付けられた情報が複数のパラメーターとして予め記憶(学習)されている。当該領域の特徴には、この一例において、当該領域の長手方向の長さ、当該領域の短手方向の長さ、当該領域の長手方向が向かう方角、当該領域の形状、当該領域の面積が含まれる。なお、当該特徴には、これらの一部又は全部に代えて、当該領域を表す他の情報が含まれる構成であってもよく、当該一部又は全部に加えて、当該領域を表す他の情報が含まれる構成であってもよい。
【0063】
すなわち、特徴抽出部373には、対象船舶を表す領域の長手方向の長さ、当該領域の短手方向の長さ、当該領域の長手方向が向かう方角、当該領域の形状当該領域の面積の組み合わせと、船舶の全長とが対応付けられた情報が複数のパラメーターとして予め記憶されている。そして、特徴抽出部373は、予め記憶された当該パラメーターと、二値化画像に含まれる対象船舶を表す領域とに基づいて、対象船舶の全長の候補の中から当該全長としてとして尤もらしい候補を当該全長として抽出する。
【0064】
また、特徴抽出部373には、対象船舶を表す領域の長手方向の長さ、当該領域の短手方向の長さ、当該領域の長手方向が向かう方角、当該領域の形状当該領域の面積の組み合わせと、船舶の種類とが対応付けられた情報が複数のパラメーターとして予め記憶されている。そして、特徴抽出部373は、予め記憶された当該パラメーターと、二値化画像に含まれる対象船舶を表す領域とに基づいて、対象船舶の種類(カテゴリ)の候補の中から当該種類としてとして尤もらしい候補を当該種類として抽出する。
【0065】
また、特徴抽出部373には、対象船舶を表す領域の長手方向の長さ、当該領域の短手方向の長さ、当該領域の長手方向が向かう方角、当該領域の形状、当該領域の面積の組み合わせと、船舶の針路とが対応付けられた情報が複数のパラメーターとして予め記憶されている。そして、特徴抽出部373は、予め記憶された当該パラメーターと、二値化画像に含まれる対象船舶を表す領域とに基づいて、対象船舶の針路の候補の中から当該針路としてとして尤もらしい候補を当該針路として抽出する。
【0066】
また、特徴抽出部373には、対象船舶を表す領域の長手方向の長さ、当該領域の短手方向の長さ、当該領域の長手方向が向かう方角、当該領域の形状、当該領域の面積、当該領域外に航跡があれば航跡の組み合わせと、船舶の速力とが対応付けられた情報が複数のパラメーターとして予め記憶されている。そして、特徴抽出部373は、予め記憶された当該パラメーターと、二値化画像に含まれる対象船舶を表す領域とに基づいて、対象船舶の速力の候補の中から当該速力としてとして尤もらしい候補を当該速力として抽出する。
【0067】
また、特徴抽出部373には、対象船舶を表す領域の長手方向の長さ、当該領域の短手方向の長さ、当該領域の長手方向が向かう方角、当該領域の形状、当該領域の面積、当該領域外に航跡があれば航跡の組み合わせと、船舶の航行状態とが対応付けられた情報が複数のパラメーターとして予め記憶されている。そして、特徴抽出部373は、予め記憶された当該パラメーターと、二値化画像に含まれる対象船舶を表す領域とに基づいて、対象船舶の航行状態の候補の中から当該航行状態としてとして尤もらしい候補を当該航行状態として抽出する。
【0068】
ここで、特徴抽出部373がステップS180において用いる機械学習のアルゴリズムは、既知の如何なるアルゴリズム(深層学習を含む)であってもよく、これから開発されるアルゴリズムであってもよい。このため、当該機械学習のアルゴリズムについて、これ以上の詳細な説明を省略する。なお、特徴抽出部373は、機械学習のアルゴリズムを用いて、ステップS150において生成された画像(すなわち、ステップS160において二値化フィルターを適用する前の画像や標準偏差フィルターを適用する画像)から対象船舶の特徴を抽出する構成であってもよい。
【0069】
次に、送信データ生成部375は、送信データを生成する(ステップS200)。具体的には、送信データ生成部375は、ステップS190においてAIS信号が受信されている場合、対象船舶の船舶識別情報と、対象船舶の船舶位置情報と、送信画像と、対象船舶の船舶特徴情報と、AIS情報とを含む情報を送信データとして生成する。当該船舶識別情報は、対象船舶を識別する情報である。なお、当該船舶識別情報は、ステップS160において検出された1以上の船舶のそれぞれを識別可能であれば如何なる情報であってもよい。当該船舶位置情報は、対象船舶の位置であってステップS170において算出された位置を示す情報である。当該送信画像は、ステップS175において生成された送信画像である。当該船舶特徴情報は、対象船舶の特徴であってステップS180において検出された特徴のそれぞれを示す情報である。当該AIS情報は、ステップS190において記憶部32に記憶されたAIS情報である。また、送信データ生成部375は、ステップS190においてAIS信号が受信されていない場合、当該船舶識別情報と、当該船舶位置情報と、当該送信画像と、当該船舶特徴情報と、ステップS190においてAIS信号が受信されていないことを示す情報とを含む情報を送信データとして生成する。
【0070】
なお、送信データ生成部375は、ステップS190においてAIS信号が受信されている場合、対象船舶の船舶特徴情報と当該AIS信号が示すAIS情報との照合(マッチング)を行う構成であってもよい。この場合、送信データ生成部375は、当該船舶特徴情報が示す複数の情報のうち当該AIS情報が示す複数の情報のいずれかと一致している情報を特定する。また、送信データ生成部375は、当該船舶特徴情報が示す複数の情報のうち当該AIS情報が示す複数の情報のいずれとも一致していない情報を特定する。送信データ生成部375は、ステップS200において、特定したこれらの情報と、対象船舶の船舶識別情報と、対象船舶の船舶位置情報と、送信画像と、対象船舶の船舶特徴情報と、AIS情報とを含む情報を送信データとして生成する。
【0071】
次に、送信データ生成部375は、ステップS200において生成した送信データを記憶部32に記憶させる(ステップS210)。
【0072】
このように、飛翔体2は、ステップS167~ステップS210の処理を繰り返し行うことにより、ステップS160において検出された1以上の船舶毎に送信データを生成し、生成した送信データを記憶部32に記憶させることができる。
【0073】
ステップS167~ステップS210の繰り返し処理が行われた後、通信制御部361は、ステップS210において記憶部32に記憶された送信データのそれぞれを通信アンテナ部22に出力し、送信データに応じた電波を通信アンテナ部22に受信装置4に向かって送信させ(ステップS220)、処理を終了する。これにより、飛翔体2は、例えば、受信装置4に送信するデータのデータ量を観測データのデータ量よりも小さくすることができ、検出対象の一例である船舶が検出されたことを示す情報をユーザーに提供する時間を短縮することができる。
【0074】
なお、ステップS220において、通信制御部361は、記憶部32に記憶された送信データの一部を通信アンテナ部22に出力し、送信データに応じた電波を通信アンテナ部22に受信装置4に向かって送信させる構成であってもよい。また、通信制御部361は、ステップS200において、送信データ生成部375により生成された送信データを通信アンテナ部22に出力し、送信データに応じた電波を通信アンテナ部22に受信装置4に向かって送信させる構成であってもよい。
【0075】
また、上記において説明した検出対象検出部369と位置算出部271と特徴抽出部373とのうちの一部又は全部は、一体の機能部として構成されてもよい。検出対象検出部369と位置算出部271とが一体の機能部であった場合、位置算出部271と一体に構成された検出対象検出部369は、ステップS160において1以上の船舶を検出するとともに、検出したそれぞれの船舶の位置を算出(検出)する。また、検出対象検出部369と特徴抽出部373とが一体の機能部であった場合、特徴抽出部373と一体に構成された検出対象検出部369は、ステップS160において1以上の船舶を検出するとともに、検出したそれぞれの船舶の特徴を抽出する。また、検出対象検出部369と位置算出部271と特徴抽出部373とが一体の機能部であった場合、位置算出部271及び特徴抽出部373と一体に構成された検出対象検出部369は、ステップS160において1以上の船舶を検出するとともに、検出したそれぞれの船舶の位置を算出(検出)し、更に、検出したそれぞれの船舶の特徴を抽出する。また、図4に示したフローチャートにおいて、ステップS175~ステップS190の処理は、互いに並列に行われてもよく、図4に示した順序と異なる順序で行われてもよい。
【0076】
なお、上記実施形態においては、船舶検出(S160)後に特徴抽出(S180)を行う検出処理を示しているが、上記態様に限定されず、例えば特徴抽出の一環として船舶検出(船舶検出と特徴検出とを同じタイミング)してもよい。つまり、図4における画像生成(S150)を行い、その後特徴(船舶であるか否か、長さ(船舶の全長)、進行方向(船舶の航行方向)、種類(船種)など)を抽出としてもよい。
【0077】
以上説明したように、本実施形態に係る飛翔体2は、レーダー(この一例において、合成開口レーダー部21)が受信した電波に基づいて観測データを生成し、生成した観測データに基づいて監視空間(この一例において、観測対象)を表す画像を生成し、生成した画像に基づいて検出対象(この一例において、船舶)を検出する。これにより、飛翔体2は、データを送信する対象(この一例において、受信装置4)に送信するデータのデータ量を観測データのデータ量よりも小さくすることができ、所望の検出対象が検出されたことを、より早くユーザーに通知することができる。
【0078】
また、飛翔体2は、予め記憶された複数のパラメーターに基づいて、監視空間における検出対象の候補の中から検出対象として尤もらしい候補を検出対象として検出する。これにより、飛翔体2は、予め記憶された複数のパラメーターに基づいて、所望の検出対象が検出されたことを、より早くユーザーに通知することができる。
【0079】
また、飛翔体2は、検出した検出対象の位置を算出し、算出した位置を示す位置情報を生成する。これにより、飛翔体2は、所望の検出対象が検出されたこととともに、検出対象の位置を、より速くユーザーに通知することができる。
【0080】
また、飛翔体2は、検出した検出対象の特徴を抽出する。これにより、飛翔体2は、所望の検出対象が検出されたこととともに検出対象の特徴を、より早くユーザーに通知することができる。
【0081】
<実施形態の変形例1>
以下、図6及び図7を参照し、実施形態の変形例1について説明する。なお、実施形態の変形例1では、実施形態と同様な構成部に対して同じ符号を付して説明を省略する。当該変形例1では、制御装置3は、領域Dを表す画像を生成することなく、観測データから1以上の船舶を検出する。具体的には、制御装置3は、図4に示したフローチャートの処理に代えて、図6に示したフローチャートの処理を実行する。また、当該変形例1では、実施形態と同様に、一例として、検出対象が船舶である場合を説明する。また、当該変形例1では、飛翔体2が、領域Dを観測する構成に代えて、領域D2を観測する場合について説明する。領域D2は、地球ETの地表に含まれる領域のうちの海域のみを含む(すなわち、前述の陸域を含まない)領域である。
【0082】
図6は、制御装置3が観測データに基づいて領域D2における船舶を検出する処理の流れの他の例を示すフローチャートである。なお、図6に示したステップS110~ステップS120の処理、ステップS165~ステップS167の処理、ステップS180~ステップS210の処理、ステップS220の処理のそれぞれは、図4に示したステップS110~ステップS120の処理、ステップS165~ステップS167の処理、ステップS180~ステップS210の処理、ステップS220の処理のそれぞれと同様の処理であるため、説明を省略する。
【0083】
図6に示したステップS120の処理が行われた後、検出対象検出部369は、当該ステップS120において生成された観測データに基づいて、領域D2における1以上の船舶を検出する(ステップS310)。ここで、ステップS310の処理について説明する。
【0084】
検出対象検出部369は、図6に示したステップS120において生成された観測データを送信チャープ信号に基づいてレンジ方向のパルス圧縮を行う。以下では、説明の便宜上、当該パルス圧縮(レンジ圧縮)が行われた観測データを圧縮データと称して説明する。
【0085】
ここで、領域D2にある1以上の船舶が含まれている場合、横軸をレンジセル数とし、縦軸をアジマスセル数としたグラフに、圧縮データに含まれる電波の強度をプロットした圧縮データ画像であって複数のセルによって構成される圧縮データ画像には、当該船舶に応じた領域であって図7に示したような円弧形状の領域である船舶領域が1以上現れる。
この円弧形状の領域は、圧縮データに含まれるレンジカーバチャーを表す領域である。ここで、レンジセル数(図7では、レンジセルと記載されている)は、圧縮データ画像の横軸におけるセルの数であり、レンジ距離に変換可能な数値である。また、アジマスセル数(図7では、アジマスセルと記載されている)は、圧縮データ画像の縦軸におけるセルの数であり、時刻に変換可能な数値である。図7は、領域D2に1艘の船舶が含まれている場合における圧縮データ画像の一例を示す図である。図7に示した画像P2は、圧縮データ画像の一例である。画像P2を構成する画素の輝度値は、当該強度を表している。当該輝度値は、当該強度が強いほど大きくなる。図7に示した領域F1は、当該1艘の船舶に応じた船舶領域の一例である。また、図7に示した例では、領域F1を構成している複数の画素の輝度値は、第2所定輝度値以上の輝度値である。船舶領域は、圧縮データ画像内において、縦軸とほぼ平行な部分領域を有する。図7に示した例では、当該部分領域は、領域F1の部分領域であって画像P2における領域W1によって示した部分領域である。
検出対象検出部369は、このような部分領域を圧縮データから検出することにより、船舶領域を検出することができる。
【0086】
具体的には、検出対象検出部369は、圧縮データに含まれる1以上のレンジカーバチャーのそれぞれを1つずつ選択する。検出対象検出部369は、選択したレンジカーバチャーを構成する各セルにおける電波の強度の合計である合計強度を算出する(例えば、当該強度を積分して当該合計値を算出する)。検出対象検出部369は、レンジカーバチャー毎に算出した合計強度のうち所定強度以上の合計強度に対応するレンジカーバチャーを特定する。検出対象検出部369は、特定した1つ以上のレンジカーバチャーのそれぞれを船舶として検出する。
【0087】
なお、領域D2に陸域が含まれている場合、検出対象検出部369は、圧縮データに対して陸域フィルターを適用する等の方法を用いることにより、ステップS310の処理を行うことができる。また、検出対象検出部369は、機械学習のアルゴリズムを用いて、圧縮データから船舶領域を検出する構成であってもよい。この場合、検出対象検出部369には、船舶が含まれている複数の圧縮データと当該圧縮データのそれぞれにおける船舶領域の位置及び形状等とを対応付けた情報と、船舶が含まれていない複数の圧縮データと当該圧縮データのそれぞれにおいて船舶が含まれていないことを示す情報とが複数のパラメーターとして予め記憶(学習)されている。そして、検出対象検出部369は、予め記憶された複数のパラメーターに基づいて、ステップS310において生成した圧縮データに含まれる船舶領域の候補の中から船舶領域として尤もらしい候補を船舶領域として検出する。ここで、当該アルゴリズムは、既知の如何なるアルゴリズム(深層学習を含む)であってもよく、これから開発されるアルゴリズムであってもよい。このため、当該機械学習のアルゴリズムについて、これ以上の詳細な説明を省略する。
【0088】
図6に示したステップS167において対象船舶が選択された後、位置算出部271は、対象船舶の位置を算出する(ステップS320)。具体的には、位置算出部271は、ステップS310において対象船舶として特定したレンジカーバチャーを構成するセルのうち、レンジ距離が最も小さなセルを特定する。位置算出部271は、特定したセルに対応付けられた電波の強度のうち所定閾値以上の強度に対応付けられた1以上のセルを特定する。そして、位置算出部271は、特定した1以上のセルのうち受信時刻が最も古いセルと、受信時刻が最も新しいセルとの中点となるセルに対応する緯度及び経度を対象船舶の位置として算出する。この際、位置算出部271は、各時刻における飛翔体2の位置を示す飛翔体位置情報と、各時刻における飛翔体2の姿勢を示す飛翔体姿勢情報とのそれぞれを取得し、取得した飛翔体位置情報及び飛翔体姿勢情報に基づいて、当該セルに対応する緯度及び経度を対象船舶の位置として算出する。なお、位置算出部271は、機械学習のアルゴリズムを用いて、圧縮データから対象船舶の位置を特定する構成であってもよい。この場合、位置算出部271には、船舶が含まれている複数の圧縮データと当該圧縮データのそれぞれにおける船舶の位置及び形状等とを対応付けた情報と、船舶が含まれていない複数の圧縮データと当該圧縮データのそれぞれにおいて船舶が含まれていないことを示す情報とが複数のパラメーターとして予め記憶(学習)されている。そして、位置算出部271は、予め記憶された複数のパラメーターに基づいて、ステップS310において生成した圧縮データに含まれる船舶の位置の候補の中から船舶の位置として尤もらしい候補を船舶の位置として特定する。ここで、当該アルゴリズムは、既知の如何なるアルゴリズム(深層学習を含む)であってもよく、これから開発されるアルゴリズムであってもよい。このため、当該機械学習のアルゴリズムについて、これ以上の詳細な説明を省略する。
【0089】
次に、画像生成部367は、ステップS120において生成された観測データと、ステップS320において算出された対象船舶の位置とに基づいて、当該位置を中心とした所定形状の領域を表す画像を送信画像として生成する(ステップS330)。なお、画像生成部367は、ステップS330において、当該観測データに代えて、ステップS310において生成した圧縮データに基づいて当該送信画像を生成する構成であってもよい。ステップS330において当該観測データ又は当該圧縮データに基づいて当該送信画像を生成する処理方法は、既知の方法であってもよく、これから開発される方法であってもよい。このため、以下では、当該処理方法について、これ以上の詳細な説明を省略する。
【0090】
以上のように、実施形態の変形例1に係る飛翔体2は、レーダー(この一例において、合成開口レーダー部21)が受信した電波に基づいて観測データを生成し、生成した観測データをレンジ圧縮し、レンジ圧縮した信号に基づいて検出対象(この一例において、船舶)を検出する。これにより、飛翔体2は、領域D2を表す画像を生成するために要する時間を短縮することができ、検出対象が検出されたことを、より早くユーザーに通知することができる。
【0091】
<実施形態の変形例2>
以下、図8を参照し、実施形態の変形例2について説明する。なお、実施形態の変形例2では、実施形態と同様な構成部に対して同じ符号を付して説明を省略する。当該変形例2では、実施形態と同様に、一例として、検出対象が船舶である場合を説明する。また、当該変形例2では、実施形態の変形例1と同様に、飛翔体2が、領域D2を観測する場合について説明する。また、当該変形例2では、制御装置3は、領域D2を表す画像を生成することなく、観測データから領域D2における1以上の船舶それぞれの特徴を検出する。具体的には、制御装置3は、図4に示したフローチャートの処理に代えて、図8に示したフローチャートの処理を実行する。
【0092】
図8は、制御装置3が観測データに基づいて領域D2における検出対象を検出する処理の流れの更に他の例を示すフローチャートである。なお、図8に示したステップS110~ステップS320の処理、ステップS330~ステップS210の処理、ステップS220のそれぞれは、図6に示したステップS110~ステップS320の処理、ステップS330~ステップS210の処理、ステップS220の処理のそれぞれと同様の処理であるため、説明を省略する。
【0093】
図8に示したステップS320の処理が行われた後、特徴抽出部373は、当該ステップS310において生成された圧縮データに基づいて、対象船舶の特徴を抽出する(ステップS410)。具体的には、特徴抽出部373は、機械学習のアルゴリズムを用いて、当該圧縮データから対象船舶の特徴を抽出する。この場合、特徴抽出部373には、対象船舶を表す船舶領域の特徴と、対象船舶の特徴のそれぞれとが対応付けられた情報が複数のパラメーターとして予め記憶(学習)されている。当該船舶領域の特徴には、例えば、圧縮データに含まれる船舶領域の経度方向における幅、船舶領域の形状、船舶領域の面積が含まれる。なお、当該特徴には、これらの一部又は全部に代えて、当該船舶領域を表す他の情報が含まれる構成であってもよく、当該一部又は全部に加えて、当該船舶領域を表す他の情報が含まれる構成であってもよい。
【0094】
すなわち、特徴抽出部373には、圧縮データに含まれる船舶領域の経度方向における幅、船舶領域の形状、船舶領域の面積の組み合わせと、船舶の全長とが対応付けられた情報が複数のパラメーターとして予め記憶されている。そして、特徴抽出部373は、予め記憶された当該パラメーターと、ステップS310において生成された圧縮データに含まれる対象船舶を表す船舶領域とに基づいて、対象船舶の全長の候補の中から当該全長としてとして尤もらしい候補を当該全長として抽出する。
【0095】
また、特徴抽出部373には、圧縮データに含まれる船舶領域の経度方向における幅、船舶領域の形状、船舶領域の面積の組み合わせと、船舶の種類とが対応付けられた情報が複数のパラメーターとして予め記憶されている。そして、特徴抽出部373は、予め記憶された当該パラメーターと、ステップS310において生成された圧縮データに含まれる対象船舶を表す船舶領域とに基づいて、対象船舶の種類の候補の中から当該種類としてとして尤もらしい候補を当該種類として抽出する。
【0096】
また、特徴抽出部373には、圧縮データに含まれる船舶領域の経度方向における幅、船舶領域の形状、船舶領域の面積の組み合わせと、船舶の針路とが対応付けられた情報が複数のパラメーターとして予め記憶されている。そして、特徴抽出部373は、予め記憶された当該パラメーターと、ステップS310において生成された圧縮データに含まれる対象船舶を表す船舶領域とに基づいて、対象船舶の針路の候補の中から当該針路としてとして尤もらしい候補を当該針路として抽出する。
【0097】
また、特徴抽出部373には、圧縮データに含まれる船舶領域の経度方向における幅、船舶領域の形状、船舶領域の面積の組み合わせと、船舶の速力とが対応付けられた情報が複数のパラメーターとして予め記憶されている。そして、特徴抽出部373は、予め記憶された当該パラメーターと、ステップS310において生成された圧縮データに含まれる対象船舶を表す船舶領域とに基づいて、対象船舶の速力の候補の中から当該速力としてとして尤もらしい候補を当該速力として抽出する。
【0098】
また、特徴抽出部373には、圧縮データに含まれる船舶領域の経度方向における幅、船舶領域の形状、船舶領域の面積の組み合わせと、船舶の航行状態とが対応付けられた情報が複数のパラメーターとして予め記憶されている。そして、特徴抽出部373は、予め記憶された当該パラメーターと、ステップS310において生成された圧縮データに含まれる対象船舶を表す船舶領域とに基づいて、対象船舶の航行状態の候補の中から当該航行状態としてとして尤もらしい候補を当該航行状態として抽出する。
【0099】
ここで、特徴抽出部373がステップS410において用いる機械学習のアルゴリズムは、既知の如何なるアルゴリズム(深層学習を含む)であってもよく、これから開発されるアルゴリズムであってもよい。このため、当該機械学習のアルゴリズムについて、これ以上の詳細な説明を省略する。
【0100】
以上のように、実施形態の変形例2に係る飛翔体2は、領域D2を表す画像を生成することなく、観測データから1以上の船舶それぞれの特徴を抽出する。その結果、飛翔体2は、当該画像を生成するために要する時間を短縮することができ、検出された船舶の特徴を示す船舶特徴情報を、より早くユーザーに通知することができる。
【0101】
<実施形態の変形例3>
以下、図9を参照し、実施形態の変形例3について説明する。なお、実施形態の変形例3では、実施形態と同様な構成部に対して同じ符号を付して説明を省略する。当該変形例3では、実施形態の変形例1と同様に、飛翔体2が領域Dを観測する場合について説明する。また、当該変形例3では、検出対象が地殻変動である場合について説明する。具体的には、制御装置3は、領域Dに含まれる陸域の少なくとも一部において生じる隆起又は沈降を地殻変動として検出する。当該地殻変動を検出するため、制御装置3は、図4に示したフローチャートの処理に代えて、図9に示したフローチャートの処理を実行する。なお、検出対象には、地殻変動に加えて、他の物体や現象が含まれる構成であってもよい。
【0102】
図9は、制御装置3が観測データに基づいて領域Dに含まれる陸域の少なくとも一部において生じる地殻変動を検出する処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、図9に示したステップS110~ステップS150の処理のそれぞれは、図4に示したステップS110~ステップS150の処理のそれぞれと同様の処理であるため、説明を省略する。
【0103】
図9に示したステップS150の処理が行われた後、検出対象検出部369は、記憶部32に予め記憶されたベースマップを記憶部32から読み出す(ステップS520)。ベースマップは、この一例において、制御装置3によって過去に実行されたステップS150において生成された領域Dを表す画像である。
【0104】
次に、検出対象検出部369は、図9に示したステップS150において生成された領域Dを表す画像と、ステップS520において読み出されたベースマップとに基づいて、領域Dに含まれる陸域の少なくとも一部において生じる地殻変動を検出する(ステップS530)。ここで、ステップS530の処理について説明する。以下では、説明の便宜上、当該画像を構成する複数の画素のそれぞれを第1画素と称し、ベースマップを構成する複数の画素のそれぞれを第2画素と称して説明する。
【0105】
検出対象検出部369は、図9に示したステップS150において生成された領域Dを表す画像を構成する複数の第1画素毎に、第1画素に対応する第2画素を選択する。当該第2画素は、当該第1画素が表す後方散乱体の位置と同じ後方散乱体を表す画素であってベースマップを構成する画素のことである。検出対象検出部369は、ある第1画素に対応付けられた位相と、当該第2画素に対応付けられた位相との差分を算出する。算出された差分から不要な位相成分を除去したものを地殻変動による位相成分として抽出する。検出対象検出部369は、抽出された位相成分が所定値以上である場合、当該第1画素を第3画素として特定する。一方、検出対象検出部369は、算出した差分が所定値未満である場合、当該第1画素を第4画素として特定する。なお、検出対象検出部369は、当該場合、特に何もしない構成であってもよい。検出対象検出部369は、第2画素の選択から第3画素又は第4画素の特定までの処理を、すべての第1画素のそれぞれについて繰り返し行う。
【0106】
そして、検出対象検出部369は、特定された1以上の第3画素のうち互いに隣り合う第3画素同士を1つのまとまりとして特定する。検出対象検出部369は、特定した1以上のまとまりから、まとまりを構成する第3画素の数が所定数未満のまとまりをノイズとして除外する。検出対象検出部369は、除外されずに残った1以上のまとまりのそれぞれを地殻変動として検出する。
【0107】
ステップS530の処理が行われた後、検出対象検出部369は、ステップS530において地殻変動が検出されたか否かを判定する(ステップS535)。ステップS530において地殻変動が検出されていないと検出対象検出部369が判定した場合(ステップS535-NO)、制御部36は、処理を終了する。一方、ステップS530において地殻変動が検出されたと検出対象検出部369が判定した場合(ステップS535-YES)、位置算出部271、画像生成部367、送信データ生成部375、通信制御部361のそれぞれは、ステップS530において検出された1以上の地殻変動毎に、ステップS540~ステップS560の処理を繰り返し行う(ステップS357)。以下では、説明の便宜上、ステップS530において選択された地殻変動を対象地殻変動と称して説明する。
【0108】
ステップS530において対象地殻変動が選択された後、位置算出部271は、対象地殻変動の位置を算出する(ステップS540)。具体的には、位置算出部271は、ステップS530において地殻変動として検出された第3画素のまとまりの所定位置を対象地殻変動の位置として算出する。当該所定位置は、例えば、当該まとまりにより構成される領域の図心(又は重心)の位置である。なお、当該所定位置は、当該領域の図心の位置に代えて、当該領域に基づく他の位置であってもよい。
【0109】
次に、画像生成部367は、ステップS540において算出された対象地殻変動の位置に基づいて、ステップS150において生成された画像をトリミングする(ステップS545)。具体的には、画像生成部367は、領域Dに含まれる領域のうちステップS540において算出された対象地殻変動の位置を中心とした所定形状の領域を表す部分画像を当該画像からトリミングする(切り抜く)。当該所定形状は、例えば、所定距離四方の矩形である。また、当該所定形状は、当該画像における緯度方向に平行な辺と、経度方向と平行な辺とを有する矩形の領域である。当該所定距離は、例えば、500メートルである。なお、当該所定距離は、500メートルよりも短い距離であってもよく、500メートルよりも長い距離であってもよい。また、当該所定形状は、矩形に代えて、円形、楕円形等の他の形状であってもよい。画像生成部367は、トリミングした当該部分画像を送信画像として生成する。
【0110】
次に、送信データ生成部375は、送信データを生成する(ステップS550)。具体的には、送信データ生成部375は、地殻変動識別情報と、地殻変動位置情報と、送信画像とを含む情報を送信データとして生成する。当該地殻変動識別情報は、対象地殻変動を識別する情報である。なお、地殻変動識別情報は、ステップS530において検出された1以上の地殻変動のそれぞれを識別可能であれば如何なる情報であってもよい。当該地殻変動位置情報は、対象地殻変動の位置であってステップS540において算出された位置を示す情報である。当該送信画像は、ステップS545において生成された送信画像である。
【0111】
次に、送信データ生成部375は、ステップS550において生成した送信データを記憶部32に記憶させる(ステップS560)。
【0112】
このように、飛翔体2は、ステップS357~ステップS560の処理を繰り返し行うことにより、ステップS530において検出された1以上の地殻変動毎に送信データを生成し、生成した送信データを記憶部32に記憶させることができる。
【0113】
ステップS357~ステップS560の繰り返し処理が行われた後、通信制御部361は、ステップS550において記憶部32に記憶された送信データのそれぞれを通信アンテナ部22に出力し、送信データに応じた電波を通信アンテナ部22に受信装置4に向かって送信させ(ステップS570)、処理を終了する。これにより、飛翔体2は、例えば、データを送信する対象(この一例において、受信装置4)に送信するデータのデータ量を観測データのデータ量よりも小さくすることができ、検出対象の一例である地殻変動が検出されたことを示す情報をユーザーに提供する時間を短縮することができる。
【0114】
なお、ステップS570において、通信制御部361は、記憶部32に記憶された送信データの一部を通信アンテナ部22に出力し、送信データに応じた電波を通信アンテナ部22に受信装置4に向かって送信させる構成であってもよい。また、通信制御部361は、ステップS550において、送信データ生成部375により生成された送信データを通信アンテナ部22に出力し、送信データに応じた電波を通信アンテナ部22に受信装置4に向かって送信させる構成であってもよい。
【0115】
また、飛翔体2は、このような地殻変動の検出に適用される構成に代えて、局所災害検出、火山活動のモニター、インフラモニター等に適用されてもよい。また、飛翔体2は、図9に示したステップS357~ステップS545の処理が行われる期間に含まれる任意のタイミングにおいて、対象地殻変動の特徴を検出する構成であってもよい。この場合、飛翔体2は、機械学習のアルゴリズムを用いて当該特徴を検出する。そして、飛翔体2は、ステップS550において、当該特徴を示す情報を含む送信データを生成する。
【0116】
以上のように、実施形態の変形例3に係る飛翔体2は、ベースマップと、生成した領域Dを表す画像とを比較することにより地殻変動を検出する。これにより、飛翔体2は、ベースマップと、生成した領域Dを表す画像とに基づいて、地殻変動が検出されたことを、より早くユーザーに通知することができる。
【0117】
なお、上記において説明した制御装置3は、飛翔体2に代えて、飛行機等の他の飛翔体に搭載される構成であってもよい。この場合、当該飛翔体には、合成開口レーダー部21と、通信アンテナ部22とのそれぞれに対応する機能部が搭載される。また、検出対象検出部369は、ベースマップと、生成した領域Dを表す画像との位相差を算出する構成に代えて、コヒーレンス解析により画像類似度、コヒーレンス低下等を求め、領域Dにおける地表面の局所的な変化を検出する構成であってもよい。
【0118】
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない限り、変更、置換、削除等されてもよい。
【0119】
また、以上に説明した装置(例えば、飛翔体2)における任意の構成部の機能を実現するためのプログラムを、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録し、そのプログラムをコンピューターシステムに読み込ませて実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピューターシステム」とは、OS(Operating System)や周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD(Compact Disk)-ROM等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
さらに「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバーやクライアントとなるコンピューターシステム内部の揮発性メモリー(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0120】
また、上記のプログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピューターシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピューターシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記のプログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上記のプログラムは、前述した機能をコンピューターシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0121】
上記した飛翔体、及びプログラムによれば、地上局側へデータを送信する際に、送信するデータのデータ量を観測データのデータ量よりも小さくすることができる。これにより、所望の検出対象が検出されたことを、より早くユーザーに通知することができる。
【符号の説明】
【0122】
1 衛星観測システム
2 飛翔体
3 制御装置
4 受信装置
21 合成開口レーダー部
22 通信アンテナ部
31 FPGA
32 記憶部
34 通信部
36 制御部
361 通信制御部
363 レーダー制御部
364 観測データ生成部
365 処理部
367 画像生成部
369 検出対象検出部
371 位置算出部
373 特徴抽出部
375 送信データ生成部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9