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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】医療部材及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/00 20060101AFI20240717BHJP
   A61M 25/06 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
A61M25/00 502
A61M25/06 502
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020048571
(22)【出願日】2020-03-19
(65)【公開番号】P2021145885
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-03-20
(73)【特許権者】
【識別番号】595054361
【氏名又は名称】株式会社共進
(74)【代理人】
【識別番号】100100055
【弁理士】
【氏名又は名称】三枝 弘明
(72)【発明者】
【氏名】中島 茂元
(72)【発明者】
【氏名】林 弘
(72)【発明者】
【氏名】依田 結香
【審査官】星名 真幸
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05092848(US,A)
【文献】特開昭62-281962(JP,A)
【文献】特開平07-000524(JP,A)
【文献】実開昭49-014991(JP,U)
【文献】特開昭63-168234(JP,A)
【文献】特開平07-035271(JP,A)
【文献】特開平03-186684(JP,A)
【文献】特開平11-311384(JP,A)
【文献】特開2009-153714(JP,A)
【文献】特開2010-286795(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/00
A61M 25/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状材と、前記管状材の軸線方向の一方側の開口端部に接続される接続体とが接合された構造を備える医療部材であって、
前記接続体は、前記管状材の内部に収容配置され、前記管状材の内周面に対面する位置に環状溝を備える管内配置部と、前記管内配置部に対して直接若しくは間接的に一体に構成されること、又は、前記管内配置部に対して直接若しくは間接的に固定されること、或いは、前記管内配置部に対して一体に構成された部分若しくは前記管内配置部に対して固定された部分に対して少なくとも軸線方向の前記一方側に向けて当接することのいずれかであるとともに、前記管状材の外周上に装着された筒状の管外被覆部と、を有し、
外周側へ突出する環状の突起が設けられた、前記管外被覆部の前記一方側とは反対の他方側の端縁が、前記突起の外周側への突出量が低減する態様で、前記一方側へ斜め内側に全周にわたり塑性変形されることにより、前記他方側の端縁が前記管状材の外周面に対して環状にくい込むとともに、前記管状材の内周面の一部が前記環状溝の内部に入り込んでいることを特徴とする医療部材。
【請求項2】
前記管状材は、前記管外被覆部の内周側に配置される軸線方向の領域の外形寸法が、当該軸線方向の領域よりもさらに前記他方側に配置される領域よりも小さく構成される、
請求項1に記載の医療部材。
【請求項3】
前記管外被覆部の前記他方側の端縁以外の部分の外形寸法は、前記管状材における前記管外被覆部の内周側に配置される軸線方向の領域よりもさらに前記他方側に配置される領域の外形寸法と同じか、或いは、それよりも小さい、
請求項2に記載の医療部材。
【請求項4】
前記管外被覆部の外周面は、前記他方側の端縁を含めて平坦に構成される、
請求項1~3のいずれか一項に記載の医療部材。
【請求項5】
前記管外被覆部は、前記管内配置部に対して前記管状材の前記一方側の開口端部よりもさらに前記一方側に配置された管端接続部を介して一体に構成され、又は、前記管内配置部に対して前記管端接続部を介して固定され、或いは、前記管内配置部に対して一体に構成された前記管端接続部若しくは前記管内配置部に対して固定された前記管端接続部に対して少なくとも軸線方向の前記一方側に向けて当接している、
請求項1~4の何れか一項に記載の医療部材。
【請求項6】
前記管状材の前記一方側の開口端部は、前記管端接続部に対して前記軸線方向の前記一方側に向けて当接する、
請求項5に記載の医療部材。
【請求項7】
前記管端接続部と前記管外被覆部は別体として構成され、前記管端接続部の外周部分には前記他方側に向けて開いた段差構造が設けられ、前記管外被覆部の前記一方側の端部が前記段差構造の段差下の支持面上に配置された状態で係合し、前記一方側の端部が前記段差構造の段差に当接する、
請求項5又は6に記載の医療部材。
【請求項8】
前記管状材の外周面に対する前記管外被覆部の前記他方側の端縁がくい込む前記軸線方向の位置は、前記管内配置部に設けられた前記環状溝の前記軸線方向の形成領域内に包含されるとともに、前記環状溝の前記軸線方向の両側縁の位置のいずれからも離間している、
請求項1~7のいずれか一項に記載の医療部材。
【請求項9】
管状材と、前記管状材の軸線方向の一方側の開口端部に接続される接続体とが接合された構造を備える医療部材の製造方法であって、
前記接続体を、前記管状材の内部に収容配置され、前記管状材の内周面に対面する位置に環状溝を備える管内配置部と、前記管内配置部に対して直接若しくは間接的に一体に構成されること、又は、前記管内配置部に対して直接若しくは間接的に定されること、或いは、前記管内配置部に対して一体に構成された部分若しくは前記管内配置部に対して固定された部分に対して少なくとも軸線方向の前記一方側に向けて当接することのいずれかであるとともに、前記管状材の外周上に装着された筒状の管外被覆部と、を有するともに、前記管外被覆部の前記一方側とは反対の他方側の端縁に外周側へ突出する環状の突起を備えるように構成し、
前記突起の外周側への突出量が低減する態様で、前記突起を前記軸線方向に対して傾斜する円錐状面により加圧して、前記管外被覆部の前記他方側の端縁を前記一方側へ斜め内側に全周にわたり塑性変形させることにより、前記他方側の端縁が前記管状材の外周面に対して環状にくい込むとともに、前記管状材の内周面の一部が前記環状溝の内部に入り込むように構成することを特徴とする医療部材の製造方法。
【請求項10】
前記管状材は、前記管外被覆部の内周側に配置される軸線方向の領域の外形寸法が、当該軸線方向の領域よりもさらに前記他方側に配置される領域よりも小さく構成される、
請求項9に記載の医療部材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医療部材及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、体腔または膀胱・尿道・気管・食道・胃・大腸などに挿入して体液等の液体や内容の排出ないし薬液や造影剤等の注入をはかるための管状の医療部材である医療用カテーテルや穿刺針のように、少なくとも一部に管状構造を備える医療部材が広く用いられている。この種の医療部材には、治療系の医療機器(例えば手術用カテーテルなど)に用いられるものと、診断系の医療機器(例えば内視鏡など)に用いられるものとが含まれる。また、医療部材としては、医療機器に組み込まれるものだけではなく、単独で使用されるものもある。
【0003】
上記の医療部材では、樹脂チューブに他の部材を接続する接合部構造を備える場合があるが、少なくとも一部を患者の体内に導入することから、接合部構造を含めた全体の安定性や接合部構造の接合強度の確保が必要であり、しかも、外形寸法を極力コンパクトに構成する必要もある。このような接合部構造を備える医療部材(医療用カテーテルや内視鏡に用いられる穿刺針など)としては、以下の特許文献1に記載されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-188304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1に記載された医療用カテーテルでは、先端側チューブ30Aと手元側チューブ30Bとを接合部31で接合しているが、その接合方法としては、加熱融着方法や、各種接着剤を用いた接着方法が採用されている(段落0153~0157参照)。しかし、加熱融着方法を採用した場合には、加熱により素材が変質したり、これにより接合強度の耐久性が低下して、使用中に分離してしまったりする虞がある。また、接着方法を採用した場合にも、樹脂材料の組み合わせによっては十分な接着強度が確保できない場合が多く、樹脂と金属の接着では接着強度がさらに低下することがある。
【0006】
一方、医療部材においては、患者の体内に挿入するなどの観点から、各種の管状材の外形寸法に制約が課せられる場合が多く、この管状材に他の部材を接続する接合部構造についても、管状材と同様に外形寸法の低減が要求される。
【0007】
本発明は上記問題を解決するものであり、その課題は、各種の管状材に他の部材を接続する接合部構造を備える医療部材において、外形寸法を抑制しつつ、医療部材に課せられる様々な要求を満たすことのできる接合部構造を備えた医療部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る医療部材は、管状材と、前記管状材の軸線方向の一方側の開口端部に接続される接続体とが接合された構造を備える医療部材であって、前記接続体は、前記管状材の内部に収容配置され、前記管状材の内周面に対面する位置に環状溝を備える管内配置部と、前記管内配置部に対して直接若しくは間接的に一体に構成されること、又は、前記管内配置部に対して直接若しくは間接的に固定されること、或いは、前記管内配置部に対して一体に構成された部分若しくは前記管内配置部に対して固定された部分に対して少なくとも軸線方向の前記一方側に向けて当接することのいずれかであるとともに、前記管状材の外周上に装着された筒状の管外被覆部と、を有し、外周側へ突出する環状の突起が設けられた、前記管外被覆部の前記一方側とは反対の他方側の端縁が、前記突起の外周側への突出量が低減する態様で、前記一方側へ斜め内側に全周にわたり塑性変形されることにより、前記他方側の端縁が前記管状材の外周面に対して環状にくい込むとともに、前記管状材の内周面の一部が前記環状溝の内部に入り込んでいることを特徴とする。ここで、上記管状材は、樹脂材料を含む可撓性素材で構成されることが好ましい。
【0009】
次に、本発明に係る医療部材の製造方法では、管状材と、前記管状材の軸線方向の一方側の開口端部に接続される接続体とが接合された構造を備える医療部材の製造方法であって、前記接続体を、前記管状材の内部に収容配置され、前記管状材の内周面に対面する位置に環状溝を備える管内配置部と、前記管内配置部に対して直接若しくは間接的に一体に構成されること、又は、前記管内配置部に対して直接若しくは間接的に固定されること、或いは、前記管内配置部に対して一体に構成された部分若しくは前記管内配置部に対して固定された部分に対して少なくとも軸線方向の前記一方側に向けて当接することのいずれかであるとともに、前記管状材の外周上に装着された筒状の管外被覆部と、を有するともに、前記管外被覆部の前記一方側とは反対の他方側の端縁に外周側へ突出する環状の突起を備えるように構成し、前記突起の外周側への突出量が低減する態様で、前記突起を前記軸線方向に対して傾斜する円錐状面により加圧して、前記管外被覆部の前記他方側の端縁を前記一方側へ斜め内側に全周にわたり塑性変形させることにより、前記他方側の端縁が前記管状材の外周面に対して環状にくい込むとともに、前記管状材の内周面の一部が前記環状溝の内部に入り込むように構成することを特徴とする。ここで、上記管状材は、樹脂材料を含む可撓性素材で構成されることが好ましい。
【0010】
上記各発明によれば、管状材の一方側の端部を管内配置部と管外被覆部の間に配置した状態で、管外被覆部の他方側の端縁が全周にわたり斜め内側に環状に塑性変形し、管状材の外周面に対して環状にくい込むとともに、管状材の内周面の一部が環状溝の内部に入り込むようにしたので、加熱や接着を用いることなしに、高い密閉性、高い接合強度、高い安定性を備えた接合部構造を構成することができる。したがって、加熱や接着による不具合を回避できるとともに、従来の接合部構造に比べて安定性、安全性の高い医療部材を製造することができる。このとき、管外被覆部の他方側の端縁に外周側へ突出する環状の突起を設けることにより、製造時において他方側の端縁を環状に塑性変形させやすくなるとともに、その管状材の外周面に対するくい込み量の増大又はくい込み態様の向上が生じ、その結果として、管状材の内周面の一部の環状溝への入り込み量の増大又は入り込み態様の向上が生ずることにより、接合部構造における密閉性、接合強度、安定性をさらに向上させることができる。また、このとき、上記環状の突起を加圧することによって管外被覆部の他方側の端縁を塑性変形させることにより、突起自体の外周側への突出量も低減されるので、突起を設けたことによる接合部構造の外形寸法の増大は抑制されるか、或いは、生じない。
【0011】
本発明において、前記管状材は、前記管外被覆部の内周側に配置される軸線方向の領域の外形寸法が、当該軸線方向の領域よりもさらに前記他方側に配置される領域よりも小さく構成されることが好ましい。これにより、接続部構造の外形寸法を低減できるので、医療部材の全体にわたる細径化を図ることが容易になる。このとき、上記塑性変形前の前記突起の外形寸法を前記他方側に配置される領域の外形寸法より大きく構成することにより、他方側から前記突起に対して上記塑性変形を生じさせるための加圧力を与えることも容易になる。また、接合部構造の外形寸法の増大を抑制するためには、管外被覆部の上記他方側の端縁以外の部分の外形寸法(外径)は、管状材の上記管外被覆部の内周側に配置される軸線方向の領域よりもさらに他方側に配置される領域の外形寸法(外径)と同じか、或いは、それよりも小さいことがさらに望ましい。さらに、管外被覆部の外周面は、前記他方側の端縁を含めて平坦に構成されることが望ましい。このことは、塑性変形前に外周側へ突出していた上記突起の突出量が塑性変形により実質的になくなっていることを意味する。この場合でも、塑性変形後の上記他方側の端縁の内周角部が管状材の外周面にくい込んでいるため、当該他方側の端縁には塑性変形前の突起に対応する肉厚部分が実質的に残存していることとなる。
【0012】
本発明において、前記管外被覆部は、前記管内配置部に対して前記管状材の前記一方側の開口端部よりもさらに前記一方側に配置された管端接続部を介して一体に構成され、又は、前記管内配置部に対して前記管端接続部を介して固定され、或いは、前記管内配置部に対して一体に構成された管端接続部若しくは前記管内配置部に対して固定された前記管端接続部に対して少なくとも軸線方向の前記一方側に向けて当接することが好ましい。このとき、前記管状材の前記一方側の開口端部は、前記管端接続部に対して前記軸線方向の前記一方側に向けて当接することが望ましい。これにより、接合部構造内における各構成要素間の軸線方向のずれを抑制できるので、接合強度のさらなる向上を図ることができる。
【0013】
上記各発明において、前記塑性変形前の前記突起は、前記軸線方向の前記他方側において、前記他方側に向けて斜め外側へ傾斜するように構成された環状の他方側傾斜面領域と、前記軸線方向の前記一方側において、前記一方側に向けて斜め外側へ傾斜するように構成された環状の一方側傾斜面領域と、前記他方側傾斜面領域と前記一方側傾斜面領域の間においていずれに対しても隣接して形成され、前記他方側傾斜面領域と前記一方側傾斜面領域のいずれよりも前記軸線方向に対する傾斜角が小さく構成された環状の中央面領域と、を有することが好ましい。低傾斜の中央面領域の軸線方向両側に他方側傾斜面領域と一方側傾斜面領域を設けることにより、一方側と他方側のいずれかの軸線方向から加圧することにより、管外被覆部の他方側の端部を塑性変形させた場合において、安定した塑性変形の態様を実現できるとともに、塑性変形後における管外被覆部の他方側の端縁近傍の外周面を平坦化しやすくなるので、接合部構造の外形の平坦化や外形寸法の低減を容易に実現できる。
【0014】
本発明において、前記管状材の内部に配置された前記他方側の基端部が前記管内配置部に相当し、前記管状材の前記一方側の開口端部の内部から導出されて前記一方側へ延在する針管を具備することが好ましい。このとき、前記針管の外周面には前記管端接続部の内周面に対面する位置に嵌合溝が形成され、前記管端接続部の前記一方側の端面に凹部が形成される塑性変形により、前記管端接続部の内周面の一部が前記嵌合溝の内部に入り込んでいることが好ましい。これによれば、管端接続部と管内配置部とが別体であっても、加熱や接着を用いずに両者を固定できるため、接合部構造の接合強度を確保できるとともに、医療部材としての特性にも影響を与え難いという利点がある。
【0015】
本発明において、前記管端接続部と前記管内配置部は、前記管状材の前記一方側の開口端部に装着されて開口を閉鎖する一体の閉鎖部材で構成されることが好ましい。このとき、前記管端接続部と前記管外被覆部とが別体であることが望ましい。
【0016】
本発明において、前記管端接続部と前記管外被覆部は、一体に構成される場合がある。また、前記管端接続部と前記管外被覆部は、別体として構成されてもよい。前記管端接続部と前記管外被覆部が別体に構成される場合において、前記管端接続部の外周部分には前記他方側に向けて開いた段差構造が設けられ、前記管外被覆部の前記一方側の端部が前記段差構造の段差下の支持面上に配置された状態で係合し、当該一方側の端部が前記段差構造の段差に当接することが望ましい。これによれば、管外被覆部の一方側の端部が管端接続部の上記段差構造の段差下の支持面上に配置された状態で、当該一方側の端部が当該段差構造の段差に当接することにより、管端接続部と管外被覆部とを別体にしても両者の係合状態を安定化させることができるので、管状材と接続体の接合工程を容易に実施できるとともに、確実な接合部構造を形成し易くなる。
【0017】
本発明において、前記円錐状面の前記軸線方向に対する傾斜角は、3~30度の範囲内であることが好ましい。特に、上記傾斜角は、5~15度の範囲内であることが望ましい。上記傾斜角を45度よりも小さくすることにより、加圧部材による加圧方向が半径方向よりも軸線方向に近い角度で上記他方側の端縁を塑性変形させることができるため、管外被覆部に対して過剰な軸線方向の圧縮作用を与えずに、上記他方側の端縁を内周側の管状材に向けて変形させることができるので、管状材と接続体の間の軸線方向の引張り強度を高めることができる。また、上記傾斜角に対応して、前記円錐状面による加圧を受ける前記突起の他方側傾斜面領域若しくは一方側傾斜面領域の前記軸線方向に対する傾斜角φa,φbは、15~45度の範囲内であることが好ましく、特に、20~40度の範囲内であることが望ましい。また、前記円錐状面による加圧を受ける側とは反対側の一方側傾斜面領域若しくは他方側傾斜面領域の前記軸線方向に対する傾斜角φb,φaは、5~15度の範囲内であることが望ましい。
【0018】
本発明において、前記管状材の外周面に対する前記管外被覆部の前記他方側の端縁がくい込む前記軸線方向の位置は、前記管内配置部に設けられた前記環状溝の前記軸線方向の形成領域内に包含されるとともに、前記環状溝の前記軸線方向の両側縁の位置のいずれからも離間していることが好ましい。このようにすると、前記管外被覆部の前記他方側の端縁が斜め内周側に塑性変形されたときに、前記管状材の内周面の一部が前記環状溝の内部に入り込み易くなる。また、環状溝の軸線方向両側のいずれの側縁に対しても離間した位置にある上記他方側の端縁の軸線方向の位置において、上記管状材の内周面の一部の環状溝に対する入り込み量が最大になるため、管状材の内周面と環状溝との係合が好適化され、特に、接合部構造における軸線方向の引張り強度が向上する。
【0019】
本発明において、前記環状溝の前記軸線方向両側の側縁形状に関し、前記一方側の側縁の前記軸線方向に対する傾斜(角度)は相対的に小さく、前記他方側の側縁の前記軸線方向に対する傾斜(角度)は相対的に大きいことが好ましい。特に、前記一方側の側縁の傾斜は水平に近く、前記他方側の側縁の傾斜は垂直に近いことが望ましい。これによれば、一方側の側縁の傾斜を小さくすることにより、管状材の内周面の一部が環状溝に入り込み易くできるとともに、他方側の側縁の傾斜が大きいことにより、環状材の内周面の一部が環状溝に入り込んだときの管状材と接続体の軸線方向の引張強度を高めることができる。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、管状材に接続体を接続する接合部構造を備える医療部材において、外形寸法を抑制しつつ、医療部材に課せられる様々な要求を満たすことのできる接合部構造を備える医療部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に係る医療部材の第1実施例の全体構成を示す概略図である。
図2】第1工程後の第1実施形態の医療部材の接合部Jの構造を拡大して示す拡大部分断面図である。
図3】第2工程後の第1実施形態の医療部材の接合部Jの構造を拡大して示す拡大部分断面図である。
図4】第3工程前の第1実施形態の医療部材の接合部Jの構造を拡大して示す拡大部分断面図である。
図5】第3工程時の第1実施形態の医療部材の接合部Jの構造を拡大して示す拡大部分断面図である。
図6】第3工程後の第1実施形態の医療部材の接合部Jの構造を拡大して示す拡大部分断面図である。
図7】第1工程後の第2実施形態の医療部材の接合部Jの構造を拡大して示す拡大部分断面図である。
図8】第3工程後の第2実施形態の医療部材の接合部Jの構造を拡大して示す拡大部分断面図である。
図9】第1工程(第2工程)後の第3実施形態の医療部材の接合部Jの構造を拡大して示す拡大部分断面図である。
図10】第3工程前の第3実施形態の医療部材の接合部Jの構造を拡大して示す拡大部分断面図である。
図11】第3工程時の第3実施形態の医療部材の接合部Jの構造を拡大して示す拡大部分断面図である。
図12】第3工程後の第3実施形態の医療部材の接合部Jの構造を拡大して示す拡大部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、添付図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。最初に、図1を参照して、本発明に係る第1実施形態の医療部材、より具体的には穿刺針やカテーテルを構成する各種の医療部材の一例の全体構成について説明する。この実施形態は、例えば、超音波内視鏡その他の内視鏡、或いは、各種のカテーテル等に用いられる穿刺針に用いられる針管と可撓性チューブの接合体(穿刺部材)である医療部材1の例を示すものである。この医療部材1は、針管2と、この針管2が接続される可撓性チューブ3とが接合部Jにおいて接合されたものである。接合部Jは、針管2の基端部2bと、可撓性チューブ3の先端部3bが接合ブロック4を用いて接合された接合部構造を備える。
【0023】
針管2は、ステンレス鋼等の金属からなり、組織(細胞)の採取や薬剤等の注入などを行うために体内に挿入される開口した先端部を有し、その先端部は鋭利に構成される。針管2の基端部2bも開口し、可撓性チューブ3の先端部3bの内部に挿入される。穿刺針としての用途を考慮すると、針管2の外径は0.3~1.2mmの範囲内であることが好ましく、特に、0.4~0.8mmの範囲内であることが望ましい。また、針管2の長さは6.0~20.0mmの範囲が好ましく、特に、8.0~16.0mmの範囲内であることが望ましい。針管2の外周面2aには、可撓性チューブ3の内部に挿入された基端部2bの領域に環状溝2cが形成されている。ここで、環状溝2cは、可撓性チューブ3の内周面3dに対面する外周面2a上の位置に配置される。また、この外周面2aの可撓性チューブ3の内部から軸線方向の一方側(図示左側)に出た位置(基端部2bから一方側にずれた位置であって、管端接続部4aの内周面4dに対面する位置)に、嵌合溝2dが形成されている。本実施形態においては、針管2の基端部2bは、可撓性チューブ3の内部に収容配置される上記管内配置部に相当する。
【0024】
可撓性チューブ3は、上記管状材に相当するものである。本実施形態においては、可撓性チューブ3は、フッ素樹脂(PFA)やポリエチレン(PE)等の合成樹脂からなる。可撓性チューブ3の外径は、0.5~2.0mmの範囲内であることが好ましく、0.8~1.5mmの範囲内であることがさらに望ましい。可撓性チューブ3の長さは穿刺針やカテーテルの構造によって種々であるが、1000mmを越えることがある。可撓性チューブ3は軸線方向に沿って湾曲可能な可撓性を有するが、半径方向にも変形可能な弾力性を有することが好ましい。また、本実施形態では、可撓性チューブ3の先端部3bの外形寸法(図示例では外径)は、この先端部3bの他方側(図示右側)にある領域の外形寸法(図示例では外径)よりも小さくなるように構成されている。例えば、先端部3bの外形寸法(外形)は、その他方側の領域の外形寸法(外形)よりも、5.0~25.0%の範囲内で、小さくなるように構成されることが望ましい。また、上記管内配置部(基端部2b)は、管状材(可撓性チューブ3)の内周面3dと密着することが好ましく、特に、何らかの力(図示例では可撓性チューブ3の弾性力)により基端部2bが内周面3dに圧接された状態にあることが望ましい。
【0025】
接合部Jにおいては、接合ブロック4によって針管2と可撓性チューブ3が接合される。接合ブロック4は、管状材である可撓性チューブ3の端部のさらに一方側に配置され、図示例では、上記可撓性チューブ3の先端部3bの開口端部3cに当接する当接面4pを備えた環状の管端接続部4aと、この管端接続部4aに対して軸線Jxの方向(以下、単に「軸線方向」という。)の軸線方向の他方側に配置されて一方側から当接し、可撓性チューブ3の上記先端部3bをその外周側から被覆する筒状(図示例では円筒状)の管外被覆部4bとを有する。図示例では、管端接続部4aと管外被覆部4bは一体に構成される。ただし、後述する第2実施形態と同様に、管端接続部4aと管外被覆部4bが別体に構成され、相互に軸線方向に当接した状態とされてもよい。管端接続部4aと管外被覆部4bが一体に構成される場合には接合ブロック4はステンレス鋼などの金属で構成されることが好ましい。また、管端接続部4aと管外被覆部4bが別体に構成される場合には、管端接続部4aは金属でも樹脂でもよいが、管外被覆部4bは金属で構成されることが好ましい。なお、本実施形態においては、開口端部3cと、上記当接面4pとが当接せず、両者間に間隙が存在していても構わない。
【0026】
本実施形態では、管外被覆部4bの軸線方向の他方側の端縁4cに環状の突起4ctが形成されている。この突起4ctは、図示例では管外被覆部4bと一体に構成されているが、管外被覆部4bの他方側の端縁4cに対して接着、接合、溶着などの各種の方法で固定されたものであってもよい。この突起4ctは、図2の右上に示されるように、管外被覆部4bの他方側の端縁4cを、軸線方向の一方側にある他の部分の外周面よりも外周側に突出した形状とする。突起4ctは、軸線方向の他方側に形成され、他方側へ向けて斜め外側に傾斜した環状の他方側傾斜面領域4ctaと、この他方側傾斜面領域4ctaに対して軸線方向の一方側に形成され、一方側へ向けて斜め外側に傾斜した環状の一方側傾斜面領域4ctbと、この他方側傾斜面領域4ctaと一方側傾斜面領域4ctbとの間にいずれに対しても隣接して形成され、両側の傾斜面領域のいずれよりも軸線方向に対する傾斜角が小さい環状の中央面領域4ctpと、を備える。突起4ctは軸線周りに同じ断面形状を有した回転体形状を備えることが望ましい。
【0027】
前記管端接続部4aは、図示例とは異なるが、外周側と前記一方側の端面4eとの間の角部4hが丸められ、或いは、面取りされていることが好ましい。これによれば、医療部材1としての体内に挿入する際の先端側にある上記一方側の角部4hを丸め若しくは面取りすることにより、医療部材として各所に導入し易い形状とすることができる。
【0028】
なお、図2は、医療部材1の針管2と可撓性チューブ3を接合する製造プロセスのうちの第1工程が完了した様子の一例を示す拡大部分断面図である。この第1工程では、針管2の基端部2bを可撓性チューブ3の先端部3bの内部に挿入し、基端部2bと先端部3bの間に接合ブロック4を外側から嵌合させてある。ただし、この状態では、針管2と可撓性チューブ3は接合されておらず、接合部Jの構造が完成された状態を示すものではない。また、図2に示す状態は、第1工程が完了し、後述する第2工程を開始する前の状態の一例を示すものではあるが、これに限定されるものではない。例えば、第1工程が完了した状態として、針管2の基端部2bの外周に接合ブロック4(管端接続部4a)のみが装着され、可撓性チューブ3の先端部3bが配置されていない状態としてもよい。この場合には、第2工程が完了した後であって、第3工程を実施する前に、針管2の基端部2bと接合ブロック4の管外被覆部4bとの間に可撓性チューブ3の先端部3bを挿入する必要がある。
【0029】
図3は、上記製造プロセスの第2工程が完了した様子を示す拡大部分断面図である。この第2工程では、針管2と接合ブロック4の管端接続部4aが半径方向の内外に重なった状態で、軸線周りに環状の加圧部5aを備えた加圧部材(パンチ)5を軸線方向の一方側から接合ブロック4の一方側の端面4eに作用させる。これにより、接合ブロック4では、端面4eには環状の凹部4fが形成されるとともに、接合ブロック4の内周面4dの一部4gが流動して嵌合溝2dの内部に入り込むといった塑性変形が生ずる。これによって、針管2と接合ブロック4はしっかりと固定される。なお、図示例では、嵌合溝2d、加圧部5a、凹部4fは、いずれも、軸線周りの環状に形成されているが、本発明ではこのような環状に限らず、結果として、針管2(管内配置部)と接合ブロック4(管端接続部4a)とが確実に固定されていればよい。例えば、嵌合溝2dを周回方向に不連続に形成することにより、管端接続部4aと針管2とが軸線周りにも固定された構造とすることができる。
【0030】
上記第2工程においては、加圧部5aの突出形状は、管端接続部4aの内周面4dの一部4gが内側の嵌合溝2dの内部に流動し易いように、図示例のように、半径方向外側の外側面の軸線方向に対する傾斜角よりも、半径方向内側の内側面の軸線方向に対する傾斜角の方が大きくなるように形成することが好ましい。
【0031】
図4は、第3工程の開始前の様子を示す拡大部分断面図である。第3工程では、環状の加圧部6aを備える加圧部材6を用いる。加圧部6aの表面(加圧面)は、軸線方向に対して傾斜角θを備えた円錐面6bとなっている。傾斜角θは、1~45度の範囲内であることが好ましく、特に、3~30度の範囲内であることが望ましい。特に、5~15度の範囲内であることがさらに望ましい。本実施形態では、傾斜角θを8~12度の範囲内、例えば、10度に設定している。傾斜角θが45度未満であれば、加圧部6aから与えられる加圧力が軸線方向よりも半径方向内側に多く分配されるので、接合ブロック4に軸線方向の挟圧力を過剰に与えずに半径方向に適度な変形を生じさせることができる。この第3工程では、加圧部材6を軸線方向の一方側に向けて移動させ、図5に示すように、上記加圧部6aによって上記管外被覆部4bの他方側の端縁4cを全周にわたり斜め内側に変形させる。
【0032】
本実施形態では、上記突起4ctの外形寸法(図示例では外径)が、可撓性チューブ3における先端部3bよりも軸線方向の他方側の領域の外形寸法(図示例では外径)よりも大きく設定されている。これにより、加圧部材6を可撓性チューブ3の他方側の領域の側から一方側へ移動させ、当該他方側の領域の外形寸法(外径)よりも大きな内径を備える加圧部6aにより、突起4ctに加圧力を与えることが可能になる。この加圧力により、加圧部6aが突起4ctに当接した状態で、端縁4cは、一方側へ斜め内側に塑性変形される。ここで、塑性変形を適格に生じさせる上では、図示例のように一方側へ向けて加圧することが好ましい。なお、加圧部6aを軸線方向の一方側から他方側へ移動させ、軸線方向の他方側へ向けて加圧力を与える場合には、塑性変形前の突起4ctの外形寸法(外径)が可撓性チューブ3の上記他方側の領域の外形寸法(外径)よりも大きい必要はない。しかし、この場合でも、結果として、塑性変形前の突起4ctの外形寸法を大きくしておけば、他方側の端縁4cの塑性変形量を増大しやすくなり、最終的な接合強度の向上を図ることができる点で有利である。また、いずれの側から加圧力を与えるにしても、突起4ctの突出量は塑性変形により低減されるので、塑性変形後の端縁4cの外形寸法を、可撓性チューブ3の上記他方側の領域の外形寸法とほぼ同等若しくはそれ以下に抑制することができるので、塑性変形前の突起4ctの外形寸法が可撓性チューブ3の上記他方側の領域の外形寸法より大きいことのデメリットは限定的と考えられる。
【0033】
上記の塑性変形により、突起4ctは軸線方向の一方側へ半径方向斜め内側に移動するため、その外周側への突出量は減少する。図示例においては、第3工程において、管外被覆部4bの他の部分の外周面に対する突起4ctの外周側への突出量は、上記塑性変形により減少するが、管外被覆部4bの他の部分に比べて、僅かな量ではあるものの、上記外周面に対する突出状態が残存していてもよい。このとき、第3工程後の管外被覆部4bでは、図6に示すように、他方側の端縁4cに僅かな突起4ct′が見られる。もっとも、上記加圧部6aの半径方向の位置や軸線方向のストロークにより、突起4ct′が管外被覆部4bの外周面上に残存しないように塑性変形させても構わない。
【0034】
上述のように、図5に点線で示すように、端縁4cが加圧部6bから与えられる加圧力により全周にわたり斜め内側に変形すると、図6に示すように、端縁4cの内側角部4iが可撓性チューブ3の外周面3aにくい込むことにより可撓性チューブ3は局部的に半径方向内側に全周にわたり環状に変形し、その変形した領域の内側にある内周面3dの一部3eが全周にわたり環状溝2cの内部に入り込む。このようにして、接合部Jの構造は完成される。なお、この第3工程では、管外被覆部4bの端縁4cが加圧部6aにより斜め内側に塑性変形するが、その半径方向内側への変形量は、管外被覆部4bの厚み(管状材である可撓性チューブ3の外周面3a上の端縁4cの段差量)の増減に応じて増減させることができる。また、上記変形量と、その軸線方向の変形範囲は、加圧部6aの軸線方向一方側への移動量の増減に応じて増減させることができる。
【0035】
このとき、上記端縁4c、より好ましくは、内側角部4iの軸線方向の位置Piは、針管2の上記環状溝2cの軸線方向の形成領域2eの内部に配置される。また、形成領域2eの内部において、上記端縁4c又は内側角部4iの軸線方向の位置Piは、環状溝2cの軸線方向の側縁のいずれの軸線方向の位置からも離れ、これらの位置のいずれに対しても間隔を備えている。このようにすると、後述する内側角部4iの外周面3aに対するくい込みにより、可撓性チューブ3の内周面3dの一部3eの環状溝2cの内部への入り込みが容易化され、上記一部3eが環状溝2cの内部に入り込み易くなる。また、一部3eと環状溝2cの軸線方向の係合度を高めることができ、接合部Jの引張強度を向上させることができる。
【0036】
図示例では、図3及び図6に示すように、環状溝2cの断面形状は矩形であり、その軸線方向両側の側縁はいずれも半径方向に沿った面であり、軸線方向と垂直な面となっている。このような環状溝2cの断面形状は、接合部Jの軸線方位の接合強度を高めるのに役立つ。また、このような溝の断面形状には、加工が容易になるという利点もある。
【0037】
しかし、可撓性チューブ3の内周面3dとの係合度をさらに高め、内周面3dの一部3eが環状溝2cと軸線方向に強く係合して接合部Jの引張強度が高められるようにするには、図3の右上に拡大して図示するように、軸線方向の一方側にある環状溝2cの側縁2c1の傾斜を緩くし、側縁2c1と軸線方向との間の角度を小さくするとともに、軸線方向の他方側にある環状溝2cの側縁2c2の傾斜を急とし、側縁2c2と軸線方向との間の角度を大きくすることが好ましい。これは、上記側縁2c1の緩傾斜により上記一部3eが環状溝2cの内部に入り込み易くなるとともに、上記側縁2c2の急傾斜により上記一部3eと環状溝2cとの間の係合度が高められ、特に、可撓性チューブ3を針管2や接合ブロック4に対して軸線方向の他方側への抜け止め強度が高められるからである。
【0038】
針管2の基端部(管内配置部)2b、その環状溝2c、可撓性チューブ3、管外被覆部4bの端縁4cの各構成部分は、図示例のように、軸線Jxを中心とした同心円形状(完全な円環、円筒や円錐面)となるように構成されていることが最も好ましい。しかし、上記各構成部分は、軸線Jxの周りの全周にわたり存在し、閉じた形状となるように構成されていれば、軸線Jxの周りの密閉性(気密性)も確保でき、軸線方向の引張強度も高められる。ただし、軸線Jxの周りに不連続な段差や折り目が存在すると上記密閉性や引張強度も低下するので、上記各構成部分の接合部構造は、軸線周りの完全な円形に沿った形状でなくとも、楕円や長円などの不連続点や変曲点のない(凹凸のない)連続的な曲線状の輪郭を有する周回形状、すなわち、円筒状、円錐状であればよい。
【0039】
本実施形態によれば、加熱や接着を行わずに、針管2と可撓性チューブ3との間の良好な密着性、高い接合強度、高い安定性を備える接合部Jの構造を実現できる。特に、管外被覆部4bの前記一方側とは反対の他方側の端縁4cが前記一方側へ斜め内側に全周にわたり環状に塑性変形されることにより、前記他方側の端縁4cが管状材である可撓性チューブ3の外周面3aに対して環状にくい込むとともに、その内周面3dの一部3eが環状溝2cの内部に入り込んでいる。これにより、針管2と可撓性チューブ3との間の液漏れなどを招く気密性に不足や低下が生ずることを回避できる。また、上記塑性変形が生ずる際に、針管2に固定された接合ブロック4の管端接続部4aの当接面4pが可撓性チューブ3の開口端部3cに対して軸線方向に当接し、可撓性チューブ3を一方側から支持するので、管外被覆部4bの他方側の端縁4cを上記一方側へ斜め内側に塑性変形させ易く、しかも、精度よく確実に加工できる。ただし、前述のように、一方側の開口端部3cと当接面4pが当接せず、両者間に間隙が存在しても構わない。さらに、可撓性チューブ3のような樹脂材料からなる管状材を接合する場合においても、接合部Jの軸線方向の引張強度を確保することができ、また、その接合部Jの耐久性も高めることができる。
【0040】
本実施形態では、通常の半径方向外側から内側へ絞り込むようなかしめ加工とは異なり、管外被覆部4bの軸線方向の他方側の端縁4cを軸線方向の一方側へ斜め内側に塑性変形させているので、管外被覆部4bの筒状部分ではなく端縁4cを変形させることから、塑性変形が容易になり、その結果、全周にわたり均等に変形させることが可能になるという利点がある。また、他方側の端縁4cがかしめされることにより、結果的に、かしめ方向が半径方向内側ではなく一方側への斜め内側になることから、変形に対する抵抗が少なくなるために変形量を大きくし易いため、可撓性チューブ3に対する食い込み量や可撓性チューブ3の一部3eの環状溝2cの内部への入り込み量を確保し易くなるから、確実な接合状態が得られ易くなる。なお、これらの点は、後述する他の実施形態でも同様である。
【0041】
本実施形態では、管外被覆部4bの他方側の端縁4cに外周側へ突出した突起4ctを形成し、この突起4ctを加圧部6aにより加圧して塑性変形を生じさせ、その結果、突起4ctの突出量が低減するようにしている。これにより、端縁4cを斜め内側へさらに変形させやすくなるため、塑性変形に基づく可撓性チューブ3の表面3aに対する内側角部4iのくいこみ量の増大やくいこみ態様の向上を図ることができ、その結果、接合部構造の接合強度を高めることができる。なお、塑性変形後の上記端縁4cの外周に突起4ct′が残存しないように塑性変形量を大きくしてもよい。ただし、この場合においても、突起4ctが設けられていなかった場合と比べると、図6に示すように、内側角部4iのくい込み量に対して端縁4cの外周縁の内周側への落ち込みは少なくなるので、塑性変形後の端縁4cにおいても、実質的に突起4ct′が内在していると考えることができる。
【0042】
前述の塑性変形前の上記突起4ctの断面形状は、軸線方向の形成範囲全体にわたり軸線方向に見た輪郭線が曲線状になるように構成される。すなわち、この突起4ctにおいて、その断面形状を軸線方向に沿って見たとき、その表面は、他方側傾斜面領域4ctaから中央面領域4ctpのピーク位置まで曲線状に上昇し、中央領域4ctpのピーク位置から一方側傾斜面領域4ctbにわたり曲線状に下降する。このとき、軸線方向の他方側からピーク位置までの傾斜と、ピーク位置から一方側への傾斜とを比較すると、全体としては、前者の方が後者よりも急傾斜となっている。この突起4ctの代わりに、図5の左下に拡大して示す突起4csを形成してもよい。この突起4csは、それぞれ軸線方向に見た輪郭線が直線状に表れる環状の他方側傾斜面領域4csa、環状の一方側傾斜面領域4csb、及び、環状の中央面領域4cspを備える。このようにすると、軸線方向の他方側若しくは一方側から突起4ct,4csを加圧したとき、管外被覆部4bの他方側の端縁4cをスムーズに斜め内側へ加圧することができるため、全周にわたり均一な塑性変形が実現され、密閉性、接合強度、安定性をさらに向上させることができる。また、軸線方向の上記加圧の側とは逆側においても突起4ct,4csが傾斜していることから、塑性変形後の管外被覆部4bの端縁4c近傍が平坦化され易くなり、接合部構造の外形の円滑化を図ることができる。このとき、以下のように、塑性変形前の突起4ct,4csの軸線方向の加圧される側(図示例では他方側)の部分の軸線方向に対する傾斜が反対側(図示例では一方側)の部分の傾斜よりも全体に大きいことが好ましい。
【0043】
上記の突起4ct,4csの他方側傾斜面領域4cta,4ctaの軸線方向に対する傾斜角φaと、一方側傾斜面4ctb,4csbの軸線方向に対する傾斜角φbは、中央面領域4ctp,4cspの軸線方向に対する傾斜角φcより大きくなるように構成される。このとき、傾斜角φa及びφbは、いずれも、5~45度の範囲内であることが好ましい。ただし、本実施形態のように、他方側傾斜面領域4cta,4csaに加圧部6aが当接する場合には、他方側傾斜面領域4cta,4csaの傾斜角φaは15~45度の範囲内であることが好ましく、20~40度の範囲内であることが望ましい。特に、25~35の範囲内であることがさらに望ましい。一方、加圧部6aが当接する側とは反対側の一方側傾斜面領域4ctb,tcsbの傾斜角φbは5~15度の範囲内であることが好ましい。傾斜角φaの上記範囲は端縁4cの塑性変形を安定かつ確実に生じさせる上で好ましく、傾斜角φbの上記範囲は、端縁4cの塑性変形後の外周面を平坦化する(或いは、突起4ct′の突出量を低減する)上で好ましい。ここで、上記とは逆に加圧部6aを一方側から当接させてもよく、この場合には、傾斜角φaとφbの上記範囲は相互に逆になることが好ましい。ここで、本実施形態のような曲面状の突起4ctでは、各領域の境界が不明確になるが、上記傾斜角の数値は、中央面領域4ctpを傾斜角が3度以下の領域とした場合を想定している。
【0044】
本実施形態では、可撓性チューブ3(管状材)の先端部3b(一方側の端部)を基端部2b(管内配置部)と管外被覆部4bの間に配置した状態で、管外被覆部4bの他方側の端縁4cが全周にわたり斜め内側に環状に塑性変形し、可撓性チューブ3の外周面に対して環状にくい込むようにしたので、加熱や接着を用いることなしに、高い密閉性、高い接合強度、高い安定性を備えた接合部構造を構成することができる。したがって、加熱や接着による不具合を回避できるとともに、従来の接合部構造に比べて安定性、安全性の高い医療部材を製造することができる。このとき、管外被覆部4bの他方側の端縁4cに外周側へ突出する環状の突起4ct,4csを設けることにより、製造時において他方側の端縁4cを環状に塑性変形させやすくなるとともに、その可撓性チューブ3の外周面3aに対するくい込み量の増大又はくい込み態様の向上が生じ、その結果として、可撓性チューブ3の内周面3dの一部3eの環状溝2cへの入り込み量の増大又は入り込み態様の向上が生ずることにより、接合部構造における密閉性、接合強度、安定性をさらに向上させることができる。また、このとき、上記環状の突起4ct,4csを加圧することによって管外被覆部4bの他方側の端縁4cを塑性変形させることにより、塑性変形後の突起4ct′自体の外周側への突出量は低減されるので、接合部構造の外形寸法の増大は抑制される。
【0045】
本実施形態において、可撓性チューブ3は、管外被覆部4bの内周側に配置される軸線方向の領域である先端部3bの外形寸法が、当該軸線方向の領域よりもさらに管外被覆部4cの他方側に配置される領域よりも小さく構成されることにより、接続部構造の外形寸法を低減できるので、医療部材の全体にわたる細径化を図ることが容易になる。このとき、上記塑性変形前の突起4ct,4csの外形寸法を前記他方側に配置される領域の外形寸法より大きく構成することにより、他方側から突起4ct,4csに対して上記塑性変形を生じさせるための加圧力を与えることも可能になる。ここで、接合部構造の外形寸法の増大を抑制するためには、管外被覆部4bの突起4ct,4cs,4ct′の形成領域以外の部分の外形寸法(外径)は、可撓性チューブ3の先端部3bの他方側に配置される領域の外形寸法(外径)と同じか、或いは、それよりも小さいことがさらに望ましい。また、管外被覆部4bの外周面は、図示例のように、前記他方側の端縁4cを含めて平坦に構成されることが望ましい。このとき、塑性変形後の突起4ct′の外周への突出量は実質的になくなるため、接合部構造の外形寸法をさらに抑制できる。
【0046】
本実施形態において、管外被覆部4bは、基端部2b(管内配置部)に対して、可撓性チューブ3の前記一方側の開口端部3cのさらに前記一方側に配置された管端接続部4aを介して、一体に構成され、又は、固定され、或いは、少なくとも軸線方向の前記一方側に向けて当接することにより、接合部構造を簡易な構造とすることができるとともに、その外形寸法を抑制することができる。このとき、可撓性チューブ3の前記一方側の開口端部3cは、管端接続部4aに対して軸線方向の一方側に向けて当接することにより、接合部構造内における各構成要素間の軸線方向のずれ(図示例では、可撓性チューブ3の軸線方向の一方側への位置ずれ)を抑制できるので、接合強度のさらなる向上を図ることができる。なお、上記6つの段落に記載された各点は、以下の他の実施形態においても基本的には同様である。
【0047】
次に、図7及び図8を参照して、本発明に係る第2実施形態の医療部材について説明する。この第2実施形態では、第1実施形態の接合ブロック4に相当する管端接続部14aと管外被覆部14bが別体に構成される。ただし、上記以外の針管12や可撓性チューブ13は第1実施形態の針管2や可撓性チューブ3と同様に構成できる。
【0048】
図7に示すように、当初の管端接続部14aには、軸線方向の他方側の外周部に、すなわち、可撓性チューブ13の開口端部13cが当接する当接面14pの外周側に、段差構造14jが形成される。この段差構造14jは、管端接続部14aの外周部のうちの一方側にある部分との間に形成された段差面14jxと、この段差面14jxの段差下にある支持面14jyとを備える。この段差構造14jには、管外被覆部14bの一方側の端部14kが係合する。この端部14kの端面14kxは、上記段差面14jxに対して軸線方向に当接している。また、上記端部14kは、上記支持面14jyによって半径方向に支持されている。なお、図示例では、上記段差構造14jの半径方向の段差量と、上記管外被覆部14bの厚みとはほぼ対応しているが、必ずしも同一である必要はない。ただし、管外被覆部14bの厚みは、上記段差構造14jの段差量と同一か、或いは、当該段差量よりも小さいことが好ましい。これは、針管12と可撓性チューブ13の接合後に、管外被覆部14bの端部14kの端縁が管端接続部14aの外周面から突出しないため、上記端部14kの端縁に何かが当たることなどにより管端接続部14aから管外被覆部14bの端部14kが外れて接合が緩む、といった不具合を低減できるからである。
【0049】
図8には、針管12と可撓性チューブ13の接合状態を示す。第1実施形態と同様に、管端接続部14aの一方側の端面14eに加圧部材の加圧部を適用して凹部14fを形成し、管端接続部14aの組成変形でその内周面14dの一部14gを嵌合溝2dの内部に入り込ませることにより、針管12に管端接続部14aを固定する。また、この状態で、第1実施形態と同様の接合作業を施すことにより、突起14ctを加圧することにより、管外被覆部14bの他方側の端縁14cを全周にわたり一方側へ斜め内側に塑性変形させる。この端縁14cの塑性変形により、突起14ct′の突出量が減少するか、或いは、突出しなくなるとともに、端縁14cの内側角部14iが可撓性チューブ13の外周面13aに全周にわたりくい込み、その結果、可撓性チューブ13の内周面13dの一部13eが針管12の環状溝12cの内部に全周にわたり入り込む。なお、突起14ctの突出量が消失した場合でも、突起14ct′が端縁14c内に実質的に残存する点は先の実施形態と同様である。
【0050】
本実施形態では、相互に別体の管端接続部14aと管外被覆部14bが設けられるとともにこれらが段差構造14jによって軸線方向に当接した状態で半径方向に係合しているので、製造時において適宜のタイミングで管外被覆部14bを取り付けることができるなど、接合作業を容易化できる。例えば、当初は管端接続部14aだけを針管12に装着して相互の接合作業を実施し、その後、針管12の基端部12bに対して、可撓性チューブ13の先端部13bと管外被覆部14bを外嵌することもできる。また、管端接続部14aと管外被覆部14bを別体とすることにより、これらを相互に別の素材により構成することが可能になる。例えば、管端接続部14aを樹脂材料で、管外被覆部14bを金属材料で構成することにより、管端接続部14aと針管12との固定を塑性流動以外の方法、例えば、接着剤による接着方法などによって行うことも可能である。このことは、管端接続部14aと針管12(管内配置部)との素材の関係に応じて最適な固定方法を採用できることを意味し、その結果、相互に接合されるべき構成に対する選択性や適応性を広げることが可能になる。
【0051】
なお、この実施形態でも、管端接続部14aの軸線方向の一方側の外周側の角部14hを丸め加工若しくは面取り加工することによって、スムーズに体内等に挿入することが可能になる。また、この実施形態でも、第1実施形態と同様に、図3の右上に示すように環状溝2cの断面形状を構成することも効果的である。さらに、この実施形態では、第1実施形態と同様に、加圧部6aの円錐面6bの軸線方向に対する傾斜角θを前述の範囲に設定することにより、同様の効果を得ることができる。その上、突起4ctと同様の断面形状を備える突起14ctの代わりに、突起4csと同様の断面形状を備える突起を形成してもよい。
【0052】
次に、図9図12を参照して、本発明に係る第3実施形態の医療部材について説明する。この第3実施形態では、図9に示すように、可撓性チューブ23の先端部23bの開口端部23cに閉鎖部材24を取り付けることにより、可撓性チューブ23の軸線方向一方側の先端部23bを閉鎖している。閉鎖部材24は、管状材である可撓性チューブ23の端部のさらに一方側に配置される管端接続部24aと、この管端接続部24aに対して一体に構成(固定)される管内配置部24mとを有する。ここで、閉鎖部材24は、管外被覆部24bを一体に備えていてもよいが、図示例では、管外被覆部24bは閉鎖部材24とは別体に構成される。管外被覆部24bは、本実施形態の場合、閉鎖部材24の管端接続部24aと管内配置部24mとの間の当接面24pの段差面に対して共に軸線方向に当接している。なお、第2実施形態の段差構造14jと同様に、可撓性チューブ23の開口端部23cが当接する当接面24pとは別に、管外被覆部24bの一方側の端部24kが係合すべき段差構造24j(図示点線)を形成してもよい。管内配置部24mの外周面には、環状溝24nが形成される。なお、開口端部23cは、上記当接面24pと当接せず、両者間に間隙が存在しても構わない。
【0053】
この実施形態では、当接面24pを有する管端接続部24aと管内配置部24mとが一体に構成されるため、両者を相互に固定するための第2工程は不要である。第1工程において、閉鎖部材24に可撓性チューブ23と管外被覆部24bを挿嵌し、その次に、第3工程を実施する。第3工程では、第1実施形態と同様に、図10に示すように、加圧部材26の加圧部26aを用いる。そして、図11に示すように、加圧部材26を軸線方向に移動させ、その加圧部26aの円錐面26bを管外被覆部24bの他方側の端縁24cに当接し、端縁24cを一方側へ斜め内側に全周にわたり塑性変形させる。最終的に、端縁24cの内側角部24iは可撓性チューブ23の外周面23aに全周にわたりくい込み、その結果、可撓性チューブ23の内周面23dの一部23eが環状溝24nに全周にわたり入り込む。
【0054】
この実施形態では、可撓性チューブ23の一方側の開口端部23cに、管端接続部24aと管内配置部24mを備えた閉鎖部材24と管外被覆部24bを接合し、この接合部の構造により閉鎖している。このため、管外被覆部24bの端縁24cの斜め内側への塑性変形により、その内側角部23iが可撓性チューブ23の外周面23aに全周にわたりくい込むとともに、内周面23dの一部23eが管内配置部24mの環状溝24nの内部に全周にわたり入り込むため、上記開口端部23cを気密に閉鎖することができるとともに、接合強度も向上させることができる。
【0055】
この実施形態でも、管外被覆部24bの他方側の端縁24cに突起24csを設けている。ここで、図示例では、上記突起4csと同様の突起24csを形成しているが、上記突起4ctと同様の突起を形成してもよい。また、管端接続部24aの軸線方向の一方側の外周側の角部24hを丸め加工若しくは面取り加工することによって、スムーズに体内等に挿入することが可能になる。さらに、図示例のように、環状溝24nの断面形状の軸線方向の一方側の側縁の軸線方向に対する傾斜角を小さく、軸線方向の他方側の側縁の同傾斜角を大きく構成することにより、可撓性チューブ23の内周面23dの一部23eの環状溝24nへの入り込みを容易化するとともに、当該一部23eの環状溝24nに対する係合強度を高めることができるので、結果として、接続体(閉鎖部材24及び管外被覆部24b)に対する可撓性チューブ23の軸線方向の引張強度を向上できる。
【0056】
また、本実施形態でも、第1実施形態と同様に、突起24csを設けることにより、管外被覆部24bの端縁24cを斜め内側へ適切かつ確実に塑性変形させることができ、強固な接合部Jの構造を実現できる。なお、上述の各実施形態は、相互に矛盾ないし実施不可能な事情がない限り、各構成部分を相互に置換するなどの方法で適宜に修正することができる。
【0057】
なお、本発明の医療部材の接合部構造及びカテーテルは、上述の図示例のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上記各実施形態では、管状材として、可撓性チューブ3、13、23を、接続体として、接合ブロック4又は管端接続部14a及び管外被覆部14bと針管2,12の連結部材、或いは、閉鎖部材24と管外被覆部24bを想定している。しかし、管状材としては、金属製管体を用いることができ、接続体も、管端接続部、管内配置部、管外被覆部を備えたものであれば、種々の構成を採用することができる。
【0058】
また、上記各実施形態では、管外被覆部4b、14b、24bの厚みは、管状材である可撓性チューブ3、13、23の厚みより小さく、これにより管状材の外周面(3a)からの接続体の張り出しを低減することができるが、本発明では、特に限定されるものではなく、管外被覆部4b、14b、24bと管状材である可撓性チューブ3、13、23の材質に起因する機械的特性に応じて適宜に設定される。また、環状溝2c、12c、24nの深さや軸線方向の幅は、管状材である可撓性チューブ3、13、23の厚みや機械的特性に応じて設定すればよいが、一般的に、可撓性チューブ3、13、23の厚みが大きくなるほど深く、幅広に構成することが好ましく、この場合、管外被覆部4b、14b、24bの厚みも増大させることが望ましい。
【0059】
また、上記各実施形態では、突起4ct,4cs,14ct,24csを管外被覆部4b,14b,24bの端縁4c,14c,24c上に形成している。しかし、突起4ct,4cs,14ct,24csは、端縁4c,14c,24cから軸線方向の一方側に多少離れて形成されていてもよい。すなわち、結果的に、突起4ct,4cs,14ct,24csを加圧することにより、端縁4c,14c,24cを斜め内側に塑性変形できるように構成されていればよい。
【符号の説明】
【0060】
1…医療部材(カテーテル)、2…針管、2a…外周面、2b…基端部、2c…環状溝、2d…嵌合溝、2e…軸線方向の形成領域、3…樹脂チューブ、3a…外周面、3b…先端部、3c…開口端部、3d…内周面、3e…一部、4…接合ブロック、4a…管端接続部、4b…管外被覆部、4c…端縁、4ct,4cs,14ct,24cs…突起、4d…内周面、4e…端面、4f…凹部、4g…一部、4h…角部、4i…内側角部、4j…段差構造、J…接合部、Jx…軸線、5,6,26…加圧部材、5a、6a,26a…加圧部、6b,26b…円錐面
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
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図10
図11
図12