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特許7521776義足カバーの3Dモデルの生成を支援するための装置、プログラム、及び方法、並びに義足カバー
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】義足カバーの3Dモデルの生成を支援するための装置、プログラム、及び方法、並びに義足カバー
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/60 20060101AFI20240717BHJP
   G06F 30/10 20200101ALI20240717BHJP
   G06F 30/12 20200101ALI20240717BHJP
   G06T 19/20 20110101ALI20240717BHJP
【FI】
A61F2/60
G06F30/10
G06F30/10 100
G06F30/12
G06T19/20
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020072123
(22)【出願日】2020-04-14
(65)【公開番号】P2021168747
(43)【公開日】2021-10-28
【審査請求日】2023-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】518322780
【氏名又は名称】ゲイトアシスト合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125195
【弁理士】
【氏名又は名称】尾畑 雄一
(72)【発明者】
【氏名】安藤 文紀
(72)【発明者】
【氏名】富永 修一
【審査官】胡谷 佳津志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第09956093(US,B1)
【文献】米国特許第05880964(US,A)
【文献】中国特許出願公開第109549764(CN,A)
【文献】特開2007-068855(JP,A)
【文献】実用新案登録第3089376(JP,Y2)
【文献】国際公開第2019/103010(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0142614(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/00;2/02-2/80;3/00-4/00
G06F 30/10
G06F 17/50
G06T 19/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソケットと前記ソケットを支持する支持部と前記支持部の下端に位置する足部とを少なくとも含む義足を覆う義足カバーの3Dモデルの生成を支援するための装置であって、
前記義足に関する義足情報を受け付けるように構成された情報受付部と、
前記義足情報に少なくとも基づいて前記義足カバーの3Dモデルの生成を支援するように構成された生成支援部と、を備え、
前記義足情報は、前記支持部に関する支持部情報を含み、
前記生成支援部は、前記支持部情報に少なくとも基づいて前記支持部の構成部品の組合せのパターンを特定し、前記義足カバーを構成すると共に前記支持部に対して着脱可能に取り付けられる取付部材の複数のサンプル3Dモデルの中から、特定した前記支持部の構成部品の組合せのパターンに少なくとも基づいて推奨サンプル3Dモデルを選択するように構成されている、
装置。
【請求項2】
前記取付部材の複数のサンプル3Dモデルを少なくとも記憶する情報記憶部をさらに備え、
前記生成支援部は、前記取付部材のサンプル3Dモデルを前記情報記憶部から取得するように構成されている、
請求項1の装置。
【請求項3】
前記生成支援部は、前記支持部情報に基づいて前記支持部の形状を特定し、特定した前記支持部の形状に対応する前記取付部材のサンプル3Dモデルを前記推奨サンプル3Dモデルとして選択するように構成されている、
請求項1又は2の装置。
【請求項4】
前記生成支援部は、前記情報記憶部から取得した前記取付部材のサンプル3Dモデルを、操作者による操作入力に応じて変更するように構成されている、
請求項2の装置。
【請求項5】
前記支持部情報は、前記支持部の画像データを含み、
前記生成支援部は、前記支持部の画像データに少なくとも基づいて、前記取付部材の3Dモデルを自動生成するように構成されている、
請求項1の装置。
【請求項6】
前記情報受付部は、前記義足情報に加えて、前記義足ではない側の足である健足に関する健足情報を受け付けるように構成されており、
前記生成支援部は、前記義足情報及び前記健足情報に少なくとも基づいて、前記義足カバーの本体の3Dモデルの生成を支援するように構成されている、
請求項1ないし5何れかの装置。
【請求項7】
前記義足情報は、前記義足の画像データを含み、
前記健足情報は、前記健足の画像データを含み、
前記生成支援部は、前記義足の画像データ及び前記健足の画像データに少なくとも基づいて、前記本体の3Dモデルを自動生成するように構成されている、
請求項6の装置。
【請求項8】
ソケットと前記ソケットを支持する支持部と前記支持部の下端に位置する足部とを少なくとも含む義足を覆う義足カバーの3Dモデルの生成を支援するためのプログラムであって、コンピュータに、
前記義足に関する義足情報を受け付ける処理と、
前記義足情報に少なくとも基づいて前記義足カバーの3Dモデルの生成を支援する処理と、を実行させ、
前記義足情報は、前記支持部に関する支持部情報を含み、
前記生成を支援する処理は、前記支持部情報に少なくとも基づいて前記支持部の構成部品の組合せのパターンを特定し、前記義足カバーを構成すると共に前記支持部に対して着脱可能に取り付けられる取付部材の複数のサンプル3Dモデルの中から、特定した前記支持部の構成部品の組合せのパターンに少なくとも基づいて推奨サンプル3Dモデルを選択することを含む、
プログラム。
【請求項9】
コンピュータによって実行され、ソケットと前記ソケットを支持する支持部と前記支持部の下端に位置する足部とを少なくとも含む義足を覆う義足カバーの3Dモデルの生成を支援するための方法であって、
前記義足に関する義足情報を受け付ける工程と、
前記義足情報に少なくとも基づいて前記義足カバーの3Dモデルの生成を支援する工程と、を備え、
前記義足情報は、前記支持部に関する支持部情報を含み、
前記生成を支援する工程は、前記支持部情報に少なくとも基づいて前記支持部の構成部品の組合せのパターンを特定し、前記義足カバーを構成すると共に前記支持部に対して着脱可能に取り付けられる取付部材の複数のサンプル3Dモデルの中から、特定した前記支持部の構成部品の組合せのパターンに少なくとも基づいて推奨サンプル3Dモデルを選択することを含む、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、義足を覆う義足カバーの3Dモデルの生成を支援するための装置、プログラム、及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、義足を覆うための義足カバーが提供されている(例えば、下記特許文献1を参照)。こうした義足カバーは、多種多様な構成部品/形状を有する個別の義足に適合させる必要がある。そこで、例えば、職人的なスキルを有する義足カバーの製作者が、義足ユーザとの対面での打合せ、及び、義足の計測等を介して、個別の義足に適合するカバーを製作している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-049388号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来は、製作者との対面での打合せ等が困難な遠隔地の義足ユーザ等にとっては、自身の義足に適合する義足カバーを入手することが容易とは言えなかった。
【0005】
本発明は、個別の義足に適合する義足カバーの製作を支援することを目的の一つとする。本発明の他の目的は、本明細書全体を参照することにより明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係る装置は、ソケットと前記ソケットを支持する支持部と前記支持部の下端に位置する足部とを少なくとも含む義足を覆う義足カバーの3Dモデルの生成を支援するための装置であって、前記義足に関する義足情報を受け付けるように構成された情報受付部と、前記義足情報に少なくとも基づいて前記義足カバーの3Dモデルの生成を支援するように構成された生成支援部と、を備え、前記義足情報は、前記支持部に関する支持部情報を含み、前記生成支援部は、前記支持部情報に少なくとも基づいて、前記義足カバーを構成すると共に前記支持部に対して着脱可能に取り付けられる取付部材の3Dモデルの生成を支援するように構成されている。
【0007】
この構成によれば、ソケットを支持する支持部に関する支持部情報に基づいて、義足カバーを構成すると共に支持部に対して着脱可能に取り付けられる取付部材の3Dモデルの生成が支援されるから、ユーザ毎に異なる義足の支持部に適合する取付部材を有する義足カバーの3Dモデルの生成が支援され、この結果、個別の義足への取り付けが良好な義足カバーの製作が支援される。
【0008】
また、上記装置において、前記取付部材の複数のサンプル3Dモデルを少なくとも記憶する情報記憶部をさらに備え、前記生成支援部は、前記取付部材のサンプル3Dモデルを前記情報記憶部から取得するように構成されている、ようにしてもよい。こうすれば、予め生成及び準備されている取付部材のサンプル3Dモデルを用いた義足カバーの3Dモデルの生成を可能とする。
【0009】
また、上記装置において、前記生成支援部は、前記支持部情報に少なくとも基づいて、前記取付部材の複数のサンプル3Dモデルの中から推奨サンプル3Dモデルを選択するように構成されている、ようにしてもよい。こうすれば、支持部情報に基づいて推奨される取付部材のサンプル3Dモデルを自動的に選択することを可能とする。
【0010】
また、上記装置において、前記生成支援部は、前記支持部情報に基づいて前記支持部の構成部品及び/又は形状を特定し、特定した前記支持部の構成部品及び/又は形状に対応する前記取付部材のサンプル3Dモデルを前記推奨サンプル3Dモデルとして選択するように構成されている、ようにしてもよい。こうすれば、支持部の構成部品及び/又は形状に適合する取付部材の3Dモデルの生成が支援される。
【0011】
また、上記装置において、前記生成支援部は、前記情報記憶部から取得した前記取付部材のサンプル3Dモデルを、操作者による操作入力に応じて変更する(例えば、形状及び/又はサイズを変更及び調整する。)ように構成されている、ようにしてもよい。こうすれば、取付部材のサンプル3Dモデルの手動による変更及び調整を可能とする。
【0012】
また、上記装置において、前記支持部情報は、前記支持部の画像データを含み、前記生成支援部は、前記支持部の画像データに少なくとも基づいて、前記取付部材の3Dモデルを自動生成するように構成されている、ようにしてもよい。こうすれば、支持部の画像データに基づいて取付部材の3Dモデルを自動生成することを可能とする。
【0013】
また、上記装置において、前記情報受付部は、前記義足情報に加えて、前記義足ではない側の足である健足に関する健足情報を受け付けるように構成されており、前記生成支援部は、前記義足情報及び前記健足情報に少なくとも基づいて、前記義足カバーの本体の3Dモデルの生成を支援するように構成されている、ようにしてもよい。こうすれば、義足及び健足に適合する義足カバー本体の3Dモデルの生成が支援される。
【0014】
また、上記装置において、前記義足情報は、前記義足の画像データを含み、前記健足情報は、前記健足の画像データを含み、前記生成支援部は、前記義足の画像データ及び前記健足の画像データに少なくとも基づいて、前記本体の3Dモデルを自動生成するように構成されている、ようにしてもよい。こうすれば、義足及び健足の画像データに基づいて義足カバー本体の3Dモデルを自動生成することを可能とする。
【0015】
本発明の一実施形態に係るプログラムは、ソケットと前記ソケットを支持する支持部と前記支持部の下端に位置する足部とを少なくとも含む義足を覆う義足カバーの3Dモデルの生成を支援するためのプログラムであって、コンピュータに、前記義足に関する義足情報を受け付ける処理と、前記義足情報に少なくとも基づいて前記義足カバーの3Dモデルの生成を支援する処理と、を実行させ、前記義足情報は、前記支持部に関する支持部情報を含み、前記生成を支援する処理は、前記支持部情報に少なくとも基づいて、前記義足カバーを構成すると共に前記支持部に対して着脱可能に取り付けられる取付部材の3Dモデルの生成を支援することを含む。
【0016】
この構成によれば、ソケットを支持する支持部に関する支持部情報に基づいて、義足カバーを構成すると共に支持部に対して着脱可能に取り付けられる取付部材の3Dモデルの生成が支援されるから、ユーザ毎に異なる義足の支持部に適合する取付部材を有する義足カバーの3Dモデルの生成が支援され、この結果、個別の義足への取り付けが良好な義足カバーの製作が支援される。
【0017】
本発明の一実施形態に係る方法は、コンピュータによって実行され、ソケットと前記ソケットを支持する支持部と前記支持部の下端に位置する足部とを少なくとも含む義足を覆う義足カバーの3Dモデルの生成を支援するための方法であって、前記義足に関する義足情報を受け付ける工程と、前記義足情報に少なくとも基づいて前記義足カバーの3Dモデルの生成を支援する工程と、を備え、前記義足情報は、前記支持部に関する支持部情報を含み、前記生成を支援する工程は、前記支持部情報に少なくとも基づいて、前記義足カバーを構成すると共に前記支持部に対して着脱可能に取り付けられる取付部材の3Dモデルの生成を支援することを含む。
【0018】
この構成によれば、ソケットを支持する支持部に関する支持部情報に基づいて、義足カバーを構成すると共に支持部に対して着脱可能に取り付けられる取付部材の3Dモデルの生成が支援されるから、ユーザ毎に異なる義足の支持部に適合する取付部材を有する義足カバーの3Dモデルの生成が支援され、この結果、個別の義足への取り付けが良好な義足カバーの製作が支援される。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、個別の義足に適合する義足カバーの製作を支援する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係る3Dモデル生成支援装置10を含むネットワークの構成を概略的に示す構成図。
図2】義足カバーが製作される手順を示すフロー図。
図3】下腿義足30の構成を例示する図。
図4】下腿義足の支持部の構成部品の3つのパターンを例示する図。
図5】パターンIの構成部品を有する支持部の一例である支持部34Aを例示する図。
図6】クランプアダプタ342を例示する図。
図7】パターンIIの構成部品を有する支持部の一例である支持部34Bを例示する図。
図8】コネクションアダプタ344を例示する図。
図9】パターンIIIの構成部品を有する支持部の一例である支持部34Cを例示する図。
図10】アタッチメントのタイプと、支持部の構成部品及び形状の組合せとの対応関係を例示する図。
図11】タイプAのアタッチメント50Aのサンプル3Dモデルを例示する図。
図12】パターンIの構成部品を有すると共にパイプ部分の長さが大きい支持部34Aに対して取り付けられたタイプAのアタッチメント50Aを例示する図。
図13】パターンIIの構成部品を有すると共にパイプ部分の長さが大きい支持部34Bに対して取り付けられたタイプAのアタッチメント50Aを例示する図。
図14】タイプBのアタッチメント50Bのサンプル3Dモデルを例示する図。
図15】パターンIの構成部品を有すると共にパイプ部分の長さが小さい支持部34Aに対して取り付けられたタイプBのアタッチメント50Bを例示する図。
図16】タイプCのアタッチメント50Cのサンプル3Dモデルを例示する図。
図17】パターンIIの構成部品を有すると共にパイプ部分の長さが小さい支持部34Bに対して取り付けられたタイプCのアタッチメント50Cを例示する図。
図18】タイプDのアタッチメント50Dのサンプル3Dモデルを例示する図。
図19】パターンIIIの構成部品を有すると共にパイプ部分の長さが小さい支持部34Cに対して取り付けられたタイプDのアタッチメント50Dを例示する図。
図20】タイプEのアタッチメント50Eのサンプル3Dモデルを例示する図。
図21】パターンIIIの構成部品を有すると共にパイプ部分の長さが大きい支持部34Cに対して取り付けられたタイプEのアタッチメント50Eを例示する図。
図22】義足データ(3Dモデル)を例示する図。
図23】義足カバー60の3Dモデルを例示する図。
図24】義足カバー60の前側本体62を外した状態を例示する図。
図25】オプション部材66を有する義足カバー60の3Dモデルを例示する図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。各図面において、同一の又は類似する構成要素に対しては同一の参照符号が付され得る。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態に係る3Dモデル生成支援装置10を含むネットワークの構成を概略的に示す構成図である。装置10は、図示するように、インターネット等の通信ネットワークNWを介してユーザ端末20と通信可能に接続されている。図1においては、1つのユーザ端末20のみが図示されているが、装置10は、複数のユーザ端末20と通信可能に接続されている。装置10は、義足を覆う義足カバーの3Dモデルの生成を支援するための機能を有する。3Dモデル生成支援装置10は、本発明の装置の一部又は全部の実装例である。
【0023】
3Dモデル生成支援装置10は、一般的なコンピュータとしての構成を有する。具体的には、装置10は、図1に示すように、CPU及びGPU等として構成されるコンピュータプロセッサ11と、DRAM等によって構成されデータやプログラムを一時的に記憶するメインメモリ12と、操作者等との間で情報のやり取りを行う入出力インタフェース13と、有線又は無線の通信を制御する通信インタフェース14と、磁気ディスク又はフラッシュメモリ等によって構成されデータやプログラムを記憶するストレージ(情報記憶部)15と、を備える。コンピュータプロセッサ11は、ストレージ15に記憶されているプログラムをメインメモリ12に読み込んで、当該プログラムに含まれる命令を実行する。
【0024】
入出力インタフェース13は、例えば、キーボード、マウス、及びタッチパネル等の情報入力装置、カメラ及びスキャナ等の画像入力装置、マイク等の音声入力装置、ディスプレイ等の画像出力装置、及び、スピーカー等の音声出力装置を含む。通信I/F14は、ネットワークアダプタ等のハードウェア、各種の通信用ソフトウェア、又はこれらの組み合わせとして実装される。
【0025】
ストレージ15は、義足カバーの生成を支援するための様々な情報を記憶する。ストレージ15は、例えば、図1に示すように、義足カバーを注文するユーザに関するデータを格納するユーザデータDB151と、義足カバーを構成するアタッチメント(取付部材)のサンプルデータ(3Dモデル)を格納するアタッチメントサンプルデータDB152と、義足カバーを構成する本体のサンプルデータ(3Dモデル)を格納する本体サンプルデータDB153とを有する。なお、これらのデータは、装置10以外の他の装置において管理され得る。
【0026】
また、ストレージ15には、3Dモデリング用プログラム154がインストールされている。当該プログラム154は、一般的なコンピュータを、本実施形態における3Dモデル生成支援装置10として機能させるためのプログラムである。
【0027】
本実施形態において、3Dモデル生成支援装置10は、義足カバーの製作を請け負う事業者等によって操作される。
【0028】
ユーザ端末20は、一般的なコンピュータとしての構成を有し、例えば、スマートフォン、タブレット端末、及び、パーソナルコンピュータ等として構成される。ユーザ端末20は、義足カバーを注文するユーザ等によって操作される。
【0029】
次に、本実施形態の3Dモデル生成支援装置10が有する機能について説明する。装置10は、ストレージ15等に記憶されているプログラム(例えば、3Dモデリング用プログラム154等)に含まれる命令をコンピュータプロセッサ11が実行することによって、図1に示すように、情報受付部111、及び、3Dモデル生成支援部112として機能する。これらの機能の一部又は全部は、装置10と、ユーザ端末20又はその他の装置とが協働することによって実現され得る。
【0030】
情報受付部111は、義足カバーの3Dモデルの生成を支援するための様々な情報の受付に関する処理を実行する。例えば、情報受付部111は、ユーザ端末20等から送信されるユーザデータを受け付けて、ユーザデータDB151に登録するように構成されている。ユーザデータは、例えば、ユーザの義足に関する義足データ、及び、ユーザの義足ではない側の足である健足に関する健足データ等を含む。
【0031】
3Dモデル生成支援部112は、義足カバーの3Dモデルの生成を支援するための様々な処理を実行する。例えば、3Dモデル生成支援部112は、ユーザの義足データ等に基づいて、義足カバーを構成する部材の3Dモデルの生成を支援するように構成されている。3Dモデルの生成の支援は、一般的な3Dモデリングソフトウェアが有する機能による支援の他、義足カバーを構成する部材のサンプルデータ(サンプル3Dモデル)の取得、及び、3Dモデルの自動生成を含む。
【0032】
図2は、本実施形態において、義足カバーが製作される手順を示すフロー図である。義足カバーの製作の際には、まず、図示するように、義足カバーを注文するユーザの義足データ及び健足データがユーザデータDB151に登録される(ステップS100)。本実施形態において、義足データは、義足の3Dデータであり、また、健足データは、健足の3Dデータである。こうした3Dデータは、例えば、3Dスキャナを介して取得され、義足ユーザのユーザ端末20から3Dモデル生成支援装置10に対して送信される。
【0033】
続いて、義足カバーの3Dモデルの生成及び登録が行われる(ステップS110)。3Dモデルの生成は、上述したように、3Dモデル生成支援装置10によって支援される。具体的には、装置10は、3Dモデルを生成するための3Dモデリング機能を有しており、操作者は、当該3Dモデリング機能を用いて、義足カバーの3Dモデルを生成することができる。生成された3Dモデルは、例えば、ユーザデータの一部として、ユーザデータDB151に登録される。そして、登録されている3Dモデルに基づいて、3Dプリンタを用いた義足カバーの製作が行われる(ステップS120)。
【0034】
ここで、上述したように、義足カバーの3Dモデルの生成を支援する3Dモデル生成支援装置10は、一般的な3Dモデリング機能のほか、義足カバーの3Dモデルの生成を支援するための機能を有している。以下、装置10が有する義足カバーの3Dモデルの生成を支援するための機能について説明する。
【0035】
本実施形態における3Dモデル生成支援装置10は、ユーザの義足を構成する支持部の構成部品及び形状に基づいて、義足カバーを構成する部材の1つであるアタッチメント(取付部材)の種類を自動的に提案する機能を有する。アタッチメントは、義足の支持部に着脱可能に取り付けられる部材である。
【0036】
図3は、本実施形態において義足カバーの製作の対象となる下腿義足30の構成を例示する。義足30は、図示するように、切断後の足の断端(切断部)を収納するソケット32と、ソケット32の下端に位置し当該ソケット32を支持する支持部34と、支持部34の下端に位置する足部36とによって構成される。
【0037】
下腿義足の支持部は、1又は複数の部品によって構成される。図4は、本実施形態における当該支持部の構成部品の3つのパターンを例示する。図示するように、支持部の構成部品の3つのパターンは、2つのクランプアダプタと1つのパイプとから成るパターンI、1つのクランプアダプタと1つのコネクションアダプタとから成るパターンII、及び、1つのダブルアダプタのみから成るパターンIIIを含む。
【0038】
図5は、パターンIの構成部品を有する支持部の一例である支持部34Aを例示する。当該支持部34Aは、図示するように、1つのパイプ341と、当該パイプ341の両端に配置される2つのクランプアダプタ342とを有する。
【0039】
図6は、クランプアダプタ342を例示する。クランプアダプタ342は、図示するように、略円筒の形状を有する部材であり、アルミニウム又はチタン等によって形成されるパイプ部3421の一方の端部において、ソケット及び足部と接合する第1接合部3422を有すると共に、パイプ部3421の他方の端部において、パイプと接合する第2接合部3423を有する。第1接合部3422には、ソケット及び足部とネジ接合するためのネジ部SCが外側に突出している。また、第2接合部3423には、内側に挿入されるパイプを締め接合するための円環形状の締め部FSが外側に設けられている。締め部FSは、例えば、樹脂によって形成される。図5の支持部34Aにおいて、両端の2つのクランプアダプタ342は、パイプ341側に第2接合部3423が位置するように配置される。
【0040】
図7は、パターンIIの構成部品を有する支持部の一例である支持部34Bを例示する。当該支持部34Bは、図示するように、1つのクランプアダプタ342と、当該アダプタ342の一方の端部に配置される1つのコネクションアダプタ344とを有する。
【0041】
図8は、コネクションアダプタ344を例示する。コネクションアダプタ344は、図示するように、略円筒の形状を有する部材であり、アルミニウム又はチタン等によって形成されるパイプ部3441の一方の端部において、ソケット及び足部と接合する第1接合部3442を有する。第1接合部3442には、ソケット及び足部とネジ接合するためのネジ部SCが外側に突出している。図7の支持部34Bにおいて、クランプアダプタ342及びコネクションアダプタ344は、クランプアダプタ342の第2接合部3423が、コネクションアダプタ344のパイプ部3441の第1接合部3442側の反対側の端部を接合するように配置される。
【0042】
図9は、パターンIIIの構成部品を有する支持部の一例である支持部34Cを例示する。当該支持部34Cは、図示するように、1つのダブルアダプタ346のみから成る。当該ダブルアダプタ346は、図示するように、略円筒の形状を有する部材であり、アルミニウム又はチタン等によって形成されるパイプ部3461の両方の端部において、それぞれ、ソケット及び足部と接合する第1、第2接合部3462、3463を有する。第1、第2接合部3462、3463には、ソケット及び足部とネジ接合するためのネジ部SCが外側に突出している。
【0043】
本実施形態においては、こうした構成部品を有する義足の支持部に取り付けられる、義足カバーのアタッチメントについて、複数のタイプのアタッチメントの各々のサンプルデータ(3Dモデル)が予め準備されており、これらの複数のサンプルデータがアタッチメントサンプルデータDB152に格納されている。そして、複数のタイプのアタッチメントの各々が、義足の支持部の構成部品及び形状(具体的には、パイプ部分の長さ)の組合せに対応付けられている。
【0044】
図10は、本実施形態における、アタッチメントのタイプと、支持部の構成部品及び形状の組合せとの対応関係を例示する。図示するように、本実施形態では、アタッチメントのタイプとして5つのタイプA~Eが準備されており、これらのタイプの各々に対して、支持部の構成部品及び形状の組合せが設定されている(対応付けられている。)。
【0045】
図11は、タイプAのアタッチメント50Aのサンプル3Dモデルを例示する。当該アタッチメント50Aは、図示するように、円筒を径方向半分となるように高さ方向に切断したような形状を有しており、同様の形状を有する第1部材51A及び第2部材52Aが上下に重ねて配置されている。第1部材51A及び第2部材52Aは、一体の部材として構成される。
【0046】
下側の第1部材51Aは、図11に示すように、円筒形状の切断面の内周側の一対の端部の略下側半分において、当該内周に沿って突出する突出部511A、512Aが設けられている。また、第1部材51Aは、円筒形状の内周面の略上側半分において、円筒形状の切断面に対して直交する方向に凹むと共に略直方体の形状を有する収容部513Aが設けられている。
【0047】
上側の第2部材52Aは、円筒形状の切断面の内周側の一対の端部において、上述した第1部材51Aの突出部511A、512Aと同様に、当該内周に沿って突出する突出部521A、522Aが設けられている。
【0048】
図10に戻り、タイプAのアタッチメントは、まず、パターンIの構成部品を有すると共にパイプ部分の長さが大きい(所定値以上の長さを有する)支持部に対応している。
【0049】
図12は、パターンIの構成部品を有すると共にパイプ部分の長さが大きい支持部34Aに対して着脱可能に取り付けられたタイプAのアタッチメント50Aを例示する。この状態のアタッチメント50Aは、図示するように、下側の第1部材51Aの突出部511A、512Aによって、支持部34Aを構成する2つのクランプアダプタ342のうちの下側のクランプアダプタ342のパイプ部3421を保持し、また、上側の第2部材52Aの突出部521A、522Aによって、支持部34Aを構成するパイプ341の一部を保持する。支持部34Aの下側のクランプアダプタ342の第2接合部3423(締め部FS)は、アタッチメント50Aの突出部511A、512A、及び、突出部521A、522Aによって、高さ方向に挟まれる。また、当該第2接合部3423(締め部FS)の一部が、アタッチメント50Aの第1部材51Aの収容部513Aに収容される。
【0050】
図10に戻り、タイプAのアタッチメントは、さらに、パターンIIの構成部品を有すると共にパイプ部分の長さが大きい(所定値以上の長さを有する)支持部に対応している。
【0051】
図13は、パターンIIの構成部品を有すると共にパイプ部分の長さが大きい支持部34Bに対して着脱可能に取り付けられたタイプAのアタッチメント50Aを例示する。この状態のアタッチメント50Aは、図示するように、下側の第1部材51Aの突出部511A、512Aによって、支持部34Bを構成するクランプアダプタ342のパイプ部3421を保持し、また、上側の第2部材52Aの突出部521A、522Aによって、支持部34Bを構成するコネクションアダプタ344のパイプ部3441の一部を保持する。支持部34Bのクランプアダプタ342の第2接合部3423(締め部FS)は、アタッチメント50Aの突出部511A、512A、及び、突出部521A、522Aによって、高さ方向に挟まれる。また、当該第2接合部3423(締め部FS)の一部が、アタッチメント50Aの第1部材51Aの収容部513Aに収容される。
【0052】
図14は、タイプBのアタッチメント50Bのサンプル3Dモデルを例示する。当該アタッチメント50Bは、図示するように、上述したアタッチメント50Aの第1部材51Aと同様の形状を有する第1部材51B、及び、上述したアタッチメント50Aの第2部材52Aと同様の形状を有する第2部材52Bが、略直方体の形状を有する第3部材53Bを介して上下に並べて配置されている。第1部材51B、第2部材52B及び第3部材53Bは、一体の部材として構成される。
【0053】
第3部材53Bは、図14に示すように、第1部材51B及び第2部材52Bが相互に対向する略半円形状の面(第1部材51Bの上面、及び、第2部材52Bの下面)のうち、円筒形状の中心軸から切断面に対して略直交方向に進んだ円筒形状の外周部分付近において、第1部材51Bと第2部材52Bとを接続する。当該第3部材53Bの高さによって、第1部材51B及び第2部材52Bの間に高さ方向の空間(隙間)が生じている。
【0054】
下側の第1部材51Bは、上述したアタッチメント50Aの第1部材51Aと同様に、突出部511B、512B、及び、収容部513Bが設けられている。また、上側の第2部材52Bは、上述したアタッチメント50Aの第2部材52Aと同様に、突出部521B、522Bが設けられている。
【0055】
図10に戻り、タイプBのアタッチメントは、パターンIの構成部品を有すると共にパイプ部分の長さが小さい(所定値未満の長さを有する)支持部に対応している。
【0056】
図15は、パターンIの構成部品を有すると共にパイプ部分の長さが小さい支持部34Aに対して着脱可能に取り付けられたタイプBのアタッチメント50Bを例示する。図15に例示する支持部34Aにおいては、所定値未満の長さを有するパイプ341の両側の端部にそれぞれ接合される2つのクランプアダプタ342の第2接合部3423が隣接しているため、当該パイプ341は露出していない。
【0057】
この状態のアタッチメント50Bは、図15に示すように、下側の第1部材51Bの突出部511B、512Bによって、支持部34Aを構成する2つのクランプアダプタ342のうちの下側のクランプアダプタ342のパイプ部3421を保持し、また、上側の第2部材52Bの突出部521B、522Bによって、支持部34Aを構成する2つのクランプアダプタ342のうちの上側のクランプアダプタ342のパイプ部3421を保持する。支持部34Aの下側のクランプアダプタ342の第2接合部3423(締め部FS)及び上側のクランプアダプタ342の第2接合部3423(締め部FS)は、アタッチメント50Bの突出部511B、512B、及び、突出部521B、522Bによって、高さ方向に挟まれる。また、下側のクランプアダプタ342の第2接合部3423(締め部FS)の一部が、アタッチメント50Bの第1部材51Bの収容部513Bに収容される。また、上側のクランプアダプタ342の第2接合部3423(締め部FS)が、アタッチメント50Bの第1部材51B及び第2部材52Bの間の空間(隙間)に収容される。
【0058】
図16は、タイプCのアタッチメント50Cのサンプル3Dモデルを例示する。当該アタッチメント50Cは、図示するように、上述したアタッチメント50A、50Bの第1部材51A、51Bと同様の形状を有する第1部材51Cを有する。
【0059】
第1部材51Cは、図16に示すように、上述したアタッチメント50A、50Bの第1部材51A、51Bと同様に、突出部511C、512C、及び、収容部513Cが設けられている。さらに、第1部材51Cは、略半円形状の下面のうち、円筒形状の中心軸から切断面に対して略直交方向に進んだ外周部分付近において、下方向に延びる板状の板状部514Cが設けられている。板状部514Cは、下方向に進むほど円筒形状の中心軸に向かうように傾斜している。
【0060】
図10に戻り、タイプCのアタッチメントは、パターンIIの構成部品を有すると共にパイプ部分の長さが小さい(所定値未満の長さを有する)支持部に対応している。
【0061】
図17は、パターンIIの構成部品を有すると共にパイプ部分の長さが小さい支持部34Bに対して着脱可能に取り付けられたタイプCのアタッチメント50Cを例示する。図17に例示する支持部34Bにおいては、コネクションアダプタ344の所定値未満の長さを有するパイプ部3441の端部に接合されるクランプアダプタ342の第2接合部3423、及び、コネクションアダプタ344の第1接合部3442が隣接しているため、当該パイプ部3441は露出していない。
【0062】
この状態のアタッチメント50Cは、図17に示すように、第1部材51Cの突出部511C、512Cによって、支持部34Bを構成するクランプアダプタ342のパイプ部3421を保持する。また、支持部34Bのクランプアダプタ342の第2接合部3423(締め部FS)の一部が、アタッチメント50Cの第1部材51Cの収容部513Cに収容される。また、アタッチメント50Cの板状部514Cが、支持部34Bのクランプアダプタ342の第1接合部3422に接しており、当該板状部514Cは、第1接合部3422に対して作用する板バネとして機能する。
【0063】
図18は、タイプDのアタッチメント50Dのサンプル3Dモデルを例示する。当該アタッチメント50Dは、図示するように、上述したアタッチメント50A、50Bの第2部材52A、52Bと同様の形状を有する第2部材52Dを有する。
【0064】
第2部材52Dは、図18に示すように、上述したアタッチメント50A、50Bの第2部材52A、52Bと同様に、突出部521D、522Dが設けられている。さらに、第2部材52Dは、略半円形状の上面のうち、円筒形状の中心軸から切断面に対して略直交方向に進んだ内周部分付近において、上方向に延びて中心軸の方向に屈折する板状の板状部523Dが設けられている。また、第2部材52Dは、略半円形状の下面のうち、円筒形状の中心軸から切断面に対して略直交方向に進んだ内周部分付近において、下方向に延びて中心軸の方向に屈折し、上述した板状部523Dと相似する板状の板状部524Dが設けられている。これらの板状部523D、524Dは、その先端部において、中心軸方向に突き出る突起部5231D、5241Dがそれぞれ設けられている。
【0065】
図10に戻り、タイプDのアタッチメントは、パターンIIIの構成部品を有すると共にパイプ部分の長さが小さい(所定値未満である)支持部に対応している。
【0066】
図19は、パターンIIIの構成部品を有すると共にパイプ部分の長さが小さい支持部34Cに対して着脱可能に取り付けられたタイプDのアタッチメント50Dを例示する。この状態のアタッチメント50Dは、図示するように、第2部材52Dの突出部521D、522Dによって、支持部34Cを構成するダブルアダプタ346のパイプ部3461を保持する。また、アタッチメント50Dの板状部523Dが、支持部34Cを構成するダブルアダプタ346の第1接合部3462に接しており、この際、板状部523Dの突起部5231Dが、第1接合部3462のネジ部SCに嵌められる。当該板状部523Dは、第1接合部3462に対して作用する板バネとして機能する。同様に、アタッチメント50Dの板状部524Dが、支持部34Cを構成するダブルアダプタ346の第2接合部3463に接しており、この際、板状部524Dの突起部5241Dが、第2接合部3463のネジ部SCに嵌められる。当該板状部524Dは、第2接合部3463に対して作用する板バネとして機能する。
【0067】
図20は、タイプEのアタッチメント50Eのサンプル3Dモデルを例示する。当該アタッチメント50Eは、図示するように、1組(2つ)の第2部材52Eを有する。第2部材52Eは、上述したアタッチメント50Dの第2部材52Dと同様の形状を有し、当該第2部材52Dと同様に、突出部521E、522Eが設けられている。さらに、第2部材52Eは、略半円形状の上面(又は下面)のうち、円筒形状の中心軸から切断面に対して略直交方向に進んだ内周部分付近において、上方向(又は下方向)に延びて中心軸の方向に屈折する板状の板状部523Eが設けられている。当該板状部523Eは、その先端部において、円筒形状の中心軸方向に突き出る突起部5231Eが設けられている。アタッチメント50Eは、上側の第2部材52Eの板状部523Eが上方向に延びると共に、下側の第2部材52Eの板状部523Eが下方向に延びるように、1組(2つ)の第2部材52Eが上下方向に隙間を空けて配置される。
【0068】
図10に戻り、タイプEのアタッチメントは、パターンIIIの構成部品を有すると共にパイプ部分の長さが大きい(所定値以上の長さを有する)支持部に対応している。
【0069】
図21は、パターンIIIの構成部品を有すると共にパイプ部分の長さが大きい支持部34Cに対して着脱可能に取り付けられたタイプEのアタッチメント50Eを例示する。この状態のアタッチメント50Eは、図示するように、上側の第2部材52Eの突出部521E、522Eによって、支持部34Cを構成するダブルアダプタ346のパイプ部3461と第1接合部3462との境界付近を保持し、上側の第2部材52Eの板状部523Eが、当該第1接合部3462に接している。この際、板状部523Eの突起部5231Eが、第1接合部3462のネジ部SCに嵌められており、板状部523Eは、第1接合部3462に対して作用する板バネとして機能する。同様に、下側の第2部材52Eの突出部521E、522Eによって、支持部34Cを構成するダブルアダプタ346のパイプ部3461と第2接合部3463との境界付近を保持し、下側の第2部材52Eの板状部523Eが、当該第2接合部3463に接している。この際、板状部523Eの突起部5231Eが、第2接合部3463のネジ部SCに嵌められており、板状部523Eは、第2接合部3463に対して作用する板バネとして機能する。
【0070】
このように、本実施形態では、複数のタイプのアタッチメントの各々が、義足の支持部の構成部品及び形状(パイプ部分の長さ)の組合せに対応付けられている。そして、3Dモデル生成支援装置10は、ユーザの義足データに基づいて、ユーザの義足の支持部の構成部品及び形状を判定し、判定された支持部の構成部品及び形状の組合せに対応するタイプのアタッチメントを提案することができる。例えば、図22に例示する義足データ(3Dモデル)に対応する義足は、その支持部がパターンIIの構成部品(1つのクランプアダプタと1つのコネクションアダプタ)を有しており、パイプ部分の長さが所定値未満であると判定され、タイプCのアタッチメントが提案される。
【0071】
本実施形態において、義足データに基づく支持部の構成部品及び形状の判定は、様々な手法で実現することができる。例えば、3Dモデル生成支援装置10は、ルールベースの手法を適用した義足データに対する画像解析によって、支持部の構成部品及び形状を判定することができる。また、3Dモデル生成支援装置10は、機械学習の手法を適用した義足データに対する画像解析によって、支持部の構成部品及び形状を判定することができる。この場合、例えば、多量の訓練データを用いた機械学習を介して生成される学習済みモデルが用いられ、当該学習済みモデルは、入力された義足データに対応する義足の支持部の構成部品及び形状の組合せを特定するための値が出力されるように構成される。
【0072】
本実施形態において、アタッチメントの提案は、様々な態様で実現することができる。例えば、3Dモデル生成支援装置10が、判定された支持部の構成部品及び形状に対応するタイプのアタッチメントを推奨アタッチメントとして表示するようにしてもよい。また、例えば、3Dモデル生成支援装置10が、推奨アタッチメントを表示した後の操作者による操作入力に応じて(又は、こうした操作入力なしで直ちに)、推奨アタッチメントのサンプル3Dモデルを、アタッチメントサンプルデータDB152から読み込むようにすることもできる。この場合、操作者が、推奨アタッチメント以外の他のタイプのアタッチメントを選択する(例えば、アタッチメントのタイプの一覧の中から選択する)と、選択されたタイプのアタッチメントのサンプル3Dモデルが読み込まれるようにしてもよい(つまり、操作者による手動での選択によって、アタッチメントのサンプル3Dモデルを読み込んで使用できるようにしてもよい。)。このようにして、本実施形態における3Dモデル生成支援装置10は、義足カバーのアタッチメントの3Dモデルの生成を支援する。
【0073】
また、3Dモデル生成支援装置10は、義足カバーのアタッチメント以外のその他の部材についても、3Dモデルの生成を支援する。図23は、本実施形態における義足カバー60の3Dモデルを例示する。図23の義足カバー60は、図22に例示した義足に装着された状態を示しており、図示するように、前側本体62と、後側本体64とを有する。前側本体と後側本体は、例えば、マグネットによって着脱可能に固着される部材である。
【0074】
図24は、図23の義足カバー60の前側本体62を外した状態を例示する。図示するように、前側本体62を外すと露出する後側本体64の内側において、アタッチメント50が配置される。本実施形態における義足カバーの3Dモデルにおいて、後側本体及びアタッチメントは、一体の部材として生成してもよいし、別体の部材として生成してもよい。
【0075】
本実施形態において、3Dモデル生成支援装置10は、義足カバーを構成する前側本体及び後側本体の3Dモデルの生成を支援する。具体的には、装置10は、ユーザの健足データ及び義足データに基づいて、前側本体及び後側本体の3Dモデルを自動的に生成する。例えば、装置10は、健足と同様の形状を有すると共に、義足の形状に適合するように、前側本体及び後側本体の3Dモデルを自動的に生成する。なお、操作者は、前側本体及び後側本体のサンプル3Dモデルを、本体サンプルデータDB153から取得して使用することもできる。なお、同様に、アタッチメントについても、義足データに基づいて、支持部の構成部品及び形状に適合するアタッチメントの3Dモデルが自動生成されるようにしてもよい。
【0076】
なお、操作者は、一般的な3Dモデリング機能を用いて、義足カバーを構成する各部材(前側本体、後側本体、及び、アタッチメント等)の3Dモデルの形状及びサイズ等を手動で変更及び調整することもできる。このように変更及び調整された義足カバーの3Dモデルが、例えば、ユーザと関連付けてユーザデータDB151に登録される。そして、登録された3Dモデルを用いて、3Dプリンタによる義足カバーの製作が行われる。
【0077】
本実施形態において、義足カバーを構成する部材として、上述した前側本体、後側本体、及び、アタッチメント以外のその他の部材が追加されてもよい。例えば、図25に例示するように、義足カバー60が、前側本体62及び後側本体64の上側に設けられるオプション部材66を含むようにしてもよい。この場合、オプション部材66の3Dモデルの生成についても、3Dモデル生成支援装置10によって支援され、例えば、サンプル3Dモデルの取得、又は、3Dモデルの自動生成が行われる。
【0078】
本実施形態では、義足データに基づいて、支持部の構成部品及び形状を判定するようにしたが、本発明の他の実施形態において、支持部の構成部品及び形状が、ユーザによって直接指定される(例えば、構成部品及び形状の組合せの一覧の中から選択される)ようにしてもよい。この場合、ユーザによって指定入力される支持部の構成部品及び形状の組合せに対応するタイプのアタッチメントが推奨アタッチメントとして提案される。
【0079】
本実施形態では、支持部の構成部品及び形状に基づいて推奨アタッチメントを提案するようにしたが、本発明の他の実施形態では、構成部品及び形状の何れか一方、又は、他の支持部情報に少なくとも基づいて、推奨アタッチメントが提案される。
【0080】
以上説明した本発明の実施形態に係る3Dモデル生成支援装置10は、ソケットを支持する支持部に関する支持部情報(例えば、構成部品及び形状)に基づいて、義足カバーを構成すると共に支持部に対して着脱可能に取り付けられるアタッチメントの3Dモデルの生成を支援するから、ユーザ毎に異なる義足の支持部に適合するアタッチメントを有する義足カバーの3Dモデルの生成が支援され、この結果、個別の義足への取り付けが良好な義足カバーの製作が支援される。
【0081】
本明細書で説明された処理及び手順は、明示的に説明されたもの以外にも、ソフトウェア、ハードウェア又はこれらの任意の組み合わせによって実現される。例えば、本明細書で説明される処理及び手順は、集積回路、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、磁気ディスク等の媒体に、当該処理及び手順に相当するロジックを実装することによって実現される。また、本明細書で説明された処理及び手順は、当該処理・手順に相当するコンピュータプログラムとして実装し、各種のコンピュータに実行させることが可能である。
【0082】
本明細書中で説明された処理及び手順が単一の装置、ソフトウェア、コンポーネント、モジュールによって実行される旨が説明されたとしても、そのような処理又は手順は複数の装置、複数のソフトウェア、複数のコンポーネント、及び/又は複数のモジュールによって実行され得る。また、本明細書において説明されたソフトウェア及びハードウェアの要素は、それらをより少ない構成要素に統合して、又はより多い構成要素に分解することによって実現することも可能である。
【0083】
本明細書において、発明の構成要素が単数もしくは複数の何れか一方として説明された場合、又は、単数もしくは複数の何れとも限定せずに説明された場合であっても、文脈上別に解すべき場合を除き、当該構成要素は単数又は複数の何れであってもよい。
【符号の説明】
【0084】
10 3Dモデル生成支援装置
11 コンピュータプロセッサ
111 情報受付部
112 3Dモデル生成支援部
15 ストレージ(情報記憶部)
151 ユーザデータDB
152 アタッチメントサンプルデータDB
153 本体サンプルデータDB
154 3Dモデリング用プログラム
20 ユーザ端末
30 下腿義足
32 ソケット
34、34A、34B、34C 支持部
36 足部
50、50A、50B、50C、50D、50E アタッチメント(取付部材)
60 義足カバー
62 前側本体
64 後側本体
66 オプション部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25